中央環境審議会総合政策部会 環境と経済の好循環専門委員会(第5回)議事要旨

日時

平成16年2月12日(木)10-12時

場所

環境省第1会議室

議題

委員会報告骨子案の審議

要旨

委員会報告骨子案について、事務局からの説明の後、意見交換

【全体構成について】

○天野 明弘委員

  • 物と人の移動がどう盛り込まれるかよく見えないので、どこかに入れるべき。ヨーロッパの都市の交通、特に自動車の利用の仕方に関する調査で、よい都市と悪い都市の差が出る一番大きな要因は、環境交通政策をしっかりしているかどうかであるとの結論が出されている。

○崎田 裕子委員

  • 交通政策はきちんと入れ込んだ方がいいと思う。環境と経済の好循環のビジョンを考えるとき、まず、個人がライフスタイルで実践し、地域社会の中で実践し、それが社会全体に広がる、というイメージが湧いてくるような形で報告書をまとめていくことが大事だと思うが、それをつなぐのが交通、というふうに入れ込むのも一案ではないか。
  • 「はじめに」で、国民、企業、行政それぞれが信頼を持ってこういう社会をつくり上げていくというようなことを描いていただければと思う。

○関 正雄委員

  • 日本企業のCSRへの取組は、ビジネスの中に取り込んで企業価値を向上させるために戦略的に取り組んでいる点で、欧米企業よりよほど進んでいる。したがって、規制、第三者認証、審査より、自主的取組を促進する仕組が重要であり、その1つとして大きな役割を持つ金融市場のグリーン化をどこかに含めるべきではないか。
  • SRIに関する日・米・英3カ国の意識調査レポートで、日本の個人投資家のうち、投資の際に企業の社会的責任を考慮すべきと考える人は9割で、米・英とほぼ同じ水準だが、現時点でのSRIファンドの規模はそれに及ばない。投資家に意識はあるのだから、ここに力を入れて好循環の仕組をつくることができるのではないか。

○小倉 康嗣委員

  • 骨子案は、「2.」のように環境によいことをすれば「3.」の将来像が実現します、という形だが、その間に好循環はどうあるべきか考えなければならない。例えば、CO2排出の少ない商品をつくっても、よい商品だからと2台、3台と買えばトータルでCO2は増えてしまう。逆に、サプライチェーンマネージメントにより、物流でCO2が増えても、製造では減って、トータルではCO2が減るかもしれない。絶対的に環境にいいことをすることをどう好循環にもっていくかという議論をして、それではじめて「3.」の将来像が出てくるのではないか。

○安原 正委員

  • 環境によい技術が開発されても、既存の技術の方が安上がりで、初期需要が増えないため、普及しないという面があり、その普及促進も論点。

○辻 晴雄委員

  • アメリカで情報スーパーハイウェイ構想というのが92年に発表されたが、これは国民にとって非常にわかりやすく、IT革命が急速に進んだ。このビジョンでも、国民にわかりやすく、頑張ろうと立ち上がれるような魅力的な未来図を、「2.」方向と課題の前に提示する必要があるのではないか。
  • その例として、「美しく、健やかで、そしてかつ豊かな環境先進国」というのはどうか。美しくというのは、自然の美しさもさることながら、省資源、省エネあるいは技術と経済の進化なども広く捉える。健やかというのは、自然の中で健康的な生活をするんだという自然の恵みとあわせて、医療福祉の向上。豊かさというのは、経済的な豊かさと心の豊かさの両方を踏まえたもの。

○深尾 典男委員

  • 環境と経済といったとき、日本の経済が今どういう状況であるか、目標年度に日本の経済を何が支えているかという視点がないと、空論に近いものになる。
  • 資料を見ると、ポイントポイントを抜き出していて、全体感がない。環境で得たものを世界に貢献するというのはあるが、世界との連携の中で日本の経済をどう位置付け、支えていくのか、という視点が欠けていると思う。技術開発の部分でも、日本は世界に比べてどこが優れているのかという視点に基づき、どのように技術開発を進めていくかが加味されていかないとビジョンにならない。
  • いろいろな暮らしぶりが示されているが、それを受け入れるキャパシティを考えると、非常に特殊な人たちの事例が挙げられているように思う。日本の美しさや健やかさを構築していくには、都市の再生や再構築を相当やらなければならないが、参考資料を見てもあまり触れられていない。環境省の委員会では言い辛いかもしれないが、これを抜きにして議論すると、一部の好事家のための暮らしを提供していることになりかねない。

○園田 信雄委員

  • 国民、企業、行政が一体となってというところが私は一番重要な役割ではないか。それだけに、それぞれの役割分担が仕掛けの部分で明確にする必要がある。
  • 日本の進んでいる部分の世界への発信、つまり国策として逆に海外に訴えかけられるような、そんな見方をぜひ取り入れていかねばならないと思う。

○和気 洋子委員

  • 「はじめに」と「2.」の間に、環境と経済の好循環というようなイメージがしみ込むようなシステムをどうやったらつくられるのかということをみんなで考えていこうという問題提起が欲しい。
  • 2025年ぐらいまでの経済の発展を見ると、技術振興というのが非常に重要な柱となる。新しい技術とは、環境技術に限らず、環境に悪影響を与えるものもあり得る。まずは、より環境に負荷を与えない方向で技術進歩が進むような仕掛けが必要。そして、環境ビジネスを支える技術進歩というのを別に考えるとよいのではないか。
  • 「2(3)自然がはぐくむこころとちから」の方向に進む要因として、エコツーリズムのようにコミュニティで同じものを共有する、分かち合うという共同消費の喜びがあり、消費と経済活動の中にコミュニティの管理というものが入ってくるのではないか。
  • 「3.」の将来像がある部分を切り取りすぎているというのは同感。具体的なイメージについてはもう少し議論が必要ではないか。

○辻 晴雄委員

  • 世界を引っ張っていく環境先進国を実現する上で何より重要なのは人材。今回のビジョンをきっかけに、大学で環境経済工学というような学問領域ができないか。

○浅野 直人委員

  • 環境を専門とする大学は増えている。問題は中身。もともと環境は何もやっていなかった人が生き延びる為に環境と言っている面がある。辻委員の意見に関して、工学系、経済系の人たちは、お互いに知識がないとだめという認識を持っており、この2つはかなり融合してきている。
  • 横断的な視点が「3(4)」の世界の部分にのみ入っており、国内での横断的な要素がはっきりしていない。この委員会で指摘されている情報の問題などを横断的なものとして位置づけをすることは十分可能ではないか。
  • 辻委員をはじめ多くの方々が、短い言葉でわかるキャッチフレーズ的なイメージをつくることを提案しているが、環境先進国などは非常に奥深い含蓄ある提案であり、賛否両論、毀誉褒貶は覚悟の上でやるのもよい。
  • 今回の専門委員会の取りまとめの報告で、すべてのシナリオを書き上げてしまうのは無理。具体的な行動は若干先送りになってもしかたない。次の環境基本計画の材料となることをここでは議論していくべき。
  • 将来像の描き方はなかなか難しい。あまり今の常識にこだわってしまうとおもしろみがないが、読むのは今の人なので、現実的でなく人ごとのようなものでは困る。もう少し議論する必要がある。

○安原 正委員長

  • 時間の制約もあり、今回は望ましい将来像をわかりやすく提示し、その実現のための具体的な検討課題やロードマップは、次の基本計画の見直し・策定の作業に譲りたいと考えているので、それを踏まえて審議を進めたい。

【各論(2.日本が目指す方向と課題)について】

○崎田 裕子委員

  • 「2.」のところは、文章で書いていくのか、絵で描いていくのかで大分イメージが違ってくる。例えば、くらしを彩る環境のわざというところで想定する家やビルは、そこに新しいわざを入れていくことか、自然エネルギーを最大限に生かした環境共生型住宅なのかでライフスタイルのイメージも変わる。また、情報交流についても具体的なものを入れていく必要はないか。
  • 「2(2)もったいないが生み出す資源」は、今の社会状況を踏まえて描かれているが、3Rと適正処理で資源そのものを大切にしていく2025年の社会をイメージしながら描くことが必要かと思う。
  • 2(3)で取り上げているエコツーリズムについても、単にツアーという印象よりも、自然や伝統文化とふれあう地域社会での暮らし方、都市と近隣地域との交流が進むという印象で2025年をイメージしたらいいかと思う。
  • 2025年には、環境活動と暮らしというのがあまり分かれていない、当然のように暮らしの中で取り入れていくというような時代になっているのではないか。

○天野 明弘委員

  • 環境と経済が好循環する取組として、サービサイジングがある。これは、現在ある製品からサービスを提供する仕方をよりよく変えることにより、これを使う人のメリットが高まり、同時に環境負荷が下がるもの。例えば、コピー機を売るかわりに、機械自体は会社が持ってコピーを作成するというサービスを売るということ。サプライチェーンの企業同士の取引で、特に化学物質など廃棄物処理が大変難しいものは、メーカーと使用者が一緒になって廃棄量を減らし、その分のコストが下がることでお互いに利益を上げるような例もある。このような新しいビジネスモデルを入れていただきたい。

○黒須 隆一委員

  • 2(2)について、今ごみ問題に取り組んでいる立場からは、川上対策、すなわちごみの発生抑制を促進する社会的仕組、ごみとならない製品をいかにつくっていくかということが大事だと考える。そして、消費者は、廃棄物の少ない商品をそれが多少コスト高でも選択し、大事に長く使っていく社会を実現する必要がある。
  • 発生抑制を促進する社会的仕組で重要なのは、[1]拡大生産者責任の強化、[2]エコ商品の流通、需要拡大と環境に配慮した事業者が報われる仕組づくり、だと思う。[1]について、自治体が税金で処理しているうちは、事業者が最終的にごみとなるものを減らすインセンティブが十分に働かないと感じている。[2]については、環境ラベルなどでエコ商品が有利に流通・販売されること、行政のグリーン購入が重要。また、環境に配慮した消費行動が定着するためには、環境教育、環境学習や積極的な情報発信をしていくべきではないか。
  • 2(1)の「世界最先端の環境技術を生み出す環境にやさしい日本の消費者」は、意味がわかりにくい。

○浅野 直人委員

  • 2025年にどれくらい資源制約が働くかを安井委員が研究しているので、事務局は意見をお聞きすべき。もっと違う視点があるかもしれない。
  • 循環計画の目標など、5年、10年後の話と2025年の話が混乱している面がある。きちんと年表的に並べて書いてみると、ストーリー性がはっきりし、整理がつく。

○辻 晴雄委員

  • ユーザーに見える数値目標というのは絶対必要。ただ、2025年との間に、中期的な目標もあってもいいかもしれない。
  • 20年先はわからないとの意見があるが、それは途中で変えていけばいいこと。マトリックスに、テーマと、だれがいつまでに何をどうしているかを整理すると、ビジョンが具体的になるのではないかと思う。

○浅野 直人委員

  • 辻委員の言うマトリックスについては、ビジョン後にする作業もあるので、表に出すかどうかは別だが、作業の段階で頭の中にイメージを描けていないといけないだろう。

○安原 正委員長

  • 今まで述べてきたとおり、具体的な方策は環境基本計画に譲らざるを得ないが、目標や望ましい将来像は大胆に出したい。

○和気 洋子委員

  • 資源制約はあるという前提の方が、予防的措置としてよい。非常にとてつもない経営進歩があれば、小さい技術開発がみな飛んでしまうほどのことがあり得るが、予防的にやっておけば後悔はない。2(2)の資源のところも、我々は大きな資源制約の中で経済活動しているのだという視点を出した方がいい。

【各論(3.環境と経済の好循環が実現した社会の将来像)ほかについて】

○天野 明弘委員

  • 企業と住民との情報のやりとりにより社会全体が変わる仕組、つまりいつでもどこでも誰でも環境に関する情報を得ることができるようにすることが必要だと思う。少なくともこのビジョンで、ユビキタスな情報を国として責任を持って提供できるようなシステムを考える、ということは言えるのではないか。

○小倉 康嗣委員

  • 「3.」の将来像で、里や街の様子だけではなく、産業構造がどのように変わるかを示すとよいのではないか。

○崎田 裕子委員

  • 「3.」の将来像の部分は、今から数年後、そこに向かってどうするかのようなことが出ている感じがする。例えば、20年後の姿として、(2)については、ごみの資源化に熱心に取り組むというよりライフスタイルの中で定着している時代だと思うし、(3)については都市生活自体が自然と共生するような形になるように思う。

○浅野 直人委員

  • 環境と経済の好循環のイメージをよく考えないと指標が浮いてしまう危険性がある。指標は、それ自体が1つのメッセージであり政策を誘導するものでなければならない。

○辻 晴雄委員

  • 日本は中国に、ヨーロッパに、アメリカに倣ってきたが、環境と経済の好循環については日本に見習おうという状態になるとよい。日本は、自然が豊かで観光に恵まれている。環境先進国になれるはずだ。

○深尾 典男委員

  • このビジョンは、あらゆる事例が、現実のものに引っ張られすぎていて、かえってビジョンらしさを失っているところがある。エコツーリズムの部分だが、今の状況に引っ張られすぎていて、都市と地方の対比の構造になっている。身近な自然や、身近なコミュニティの回復について根本から考えるべき。

○筒見 憲三委員

  • 環境と経済の好循環度のような指標を明確にした方がわかりやすい。数値化すれば比較もしやすい。
  • 日本人はスタンダード化することが非常に不得意。ISOもそうだが、他の国が定めたスタンダードに一生懸命従っている。これからは、日本が基準を定めそれを発信していくような意気込みがあってもいいのでは。

○天野 明弘委員

  • 企業経営の方では、環境経営度という概念があって、いろいろな仕方で調査をしてランキングをつけたりする。指標には問題があってそれ自体がいいわけではないが、企業経営に関しては、経済と環境の好循環度を図る参考になるのでは。また、環境生活度や地域の環境度を図るヒントになるかもしれない。

○浅野 直人委員

  • 単一の指標では賛否両論を巻き起こすので、指標群という考え方がよい。ここに挙げられている指標をブラッシュアップし、その指標群を「環境と経済の好循環」の指標とするのではどうか。
  • キャッチフレーズのようなものをはっきり出し、指標群をつくることが大事。また、あまりに日本だけの話だと困るので、資源生産性等国際比較ができるものを使うとよい。

○和気 洋子委員

  • 指標なら、時系列で環境クズネッツカーブみたいなものを描いて、好循環の局面に入ったかを見ることができるのでは。国際比較もできる。ただしこれは経験則でありメカニズムは難しいのでビジョンに書き込めるかわからないが、そのようなイメージを持っている。

○小倉 康嗣委員

  • 産業界にはこの好循環に懐疑的な人も多いが、「なるほどこれが好循環か」というものが出てくるとよいと思う。例えば、今リサイクルのコストは高いが、埋立費がものすごく上がればリサイクルが進む。これに全産業、消費者が取り組めば、リサイクルのコストも負担できるようになって好循環の例になるかもしれない。
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