中央環境審議会総合政策部会 環境と経済の好循環専門委員会(第4回)議事要旨

日時

平成16年1月16日(金)15-17時

場所

環境省第1会議室

議題

環境と経済の好循環を目指したビジョンについて委員等からの意見発表と討議

要旨

1.「「もったいない」が生み出す資源」をテーマに委員等から意見発表

○小倉 康嗣委員

  • JFEの環境経営は、[1]事業活動での環境負荷低減、[2]環境に配慮した技術
  • 商品の提供、[3]環境ビジネスの推進の3つの柱で成り立っている。[1]については、2010年度のエネルギー消費量を1990年度と比べて11.5%削減するという日本鉄鋼連盟自主行動計画の目標に向け取り組んでいる。[2]としては、様々な分野で鉄鋼エコロジー商品をつくっている。エコロジー商品を増やしていくため、最近ではユーザーと設計段階から連携するようにしている。また、JISなどの規格化、法制化による普及促進も重要と考える。[3]としては、リサイクル事業とクリーンエネルギーの開発・普及を進めている。最近では、一社ではなかなかできないところを企業連携によって成し遂げようという動きになっている。
  • これからは、動脈産業と静脈産業の結合、企業間・産業間・地域社会との連携、それからやはり社会貢献だけではなく企業の収益に結びつかないといけないということで、Win-Winの関係となることが必要と思う。
  • 環境と経済の好循環への課題として、環境配慮によりコスト高となる場合がある。液晶テレビや食器洗い乾燥機、ハイブリッド車、高効率電磁鋼板のように高くても消費マインドを刺激するような商品を作らなければならない。ただ環境によいだけでは買ってもらえなくても、それに便利さ、快適さなどの付加価値をプラスすることによって、高くても買ってもらえるようになる。
  • 太陽光発電の補助制度のような購入促進策や、環境にやさしい日本製品が割高になれば輸入製品にも環境条件つけるなど、エコ商品への消費マインドを刺激する施策も必要ではないか。

○黒須 隆一委員

  • 八王子市は、世界一の登山者数(年間250万人)を誇る高尾山を有している。高尾山は観光名所というだけでなく、野鳥や動物の宝庫である。登山者には多くのリピーターが含まれている。高尾山の素晴らしい自然環境とそれを守っている地域の人たちの努力がたくさんの人を呼び込み、また、人がたくさん集まることで地域がにぎわいを見せている。まさに身近なところでの環境と経済の好循環と言えるのではないか。
  • 環境行政において、市民参加、協力という従来の姿勢を一歩前進させるため、八王子市環境基本条例を策定した。現在、その具現化に向けて、地域ごとの環境市民会議との協働で環境基本計画を検討中。市民も自発的な啓発活動等に取り組んでおり、最近では低公害車日本一を目指した「エコカーフェスタ八王子」が開催された。
  • ゴミの現状をみると、まだまだ資源化の余地があるが、自治体がゴミを税金で処理している間は市民一人一人のライフスタイルを変えていくまでにはなかなか至らない。東京都市長会では、[1]家庭ゴミの有料化、[2]可燃ゴミの焼却灰を新たな資源として活用するエコセメント事業、に取り組むことを申し合わせた。
  • 最近はリサイクルが進んでいるとはいえ、大量生産、大量消費の社会構造が依然として続いている。ゴミとなってからの処理対策(川下対策)には限界がある。そこで、市場で不利にならない長期使用可能な製品の開発や処理コストの事前負担制度など、生産者が排出抑制に取り組む、いわば川上対策の導入が必要だと考える。

○崎田 裕子委員

  • 環境と経済の好循環を社会全体で支えるには、市民、事業者など全員が環境配慮にきちんと取り組むパートナーシップ社会を構築していくことが大事。ポイントは、的確な情報とその情報が交流するコミュニケーションの場や環境学習などの支えの中で、消費者がきちんとした消費選択や社会参加などの実践にうつしていく社会に持って行くこと。
  • そもそもゴミを減らすことが重要ということで、循環型社会形成推進基本計画で、リデュース、リユース、リサイクル、そして、熱回収と適正処理というような優先順位が決まった。それが徐々に定着する時代の転換期であると感じている。
  • リサイクルの仕組みができ、そうしたことを1回実践すると市民の意識が大きく変わる。例えば、名古屋市で全てのプラスチックや紙容器の資源回収をはじめたところ、市民は、最初は大変だと言っていたが、半年くらい経つと大変だけどなんとかなる、それよりも買うときからきちんと選んで買うことが大事だと言うようになった。その結果、資源が倍増しゴミが減るだけでなく、ゴミと資源の総量は1年間で8%減った。これは暮らしの見直しによる発生抑制効果。
  • リサイクルは、多くの人が連携しないと解決しないので、自然と連携が広がっていき、活動が暮らしからまちへ広がり、まちが活気づくケースが増えている。そのような事例を集めて多くの人に伝える全国ネットワークのNPO活動をしている。
  • NPOは、いろいろな主体をつなぐつなぎ手、情報交流の推進役。企業と消費活動がきちんとつながるようにすることが重要。
  • スウェーデンは、2020年化学物質リスクゼロに向け、環境ラベルなどを活用しながら取り組んでいる。その際、環境NGOが、企業の環境配慮を支えるのは消費者の賢い選択であるとして、自身で直接企業に何か言うことよりも市民への啓発キャンペーンを重視していたことが印象に残っている。
  • これからの環境と経済の好循環の流れの中で、消費者と企業、あるいは社会全体で、環境配慮型商品を選ぶ、あるいはそういう企業を金融市場で支えるということを意識し「信頼の好循環」をつくろうという空気を起こしていくことが大事かと思う。

○長島 德明講師

  • 帝人グループは、繊維事業、ペットボトル用の樹脂も含めた化成品事業、医薬医療事業、機械
  • エンジニアリング事業などを手がける。企業理念『地球との共生を図り、自然と生命を大切にします』に基づき、1992年、帝人グループの地球環境憲章を制定した。また、昨年4月には、株主をはじめとするステークホルダーに対する約束として『Human Chemistry,Human Solutions(人と地球環境に配慮した科学技術の向上と、社会と顧客が期待している解決策を提供します)』を発表した。
  • ポリエステルの新原料リサイクルについて、2003年からペットボトルをリサイクルして次のボトルの原料にすること、すなわちボトルtoボトルを始めた。繊維、フィルムについても、繊維to繊維、フィルムtoフィルムのベースとなる技術を開発したところ。
  • ポリエステル原料リサイクルを評価すると、ペット1トンのリサイクルでナフサ1.6トンが削減される。これはユニフォーム1000着に相当する。また、CO2排出は77%削減(杉の木23万本の植林効果相当)、エネルギー消費は84%削減(家庭1軒の1年間のエネルギー消費量相当)される。
  • エコプロダクツとして、PETリサイクル商品、リサイクルしやすい易リサイクル商品、省エネ
  • 省資源商品、環境改善に寄与する商品を開発している。
  • 「もったいないが生み出す資源」を実現するため、行政は、方針の明確化、環境保全に役立つ制度作り、先進的な取組が経済性を持つような環境づくり、トップランナーの育成、インセンティブの設定、グリーンコンシューマーの拡大をお願いしたい。
  • 具体的な課題としては、ボトルtoボトルでは、原料の確保
  • 安定調達、投資リスクの軽減がある。繊維to繊維では、今繊維リサイクル法がないのでいろいろな課題があるが、メーカーとしては魅力ある商品づくりに注力したい。



2.「くらしを彩る環境のわざ」の関連で委員から意見発表

○深尾 典男委員

  • 主婦会員、消費者を対象として定期的に行う調査の中で、再生素材衣料、電球型蛍光灯、ノンフロン冷蔵庫、ハイブリッド車のエコプロダクツの認知状況について調査した。まず、これらがエコプロダクツかどうかを認識しているかを調べたところ、車、冷蔵庫は9割以上がそう認識していた。
  • 認識している人の購入意向を調べると、認知度が高い車
  • 冷蔵庫のうち、車は3割の方しか購入を考えておらず、逆に冷蔵庫は75%近い方が購入を考えているか、すでに利用していた。情報の伝わり方、伝え方で大きな格差が出ている。一方、衣料
  • 蛍光灯については、既に利用者が多いものの、非利用者の購入意向はあまり高くない。環境にいいとわかっていても、あまり買う気はしないという人はかなりいる。
  • 認識していない人も含めたトータルな購入意向をみると、認知度が低い蛍光灯は買いたい又は利用している人が4割を切っている。これについては、エコプロダクツであるという商品訴求ができていないことが普及を阻害しているのではないか。
  • 情報の入手経路はメディアを通じた広告が最も多い冷蔵庫に関しては、報道やショールーム
  • 販売店など生活者が接することができるところも多い。
  • 現時点で消費者が利用しているエコプロダクツとして圧倒的に多いのが、洗剤系、石鹸系のもの、それ以外には再生紙利用の紙製品。生活の中ですぐに実行できるものは、すでに利用されている。今後利用したいエコプロダクツは、家電製品が中心。
  • この調査を受けて開いた「日経エコロジー」2004年2月号の座談会で一番問題になったのは、メーカーがエコプロダクツであるという商品訴求をしていないということ。また、メーカーが言っている言葉がわからないという指摘もあった。例えば「LCA」は消費者、特に主婦には全く伝わらない。こういう議論は専門化しがちだが、普通の人が普通に実行できるというのが、好循環を考えていく上で必要。



3.自由討議

○天野 明弘委員

  • 私どもの研究所で、環境報告書の情報開示の仕方で、企業がやろうとしていることと、情報がどういう受けとめられ方をしてるかを調査した。環境報告書には、消費者を対象とした情報と専門家を対象とした情報が一緒になって出ているが、これらを分けてつくる方が効率的という結果が出てきている。現在の報告書は、特に消費者への訴求は非常に小さいのではないか。
  • 高くても消費者が買いたいというマインドを刺激することは重要だと思う。消費マインドをつくり出すやり方は2つある。商品を変え消費マインドを刺激するという、アウトプットとして商品を出すやり方と、その商品をインプットとしてそこから出てくるいろいろな機能とかサービスを売って消費マインドを刺激するやり方。後者が成功すれば、消費マインドが高まって機能やサービスの販売は増えるが、インプットを減らそうとする企業努力が働いて商品そのものは減るので、消費マインドの向上と同時に資源の節約が一緒に達成できる。

○筒見 憲三委員

  • ゴミの議論での一番の問題は、同じものでも出す人によって取り扱いが異なるという一般廃棄物と産業廃棄物の区別の問題だと思う。そもそも、捨てることを前提として法律がつくられている。リサイクルを考えると、誰が出したかでなく、何を出したかが問題で、この辺の区分を徹底的に法律改正を含めてやらない限り、環境と経済の好循環は出来ないと思う。
  • 廃棄物という名称は捨てることを前提にしているが、これからはそれをリサイクルしなければならないので、廃棄物処理法ではなく、資源再資源法のような名称にするべき。

○浅野 直人委員

  • 循環基本法では循環資源という概念を用意している。廃棄物処理法は警察取締法規で、不適正処理を防止しようとするのが最大の目的である。
  • 完全に資源として管理できているようなものまで過剰に規制をするのは非常に問題である。どうやれば適正に管理して資源として集められるかが一番の課題。本当にものの特性を押さえた具体的な議論をしていかなければならない時代になった。
  • 排出者が最後まで責任を持つ流れを徹底すれば、循環、あるいは好循環の問題との接点が出てくると思う。

○辰巳 菊子委員

  • 日本企業がいろいろな新しい環境配慮型製品を生み出しているにもかかわらず、市民はこれらの情報を全く知らないのがもったいない。
  • 消費者は環境配慮型の車を欲しがらないという話があったが、例えばエコカーは混雑しているところをスイスイ通れるようにするなど、それを欲しいと思えるような施策を検討して欲しい。

○辻 晴雄委員

  • アメリカはCO2対策に関して水面下で技術ブレークスルーしているような節がある。国として、アメリカを徹底的にマークし調べる必要があるのではないか。

○関 正雄委員

  • 私どもの本社は新宿にあるが、新宿にどういう人が住んでいるか、どういう問題があるかをほとんど知らないということで、新宿の環境ネットの活動に参加した。そこで、学校や区役所、住民の方と話をしたところ、新宿の環境のために何ができるか頭の中で考えていたこととは随分違うことわかった。やはり実際に一緒に活動することで、何か1つ前に進むというか、成果があり、一緒に活動することの大切さを感じた。

○安井 至委員

  • 消費者のレベルが上がると事業者のレベルも上がり、事業者のレベルが上がると消費者のレベルも上がるというスパイラルアップという格好で、徐々にいい方向にいくのだろうと思う。
  • 企業からは、よい話だけでなく、水銀と消費電力のトレードオフのような話をきちんと示してどちらを選択するかという形で情報開示してもらわないと、情報そのものが信用されない。そういったレベルの消費者が育っている。

○浅野 直人委員

  • 懇談会報告にはいろいろ書かれており、当委員会に期待されるものも多いが、このくらいの回数の専門委員会で要求されていることを全部まとめるのは無理だろう。とりあえず、長期的にはこれだけの課題があるが、ここではこのくらいという、小出しのやり方もやむを得ないかと考える。
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