中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会 循環・廃棄物分科会(第2回)議事概要

日時

平成13年5月23日 10:00~12:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

出席

〈委員側〉 小林主査、筑紫委員、三橋委員、水戸部委員
〈環境省側〉 飯島廃棄物対策課長、松井環境研究技術室長、他

経過説明

事務局より第1回当分科会での議論の流れを説明した。

議事

(1) 循環型社会の構築分野の「問い」について

事務局より資料2(循環型社会の構築分野の「問い」について(案))、資料3(循環型社会構築及び資料4(循環型社会構築プロジェクトの推進方策について)を一括して説明した。

【小林主査】

  • ・ 自由に議論をした後、資料2、3、4を整理してまとめ、6月5日の専門委員会に提出したい。資料2の根本的問いはどうか。

【三橋委員】

  • ・ 製品作る、廃棄物になる段階は検討されているが、製品が使われている段階での検討が抜けている。
  • ・ ものは長く使用することが大切で、企業ではこの部分は進んでいる。例えば、自動車を例に取ると、販売者の収支の分岐点は、新車販売が4割、サービスが6割であり、サービス部門の修理、中古市場、保険の分野の業績がよい。サービス化の中で循環が行われ、支える構造ができあがっている。
  • ・ 複写機の場合も、使用されなくなってからのリユースが循環に寄与するサービスとなっている。
  • ・ 非鉄金属やセメント会社は、企業自体がリサイクルをメインにした経営にしないと成り立たなくなっている。
  • ・ 資料には再使用されている視点が落ちてしまっているが、循環型社会はこれを強調していくことが重要である。
  • ・ 製品の回転率が長くなっていることを循環型社会の指標にすることもあり得るのではないか。

【小林主査】

  • ・ 長期間使用のためには、メンテナンス体制整備、使用者の意識改革の取組が重要である。
  • ・ 永田先生は、使用期間中の機能向上、長寿命化のための研究、このためのサポート、仕組みづくり、もう一つは資源循環という2点を指摘していた。

【水戸部委員】

  • ・ 資料は、全体的な構成が廃棄物が発生するとの前提、すなわち最終防衛ラインに重きを置いてできあがっている。
  • ・ 全体のシステムの中で、経済的・社会的効果で見た場合、最終的なところで処理した方が適切なのか、それとも入口、中間の方がよいかを整理しておく必要がある。
  • ・ 物質循環の課程では、アルミも樹脂も循環の中でグレードダウンしていくが、ホンダでは、アルミのグレードアップ技術を研究している。

【筑紫委員】

  • ・ 廃棄物が出た後にどうするかの視点になっているが、出ない対策が重要である。
  • ・ あえて言えば、この部会の存在意義が無くなるような視点が必要である。
  • ・ エコファンドの調査会社として、廃棄物処理業を評価する時、単に成長産業としてみていない。ゼロエミッションということで、いずれ廃棄物がなくなった時どうするのか、コンサルタントなどという形でサービス化の方向に向かう視点があるかどうか、ということをみている。
  • ・ このような点が感じられないので、加えて行くべきである。

【小林主査】

  • ・ 循環型社会とはどんなイメージかの共通認識、目標ができていない。
  • ・ この分科会でどこまでできるかはわからないが、最終的な道筋と当面どうするかを複層的な組立をしながら検討することである。

【飯島廃棄物対策課長】

  • ・ レアメタルは、廃棄物から取り出すことがよいとの話もある。。
  • ・ 行政では2010年の目標が念頭にあり、最終処分量半減が最重要課題であるため、お示しした図になっているが、最終的には廃棄物が出ないことが目標である。
  • ・ これらは、平行して循環型社会計画部会で議論中である。

【小林主査】

  • ・ ここでは、循環型社会計画部会の議論にとらわれないで、自由に議論をお願いしたい。

【三橋委員】

  • ・ ごみビジネスの問題は微妙である。例えば、ごみ発電の場合、安定的な発電のためにはごみが出ないといけない。ごみが無くなれば、発電を止めるとの発想でビジネスをすべきで、北九州市は10年で採算を合わせている。

【小林主査】

  • ・ ごみを集める範囲を広げる、経営形態を変化しながら対応するということもあり得るが、循環型社会をどうするかは共通課題である。

【三橋委員】

  • ・ ごみが大量に出てくるのは大量生産すなわち見込み生産が背景にあり、、売れなければ捨てられていく。
  • ・ 見込み生産のような経済システムは、日本のような成熟社会では必ずしも合理的ではなく、注文生産・適正生産がIT技術で可能になってきた。これによってロス、ごみの発生が少なくなることが見込まれる。
  • ・ 当面の廃棄物問題として、高度成長期に建設された建物の解体が進むが、建設廃棄物の特別対策はこれとは別に考えておかないといけない。

【飯島廃棄物対策課長】

  • ・ 建設廃棄物は、減量化目標を立てても放っておけば増えるので、建設リサイクル法による原則分別解体を進め、産物は95%のリサイクル率を目標として廃棄物の減量化を進めている。

【小林主査】

  • ・ リサイクル品のマーケットの見込みはどうか。

【飯島廃棄物対策課長】

  • ・ コンクリート、アスファルトは路盤材などで再利用できるが、再生材の利用基準の見直しが必要である。
  • ・ 課題が残っているのは木くずであり、燃料として再利用される方向である。

【小林主査】

  • ・ 資料2の問いの柱建てはこれでよいか。

【筑紫委員】

  • ・ 社会の循環度をどう評価するのか。循環によりCO2が増えたらどうするか。

【飯島廃棄物対策課長】

  • ・ トータルのLCAを行って、そのようにならないよう評価をしなければならない。

【筑紫委員】

  • ・ 政策研究にいかに個人を参加させていくか、意識を高めるための研究のあり方を追加すべきだ。
  • ・ 欧州のように、環境投資に個人を参加させ、何が環境負荷を低減させる産業なのかを国が示し、その投資への財政的なインセンティブを与えることも必要である。

【小林主査】

  • ・ 個人参加や経済的手法もテーマとして考えるべき。

【三橋委員】

  • ・ バージン原材料への課税によりリサイクル材に競争力を与えることも必要であり、グリーン購入法はリサイクル推進のためにはよい法律である。

【水戸部委員】

  • ・ 経済的メカニズムでは、国内的処置にはいろいろなやり方があるが、国際的なものとの矛盾が生じないような経済的原理・手法を整理しておく必要がある。
  • ・ 資料2の3番のところは技術課題の中心であり、入口、中間、出口に分けて整理した方がいいのではないか。

【小林主査】

  • ・ 資料2の3は、3-1排出抑制、3-2再生利用…と区分をして、強調してはどうか。
  • ・ 平成22年度に最終処分量を半分にする目標は、従来技術だけでは無理ではないのか。

【飯島廃棄物対策課長】

  • ・ リサイクルしようとしているものが使用されないで処分場に行っては達成できない。最終処分を半分にするための技術と言うより、その先、即ち、いかに再利用されるかが重要である。

【筑紫委員】

  • ・ 廃棄物を減らすために、オーストリアの公営質屋ような不要物の再使用のオークションを目的としたリサイクルマーケットの様なものをITを使って国営でできないか。

【小林主査】

  • ・ 国がやると言う時代ではないかもしれない。
  • ・ 資料3、4のまとめ方は、今までの議論を踏まえて再整理し、各委員のコメントをいただいた上で完成させる。
  • ・ 今までの主な意見は、廃棄物になる前の再使用・循環に力を入れる、排出抑制・再生利用・減量化のくくりをつけて強調する、参加型・グリーン購入の拡充について記述するとの3つになるが、これらを中心にして見直ししていく。

【水戸部委員】

  • ・ 循環型社会評価技術として、欧州のある自動車メーカーの手法は、リサイクル可能性、経済的成立性、有害性・環境リスクの3つを一つの指標としている。こういうことを評価技術の中に取り入れると面白い。

【松井環境研究技術室長】

  • ・ 資料は手直しして照会するが、他の分科会の報告書の形式との兼ね合いもあるので、6月5日の第2回の専門委員会のほかに第3回目を6月の11日の週に開催することも検討している。

以上