中央環境審議会 総合政策部会 環境影響評価制度小委員会(懇談会) 議事録

日時

平成26年12月12日(金)10:00~12:00

場所

環境省 中央合同庁舎5号館 19階 第2・第3会議室

議事次第

1.開会

2.議題

  1. (1)報告事項
    •  ・最近の環境影響評価法対象事業における手続状況について
    •  ・環境影響評価法における放射性物質の対応状況について
    •  ・小規模火力発電に係る環境保全対策について
    •  ・主な平成27年度環境省予算要求事業について
    •  ・地方公共団体における配慮書手続の導入状況等について
  2. (2)その他

3.閉会

配付資料

資料1 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会 委員名簿

資料2 報告事項(表紙)

資料2-1 最近の環境影響評価法対象事業における手続状況について

資料2-2 環境影響評価法における放射性物質の対応状況

資料2-3 迅速化の取組と平成27年度環境省予算要求事業概要

資料2-4 地方自治体における計画段階環境配慮書手続の導入状況等

資料2-5小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン

資料2-6「アジア地域における環境影響評価の促進に向けた国際ワークショップ」について

「第2回 環境影響評価制度小委員会 意見(崎田委員)」

参考資料(委員のみ配布)

参考資料1 発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議 中間報告

参考資料2 東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ

参考資料3 小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン~自治体や事業者の方に広くご活用いただくための環境保全技術先進事例とりまとめ~

議事録

午前 10時00分 開会

○大森課長 それでは定刻となりましたので、これより中央環境審議会総合政策部会の環境影響評価制度小委員会を開催いたします。

本日は年末の御多忙中にもかかわりませず皆様、御参集いただきまして誠にありがとうございます。私は今年の8月に環境省の総合環境政策局の環境影響評価課長に着任いたしました大森でございます。しばらくの間、進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、委員及び臨時委員の出席者が過半数に達しておりませんので、懇談会という位置づけで開催させていただきたいと思います。よろしくお願いします。なお、田中委員におかれましては、御用務の関係で遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。

続きまして、本日出席しております事務局の御紹介をさせていただきます。

今年の7月に総合環境政策局長に着任いたしました小林正明でございます。

続きまして、今年7月に環境影響評価課環境影響審査室長に着任いたしました神谷洋一でございます。

環境影響評価課長補佐の福嶋慶三でございます。

環境影響審査室の室長補佐の相澤寛史でございます。

それでは、まず小委員会の開催に当たりまして、小林総合環境政策局長から一言御挨拶を申し上げます。

○小林局長 それでは冒頭、事務局を代表して御挨拶をさせていただきます。

今日お集まりの先生方は浅野委員長初め、環境影響評価制度、またより広く環境行政全般にわたりまして日ごろから大変、御尽力、また御指導いただいている委員の皆さんばかりでございまして、改めましてこの小委員会におきましてもよろしくお願い申し上げたいと思います。

また、今日は大変、年が押し迫っての開催になりましたが、お忙しい中を御出席を賜りまして、重ねて御礼を申し上げます。

環境影響評価法の制度は、実績も重ねてきておりますし、大きな法改正、制度改正もございました。この小委員会は、こういうものを受けてどういう形で進めていくのがいいかということで、いろいろな角度から、また大所高所からいろいろな御意見を賜って進めていくという趣旨で設置させていただいているものでございます。昨年4月に設置をされまして、昨年10月に第1回の小委員会があったということでございます。その後、1年余りが経過しておりまして、御承知のようなエネルギーの状況もございますので、風力発電また火力発電の事業などを中心にしまして、さまざまな案件が出て、環境大臣の意見なども申し述べているところでございます。

また、新しく制度として取り入れていただきました配慮書につきましても、幾つかの実績が挙がってきておりますので、これはどういう形で育てていくのがいいのかというところも私どもも真剣に取り組んでいるところでございまして、この辺の御審議もいただきたいところでございます。また、法改正がございましたが、環境影響評価法の中で放射性物質をどのぐらい扱っているかというようなこと。また、環境影響評価の迅速化についてのいろんな要請もあります。そういったもろもろの課題につきまして、本日は現状、あるいは進捗状況、あるいは見えてきている課題などについて御報告をし、方向づけをいただければ大変ありがたいと考えているところでございます。

どうか忌憚のない御意見を賜りまして、これからの環境行政に我々もしっかり生かしていきたいと思っておりますので、諸先生方の引き続きの御指導、御協力をお願いを申し上げるものでございます。

簡単でございますが御挨拶といたします。

○大森課長 では議事に入る前に、本日の配付資料について御確認いただければと思います。

○福嶋補佐 それでは、私のほうから資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料一覧がついているかと思いますけれども、資料1といたしまして、本委員会の名簿でございます。資料2といたしまして、報告事項ということで資料2-1~2-6を束ねた形で配付させていただいております。その後、参考資料1といたしまして、発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告。参考資料2といたしまして、東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ。参考資料3といたしまして、小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドラインというようにつけてございます。

最後に1枚、本日は欠席でございますけれども、崎田委員のほうから意見ということで1枚、書面をいただいてございます。もし不足等ございましたら、よろしくお願いいたします。

○大森課長 よろしいでしょうか。では、もしカメラなどがある場合は、プレス報道の方々のカメラ撮りはここまでということでお願いしております。よろしくお願いいたします。

では、これより先の議事進行につきましては、浅野委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。

先ほど小林局長の御挨拶にもありましたように、昨年、この小委員会が設置されまして、昨年も会合をやりましたが、本年度は今日が第1回目ということになります。本日は最近の環境影響評価法の手続その他の状況について、事務局から御報告をうけたいと思います。

それでは本日の議事に入りたいと思いますが、本日は報告事項が6件ございます。全部まとめて報告を伺った上で質疑ということでは少し話が散漫になりそうだと思いますので、まず資料2-1と2-2、次いで資料2-3、2-4。さらに資料2-5、2-6と三つに分けて御説明を伺い、それぞれの説明の後、質疑応答、意見交換をしたいと思います。

それでは、まず最初に資料2-1、最近の環境影響評価法にもとづく手続状況とそれから2-2、放射性物質についてもアセスの対象とするということになりましたので、これにどのように対応したのか。この2点について事務局から御説明いただきます。

○神谷室長 資料の2-1について御説明をさせていただきます。

環境影響評価の審査の実務を担当しておりますけれども、ここ1年ほどを中心に、どういった事案が出ておるか、どういった課題があるかといったところを御紹介させていただきたいと思います。

2ページ目を御覧ください。まず手続状況ということでございますけれども、法の改正がございまして、案件が急速に増えてきておりますということでございます。法施行後、大体年間10件以下で審査案件は推移しておったわけでございますけれども、24年10月から風力発電が対象事業になったこと。さらに25年から配慮書の手続が始まったことによりまして、24、5年については20件。今年度につきましては60件弱の案件について環境大臣が意見を言うという状況になっております。中身としましては、この黄色の部分でございますけれども、風力発電についてのものが相当多いということでございます。あとは震災後の電力不足に対応してということで、赤の火力発電についても増えてきていると、こういう状況でございます。

それで次の3ページでございますけれども、まず風力についての概況を御説明いたします。風力については1万kW以上のものを対象としてきておるわけでございますけれども、26年の11月末までに41件について環境大臣意見を述べております。うち配慮書が16件、準備書が25件という状況でございまして、県別の内訳を見てまいりますと、風況が良いと言われております北海道や東北の案件が約7割を占めるという状況になっております。

続きまして4ページでございますが、風力発電事業の具体の意見の内容でございます。配慮書、準備書、それぞれについての意見を書いております。縦の項目については、これは制度を導入する理由にもなっておりましたけれども、騒音、風車の影、動植物、景観といった観点から意見を述べてきております。配慮書について申しますと、計画段階のものでございますので、事業の具体性が決まってないものが多くございます。そうしたものに対してその範囲、想定区域の中で想定されるような影響を回避、低減をすることということで、あらかじめ特定の区域を除外をするとか、あるいは懸念されることについてしっかり予測をした上で、その後の準備書をつくっていってくださいと、こういう観点の意見を申しております。一方、準備書につきましては、具体の対策を述べるということで、低騒音型の機器を入れるですとか、あるいは専門家の意見を聞きながら、事後調査もきちんとやってくださいと。さらに眺望などの観点については、具体的に配置や高さを見直してくださいということで、より具体の事業計画に即した改善点を具体に指摘していくという形での意見をそれぞれ申し述べてきております。

続きまして火力の関係でございますが、5ページ目からでございます。これは昨年の4月に、これは昨年度御紹介させていただきましたけれども、東電の火力電源入札に関しての対応というのを一つのきっかけにしまして、関係局長級取りまとめということで文書を経産省と当省の間でまとめておるところでございます。その内容でございますけれども、アセスに関することと電気事業分野における温暖化対策のあり方全般に関すること、両方あるわけでございますが、全般の話としましては、電力業界全体で国の目標と整合的な取組を確保するための枠組みの構築を目指すということが大きく合意されておるところでございます。国の計画と整合的な目標が定められ、新電力を含む主要事業者が参加し、責任主体が明確になり、関係者が全体としてコミットしていることということ。そういった枠組みの構築を促していくということが大きな対策の一つ目。

個々のアセスについてのCO2の扱いについて言いますと、一つはBATでございます。Best Available Technologyということで、実行可能な最良の技術の導入をすることと。2番目としまして、国の目標との整合性の観点から言いますと、その1番でございます枠組みに参加をしてCO2削減対策に取り組むこと。枠組みができるまでの間は、石炭などについても天然ガスと同程度の排出になるようにクレジットの確保等の措置を行うこととしております。さらに長期目標との関係で、革新的な技術、CCS等についても導入を検討していくことといったことが定められております。

次のページが、具体の審査案件でございます。その局長級取りまとめの後、火力につきましては6件の配慮書と準備書が出てまいりまして、配慮書が5件、準備書が1件という状況でございます。石炭火力についてそれだけの数が出てきております。方式としましては、超々臨界圧という現段階での一番進んだ発電効率の高いという方法、あるいは福島について言えば、IGCCというガス化複合発電の事案も出てまいります。一番下の竹原を除きまして、更新あるいは新設ということで、新たに電源をつくるということになってまいりますので、その分のCO2の増というのに対してどう対応するかということが最大の課題になってまいります。それぞれにつきまして、先ほどの局長級取りまとめを踏まえた審査を行い、意見を言ってきているということでございまして、その内容を次の8ページのところに示しております。

配慮書5件の内容についてでございますけれども、具体的な意見としましては、事業者に対する意見として●の三つを言っておりまして、最新鋭の技術を採用し、それを適切に維持管理をしていくこと。それから、中期目標との整合性としまして、先ほど出てまいりました枠組みについて、事業者としても取組をしっかりしていただいて、小売段階での排出削減に取り組んでいただくこと。さらに構築までの間は海外削減等の保全措置を通じて天然ガス分を超過するような分については保全措置を講じることといった意見を述べております。さらに長期目標との関係で、CCS導入に向けての分離回収設備に関する所要の検討を行うこと等を述べております。さらに、経産省に対してもその場で意見を申しておりまして、電力業界に対して肝心の枠組みを検討する場を設定して、内容の議論の開始を促すことと。その内容を確認しながら実効性を確保すること。さらに枠組み開始までの間についても、適切な措置を講じることを確認することといったところの意見を提出しているところでございます。

電力の自由化の流れ、あるいは震災後の電力需要に応じるということがございまして、各電力会社で火力の電源入札を実施されているというのは、今年度も幾つか事案が出てまいります。5社で1,070万kWの入札が予定をされておりまして、その下の表のとおりでございますけれども、各社の応札状況というのが、今のところ東京電力を除く4社については結果が出ておりまして、応札結果も公表されているところでございます。それぞれ、これも石炭火力を用いてということになるケースばかりでございまして、新しいものについては今後アセスが出てくると思いますけれども、この東北電力の事案につきましては、自社で過去昭和50年代に省議アセスを行った事業について建設するという形で対応をされるということがわかってきております。こうした各案件に対して今後どう対応していくかということも課題となってきていると認識しております。

それから次のページでございますが、地熱でございます。法が施行されまして最初の地熱の審査事案というのがこの夏にございました。秋田県の湯沢市で地熱を新たにつくるということで、4万2,000kWの地熱発電でございます。周辺の地域については自然植生等が残っておること。トウホクサンショウウオが生息することといったことに関して適切に対応していってくださいということで、意見の概要でございますけれども、計画されている生産井・還元井をできる限り長期間維持すること。さらに植生等への影響を監視をすること。温泉への影響を監視し、その結果を関係者と共有することということ等の意見を出しております。これは風力等とと同じで、再生可能エネルギーの促進という観点からいうと、優良事案については適切に環境配慮をいただきながら、環境省としても進めていただくという立場も考慮しながら、しかるべき考慮点についてはポイントを押さえて意見を言っていくという方針で臨んだものでございます。

それから11ページでございますが、リニア中央新幹線についてもこの夏に意見を申しております。これはJR東海が計画をしている事業でございまして、まず初めに東京名古屋間の286kmについて最高505kmという速度での鉄道を日本で初めてつくるというものでございます。これも留意点が多々ございまして、高速鉄道で沿線全体がほとんどトンネルということから、それに伴う影響についてはなかなか今の段階できちんと確定できない部分も多いということなので、そこの部分についてしかるべき配慮をしていくということでございます。幾つかポイントがございますけれども、特に水資源の部分で、地下水や河川流量について、精度の高い予測を実施して影響を最小化するような工法を工夫してください。湧水についての管理処理を適切にやってくださいということ。それから南アルプスの国立公園をトンネルで通るというところがございまして、そうしたところへの影響を回避すること。発生土の管理といったことについて、それぞれ相当具体に踏み込んだ意見を述べておるところでございまして、JR東海による事後の監視についても環境省も協力をしながらフォローアップに努めているというところでございます。

それから次が12ページでございますけれども、配慮書についてのトピックを幾つか述べたいと思います。配慮書については25年から始まったばかりで、どこまで具体的にどんな内容を書くかというところが相当この制度をつくる際にも議論になっております。各主務省令なり、基本的事項なりで規定されている規定はこの12ページのところでございますが、その実際の運用がどうなっているかというところを少し御紹介したいと思います。

13ページが審査状況ということでございまして、今年度は約20件の配慮書を見ており、火力と風力が7件と13件ということでございます。その具体の内容がどんなものであったかというのを次の14、15ページのところに御紹介をしております。

複数案の設定をどの程度具体的に行ったかということなんですけれども、特に風力について言いますと、さまざまなパターンのものが出てきております。ある程度広範な区域を指定して具体的な配置の計画はこれから定めるというものと、それからいわゆる複数案、配置のA案、B案といったところを具体に示してきているものの、両方のタイプがございますが、多くのものは非常に広い面積を、いわば地取りというか、区域を確保しまして、その範囲のどこかでやるというような提案になっております。これは問題点としましては、調査範囲が非常に広くなって、計画段階としてもあまりにも中身が見えていないということで、具体の検討をどうしていったらいいかというところへの最初のステップとしては少し熟度が低いと思われるようなケースもございました。

こういったものに対する環境大臣意見の対応としましては、その広い範囲の中でも特定の懸念される区域というものはどんどん事業区域から除外してくださいということを先回りをして述べていくと。あるいは広範な地域について全て詳細な調査をしなければ話が進みませんよということで釘をさすような意見も申しております。2番目に、いわゆる複数案のより具体的なものが出てきた場合については、各案ごとの配慮事項を具体に指摘するというような形で対応をしております。

それから火力についてでございますけれども、煙突の高さとか、温排水口についての複数案が出ておりますが、あるいは建屋の配置についても出ております。ただ、特定の事業区域の中での建設を前提とした案ということでございまして、それから広がるような複数案、その敷地から出るような複数案ですとか、ゼロベースを含めた事業検討というのはないということで、そうした限定的な複数案でございますが、それぞれの案に対して配慮すべきような点を指摘する大臣意見を申し述べておるところでございます。

以上でございます。

○大森課長 では、続きまして資料2-2、環境影響評価法における放射性物質の対応状況について御説明をいたします。1枚めくっていただきまして18枚目のスライドのほうでございますけれども、経緯としては平成25年6月に「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律」によってということで、環境影響評価法において、放射性物質に係る適用除外規定がありましたが、この規定が削除されたと。二重否定になっていておりますが、今後は環境影響評価法においても放射性物質を取り扱うということになったということでございます。この法律の施行が平成27年6月1日からということになります。

ここまで前回の委員会でご報告したところでございますが、それ以降で放射性物質に係る環境影響評価の手法について検討を行うために、浅野先生を委員長にお願いしまして、環境影響評価の基本的事項等に関する技術検討委員会を開催いたしております。この結果は平成26年6月に報告書として取りまとめております。この報告書の内容を踏まえまして、基本的事項を改正いたしております。これの告示は平成26年6月27日ということでございます。

検討委員会で取りまとめいただきました報告の概要が下についておりますけれども、基本的には法対象事業、これはアセス法の法対象事業ということでございますが、これを実施する際に放射性物質を取り扱う場合の基本的な考え方を取りまとめております。ポイントが5点ございまして、一つは、一般環境中の放射性物質を対象とするというところでございます。

二つ目は、放射性物質による環境の汚染の状況の把握という点について、何で把握するかということについては、放射線の量、空間線量率で行うことを基本とするというのが内容になっています。

その調査、予測、評価の手法につきましては、国や地方公共団体等による既存の調査結果を活用しまして、その結果、もし必要があれば実測を行うというふうな段階を述べております。それから、その評価の結果に基づきまして、どういうふうな評価をするかという点については、その段階における科学的な知見に基づいて行うということもあわせて書いていただいております。

4番目の環境保全措置の考え方につきましては、基本的には切土・盛土等、工法上の工夫をする。もしくは飛散、流出防止策を行っていただくというふうな対策が考えられるということになっております。

それから5番目でございますが、環境影響評価法で放射性物質を取り扱う必要がある場合ということの留意事項ということで、まずこの委員会の報告書では当面、事故由来の放射性物質を対象にするというのが主であろうという前提のもとで、この1番目のところになっていますけれども、その土地の形状の変更等に伴って放射性物質が相当程度流出するおそれがある事業、工事段階のことを書いております。事故由来ということでございますので、避難指示区域等で法対象事業を実施する場合が一つの目安ではないかというようなこと。これはあくまでも目安でございますけれども、一つの目安ということで書いていただいております。あと別途、供用中に放射性物質を取り扱う事業としては二つあるということになっておりまして、一つは、原子力発電所につきましてでございますが、これについては原子炉等規制法に基づきまして管理されているということで、それについて審査をする。それからもう一つが、廃棄物最終処分場でございますけれども、これも廃棄物処理法等に基づきまして管理されている。それについて精査をするというふうな形になるということで、基本的な考え方として取りまとめていただいております。

次のページ、19枚目のスライドでございますが、これに基づきまして今年の6月に基本的事項を改定いたしました。具体的にはここの項目のところで一般環境中の放射性物質とその場合に対応する状況の把握の点については、放射線の量で把握するという点を追加したということでございます。

1枚おめくりいただきまして、今後の作業スケジュールでございますけれども、基本的事項が改正されましたので、その改正を踏まえまして、この事業種ごとの主務省令を改正する必要がございます。これは各事業の所管官庁がそれぞれ事業種ごとに主務省令の改正をするということになっています。環境省は廃棄物最終処分場事業を所管しておりますけれども、この主務省令につきましては、今の予定でございますけれども、平成27年3月ごろに公布する予定を考えております。それとあわせまして、実際に放射性物質に係る環境影響評価を行う際に、参考となる技術ガイドをつくるということも現在進めているところでございます。具体的には調査・予測・評価の具体的な手法や取り得ることができるような環境保全措置の内容をまとめたものということになっておりまして、下のほうに構成(案)、まだこれはまさに案の段階でございますけれども、こういうふうな構成に基づきまして計画段階の配慮事項、それから環境影響評価項目をどういうものにするか。それから調査・予測・評価手法の選定における考え方を書いた上で、それぞれ具体例をイメージとして述べる。それから参考となるような既存の知見や資料に関する情報も盛り込んだようなガイドにしたいということで現在準備しておりまして、これにつきましても平成27年3月ごろに公表できればということで作業を進めているところでございます。

以上でございます。

○浅野委員長 それでは、今、2件の御報告をいただきましたので、御報告について御質問なり、御意見なりがございましたら御自由にお出しください。資料の何ページについての御発言であるかわかるように御協力いただけると助かります。どなたからでも結構です。

吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 大きく分ければ2点で、それぞれに2点ずつあるので4つ質問があります。一つは、風力発電のページでは3ページ、4ページ、配慮書の審査状況のところでは14ページです。

配慮書の複数案でかなりの広い地域を指定しているところ、例えば北海道などは日本海側に面した地域をぐるりと全部囲ったような形で、これが本当に配慮書段階の位置規模の検討になるのかという批判は自然保護団体からもよく聞くところでございます。複数案をきちんと出していればまだしも、こういう広い形ではあまり意味がないのではないかという批判があります。むしろこの1というのは、やめてもらうほうがいいと思います。そういう批判についてどうお答えになるでしょうか。

それからもう一つは、現在、北海道・本州の連系線は非常に限定されています。温室効果ガスの削減のため、再生可能エネルギーの推進は大事ですが、今現在、それぞれの事業者の投資に任せているところです。全国的に再生可能エネルギーの賦存量の高いところは限定されていますが、現在でも北海道・本州連系線の30分の1ぐらいしか再生可能エネルギーには使わせてもらえてない。こういったことが戦略的に行われて初めて、北海道での再生可能エネルギーが意味あるものになると思うんですが、現在はそういった総合的な政策になっていない。こういったことを含めた戦略アセスメントすべきたということをどう考えるのかが2点目です。

次に質問したいのは、高速鉄道の環境アセスメントについてです。11ページのリニア中央新幹線ですが、このアセスメントに対する環境大臣意見が6月に出て以降、中部地域では火山の噴火もありましたし、最近では糸魚川-静岡線でも大きな地震がありました。断層が数十cm動いただけでもトンネル崩落などの危険はかなりあると思います。南アルプスを形成した活発な断層帯を通るこの中央新幹線について、地震によって断層が動く危険に対する意見を追加で出さなくていいのか。追加調査をすべきであると思うんですが、そういったことについて私は疑問があります。どうお考えになるか。

それから、もう一つは北陸新幹線の金沢よりも南の区間についての質問です。ラムサール登録湿地にもなっている中池見を通るということで、10年前に環境影響評価をした線よりも、実際、認可されたルートが150mもラムサール登録湿地側になってしまうということが、非常に大きな問題になっております。現地の専門家の委員会の中でも、移動したルートのほうが植生や絶滅危惧種に対して大きな影響があるという意見がつい最近も出ております。アセス制度の中で、アセス終了後にルートを移動する場合には、高速鉄道の場合、300mまで移動可能ですが、これを環境省に対して通知する義務が必要だと思います。現在、そういった義務は課されていないため、より影響の大きいルートに移動してもわからない状況になっている。これは非常に制度上、大きな問題ではないかと思いますが、これについてどうお考えになるか。

大きく分ければ二つ、質問としては4点、お願いいたします。

○浅野委員長 ではお答えは後でまとめていただきます。次に大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 意見のところと質問のところと分かれますが、意見のところは、火力発電とか風力発電のところに関するところが多いわけですが、火力発電についてはスライドの6ページとか7ページ辺りに結構出てきていますが、石炭火力が非常に増えているということをどう考えるかという問題があると思います。特に小規模の石炭火力が増えていて、アセスをするかどうかぎりぎりのものも結構増えているということがございますので、これをどう見るかということは、この2050年の温室効果ガス80%削減という環境基本計画に定められた目標との関係で大きな障害になるのではないかということがあると思います。石炭火力は40年間は稼働されると思いますので、今の2050年の目標との関係をどうするかということを心配しないといけないということになると考えております。

さらにそれとの関係で、5ページのところに出てきている関係局長級会議取りまとめがございますけれども、ここで言われている1のところの枠組みの構築に関して、電力業界が、どう自主的な枠組みの構築についての議論をされているかということについて、国が電力業界に対して働きかけをぜひしていただきたいということがございます。

それから個別の案件についてということになってしまいますが、9ページにある一番左の東北電力のケースですけれども、これは省議アセス済みということですけれども、ということになると、アセスを行ったのが昭和50年代ということですが、そのころと比べると状況が大分違ってきているし、当時はそもそも温室効果ガスの対応を求めていなかったと思われますので、再アセスをしないとまずいのではないかと思いますが、ここをどう見るかという問題があると思います。石炭火力に関して、部分的に変更するというような案件も出ているようですけれども、そういう場合もアセスが行われない計画があるかどうかということについて、環境省がしっかり調べていただきたいと思いますので、火力に関しては幾つかの問題があるということでございます。

それから、今、吉田さんが言われたことを私も気にしているんですけれども、風力に関しての14ページの複数案の1のほうですけれど、これはもともと基本的事項をつくるときに、こういうのを複数案と考えていたのかどうかという問題があると思いまして、広域の区域をただ指定するだけというのだと、そもそも複数案と言えないのではないかとも思われるのですけれども、これをどう考えるかということをお伺いしたいと思います。

それから、リニアに関してのスライド11の辺りですけれども、これは各都県の審議会等や知事等から指摘があったところだと思いますけれども、特に水資源のところと発生土のところに関しては、必ずしもよくわからないままアセスが終わってしまったということだと思います。この問題は結構大きいので、事業自体が大きいということもあるわけですけれども、今後のアセスに対して、どういうことを教訓として残していかなければいけないかという問題があると思います。これに関して環境省がどう考えるかをお伺いしたいと思います。

あともう一つだけ。スライド20に関して、あるいは18とも関係するところですけれども、18の5の②の原発に関しての原子炉等規制法に基づき審査ということに関しては、これはスライド20にあるような主務省令はおつくりになるのでしょうか。改正をされるのでしょうかということをお伺いしたいと思います。ここの供用時の放射性物質の取扱い得る事業に関しては、事故のことは考えるのか考えないのかという問題があると思うんですけれども、一般的にアセスは事故時のことは考えていないので、考えないということですか。そこも含めて炉規制法の主務省令の改正というのはあるのかどうかということもお伺いしたいところでございます。

中池見の問題は先ほどおっしゃっていただいたとおりで、ああいうことになってしまうと訴訟を起こすしかないということになってしまうので、アセス自体に関しての問題を考えていかなければいけないと私も思っております。

○浅野委員長 では井上委員、どうぞ。

○井上委員 ありがとうございます。2点意見と、先ほど先生方から出た意見に対して少しコメントさせていただきます。

一つは、局長級合意、CO2のお話、アセスの審査の中でのCO2の審査の観点でございまして、ページでいきますと5ページとか、8ページのお話でございまして、電気事業全体としてのCO2の新たな低炭素社会実行計画の枠組みは今検討しておるところでございます。具体的に申しますと、9日に産構審の資源エネルギーワーキングでも電事連、それからPPS連合の代表からも御報告させていただきました。検討はしておりますが、国のエネルギーミックスが検討途中でございます。その中で石炭火力というのは低廉なベース火力というふうな活用ということもうたわれておりまして、そういったエネルギーミックスの検討の進捗を待って、それと整合をとった形で我々も電気事業連合会、それからPPS連合さんといろいろ協調しながら目標を検討していこうというところでございまして、それは産構審でも御報告させていただきました。

もう1点、配慮書の実績として複数案云々ということで、15ページでございますが、これは本制度導入時から我々は発電所事業、それから特に火力、原子力など民間事業としての発電所事業で、例えばインフラが既に整っているか、土地があるか、燃料が準備できるか、送電線があるか。それから全体の発電の種類としてのバランス。企業の戦略としてのバランス。こういったものを考えて複数案の提示というのは非常に難しい、できる範囲でやらせていただきますということを御理解いただいてきたと思います。そして幾つか数地点出てきて、その中身がこういった煙突の高さとか放水口の位置であるとか、皆さんにお示しできる複数案を示していっているところでございますが、これももう少し実績を重ねる必要があると思いますけれども、我々、最初から事業計画の中で環境配慮というのはしておりました。ということで、きっちりこれだという複数案をどう受け取られるかというところもあると思いますので、この配慮書の制度については、ただ単に規模と事業種類だけで全ての手続を対象とさせるということではなくて、火力の環境影響が低減されるようなリプレース、こういったものも含めて手続についてはその事業形態に応じたものを設定すべきではないかということを申し上げておきます。

それから、吉田委員から出ました再エネの話ですけれど、私も全てを把握できているところではないですが、再エネにつきましては経産省のほうの再エネに関する小委員会でこういった太陽光も風力も含めて地域偏在、莫大に太陽光が入ってきたということを含めて、系統ワーキングのほうでどれぐらいの接続可能量があるか、あるいはそういった送電線の強化について国がどこまでやるべきか、その費用負担をどうすべきかということが今まさに検討を進められていると理解しております。

それから、放射線のほうでございますが、原子力の運用についてはもちろん炉規制法ということでございますが、質問の御趣旨が少し理解できてないところがあるんですが、発電所事業の経産省令のほうはその対象として見直されるものと理解しております。

以上です。

○浅野委員長 ありがとうございます。他に御質問、御意見がございますか。

ございませんようでしたら、今までに出された各委員からの御質問について、事務局からお答えいただきます。

○神谷室長 ありがとうございました。最初、吉田先生からの御質問でございますけれども、複数案について、これを広域の区域を指定して具体的な内容がないというような、その具体性が少ないというようなもの。これへの対処というのは、我々もこれ、大きな課題があると思っています。具体性がないということで、検討が深まっていないじゃないかという問題点は一方であるわけでございますけれども、そうした方式自体は一種の複数案としてみなすということ自体は、制度をつくっていく中で我々としても容認をしてきているという状況ではございます。メリットもございまして、熟度が低い分だけ、あらかじめまずいところは全てのけられるということがございます。したがいまして、そういったものに対しては我々としては、この区域とこの区域は初めから事業区域から除いてくださいと。ごく限定的な範囲内でこの先を進めていってくださいということを先回りして国として意見をするということが一つの歯止めになるという対応をしております。

それから、いろんな懸念事項があった場合も、広い地域全てについてその懸念事項を調査していってくださいという形で意見を言うことによって、あまりにも熟度が低いものを持ってきた場合は、その後に膨大な宿題が出てくることにより、そうしたものを自制していっていただくよう誘導をするという対応をしているというのが現状でございまして、事例がたくさん出てまいる中で、事業者さんと我々の間のコミュニケーションが深まって、出してきていただくものについても、だんだんとこなれたものになっていくという、その段階にあるのではないかと思っております。

それから、温室効果ガス対策としての北本連系の強化等の話についてでございますけれども、これは戦略アセスの課題として、より広いエリアに導入する影響を面的に検討していくということは今後の課題としてあろうかと思っております。具体的に北本連系をどうしていくかというような話は、先ほど井上委員から御紹介いただいたとおり、経産省で御検討いただいているところでございますけれども、我々としましても、適地に適量が入るようにということで見ていく必要があると思っています。すぐに面的全てをカバーできるというわけではないんですけれども、隣り合うような場所における複合影響がどういう形になるかといったことも含めて、1個1個の案件のアセスにとどまらず、全体的な影響をできるだけ広い視点で見ながら意見を言い、累積的な影響も考えていくということは常に課題としてデータを取りながら審査を進めさせていただいておるところでございます。

リニアについての意見でございますけれども、断層地震の影響というところについて、具体に出ているかというと、ここは必ずしも予測の中で出てきて評価されていないというところは、御指摘のとおりというところがあると思います。実際に地盤への影響ですとか、どのような流量の変化等があるかというところを、より高い精度で予測をしていってくださいという課題は意見として出しているところでございまして、その後のJRの対応をフォローしていく中で、そうした影響についてもどのぐらい配慮できるかということをきちんと求めていくということは必要かと思います。地震影響がすぐできるかというところはあるんですけれども、できる限り高い水準の解析を求めて、地下水ですとか、周辺生態系への影響を回避するということはこれからも引き続き取り組んでいっていただくように働きかけてまいりたいと思います。

○大森課長 アセス後の手続については、御指摘のように、アセス法の中だと再手続規定はあるんですけれども、大体1割ぐらいの事業の変更があった場合は再手続ということになっていまして、それよりは小さいものについて入ってないということ。あともう一つ、この間の改正法で事後報告、環境報告書の公表と環境大臣からの意見なりという規定は入っておりますけれども、途中で例えば変わったものについて、その段階、その段階で1割未満のようなもので変わったものについて、変更があった場合に環境省がそれを把握するとか、報告するというような仕組みは、吉田先生御指摘のように、ないというのが現状でございます。そこはなかなか制度の、工事中の状況変化をどこまで取り上げるのかという、個別のケースの問題もあるかと思いますけれども、御指摘のあったことは承りたいと考えております。

○神谷室長 あと大塚先生からの御指摘でございますけれども、小規模火力、石炭火力に対しての対応、これは後から対応を御報告させていただきます。

それから、枠組みの構築が火力についてどこまで進んでいるかというところ、これは井上委員から御報告があったとおり、各電力業界で対応いただいておりますけれども、我々としても、目標ができたり、電源ミックスなりの議論ができているという考慮事項があることは承知しておりますけれども、たくさんのプレーヤーがしかるべき形で参加していただく枠組みをつくるということは、話合いの場づくりは早く進めていかないといけないので、目標値の議論とは別にぜひそこは進めていただくように働きかけてまいりたいと思います。経産省とも連携しながら、きちんとこの約束が履行されるように、実効性のある枠組みができるように、今後ともより具体に働きかけていきたいと思っています。

○大森課長 あと大塚委員からの御指摘で、省議アセスの案件が、状況が違っていて、温暖化にも対応してないんじゃないかという御指摘はまさにそのとおりでして、当初の環境大臣意見では、環境アセスが実施されたのが昭和56年ごろでしたので、温室効果ガスについて当然そういう問題になっている状況でもなかったものですから、環境大臣意見として述べてないというような状況でございます。そのほかにももちろん、環境の状況について、いろいろ変化がありまして、アセス法の32条には環境の状況の変化、その他特別の事情などがあった場合に、事業者がアセスを再度できるという規定もありますので、こういったものも使えないかというような検討をしていきたいと考えております。

また、ほかのアセスの実施について、どういうケースがあるのか調べてほしいというような御要望もありました。ここは経済産業省さんの御協力も得ながら、調査をしていきたいと考えております。

大塚委員の原子力発電所に関しての主務省令については、先ほど井上委員のほうからも多少コメントをいただきましたけれども、基本的には発電所に関する主務省令は、事業の所管大臣として経済産業省さんが主務省令をつくられるということと、今回の改定にあわせて原子力発電所を含む発電所に関する主務省令も改正されると。その際には環境大臣に協議して定めるとアセス法でなっておりますので、そういったプロセスで決めていくということで考えております。

あと、事故が入るのかというのについて、アセス法は基本的には定常時を考えておりまして、事故時については考えてないというのが基本的な法律の考え方でございます。

○神谷室長 大塚委員の御意見二つですが、面で事業区域を指定して、具体的な複数案になっていないものが複数案と言えるかということなんですが、先ほどの吉田委員のご指摘と同じように、これは複数案と言えるとは考えております。ただ、配慮書のコミュニケーションの機会を有意義に生かせるように、より具体的な案を出してきていただいた方に対して、大臣意見を通じて具体的なアドバイスができるということをわかっていただくような形で、これから個別の事案に対処しながら中身のレベルアップを図っていきたいと思っております。

あとリニアの審議の課題、教訓というところでございますけれども、これは非常に大きな事業について限られた期間の中でどれだけ有効な意見が言えるかというところについて、我々も相当苦慮しながら、その中で全力を尽くしたというところではございます。早い段階からアンテナを立てて、いろんな情報を収集して、懸念事項を先回りして具体的な意見を言うというところが勝負だと思っておりましたので、情報収集を事前の段階で働きかける。計画が動き出した平成22年ぐらいのところから、さまざまな形で情報をとりながら意見をつくってまいりました。地下水影響への意見などについても、相当具体に踏み込んだ意見を言っておりますけれども、そうした形で事前からの対応というところをきちんとやって、できる限りの知見や関係者の意見を集積した意見を出したところに努力をしましたというところがございますし、そこが十分できたかというところを課題、反省点として、今後対応したいと思います。

○浅野委員長 かつて、法以前ですけれども、大規模なプロジェクトについては、個々のプロジェクトにつき、それぞれにアセスの要綱をつくってアセスの手続きをしたわけです。その後、アセス法が制定されたのちは、事業種で対象を定めており、さらに多くの場合は当該事業の全体を見るというよりも分断された年度別の事業について、特に道路事業などでは短い工事区間ごとに別々の事業として扱われ、それらについて個別にアセスをやることに慣れてしまってきています。しかし、今回のリニアのように、プロジェクト全体について同時にアセスが行われるようなものについては、はっきり言って現在のアセス法は、あまりうまく対応できていないと考えることができる面がある。前回の法改正で関係自治体による連合審査という仕組みをつくれと大分言ったんです。各県がばらばらにアセスをやって、各県ばらばらに意見を出し合っても、意味がない場合もある。あるいは、それぞれの意見に齟齬があったときに今度は事業者がお困りになることもあるかもしれない。だから連合審査というものをちゃんと制度に定めておくべきだと考えて、そのような改正法の提案をしたんですが、そんなものは運用でやればいいんだと法制局に一蹴されて、法文化できていないわけです。ですから、もう一回そのあたりから考えなくてはいけないのではないかと思いますね。

例えば、特に大臣が指定するものについてはというような形で、ビッグプロジェクトでかなり広域にわたってあちこちに影響があるようなものについては、何か共同で審査できるような仕組みを考えるとかやっておかないと、結局、環境大臣が自治体と関係なしに情報を集めていろいろ言ってみても、それと自治体が言っていることと齟齬があっても困る。また事業者に対してもあまり説得力のない話になってしまうおそれがある。今の仕組みをまず地域の声をしっかり聞いて、それを環境大臣がもう少し大所高所から見るという仕組みになっているわけだから、まずは基礎自治体のところが共同してアセスができるというような仕組みをつくっておかないと、それぞれ自分の領域の中だけでやっていると「全部トンネルしか通らないんだから、黙れ」と言われたら、何も言えなくなってしまうかもしれない。それはおかしいんじゃないかなという気がします。

今回のこの経験は、大きなプロジェクトでかなり広域にわたるようなものについて、現行アセス法の枠組みには限界があるので、それについて何か考えておく必要性を示したということではないでしょうか。多分、大塚委員はそういうことを意識しながら発言されたんだと思われます。だから今の室長の御回答では、私は十分ではないと思っていますし、これは省としては考えてほしいと思います。

○大森課長 ありがとうございます。検討課題として重く受け止めさせていただきます。

○浅野委員長 それでは、まだあと四つ報告事項が残っておりますので、次に資料の2-3と2-4について、続けて事務局から御説明いただきます。

○大森課長 では、資料2-3のほうです。迅速化の取組と主な平成27年度環境省予算要求事業という資料でございます。風力・地熱発電所設置に関する環境影響評価の手続の迅速化ということで、22枚目のスライドを御覧いただければと思います。

ここは若干、前回の説明の繰り返しになりますけれども、風力発電と地熱発電、再生可能エネルギーということで推進していく上で、アセスをもっと迅速化できないかという御指摘をいただいておりまして、その御指摘を受けて、環境省が経済産業省さんと協力しまして、風力と地熱発電所における環境影響評価手続の迅速化についての連絡会議をつくりまして、平成24年に運用上の取組による手続期間短縮のための具体的方策というのを中間報告という形で取りまとめて公表をしております。

中身は二つになっていまして、ここにありますように、一つが審査期間の短縮ということで、国の取組としてはもちろん審査の過去事例とか、よく出される質問、その指摘事項などを整理・公表して、事業者さんのほうで書面をつくっていただくときに参考にしていただくというような点。それからもう一つ、今まで審査は、自治体の審査が終わってその結果を踏まえて国ということだったんですけれども、そこを実際の審査と並行して、中身は連絡も取りつつ、質の高いアセスを確保するという観点から、自治体の審査と並行して実施することで審査期間を短縮するというような中身に、迅速化の手法として出しております。もちろん自治体さんのほうにも短縮についての協力要請をしております。

それから、右側のほうで調査期間の短縮ということで、また後ほど詳しく御説明しますけれども、風力と地熱発電所については、十分な調査をしていただくとなると、一定の期間が必要になるということでございますけれども、ここについていろいろ工夫をいたしまして、一つは現地調査においていろんな情報を収集するというようなところで、後で御説明しますが、既にモデル地域において環境省のほうで現地調査をして、その情報を事業者さんに提供するようなシステムをつくっていると。それから、既存情報などについてもうまく収集して、データベースとして整備するというふうな事業が環境省として、ここにあります環境アセスメント情報整備モデル事業ということで実施しております。

それから、もう一つ経済産業省さんのほうでは、事業上のリスクが高い地域で準備書等において活用可能なデータ整備をするために必要な調査を前倒しで実施する事業者に補助を行うというようなことを実施されておられるところでございます。こういった二つのツールをもちまして通常、風力・地熱発電所については3、4年かかっている環境影響評価手続を半減するというようなところまで短縮を目指すということで今進めているところでございます。

下のほうのモデル事業のほうは環境省で行っております環境情報を適切にまとめて事業者さんが使いやすいようにというようなことでございます。環境基礎情報をデータベース化するというところと、それから目的として、提供を通じて質が高くて効率的な環境アセスメントの実施を促進するということが目的になっております。

23ページの下のほうに図がついておりますけれども、大きくその二つになっております。全体で三つという事業になっておりまして、一つはモデル地区の環境基礎情報の調査ということで、環境省のほうで、これは予算事業でございますけれども、モデル地区を選びまして風力発電、それから地熱発電でやりたいというような地方自治体さんに手を挙げていただきまして、その地域で実際の調査をする。調査の内容としては、文献調査に加えまして、現地調査、ヒアリング調査を行いまして、環境基礎情報を整備するということで、かなり実地に基づいた調査を行うということになっております。

もう一つ下のほうは、既存情報、既にありますような環境情報を収集・整備して使いやすくするというふうなことがございまして、これを真ん中に箱がございますけれども、環境アセスメントの環境基礎情報データベースとして提供すると。これについて、風力発電や地熱発電の事業者さんはその情報を活用していただくと、初期の立地調査とか、現況調査を省略・効率化することができるというふうなメリットがありまして、事業の円滑化につながるということでございます。それだけではなくて、住民や地方自治体の方におかれましても、情報を閲覧してあらかじめどういう環境情報があるかというのを把握することで、手続に関与していただいて、情報交流とか理解を進めていただくというふうなことを目指しております。実際にも、今年の5月にデータベースが公開されまして、既に今2件の事案につきましては、こういったモデル地区で行いました同事業と連携したような形で配慮書を出していただいているというふうな実績も上がっているところでございます。

24枚目のスライドでございますけれども、審査期間の短縮ということで、まだ風力発電でも配慮書から最後の評価書までいった事例がまだできていないんですけれども、例えば部分的に見て準備書につきましては、一応、標準が270日となっておりましたけれども、実際に審査が行われた案件については、ここの図にありますように、全て迅速化を達成しているということでございます。それに加えまして、新規事業として環境省のほうで迅速化関係で予算要求も、来年度の予算要求として行っているところでございます。

25枚目のスライドのところでございますけれども、これは風力発電について地域主導型で戦略的適地抽出手法の構築というような中身になっております。これにつきましては、風力発電について、基本的には事業者が単独で立地計画を進めてくるということですけれども、かなり風力発電の立地も多くなってきますと、先行利用者との調整や各種規制手続の、なかなかそういうものが不要な場所というのがなかなかない。今後建てられるとなると、先行利用者との調整や規制手続の調整が必要になる。そういうことが重なると構想とか計画段階の期間が長期化するということでございます。

こういったことに関しまして、例えば、地方公共団体さんと協力しながら先行利用者との調整や、各種規制手続等の調整を行っていただく。ちょうどその配慮書手続でいろいろ事業の計画段階での環境配慮をするというプロセスがありますので、このプロセスを活用しながら、どこに、さっき風力発電という話も出ていましたけれども、風力発電の適地をあらかじめ設定して、そういうところを事業者さんが計画を立てられる。またその際に集まったようないろんな環境情報については、配慮書段階、それ以降の段階で利用していただくということで、風力発電の手続の迅速化、一応、風力発電ですと構想段階から着工まで5~7年程度の期間がかかっていたんですけれども、目指すところは最大3年程度短縮を可能とするというふうなことを目的としています。事業概要といたしましては2点でございまして、一つは、そういった手法について、どうすればいいのかという知見を集めましてガイドをつくるというのが一つ。それから、机上の計画だけでは、ガイドだけでは実現性がという問題がありますので、実際にモデル地域を選びまして、ここは地方公共団体さんの御協力をいただくことを予定しておりまして、3地域程度、モデル的にそういった先行利用者との調整とか、規制手続の調整、関係者と協議なんかを進めていただいて、適地を選んでいくと、そういうプロセスをモデル的に行って、その結果をガイドにも反映させるというふうな事業内容でございます。これはまだ現在、要求中でございますけれども、27年度の事業として要求しているところでございます。

それからもう一つ、26枚目のスライドのほうで、風力発電については環境保全措置、バードストライクや騒音に対する環境保全措置についても根本的な検討が必要ではないかということで、そういったことを実証するような事業。それから今後、風力発電のリプレースが増えていきまして、そういったリプレースの環境評価の合理的手法についても新規事業として要求しているところでございます。

御説明としては以上でございます。

○福嶋補佐 引き続きまして、資料2-4を説明させていただきます。こちらは地方自治体における計画段階環境配慮書手続の導入状況等ということで、28ページでございますけれども、我が国におきましては、環境評価制度は法と条例が一体的に運用されており、環境保全に万全を期しているところです。平成26年7月1日に相模原市において、相模原市環境影響評価条例が制定されまして、これにより現在47都道府県と18市において環境影響評価に関する条例が制定されてございます。

法第10条第4項の政令で定める市についてということでございますけれども、環境影響評価法第10条第4項又は第20条第4項において、対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域の全部が一の政令で定める市、以降「政令市」と書いてございますけれども、の区域に限られるものである場合、当該市の長は、環境影響評価方法書又は環境影響評価準備書に係る意見を、事業者に対して直接述べる旨を規定してございます。その18市につきましては、下の※のところにある18市ということでございます。

それで、環境影響評価法を改正した関係で、配慮書手続が導入されておるわけなんですけれども、29ページでございますが、それにあわせて自治体のほうでどれぐらい配慮書の手続を導入されているのかということについて、我々のほうで調査を行いました。全都道府県、政令市から御回答をいただきまして、その結果について御報告させていただきます。30ページをお開きください。

円グラフで示しておりますけれども、都道府県につきましては、施行済みが20都道府県、未施行が1県ということで、政令市につきましては、12市で施行済み、また未施行が1市という状況になってございます。

続きまして31ページでございますけれども、配慮書手続実施の必要性ということで、約9割の自治体において配慮書手続を義務付けているということでございます。また、右側、法配慮書手続を実施しなかった法第二種事業への対応ということでも、8割以上の自治体において条例配慮書手続の対象とされております。

おめくりいただきまして、32ページでございますけれども、民間事業への対応ということで、条例において配慮書の手続を規定している自治体は、公共事業と民間事業を区別していないという場合が8割を占めてございます。また、民間事業は対象外としている自治体の多くは、当該自治体で行う事業活動にのみ配慮書手続を行っておられるということでございます。

続きまして33ページでございますけれども、審査会や市町村長、住民への意見の聴取ということについてお聞きいたしましたところ、審査会については全ての自治体において何らかの形で意見を聴取する規定を定めているということでございます。また、市町村長につきましては、約7割の都道府県が必ず意見を聴取するということです。また、住民につきましては、住民が事業者に意見を送付する規定としているのは、都道府県のほうが政令市より多いということでございまして、一方、自治体の長が住民から意見を受けとると規定している条例の割合は政令市のほうが多いということでございます。

おめくりいただきまして、34ページでございます。配慮書の手続、未導入だという自治体につきまして、今後の対応ということで、配慮書手続を導入していない理由をお聞きしたところ、四角囲みのところでございますけれども、例えば法では第二種事業には配慮書の手続を義務づけておらず、法よりも規模の小さい条例対象事業に配慮書手続を義務づけることは過剰な規制となるためとか、あるいは一番下でございますけれども、法対象事業や他自治体の事例の集積を待って、その実効性を検証しながら導入を検討したいというような御回答がございました。

その次のページ、35ページですけれども、少し技術的なお話になりますが、少しお話も出ておりますけれども、位置・規模又は配置・構造の検討に関しましては、位置・規模を優先ということで自治体から御回答をいただいております。また、複数案の設定につきましても、原則設定ということで多くの自治体が設定されているということでございます。

おめくりいただきまして36ページでございますけれども、ゼロオプションやティアリングにつきましても、これらについても規定があるという自治体が大半でございました。

最後の37ページでございますけれども、全体の傾向といたしまして、まとめでございますが、約半数の自治体において配慮書手続の導入が図られていました。また、配慮書手続を導入した自治体の条例は法制度に沿っていることが多いんですけれども、各自治体において社会的・自然的状況等を踏まえ独自の規定をしている場合もあるということでございます。また、方法書以降の手続と同様、住民、市町村長、審査会への意見聴取の規定を設けてございます。配慮書手続を導入していない自治体に理由を確認したところ、法対象事業や他自治体の事例を見ながら導入を検討したいという回答をする自治体も多くございましたので、今後の法や条例における配慮書事例を積み重ね、配慮手続による環境配慮の推進の効果、これらを明らかにしていくことが大事だと思ってございます。

以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの2件の御報告について、御質問、御意見がございましたらお出しください。吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 風力発電、地熱発電に係る迅速化のところで伺います。2011年の法改正前に行われた専門委員会の中では、私は既存の生物多様性地理情報の活用による回避ということを重視して申し上げましたが、それを迅速化という名前で行っていただいていると思っております。政策的には再生可能エネルギーの迅速化ということで考えられているようですけれども、同時に、ここに書いてあるように環境アセスメント基礎情報整備モデルということ、すなわち既にある生物多様性地理情報に基づいて回避するという、側面もあるかと思います。そういう意味で、迅速化の評価というのは、270日が130日になりましたという迅速化の評価だけではなく、生物多様性基礎情報に基づいて、きちんと回避ができたのかという評価も大事だと思います。そういったことはこの報告の中には書かれていませんが、ぜひとも先取りして、既存の情報に基づいて回避できたということも評価の対象として加えていただきたいなと思います。

以上です。

○浅野委員長 それでは石田委員、どうぞ。

○石田委員 同じ22ページ、3ページのところでございます。こうしたデータベースの整備というのは非常に有効だと思いますし、それがないがしろにならないための質問というより意見でございます。データベースに載っていないものならば、事業がスムーズに手続を飛ばしていってよいと都合良く解釈されて、逆の錦の御旗にならないように、本当に有効に機能しているかフォローアップすることが必要だと思うんです。事業者の負担になる調査ではなくて、第三者がこのデータベースが非常によく機能したということがチェックできるような方法をとって、それによってこの簡素化手続自体も精度を上げていくというような運用が必要ではないかと考えております。

○浅野委員長 井上委員、どうぞ。

○井上委員 22ページで、火力発電所の改善リプレースにつきましては、ガイドラインとか、各種会議体でも、審査について劇的に審査期間を短縮していただいて、大変ありがとうございます。準備書で言いますと、100日以上の短縮がされておりまして、最初にも申し上げましたけれども、今は事業の種類と規模によって配慮書から評価書までフルセットで手続をするというところをぜひとも見直していただいて、例えば改善リプレースについては、準備書審査から始まるとか、そういった観点で今後見直しをやっていただきたいと思います。

こういった火力発電所の大幅な審査短縮ができるというのは、これまで環境保全対策、それから運用実績として環境影響の程度がかなり明らかになってきて、その点が評価されてきたということから考えますと、先ほども御意見ございました風力発電所も、ぜひともモニタリング実績を積み上げていただいて、確立した環境保全対策をお示し頂くのがアセスの短縮化につながるのではないかと思います。

以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。大塚委員どうぞ。

○大塚委員 問題の整理として、やや細かい点について、気になるので、意見というか、質問になりますが、お伺いします。34ページのところに書いてあるように、自治体に計画段階配慮書手続を入れていただくのは、私は大変いいことだと思っているんですけれども、導入していない理由の一つ目というのは、法と条例をまとめてオールジャパンで考えてみた場合には、こういう点というのはあり得ないわけではないので、こういうことをどう考えていくかというのは、将来の課題として考えておく必要があると思います。この点について国として自治体に対して実際何か言うということはあり得ないので、今のところすぐに何かできるということではないと考えておりますが。

○浅野委員長 他に何か御質問がありますか。

それでは、今までのご発言は、御質問に類することというよりは、どちらかというとコメントが多かったと思います。大塚委員のお話も、特にこれに答えよというわけではありません。

それから、アセスの情報としてこういう戦略的適地抽出ということをおやりになるときに、気になるのは、現行制度では送電線が全然アセスの対象になっていないのですが、その点を全く考えることなく適地を論じるのはよくないんじゃないかなという気がします。つくづく思わされるのは、既にちゃんと送電ネットワークが整っているようなところに、新規に風力のような発電施設が入ってくる場合には比較的始末がいいんだけれど、とんでもないところに新たに風力の発電施設をつくられると、今度は送電線敷設に伴う環境改変というのは結構大きい問題が出てきそうだし、それによるコストというのは随分かかりますね。そのことは、電力会社などはよくわかっていらっしゃるんだけれど、そうじゃない人は知らないので、風力発電施設さえつくれば何とかなると思い込んで事業を始めてしまうというようなケースがあるのではないかとも心配されます。実際に見に行くと、本当に貧弱な送電線で、こんなので電力を送れるのかみたいなのを、それも延々とそんなものが続いて、かなりの距離をつくられている。それにしても問題が多いので、適地というときに、戦略的適地というのであれば、さらにもっと言うなら、電力会社からもしっかり情報を聞いて、系統の問題などについて、どこならあまり問題がないのか、どこが大変問題になるのか、そういうことも少し整理しておかないと、これが仮に環境面からだけの適地抽出手法だと、結果的にはむしろ混乱を起こすんじゃないかという心配もあるので、どこまで考えて適地と言っておられるのか、この辺もお答えいただければと思います。

井上委員、何か私の指摘した点に関して、追加で御発言があればお願いできますか。

○井上委員 今後を考えていく上で重要な課題を御指摘されたと思っています。今は確かにおっしゃるように風力事業者の方が手を挙げたところに、送電線が近くにあればいいんですけれど、事業者の方にどういった御負担をしていただくのかなど、コストの面だけが今注目されてますけれども、確かにおっしゃるとおり、場所によって環境影響上、どういった配慮が必要かということも今後は検討課題として必要かと思います。

○浅野委員長 ありがとうございます。ほかにございませんか。よろしいでしょうか。

それでは事務局からお答えがありましたら、どうぞ。

○大森課長 貴重なコメント、ありがとうございました。まとめてということになってしまいますけれども、既存のそういう生物関係、そのほかの基礎情報というのを、きっちりうまく使って、質の高いアセス、それから回避等、まずは回避というのを前提にしたような事業計画というのを立てていただくというのが、アセスのおっしゃるように基本ということにはなっています。ここは迅速化という観点で、今は非常に迅速化が課題になっているので、そういう関係で、御説明してしまったところがございますけれども、まさに質の高いアセスというか、最終的には環境保全措置をきっちり組み込んだ事業計画をしていただくというのが目的でございますので、そういった基礎情報をどういうふうに使われていったのか、事例なんかの調査、フォローアップもきっちりしていきたいと考えております。

それから、そのほかの手続、井上委員からも御指摘いただいたところではございますが、アセスについて先ほども言いましたように、質の高いアセスということと、事業者、関係者の意見をきっちり聞きながら、事業計画に反映させていくと、そういうプロセスを重視していく。そこについてはどの事業についてもそういうところは重視していきたいかなというところを踏まえつつ、いただいた御意見として承りたいと思います。自治体との関係につきましては、大塚委員から御指摘いただいたところでございますけれども、配慮書の手続について、御指摘のように、これからどうこうということではないんですけれども、まさに国と自治体と両方の手続を進めながらこれまでアセスというのは手続として進んできたところでございますので、そこの関係などについて今後さらに自治体さんの動向なんかもこのようにフォローアップを続けながら考えていきたいと考えております。

それから浅野委員から戦略的ということであれば、電力系統面のフィージビリティもという御指摘、まさにそのとおりでございまして、送電線を引くことの環境影響というのも実際に影響としてはあるということでございます。25ページの資料のほうに書いたところでも、戦略的とつけているのは、将来的にずっと課題となっていますSEA、戦略的環境アセスとしてどう考えていくのかというステップにもなればということでございますし、戦略的環境アセスと環境面と経済面と社会面、三つのところも考えていくようなということが、ほかにずっと指摘されているところでもございますので、まさに今御指摘のあった系統のところなどにつきましては、関係者の意見もよく聞いてガイドをつくるというところに、またモデル事業のところに入れていきたいと考えています。貴重な御指摘、ありがとうございます。

○神谷室長 吉田委員の生物多様性情報の活用というのは、これは実務上は相当進んでおりまして、自然環境保全基礎調査のデータをもとに配慮書が出てきた場合、植生度の高いところを回避して事業計画をつくっていってくださいという、こういう意見につながっている例も多々ございますので、そこはそういった期待に応える審査をこれからも続けてまいりたいと思っております。

あと石田委員と委員長から御指摘がありましたデータベースについて、これはまだ提供している事例が数例始まったばかりでございますので、事業者の意見も聞きながら改善していくということ。それからあとGISの情報がありますので、送電線の情報自体は地図としては載っておりますが、能力というところまでどう取り込むかというのは課題として考えていきたいと思っております。

以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。それでは、資料2-5、2-6についての御説明を伺います。

○福嶋補佐 それでは資料2-5をお開きください。時間も限られており、資料は大部になりますので、ポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。小規模火力発電に係る環境保全対策、資料2-5ということでございます。

先ほど大塚委員のほうからも御指摘ございましたけれども、40ページ、めくっていただきまして、大震災の影響、または電力自由化をめぐる動向背景といたしまして、環境影響評価法における対象規模未満の火力発電所、ここでは発電規模1万~11.25万kWと書いてございますけれども、設置事業計画が増加をしております。それで小規模火力発電所の事業者自らが実行可能な最大限の環境保全対策を講じていただくため、また自治体の業務の御参考となるように優良な事例を収集・整理して取りまとめたものということでございます。10月3日に公表させていただきまして、本文はダウンロードで入手することができます。今日、委員の皆様にはガイドライン本体も参考資料3ということで机に置かせていただいております。

内容といたしましては、小規模火力発電所の特徴や環境影響、環境保全対策などについて記載をしております。特に火力発電所の設置につきましては、環境負荷の発生源が地域に長期にわたって固定化されることになりますので、小規模といえども設置数が増えれば、環境影響としては著しい環境影響が生じる恐れもあるということでございますので、とりわけ石炭火力につきましては、そういうふうにも考えられると思いますので、慎重な環境保全対策を検討していただくことが重要だと我々としては考えております。そこで、重要な環境保全対策として、とりわけ二酸化炭素の排出削減対策、また大気環境保全対策に着目しまして、取り得るさまざまな技術を紹介しているものでございます。

10月3日に公表いたしまして以降、このガイドラインを使っていただきたいということで周知に努めておりまして、①としまして、先日、小規模火力発電における環境保全対策セミナーということで、11月21日に三田共用会議所で、内容としまして東京大学の金子祥三先生に「小規模火力発電の意義と課題」ということで御講演いただきまして、また我々のほうから本ガイドラインの説明をさせていただいたということでございます。参加者は約110人と書いてございますけれども、参加者の公募の段階ではこれ以上の御応募をいただきまして、またアンケートの結果を見ましても、御好評であったところでございます。

また②といたしまして、新しいお話でございますけれども、このガイドラインについて早速実際の活用状況ですとか、このガイドラインでどれぐらい実際の環境技術の検討に資するものであるかといった点を早速フォローアップさせていただこうということで、開催予定と書いておりますけれども、年末も押し迫っておりますけれども、12月26日金曜日1時~3時、場所といたしましては、全く今日と同じ場所でございますけれども、環境省19階第2・第3会議室で開催させていただくということにしております。

それでガイドラインの中身につきまして少し御説明させていただきたいと思います。41ページでございますけれども、本ガイドライン自体は先ほど御説明いたしましたとおり、環境保全に関する先進的な技術の事例を取りまとめたものということでございます。特徴、性能につきましては、原則としてカタログ値を書いてございますので、実際には数値の組み合わせや、あるいは地域や社会的状況に応じて達成されない場合もあるということで、あくまでこういった先進的技術を取りまとめて参考としてお示ししたものということでございます。ですので、これが義務とか要件ということではなくて、皆様に広く参考として活用していただきたいという趣旨で取りまとめたものでございます。

おめくりいただきまして42ページ、43ページでございますけれども、42ページはガイドラインの目次を書いておりまして、背景や目的及び想定する対象。また小規模火力発電所の事業特性と採用される可能性がある発電方式。小規模火力発電所における環境保全対策。その他の留意事項ということでガイドラインは構成されてございます。

背景のほうでございますけれども、先ほど御説明をさせていただきましたので、簡単にさせていただきたいと思います。おめくりいただきまして44ページ、45ページの辺りも先ほど来、御説明させていただいておりますので、少し割愛させていただきますが、45ページの想定する対象といたしまして、特に燃料種については、二酸化炭素排出の削減及び大気汚染の観点から影響が大きいと考えられる石炭を中心として記述をしてございますけれども、その他の天然ガスとかバイオマス、あるいは副生物等及びそれらの混焼などについてもガイドラインとしては想定したものとなってございます。

原動力の種類、発電方式については、石炭を中心とすることから、汽力を中心に整理しておりますけれども、ガス等の燃料種に係るガスタービンですとか、ガスエンジン並びにそれらが複数台設置された場合についても想定したものとなってございます。

おめくりいただきまして46ページ、47ページでございますけれども、小規模火力発電所の特徴といたしましては、大きな発電所に比べまして発電出力が小さくなるほど熱効率が低下しまして、発電電力当たりの燃料消費が増えるということでございます。また、スケールメリットの低下から工作物の建設単価が増大ということで、発電設備全体で経済性を確保するための選択がなされやすいということで、その下①~⑥まで書いておりますけれども、例えば燃料としては安価なものが選択される傾向があるとか、目標値を達成する範囲での排ガス処理、コジェネの採用ですとか、既存インフラの活用、これら等々が選択の可能性としてあり得るということでございます。

47ページ、小規模火力発電所の環境上の特徴・影響でございますけれども、今申し上げたとおりでして、燃料によっては多くの二酸化炭素や大気汚染物質を排出するおそれがあるということでございます。あるいは、コジェネのように蒸気も利用していただければ、総合効率は向上するということでございます。また既存インフラの活用によって土地改変面積を必要最小限と、また既存の処理装置等の性能が引き継がれるということでございます。等々書いてございます。

おめくりいただきまして48ページ、49ページのところは、具体的に汽力発電の方式、微粉分方式とか循環流動床方式がございます。またガスタービン、コンバインドサイクル、ガスエンジン等々については、こういった方式であるということで、おめくりいただきまして50ページ、51ページにそれぞれの発電方式につきまして、熱効率ですとかあるいは主な環境上の特徴といったところを記載させていただいております。

続きまして、52ページ、53ページの辺りでございますけれども、具体的な小規模火力発電所における環境保全対策ということで、アセスでもそうですけれども、回避・低減・代償の順番で検討をしていくことが重要だということでございます。

53ページですけれども、先ほど来申し上げておりますように、主に二酸化炭素排出削減、また大気保全対策に着目して本ガイドラインで取りまとめております。

おめくりいただきまして54ページ、55ページですけれども、54ページのほうには燃料の選択ということで、それぞれの燃料の発熱量、あるいは炭素排出係数などを書かせていただいております。

55ページはバイオマス燃料の混焼ですとか、あるいは56ページ以降、発電効率の高い設備にはこういったものがありますとか、57ページにはコジェネレーションを導入する際の事項ですとか、記載しております。

それで、おめくりいただきまして58ページ、59ページ以降ですけれども、主に大気保全対策ということで、大気保全対策の関係から燃料についてとなっております。大気汚染対策の観点からいいますと、石炭ですとNOx、ばいじん、SOxなどがありますし、天然ガスであればNOxだけとか、そういったことを書かせていただいております。

60ページ以降は大気汚染対策においてどういった技術、あるいは手法があり得るのかということで、燃焼過程におけるサーマルNOxの発生抑制方法として燃焼方法に工夫、あるいは低NOxバーナの採用などが技術的手法としてあり得るといったようなことを書かせていただいております。

ずっとこのまま技術的な観点が続くわけなんですけれども、時間の関係で少し省略させていただきますけれども、おめくりいただきまして67ページのほうを御覧ください。二酸化炭素あるいは大気汚染対策以外の環境保全対策ということで、例えば水環境保全対策ということで水質保全の対策、あるいは温排水の対策ということが書かれております。

また、69ページ以降でございますけれども、例えば周辺住民の生活環境対策ということで、騒音・振動、あるいは悪臭、日照阻害や工事中といったさまざまなその他の周辺住民の生活環境対策ということでも留意すべき点が書かれております。

最後72ページでございますけれども、その他の留意事項ということで、地方公共団体や周辺の住民の方々の声にも十分配慮していただいて、事業の概要や環境保全対策等を丁寧に御説明していただきたいということが書かれております。また、下のところに書いてございますけれども、環境省としては事業者の皆様が本ガイドラインを参考に、可能な限り環境負荷が低減された小規模火力発電所を設置し、また地域住民の理解を得つつ、積極的・意欲的に環境負荷の回避・低減に取り組んで下さることを期待しておりますということで結んでおります。

説明は以上になります。

○相澤補佐 続きまして、資料2-6の御説明に移らせていただこうと思いますが、若干資料、今の御説明の補足というのが、先ほど事務局から一番最初に御紹介しましたとおり、崎田委員のほうからも御意見をいただいておりまして、そこでもアセス全般、迅速化、あと火力発電所の建設についてということの御意見をいただいてますので、あわせて御覧いただくとよろしいかと思っております。小規模のところについても問題意識及び環境配慮についてちゃんと万全を期してほしいと思いますということを言われておりますので、真剣に承らせていただきたいと思っております。

あと1点、補足なんですが、その後、CCSの検討状況についての事業者への情報提供というのも書いてございますが、こちらも資料2-1のところで議論がありましたとおり、経済産業省さんと一緒に相談してやっている事項の中の一つがCCSでございますので、こちらのほうについても経産省と連携して検討させていただこうと思います。

というところを申し上げた上で、資料2-6のほうの御説明に移らせていただければと思っております。非常にシンプルなスライド1枚、74ページでございます。アジア各国の環境影響評価制度、さまざまなものがございますけれども、そういったものの実際の制度及びその運用に際しての現状を共有して、お互いによりよい環境影響制度というものをつくり上げていこうというようなことを考えまして、来年2月の下旬に都内におきましてワークショップを開こうと思っております。アジア各国、10~20ぐらいの間の数の国をお招きして、実際に政府でどんな制度を持っていらっしゃるか、どんな運用で、どんな事例があるかというようなことを情報共有させていただこうと思っております。参加を想定している国は申し上げましたとおり、アジア各国の政府の職員ですとか、実際に運用を行っている関係機関の職員。また途上国ですと、国際機関あるいは援助機関が、実際に自分たちがプロジェクトを展開する上で、アセスメントを行っていることが多いので、そういった知見もあわせて情報交換するという観点もありまして、国際機関、あるいは多国間・二国間開発援助機関も一緒にこうしたワークショップを開いていこうと思っております。

詳細については、今現在、鋭意調整中でございますので、報道発表させていただこうと思っております。以上でございます。

○浅野委員長 はい、ありがとうございました。それでは今の2点について御意見、御質問がございましたらお出しください。

それでは井上委員どうぞ。

○井上委員 小規模火力の環境保全ガイドラインに対しまして、私これ最初に見たときに率直に申し上げまして、最初の前文のところで、最近たくさん出てきつつある小規模火力について、特にCO2を気にされてという意図は理解できましたが、中身を拝見すると、特に大気汚染についても、その事業をやろうと思う者にとっては既に知っているような情報が載っていたり、それから我々承知していない数値であると、その数値の根拠がこれを見ただけではよくわからないというふうなところが率直な印象です。

一番、これを見て疑問に思ったのは、そういったアセス対象以下の小規模火力が実際に今まで導入されたものとして、周辺の環境に著しい環境影響を与えている、あるいはそのおそれがある、そういった事例が果たしてあったのかどうかというのを、これはしっかり環境省さんで調査して、まさにその事例を載せていただくのが本当じゃないかなと。こういった小規模な火力は既にその土地で事業を営んで、例えば事業展開して発電事業に乗り出すとか、昔の古いやつを新しいものにするとか、いろんなケースがあろうかと思うんですけれど、既にそこで地域に共生して事業活動をしておる企業の皆さんがほとんどだと思うんです。そういった中で、環境保全をやれてないということであれば、多分事業は継続できないと思いますので、そういったおそれが本当にあるのかなというのが一番整理すべきところではないかと思います。

もう1点、CO2の観点で申しますと、まさに先ほどの議題であった電気事業者全体の枠組の中で今後検討していくということが求められているわけでございまして、そもそもこのガイドラインの位置づけが非常に曖昧だなと。法で手当てするところ、それから地域特性を踏まえて条例で手当てするところ。じゃあそのほかは一体どういう考え方でこのガイドラインを読めばいいのかというのが我々にとって分からないので、そこをはっきりさせれば今後のフォローアップでも議論が続けられると思います。

以上です。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 井上委員より先に話したほうがよかったかもしれませんが、私はこの小規模火力発電に関するガイドライン自身は異論は全くないのですが、つくっていただいて大変よかったと思っていますけれども、一般的な話で大変恐縮なんですけれど、46ページの上のほうに書いてあるように、必ずしも電力さんにとって小規模火力発電をおつくりになること、特に石炭火力でしょうけど、メリットは少ないと思うんですけど、この時期にこれをたくさんおつくりになろうとされているというのは、電力の自由化や発送電の分離という、今後決まっていくこととの関係がかなりあると考えたほうがいいのかという点をお伺いしたいと思います。そして一般的に、ここのアセスの話だけでは必ずしもないですけれど、電力自由化、発送電の分離が進んできたときに、それはそれで一つの大きな目標を持っているもので、ここで論ずべきことではないと思いますけれども、温暖化対策との関係では、かなり難しくなる面があるのではないか。つまり、自主行動計画的にやっていただくことが難しくなる面があるんじゃないかということなど、一般的に、私だけではなくて、懸念している人がいらっしゃいますので、だからといって電力自由化は進んでいきますので、どうするかということを考えなくちゃいけないということですが、課題としてあるということを指摘しておきたいということと、どうしてこんな小規模火力をたくさんおつくりになるのかなというのは、もし教えていただければありがたいです。

○浅野委員長 せっかくの御質問ですから、井上委員個人としてのご説明をいただけますか。

○井上委員 私どもは小規模火力をやっていないので、私の想像の範囲ということでいきますと、震災以降、原子力発電所が稼働できない中で、各電力が火力をたくさん炊いて、電気料金が上がっております。そんな中で、供給力も足りない、それから電気料金も上がっておるというその中で、こういった小規模な石炭火力を早くつくって、安い電気を供給せざるを得ない、あるいはそういった電気を求められておるというお客さんがいるということではないかと。ですから、こういった事態は、もし原子力が一定の比率を国として決められて、それが戻ってきて、定常状態になれば、当然、大規模の火力のほうが効率的には競争力はあるということですから、そういった状況になるのかなと思う。いや、これは今後いろんな政策との絡みですからわかりませんけど。

○浅野委員長 田中委員、どうぞ。

○田中委員 この小規模火力発電ですが、最近はよく新聞でも報道されているようでして、この11.25万kWということで、多分法アセスの制度のぎりぎりのラインを狙って、言うならば法を回避するような形でこうしたことが計画されていると思います。今、井上委員からもお話がありまして、一定の必要性というのは電力を確保するという観点からそういう必要があるんだろうと思うんですが、環境面からは、47ページにもありますが、それなりの特徴なり、また重要な課題もあるものですから、それなりの対処が必要ではないかなという印象を持ちました。そこでよく言われるBATでしょうか、実行可能な範囲での環境配慮技術や環境保全対策を講じていく、そういうふうにこのガイドラインがぜひ活用していただけるといいかな。これが1点でございます。

二つ目は、小規模火力について、実態をちゃんと把握をしていただいて、こうした小規模火力発電の環境対策がどのように講じられているのか。それとガイドラインとの、齟齬というと大げさですが、差異がどのぐらい出てきているのか。つまり、これは既存の小規模火力発電ということになりますが、そういうものとの差を見ていただくような形で、できるだけ新しい施設については、一番進んだ環境技術を取り込んでいただく、こんなことが必要ではないかなと思います。ですから、一つはBATと呼ばれるような実行可能な範囲での最大限の技術を活用していただく。それからガイドラインに対応、あるいは対象となるような小規模火力発電の実態をよく把握していただいて、それを反映する、そんなことが必要かなと思います。

以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。実態をちゃんと把握せよという御意見でした。もう一つは、タイミングがずれてしまっているので困るなと思っているのですが、水銀対策のほうがこれから動き始めることになりますが、石炭火力の水銀大気汚染対策は、特段の対策がなくて従来の公害対策をきちんとやっていけば、少なくとも我が国のレベルであればBATと評価できる。新設であれば、今ある最善の設備を設けてもらうことによって、多分条約をクリアできるだろうと考えられているわけですが、万一こういうアセス規模以下のものが勝手なことをおやりになると、我が国の政府として条約責務を守ってないことになってしまうおそれがでてくる。そうするとこれは厳しく規制をかけないといけなくなるということになる可能性もでてくる。しかし、そんなことになるとほかに対する影響がすごく大きくなるので、せっかく水銀の対策は自主的にきちんとやっていただくことを基本と考えてきているのに、規模が小さいから適当でいいだろうというのは困ります。

他に何かございませんでしょうか。よろしいですか。田中委員、どうぞ。

○田中委員 追加で恐縮です。今回、環境配慮書制度が新しく入りまして、自治体側でもいくつかの自治体では取組が進んでいるということになります。これは新しい制度ですので、その活用状況であるとか、効果についてもぜひデータを蓄積するなどして調べていただくといいと思います。この配慮書制度が、いわゆる戦略的アセスSEAと呼ばれる制度に対し、これにかえてひとまず今回の環境影響評価法改正に伴って入ったわけですので、この新しい制度の活用状況をぜひ調べていただければと思います。

○浅野委員長 では、これまでの御発言について事務局から御回答がありましたら、どうぞ。

○福嶋補佐 ありがとうございます。御意見、小規模火力のガイドラインについてということで井上委員のほうから幾つか御指摘等もございましたが、例えばこのガイドラインの数値の根拠がわからないのではないかといったような御指摘もございました。我々、基本的には出典等、注意して書くようにはしておるんですけれども、今後、検討会をしていく予定にしておりますので、その中でも引き続き精査していきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。

また、こういった小規模火力について、これまでもやられている例もあるので、実際にそういった地域に環境影響として事例があったのかとか、おそれがあるのかといった御指摘もあったところでございますけれども、それらにつきましても我々の考えといたしましては、このように確かに地域と協定されて例えば自家発のような形でやられている例もあったと思うんですけれども、特に震災以降、計画の数がかなり増えてきているという状況がございますので、今、我々実際どれぐらい計画の数が増えているのかというのを調査しているところでございますけれども、これまでとは増えている数が違うかなというところもございますので、実際にそういった環境影響や地域に影響があるのかないのかといったところも含めて、少し調査をしていきたいと思っております。

あとこのガイドラインの位置づけについてというお話でございましたけれども、まさに今、電気事業者さんのほうで全体で取り組んでいっているところだということでございましたけれども、まさに御指摘のとおりだと思うわけなんですが、こういった小規模の火力発電につきましては、特に我々この対象と考えているアセス法の対象規模未満のようなものにつきまして、とりわけ条例がある地域で計画されれば条例のほうでもある程度の環境対策を考えるということで条例アセスに関わっていくわけなんですけれども、条例アセスのないようなところで検討されているような事業者さんもどうもいらっしゃるように聞いておりますので、そういったところにつきましてはどうしても事業者さんの自主的なアセスといったものにかかってくるわけなんですけれども、その中で我々、参考情報として提供させていただいて、ガイドラインも活用していただきながらできるだけの、先ほど田中委員からも御指摘ありましたけれども、できる範囲の中でできる限りの環境対策をやっていただきたいと。そのための参考資料ということで提供させていただいているという位置づけでございます。

それで、田中委員のほうから少しお話もございましたけれども、ぜひBATということで活用していただきたいということと、実際にこのガイドライン等の実態の差異といいますか、乖離している部分があるのかどうかといったところも調べてほしいということでございましたので、それもこれからの検討会のほうで調べていきたいと思ってございます。

私のほうからは以上でございます。

○大森課長 補足をさせていただきます。ガイドラインの趣旨ということで、今、福嶋のほうから御説明させていただきましたが、基本的にアセスの考え方としてベスト追求型というか、取り得る最善の環境保全対策をやっていただくというのが基本的にはアセス法、アセス制度の考え方でございまして、アセス対象未満のこういった小規模についても、そういった考え方に基づいて取り組んでいただきたいというのが思いというところでございます。先ほど浅野委員のほうからは水銀について、条約責任として我が国の当然の義務であるというような御発言をいただきましたので、そういうのも踏まえて今後どうするかということも、水銀の条件も考えながら検討していきたいと考えております。

○浅野委員長 アセス法というものの持っている枠組が、どこかで裾切りをしなきゃいけないから裾切りをしているわけですけれども、実際に問題が起これば見直さなければいけないということも当然また出てくるわけです。ですから、何か制度の枠組を逃れるような動きがあるというのは、決して健全なことではないので、もし本当にそういうようなことであるならば、制度が追っかけてきて、やりたくないけれどもやらざるを得ない、そのことをはっきりしておかないと、際限なく制度逃れになってしまって制度が掘り崩されてしまうというのは非常に困ることです。もともとアセスは規制ではなくて自主的にやる制度なんだと言い続けているのに、なおこんな状態が続いているというのは大変大きな問題だと思います。

いずれにせよ、本日は予定の時間になってしまいました。それではその他がございますので事務局からお願いいたします。

○福嶋補佐 本日はありがとうございました。本日の議事録につきましては、原案を作成いたしまして、委員の皆様に後日御確認いただいた後に、環境省のホームページに掲載する予定としておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○大森課長 活発な御議論ありがとうございました。今年の本委員会はこれで終了という予定でございます。ありがとうございます。以上でございます。

○浅野委員長 それでは、本日の委員会は予定の時間でございますので、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

                                       午後12時00分 閉会