環境と金融に関する専門委員会(第5回)議事録

日時

平成22年2月25日(木) 10:00~12:06

場所

ホテルフロラシオン青山 芙蓉 東の間

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    1.  (1)先進的な取組事例の紹介(HSBC山田氏からのヒアリング)
    2.  (2)日本版環境金融行動原則について
    3.  (3)機関投資家の環境配慮投資について
  3. 閉会

配付資料

資料1 環境と金融に関する専門委員会委員名簿
資料2 HSBC山田氏ヒアリング資料
資料3 日本版環境金融行動原則についての考え方
資料4 機関投資家の環境配慮投資への参加について
参考資料

議事内容

午前10時00分 開会

○末吉委員長 皆様、おはようございます。委員の皆様方はもちろんですけれども、きょうもたくさん会場にお見えいただいてありがとうございます。コートも要らないくらい一段と春めいてまいりましたけれども、早いもので、この専門委員会も第5回目を迎えました。
 早速、議題に入らせていただきますけれども、今日は、まずHSBCから山田副代表に来ていただいております。皆さん、よくご存じだと思いますけれども、金融の世界で環境問題に最も取り組んでいると評価の一番高い銀行の1つがHSBCであります。私も海外によくまいりますけれども、飛行場によく宣伝が出ています。なかなかユニークな宣伝でいいと思います。
 山田さんから、15分ほどご説明いただいて、その後、委員の皆様方と25分程度の議論をさせていただきたいと思います。
 山田さん、今日は、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○山田氏 皆様、おはようございます。今、ご紹介いただきましたHSBCグループの山田です。
 本日は、先進的な取組事例の紹介ということで、HSBCをお呼びいただきまして誠にありがとうございます。今日、いただきました時間は限られておりますが、できるだけ幅広く私どものCS活動についてご報告したいと思います。
 お手元に資料2ということで、パワーポイントのプリント版が配られておりますが、それに従ってお話をしたいと思います。
 目次を見ていただきますと、私どもにとってのCS活動の内容を紹介する流れになっておりますが、まず最初に私どもはこのCS活動という言葉で、コーポレート・サステイナビリティという言葉の省略なんですが、グループの中で重要な取組ということでやっております。
 なぜ、CS、コーポレート・サステイナビリティなのかということを最初にお話ししたいと思います。グループの直接的な取組、それから融資、投資を通した間接的な取組、従業員の参加、こういったところからお話をさせていただきたいと思います。
 最初に、簡単ではございますが、グループの紹介ということで、ページをめくっていただきまして、2ページ目に出ている写真は、ロンドンのカナリー・ワーフにあるHSBCのビルの写真なんですが、白黒ですからちょっとわかりにくいかもしれません。
 英国ロンドンに本部がございまして、世界で最も大きな銀行グループの1つでございます。リーマンショック以降、サブプライム危機の影響を受けた銀行が世の中に多々ある中で、比較的ダメージが少なかった銀行の1つでありまして、そういう中で、新興国への展開も昔から歴史的な経緯があり、アジア、中東、それから南米などでも拠点を数多く有しておりますので、こういうグローバルな展開も含めて、最近は、ちょっと手前みそではありますが世界最強の銀行というふうに呼んでくださる方もいらっしゃいます。
 グループの利益の半分以上は、新興国、アジア、中東、ラテンアメリカで稼いでいるというユニークなビジネス性を持ったイギリス系の銀行ということでご認識ください。
 4ページ目にありますように、CSR、環境分野の取組については、既に2005年にカーボンニュートラルを達成した後、2006年に最初に『ファイナンシャル・タイムズ』がサステナブル・バンク・オブ・ザ・イヤーというアワードを出しましたときに、それをちょうだいしたり、『ニューズウィーク』のようなビジネス誌からもCSRのランキングで上位入賞の栄誉をいただいております。
 6ページに、私どものグループ会長の言葉が紹介してありますが、私どもはあくまでもこのCSR、あるいはコーポレート・サステイナビリティの活動というのは、事業の持続可能性において長期のブランド価値を高めることになる、そういうことのための活動というふうに位置づけております。
 ただ、あえてコーポレート・サステイナビリティという呼び方をしている背景には、1つ目のポイントに書いてありますように、長期的なビジネスの成功を確実にするためには、環境、社会、経済の正しいバランスを維持できるような意思決定が大事だということを強くうたっております。本業とは別にCSRの活動がある、慈善活動がある、社会貢献があるということではなくて、本業そのものがこういう経済と社会と環境のバランスがとれた、持続可能性を確保できるようなビジネスをやっていくんだということを強くアピールしているわけであります。 グループをあげてこうしたコミットメントをきちんと実行するために、ガバナンスの体制にも心を配っております。
 7ページにありますが、グループ本部の取締役会、持ち株会社の最も上位にある意思決定機関がございます。そのメンバーの内訳を見ていただきますと、社外取締役のほうが社内取締役の2倍以上いるという典型的なイギリス型のガバナンスの構造になっておりますけれども、日本の会社法にもあります委員会型の取締役会になっています。その中で、取締役会のすぐ下のレベルに設置が義務づけられました監査委員会、指名委員会、報酬委員会、この3つに加えまして、持続可能性、CS委員会というものを設置しています。これは、グループをあげて取り組んでいるCS活動全体の方針を立て、その内容をモニターし、その活動内容を外部的に報告する、アニュアルレポートのような形で報告書を毎年出しておりますので、こういったことの活動を司っております。
 では、具体的に何をやっているのかということを8ページ以降でご説明したいと思います。
 大きく直接的な影響の管理、それから間接的な影響の管理、この2つの柱に分かれます。
 直接的な影響管理の1番目の柱は、私ども自身の事業で生み出すカーボン排出をニュートラライズする。いわゆるカーボンニュートラルを達成するということでございます。既に、2005年、5年前に私どもはグループレベルでカーボンニュートラルを達成いたしております。
 内容は、10ページに少し細かく書いてありますが、大体年間約80万トンのCO2を排出いたしておりまして、これは従業員が約30万人近くおりますので、一人当たり3トン弱ということになるかと思いますが、こういった排出量があることをまず認識した上で、例えば電力の削減であるとか、いわゆる海外出張、飛行機に乗って遠くへ行く海外出張をできるだけ減らすとか。それから、どうしても補いきれない分は、オフセットを買ってくるという形での中立化を図っています。
 それ以外の施策としましては、11ページにありますように、FSC、Forest Stewardship Councilという認証団体がありますが、そういったところで認証された紙、要するにサステイナビリティを確保している紙だけを使うという取組も始めています。
 ただ、金融業というのは、それ自体では比較的クリーンな業種です。むしろ融資や投資活動という本業を通して、環境に対するインパクトに影響を与えているということで、間接的な影響の管理ということは、重要になってくると考えております。
 12ページ以降にありますが、国連の責任投資原則であるとか、グローバルコンパクト、こういったことは当然批准して、私どもの事業のガイドラインにしておりますが、それに加えて、例えばプロジェクトファイナンス分野における赤道原則、これも単に赤道原則を適用するということだけではなく、この赤道原則をつくっているワーキング・グループにも積極的にスタッフを投入し、一緒に新しい方針をつくったり、アップデートしたり、そういう活動を行っています。
 赤道原則については、この席で改めてご説明する必要はないかと思いますけれども、いわゆるプロジェクト金融の分野で環境に影響が大きく出そうな、そういうプロジェクトについてその取組の方針を銀行業界の有志の集まりでつくったものでございます。
 ここに13ページのパイ・チャートに出ておりますように、インフラ関連であるとか、トランスポート、運輸関連、オイル・ガスなどのエネルギー、こういった分野のプロジェクトが多くあります。
 14ページに具体的にこういうプロジェクト案件を年間どれほど検討しているのかということを2006年から2008年までの実績ということで報告してございますが、融資案件、アドバイザリー案件、あわせて百数十件が毎年入ってくるような状況ですけれども、一番下にありますように却下された取引件数というものも公表いたしております。
 要するに、赤道原則のもとで融資先に対していろいろな条件づけをするわけですが、その条件を満たしていただけないお客様に対しては、融資をお断りするということも実際にやっております。
 それから、15ページに、これは当グループ独自の基準でありますが、環境リスク基準というものをつくっています。特に、環境に対する影響が大きい業種、ここにあがっております鉱業・金属セクター、エネルギーセクター、化学セクター、淡水基盤に関わる事業、それから特に最近注目を集めております生物多様性の分野に関連のある林業・林産物セクター、この5業種については、業種別のガイドラインを持って対応しております。
 16ページに林業、林産物セクターのポリシーでもって具体的な内容をご説明いたしております。
 適用範囲は、全てのサービス分野、つまり融資だけではなく、アドバイザリー等、それから資本市場での取組も含めております。最初からもう取り組まないと決めている禁止項目の中には、言うまでもなく違法伐採であるとか、それからユネスコ世界遺産登録地での事業活動、ラムサール条約湿地帯での事業活動。こういったことは最初から対象外、禁止項目ということにしております。
 林業を行う会社様の事業内容がサステイナビリティを満たしているかどうかを認証する必要があるわけなんですけれども、この認証に関しましては、我々はあくまでもバンカーでありまして、環境のスペシャリストではありませんので、FSCなどの外部の認証団体の力でチェックしていただいて、サステイナビリティを確認する。認証の基準としましては、顧客企業の伐採事業、あるいは木材関連事業の7割が認証機関による認定で持続可能と判断され、残りの事業が合法であることをもって、「適合」ということでお客様とお付き合いさせていただいております。
 ただ、適合と不適合の間にグレーンゾーンもございます。このグレーゾーンの企業に対してはある種時間をとりながら、その間の改善報告、改善の方針などについての合意を取り付けまして、その実施をモニターし、支援しながら融資を継続していく、私どもはそれを「クレディブルパス」と呼んでおりますが、こういう一種の激変緩和措置と言いましょうか、そういった政策も実行いたしております。
 17ページのところには、融資残高でその内容を示してございますけれども、98年末の段階で、この林業セクターの融資残高のうち98%が「Compliant」、「適合」、または「Near-compliant」、「準適合」ということになっておりまして、2%は不適合に分類されております。ただ、融資残高で見ると、2%ですが、顧客の数ということで見ていきますと、右のパイ・チャートにありますように、29%、約3割近い企業がまだ不適合ということになっておりまして、私ども2004年の段階で、5年以内にこういう不適合企業とは取引を停止するということを表明しております。この結果についての報告が今年、出てまいりますので、私も楽しみにいたしております。
 社内体制について触れていきますと、18ページにありますように、サステイナビリティ・リスクを管理する体制を審査部の中に置くことで、法人営業部との利害相反関係から隔離する、組織の中の緊張関係がきちんと維持できるような仕掛けをつくっています。
 具体的には、サステイナビリティ・リスク・マネージャーというタイトルを持った審査部のメンバーが世界に30名程度配置されています。東京にも1人おります。法人営業部、顧客企業と対応する部署にいるスタッフと、審査部の間で意見が合わないときには、究極的にはロンドンの本部まで行かないと組織としての決定ができない。そういう緊張関係ができるような仕掛けをつくっています。
 少し駆け足でまいりますが、間接的影響の中の特に投資の分野では、既に2年半ほど前に、グローバル・クライメート・チェンジ・ベンチマーク指数、日経株式指数のようなものですけれども、気候変動の影響を受けて、これでもって利益が得られるであろう企業の株式、約300社からなるインデックスをつくっています。またこういったインデックスを発表するだけでなく、このインデックスに連動するファンドも発売いたしております。それが20ページに出ております。
 さらに、21ページにありますように、赤道原則というのはプロジェクトファイナンスの分野に限り適用される原則でしたが、これを広く一般の企業金融、事業融資、その他の金融サービス分野についても広く適用できるようにという思いを持って、気候原則というものをつくりました。この作業部会のヘッドをHSBCが務めたわけなんですが、この原則が発表されたのが2008年12月ということで、ちょうどリーマンショックの2、3カ月後でございまして、広く多数の金融機関からご採択を得るまでには至っておりませんが、ただ現時点では私ども含めて5社が気候原則を採択していただいております。残念ながら日本の金融機関は入っておりません。
 最後に、私どものグループの中では、従業員が直接参加をするさまざまな環境取組ということを大変重視いたしております。2002年から5年計画で、5,000万ドルを投資し、Botanic Gardensやアースウォッチと共同作業を進めてまいりました。
 さらに、2007年からは新たな5年間のクライメート・パートナーシップという1億ドル、約100億円のコミットメントをいたしておりまして、ここもアースウォッチやクライメート・グループとさまざまなプロジェクトをやっております。
 時間になりましたが、最後に、HSBCの取組事例ではなく個人的に興味をもっている話として、イギリスでカーボンクレジットカードという構想が提案されていることをご紹介いたします。PASMOとかSuicaのようなカードを配って、国民1人ひとりに年間に消費できる炭素排出量の枠を与え、全体の排出量をコントロールしようとするものです。一種の個人レベルの排出権取引にもつながる話です。こうした、既に存在する金融の仕組み、プリペイドカードのような仕組みの中に、炭素排出権みたいなものを組み込む構想なども金融側からの取組としては重要な示唆があるのではないかと、個人的に思っております。以上をもってご報告を終わらせていただきたいと思います。

○末吉委員長 山田さん、ありがとうございました。
 2005年というともう5年前ですよね。そこでいち早く中立化をなさった。しかも単にお金で買うのではなくて、たしかプロジェクトを公募して選んでそれに融資する形でプロジェクトをスタートさせて、カーボン中立化を図ったという大変いい試みをされていると思いました。
 では、皆さん、どうぞ委員の方からご質問などよろしくお願いいたします。

○竹ケ原委員 大変インプレッシブなプレゼンテーションをありがとうございました。
 2点、ちょっとお伺いしたいんですが、1点目はややテクニカルなお話で恐縮です。先ほどの林業、資料16ページのところですが、第三者認証をうまく活用されてプロジェクトを選別される仕掛けづくりは非常に興味深く伺いましたが、例えば森林認証の中で、FSC以外にも幾つか認証があります。一番厳しいのがFSCだと思うんですが、スタンダードをあえてFSCを絞る過程で、御行の中で、どんな議論があったのかというのをお伺いしたいのが1点目です。
 あともう1点は、クライメート・プリンシパルズは我々もちょっと興味を持って一度勉強させていただいたことがあるのですが、こちらも、多分世の中にある同種の取組の中では一番厳密といいますか、融資先の企業に対してもいろいろコミットメントというかモニタリングをされる程しっかりした仕組みをつくられているので、国際的には参加する金融機関が限られてしまうのかなという印象があります。実務の面で、この原則の徹底と取引先の理解を引き出すこととの間に葛藤や問題が生じてないのかどうか。可能な範囲で教えていただければありがたいのですが。

○山田氏 最初に認証機関については、実はFSCだけではありませんで、リストにしますと確か十程度あったと思います。世界各地のNGO、その他認証機関としての力を持っておられるところを指名しております。ですから、これはリストそのものも適宜アップデートするようなことになっていますけれども、FSCに決め打ちでやっているというわけではありません。ただ、FSCはおっしゃったとおり、多分一番強力なものですね。

○竹ケ原委員 製紙メーカーさんとお話していますと、森林認証も何を使うかによって、先ほどコメントされていた生物多様性の観点で、例えばタスマニアの問題などに象徴的ですが、やはりある種の森林認証は緩すぎて使いものにならないという意見をお聞きすることがあるのですが、この辺はまさに定期的にレビューされていて、どんどん絞り込まれる、そんなイメージなのでしょうか。

○山田氏 そうですね。社内的には認証を依頼していいリストというのがありますので、その中から選べばいいということになるんですが、実効性が検証される中で、適切なところがあればまた落としていくということになると思います。
 2番目のご質問の気候原則については、ご指摘のとおりなかなか厳しい要請がございまして、これは対顧客についてもそうなんですけれども、この気候原則を採択する金融機関にとってもなかなか厳しい要求が多々あります。そういうこともあって、日本のメガバンクさんの中にもご検討していただいているところがあると聞いているんですが採択にまでは至っていないということです。
 気候原則に来るもっと前の段階、例えば私どもが業種別のガイドラインを持っているというお話をしましたけれども、業種別のガイドラインを適用する中でも、やはり顧客企業との間でストレスが発生するといいますか、一種のコンフロンテーションが発生することはやはりあるように聞いております。

○竹ケ原委員 どうもありがとうございました。

○藤井委員 山田さんにはうちのゼミにも来ていただいて、お話ししていただきましてありがとうございました。2点お聞きしたいと思います。
 HSBCのこの先進的な試み、これはただではできないので、コスト、これを維持していく、SRMも二十数人がはりつけられ、あるいはそれぞれの審査も通常の審査にもかかるわけですが、環境改定的にこういう体制を維持するためにどれぐらいの費用を年間かけられているのかということが1点です。
 却下の取引もあるわけですけれども、逆にこれをやることによって、収益への貢献というのをどのように見ておられるのかのその2点についてお聞きしたいと思います。

○山田氏 実は、CS活動全体のコストというのは公表いたしておりません。今日は、環境問題を中心にご説明をいたしましたが、サステイナブル・ファイナンスの一環として、例えばマイクロ・ファイナンスなどもサステイナビリティという括りの中の事業として推進いたしています。
 グループ会長の言葉でご紹介しましたように、これは本業があって別建てのコストセンターとしてCSRをやっているという意識ではなくて、本業の中に組み込まれた形でやっておりますので、例えば融資先が環境問題を起して返済不能になってしまうようなコスト、債務不履行リスクのようなものも含めて考えますと、むしろこういう形でそういう一種のリスク回避をすることができるという意味で、あくまでも経済合理性がある範囲でやっていると私どもは考えております。
 2番目の収益のご質問と重なるわけなんですけれども、具体的に1つ1つの案件に照らしていくとお客様を失うこともあるかもしれないんですが、幸い、HSBCに関して言いますと、バランスシートに比べて収益機会が非常にぜいたくではありますが多うございます。どちらかと言うとお断りをしなければいけない案件のほうがお受けできる案件よりも多いということで、これは世界的に事業ミックスが新興国にウエートがある、そういう地域分散にもなっているということもありまして、事業機会などは多くある中で、あくまでもこういうサステイナビリティ基準を満たすような融資に絞り込むことでもって大きな収益機会を失うというふうには考えておりません。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 ちょっと関連で、僕からもお尋ねしたいんですけれども、先ほど、コストセンターではなくてむしろリスク回避策だとおっしゃったわけですけれども、僕も全くそうだと思っているんですけれども、どうも日本での議論を聞いていると、コストだ、コストだということで、余計なコストだというような議論が先行しているような気がするんです。
 それは裏から見ると、気候変動問題が、いまや本当にリスクになり始めたんだと。大きなリスクファクターになってきているんだという認識が日本の中で、金融機関はもちろんですけれども、産業界でも少ないような気がします。その辺、いかがでしょうか。本当にリスクだから、リスクを回避するために、将来のライビリティを回避するためにこういうことをやるほうがむしろトータルとして、ビジネスとして成功するんだというストーリーだと思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

○山田氏 スターン博士のレポートの中に、マクロ経済レベルでこの数年間の取組が将来の膨大なコストをセーブできるというような趣旨のご報告がありましたけれども、事業会社の1つであります銀行にとっても、同じことだというふうに思っています。
 ですから、今、末吉先生からご指摘があったように、こういう取組を本業の一環として続けることで、かえって企業のブランドの長期的な繁栄が図れるんだという、これはもう信念といったほうがいいのかもしれませんが、それを強く持ってやっております。
 ですから、リスク管理ということは、リスクが顕在化しないようにやるわけですので、いざ顕在化したときのコストを実は未然に防ぐわけです。ですから、それはまだ目に見えないコストを避けるという意味において、セービングになっているわけなんですけれども、表面的には追加的なアウト・オブ・ポケットマネーが少し出るかもしれません。そこら辺が悩ましいところだと思います。

○末吉委員長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。

○崎田委員 前半伺えなくて大変申し訳ございませんでした。
 こういう議論をさせていただいていると金融の方から、いろいろな投資先の評価基準などをきちんと設定するのが難しいというお話をよく伺うんですが、今回、その辺の環境リスク基準と産業分野ガイドラインのお話などを伺えて大変勉強になりました。ありがとうございます。
 私は社会一般の視点から、ここの委員会に入らせていただいておりますけれども、やはりこういう金融機関の動きを社会が支える、応援すると言いますか、評価させていただくような機運が、大変重要な要素ではないかというふうに思っております。そういう点から行くと、最後のページにクライメート・パートナーシップということで、いろいろなNGOときちんと連携したり、そういう場をつくっていらっしゃるのが、大変素晴らしい部分と思ったんですが、具体的にこういう団体との連携関係をどういうふうに進めていらっしゃるか少しお話をいただければありがたいと思います。

○山田氏 先ほども申し上げましたように、コーポレート・サステイナビリティというのは、環境問題だけではありません。特に、発展途上地域における例えばいわゆる地域の方たちの利益、こういったものもいろいろな形で判断の材料に入れるような取組を行っています。マイクロ・ファイナンスということもそういったことの1つの取組の方法だと思っております。
 それから、クライメート・パートナーシップに挙がっている4団体、アースウォッチ、Botanic Gardens等々の協力関係というのは、お金を差し上げるだけで終わってはおりません。
 例えば、これはちょっと私個人の経験になるんですが、アースウォッチとの共同プロジェクトには全世界から2,000人の従業員が派遣されました。これもビジネス出張ベースで派遣されました。私は、スペイン沖のイルカ観測船に2週間乗ってきました。
 休日扱いではなく、あくまでも仕事のワーキングデーということでもって、2,000人の従業員を5年間のうちに派遣し、実際に緊急活動の中に体験する、要するに畳の上で泳ぎを覚えるのではなくて、実際に水に飛び込んで覚えてこいということをやらせるわけです。
 これはトップダウンで環境への取組が大事だよということをいくら口を酸っぱくして言っても、やはり従業員レベルで、実際に例えばアフリカに行ったり、アマゾンへ行ったり、私のように地中海の船の中で2週間過ごしたりという経験をして、そうした調査で得られた科学的な知見が、例えばいろいろな多国間条約の中に生かされているようなことを実際に目に見、耳で聞いてきますと、こういう世界的な環境への取組というのが非常に広範にしかも高いレベルで実際に起こっているということを自分たちの体験として知ることができます。
 こういった活動に出かけていったメンバーには、例えば、日本のオフィスからも37名ぐらい、この活動に出かけましたが、帰ってきて報告会というのを義務づけております。それも社内だけの報告会ではなく、社外のコミュニティにおいていろいろな形で報告会をやることを義務づけています。
 そうすると波及効果が従業員一人一人のところに留まるのではなくて、経験した従業員一人がまた次の10人、あるいは20人にその話を通じて、いろいろな形のアピールをすることができる。こういったことが、ある種、社員のモチベーションの向上にもつながっておりまして、そういう意味でも大変プラス、組織としても生産性の観点から見て大変プラスではないかというふうに考えております。

○崎田委員 ありがとうございます。

○末吉委員長 どうぞ。

○伊東委員 三菱UFJの伊東でございます。ありがとうございました。
 赤道原則のところでは、いつもご一緒にやらせていただいて本当にありがとうございます。
 これはプロジェクトファイナンスと環境保全という観点から、ヨーロッパ、アメリカ、日本の金融機関が中心となって自主的な取り組みとしてやっていることですが、大変重要なことだと思います。それでは質問としては2つあります。1つは、赤道原則の考え方をプロジェクトファイナンスではなくいわゆるコーポレートへの融資、ただしその企業はかなり火力発電所や原子力発電所を作っていたり、資源開発をやっている先である。そうした先に企業融資を行う場合も、非常に難しいなという実感を私自身持っています。
 つまり、今日のお話ですと産業別のガイドラインというところで、それから私どもも赤道原則をコーポレート融資に適用していこうというようなことを相当議論して、一部やり始めたりしているんですけれども、HSBCさんとしては、赤道原則のコーポレート融資への適用は、今日ご説明のあったこの産業、この業種のガイドラインでおやりになっているということでいいのかどうかというのが最初の質問です。
 それから、2つ目の質問は、全く別の話になりますが、クライメート、気候変動から利益を受けている企業のインデックスをつくっておられるということですが、ここについてのファンドについての投資家層というのは、どういうところなのかということと、ここの残高というのはどのくらいまでいっているのか。それがもしわかればお教えいただけないかということでございます。

○山田氏 赤道原則は、ご指摘のとおりプロジェクトファイナンス単位でありまして、企業単位ではないんですけれども、環境ガイドラインを持っている5つの業種に関しましては、赤道原則を合わせて適用するということにしています。
 それに加えて、事業固有の森林事業であれば木材伐採に関するさまざまな条件、先ほど申し上げたラムサール条約の湿地帯での活動は禁止項目とするとか。そういう個別業種固有の条件を付加した形になっています。
 こういう一種ネガティブスクリーン型の基準というのは厳しいところがありますので、ご指摘のように、実際に適用する個別の企業の顔を見たときには、なかなか難しい状況がいろいろ出てくると思われるんですが、先ほどもちょっと申し上げたクレディブルパスと言いますか、一種の猶予期限のついた、条件つき融資というんでしょうか。これが現実的なアプローチということで評価できるのではないかというふうに思っています。
 つまり例えばある一定の期間、2年とか3年の間に、このサステイナビリティ基準がまだ4割しかいってない企業があったとしますと、4割をいかに7割に近づけていくかということについて具体的な施策をご相談するわけです。そこにリアリティがあり、かつ途中のモニタリング経過期間中も進捗がきちんと見られれば融資を引き上げたりしないという、そういう一種現実的なアプローチを取り入れてやっておりますので、その辺のバランス感覚というんでしょうか、それが大事かなというふうに思います。
 それから、2つ目のご質問、クライメート・インデックス、これは個人向けのファンドもございますし、機関投資家向けのファンドもございます。個人向けのファンドも日本でも取り扱いをいたしています。
 その残高がいかほどあったかということについては、今ちょっと私は手元に資料がありませんのでお答えができません。

○末吉委員長 そろそろいただいた時間が来たんですけれども、どうぞ。

○向畑委員 住友信託でSRIシニアファンドの担当のやっております向畑と申します。よろしくお願いいたします。
 私の質問は、経済合理性を本業の中に取り組んでいらっしゃるということでしたけれども、その経済合理性をどのように管理しているのかというところです。御社の事業はグローバルな地域密着型ということで、実際に新興国で50%を上回る利益だと。新興国ということで言いますと、当然、高い成長率があるかわりに当然リスクも高い。その中でどうやって天秤をかけていくかということだと思うんですけれども、日本などはどうしてもやはり成長率が低い分、コストのほうに目が行きがちなのでその辺、リスク管理という部分と成長率をとるという部分をどういうふうに地域なり国なり、どういったレベルで管理して、それで結果、経済合理性があると判断しているのか。プロジェクトファイナンスはプロジェクトごとに判断していらっしゃるんでしょうけれども、融資もどういうふうに判断されているのか。その辺の枠組みをちょっと教えていただければと思います。

○山田氏 銀行のビジネスにとって、経済合理性の基本はスプレッド管理でございます。つまり自分が調達できる資金コストにどれだけ上乗せして、お客様に融資するか。
 このスプレッドを管理するに当たっては、重要な要素としてお客様の財務状況、いわゆる信用力と言いますか、クレディット・レーティングが1つ大きな要素としてあるんですが、私どもの場合には、それに加えて、リクイディティ・リスク・スプレッドというのを管理目標的な意味で乗せております。
 例えばリーマンショックで見られたように、金融機関が倒れるときというのは利益がないから倒れるのではなくて、リクイデティがないから倒れるんです。こういう意味で、リクイデティ・リスク管理というのは金融機関のサステイナビリティの上での一番大きな要素の1つだと考えておりますのでそういったことを乗せています。
 利益率が資本の求めるリターン、コスト・オブ・キャピタルに対して十分スプレッドがあるかどうかということが基本で、これは産業ガイドラインがあってもなくても、それはきちんと適用すると。それに加えて、例えば審査部のサステイナビリティ・リスク・マネージャーがサステイナビリティ・リスク・チェックを行って、たとえ財務的には合理的であっても、融資はできないケースもあるということです。ただ、グループ内のしがらみのようなものがあって、コスト割れでも貸出を続けなければいけないような感覚を持っていないと言ったほうがいいかもしれませんが、経済合理性がない融資はもう続けないという割り切りができています。ある意味では、世界で最も大きなバランスシートを持つ銀行の1つでありますが、バランスシートをいかに小さく維持するかということにむしろ苦心しているというのが実情でございます。

○末吉委員長 山田さん、どうもありがとうございました。
 最後に僕、1つお尋ねしたいんですけれども、ここまで来られるまでのリーダーシップというかドライビングフォースは何だったんですか。

○山田氏 一番大きな力は、現在、グループ会長を務めておりますスティーブン・グリーン、個人の思い入れというんでしょうか、哲学というのが非常に色濃く反映しているように思います。
 たまたまグリーンというのは、銀行マンとしては異色の経歴でございまして、オックスフォード大学でゲーテ研究をした後に、イギリス国教会の牧師の資格を持っているというクリスチャンと言いますか、牧師先生でもあるんです。後にマッキンゼーというコンサルティング会社を経て、HSBCに入ってきたという、伝統的に言いますと、HSBCには丁稚奉公から40年から50年かけて会長まで上りつめるというのが典型的なパターンだったんですけれども、彼の場合はちょっと違うということです。
 実は、彼が去年の夏に本を出しています。『グッドバリュー』というタイトルの本ですが、その中でも金融セクターの責任というんでしょうか、これは単なるソーシャルリスポンスビリティとよく括られる社会貢献的な意味ではなく、金融業がその昔は貸したお金に金利を付与することは宗教的に禁止された時代が長く続いていました。それがルネッサンス以降、金融業の発展から今のような金利を普通に課すことができる金融が出てきたわけなんですけれども、そういう経緯も踏まえて、金融業のモラルと言いましょうか、そういうことについて口酸っぱく発言する人です。
 その彼の考え方というのが、先ほどご紹介したガバナンスの仕掛けなどにも反映し、そのガバナンスを通して、グループ全体の事業方針にも色濃く反映しているというふうに私は考えています。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 牧師と言えば、イギリスのブラウン首相もたしか牧師の出身であります。ぜひ、グループ会長のグリーンさんのようなビジネス哲学をもっと日本でも広げていただければと思っております。
 どうも長時間、山田さん、ありがとうございました。大変有意義なお話をありがとうございました。
 それでは、次のセッションに入りますけれども、山田さんにもお残りいただけるということでございますので、ぜひいろいろ有益なインプットをお願いしたいと思います
 まず、黒川さんのほうにお渡しします。

○黒川環境計画課長補佐 本日の議題は、ヒアリングの後に2つございまして、前回粗ごなしをさせていただいた3つの議題のうちの2つです。1つが行動原則というもので、もう1つが機関投資家の話とその2つについて今日は議論させていただきたいというふうに思っております。
 資料3をご覧ください。
 こちらがその環境金融行動原則についてということでありまして、前回どういう議論をしたかというのをちょっと踏まえてということになりますので、別紙を見ていただいて、これが前回粗ごなしの議論をいただいたときに、こういう感じの意見をいただいたということでございます。
 簡単におさらいですが、紹介させていただきますと、まずPRIについてこういうところがよかった、そういうことを見習ったらどうかみたいなお話がありまして、PRIが成功したのはこういう要件があったからだ。最初から機関投資家が自分が参加して、自分がつくったようなものだったからだということ。あと国連事務総長もリーダーシップがあったのがよかったということ。中身があり、次に行動原則の実施状況、これが公表されているということ。あとは署名機関同士が連携してコミュニケーションをとっていくということ。推進役となる事務局体制がしっかりしている。こういったようなお話がございました。
 次に、行動原則の内容についてという下のところでありますけれども、一番上の○で、低いハードルで原則をつくるよりも、高いレベルを目標とすべきだといったようなご意見がありました。ただ、これも最初から100点満点にならないと入れないというのではなくて、いろいろなコミュニケーションですとか、グッドプラクティスの共有を通じて、入った後に目標に近づいていく。そういったアプローチが有効だというお話がございました。
 その下でありまして、この3つ、かなり共通した部分もございますが、身の丈にあった取組が大事なんだというようなことをおっしゃっておられるのかなと思っております。
 2つ目の○のところで、自分の会社のESGは何だろうと、そういったことを真剣にディスカッションするというところがやはりうまくいくようなところだというお話。地域金融機関もこういったことをやる必要はあると思うけれども、なかなか積極的に参加できる地域金融機関特有の、企業として大きくないという事情もございますので、参加できるような中身になるといいなというお話とか、外国語の翻訳ではなく日本にあったものが大切というお話がございました。
 次のページの裏面にまいりまして、行動原則の参加者についてということでございます。
 PRIは、責任投資原則ということでありまして、機関投資家のものということであるわけですが、今回、環境金融の原則というふうなことを考えたときには、サービスプロバイダ、アセットオーナー、両方をイメージするでしょうから、そこの2つの視点はしっかり意識すべきだというご意見。
 あとは銀行だけなら金融機関声明というのもありますし、機関投資家ならPRIもあるので、日本版をつくるのであれば区別せずつくるようなものがいいのではないかというお話がございました。
 そういったようなことを前提に最初の表の資料3と書いてある頭のページに戻っていただきますと、そういったことを踏まえまして、本日ご議論いただきたいということでございますけれども、まず盛り込むべき内容についてということでございます。
 これは我々のほうで、日本版のこの環境金融の行動原則というようなものをつくって、皆さんにご参加を呼びかけるという場合には、こういった内容がいいんじゃないかというのをひとつまとめてみたというものでございます。その前提といたしまして、行動原則の対象者ということでございますが、誰をイメージしてつくったかと申しますと、国内の金融機関と機関投資家といったその両方を括るものとしてつくったということでございます。
 ちょっと留意点として※を2つ置いておりますが、1つ目が2つをまとめて1つでイメージしてあるということと、もう1つは、地域金融機関など小さい主体も参加できるようにはどうしたらいいかなという配慮も要るのかなと思っているということでございます。
 それを前提にしまして、中身としてはこういうのがあり得るんじゃないかというのがその下の総論と各論と書いてある2つでございます。
 総論といたしまして、環境との関係で金融に何が求められているのかといったようなことを書くのかなということでございまして、3つ○がございますが、環境を維持するということは、持続可能な経済活動の基盤になりますので、環境問題にちゃんと配慮なくしては、金融の側から見ても長い目で見ればちゃんとしたリターンが得られなくなる、そういった関係にあるんじゃないかというのが1点です。
 2点目が、その全ての経済活動に関わる金融が、環境分野にちゃんと資源配分を果たすということで、環境問題を大きく改善する、そういう可能性があるんだということ。
 そういうことを踏まえまして、金融はこういう責任を認識して、低炭素社会の変革といったようなことに受け身ではなくて、変革を先導するキープレーヤーとしての役割が重要なんだといったようなこと。
 という総論がございまして、次に各論としてどういった取組を求めるのかと、ここが一番重要な部分だろうかなというふうに思いますけれども、5つぐらいとりあえず書いてございます。PRIは6つあったわけでありますが、とりあえず5つ書いてございます。
 1つ目が投融資の判断に際して、投融資先の環境配慮の取組と投融資先が有する環境に関わるリスクと環境に関わるビジネス発展の可能性、こういうものを十分に考慮しましょうというのが1つ目です。
 2つ目の○が、投融資先に対しまして、環境に関する情報開示と環境問題への積極的な取組、環境に関わるリスクの低減を求めるという点。3つ目として、環境保全に資する取組を行う企業、個人、これを金融の手法によって積極的に支援していくということ。4つ目として、環境保全に資する金融商品、こういうものを開発提供していくこと。5つ目として、そういうことをしたという自分の取組状況をわかりやすく開示するということ。
 こういったようなことが、盛り込むべき内容なのかなというのが我々の考えたものでございます。
 次に、2としまして、そういうものをつくったとして、どうやったら多くの関係者の参加と継続的な取組を確保できるんだろうかということでございまして、これはこの下の○はこういう視点からの議論は必要かなということを書いてございますけれども、先ほどのご意見にもありました金融機関、機関投資家には策定プロセスはどうあるべきか。参加者拡大のためにはいろいろな、どういうリーダーシップのもとに進めていくべきか。実施段階では、どうやってその取組状況を説明していくのか。アカウンタビリティのあり方。あとは参加者機関間の連携、コミュニケーションのあり方。継続的なフォローアップをしていくための事務局体制のあり方。といったようなことでございます。
 ちょっと参考資料を関係でつけておりますので、簡単に紹介させていただきますと、参考資料は分厚い束のものがあろうかと思います。この議題に関する参考資料は、参考資料1から3まででございまして、2と3は責任投資原則と赤道原則ということでありますので、何かの議論の参照になればということでつけてございます。
 資料1といたしまして、金融機関・職員向けのアンケート調査というのをやりましたので、それをちょっとつけておりまして、捲っていただきまして、3ページ、三菱総研に委託して行ったものでございまして、金融機関、国内の金融機関600社向けのものと金融機関で働く1,000人ぐらいの人へのインターネットアンケートという2つを行いましたということでございます。
 次、捲っていただきまして、4ページ目でございますけれども、いろいろなことをアンケートではしているんですが、本日の議題に関連するものとしてご紹介する質問、これがまず金融機関向けアンケートということでは(1)というところ、「貴社では、環境金融の取組に関する全社的なポリシーを策定されていますか。」ということでありまして、全体で、分母は600社ですけれども、そこで15%ぐらいが「策定している。」大きな銀行さんになるともうちょっと高くなるということでございます。
 (2)といたしまして、ポリシーをつくっておられるというところに対しまして、「その具体的な内容をご記入ください。特に、融資審査においてそのポリシーを具体的にどう反映しているかについてご記入ください。」このアンケート先は全部いわゆる銀行、信金さんといった融資を行っているところでございますので、こういったような質問にしているわけございます。
 答えはここに書いてあるとおりということでございますけれども、上から3つ目の○にございますように、いろいろ取り組んでいるけれども、審査基準への反映といったことはまだまだ課題なんだといったようなことが全体のトーンだったかなと思っております。
 次に捲っていただきまして、5ページでございますけれども、金融機関の職員向けアンケートということで、1,000人ぐらい金融機関で働く人にインターネットアンケートをしたというものでございますけれども、(1)として「金融機関の本業を通じた環境貢献の取組について、あなたの考え方に最も近いもの」というふうに聞きまして、円グラフでございますが、「健全な企業に資金を融通するという金融業本来の役割の一部であり、投融資の判断に当たって考慮すべき」というと答えをされた方が大体55%ぐらい。
 その左側ですが、「金融業本来の役割ではないが、社会貢献活動として余裕があれば取り組むべき」というふうにお答えされた方が40%。こういったような数字になっております。
 その下に、」環境貢献に関連する融資案件の発掘について、積極的に取り組むためにはどういう条件が必要ですか」というふうに問いまして、答えは下のとおりでございますけれども、「本業における環境貢献に関する全社的なポリシーが策定され浸透すること」という条件が必要だとおっしゃった方が35%。こういったような感じになっております。
 この資料3の日本版環境金融行動というものの盛り込むべき中身とあとはいろいろな参加を求める継続的な取組を確保する仕組みといったようなことについてご議論いただければと思います。以上です。

○末吉委員長 黒川さん、ありがとうございました。
 この2つも非常に大きなテーマでありますけれども、とりあえず原則についてまず皆さんでご議論願いたいと思います。
 盛り込むべき内容についてとありますけれども、まず切り出しとして、総論と言いますか、原則についての皆様方のそれぞれの思いをまず少しお聞かせいただきましょうか。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○藤井委員 前回、私は欠席だったので、このやり取りは後で送っていただいた議事録の範囲でしか理解していないのですけれども、日本版をつくる意味が、いまひとつよくわからない。
 すでにPRIがあり、UNEP FIの基準があって、いずれもグローバルに適用されていて、日本の金融機関もすでに幾社かは入っておられる。なぜ日本版が要るのかということです。もちろん地域の金融機関とか協同組織金融機関とかあるのですけれども、PRIにしろ、UNEP FIにしろ、別に規模の大小で署名が難しいわけではありません。署名に伴うコストがひょっとしてかかるということがあるかもしれないですけれども、中身的には、そんなに規模の大小で影響するような内容ではないと思います。
 それから、もう1つは、国の審議会がやる役割として、民間の自主的な活動、自主的な行動原則を国が定めるというのはいかがなものかとも思います。PRIにしろ、UNEP FIにしろ、いずれも民間による活動です。PRIのリーダーシップはもちろん国連の前事務総長のアナンさんがとられたりしたわけですけれども、ここに書かれているように、PRIも機関投資家がまさに自主的にやられている活動です。むしろ私は、なぜ日本の金融機関がPRIやUNEP FIへの参画が少ないのか。これを政策的に何らかの形で参画を支援するような措置が必要なのではないか。そういうご議論のほうがふさわしいのではないかと思います。
 例えば、今、環境省がやっておられる銀行に対する環境格付け融資の支援、これは非常にいいと思います。結構、参加金融機関数も増えて、20を超えていますか。例えば、この場合でも、UNEP FIに署名している金融機関については、補助する金利分0.1%を上乗せするといった支援が考えられます。これは国でなければできないと思います。前回の議論の詳細はわからないので、議事録を見た範囲内での私の印象なのですけれども、いろいろな施策のうちの1つとして、どうしてもやはり日本版が要るんだということであれば、それを政策的にどのように支援するかという具体策が必要だと思います。仮に日本版が要るとなった場合でも、署名するのは自主的な金融機関の判断なので、国が出ていく必要はない。国の役割は、うまくまとめる上での政策支援にとどまるという風に思うのですが、その辺のご議論というか、皆様方の共通の理解はどうなっているのか。そこはぜひ今日は聞きたくて来たわけです。以上です。

○末吉委員長 どうしましょうか。

○黒川環境計画課長補佐 事務局的にお答えできることだけ補足いたしますと、まず前回のご議論でも、もともとこの場で文章を決めて決定してという、もとがそういうイメージではなくて、いずれにしても最後は金融機関のイニシアチブで、こういうものをやるとすれば当然やることになるわけで、ただこういうものがあるといいねと。こういう中身が盛り込まれたそういうものができるといいねというのはこの場で議論してもよいのかなと思います。
 その上でまた実際にやっていただく場合は、当然金融機関側のイニシアチブという何らかの形では必要になるんでしょうというのが1つ目です。
 そもそもこの日本の環境金融行動原則ということについて言いますと、やはりもともと外国の、比較的大きなところは参加しやすいのでしょうけれども、なかなか小さいところはなかなか参加しにくいですとか、あるいは赤道原則はプロジェクトファイナンスをイメージしていますので、日本の人がみんな、融資の人はこっち、そうじゃない人はPRIに参加しましょうとそうなるのかなという疑問もあって、そういうことでこういうものを発想してみたということでございます。
 前回の議論でも、ここに書いてあるとおりでございますが、そういったものもあるのもいいのかなという全体のトーンとしてはそういう感じであったということでございます。

○末吉委員長 どうぞ。

○崎田委員 私も前回欠席だったんですけれども、私は逆にこの資料を送っていただいて、こちらの参加されている皆さんの議論がどんどん発展して素晴らしいなと実は思った1人です。
 どういうことかと言いますと、これだけ日本を代表する各金融機関の方が参加されている場で、日本版の環境金融の行動指針を自主的につくっていくことが大事だということを話し合って、決めていくということは、これから金融機関の皆さんが本当にこういう場をおつくりになるきっかけになるんではないかと思って、私は大変素晴らしい動きだと思いました。
 例えば、産業界の皆さんはISOの認定の国内をまとめる仕組みづくりを自発的な取組としてやっていらっしゃいますけれども、ああいう大きなものに金融機関のこういう動きが発展していけば、大変素晴らしい動きだと思っていますし、市民がきちんとその取り組み状況を受け取って、社会全体での信頼関係をつくっていく、大きなきっかけになるかと思います。
 なお、CO225%を20年までに削減という仮定では誘導政策と義務化と両方取り込まないといけないという流れの中で、まず積極的に金融側が自主的に進んでくださるということは私は素晴らしい動きだなと思っておりました。

○末吉委員長 ありがとうございます。
 ちょっと僕の理解ですけれども、中央環境審議会からこういう議論をしてほしいと、専門委員会を設けて、というご下問があって始まっているわけです。ですから、いずれにしても専門委員会として、半年そこら時間をかけて議論した結果を何らかの形で、世に問わなければいけないわけです。中央環境審議会で回答するということになるんでしょうけれども。
 その回答の中の1つに、例えば日本においてもっとよりよく金融機関が環境に取り組むためには、どういったようなフレームワークとか、どういったことがあればいいのかなという、そういうサジェスチョンの1つに例えばこういった原則を日本の金融機関が自主的につくるというようなこともあり得るという意見は1つ考えられると思います。
 ですから、これは最後どうするかは当然また先々議論の場があると思いますけれども、今日はとりあえず仮に日本の金融機関が、こういう天下の情勢の中で、環境に取り組むときに、みんなに声をかけて一緒にやろうよというときにはどういったものを呼びかければいいのかということでの、全体で議論をしてみたらいかがでしょうか。
 変な話だけれども、是非はちょっと置いておいて、やるなら何がいいのかなというようなところでいかがでしょうか。

○藤井委員 そういう議論をする場合、既にあるものとの位置づけをちゃんとした上で議論をする必要があると思います。日本版をつくって署名したからもうそれでおしまいということにならないように、その日本版から次はPRIにいく、あるいはUNEP FIにいく、Equator Principlesにいく、そういう中でのどう位置づけるのかということをはっきりしなければいけないと思います。
 そういうことであれば、例えば地域の金融機関等でそういう形ならば入りやすく、次のステップにいく場になるという位置づけならばまだいいと思います。
 そうではなく、日本版がグローバルな活動の代替案になってしまうと、ちょっと世の中の動きと逆行するのではないかと懸念します。先ほど、山田さんのご発表の中で、HSBCは2005年から既にやっていると言われた。2005年というのは、UNEP FIの東京会議をやっていた年ですから、それから私の印象では、日本の金融界ではこの5年間、何もなかったのかなというと、そうではないはずです。そうした経緯を踏まえたような位置づけにしていただかないとまずいと思います。日本の金融機関あるいは全銀協もこの間、独自に環境金融の検討もされてきているわけですから、そのアウトプットもぜひここに盛り込んでやっていくということで、議論を深めていただきたいなというふうに思っております。

○末吉委員長 どうぞ。

○関委員 藤井先生が素晴らしい問題提起をされたと思います。私も「原則をつくることありき」で、それを目的にするというのはあまりよくないと思います。ただ、原則をつくる効用というのは、この場もそうですけれども、さまざまな意見が出てきて、対話が促進されるというのがあると思います。
 総論のところでちょっと私、申し上げようと思っていたんですけれども、例えば総論の3番目のところで、金融機関は受け身ではなくて、先導するというくだりがあり、フォロアーではなくてリーダーになるべきであるという議論になるわけですけれども、やはり金融機関だけがいくら力んで頑張っても駄目だと思います。
 大事なのは、内閣府の円卓会議「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」がマルチステークホルダーの円卓会議として創設された背景ですね。これは旧政権のときにできたものでまた復活するということが直近で確認されましたけれども、要は、問題解決にあたって、マルチステークホルダーでやっていかないとだめ、政府だけでも企業だけでもだめだと。その中で金融機関というのは非常に役割が重要なんだということです。内閣府の円卓会議でも7つのステークホルダーの1つとして金融セクターが入っています。そこが非常に重要なところで、総論もそういうステークホルダー間のパートナーシップということをきちんと、どこに書くのか、表現方法はいろいろあると思うんですけれども、例えば前文とか基本的な考え方のところで述べるべきではないかと思います。
 この原則をつくった後も、つくりっぱなしにせずに改善していくことが必要だと思いますし、そのためには金融機関の中だけではなくて、さまざまなステークホルダーとの対話を続けていく必要があります。そうした対話を促すという意味でも1つこういうものをつくるというのは、決してマイナスにはならない。プラスにはなると思います。そんな観点も重要ではないかと思います。

○末吉委員長 ありがとうございました。

○竹ケ原委員 私も若干もやもや感があって、原則というのをつくってどう使っていくのかなというところもある程度見据えて議論したほうがいいのかなという思いがあります。もちろん総合政策部会からの諮問としては原則の中身をつめて欲しいという話だと思うんですが、既存のものとの差別化を図る上でも、この原則を使って何かやっていく、もっと言うと、新施策なのか成長戦略なのかわからないですけれども、つなげていくような議論になるのかな。何かそういう絵をイメージだけでも出せるといいかなと思います。
 ジャストアイデアの話なのですけれども、例えば、オランダのグリーンファンドスキームというのですか、プロジェクトを認定して、そこに個人がお金を流すと結果的にキャピタルゲインが優遇税制の対象になるとか、お金の流れを変えていくような仕掛け、それを政府が認定するような仕掛けがあります。例えばですが、環境省の主導によって日本版の原則、それもきちんとコミットしなければいけない原則を策定して、これに参加している金融機関が出すプロダクトに個人が預金したり、投資したりした場合には、そこから何らかの税制上の恩典があって、お金の流れが変わっていく。そういう仕掛けをつくるための大きな第一歩としてプラットホームをつくろうじゃないか。そういう位置づけにすると、金融の力を使って環境問題をブレークスルーしていこうという、この専門委員会の趣旨にもあうので、せっかくだからつくろうと、つくった以上、何かにつなげていこうという方向だけでも出せるといいのかなと思います。これは個人的な思いであります。

○末吉委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○伊東委員 この環境の問題というのは、政府とか政策レベル、それといわゆる各経済主体、そこがうまく連携していかないとなかなか解決していかないんじゃないかと思います。
 そして今置かれている状況というのは、割と時間的な余裕というのは、そんなになくて、すぐ取り組まないといけなくて、実効性のある具体策を出していかないといけない状況にあるという、基本的な認識がまず必要かと思います。
 そうしたときに、もうちょっと各論の話をすると、金融というのは資源配分を規定できる力がありますから、それを通じて世の中の経済主体の行動を、政策の目指す方向に向かいやすくするという大きな使命があると思います。そして、具体的な話をすると、1つは、環境が悪化してしまうのを防がないといけない。そこは、大きなプロジェクトとしては赤道原則のようなもので歯止めをかける。それから、もっと身近な間接金融の世界では、土壌汚染の予防とか、地域の環境悪化というのが、中小規模の金融機関まで含めて既に、審査のプロセスにかなり取り入れられているというのが現状だと思います。よって環境悪化を防ぐところは相応に対応してきている状況にあると認識しています。
 一方、環境にいいことをやってゆく様に各経済主体の行動を変えていって、もしかしたらそれは産業構造もかなり変えていかないといけないかも知れません。そして、環境をドライバーにした成長戦略とも合致していることが求められており、最終的にはそれが雇用を生み出すようなところまで持っていかないといけない。
 そうすると、資源配分を持っている金融機関がその金融の機能を通じてこうした流れを後押しして行くことが重要だと思うのです。具体的には個人でも企業でも環境にいいことをやっていれば、すなわちそれは社会全体としては厚生という意味での利益(ウェルフェア)を生み出しているわけですから、環境負荷が低減されていたり環境が良化していれば、それは個別の金融機関のスプレッドには入らなくても、そういうような動きをしている経済主体に積極的にお金を回してゆく(融資や投資をする)ことに取り組まなければならない。そういったときに、機関投資家のところは確かにPRIというのがあるんですが、間接金融のところは実はこれは政策投資銀行さんと私ども三菱UFJがUNEP FI(国連環境計画の金融イニシアチブ)の日本のヘッドを最初、政策投資銀行さんがやって、それから次は私どもがやっているんですが、まだまだ本当に私が申し上げたレベルまでいっているかというと、私どもの力不足もあってそこまで行っていないなと思います。
 それから、金融機関の自発的な動きが期が熟するのを待っていると、あと何年かかるかということもありますから、そこは環境省、それから金融庁、それから一部経産省にもうまく連携して頂いて後押しをしてもらうことが、ピッチを速める上でも非常に重要なことかなと思っています。
 そして、最終的は金融機関は格付けをやって、格付けというのはプライシングの裏返しですから、デフォルトするリスクを見ているわけです。本来ならば理想的には格付けのプロセスに環境への取組の具合というのが入れられるといいんだけれども、残念ながら、私ども三菱UFJの力でもなかなかそれはいろいろなデータ的なものとか、企業がデフォルトするかどうかというのは環境への取組だけで決まらないということがあるんですね。
 これは山田さんからもご意見いただきたいところなんですけれども、せめて環境に対していいことをやっている人については、インセンティブ、具体的には融資の期間を長くしてあげて、年間の返済額を少なくしたり、金利を社会的な利益の分まで銀行も公共性があるから下げようとか、そこら辺が環境格付けの考え方です。そういったような考え方は、今日の黒川さんのご説明に全部網羅されているなと思いました。
 よって、中身について、私どもとしてはそんなに大きな異論はないというふうに思います。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 佐藤さん、地域金融機関からいかがでしょうか。

○佐藤委員 まず、私どものレベルで、こういった形で参加していくことは必要なのかなと。当然、企業にとっても環境に配慮していることがプラスになる。一方で金融機関としてもこうした取組が逆に選ばれていくことになり、結果強くなっていくのかなと。
 私どもの場合、機関投資家という面もありますけれども、やはり中心は、融資を通じた環境配慮の行動、そちらが中心になろうかと思います。先ほど環境格付けのお話が先生からありましたが、私ども今取り組んでいるんですけれども、やはり中堅、中小企業向けに簡易なものがよいのでは。
 例えば、環境省さんの融資に絡んだ環境格付けであれば、担当者がお客様のところに行って、チェックできる部分がかなりあるんです。ですから、ああいった分野をこれからさらに取り組んでいただければ、あまり難しいレベルでなくても、中堅、中小企業の皆さんにも意識していただける。環境格付けを2つに分けるかちょっとわかりませんけれども、簡易なものをつくっていただくのもよろしいのかなと思っています。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 中小企業への広がり、裾野への広がりという意味では、大変重要だと思います。
 あとはいかがですか。
 指名して悪いんですけれども、本郷先生、いかがですか。

○本郷委員 すみません。私、ちょっと素人なもので、ピントはずれの質問をするかもしれませんけれどもよろしいでしょうか。

○末吉委員長 はい、どうぞ。

○本郷委員 先ほど山田さんのお話を大変面白い話でありがとうございました。本当に名前、会長はグリーンっていうんですか。うそみたいな話だって、それが一番ちょっと印象に残ったんですが。それはちょっと余計な話なんですけれども。
 責任投資原則を見ていると、そんなに難しいことは書いてないなと思って見ていたんですが、逆に1つ金融行動原則は環境というのは除いた、普通の金融原則というのはあるんですよね。グローバルに。環境という冠を入れない、金融機関、あるいは機関投資家、これはないですか、そういうのは。

○末吉委員長 先ほど、一般のジェネラルなという意味ですか。

○本郷委員 基本的には、まずそれが前提ですよね。その上に環境というのが多分乗っかったほうがいいんじゃないかと思います。広げるとかそういうことではなくて、そうするとそんなに難しい話ではないなという気は実は、環境というフレーバーがかかればいいということで考えると。
 何で私がこんな話をするかと言いますと、我々でも会計の世界でも、例えば学校法人会計というのをつくったことがあるんですけれども、わかりにくいんです。そうすると、プロだけでやっていて、多分、我々会計専門をやっている人の1割もわからないんです。ですから、そう言うのをちょっと避けたほうがいいんじゃないかと思います。
 ウィキペディアという百科事典、最近投稿者が少なくなったということで、なぜかと言うと、結局素人が参加しにくいというんです。プロだけの書き込みになって、ちょっと素人っぽいものを書くと全部消し込まれる。ですから、基本的にもし投資原則を普及させるんでしたら、やはり新規参入の人たちがどんどん、例えば佐藤さんみたいに地域金融機関の人がどんどん参加していくというような形で、総論とか中身はともかく、そういう形でやられたほうがいいんじゃないかと。
 あと普及の形態なんですが、グリーンさんかリーダーシップとってやっていらっしゃって、なおかつこれだけグローバルな企業で、これだけ普及させるということは大変なことだと思いますけれども、僕はこれもやはりある信託銀行のトップが一生懸命力を入れて、パンフレットまでつくってやっていて、私がちょっと興味があったので、これは環境と関係ないんですが、行ったところ、担当者のほうがしらけていて、全然動かないんです。ですから、金融機関の中で、トップが音頭をとって、それを本当に普及させるようなことを考えるようなことをしていかないと、これと直接関係あるかどうかわかりませんけれども、かなりエネルギーが要ると思います。
 環境ファイナンスにしても、先ほど山田さんがおっしゃったように、スプレッドをとれなければ、はっきり言って、出すほうだって、機関投資家でも、ファンドでもリターンがないと面白くないわけでして、普及しないですから。
 それともう1つ、今度は地球温暖化対策基本法ができますよね。あれは私は画期的にすごくいいのではないかと思うのは、今まで日本の政治で基本法を入れると全部世の中変わって、以前、土地基本法を入れたおかげで、いいかどうかは別にしまして土地神話がガタガタ崩れました。その前に農業基本法をやったときには、兼業農家になっちゃって、農業の政策がガラッと変わって、ですから、ここが私はそういうのと投資原則がある程度連動できるようにすると間違いなく、これはもう根拠がないんですけれども、実務的に言うと、全部改革基本法というのは小泉内閣ができて、いいか悪いかは別にしまして、地方がガラッと変わったんですね。
 ですから、ぜひそういうのと何か連動するような格好でできないかなと、ちょっとすみません、素人っぽい話で申し訳ないです。よろしくお願いします。

○末吉委員長 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思っていまして、やはり入口というか原則そのものは当事者のみならず社会全体で見てわかりやすさがなければいけません。
 それから、原則の結果がどういう行動に表れているのかというのもやはり社会から見てわかりやすさがないと駄目なんだと思います。でも、実際にそれを実行するのは金融機関だとすれば、そこは結構専門性が求められる話ではないかと思っています。
 それから、他との連動性というか齟齬のないというのは全くそうだと思いますけれども、ただ一方では、少し明示的に今不足している、これからやらなければいけない環境についてどうするんだというそういうスペシフィックな目的性も持たせないと、あまりジェネラルになると、それはもう普通の銀行行動じゃないかというふうになっても、わざわざつくる意味が薄らいでくるような気もいたします。
 ですから、先ほど藤井先生もおっしゃっていた話でありますけれども、多分、世界では、規模が大きくなればなるほど、複数の原則に入っているというのが今普通になっている。HSBCさんだって幾つもの原則とかプリンシプルに参画されていると思います。日本の金融機関もそうであります。
 とすれば、複数参画することは必ずしもおかしいことではないと思います。一方では、例えばUNEP FIは今181機関しかないんです。私の関連しているのではPRIで680ぐらい、700弱です。それから、少し離れますけれども、CDP、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトは去年で450金融機関ぐらいです。とすると、世界に何千、何万とある金融機関の中のごくごく一部なんです、そういうグローバルな中に入っているのは、それに入っている日本の金融機関は全部おしなべて20以下です。ですから、日本の金融機関の数をどれだけ数えるかですけれども、数百あるうちのごくごく一部しかまだこういったことに参画してないということでありますから、広い意味で日本の金融機関が佐藤さんのところも含めて、多くの金融機関が参画できるような一緒の旗を掲げるというようなことも議論はあり得るのかなという気がいたします。
 ちょっと総論のところに時間かけ過ぎましたけれども、このことが次の議論をまたうまく進めていけると思います。
 どうぞ、川上さん。

○川上総務課長 事務局から若干の補足をさせていただきます。環境省の本件についての立ち位置は、極めて触媒役と申しますか、たまたま今回、黒川補佐からご説明させていただいておりますけれども、藤井委員以下のご議論に答えさせていただくとすれば、本件についてまさに環境省がどこまでコミットするかということを含めて、まさにここでご議論いただく。それから、前回の中でも、これは文章で書くこと自体は、ある程度関係者が一晩かけて考えれば書ける内容だと思うんですが、それをムーブメントとして、それをどう金融界、経済界、社会全体に広げていくかということはむしろ大事だろうということはご指摘がございました。まさに私どもそう思っておりまして、今日はたまたま事務局として触媒役ということでこういうことをご提案させていただいておりますけれども、この後、環境省がどこまでコミットするかということも含め、それからそれを全体のムーブメントとしてどう進めていっていただくのが一番望ましいかということを幅広くご議論いただくということが有益ではないかと思っております。

○末吉委員長 川上さん、どうもありがとうございました。
 藤井さん、どうぞ。

○藤井委員 すみません。何度も言って……。
 それはそれでもいいと言えばいいんですけれども、要するに私が期待しているのは、先ほど竹ケ原さんが言われたようなオランダのGFSのようなものとか、佐藤さんの言われた簡易版の格付けガイドラインみたいなものとか、そういうものは政策がコミットするとすごく進めやすい。ですから、日本版の声明も、もちろんいいかもしれませんけれども、もう少し具体的な活動、かつ山田さんの言われるクレディブルパスは、HSBCは自らリスクをとれる。ところが、日本の金融機関はその手前で立ち止まっているわけですから、そこで政策的なサポートがあれば、つまり簡易版の格付けがあり、GFSによる税金の優遇があれば、日本の金融機関ももう一歩踏み出せる。というようなものを私は期待していますし、国がやるのはそういうところであろうと思います。
 私は、個人的には例えばアメリカのEPAがやっているような制度的な仕組みが望ましいと思います。EPA自体が、環境金融委員会をつくっています。そして、地方自治体と提携して、地域の環境プロジェクトにファイナンスをしていく。もちろん地元の金融機関とも提携していくわけですけれども、そうしたプロジェクトの場合、政策がコミットする意味がある。それによってまさに政府は触媒になって、伊東さんの言われるような金融機関の資源配分機能を刺激する、有効に活用する、という施策を中央環境審議会総合政策部会、環境と金融に関する専門委員会が提示することを期待したい。
 ですから、この行動原則ばかりを議論していても議論は進まないと思います。これはOne of themというか、むしろどちらかといえば本来は自主的な金融機関の活動の分野なので、もっとやるべき政策課題を提示してやったほうがいいんじゃないですか。

○末吉委員長 藤井さん、それはそのとおりなんですよ。だから、今日はたまたま5回目が原則を出すとしたらこういう話じゃないですかというのを議論しましょうという話で、これまで4回やってきた議論はそういうのもたくさん含まれておりますから、ぜひこの会の結論としてはおっしゃるようなことを本当に動かすようなことをぜひ言いましょうよ。

○関委員 金融機関の原則や宣言は、世界中に有名なものだけではなくて、あまり知られてないものもたくさんあります。たとえばWBCSDが、金融機関の役割に注目して『ファイナンシングチェンジ』っていう本を90年代に出しました。そして2002年にはWBCSDに加盟している金融機関の間での声明を出し、私ども損保ジャパンもそれに署名したんです。このように金融機関の自主的なイニシアチブというのは、過去からたくさんあるんですが、今、議論が出ているように、これから日本にとって必要なのはやはり環境金融をもっと桁違いにスケールアップしていくための政策です。金融機関とステークホルダーとの協働のなかでも、特に一番大事なのは政策との連動だと思います。政策があって、そこにうまく金融がかみあって、大きなスケールになっていくという話だと思うので、そこを意識していく。原則の中に入れるかどうかは別としても、こういう場で議論する意味もそこが非常に大きいのではないかなと思います。

○末吉委員長 山田さん、どうぞ。

○山田氏 感想を1つだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 最初、日本版のPRIができるアイデアがあるときに、何で別につくるのかなというのが実は最初の正直な印象でした。ところが、こうやってお話を伺ってみますと、まさにこういう共通の場で、触媒役を果たしてくださる環境省の下で、1つの基本的な合意ができるということは大変意味があるなということを改めて感じています。
 その中で、1つあえて申し上げるとすれば、日本の環境金融の焦点というのは、どちらかと言うと、商品レベル、あるいはいかに環境にやさしい金融機関の行動を側面援助するか。いわゆるポジティブインセンティブ型のスキームが多いんです。これは、決して悪いことではなくて、もう素晴らしいことなんですけれども、私がご紹介申し上げたHSBCの取組というのは、どちらかと言うと、ネガティブスクリーン型と言いますか、環境に悪影響がある活動に対して、「ノー」と言うという部分があります。
 これは、組み合わせでありまして、どちらかだけでいいということではなくて、両方が必要だというふうに思っておりますが、そういうネガティブスクリーン的な側面も今日の原則、総論、各論を見ていきますと、随所に隠れて読み取れるようには書いてあるような気もするんですけれども、ポイントとして重要な部分かなと私は個人的に思っているものですから、ご指摘をさせていただきたいと思いました。
 先ほどちょっと中途半端なご紹介になったんですけれども、カーボンクレジットカードのように、既存の金融商品でどう取り組むかということを超えて、全く従前のフレームワークとは別の次元から、スポンと金融の他の機能のためにでき上がった仕組みが、環境問題に大変革新的な解決を与えてくれるかもしれない。そういう構想が世の中にはあるんです。従来型の金融商品を通じて何ができるかということだけでなく、金融の決済などの仕掛けを使ってできることが他にもあるのではないかということです。たとえばかつて通貨の世界には金本位制がありました。アカデミックな世界では通貨発行量を金ではなく炭素排出権とリンクさせる案、すなわち「カーボン本位制」の世界通貨が提案・議論されています。カーボン本位制の通貨がすぐにできるとは思いませんけれども、やはりそのレベルの議論が世の中では、海外では進んでいるということをぜひご認識いただきたいなというふうに思います。

○末吉委員長 ありがとうございます。僕も全く同感でして、ネガティブとおっしゃいましたけれども、本当に日本の金融機関が「ノー」を言うかなんですよね。駄目なものに「ノー」を言えるかどうかです。
 それから、新しい融資に対して、新しい基準を適用するのは当然だとしても、既存のこれまでの貸出に新しいルールを適用し得るのかどうか。こういうこともしていかないと本当の変革は出ないような気もいたします。
 あと何かご意見ありますか。
 伊東さん、どうぞ。

○伊東委員 簡単に申し上げます。資料3の1ページにある各論の内容については、個別の金融機関としては、宣言がつくられようとつくられまいと、私どもはやっていくつもりであります。これがまず1つです。
 それから、あまり難しく考える必要はなくて、いわゆる金融機関がお取引先との間でお取引先が環境に悪いことをやってないかどうか、チェックしていますか、というのが1つです。
 それから、お取引先がまさしく環境負荷(CO2排出)を軽減するためにお金が要るといったときに、お貸しているものがあったら、それをちゃんと補足して開示しましょう、これが2つ目です。
 それから、お取引先が日ごろの活動で、法人も個人も環境にいいことをやっている、そういったところを見て、融資の中に何らかのインセンティブが働く仕掛けを作っていますか。これが3つめです。
 それから、まさしく-25%ではないですけれども、社会全体の環境負荷低減のための金融商品サービスで工夫をこらしてやっていますか。
 この4つぐらいを原則にして、そういったものを例えば私のイメージとしては、環境と金融ですから、最終的には、金融庁とも連携をとっていただいて、例えば、金融庁が金融機関に検査に入るときの検査マニュアルが開示されていますけれども、この検査マニュアルに入検査時には各金融機関の自主的な取組をぜひ見せてください。こういうことが書き加えられただけでも、各金融機関は一生懸命やると思います。繰り返しになりますが、別にどこまでやってくださいとかを示す必要は無く、例えば4つの原則に基づいて、各金融機関がどういうところまでやっているのかを見させてもらいますと金融庁が意思表示することが有効だと申し上げたいのです。
 そして、いろいろな金融機関がありますから、小さい金融機関までやって、それは地元密着とかレベルがいろいろあっていいんです。また、具体的にスタートするまでには若干の猶予を、例えば1年間くらいあったほうがいいのかなと、こんなふうに思います。それ自身はそんなに難しいことではないのではないでしょうか。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 実はこのテーマでの時間がちょっと過ぎてしまいまして、今のこの原則について何か言い足りなかったと思われる方がいらっしゃいましたら、よろしいですか。

○崎田委員 この最後の関係者の参加と継続的な仕組みという中で、実際に金融機関の皆さんが参加されるというのは素晴らしいと思うんですが、そこにやはりほかのステークホルダーもきちんと入っていたほうが、やはり後々皆さんがやっていらっしゃることをきちんと社会が共有していくという作業にはとてもいいんじゃないかなと思いますので、何か金融機関だけというよりはもう少し、もちろん金融機関が中心なんですけれども、そこにそういうほかのステークホルダーの視点も入れていくという道も残しておいていただくといいかなという感じがいたしました。

○末吉委員長 それはぜひ議論しようというか、実際に原則をつくられるプロセスでそういったことは反映させて、どこまでバウンダリーを広げるかですよね。非常に大切なことだと思います。
 よろしいですか。とりあえずここで打ち切りまして、次の機関投資家への環境配慮投資への参加について、ということで進めたいと思います。
 黒川さん、お願いします。

○黒川環境計画課長補佐 資料4をご覧ください。機関投資家の環境配慮投資への参加について、ということで、これも前回粗ごなしの議論をいただきましたので、これまた若干簡単に紹介いたします。
 別紙がついておりますが、大きく3つぐらい議論されまして、1つは受託者責任についてでありまして、これは海外、いろいろなUNEP FIの報告書などを見ると、世界的には受託者責任に反しない。むしろ受託者責任を考えるなら、ESGを考慮して運用すべきだという方向に向かっているという議論でございました。
 あとは環境配慮投資方針の開示について、年金基金などが環境配慮するときに開示させるようなどういう方針でやっているかという、開示するようなシステムというのがあるということを紹介し、それでいろいろなご議論がありまして、例えば一番上の○の下のところで、社会的に重要な問題については、そういうことを法制化するということもあり得るのではないかということですとか、2つ目の○で、機関投資家に環境配慮投資を促す、これは呼びかけでやるというよりは、何らかの法的な手段でやっていくということで、特に年金基金への情報開示というのがポイントなんじゃないかということがあり、その下で、そういう法的にということではなく、ガイドラインとしてそういう規則も入れるというケースもある。そういった議論がなされたということでございます。
 次の裏のページに行きまして、資金の潜在的な保有者の意識の把握というふうに書きましたけれども、機関投資家、年金基金が何か、そういう環境配慮投資に取り組もうと言いましても、結局、機関投資家にとっての持っているお金では潜在的にないわけでありまして、誰かから預かっているお金ということでありまして、一番上の○で、機関投資家のトップダウンのコミットメント、これも大事なんだけれども、年金なら加入者、そういったような潜在的なお金を持っている人、そういった人の意識、どう考えているかをはっきりさせることも重要だというようなことですとか、2つ目の○で、加入者とか周りのステークホルダーから応援の声をもらうような仕組みがないとなかなか目標だけではうまく進まない。そういったご議論がございました。
 ということで今日さらにもうちょっと議論していただきたいというのが、表の資料4というところに戻りまして、先ほど3つご紹介いたしましたが、受託者責任が若干法的な理屈的な整理でございまして、本日はちょっとまた後日ないし事務的にまとめるということかと思っておりますので、この1と2というふうに書きましたけれども、1つ目が年金基金によるESG配慮についての開示でありまして、開示の取組を拡大するというための仕組みとして考えられるものは、法律のように開示の義務づけといったものもありますけれども、なかなかそこまで一足飛びに行くかなということもございまして、例えばそういうガイドラインをつくるとか、先ほど申しました行動原則をつくったとしたら、そういったところに参加した人は、みんな開示していく。そういったことが考えられるのかなということでございます。
 次に、どういったことをどういう形で、どれぐらいの詳しさで開示するのかということでございますけれども、これはちょっとイギリスの例を当たってみましたので、簡単にご紹介しますと、参考資料4、25ページです。
 25ページに、イギリス年金法で開示が義務づけられているというものを前回ご紹介しましたが、どれぐらい書いておるかということでございまして、このUSSというイギリスの大学退職年金制度というもので、投資方針にどれぐらいの分量でどれぐらい書かれているかということでございまして、これは、何カ所かに出てきましたので抜粋をしております。
 25ページのまん中辺りのところで、責任ある企業行動を促進することによって、ファンド投資の長期にわたる価値の確保と強化を期待するということが書いてあったり、その下の6.2とあるところで、全てのファンドの投資において、財務的な要素だけではなく、コーポレートガバナンス、社会的・倫理的・環境に関する要素も配慮させる。といったようなことです。
 26ページに行きまして、6.3とか6.4に書いてあるようなことが記載されているといったようなことを調べたということでございます。
 そういったようなことを前提に、我が国でそういったことを求めるとすれば、どういうところにどういう内容のものを書くといいのかなというようなことでございます。
 次に、2ということで、先ほどからも何回か似たような議論も出ておりますが、その年金基金による取組と言いましても、結局、持ち主は国民なわけでありまして、そういった潜在的な資金の保有者である国民がやるべきだという意識にならないとなかなか預かっているほうだけでやろうとしても難しいということもありましょうから、国民の意識はそういったような点についてどう思っているんだろうか。どうやって把握していくのかということですとか、あるいはなかなかそこまで意識が達していないとしたら、どうやってそういうことについて国民的行為を得ていくのかといったようなことがポイントなのかなというふうに思っています。
 1つ紹介しますと、参考資料の7というのがございまして、51ページ、最後の1枚になるんですけれども、これは労働組合の連合において、こういう議論がなされているというものの紹介でありまして、これは2009年1月22日と書いてあるように、昨年1月につくったものですけれども、連合がこういう考えをまとめているということです。全体としては、いろいろな企業法制とかに関していろいろなことが書いてあるわけですけれども、その中でSRIとかESGの配慮についてもやるべきだということをおっしゃっておりまして、より具体的には、52ページでございますけれども、下のほう、社会的責任投資に対する考え方というふうに書いておりますけれども、こういう公的年金とか企業年金の運用主体に対して、運用方針にESGへの配慮を盛り込むべきだということをおっしゃっておられる。
 そういうことを踏まえて、一番下の○のところで、連合はという主語の文がありますけれども、連合は企業年金労働側の理事に対して、社会的年金積立金運用ガイドラインというものをつくって、それを示して、こういうふうな配慮をしましょう、ということを連合として議論するということが議論されているようなことでございまして、今このガイドラインの策定に向けて、中で議論が進められているというふうに伺っております。以上です。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 残り時間が15分しかないんですけれども、この件について何かご意見ございますでしょうか。
 この委員会の議論全般を通じてのことでもありますけれども、何をやるかの目に見える結果だけの議論も大変重要なんですけれども、その前になぜしなければいけないんだと。なぜする必要があるんだと。例えばここで言えば、年金基金にESG配慮を求めることがいいのかわるいのか、あるいは年金は当然ESG配慮をすべきなんだというような議論なのか。その辺のところはどうでしょうか。まず、出発点としては。今さらながらのこともあるんですけれども、少し時間の制約もあるので、ちょっとその辺のところ、最初にお話を伺いたいと思っております。

○崎田委員 一般的と言うと変なんですが、ここ数年、例えば風力発電の風車をみんなでつくりましょうというと急激にお金が集まるとか、環境問題に関心のある方、市民にとっては非常にこういう話題、金融機関がきちんと環境配慮を支えるということに非常に関心が高まっている。問題は、社会全体に例えば税金が高くなると大変だねという議論をする。すぐそういうふうな発信になるようなところにやはり大事だということをきちんと伝えていくという、そういう広がりが今必要な時期なんじゃないかなというふうに思っています。
 私は、まずこういう大きな環境分野の投資、金融機関の取組の中で、まず年金がこういうふうに一番最初に取り組んでくださるということは大変重要なことだと思っています。はやりそういう大きな枠の中で、それを運用するということでまずエンジンを回していくということですので、やっていただきたいと思っているんですけれども、それをやるときに、やはりその内部の年金を出している、今ここには国民の意識と書いてありますけれども、それぞれが自分たちの年金の対象者に対して、きちんとコミュニケーションしていただくという、そういうプロセスを持っていただくことが大変重要だというふうに思っています。
 ですから、以前私は、公的ないろいろな省庁が持っていらっしゃるような年金をまずチャレンジしてくださいと申し上げたのは、きっとそういうことを最初にわかっていただけるのかなと思ったんです。
 でも、今、資料を拝見していましたら、いろいろな組合などで既にこういう議論がなされているということを伺って、大変勇気づけられました。やはりこういうところにきちんと呼びかけながら、コミュニケーションをしながらきちんと広げていくというところが大事なのではないかというふうに思っています。

○末吉委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○藤井委員 これは、先ほどの議論と関連していますが、金融の行動としての長期投資の年金基金は株、債券を軸に運用されるわけです。その投資対象となる主に株の場合の企業において、ESG取組が行われている企業をいかに投資家として選別、判断するかが問われています。年金基金は、加入者に年金を払わなければいけませんから、そうしたESGに配慮した結果が、年金基金としての長期的なリターンの還元により資するという、そういうメカニズムが働くはずだという前提での議論です。
 ですから、その場合に、もちろん金融市場は変動しますから、実際に年金基金の運用はマイナスになることもあります。ですから、そういう短期的な変動があるけれども、長期投資の中にESGを評価するという投資家がいることによって、企業のESG取組もサポートされ、企業が事業価値の中にESGを取り込んでいけるというよいサイクルをつくっていくためには、年金基金は、市場の変動によって、短期のロスも生じるわけですけれども、基本姿勢としては、ESGを企業価値をみる1つの指針として組み込めるのかどうか、組み込んだ運用をしているのかどうかということを、担保していかなければいけないということだと思います。
 そのための、あるいはそれに資するような年金基金のガバナンスになっているかどうか、ということと、先ほど言われたように、ステークホルダーとしての年金加入者がそういう説明をちゃんと年金基金のほうから受けているのかどうか。そのガバナンスとステークホルダーへの情報開示というものが現状のままでいいのかどうかというのが一つの論点だと思います。これに対して、イギリスの年金法のような形で、法的にESG運用を担保するのか、という問題だと思います。
 我が国の現状で言えば、PRIに加盟している年金基金はほんのわずかでありますし、今でも運用で大きなロスを出しても、別にESGでロスを出しているわけではないですけれども、一応、年金加入者には説明のパンフレットを送っているでしょうけれども、加入している我々のほうも、ほとんどそれについて考えていない。JALのようになれば大変だと気づくのですが。普段は大丈夫だとみんな思っている。ここのところに、そうではないんですよ、やはりESGを選んでいる年金基金、重視しているほうがサステナブルだということがわかるような仕組みが求められると思います。それは結局は、法制度が必要だと思うのですけれども、そうした仕組みにしていかないと、年金基金のほうから自主的に動くのを待っていると、非常に時間がかかることではないかなと思います。

○末吉委員長 私は、この年金基金、特に、公的年金などにESG問題をどう反映させるのかということが、ちょっと日本の金融のあり方に革命的なものの考え方の転換を迫る話だと思います。
 それぐらいの覚悟と議論が必要だと思うんですけれども、その短期的なリターンと長期的な、必ずしもお金ではかれないリターンとの関係というのは、一般の人は理解するんですか。あるいは専門家の人も理解しているんですか。そういったことをどう考えていますか。そもそもの出発点としては。

○藤井委員 短期と長期で分ける意味はないと思います。
 当然、年金基金も大きな市場変動のときには短期的に資産の入れ替えをやります。それから、ヘッジファンドにもいろいろあるわけだけれども、短期投資と思われるファンドも、それが儲かるならば、当然長期に維持するでしょう。例えば、バフェットはそうだと思います。バフェッドはヘッジファンドではないですけれども。
 ですから、短期か長期かということで、年金基金なり機関投資家を分けるというよりも、企業価値の中にESGが入っていることを評価できるかどうか。評価しているかどうかということが大事だと思います。

○末吉委員長 今の点、いかがですか。

○藤井委員 ですから、例えば国家公務員共済は、すでに一部でSRI運用をやっているわけです。しかし、そういうものは情報開示されていない。そういうところも、ちょっとガバナンスの問題が1つあるのではないかと思います。
 年金基金なり機関投資家は、現状でも、ESGはあさっての話だよとは思ってはいない。それぞれ研究され、あるいは実際に運営もされているところもある。けれども、情報開示することになぜ躊躇しているのかはよくわからないのですが、もしもESG運用が原因でロスが増えた場合に追及されるのが怖いのか。いずれにしても、そういった水面下ですでに活動している動きが、自然と表に出るような仕組みづくりが要るのではないかなと思います。

○末吉委員長 向畑さん、どうですか。実際のファンドマネージャーのお立場で。

○向畑委員 私が担当しているSRIファンドというのは、個人投信とあと企業年金と公的年金とそれぞれ担当させていただいています。
 普段のお客様への説明等を伺って感じるところは、やはり皆さんそれぞれニーズがやはり違うなと思います。
 個人投資の世界で言うとやはり先進的、草の根的にいい会社に投資をしたいということで、やはりこういうお客様に対しては、何らかのポジティブインセンティブというか、私は第2回のときに相続税の話をしましたけれども、そういった形でいったほうがいいんじゃないかと。今まさに議論になっている企業年金、公的年金の世界では、先進的なところはこういった形でいろいろな指針を出されていますけれども、やはりその中でも実際にリスク水準、期待リターン、ESGに対する取組スタンスというか距離感というか、それはやはりお客様によっても企業年金さんの中でもいろいろ違いますし、公的年金さんでもやはり違うなというのが実感としてありまして、運用者としては、説明責任といったところに本当にどこに着眼点を当てて、このお客様に対してはご説明をしたらいいんだろうかというところが、非常にわかりにくいケースもある。
 ですから、そこの辺が、行動原則なり自らの団体の中でどういう方針でいきましょう、どういうリスク水準で、そのかわりどういう期間の長さで、だけれどもESGはこういった温度差で見ていきましょう、みたいなものがコミュニケーションがきちんととれると、そういったところにきちんと説明責任を果たして、しっかりそこのリスクは絶対にはずさないようにすることによってきちんと受託者責任というものを全うするという形で、本当に、どこが議論の中心になるのかというのは、ややもするとパフォーマンスに当たるときもあったり、ESGはなおざりになるときもあったり、もう一回戻ってきたり、あまり軸がブレてしまうというのはやはり運用者としては非常にやりにくいし、実際に資金を拠出していらっしゃるお客様さんとしても実は本位でない議論をそのときにしているのかもしれないというところがありますので、取りまとめますと、ニーズはそれぞれあるので、そのニーズをいかに我々も汲み取ってやっていくかと。そのためのコミュニケーションをしているかという中で、せっかく今環境というのはみな重要だという認識は出てきていると思いますので、まさにこういった形でのムーブメントを利用してと言いますか、真剣にうちはどういうスタンスで行くんだと。その行動指針を示してもらって、こういう形でうちはやりますというところがもしあれば、それに対する商品をきちんと提供していく。金融ありきでは話は進みませんし、事業会社が成長していっていただかないと、お金が流れても長続きしない。しかも今も日本だけではなくて、日本の稼いでいる会社さんは海外で稼いでいる会社さんが多くて、我々中国株SRIというのも始めようと最近準備しているんですけれども、やはりSRIという視点で、関心がある、成長も取り込んでいきたいということで、中国にも目を向けていくという商品をやろうとしているんですけれども、やはりお客様のニーズがどこにあるかというところを非常に今意識して、運用者として管理しているというというところです。

○末吉委員長 今、投資家というかアセットオーナーのニーズがバラバラだとおっしゃったんですけれども、一方で受託者責任の解釈は最近気づいてないアセットオーナーがいたら積極的に問題提起しろと、ESGを考えなければ困りますよねという、そういうことまで求め始めているわけです。まだ、気づいてない投資家に、この大切さを訴えろと。それでよく考えてもらえというこういう流れが出てきておりますし、それから、一方では先月SECがガイドラインの見直しをしましたので、やがてアメリカの上場企業からクライメート・チェンジに関する情報が開示されてきますよね。
 そうするといや応でも分析の対象のデータが出てくるわけですから、比較検討せざるを得なくなってくる。だから、もう原則をどうのこうのうと言う以前に、もう実態のほうが変わっていく可能性もあるわけです。その辺はどうですか。追っかけっこかもしれません。

○向畑委員 その辺は、HSBCさんの例でもお話しされたように、トップの強いコミットメントがいかにはっきりしていて、それをどう組織の中全体に浸透させていくか。この二段構えが必要なんじゃないかと思います。そこがないと、方向はわかっているんだけれども、ESGが例えばやっていてもリターンが悪いので、多分また上から追及されたら嫌なのでとか、議論がずっと回ってしまうので、トップのコミットメントとそれをいかに浸透して、全員がその趣旨を理解して、今とるべき行動は何なのかというのを真剣に考えるということしか解決策はないのかなという形です。

○末吉委員長 トップの意思を変えるために、こういう行動で全体で何かをしましょうというのは何かワークするんでしょうか。

○向畑委員 やはりそういった行動原則、日本版がいいのか、その上の原則がいいのかきっちりとそれを立てて、それに対して、各組織がどうコミットするのかしないのかというのを1つ宣言してもらうというのは、まずトップにいる人が、その組織をどういうふうに運営しようかというのを考えるときに、いいきっかけにはなると思います。

○末吉委員長 どうぞ、山田さん。

○山田氏 資産運用に携わっていらっしゃるマネージャーの方はなかなか大変だと思います。今まさにお話があるように、パフォーマンスを求める一方、エコノミックスを求める力と環境配慮があったり、ESGを求める行政の間に溝がある。一種のジレンマの中に常に置かれている。
 1つポイントがあるとすれば、このジレンマを埋める方法はないだろうかということなんですけれども、会計基準というのが1つの鍵ではないかと私は思っています。と言いますのは、もともと環境問題、社会問題含め、いわゆる経済学で言うところの外部不経済、これが企業会計の中に反映されていない、つまりコストとして内部化されていないということが問題を引き起こしているわけです。
 ですから、例えば企業の損益計算書の中に、今まで場合によったら環境へ垂れ流してコストとして認識されていなかったものがコストとして認識されるようになれば、外部不経済が内部化されてコストになってしまう、企業にとってコストになるということになるわけです。つまり、まさに損益計算書上の利益で表されるパフォーマンスとESGの間のジレンマというその溝が、狭まってくる、少なくとも小さくなってくる可能性があるわけです。
 一見、国際会計基準というのは、環境省からご覧になられると、自分たちには関係がないところでの活動のように場合によったら見えるかもしれませんが、むしろ将来の会計基準の中にいかに例えば炭素に関わるコスト、キャップ・アンド・トレードで実際にそれがコスト化されるということが、気候変動問題の取組コストがパフォーマンスに落ち込んでくる1つの大きな仕掛けになっているわけですから、例えばそういったところも環境省の目線が届くリーチの先にぜひ置いていただきたいなというふうに感じます。
 そうしますと、資産運用に携わるマネージャーたちのギャップが少しは縮まってくることになるんではないかというふうに思います。

○末吉委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○向畑委員 私も全くおっしゃるとおりだと思います。今の世界では一部例えば電力会社さんとかが開示しているということがありますけれども、なかなかマーケットに折り込まれているとまでは言えない。大きなムーブメント、やはりみんなが共通して見れる、会計基準にきちんと落とし込めば、当然リスクとしてもわかるし、それがリスクなのかチャンスなのか、それぞれの動きが出てくると思いますので、共通の言語というのは、できたらいいなというふうに本当に思います。ただ、実際にどういうふうにしてやるんだと、なかなかちょっと私自身アイデアがないんですけれども。

○末吉委員長 時間がまいりましたので、そろそろ終わりにしたいんですけれども、ずっと議論をお聞きしていて、私が非常に心配しておりますのは、この議論を取り囲む世界の情勢が実は急速に変わり始めているということじゃないかと思います。お隣の韓国も1月に正式に低炭素グリーン成長基本法というのがスタートしました。イギリスではとっくにそういう法律ができております。日本も環境省さんが今基本法を準備されています。あるいはもうアメリカでは、先ほど出たEPAですか、EPAが今年から1万社に対して、CO2の排出量の報告を求めるとか。
 我々が金融再度から見ていると、お客様のところに情報がないとか、我々が動く土台ができてないとか、こう思っているうちに、実は世界はどんどん準備が進んで具体化が始まっている。むしろ金融機関のほうがそういう変化に取り残されるのではないかというような懸念すら実は私は抱いております。
 ですから、ぜひこの会の議論の方向性、あるいは結論も含めてですけれども、1年や2年ですぐに駄目になるような議論をしているのでは、何のためのことだったのかというような気がいたします。ぜひ5年も10年も耐え得るようなものをぜひ皆さんの議論の中でできればいいと思います。
 すみません、少し時間がオーバーいたしましたけれども、今日は、こちらの議論はこれで終わりにしたいと思います。
 どうも委員の皆さん、ありがとうございました。
 黒川さんのほうにお返しします。

○黒川環境計画課長補佐 この専門委員会、あととりあえず2度ぐらい開催かなと思っております。前回、3月、4月というふうにアナウンスしておりましたが、ちょっと若干準備の時間をいただいて、次回4月の前半辺りに開催させていただきたいと考えております。日程はまた調整をさせていただきます。以上です。

○末吉委員長 黒川さん、ありがとうございました。
 私は、毎回、会場の皆さんにも一言申し上げておりますけれども、ぜひこれは先ほども出ていましたけれども、金融機関だけの話ではないです。
 金融機関同士の話ではなくて、金融機関が産業界や個人や社会とビジネスをするときに、何を大切にしていかなければいけないのかの話であります。これは産業界にとっての自分たちの問題であります。社会の問題であります。ぜひそういったことで、一緒にこの議論の行く末を考えていただきたいと思います。そういったことを強く思いますし、必要であれば、ぜひ金融機関に対して、要求をしていただきたい。こうあってほしい、そういった声もぜひ出していただきたいと思います。
 今日は、本当に熱心な議論を委員の皆様方していただきました。ありがとうございました。
 では、また次回、4月、桜が咲いているかもしれませんけれども、またお会いするのを楽しみにしております。
 どうも今日はありがとうございました。

午後12時06分 閉会

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