環境影響評価制度専門委員会(第3回)議事録

開催日時

平成21年10月28日(水)15:00~16:50

開催場所

弘済会館4階会議室「蘭」

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    1. (一)環境影響評価制度に各論点に係る議論
    2. (二)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1 環境影響評価制度専門委員会委員名簿
資料2-1 前回までの指摘事項について(一覧)
資料2-2 前回までの指摘事項について(交付金の対象事業について)
資料2-3 前回までの指摘事項について(生物の多様性分野における利用可能な自然環境情報について)
資料2-4 前回までの指摘事項について(風力発電施設の設置に関する手続について)
資料3 今後の環境影響評価制度の在り方についての主な意見と論点 その2
資料4 地方公共団体の関与について(政令指定都市の意見提出について)
資料5-1 環境影響評価結果の事業への反映について(許認可の反映について)
資料5-2 環境影響評価結果の事業への反映について(事後調査について)
資料5-3 環境影響評価結果の事業への反映について(未着手案件の環境影響評価手続の再実施について)
資料6 環境影響評価手続の電子化について
資料7 情報交流について
資料8 第2回環境影響評価制度専門委員会における各項目毎の委員意見概要(発言順)

参考資料

参考資料1 環境影響評価法の仕組み
参考資料2 環境影響評価法の対象事業
(以下、委員限り)
参考資料3 環境影響評価制度総合研究会報告書

議事録

午後 3時00分 開会

○花岡課長 定刻となりましたので、これより第3回中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度専門委員会を開催いたします。本日は、ご多用中にもかかわらずご参集いただき、誠にありがとうございます。
本日、屋井委員、鷲谷委員は所用のためご欠席となっております。また、私どものほう三好審議官は所用のため、30分ほど遅れての出席となります。ご了承いただければと思います。
議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

○沼田補佐 では、お手元の議事次第及び資料一覧をご覧ください。
本日の資料でございますが、資料1としまして委員会委員名簿、資料2-1としまして前回までの指摘事項について(一覧)、資料2-2が前回までの指摘事項について(交付金の対象事業について)、資料2-3が前回までの指摘事項について(生物の多様性分野における利用可能な自然環境情報について)、資料2-4が前回までの指摘事項について(風力発電施設の設置に関する手続について)、資料3が今後の環境影響評価制度の在り方についての主な意見と論点 その2、資料4としまして、地方公共団体の関与について(政令指定都市の意見提出について)、資料5-1が環境影響評価結果の事業への反映について(許認可の反映について)、資料5-2が同じく事業への反映について(事後調査について)、資料5-3がこちらも事業への反映について(未着手案件の環境影響評価手続の再実施について)、資料6番が環境影響評価手続の電子化について、資料7番、情報交流について、資料8番としまして、第2回環境影響評価制度専門委員会における各項目毎の委員意見概要(発言順)、参考資料1、2は前回までと同様、環境影響評価法の仕組み及び対象事業、また委員限りとしまして参考資料の3番、総合研究会報告書をおつけしております。
お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

○花岡課長 これより先の議事進行につきましては、浅野委員長にお願いしたいと思います。
プレス、報道の方々には冒頭のカメラ撮りはここまでということでお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、浅野委員長、議事の進行をお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、本日の議事に入ります。
前回に引き続きまして、制度の論点についての議論を進めてまいります。
論点についての前回の皆様方のご意見につきましては、本日は資料の8にその要点を取りまとめております。今回から事務局にお願いいたしまして、皆様方からいただいたご意見をこういう形で資料としてまとめていきたいと思いますので、議論の際には参考にしていただければと存じます。
なお、お断り申し上げておきますが、委員のA、B、Cは同一人物をあらわすものではございません。ご発言の順番に並べております。Aが誰である、Bが誰であるということを詮索してもほとんど意味がありませんので、その点はどうぞご理解をいただきたいと思います。委員長は残念ながら特定されてしまうのですが、これは職責上いたし方ございません。
今後はこういう形でまとめるに当たっては、このまとめかたでよろしいかどうか事務局から事前に確認申し上げますので、ご回答をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
今回の資料8については、一部お返事をいただけなかった方があるということでありますが、お返事をいただけなかった方につきましては、お断りなしに資料とさせていただくことにいたしますので、この点もあわせてご了承いただければと思います。
それでは、前回までに各委員から出されましたご指摘事項について、事務局がどう対処したかについての説明を願います。

○沼田補佐 それでは、前回までの専門委員会におきまして、各委員からいただいた意見について、対応状況を資料2-1から2-4をもとにご説明をいたします。
まず、資料2-1をご覧ください。
前回までの指摘事項一覧としまして、第1回、第2回の専門委員会におきまして、各委員からいただきましたご指摘、ご意見及びその対応状況を整理いたしました。このうち対象事業の中で、前回吉田委員からご指摘いただいた風力発電の条例対象の事例においてバードストライクをどう扱っているか、これにつきましては現在資料を整理中でございますので、次回第4回でご報告をしたいと考えております。それ以外の論点は、基本的にこれ以降の資料の中で順次ご説明をさせていただきます。
では、1枚めくっていただきまして、次の資料2-2をご覧ください。
こちらは交付金の対象事業についてとしまして、第1回の専門委員会の際に田中先生からご指摘をいただきました交付金の交付対象に法対象事業はどれくらい含まれ得るのかという点を整理いたしました。
資料の2.が調査結果でございますが、交付金の交付対象について各省に調査をかけた結果、少なくとも9の交付金に環境影響評価法の対象事業種が含まれ得るということが判明いたしました。9種類の交付金一覧は2ページ目に表としておつけをしております。ただ、このうち7つの交付金につきましては、交付金とは別に法律に基づく許認可がございまして、規模が大きい事業であれば、この許認可のほうで既に環境影響評価法の対象事業とされているという状況にございます。残りの2つ、具体的には1ページ目に書いておりますまちづくり交付金、地域自立活性化交付金、これによって交付される河川工事につきましては、法律の許認可が存在しません。このため、これら事業については交付金事業であるため、法の適用対象にならないケースが起こり得るという状況にございます。
以上が資料2-2の概要でございます。
次に、資料2-3をご覧ください。
こちらは同じく第1回で吉田委員等からご指摘いただきました生物多様性分野の評価において利用可能な自然環境情報について整理をいたしました。
まず、資料1.が全国的調査等により整備されている自然環境情報でございますが、生物多様性分野の評価に利用可能と考えられます既存の自然環境情報のうち、全国的な調査結果を取りまとめている情報について、2ページ目に図1として整理をいたしました。このうちの多くがインターネット上で公開をされておりまして、閲覧やデータ入手が可能となっております。また、図1の一番左上にアセス支援ネットという四角がございますが、これは環境省が設置をしているホームページでございまして、ここからリンクという印が伸びているデータにつきましては、この支援ネットからリンクを張りまして、そこからアクセスをできるというように整備をしております。
また、法令等により指定された自然保護区域等としましては、法令、条例等により指定されている区域の一覧を3ページの表1として一覧にしておりますが、こういった保護区域に関する情報はその区域を管理する省庁、都道府県、市町村で閲覧、入手が可能となっております。
以上が資料2-3の内容でございます。
最後に資料2-4をご覧ください。
こちらは風力発電施設の設置に関する手続について、前回浅野委員長からご指摘をいただいた点の整理でございます。
これは風力発電の施設の設置に関する手続のフローをまとめておりますが、フロー図の真ん中の列が関連法規、許認可を整理した場所でございます。
まず、場所に関わらず必須になる手続としましては、電気事業法に基づく工事計画の届け出等がございます。また、真ん中の右側、条件によって必要となる手続としまして、立地箇所によって自然公園法や森林法の許認可が必要であったり、あるいは下のほうになりますが、これも工作物の大きさや設置の場所などの条件によって建築基準法や道路法、騒音規制法などの個別の法律の手続が必要になる場合もございます。
以上が資料2-4の概要でございます。

○浅野委員長 それでは、ただいま資料2-1から4までについてご説明いただきましたが、これまでの資料についてご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
田中委員、どうぞ。

○田中委員 資料2-3に関連して、確認したいことがありまして、発言させていただきます。
来年にCOP10が名古屋で行われるということで、生物多様性の保全に関する動向に非常に関心が高まっていると思いますが、最近よく生物多様性オフセットというキーワードを目にして、どういう技術動向か、私も概略しか存じておりませんけれども、果たして十分なものであるかどうか。というのは、現状でも課題があるように思うんですが、こうした生物多様性保全に対する新しい技術動向についても、少し調べていただいたらいかがでしょうか。可能な範囲で結構ですので、整理していただければと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 これはご要望として承っておきます。次回までに、あるいはそれ以降になるかもしれませんが、事務局のほうで対応をお願いいたします。
ほかに何かございませんか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 資料2-3のほうどうもありがとうございました。
生物多様性情報については、できる限り最新のものを更新していくということをお願いしたい。予算の関係もあるので、多少遅れることはやむを得ないと思いますが、例えば自然環境局の生物多様性情報システムのレッドデータブック検索システムは、2007年、2008年にレッドリストが大幅に改訂され、1年以上経つにもかかわらず、いまだに昔の情報しか検索できない。幾ら何でも1年以上前のものというのは、遅過ぎると思います。なるべく最新のものを掲載するようにお願いしたい。

○浅野委員長 わかりました。
ご指摘の情報についてはどうかわかりませんが、時としてはホームページのうち、「報道発表資料」などのデータには最新のものが添付ファイルで掲げられているのですが、本来のページのデータは手直ししないでそのまま、という場合があります。一度念のために調べてみてください。今の点はご意見として承っておきます。
ほかにございますか。
では、猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 資料2-4の風力発電施設ですけれども、前回もお話ししましたように、風力については地域性を考慮して条例ですとか、こちらの資料2-4にも載っておりますとおり、NEDOのマニュアルを活用するという形になっており、手続としてはこれでよろしいと思います。一方、「条件によって必要となる手続」の中で、自然公園法や森林法が載っておりますけれども、今後、風力発電施設の設置件数が増えていくだろう中で、設置地点として適地が少ないためにこういった自然公園法等の規制対象となるような地点に風力発電施設を設置したいという要望が増えてくるかもしれません。そうなると、場合によっては条例等と自然公園法等の手続きが重複するような場合が出てくるかもしれませんので、このあたりは将来に向けて、整理が必要ではないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 資料の2-4を出していただいてどうもありがとうございました。
ご説明を簡単にしてくださったので、確認だけさせていただきますけれども、補助金が右のほうに書いてありますけれども、問題は補助金があるかないかではなくて、結局電気事業法の工事計画の認可のところで許認可があって、アセスをやればそこで許認可のところに反映するという可能性があるということかと思いますので、そういう意味ではアセスをやることには大きな意義があるということに一応なる と思いましたので、確認として申し上げさせていただきます。

○浅野委員長 この点は事務局、よろしいですね。

○沼田補佐 例えば、現行法でも他の原子力発電ですとか火力発電、こういったものは電事法に基づく許認可に際しアセスをやっています。

○浅野委員長 そうですね。最終的にはそうなっているということですね。
崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 資料の2-2なんですけれども、この補助金が交付金の対象事業になることで、影響評価から外れるというようなことに関して、地域のほうで環境影響評価に代わるようなきちんとした評価が行われているものがかなり多いというデータは出たんですけれども、この調査では2つほど全くそういうチェックがかからない事業も出るというデータも出ました。こういうデータから、やはり対象を少し広げる、ただ単に交付金事業にも広げるというのではなくて、地域でそういうチェックがかからないものに関してはどうするのかとか、少しそういう議論もあってもよろしいのではないかという気はいたしました。

○浅野委員長 わかりました。追ってまたそれはまとめの段階で議論させていただきます。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 ただいまの2-2でございます。交付金事業は、ここにありますように最近特に増えつつありますが、新政権になりまして、一括交付金というような項目がマニフェストにもございまして、交付金化が今後拡大していくということが十分予想されるところでございます。ただその成り行きはまだ年末の予算編成までよくわかりませんので、状況としてはそういう状況を見た上で判断といいますか、その拡大傾向を踏まえて判断する余地があると思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
それでは、ほかによろしいでしょうか。
よろしければ次に移りたいと思います。
本日は自治体の関与について、それからアセス結果の事業への反映について、そして電子化の問題と情報交流、以上を取り扱っていきたいと思います。
いつも研究会報告書の内容についての整理ペーパーも全部読みあげておりますが、今日はそれをやっていると多分時間が足りなくなるのではないかと思います。ですから、本日追加で提出した資料の説明を中心に進めさせていただきたいと思います。大変申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
それでは、事務局から、まず地方公共団体の関与についてお願いいたします。

○沼田補佐 ただいま座長からもお話がありましたとおり、資料3の説明は省略させていただきまして、資料4のほうをご覧ください。
地方公共団体の関与について、政令指定都市の意見提出関係の資料を整理しております。
まず、資料4の1.現行制度における都道府県知事意見提出までのフローでございますが、これは資料の最後に別紙としてフロー図をおつけいたしました。このフロー図の中で関係市が環境影響評価条例を有する場合、そうでない場合と分けておりますが、ページの上半分、関係市が環境影響評価条例を有する場合、この場合には県は県で条例に基づく審査会を開催いたしまして、一方関係市のほうも条例に基づく審査会を開催した上で都道府県知事に対して意見を出しているという流れになっております。
資料本体のほうに戻っていただきまして、過去に総合研究会で行ったヒアリングの際にも横浜市からは、知事意見の提出期限を1カ月以上前に知事へ意見提出することが求められており、審査会の運営に苦慮しているといった指摘がございます。
次に、資料2.が政令指定都市等における環境影響評価条例の制定状況としまして、条例制定状況を表として整理いたしました。
この表にございますとおり、政令指定都市全18市のうち、現在15市において環境影響評価条例は制定されております。一方、下のほうの表に書いておりますように、政令指定都市以外でも中核市で3市、特例市で2市、また中核市、特例市、いずれでもないところでも2つの市が環境影響評価条例を制定しているという状況にございます。
資料の2ページにいっていただきまして、3.の政令指定都市区域が環境影響区域に含まれた事例といたしまして、これまでに法アセスの手続を終了した案件の中で、実際に影響区域が単独の政令指定都市の中におさまっている事例を整理いたしました。この表に掲載しておりますとおり、これまで6件の事業について、関係地域が単独の政令指定都市の中におさまっている事例が見られております。
次に、資料4.ですが、地方公共団体に権限を移譲している事例、アセス法以外のほかの法制度において都道府県の事務を政令指定都市以下の市におろしている事例を整理いたしました。
これについては大きく2つございまして、まず(1)が政令指定都市のみについて、本来都道府県が行っている権限を委譲している例、また3ページにいきますが、(2)としまして、こちらは政令で定める市に権限を委譲している制度の例としまして、その法律に基づく政令の中で、実際に権限を委譲する市を個別に指定をしていく、こういった事務のおろし方もあるという事例をご紹介しております。
以上が資料4の内容でございます。

○浅野委員長 それでは、資料の4では政令指定都市等の意見提出ということに絞って追加のデータが出ております。このほか資料3をご覧いただきますと、複数の自治体にまたがる事業の審査について、連合審査的なものを取り入れてはどうかということも論点として出ておりますので、この点についても、もし何かご意見があれば承りたいと思います。
それでは、このテーマに関して、まずは中川委員にお願いをいたします。

○中川委員 この法律の現在の制度をどういう考え方で設けられたのかということを少し考えてみました。アセスということについては、都道府県がある面先行しているような施策を展開したということもあって、全部ではないんですが、国の法律制定よりもかなりの都道府県の条例制定のほうが先という実態が1つあったということ、そしてそれに関連してアセスに関するいろいろな面での蓄積とか、あるいは経験とか、能力とかというものについて、国として評価をして都道府県の一定の意見提出というものを認めたのではないかというように考えております。
そういう意味からしますと、それを政令指定都市に適用することは十分可能ではないかというように思いますが、現実問題を見ますと、政令指定都市の中でも条例制定が行われていない市がある。また、逆に政令指定都市でなくても条例制定が行われているというものもある。あまり数値化することはできませんけれども、特に後発といいますか、後から指定された政令指定都市については、いろいろな面で先行の指定都市に比べて全く同水準ということは、必ずしも言えないのかもしれないというように思っております。
その2つの事態を前提として、この問題について考えてみますと、政令指定都市であるということのみをもって、この意見提出をすべて都道府県知事から政令指定都市に渡すというわけにはいかないのではないかというように思っております。
一方では、現在の政令指定都市において、審査スケジュールがタイトになってしまっているというような問題点も指摘されているわけですので、それについて何らかの回答をしなくてはいけないということも考えられるわけでございます。その結果、結論的に言えば、特にこのアセスの条例が制定されているというようなことを前提とした実態を踏まえた上で、政令で市を指定して、意見の提出を都道府県知事から当該市長に移すということも十分考えられるのではないかというように思われます。その場合は、単にアセスという名がついている条例があるだけではだめであって、それについてのそれまでの運用の蓄積、あるいは制定までに当たってのいろいろな議論など、あるいは条例でなくても、それより前にアセスについて運用上どの程度まで関与してきたのかというようなことも考慮されるべきかもしれないというように思います。
ただ、もう一方の考え方として、都道府県がスタート時点においてすべて条例を持ってなかったということも考えてみれば、政令市についてはあらかじめ条例制定が将来必要となると、できるだけ近い時点で必要となるということを前提とした上で、政令市丸ごと意見提出を認めるということは、選択肢としてはないわけではないというように思われますが、何となく条例制定を条件とするというのは、ちょっと制度を仕組む上では無理があるのではないかというような気がいたします。
なお、2以上の都道府県から意見が提出されるということは、法律の制度として当然予想されているわけですので、その意見が食い違う、あるいは重なってしまういろいろな問題点が発生することは当然あり得ると思います。しかし、それは制度の上では最終的には認可権者、許可権者等が判断をして、その意見をどう取り込むかということについては判断をするしかないのではないかというように思っております。
あと複数の地方公共団体にまたがる事業の審査でございますが、審査を効率化していくということは必要だと思いますので、そのための工夫は当然考えられてしかるべきだと思います。ただ、2以上の都道府県にまたがる事業を法律の上で制度としてあらかじめ仕組んでおくということについては、慎重であるべきだというように思われます。なぜならば、2以上にまたがる場合であっても、むしろ意見の対立がクリアになるような場合もないとは言えないというように思われますので、あくまでも事務の効率化、審査の効率化という点で、改善を図るとするのであれば、都道府県の自主的な判断によって、審査会の共同開催とか、合同による意見書の提出など、そういう方式をとり得るようにするという、それは制度として仕組むことも不可能ではありませんが、運用でも十分可能なのではないか、このように思われますので、この問題についての結論としては、制度化を図るということについては、私としては慎重な意見でございます。

○浅野委員長 わかりました。
それでは、田中委員は政令指定都市ご勤務のご経験がおありですから、御発言をお願いします。

○田中委員 ありがとうございます。
私も前段のほうの政令指定都市の意見提出ということについて、ほぼ中川委員と同じ感想を持っております。つまり政令指定都市というふうに一括りにすると、一つはまだ条例制定がされていない市があります。反対にアセス条例を整備して審査会等を行って慎重に審議した上で、市長の意見を固めている、そういう市であれば、これは直接事業者に対して意見提出というのを制度として導入してもいいのではないかなというように思います。
ただ、政令指定都市ということで一括りになかなかできないところがあるので、その点は何らかの工夫が必要で、例えば政令で定める市というような形で、少し広げるということは可能ではないかと思います。
それから、政令指定都市以外の市でも、確かに条例で運用している都市が幾つかあるということでご報告いただきましたけれども、1つは条例で定めると同時に審査会といいますか、客観的で中立的な立場での判断があるかどうか、そこが1つのポイントになるかなというように思います。
それから、もう一点は、仮に政令指定都市のようなところに意見の直接提出を認めた場合であっても、都道府県知事の立場があるかなというのも、少し気になるところでありまして、つまり同じ県内の中に環境に影響を及ぼす事業を抱えるという立場からしますと、その事業が広域的に及ぼす影響、あるいは広域的な観点からの意見というのもあろうかなと思います。ですので、その場合は知事も意見が出せるという、これは少しダブることになるかもしれませんけれども、必要に応じて知事も意見が出せるという、そういう仕組みにしてはどうかなというように思います。
以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございます。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 お二人の意見と一致していますので、特に問題はない、おっしゃるとおりだと思いますが、前に検討会で若干議論があったのは、複数の地方自治体にまたがる事業については、重複審査をするのは効率的でないという意見がありました。ただ、期間内に今のようにやっていただけるのであれば、別に重複審査をしてもそれほど問題がないということであるとすれば、中川委員がおっしゃったように、運用の問題として対応すればいいかなと思います。ただ、このために期間を延ばすとかという話になってくると、全体に影響しますので、それはなかなか難しいのかなというふうに思っております。
以上でございます。

○浅野委員長 では、事業者の立場で猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 資料4、2ページを見ると、環境影響区域が単独の政令指定都市に収まっている件数は84件中6件ということで、結局多くの事例では影響区域が重なっています。そういう意味では、各自治体から事業者に直接意見が提出されるよりも、都道府県知事のところで意見をまとめて提出していただく今の方法が望ましいと思っております。また、各自治体から対立する意見が出てきてしまったときに、それを事業者が判断するとなると、非常に難しい状況が出てくるということもご理解いただきたいと思います。そういう意味でも、現行通り自治体側で1つに収斂された意見をいただくほうが私どもとしては非常にありがたいと考えています。
それからもう一つ、審査会を一つにまとめるという事については、大塚委員が言われたように、アセスの時間が延びてしまうのでは意味がないと思いますが、事業者としては何か工夫して一つにまとめていただいたほうが良いと考えております。

○浅野委員長 では、石田委員、どうぞ。

○石田委員 人口規模とか人口の集中密度のような観点から、地方分権という意味でも政令指定都市の関与をある程度前向きにとらえることは重要だと考えています。一方で、違う意見が出てくるようなことでの混乱や政令指定都市としての熟度という点で、政令指定都市になった直後というのは当然どの市もいろいろな意味で混乱がありましょうから、一定期間経過する、その一定期間は何年かは別にして、その一定期間の間に条例をつくるとか、既につくっているとか、それから議論に着手しているとか、何らかの条件を設けて、条件つきで政令指定都市に都道府県に準じた立場を付与する。そして、その場合も都道府県と情報が共有され、それに対して都道府県が附帯意見が出せるような措置は制度として定着するまでは必要かと考えます。
もう1点、どんどん分権化を進めていくということと大きな市町村に対して直接聞くということは、施策なり行政なりの効率上非常に有効だと思いますが、一方で地方の自治ということを考えたときに、広域市町村合併、平成の合併での負の部分としても若干見えているところがございますように、基礎市町村としての企画立案権とか、それから予算も含めた行政の執行権とかというものに対して、必ずしも大きいところへの一方的な集中というのは好ましいことばかりではありません。この制度の運用として政令指定都市を都道府県に準じて扱っていくというようなことをどんどん進めていく一方で、行政単位の代表選手にいろいろな権限をゆだねていくことで問題を解決することについては慎重に考慮すべきだと考える次第です。

○浅野委員長 それでは、吉田委員、崎田委員、何かありますか。よろしいですか。
崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。
私自身も地域の住民というか、一番現場に近い率直な意見がきちんと反映されていくというのが大事だというふうに思っていますので、政令指定都市がきちんと直接意見を言えるという状態になったほうがいいと思っております。
そのときにここにもあるように、都道府県などが広域的な視点で意見を言いたいときにはちゃんと言えるという、こういう視点も大事だと思っています。
なお、いくつかの市に重複するプロジェクトをどうするかということがありますけれども、例えばそういうときには最終的に重複する市の関係者をまとめるような場づくりを都道府県がするとか、そういうようなことは大変でしょうか。そういうようなことができれば、全く違うような意見書が2つ出て、最後に苦慮するというのではなく、コーディネートの場があるのもいいのかなというふうな感じがいたしました。
よろしくお願いします。

○浅野委員長 それでは、これは一応委員のご意見が出そろったということにさせていただきますが、やはり政令指定都市にとっては、ヒアリングの際もご発言がございましたように、県知事に1カ月前に意見を出さなきゃいけないので、本当に審査をする時間がないという悩みを聞かされました。私は自分自身もこのことを経験していますので、悩みがよくわかるわけです。ですから、政令市が直接事業者に意見を出せるという仕組みをつくるということに関しては、積極的に考えるべきだろうと思いますが、ただ当初研究会で議論していたように、政令指定都市の範囲内に環境影響の範囲がおさまる事業については政令指定都市の長からだけ意見をだすことができることにし、そうじゃないものは都道府県の長からのみ意見を出せる、というような、そういう仕分けのやり方は必ずしも合理的でないだろうと考えるようになりました。先ほど中川委員もおっしゃったように、たとえ政令指定都市の中だけに影響範囲がとどまると事業者が考えたとしても、現実にはそれをはみ出して影響が生ずるだろうという場合があり得るわけで、今までは県知事がより広域的にフォローしていた面があるわけですね。それを消してしまうことは決していいことではない。
となりますと、政令市長が直接意見が出せることとすると同時に、県知事も意見を出すことができるようにしておく、制度的にも最低限出せるということは確保しておかないと、周辺の市町村の長がどこにも話を持っていきようがないということも起こかねませんから、この点を配慮する必要があると思います。
ただ、確かに猪野委員がおっしゃったように、事業者にとっては全く対立する意見が出たときは扱いが困るわけですけれども、そもそもアセスというのは事業がいいか、悪いかを二者択一的に決定づけるという制度ではないはずですから、いいか悪いかについて対立する意見が出たとしてもそれはアセス制度の本来のお話ではない。環境面でもっともと思われるご意見に関して、それはそれで確かに環境面で影響がありそうだと言われるご意見について十分留意するとともに、根拠がないと思われるご意見についてはそのことをきちんと述べればいいわけでしょうから、そこはしようがないのかなという感じがいたします。
それから、複数の団体にまたがる場合、同じことを複数の県に行ってやらなきゃいけないのは、誠に事業者に気の毒という気もしないではありません。とりわけ1つの県では事業地がわずか数百メートルしかない、こっち側は何キロもありますという場合に、大変手間をかけて同じだけのアセスの手続をとらなければいけないのは、誠にお気の毒ですから、これはまとめてできるならなおいい。ただし、まとめて手続きを行なうように義務付けるということはあり得ない、ここはこの点は中川委員がおっしゃるとおりで、そこは自治体の自主的な判断で、協議がまとまって複数でやることができるならば、できる、という規定を置くことによって、積極的に連合審査をしようかなという気になるだろう。あるいは事業者のほうも、できる規定があるのだから、この場合はぜひやっていただきたいという要望を出しやすくなるだろうと思います。
そうなりますと、中川委員とは、反対ということにもなるのですが、運用でできるじゃないかと言われればそうだとも言えますが、やはり当事者にとっては書いてあるほうがやりやすいお願いしやすいだろうなという気がしますから、せめてできる規定で書いておくことくらいはやってもいいのかなと、こんな感じもいたしますが、いずれにしましても、出されたご意見をもう一遍整理しながら、最後のまとめをいたしたいと思います。

○猪野委員 事務局にお願いしたいのですけれども、例えばこれまでやってきたアセスの中で、都道府県でまとめた意見の中に、市町村の意見が十分反映されなかったような例は現実にあるのか、データがあれば出して頂けないでしょうか。

○浅野委員長 少なくともヒアリングとか、アンケートの中では市町村として出したけれども、県知事意見にはそれを取り入れてもらえなかったというようなお答えがあることは事実なんですね。つまり落とされちゃったというような、ですから。

○猪野委員 その辺の頻度がですね。

○浅野委員長 どのぐらいの頻度か定量的にはわからないだろうと思われます。そういう声があることは間違いないんですけれども。
なお、県知事のほうには悪気がなくて、この意見とこの意見は同じ内容だから、別に一本にまとめていいじゃないかと思ってまとめると、人によっては自分の意見が自分の表現で入ってないから無視された思う人があるかもしれません。よくわかりませんけれども、猪野委員からのご指摘ですので、可能な限りそういうようなことに関して、もう少し今までのアンケートの個票なんかを見て、調べることができたら調べてみてください。
それでは、よろしゅうございますか、次に移らせていただきます。
吉田委員から、4時半に退席をしなきゃいけないということでございましたので、吉田委員には次の次ぐらいのところで、後のほうの論点についてもまとめてご発言をいただければと思います。
とりあえず順番にそって進めさせていただきます。
次は環境影響評価結果の事業への反映についてでございます。
事務局から説明いただきます。

○沼田補佐 では、同じく資料3の説明は省略をいたしますので、資料5-1をご覧ください。
環境影響評価結果の事業への反映について、この中にも小論点は幾つかございますが、補足資料を用意いたしました。
まず、資料5-1が許認可の反映についてでございます。
まず、アセス法以外の他の法令において、許認可権者が事業の許認可を行った場合に、許認可した案件についての公表、あるいは許認可をした理由の公表、こういったものを義務付けている制度というのがここに整理をしました航空法、あるいは公有水面埋立法、土地収用法、こういった法律で事例が見られました。
次の資料5-2が2番目の小論点の事後調査についてでございます。
これにつきましては、第1回の専門委員会で田中委員から実際の事後調査の実施状況、公表状況等を整理してほしいというご指摘をいただきまして、これを踏まえてアセス法に基づく手続を終了した事業、全部で119件ございますが、これを対象として事業者へのアンケートを実施し、最終的に56件から回答を得ております。この56件の中にそもそも事後調査の対象項目がないもの、あるいは事業中止、着工前といった理由により、事後調査を実施する段階にないものがございますので、この中で事後調査の対象項目があった事業が32件ございます。
アンケート結果が2ページ目以降になります。
まず、2.(2)ですが、事後調査の公表の有無としまして、事後調査を実施した事業32件のうち、事業者側の回答として公表したという事業が22件、準備中が2件、公表していないというのが8件ございます。ただ、その一方で別途環境省の調査としまして、事業名、あるいは事業者名等をもとに、インターネットで検索によって調査をいたしましたが、この結果として事後調査の公表が確認できたという事業は8件でございます。
2ページの下、(3)としまして、事後調査の結果を踏まえてどういった対応をしているのかを調査いたしました。結果は円グラフで3ページに掲載をしておりますが、まず評価項目の評価結果を評価中、または検討中というのが4件、すべての調査項目で調査結果に問題がなかったため、何も行っていないというのが24件、また評価書に記載した以外の環境影響、あるいは保全対象が見つかった、あるいは調査結果が予測よりも悪かった、こういったことから、何らかの対応を行ったという事業が4件見られました。
最後に資料3.ですが、環境影響評価法の対象項目と個別法における規制・環境監視との関係を整理いたしました。
これは総合研究会の議論の中で、事後調査につきまして、事業実施後の段階では、各種の環境関連法令を遵守しているという指摘があったことを踏まえて、アセス法の対象項目と環境関係の主な個別法との関係を整理したものでございます。
結果でございますが、これは最後4ページのポイントのほうにも書いてございますが、例えば大気環境、水環境、こういった分野については、個別法によって特定の地域に限定することなく措置がされております。一方で騒音規制法、あるいは自然公園法といったように、あらかじめ一定の区域を絞って、特定の区域に限定して規制を行っている制度もあるという状況でございます。
事業への反映の関係、最後の資料が資料5-3になりますが、こちらは未着手案件の環境影響評価手続の再実施についてとしまして、手続終了後の着手状況について整理をいたしました。
まず、1番が法手続終了後の着工状況でございますが、アセス法の適用対象となった事業の中で、手続終了から5年以上未着工だった事業が15件見られております。また、アセス手続終了から着工までの平均期間は約2年6カ月となっております。
2.が条例における手続再実施の状況ですが、地方公共団体にアンケートをとりました結果、長期未着手の案件について、条例に基づいて手続を再実施したという案件は合計2件確認されております。
最後3番が他法令としまして、政策評価法における規定を記載いたしました。政策評価法では、事業実施前の評価のほかに、政策決定後5年間未着手の事業について事後評価を行うということが規定されております。
以上、資料5-1から5-3が事業への反映関係の資料でございます。

○浅野委員長 それでは、ただいまの事業への反映について3点ばかり追加資料が出ておりますが、これにつきましてご意見ございましたらお出しください。
では、多分猪野委員が一番ご関心をお持ちでしょうから、どうぞお願いします。

○猪野委員 まず、「事後調査」とは何かというところからお話をしたいのですが、「事後調査」というのは現行制度の中では、例えば選定項目に関わる予測の不確実性が非常に大きい場合や、効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講ずる場合等に実施する調査とされています。また、準備書から評価書の段階で事業者に対して必要があれば「事後調査」の実施を求めることができるようになっており、現在までに特に問題は生じてないと考えております。それから供用後も、今先ほど資料の中であったように環境関係の個別法に基づいて報告をしております。「事後調査」は実態としてできていると思いますので、そのままでよろしいと思います。

○浅野委員長 それでは、ほかにご意見がございますか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 事後調査に関しては、生物多様性に関する部分が多いと思います。といいますのは、生物多様性に関しては、その事業を行った場合に、どういった反応があるかという不確実性が高いということで行われているものが多い。そういった意味からしますと、事後調査に関するアンケート調査で、32件のうち、公表した事業は22件ということだが、環境省で調査した結果、インターネットなどでわかるものは8件しかない。どうしてこうなっているのかという疑問があります。事後調査は、法に定められたようにやればいいということではなく、その結果をこれから同種の事業へ反映させていくということが重要だと思います。場所によって、生物側の反応が違う場合もあるでしょうから、ぴたり同じようには反映できないかもしれません。けれども、不確実性が高いものについて、こういう環境保全措置をやってみたけれども、うまくいかなかったという事例が非常に大事なわけです。
ですから、うまくいかなかったという事例を包み隠さず報告するということが今後のアセスメントの精度を向上させるために非常に重要だと思います。しかし、それがきちっと公表できていなかったり、あるいは探そうと思っても探せないという状況にあったりというのは、あまり好ましくないのではない。事後調査の結果が、今後の環境影響評価に生かされるような方法をとるべきであると思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
では、田中委員、どうぞ。

○田中委員 資料5-2の事後調査の話ですけれども、アンケートの回答事業というのは、母数は119件のアンケートをしたわけですね。回答が56件ですから、約半分が回答されたということですので、そうすると回答が出てこなかったのは実際に行われているのかどうか、これがよくわからないですね。
それから、もう一つは回答があった56件の中でも、実際に事後調査をしたのが32件あり、そのうちの、次の2ページのところでしょうか、(3)で見ますと、逆に言うと24件は何も行っていないけれども、32件のうち8件は事後調査を行って何らかの対応をしたと、項目を見直しをしたり、あるいは必要な保全措置を追加したとか、こういう実例があるわけです。
ですから、事後調査を行った結果、当初予測評価した段階から見ると、補強すべき、あるいは改善すべき点が見つかり、そういう措置をした。これは事後調査を行わなかった場合には、見落としていた可能性もあったことを考えますと、事業調査の実施として積極的に意義があるように考えます。
そうすると、事後調査というものを義務付けるといいますか、きちんと法律に書き込んで、制度として制定していくほうがいいのではないかというふうに私は思います。
以上でございます。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 事後調査については、今の田中先生の意見と同じでございまして、これは回収率もあまり高くないということとか、環境省の調査とは公表の確認が違うとかという幾つかの問題が出ておりますので、実際にはあまり公表されていないのではないかという疑念はないわけではないということでございます。
それで、電力はいいのかなと思いますけれども、例えば道路とかに関して何台ぐらい通るということで、排気ガスはこのぐらいというふうに最初予測していても、実際の結果はそれとは全然違っているというようなケースとかは伺っていますので、事後調査というのは行政とか第三者が確認できるような形にするのが必要であると考えられまして、先ほどからご意見が出ていますように、許認可権者への報告と公表という辺りの仕組みをぜひ入れるべきではないかと思います。
それから、もう一つ許認可への反映に関して、環境影響評価の結果をどういうふうに配慮したかということの公表の問題でございますけれども、これは私は前からこの議論はしているので、自分の意見としては公表していただくことをぜひお考えいただきたいと思いますが、先ほど資料の5-1にあるように、現在のところあまり法律がないというところもあるので、今すぐやれるかどうかは難しいのかもしれません。ただ、個人的には、ほかの法律がどうであろうと、まずアセス法がやるべきではないかというふうに思っていますけれども、現実的に可能かどうかということは、ぜひご検討いただければと思います。

○浅野委員長 それでは、中川委員、どうぞ。

○中川委員 事後調査について、この意見の一覧表の中の4ページにありますが、私もこういう面での素人ですけれども、事後調査の結果が事前の予測と大きく違っていたときに、単に吉田委員のご発言にございましたように、うまくいかなかったということが明らかになって、その後の評価のサイクルに資することになればいいんだということで、十分事後調査の結果がいわゆる社会的に、あるいは地域の中で受容されるかどうかについては、相当私は疑問を持っております。問題があれば、何らかの改善措置が行われるという、そういう仕組みになっていないと、調査の結果については受容されないのではないかというように思います。

○浅野委員長 ありがとうございます。
それでは、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。
私もこの事後調査というのは、きちんとやっていただくことで、その項目を実施していただいたかどうかがわかってくるということなので、事後調査はきちんとやっていただくことが大事だと思います。思うのは、対象項目を最初に選ぶときに、事後調査というのが必要な項目なのに選ばないで、そのまま進んでしまうようなことが今まであったのであれば、最初に事後調査項目をきちんと入れなければいけないんじゃないかと思います。
あともう一つ、結果がどうなったかというのを知りたいというのが、関係している地域の方にとっては、非常に重要な関心事なわけですので、公表をきちんとしていただきたい。そして、できるだけわかりやすい公表の仕方をとるという文言を入れたほうがいいのではないかというふうな感じもいたします。
あと対象項目についてなんですけれども、今、地域の中で地域の歴史、文化とか、景観とか、いろいろ関心事が非常に広がっています。その辺の対象項目について現状の関心事と照らして見直すといいますか、もう一回ちゃんと見届けるというのが必要なんじゃないかというふうに思っています。
よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 石田委員、どうぞ。

○石田委員 今ご説明いただいた追加資料等を拝見しますと、何らかの追加的な規制がないと機能しないのではないかというふうに思います。ただ、一方で善良な、そういう言い方を申し上げていいかどうかわかりませんが、善良な事業者におかれてはきちっとやっておられる部分もあるというふうに考えますし、事後調査の結果がこれから行われる同種の事業にいかに反映されるべきかということと、当該事業が結果的に不十分であったから、代償措置をさらにしなさいというようなことと、きちっと切り分けて、別のものとしてとらえないと、事業者の負担が増すばかりだと思うんですね。
当然、現時点では最大限のことをやっても、その後の社会の変化で大きな影響が出てくるということもあり得るわけですから、そこをきちんと切り分けるということと、もう一つは事後調査の費用等については、事業費の何%というような一定の範囲を設けて事業者の負担で、ただ実施するのは第三者機関なり、行政なりというふうに、そもそも事後調査自体が透明性の高い状況で実施するような方向に誘導していかないと、いつまでたっても解決しないのではないかという気がします。
以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
これは、なかなか難しい問題だと正直なところ思っています。
と申しますのは、まず何人かの委員からご指摘がありましたように、事後調査を一体何のためにやるのか、その目的によってシステムや仕掛けの仕方というのは違ってくるはずですね。それを一括して事後調査というふうに言い切ってしまうと、多分議論がうまく整理できないだろう。事務局はこの問題に関しては、どういう目的でやる場合にはどうなるんだという整理を一遍していただきたいと思います。
既に猪野委員がおっしゃったように、現行制度の中でもある部分はやろうと思えばできるという仕組みになっていますが、さらにこれを強化し義務付けるというようなことを考える場合には、正直言って制度の組み立ての面でも難しい問題があると思われます。一体何年間やるのか。それから、当初と途中で主体がかわる場合、一体誰が責任を持つのかといったような問題があります。
私の今知っている例では、9年もの間、事後調査を続けているまじめな事業があるんですが、つき合うほうがきついですね。毎年、毎年フォローアップの検討委員会に引っ張り出されるのですけれども、確かに9年、10年たてば、周辺の様子も変わってしまうわけです。それは一体事業者の責任なのかということを事業者から聞かれると、こちらも困る面がある。
だから、一体何の目的での事後調査なのかというところをはっきりさせる。その上で、どういう目的ならどういう仕組みが必要なのだということを一回整理しておかないと、ここはあまり簡単にいかないのかなという気がいたしました。積極的にやらなきゃいけないというご意見が多いことは、私もよくわかりますし、事後調査を全くやらなくてもそれで済むという仕組みではよくないということは、多くの委員と同感なんですが、さて、しかしどうやってそれを仕組むかということになると難しい。
それから、大塚委員が指摘されましたように、許認可理由の開示について、大塚委員は積極的にやるべきだとおっしゃったのですけれども、アセス法はこの点は横断条項ですね。ですから、横断条項の中にそのことをさらに追加するのか、個々の個別法の中の話なのかということになると、横断条項でどこまでできるか、なかなか現実には難しいかもしれないと大塚委員も言っておらるわけですけれども、この辺もちょっと詰めてみないと、報告書にうまく書けるかどうかわからないという気がします。
それから、委員からあまりご意見はなかったんですが、未着手案件の再実施に関して、これはどうでしょうか、どうぞ、猪野委員。

○猪野委員 未着手案件につきましては、現行制度においてアセスの再実施は事業者の判断にゆだねられている部分があります。
これまでアセス実施後、間があいたものについて、具体的な問題が起きた例が現実にあるのかどうか、もしあったときにはどういうことで起きているのかという内容をよく知った上で、再評価を義務付けるかどうか等、検討すべきではないかと思っております。また、場合によってはアセス実施後に当該の事業者ではない他の事業者による影響が生じる事も考えられます。資料では明確には書いておりませんけれども、何年かたつと一律に再評価したほうがいいというようにも見えるのですが、案件にはそれぞれ地域性もあるので、一律に年数で区切るというのは違うのではないかと思います。

○浅野委員長 わかりました。
田中委員、どうぞ。

○田中委員 未着手については私も意見がございまして、1つは資料5-3ですけれども、長期未着手の案件で手続を再実施した例が一応2件確認された。これは恐らく条例で制定されて、その条例の規定に基づいて、こういうものがあったのだろうと思います。
ちょっと確認をしていただきたいのは、その自治体の条例で、つまり対象案件何件のうちにこういう2件が出てきたのかという点です。つまり実際の実績としては、多分50件あったけれども、その中の1件なり2件出てきたのか。多分、そういう事例が少しもうちょっと掘り下げていただいて、果たしてこの制度下に今、猪野委員がおっしゃられたように、どこら辺りまでかかってくるのかと、対象が。そこを少し掘り下げていただきたいというのがこれは一点でございます。
その上で、もう一つはこの政策評価法との関係で、政策評価法が決定後、5年間未着手の事業については事後評価を行う。こういう規定がありますので、とすれば例えばこの法の中で5年以上未着工の事業が15件あったとすれば、これは政策評価法との関係はどうなっているのか、ここもはっきりさせていただけたらありがたいなと思います。
以上でございます。

○浅野委員長 この問題に関しては、確かに現行法があるにはあるけれども、自主的にやってくださいみたいな言い方になってしまっているのが弱いというところから、この議論が出てきています。しかし確かに猪野委員がおっしゃるように、事業者の責めに帰すべき事由とそうじゃない事由というものとの仕分けは確かに問題ですね。
もう一つは、これまでは未着手ばかり言ってきているわけですが、無視できないのが長期遷延案件です。着工はしたけれども、それから20年ずっと工事が続いていますというような場合に、それはいいのですかという話になってきますから、そうするとそれも含めて強制的に何かさせるという仕組みがいいのか、あるいは何か環境大臣の勧告というような仕掛けにするのか、許認可権者に何らかのアクションを起こさせるという仕組みにするのかということがあるだろうなという気もします。
つまりこの点についていえば、「未着手」だけに限って議論をしていって、本当にいいのかなという気もしないでもないわけです。この点も含めてもう一遍この部分は何かやるならどういうやり方ができるのかということを考えてみる必要がありそうです。しかし、いずれにせよ猪野委員がおっしゃるように、一律に期間を切って、これだけの期間にもう一回アセスメントをやりなさいというのは、必ずしも効率的ではないですね。ほとんど条件が変わってないのであれば、やる必要もないわけでしょうし、それから全く未着手な場合に周囲の条件が変わってしまったら、それで前のアセスのままでよろしいかということになると、未着手だったということについての事業者の責任がないわけじゃないから、何か再調査をしてもらわないといけないかもしれませんけれども、長期遷延型の事業については、では再調査に関しては全く無責任ということになるのかという問題が出てきますね。
この辺のバランス論というのがないと、多分事業者の人たちも不満に思われるのではないかなという気がしてしまいます。前から言われていますけれども、杭一本打てばこれで着手ですということになるのかと、こういうことになってしまいます。この問題は研究会で議論していたところよりももう少し、深く掘り下げて考えておかないといけないかもしれません。
それでは、急いで申し訳ないんですが、次は評価手続の電子化について、それから吉田委員には情報交流について、説明はあらかじめ読んでおられると思いますので、説明は聞かないでこの部分についても意見をお述べください。
それでは、事務局、資料6の説明をお願いいたします。

○沼田補佐 資料の6番、環境影響評価手続の電子化についてをご覧ください。
まず、1番が近年の行政手続電子化を巡る状況変化でございます。
これは総合研究会等でも以前ご報告しておりますが、平成14年以降、行政手続オンライン化法の制定等、行政手続の電子化が進展しているという状況がございます。また、2.が地方公共団体・事業者のホームページ等の実態でございますが、現在すべての都道府県、政令指定都市ではホームページを開設しておりまして、問い合わせ窓口としてメールアドレスがホームページ上でも掲載をされております。また、過去にアセス法に基づく手続を終了した事業について、事業者に確認したところ、すべての事業者においてホームページを有しておりました。また、このうち約95%の事業者ホームページでは、問い合わせ用のメールアドレス、あるいは問い合わせフォームというのが存在しております。
3.ですが、地方公共団体への調査としまして、手続電子化に関する都道府県・政令市の意向についてアンケート調査を行いました。結果は1ページの下に円グラフでつけてございますが、電子公開については約6割、また意見の電子受付については約4割の地方公共団体が義務付ける必要がある。あるいは義務付けた方がよい。こういった回答をしております。
2ページ目にいっていただきまして、4.が電子縦覧に伴う生じうる課題等への対応でございます。
まず、4-1ですが、電子縦覧を実際に条例等に基づいて実施をしている4つの地方公共団体についてヒアリング調査を行いました。その結果、4団体いずれも手続の電子化に伴って、紙媒体の縦覧、閲覧とは異なる問題が生じた、こうした事例はないという回答をいただいております。
4-2が事業者側へのアンケートですが、これは法対象案件、あるいは条例対象案件の中でアセス図書の電子公開を行っている事業者、23件についてアンケートを行いました。
まず、(1)電子縦覧に伴う問題(全般)ですが、これは回答した23事業者すべてについて、電子縦覧に伴って新たな問題が発生したことはないという回答をしております。また、電子公開に用いた資料ですが、企業の機密事項に配慮をして修正を加えた1事業者を除いて、22の事業者において紙媒体と同一の資料を用意しております。
また、(2)が著作権への配慮でございます。
これは3ページ、円グラフとして載せておりますが、これも23事業者に調査をした結果、著作権等の問題が起こらないように、著作権者から許諾を得る。出典を明記する。こういった対応をとっているという確認がとれた事業者が21件に達しております。
(3)が希少種に関する情報への配慮でございますが、希少種に関係して、紙媒体の資料作成時と異なる対応を電子公開に当たって行っているという回答をした事業者はおりませんでした。ただ、希少種に関する情報を図書に含んでいた19事業者のうち、8事業者においては、紙データをつくる段階で分布情報を非開示とする。あるいは白抜きにする。こういった配慮を既に行っているという回答をいただいております。
(4)が電子公開に伴う予算、実務でございますが、電子公開に伴って新たに必要となった実務期間についてアンケートをとりましたところ、4ページに回答を円グラフで掲載をしておりますが、特になしという事業者が9つ、また、これを含めて全部で19事業者が1日以下という回答をしております。追加的に必要になった予算につきましても、約7割、17事業者がPDF化等、人件費以外の追加予算は特になしという回答をしております。
5.が意見提出の電子化に伴う課題への対応でございます。
これにつきましては、意見提出の電子化を行った実績がある地方公共団体に対してアンケートを行いました。結果としまして、すべての5団体におきましてコンピュータウイルス、あるいは迷惑メールの増加、着信確認、こういった電子化に伴う問題が発生したことはないという回答をいただいております。
資料の6番では、電子手続を義務付けている他制度の事例としまして、電子化の義務付けに関する取組を行っている他の法令の例を表形式でおつけしております。
最後ですが、7番が前回までの指摘事項整理としまして、前回、田中委員から海外の事例としてドイツでは図書電子化の際に、希少種の情報を削除しているということをご紹介しましたが、これは紙媒体では行っていないのかというご指摘をいただきました。
確認をしましたところ、必要があれば紙媒体の図書を作成する段階で、関係機関の協議によって希少種情報削除が行われ、その紙と同じ情報を電子媒体化しているということで、これは電子化の際ではなくて、そもそも紙情報をつくる際にこういった協議、情報削除を行っているというのが実態でございます。
以上が資料6、手続電子化関係の資料の概要でございます。

○浅野委員長 それでは、この問題に関してのご意見、コメントをいただきたいと思いますが、それでは吉田委員、いかがでしょうか、これと7もどうぞご一緒に。

○吉田委員 どうもありがとうございます。
電子化については、今ご説明をいただいたように、電子化によって著しく時間がかかるというようなこともないし、希少種への配慮に関しては、紙媒体の段階で既に考慮されて、電子化のときも同じような形で配慮されているようで、特に問題もないようです。
それから、方法書に対する意見への回答の義務化という部分です。方法書に対する意見ではなく、計画に対する意見が出てくるという問題もある。方法書段階での住民意見がう機会に、電子化を進めていただきたい。
うまく反映されるためにも、その回答がきちっと出されていくことが大事だ。義務化が手続の妨げになるというご意見もあるようだが、義務化は早い段階でやっていただきたい。
また、方法書段階での説明の充実ということも非常に重要だと思います。
それから、公聴会等の義務化について、公聴会を実施している都道府県の審議会などの事例を見ると、専門的な知識を持った方の公聴会での意見が、審議員に対しても非常に参考になる、という話も聞いております。そういった面で、公聴会は非常に有効です。審議員は、方法書、あるいは準備書等に対する意見を文書で見ますが、かなり要約された意見を見ることになります。公聴会において、生の意見を聞くのと、要約された文書を読むのでは、大分違いますので、ぜひ公聴会の義務化を進める必要があると思っています。
その他の情報の推進等については、環境省のホームページを始め、かなり情報の整理や提供等がされていますので、法律上どう変えるということではなく、実質的に進めていただければと思います。
以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
それでは、情報交流については吉田委員に限ってご発言をいただきましたが、とりあえずまず電子化についてご意見があればお出しいただきたいと思います。
では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 基本的に吉田委員がおっしゃったのと同じように、電子化を進めていくことが大切だと思います。
1つは、企業のほうの負担ということからしても、この資料の6に出ているように、それほどないという感じもしますし、著作権の問題も適宜対処されているということがございますし、さらに迷惑メールとか、着かないとかというのは全くないとは言えないと思いますけれども、現在問題になっていないというところがございますので、細かい点は省令等で対処できるのではないかと思います。
ちょっと1点だけ環境の問題ではないんですけれども、猪野委員にお伺いしたいところがありまして、原子力発電所とかについて細かいどこに何があるかというような話が電子化されてしまうと、世界中に出ていってしまうかもしれないので、テロとかのことを多分最近はあまり問題になってないですけれども、ちょっと前は結構議論しておられたかと思いますので、ということを考えると、若干の不安はないわけではないんですけれども、あまり問題がなければ気にする必要はないかと思いますが、紙と電子は基本的には同じだと考えて私もいいと思っているんですけれども、世界に広がっていくことに関して若干の危惧がありますので、環境の問題でなくて恐縮ですが、一応お伺いはこの場でしておいたほうがいいかなと思いました。

○猪野委員 現実に原子力は特に大変ですけれども、セキュリティというのは前々から強化をされてきております。今、大塚委員が言われましたように、インターネット経由という形になりますと、一度にどこからでも閲覧が可能になります。そのときに、配置図等の一部情報については、セキュリティ上、何か問題がある場合には、マスキング等の必要が出てくるかもしれません。それは今も衛星写真等を見ればわかるという話もありますけれども、配慮をしないといけないこともあるでしょう。これは先ほどの著作権にも通ずるかもしれません。
あと、電子化の仕組みというのでしょうか、例えば地方自治体・国のほうで、システムをつくるときに維持・メンテナンス体制をどういうふうに考えていくのか、また、縦覧の期間だけ電子公開するのか、期間が過ぎてもそれは公開して見られるようにしておくのか、そういう仕組みの話が出てくると思います。この点については、以前の報告にもカナダの例でありましたように国が一元管理するという案もあるのではないでしょうか。
それから、資料では事業者へのアンケートから、電子化に伴う事業負担についてあまり影響がないとありましたけれども、場合によっては小さい企業で、負担が難しい企業もあるかもしれません。そういうときにはかわって自治体なり国のシステムを使うような形になるのかもしれません。

○浅野委員長 わかりました。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 行政手続の電子化というのも、時代の流れでもありますし、各省、それから自治体、ほとんどが積極的に取り組んでいるところでございますので、そういう観点から環境影響評価の電子化は当然進めてしかるべきだというように考えます。
また、行政手続の電子化を他国と比較してみても、日本は比較的遅れているのかもしれないという気がいたしますので、これからインターネットの普及など、飛躍的な進展が予想される電子化ということについては、積極的に取り組んでいくべきだというように思います。ただ、問題がないというわけではないというのは、今、猪野委員もおっしゃったとおりでございますので、そういう問題については、できるだけ手を打つ形ができれば、事前に手を打って対応策も考えながらやっていくべきだと思います。

○浅野委員長 ありがとうございます。
田中委員、どうぞ。

○田中委員 猪野委員の最後のほうにご発言がありました図書をどこまで縦覧するか、この問題とも少し関連して、情報の整備ということで、資料3の最後のページの8ページもちょっとございますけれども、これまでの情報の整備、過去のアセスメント図書のようなものをライブラリのような形でストックしておいて、それを他の事業者、あるいは地域の住民の方が見れる。それを共有の財産といいますか、媒体として活用していく。そんな仕組みがあるといいと思います。ただ、それが確かに事業者負担、あるいは自治体負担でいくのかどうか、そこは何かいわば基盤となる情報プラットフォームのようなものをつくって、そこに保管していく、そんな仕組みがあってもいいのかなというふうに思います。
以上でございます。

○浅野委員長 それでは、この件に関して崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 やはり公開していただくという前提が信頼づくりには大事だと思っておりますので、私もこの電子化ということ、あまりマイナス影響がなかったというアンケートもありますし、ぜひやっていただきたいと思います。
なお、先ほどからいろいろ重要な情報に関しては、少し削除するようなことがあるというお話がありました。私も希少種などに関して情報が出ると、そこの公園にみんな行っていなくなるとか、私も市民の1人として残念なことがよくあります。こういう紙媒体をつくる前に、それがきちんとチェックされているのであれば、問題なく電子化というのは取り組んでいただけるというふうに思っております。
よろしくお願いします。

○浅野委員長 石田委員、どうぞ。

○石田委員 出すことが問題を生じる可能性のある情報をどう整理するかということなのですが、やはり紙媒体のところでまずきちっと議論が整理されてないと、電子媒体にすることによって、非常に事業者のほうが身構えて、かえって情報を抑えてしまうとか、逆行するようなこともあり得ると思います。まず紙媒体としての問題をきちっと整理した上で、速やかに電子化するべきだろうと思います。

○浅野委員長 ありがとうございます。
この論点は研究会の段階から、こんなことは直ちにやると書くべきだという意見が強かったぐらいのカテゴリーには属しているわけですが、危惧される面がいろいろある。出すことが問題になる情報という件に関しては、私も石田委員と同感で、もともと紙媒体ならいいけれども、電子媒体ならだめだというご意見は、なかなか説得力のない話で、それは単なる危惧感でしょう。だから、もともとまずいものは紙媒体でも出しちゃいけないのではないでしょうかということだろうと思うので、それはその問題として考えるのが多分筋道なのでしょうね。
その上で、しかしながら猪野委員がおっしゃったように、電子媒体に載せたものは永久に載り続けるのかというような問題が確かにあるでしょう。これはなかなか悩ましい問題で、縦覧期間を定めているということとの関係で言えばどうなのだと、こういう声がないわけじゃないと思います。しかし、他方では終結案件についてはライブラリをつくって、それをストックしておけという声もあるわけでして、これは、場合によっては切り分けて考えることができるかもしれません。終結したときにそれをどこかでストックする。縦覧は縦覧なんだから、あくまでも紙媒体の縦覧と同じように縦覧するという考え方でも整理がつくかもしれません。
しかし、もっと悩ましいのは、縦覧主体は事業者です。インターネットはどこのインターネットを使うのかという問題があるわけですが、現在縦覧場所を自治体が提供しているなら、インターネットも自治体が提供するという話はあるかもしれませんけれども、縦覧場所の提供というのは、これは住民の便宜のために、その地域を管轄する自治体にその負担を負わせようと言っているわけで、インターネットの場合には世界からどこからもアクセスできるわけですから、何でそのために負担するのかと言われたときに、ちょっと答えに窮するかもしれません。しかし今まで場所を提供するということと並びでいくと、まあなんとかならないかなあというところでしょうか。そうすると、ここは法律の中に規定を置いて、やってくださいねと書かないと動かないということになりそうで、ただ運用だけでは済まないかもしれません。それはそれなりの経費負担が係ることですからしようがないということでしょうか。また猪野委員からのご懸念の点についても十分記録としてはとどめておかなければいけませんし、それから今言った技術的な問題について、どこまで専門委員会として書くことが適当なのかという問題もあるんでしょうけれども、ある程度法律の中に入れなければいけないことがありますね、ということは書いておかないといけないと思われますので、まとめの段階でさらに検討をしていきたいと考えます。
それでは、時間がもし余りましたらまた前に戻りますので、最後のテーマである情報交流にまいりましょう。事務局から資料の7についての説明をお願いいたします。

○沼田補佐 では、資料7番、情報交流についてをご覧ください。
小論点は幾つかございますが、まず1.が地方公共団体での公聴会の導入状況でございます。こちらは円グラフでお示しをしておりますとおり、現在都道府県、政令指定都市、合計62団体のうち51団体で公聴会手続が設けられております。さらに、このうち45団体では法対象事業についても公聴会の手続が適用されております。公聴会は一般的に準備書に対する都道府県知事の意見形成のために開催をされるという場合が多い状況でございます。
2ページ目にいっていただきまして、資料の2番がスクリーニング、これは論点の中でスクリーニング段階の住民意見の手続が必要ではないかというご指摘がありましたので、これに関係する情報を整理したものです。
まず、現行法ではスクリーニングの判定は主務省令の中で事業特性、あるいは地域特性を要素として判断基準が示されております。具体的な廃棄物処分場の主務省令の内容を記載しておりますが、こういったものに加えて、主務大臣や都道府県知事が有する情報に基づき、客観的な判断がされるという仕組みとなっております。
なお、条例でスクリーニング手続を設けている16県市のうち、2つの県において、スクリーニング過程で審査会意見を聞くという手続が設けられている例がございます。
最後に3.が環境影響評価に関する情報提供の整備状況でございます。
これは最初のほうの生物多様性の際にもご説明しましたが、環境省では環境影響評価情報支援ネットワークを開設しておりまして、環境影響評価制度のあらまし、あるいは関連法令、過去のアセスメント実施事例、アセスメント技術に関する情報、地方公共団体のアセスメントに関する情報へのリンク、こういった各種の情報を整理しております。
アセス手続終了案件の図書そのものについては、まだ公開はされておりませんが、ただ今ご説明したような情報整備、提供の手続を現在取り組んでいるところでございます。
以上が資料7番の概要でございます。

○浅野委員長 それでは、ただいま資料7でご説明いただきましたほかに、資料の3に入っているものの中で、今日は特段何も追加に資料がないものが方法書意見に対しての事業者の見解を準備書で明らかにすることとは別に、別途見解を明らかにする仕組みを導入してはどうかということについても、研究会では賛否両論がございました。
先ほど吉田委員からは、その点についてもコメントがございました。これらも含めて、この情報交流というテーマに関して、どうぞご自由にご意見をお出しください。いかがでございましょうか。
それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。
1つは、公聴会、資料7のフロー図もございますが、多くの自治体の事例ですけれども、公聴会は準備書について公聴会を開催して、中立的な立場にたって、フロー図では知事の意見を形成するために行うと、こういう仕組みになっております。
法制度でもそれをつけたらどうかというお話が先ほどもあったと思うんですが、条例で地域の立場で住民の方が関心を持っているものについて意見を公述し、それを場合によっては事業者が答える例もあれば、あるいは答えないで、単に受け止めて、知事の意見を反映するという、そういう仕組みになっていると思います。
そのことでいきますと、法律で重ねてやることは少し重複感があるかなという感じはいたします。つまりもう既に自治体のレベルで相当程度この公聴会というのは取り入れられていて、しかも知事意見なり、あるいは首長意見の形成のために開催されている。そういう実績がありますので、公聴会について言えば、私自身は少し重複感があり、負担になるのかなという印象を持っております。
以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
それでは、この点に関してほかの委員はいかがでございましょうか。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 ただいま田中委員のおっしゃった公聴会ですが、私も全く同意見でありまして、条例でそれぞれの自治体が判断の上で制度を設けて運用されているわけでして、法律でそれを各自治体なりに義務付けるということについては、やはり慎重であるべきだというように思います。一般的に言って、分権の立場からも義務付け、枠付けの撤廃というのは、今の大きな流れでもございますので、その辺自由な判断で,手続面についても自由な判断が許されるような仕組みが望ましいと思います。

○浅野委員長 吉田委員はさっき言われましたが、今のお二方の意見について反論があればお願いします。

○吉田委員 ありがとうございます。
条例で大丈夫じゃないかというご意見もありますが、私は公聴会の有効性を非常に強く感じておりますので、できればこれはきちっと法で定めておいたほうがいいと思っております。

○浅野委員長 では、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 私も法で定めておいたほうがいいのではないかという意見です。
なぜかというと、それぞれ条例でこれを入れているのであれば、逆に負担感はないのではないかと。いわゆる国のこの法律の中でこの手続をとらなければいけないものに関しては、義務付けをちゃんと入れておかないと、そこがきちんと担保できないのではないかという気がするのですが。

○浅野委員長 大塚委員、いかがですか。

○大塚委員 恐らく法律のほうで公聴会をもし義務付けるとすれば、都道府県にやっていただくのではなくて、事業者にやっていただくのではないかと思うんですね。現在のアセス法というのは、極めて自主的な取組のような制度ですから、今都道府県がやっておられるのは都道府県の意見を形成するために公聴会を行われているのだろうと思います。
ですから、両方やってもいいんですけれども、ただ62のうち45は都道府県等で公聴会を開催しているのに、また別に事業者に開催してもらうのかということを考えると、なかなかやるべきだというのは私も言いにくくて、難しいのかなという感じはいたします。

○浅野委員長 あと猪野委員、石田委員、いかがでございましょうか。
石田委員、どうぞ。

○石田委員 私も実は今判断を迷っていたところなのですが、62分の45以外のところでどういう問題が出ているかというのは、結構興味深いところですが、定量的な情報でなくても、何か定性的に事務局のほうでご存じのことがあれば、ご披露いただけませんでしょうか。

○浅野委員長 これはなかなか難しい。
さて、どうですか。

○花岡課長 今のところはそういうのは把握しておりませんので、調べてみるという形にはなると思います。現在ブロック会議で聞いておりますから。

○浅野委員長 そうですね。たしか……。

○花岡課長 ブロック会議の結果は次の回でご報告することになっておりますので。

○浅野委員長 今、各自治体のブロックごとに会議をやっていて、そこで質問項目の中に公聴会についてどう思うかというのがあるわけです。ですから、今ちょうどご意見をうかがっている最中、ちょうど今日は九州でやっているんですが、そこで自治体のいろいろな意見が出てくるかもしれません。
ただ、確かに今、条例で公聴会を制度化していない自治体があることも事実ですから、それをどうするかの問題はあるんですけれども、しかしながら大塚委員が言われるように、法律で定める場合に知事に公聴会を開けということを法律で決めることは難しいのではないか、中川委員いかがでしょう。

○中川委員 意見を述べる手続の一環という意味であれば。

○浅野委員長 開くことができるくらいだったらいい。だけれども、開かなきゃいけないと書いたら恐らく引っかかりますね。知事会としては困るとおっしゃいますか。

○中川委員 立法論としては、私どもは困ると思いますけれども、法律的に言えば一定の法的手続をする前提条件として、前提行為として義務付けることは不可能じゃないとは思います。

○浅野委員長 というようなことで、それは検討の余地があるかもしれませんが、自治体のもう少し具体的な声が上がってくると思います。それも踏まえて考えましょう。今日のところは、委員のご意見としては、現行の条例でやられている以上は条例を尊重するほうがいいという声のほうがやや多かったということだったと思います。
田中委員、どうぞ。

○田中委員 おそらく公聴会を義務付けてない自治体の考え方というのは、事業者が行う説明会の場で住民側が直接意見を事業者側に伝えることができると、それでいいのではないかと、意見は十分事業者に取り入れてもらえるんではないか、そういう趣旨があるんだろうと思います。
他方、自治体がもし置くとすれば、自治体が自分の首長の意見を形成するときに住民側の意見を参考にしたいと、そういう形で設けて、首長意見の参考に資するということはあるというふうに思います。したがって、両方の考え方があり、先ほど大塚委員がおっしゃられたように、もし事業者に公聴会を義務付けるとなると、説明会との切り分けといいますか、重ねてそういうことをやるのかという話は出てくる可能性があると思います。
以上です。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 そこは田中先生のご意見も聞きたいところですけれども、恐らく公聴会ということになると、一問一答みたいな形で答えを義務付ける、川崎市がかなり早くからおやりになるといったようなことを事業者にやってもらうということになって、そこは説明会と違うとは思いますけれども、ただ先ほど申し上げたように、都道府県のほうで公聴会はかなり開催されているので、事業者に義務付けると二重になってしまうのではないかというふうに私は思います。

○浅野委員長 猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 今、田中委員が言われましたように、事業者としては説明会で広く住民の意見を吸い上げて、対応しております。また、公聴会は自治体が首長の意見を形成するためのものと認識をしております。

○浅野委員長 わかりました。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 ちょっと私もよくわからないので、むしろ委員の皆さん方に教えていただきたいのですが、事業者が行う公聴会と意見を言う立場での都道府県知事が行う公聴会というのは、何か質的に違いがあるのでしょうか。何となくあるような気がするんですが、よくわかりません。もし質的な違いがあるとするなら、新しい制度を仕組むことになるような気がするんですが、いかがでしょうか。

○浅野委員長 知事意見の形成というときには、もともと本来知事は事業者に対して出された住民の意見を知事がもらって、それも参考にし、かつ念のために専門家集団である審査会の意見も聞き、それらを勘案して知事の意見を形成することになりますね。
そうしますと、そのときにさらに文書でもらうだけじゃなくて、直接生の声を聞きましょう。そのほうが審査会や知事部局が意見を形成するときに、より真意を把握しやすいからやりましょうと、こういうことだろうと思うんですね。
事業者のほうは、もともと事業者に対してダイレクトに住民が意見を出すようになっていますから、それを紙でもらうだけじゃなくて、今後電子媒体でも出せるようになればそれもあるんでしょうけれども、単なる文字情報ではなくて、口で聞くということになるわけで、知事の公聴会とは異なった位置づけということにはなるのでしょう。事業者側のほうでも言いたい人の気持ちをより的確に把握できるということであるならば、公聴会でも構わないのではないかと思われますが、けれども、一番はっきりしておかなきゃいけないことは、説明会といい、公聴会といい、これは討論の場なのか、それとも意見を述べていただきあるいは説明をする場なのか、そこのところが必ずしも十分に整理されていないと、それがトラブルの種になってしまうという危惧が生じるということにもなりかねません。あるいはかつての例で言うと、手続必須ということになれば、その説明会なり公聴会をつぶせば事業がつぶせるぞということになりかねない、過去にはそういう事例もなくはなかった、と記憶しております。
そういうわけで、混乱を恐れてこのような話に対して極めて消極的なご意見が出てくるということは否定できない。ですから、本来の目的は何なんだということが明確に理解され、それがちゃんと反映できるような仕組みでないといけないということだろうと思うのですけれども。

○中川委員 別の質問になるんですが、住民からのいろいろな意見なり考え方というものと、それから知事がまとめた意見書というものとに対する事業者としての対応には差があるものなんでしょうか、あるいは差があってもおかしくないのかというところはいかがなんでしょうか。

○浅野委員長 これは猪野委員がお答えになれるかどうか、よくわからないんですけれども、恐らく住民の意見というのは整理されないままで、いろいろな立場の意見が出てくるので、事業者としてはいろいろな立場のご意見ですねといって承る。しかし、知事の意見の場合には、恐らく住民の多様な意見も踏まえながら専門家の意見も聞き、少なくともその地域を管轄する自治体の長としての責任でもってお出しになるのだから、それはいろいろな住民などの直接のご意見と全く同じ重みづけで見るかと言われたら、恐らく事業者としてはそうはまいりますまい、知事さんがおっしゃる以上はそのほうが重いというふうに受け取られるだろうと思っていますが、いかがでしょうか、猪野委員、こういう理解でよろしいでしょうか。

○猪野委員 そういう形になると思います。住民意見は非常に幅が広く、ある一部分を言っている意見やそれと反対する意見等、いろいろあると思います。それらを斟酌して一定の判断を加えた上で最終的に知事意見が出てくるものと考えますが、そこには全体的にわたって総括的な話も入ってくるでしょうし、事業者としては捉え方が変わってくると思います。どちらが重いというわけではありませんが。

○浅野委員長 どうぞ、田中委員。

○田中委員 先ほど吉田委員から方法書についての見解書という手続を制度化したらどうかというご意見があったと思うんですが、私はこれは手続が重なって、結局事業者にとってみますと、現行制度では方法書段階でいただいたご意見については、準備書段階で一応整理をしてお答えをし、その上で自分たちとしてはこう考えたという、そういう組み立てになっていると理解しています。そこで、改めて方法書への見解書手続きというものを設けると、結局手続が重なって、その分期間が延長するというんですか、調査の開始が遅れてしまうと、アセスメント調査予測の手続が遅れてしまう、そういうことがある環境と思います。
ですから、私はむしろ方法書段階で充実させるべきは、事業者側の住民に対する情報提供とか、あるいは説明会とか、そういう仕組みを充実したほうが住民にとって理解が深まって、より意見が出しやすくなると、そのように思います。
以上でございます。

○浅野委員長 この点は今、田中委員はこういうご意見でしたね。
それでは、ほかに特にないようでしたら、よろしいですか。崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 私は先ほど公聴会義務付けのお話をして、考えていたんですけれども、基本的にこの手続で何か問題が起こる、あるいは地域の多くの方たちの意見が事業者さんと違うようなことが起こっているときに、できるだけ何度もきちんと専門家の方の意見を聞いたりということを手続の中で入れておいたほうがいいというふうに思っています。すべての案件がそうではなくて、例えば私の経験からいっても、最近は事業者さんが非常に環境を配慮した計画を出していらっしゃって、地域住民が感動するような、そういうような場もあるわけです。それでその地域の中の企業が非常に評判が上がって、早くこれができるといいねみたいな、お祭りで会うとみんなそういう話をしているとか、そういう事例もあるわけで、何かうまくこういう制度を使って、いろいろな多用な意見が出てくるものに関しては、きちんと意見を吸い上げる場を増やすという、何かそういう精神がうまく機能するといいなと思っております。済みません。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 最初の資料の2-2について、これは後でまた扱うような気がしていたものですから申し訳ありませんが、さっきの交付金対象事業に関しての問題でございますけれども、今この1ページのところの2のポツのところに出てくるまちづくり交付金と地域自立活性化交付金だけが許認可の要件がないので、法の適用対象外になってしまうかもしれないという事業だと思いますが、今のところ、そんなに多くはないんですけれども、先ほどの話もありましたように、今後交付金が広がっていくと、こういうものがたくさん出てくることが予想はされますので、そういうことを考えると、交付金対象事業も国の関与要件に当たるというふうにして、法のもとの適用対象にしていったほうがよいのではないかというふうに考えますので、意見として申し上げさせていただきます。

○浅野委員長 わかりました。
ちょっとこの件に関しては、交付金というものと補助金というものの違いとか、それからお金が出るということと事業そのものが許認可にからめられているかどうかということと、その辺2つきちっと整理して議論しておかないといけないかもしれません。
要は補助金の形でお金が出るか、交付金の形でお金が出るか、その後の事業決定がどこまで柔軟にできるかというその違いだろうと思うので、今までの枠組みで言うと、許認可がちゃんと仕組みとして存在するということをまず一義的に考えてやる。もっともNEPAのような考え方だと、連邦が補助金を出せば全部アセスの対象になりますから、許認可があろうかなかろうが補助金でやっていますので、その発想を取り入れても悪くはないと思うのですけれども、ちょっとこの辺も最終の報告の段階でよく頭を整理させていただきたいと思います。
さて、その上でただいま公聴会に関しては、大分問題が今までの研究会段階の議論よりもクリアになってきたと思います。特に田中委員、大塚委員がおっしゃったように、現在の公聴会の条例上の制度というものと、それから事業者に公聴会を義務付けるという場合はまるっきり意味が違ってくるだろう。その辺をどうするのかということを含めて議論しないと、ただ公聴会はいいですねというだけではしようがないでしょう。
もう一つは公聴会という場合に、討論会のような公聴会を期待している方々にご満足いただけるような仕組みを果たしてアセスメント法で制度化できるのかということもあるように思われます。結局、今紙媒体でしか出せない、あるいは文字情報でしか出せない意見を直接面と向かって口で言って、それをしかるべく聞いてもらうという仕組みが公聴会だというその範囲内で考えるのであれば、それなりの対応の仕方があるが、それ以上の討論会までやらなきゃいけないというようなことになると、これまた難しい問題が出てきそうなので、そこのところは一体どう整理すればいいかということが今日新たに問題として浮き彫りになってきたと思います。この辺りも最終の報告の段階では、きちっと整理をして専門委員会としての考え方を出していかなければいけないということがわかってきたと考えました。
それから、それ以外のことですが、方法書への意見に対する事業者の見解の表明方法です。田中委員からは、手続が重なる上時間がかかるから、というどちらかといえば消極的なご意見でありました。この点については、吉田委員が積極的な意見を出されましたけれども、今のところこの2つの意見だけです。
私は別にどっちでも構わないと思っているのですが、方法書が出てから準備書までにかなり長時間、ときとして4、5年の時間がかかるという案件が現実にはあるということが最近わかったわけです。それは諸般の事情これありで、調査に時間がかかってしまったということがあったり、あるいはもっとほかの理由もあって、実は準備書までいかなかったとかという案件があるものですから、そうなりますと方法書の賞味期限切れの段階で準備書が出てきたときに、そこで事業者の見解が明らかになったって、意見を出した人にとっては何だということになりかねないし、また手戻りの論議の種がでてくるということにもなる可能性があります。
だけれども、そうだからといって何年たったら意見を出せという仕組みができるかどうかは別でしょうけれど、私は研究会のときには、方法書は準備書に先立つ手続きで、速やかに準備書ができるんだから、それでいいはずだというふうに思っていましたけれども、どうもこれを、やらせるべきか、やらせるべきでないかという二者択一でいいんだろうかかなと、思うようになりました。ちょっとその辺がひっかかっているんですが、さはさりながら基本的には田中委員がおっしゃるように、方法書の段階で方法書が何を言おうとしているのかをより的確に理解していただくということのほうがより優先課題だろうということは確かです。
一体何のためにこういうアセスメントをやろうとしているのかが十分に理解していただけないで方法書に対する意見が出てくる。そうなりますと、方法書に対する意見ではない意見がいっぱい並んでしまって、結局意見を聞いてもらえなかったという不満感だけが残ってしまう。一方、事業者の側にとっては、大変な手間をかけたけれども、ほとんど必要な情報は集まらなかったということが出てきてしまいますから、この問題は入り口の問題にもまだまだその問題が残っているので、そのことも含めて専門委員会としての答えを出していくということになるのではないかと思うのですが、こんなところでよろしゅうございましょうか。
それでは、残りの時間約十二、三分ございますけれども、もう一度さっき大塚委員が前に戻ってくださったんですが、少し急いでご議論をいただいたという面もあるものですから、まだまだ十分に議論を尽くし得てない部分があったかと思います。
ほかに何か特に今日お気づきの点がございましたら、お出しいただけませんでしょうか。
石田委員、どうぞ。

○石田委員 座長が整理いただいたことでも十分ですが、交付金のことで、これからも地方分権化の流れの中でいろいろなものがこの方向に行くとしたときに、事後的に環境アセス法で拾わなきゃいけない部分があるかないか議論するというのは、限界があると思うのです。本来、交付金化する段階できちっと議論すべきものがあると思いますので、その段階で環境大臣が何らかのチェックをできる仕組みを設けることを検討する必要があるのではないかと思いました。

○浅野委員長 ありがとうございます。
まさにSEAと、それなんだと、交付金化をすることによって、環境にどういう影響が生ずるかということをちゃんとそこで考えていただければ、それなりの対応ができるということもあるんだろうと思います。この辺りは当委員会がどこまで踏み込んで議論ができるかということはありますが、ご意見は大変貴重なご意見だと思います。
白石局長、何か今の点についてありますか。

○白石局長 よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 ほかに何かございませんか。
猪野委員、いかがですか。よろしいですか。
大塚委員はいかがでしょうか。

○大塚委員 先ほどの交付金のところのお話ですけれども、現在の2条の2項の2号のロというのが国の補助金等の交付の対象となる事業というのがあるので、この「等」に交付金も入れたらどうかという、そういう趣旨です。

○浅野委員長 わかりました。それは理解できました。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 交付金化の関係で私の意見を申し上げますと、補助金を交付金化することと環境影響評価をどうするかということは、恐らく関係がないといいますか、中立的ではないかと思いますので、交付金化に伴って環境アセスに影響の及ばないようにするのは、私は至極当然だと思います。ただ、技術的には難しい面があるかもしれないと思いますが、今、大塚先生のおっしゃったような「等」で読むというような話もあるかもしれませんが、制度化するのであれば明確にしたほうが私はいいと思います。

○浅野委員長 ありがとうございます。
崎田委員、何か特にございますか。

○崎田委員 いえ、大丈夫です。

○浅野委員長 田中委員、いかがですか、よろしいですか。
それでは、ほかにございませんようでしたら、本日の議論はちょっと時間が余りましたが、これで終わらせていただきます。
では、あとは事務局から、どうぞよろしくお願いいたします。

○沼田補佐 次回の日程でございますが、第4回の専門委員会は11月18日、木曜日、17時半から19時半に行います。夕方遅い時間からの開始になりますが、よろしくお願いいたします。
なお、会場でございますが、大手町ファーストスクエアカンファレンスでの開催を予定しております。場所は今回とは別な会場となりますので、お気をつけください。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、次回は11月18日、大手町の近くで行われるということでございます。よろしくお願いいたします。
それから、お帰りになりまして、またお気づきの点がございましたら、今日の論点についてどうぞご意見をメモでお出しいただければと思います。
それでは、本日はどうもありがとうございました。
これで散会いたします。

午後 4時50分 閉会