中央環境審議会総合政策部会 環境研究技術専門委員会(第3回)会議録
日時
平成13年6月12日(火)午前10時~午前11時40分
場所
経済産業省別館9階 944号会議室
出席者
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中川 総合環境政策局長 青山 総合環境政策局総務課長 木村 地球環境局研究調査室長 内藤 水環境部農薬環境管理室長 |
山田 大臣官房審議官 松井 総合環境政策局環境研究技術室長 安藤 環境管理局環境管理技術室長 |
議題
- (1)専門委員会中間報告案について
- (2)今後の進め方について
- (3)その他
配付資料
資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会委員名簿
資料2 第2回環境研究技術専門委員会における主な指摘事項
資料3 環境研究・環境技術開発の重点的・戦略的推進方策に関する中間報告(案)
資料4 今後の進め方について(案)
議事
【松井環境研究技術室長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会の第3回環境研究技術専門委員会を開催いたしたいと思います。
まだ若干名の先生がお見えになっておりませんが、早速、議事に入ります。その前に中川総合環境政策局長よりご挨拶申し上げます。
第2回目の専門委員会を開催いたしましてからちょうど1週間という大変慌ただしい中、委員の先生方にはご多忙にもかかわらず本日の第3回の専門委員会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
去る5月29日に平成13年版の『環境白書』が閣議決定されました。白書は、冒頭に"「地球と共生する『環の国』日本」を目指して"という表題のもとに、21世紀社会の環境政策に与えられた課題とその基本戦略、あるいは地球と共生する社会経済活動のあり方などについて記述をしております。その方向は、今回、本専門委員会でご議論いただいているものと基本的に同じであると考えております。本日は、前回の委員会で各委員の先生方からいただきましたご指摘を踏まえて、事務局において中間報告の修正案を用意いたしましたので、取りまとめに向けまして引き続き各委員の先生方の忌憚のないご意見をお願いしたいと思います。
なお、これまで本専門委員会でご検討いただいてまいりました重点化プログラム等の内容につきましては、6月5日・8日に開催されました総合科学技術会議重点分野推進戦略専門調査会の環境省に対するヒアリングの場などを通じまして総合科学技術会議の方に報告させていただいておりますことをご報告いたしたいと思います。
以上、簡単でございますけれども開会のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【松井環境研究技術室長】 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
まず、資料の1が一番上になっておりますが、中央環境審議会総合政策部会の環境研究技術専門委員会の名簿でございます。これはすべて1冊にとじ込んでございます。このほかに、委員の先生の皆様方のみの配布でございますが、ポンチ絵のカラー刷りが別途お手元に置いてあるかと思います。それと、白書の概要版を後ほど間に合えばお手元にお届けさせていただきたいと思います。
以上でございます。
それでは、鈴木先生、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員長】 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
第1の議題は専門委員会中間報告(案)で事務局からご説明をお願いするわけですが、あらかじめ申し上げておきますが、今日でこの案に関する議論のタイムリミットが来ますので、先生方、遠慮なくご意見をお述べいただきながら、ご議論願いたいと思います。
それでは、事務局どうぞ。
【松井環境研究技術室長】 それでは、5ページの資料3でございます。これは、環境研究・環境技術開発の重点的・戦略的推進方策に関する中間報告(案)でございますが、平成13年6月に中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会がまとめたものという形にしたいと考えております。
次に6ページでございますが、目次をこのような形にしたいと考えております。
7ページの「はじめに」でございますが、これは、第2回のときに提出させていただいたものと基本的に同じでございます。平成11年7月の環境研究技術基本計画、それから12年12月の環境基本計画、そして13年3月の科学技術基本計画を受けて、現在、総合科学技術会議において検討がなされているようなこと。それから、今年の4月から、国立環境研究所を始めとして、環境研究・環境技術開発の中核を担ってきた国立の試験研究機関の多くが独立行政法人になったこと。このような状況を踏まえて、13年4月に環境大臣より中央環境審議会に対して諮問があり、総合政策部会に付議され、本専門委員会を設置して審議することになったことを書かせていただきました。また、分科会を設けて検討を行っている旨の記述も行いました。
最後のところで、本報告書は総合科学技術会議における推進戦略の検討への反映を考慮し、中間報告として取りまとめを行ったものである旨の記述を行っております。
次に、「第1章 環境研究・環境技術開発の性格及び方向性」でございますが、柱書きのところの記述は前回と同じでございます。
「1.持続可能な社会、自然と共生する社会と環境研究・環境技術開発」も基本的には同じでございますが、[5]までのところを受けてそのあとの書きぶりを若干整理させていただきまして、3行目になりますけれども、「……それらのシステムに悪影響を与えていないか、ということの把握やその予測・予防・再生」と、「再生」を加えました。「……のために行うものである。これらにより持続可能な社会、自然と共生する社会の構築に貢献し、「地球と共生する『環の国』日本」の形成に資するもの」と、若干書きぶりを整理したものでございます。
次に、「2.環境研究・環境技術開発が答えなくてはならない「問い」」でございますが、これは、前回、委員の先生からご指摘をいただきまして、この問いのところが実はその次の3の「国民に対する説明と国民の理解の獲得」に包含された形で書いてありました。これを独立させるべきことと、問いをつくるということをもっと明確に示すべきであるというご意見をいただきましたので、2として「環境研究・環境技術開発が答えなくてはならない「問い」」ということで、新たにこの項を設けました。最後のところになりますけれども、「このような『問い』は、対象となる環境問題に関する根本的な『問い』を中核とし、その『問い』に答えるための鍵となる『問い』がつながっていく」と、そのような書きぶりを行っております。
2が分かれたといいますか、新たに項立てをしたことを受けまして、3のところの整理を若干いたしております。問いの部分については、上の方に上がっていったということでごさいます。また、「なお」といたしまして、「上記2の『問い』は、国民の理解と連携を得るための方法としても有効である」旨の記述を行いました。
次に4の「体系的・総合的視点」でございます。ここの[1]のところは、基本的には前回と同じでございます。
[2]のところも基本的には同じでございます。[3]も同様でございます。
10ページに入りましてこの[4]のところでございますが、人文社会科学系の研究の強化の記述がないのではないかというご指摘がございまして、それを受けて、今回、[4]「人文社会科学系の研究の強化」をつけ加えました。「学際的な取組に当たって、人文社会科学系の研究を強化し、自然科学系研究との一層の連携・融合を図ることが求められている」旨の記述を行っております。
「なお」のところでございますが、先ほどの[1]のところは「気圏、水圏、地圏、生物圏の間をさまざまな物質が循環し」云々でございますけれども、これを「広義の「循環」をキーワードとして表現すると次のようになる」と、このところで、市町村と国の間に流域圏といったような、ある程度のまとまりを持った大きさを書くべきではないかというご意見と、さらにもう少し厳密に表現するとなると、その100キロメートルスケールの地方はローカル、1,000キロメートルスケールの地域をリージョナル、それで地球全体をグローバルと、こういう区分けを行うべきではないかというご意見もございまして、その旨を括弧書きでつけ加えさせていただいております。
それから、5のところでごさいますが、ここも実は第3章で重点化プログラムを置いているわけでございますが、1章・2章・3章のつながりが見えてこないということがありまして、重点化についてどこかに記述を行うべきではないかというご意見を頂戴しておりました。それを踏まえまして、今回5として新たに項を起こしたもので、環境基本計画において戦略的プログラムというものを置いてございますが、「その理由として、『限られた人的、物的資源を有効に活用して政策を展開するためには、総合的な観点から諸施策についての選択肢を検討し、優先的施策を選定して持続可能な社会の構築を戦略的な観点から進める必要』があるとしている。このことは、環境研究・環境技術開発の課題の選定においてもまさに該当する事項であり、優先的課題を選定する重点化が必要である」との記述を行いました。「その一方」ということでございますけれど、「地道な継続を必要とする課題や研究者の自由な発想の下に実施する課題も必要であり、そのための配慮が不可欠である」と。これは自由な発想の研究も大事ではないかというご指摘を前回いただいたかと思います。それを踏まえて、「その一方」ということでこの2行を加えてございます。
6の「各主体間の連携・交流」でございますが、ここのところは少し書きぶり、記述を丁寧に行いました。「環境研究・環境技術開発には、独立行政法人国立環境研究所を初めとする独立行政法人の研究機関、国の附属機関として存続することとなった研究機関、(財)地球環境戦略研究機関を始めとする公益法人の研究機関、地方公共団体の研究機関、大学、企業の研究機関、NGOなどの国内の主体に加えて、国外の様々な主体が関与している。これらの連携・交流は、共同(協同)の取組を推進するとともに、各主体の長所をのばして短所を改善したり、結集された高い技術力や新たな発想を生み出すなど、大きな効果が期待できる。このため、各主体間の連携・交流がさらに進むような工夫を行う必要がある」と。「特に、」としまして、「独立行政法人化のメリットを最大限に活用するとともに、公益法人や企業の研究機関が持つ能力についても、できる限り活用していく必要がある」と、このような書きぶりにいたしております。
7の「知的財産の形成、環境産業・雇用の創出」のところでございますが、ここは特に変更を加えておりません。前回と同じでございます。
8の「目的、性格に応じた配慮事項」でございますが、この8の柱書きのところは前回と同じでございます。
(1)の「環境の状況の把握、環境への負荷の把握」のところでございますが、冒頭のところで、当初、環境モニタリングのみだったのですが、各種の調査が環境の状況の把握のために行われておりますので、各種の調査という言葉をここに加えております。後段の部分は基本的に同じでございます。
(2)の「環境問題の発見」の部分でございますが、ここも前回と同じでございまして、ここの特徴的なところとしては、その最後のところにありますけれども、「『問い』に照らした評価が難しい面もあるが、問題が発見されたときの研究の価値とそのための『保険』としての必要性から、十分な配慮が必要である」と。前回と同じ記述でございます。
次に(3)の「環境変化の予測、環境影響の予測」のところでございます。前段のところで「環境変化の予測及び環境変化の人や生態系への影響の予測は、国民に未来を示す重要な取り組みである」、ここは同じでございます。「また、環境変化の機構の解明、環境影響の解明、環境への負荷の予測は、その前段の作業として位置付けられるもので同様に重要である」と、そのように記述を行っております。その後でございますが、「これらの一連の作業は、一般に基礎的なデータの下に様々なシナリオを設定して実施するが、予測には幅があり不確実性を伴うことに留意するとともに、その不確実性の中でどのようにリスクを評価するかが課題となる」と、前回のご指摘を受けましてこのような記述を行いました。
(4)の「政策立案への貢献」でございますが、「上記[1]から[3]の取組により得られた成果は、それ自体が政策立案に貢献するものであるが、このほかに未来環境の望ましい姿や許容できる範囲などを目標と示すことが重要である。また、そのような目標を達成するための政策プログラムに関する研究や政策自体の評価を目的とする研究の必要性が増しており、とりわけ人文社会科学系の取組が重要となっている」と、「とりわけ」のところを加えたのと、「このほかに未来環境の望ましい」云々の部分をつけ足してございます。
(5)の「対策技術の確立と普及」でございますが、ここのところは前回と同じでございます。第1パラグラフの後段のところでございますけれども、「環境汚染物質による負の遺産処理などの緊急に実施すべき事業のための技術の確立や安心できる未来の構築のための予防的な対策技術の確立が重要である」と、そのような記述となっているところでございます。
また、「一方、」以下の部分でございますけれども、「既に開発された個別技術を評価してシステム化し、普及していくことも重要であり、個別技術について総合的な評価、検証・実証のための取組を進める必要がある」と、前回と同様の記述を行っております。
以上が第1章でございます。
引き続いて、第2章の「環境研究・環境技術開発に係る体制整備」というところです。冒頭の柱書きのところは前回と同じでございまして、基本となるのは11年7月の環境研究技術基本計画の第4章の第2節の部分でございます。これにつきましては、参考といたしまして、その概要を今回の専門委員会の中間報告に参考としてつけたいと考えております。まず、1のところの「情報基盤の整備」でございますが、これは前回、委員からご指摘がございまして、情報基盤の整備をまず頭に持ってくるべきであると。前回は、たしか「研究資金の拡充と適切な配分」、それが冒頭にございましたが、それよりは「情報基盤の整備」をまず持ってくるように整理をした方がいいのではないかというご指摘をいただきまして、そのような形で修正いたしております。情報基盤の整備ということで、まず基本となる環境情報の整備が必要であると。ここで問題点として[1]から[6]と掲げてございますが、これは基本的に同じでございます。前回お示ししたものと同じ内容になっておりまして、このような問題があり、基本となる環境情報の整備、それを受けた国民でありますとか、行政それから研究者と、さまざまなニーズに対応するような提供を行っていく必要があるということでございます。
それから、(2)の「環境研究・環境技術開発に関する情報」でございますが、ここも前回と基本的に同じでございまして、研究技術開発に関する情報についてもネットワークシステムでございますとか基本情報が必然的に集まるシステムを構築するとともに、地方公共団体・大学・民間における取組についても効果的に情報を集めるシステムを構築する必要があると書いております。さらにこれらを広く利用に供するためのシステムが必要であると。また「なお、」としまして、「研究・技術開発の到達段階については、国際的な比較も含め、専門家によるレビューが必要であり、そのための体系的な調査を継続的に行うための取組が必要である」と記述しております。前回と同じでございます。
(3)の「タイムカプセルとしての試料の収集、保存等」。ここでは、前回、委員からそのタイムカプセルとしての試料の収集・保存ももちろん重要、必要ではあるけれども、その前段として環境モニタリングが基本的にきちっと行われていることが必要である旨のご意見をいただいておりましたので、「環境モニタリングについては、迅速かつ効率的・効果的な実施体制の整備を基本とした上で、」と、その追加を行っております。
2の「研究開発の評価」でございますが、ここは(1)と(2)に分割した形で整理をしました。(1)のところが「個別の課題・機関に関する評価」ということで、内容は同じでございます。研究開発評価に関する大綱的指針の改訂作業が、現在、総合科学技術会議において進められております。こういった個別の評価は、今後これらに従って行われます。また、このため従来の枠組みを強化した新たな体制整備が必要となっております。省が自ら行っている取組につきましては、省の政策評価の枠組みに基づく評価も必要でございますし、独立行政法人である研究機関、国立環境研究所等におきましては、独立行政法人通則法に基づく適切な評価、これは評価委員会というものがもう既にできておりまして、それに基づく評価も行われることとなっております。
(2)の「研究開発全般に関する評価」でございますが、ここも、基本的な書き方、書きぶりは同じでございますが、上記1(2)に記述した「環境研究・環境技術開発に関する情報」が必要としています。また、環境省においてもこういった全般的な評価についての取組の検討が必要であるというのを前段に書いているところでございます。
次に3の「環境技術の評価等」でございますが、ここは(1)として「環境技術の評価」、(2)で「検証・実証試験」、(3)として「技術体系の転換」、ここは西岡先生からご指摘をいただきました。環境技術についての評価だけではなくて、技術体系全般をその従来型の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とし、自然を消耗する技術体系から、「地球と共生する『環の国』日本」を支える技術体系へと転換しなくてはならない。そのための方策については人文社会科学的な研究を含めた検討が必要であると、このように新たに(3)を起こしました。なお、(1)(2)のところは、書かれている内容は同じでごさいますが、(1)(2)を分けて書いたというような形になっております。
次に4の「地域における研究開発の推進」。ここのところは基本的に前回と同じでございまして、地方における産学官の研究共同体の構築を図る。その際、地方の環境研究機関を中心に行っていくというようなこと。一方、地方の環境研究機関においては、40年代後半に大量に採用された職員の退職が目前に控え、大量にやめていくというような状況下にありまして、今後どのような戦略のもとに地方環境研究機関の機能強化を図るかが課題となっている。これは地方の問題ではありますが、国としても重要な問題であると認識しているところでございます。
5の「研究資金の拡充と適切な配分」。これは先ほど申しましたように、前回は第2章の冒頭に置かれていたものを5ということで後ろに持ってまいりました。ここに書いている内容につきましては、基本的には前回と同じでございます。科学技術基本計画で平成13年度から17年度までの第2期の計画においては、政府の研究開発投資の規模が従来は17兆円だったわけですが、これが約24兆円と、40%近くふえる。また、競争的な研究開発環境を整備するため、競争的資金の倍増を目指すと、そのような形になっております。また、何度も申し上げておりますように、環境を重点4分野の一つに位置づけ、特に重点を置いて優先的に研究開発資源を配分することになっております。このようなことを受けまして、現在、総合科学技術会議が環境分野の推進戦略を作成し、資源配分の基本的な考え方を明らかにすることになっておりますが、中央省庁等改革基本法第24条に環境省は総合科学技術会議と密接に連携する旨の規定があり、環境省設置法において、環境分野の試験研究費の配分計画に関することが環境省の任務の一つになっています。このようなことを受けまして、環境分野の研究資金全体の拡充を図りつつ、環境問題の解決に真に貢献する研究開発課題に対して資源配分がなされるよう、環境省は総合科学技術会議と密接に連携した取り組みを強化する必要があると、前回と同じでございますが、そのような書きぶりとなっております。そのあと「特に」といたしまして、「環境問題の性格に鑑みると、環境問題解決のための研究や技術開発とともに、政策や社会のニーズに応えていくための資金の確保が不可欠であり、このような目的を明確化した競争的資金の倍増を図ることが重要である。これに関連し、科学技術基本計画で示された研究の質の向上と効率化のための間接経費の確保もあわせて必要である」、この記述も前回と同じく、変更を特に行っておりません。30%のオーバーヘッド、間接経費というようなことがうたわれておりまして、環境分野におきましても環境省の所管する競争的資金についてもそのような対応が必要になっているということでございます。
6の「人材の確保、組織の整備」でございます。ここも前段のところは前回と基本的に同じでございまして、人材の確保、組織の整備には二つの面があると。一つは、その研究開発の企画でありますとか資金の配分、進行管理、評価などを行う、いわゆる企画・管理部門の整備、もう一つが実際に研究開発を担う実施部門の整備ということで、「この企画・管理部門については、環境分野の研究開発全体を総合的・統括的に管理する組織の整備が課題となっている。そのような組織は、極めて幅広い環境分野全体に的確に対応できる能力を備えていなければならず、そのための人材の確保が必要である」と。「また」以下は、例えば私どもの室でございますけれども、「実際に競争的資金などを所掌する組織について、企画・管理のための機能強化が求められている。そのための組織定員の拡充が課題となっているが、実際には困難なところがあるので、企画業務は的確に行った上で、管理業務の一部を外部にゆだねるなど民間の能力の有効活用を図る必要がある」と。アウトソーシングを的確に行っていく、そのような記述でございます。
第二の実施部門のところでざいますけれども、ここでは、「環境研究技術基本計画や科学技術基本計画に方向性が示されている。流動性のある研究制度やフェローシップ制度を一層充実させる必要がある」と。「また、」として、第1章6、ここのところで、連携・交流を記述しておりますが、これを受けて、「関係機関の連携・交流の強化が必要であり、独立行政法人や地方公共団体の研究機関などを中核とする研究共同体の組織化やネットワークづくりが課題となっている」と、そのような記述としてございます。それ以下の「自然環境研究における博物館」云々、ここのところは同じ記述となってございます。
7の「成果の普及・環境政策への反映」でございますが、これは新たに項を設定いたしました。環境政策への反映ということが必要であるというご指摘を前回いただいておりまして、その前段として、「環境研究・環境技術開発の成果については、その普及のために様々な手段を講じ、工夫を凝らす必要があり、特に国民に対してわかりやすく説明していくことが不可欠である。また、環境問題の解決に貢献するという明確な目的を持ち、環境政策との密接な連携のもとに実施された研究・技術開発の成果を環境政策に積極的に反映していくことが肝要であり、これを促進するシステムが整備され、運用されなくてはならない。」旨の記述を行ったところでございます。
8の「環境研究・環境技術開発の全般的な推進に関する検討」。ここは前回と同じでございまして、特に最後のところでございますけれども、環境問題は21世紀の人類の未来を占う大きな課題であると。したがいまして、総合科学技術会議においても当分の間は環境が重要な分野の一つにあり続けると。そうだとしますと、総合科学技術会議においても、取り組みといいますか、検討が続きます。こういった状況を考えますと、今回、専門委員会におきまして委員の皆様方にご検討をいただいたこのような検討を引き続き行うことが必要であり、その効果的な実施方法について検討する必要があると、そのような記述を行ったところでございます。
以上が1章、2章でございます。
【鈴木委員長】 ここで一旦止めまして、1章、2章までのところはこれまで議論してきましたので、各委員のお考えがかなり事務局の改訂作業に反映されていると思いますが、ここまでのところでご意見なり、質問なりございましたら。
【藤田委員】 前回ちょっと申しそびれたんですけれど、第1章でいわゆる各主体間の連携というのか、研究機関を連携させるということで、それは「国の内外」と書かれているんですが、実際に第2章で体制になったときに、やはりできれば循環というのを一番、第1章の中でかなり広くとらえているんでしたら、やはり国外との連携はあってしかるべきではないか。これは体制の中で重点化の個々の課題というのはまた別だと思うんですけれども。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
どうぞ、吉川委員。
【吉川委員】 モニタリングのことなんですけれども、第2章の最初のところへ出てきたということなんですけれども、体制整備、今のお話と同じなんですけれども、データベースの整備であるとかネットワーク化ということは、全体としてソフトの面での整備というふうな感じがあります。モニタリングというのはこの中でもありましたように、東南アジアも含めての環境問題ということであれば、ハードとしてのそのモニタリングシステムをどう構築していくかというような面での方向も必要なのではないかと思います。
【鈴木委員長】 山田委員。
【山田委員】 いろんな分科会と環境情報の関係について言いますと、今後、環境教育という形がかなり重要だろうということ、皆さんのご指摘であると思うんですよね。だから、この情報基盤のところへもう少し例示的に、若い人の環境教育というものに今後積極的に使っていくという側面を書き込んだ方がいいんじゃないかと思うんです。ここの中にも(2)のところに「さらにこれを広く利用に供するためのシステムが必要である」というふうな形で書いてありまして、そこに含まれていると思うんですが、特に21世紀云々といいますと、若い人の環境教育というのが問題解決で非常に重要なので、この環境情報がそういうところに対して非常に重要で役立っていくんだという側面をもっと明確に書かれた方がいいのではないかと思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございます。
これまでのところ、みんな書き込まなければいけないポイントをついていると思いますが、ほかにどうぞ。大聖委員。
【大聖委員】 皆さんおっしゃったこととちょっとオーバーラップするかもしれませんけれども、やはり国際貢献ということをやはりどこかに特筆していただきたいなと思います。
【鈴木委員長】 それは柱を起こせということになりますか。
【大聖委員】 柱を起こすぐらい、私は重要ではないかなと思っているぐらいですけれど。
国際貢献というのは、結果的に貢献するという場合が非常に多いと思います。例えば、研究開発の成果、あるいは研究計画自体を公表していくということですね。日本はどういうスタンスで、どういう研究重点項目を取り上げていくかというようなことは、対外的には、私は、国際的にも公表していくべきだろうと思います。それから、その成果もやはり対外的にちゃんと公表していくということ。そうすると、日本がどういう環境問題に取り組み、どういう問題を持って進めているかということが明らかになるということ。それからもう一つは、外国人の研究者の受け入れということもやはり大きく視野に入れていただきたいと思います。例えば日本でいろいろ研究をやって国へ帰りますと、その方がそちらの国で貢献するでしょうし、また、そういう環境関係の技術者の、科学者の養成ということにもなりますので、それは非常にコントリビューションとしては大きいと思います。
【鈴木委員長】 国際化の問題を前提にして考えると、いろいろなことをもう少し整理して書き直さなければいけなくなるかもしれませんね。
【大聖委員】 それからもう一つ、地方自治体と一緒にやるということは断片的にはあるんですけれども、私は地方自治体とこれから組んでやる仕事というのはものすごく大きいと思います。そんなことでそこにももう少し力点を置いて、特に地域の問題というのはその地域の特殊性に根差したものが多いわけですから、地方自治体を巻き込むというようなそういう視点も強調されてはと思います。
以上です。
【鈴木委員長】 ありがとうございます。
どうぞ、三橋委員。その次は秋元委員。
【三橋委員】 第2章にかかわる問題だろうと思いますけれども、中小企業でさまざまな環境関係の技術を開発してこんなものをつくったんだというような相談をよく受けるわけですけれども、それの評価をし、これは非常にすばらしいんだとか、そういうような相談窓口みたいなものが必要なんじゃないかなと思うんですね。特に中小企業の場合には、どこに自分がつくった環境技術を売り込んでいくか、あるいは相談するか、そういうところがやはり欲しいと思っているんです。だから、そういったところの相談窓口といいますか、そういうようなものを設けると、相当、何ていいますか、埋もれた草の根の非常にいい技術というものを吸い上げていくことができるのではないかなというような感じがしますので。
【鈴木委員長】 おっしゃるポイントはわかったんですが、これはちょっと事務局の方からどうお考えになったか聞いておきたいんですが。環境省の仕事としてやるのか、それとも環境研究技術という、開発という中でやるのか、それとも経済産業省の仕事としてやるのか等々考えると、いろいろな側面がありそうなんですが。
【松井環境研究技術室長】 ただ、どう対応するかについてはもう少しいろいろと省全体で検討する必要があると思います。以前にもちょっと検討したことがあるんですが、現状の体制を考えますと、今、三橋委員がおっしゃいましたように、いろいろなところで開発されたものが、持ち込まれた場合に一々こちらで検証するというのは、実ははっきり言って対応できないのかなというようなことがございました。ただ一方で、情報についてはうまくそれを吸い上げてといいますか、それが広がるようなシステムづくりが必要なんではないというようなことも検討しておりまして、その辺の何か情報をうまく、いわば掲示板みたいなものになるのかもしれませんが、そういった対応である程度のことができるのかもしれないと思っています。いずれにしても、検討が必要かと思います。
【鈴木委員長】 私の感じだと、何かそういうクオリフィケーションをかけて省というお役所が権限を持つようになると、それに伴っていろいろな末端の行政構造の肥大化が起こってくるのが一般的な話でありまして、意外にその辺の話は波及効果がいろいろあるのではないのかなという気もちょっとしたものですから。
では秋元委員、どうぞ。
【秋元委員】 第2章の6番の人材の確保・組織の整備というところで、17ページの一番最後なんですが、ここに大学にちょっと言及している部分があります。一番最後、「さらに、近年、環境研究を中心に掲げた大学、学部、学科の新設・再編が相次いでおり、これらの機関に対する支援とそこから供給される人材の活用が課題である」と。これはこれで非常に結構なんですが、ぜひここで触れていただきたいのは、例えば「また、これと並行して、環境にかかわる基礎的研究に携わる人材を育成するため、従来の地球物理学・化学・生物学・経済学・法学等の学科・専攻科における環境関連研究講座の拡充を図るべきである」というような文言をぜひ入れていただきたいと思うんです。やはり環境を看板に使われた学科というのはそれはそれで、ある種の環境研究に対する対応はできるんですけれども、いわゆる基礎的に、特に地球環境ですとか、そういうものを扱う若い人材を育てるというところには必ずしもなっていない。そういう人たちというのは、大体従来の研究科の方から育ってくるものだと思いますので、その辺を触れていただきたいと思います。
【鈴木委員長】 関連するディシプリンをそこまで、何ていうか、特定化した形で書き上げなければいけないことですか。もっと一般化した書き方で……。
【秋元委員】 もう少し一般的でも結構ですけれども、いわゆる環境を看板にしたところでない、従来の、何というんでしょうかね、伝統学科というのか……、何という言葉を使ったらいいかわかりません。ちょっと余り具体的な学科名を挙げるというのもちょっとどうかと思いますけれども、何か適当な言葉を使っていわゆる環境研究を中心に掲げていない従来の伝統的な学科ですね。そこでの人材育成というのが非常に私は大事だと思います。
【鈴木委員長】 確かにかかわりはあちこちにありますね。
ほかに。どうぞ、浦野委員。
【浦野委員】 これ、前回に比べると非常に整理されてよくなったというふうに、まず全体として感じられますけれども。この文章の一つ一つの最後のフレーズ、これは非常に重要なわけですね。何とかが必要であるとか、何とかの必要性があるという、これはこれでいいんですけれども、掲げてあるとか求められているとか、何かちょっと気になる用語が幾つかあります。例えば10ページ、人文社会科学系との融合というのをわざわざ足したわけですけれども、「求められている」という表現で、こう、ちょっと他人事のような表現なんですが、これに対応するのが後ろにもあるんですけれども、後ろもそこが非常に弱いんですね、表現が。最後のところ。それから、10ページの下のところもいわゆる「循環」というキーワードの説明なんですが、最後に、外部の協力を得るか外部に対応をゆだねていくという、やはり文章の最後に外部にゆだねていくという対応を最後に書くのはまずい。もうちょっと表現を工夫する必要があるというふうに思います。それは全体的に幾つか、例えば地方自治体のところも非常に気になるんですが、先ほどご指摘はありましたけれども、例えば16ページの5の上ですけれども、40年代後半に何々と書いてあり、機能強化を図るかが課題となっているというので、「課題となっている」で終わっているんですね。ですから、これをむしろ前に持っていって、課題となっているが地域の研究開発の推進の中核となるのは地方公共団体だというふうに前の文章にむしろこうつなげていって、それで国の研究機関等々の連携・強化を図っていく必要があるというふうに締めるというのが本来の書き方で、何か、必要があるけれど課題になっていると言っているような、課題に終わっているという、ここはやはり何が必要だということで文章をつくっていくのが必要なんじゃないかと。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
小林委員、どうぞ。
【小林委員】 研究機関の連携、ネットワークの形成のところはかなり丁寧に書いてあるんですが、行政なり事業との連携をどうするかについては余り丁寧に考察されていないという印象を受けます。特に、ローカルな環境修復事業のようなものですね。具体的に言いますと、東京湾沿いにどぶ川が依然として残っていまして、毎日運河を渡ったりして通ったものですけれど、そういうローカルな修復事業にこういう調査・研究・技術開発、きっちり手を組んで環境を改善していくと、こういう分野は重要な、残されている課題の一つだろうと思いますので、その行政、事業との連携のところをもう少し考えた上で書けないかなと、こういう印象です。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】 先ほどは表現上の問題で、地方と、それから人文系と、あと先ほどお話にあった大学その他との連携というところがみんな「課題である」なんていうのもぜひ……。
それはそれとして、もう一つ情報基盤の整備というところ、これは非常に重要だと私も思っていますけれども、この中でどうもモニタリングに偏っているような感じがあって、まだ、いわゆるマテリアルフローという話を以前もお願いをしたんですが、そういう視点がどこにも書いていないというのは、これはぜひ物の流れ……、原材料でもいいです、化学物質でもいいですし、シュミトレでもいいんですが、そういう感じの物の流れをきちっと情報として把握し、流していくということが大事だと。ここの部分は情報基盤の整備で13ページにもありますけれども、11ページの環境の状況の把握、環境への負荷の把握という、ここに各種の調査というものを書き加えたということなんですけれど、ここはちょっとマテリアルフローとは別ですけれども、各種の調査を書き加えたんだけれど、下の方の説明はほとんどモニタリングになっているんですね。ですから、各種の調査というのは何をイメージされているのか。もし、もうちょっといろいろなものがあるというもので、ちょっと後ろの方に「モニタリング戦略の作成が必要である」とモニタリングで終わっちゃうわけですね。この辺もちょっとお考えいただきたい。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
安岡委員、どうぞ。
【安岡委員】 17ページといいますか、2章6の人材の確保、組織の整備というところですが、研究を推進していく上で第一と第二の部門に分けて記述されていると。これはそれでよろしいんですけれども、そこの章の1番目で情報基盤の整備のところにいろいろな体制をとらなければいけないと書いてあるんですが、こういう情報を整備したり、モニタリングを実施したりするということのその組織としての整備というのが6のところにやはり少し書き込まれないと、ここのところでその企画・管理、それから研究実施と書いてありますけれども、それにプラス、一種の研究支援……、「支援」という言葉は私は余り好きではないんですが、そういうたぐいのことが記述されてもいいのではないかなという気はいたします。
【鈴木委員長】 岡田委員。
【岡田委員】 12ページの対策技術の確立と普及というところでございますが、下から6行目か7行目のところに「このような対策技術については、国による支援が必要となるが、環境汚染物質による」云々と、こういうふうにずらずらっと書いてありまして、その国による支援というのが非常に重要だと思うんです、特に環境技術の場合。それが何となく弱くなっているのではないかという印象を受けます。国のみならず、多分地方自治体も必要というふうに私自身考えております。その辺をもう少し明快にうたった方がいいのではないかと。
それからあと一つ、ちょっと枠組みのこの辺の書き方が、すべて環境汚染のような対策技術というものがすごく表に出ています。しかしながら、例えばよく言われる環境に優しい製品とか、それからグリーン調達みたいな、ああいうものにかかわる技術を、対策技術でない技術ですね、それを国がどういうふうに支援していくかというのが何となくよく見えないというのが……。
【鈴木委員長】 さっきの三橋委員の意見と重なる部分がありますね。
【岡田委員】 はい。
以上でございます。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。まだあるかもしれませんけれども、いただいた……。
松原委員どうぞ。
【松原委員】 よろしいでしょうか。先ほど浦野先生からマテリアルフローについてという、それは環境問題で非常に重要だと思いますので、ぜひ各種の調査ではなくて具体的な表現をお願いしたいと私も思います。
それから、ただ、環境というのはマテリアルだけではなくて、現実の生き物が非常に重要なんですが、この今回の素案は何か生き物の姿がちょっと隠れちゃっているような感じがいたしますので、例えば13ページの情報基盤整備の(1)の[4]あたりに「環境への負荷や環境リスクに関するデータの整備」と、これ一言で書いてあるんですが、これはやはり環境、生物、生態系への負荷、人間等の生き物への負荷が非常に重要なわけなので、この前に例えば環境指標生物の観察とか、そういったような基礎的な情報というものがまず整備されて、そして初めていろいろな負荷、リスクそのほかがわかるわけですので、例えばですけれど、環境指標生物の探索等の言葉を[4]あたりに加えていただいて、全般的に生き物というものももう少し明らかな、光が当たるようにしていただきたいという意見でございます。
【鈴木委員長】 田中委員、手が挙がっていましたが。
【田中委員】 どこへ書くべきかちょっとわからないんですが、1章の8の配慮事項ですか、その8には対策技術の確立と普及と、先ほど問題になったことが書いてあります。2章へ行っても何かそれと関係する場所があると思うんですけれど、私が言いたいのは、いわゆる環境産業です。政府は、医療・福祉、ITに次いで環境産業が第三の成長産業で、2010年には相当の規模の市場を形成すると予測しています。ポテンシャルとしてはその可能性は確かにあるんだと思うんですが、医療・福祉やITはほうっておいても大きな市場になっていくことはもうわかっているんですが、環境というのはよほどプッシュしなければそのポテンシャルがリアライズしない。要するにそんな大きな成長産業にはならないで終わってしまうということがあり得ると思うんです。結局、こうやって国費を大量につぎ込んで環境の研究をやる。これはもちろん国民がいい環境の中で健康な生活を送るためということなんですが、その成果を適正に、いわゆる環境産業と言われるような企業・産業に受け渡していくという体制がしっかりできていないと、せっかくの成果が本当に国民生活のレベルまで普及していかないのではないか。またそうすることによって環境産業というのが確かに大きな市場を形成して21世紀が環境の世紀と言われるような期待されているような事態がもう起こり得る。そうすることによって、環境も守られるというようなよい循環が形成されると思います。そうだとしますと、科学技術基本計画で上がってきた成果をそういう形で生かすシステム、それについてどこかで一言言っておくことが大事だと思います。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
森本委員。
【森本委員】 先ほどの、具体的な顔が見えにくい、生き物の顔が見えないというお話と関連するんですけれども、12ページの環境変化の予測、環境影響の予測というところに関連しまして、シナリオに関するとらえ方が非常に、何か一つの指標にとらわれ過ぎていて、具体的な形がイメージできるような、例えば土地利用の仕方をこう変えたらこうなるという、そういう意味でのシナリオスタディーがかなり西欧各国、特にヨーロッパでは進んでおります。拝見しますと、どうやらちょっと抽象的な指標に還元されやすい炭酸ガスであるとか、あるいは温度であるとか、あるいは有害物質の濃度であるとか、そういうふうなところも大変大事ですけれども、具体的な現実、地域レベル、スケールを少し落としていくと途端に具体的な土地利用であるとか環境計画であるとか、そういう国土計画に関連するようなところが出てくると思います。そういう意味のシナリオスタディーの技術というのがまだ大変日本ではおくれているのではないかと思いますので、具体的な顔が見えるような書き方がいいのではないかと思います。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
それぞれのご意見、大部分は恐らく取り込み可能なというか、取り込まなければならない性質のご指摘だろうと思いますけれども、各ご専門の方がご自分のご専門の領域に関してはより細かく書いてくれとおっしゃるようなにおいがしないでもない部分もありますので。
失礼しました、筑紫委員。
【筑紫委員】 11ページの7の知的財産の形成、環境産業・雇用の創出のところなんですが、こちらのところで環境産業・雇用というのは、やはり経済的手法といいますか、使わないと創出されないという意味で、こういう新しい環境産業に新しい仕組みが流れていくような経済的手法というところをもう少し入れていただきたいと思います。金融的な手法の開発とか税制優遇ですとか、こういったものに対して例えばお金が流れやすくするという部分というのを少し入れないとおかしいのではないかという気がいたしました。先ほど山田委員の意見にちょっと関連するんですが、若い人の環境教育も大事なんですが、一番欠けているのは中高年の財界人の人の環境教育だと思っております。そちらがなかったので今のような状況になったわけですので……。
【鈴木委員長】 中間報告にそう書いて……。
【筑紫委員】 本当はそうではないかと。ここはぜひ、もう少し経済的手法の可能性とか金融的手法の可能性ということを入れていただきたいと思います。
以上です。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
それでは、1章、2章に関するご意見は一旦ここで打ち切った形にして3章に進みたいと思います。3章は、まともに書き込んだものとしてはきょう初めてお見せするわけですから、またいろいろご意見が出ると思いますので、どうぞ。
【松井環境研究技術室長】 19ページでございます。
第3章、重点化プログラムでございます。冒頭に「第1章5に記述した重点化を追求するとともに、」と書かせていただきました。続いて、「現在、総合科学技術会議で検討している環境分野の推進戦略において、統合化イニシアチブが創設されることを考慮し、本中間報告においては、以下により重点化プログラムの取りまとめを行うものである」と。前回の話では「統合化プログラム」と申し上げておりましたが、どうも総合科学技術会議の環境のところでは「プログラム」を「イニシアチブ」に変えるようでございますので、こちらもプログラムからイニシアチブに変えました。
1のところで総合科学技術会議が策定する環境分野の推進戦略、それとの整理ということで、前回もご説明申し上げておりますし、分科会でもご説明申し上げておりますが、総合科学技術会議の重点分野の推進戦略専門調査会の環境プロジェクト、ワーキンググループでございますが、そこがまとめて5月24日の総合科学技術会議に示されたものといたしまして、環境分野についての重点化の考え方、ここに掲げた[1]から[4]、さらに四つの柱、このもとに今イニシアティブを形成していくと。そのような方針が示されておりますので、それを1として書いたところでございます。
2といたしまして、前段、第1章のところでも書きましたが、今回「問い」を設定するというのが一つの新たな指摘と申しますか、今回それでいくという方針を示しておりますので、ここでも重点化プログラムの選定、「問い」の設定ということで書いてございます。
プログラムの選定理由につきましては次のページの表1でございますが、今回、四つの柱のもとに、地球の部分につきましては地球温暖化研究プログラム、化学物質の総合管理のところでございますが、化学物質の環境リスク評価・管理プログラムと20世紀の環境上の負の遺産解消プログラム、これをいわば特出しした形で置いております。それから、循環型社会を構築するための研究といたしまして循環型社会の創造プログラム、これはどちらかといいますとソフト的な面での検討、評価といったようなことでございます。それと具体的な技術の改革といいますか、開発ということで廃棄物・リサイクル技術の改革プログラム、この二つを循環型社会のところでは置かせていただいております。自然共生型社会を構築するための研究につきましては、自然共生型流域圏・都市再生プログラムというものにしております。その理由はここの右に掲げたもので、重点型プログラムの選定理由としてここに掲げたものでございます。
また19ページにちょっと戻っていただきまして、3のところでございますが、「重点化プログラムは上記の『4つの柱の中でプログラムを形成し、総合科学技術会議の作成する推進戦略に反映させる』という枠組みに基づき作成されていることなどから、次の事項に配慮する必要がある」と。
21ページでございます。3点ほど記述してございます。(1)としまして「重点化プログラムとして掲げた課題のみが当該分野の重点課題であることを意味するものではない。例えば、地球環境問題解決のための研究においては、地球温暖化研究以外にも、亜大陸レベルの長距離越境大気汚染問題や自然資源の劣化問題への統合的対応戦略の策定に向けた研究など、重点的に実施すべき課題がある。これらの課題については、今後、最終報告に向けて検討を行うものとする」と、これが第1点でございます。
第2点として、「環境モニタリングの充実・改革、情報基盤の整備、環境技術の評価」。「各重点化プログラムの全てに横断的に関わるものとして、環境モニタリングの充実・改革、情報基盤の整備、環境技術の評価などがあげられる。これらについては、各プログラムにおいて取り上げられるものではあるが、共通的に取り組むことが必要である」と。
3番目といたしましては、「人文社会科学系の取組の強化」。「各重点化プログラムにおいて、人文社会科学系の取組を強化する必要があり、自然科学系の取組との連携・融合を図る」と。
以上、三つの配慮事項をここに記述させていただいております。
あとは4-1から地球温暖化研究プログラムということで、ここでは書きぶりを統一いたしておりまして、まず最初にその根本的な「問い」、例えば、地球温暖化研究プログラムでは、「人間や地球の生態系に、危険を起こさない大気中の温室効果ガス濃度レベルとは?、また、このレベルに安定化するために、いつ、どのような手を打たなければならないのか?」と。このような根本的な「問い」を頭に置きまして、この「問い」に答えるためのかぎとなる「問い」というので、(1)以降、置いてございます。それから、次の23ページのところでございますけれども、研究開発を進めるために必要なシステムということでここへ置いてございます。
これは前回お示ししたものでございまして、この中で(5)の[4][5]でございますが、本日、森嶌先生ご欠席でございますけれども、前段の方、1章、2章の方で人文社会科学系の重要性が増していると。それを受けて後段の記述が足りないのではないかというご指摘をいただきまして、これにつきまして担当のところにもお願いをいたしまして、もちろん私どもとしましても人文社会科学系のものについては書き込んできたつもりでございますが、より見えやすくするといいますか、新たにつけ加えたものもございますし、さらにそれがはっきりわかるように書きぶりを直してございます。[4][5]あたりがそのようなものになっております。
以下、4-2-1で化学物質環境リスク評価・管理プログラム。ここの中でも、例えば(4)のところで[2]としまして、環境リスク管理のための政策的手法の開発・検討。[4]としまして、リスク管理オプション間の比較分析手法、不確実性のもとでの政策決定手法等の開発と、このようなものを今回新たに書き加えさせていただいてございます。
以下、同じような形でまず根本的な「問い」のもとにかぎとなる「問い」という形で整理をさせていただいておりまして、32ページのところでございますが、この自然共生型流域圏・都市再生プログラムのところにおきましても、(2-2)の[6]のあたりでございますが、都市・生活環境の保全に資する社会経済システムに関する人文社会科学的研究と、このようなものを追加させていただいております。
その後ろに、お手元に別添でカラーのものがございますが各プログラムの枠組みといいますか、「問い」をもとに整理したものがこの中身になってございまして、これにつきましてはそれぞれ分科会におきましてご検討いただいたものを、さらに事務局サイドにおきまして必要な全体的なトーンを合わせるというようなことで見直しているところではございます。実は鈴木先生からもご指摘いただいておりまして、これを見ていただくとわかりますように、色の使い方でありますとか書きぶりも様々でございます。ただ、これにつきましては作った部局が違うということがございまして、ある面やむを得ないといいますか、ご勘弁いただきたいところはあるわけでございますが、可能な範囲で色使い等につきましても直していきたいと考えております。中身についてはちょっと省略させていただきますが、ご質問等をいただければ関係部局からも参っておりますのでご説明させていただきたいと思います。
第3章はこうなっております。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。どうぞご意見、ご質問、何なりと。
藤田委員。
【藤田委員】 1章それから2章で、自然共生型流域圏・都市再生プログラムというのが、自然共生型の社会というか、そういうふうな記述があって、それを多分受けられたということで重点化のプログラムになったときに流域圏・都市再生と。流域圏に関しましてもある程度の定義はなされておりますのでこれでいいかと思うんですが。ただ、全体に重点化プログラムの中で都市というのが余り、我々は逆に都市の方が見えてこないなというふうな感じを受けるんですね。この色刷りの全体を見ましても、では都市再生というのはこの中でどういうふうに位置づけられているのかというのはなかなか具体的に浮かんでこないという、その辺をもっと、ちょっとご質問と、それから環境省としてどういうふうに進めていかれるのか。
【鈴木委員長】 これは担当部局側ですか、それとも事務局のどなたか。
【松井環境研究技術室長】 実は、今の藤田先生のご質問に的確に答えられるかどうかわかりませんが、当初の話では自然共生型というのが前面にございまして、その中に都市というものも重要ではないかと。これは環境省からの提案もありまして、当初は自然共生型流域圏のみだったんですが、「・都市再生」という形でつけ加えたものでございます。総合科学技術会議の方でもこういう形で都市再生というような、「都市」もついた形で、プログラム、イニシアチブが求められるのではないかと期待しているところでございまして、この中でも一番右のところでございますが、豊かな水ときれいな空気に囲まれた自然との共生社会をどのように構築するかということで、豊かな水、きれいな空気と、水環境それから大気環境と、そういったものも十分に考えてということで当初の「問い」も設定しておりますし、あと、下の方になりますが流域圏単位での水循環の確保でありますとか、自然の循環に沿った流域圏の物質循環管理、ここもあくまで流域というのが表になっておるわけでございますが、例えばリンとか窒素といったようなこともここでは考えておりますし、大気につきましても都市大気汚染というようなものも、ある程度は含める形で検討は進めておるところでございます。
確かに藤田先生がおっしゃるとおり、都市というのは余り見えてこないという……。
【鈴木委員長】 大分苦しいご返事ですな。どなたか環境省の中で、今の都市の扱い方の問題に関して。
【青山総務課長】 では、よろしいでしょうか。
【鈴木委員長】 どうぞ、青山さん。
【青山総務課長】 政府部内でいきますと、都市再生本部というのができております。この中でいろいろないわゆる土地問題に関連したようなもろもろなハードをつくるような部分と、あと主として環境省として掲げますのは、どちらかというと循環関係の大規模エコタウン構想とかそこら辺の、どちらかというとそういうイメージになってしまうんですが。ただ全体の中で考えますと、やはり昔ながらの公害問題ということから発生いたしますと、それはやはり都市問題というのは大気があり、水があり、土壌がありと、いろいろな議論がございますので、そういうのを全体として一応考えていかなければいかんと、そういう全体の施策の中にはもちろんあることは当然でありまして、その中で事業として今、内々いろいろ考えて検討しておりますのが、一つは循環型の大規模なプロジェクトをするというような議論が一つございます。あとは、自動車対策といいますと大気関連とか、あとは土壌汚染とかそれぞれになりますが、そういう中でのイメージになるわけでございます。
ですから、では都市再生プログラムの中で具体的に何かというと、非常にこれは、逆に言えば、それぞれの例えば大気であり、地球でありとか、いろいろな、そういう議論になってしまうということだと私は考えております。
【鈴木委員長】 藤田委員、よろしいですか。
【藤田委員】 ちょっと、今のお答えに対する、もしかすると私も質問ではなくて自分の考え方だと思うんですけれども、都市再生の理解でいけば、今、総務課長がおっしゃったように例えば土壌一つとってもそうですね。負の遺産を処理するということは、ある意味で都市をもう一度再生するということにつながってくると思うんですけれども、その辺のところは、個人的には例えば前の方の負の遺産とか、あるいは循環型というのと、それからもう一つぽんとここで出てきた都市再生プログラムという、こう三つ出てくるものですから、自分のイメージでは一つであったものが分かれているなという気がしたのでちょっ
とご質問したということです。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
浦野委員。
【浦野委員】 まず細かいことですけれども、21ページの(1)(2)(3)という両括弧があるんですが、これはタイトルをつけて中に文章をつけているという形が、(1)だけ違うんですよね。(1)にちゃんとタイトルをつけて説明を入れるという形に統一された方が。特にここに書いている内容ですけれども、前の1、2章もそうなんですけれども、人文社会学系の取り組みの強化とか融合、連携とかいうのが追加されているんですけれど、これは言葉だけで具体的なものが何も見えてこないんですね。先ほど来ご指摘があった経済的手法とか法的手法もあるでしょうし、いわゆる行政的手法、あるいはいろいろなものを、どういうふうになったらどうなるだろうかというのをいろいろな形でシミュレーションするというふうなものが、やはり何か具体的にもうちょっと書けないだろうかというのが全体としての意見として、化学物質についてもそうですし、温暖化についてもそうですし、循環型社会にしても、自然生態系にしても、もう少し人文科学的な技術・手法をどういうふうにうまく取り込んで融合していくのかという、これは環境政策、行政にとって非常に重要だと思うので、もう少し何か具体論を書かないと、何となく漠然と取り組みと連携・融合が必要である、それ以外何も見えてこないという感じで、ちょっと何とかしてほしいと思います。
【鈴木委員長】 ほかにございませんか。
どうぞ。
【細見委員】 先ほどの都市再生のプログラムの方ですが、私はこのプログラムを位置づけるのは流域圏の中で都市がどのように再生していくかというのを、主に物質循環とかだけではなくて、先ほどどなたかの委員の先生のご指摘がありましたように、土地利用というんでしょうか、環境負荷とかから考えてどのような土地利用をすればより低負荷型、それから自然共生型になり得るのかというような視点で見ていけばいいのではないかというふうに思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。
どうぞ、三浦委員。
【三浦委員】 4-4の自然共生型流域圏の中で、特に必要な研究開発課題の(1)(2)にも書いてありますが、森林・農地の持つ多面的な機能の解明・評価、下の段では森林・農地の持つ多面的機能の維持・向上技術と、こうあるわけですが、ちょっとその多面的機能という点では少し抽象的過ぎはしないか。それで、これは第1章の方でも、基本的なスタンスとしては人間活動が生態系の機能を維持できる範囲内で行われているかどうか、つまりエコロジカルにサステインドかどうかというのが問題であって、抽象的な多面的な機能をあるいは取り上げていくとすれば何を達すればいいのか。とすれば、もうちょっとここは環境省の姿勢を織り込んでもいいのではないか。つまり健全な生態系に寄与する森林・農地の機能とは一体何なのかといったようなところに具体的に踏み込んだ方がいいのではないかという気がします。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【浦野委員】 一言だけ。生態系というところが何となく生態系に、あるいは生態系に影響があるとかいうような表現をとらえているんですけれども、やはり「生態系」というのと「生物多様性」という言葉がどういう関係にあるのかとか、それからもう一つ、影響がある、影響があると、悪い悪いという方ではなくて、一体健全性とは何かという、生態系のどういう地域が、どういう生態系が健全と考えられるのか。それに対してどういうインパクトがあってどう変わっていくのかという、その健全性の評価・検討というのは、やはり一方でもう少しちゃんとしないといけないのではないかという気がしますので、ぜひ何かうまく表現していただきたい。
【鈴木委員長】 どなたか、バイオロジーとかの側のご専門の方でご意見ある方ありませんか。
水戸部委員。
【水戸部委員】 すみません、自然共生系でなくて全然違うテーマですけれどもよろしいですか。
【鈴木委員長】 どのテーマか言ってください。
【水戸部委員】 28ページです。
【鈴木委員長】 どうぞ、結構です。
【水戸部委員】 循環型社会の創造プログラムで、別紙の絵の方ですね。この書かれているものと少し見比べていただきたいんです。根本的な「問い」の次に出てきます大きな長いテーマがあります。「循環型社会の創造に向けた経済システムの変革の方向性」という、これが実は一つ大きな課題であるというふうに認識しているんですが、この本文には実は書かれていないものですからこの辺少し記述された方がよろしいのではないかというふうに思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。どうぞ、ほかにございましたら。
どうぞ、松本委員。
【松本委員】 実は、先ほどバイオロジーの方からということで、この生態系の健全性ということの評価ということですけれども、これは人の影響の少ない原生自然というのをレファレンスにとってというニュアンスを少し加えた方がいいと思うんですけれども。特に自然公園とか自然保護区とか、そういったことの中にいろいろな生物が存在しているいろいろなありさまをきちんと調べることをレファレンスさせて、それを見ながら人間に影響のある生態系をどうするこうするというふうに持っていく、そのことの研究の重要性をここにちょっと、必要かと思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。自然共生型流域圏・都市再生プログラムというのに議論が実はかなり集中していますけれども、若干継ぎはぎ的なにおいがするものだから、委員の先生方みんな何となく気に入らないというふうにお感じなのかもしれません。
ここら辺のところの整理の仕方は難しいですね。どう考えましょうか。きょう出た議論の範囲から言うと、このままで無傷でいくかというのはちょっと気になるものですからね。
【松井環境研究技術室長】 ただ、そもそもの方向性として総合科学技術会議の柱というのがございまして、その中で自然共生というのが出てきたわけでございますが、その中に環境省サイドとしては都市的なものといいますか、大気・水というようなものも含めてということでこういう形に整理をさせていただいたと。そういうことで、今、委員長がおっしゃいましたようにやや継ぎはぎ的な感じは否めないかと思いますが、こういった形で整理いただくというのがある面で現在の柱を前提とすればやむを得ない部分があるのではないかと。今後これを受けて、後ほどの議題になりますが、各分科会でご検討いただいたものが柱としてそのまま受けとめるところがなかったということもあって、ここに一部入ってきたということと、あとは化学物質のところで負の遺産の解消という形で入ってきたということがございます。そういうこともございまして、秋以降と申しますか、中間報告以後の検討のところではさらに幅広い観点から検討をしたいと考えておりますので、ここの部分はこういう整理でやらせていただければと思っておりますが。
【鈴木委員長】 とりあえずは仕方がないからこのまま行こうと。本格的にこれを一つでいいか、二つに分けるか三つに分けるか、それとも全然新しい組み方をするかというような議論はまだやってもいいわけですよね、秋になれば。とりあえずは、中間報告段階では総合科学技術会議にかけた部分があるものだからこれで行くしかないなというのが事務局のお答えだったわけですが、私自身も何となくここのところはこのままではいささか弱いなと思っている部分がありまして、さっきの松本委員の意見なんかはかなり違った軸からごらんになっている部分ですからまだまだ問題はたくさん残っていると思いますけれど、それはほかの領域も実は同じなんですよね。ほかの領域も、何かただし書きがありましたね。重点化プログラム以外にも重点的な研究の必要な部分があるよというようなことは断っているわけですけれど、その中にいろいろなことが入ってくるだろうと、まあ、そう思いますが。何かありますか。どうぞ。
【浦野委員】 委員長の先生から今大きな枠組みの話があったところで、またちょっと細かいところへ戻るのは恐縮なんですが、ちょっとよろしいでしょうか。
【鈴木委員長】 どうぞ。
【浦野委員】 循環型社会のところなんですけれども、これは確かにこの絵を見ていただいてもあれなんですが、この循環機能のシステム、いわゆるリサイクルとか循環機能のシステムづくりとか、あるいは減量化100分の1とか有用物100%、これは非常にスローガンというところからきていて、最終的な目標としてどんどんやっていくことはいいんですが、現実にすぐにここへ行かないわけですね。先ほどの環境試料の長期保存も同じなんですけれども、今すぐは循環利用できない、あるいは今は有用物だけども経済ベースではうまく社会システムができていないというような物質を、私は何らかの、ある期間保管をするという考え方、そういうものが必要なのではないかというふうに思っているんですね。例えば今、最終処分場という埋立地があるわけですけれども、あれはまさに処分ということで埋立地が不足するという話があり、埋立地の中できちっと分別保管をすると、埋立地に分別保管がされていることになる。それを将来、場合によってはリサイクル、リユースできる形が起こり得るというふうに私は思っておりまして、何かそういう本当の技術開発や、有用物としてものが回らない間に何かしらうまくその社会システムの中でそれをストックしておくような方法論というのも実は非常に重要なんではないか。
そうしないと、現状とその理想との間がつながってこないというふうに思うので、ぜひ何かそういう考え方を入れてください。
【鈴木委員長】 それは、この絵の循環利用技術・システムという、そこにかかわってきますか。
【浦野委員】 そうですね、何かそういうところにかかわると思います。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
ほかに。どうぞ。
【大聖委員】 25ページあたりでちょっと指摘したいんですけれども、いろいろな将来の環境対策を実行していく上で、やはり私はシミュレーションモデルというのがものすごくこれから大事になると思います、あらゆる分野で。特に……。
【鈴木委員長】 何とおっしゃいましたか。
【大聖委員】 シミュレーション。そのシミュレーションのモデルを立てて将来を予測しながら、その改善のためにはどういう手法が一番効果的かというようなことを探っていく必要があると思うんですね。ですから、現状の環境のモニタリングというのも必要ですし、いろいろな分析、計測技術も必要でしょうけれども、そういう予測をすることでどういう悪化があるから、そのファクターは何かということを抽出して一番効果的な対策を講じるという必要があると思うんです。環境の問題でとかく残念なのは、定性的な議論でこういう方向がいいんではないかということになってしまうことが多いわけですけれども、なるべく定性的から定量的な方向へ向かうようなモデルを開発していく。将来予測という意味でも絶対に必要だというふうに思いますので、何かそういうのが共通に出てくるような文言がどこかにあるといいなというふうに私は思います。
それから、それはやはり費用対効果ということにもつながってくると思うんですね。一番経済的な手法が何かということにもつながっていくと思いますので、そのような一つの考え方というのをどっかに入れていただきたいと思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。日本の行政が評価というのを余り一生懸命やらないで長年来たわけですから、評価というのをもっと具体的にきっちりやろうとすれば、今のシミュレーションの話というのは表裏で絡んでくるような話になるわけなんですが。 ほかにございませんか。どうぞ。
【浦野委員】 ちょっと一言だけ。すぐ終わりますので。
先ほどお話しした何かをストックしておくというときも、今お話があったシミュレーションをしますと、将来、有害性ないしは自然枯渇で重要になるであろうという例えば金属が幾つか見えてくるわけですね。シミュレーションをきちっとしてみますと。ある程度そういうものを多く含んでいる製品とかをストックしておくというようなことが、実は一部の企業でもう既に行われている部分もあるんですが、そういうものをしっかり国として見ていく。先ほどのマテリアルフローとの絡みもあるんですが、シミュレーションをして重要なものを探し当てて、それをきちっと管理をしていくということをしないと、後になって後悔するということが起こるというふうに思いますので、ぜひそういう、ある意味での予測のシミュレーションというのは非常に重要だと思っています。
【鈴木委員長】 どうぞ、松原委員。
【松原委員】 私は化学物質の分析等は、ほうっておいても非常に最近はどんどん分析技術が進んでおりまして、その点については推進すると思うんですが、何度も申し上げますが、生物実態や生物影響そのものについては、非常に研究的に、全国的にも世界的にもおくれている部分が多いと思うんですね。そういった観点から見ていきますと、24ページの「私たちのまわりにある化学物質は安全か?」という、こういう「問い」で、それについて必要な課題として化学物質の生物影響の解明という一言でこう書かれているわけなんですが、実は、現実は影響というのは、前の委員会でも私は発言しましたけれども、正常と異常の境界が、人によってその防御力のあるなしで大分違うわけで、その辺の実態、ありのままのグレーゾーンについての研究とか情報というのが今後非常に必要であって、どこから先は安全、どこから先はだめというような、1かゼロかの判断では余り好ましくない事態が今後どんどん増していくんではないかと思うんです。そういう意味で、単に未知の影響の解明というような一言で済まされない難しい問題が今後増えると思いますので、例えばこの24ページの(3)の[1][2]の間に「正常と異常の境界で生物はいかに生存しているか」という、そういう「問い」にかかわる何か研究とか、言葉はどのようにでもいいんですけれど、そういったものを一つ入れていただいた方がよろしいのではないかと思うんですが。さっきから生物ということで繰り返しいろいろな先生から意見が出されていたと思うんですが、ここは医学研究ではないにしても、やはり生物影響そのものがわかっていないと対策とかいろいろなことが有効にできないんではないかという気がしたものですから、何か一言入らないでしょうかということです。
【鈴木委員長】 ありがとうございます。
さて、たくさんの意見をいただいて、これを何とかしなければならんという仕事が残る
わけですが……。安岡委員。
【安岡委員】 3章で重点化プログラムということでまとめていただいたわけですけれども、前回も専門委員会にも言わせていただいたのと流れが同じですが、環境省が考える重点化と総合科学技術会議で考える重点化は必ずしも一致しなくていいと。それは、ここにいろいろ書かれているんですが、四つの柱として地球環境問題の研究、化学物質の研究、循環型社会、自然共生というのがあって、21ページの上でこの重点化プログラムとして挙げた課題、ここで挙げた課題がその四つのそれぞれの中の唯一ではないというのも書かれているんですが、例えば、この四つの柱以外に環境省がやはり考えなければいけないという視点がありますよね。例えば、諫早の問題に対して環境省がやはり本当に「解」を出さなくていいのかというようなときに、その話はこの四つの柱とはちょっと違う、例えば環境アセスメントのあり方とかそういうものですから、この四つの柱とは違うと思うんですよね。その四つの柱の中で重点化したものが今回出てきたというのはそれはそれでよろしいんですが、もうちょっとやはり3章の頭に環境省としていろいろ考えることがあるけれども、その中でもちゃんとこういう四つが重要であると考えてやったんだというようなことがないと、何か総合科学技術会議に駆動されているというような印象が起きてしまって、中間報告といえどもややミスリードをするんではないかという気がいたします。
ちょっと心配が過ぎるかもしれませんけれど、以上です。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。ほかに、今の段階で何かおっしゃる方はいらっしゃいませんか、よろしゅうございますか。
どうぞ、吉川委員。
【吉川委員】 今の21ページのところで(1)(2)(3)とあって、(1)のところで最終報告に向けて検討を行うということだったんですけれども、(2)のところの環境モニタリングの充実・改革、その環境技術評価までですけれども、これが共通的に取り組む必要があるというふうにはあるんですけれども、横断的なということで次のことになるんでしょうけれども、四つのというか、今、重点化プログラムが出ているものに対して、環境モニタリング等の大きなシステムの構築というような意味から言うと、これも一つの重点化プログラムの中に入れなければならない問題ではないかと思うんです。そうしますと、最終報告に向けて今できているこの重点化プログラムをご破算に願いましてはいうような話になるのかどうかというようなところをちょっとお伺いしたいんですけれど。
【鈴木委員長】 いや、そうはならんでしょう。それはそうはならんと思う。重点化プログラムの中からこのプログラムを進めるために必要ないろいろな条件というのが書き込まれておりますが、そういう中に基盤的な部分がかなり入っていることは間違いないですね。
私の理解する範囲では、総合科学技術会議の方は「イニシアチブ」という言葉に変えられましたので、統合化プログラムと重点化プログラムという用語の、何となくぎくしゃくした感じがとれた感じでありまして、さっき安岡委員がおっしゃった部分というのはその辺で、総合科学技術会議は、非常に大きな方向性をお出しになっていると。その中で環境省は、環境省としてとりあえずここから入りますと。だけど、これだけの問題が残っていますというような陣立てになっていくのではないかなと、そんなふうに理解しているんですが。よろしいですか、それで。
さて、それではここまでいただきましたご意見を踏まえて中間報告としてのまとめをしなければならないわけですが、それは委員長である私と事務局にお任せいただいてということにしてよろしゅうございましょうか。もう一遍委員会を開くというのは日程的な部分もありましてとても不可能なものですから。
( 了承 )
【鈴木委員長】 では、よろしくお願い申し上げます。
それでは、その次は今後の進め方ということで。
【松井環境研究技術室長】 それでは、41ページでございます。
本日、第3回の専門委員会ということで、今、委員長一任ということで委員の皆様方からご了承をいただいたところでございます。本日いただきましたご意見を踏まえまして、直ちに、事務局の方で修正案をつくりまして、それを委員長にチェックいただいた上で、中間報告という形で公表させていただきたいと。来週、22日金曜日でございますが、来週中には取りまとめて公表したいということでこれから作業を進めることといたしております。
その後でございますが、今、事務局といたしましては、総合政策部会を7月中にも開催いたしまして、この取りまとめられた中間報告を提出させていただき、部会の委員の方々のコメントをちょうだいしたいと。あわせて、今後の方向についてもご指示をいただきたいと考えております。それを受けて検討の再開ということで、夏休みが終わった後8月の後半をめどにまたこの専門委員会の検討を再開することを考えております。専門委員会の報告の構成その他について見直し等があれば行うということと、本日いろいろご意見をちょうだいいたしましたが、総論部分についてもさらに部会におけるご指摘等も受けて、変更する点があればその検討を進めていきたいと考えております。
それから、(3)といたしまして、重点化プログラムは、今回、総合科学技術会議の対応ということで絞った形での対応としましたことから、そのために若干のぎくしゃくしたところはあるわけでございます。6月の後半になりますと、第7回の総合科学技術会議が開催されまして、そこで環境を含めた重点分野の推進戦略がまとまります。それを受けて、さらに今後は各省においてその具体化についての検討が必要になってまいりますので、それについても検討をお願いしたいと考えております。それが(3)でございます。
それから、今後重要になるのは(4)のところで、安岡先生からもご指摘がございましたが、今後は重点化プログラムという視点を離れて環境政策の推進の観点から必要な課題について幅広く検討を行いたいと考えております。これにつきましては、場合によってでございますが、この重点化プログラムの推進も含め、分科会を開催するようなことも検討したいと考えております。また、第1回の専門委員会で多くの委員の先生方から横断的な検討が必要である、分野横断の考え方が必要であるとのご指摘をいただいています。また、本日もその環境モニタリングでありますとか、情報等についてもさらなる検討が必要であるというご指摘をいただいているところでございますので、こういったものについて、モニタリングでありますとか情報、技術の評価、ほかにも項目があるかと思います。こういったことにつきまして、さらに検討を進めていきたいと考えておるところでございます。方向としてはこのように考えておりますので、本日、先生方からさらにこういった点について検討を行うべしというようなご意見をいただければ、8月の再開に向けて事務方としても準備を進めていきたいと考えているところでございます。最終的には、専門委員会の報告を取りまとめた後で、総合政策部会にお諮りいたしまして、年内には答申をいただくと、そのようなスケジュールで進めていきたいと考えております。
以上でございます。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。ちょっと気になるんですけれど、「重点化プログラム」という視点を離れるとおっしゃっているんですけれど、これは違うんじゃないかな。重点化プログラムという視点をまず先頭に押し立てて、それに引き続いてと、こう考えないと、おかしいのではないですか。我々は何のために重点化プログラムを考えたんだということになってしまい、随分いろいろな意見が出ていてもう推進課題の検討に入っちゃったような形で議論がさっきから進んでいるわけですけれども。どうぞ、まだ何か、こんなことをちゃんとやれと……。
どうぞ、小林委員。
【小林委員】 総合政策部会で検討していただきたい事柄なんですが、年内に答申でまとめて、これで諮問に対して終わりとするか、答申後も委員会としてこの案件についてフォローする必要があるかどうか。そのあたりを部会で少し議論をしていただいて示していただければありがたいと思います。
【鈴木委員長】 これは事務局、どう考えていますか。
【松井環境研究技術室長】 実は、今回の第2章の終わりにもその旨を書いてございまして、まだ具体的にどうするかまだ事務局としての成案があるわけでございませんが、今、小林委員がご発言されましたように、引き続きの検討は必要だと思っております。ただ、それをこのような形で専門委員会を継続してやるのか、それとも別途の形でやるのかにつきましては、まだ事務局において成案はございません。それについての検討を進めていきたいと思っております。
【鈴木委員長】 ということだそうです。
ほかにございませんでしょうか。もういいですか。議論は十分ですか。
どうぞ、審議官。
【山田審議官】 一つ、こちらの方から質問というか、この報告を省内のいろいろな方にご説明した際に、この6月22日にプレス発表すると、新聞記者がこなすにはちょっと難しいなと。つまり環境省なり、総合科学技術会議の中で結構脚光を浴びている環境という分野で、具体的に何をやるんですかと。それで、新聞記者がこれを読んで、特に20ページが、多分記事になっていくと思うんですけれども、これで、ああこういうことをやると環境の問題に対する対応が進むんだというのが分かるような工夫が何か要るのではないかと。あと10日ぐらいあるわけですけれども、新聞記者が、さらに言えば読者が理解できるプレゼンテーションの仕方ということだと思うんですけれども、私どもも少し工夫いたしますけれども、もし先生方の方で専門の立場から見て国民にわかりやすくするプレゼンテーションというのはこういうことなんだということがあれば、本当に具体的な表現ぶりとかフレーズを教えていただけると非常に助かるという、これはお願いでございます。
【鈴木委員長】 だれが返事をすればいいんですか。みんなが返事をしなければいけなくなっちゃいますよ。でも「問い」を設定してあるから、その答えでいいんじゃないですか、むしろ。その「問い」に関連して言えば、この部分はこういう具体的にはこういう言及になるよという事例は割に出しやすいんじゃないかと思うんですけれどね。無理か。
【浦野委員】 いいですか。やはり今の大きな「問い」を一、二ページぐらい、それで循環とか環の国とかいうのはありますけれど、そういうので2ページぐらい、裏表ぐらいで全体を見渡せる図をつくる。キーワードなり、大きな問いがちゃんと入っているという、そこをねらって環境省は動いていますというようなのがまず第一に必要なんじゃないかと。
それ以降の説明は鈴木先生おっしゃったように、各プログラムにそれぞれまた図がありますし、文章がありますから、だんだん詳しい方へいくということで、もう一段大きな絵が要るのではないかと思います。
【鈴木委員長】 どうぞ、田中委員。
【田中委員】 小さいことなんですが、今20ページの重点化プログラム、その選定理由の表が、ジャーナリズムやその他にこの表は非常に大事だと思うんですが、ちょっと選定理由が何か非常にパッシブで、何か文章をもうちょっと考えてもいいのではないかという気がするのと同時に、上の方は何々する必要、必要、必要と、句読点は打っていない。下の三つは句読点を丸々出してと、こういうのはちょっと気になるし、文章をちょっと、もう少し迫力のある文章が書けると思うのでちょっと考えた方がいいかなと。
【鈴木委員長】 ほかにございませんか。よろしいですか。
【三橋委員】 私は長年新聞記者をやってきた視点から申しますと、いわゆる私が書く立場でいると、やはり時期とか、何らかの数量とか、そういうものがあると本当に記事というのは書きやすいんですね。だから、ここの計画をいつごろまでに完成させるのかとか、そういうものがないと恐らく段が立たないような記事になってしまうおそれがあるんですよね。それから、最適生産・最適消費・最小廃棄型への変革も非常にいいわけなんだけれど、この辺を明示的にいう言葉ですね、こういうようなものをピックアップして並べていくというようなこと。とにかく具体的な何かがないとなかなか新聞としては段が立ちにくいというような感じがありますので、なかなか難しいと思いますけれどもその辺を何か、これだったら各社とも全部使うというような、その言葉選びというのは相当議論して、わかりやすい方法を探していただくといいと思いますね。
【鈴木委員長】 何かありますか、いいですか。
( なし )
【鈴木委員長】 それでは、おおむね議論は終点に来たと思いますが、最後の話はその他ですが、何かありますか。
【松井環境研究技術室長】 特にございません。
先ほど委員長の方から、それとあと委員の皆様のご了承をいただきまして、委員長一任ということでまとめさせていただきますが、本日ご欠席の先生方もいらっしゃいますので、ご欠席の先生方にはその旨再度確認をとらせていただきまして、またご欠席の先生から、余り時間はございませんがもし意見等があればそれもちょうだいした形で、早急に事務局の方で案を取りまとめて委員長にご相談させていただき、それをもって委員長のご判断のもとに最終的な中間報告をまとめたいと思っております。来週中には出したいと考えております。
以上でございます。
【鈴木委員長】 後になって今日言い残したことがあるよということでございましたら、どうぞ遠慮なくご連絡賜りますようにということでございます。
では、どうもありがとうございました。