中央環境審議会総合政策部会 環境研究技術専門委員会(第1回)会議録
日時
平成13年5月9日(月)午前10時~午前11時54分
場所
合同庁舎第5号館別館8階第23会議室
出席者
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中川 総合環境政策局長 青山 総合環境政策局総務課長 上田 環境保健部環境安全課長 安藤 環境管理局環境管理技術室長 |
山田 大臣官房審議官 松井 総合環境政策局環境研究技術室長 木村 地球環境局研究調査室長 内藤 水環境部農薬環境管理室長 |
議題
- (1)環境研究技術専門委員会の運営について
- (2)環境研究・環境技術開発の推進方策に関する諮問について
- (3)専門委員会における検討スケジュール等について
- (4)中間報告の構成及びその記述方針について
- (5)環境研究・環境技術開発の方向性及び体制整備について
- (6)その他
配付資料
資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会議事運営規則
資料3 中央環境審議会の運営方法について
資料4 中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針について
資料5 各分科会の主査及び副主査について(案)
資料6 環境研究・環境技術開発の推進方策について(諮問)
資料7 環境研究・環境技術開発の推進方策について
資料8 専門委員会における検討事項及びスケジュール(案)
資料9 中間報告の目次及びその検討・記述方針(案)
資料10 環境研究・環境技術開発の方向性について
資料11 環境研究・環境技術開発の体制整備について
参考資料1 環境省の環境研究・環境技術開発予算主要事項
議事
【青山総務課長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第1回中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会を開催いたします。
会議に先立ちまして総合環境政策局長からご挨拶申し上げます。
【中川総合環境政策局長】 総合環境政策局長の中川でございます。環境研究技術専門委員会の第1回会合に当たりましてご挨拶を申し上げます。
21世紀を迎えた今、私たちは地球温暖化を初めとする深刻で複雑多岐にわたる環境問題を抱えております。これに立ち向かうため、昨年12月、第2次の環境基本計画を「環境の世紀への道しるべ」と題して、閣議決定いたしました。この計画におきましては、政策手段の一つとして科学技術の振興を記述するとともに、環境研究・環境技術開発に係る課題や取り組みを記述いたしております。
また、去る3月には、第2次の科学技術基本計画が閣議決定されました。この計画におきまして、環境分野は国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化を図るべき分野の一つとされまして、重点的・優先的に研究開発資源を配分することが規定されております。
これらの計画に見られますように、環境研究・環境技術開発に対する世の中の期待は非常に大きいものがございます。一昨日、小泉総理は、所信表明演説におきまして「環境の制約を克服する科学技術を開発・普及したいと思います」と述べられておりますが、環境政策の展開を支え、国民のニーズにこたえるという目的にかなった環境研究・環境技術開発を国として推進していく必要があるわけでございます。
本委員会ではこのような要請にこたえるため、関係する分野の第一線の先生方にお集まりいただきまして、環境研究・環境技術開発を重点的・戦略的に推進するための方策をご検討いただきまして、6月に中間報告、また秋を目途に最終答申を取りまとめていただきたいと考えているところでございます。委員の先生方から忌憚のないご意見をちょうだいし、いろいろご指導いただきたいということをお願い申し上げましてご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【青山総務課長】 中川局長は、所用がございますので退席させていただきます。
( 局長退席 )
【青山総務課長】 それでは、議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いしたいと思います。資料は1冊にとじ込んでございます。
座席表と今日の議事次第がございます。
それから、配付資料一覧というところでございますが、資料の1が名簿でございます。資料の2が中央環境審議会の議事運営規則でございます。資料の3が中央環境審議会の運営方針についてでございます。それから資料の4でございますが、中環審の総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針についてでございます。資料の5が各分科会の主査及び副主査についてということでございます。資料6が環境研究・環境技術開発の推進方策について諮問でございます。資料7が環境研究・環境技術開発の推進方策についてでございます。資料の8が専門委員会における検討事項及びスケジュールでございます。それから、資料の9でございますが、中間報告の目次及びその検討・記述方針の案でございます。資料の10が、環境研究・環境技術開発の方向性についてでございます。
資料の11が、環境研究・環境技術開発の体制整備についてでございます。
なお、参考資料の1といたしまして環境省の環境研究・環境技術開発関係の予算の主要事項をつけてございます。
なお、お手元に、また別途、科学技術基本計画、今年の3月30日に閣議決定いたしましたこういう白表紙のものでございますがこれと、あとは一昨年でございますが環境研究技術基本計画をお手元に配付させていただいております。
ご参考にしていただければと思います。
それでは、本日の専門委員会でございますが、第1回目の会議ということもございますので委員のご紹介ということでございますが、お手元の座席表と名簿がございますので、これをもってかえさせていただきます。
委員長でございますが、森嶌中央環境審議会の総合政策部会長のご指名によりまして鈴木委員にお願いするということになっております。鈴木委員長、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員長】 鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【青山総務課長】 それでは、続きまして、本日出席しております環境省の幹部職員を紹介させていただきたいと思います。
私の右でございますが、大臣官房審議官の山田でございます。
それから、申しおくれましたが、私、総合環境政策局総務課長の青山でございます。どうぞよろしくお願いします。
私の左手でございますが、環境研究技術室長でございます。
それから、環境保健部の環境安全課長でございます。
地球環境局の研究調査室長でございます。
環境管理局の環境管理技術室長でございます。
以上でございます。
それでは議事に入らせていただきます。今後の進行でございますが、鈴木委員長にお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【鈴木委員長】 それでは、進行を務めさせていただきます。各委員のご協力をいただいて、例によって例のごとくこの会議も、つまり慌ただしく働くことを要請されているようでございますので、できるだけ円滑に運営できるといいなと、そう思っております。
それでは、最初の議事に入りますが、第1の議題は環境技術専門委員会の運営についてということで、事務局、どうぞお願いいたします。
【青山総務課長】 それでは、簡単に説明させていただきたいと思います。
その前に、お手元のマイクでございますが、TALKというところを押していただいて、お話を終わるとまた押していただくということで切れると思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
資料の2から5でございますが、ざっと説明させていただきたいと思います。
ご案内のとおり、中央省庁の改革の一環といたしまして、省庁再編もございましたが審議会の再編もございました。そこで中央環境審議会というのが発足したわけでございます。
12ページでございますけれども、環境基本法第41条に中央環境審議会ということで新たにつくった形になってございます。審議会令でございますが、細かい組織の内容が書かれてございます。これが12ページの左のところでございます。委員は30人以内ということでございますが、特別の事項を調査審議するために臨時委員、それから専門委員を置くことができるということになっておるわけでございます。さらに政令の第6条でございますが、部会ということになってございます。
これを受けまして、またお戻りいただきまして9ページでございますが、議事運営規則というのがございます。この中に部会というのが13設けられておりまして、総合政策部会以下13部会がございます。
本日の専門委員会でございますが、第9条にその根拠がございまして、「部会は、必要に応じ、その定めるところにより、専門の事項を調査するため、専門委員会を置くことができる」と、「専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定める」ということになってございます。
あと今後、どういう形で進めていくかということでございますが、資料3と4をざっとご説明します。審議会の公開というのが一番大きな点でございます。「総会は、公開とする」ということが15ページの資料の3にうたわれておりまして、ただし、「公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合等々」におきましては、これは非公開というような形になってございます。あと入室制限とか、代理出席は認めないという形になってございます。
あと17ページでございますが、委員等及び専門委員の構成についてということでございまして、委員等の構成ということで、会長、部会長、あるいは必要に応じ意見の具申ということになってございます。
これが1月15日の総会の決定事項でございまして、さらに、これを受けて、先般、連休前でございますが、4月23日、資料の4でございますけれども、中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針も決定しております。
同じような形でございますが、いずれにいたしましても会議は公開を原則、代理出席はこれは認めないということです。会議録につきましては極力正確に記載するということで、会議録の掲載に当たりましては、もちろん委員の方々のご了承をいただくということになってございます。会議録は公開する、それから議事要旨も公開するという形になってございます。
今回でございますが、五つの分科会を設けてご検討いただきたいなというふうに事務方では思っているわけでございます。それは資料の5でございます。分科会でございますが、第2回の委員会、6月初めに予定しておりますが、この審議の準備のためにあらかじめ委員の先生方のご意見を伺うために開催したいというものでございます。これにつきましても非公開とする特段の理由ございませんので、分科会は公開といたしたいというところでございます。ただ、詳細な会議録につきましては、これは議事概要によってかえさせていただきたいと思っております。
ここで、大変恐縮でありますが、循環・廃棄物分科会、地球環境分科会、化学物質分科会、環境管理分科会、自然環境分科会と、五つの分科会を便宜分けさせていただいておりますが、本件につきましては委員長と相談をさせていただいたところでございます。分科会の主査と副主査の先生方でございますが、これらの皆様方をぜひとも委員長からご指名をお願いしたいなと思って事務方で用意させていただいたというところでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明についてご質問あるいはご意見がおありでしたら、どうぞご遠慮なく。
最初の方の会議の公開に関する原則ですが、これは別に分科会を特段非公開にする理由はないと思いますので、公開でよろしいんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
( 了承 )
【鈴木委員長】 ありがとうございます。実は詳細な会議録の作成を省略して概要をつくって、それを公開する形にしたいと考えているわけでありますが、実際、事務局の作業量からいいましても毎回毎回きちんとつくっていくのは相当な負担でございまして、またそこまでの必要もないのではないかと、そんなふうに考えて、議事概要を作成するということにしたいと思いますが、いかがでございますか。よろしゅうございましょうか。
( 了承 )
【鈴木委員長】 それでは、その次は分科会の主査及び副主査を資料5のようにこちらで勝手にいろいろ考えた上のことではございますが、このようにご指名させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
( 了承 )
【鈴木委員長】 それでは、次に、環境研究・環境技術開発の推進方策に関する諮問についてというのを議題にしたいと思います。もう既に各委員ご承知のことと思いますが、諮問の内容、背景等について事務局から簡単に説明してください。
【松井環境研究技術室長】 それでは、資料の6をごらんいただきたいと思います。これが諮問でございます。4月18日付で川口環境大臣より森嶌中央環境審議会会長に諮問いたしたもので、「環境研究及び環境技術開発の推進を重点的・戦略的に行うための方策は、いかにあるべきか。」でございます。
その2のところ、最初のパラグラフは省略させていただきますが、2つ目のところに、「環境研究及び環境技術開発については、平成11年7月の環境研究技術基本計画(環境庁長官決定)及び平成12年12月の環境基本計画(閣議決定)において、その推進方策をまとめたところであるが、これをさらに重点的・戦略的に推進していく必要がある。このため、『環境研究及び環境技術開発の推進を重点的・戦略的に行うための方策は、いかにあるべきか。』について、貴審議会の意見を求める」という内容のものでございます。
次の25ページ、資料7でございますが、諮問の背景等につきまして簡単にご説明させていただきます。
(1)の[1]のところでございますが、環境庁それから中央環境審議会での取り組みということで、[1]の環境研究技術基本計画、これは平成11年7月に中央環境審議会の答申をいただきまして、環境庁長官決定を行ったものでございます。
27ページをごらんいただきたいと思います。
第1章で計画策定の背景と意義をまとめておりますが、この3つ目の丸のところで、環境技術基本計画は、今後10年程度を見通した今後5年間の環境研究及び環境技術開発の推進政策を具体化するものとして策定する。平成11年に策定したものでございますから、まだこの5年間の期間内、現在はその中に入っているものでございます。
第2章で環境研究技術の基本的方向というものを幾つかまとめておりまして、一番上のところで、環境問題の解決に貢献するという明確な目的を持ち、環境政策との密接な連携のもとに推進。2つ目のところで、迅速かつ柔軟に対応して推進。それから3番目でございますが、分野横断的、学際的な取り組みなど、体系的・総合的な視点を一層重視。次は各主体間の連携・交流の促進、そして、国際研究ネットワークとの連携を促進し、世界に向けて成果を発信。地方公共団体、地域の事業者等々の研究開発ポテンシャルが十分に発揮される体制を構築し、地域の特性を踏まえた研究開発を推進する。そして、国などによる適切な環境づくりや支援体制の整備を推進する。環境ビジネスの振興を我が国に新たな産業及び雇用をもたらす大きな契機の一つとする、このような形で環境研究技術の基本的方向を記述しております。
第3章で環境研究技術の重点課題を記述しておりますが、ここでは環境変化の機構の解明と環境影響の把握、環境保全対策の三つの柱のもとに、例えば環境変化の機構解明でございますが、ダイオキシン・内分泌かく乱化学物質などの環境中での挙動の解明、こういったことを幾つか例示させていただきまして、「など」として、これらを重点課題とすると記述したものでございます。
第4章、28ページでございますが、環境研究技術の推進方策。(1)のところで、基本的な枠組みとして環境研究・環境技術開発の課題を性格で分けると、[1]として基盤的・先導的な研究課題、[2]として問題対応型の研究課題、[3]として政策提言・政策対応型研究課題、[4]が環境技術開発、このように分類した上で、的確な制度の構築と運用に向けた施策をしていく。
(2)といたしまして、横断的・共通的に推進すべき施策。一つ目の丸でございますが、環境研究及び環境技術開発の総合的な推進ということで、総合推進体制を構築し、基本方針を定める。研究開発の企画システムの強化や個別研究の総合化を図る。環境技術について体系的に評価していく。地域あるいは国際的なネットワークの中核となる中央及び地方の研究機関を育成する。二つ目の丸でございますが、連携と協同ということで、地方公共団体の試験研究機関の強化というようなこと。それから、国際的・地球的共同研究の有する特別なニーズに対応した研究支援制度の推進。研究開発基盤整備といたしまして、人材の養成及び確保、研究の資金の確保、共同利用施設の整備、情報基盤の整備、普及啓発活動の促進、このようなものを記述し、最後に各主体の役割というものが書いてあります。詳細はお手元に、これは参考ということで置いてございますので、後ほどご参考いただければと思います。
これを見ていただくとわかりますように、このときの環境技術基本計画では第2章を受けて第4章の記述に重点が置かれておりました。したがいまして、第3章の重点課題につきましては課題の例示を行うにとどめるということで、詳細な検討はこのときは行ってございません。
それでは、またもとに戻っていただきまして25ページでございますが、今の[1]、これが環境研究技術基本計画でございます。
それから、[2]の環境基本計画でございますが、これは昨年末、中央環境審議会の答申をいただきまして閣議決定をしたものでございます。別紙2ということで29ページでございますが、この環境基本計画において、環境研究それから環境技術に係る記述が幾つか散りばめられて置かれております。まず最初に、展開方向ということで、これは第2部第2節のところの科学技術というところで記載されているものでございまして、環境に関する調査研究などや環境保全に関する技術は、環境を保全していくために欠くことができない知的基盤・エコビジネスなどの新たな事業の源泉であるというようなことと、二つ目のところは、科学技術基本計画などを踏まえ、環境に関する調査研究などの充実、基盤整備を推進。特に地球環境問題や化学物質問題については、研究体制の整備を図りながら、環境変化の機構の解明や影響の予測を進める。国際的な連携と協力の促進、地方公共団体・民間団体の取り組みへの支援を実施、このように科学技術のところで記載いたしております。
そして2のところでございますが、第3部第1章に「戦略的プログラムの展開」を掲げておりまして、その中に必要な技術開発・研究開発というようなことで、ここに掲げたような、一番上でございますけれども、温室効果ガス削減のための革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化、このようなことがそれぞれの戦略プログラムの中に書かれております。
30ページでございますが、環境研究・環境技術開発を総合的に推進するための重点課題ということで、これは第3部の第2章第2節の2というところに環境研究、監視・観測等の充実、適正な技術の振興等、そのような項がございまして、その中で調査研究のところでございますが、廃棄物の排出などに係る環境への負荷及びその原因となる社会経済活動の総合的把握に関する課題、持続可能な発展の実現に向けた革新的な政策手法の開発や環境政策立案のための開発や戦略研究、地球規模の諸現象などの環境の変化の機構の解明や影響の予測などに関する課題、社会経済活動による大気、水などの複数の環境の構成要素を通じた長期的複合的な環境リスクの解明と評価に関する課題、統合された環境・経済勘定システムの確立などの環境と経済との相互関係に関する課題、環境政策の国際的動向や実施効果の評価などに関する課題、不確実性を伴う環境変化に対応した政策決定のあり方に関する課題ということで、特に下の方で、政策決定のあり方でありますとか、環境勘定システムの確立といったような環境と経済との関係、こういったものがここに課題として掲げられております。
その他、その下でございますが、監視・観測については個別法などに基づき着実に実施となっています。
技術の振興といたしましては、省資源・省エネルギー技術、環境低負荷型生産技術等々の一層の開発、普及、人工衛星などによるリモートセンシング技術などの監視・観測技術の開発、そして三つ目でございますが、環境保全技術にかかる情報収集を行い、社会的な共有化を進めるとともに、環境保全に関する技術の環境保全上の効果や寄与などについて適切な評価を実施する。
環境基本計画の中の環境研究・環境技術の関連する部分は、このような記述となっております。
またお戻りいただきまして25ページでございます。(2)でございますが、総合科学技術会議等における検討、科学技術技術基本計画、これは3月に総合科学技術会議の議を経て閣議決定されたものでございます。総合科学会議は、従来の科学技術会議が、新たに省庁再編に伴いまして内閣府にできたものでございます。総合科学技術会議の議長は内閣総理大臣でございます。環境大臣は、臨時の大臣として基本的に毎回出席しているものでございます。
この科学技術基本計画におきましては、国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化を図るべき分野の一つに先ほど局長からもお話がございましたが、「環境」が指定されておりまして、重点的・優先的に研究開発資源を配分することが決まっております。
また、重点分野においては、総合科学技術会議において、重点領域、当該領域における研究開発の目標及び推進方策の基本的事項を定めた推進戦略を作成し、そのため必要に応じ専門調査会を設置ということで、もう既に専門調査会が設置されております。推進戦略を作成した上で内閣総理大臣及び関係大臣に意見を述べるということで、既に総合科学技術会議事務局の方でハンドリングしているわけでございますが、専門調査会を設置し、かつ重点分野につきましては、環境がそうでございますけれども、分野別のプロジェクト、ワーキング・グループでございますが、既に結成されておりまして、「環境プロジェクト」において「環境分野の推進戦略」を定めるべく現在作業が進んでいるところでございます。
2に移りますが、今後の中環審における検討内容ということで、総合政策部会の下に環境研究技術専門委員会を設置しまして、さらに分科会を設置して検討していただくことになっております。
今回検討いただくことでございますが、既に環境研究技術基本計画の中で環境研究技術の基本的方向について検討がなされておりますので、これについて必要な見直しといいますか、さらにつけ加えること、それからさらに強化していくようなこと、そのようなことをご検討いただきたいと考えています。
[2]といたしまして推進分野でございますが、ここのところを少しがっちりと今回は検討していただきたいと考えておりまして、そのために分科会ごとに検討をお願いしたいと考えております。
[3]の部分は、環境研究・環境技術開発の体制整備でございますが、これも基本的には環境研究技術基本計画の第4章で先ほど簡単に見ていただきましたが、さらに充実・強化すべきこととか、新たに取り組む必要のある体制整備に係る課題についてご検討いただきたいと考えております。
そして、[4]といたしまして、[2]の今後の推進分野と[3]の体制整備、これらを勘案した上で、さらに重点的・戦略的に進めるべきプロジェクト、これの検討をお願いしたいと考えております。
検討スケジュールでございますが、先ほどの総合科学技術会議におきます検討は、実は本専門委員会よりも先にスタートしているということで、今回のこの検討をなるべく総合科学技術会議の専門調査会でございますが、そちらの方にも反映していただきたいということがございまして、6月の中旬を目途に中間報告を作成いたしまして、それを部会に報告させていただいて、部会のご意見、コメントをいただいた上で、さらに専門委員会での検討を秋に行いまして、10月とか11月ごろを目途に最終答申といいますか、それに向けた専門委員会の報告をまとめたいと考えております。
31ページのところに別紙3とございまして、科学技術基本計画のポイント、ちょっと見にくいもので恐縮でございますが、この中で関連する部分をご紹介させていただきますと、一番最初の基本理念の箱がございますが、その一番下のところに「政府の投資の拡充と効果的・効率的な資源配分」とございまして、一番上の丸でございますが、政府研究開発投資の総額24兆円、今回の科学技術基本計画は第2次の計画でございまして、第1次の平成12年で終了したものは17兆円で、これが今回24兆円となっております。
それから重要政策のところでございますけれども、先ほど申しましたように、二つ目のところ、科学技術の戦略的重点化の中の二つ目の箱に、国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化とございまして4分野が掲げられております。ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料と、国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化の4分野の一つが環境となっております。
これらにつきましては重点戦略をつくっていくということで、一番下のところでございますが、「科学技術基本計画を実行するに当たっての総合科学技術会議の使命」ということで、総理のリーダーシップのもと、科学技術推進政策の司令塔として総合科学技術会議が動いているわけでございますが、重点分野における研究開発の推進、それに基づく資源配分といったようなことがこの科学技術基本計画に定められているところでございます。
以上でございます。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明に何かご質問やご意見がありましたら。きょうは中環審の森嶌会長がこの部会の委員という形でご出席でございますけれども、何かございますか。
【森嶌委員】 特にございませんけれども、総合科学技術会議の検討と、今、松井さんの方からお話がありましたけれども、向こうに反映するためには向こうの情報をこちらに入れておく必要があるので、ぜひ我が方はこっちを向いて、総合技術会議は向こうを向いてということではなくて、なるべく両方、ともに交流しながら、私どもの提案が実質的に科学技術会議に受け入れられるように努力いただきたいと思います。これは専門委員会の委員長にお願いいたします。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。若干盛りだくさんに、わあっと説明があったものですから、焦点が定まらないかもしれません。どうぞ、西岡委員。
【西岡委員】 環境と、それから技術あるいは科学との入り合いのところを我々は議論するわけですけれども、そういう意味から言いますと、科学技術基本計画とどう関連し、どのぐらいの解釈をするんでしょうか。
【鈴木委員長】 事務局からどうぞ。
【松井環境研究技術室長】 解釈と申しますと、科学技術基本計画を受けて、環境が先ほど申しましたように、4分野の一つになっておりまして、それについて重点戦略をつくるということになっておりまして、それに向けたインプットというものもございますし、また逆に、重点戦略ができますと、それを受けて関係省庁において、それの具体化ということで動いていく。その要素もありまして、重点推進戦略が出た後、それをそれぞれの省庁が引き取ってやっていく。その際にも今回のご検討いただきます内容につきましては、秋にまとめるものについては、重点推進戦略を受けた今後の方針みたいなものも取り込んでいくということになるんではないかと思います。
【西岡委員】 科学技術基本計画とこちらの中環審での計画というのは並行にあって、かつ、入り合っていると考えていいのでしょうか。
【鈴木委員長】 特にどっちが上位か、高度であるというふうな形にはならないと、そう理解していいんですか。
【山田審議官】 そういう理解で結構ですが、ちょっとご説明させていただきますと、この厚い資料の17ページをごらんいただくと、科学技術基本計画の環境分野についての記述が20行ぐらい、17ページから18ページについて書かれてあります。
【鈴木委員長】 どの資料ですか。
【山田審議官】 閣議決定分です。
今の西岡委員のご質問が科学技術基本計画との関係ということですので、17ページと18ページに書かれている環境というのは、言ってみますと、もうこれがすべてでございますので。
【松井環境研究技術室長】 すみません、お手元の資料で言いますと、32ページに同じものがございます。
【山田審議官】 それで、今度、総合科学技術会議の専門部会のセクター別の委員会も、それからここの中央環境審議会の委員会も、いわばこの17ページから18ページをもう少しアクションプログラムをちゃんとつくってほしいということでございます。それからもう一つは、科学技術の進め方というのは、この17ページよりも前に、もう少し産学官のシステムを本当に動かしていこうとか、いわば研究技術の進め方についての基本的な考え方が書かれておりますので、これは余りセクターごとに環境であるとかナノテクノロジーであるとかといって進め方がそう変わるものではないと私どもは理解しておりますが、もし、いや環境は違うんだ、あるいはこういう点にアクセントを置くべきだというようなお話があれば、そういうものはここで出していただければと、こういうふうに思っております。
【鈴木委員長】 どうぞ。
【三橋委員】 今のと関連するわけですけれど、この専門委員会は、科学技術基本計画のための委員会であるというようなニュアンスが若干あるんですか。あるいは専門委員会の研究成果というのは別途あって、それを6月中旬までにまとめるのはその科学技術基本計画に反映させるためなんだと。つまり、専門委員会の目的というのは、別に科学技術基本計画に反映させるということが唯一の目的ではないんだと、あるいはそのほんの一部であるんだというようなことですね。そういうことの位置づけをちょっとはっきりとしてほしいです。
【松井環境研究技術室長】 今、三橋先生からのご指摘のとおり、あくまで私どもの環境研究技術基本計画、これは平成11年につくったものでございます。それから環境基本計画、昨年の12月にできたものでございますが、これを踏まえて、さらに重点的に進めるべき課題等々についてご検討いただくと。ただ、その過程におきまして、現在、総合科学技術会議の方で重点戦略の取りまとめが進んでおりますので、この専門委員会でご検討いただいた内容については、可能であればそちらの方にも反映していくと、こういうものでございまして、そのためにだけやるものではございません。あくまで環境政策の観点から必要な環境研究・環境技術開発のあり方、基本的な方向でありますとか具体的な課題についてまとめていただくというものでございます。目的はそちらの方が中心でございます。
【鈴木委員長】 どうぞ、森嶌委員。
【森嶌委員】 私自身もよくわからないんですけれども、総合科学技術会議というのは、今まで科学技術庁にあったものが今度内閣府にいきまして、少なくとも私の聞いている限りでは、これは内閣府に来たのだから、よその省庁の、上か下かという問題ではなくて、調整をするという機能を持っているんだということで始まっているようでありまして、そこで先ほど松井さんがお話しになった総額24兆円という、この中は従来環境庁の時代に環境研究として政府の研究費の中に上がっていたものは、この24兆円の中に入っているんじゃないかと思うんですね。別枠ではないと思うんです。ですから、どういう言い方をするかはともかくとして、やはりこの際、従来環境行政といいますか、環境研究については環境庁の時代から時間をかけてやってきているわけですから、私は余りきれいごとではなくて、きっちりと総合科学技術会議の検討の中に位置づけていただくように、もちろんこの会議はそのためだけにあるわけではありませんけれども、少なくともここの見直しの議論の中から必ずそれを内閣府での議論に反映するようにして、先ほど私が申し上げたのはそのことなんですが、反映するようにしないと、やはり私の聞いている限りでは総合科学技術会議というのは相当張り切っているようでありますし、環境だけでなくて、ほかの面でも非常に影響があるのではないかと他の分野での研究でもかなり神経をとがらせていますので、ここでそういう、神経をとがらせているなどという言葉を使うのは適当かどうかわかりませんが、しっかり見据えて、それから先ほども言いましたように、我が方はこっち向いて、向こうは向いてという、先ほど西岡さんがおっしゃったかな、要するに対抗するのではなくて、むしろこちらからきちっと情報を流して、総合科学技術会議の中で生かしていただくような、そういうスタンスでやっていただきたいなと。今のご返事ですと、ちょっと余りにもきれい過ぎる感じがいたします。
【鈴木委員長】 大事なポイントだと思います。ほかにご意見ございませんか。もうちょっと事務局ははっきり物を言えということなのかもしれませんけれども。
どうぞ、西岡さん。
【西岡委員】 私、今、総合科学技術会議の方の環境プロジェクトのメンバーでもあります。むこうは相当早いペースで進んでおりまして、特に環境には、ほかのところもそうですけれども、非常に力が入って、今の段階で相当こちらの方からのインプットを早目にしておかないと、うまく反映されない状況になるかなという気もしないでもない。もちろんそれは事務局の方でやっていただいていると思いますが。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。非常に実際的だし、有効なポイントだと思いますが、ほかにございませんか。
どうぞ、松原委員。
【松原委員】 今、発言するのが適当かどうかわからないんですが、今までのご説明を伺っておりますと、科学技術基本計画においては重点化として、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料ということで、数個あるうちのその環境という我々のこの委員会で関係のある分野でございますけれども、環境は非常にすぐれて、ほかの重点分野に比べて総合性が高い分野だと思うんです。今後、総額24兆円をかけて研究を推進する場合に、どんどん専門分化が行われていって、重点化が進めば進むだけ各分野の専門分化が進むと思うんですが、少なくとも環境に関しては、今までのように分けて、水は水、大気は大気というような、そういった個々の分野の推進と同時に、非常に環境という総合的な視野とか相互関連とか、ここにも幾つか学際的とか総合的なリスク評価とか、そういう言葉で環境基本計画の推進施策にも書いてあるわけなんですけれど、実はこの「総合的な」というのは、言うは易しく、実際は非常に難しいと思うんですね。そういう総合的な視野に立った研究調査活動をどうやって推進するかということは、一体この専門委員会のどこで議論するかと思いながらちょっと見ておりましたところ、一応、本委員会も循環廃棄物、地球環境、化学物質、環境管理、自然環境というふうに五つに分けられて、それぞれ検討していくわけですね。そうすると、その中のどこが比較的総合的な視野から本当に我々の人類の環境の生存にかかわる総合的な問題というのを議論するのかというのが、ちょっと疑問に思いました。
【鈴木委員長】 松原先生、非常に大事なポイントだと思いますが、その議論はもうちょっと後に予定しています。
【松原委員】 そうですか。
【鈴木委員長】 中間報告の目次及びその検討とかということをやろうという、そこら辺でもう一遍出てくると思います。
【松原委員】 どうも失礼しました。
【鈴木委員長】 確かに五つの分科会に分けたことの妥当性と、各分科会がどこまで目配りをしてやるのか。それから、各分科会に共通の問題をどうするのかなという問題は、後で議論をしていただかなければいけないことだろうと思います。今のところ、いささかスケジュールが忙しい話でありまして、スケジュールの話にちょっと移って、専門委員会における検討事項及びスケジュールについてというのを片づけようと思いますが、事務局、どうぞ。
【松井環境研究技術室長】 資料の8、33ページでございますが、今、松原先生からご指摘いただいたことにつきまして、今回、この専門委員会におきましては全体的な、1の(3)のところにございますが、共通的、横断的な事項、分野間の調整でありますとか連携といったようなことにつきまして検討していただきたいと考えております。
(2)のところの分科会におきましては、それぞれの関連する分野につきまして今後推進すべき課題、重点的・戦略的に実施すべきプロジェクトに関してご検討いただく。ただ、後ほどの資料にも出てまいりますが、分科会で縦に全く仕切ってしまうという趣旨ではなくて、主に同じような専門の先生方にお集まりいただいて分科会を形成させていただきまして、そこで関連のところを少し掘り下げて議論をしていただければと考えております。今回、専門委員会自体がかなり大人数となった関係もございまして、分科会で少し突っ込んだ議論をお願いしたいと考えておりますが、ただ先ほども申しましたように、分科会ごとに縦に切ってしまうということではなくて、その他のところについても当然関係あるところがございますが、そこについても目配りといいますか、見ていただければと考えておるものでございます。
スケジュールにつきましては、本日が第1回でございまして、第2回を6月5日に予定いたしております。先ほどの総合科学技術会議における検討もございまして、6月5日という日程を設定しておりますが、必ずしも6月5日の段階で中間報告がまとまるかどうか、私どもとしては分科会もうまく活用しながら第2回でまとめたいと考えておりますが、場合によってはさらに6月の中下旬ということもあり得るかもしれません。一応今の私ども事務局としては6月5日において、あらかたの中間報告をまとめたいと考えております。そのための作業といたしまして、分科会、五つ設けておりますが、既に日程をこの表の中に書いてございますが、それぞれ2回ずつ、このような日取りでお願いしたいと考えております。
これを受けまして、専門委員会中間報告以後になりますが、総合政策部会に報告させていただきまして、多分、本件につきましては、本専門委員会に参加していない部会の先生方もかなりご関心があると思います。多分いろいろなご指摘をいただくのではないかと思いますが、それを受けまして、この最終的な答申に向けた修正といいますか、そのような作業を専門委員会において行いまして、専門委員会の最終報告をまとめていただきたいと考えております。できれば秋、10月、11月、そのころをめどに行いたいと考えておりまして、それに向けて5月、非常にタイトなスケジュールで、先生方に大変恐縮でございます。先生によっては二つの分科会にご所属いただく先生もいらっしゃいまして大変申しわけございませんが、このような日程でご協力をいただきたいと考えております。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
どうぞご質問がありましたら。先ほどの話の続きになりますが、西岡委員、こんなタイムスケジュールで何か気になることがありますか。
【西岡委員】 事務当局の方はご承知のことと思いますが、5月22日が総合科学技術会議環境プロジェクトの、当面最後といいましょうか、3回目になっています。そういう意味からは、途中の経過でも何かうまく反映できるような形をとるのが望ましいんではないか。もちろん私もそちらの方にも入っておりますので、この議論を踏まえまして発言したいと思っておりますけれども、5月22日でございますからちょっと厳しいなという感じがします。
【松井環境研究技術室長】 実は、昨日、総合科学技術会議の事務局が、今、各省のヒアリングをしておりまして、私どもも出かけましてご説明したわけでございますが。向こうの方には私ども中環審の専門委員会においてこういう検討を進めているということをお話し申し上げ、かつ最終的なまとまりを待って向こうに差し上げるということになりますと、向こうは動きがとれませんので、それはできるだけ早く、途中の段階でも出せるものを出す形で事務局の方と連携していきたいと、そのようにお話を申し上げたところでございます。
【鈴木委員長】 実際にこのスケジュールでいきますと、各分科会に分かれてしまうわけですね、五つの分科会に。その五つの分科会のそれぞれが運営されるたびに、総合科学技術会議の側のワーキング・グループがどこまで何を議論されたかという情報はその分科会に提供されなきゃいけないということになりますと、それは可能なわけですか。事務局、どう考えていますか。
【松井環境研究技術室長】 総合科学技術会議事務局との連携は今までもとっておりますので、なるべく向こうの情報を、先方からいただくようにしたいと考えておりますが、それはこちらからお願いというようなことになろうかと思います。
【鈴木委員長】 そんなことだそうです。結構ぎりぎりという形で作業をしなければならないのかもしれませんが。
ほかにご意見ございましょうか、この検討事項とスケジュールということでよろしいですか。
【鈴木委員長】 それでは、その次に移らせていただきます。
次は議事の4番目で、きょう一番ご自由な意見をたくさんの委員から伺いたいと思っているところでありますが、4番目で中間報告の目次及びその検討・記述方針ということで、どうぞ、事務局。
【松井環境研究技術室長】 現段階で私どもでこういう形で中間報告をまとめてはいかがかというものを、まだ非常に早い段階でございますけれどもお示しさせていただきました。
まず、「はじめに」のところ、これは中間報告を取りまとめに至った背景でありますとか、中間報告の性格、ご説明申し上げましたように、これまで環境研究技術基本計画、それから環境基本計画があり、かつ環境技術基本計画を受けて総合科学技術会議において重点分野の推進戦略の策定というような作業が進んでおります。そのようなことを踏まえた上で今後5年程度、場合によってはもう少し長期の10年ぐらいを見通したものかと思いますが、環境政策を推進する上で必要な環境研究・環境技術開発の方向性、体制整備のあり方、推進課題等を中間報告として示すものでございます。中間報告後は、必要な修正を加えて、秋をめどに環境大臣の答申という形にしていただきたいということでございます。そのようなことを「はじめに」のところで書かせていただいているわけであります。
第1といたしまして21世紀の環境問題。これは既に環境基本計画の冒頭のところでまとめがございます。したがいまして、それを踏まえてといいますか、新たに環境基本計画の策定作業以降に、例えばIPCCの新たな知見というのがございますが、そういったものを含めて4ページ程度で書いてみたらどうかということでございますが、ただ4ページ程度で書くものにどれだけの意味があるのかというようなご意見もあろうかと思います。したがいまして、ちょっと物をつくってまたお諮りさせていただきますが、第1の記述そのものはもう省略してしまうか、または、第3のところで今後の推進課題をそれぞれまとめることになっておりますので、そちらの方で書くというのも一つの手かなというふうに考えております。
それから、第2といたしまして環境研究・環境技術開発の方向性。これは、後ほど資料10が用意されておりますので、ここでご議論いただければと考えておりますが、既に環境研究技術基本計画で整理がされておりますので、それを受けてさらに追加的に記述するようなこと、また強調するようなことがあればそれをまとめていただきたい。それが第2でございます。
今回の検討の中心的な部分は、第3、第4、第5あたりになろうかと思いますけれども、その初めといたしまして、今後の推進課題をここに掲げた八つの大くくりの柱、大事項としておりますが、現在、私どもとしてはこのような柱でいかがかと考えておりますが、まだ問題点等も残っております。この柱としまして、地球環境の保全、循環型社会形成・廃棄物管理、化学物質の環境リスクの評価及び管理、大気・水・土壌環境の管理、人と自然との共生の確保、途上国等の環境問題、環境監視・計測、環境政策・情報・予測評価ということで、例えば途上国等の環境問題でございますが、従来これは地球環境の一つというようなことで、地球環境問題の一つというような整理もされておりまして、場合によっては1のところに入れ込むということもあり得るかなと考えております。また7、8でございますが、これはそれぞれ、上の方で、地球環境もそうでございますし、循環でもそうでございますが、環境監視・計測に係る問題とか、それぞれのところが出てきます。これを横ぐし的なものとして、7で環境監視・計測、8としまして環境政策研究でありますとか環境情報、それから環境の予測評価、環境アセスメント、そういったことについて、7、8でまとめたらいかがかなと考えております。
これらの大事項の下に中事項を掲げまして、その中事項ごとに現状、現在の到達段階、それから、今後の取り組み、何をどのように行うかについての記述、それと、可能であれば、いつごろまでにといったような、目標的なものもできればご検討いただきたいと考えております。また、こういった中事項を取り上げた背景でありますとか理由などを、それぞれの中事項に書くか、または大事項のところで冒頭に一括して記述するというようなことで、そのような背景・理由なども説明というようなことで入れたいと考えております。
この中事項でございますが、今後の取り組みに係る部分については、取り組み全体を網羅的に記述するのでなく、やはり基本的に重要と考えられる取り組みを記述するという形にしたいと考えております。
次に、第4の環境研究・環境技術開発の体制整備については、ここも環境研究技術基本計画に整理がなされておりますので、それを踏まえてさらに追加すること、強調するようなこと、それから新たにこういうことをやるべしというようなことを書いていただきたいと考えております。
第5でございますが、ここでは第3の今後の推進課題と第4の体制整備、これを踏まえて、特に重点的・戦略的に実施すべきプロジェクトを記述していただきたいと考えております。この第3が当面各分科会の中心の作業になるわけでございますけれども、ここに掲げましたように、分科会それぞれこういう形でご検討いただきたいと考えておりますが、先ほど申しましたように、分科会ごとの縦割りで仕切るという趣旨ではございません。その他の分科会におきましても関連するところ、これは例えば循環と化学物質、それから大気・水・土壌、これらは互いに関係してくるものと思います。ということで、その他の分科会で検討いただくことにつきましても、場合によってはといいますか、お気づきの点があれば、コメントをお願いしたいと考えております。
現段階で省内におきまして検討いたしておるところでございますが、それぞれ大事項のもとこのような中事項の柱を現段階では立てさせていただいております。これにつきましては分科会におきましてさらにご検討いただきたいと思っておりますが、現状ではこのような形で1から順に次のページにかけて載っておりますけれども、このような柱のもとに分科会において議論をしていただければと考えているものでございます。
以上でございます。
【鈴木委員長】 議論が多分この次の議題と絡み合ってくると思うので、ことのついでに資料10と11まで話を進めてくださいませんか。議事としては、一応、環境研究・環境技術開発の方向性、体制整備というふうに上げてはありますが、実は実質的にはほとんど同じことになりますから、そこまでいっちゃいましょう。それから議論を伺いたい。
【松井環境研究技術室長】 この資料10は、先ほどの第2の部分、これを検討していただくに当たっての検討用のメモということで、事務局の方で用意させていただいたものでございます。左に環境研究技術基本計画の第2章、これは環境研究技術の基本的方向でございますが、それが書いてございまして、これについて追加的なコメントということで、追加的に事務局で思いついたものを右側に書いてございます。
環境研究技術基本計画におきましては、まず冒頭でございますけれども、環境研究及び環境技術開発の特性としまして、目的志向型でありますとか学際的・国際的視野、分散型でかつネットワーク参加型、経済活性や雇用確保の観点からも重要、そのような記述がございます。ここのところ、追加的なコメントといいますか、事務局で書いたものでございますけれども、まず第1点といたしまして、環境分野の特性、先ほど委員の方からもご指摘ございましたが、環境分野というのはニーズの達成に向けて幅広い分野にわたる研究とか技術開発を行うものです。環境技術基本計画の重点4分野の例えばライフサイエンス、IT、ナノテクノロジー、こちらの方はもう既に技術シーズ、これがある程度明確になっておりまして、それをもとにニーズに応用してくる分野、それと環境分野というのはかなり性格が違うものであると、そのような記述でございます。
同じく二つ目のところでございますが、逆にライフサイエンス、IT、ナノテクノロジーについて、これらの分野につきましても推進戦略の検討が進められているところでございますが、こういった分野においても環境保全に資する研究開発が推進される。そういうことをメッセージとしてお願いするということが必要ではないかということでございます。
また、左に移りまして1のところでございますが、環境政策との連携強化、環境問題の解決に貢献する明確な目的を持ち、環境政策との密接な連携のもとに推進する。これはそもそも私ども環境省として、この環境研究・環境技術開発を推進するに当たっては、基本的には環境政策の推進につなげていくということでございます。したがって、複雑化・多様化し、不確実性のある環境問題に対し、環境政策を立案・実施していくための社会的合意の形成が必要である。そのために環境政策に関する研究の強化が必要ではないか、また、その基礎として、これまでの知見のレビュー、さらに必要な研究の企画・実施が必要ではないかという追加的なコメントを書いております。
2でございますが、社会経済情勢への柔軟な対応、環境問題に関する国際的な枠組み、科学的知見等々により変化する研究・技術開発に迅速な対応が必要である。これもまさにそのとおりでございまして、社会経済情勢の変化、特に人口の問題でありますとか、ITがさらに進む、そういったことが環境問題に及ぼす影響というのは多分かなり大きなものがあると思いますが、必ずしも十分な検討が進んでないのではないか。これらについての研究が必要ではないかというコメントでございます。
40ページでございますが、体系的・総合的な視点の重視、自然科学、社会科学、人文科学など多くの学問分野の知見の総合化が必要。これはまさにそのとおりでございまして、特に、社会科学、人文科学の重要性が大きくなっているところでございます。
それから4でございますが、各主体の連携・交流の促進ということで、環境研究技術基本計画では、研究の企画から成果の応用に至る各段階で各主体間の連携・交流の促進が必要であると。ここのところで追加的なコメントとしては、一般市民へのわかりやすい環境研究・環境技術情報の提供が重要ではないかということを書いております。
それから、5の世界に向けた成果の発信ということで、ここは我が国の国際貢献の一つとして国際的なリーダーシップを発揮する。それでは、どうしたらいいのかということが今後問題になってくるわけでございますが、国際貢献をさらに進めていく必要があるということをコメントさせていただいております。
それから6として、地域の特性を踏まえた推進ということで、地方公共団体における環境に関する試験研究機関その他ございます。地域において研究開発能力が生かされる研究開発体制の構築が必要であると、環境研究技術基本計画に掲げてございます。さらにそれを進めていく必要があると考えておりまして、地域における試験研究機関の活性化、地域における産官学の連携の促進が重要ではないかというコメントでございます。
7が環境技術の開発、普及、移転ということで、環境保全のための技術開発の推進を目的とした国等の環境づくり、支援体制の整備。これは各種政策手段による環境技術の普及の推進が必要ではないかというようなこと。それから、技術の評価でありますとか技術情報の提供といったような取り組みの促進が必要ではないか、そのようなことをコメントとして書いております。
8番といたしまして、環境ビジネスの振興・雇用の創出ということで、環境ビジネスの振興は、環境技術の普及の上で重要、また環境技術は新たな産業、雇用をもたらす。こういった観点も引き続き重要であると考えております。
次に、資料の11でございますが、環境研究・環境技術開発の体制整備。これは環境研究技術基本計画の第4章第2節の横断的、共通的に推進すべき施策、そこに整理がなされておりまして、本来はここのところ、もう少しきちんと現状がどうなのかという分析をきっちり書いておくべきだと思いますが、十分に対応できておりません。
まず、左のところでございますが、1のところで、環境研究及び環境技術開発の推進の基本的枠組みとしまして、次のようなタイプ分類を行って、それぞれに応じた施策が環境研究技術基本計画で示されております。その分類というのは、基盤的・先導的な研究課題、問題対応型の研究課題、政策提言・政策対応型研究課題、4といたしまして環境技術開発でございます。
これを受けて、環境省等における取り組みでございますが、基盤的・先導的研究課題につきましては、私どもの室で扱っております環境技術開発等推進費というのがございまして、そこで基礎研究開発を行っております。また、基盤的・先導的研究の重要性ということから、一層の推進が必要ではないかと考えております。右の方は中間報告第3の部分、環境研究・環境技術開発の体制整備についての展開ということでございますが、中長期的視点からの問題の発見でありますとか、シーズ培養のための基盤的・先導的研究資金の確保ということが必要ではないかといったことを、今後ご検討いただきまして中間報告の第3に記述していく、それを念頭に置いた検討用のコメントということでございます。
問題対応型の研究課題のところは、これはさまざまな仕組みにより現在実施されておりまして、そういったものの調整をどう図っていくのかが課題と考えております。
(3)のところでございますが、政策提言・政策対応型研究課題、これは既に地球環境戦略研究機関(IGES)が設立されております。環境省としても支援しているところでございますが、これをさらに続けるようなことでありますとか、国立環境研究所が4月に独立行政法人になりました。4月に中期目標、中期計画というものがつくられたわけでございますが、その中で、国環研におきましては政策対応型の調査・研究の推進、その下でございます。政策提言・政策対応型研究について一層の強化、これは環境省でも政策研究の重要性ということで現在検討が進んでおりまして、これがポイントの一つになるのかなと考えております。その右のところで、政策提言・政策対応型の研究の強化が必要である。そのためには研究体制の強化、これを図っていくということとトップダウン型の競争的資金の創設に対応といったようなことを図る必要があるのではないかと考えております。
それから、(4)の環境技術開発のところでございますが、これもやはりさまざまな仕組みのもとで実施されております。環境庁から環境省になりまして、環境技術開発について従来にも増して取り組みを強化したい、環境省全体ではそのような意向のもとに進めております。これにつきましては一番右の箱におきましては、環境技術情報の整備でありますとか、環境技術の評価の手法、体制、ここもいろいろ検討すべきことがあるかと思いますが、そういったことに手をつけていく必要があると考えております。42ページになりますけれども、環境技術の実証プロジェクトの推進でありますとか、技術開発そのものは基本的には民間がかなりの部分を担っておりますので、民間の対応を促進するための取り組み、そういったことを考えていく必要があろうかと思います。
また、ここのところで一番最初には研究と技術開発とありまして、環境モニタリングの位置づけが実はその後ろの方に情報基盤の整備というところに上げられておるんですが、環境モニタリング、特に地球環境のモニタリングの重要性というようなことを考えますと、モニタリングの位置づけをもう少し強くする必要があるのではないかということで、このようなコメントを書いております。
2といたしまして、環境研究及び環境技術開発の総合的な推進。ア)で総合的推進システムの構築と基本方針の策定、総合推進体制を構築し、そのもとで基本方針を定め、計画的・戦略的な研究開発を進める。このように環境研究技術基本計画では書かれております。
これまで、私ども一括計上予算、これは参考資料といたしまして環境省の環境研究・環境技術開発関係予算主要事項とございますが、公害防止等試験研究費云々、この部分が一括計上予算でございます。後ほどちょっと見ていただければと思いますが、こういった研究でありますとか、それから地球環境局で行っております地球環境研究総合推進費、そういったところでは、戦略的な取り組みがなされ、かつ検討会等においての取り組みがなされておるところでございます。総合的な推進体制の強化、それから年次計画の作成等による対応が今後ともさらに必要になるかと考えております。また、これはあくまでも私どもの室の取り組みになるわけでございますが、この一括計上予算のあり方等について再検討が必要と考えておるところでございます。
イ)のところでございますが、研究開発の企画システムの強化ということで、総合的視点に立って、研究プログラムの全体をより戦略的に企画、立案、推進。研究実施の前に研究の詳細の企画を支援するメカニズムが必要ということで、これも総合研究推進会議、これは一括計上の検討をお願いしている会議でございまして、それと地球環境研究総合推進費につきましては地球環境研究等企画委員会というものを動かしてございます。こういったところの取り組みを強化する必要があろうかと考えております。また、国環研におきましては独立行政法人になりまして、中期目標、中期計画のもとに六つの重点特別プロジェクトと二つの政策対応型調査研究が開始されたところでございます。それから、地球環境の分野におきましては、これは地球環境局の対応でございますが、課題検討調査研究、フィージビリティー・スタディーといったようなことを必要に応じて実施いたしております。また、国環研におきましては内部・外部の事前評価を行っているようなところでございます。
それから、ウ)の個別研究の総合化でございますが、これは環境研究技術基本計画におきましてはIPCCのような取り組み、これを行うべきというような記述がございまして、地球環境研究につきましては問題ごとに研究の進捗や状況を評価、統括というような、そのような取り組みがなされております。その他につきましては、必ずしもこのような全体の成果を統一的視点から比較分析し統合化するという取り組みが現段階では十分に行われていないところかと考えております。
研究開発の評価システムの強化、研究開発プログラムについて定期的な検討評価、必要に応じ柔軟に改革するというような記述、さらに、その下でございますが、特に環境技術については、総合的な技術手法を明らかにした上で、恒常的な体制整備のもと、体系的かつ定期的に評価することが必要というような記述になっておりまして、この評価の部分につきましては、実は国全体といたしまして「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法のあり方についての大綱的指針」、これが出ておりますが、現在総合科学技術会議におきまして見直しの作業が行われているところでございます。あと政策評価、これは研究だけではなくて、実際のそれぞれの政策評価について行っていくということで、今取り組みがなされているところでございますが、研究につきましてもこの政策評価に対応したプログラムといったようなものを考えていく必要があるということと、それから個々の研究開発課題の評価の効率化でありますとか、評価結果のデータベース化と事前評価への活用といったようなこと。そして、技術につきましては、先ほどにも記述してございますが、環境技術の評価に係る手法の開発・体制整備といったところが重要であると考えています。
あと、オ)のところでネットワークの中核機関。これは、中央につきましては独立行政法人国立環境研究所がネットワークの中核的機関として存在してございます。地方での育成といったことが今後の課題かと考えております。
連携と協同ということでございますが、これは地域との連携、ここが一つのポイントということで、環境研究技術基本計画でも記述しているところでございますが、これにつきまして全国環境研協議会といったような地方の環境試験機関の協議会がございまして、連携を図っているところでございますが、さらに地域の試験研究の推進のための支援が必要と考えております。
それから、次の44ページになりますが、国際協同。ここでは、既にIGESでございますとか東アジア酸性雨モニタリングネットワーク、それからAPN、こういったような取り組みが既になされておりまして、引き続きこういったものに対する支援というようなことが必要と考えております。
それから、4の研究開発基盤整備、環境研究技術基本計画におきましては、人材の養成及び確保でありますとか、これは科学技術全般にかかることでございますけれども、研修及び留学制度の拡充でありますとか、フェローシップ制度の拡充、それから独法化した研究機関の研究者と行政官の人事交流の促進というようなことでございますとか、任期付の研究者の雇用システム等々、このようなことが記述されております。これらにつきましては国環研において、フェロー制度の創設でありますとか、そのような取り組みもなされております。任期付の研究員につきましても、国環研においては積極的な活用がなされております。一番右のところになりますが、特にここのところでは競争的資金の間接経費、これは30%のオーバーヘッドをとるというようなことが科学技術基本計画の中にも記述がございまして、そういった仕組みを活用した研究活動の強化といったようなことが考えられるということでございます。
45ページになりますが、研究支援者の確保といったようなこと、これもやはり競争的資金をうまく活用した支援者の確保というようなことが課題かと考えております。一番左のところで研究プロジェクトへの自由なアクセスということでございますが、これは科学技術基本計画の中で競争的資金、提案公募型でございますが、これについて倍増するというような記述もございまして、競争的資金の拡充が第2期の科学技術基本計画の中でかなり大きなウエートを占めているかと考えております。そういう面で科学技術基本計画にも対応いたしまして公募型の研究プロジェクトの拡充ということが今後の一つのポイントかと考えております。
イ)のところで、研究資金の確保ということで、ここではいろいろなメカニズムということを考えなさいということが環境研究技術基本計画に書かれておりまして、その一つとして資金の柔軟性の確保ということでございますが、国環研につきましては独立行政法人化いたしましたので、自由度が増してきました。単年度の予算に縛られないというようなことで今後の対応になっていくかと思います。同じく、一番右のところでは、先ほど上に書いたのと同じように、科学技術基本計画に対応した競争的資金の拡充といったようなことで、トップダウン型の競争的資金の創設でありますとか、地域における産官学連携の研究、こういったことがポイントになっていくのではと考えているところでございます。
ウ)でございますが、共同利用施設の整備、一番右のところにございます温暖化適応・緩和技術、これは地球環境問題、温暖化問題の中で今後の一つの大きな柱になってくるかと思いますが、それと循環型社会形成技術、こういったものについて、例えば開発支援に関するセンター的な機能を持った機関、そういったものの構築が必要ではないかということを書かさせていただいております。
最後のページになりますが、情報基盤の整備ということで情報共有体制の確立。これは重要性についてはもうだれも異論のないところでございます。国環研において、それから環境省においてもいろいろと検討を進めているところでございます。それと、他の省庁、それから総合科学技術会議でもいろいろな検討が進んでいるところでございまして、今後、情報の共有体制の整備ということが大きな課題かと考えられます。また、右のところでございますが、ここのところで一つ指摘させていただきたいのは、国際比較も含め環境研究・環境技術の動向に関する定期的なレビューが実は必要ではないか。そういったものが行われておれば、この専門委員会においてもかなり効率的なご検討がいただけると考えているのですが、残念ながら、そういったものは十分対応できておりません。それから、環境研究・環境技術に関するデータベースも現状では整備が進んでいない。それからモニタリングでございます。ここのところで環境研究技術基本計画では情報基盤の整備ということで環境モニタリング、それと基盤としての環境試料の長期保存でありますとか、標準試料の整備といったようなことを記述してございますが、この環境モニタリングにつきましては、現状のモニタリングの見直しを含め、新たな環境モニタリング戦略の作成といったものが必要ではないか。戦略づくりが必要ということは、環境研究技術基本計画にもうたわれておりますが、必ずしも十分な検討はこれまでは進んでおらないところでございます。また、地球環境のモニタリングにつきましては、これはやはり強化が必要であろうと考えております。また、地球環境情報に関する中核的なセンターの構築といったようなことでございますとか、地味ではありますが知的基盤の整備ということで、環境試料の長期保存でありますとか標準試料の整備等の知的基盤整備の推進、これもきちんと進めていく必要があると考えております。
オ)としまして、普及・啓発活動の促進ということで、優良環境技術の開発普及を促進するための奨励とか助成というようなこと、成果のわかりやすい形への変換、インターネット等の情報提供手段を活用した普及・啓発活動、このようなことが環境研究技術基本計画に書かれておりまして、そのための取り組みというのを環境省においても検討は進めてまいりました。それから、インターネットにつきましては環境省においても新たなホームページを立ち上げるというようなことで進めております。国環研においても行っておりますが、さらにその取り組みを強化する必要があると考えています。また、優良環境技術の開発普及を促進するためのシステム、これについてまだ基礎的な検討にとどまっておりまして、その具体化に向けた検討が必要と考えております。
非常に雑駁な説明で恐縮でございますが、以上でございます。
【鈴木委員長】 どうもありがとうございました。
中間報告の骨組み、中身、問題点等々、一括してご説明をいただきましたけれども、どうぞご自由にご議論、ご意見を賜りたく思います。それがある種これから行う作業の材料になっていくわけでありますから、よろしくどうぞ。何なりと。どうぞ、西岡委員。
【西岡委員】 既に松原委員の方からもご指摘がありましたように、環境という部門については技術とシーズがあるわけではなくて、ここにも書かれていますけれども、デマンドがある、あるいは問題がある。これをどういう技術をピックアップとして実現していくかということが一番基本なんですね。その辺から見ますと、このいろいろな記述において、どうしても個別の技術のボトムアップ的なことが非常に多くなってくる可能性がありますが、それは方向としてはあまり望ましくないなと思います。
具体的に言いますと、36ページの地球環境の保全、私、これの方の主査ということで任命されておりますけれども、現象監視、現象把握、将来予測等々ございますけれども、これは言ってみればある一つの手段のプロセスが書かれているわけで、あるいはその手法が書かれているわけですけれども、大切なのは大きく地球環境全体をどう持っていきたいんだろうかというイメージがあって、そして、それを実現する幾つかの政策的手段があって、それをバックアップする科学技術をどう拾い集めるか、あるいはどう育てていくかという書き方が要るんじゃないかなと思うんです。そういう意味からいいますと、各分科会ですぐに現象を解明していくといった、個別に入る以前に、ある程度、これはみんなでまた共通で話をするところもあると思いますけれども、ある程度この分野ではどういう問題があって、どういう将来イメージがある。だから、それをどういう形で実現していくんだろうかという議論もぜひこの個別に入れていただきたいなと思います。
【鈴木委員長】 安井委員。
【安井委員】 今、西岡先生のおっしゃったことにおおむね同意なんですけれども、今ご説明いただきました個々のものの議論すべきベクトルといいますのは、先ほどご説明があった総合科学技術会議に向けて何かを発信するというものと、何かこうレベルが食い違っているんじゃないかなという気がやっぱりしないでもないと思うんですね。先ほど西岡先生おっしゃいましたように、5月22日が最終回ですか、一応。その前に5月15日があるという情報を得ておりますが、それに向けて主査である吉川先生が何をお考えかよくわかりませんけれども、一番はっとしそうなことをどうやって投げるかという議論をしなくては本当はいけないんじゃないかというような気がするわけですね。要するに今、先ほど伺いますと、まずこの内部の合意をとるための何かこうリストアップであって、外部に対してどういうイメージをぶつけたら一番はっとしてくれて、あっと思ってくれるのかという、そういう議論が全然ないんじゃないかなという気がするわけです。
そういうことに関して、最近、私なんかいろいろなところの大学で若い連中に環境の講義なんかをする機会がありますと、一番問題だなと思うのは、彼らはなぜか自分たちの未来はないと思っているんですね。本当にこんなに環境が悪くて、我々の未来はないんだと思っているわけですよ。いや、そんなことはないんだと。まあ、昔みたいに好き勝手はできないけれども、こんな風なんだからこのぐらいのことはできるんですよというようなことを一生懸命説明しなければいけないような状況なんですよ。そういうようなことを考え、それから総合科学技術会議の中の、あるいは環境基本計画の中の安心で安全などうのこうのという社会というのがありますけれども、その辺に対して、結局、環境の未来に対して明確なビジョンを出すんだというようなことを、このぐらいのことまではやれるんだというようなことを考えながら、この日本列島上に住んでいる一億何千万の人々の幸福のためにやるんだみたいな、そういう何か総合的なメッセージを出さないといけないんじゃないですかね。
【鈴木委員長】 秋元委員が手が挙がっているようなので、どうぞ。
【秋元委員】 今、安井先生のおっしゃったことは非常に大きな問題だと思います。私が手を挙げたのは、むしろもうちょっと個別の問題なので、ちょっと議論がかみ合わないかもしれませんけれども、例えば今後の推進課題というのでこういう八つぐらいに分けられていますけれども、これをこういうふうにばらばらに分けて議論するというのは非常に問題があるんじゃないかという気がするんです。例えば私の近いところでは地球環境の保全と大気・水・土壌環境の管理、それから環境監視・計測、この辺というのは、ほとんど一体の議論が本来行われるべきもので、具体的な一つの例だけを申し上げますと、例えば森林衰退というのが日本で今進行している。これを食いとめるにはどうしたらいいかというようなことを考えるときに、恐らく国内の大気汚染対策とか、そういうことだけでは不可能になりつつあるという事実がありまして、こういう大気汚染対策と地球環境保全対策との連携とか、そういうものがもっと表に出てくるような形にならないと、新しい方向性というのは出てこないんではないかという気がしました。
【鈴木委員長】 ほかにございませんか。どうぞご遠慮なく、きょうは。浦野委員。
【浦野委員】 私も安井先生のおっしゃるように、まず最初にある程度国民に対するメッセージというか、あるいは総合科学技術会議へのメッセージでもいいんですけれども、そういうものはもうちょっとはっきり出た方がいいというのは一つ安井先生と同じ意見がございます。
それから、もう一つ、先ほど来お話があった各分野ごとの横断的なものをどうするかということですが、必ずこういう問題というのはどこでも出てくる問題で、一度に全部はできないけれども、かといって分けると、環境の問題というのは非常に難しい。これは重なって出ている委員とか、あるいはこういう会議でやるしか、多分ないんだろうと思います。全体として、総合科学技術会議の方には必ずしもそう書いていないんですけれども、この案によると、どうもハードの技術が優先していて、ソフトの部分が不足している。その部分が例えばライフサイクル・アセスメントがどうこうとか、いろいろ書いてございますけれども、一番基本的な情報、例えば金属なら金属一つとっても、どういう物質がどれだけ日本に入ってきて、どういうふうな用途で、どういうふうに流れていっているのか。マスフローとかなんかの基本的な情報がほとんど日本はそろっていないんですね。各産業で何をどれだけつくっているかということについてもきちっとした情報がそろっていない。どこでどう聞いたらいいか、大変な状況なわけで、そういった環境問題を考える上での基本的なデータの収集が必要です。自治体との連携も少し書いてありますけれども、何か地方の研究所への支援をしますというようなことしかちょっとないんですけれども、もっと情報交流とか、あるいは大学や企業との連携もどういうふうにしていくべきか、もうちょっとしっかり、具体的な政策という意味ではなくて、方法論自身を考えていく必要がある。国民の理解がないと環境問題というのはうまくいかないわけですけれども、国民理解を得るための方法論というのももっと真剣に考えるべきではないか。今はインターネットもかなり普及してきているわけで、これを使ってどういうふうな情報提供をしていけばいいのか。リスクコミュニケーションとかということも含めてどうやっていくのか。
それから、やはりいろいろな技術、研究というのは理想的なものがあるんですけれども、実はあまりうまくいっていない。今もかなりの公募型の研究とか、文部科学省というか、旧科技庁からも莫大なお金がいろいろ出ている。あるいは通産省その他の省庁でも環境関連のお金はかなり使われている。しかし、よく見ると、これははっきり申し上げると、むだ遣いもかなり多いように私は理解しています。それはなぜかというと、評価のシステムがないのではなくて、人材がちゃんとしていないというふうに私は思うんですね。ですから、先ほどの若い研究者をどう育てるかということもそうですけれども、研究者自身の教育、訓練というか、そういうことも非常に重要なんではないかというふうに思うんです。ですから、その点については全く触れていないわけですけれども、ぜひどこかでお考えいただきたい。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
きょうはできるだけ多くの委員の方からご発言をいただきたいと思っておりますので、遠慮なく、ブレーンストーミング的にやっておかないと、皆さんが何考えておられるのかわからないものですから、ぜひどうぞ。
【橘委員】 私は音を専門にしている者ですけれども、このお話はきょうよりむしろ専門委員会に入ってからの話題かと思いますが、環境という定義の問題でもあるんですが、例えば35ページの、推進課題というところで、地球環境から始まって廃棄物とかケミカルなものがございますけれども、騒音とか振動の環境問題というのは、物理的な現象でありまして、現象としては非常にローカルなんですけれども問題としては非常にグローバルな問題ですので、騒音も一応考えていただきたい。その意味で私もきょうここに呼ばれているんだと思うんですけれども。騒音は恐らく大気・水、このあたりに入っているんではないかと思いますけれども、この場合の大気環境というと、かなりケミカルなニュアンスが強いと思うんですね。音環境というようなタームで身近な環境問題として全体の中の一つの要素としてお考えおきいただきたいということです。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
何かレスポンスがあれば。いいですね。
どうぞ、小林委員。
【小林委員】 この中で、一般市民あるいは国民への情報提供という点はあるんですけれども、現在、化学物質を中心にして、国民の間に大変不安なり問題意識が強い部分があるんですけれども、それらに対してどのように対応していったらいいかという、いわば対応のための調査なり研究のプログラム、企画という部門が今後要るんではないかと。それをだれが担って、総合的に整理をして、国民に戻していくかという、国民意識から出てくる技術開発・研究という側面というのは重要ではないかと、こんなふうに感じます。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
ほかにどうぞ。鷲谷委員。
【鷲谷委員】 既存の科学技術の研究のシステムとか体制の中では、なかなか成果の上げにくいような、重大な、社会的なニーズのある研究にこれから取り組まなければいけないと、非常にある意味ではチャレンジングなことを方向性として提供していかなければいけないんですけれども、そういう研究をどういうふうにオーガナイズして、確実に研究成果を上げていくことができるというような検討ということが重要だと思うんですが、自然環境という私の分野から考えますと、ほかの分野でもそうですけれど、非常に不確実性が高いんですけれども、緊急に政策とか事業が求められていることも多いと思うんですが、そういうものというのは研究自体が実践とか事業の中に組み込まれないと、不確実なことに対処してよりよい道を探っていくことは難しいと思うんですね。事業や実践に、研究に組み込むというようなことが、恐らく今までの既存のシステムではできにくいと思うんですが、そのようなこともできるようにならないと、環境の問題を解決するという、そのための研究や技術の開発ということはなかなか難しいんじゃないかという印象を持っています。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
三浦委員、どうぞ。
【三浦委員】 私も鷲谷委員に共通するんですが、やっぱり重要なのは環境というキーワードで見たときには、いわゆる環境問題という、技術で乗り越えていくというか、それで克服していく側面と、もう一つは何といいますか、政策というか、ソフトといいますか、そういう環境に対する姿勢というか、そういう何というか、政策課題というか、そういうものがあると思うんですね。それで特に自然環境の問題については、これはやっぱり政策の問題が非常に大きくかかわっているだろうというふうに思うんです。研究的な側面あるいは調査の側面で重要なのは、やはり長期性や継続性、これはルーティンとして国環研初めとして取り組んでいくという、そういう課題があるだろうと思うんです。そういう研究・技術といったものをこの中に適正に位置づけられるかどうか。これはこれで非常に重要だと思うんですが、緊急的に解決すべき技術的側面に重点がいくと、全体の環境政策がいびつになっていくんではないかというふうに考えています。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
どうぞ、北野委員。
【北野委員】 今回、環境研究技術ということになっているんですが、やっぱりこういう研究をするなり技術を開発して、我々は日本の環境をどういう環境を目指すのかという、これは国民のライフスタイルとも関係してくるんですが、あるべき環境、望ましい環境とはてどんなものかという、やはりまずそういう大きな目標がないといけないと思うんですね。
それに向かうために、個々の技術がどうあるべきか、どういう研究をすべきかという、その辺が統一されたものがないと、ばらばらになってしまうような気がしてしようがないんですけれど。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
どうぞ、花嶋委員。
【花嶋委員】 これ環境政策につながるかと思うんですが、今、私、廃棄物をやっておりまして、地方におりますと、今の地方自治体の行政の組織のありようというのが旧態依然たる形で、責任のとりようがないといいますか、大体2年か3年でどんどんどんどん人がかわっていくという。それで住民が言うのは、じゃあ、だれが責任とるんだというところで、いつも話が行き詰まるものですから、そういうところに関しても、一つできればこの会から新しい行政の組織のあり方ですね。そういうものを一つ提案していただければ、非常にありがたいと思うんです。
【鈴木委員長】 はい。どうぞ、藤田委員。
【藤田委員】 私の方は、多分分科会からいくと外れるかなというふうな感じがしますので、コメントだけ。
途上国等の環境問題、これは非常に大事だと思うんですが、大学の場合ですと、非常にたくさんの留学生を受け入れて、それはそれで途上国の環境問題に対して何らかの貢献はしているというふうには思っているんですが、問題は、これをどういう部会で取り上げられるのかなというのは、ちょっと非常にこう、複雑過ぎると思うんですね。地球環境問題でもないし、そうかといって、個々の問題でもない。それが一点ですね。
それともう一つは、先ほど浦野先生も言われたかもわかりませんが、特に政策じゃなくて環境技術の情報についてのコメントなんですけれども、最近、いわゆるこの中でも一つのビジネスを創出するというか、雇用ということでの視点からいけば、環境ビジネスというのも一つの大きな柱になってくると思うんですけれども、その中で公害等の一括計上でもそうですけれども、非常にたくさんのすぐれた研究をされているんですが、実はその情報が意外と産の方にいっていないんじゃないかという。産業界としては非常に多くの新しいシーズを求めておられると思うんですけれども、なかなかそこのコミュニケーションがうまくいかない。もちろん、いろいろな、地方でそういうフォーラムとかサロンとかなんか、そういう形で技術交流というのはされているんですけれど、大学もそうですが環境研究の成果を産業に結びつける一つの情報の流れもあってもいいんではないかなというふうな気がします。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。どうぞ、和気委員。
【和気委員】 今までの各委員の先生方のお話とダブる部分もあるんですけれども、たまたまIPCCの第3次評価報告書のリードオフィサーの一人として経験いたしまして、いわゆる環境問題に対して、各国の政府に対して、どんな環境情報、あるいは環境の問題を科学的知見として流すのが一番報告書としていいのかという、そんな議論から随分皆さん苦労しながら今回の報告書が出てくると思うんですけれども、そのときにやはりいつも議論になったのは、どんな問いにどんなふうに答えるかという、まず素朴な疑問を10か、12とか13挙げてみましょうよと。そういう中で、その問いに対して各パートそれぞれの、今回は地球温暖化問題でしたけれども、この場合にはさまざまな環境問題に対して、それぞれクロスカッティング・イシューがあるだろうと。それをまず、共通項目に対して各パートがどんなふうな答えが、あるいは問題と答えが出せるかというような、そんなところから大変青くさい議論で申しわけないんですけれども、そこからスタートいたしまして、今回の報告書になっているわけです。
こういう、政府に何らかの形で提言するような、こういう会議の場でいつも感じるのは、最初からその政策が用意されていくようなそういう会議よりは、むしろどんな政策オプションがあるのか、あるいはその政策オプションがどういうふうに評価できるのかとか、そういう多様な政策オプションをそれぞれの専門家のサイドから提示するというところがきっと大事なんじゃないだろうかと。
そこで、今回幾つかの分科会に分けてご議論いただくわけですから、その分科会に対して少なくともこの問題については議論して、何らかの科学的知見なり、あるいは政策的提言なりを、出してほしいというような、何かそういうものがこの委員会の中から出ていけばいいなと、そんなふうに思って、今いろいろご説明を伺いながら聞きまして、少なくともまずリスク情報をどういうふうにとらえるかというのはそれぞれ環境問題によって違うでしょうし、それから、どういう政策オプションがあるかというのが当然考え得るでしょうし、つまり資金メカニズムが有効かどうかも含めていろいろあるでしょうし、それから、やはり技術アセスメント、つまりこの技術が本当に環境にイフェクティブかどうかという、そういう議論をそれぞれの分科会でやっていただく。そして、どういう政策決定の中でこの問題が解決できるのかとか、今たまたま思いつくままに申し上げているんですけれども、そういう幾つかの重要課題については、これだけは分科会から何らかの形で意見が出てきてほしいというようなことを今考えたところでございます。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
ほかにまだいらっしゃいましょうか。どうぞ、山田委員。
【山田委員】 私どものところでは情報技術、ITを使って、いかに環境問題に役立てるかという研究開発をしているわけですけれども、それはともかくとして、先ほどから皆さん言われているように、環境技術の開発ありきではなくて、やっぱりどういう形にするんだというところを最初に決めて、それに対してどういう環境技術を使っていくのかという観点が重要だと思います。
私が思うには、個々の技術というのはかなりありまして、問題が設定されれば、新しい技術を開発しなくても現状で解決できる問題がかなりあるという認識をしています。
それが一点と、もう一つは、環境問題というのはかなり地方に個別の問題でして、私どももいろいろなところといろいろなフィールド実験とかやっておるんですが、地方の自治体とか、NPOや市民のレベルでも非常に活発な環境活動をされているものが多いんですね。ただ一つ残念なことには情報が余り交換されていないということで、情報交換できるようなネットワークづくり、後ろの方にありますけれども、そういうものがきちっとできればかなりの知恵が集まってくるし、そういうネットワークづくりがかなり重要ではないかと考えています。ネットワークといっても、物理的なネットワークばかりじゃなくて、意見交換できるような、いろいろな地域でやられている活動とか何かをうまく吸い上げて、それをうまく生かしていくようなソフト的なネットワークづくりができれば、環境の問題というのはかなり解決が早くできるのではないかという気がしております。
以上です。
【鈴木委員長】 森嶌委員、どうですか。
【森嶌委員】 私は法律なものですから、こういう会議に出ますと、それから文部省の重点領域なんかで議論をしていますと、どうしても各分野からのチャンピオンが出てきて、自分のところにどれだけ研究費を配分してもらうかという、そのためのコンペティションをやっているようなところがありまして、実を言いますと、ここのこの前の、11年でしたかね、そのときにも、それほどあからさまではありませんけれども、基本的にはそういう色彩があると思うんですが、多分、先ほど安井委員のおっしゃった、総合科学技術会議の吉川さんがびっくりするようなというのはありましたけれども、多分総合科学技術会議でも私の仄聞するところ、各分野からチャンピオンが出て、なるべく自分のところに何兆円かの分け前を取ってくるということだろうと思うんですが、それでは私は実は日本の科学技術が、ソフトも含めて、科学技術が世界よりもすぐれたものになっていくというふうにはとても思えないわけですね。お金の面では随分たくさん使っていますが、先ほど浦野さんがおっしゃったように、割合にお金の分捕り合いをそれぞれの分野でする、あるいはそれぞれの省庁でするものですから、むだ遣いとは言いませんけれどもかなり効率的に使われていないのではないかと思うんです。
環境省がこういうことを考える場合に、一応この基本的なものは先ほど松井さんが言われたように、もう既に準備されているので、私はできれば、ここでご議論いただくのは、先ほどの浦野さんもそうなんですけれども、どういう情報がどこにあるかというような、そういう仕組みをつくる。それから、先ほどもどなたかおっしゃいましたけれども、評価の仕組みをどうつくるか。それを全体として環境科学の場合には総合的にいろいろな情報を交換しながら、総合的にソフトも含めて進めていくためにはどういう仕組みをつくるのがいいのかということ。そのために国費を使う。あるいは、独立行政法人の国環研もそのために利用できるのかどうかということも含めて、むしろ環境にかかる科学技術を進めていくための仕組みをどうするか。それからさらに、10年ぐらいの単位で、一種のインキュベーターと申しましょうか、先ほど秋元先生もおっしゃいましたけれども、こういう分野を進めていけば全部につながってくるんだというようなものを探し出してというか、議論をしていただいて、ここでいう重点戦略プロジェクトというものを一つサンプルをつくってみる。あるいは、いろいろなオルタナティブと申しましょうか、選択肢の中の一つとしてこういうものはどうかというようなものを幾つか出してみる。今までの研究費の配分、あるいは国環研がどれだけ持っていくかという話と一遍離れて、この際、総合科学技術会議に対してぶつけるんだと。すると、私は、そういう総合科学技術会議に向けて発信する戦略というのを中間報告ではお考えいただいて、仕組み、それからいろいろな将来10年たって効果が上がるであろうようなインキュベーターと申しましょうか、そういう開発の方向性、それへの評価のあり方とか、そういう目を引くようなことをとりあえずおやりいただくのが、あと2回で分科会に分かれてやるよりは、それぞれの分科会でそういう発想からご議論していただくのは、総合科学技術会議との関係で戦略的に私は効果があるのではないかというふうに思っております。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。森嶌委員は、戦略的な研究をやっている機関の長ですから。
【森嶌委員】 そうですね。
【鈴木委員長】 ただ、今おっしゃった中で、非常に私、大事だと思っていますのは、これまでの事務局側の説明からも出てきていなかった部分なんですが、国全体として環境研究のシステムをどう組むのかという、それはいろいろな委員の方が言われた問題とちょうど表裏で見合ってくるわけでありますが、単に独立行政法人国環研のことを考えるだけではだめでありまして、本当に国全体としてどうするのかという、その辺の話はどこかに出てこなきゃいかんなと、そんなふうに思っていましたので、今、森嶌委員の言われたのは、まさにその問題とぴったり指摘されたと思いました。
各分科会に分かれるという部分で、各分科会の枠をこだわっていただく必要は多分ないんだと思うんですね。なるべくこだわらなくていいから、好きなように総合性を発揮するような形の議論のまとめをやっていただきたいというのは、片方の一つの要望だと思います。もう片方では、問題対応型のショートタームで忙しくやる研究だけではだめですよと、そんなことではバランスがとれません。もっと基盤的な基礎的な長期にわたるような研究を片方では入り用でありますよというご指摘もありましたし、同時にその反面では現実の問題をとくとく、プロセスの中に科学研究が組み込まれていなければ、それはいわば不確かさを抱えた問題を扱っていく上で、科学の持っている限界というものを克服できないではありませんかというご指摘もあったように思います。
いろいろな問題を抱えて、これまで提起されていなかった部分がここでは隠れているというのが明らかになったと思いますけれども、私、今まとめるつもりではなしに、私なりに拾い上げただけの話でございますが、事務局は恐らく、聞いていていろいろなことが気になっているだろうと思います。
大体が、これは、日本の構造からいうと、各局からいろいろな意見が上がってきて、それをどこかが整理してという形でやるものですから、どうやっても縦割りの壁が壊れようがない構造をしておりますけれども、それを壊すことができるのは表の立場にいる我々のような立場の人間のやることなのではないかというふうな気もしております。
ほかにまだございましょうか。どうぞ、松原委員。
【松原委員】 今のお話を受けてなんですが、その縦割りを少しでも横につなげるためには、例えばここに出されております人材育成の点、例えば44ページに今後の人材養成及び確保ということで、国環研のフェロー制度を創設というようなのがございますけれども、これ、やはり環境省の枠組みの中だけを見通しての人材育成という感じで、このカラム全部が終始しているわけですが、やはり先ほどから安井先生や浦野先生もおっしゃっていますように、若い人材の中には、環境問題に関心はあるけれども一見希望を失ったようなふりをしている若者がたくさんいるわけでございまして、本当に環境問題をこれからの時代に向けて解決しなければならない人材を育成するということを考えますと、やはり国環研のフェローだけではとても人材は育成されないわけで、こういう制度があるのはいいと思うんですけれども、それを少し、例えば柔軟に大学との連携を進めるとか、あるいは大学だけじゃなくて産業界とも連携を進めるとか、何か膨らませる工夫というか、先ほど委員長が戦略とおっしゃったけれども、環境問題を国民的に考えてもらう戦略のコアとして環境研がなるのはいいけれども、やっぱりその仕組み、ほかとの協力する仕組みづくりが必要じゃないかなという印象を持って伺っておりましたけれども。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
まだほかにいらっしゃいましょうか。どうぞ、松本委員。
【松本委員】 今の松原先生のご発言に続けて、実はこの専門委員会の範囲外に入るかとは思いますけれども、環境を考える上で重要なことにどうしてもあると思いますけれども、それは環境というのは、すぐれて教育の問題でもあるということで、これは日本学術会議の方で私なりに参加していますけれども、かなり議論されていることなんですけれども、国民的な未来を考えるときには、こういういろいろな環境技術を開発するとか、あるいは問題点を指摘するということは大変重要で、これはもちろん必要ですけれども、その背後にやはり人々の心の問題、要するに倫理感とかそういったものがあって、教育の方にどうしても将来かかわってくる問題がたくさんあるということなんですね。それがこの委員会ではちょっと範囲外で、特に文部科学省あたりが考えるべきことかもしれませんけれども、どこかにちょっと一言ぐらい、教育、未来の若い人材、研究者だけではなくて、国民全般の問題として、ここのところはあっていいんじゃないかなという気はいたします。
【鈴木委員長】 ありがとうございました。
どうもありがとうございました。ほかにまだご発言ございましょうか。よろしゅうございますか。
( なし )
【鈴木委員長】 ひとまわりお話を伺ったような気もいたしますが、ご発言がない方もいらっしゃるかもしれませんが、それはそれとして、次の分科会への進むステップとして、いろいろな問題点、きょう提起された事務局が用意した構造から、もう一歩踏み出したような形で議論が展開できるのではないかなと思いました。
それでは、この議題を終わりにいたしまして、最後にその他ということで、どうぞ、事務局の方。
【青山総務課長】 最後でございますけれども、本日の委員会のご審議でございますけれども、以上をもちまして終了ということでございます。本日、いろいろご意見伺いましてちょっと私ども大分頭の整理が必要だというふうに、前から考えておったんではありますがまた新たに、いろいろな方策を含めて、各分科会の場面でいろいろお願いしたいと思っておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。
次回なんでございますけれども、先ほどの説明にありましたように各分科会で2回ぐらいご審議いただきまして、第2回目の専門委員会でございますが6月5日の10時からということで、これは三田の共用会議所がございます。ここの3階の大会議室ということでお願いいたしておりますので、また別途ご連絡申し上げますがよろしくお願いしたいと思っております。ありがとうございました。
【鈴木委員長】 それでは、よろしゅうございますか。どうもありがとうございました、本日はこれにて終了いたします。