中央環境審議会 総合政策部会(第91回)議事録

第91回 中央環境審議会 総合政策部会

平成29年8月3日(木)10:00~12:00

航空会館 大ホール(7階)

議事次第

1.開会

2.議事

(1)第四次環境基本計画の見直しについて(協議)

・第五次環境基本計画 中間取りまとめについて

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

 資料1   第五次環境基本計画 中間取りまとめ(案)

 資料2   第五次環境基本計画 中間取りまとめ(案)の概要

【参考資料】

 参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿

 参考資料2 中央環境審議会第90回総合政策部会議事録

 参考資料3 第四次環境基本計画の見直しスケジュール(案)

 参考資料4 経済社会及び環境に関する状況

午前10時00分 開会

○山田計画官 定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第91回総合政策部会を開会いたします。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。

 配付資料については、議事次第の下、配付資料一覧に記載のとおりでございますので、ご確認いただき、もし不足している資料等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。また、配付資料一覧には記載しておりませんが、佐久間委員から書面にて「第五次環境基本計画中間取りまとめ(案)に対する意見」の提出がございましたので、部会長とご相談の上、皆様に配付させていただきました。

 なお、環境省では、環境負荷低減の観点から審議会等のペーパーレス化の取組を推進しております。本日の資料も環境省ホームページにアップロードしておりますので、傍聴される方につきましては、何とぞご理解、ご協力くださいますようお願いいたします。

 本日は、委員総数28名のところ過半数の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。

 続きまして、7月14日に環境省の組織再編がございましたので、主な変更点をご説明させていただきます。

 大臣官房の総合調整機能の強化のため、総合環境政策局の事務を大臣官房に移管するとともに、新たに総合環境政策統括官を設置いたしました。

 また、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部と放射性物質による環境の汚染の対処に係る関係部署を統合し、新たに環境再生・資源循環局を設置いたしました。

 また、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。

 後ほどご挨拶を申し上げますが、総合環境政策統括官の中井徳太郎でございます。

 大臣官房審議官の米谷仁でございます。

 大臣官房総合政策課長、松本啓朗でございます。

 大臣官房総合政策課環境研究技術室長、行木美弥でございます。

 大臣官房環境計画課長、秦康之でございます。

 大臣官房環境影響評価課長、熊倉基之でございます。

 ここで、総合環境政策統括官の中井から就任のご挨拶を申し上げます。

○中井総合環境政策統括官 7月14日付で総合環境政策統括官を拝命いたしました、中井でございます。

 総合政策部会の委員の先生方におかれましては、日ごろから環境行政の推進にご理解とご協力をいただいておりますこと、厚く御礼申し上げます。また、本部会におきましては、大局的な観点から精力的にご審議いただいておりまして、大変感謝申し上げてございます。

 さて、今般、環境省の組織改革によりまして、これまでの総合環境政策局を改組いたしまして、新たに総合環境政策統括官グループとして、全省横断的な企画立案機能を強化したところでございまして、新たな体制のもと、環境政策の推進を一層図ってまいる所存でございます。

 また、環境基本計画の見直しに関しましては、本年2月、中央環境審議会に諮問をさせていただきまして、本部会においてご審議いただいておるところでございますが、環境省といたしましても、平成26年に中央環境審議会からご提出された意見具申にもございますように、新たな時代のあり方として、低炭素社会・循環型社会・自然共生社会を統合的に実現する循環共生型の社会、すなわち「環境・生命文明社会」を目指してまいりたいと考えております。引き続き、先生方のご知見を賜りまして、今後の環境政策をいかに進めていくべきか、大所高所からご議論いただければ幸いでございます。

 最後になりますが、引き続きまして、環境行政につきまして、ご指導、ご鞭撻を賜りますことをお願いいたしまして、挨拶とさせていただきます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。

○山田計画官 カメラ撮影につきましては、ここまででお願いいたします。

 それでは、今後の進行は、武内部会長にお願いいたします。

○武内部会長 皆さん、おはようございます。

 前回、6月29日に開催された総合政策部会におきましては、第五次環境基本計画の中間取りまとめの素案について、委員の皆様方から、忌憚のないさまざまなご意見を頂戴いたしました。どうもありがとうございました。

 本日は、前回の部会での議論を踏まえ修正を加えた、第五次環境基本計画の中間取りまとめ(案)についてご議論をいただき、本日の議論をもって、第五次環境基本計画の骨子となる中間的な取りまとめを行いたいと考えております。

 それでは、第五次環境基本計画の中間取りまとめ(案)について、前回の皆様方からのご議論を踏まえ修正した部分を中心に、事務局から説明を聞いた後、議論をさせていただきたいと思います。

 お手元の資料1、資料2について、事務局から説明をお願いいたします。

○山田計画官 それでは、説明をさせていただきます。資料1、資料2に基づいて説明いたします。

 なお、参考資料4でございますが、第1部・第1章の状況に関するものですけど、それらのファクトを集めたものでございます。適宜、ご参照いただければと思います。今回は、すみません、時間の制約等もございまして、第1部・第1章に関するファクトのみを集めてございますが、今後、適宜充実させていきたいと考えてございます。

 今回の資料1につきましては、主な変更点について説明させていただきます。反映したところについては、どの委員からの指摘かということを合わせて説明させていただきたいと思いますが、若干の漏れがあるかもしれません。ご容赦いただければと思っております。

 また、委員の方に、机上配付の資料といたしまして、第四次の環境基本計画はもちろんですけれど、我々、原点に返り、第一次の環境基本計画もぜひ参考にしたいと思いまして、資料に追加してございます。こちらも適宜ご参照いただければと思います。

 委員の皆様の議論の時間を多くとりたいと思っておりますので、簡潔に説明させていただきます。

 それでは、1枚おめくりいただきまして、3ページをご覧ください。

 まず、一番上の第1章のタイトルのところですけど、今回の資料は、全体的に「社会経済」と書いてある場所と、「経済社会」と書いてある場所が、混ざっている状態になっておりまして、我々、環境・経済・社会の統合的向上のように「経済社会」という順番ですとか、重点戦略のところも、「経済社会」という項目があったりしますので、今回、とりあえずということで、「経済社会」で全て統一してございます。また今後、むしろ「社会経済」のほうがいいという箇所がございましたら、適宜検討したいというふうに思っております。

 3ページの下のほうに、赤字で修正されている部分です。こちらの「人間活動に伴う地球環境の悪化は」で始まるところですが、井田委員からのコメントで、「研究成果によると」というのでは足りないということに対する対応でございます。人間活動に伴う地球環境の悪化はますます深刻になってきているという認識が高まっていて、「例えば」ということで、プラネタリー・バウンダリーの話をしております。

 また、このプラネタリー・バウンダリーにつきましては、出典を明らかにしてほしいというご指摘もございましたので、3ページの欄外に、平成29年版環境白書ということで記載させてもらっております。こちらは参考資料4のページ11のところにも載せてございます。

 4ページに移らせていただきます。

 環境に関する取組状況、世界の環境に関するということですが、中段、下のほう、「2016年5月、G7伊勢志摩サミットの首脳宣言では」で始まるところですが、こちらは諸富委員のコメントを受けたものでございます。これ以外にも幾つかコメントはございましたが、事務局といたしましては、こういうG7の伊勢志摩サミットの首脳宣言のような事実関係を書いていくということについては、問題ないと判断いたしまして、記載させていただいているものでございます。

 それから、5ページの上のほうですけど、「特に、気候変動においては」というところ、取り消し線を描いてございます。これは三浦委員からのご指摘でございますが、状況を書いてある部分と、それに対する認識が書いてある部分が、何か混ざって書いてあるというようなご指摘をいただきましたので、こちらはそういう意味で削除させていただきました。他のところに移してございます。

 真ん中辺りに、少し大き目に追加箇所がございます。これは他のところにも今後は出てきますが、2015年のエルマウ・サミットで合意された「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」ですとか、あとは「ボローニャ・5カ年ロードマップ」のような、全般的に海洋関係の記述が少ないと我々考えておりまして、部会長と相談の上、追記を提案させていただきたいと思います。

 その下の丸は、「水銀に関する水俣条約」ということでございますが、ちょうど今月発効というタイミングでもございますので、こちらも部会長とご相談の上、追記を提案させていただきました。

 6ページに移らせていただきます。

 これは日本の環境に関する取組状況ということでございますが、「地球温暖化対策計画」について、2050年80%削減につきまして、佐久間委員からコメントを頂戴いたしまして、温対計画に書かれている内容をしっかり反映してほしいということでございました。こちらにつきましては、温対計画をよく読ませていただきますと、「環境・経済・社会の統合的向上」のように環境基本計画と通ずるような基本的な考え方もあるということで書かせていただきましたのと、あとは「パリ協定を踏まえ」、これは2030年であっても2050年であっても当てはまる話ですけれど、「達成すべき中期目標として2030年度に26%削減」、「目指す方向性を示す長期的目標として2050年度に80%削減」という位置づけが異なるというところを示させていただきました。

 それから、下のほうです。「海洋基本計画」に関する記述ですが、現在、政府内でこの環境基本計画と同じようなタイミングで検討が進んでおりますので、そちらの記述を追加してございます。

 それから、8ページに移りまして、真ん中辺りです。第2章、「基本的な考え方」ということで追記してございますが、その下です。いろいろな状況を第1章に書かせていただきましたが、特にこれが時代の転換点である、「現代の文明のあり方を問い直すパラダイムシフトを実現させるべきとき」だというような、そういう認識が薄かったので、ここを追記させていただきました。こういう時代認識の中で、環境政策が目指すべき持続可能な社会の姿等について設定するということにしております。

 9ページです。

 ここは目指すべき持続可能な社会の姿についてということですが、第四次環境基本計画の定義等も踏まえて、さらに掘り下げをしまして、「累次の環境基本計画で示されている長期的目標の「循環」と「共生」」を基盤に置くというような話ですとか、あとは「「循環共生型社会」であると言える」ですとか、あとは「このようにして達成される、将来世代に引き継いでいける真に持続可能な「循環共生型社会」が、第五次環境基本計画で目指すべき「持続可能な社会」(いわば「環境・生命文明社会」)であると考えられる」という点を追記させていただきました。

 それから、その下です。環境政策の果たすべき役割ですが、二つ目の丸と三つ目の丸で追記をしてございます。こちら、二つ目の丸はイノベーションに関する記述ですが、ここの記述を充実させていただくとともに、三つ目の丸の同時解決につきましても充実をさせていただきました。

 それから、同時解決の部分の下のほうです。同時解決とイノベーションの二つをあわせることによって、「環境政策が将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」を牽引することが可能となる」というふうに記載させていただいております。

 10ページに移らせていただきます。幾つか文章が、どうしても長くなってしまう箇所がございますので、そういうところは適宜文章を短くするとか工夫をしてございます。

 それから、11ページに移りますが、冒頭の部分、「計画段階からの環境配慮の組み込み」ですが、これは田中充委員からコメントがございましたので、検討の上、追記をしておるところでございます。

 それから、その下です。「開発途上国の状況に応じて」のところですが、こちらは山極委員からコメントがございました。日本の知見や技術をそのまま持っていくのではなく、「開発途上国の状況に応じて」ということが重要だというご指摘でございます。

 それから、12ページです。

 SDGsの考え方の活用のところですが、プラネタリー・バウンダリーの記述もありまして、冒頭にも少し記述がありましたが、改めて書くということで、「このような地球の限界の中で、豊かな経済や社会をいかに追求するかが、SDGsの考え方からも導き出されており、これからの環境政策に求められる重要な観点である」ということを追記してございます。

 あと、その下ですが、これは根本委員からトレードオフに関するコメントを当日頂戴いたしました。SDGsの文脈でございますが、トレードオフ、一見するとトレードオフに見えるようなものもある一方で、「だからこそ統合的な解決が求められている」というようなところを記載させていただいております。

 その下のところは、体裁を整えるために直したということでございますので、内容の変化はございません。

 また、12ページの欄外ですけれど、この上のほうです。環境は全ての根底にあり、その基盤上に持続可能な経済活動や社会活動が依存しているという研究成果について、出典を明記すべきというご指摘、委員からございましたので、追記させていただきました。これは参考資料4のページ番号15に詳細がございます。

 13ページに移ります。

 「基本的には第四次計画の記載を踏襲」というのを消してございますが、これはもちろん趣旨としては踏襲しないというものではなく、中間取りまとめに書くものとしては、ここは消しておいたほうがいいだろうなということで、削除したということだけでございます。

 1ポツの環境政策における原則等ですが、前回の部会で、循環計画の状況の報告がございましたが、その際に、ライフサイクルのマネジメントについて、酒井部会長のほうから幾つか言及がございました。その際、ほかの委員からも、大塚委員でしたが、「拡大生産者責任」の件についても記述すべきだというご指摘をいただきましたので、第四次環境基本計画の記述も参考にしながら、合わせて「源流対策の原則」ということについても記述してございます。

 それから、13ページのところ、「政策課題」という表現と「課題」という表現が混在しておりましたので、今、「課題」ということで整理をしてございます。

 13ページの下のほうです。2050年80%については、これは「目指す」ということを明記すべきだと、これは小林委員からコメントがございました。「目指す」ということを明記するとともに、何を目指すのかというところですので、「長期的目標として2050年までに80%の」を追記したということでございます。

 14ページに移らせていただきます。

 上の部分は、先ほども申し上げました「海洋基本計画」に関する追記でございます。

 その次、下のほうです。パートナーシップの充実・強化でございますが、地球温暖化対策等に資するための企業による自主的取組、これにつきましては、根本委員からご指摘がございまして、産業界もパートナーシップには貢献しているというご指摘がございました。自主的な取組については、もちろん各主体ともやっていただくのが望ましいと考えておりますので、追記をしてございます。

 あとは、その上のほうのESDのところも、企業です。これは小林委員からのご指摘も踏まえたものでございますが、企業もぜひその主体に入るべきだというふうに思いまして、追記をしてございます。

 先ほどの文章の後半部分です。「あらゆる賢い選択を促す運動云々」とございますが、こちらは南部委員からのご指摘で、パートナーシップのところで、国民が明るい将来の期待を抱くような記述が欲しいということで、「Fun to Share」を例示いただきましたが、最近の取組といたしましては「COOL CHOICE」がございますので、それを念頭に記述してございます。

 15ページのところですね。

 これは重点戦略の経済社会のところですけれど、幾つか記述を適正化させているところですとか、あとは場所を移動させているところがございます。

 二つ目の丸のところ、「保留され、蓄積されている」というところを削除してございますが、これは小林委員からのコメントで、できるだけ客観的な表現をというふうに考え、「存在している多くの」というふうに修正したいというふうに思っております。

 その下、「環境産業の振興」でございますが、こちらにつきましては、金融系の記述が比較的多いなというふうに思っておりましたので、そればかりでなく、実体経済の部分も重要だということで追記してございます。

 その下、「例えば、環境配慮設計」のところですけれど、こちら、この「ライフサイクル全体で捉え」のところの説明を補強するとともに、3Rにつきまして、大塚委員からもコメントがございましたので追記をいたしました。

 16ページに移ります。上のほうは海洋関係の記述を充実させたものでございます。

 (3)の地域づくりについてでございますが、上のほうに、「地域で発生する循環資源について」ですが、ここは地域循環圏の考え方を追記させていただいたということでございます。「地域で循環させ」「循環の環を広域化」といった記述でございます。

 その下ですが、「地域こそ、環境政策を通じて、環境面の問題だけでなく、経済・社会的課題を同時に解決する『実践の場』として適切である」という我々の思いを書かせていただきました。

 その下、「省エネルギー対策」ですとか「廃棄物エネルギーの地域への供給も含めた」とございますが、こちら豊岡委員からご指摘がございましたので追記をいたしました。

 さらに、その下、「多様な事業者の連携により」のところですが、これは地域循環圏の考え方を追記させていただきました。

 4ページの(4)のところは、幾つか修正がございますが、「廃棄物の不適正処理のおそれ」ですとかといったようなことについても、大塚委員のコメントで追記をしてございます。

 それ以外は記述の充実や適正化を図ったところでございます。

 あと、技術のところも大きな変更点はございません。

 18ページに移ります。これは国際貢献のところですが、先ほど申し上げました、その「開発途上国の状況に応じた」というところですが、これは山極委員からのコメントです。

 その後の「環境に関する優れた制度、システム、技術などをパッケージとして国際展開」ですが、これは先日、環境省が報道発表いたしました環境インフラの海外展開を一応念頭に置いて記述させていただきました。

 その下、「そのために国内における取組をより充実させることが求められる」につきましては、これは井田委員からコメントを頂戴いたしました。

 その下の「システム・技術などの国際展開」も先ほどの環境インフラの話と同様でございます。

 4ポツの「重点戦略を支える」の部分でございますが、こちら「①持続可能な開発のための教育(ESD)の理念に基づいた環境教育」のところですが、すみません、ペーパーには反映できておりませんが、小林委員からのコメントがございましたので、ここの部分に「環境教育及び専門家の育成」という記述を追記する方向で調整したいというふうに思っております。

 それ以外は、記述を適正化したというのがメインでございます。

 第2章のタイトルです。「それにより引き起こされる災害」というのについては、井田委員からコメントがございまして、表現ぶりがわかりづらいのではないのかということですので、「大規模複合災害」という表現でどうかというふうに考えてございます。

 19ページは、「(構成のみ)」というところです。第3章を消してございますが、これは今後検討させていただくという趣旨でございます。

 駆け足で大変恐縮でございましたが、以上でございます。

 それから、あと資料2が今回の中間取りまとめの概要ということでつくらせていただきました。構成は先ほどの資料1と同様ですが、六つの重点戦略のパートナーシップの充実・強化のところです。これは各戦略をネットワークでつないでいるというイメージで、前回は重ねて書いておりましたが、図の限界もありまして、こういう形でいかがかなと思っております。これで新たな成長を、「イノベーションを創出」「同時解決」でつくっていって、持続可能な社会、循環共生型社会を目指していくというような説明にできればと思っております。

 事務局からは以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見のある委員の方から札を立てて、ご意見、ご質問いただきますようお願いいたします。

 なお、中間的な取りまとめに向けて、委員の皆様におかれましては、建設的なご議論をぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回は、大塚委員から順番にお願いしたいと思います。

○大塚委員 どうもありがとうございます。大変よくなってきたと思っておりまして、事務局と皆様方のご議論に敬意を表したいと思います。

 細かい点ですが、幾つかございますので、まず、3ページの最初から始まっている「経済社会」という言葉ですが、あまり今まで気にしていなかったですし、それほど何か非常に重要な問題かどうかよくわかりませんが、これは経済と社会の間には中黒を入れなくていいのですかね。三つの統合という話なので、何か経済社会でも社会経済でもどっちでもそんなに変わらないとは思うのですけども、三つを統合させるという点では、その中黒を入れたほうが適切ではないかという感じもいたしますし、今までの環境基本計画の議論の中で、社会が基盤で、その上に経済があるという議論がなされたことはございますので、その点も踏まえていただいたほうがいいとは思いますけれども、三つの統合という観点からは中黒を入れてもいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 それから、4ページのところでございますが、カーボンプライシングに関しましては、世界の状況等を踏まえて、現在の状況が客観的に示されているということで、このようなことでよろしいのではないかというふうに思いました。

 それから、あとの修正についても全て賛成ですが、19ページのところも第3章について、「(構成のみ)」というのを削っていただいてよかったと思っていますけれども、一言申し上げておきますと、今回、重点戦略等について、この六つの重点戦略を非常に重視するということで、環境基本計画の考え方というか中心をここに置くということで、私も賛成でございますけれども、その一つの理由として、温暖化と、それから生物多様性と循環に関してはそれぞれ計画があるということが関連しているわけでございますけれども、そこの三つに入っていないものとして公害と化学物質の問題がございますので、ぜひその点に関しては、かなり具体的な問題についても、後で点検ができるような環境基本計画にしておいていただかないと、そこがちょっとこぼれ落ちてしまう、具体的な問題について点検ができなくなってしまうということをちょっと恐れておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、もう少し一般的な問題として、今までもいろんな議論がなされてきたわけでございますけれども、二つほど申し上げておきたいと思いますが、一つは、2050年の80%削減という長期目標について、3条件をつけるかどうかという問題が指摘されているところでございますけれども、地球温暖化対策計画がつくられた後、骨太というふうに呼ばれている経済財政の運営に関しての国のほうの基本方針が出されておりますけれども、そこでパリ協定を踏まえて、「国内の大幅削減を目指し」というふうに書かれていますので、3条件というふうに言われることがございますけれども、その後、骨太とか、あと環境白書などにおいて、アメリカの脱退方針が出た後もパリ協定を踏まえて国内大幅削減を目指すのだということが打ち出されていますので、3条件という読み方はなされていないのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 あと、もう一つ、汚染者負担原則についても幾つか問題点が出ているようですけれども、経済産業省のほうで出されているプラットフォームにつきましては、環境基本法の37条が特に重視されているようですけれども、これは環境法の一般的な問題として、8条とか9条も根拠だということ、あるいは21条、22条も根拠だということが言われていますので、37条というのは公共事業について書かれているだけだということ、ですから汚染者負担原則の一部にすぎないということを申し上げておきたいと思います。

 あと、COに関しては、外部不経済ということになりますので、国際的には汚染者負担原則の内容だということが一般的に理解されておりますので、世界の状況を踏まえて検討していく必要があるということも申し上げておきたいと思います。

 とりあえず、その程度にさせていただきたいと思います。また、何かございましたら発言させていただきます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 ありがとうございます。今回いろいろ修正をしていただいておりまして、かなり明確になってきたというふうに私も感じております。なお、私自身が前回発言させていただいたことに関しては、既に書き込んであるということで、具体的にはあまり修正はなかったのですけれども、特に今回、パートナーシップを横串に通して、しっかりと政策を実施していくというところが大事で、パートナーシップということは書いてあるのですけれども、その根本になる人材育成とか環境教育とか、そういうことが、それぞれの項目に出ているけれども、見出しの中には入ってこないという、こういう状況で、どこかにちゃんと見出しの中に入れたほうがいいのではないかというふうに提案をさせていただきました。ちょっとそれはご無理のようなのですが、先ほどのご説明では、18ページの重点戦略の中に項目としては入れるという、他の委員のご発言もあったということで、環境教育、人材育成を入れるというふうなお話がありましたので、一歩進んだかなというふうに思っております。ぜひお願いをしたいのは、資料2のほうで、パートナーシップの充実・強化ということが中心になって、その下に重点戦略を支える環境政策というところに、環境保健対策、環境影響評価、環境情報整備というふうになっておりますけれども、ここに環境教育とか人材育成とか、そういうのも明確に文言に入れておいていただいてはいかがかというふうにお願いをします。

 あと、もう一点お話をしたいのですけれども、5ページのところ、G7富山環境大臣会合などでの「富山物質循環フレームワーク」のことなどを明確に書いていただいています。具体的な話として、海ごみ対策のことがかなり明確に書いていただいておりまして、このときのフレームワークの具体像の中では、食品ロス削減、そこが非常に強調されていたというふうに思っておりますので、ここの記載だと、最後に食品ロス削減、食品廃棄物削減というのは書いてありますが、もうちょっと上のほうで、そこの状況などもしっかりと入れ込んでいただいたほうがバランスとしていいのではないかというふうに思います。それに関して、特に後半のほうに、項目出しをして海ごみ対策がかなり明確に書かれているのですけれども、その食品ロス削減対策、世界の食糧危機につながるような課題として今出ているわけですので、その辺の記載が全くないということが、ちょっとバランスが悪いかなという印象がしますので、もう一点、ご検討いただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、佐久間委員、お願いいたします。

○佐久間委員 ありがとうございます。まず、前回の意見、一部ですけれども、取り入れていただきまして、ありがとうございます。本日は、お手元の資料に私の意見、まとめてございますので、ちょっとこれを使って今からコメントさせていただきます。全部紹介するというわけではございません。

 まず、ここで書いています1番のプラネタリー・バウンダリー、これはもう前回と同じでございますけれども、こういう国際機関の報告なり、事実関係に並べて、この研究を紹介するというのは非常に違和感があるので削除していただきたい。あと、環境省がこれの出典元というわけでは当然ないわけでして、そこが、そもそもちょっと違和感があります。

 2点目は、これはもう単純に引用は正確にしていただきたいという点。

 あと、3番目、これは5ページのところでございますけれども、やはりエネルギー問題というのはCO排出の9割、これがエネルギー起源である我が国にとっては、まさにエネルギーと地球温暖化対策は表裏一体と、こういうことでございますので、ここでの記述であれば、やはりSプラス3Eという原則、そして、石炭火力については再生可能エネルギーのバックアップ電源として機能しているという極めて重要な、現実的には必須の機能というのが入れられていないというような点等々を書いていただきたいということでございます。

 次に、2枚目にいきまして、4番ですけれども、80%ということであれば3条件というのを当然書かなければ、これは前提がなくなるということでございます。もちろん、ここで80を消して大幅なということだけにするというのはいかがなものかと思いますので、やはり80ということであれば3条件というのを加えていただきたい。

 あと、5番目というのは若干誤解があるということでございます。

 6番目にいきまして、ここも、あまり複雑な形ではなくて、「環境・経済・社会の統合的向上」ということで、考え方はすっきりさせたほうがいいのではないかというコメントです。

 あと、7番目についてもここに書いてあるとおり。

 あと、8番目については、汚染者負担ということですけれども、これは必ずしも政府の、例えばということでここに書いてございますけれども、経産省の報告書では違った意見も出ているということでございますので、この辺についてはさらなる議論が必要だろうということでございます。

 あと、9番、ここについても慎重な議論が必要だと。

 あと、10番、12ページで、ここもSDGsが書いてある中で、再度、プラネタリー・バウンダリーの考えが使われていますけれども、基本的に関係がない、もしくは複雑にするので、ここでわざわざプラネタリー・バウンダリーに触れる必要はないだろうということでございます。

 次のページに行きまして、SDGsは「バックキャスティング」の考えに基づいているというくだりがありますが、これは事実とやはり違っているだろうと。正確には、附属のレファレンスに検討アプローチの例、エグザンプルとして紹介されているだけで、全てが「バックキャスティング」の考えに基づいているわけでは全くない。これは修正をしていただきたいということ。

 あと、11番の13ページの環境政策の原則と手法、ここについては、当然のことということで書いていないのかもしれませんが、やはり「環境・経済・社会の統合的向上」ということであれば、経済合理性、費用対効果、あと、エネルギーに関してはSプラス3Eといった点、これが極めて重要でございます。特に予防的取組ということであれば、経済性の視点は欠かせないと。

 あと、最後のページに行きまして、あとはちょっと目で追っていただければと思います。ESG投資、あと技術の開発、あと国際貢献等についても、従来の実効性、国際的な公平性を確保するという基本的なところが極めて重要だと思ってございます。

 以上、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 白石委員、お願いいたします。

○白石委員 いろいろ意見を述べましたけども、取り入れていただいて、どうもありがとうございました。私からはちょっと言い残したことを含めて、何点か指摘したいと思うのですけれども、今、佐久間委員からご指摘ありましたけど、13ページ目ですか、ここは本来、項目だけなので、詳細にはできないですけども、例えばリスク評価に限っていっても、第四次環境基本計画は随分、考え方が進化していると思いますので、そういったものを含めて丁寧に記述していただきたいなという要望です。

 それから、14ページにパートナーシップの充実・強化というのがございます。具体的な例が幾つかポツで書いてあるのですけども、環境教育だったり、温暖化対策であったり、豊かな環境というような形で、環境リスクに関するコミュニケーションというのは非常に重要で、そういったものが書かれていないなということが感じますので、その辺を、このポツの書き方は、分類はこれでいいのかもしれませんけど、もしも分類を変えないのだったら環境リスクについても追記していただけたらありがたいなというふうに思います。

 それから、15ページ目ですね。持続可能な経済社会の構築というところで、修正がないのですけども、丸の二つ目のところに、「あわせて」から書いてある「高付加価値の一つの要素である」云々があるのですけども、そこに資源生産性、炭素生産性というのがあるのですけども、重点施策の中の環境、効率性というのも書かれていると思いますので、そういった観点もここに含めたらいかがかということと、目指すものはそればかりではなくて、環境リスクの低減というのも目指すものの一つであろうと思いますので、それらの例えば資源生産性なり、炭素生産性なり、環境効率性の向上と環境リスクの低減を目指すような形に修文願いたいというふうに思います。

 それから、17ページ目ですけれども、化学物質のライフサイクル全体での包括的な管理ですけども、これは記入していただけて大変ありがたいのですが、二つ目の丸になります。健康で心豊かな暮らしの実現の中の二つ目の丸の、下で赤い線が描いてあるところですけれども、「化学物質について、廃棄段階やリユース・リサイクルを含めたライフサイクル全体で」と書かれていますけれども、これだけを読むと「廃棄段階やリユース・リサイクル」が重点的に思われるのですけれども、これは包括的に、全体的に管理するということですので、ここの基本計画の趣旨からいっても、製品の設計から製造、使用、廃棄、リユースに至るというような形で、全体がわかるような形で文字を追加していただけたらありがたいなというふうに思います。

 それから、最後のところですけれども、最後の「自然災害及び大規模複合災害に対して環境面から取り組むべき事項」ということで、項目立てしたらいかがかという提案ですけれども、「東日本大震災からの復興に資する」というものと、「放射性物質による環境汚染からの回復等」というふうに書いてありますけれども、こういった自然災害に由来する悪影響というのに未然防止の観点を少し入れたらどうかということで、例えばですが、私は有害物質だけなので、有害物質の排出、流出、環境汚染による、そういった大規模災害のときの前後被害の未然防止とか、そういったものを平時から準備しておく必要があるのだろうということで、そういったもののストックです。有害危険物質の排出、流出におけるストック状況の情報を集めるとか、そういった対策を、どこまで情報を共有するかというのは、いろいろプライバシーとかの問題もありますので、あれですけれども、そういったものを追記していただけたらいいなというふうに思います。

 加えて、有害物質の、危険物質の排出、流出における監視です。公害の問題で少しトーンが薄いという指摘ですけれども、そういったものとの連携、あるいはそういった体制を構築するというのが大事かなというふうに思います。こういった取組というのは自然災害だけではなくて事故のときにも活用できるのではないかと思いますので、少しよく考えていただけたらありがたい。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、髙村典子委員、お願いします。

○髙村典子委員 ありがとうございます。前回ちょっと発言しなかった私の責任かもしれませんが、生物多様性のところで少し書き入れていただきたいことが何点かございます。

 まず第1章の1番、世界の環境に関する状況で三つ目のポツとして、環境の状況ということは記述していただいているのですが、次のページ、環境に関する取組状況ということについて、生物多様性の記載がないので、そこを加えていただきたいと思います。

 生物多様性は2012年にIPBES、IPCCの生物多様性と生態系サービス版と言われていますが、科学と政策のインターリンケージをもっと世界的に強めましょうという取組が世界で始まっています。科学者によるアセスメントの達成年を2018年として、2020年の愛知ターゲットの見直しに、それを活用してもらって、ポスト愛知ターゲットを進めていくというスケジュールになると思います。この第5期の計画の間に2020年が来ると思います。IPBESは自然局もかなりサポートしていただいているので、そのことを入れていただきたいと思います。

 それと、我が国の環境に関する状況は、四つ目のポツで入れていただいておりますが、私は読ませていただいて、後半2行、何をやっているのかがよくわからなかったのですが、何かそれらしきことが書いてあるなと思うのですが、具体的に、ほかの項目は、評価したとか閣議決定されたとか、取組を進めたとか比較的進展したとか、そういう表現で書かれているのですが、ここのところ具体的に書きこんでいただきたいと思います。

 例えば、愛知目標の達成に向けて、我が国は現状では海洋の保護区は10%に満たないのですが、国立公園の保護地区を増やしていただく努力とか、やっていただいておりますので、実際にこういうことをやっているという取組状況のところを、もう少し自然局の方の意見をここに反映していただければなと思いました。

 あと、第2部の「今後の環境政策の具体的な展開」ということの「重点戦略」について6つ挙げていただいておりまして、2番目の「国土のストックとしての価値の向上」並びに「多種多様な地域循環共生圏形成による地域づくり」の中に生物多様性の保全というのが深く関わってくるというふうに考えております。ただ、生物多様性というのが言葉としてあまり出てきていませんし、「国土のストックとしての価値の向上」というのは二つ目のポツとして書かれていますが、重要であるというふうなことで、実際どういうふうに戦略的に、国土をつくっていくのかというふうなことを考えたときに、やはり歴史的文脈で見た生物多様性を指標にして保全をしっかりしていくことが非常に基盤になってくると思います。そういうふうなことを考えながら国土づくりをしていくという考えになるので、そこのところはしっかりと言葉を書き入れていただきたいと思います。

 また、3番の「多種多様な地域循環共生圏形成による地域づくり」のところです。そこのところも、実際問題として今、私のやっている淡水生態系なんかは、魚は50%以上が絶滅危惧種になっていて、「森・里・川・海を豊かに保ち」云々の表現からはあまり切迫感が伝わってこなくて、もう少し切迫感のあるようなことで施策を進めていくような表現にしていただければなと感じました。

 以上です。ありがとうございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、豊岡委員、お願いいたします。

○豊岡委員 私からは、5ページの「我が国の環境に関する状況」の中のエネルギーのところについて、ちょっと発言したいと思います。

 2ポツで「再生可能エネルギーについて、その最大の導入を我が国として目標に掲げているところ」云々で、「一層の導入拡大の傾向が見られる」とあるのですけれども、これが非常に曖昧で、世界的にはコストが非常に下がっていて、エネルギーの中でも一番低コストであるというようなことをしっかりと書くべきだと思っていて、それと、その割に日本は遅れていて、コストの低減努力が足りないであるとか、熱に関する取組が非常に世界からも遅れていて、ここに力を入れるべきであるというような、もっと具体的な現状認識が欲しいと思います。それでなければ再生可能エネルギーを強力に進めていく、そしてまた地域の再生につなげていくというような取組につながらないのではないかと思っているし、未来志向という意味でも、ここをしっかりと書いていただくことによって、よりよいエネルギー政策になるのではないかと思いますので、少しご検討いただければと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 南部委員、お願いいたします。

○南部委員 ありがとうございます。前回の発言を取り入れていただきまして、ありがとうございます。基本計画の見直しについて、基本計画には基本的には賛同の立場から、1点だけ、補強の観点から発言させていただきます。

 17ページの重要戦略の6の「国際貢献における我が国のリーダーシップ発揮と相互互恵関係の構築」のところでございますが、地球環境保全に向けた国際貢献、日本の経験や、すぐれた環境技術を途上国に移転することなどは、もちろん積極的に推進するべきと考えておりますが、18ページの記載も含めて、発展途上国の記載が中心となっております。その一方で、他の先進国との協力関係の強化、歩調を合わせた環境保全活動の推進などにも言及すべきではないかと考えております。具体的には、冒頭の「はじめに」の中に、特定の先進国の環境対策の後退には触れておりますが、全ての締結国が参加するというパリ協定の意義を守る観点から、第2部にもパリ協定の安定的な運営と先進国間の協力・連携などの記載をぜひ入れていただくよう、ご検討をお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 安井委員、お願いいたします。

○安井委員 ありがとうございます。佐久間委員がお配りになりましたご意見をいただいて、大変よくチェックされているので、やっぱりこれぐらい強力な反論に対して、やはり強力に書き換えないとだめかなということで、ちょっと2、3、申し上げたいと思います。

 まずは3ページ目でございます。一番下のところで、例のプラネタリー・バウンダリーですけど、やっぱりここに書くには、ちょっと弱いかな、これだけではという気がいたしますので、一つの提案としては、やはりパリ協定というものが非常に世界的にちゃんと支持されているという実態を踏まえて、パリ協定の3段目、最後にネット・ゼロ・エミッションというものを言っているわけですね。今世紀末までに、とにかくそれをやらなきゃいけないだろうと。ネット・ゼロ・エミッションというのは実を言うとプラネタリー・バウンダリーの一番正確な対応ですよね。ですから、ネット・ゼロ・エミッションというものが書かれたパリ協定が地球レベルで支持されているという事実を書くことのほうがいいかなと、ちょっと今、思い始めたということでございます。

 あと、G7とかG20、これは次のほうがいいかもしれませんけれども、それがやはり、そこでもって日本政府がああいった形で、アメリカを一国として、残りのほうに入っているということ自身が、ある意味で政府見解だろうと私は思っているので、その辺りのことがあまり書かれていませんけど、それもやはり書くべきではないか、日本の首脳がどういう発言をしたかということを書くべきではないかということでございます。

 次が、10ページ目でございまして、先ほどいささか、もう既に指摘されていることでございますけれども、要するに汚染者負担の原則でございます。ここで同じことですけれども、結局COというものがポリュータントかどうかということに関しては、まだ日本では多分ポリュータントと書いていないのかもしれません、私もちゃんと知らないですけど、大塚先生に後で伺わなきゃいけないのだけど。ただ、諸外国はかなりCOをポリュータントという表現で書かれていると思います。その辺の実情をちゃんと調べていただいて、そこの記述を、もしよければ追加されるというのが一つのやり方かなというふうに思います。

 それから先ほど申し上げたこと、また繰り返しになりますけれども、もしポリュータントであるかどうかということよりも、政府見解ということに関してはG7とか、そういった国際会議での日本の首脳の発言というものをちゃんと引用されるべきいうことで、全く同じようなことでございますけれども、その2点を申し上げたいということでございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 山極委員、お願いいたします。

○山極委員 はい。総論を述べさせていただきます。今回の環境政策の肝というのは、資料2の下のほうに書いてある「環境政策を通じた経済・社会的課題を同時解決」だと思うのですけど、それについてのイメージが、いま一つはっきりしないです。

 その象徴的なのが資料1の9ページ目の赤く、挿入を後からした部分。まさに肝が書かれているわけですね。上から3番目の丸、「また、今後の環境政策が果たすべき役割としては、環境保全上の効果を最大限に発揮できるようにすることに加え、経済・社会的課題の同時解決に資する効果をもたらすことができるようにすることも挙げられる」。次に、「環境・経済・社会の諸課題は深刻化だけでなく複合化しているため、環境面から対策を講ずることにより、経済・社会の課題解決にも貢献することが可能となる」。おっしゃっているイメージはわかるのですけど、具体的に全くわかりません。要するにそれは、最初に大塚委員がおっしゃっていたように、環境、経済、社会というものの位置づけがいま一つ揺らいでいるからですね。これは環境、経済、社会、別々のものにしていただければいいのですが、あるところでは経済社会と言ったり、あるところでは社会経済と言ったり、あるところでは経済・社会と言ったりしているわけですね。その三つの大きなポイントの関係がどうなっているのかということが、読んでいるうちにわからなくなってくるのです。

 例えば、その次の2ポツのところでは、「環境・経済・社会の統合的向上に向けた経済社会システムの変革が不可欠」と書いてあるのですが、これもタイトルからは意味がわからない。何といいますかね、まさに環境政策の果たすべき役割というところを論じて、おっしゃっている意味としては、経済、社会というものが複合的な課題となっているから、環境政策をその中に入れることによって、非常に複雑化している経済、社会の課題を解決していく道が開けているのだということを言っているのだと思うのですけど、そのイメージがいま一つわかないです。

 それは資料2のポンチ絵のところにもあるように、「経済社会」ということが中黒なしに書いてあって、一体これは何を指すのだという気がするわけですね。経済社会と言ったら、社会に重点が置かれるのです。社会経済といったら、経済に重点が置かれるのです。そういうキーワードの関係をはっきりしながら、わかりやすく書いていただきたいなと思います。個別の課題については、個別の書き方については、つまり各論については私が申し上げることはないのですけれども、せっかく新しい味を出して、環境政策を統合的に組み入れていこうという視点は非常に貴重なものだと思いますので、ぜひその点がぶれないように、わかりやすく表現していただければなと思うわけでございます。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 浅野委員、お願いいたします。

○浅野委員 まず最初に、大塚委員が言われた経済・社会にしたほうがいいのではないかというご意見について、私も賛成いたします。

 それと、今、山極委員がおっしゃったこととの関係もあるのですが、環境、経済、社会の統合的向上ということを、環境基本計画で言い出して、もう大分になるわけですけれども、確かに、いまだに社会の向上というところで、一体何を言おうとしているのかというのは、必ずしも明瞭ではない、あるいは内容に関する合意ができているとは思えない面があります。これを最初に計画に書いたときには、ちょっと説明に困って、一極集中による地域の疲弊のようなことを防ぐ必要がある。それが今の日本での社会の向上という場合に課題だというような説明をして、そのときはとりあえずそれで何とか通してもらったのですが、今の日本の社会の状況はもっと複雑に変わってきていますから、これからさらに細かく議論していくときに、社会の向上ということの中身をしっかり考える努力をしなくてはいけないだろうと思います。ただし、政府の各省がいろんな報告を、ドキュメントとして出しておられますから、それをしっかり分析すれば問題がかなりはっきりしてくるのではないかとも思います。

 なお、当審議会で2014年7月の意見具申を書いたときには、少なくともこれまでの環境基本計画に比べればかなりこの点についても掘り下げた議論をしている面があるので、今日の事務局の案は先の意見具申のある部分だけを、さっと抜き書きしたような書き方になっているものですから、先ほど山極委員が、よくわからないとおっしゃったことはそのとおりだと思いますけれども、最終的に第五次の環境基本計画案を仕上げていくときには、意見具申で整理した内容をもう一遍よく吟味しながら、先に述べたように各省のドキュメントも参考にしながら、今の状況に合わせた記載を加えていくことが必要だろうと思います。

 今回、事務局が直された点については私もおおむねこれでよろしいかと思って見ていたのですが、ただし、環境、経済、社会の統合的向上ということを基本と言っているので、その意味では、やや部分的にはバランスを欠く表現があるのではないかという佐久間委員のご指摘がありましたが、私も観点は異なるかとは思いますが感じる面があります。

 例えば8ページを見ますと、書き加えられたことへの思いはよくわかるのですけれども、「経済や社会も大きな問題を抱えており、経済や社会を犠牲にして環境保全を進めることは不可能である」。これはそのとおりかもしれませんね。しかし、それだけを言ってしまうと今度は、環境を犠牲にして経済、社会を発展させることが正しいのだと読まれかねない。しつこいけれど、それは両方を言わなきゃいけないはずです。この辺りはもうちょっと表現を工夫しなきゃいけないだろうというふうに思います。

 佐久間委員のご意見の中で、ちょっとだけ気になりました点は、9ページに書かれている、この記載についてのご意見があったのですけれども、環境・経済・社会の統合的向上というのは、ある意味では、その目指すところです。それを具体化していくための施策、環境政策のレベルで考えたときに低炭素、それから循環、生物共生ということが出てきているわけです。ですから、これを同列に並べてしまうと意味がはっきりしなくなってしまいます。この点は、これまで、この言葉を使ってきたときに、意見具申でもそうでしたし、かつての環境基本計画でもそうでしたが、注意して書き分けてきているはずですから、ここを一緒にしてしまって、それが目指すべき持続可能な社会であると言われると、ちょっと抵抗を感じます。やはりここは、二つのことは、ある意味では次元が違うというかな、二つが並ぶのですけれども、同列に並ぶのではなくて、ちょっと違いがあるということです。このことを意識しておかなくてはいけないだろうというふうに思います。

 なお、佐久間委員のご指摘の中で、なるほど、私もうなずけるなと思った点は、15ページの辺りのところの記載ですけれども、これは、全体としての書きぶりをもうちょっと整理をしなくてはいけないだろうと思いました。というのは、「例えば」と書いてある部分と、それから、それによって、裏づけようとされている、そもそもこうこうですよということが同列に並んでしまっていて、ざっと文章が続いているものですから、何げなく読んでいくと、後の「例えば」のところに書かれていることも何か、そもそもこれをやらなきゃいけないということが書かれているというふうに読まれてしまう。そうすると、例えば、何かお金をこっちに回さなきゃいけないというようなことがね、例えば、こういうことをやればこうなりますよという文脈になっているはずなのに、そう読めなくなってしまっている面がある。丸のつけ方が悪いとか、そういうようなことがありますから、ここは、よく文章を整理することによって誤解のないようにする必要があることは、確かにご指摘のとおりだろうと思います。ですから、削るかどうかは別として、表現が確かにまずいというのはそのとおりだろうと思って拝見をいたしました。

 あとは、汚染者負担について大塚委員が指摘された、基本法のある条文だけが汚染者負担を言っているわけではないという点はそのとおりだと思いますから、これには他の省庁の委員会から反論が出ていると言われますけれども、反論が間違っていると思います。我々としては、環境基本法全体を眺めて、こういうふうになったということを言えば構わないと思います。

 ○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、井田委員、お願いいたします。

○井田委員 ありがとうございます。いろいろ私が勝手に申し上げたようなところを取り込んでいただいて、非常に感謝しております。非常にいいものになってきたかなと思うのですが。

 まず、最初に総論ですけど、我々、これを考えるときに、どれだけ危機感を持って臨んでいるかという、sense of urgencyを持って、どれだけこの計画を議論してきたかというのが問われているというふうに思います。世界各国を歩いていても、きれいなホテルにいたりとか、国際会議場にいたりすると、なかなかわからないことですけれども、私、アラル海であるとか、コンゴ川とか、メコン川とか、アマゾンとか、とんでもないところへ行っています。そういうところへ行くと電気もない、トイレもない、水もないですよね、貧しい人たちが大量にいて、貧困に苦しんでいる。子どもが、時には死にそうになっている子どもなんかを頻繁に見かけます。それで、今日、ペットボトルと言おうと思ったら、ペットボトルがなくなっていたので、非常に感謝しておりますのですけれども、ペットボトルの水を飲み、ウォシュレットのトイレを使い、こういう冷房のきいたところでいると、なかなかそういう危機というのは見えてこないのですけれども、自慢をするわけじゃないですけど、私、そういうところへ行って現場を見ていると、これはもう本当にひどい。危機感というのを、どうしても抱かざるを得ない。昔そういうところというのは、森はきれいだったのですけれども、最近は環境破壊の最前線というのはそういうところですね。貧困と環境破壊の悪循環というのは起こっていると、本当に地球への、人間の影響が限界を超えつつあるというようなことを目にしているわけですけれども、果たして我々、日本にいて、その危機感をどれだけ共有していたかという、危機感を持っているかということを問わなければならないというふうに思います。

 それで、3ページ目ですが、各論というか、細部に入っていくと、3ページ、「危機に瀕しているとの認識が高まっている」と書いていただいたのですけれども、わがままを言うなら、もうちょっと厳しい危機感というのがここで、もうちょっと表明されてもいいかなというふうに思います。その後に、プラネタリー・バウンダリーの話が出てくるのですけど、これは最初、「Nature」に載った、ちゃんとした論文でありまして、その後、さまざまなアカデミーのコミュニティでも議論があって、データも示されて、その後、「Science」という一流の雑誌にフォローアップの論文が出たりしていて、これは世界的に広く受け止められているものなので、ここで引用するのには何の問題もないのではないかというふうに思います。むしろ、ちゃんとここで言及しておくというのは、非常に危機感という、先ほど申し上げた危機感という意味でも、地球への人間の影響が既に一部限界を超えつつある、環境容量の限界を超えつつあるということを示す意味でも、ここで置いておくべきではないか、置くべきだというふうに強く思います。

 あと、4ページに赤で書かれている、この前、諸富先生がおっしゃったように、カーボンプライシングは、私、最後のほうで入れるべきだと言いましたけれども、そのとおりです。

 あと、先ほどご指摘のあった再生可能エネルギーのところですけれども、先に一つ石炭の問題がありますね。石炭、環境アセスで厳しい意見が出ているというようなことを書かないでいいのかなという、これも国のプロセスなので、石炭のところに書いておいたほうがいいのではないか。環境の状況と言えるのではないかと思います。一方、再エネ、先ほど豊岡委員からご指摘があったとおりですけれども、そういう状況も書くべきであろうし、一方で、地方自治体とか地方の企業などのイニシャチブによって、いわゆるご当地エネルギーみたいなものも増えていますとか、一時的とはいえ、電力供給のかなりの部分を占めるまでになったというようなことも書くべきではないかというふうに思います。

 あと、6ページですが、議論になっている50・80の3条件ということですけれども、パリ協定の中では、私、もはや、人がやらないからうちもやらないというようなことは言わないほうがいいというふうに思います。トランプ政権が永遠に続くわけでもありませんし、カリフォルニアなど、世界6位の経済規模を持っているところは、2030年40%というような野心的な取組、目標を持って取組を進めていると。日本の長期目標50・80だというのは、もう、それが長期目標だというのは、かなり、世界的にも国内的にも一致したものになっていると。最近、経済産業省の資料を見て私は驚いたのですけれども、「パリ協定、米国離脱もトレンド変わらず」と書いてあったり、2050年、温室効果ガス削減について、先進国は極めて野心的な高い目標を共有していると、日本は50年80%と書いてあるので、もうこれは、3条件なんということは、ほかがやらなければうちはやらないですなんて、小学校の掃除当番のようなことは、もう言わないほうがいい。もし、国際的に言った場合のインパクトというのは、私は非常に大きなものがあると思うので、日本の長期目標は50・80であるときちんと書いたほうがいいというふうに思います。

 あと、私も申し上げたことですけど、海ごみであるとか、マイクロプラスチック、海洋基本計画への充実、海への言及というのが充実されたというのは非常によろしいかと思います。

 いろいろ申し上げて恐縮ですが、8ページの新たに加わったところ、これは、ちょっと事務局にも事前にコメントを申し上げたのですけれども、浅野先生のおっしゃるとおり、全く私も同じことを考えておりまして、「経済や社会を犠牲にして環境保全を進めることは不可能である」と書くのだったら、環境を犠牲にしたら、先ほど、最初に申し上げましたけれども、環境を犠牲にして経済や社会というのは、もうあり得ないというようなところまで来ていると、これも危機感の話に通じるのですけれども、その両方を書かなければ、ここはおかしいというふうに思います。

 あまりいろいろ申し上げてもしようがないですが、12ページのところに、またプラネタリー・バウンダリーの話とかが出てきていて、これはある意味、私、もしこの記事を、計画の骨子の記事を書くのだったら、ここら辺が見出しになるかなというふうに思うぐらい重要なところでありまして、SDGsの統合というのを考えたら、やっぱり環境が基礎にあって、バイオスフィアに関する目標があって、それこそ、それでなければ社会・経済も成り立たないのだというような認識がSDGsであり、パリ協定であると思います。それに関連して、プラネタリー・バウンダリーの考えが合致するというのも、これは本当にすとんと落ちるものなので、ここら辺はぜひ、非常にいいものになったので、これでいっていただきたいなというふうに思います。最初に申し上げましたけれども、SDGs後、パリ協定後、初めてできる環境基本計画なのである上で、こういう認識はきちんと押さえておいたほうがいいかなというふうに思います。

 私、最初にウエディングケーキの話をしたのですけれども、そういう考えをしているのは、別に彼ら、レジデンスセンターの人たちだけではなくて、例えば、安井先生だって、ほかの方々だって、蟹江先生だって、国内の方々だって似たような、似たようなというか、同じような考えを持っている方というのは一杯いらして、そういう論文も出ているし、そういう考え方も示されているので、SDGsの統合というのを考えたとき、やっぱり環境が主、環境を守らなければ経済・社会というのは、もう成り立たないようなところまで来てしまっている、それは危機感の裏返しだと思うのですけれども、そういうものがもうちょっときちんと明確になっているといいなというふうに思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 岸上委員、お願いします。

○岸上委員 ありがとうございます。大所高所からのコメントが続くときに、少し恐縮ですけれども、私のほうからは2点、個別の記載ぶりでご検討いただきたいということを申し上げたいと思います。

 1点目が15ページのESG投資に関する記載ぶりでございます。今、何人かの委員の方からご指摘がありましたように、経済・社会問題との同時解決というような方向性が出てきたというのは非常によいことかなと思っております。その議論を踏まえた上で、こちらのESG投資について、環境・社会・企業統治といった要素を考慮するESG投資が広がってきているというのは確かなことだと思っています。ESG投資の意味合いですが、個々の企業はそれぞれの企業を取り巻く状況、すなわち、環境、社会、企業統治に関する状況を含む状況およびメガトレンドを正しく分析した上で、経営戦略を立て、企業経営していくという理解でおります。ただし、それは、ESGにだけ対応するということではなくて、企業の中長期的な成長と両立するように戦略をたてていくというような方向で検討していると考えておりますので、記載ぶりにそのような側面があるということを入れていただければと思っております。こちらが1点目になります。

 2点目ですけれども、18ページの4番の、重点施策を支える環境政策の展開のところでございます。その④に、施策を実施する上で必要となる各種統計情報、環境データの整備・収集ですとか、環境情報整備、支える技術開発というようなくだりがあります。こちらは、将来の目標を定めて、計画を立て、実際にこれを施策に落とし込み、モニタリングをする上で、非常に重要となってくると思っております。それはここに記載のとおりでございますけれども、この記載の部分にデータへの信頼性を確保する仕組みといった観点を入れていただければと考えております。データについての信頼性がなければ、信頼性がないことが発覚したときには非常に影響が大きく、取り組んでいる方々のやる気や動機づけも損なわれると思っておりますので、表現ぶりで恐縮ですけれども、考慮していただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、木下委員、お願いいたします。

○木下委員 ありがとうございます。16ページの(3)の多種多様な地域循環器共生圏形成による地域づくりについて、1点申し上げたいと思います。

 全体として、書きぶりが充実していることについて評価をしたいと思います。それを踏まえて、三つ目の丸の「森・里・川・海を豊かに保ち」というところについて、私の意見を申し上げたいと思います。森、あるいは里、川、海は、それぞれ別個に環境が維持、あるいは形成されたわけではなく、それぞれ依存し合いながら、あるいは関連し合いながら、現在の環境が形成されてきているというふうに思っております。そういう意味で、地域における自然環境というのは、単に森、あるいは里のみならず、場合によれば森・里だとか、あるいは森から海というようなさまざまな要素を踏まえたものを全体として捉えて対策を講じていくというようなことが、もう少しニュアンスとして出れば、ここに書いてあるような地域循環共生圏という意味合いがさらに明確になるのではないかというふうに思います。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、小林委員、お願いいたします。

○小林委員 はい、ありがとうございます。まずは、これまで部会で申し上げた点を、大分、反映いただきまして感謝申し上げます。特に、「専門家の育成」というところは忘れずに反映いただける予定だということでございまして、ありがとうございます。現段階について、幾つかコメントさせていただきます。もう既に何人かの委員の方からご意見もあり、重なる部分もありますけれども、ご了承いただければと思います。

 まず、1点目でございます。環境・経済・社会の三つの位置づけというところで、8ページの第2章で追加された前文に、「環境・経済・社会のそれぞれの側面を統合的に」という言葉で書いてあるように、やはり三つがいずれもバランスよく成り立つということが必要だと考えております。その考えが全体にあるとすれば、例えば、10ページの「環境保全上の効果を最大限にしつつ」の「しつつ」だとか、12ページの「環境保全上の効果を最大化することを前提として」の「前提として」という2カ所の記述については、若干、「環境」に強く寄っているような感があって、例えば、「効果の最大化を目指す」などの表現に変えていただければと思っております。それが1点目でございます。

 2点目が、13ページにある、今回追加された「拡大生産者責任」というところでございます。この言葉は従来からある言葉でございますけれども、簡単にひと言で書かれてしまうと、受け手によって、いろんな解釈があろうかと思っております。十分な説明や議論のない段階で、この言葉だけがひとり歩きするのは非常に危険だという思いもありますので、今後これを記載するのであれば、同時進行しています「循環型社会部会」での検討プロセスも十分加味いただき、整合性をとりながら丁寧に議論をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、毎回お話しするようですけれども、「SDGs」のところの書きぶりでございます。12ページでございまして、前回もお話をさせていただきましたが、主観的な内容と客観的な内容が、相変わらず混同しているように思えます。佐久間委員からの提出された資料にご指摘がありましたけれども、私もその意見に賛同するものでございます。

 また、ESG投資の強制化は避けるという視点で申し上げます。15ページ中段にあります、「国内に存在する資金の環境分野に係る市場への投資等に振り向ける」という記載ですが、本来であれば、実施者の自主的な判断によるはずの投資活動が、何となく法や規制によって半ば強制的に環境分野に投資するよう割り当てられるというように読み取れる記載になっていると思います。その上段の、「ESG投資をさらに広げていくことが重要」という記載も含めて、「投資活動の自主性」に配慮した表現に書き換えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、これも、もう何人かの委員の方から、いろんな意見が出されています、汚染物質のところの「汚染」というところでございます。「汚染」にCOが含まれているかどうかということで、前回、私から質問させていただきましたが、私の認識ですと、国民の一般的な理解としては、「COの排出」は公害とは異なる印象があるということでございます。COを汚染者負担の汚染に含めるのであれば、これも佐久間委員からの意見書にもありましたように、経済産業省さんの報告書とはちょっと異なる解釈になっているようで、国としては、やはり統一な見解がまだない、という認識でございます。

 いずれにしても、地球温暖化については、あらゆる経済活動や社会活動や国民生活が排出源になるということから、本質的な公害問題とは、またちょっと性格が違うのではないかと思っておりまして、今回のこの「公害」における汚染者負担の原則を「地球温暖化」に適用することは適切でないと考えております。環境基本計画は、のちのち閣議決定されるものでございまして、国民や企業に対して、今後示していくものだということを考えれば、この言葉に限らず、言葉の定義については、国としての統一見解を示していただいた上で、本計画の最終的な段階で議論すべきだと考えております。ぜひともご検討をお願いいたします。

 以上ですけれども、最終的な環境基本計画の本文に比べると、現時点ではページ数も少なく「中間取りまとめ」の位置づけということですので、まだまだ説明に十分な文字数が割けずに、ちゃんと伝わらない部分もあろうかと思います。また、各委員の意見にも、それぞれ異なる見解があると思いますけれども、今後、本文をつくる段階で改めて丁寧にバランスのとれた議論をさせていただければと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、末吉委員、お願いいたします。

○末吉委員 ありがとうございます。

 最初にちょっと申し上げたいのは、今の世界の動きをどう見るかという基本認識であります。多くの方がおっしゃっているとおり、私は非常な危機感が、今、世界で共有されていると、これがまず何といっても出発点だと思います。

 ですから、いわゆるトークからウォークですよね。話すことから行動へ、アクションへ移ったという、これは当たり前ですし、しかもそのアクションも、個々の問題を一つずつ解決するという話から、トータルとしてサステナブル・ソサエティをどうつくるのか、非常に私は包括的アプローチ、あるいは総力戦に移ってきたと。しかも、それが加速化して、しかもいろんなところに具体的、現実になって表れ始めてきている。この認識を私はまず強調したいと思います。

 そうした上で、まず、金融の話ですけれども、15ページに、「例えば」というところで書いてあるわけですけれども、確かに資金の流れを持続可能な社会の実現に向けてシフトする、これは正しいと思います。ただ、あえて申し上げれば、この流れをシフトするフローを変えるという話から、私はストックを含めた金融のあり方そのものの見直しが始まったというようなことを強く感じます。

 例えば、この1、2か月で、こういうふうなことが世界の金融で起きております。

 まず、6月の初めに、GPIFに次いで世界第2位の年金基金であるノルウエーの年金基金が、これは大体100兆円ぐらい予算を持っております、自分たちが投資している金融機関、銀行に対して、あなた方の貸出ポートフォリオはカーボンフットプリント幾らあるのだというようなことを要求すると言い始めたのですよ。

 相手銀行がどこかというと、例えばシティバンクであり、ドイチェバンクであり、クレディ・スイスであり、ウェルズ・ファーゴであり、バークレイズです。

 つまり、大きな投資をしている先が、投資先に対して、銀行に対して、ローン・ポートフォリオのCOを出せと言い始めたわけです。これは物すごい変化だと思いませんか。

 それから、6月16日はご存じのとおり、Bank of England、中央銀行が銀行セクターに対する気候変動のリスクとオポチュニティを徹底的に調べると言い始めました。これも前代未聞ですよね。Bank of Englandのかわりに日本銀行を置いてください。どういうインパクトかよくおわかりになると思います。

 それから、金融と銀行との間の気候変動に関する情報開示が、ついに最終提言が出ましたですよね。これはGCFで、これは6月29日です。

 それから、直近で申し上げれば、世界に冠たるJPモルガン・チェースが次のようなことを言いました。

 2025年までに自行で使う電気を全て再生可能エネルギー100%にすると。これは企業でも始まっておりますけれども、2025年ですよ。10年ないですよ。しかも、その2025年までに200ビリオンダラーの金をクリーンファイナンスに注ぎ込むというわけですよ。今日の換算でいくと、多分、22兆円です。

 ですから、こういった新しいお金がどんどん動き始める。しかも、直近で申し上げれば、ついにNGOの圧力に負けて、ワールドバンクが、世界銀行がこれから出資、投資をするプロジェクトのカーボンフットプリントをちゃんと出す、そういう方向に転換するというわけですよ。私は、これ非常に大きな変化が始まっていると思います。

 ですから、あえて申し上げますと、このESG投資というのはあくまで手段だと思います。

 でも、金融に課せられている本来の目的はパリ協定とSDGsを実現する、つまり持続可能な社会をつくるということです。そのために金融そのものがどう変わらなきゃいけないのか。根本的な、私は変革を求められていると思うのですね。多分、このことは、今、世界で言えば、「サステナブルファイナンス」という言葉で呼ばれ始めていると思います。

 ですから、ESG投資をするということも非常に手段としては重要ですけれども、あくまでやはりここに書いてある持続可能な社会の実現ですよ。それに役に立つ銀行に変わるということがこれからどんどん出てまいります。

 恐らく、これは相当の強制力を持って、これはもう法律とか、規制とか、会計原則とか、それから商業ルールをもって、私は強いエンフォーサビリティを持った変革が始まってくるというようなふうに感じております。多分、そうなるのではないでしょうか。

 それから、もう一つは、私は全く素人ですけれども、自動車の業界の話であります。

 ですから、根本さん、もし私が間違っていたら正してほしいのですけども、この7月というのは非常に歴史的な月だったのじゃないかと思います。

 ご存じのとおり、6月の初めに、ボルボが何と2019年からガソリン車を売らないという話ですよね。もう2年ないわけですよ。それに非常に驚いておりましたら、フランス、さらに追いかけるようにイギリスが2040年までにガソリン車とディーゼル車を売らない、売らせないということを、国としてということですよね。それを待っていたかのように、あのテスラが、モデル3の販売が実際に始まりました。

 こういったことで、私が思い出すのが、2015年10月、COP21の直前のトヨタさんが発表された環境チャレンジ2050です。私は、この先見性、勇気に大変感銘を受けているのですけれども、その中でトヨタがおっしゃったことは、2050年までにゼロエミッションにしたいと。それを実現するには、恐らくガソリン車の存在は許されないだろうというようなことをおっしゃいました。これは、非常に私は驚きました。2050年といえばもうすぐですよね。こういうメーカーのリードタイムを入れれば、もう今日の問題になる話です。

 ところが、フランス、イギリスが言ったのが、それよりも10年前倒しで、そもそも販売を許さないということですよ。こういう大きな変化をどう受け止めるかということが私は非常に重要だと思います。

 ですから、内燃機関がなくなる、あるいはモーター車に変わるということは、恐らく産業構造を大きく変えますよね。だって、部品の数が決定的に違うという話です。

 それから、モデル3とか、ボルボの車に乗る人は、恐らく車に対する概念を変える。つまり消費スタイルが変わる。よく言われる、持つ経済からシェアの経済へ変わる。こういったような消費スタイルの変化というのは、これもまた経済や産業構造にすごいインパクトを与えると思います。こういったことが現実に起こり始めたということですね。

 さらに、くどいですけれども、トヨタさんが2050年とおっしゃったことをフランスやイギリスは2040年と10年も前倒しして言っている。つまり、これはそれだけ、冒頭申し上げました地球社会に対する危機感が非常に強くなって、本当に早く何とかしなきゃいけない、こういったことが、経済や産業の中、あるいは金融に対しても非常に強まっている、その証左じゃないでしょうか。私はそう読むべきだと思います。

 そうしたことを申し上げて、この環境基本計画の今後のことを考えますと、恐らく、今、私も含めて、多くの人が考えていらっしゃる変化のスピードよりもはるかに現実が先に行くのだろうと思います。

 とすれば、この環境基本計画が、本来持つべき世界の変化のスピードについていけるフレキシビリティをどうやってこの環境基本計画の中に組み込んでいくのかですね。

 私は、あっという間に、表現は悪いですけれども、現状にとらわれた発想で物を言うとたちまちにして陳腐化する、アウトオブデートになってしまう、そういった計画じゃあ、やっぱりもったいないですよね。というよりも、まずいと思います。

 ですから、少なくとも我々の頭の中のフレキシビリティの確保と同時に、そのことをこの環境基本計画にどう反映させていくのか、そういったこともぜひぜひ議論して詰めていただければと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、根本委員、お願いいたします。

○根本委員 ありがとうございます。

 すみません、この場では、トヨタの根本ではなくて、一委員として発言させていただきたいと思います。お許しください。

 今おっしゃっていただいたこと、思うところが極めて大でございます。今、内部で検討しているところでございます。

 すみません、一委員に戻らせていただきます。

 中間取りまとめにつきましては、先に一読させていただいております。当然ですけれども、賛成するところ、しかねるところ、ともにあるわけでございますけれども、取りまとめの労をお取りいただきましたことに対して、まずもって御礼申し上げます。

 一番賛同できる点ということになりますと、やはり本計画におきましても、環境、経済、社会、これを統合的に向上させていくという、この基本的な考え方、これをしっかり引き継いでいる、取り入れているという点にあるというふうに思っております。

 それは、環境、経済、社会といったものを個別ばらばらに扱ったり、あるいは序列的に扱ったりということではなく、かつ、さまざまなトレードオフの関係に対して注意深く配慮しながら、全体としての向上、三者間のバランス、これをしっかりとっていくという、大変ですが、何といいましょうか、辛抱強く取り組んでいくという考え方だと思いますし、それに対して大きく賛同するところでございます。

 このような考え方は、この取りまとめの随所にそのような表現が表れているというふうに思うのですが、もう既に何人かの先生からお話がありましたように、やはりこの三者のバランスが若干崩れているのではないかと読めてしまうような記述が一部残っているかと思いますので、この点につきましては、やはり修正していただいた方がいいかなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 もう1点でございます。技術競争力ですとか、イノベーション力といったものがこれからの日本の将来に大きく関わるというご意見に対しましては反論ございませんし、むしろ我々企業、その大きな役割を担っているという思いでおります。

 そういう思いで、今回のまとめの17ページにあります、(5)でしょうか、将来を支える技術の開発・普及というところを読ませていただきました。

 概ね賛同できる内容として取りまとめいただいておるのですけど、最後の最後でございます。

 これは佐久間委員の方からもご指摘があった部分、私も全く同感ですけれども、技術革新のエンジンが、環境制約とどうしても読めてしまうのですね。恐らく書かれた方はそういう意図じゃないとは思うのですけれども、やっぱり私自身が、これはどういう意味に解釈したらいいのだろうと随分悩んでしまったのは、これは事実でございます。

 したがって、読む人によってかなり幅が出てしまう。幅が出るということは、人によっては誤解をするという読み方になってしまいますので、やはりこの点は、私からもぜひといいますか、必ずぐらいのつもりでお願い申し上げたいのですが、修正をお願いしたいというふうに思います。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 諸富委員、お願いいたします。

○諸富委員 私自身は、全体の方針、書きぶりについては大変共感するところが多く、特に特段のそれについてコメントはございませんが、特に強調して、特にお話ししたいのは地域の循環型に関わるページであります。

 ここの中で、この本文の中で、ページ数で言いますと、16ページに地域経済循環の話がございます。こちらについては、書いてある内容は全く賛成ですけれども、恐らく、例えばここに書いてあるような地域内の資金の流れを太くすること、あるいは地域経済循環の拡大が不可欠であるというような記述がしっかり入っているわけですが、これは全く賛同したいところですけれども、これについて、実は定量化といいますか、もう少し、じゃあ、具体的にどのように、現状を地域から、現状は残念ながら循環型になっていないという現状認識があって、それを循環型に切りかえていくにはどうするか、地域の資源をうまく使っていくと同時に、森、里、川辺を豊かに保っていく。それは同時に、その地域を豊かにしていく上で、経済的に活性化できるものについては資金の流れを太くする、経済循環をもっと強化していくことによって地域を豊かにするというようなことですよね。ですから、自然の保全と資源の活用、それから経済循環が折り重なって地球を豊かにしていくような仕組みをつくれないかということだと思います。それを動かしていくには、まず、地域でどれぐらい、例えば経済的な域外への流出が起きているのか、これについて現状把握ができなければ、なかなかその策も立てられないと思うのですよね。そういう意味では定量化というのがすごく大事だというふうに思いまして、そういう情報をつくり出すこと。これは、例えば、私たちも研究として、エネルギーに関しては地域付加価値分析ということをやっておりまして、本年度の環境白書に載せていただきましたけれども、同じ環境白書で平成27年度版にも、たしか第3章に、水俣市の事例で大変すばらしい記述が環境白書の中にございまして、この中に、地域の経済の総合的な分析をやって、経済循環を分析した上で、いかに地域から所得流出が起きているかということをかなり定量的に分析しております。こういったツールをもし自治体が全国で利用できるようになれば、こういった施策をとる上での情報的基盤になっていくと思いますので、環境省としてこういった情報的基盤の整備、それから、地域や自治体がそれを使う場合の支援といったものを積極的に推進していくことが、ここで書いてある内容の具現化につながるのではないかというふうに思います。この点だけ、言わせていただきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、三浦委員、お願いいたします。

○三浦委員 ありがとうございます。

 今回の中間取りまとめの赤字部分のコメントではなかったので、ちょっと最後に発言をさせていただこうかと思いまして、札を立てさせていただきました。

 昨今、あらかじめさまざま決めておけるようなことではなくて、例えば、昨年でしたらデング熱ですとか、今年でしたらヒアリですとか、里山に熊が出てきたとか、猿との共生、さまざま時代の流れの中で新しい問題に直面して、せんだってもヒアリの情報、環境省のホームページには正確性に欠ける情報があったので削除しますというようなアナウンスがあって、一部されたという経緯がありましたけれども、こうした国民の健康ですとか地域との共生ですとか多種多様な生物と人類の共生とかといったものは予測できるものではなく、時代とともに新しく発生することに対して、今後環境省としてどう向かい合っていくのか。あるいは、情報収集のかなめとしてどう正確にそういったことを国民に対して知らしめていくのかといったことの重要性に対して、どこかにこれを機に記述をしておいたほうがいいのかなというふうに感じるところがあったので、一言コメントをさせていただきます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、髙村ゆかり委員、お願いいたします。

○髙村ゆかり委員 ありがとうございます。

 何度も取りまとめの案をつくっていただくのに、我々も議論を重ねてきて、意見の異なる部分もあると思いますけれども、私個人的にももっとこう書いてほしいというところはありますが、しかし、私の理解としては、この後このまとめを、ステークホルダーの方も含めてパブコメを行って、意見をいただいて、さらに議論を深めていくというふうに理解をしておりますので、何人かの委員からもありましたように、基本的には、今日の議論を踏まえて、部会長に一任をお願いしたいというふうに思っております。

 その上で、私は、全体としてですが、原案に大きな異論はないですが、今回の原案に、ある意味で大きく変えるべきというご意見をいただいた点についてだけ、原案を支持する立場から発言をさせていただきたいと思うのですけれども、一つはプラネタリー・バウンダリーの取り扱いであります。これは、佐久間委員を初め、いいご指摘を私はいただいたというふうに思っております。何かといいますと、安井委員もおっしゃいました。髙村典子委員も、あるいは、井田委員も木下委員もたしかおっしゃったと思うのですが、サイエンスの側が感じている危機感というのをやはりきちんと伝えないといけないのではないかということであります。これは、安井先生がパリ協定の長期目標というのをしっかり書いたほうがいいというのはそういうご趣旨だと思うのですけれども、髙村典子委員は生態系の観点からおっしゃいましたが、やはり、これを全部説明するためにプラネタリー・バウンダリーということをここに盛り込んでいると思うのですけれども、恐らく削除をすると、むしろその危機感、あるいは、国際的な認識というのは伝わらないのではないかという懸念でございます。これは井田委員がおっしゃいましたけれども、もちろんこれはストックホルム大学のセンターがつくった論文をもとにしておりますが、30近くの世界有数の研究者と一緒につくって、しかも、「Nature」、「Science」のピアレビューを受けた論文で、かつ、2010年のUNEPの year book には、冒頭にこれを新しい知見として書いております。それから、SDGとの関係でいきますと、SDGガイドのホームページがございますが、UNが協力して立ち上げているところですけれども、ここでもやはり、ここで書かれている人間の影響というのが、非常に地球のプラネタリー・バウンダリーを超えるようなものになってきていて、それが貧困も含めた人々の福祉に大きな影響を及ぼす脅威があるということがガイドのところにも書かれております。これはプラネタリー・バウンダリーの論文を引用されております。これは、今、石井総裁がいらっしゃいますけど、このプラネタリー・バウンダリーのフレームを使ってGEFの運用をしていくということも発言されておりますので、そういう意味では、私自身はあまり異論がないといいましょうか、違和感なく感じていたのですが、むしろ科学者の側から、そして、国際的な認識となってきているこの概念をうまく使ってコミュニケートをする必要があるのではないかというふうに思っております。その意味で、もう一度ですけども、安井先生のパリ協定の、この長期目標もプラネタリー・バウンダリーの一つの軸でございますので、これも含めて、むしろきちんと書いていただきたい、コミュニケートするためにです。そういうふうに思っております。

 あと2点ほどでありますが、汚染者負担原則の点ですが、これは、COの適用できるかどうかというところについては意見が今日は分かれていたかもしれませんが、私の、あるいは、大塚先生もおっしゃいました法学の観点からは、前回申し上げたとおりです。ただ、今回の原案の一般的な記述については、今日、委員の方から異論はなかったというふうに理解をしておりますので、この原案のままで意見をいただいてはどうかというふうに思います。

 最後でありますが、環境・経済・社会の統合ということが一つの大きな軸でありますけれども、幾つか環境に寄り過ぎているのではないかという指摘がございましたが、これは、国連環境計画も、SDGを踏まえていろいろな文書を書くときにかなり意識して書いているのは、環境の側面から書けるのはここしかないということを強調しております。つまり、ここは環境基本計画を書いているところですので、極端に飛び出しているということはチェックをしていただきたいと思いますけれども、しかし、統合の中でも、環境的な側面から何をすべきなのかというところはしっかり書いていただくという立場で、文章をもう一度確認していただきたいというふうに思っております。

 以上です。

○浅野委員 部会長、よろしいですか。

○武内部会長 まだほかの人の札が立っていますので、最後に。今のことに関連してですか、浅野先生。

○浅野委員 いや、別です。

○武内部会長 わかりました。

 では、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 いろいろ議論が出てきて、大変活発でよろしいと思いますが、今、髙村ゆかり委員にまとめていただいたので、基本的にそれでいいと思っているのですけども、2、3ちょっと気がついたところだけを申し上げますが、一つは、佐久間委員のほうから出てきたペーパーについて、最後のところの カーボン・リーケージとか、あと、国際競争との関係は私も重要だと思っていますので。特に、COとかいろんな環境負荷を出しておられる産業の中で、国際競争との関係で問題がある場合にはいろんな配慮をする必要があるということは重要だと思っております。ただ、ほかの点で、幾つかございますけども、一つは、環境政策の原則・手法の13ページのところですが、環境政策の原則というのは原則ですので、何か時代とともにすぐ変わるようなものはそもそも原則にはなりませんので、何かを新しく加えるというのはそんなに簡単なことではないということは、まず申し上げておきたいと思いますし、予防的取組方法というのは、科学的に不確実な段階で、対策をとらないことによって深刻な問題が起きるということを警戒するという原則ですので、費用対効果の問題はあり得ますけども、経済的な問題をあまり出すと、経済的な問題を気にして対策をとらないこと自体が予防的取組方法では問題だということが概念の中に入っていますので、その点はちょっと配慮する必要があるのではないかということを申し上げておきます。

 あと、汚染者負担原則に関して、汚染という言葉について随分気にされているかと思いますが、もし本当にそこがすごく気になるのであれば、外部不経済に対する汚染者負担原則とか、最初に何かをくっつけるということはやっていただいても構わないと思うのですけども、もともとOECDの汚染者負担原則は外部不経済に対するものですので、その点をもしすごく気にされるのであれば、そういう手もあるということはちょっと申し上げておきたいと思います。

 あと、拡大生産者責任は既に循環型社会の基本法の中に入っていることでございますので、概念についてもその中で確定していることでございますので、それから、第五次環境基本計画でも書かれていることでございますので、今ここで特に議論をする必要は少ないのではないかということを申し上げておきます。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 では、崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。

 この中に具体的に書いていただくか、今後のところに入れていただくか、迷いながらいたことが一つあります。それを発言させていただきたいのですけれども、今、東京オリンピック・パラリンピック、2020年のこの行事に対して、環境や持続可能性がしっかりいくようにということで、組織委員会で実施しておられる外部委員の委員会に参加をしております。全体論のところと、低炭素や循環とか、そういうことも話し合っているのですけれども、そういう中でやはり思うのは、2020年の行事ではあるのですが、これを一つの大きな契機として、そこでチャレンジできたものに関して持続可能な社会に向けて取り組んでいくという、そういう大きなきっかけとしてかなり意欲的に取り組んでいる部分があるというふうに感じております。特に今、表向きは都市鉱山メダルとか、それとか、エネルギーだと水素をしっかり使うとか、そういうところが見えてきているのですけれども、もう1点、調達に関してかなり細かい基準を設けていますので、木材、食料、紙とか、今後、化学物質とかがいくと思いますが、やはり、環境と、あと、原産地の公平性とか雇用とか、そういう持続可能性をしっかり考えたところをかなり厳しくやっていますので、今後にかなり大きな影響を及ぼし得るのではないかというふうに思っております。そういう意味で、この行事をかなりしっかりと意識して、ここで大きくジャンプアップする、そして、その中でできたものを活用するという、そういう強い戦略を持って取り組むということも必要だと思っておりますので、こういう基本計画の日本の取組のどこかに、やはりそういう位置づけを一言入れておいていただいたほうが、しっかりと進むのではないかというふうに思っています。どうぞよろしくお願いします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 すみません、2度目で申し訳ないですけれども、髙村ゆかり先生がおっしゃったように、私は原案維持ということで表明したいと思うことと、それで、議論を聞いていますと、危機の心理学というのをちょっと思い出しまして、社会的なジレンマの状況において、非常に現在志向バイアスがかかってしまって、将来にできる利益よりも現在の利益に過剰に重きを置いてしまうという傾向にあるというふうに教えていただいたのですが、それを非常に感じておりまして、危機感、危機感というお話がいっぱいあったのですが、危機感の共有が一体できているのだろうかという基本的な素朴な疑問が、私はこういう大きな取組で初めてですけれども、もっと未来の危機感に対する共有が私は何だか足りないのではないかということをちょっと思ったものですから、2回目のマイクを持たせてもらって、本当に一主婦として消費者として、排出者責任のことがありましたが、COは汚染物質かどうかというようなことはありました。けれども、私にそれの定義はできませんが、減らさなければいけないということについては、国民的な共有が主婦から、それこそ子どもに至るまでできているというものであり、そして排出者は明確に責任を持っていくということは、これはもう当然のことであろうというふうに私も思いますので、ちょっと感想として述べさせていただきました。ありがとうございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、佐久間委員、お願いします。

○佐久間委員 ありがとうございます。

 1点、エネルギーのところで、再エネについてもう少し詳細をというお話がありましたので、その場合は、実際、固定価格買取制度によって、家計、事業活動に大きな影響が出ている、また、出ると。これは今、家庭で1,000円から2,000円、4,000円になるということもございますので、そういうことで支えているという点もぜひ触れていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 浅野委員、お待たせいたしました。

○浅野委員 さっきちょっと言い忘れてしまったのでつけ足したいのですが、白石委員がご指摘になった点です。これはちょっと私も気にはなっていたことだったので、賛成をしたいと思います。つまり、第2章の書きぶりが、現計画をほとんど横に写しているような感じになってしまっていて、何にも動いていないという印象をもともと持っておりました。ただ、これでしようがないのかなと思っていたのですが、今、白石委員がおっしゃったようなことは、確かにそうだと思いました。ですから、事務局案では東日本大震災に関連してとう限定を最初につけていますが、東日本大震災に関連し、さらに、これを踏まえて環境面からどういう政策を今後重点的に取り組むべきかということにすれば、関連する新たな課題を幾らでも追加できると思いますし、そもそも、2章のタイトルは広い書きぶりを許すものになっていますから、いいのではないかと思います。適応について、どこにどう入れるかというのがありますが、この部分では適応のこともあわせて記載する余地があると思うので、白石委員の言われるとおり3ということで、一つ足す内容は十分にあると思います。

 それから、汚染者負担の原則は、日本では公害時代に公害と結びつけて議論をされる概念になってしまっているので、多くの誤解が生まれてしまっているのですけど、もともと公害ということと直結させる必要はない。要するに、ポリューターというのはもっと広い概念だと思います。それから、例えば、PRTR制度一つをとってみても、オランダなどでは、PRTRのPの中に、大気汚染物質だけではなくて、完璧に二酸化炭素などの温室効果ガスを入れていると聞いています。ですから、諸外国の言葉の使い方のほうがむしろ本来の言葉に合っていると思いますので、日本のこれまでの概念があまりにも狭過ぎたということは、たびたび法律の専門家の間では指摘されていることです。大塚委員などがおっしゃっているとおりなので、私もその意見に賛成いたします。

○武内部会長 大変多岐にわたる建設的なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。

 もうほとんど時間がありませんので、事務局から皆さんのご意見に対して全てをお答えすることはできませんけれども、ちょっと最後に一言、もしありましたらお願いします。

○山田計画官 事務局でございます。

 大変多岐にわたるご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。いただいたご意見はこれから検討をする必要がございますが、先にちょっと申し上げておきたいこともございますので、幾つかお伝えをしたいと思います。

 佐久間委員が提出された意見にいろいろ書かれているのは、うまく整理されておりますので、こちらのほうを幾つか活用させていただきたいと思いますが、例えば、5ポツのところです。人口減少と環境というような記述がございましたが、この記述は、第二次国土形成計画の全国計画を参考にして書かせてもらったものでございます。これはあくまで一側面の例示でございますので、環境基本計画としての記述として適切なのかどうかという点については、今後検討させていただきたいと思います。

 それから、戻りますけど、パリ協定に関する議論がいろいろなされておりますが、事務局といたしましては、2050年長期目標は、地球温暖化対策計画に記載されておりますとおり、パリ協定を踏まえたものということでございますし、2030年の中期目標はエネルギーミックスと整合的に定められたものであるという認識でございます。

 それから、7ポツの環境・経済・社会の複合化のところで、これは実際の資料1の8ページだったと思いますけど、幾つか指摘が委員からございましたが、確かに、経済や社会を犠牲にして環境保全を進めることは不可能であるというような思いで我々はやらせていただいてもございますけど、片一方だけの表現ということはご指摘のとおりだと思いますので、こちらは両面を記述する必要があるというふうに考えております。

 それから、汚染者負担の原則についてもいろいろご議論がございました。こちらにつきましては、あくまで環境政策における原則の一つとして記載をしているものでございまして、何か特定の汚染物質を念頭に置いているということではございません。今いろいろ議論されております二酸化炭素が汚染物質に含まれるかどうかということであれば、そういう温室効果ガスが地球温暖化という環境影響を現に及ぼしているということは事実だと思いますし、あと、世界全体の機関でありますOECDがレポートを出しているということもありますので、そういうことを踏まえて、また今後検討していくことなのかなというふうに思っております。

 あとは、12ポツのところで、ESG投資についてです。これは佐久間委員がご提出された資料の中ですけど、ESG投資について、何か政府が規制するのではないのかみたいな、そんなようなご指摘も幾つかあったと思いますが、事務局といたしましては、投資というのは投資家の判断と責任において自主的に行われるものであるというのが大原則であるというふうに思っておりまして、その考えを前提とした上で、2050年80%削減ですとか、我が国の温室効果ガス削減目標の達成に向けた環境整備の結果として、民間資金が環境分野に向かうというのは好ましいものであるという認識でございます。

 同じ資料の中の13ポツの技術の開発・普及のところ、幾つかのご懸念点がございました。環境制約という表現があまりよろしくなかったのかもしれないですけれど、もちろん何か制約をしようという考えではなくて、プラネタリー・バウンダリーと同じですが、環境は無限ではないという趣旨で書いたものでございますので、表現の適正化を図りたいなというふうに思っております。

 さらに、自然災害及び大規模複合災害のところで幾つかご指摘がございましたが、ご指摘のとおり、東日本大震災以外の記述もあるべきというふうに思っておりますので、こちらも表現ぶりを工夫させていただきたいと思います。

 ほかにもたくさんご意見を頂戴しておりますけど、とりあえず事務局からは以上でございます。

○武内部会長 中間取りまとめにつきまして、前回と今回の2回にわたりご議論をいただき、委員の皆様方からは示唆に富んだご意見を多数いただきました。どうもありがとうございました。

 中間取りまとめについては、本日いただいたご意見を踏まえ、必要な部分について修正をいたしますが、その内容に関しましては、私、部会長にご一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 どうもありがとうございます。それでは、本日の議論を踏まえて修正した後、委員の皆様にも修正版を事務局から送付させていただきます。今後、計画の具体的な内容に関する議論に移ってまいりますので、引き続き活発なご議論をいただけますようお願い申し上げます。

 また、中間取りまとめについては、修正後、近日中に事務局から報道発表し、公表させていただきたいと思います。その際、あわせて、今後の答申案の作成に向けた審議の参考とするために意見募集に付しますので、ご承知おきいただきたいと思います。

 以上で予定されていた議題が終わりましたので、本日の審議を終了させていただきたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○山田計画官 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載させていただきます。

 また、今後の予定でございますが、参考資料3にございますとおり、今後は各種団体との意見交換、あと、計画の原案作成に向けた検討を進めるということになります。今後の意見交換会ですとか総合政策部会の開催につきましては、正式な日程等が決まりましたら随時ご連絡させていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、これにて散会とさせていただきます。長時間どうもありがとうございました。

午後12時00分 閉会