中央環境審議会 総合政策部会(第90回)議事録

第90回 中央環境審議会 総合政策部会

平成29年6月29日(木)10:00~12:18

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A

議事次第

1.開会

2.議事

  (1)循環型社会形成推進基本計画の見直しについて(報告)

  (2)第四次環境基本計画の見直しについて(協議)

・第五次環境基本計画 中間取りまとめについて

  (3)その他

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

 資料1-1 新たな循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針(素案)

 資料1-2 循環型社会形成推進基本計画の指標について

 資料2   第五次環境基本計画 中間取りまとめ(素案)

 資料3   第五次環境基本計画における重点戦略等の基本的考え方(案)

【参考資料】

 参考資料1 循環型社会形成推進基本法(抄)

 参考資料2 中央環境審議会総合政策部会名簿

 参考資料3 中央環境審議会第89回総合政策部会議事録

 参考資料4 第四次環境基本計画の見直しスケジュール(案)

 参考資料5 環境・経済・社会の統合的向上を達成するための方策の事例

 参考資料6 「低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築

~環境・生命文明社会の創造~」についての概要

 参考資料7 平成29年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(概要)

午前10時00分 開会

○山田計画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第90回総合政策部会を開会いたします。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料の御確認をお願いいたします。配付資料については、議事次第の下、配付資料一覧に記載のとおりでございますので、御確認いただき、もし不足している資料等がございましたら事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。

 また、環境省では、環境負荷低減の観点から審議会等のペーパーレス化の取組を推進しております。本日の資料も環境省ホームページにアップロードしておりますので、傍聴される方につきましては、何とぞ御理解、御協力をくださいますようお願いいたします。

 本日は委員総数28名のところ、過半数の委員に御出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることを御報告いたします。

 カメラ撮影につきましては、ここまででお願いいたします。

 それでは、今後の進行は武内部会長にお願いいたします。

○武内部会長 皆さん、どうもおはようございます。暑い中、御苦労さまでございます。

 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。

 今日は環境基本計画について議論をさせていただく前に、循環型社会部会において循環型社会形成推進基本計画の見直しを進めておりまして、これについては環境基本計画の見直しとも連携を図る必要があるということは当然のことでございまして、今日は、その見直しの進捗状況について本日御出席の酒井部会長より御報告をお願いしたいと思います。

 それでは、酒井部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○酒井循環型社会部会長 武内先生、どうもありがとうございます。循環型社会部会の酒井でございます。

 次期循環基本計画策定に向けた部会における検討状況につきまして御報告を申し上げたいと思います。

 まず、お手元の資料の中の参考資料1のところから御説明をさせていただきたいのですが、表面に循環型社会形成推進基本法の中での循環基本計画の位置づけについて規定をされております。この循環基本計画の見直しは概ね5年ごとに行うことということが定められておりまして、見直しに当たりましては、第15条3項のところになりますが、まず中央環境審議会が次期循環基本計画策定のための指針につきまして、環境大臣に意見を述べることとされております。この指針に即しまして環境大臣が中央環境審議会の意見を聞いて次期循環基本計画の案を作成し、閣議決定されるということになっております。そして、最後、第16条のところで循環基本計画は環境基本計画を基本として策定することといったことが定められております。

 この参考資料の裏面のところに今後の予定を示しております。現行の第三次の循環基本計画が平成25年5月に策定されておりますので、5年後ということで平成30年、来年の春ごろに次期循環基本計画を策定することを目指し、現在、循環部会におきまして、この循環計画策定のための指針の審議を行っている、そういう状況でございます。

 それでは、指針の本題に入らせていただきます。資料1-1をご覧いただければと思います。

 これは去る6月22日、1週間前でございますけれども、開催した循環部会におきまして審議を行った際の指針の素案です。全体構成として大きく1から7まで柱を立てておりますけれども、この柱の立て方に関しましては、昨年1年間、循環部会におきまして検討してきた第三次循環基本計画の点検報告書、この今後の方向性に基づいたものでございます。ポイントを1つずつ御説明申し上げます。

 2ページの頭のところにまず1つ目の柱といたしまして、低炭素社会、自然共生社会など社会づくりとの統合的取組という柱を1つ目の柱として立てております。環境基本計画でも重要とされておりますSDGs等に基づきまして、環境・経済・社会課題の統合的解決に向けて循環型社会形成を推進すること、そして、主体間の連携をさらに進めるとともに、各主体の取組をフォローアップして推進することなどを記述しております。

 2つ目の柱が多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化ということを立てております。現行の循環基本計画におきましても、地域循環圏という概念をおいて運用してきておるわけですが、この地域循環圏は専ら循環資源の活用を中心とした概念です。さらに、自然的なつながりなども深めていくという観点で地域循環共生圏の実現を目指すということにしています。それを地域コミュニティの再生、雇用の創出、地域経済の活性化などにつなげていくということをうたっています。さらに、高齢者の見守りと連携したごみの収集、こういった高齢化社会に対応することも意識しています。

 次に3番目の柱がライフサイクル全体での徹底的な資源循環と称しまして、まずは環境配慮設計など上流側での取組を強化し、各主体が連携してライフサイクル全体での資源循環を徹底することとしています。そして、資源生産性の高い2Rに関する産業を育成すること、さらに、3R、リデュース・リユース・リサイクルの中のリデュース・リユース、この頭の2Rに関する産業を育成することなどを記載しています。

 そして、3ページのほうにまいりまして、プラスチックなど多種多様な製品に含まれている素材、食品、金属、土石・建設材料、それから、太陽光発電設備など新たに普及した製品などや素材などにつきまして、必要な施策を講じるということを記載しています。

 3ページのプラスチック類、食品等の各論につきましてそれぞれ方向性を明示するとともに、4ページにまいりまして、4つ目の柱といたしまして、適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進としております。適正な国際資源循環体制の構築ということで、ちょうどバーゼル法の改正がなされたところですが、国内外の二次資源につきまして、日本の環境技術の先進性を活かしつつリサイクルを適正に、かつ着実に進める。そして、循環産業の国際展開の推進ということで、日本の環境インフラの一つとしてこの廃棄物発電あるいは生活排水処理等に関する制度、システム、技術などをパッケージとして国際展開を図るという観点を記述しています。

 それから、5ページにまいりまして、5番目の柱といたしまして、万全な災害廃棄物処理体制の構築を掲げています。災害時における生活ごみ、し尿、災害廃棄物の収集、処理を適正かつ迅速に実施するため、自治体レベル、地域ブロックレベル、全国レベルで重層的に廃棄物処理システムの強靱化を進めることとしております。これは言うまでもなく、2011年の東北大震災を受けて、今後の大きな災害を意識した中での構築ということで考えているものです。

 それから、6つ目の柱といたしまして、適正処理のさらなる推進と環境再生としておりまして、その1つ目に適正処理のさらなる推進といたしまして、アスベスト、PCB等のPOPs廃棄物などにつきまして、化学物質対策全体の視点を踏まえつつ適正に回収・処理することを掲げています。さらに、廃棄物により汚染された環境の再生といたしまして、海洋ごみや散乱ごみに関しての実態把握及びその発生抑制を進めることを掲げています。

 さらには東日本大震災からの環境再生という観点で、放射性物質により汚染された廃棄物の適正処理及び除去土壌等の減容・再生利用などを着実に進めること、さらには、資源循環により被災地の復興を進めることなどを記載しております。

 それから、5ページの一番下から2行目のところから7つ目の柱ということで循環分野におけます技術開発、人材育成、情報発信等を掲げています。3R、エネルギー回収の高度化と二酸化炭素排出量の減少を統合的に実現させる技術などの開発、これを促進するということ。さらには、資源循環を担う幅広い分野の人材育成、さらに、主体間の連携を促進する。そして、個々人の高い問題意識が実際の3Rに関する行動に結びつくような情報発信などを進めることを記載しています。

 最後に8点目といたしまして、6ページの最後のところですが、指標・数値目標に基づく評価・点検といたしまして、日本の物質フローを表す指標や各取組の進展を表す取組指標について検討するとともに、透明性のあるフォローアッププロセスを示すと、こういうことを書いています。

 この最後の指標でございますが、もう一つ、資料1-2を用意しております。資料1-2、循環型社会形成基本計画の指標についてです。

 この循環基本計画におきましては、第一次の当初の計画から循環型社会形成のための経済社会におけるものの流れ全体を把握するこの物質フロー指標、それと循環型社会形成の取組の進展度をはかる取組指標、この2種類の指標を設定し、順次拡充してまいりました。

 そこで、次期循環基本計画は先ほど御説明させていただきました指針の7つの柱に沿いまして、この表1にあるとおり、1の経済社会におけるものの流れ全体を把握する物質フロー指標、それから、個別、7つの柱ごとに物質フローの状況を把握する物質フロー指標、そして、これまでどおりの取組指標、この3種類の指標群を構築したいというふうに考えております。

 これを現行計画の指標、これを仮に7つの柱ごとに落とし込むとどうかということで表2、それから、次のページの表3を用意してございます。

 表2の中では、このものの流れ全体を把握する、いわゆる社会全体の全体像を表す物質フローといたしまして、これまでどおり資源生産性、循環利用率、最終処分量の3つが考えられます。さらに、次の2ページの表3におきましては、7つの柱ごとに現行計画のこの指標を当てはめますと、現行計画のままでは十分な指標の用意されていない柱が幾つかあることに気づかれると思います。具体的には、空欄等のあるところがあるということです。

 この整理を踏まえまして、この秋以降、循環計画の審議とあわせまして、この指標目標についての検討も進めてまいる所存です。

 最後に、参考資料1の裏面を再度ご覧いただければ幸いでございます。

 今後の予定ですが、次回8月2日に再度循環型社会部会を開催いたしまして、パブリックコメントにかける指針案を取りまとめる予定です。パブリックコメントを経まして、9月ごろに指針について中央環境審議会から環境大臣に意見具申を行っていただければと思っております。秋以降、次期循環基本計画に関します審議を行い、来年春ごろに次期の計画の答申をまとめたいというふうに考えています。この循環基本計画は、環境基本計画との協調的展開が極めて大切な計画という認識しておりますので、その点を十分に踏まえまして今後の審議を進めてまいればと思っております。

 以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

○武内部会長 酒井部会長、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの循環型社会形成推進基本計画の見直しについて御質問、御意見のある方は札を立てていただければと思います。

 それでは、この左から参ります。豊岡委員、どうぞ。

○豊岡委員 豊岡と申します。よろしくお願いいたします。

 柱を御説明いただきまして、廃棄物処理施設の地域エネルギーセンター化というような位置づけがございますが、防災拠点としても位置づけることにより、私は非常に大切な視点かと思っておりまして、私は地方で基礎自治体の委員とかをさせていただいておりますけれども、まだ基礎自治体において廃棄物処理施設が迷惑施設であるというような認識が非常に高く、そうではないという認識をもっともっと国主導でやっていただいて、エネルギーがものすごく、ここには眠っておりますので、これの熱利用も含めて、それと施設の多目的利用ですね。そういう防災拠点も含めて私どもも提言しておりますが、なかなか御理解が進まないということがございます。

 ですので、環境省も補助金の割合を変えたり、色々な推進施策はとっていただいているところでございますけれども、これをはっきりと位置づけるということ、どの程度に位置づけるかというところに非常に興味がございまして、本当にぜひこれを基礎自治体の方々、また、住民の方々もまだまだ迷惑施設なのではないか、健康被害があるのではないかというようなことで御理解が進んでいないということがございますので、そこの間をぜひ埋めていただけるような、それを誘導するような計画に位置づけていただけますように、これはお願いでございます。

 それともう一つがリユース・リサイクルの点でも基礎自治体が一般廃棄物の責任を負っておりますけれども、関西では特に持ち去り条例などをつくって、これを管理しようとするような動きがたくさんございまして、実は基礎自治体の負担が非常に重くなっているということがございます。持ち去りということで、これをパトロールしたり、それに罰則を設けたりすることで非常に行政コストがアップしているというようなことがございまして、本末転倒というか、これの責任の所在ももともとリデュースということがございまして、ごみそのものを減らしたり、ごみに係るコストをもっと減らすようなことがないと、非常に基礎自治体はこれから苦しい局面に入っていきますので、こういうところもぜひ国主導で位置づけていただけたらなというふうに思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 南部委員、お願いします。

○南部委員 ありがとうございます。

 循環型社会形成推進基本計画については、熱心に議論され、取りまとめられたことに敬意を表したいと思います。全体には賛成なのですけれども、3点ほど補足的な意見ということで述べさせていただきたいと思います。

 まず、3ページのプラスチックなどの多種多様な製品に含まれる素材というところでございます。プラスチックと言ってもPP、PE、PSなど使われている製品や部品によってその素材や品質などもさまざまです。今後、リサイクルを高度化するという観点から、このプラスチックの分別、収集においては、現在のリサイクル法の区分を超えた「素材別のリサイクル」について言及していただけたらと思っております。再生品の質を向上することが循環型社会には重要だと思っており、大変だとは思いますが、ぜひ素材別のリサイクルについても、御検討いただけたらと思います。

 また、食品ロスの削減の取組の加速化についても大賛成でございます。特に取引慣行の見直しや、賞味期限や消費期限の延長など、製造や流通段階での食品ロスの削減対策をさらに促進しつつ、その対策を消費者にわかりやすく伝え、これまで以上に消費者の理解と協力を促していくことがとても大切だと思いますので、その点についても御検討いただけたらと思います。

 最後もう一点でございまして、5ページの廃棄物により汚染された環境の再生でございます。G7の環境大臣会合のコミュニケにも記載されましたが、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策を正式に位置づけることについては賛成でございます。海洋ごみは、国際的な対応も含めた発生源対策が不可欠でありますが、同時に、海岸などへ漂着するごみの回収など費用の負担を含め、ごみの責任の所在が不明確です。現在も漂着ごみによる被害が各地域で起こっている状況でして、海岸清掃に人的・財政的な負担がかかっています。関係法があるのは存じておりますが、海岸清掃のさらなる財政支援措置が必要ではないかと考えております。

 また、海洋ごみの「漁具」についても、近隣諸国の漁業関係者との対話にあわせまして、海洋中でも徐々に分解が進むような漁業資材の開発など、技術面の記載も必要ではないかと考えておりますので、これについても御検討のほどよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 安井委員、お願いします。

○安井委員 ありがとうございます。

 6ページの最初の上の丸でございます。3R云々でございますけれども、EUのサーキュラー・エコノミー辺りでもこういうことは余りちゃんと書かれていなくて、こういうことをしっかり書いていただけると、かなり画期的かなという気がいたします。ただ、ここをちょっと読ませていただきますと、その技術あるいは技術開発という言葉が主になっているような印象ですけれども、多分二酸化炭素の排出の削減になりますと、社会システムみたいなものが非常に重要なので、その辺りにも若干の言及があったほうがいいかなという気がいたします。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 山極委員、お願いいたします。

○山極委員 ありがとうございます。

 各論についてはそのとおりだなと思って、大変御努力をされていることだと思いますけれども、総論のところで循環型というときにどうしても経済というものが一面に立ってしまうのですね。しかし、今問題なのは、東京一極集中と地方との格差ですね。その経済の循環ばかり、そして、経済的なつながりばかりを深めていくとこの格差が広がってしまう。つまり東京の経済的な全体像というものが目標になってしまって、地域はその下請けになってしまうということなのですね。これは環境指標なのですから、経済というのは自由にしてほしいという気がします。全体のトーンとして環境・経済・社会なのですね。ではなくて環境・社会・経済なはずです。そこのもう少しトーンを変えて、考え方を環境にシフトするようなことにしていただけないかなというのが私の希望です。

 それについては、指標ですけれども、この最後の8番目に指標・数値目標に基づく評価・点検とあります。これまでいろいろ指標は立てられてきたと思いますが、そんなにKPIがきちんとできているわけではないように見受けられますし、その評価をどのようにするのかという基準がもう一つはっきりしていない。これまでの討論で、結局SDGsを目標に全ての組織がまとまって、そして、バックキャストでやっていくということですから、世界的な目標が決まっていて、それに応じて地域の特性に応じた指標が決まると、こういう方向性だと思うのですね。ですから、おのずともちろんいろんなレンジはあるでしょうけれども、どういうことを目標にやっていくのかということは言えるはずです。それについて段階的に評価を下すというシステムを導入することは可能だし、これをやっていかないと環境省のきちんとしたオーガナイズする責任というのは果たせないと思います。

 ですから、こんな3行ぐらいじゃなくて、もうちょっときちんと評価基準と評価目標、そして、評価のロードマップというのを示していただきたいと思います。すみません。

○武内部会長 ありがとうございました。

 浅野委員、お願いいたします。

○浅野委員 循環計画は今度で4回目になるわけですが、三次の計画で特に強調したのは遅れている2Rの促進と、それから循環の質の向上ということを強調したわけですね。その点については、かなり成果が上がったという評価の上にこの指針ができているのだろうと思いますし、全体としてはよくお考えになっていると思います。ただ、今の2Rと循環の質というテーマはやっぱりずっと消えないので、そこをどうもう一回表に出していくかは課題かもしれません。

 それから、もう一つ気になっている点は、やっぱりこの点をなかなか書いてもらえないなと思って残念なのですが、循環基本法のような後発法にはどうしても先行して作られた個別法のほうがついてきてくれないという問題がある。やっぱり循環基本法がある以上は、個別法を循環基本法仕様に変えなければいけない、廃掃法も変えなければいけないというふうになっているのですがこれまで全然そうなってきてはいない。この問題について、やっぱり第四次の循環計画の中でしっかりと書いていただかないといけないと思います。特に廃掃法の廃棄物概念は、全然循環資源の概念と合わないのにそれがそのまま残ってしまっているということは、大変問題だと前から指摘しているのですが、それをどうするのだろうということですね。

 個別についてはよく考えてくださっていると思います。とりわけ何点か気がついたことを申し上げますと、地域循環共生圏という概念を今度はきちっと位置づけてもらえることは大変いいことだと思います。この概念は何となく抽象的に漠然と考えてしまうという傾向があるのですけれども、そうでなくそれぞれのものの特性、地域の特性に応じて個別に考えることが必要ということを思っているのですが、それがしっかりこの指針に現されていることは評価されてよいと思います。

 それから、これも以前からずっと気になっていて、これまでたびたび話題になっていますが、何か困ったものはみんなセメント工場頼みみたいなところがあって、全部セメント工場に持っていって、そこで処理をすると、それで終わりみたいな感じになっているのですが、だんだんセメントの需要も減ってくると、このやり方はどこかで必ず行き詰まると思います。指針では、この点も十分意識されているようで、リサイクルについて再生材の新規利用の促進ということが出ているのですけれども、本当にセメント工場にだけ頼らない方策というのを考えていかないと、どこかで本当に困ったことになるだろうというふうに前から思っています。この辺はもう少し技術開発も含めた議論をぜひやっていただきたい、こんなことを希望いたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 井田委員、お願いします。

○井田委員 ありがとうございます。

 酒井先生を前に私が廃棄物の話などをするのは甚だ恥ずかしいところはあるのですけれども、まず、総論でいうと現状認識のところにバックキャスティングという言葉が入ったというのは非常にいいことだと思うので、全てバックキャスティングというものが重要になっている中で、バックキャスティングという言葉が入ったというのは非常に重要だと思います。ただ、バックキャスティングだと中長期的な方向性でなくて中長期的な目標というのが必要になると思うので、ぜひその辺は、目標があってそれ故のバックキャスティングというのが重要というふうに思います。

 あと、現状認識としてやっぱり日本はリサイクル大国だなどという僕はある意味、幻想だと思っているのですけれども、OECDのデータなんかを見ても日本は決して優等生ではないという現状認識というのを、最初に書くということが重要かなと思います。

 あと、それで重要になってくるのがバックキャスティングと拡大生産者責任であるとか排出規制とか、そういう2Rよりも1R、まずリデュースというのが重要なのだというような現状認識と対策のための企業の責任、消費者の責任、それを実行するための規制というのを明確にされるべきかなというふうに思います。

 各論なのですけれども、やっぱりプラスチックというのは非常に気になっておりまして、この前の審議会でも申し上げたのですけれども、我々が集まっているときにごみの話をするときに、みんなの机の上にこれがあるというのは、本当に僕はよくないことだと思うので、せめてカートカンぐらいになさるとか、そういうふうにしたほうがいいと思うのですけれども、プラスチックごみの処理というのは非常に重要でありまして、ここでも3Rじゃなくて1R、排出規制というのが重要かなというふうに思います。

 あと、5ページ目のところ、新しいところではやっぱり有害化学物質というのを私は非常に取材の中でも気になっておりまして、例えばストックホルム条約との絡みでこれから臭素系の難燃剤なんかはリサイクルの中で非常に大きな問題になってくると思うので、化学物質対策とリサイクルというのをきちんとここで位置づけるということが非常に重要かなというふうに思います。

 あと、マイクロプラスチックと海洋ごみというのが入ったというのは非常に重要なことだと思うし、世界の動きは非常に激しいので、ちゃんと排出抑制をしていくのだというようなことが書かれるというのも非常に重要かと思うので、ここら辺の記述がさらに豊かになるということを期待するのですが、排出ごみとか海洋ごみというと、どうも日本は被害者であるというようなところが強く出てくるのですけれども、やはり日本が加害者であるというようなことも忘れてはいけない視点なので、ぜひそこら辺も明らかにしていただきたいというふうに思います。

 漂着ごみは確かに重要ですけれども、日本もたまたま東側に太平洋があって、目に見えなくて、どこに漂着しているかわからないけれども、日本は大きな加害者でもあるということを認識すべきかなというふうに思います。ここでも多分、拡大生産者責任とか排出規制とかいうのが重要になってくるかなというふうに思います。

 以上、当たり前のことでありますが、私から申し上げます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 三浦委員、お願いします。

○三浦委員 ありがとうございます。

 1番から6番、8番はかなりきめ細かくまとめていただいていると思うのですが、先ほど安井先生からもありましたけれども、この環境分野における技術開発、人材育成、情報発信にたくさんのものを入れ込んでいらっしゃるという印象があります。1つは技術開発と社会システムの再構築、もう一つ、人材育成ですとか情報発信と分けられたらいかがでしょうか。

 それに伴って評価の指標なのですが、技術開発、社会システムの再構築のほうでは、例えば技術特許の申請数、環境ガイダンス・ガイドラインの成立件数と数値で表現できるものとし、日本が環境技術に関しての先進国だということを国際的に示していける形でまとめられたらどうかと思いました。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。

 実はこの部会に参加をしておりますので、個別のところはそちらのほうで発言させていただいているのですけれども、今やはり非常に循環基本計画とのつながりから考えると、この2番のところの地域循環共生圏、やはりここをしっかりつくっていくというのがつながりのところで非常に重要だというふうに思っております。ただし、資源循環というところから考えると、本当に地域のサイズで循環するものと広域で循環をすることで生きてくるもの、そして、海外展開で生きてくるものとやはりいろいろな流れがありますので、きちんとそういうものも見据えながらこの地域循環共生圏、地域の個性を生かしながらつくって、それをつないでいくというふうなことをしっかりと考えていければいいなというふうに今改めて感じました。

 なお、ライフサイクル全体のところなのですが、もう既にいろいろ御発言はありましたが、これまで2R、リデュース・リユースのところが大事だと言われてずっとやってまいりましたが、制度的にまだもう少し明確に入っていないところがあるのではないかというふうに私も感じておりますので、今回の中でそういうところがしっかり入っていくようになるといいというふうに期待しております。

 具体的には、このプラスチックのところも海洋ごみの中でも大変出てきましたので、大変重要な課題だというふうに思っております。あと、食品ロスなどは自主的な動きも広がっておりますが、こういうところを広げて、やはり資源が大事な時代ということを明確に位置づけた循環基本計画になるように、これからも進めていければというふうに考えております。

○武内部会長 ありがとうございます。

 田中里沙委員、お願いします。

○田中里沙委員 田中です。ありがとうございます。

 7番のところの循環分野における人材育成ですが、情報発信のところにデジタル技術、ICT、AI等の言葉があるのですけれども、その他のところにこの表現がほとんど出てこない状況の中で、1番に戻りまして、今の生活・生産スタイルの変化について3つ目の丸で触れていただいているのですけれども、この辺りはシェアリングエコノミーや高齢化社会という進展と、発現されている社会の変化というのはあるのですけれども、これと同時に、やはりビッグデータやAIを踏まえた生活も事業も活動が見える化しているというふうなところが、組織、地域、個人のレベルにおいてもあるということが記されるとよいかと感じます。情報社会環境を踏まえた状況とともに、一人ひとりが当事者意識も感じられるという意味でも、そういう表現が入っているとよりわかりやすいかと思いました。

 3番目のライフサイクル全体での資源循環にも、おそらくITを有効に活用する視点が入る部分かと想像します。特に1の生活スタイルのところは、自身の活動や生活が環境に与える影響等が数値やデータで見える時代の中で、理解し、考えや行動に変化を与える流れが問われていると思っています。

○武内部会長 ありがとうございました。

 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 循環部会のほうに入れていただいていますので、先生方の御意見等の関係で一言か二言ぐらい申し上げるということでございますが、浅野先生がおっしゃったように、2Rとか、あと循環基本法との関係で個別法がついてこないという辺りは余り入っていないような気がしましたので、ぜひ追加する必要があるのかなというふうに思いました。

 それから、もう一点ですけれども、山極先生がおっしゃったことはそのとおりで、環境が基礎だということは明確に打ち出したほうがいいと私も思っておりますが、若干我々がここで今、第五次環境基本計画でやっていることと循環社会形成推進基本計画でやっていることは、少し違っている面もないわけではなくて、循環型社会のこの基本計画のほうは、やはり人為的な循環のことを考えているものですから、環境が基礎なのですけれども、ちょっとやっぱり見ているところが人為的な循環を回すところの廃棄物リサイクルの問題が中心になっていますので、ちょっとだけ違うところもあることはあるかなと。ただ、先生のおっしゃるようにやっぱり環境が基礎だということは非常に重要だというふうに私も認識しております。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 髙村ゆかり委員、どうぞ。

○髙村ゆかり委員 ありがとうございます。

 前回の循環部会を失礼したものですから、2点だけ申し上げたいというふうに思っております。

 1つ目はSDGsの関係で、全てSDGsの内容を反映させるということではなく、日本の文脈において重要なものを特にきちんと入れていくということだと理解をしているのですが、現在書いていただいている案の中の基本的な考え方に入っていると思うのですが、特に持続可能な消費と生産もつけていいと思うのですが、持続可能な消費、つまり消費そのもののあり方を問うということも既に柱立ての1、3辺りのところに書かれていると思うのですけれども、前に打ち出していただいてもよいのではないかというのが1つでございます。

 それから、2つ目は何人かの委員の先生からもあった評価というのはなかなか悩ましいなというふうに思っておりまして、これは循環基本計画だけでなく、特に統合的な取組と打ち出したときにどういうふうに評価の指標を立てていくかというのは、恐らくどの計画をつくっていく段階でも非常に大きな課題になってくるというふうに思っております。

 そういう意味では、循環の計画だけではなくて基本計画のところで議論もしなければいけない論点だろうというふうに思うのですけれども、循環の文脈だけで申し上げますと、やはりSDGsの関係でインジケーターが幾つか既に仮とはされていますけれども、仮だけれどもオフィシャルなインジケーターが決まっておりまして、その中で例えば有害廃棄物の発生量あるいは人口比の発生量といった非常に具体的な成果指標といったようなものも入っておりますので、幾つか少しSDGsのインジケーターを踏まえて評価の指標のところに盛り込むべきものがあるかないかを精査していただくのがよいのではないかと思っております。

 以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 今日はほかの議題もあり、これについて全て今いただいた御意見、御質問にお答えすることはできないと思いますが、酒井部会長と、それから、リサイクル推進室長からお答えをお願いします。もう一回ですか。では、どうぞ。手短にお願いします。

○豊岡委員 手短に、先ほど山極先生からおっしゃっていただいたことで、環境と経済のこととちょっと誤解がないように申し上げたいのですけれども、地域の視点から言うと、再生可能エネルギーやごみの循環などがビジネスチャンスだと考えております。そして、GDPは上げつつもCOは下げるということももう既に起こっていることでございまして、地域になかなか産業が生まれない中で、そういうものをビジネスにしていくという視点が非常に私どもは重要だと思って発言をさせていただいておりますし、それを国は後押ししていって、地域の活性化なりこういう廃棄物を資源としてエネルギー拠点にしつつ、それを産業にしていくエネルギーの発電事業会社とか、そういう新たなビジネスを考えていくというようなことを思っていて、経済と環境は切り離しては考えられない大きな視点だと思っていて、地方の経済を上げつつ環境を守っていくというような視点で、決して経済を後に置くというものではなく、経済の質を変えるという意味で非常に経済の視点は重要だと思っているので、ここをお忘れなきようにお願いしたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、酒井部会長、お願いします。

○酒井循環型社会部会長 どうもありがとうございました。多くの指摘、そして、気のついていない指摘も頂戴いたしまして、今後しっかり考えていきたいと思います。

 まず総論的なところで、最後にも触れていただきましたが、環境と社会と経済と、こういう枠の中で循環型社会をどう考えるという点、しっかり考えてまいりたいと思います。その種々の関係等に関しましては、やはり部会の中でも若干見方が異なるという点があるのは現実でございますけれども、大きな時代トレンドの中でどう見ていくかということをしっかりと整理していきたいと思います。

 最後に今、豊岡委員のほうからおっしゃられた点というのも、地域との関係というのも極めて重要なことだと思っております。その関連で山極先生のほうから御指摘いただきました指標の部分でございますが、最後3行のみというところ、ここはしっかり最終段階では書き込んでいくように努力をしたいと思います。今回、資料1-2で、現在進行形で悩んでいるところを含めて御提示申し上げておりますので、これがしっかりと目標なりあるいはロードマップというような形で書き込めるところにどこまで到達できるかというのがこれからのポイントかというふうに思っております。

 それからもう一点でございますが、浅野先生と、それから、大塚先生のほうから現在の第三次の循環基本計画との関係という意味で、2Rあるいは循環の質、まだまだ取り組むことはあるのではないかという点につきましては、相当ここもやはり認識をしておりまして、今回、資料1-1の2ページから3ページ辺りにかけましては、2Rに関する産業育成といったような、こういう言葉まで書き込んで具体的な対象を含めて見てまいりたいというふうに思っております。

 その中で、やはり今回は海洋プラスチックとの関係あるいは温室効果ガスとの関係等々でのプラスチック素材をどう考えるというところは、1つの大きな象徴的な課題かと思っております。ここもその具体策ということに関しましては、これからの議論ということになりますけれども、しっかり考えてまいりたいというふうに思っております。

 それからあと、井田委員のほうからバックキャストということでの言葉が入ったことを評価いただいたのですが、いわゆる地球環境対策で出ておりますバックキャストに比べまして、やはり資源循環のところのバックキャストは難しい、すなわち将来の目標がどの辺りにあるべきなのか、また置かねばならないのかといったところは設定自体が結構難しいと申しますか、まだそういった側面の研究も不十分ではないかというふうな現状認識をしておりまして、今回、1-1の2ページのところでは、ちょっと残念ながらバックキャスト的と「的」を入れています。この辺りが今、私どもの認識の精一杯なところなのですが、何とかそれを環境全体の考え方についてまいりたいという努力をしたいと思っているところです。

 個別課題に関しましては、それぞれプラスチック問題あるいは食品ロス、それからあと、有害化学物質、この辺りのところでの御指摘をしっかりと踏まえてまいりたいと思います。また、技術だけではなくて社会システム、そして、おそらくは社会システムの後にライフスタイルという個々人の話も関わってくる問題かというふうに認識しておりますので、そういった総合性を十分意識して進めたいというふうに思っております。

 私のほうからは以上にさせていただきます。

○田中リサイクル推進室長 本日、海ごみについても複数の御意見をいただきまして、ありがとうございます。6月11日から12日までイタリア・ボローニャで行われましたG7の環境大臣会合の中でも海洋ごみにつきまして、とりわけプラスチックごみ、マイクロプラスチックに関する懸念を改めて表明し、この地球規模の脅威との戦いに対するG7のコミットメントを再確認すると、そして、効率的な資源利用ですとか廃棄物管理等、より資源効率性が高い循環型の経済モデルに向けて進むことが海洋ごみに効果的な対処であると信じるということをG7として宣言させていただきました。また、去年の富山物質循環フレームワークをさらに具体化したボローニャ5カ年ロードマップが、資源循環の分野についてG7で合意しております。

 その中でもプラスチックについて、環境、特に海洋へのプラスチックの流出を回避するというためにプラスチックのリサイクルと再利用に対する障壁に対処するのだというようなことをG7で合意しております。この問題としっかり取り組むべく、先般の循環部会のヒアリングにおきましても、東京農大の高田秀重教授からもインプットいただいたところでございますので、今後の循環基本計画の審議の中でも議論を深めてまいりたいと考えております。

 また、現行循環計画の三大指標の一つが資源生産性でございまして、少ない天然資源投入量で高いGDPを上げるような社会に全体として向かっていかないといけないというところでございます。しかしながら、これが近年、5年ぐらいが横ばい状態にありますので、そういうことも含めて、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環ということを去年1年間の循環部会での議論の中で、今後の方向性の柱の一つとして打ち出されたものかと考えております。

 本日いただいた御意見も参考にさせていただきながら、循環部会での御議論を深めていただけるよう、事務局としても頑張りたいと考えております。

 以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。時間もございませんので、この辺でこの議題については終わらせていただきたいと思いますが、酒井部会長におかれましては、引き続き私どもの環境基本計画、議論を聞いていただければ、また連携のためにもいいのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 前回、4月27日にこの部会でSDGsの考え方をどう活用するのか、あるいは重点分野をどういうふうにして設定していくのかといったことについて、御意見をいただきました。今回はそうした御意見を踏まえまして、事務局で第五次環境基本計画の中間取りまとめの素案を提出させていただいておりますので、まず、これについて、資料2、資料3を用いて説明をお願いいたします。

○山田計画官 それでは、事務局より説明させていただきます。資料2と資料3をご覧いただければと思います。この資料は、先ほど部会長からお話ありましたとおり、本年2月の第88回部会、4月の第89回部会の議論を踏まえ、部会長と御相談の上、事務局として案を作成し、本日お示しさせていただくものでございます。

 まず、この資料2の1ページで全体構成を説明したいと思います。委員の皆様の議論の時間をしっかりとりたいと考えておりますので、ごく簡単な説明にとどめさせていただきたいと思います。

 この資料、3部構成となっておりまして、第1部が環境の状況、それから環境政策など、基本的な方向、第2部が今後の環境政策の具体的な展開、第3部が、2ページにいきまして、計画の効果的実施ということでございますが、第3部につきましては、16ページの最後に少し書いてあるだけでして、これは中間取りまとめ以降に引き続き議論ということにしたいと思い、今日は第1部、第2部を主に議論させていただければと思っております。

 第1部の中は3章構成となっておりまして、第1章が環境及び社会経済の状況、第2章が目指すべき持続可能な社会の姿、環境政策の課題、今後の基本的な方向、第3章が環境政策の原則・手法でございます。第2部の中は、これも3章構成となっておりまして、第1章が重点戦略の設定、第2章が自然災害及びそれにより引き起こされる災害に対して環境面から取り組むべき事項、第3章が環境保全施策の体系ということでございます。

 それでは、第1部、説明させていただきます。

 基本的には、今までの考え方ペーパーで示したものとほぼ同じでございますが、1カ所だけ、4ページの下から2番目の丸、今年6月にトランプ大統領がパリ協定から脱退を表明したというようなことがございましたので、こちらを追記させていただきました。ただ、この際、安倍内閣総理大臣から、この表明の後も、我が国としては目標達成に向けしっかり取り組むことを、国会でも明言しているということでございます。

 それから、7ページにいきまして、第2章、持続可能な社会の姿ということで書かせてもらっておりますが、第四次環境基本計画に目指すべき持続可能な社会の姿の定義が書かれておりまして、基本的には、この第五次環境基本計画においても、その第四次計画の考え方を引き継ぐと考えております。

 8ページ、上のほうです。環境政策の果たすべき役割ですが、環境政策をてこにして、あらゆる観点からイノベーションを創出し、経済・社会的課題の同時解決に資する効果をもたらすということを目指したいと考えております。

 8ページ、2ポツ、課題というところですけれど、幾つか書いてございますが、8ページのこの下のほうから9ページにかけまして、5つポツがございます。環境への配慮を経済社会の仕組みの中に組み込み、主流化させること、それから、あと人工的なストックを、自然由来のストックで一部、補完・代替することを含め、国土や生態系のあり方について見直しを図る。各地域レベルでは、地域の環境政策と経済・社会的課題を同時解決できる具体的な方法を見出す。それから、経済社会活動における環境負荷を低減する予防的な取組を行うなど、健康で心豊かな暮らしを実現する。さらには、環境研究、技術開発とその普及ということでございます。これらの課題の解決に当たりまして、外部性の内部化ですとかインセンティブの付与、教育(ESD)を通じた環境意識の醸成、パートナーシップの促進の施策などの仕組みづくりが必要であるということも念頭に置くべきと、記させていただいています。

 その下に、国際的な貢献のことを、積極的な貢献もそうですし、我が国のプレゼンスの向上も必要であると、書かせてもらっております。

 9ページの下のほう、3ポツ、今後の環境政策の展開、基本的な方向性ということですが、3つございます。国際・国内情勢の的確な対応ということで、過去のペーパーにもありました「ゲームチェンジャー」という表現も使わせてもらっております。

 10ページにいきまして、(2)取組の具体化ということですが、最近の課題は複合性を有したものでございますので、分野別の重点分野を設定するということではなく、横断的かつ重点的な枠組みを戦略的に設定するということでございます。

 (3)がSDGsの考え方の活用ということですが、1つ目の丸のところ、後半に「特に」ということで、SDGsのゴール・ターゲット間の関連性については、環境が全ての根底にあり、その基盤上に持続可能な経済活動や社会活動が依存しているという研究成果も示されているということを、御紹介させていただいております。それ以外に、統合的、マルチベネフィット、全員参加型、バックキャスティング、「誰一人取り残さない」という性質、特徴も御紹介させていただきまして、これらの考え方を活用していくということでございます。

 11ページ、第2部にいきまして、今後の環境政策の具体的な展開でございますが、1ポツとしまして、重点戦略の設定でございます。考え方といたしましては、重点的な取組を引き続き続ける、そのときには横断的な枠組みを設定するということで書かせてもらっています。その中で、課題が先ほど申し上げましたとおりにありますので、6つの重点戦略を設定させていただくということで書かせてもらっております。その際は、政府部内の各計画、関係省庁間の政策との連携・協力を一層進めるということを、11ページ下のほうに書かせてもらっております。

 12ページに移りまして、重点戦略の特徴でございますが、内容として重複する部分も生じるということですが、むしろこれは相乗効果が生まれるということにもつながってくるのではないかと思っております。

 12ページ、真ん中辺り、2ポツ、パートナーシップの充実・強化でございますが、その後の重点戦略、それから重点戦略を支えるものという、この記述の前に、パートナーシップの充実・強化という項目を設けさせていただきまして、各重点戦略に位置づけられる各施策の実施に当たっては、パートナーシップの重要性を念頭に置きながら、検討を進めることが望ましいというふうにさせていただいております。

 12ページ、下のほうです。3ポツで重点戦略といたしまして、(1)から(6)までございます。

 (1)が持続可能な経済社会の構築、環境への配慮を経済の仕組みの中に組み込んでいく、経済における環境の主流化を図るということで書かせもらっております。

 (2)が、13ページに移りまして、国土のストックとしての価値の向上、レジリエンスの話などを記載してございます。

 14ページにいきまして、(3)地域循環共生圏形成による地域づくりということで、地域における自然環境を地域の財産として捉え、地域における自然資本等を持続可能な形で最大限に活用し、環境の側面も利用して地域づくりを推進していく意義を確認、その方向性を打ち出すべきとしてございます。

 (4)ですが、健康で心豊かな暮らしの実現ということで、リスクに直面しているというものの改善と予防的取組ということを書かせてもらっております。

 (5)将来を支える技術の開発・普及ですが、既に確立された技術を普及するとともに、あるべき未来を支える革新的技術の開発・普及ということについて、触れさせていただいております。

 (6)国際貢献ですが、国際的なルールづくりに積極的な貢献を行い、国際社会における我が国のリーダーシップを発揮と書かせてもらっております。

 15ページ、下のほうですが、以上、6つの重点戦略においては、中間取りまとめ以降の過程において、それぞれ具体的な事項を追記することとしたいと思います。

 15ページ、下のほうの4ポツ、重点戦略を支える環境政策の展開ということで、ESD等の人づくり、環境保健対策、環境影響評価、環境情報整備、公害紛争処理などの記載をさせていただいています。

 16ページに移ります。第2章、自然災害及びそれにより引き起こされる災害に対して環境面から取り組むべき事項といたしまして、東日本大震災、熊本地震等の大きな災害が発生していることを踏まえ、つけ加えた事項でございます。ここでは、東日本大震災に関してということで、1ポツ、2ポツと書かせてもらっております。1ポツは、放射性物質とは別の、関係なく、まちづくりの話についてでございます。2ポツは、放射性物質に関するもので、中間貯蔵施設、放射線に関わる住民の健康管理、健康不安対策ということでございます。

 第3章で、環境保全対策の体系といいますのは、第四次計画でも書かれておりました。これはごく簡単に構成などというふうにしたいと思っております。

 第3部の計画の効果的実施は、先ほどお伝えしたとおりでございます。

 まだ十分に練られてない部分、多々あると思いますが、皆様のお知恵いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 今、中間取りまとめの素案というものを提示させていただきました。これが次期環境基本計画のいわば骨格になる部分だと御理解いただければと思います。内容的には、重点戦略については、これは、もう3年前になりますが、環境大臣への意見具申での提案をかなり踏まえ、そして皆さん方の御意見をいただいた結果を踏まえて、それを改善したという形になっております。この辺りを中心に御意見をいただければと思います。札を立てていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

 今度は逆回りでお願いします。三浦委員、お願いします。

○三浦委員 ありがとうございます。

 どこがということではなくて、全体の構成としてわかりにくいと思うのですが、まず第1部において、全体の状況、これは客観的な状況記述で記載していただきたい。例えば、7ページ目の我が国の社会経済の状況というところで、高齢化率、孤立可能な集落数が現状で、行政機能の発揮が困難ですとか、国土の利用に空間的な余裕を見出せるというのは現状から導かれる課題説明で、その後が国土利用や地域づくりの機会を捉えようとしているというのは、具体的な課題解決や今後の方策であり、記述の仕方に、客観的な事実と課題、今後の方向性というのが、かなり入りまじっている印象で、物事の理解を促しにくい状況が起こっているということが1点です。

 さらに今後、記述も増えて、詳細、記載されるのだろうというふうに考えますが、第2章の自然災害及びそれにより引き起こされる災害に対する環境面からの取組ということで、その代表例が東日本大震災と放射性物質の環境汚染だけでいいのかどうかということは、今後検討していただきたいと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 根本委員、お願いします。

○根本委員 ありがとうございます。

 私から3点述べさせていただきたいと思います。

 1点目でございますが、10ページでございます。(2)でございます。環境・経済・社会の統合的向上に向けた取組の具体化という部分でございます。複数の異なる政策課題を統合的に解決するという視点ですね。そのために分野横断的な課題を設定するといった方針、まさに検討に値する御提案だというふうに思いますので、大きく賛同した上での意見ということで言わせていただきます。一歩ということになるのですけれども、互いに深く相関しているがゆえに、時に、あるいはしばしば、異なる政策課題がトレードオフの関係に陥ってしまうというようなことが起きるというふうに思っています。したがいまして、単純な同時解決の方向性を見つけ出すことが、大変難しいということだと思います。

 自動車の例で恐縮なのですけれども、自動車、トレードオフの宝庫だというふうに思っていまして、冒頭、先ほど酒井先生のほうから、循環型社会を進めていくに当たって、低炭素社会あるいは自然共生と統合的に進めていくというお話がありましたので、今後ということでは余り心配はしていないのですけれども、足元の実力現状ということの御紹介でございます。車の場合、資源循環、当然しっかりやらなきゃいけないということで我々は進めているのですけれども、このリサイクル率を上げていくということと、やはりCOを下げていくということ、トレードオフに陥ること、大変多くございまして、開発人が大変苦労しているという状況でございます。

 例えばということでございますけれども、金属なんていうのは、比較的リサイクルしやすい材料だというふうに思っていますが、こちらを進めると、なかなか車の軽量化が進まず、なかなかCOが思うように下がらないということがございます。一方、軽量化を進めたくて、CFRPですね、炭素繊維だと思うのですけれども、こういったものを広く採用していこうと思うのですけれども、こういったものになると、今度、リサイクルの技術が大変難しいですとか、あるいは製造過程においてCOがたくさん出てしまうといったような、そういったようなことがたくさん生じてしまうということでございます。

 こういった話は車だけではなくて、ほかの製品、たくさんあると思います。また、今申し上げているのは、環境の中でのトレードオフの話でございまして、ましてや環境あるいはそれ以外と、社会や経済ということをまたぐ課題になった場合のトレードオフって、大変多いと思うのですね。したがいましてということになるのですけれども、やはり他省庁はもとより、企業あるいは自治体、あるいは多様なアクターの参画、連携を促していくということにおきましては、そういったトレードオフの関係をしっかり理解した上で、やっぱりゼロ、100ではなく、AかBではなくて、バランスをとっていくということが大変重要だというふうに思っています。

 したがいまして、この基本計画におきましては、そういった高い付加価値あるいは縦割りを脱却するような計画となるようなことを、期待させていただきたいというふうに思っています。

 以上が1点目でございます。

 2点目でございます。こちらは11ページでございますけれども、冒頭、11ページの上のところに、「基本的には四次計画の記載を踏襲」という表現がございます。経済・社会・環境の統合的解決、とりわけ環境と経済の両立を図っていく上では、従来の環境政策の原則ということだけではなくて、経済合理性あるいは費用対効果、さらにはエネルギー政策におけますSプラス3Eといったような、考慮すべき重要な視点、多々あるかというふうに思いますので、こういった視点につきましても、やっぱり政策を検討する上での基本中の基本だというふうに思いますので、第五次基本計画を検討されるに当たりましても、十分に踏まえていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、こちらは12ページでございます。パートナーシップの充実・強化という部分でございまして、経済・社会・環境の統合的解決に向けましては、多様な主体の自主的・主体的な取組に加えまして、主体間のパートナーシップが鍵であるという点、そのとおりだというふうに思います。産業界におきましても、これまで低炭素社会実行計画あるいは循環型社会形成自主行動計画などを通じまして、地球温暖化対策、循環型社会の形成に貢献してきているというふうに思っております。また、低炭素社会実行計画におきましては、多様な主体間の連携によりまして、ライフサイクルを通じた削減、こういったものにも取り組んでいるところでございます。ぜひこうした産業界の自主的取組につきましても、地球温暖化対策計画でも取り上げていただきましたように、基本計画においてしっかりと位置づけていただければというふうに思います。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、田中里沙委員、お願いします。

○田中里沙委員 田中です。

 10ページと12ページにSDGsの考え方について表現していただいていまして、10ページについては、基本の考えが丁寧に書かれているところで、このSDGsをいかにみんなで総合的にみて運用していくかというのが、大切な課題の一つと捉えています。12ページのパートナーシップの充実のところが適切と考えますが、産業界の理解や参加を高めるために、力強い表記ができるとよいとのイメージを持っております。具体的には、今の事業活動にSDGsの考え方をアドオンしていくのではなく、SDGsの思想をいかに本業に落とし込んで、事業化していけるかが、大切です。

 例えば、多くの企業がこれまで環境部やCSR部を新設してきたように、「SDGs事業開発本部」のような新設部門を立ち上げ、そこで具体的なビジネスモデルをつくっていくなど、活動と実践するイメージが有効と考えます。産業界について、この基本計画の中で書き込むのがふさわしいかどうかは慎重に考えるべきことかもしれませんが、読んだ方が、自らの役割としてSDGsの担い手、参加者として意識できるような表記がなされてもよいかと思っています。

 あわせて、昨今では、ダイバシティー、多様性などの方針について、企業はCSRということではなくて、経営の中枢に置くとなっていますので、このSDGs、環境に関する取組自体も、経営の中核に存在するような理解が深まることを期待します。このパートナーシップの運用のところかどこかに、認識できるような表現ができるといいかと思っております。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 田中充委員、お願いします。

○田中充委員 ありがとうございます。

 私のほうから、総論的なところで2点と、それから各論で3点、指摘を、あるいはコメントを述べさせていただきたいと思います。

 全体的には非常に目配りがきいたまとめになっているというふうに思います。その上で、総論的なところでは、一つは、これは中間まとめに書いておいたほうがよろしいのかなと思うのは、進行管理、計画の進捗管理の仕組みをどうするかという点です。この点が抜けているように思いますので、これはどこかで整理をしておいたほうがよろしいのかなと思います。この後の追記的なところで何か記載があるかもしれませんけれども、計画の進行管理をいかにしていくのか。これは従来から実施している点検評価の仕組みがあり、それを踏襲していくということだと思いますけれども、それに加えて、先ほど議論がありましたが、環境指標をどう考えていくのかというのもあるかと思いますので、含めて整理をしたらどうか。これが1点です。

 それから、2点目ですが、特に第1部のところで、環境の現状、環境の状況のことが書いてございまして、できれば図とか表とか、少し基礎データに基づいた状況を提示していただけると、非常にわかりやすく見えるのではないかなと思います。こうした点も工夫していただけるとありがたいなと思います。

 以上が総論的なところの2点です。

 それから、各論のところで気がついたところを3点ほど申し上げたいと思います。

 1点目は、これは9ページのところで、環境政策をどう解決していくかということで、特に「これらの課題の解決に当たり」という真ん中のところの白丸がございます。9ページの真ん中のところです。外部性の内部化とか環境配慮を進展させるインセンティブとか、こうした記述がありまして、もう一つ、ここでぜひ加えといたほうがよろしいかなと思いますのは、いわゆる計画段階、政策段階からの環境配慮の組み込みという点です。つまり、事業計画づくりあるいは政策づくりに当たって、環境配慮を組み込んでいくのだと、この考え方をぜひ整理をしていただいたらよいと思います。これは、環境基本法第19条ですか、国の施策の策定等に当たっての配慮として記載されていることですが、このことを計画の中でもしっかりと位置づけるというのが必要かなと思います。

 それから2点目は、自然災害のところが、たしか最後の16ページでしょうか、第2章、自然災害、取り組むべき事項とございました。ここに関係することであり、また全体的にも係ることなのですが、これから気候変動の影響がさらに深刻化し、激化してくると、こういう状況になっています。特に、日本では、脆弱な国土に対して自然災害、水災害を中心とした災害が非常に激しくなってきます。そういうことについて、国土の開発、これはストックとしての国土の保全というふうなキーワードはありますが、そうしたこれから数十年にわたって激化していく気候変動影響についてどう対処するか、そういう視点をぜひ入れていただいたらよろしいかなと思います。これが2点目のことです。

 3点目は、ちょっと戻りますが、重点戦略ということで6つの課題を整理されていただいております。これはこれで、非常に目配りがきいたことだと思いますが、各項目の見出しのところが一般論的な表記になっておりまして、ここの項目は環境政策の側からの重点戦略ということになりますので、例えば、先ほども触れました国土のストックとしての価値の向上とか、あるいは、将来を支える技術の開発・普及と、この辺りは、環境政策に寄与する、あるいは環境政策の観点からの文脈で考えているという、その見出しを工夫していただけるとよろしいかなと思います。

 あわせて、今申しました技術の開発・普及のところでは、観測とか計測ですか、環境の状況が、例えば気候変動もそうですし、それから廃棄物もそうなのですが、きちんと計測データを把握し、そうしたデータに基づいた科学的知見を蓄積し、そして政策を決定していく。そういうプロセスが必要だと思いますので、そのことも含めて、書き込めるとよいかなというふうに思います。

 長くなりましたが、以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 末吉委員、お願いします。

○末吉委員 ありがとうございます。

 この素案に書かれていることは、大変いいものがいっぱい書かれているということで、よかったなと思っております。ただ、そのよさを考えれば考えるほどに、この計画をどうやって実現させるのだろうかと、実行の手段のことがとても心配になってきます。ぜひ有言実行にしたいのですけれども、不実行にならないために、私見ですけれども、2点申し上げます。

 一つは、今、世界で起きていることは、私の考えでいきますと、物言の判断基準とか座標軸とかあるいは価値観とか、そういったものの今、原理原則が大きく転換しているということではないかと思うのですね。例えば経済でいえば、成長だけを考えてきた経済モデルはもうだめなのだと。先ほど来出ている環境や社会とのバランスのとれた、これはビジネスモデルでいえば、これまでの企業のビジネスのあり方を根底から変えるという話ですよね。もちろん、短期利益を追求することはやめて、長期利益にシフトしようじゃないかとか、あるいはエクスクルーシブだったのをインクルーシブにしようじゃないかと。これはまるで左にあったものを右に持ってくる、あるいは右にあったものを左に持ってくるような、私は180度の転換が起きているような気がいたします。

 例えば、エネルギー分野でいけば、明らかに主役の座をおりた化石燃料ですよね。自然エネルギーが本当の主役になり始めているわけです。お金の流れが完全に変わっております。とすれば、自然エネルギーを最優先するという、こういう原理原則がどうしてできないのでしょうか。あるいは、グリッドは私企業の私有財産なのでしょうか。今あるのは、グリッドはこれこそ公共財、そういう考え方にバリューが変わっているのではないでしょうか。あるいは、金融で申し上げれば、お金のことをお金だけで考える時代は終わりましたですよね。お金にESGを組み込んだ投資や融資があるべきだというふうに、大きく転換をしようとしております。

 こういったことを考えると、この第五次環境基本計画を実際に本当につくって、実行していくときに、何をベースに価値判断のバリュースタンダードを持つのか、この議論はやっぱりしっかりとやるべきではないかと、私は強く思います。

 それから、もう一つは、経済、社会あるいは環境の全体の社会全体といいますか、国全体を巻き込んだ統合的な対応をとるという話が随所に出てきます。私はそのとおりだと思います。でも、例えば先般、新聞で報道されました骨太の方針、成長戦略、あるいはそこでうたわれている未来投資戦略、Society5.0、こういったことを新聞記事だけですけれども、幾つか読みましたけれども、そこにはこういった今ここで議論されているような要素は、基本的に全く入っていません。私が見落としているのかもしれませんけれども。

 でも、こういうことで、本当に今ここで議論されている、こういう素案で書かれていることが、これからの日本の中で、文字どおり世界との競争の中でできるのでしょうか。ドイツは、御存じのとおり、エネルギー面では、第二次世界大戦後、最大の社会改革だと取り組んでいるわけですよね、法律までつくって。中国は今、静かな産業革命を起こしているという言い方で、社会全体、金融を巻き込んだ総合的な政策を打ち始めております。こういったことを考えますと、やはり連携を深める、あるいは協力を一層進めるという表現はあるのですけれども、本当に日本の政府全体あるいは国全体で、ここでうたう環境基本計画を共有して、実行するという仕組みが本当にできるのでしょうか。

 あえて申し上げますと、環境基本計画ではないですよね、ここに書いてあることは。明らかに環境・経済・社会基本計画だと思います。とすれば、こういう非常に包括的な、ホリスティックな対応が要求される環境基本計画の議論においては、じゃあそこで決めたことをどう実現するのか、このことも私は非常に重要だと思います。

 最後に、そういったことを含めて、やはりたくさんのことが入っておりますから、多分、最終形になるともっと長文になると思いますので、ぜひいろんな人がわかりやすく読めるように、本当の意味でのエグゼクティブサマリーをつくっていただきたいのですよ。それを読むと、ああ、今度の基本計画は何をどうしようとする、基本のアイデアがスッと頭に入ってくるような、ぜひそういうエグゼクティブサマリーをつくっていただきたいと思っております。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、小林委員、お願いします。

○小林委員 ありがとうございます。

 まず、総論として、この中間取りまとめの素案は、環境政策の取組みに対する強い思いが伝わる内容になっていて、非常にいいかなと思います。一方で、これは閣議決定される「基本計画」という位置づけだとか、最終的には国民に正確にお伝えして、御理解をいただく意味合いのものであるということを考えると、三浦委員からも御指摘がありましたように、できるだけ客観性や透明性を持ち合わせた形で、やはり記載すべきかなと思っております。

 例えばということで何点かお話しすると、4ページ目のパリ協定で合意されたことと書いてあって、「今世紀後半の温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡」とまではパリ協定の中で謳われていると思うのですけれども、その流れで一気に「世界全体での脱炭素社会の構築に向けた転換点」とまで書き込んでしまうのは、ちょっと書き過ぎではないかな、説明不足ではないかなと思うのが1点目です。

 2点目は、10ページのSDGsのところですけれども、「環境が全ての根底にある」だとか、「バックキャスティングの考えをもっている」という記載について、これは私の認識ですと、SDGs自体に盛り込まれているわけではなくて、だとすると、引用した研究論文だとかその根拠を明示すべきかなと思います。やはり読み手ごとに認識の差異が出てきて、誤解を招くということもありますので、その関連性も含めて、もうちょっと丁寧に慎重に検討すべきだなと思っているのが2点目でございます。

 もう一つ、3点目は、14ページでございますけれども、2050年に向けて「80%削減を実現する社会づくり」と書いてございますが、16年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」においては「目指す」という書き方をしてありましたので、できればここは平仄を合わせ「80%削減を目指す」という表現に修正して、引用元も記載すべきかなと思っております。

 以上が総論的な話でございます。

 次に、各論的な内容を何点かお話しすると、9ページも含めて何か所かに書いてございます「環境教育」というところでございます。とかく数多い中小企業向けに教育をしていくためには、経営も含めた指導員の育成を支援していくことが大変重要かなと思っております。そういう意味では、各地域にすでにいる経営指導員などによる環境教育の取組に対して、国からの御支援をいただければと思っております。それが1点目でございます。

 2点目が、10ページの下から2個目の丸のところに書いてございますけれども、「環境保全上の効果を最大化することを前提」という記載がありまして、確かに環境基本計画なので、こういう前向きな姿勢になろうかと思いますが、何人かの委員の方もおっしゃっていますが、やはり「環境と経済の両立」、つまり環境・経済・社会の3つがバランスよく成り立つことが重要ですので、ミスリードがないような表現に今後工夫していただければと思っております。

 3点目ですが、11ページのところで、「政府部内の各計画や関係省庁との連携」という記載をしていただきました。前回、私が発言した内容を反映いただいたということでございまして、感謝しております。COの排出量では、エネルギー起源のものが大部分でございますので、基本計画策定にあたっては経済産業省さんとの連携を改めてお願いしたいと思っております。

 4点目ですが、13ページの上から3行目でございますけれども、「企業が大量に保留、蓄積している資金」という記載があります。これはまずもって表現にちょっと違和感があります。少なからず企業が資金を蓄えるのは、将来への不安に備えるためだと思っておりまして、読み手によっては、企業が預貯金を内部保留しているかのような誤解を招いて、「環境に興味がない」、もしくは「目が行ってない」という、実態とは違う印象を与えてしまうと思っております。このボタンのかけ違いが企業による自発的な取組の阻害につながる可能性もあるので、やはりこれも中間取りまとめに向けては、わかりやすいというか、正確な表現をお願いしたいなと思っております。

 最後、1点確認でございます。9ページの13行目辺りにある「汚染者負担の原則」の「汚染」とは一体何の物質を指しているのでしょうかというのが、ちょっと私にはわかりません。仮にこれ、「CO2」も含まれているようであれば、汚染ということも含めて、簡単にここに記載するような内容ではなく、今後、慎重な検討が必要だと考えております。

 最後になりますけれども、資料3の話もしていいのかわかりませんが、資料3でビジュアル化していただき、本当にありがとうございます。これも前回、私からお願いした内容でございまして、作図にあたり非常にご苦労されていることがよくわかります。青色の楕円で全体をくくって全体が共有化されているというところが表現されていますが、どうしても円が横並びになっているので、隣同士のみの関連が深いという印象を受けてしまいがちになるかと思っております。一つの提案として、「花びら型」で描いたほうが何となくいいのではないかなと思いまして、そういうものを含めて今後、御検討をいただければと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 木下委員、お願いします。

○木下委員 ありがとうございます。

 1点申し上げたいと思います。第1部の第2章あるいは第2部第1章、第2章については、この方向性については賛成をしたいと思います。その上で、15ページについて1つ私の懸念を申し上げたいと思います。

 15ページの(6)国際貢献による我が国のリーダーシップの発揮と相互互恵関係の構築の2つ目のパラグラフでありますけれども、地球規模での持続可能な開発と、もう一つは、国益の増大の双方を実現するための施策と書いてあります。私は、6ページの最初の丸にあるように、現在における途上国の状況を見ますと、途上国における持続可能な開発の実現も、我が国の大きな意味での国益の一つではないかと思っております。そういう意味で、持続的な開発と国益というように2つを並立するような書きぶりは、もう少し工夫の余地があるのではないかと思っております。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 岸上委員、お願いします。

○岸上委員 ありがとうございます。

  私は前回、欠席してしまいましたので、前回の議論に参加できなかったこともあり、この資料をいただいたときに、どなたかの御発言にもありましたけれども、文章ですとちょっとわかりにくいと感じました。一方、図式を見ると、非常にわかりやすくなると思いました。特に参考資料6にあります低炭素・資源環境・自然共生政策の統合型アプローチの表は、位置づけがわかりやすい表になっていると思います。それをチラチラ見ながら考えたことを少し申し上げたいと思っております。

 こちらで課題、ビジョン、戦略・政策が示されており、実際、今回の環境基本計画もこういう流れに沿って検討していくことがわかるのではないかと思っております。

 前回、議論がいろいろあったということでございますが、課題の点でございますけれども、例えばSDGsとの関係で、日本が達成している点や、少し遅れているのではないかというようなことから出てきた課題なのか、あるいはステークホルダーズミーティングから出てきた課題、それ以外のところから出てきた課題なのかというような形で整理していくと、わかりやすいのかなと思っております。また、課題として述べられていることが、解決していくべき課題なのか、あるいは前提とすべき状況、ないしメガトレンドなのかという視点で情報を整理していただくと、非常にわかりやすい図になるのではないかと思っております。

 ビジョンに関しましては、非常に大事な部分だと思います。ただ、時間軸について、前回は100年後という記載が図にはあるのですけれども、今回は、これが10年、20年タームで考えていくようなあるべき姿のビジョンなのか、50年、100年先なのかというように時間軸を少し区分けして整理していくと、わかりやすくなるのかなと思います。例えば、人口減少、高齢化などについては、10年20年では、前提とすべき状況という面もあるかと思いますが、50年、100年を考えた先では、今とっている少子化対策次第で必ずしもそうではないのかもしれません。そのようなことを整理しながら、環境ビジョン、戦略や政策を考えたほうがよいのではないかなと思いました。

 また、ビジョンを実現していくための戦略・政策は、現実に落とし込んでいくときに非常に大事なところだと考えており、課題の解決ないし、ビジョンを達成するために、どのような関連があるのかという整理が必要かと思います。もちろん、最終的にはいろいろ統合的な政策によって実現していくという側面はあると思いますけれども、前回のこの参考資料6の図の状況ですと、戦略のほうが通常は大きな概念かと思うのですけれども、政策のほうが大くくりになっているように見えまして、関連を整理していただければと思います。また、戦略のところに説明していただいている個々の項目は、政策に位置づけられる部分もあるのかなと感じます。この点も少し整理していっていただくと、わかりやすくなると思っております。

 また、先ほど循環型社会部会から御説明いただきましたような、いろいろな指標に落とし込んでいくプロセスが多分、政策策定にひも付くことが必要で、そのような指標、KPIに基づいてモニタリングを行うとともに、また、いろいろ取組を行っていく個々の利害関係者が、一体、何のために自分たちはこれをやっているのだろうということを、わかりやすくし、励みにしていくことが必要ではないかと思っております。

取りかかられているという状況ということですけれども、骨格の部分を図式化して、情報を整理していただきたいと思います。

また、会計士の立場からは、経済社会での今の非常に大きな動き、他の委員の方もおっしゃられていますけれども、グローバルな動きと日本独自の動き、特に、会社をめぐるコーポレートガバナンス・コードからスチュワードシップ・コードなどを経て、ESGもビジネスモデルに織り込むことを重視する投資が企業活動にも大きく影響している点も盛り込んでいただければと考えます。なお、グローバルの流れ、すなわち短期主義から長期主義の流れというだけではなくて、日本企業の稼ぐ力の回復という視点も、政府戦略の中に含まれておりますので、背景として考慮していただきたいと思っております。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 井田委員、お願いします。

○井田委員 ありがとうございます。

 まず、総論なのですが、山極先生がおっしゃった環境が基礎だというのは、全くおっしゃるとおりだと思います。私、この仕事を始めて30年になるのですけれども、IPCCの取材していた94~95年のことを考えると、あのとき、ひょっとしてノンリグレットで温暖化問題は解決できるのじゃないかというような議論をしていたんですよね。だが、今になってそんなことを言う人はいなくて、もう一定のコストをかけて温暖化対策、進めなきゃならないというところまで、実態は悪くなってしまったと。環境が悪くなっている。当時はウナギもクロマグロも絶滅危惧種じゃなかったです。

 何を言いたいかというと、環境が悪くなって、地球の限界が見えてきたというのが、国際社会というか全体の認識だというふうに思います。これは論文になっているとかなってないとかいう世界じゃなくて、全体状況として地球の限界というのが見えてきていると。環境と経済の両立とかいう、もう甘いことを言っていられなくなって、人間活動、経済活動を全て環境の限界の中でやらなければならないというふうになったというような、時代認識が必要だと思うのですけれども、それがちょっと第1章の頭の中からは見えてこないと。それゆえのパリ協定でありSDGsであったと思うのですけれども、そういうものをやっぱり頭のところで、インパクトを持たせる上では、きちんと、もう我々、地球の限界の中ではやらなければならないのですというようなことを、明確に書いたほうがいいというふうに思います。できることだけやる自主行動計画とか積み上げではだめになって、もうバックキャストでやらなきゃならないというようなことも頭のところにもっと明確に書くべきだというふうに思います。

 先日、私、前回にSDGsの体系化のところで、環境が基礎にあって、その上に社会、経済というのが載っかっているというような、ウェディングケーキの話をしまして、それを取り込んでいただいたのは非常にいいのですけれども、それがどこに書いてあるかというと、このSDGsの活用のところに書いてある。これは、ここではなくて、やっぱり頭のところにもっと明確に、地球の限界、そこからのバックキャスト、地球、経済社会の変革をしなきゃならないのだという、だからこそこの今の第四次環境基本計画なのですというようなところを、もっと明確にすべきではないかというふうに思います。

 それが総論なのですけれども、環境が基礎だと。でななければ、もう世の中、何事も成り立たないのですというようなところを書いてこそ、SDGs後、パリ協定後の環境基本計画であるというふうに思います。それは、総論でそういうことを申し上げて、そういう意味では、頭のところの時代認識、状況認識というのが、まだちょっと足りないと。「プラネタリー・バウンダリーという考え方がある」とかいう表現で、「研究成果によると」というような表現でいいのかなというふうに思います。ここはもっと国際的な認識だと書いてしまっていいというふうに思います。

 各論なのですけれども、頭のところに海洋酸性化というのが入ったというのにちょっと気がつきまして、これは重要な問題なのですね。非常にここはよかったかなというふうに思います。

 あと、全世界、国際交渉のなんか、世界を見ていると、「世界全体で脱炭素社会の構築に向ける転換点となった」って、全く何の違和感もなかったのですけれども、個人的にはこれはこれでいいんじゃないかなというふうに思います。

 その次、地域のところで同時解決というのが出てきます。各地域レベルでは経済、社会課題と環境政策の課題を同時解決できると書いてありますけれども、これはトレードオフがあるのは当たり前ですけれども、同時解決の道があるというのは別に地域レベルのことを考えるだけではなくて、世界全体のレベルの中でも同時解決の道があるというのがわかってきたというのもこの30年間の歴史であります。ここに書いておくよりもやはり同時解決の道はある、トレードオフを越えて同時解決の道はあると、逆にそれを目指さなければならないというところが、これも頭のほうにあったほうがいいかなというふうに思います。

 あと何を申し上げようかといろいろあって、ちょっと頭が混乱してきましたが、もう1点、環境政策の原則のところですけれども、予防的取組方法というのは、これは予防原則のことを言っていると思いますけれども、11ページ、頭のところです。これはちょっとわかりにくいので、予防原則と書いてはいけないのでしょうか。

 汚染者負担というのだったら、拡大生産者責任というのを書かないでいいのかとも思います。

 あとはちょっと抵抗があったのは、福島の原発事故のことが頭にあると思いますけれども、自然災害及びそれにより引き起こされる災害と書いていいかという、代わりのワーディングがなくて恐縮ですけれども、これを読んでいくと、福島のことが後ろに出てくるので、あれは自然災害及びそれによって引き起こされた災害ではないと僕は思うので、ちょっとこの言葉というのは非常に抵抗感がある。もし知恵があれば何か別の言葉を考えていただきたいと思います。

 すみません、言葉を生業としているものでありながら、代案がなくて申し訳ないですけれども、ちょっと申し上げます。

 あとリーダーシップのところですが、国際的リーダーシップとか国際的なルールづくりに積極的な貢献、これは最近、日本が足りなくなっているところなので、非常に重要ですけれども、ここに一言、そのためには国内対策をきちんとやっていることが重要なのだと。きちんとした国内対策に裏打ちされた国際的リーダーシップというような言葉が入れられてはどうかなというふうに思います。

 以上、いろいろ細かいことを申し上げました。

○武内部会長 ありがとうございます。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 この事務局案で重点項目についてこういうふうに整理をすることについては、これまでの委員のご発言では、御異論がないようで大変ありがたいと思います。

 資料6にある以前に中環審で出した意見具申に、具体的な施策として並べたものがそのままの形で新計画の重点項目の下にぶら下がるかどうかは別問題ですから、この点は誤解をされると困ります。

 意見具申の時からすでに2年たっていて、大分状況が違ってきていますから、今の状況で何を入れなければいけないかをきちんと考えて、はりつけることになると思います。先ほどちょっと参考資料6がそのまま新しい計画になるかのような誤解にもとづくご発言があったのはちょっと気になります。

 それから、もう一つ、環境と経済の両立という言葉については、第三次環境基本計画で環境と経済と社会の統合的向上という言葉を使ったことを確認しておく必要があります。もともと発端は小池さんが大臣のときに、環境と経済の統合的向上という概念を使ったことがはじまりで、環境と経済の両立というのは対立という意識の裏返し、そんな言葉を使うことはやめてより積極的なイメージをだそうということで統合的向上ということにしたのです。改めて両立などと言われるとちょっと時代を過去にさかのぼらせるような気がします。

 それから、S+3Eも、これはエネルギー政策を議論するときはそうかもしれませんけれども、こちらは環境政策ですから、Eの一つには3乗をつけてもらわなければ環境計画になりませんので、そのままでは賛同しかねるということだと思います。

 それから、この中でパートナーシップが重要だということを書いているのは、SDGsを意識して書いているわけですけれども、SDGsの関係でいうと、ただここに並べている2つはちょっと弱すぎると思います。やはり制度的にもどのようにこのことを確保していくのかということを入れていかなければいけない、こんなふうに考えています。

 なお、先ほど、予防的取組方法という表現について井田委員からどうだというご発言がありましたが、これはかなり議論して意識して入れてきたものです。英語ではどちらでも同じに使っています。予防原則みたいな言い方をすると、日本ではどうしても非常に硬直的に考えてしまいがちです。そこにバランシングが働くということが消えてしまうおそれがある。私が嫌なことはやめてほしい、それが予防原則だという使い方をする人さえいかねない状況なので、あえてこれは予防的取組方法という書き方にしてきていますので、ぜひ御理解ください。

○武内部会長 山極委員、お願いします。

○山極委員 いつも文句ばかり言っているので、この度は御礼を申し上げます。

 15ページの(6)のところで、国際貢献による我が国のリーダーシップ、これを入れていただいて大変ありがとうございます。環境省が国際ということに注目をしてくれるのは本当にありがたい。これから国際性を高めていかなければいけない、その上でちょっと注文ですけれども、ちょっと偉そうですよね、これね。非常に日本がいいことばかりやっているような感じなので、まさに日本の環境政策を叩き台にして、国際的にもっとSDGsを高めていくような方向に向かうというのが一つの真面目な施策のあり方だと思います。

 ですから、もちろん日本は島国でこれだけ立派な環境政策をやってきたという実績と自信があるはずです。ただし、それが100%いいわけではない。もっといろいろな欠点もたくさんあります。それを国際的な協調の中で技術的にも理念的にも高めていくという方向性をつくらなければいけない。その上でのリーダーシップですから、もうちょっと地味な表現も加えていただいたほうがいいのではないかと思います。

 もう一つ言えば、人材育成は非常に重要です。日本の生態資源というものを防災に使うとか、いろいろな伝統知というものを使って防災対策をする、こういうことも非常に重要です。それは日本だけではなくて、各国がやってきたことですから、それを互いに対話を通じて相互関係を構築し、いろいろな将来の可能性に向けて技術的にも倫理的にも向上していくということをやるという宣言にしたほうがいいのではないか。

 もちろん国際的には若い世代を日本に送ってくれる外務省とかJICAの協力が必要ですし、文部科学省との協力も必要ですが、こと環境については、環境省が主導権を握る。リーダーシップを取るという気持ちでやっていただければ大変ありがたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 安井委員、お願いします。

○安井委員 先ほど井田委員がおっしゃっていたことと関係して、10ページの一番下のところですけれども、それとあと皆さんがご覧になっている重点戦略設定の横並びの6つの玉のところです。

 思い返せば、前回このピラミッド型、ウェディングケーキの話が出てきて、あれは実を言うと非常に本質的なことで、重要だと思っています。どういうふうに重要か、あれはやはり全ての人間が共有するべき基本的な理解だと思っています。理解ということと政策というのは1対1で対応してないのは当たり前で、今回この6つの玉が横に並んだ政策が出てくるというのもこれまた当然です。

 国連ですらSDGsを本当にわかっていたら、あれを出すわけでしょう。だけどやはり出せないんです。出せないからやはりぺたっとしたあの絵になってくるというのは当然のことなので、したがって今回これは当然のことが起きているという理解です。

 しかしながら、全ての人類が共有するべき基本的な理解であるということがやはり10ページの記述あたりにもっと決定的に書かれて、理解と政策は違うという、そういうことをやはり匂わすような記述にならないといけないのかなというのが私の意見でございます。簡単に以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 南部委員、お願いします。

○南部委員 この「中間まとめ」は、本当によくできていると思っております。その上で、御意見を申し上げさせていただきます。

 地球環境が置かれている状況が非常に厳しいことを国民に正しく伝え、国民の危機感を高めることも必要ですし、否定はしませんが、目指すものは「国民の意識的なライフスタイルの改革」ではないでしょうか。

 その上でやはりどなたかの委員からもあったように、わかりやすい記載にしていただけたらと思っております。また、計画を実現させるためには、いつ、誰が、何を、どのようにするべきか、ということがわかるようなものにしていただきたいと思っております。

 また、国民の意識を高め、参加を促すためには、例えば12ページのパートナーシップの充実強化のところについ、もっと明るい将来への期待を抱くような記述があれば、国民、市民が前向きに、かつ、継続して国民運動に取り組めるのではないでしょうか。

 また、そういった国民運動についても、現在環境省が取り組まれていますCOOL CHOICEがございますが、その前に掲げたFun to Shareという取組みも現在でもあると思います。この取組の趣旨は、みんなで楽しくグッドプラクティスをシェアしながら低炭素社会をつくろうということだと思います。これからは、我慢をする環境対策、温暖化対策ではなく、みんなで知恵を絞って、知恵を出し合いながら楽しみながら対策をしていこうという考え方を再度前面に出していただけたらと思っております。

 例えば、14ページの健康で心豊かな暮らしの実現の部分にそういったエッセンスを盛り込んでいただければと、国民も前向きにできるのではないかと思いますので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。

 豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 私も14ページでお願いしたいと思います。多種多様な地域循環型環境形成による地域づくりということですが、具体的な施策として例えばというところで、再生可能エネルギーを主体とした自立・分散的というふうにございます。それが非常に欠けていると思っていて、再生可能エネルギーだけではなくて、省エネルギーの部分も積極的に入れていただいて、これは50%ぐらい省エネルギーで達成しないと、なかなか地域のCOが減っていかないし、さらにそれをビジネスチャンスに変えていくというようなことを非常に我々も目論んでおりまして、ぜひ省エネルギーもこれからのビジネスになり得るのだということで、盛り込んでいただきたい。

 それとプラス廃棄物です。廃棄物を活用して、資源としてエネルギーを生んでいくというような循環型社会、かつ地域型の経済をつくっていくというような視点を入れていただきたいと思います。

 それと4番目の健康で心豊かな暮らしの実現とありますが、非常に空疎なというか余りピンとこないというか、水・大気・土壌汚染対策は基本的に必要ですが、先ほどの省エネルギーも含めて、温度管理です。日本は非常に遅れていると思っています。省エネというと日本は進んでいると、乾いた雑巾を絞るような省エネなのでなかなかできないというようなことも聞きますが、決してそうではなくて、温度管理、住宅政策については非常に遅れていると思っています。

 ヒートショックで交通事故よりたくさんの人が死ぬような住宅にまだもって国民が暮らしているということ自体、非常に遅れているという認識をもってここをもっと広げていって、さらにそれを仕事として定着させていかないと、決して心豊かな暮らしというものは実現しないと思っています。

 それともう1点、3点目は、先ほどグリッドの話がありまして、グリッドを公共財として扱ってはどうかという御意見、非常に共感いたしました。ドイツなんかも都市公社がグリッドの利益を財源として公共交通の問題、エネルギーの問題、そういうものを地域の問題解決型としてやっているということで、そういう地域にもっとどういうポテンシャルがあって、何が活用できるのか。

 例えば、ここでは再生可能エネルギーしか取り入れられていないけれども、省エネであるとか廃棄物、グリッド、そういう可能性についてももう少し言及していただけたらと思います。以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 白石委員、お願いします。

○白石委員 私から3点ばかり。1つは、はじめに、の部分で、何人の委員からも御指摘がありますが、プラネタリー・バウンダリーの書きぶりです。私も研究者なので、研究の出典を求めたくなるのですけれども、それぞれの丸のところでは、IPCC5次報告書によるとか、富山環境大臣会合においてとか、そういったものがあるのですが、ここにはないということで、出典が欲しいと思ったのですが、お話を伺っていると、そういった研究成果を踏まえて中環審としてこういった理念、考え方をとるというような書きぶりにされたらどうかなというのが1点でございます。

 もう1点は各論になりますけれども、目次を見ますと8ページに、現下の状況を踏まえた環境政策の課題があって、その後で重点戦略が設定されていると思いますけれども、8ページ目の私の関係するところですと、下から2つ目のポツで、環境への配慮を経済社会の仕組みに組み込ませて主流化させること。あるいは経済活動の環境負荷をライフサイクル全体で捉えて考えるということ。低炭素・資源循環・自然共生・化学物質等の分野を横断する統合的な視点でもって取組みましょうということが書かれています。

 化学物質の観点はもともと統合的な取組が必要だと言われている分野ですけれども、資料3にあるように幾つかの重点分野に分けられて、どこにでも当てはまると思いますけれども、一番当てはまりがいいのは暮らし、健康で心豊かな暮らしの実現というところかなと思います。

 そこの部分、14ページ目を見ますとそれが書かれていまして、今、少し空疎だというお話がありましたけれども、そこの部分についてコメントしたいと思います。

 まず第1点は、一番初めのパラグラフの一番最後ですけれども、従来からのコミュニティを維持、回復させる取組が必要になっていると、かなり後ろ向きの書き方になっていますが、これはもう少し新たなITとかいろいろ社会情勢が変わっていますので、新たなコミュニティをつくり出すというニュアンスにならないかなということ。

 それから、そのための施策として、水・大気環境・土壌汚染の環境汚染対策の深化や未然防止の考え方に基づく環境負荷の低減、気候変動の進行について、とありまして、御報告があったような化学物質プラスチック等の問題が余り書かれていないということで、化学物質に関する統合的な取組の視点、循環のリサイクルを含めて、そういったことをここに書き込んだらいかがかということでございます。

 もう1点は、重点戦略を支える環境政策のところです。環境のモニタリングデータが大事だという御指摘がありましたが、それと同意見ですけれども、環境の情報、これは化学物質のモニタリングばかりではなくて、地球環境もありますし、経済社会的な指標もあるでしょうが、そういったモニタリングデータをきちんと集めましょうと。これは環境情報の整備等で読めるのかもしれませんけれども、そういった視点。

 それから、プラネタリー・バウンダリー、研究成果からこういったことが出てくるわけですから、環境研究の推進のようなことも書かれたらいかがかなと思います。以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。

 佐久間委員、お願いします。

○佐久間委員 まず、この取りまとめ大変御苦労されて、こういう形でまとめられたことに感謝申し上げたいと思います。

 私はこれから何点か申し上げます。この基本計画は政府の計画になるということから、やはり責任ある内容、あと当然これからの道しるべになる、実践のための道しるべになるというものであっていただきたいという観点から何点か申し上げます。

 3ページ、何度か出ていますが、プラネタリー・バウンダリー、この考え方、これは研究成果なので、それまでのところに比べると余りに同じレベルで並べるには違和感があります。研究成果であれば、コラムであればともかく、あとこの内容、人間が安全に活動できる範囲を超えるレベルに達している。

 私はいろいろと世界中に行ったことがありますけれども、そういった認識もありませんので、これはちょっとそのまま引くというのは余りにも権威がないのかなと。ここに出席されている研究者の方が、これが研究成果だと、私の研究成果だと言っておられるならばともかく、このメンバーの方ではない研究をこういう形で引用するというのは大変違和感がありますので、この辺は修正をお願いしたいと思います。

 次に、5ページ、環境の状況というところでここに丸の2番目が再生可能エネルギー、当然環境にとって一番重要なエネルギーの問題が書いてあります。これは非常にいいことだけ書いていまして、再生可能エネルギーについてはコスト増の問題、再エネ賦課金の問題があります。

 一方で原子力が触れられていない。ここは再生可能エネルギーについて触れるなら、やはり原子力について、なかなか再稼働が進んでいないという問題認識を入れるべきだと思います。

 次に同じ5ページで、これは記述の問題です。環境に対する取組状況で、80%を目指す、ここはもう既に閣議決定されていますので正確に書いていただきたい。当然政府の書きものということでございますので、そこには全ての排出国の参加する公平で実効性があるというのと、経済との両立というのは前提ではっきり閣議決定されていますので、それを入れていただく必要があるかと思います。

 逆に、今のトランプの状況からすると、だから米国を何とか巻き込まなければいけない。こういうことがどうしても必要になってくると思います。

 あと9ページ、ここは先ほど御指摘された方で、この9ページの真ん中の丸で、汚染者負担と、COを出すことが汚染者だとすれば、私も汚染者だということになるのですが、これはちょっとCOを出すことが汚染だということではないとすれば、ちょっと意味がよくわからない。NO、SOであれば、これは規制をすればいいので。こういうメカニズムとどういう形で結びつくのかよくわからない。この辺はもうほとんど必要がないのではないかと思います。

 次に、10ページにいきまして、ここにもプラネタリー・バウンダリーというのが書いてありますが、これはもう必要ないのではないかと思います。もうSDGsにそういう考えが入っていれば、そこでいろいろな議論ができるということだと思いますので、あえて不要な研究成果をリファーする必要はないだろうと。

 それとバックキャスティング、これもあくまでもこれはプロセス、過程を示しているものではないので、目標への到達する道については当然柔軟であるべきだと、こういう視点がぜひ必要だと思います。

 次に、12ページにいきまして、ここは環境経済の統合ということはわかりますが、12ページの主流化を図るというのが非常によくわからない表現なので、ここは表記をちょっと検討して、非常に単純に言えば経済と環境の両立ということになるわけですし、13ページにはまさに環境負荷の低減が図られるような高賃金と効果、これはGDPが上がるということを言っているわけで、そういう意味では当然それは両立を頭に置いているということですから、この主流化という意味が非常に唐突に出てくるのでここは改めていただきたい。

 この基本計画の期間の2020年目途に600兆円というのは、これはまさに成長するということが決まっているわけですから、それとの関係からしてもここはぜひ修正をお願いしたいと思います。以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 今回、持続可能な開発目標、SDGsの考え方を活用しながら新しい社会に向けてしっかりと対応していく計画をつくるという、そういう意欲的な取組でここまでまとめていただいて、私は経緯を表したいというふうに思っております。その上で、やはりそういう意欲的な考え方で、書き込んだからこそだと思いますけれども、現実にもっとしっかり押さえておいていただきたいことというのが、少し割にあっさり書かれているところが気になるところが幾つかありまして、それに関して少し発言をさせていただきたいと思います。

 特に、今回、パートナーシップということを重視して項目を打診されておられて、その中に環境学習、環境教育、ESD教育とか出てきますけれども、こういうものは人材育成の基盤として非常に大事なことで、多くの項目に出てきますが、どこかにやはり明確にしっかりと項目出しをして、じっくり書き込んでおくというところをつくったほうがいいのではないかと思います。

 なぜかといいますと、そうしないと資料3でいただいた全体の基本的な考え方という非常に図はわかりやすいですけれども、ここに環境学習、人材育成というのが全く出てこないとか、目次のところにそういう項目、言葉が出てこないとか、やはり多くの社会的な影響を考えるとそこをしっかり書き込んでいただいたほうがいいのではないかと感じます。

 今、私は12ページのところを申し上げましたが、13ページのところで、今後こういうところがしっかりと新しい社会に向けたいろいろな政策をどうつくるかというときに、13ページの真ん中の辺、さらに環境負荷の増大というところから、7行ぐらい書いてありますが、そこに国民の行動や地域の事業者さんの行動、そしてそういうことに関連する製品サービスがもたらすライフサイクルとかしっかり書いてありますが、後々ここが非常に大事なことになってくると思いますので、例えばライフスタイルやビジネススタイルの変革に向けた社会イノベーションの変革の創出とか、何かそういう項目を1つ中に小項目でもいいですから入れておいて、そういうところを準備していくことが必要なのではないかという感じがいたしました。

 3点目ですが、次の14ページの地域づくりのところがありますが、私はいろいろな視点をしっかり入れていただいて大事だと思いますが、ここに追記していただけたらうれしいというのは、やはり個性ある地域が相互に交流しながら補完しあいながら、人材、個性の対流を深めながらそれぞれの地域が輝いていくというのが現実だと思いますので、そういう交流するような視点の大事さを入れていただいたらいいのではないかと思います。

 次に、私は全体を読んでいてやはり化学物質に関するリスクを社会全体で管理し、低減するかという点が余り強調されてないような感じがしました。

 先ほど白石委員のほうから14ページの(4)の健康で心豊かな暮らしの実現のところ、かなり詳細な御意見がありましたので、私は共感いたします。ぜひそこはよろしくお願いします。

 最後の1点ですけれども、実際にこういうことを最終的に具体化していくときに、15ページの下のほうの重点戦略を支える環境政策の展開、ここに環境教育とか環境影響評価とか書いてありますが、こういうことが非常に大事になってくると思いますので、こういうところをしっかり明確に後ほど充実させていただくことと、もっと前の11ページの一番下ですけれども、具体的な施策などについては省庁が連携して取り組んで、地域のステークホルダーでやらなければいけないということが書いてありますが、ここが後々、こういう計画を地域でどうつくっていくか、それを今までのような縦型でつくっていくのではなくて、広がってパートナーシップでつくっていくという変革に持ち込んでいくためには、こういうところをしっかりと強調していく、あるいは先ほどの重点項目のほうにこういうところも入れていただくとか、何か絶対こういうところが重要になってくるという辺りをしっかりと押さえていただければうれしいと思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございます。

 もう時間になってしまっていますが、大変大事な議論が続いておりますので少し延長させていただきますので、御用のある方は御退席していただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。

 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 たくさんあってすみませんが、8点ほどございます。

 まず、第一にCOが汚染者負担原則に入るのは国際的に常識ですので、ここで特に申し上げる必要もないと思います。これは汚染というのは環境負荷というふうにお考えいただければと思います。

 環境基本法の8条1項、あと4項をご覧いただくと環境負荷という言葉が出てきますので、それが理由になると思います。

 あと9条も理由になりますが、37条は確かに汚染者負担原則と関係しますが、これは公共事業のときのことだけを規定しているものですので、汚染者負担原則は37条だけではないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、2つ目でございますけれども、2050年80%削減の目標につきましては、温暖化対策の計画のほうで書かれていることでございますけれども、その後、パリ協定のもとに国内の大幅削減を目指して、低炭素技術の海外転換をして経済成長につなげるように温対計画、適応計画に取り組むというのが骨太の方針のほうで出てきていますし、あと後ろのほうに参考資料でついている環境白書にも出ていますので、3条件という議論がなされることもございますけれども、パリ協定のもとに実施するということは明確に、アメリカが脱退を表明した後も閣議決定されているということになりますので、そのように考えていけばよろしいのではないかと思われます。

 第3点でございますけれども、井田委員がおっしゃったことに関しては、私は基本的に賛成するところが多いですけれども、11ページのところで拡大生産責任はなぜか抜けているので、これは第4次計画にもありましたので入れておいていただくとよろしいかと思います。

 それから、先ほど、浅野先生にもおっしゃっていただいた予防原則、予防的取組方法の14ページのところの話ですが、これは政府の文章は予防的取組方法で統一していますので、これはちょっと予防原則に変えるわけにはいかないということだと思います。

 ただ、ちょっとここで予防的取組方法と書いてあって、4行下に未然防止が出てきますが、ちょっとこれだとこの概念の内容が必ずしも十分理解されてないのではないかという疑いが出てくるような気がしますので、予防的取組方法というのは科学的不確実な状況であっても、防止をするということなので、ちょっとそこが誤解されないように、これは表現の問題ですけれども、気をつけていただければというふうに思います。

 それから、ちょっと細かいところも含めて申しますと、13ページの(1)の最後の下から4行目のライフサイクルの辺りの話は、これはこれでもちろんいいですけれども、3Rとかリサイクルのところが関係するのですけれども追加していただければと思いますのと、先ほどの循環計画との関係もあるところですけれども、14ページの(3)の地域循環共生圏は、ここは自然のことも結構たくさん書いていただいていて、もちろんこれはこれでよろしいのですけれども、循環計画といっている地域共生圏のほうの話は、人為的な循環のことも結構気にしているので、環境基本計画のほうが広い概念だと思いますので、循環資源の活用についても同時に書いていただく必要があると思いますけれども、ちょっとそれが書いてないような気がするので、そこも入れておいていただく必要があるかなと思います。こちらのほうが広い概念ということになってくるのではないかと思います。

 それから、(4)のところで、やはり廃棄物の適正処理のような話も健康と関係するところなので入れておいていただくとよろしいかと思います。先ほど省エネの話とかもございましたけれども、気候変動のところに入っているのだと思いますけれども、追加していただくのは構いませんが、(4)のところは従来型の公害の話とかが結構出てきているので、マイクロプラスチックの汚染の問題、公害の問題がございますので、なお残っていますのでここは結構重要な点であると思います。コミュニティのところが書いてありますけれども、コミュニティの話はむしろ(3)の辺りのほうに動かしていただいたほうがいいのではないかと思いますけれども、これはやはり健康のところが中心になってくると思うので、先ほど来、御議論があるような放射性物質の話が中心になってくるのではないかと思います。

 それから、(5)のところの技術のところですけれども、ここで言っている技術のところに追加してイノベーションの話を書くべきだという議論があると思いますけれども、やはり技術は結構限定されているので、社会改革のような話がどこに出てくるのかということで、多分(1)とかに出てくるという御趣旨かと思いますけれども、(1)とか12ページ、13ページを見ても余りそういうことがはっきりしていないので、ちょっとここは(5)は必ずしも技術だけに止めるのではなくて、社会に対する変革のようなこともイノベーションのようなことも入れていただく必要があるのではないかというふうに思います。

 それから、16ページですけれども、第3章のところは(構成のみ)と書いてありますけれども、これはちょっと(構成のみ)というと、何が出てくるかわからないのですが、やはり環境省の原課との関係の問題では第3章も結構重要になってきますので、今、ここでそんなに議論する必要があるとは必ずしも思いませんけれども、余り構成のみということで骨だけ出すようなつもりでいていただくと、ちょっと不安になってくるので、それはそれでそれなりに環境基本計画との関係も含めながら原課で対応できるようにしておいていただく必要が、特に点検のこととかを考えると、あるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 それから、環境政策の原則のところで、11ページの第3章のところで、浅野先生もおっしゃってくださったこととも関係しますが、経済合理性を例えばここに入れるというのはちょっとなかなか難しいと思っていて、これは環境政策の問題ですので、経済合理性はまさに公害の時代に経済合理性を追及して公害が発生しているところもございますので、ちょっとここに入れるのはどうかということを申し上げておきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 髙村ゆかり委員、お願いします。

○髙村ゆかり委員 3点申し上げたいと思います。

 既に何人かの委員から御指摘があった点ですが、恐らく最初のところに環境というのが生活、地域、経済の基盤であって、環境の悪化によって生活や経済そのものを揺るがす水準にその悪化が達しているという認識は示したほうがいいと思います。

 先ほどもどなたかからありましたけれども、SDGsもパリ協定もやはりその認識を前提にしているということだと思います。経済との関係でいけば、気候変動の例を1つとれば、気候変動の企業財務リスク情報開示というのはもちろん気候変動対策でもあると思いますが、同時に金融システムの不安定化に対する懸念というのが気候変動のリスクから生じるということを背景にしていると思っておりまして、その意味でもこの認識というのは少なくとも世界的にはかなり共通した認識ではないかと思っています。

 資料3はうまくつくっていただいていますが、関連してなんですけれども、特にいいと思っているのは、この環境保全の取組、環境政策というのが最終的には国民、地域、暮らしに返ってこないといけないと思っていまして、それがもともと環境基本法の趣旨、目的でもあると思います。そういう意味で、重点戦略の中でもやはり地域と暮らしが真ん中に来ているというのは非常に大事なポンチ絵だというふうに思っていますので、うまく意見を踏まえて書いていただけるとありがたいなと思っています。

 2点目は、もう大塚先生がきちんとお話ししてくださったので、汚染者負担原則の言及について、国内的にはもちろんEUにおいてももちろんCOは汚染物質、アメリカにおいても最高裁の判断でそのように判定をされております。もともと汚染者負担原則を遡るとOECD先進国間の公正な国際競争の担保というところが、先進国の環境政策の基幹としてこの考え方は70年代からとられていると思っていますので、この言及については、私はきちんと書くべきだと思います。

 もちろんどのポイントで誰に対してどういう水準で負担を課すか、これは各政策、各施策の分野で違ってくるというのは前提でありますが、基本的な考え方はやはり明確にしておく必要があると思います。

 最後は、52ページのパートナーシップ、これは浅野先生がおっしゃった点、それから白石先生がおっしゃった点が関わりますが、ここの書きぶり、ぜひ2つの要素を御検討していただきたくて、1つはパートナーシップの基盤は関連する情報の公開、開示であると思います。こちらは情報を提供するという形になっていますけれども、環境情報が適切に公開、開示、場合によっては創出されているかということ、制度として確保するかという点が非常に重要だと思います。

 2つ目は、やはり制度の問題ですが、パートナーシップがやはり制度としてきちんと確保されるべき施策分野というのがあるのではないかというふうに思っていまして、1つは恐らくアセスメントだと思います。そういう観点からパートナーシップの充実強化のところを少し付記していただけるといいのではないかと思います。以上です。

○武内部会長 諸富委員、お願いします。

○諸富委員 各委員の皆さんが各論点に触れられましたので、地球温暖化対策の重要性に鑑みまして、私自身の観点から言いますと、カーボンプライシングにどこかで触れていただきたいと思っております。

 これについては、G7の場とかそれからCOP21以降で、その重要性についてはその都度言及もされてきております。それから、IMFとかOECDさまざまな国際機関においてもその重要性、有効性について提起されているところでございます。

 アメリカ北米においても州レベルとか中国においてもさまざまな税、排出量取引制度に関して新しい国際的展開もございます。そういった事実関係は少なくとも確認しておく必要があるのではないかと考えております。

 日本につきましても、パリ協定後の新しい状況を受けまして、温暖化対策を含む既存の日本の温暖化対策を点検、評価した上で、私の観点からするとカーボンプライシングについて前向きに検討するべきと申し上げたいところですけれども、これについてはさまざまな意見があるかと思います。

 少なくとも事実関係について、カーボンプライシングの重要性に鑑み、また国内外における関心の高まりに応じまして、どこかで触れていただく必要があるのではないかと考えております。以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。

○佐久間委員 カーボンプライシングの言及については反対です。

○武内部会長 井田委員、どうぞ。

○井田委員 私はカーボンプライシングを書くべきだと思います。

○武内部会長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 すみません、言うのをちょっと忘れていました。

 諸富委員の意見に賛成ですが、世界の各国、カーボンプライシングは検討とか導入されていますし、COP21とかG7の伊勢志摩サミットでも文章に出てきていますので、ここには何も書いていませんけれども、記述することをぜひお願いしたいと思います。以上です。

○浅野委員 何も書いてないわけではなくて、9ページの先ほど問題になった汚染者負担原則、外部性の内部化というところでその意味を込めて書いてあります。

○大塚委員 ちょっと明示してないものですから、ということです。

○武内部会長 酒井部会長、何か発言ございますか。

○酒井循環型社会部会長 今回、環境基本計画で横断的かつ重点的枠組みを戦略的にということで、重点戦略、こうやって6つを立てられたこと、さらにそれを基盤としてパートナーシップの充実強化、この枠組みしっかりと循環分野のほうも踏まえて対応させていただきたいと思います。

 その中で、分野横断的な課題というところは、これは環境省内のみならず、政府内外ということの協調が重要であるという、そういう観点をきっちりと出していただいているということで、非常に結構なことだと思います。

 もう一つ、循環分野で極めて悩んでおりますのは、ライフサイクル概念の政策展開というところです。今回、この部分は重点の中の経済社会の中で一定の書き込みをしていただいているということに関しては感謝申し上げたいと思いますが、恐らくフロー型のものの流れ、あるいはストック型のものの流れ、そこにそれぞれゴミという観点もあれば、資源という観点もある、こうしていきますと、やはりこのライフサイクル概念は今後極めて重要になってくると思いますので、また分野という平面の広がりに加えて、もう一つ時系列的な広がりという、そういう観点も出てくる概念でございますので、若干広めに取り上げていただけるとありがたいということだけ申し上げておきます。

 根本委員からトレードオフの話、循環と地球環境ということで御指摘をされましたが、そういう問題があるということは十分認識しながら、できますれば同時解決という形を模索したいと思います。二兎を追うときのみ救われる、二兎だけでは多分ないと思いますが、マルチで追っかけていって救われるという状況があると思いますので、こちらの計画の中でもしっかりと見せていけるところは見せていきたいと思っております。以上です。

○武内部会長 もう大分時間が過ぎましたので、これで終わりにしたいと思います。

 今日は重点戦略については大体皆さんから基本的には御理解を得られたと理解しております。その上で、今日いただいた意見について、今この場では事務局のほうから回答する時間がありませんので、次回8月3日にもう一度御議論いただきますので、それに向けて文章の中身について精査して、御意見をできるだけ反映するようにしたいと思っております。

 ただ、一部に対立する意見がございますので、これについてはかなりいろいろな面で今後調整をしていかなければいけないと思います。その点では、御意見をいただいた委員の方に事務局のほうから直接説明をさせていただくという機会を設けながら、次回の部会に臨んでいきたいと思いますので、もしそういう連絡がありました場合には対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、これで終わりたいと思います。

 事務局、どうぞ。

○山田計画官 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行い、委員の皆様に御確認をいただきました後、ホームページに掲載させていただきます。

 また、次回の部会の開催予定につきましては、先ほど部会長からお話がありましたとおり、8月3日木曜日、午前中ということで予定しております。詳細は後日連絡いたします。以上でございます。

○武内部会長 時間を超過しまして申し訳ございませんでした。

 これで散会とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

午後12時18分 閉会