中央環境審議会 総合政策部会(第86回)議事録

第86回 中央環境審議会 総合政策部会

平成28年8月24日(水)10:00~12:26

航空会館7階 大ホール

議事次第

1.開会

2.議事

  (1)第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について

     ・循環型社会部会における点検結果

     ・環境保健部会における点検結果

     ・地球環境部会における点検結果

     ・総合政策部会における点検結果

      「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」

      「放射性物質による環境汚染からの回復等」

     ・平成28年地方ブロック別ヒアリングに関する報告

     ・環境情報戦略に基づく施策のフォローアップ調査の結果

  (2)その他

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

 資料1-1 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組(案)

 資料1-2 第四次環境基本計画(第6節 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組部分)調査票

 資料2   包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組(案)

 資料3   地球温暖化に関する取組(案)

 資料4   持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進(案)

 資料5   放射性物質による環境汚染からの回復等(案)

 資料6   平成28年地方ブロック別ヒアリングに関する報告

 資料7   環境情報戦略に基づく施策のフォローアップ調査の結果(案)

【参考資料】

 参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿

 参考資料2 第四次環境基本計画の点検の進め方について

 参考資料3 第四次環境基本計画の第4回点検(平成28年)の進め方について

 参考資料4 「第四次環境基本計画 第4回点検 重点検討項目」

 参考資料5 今後の総合政策部会の開催予定について

午前10時00分 開会

○山田環境計画課計画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第86回総合政策部会を開会いたします。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。配付資料につきましては、今回も大部の資料にわたりますが、議事次第の配付資料一覧に記載のとおりでございますので、ご確認いただき、もし不足している資料等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。

 本日は、委員総数26名のところ過半数の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。

報道関係者にお知らせいたします。カメラ撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、今後の進行は浅野部会長にお願いいたします。

○浅野部会長 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、「第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について」を議題として、基本計画進捗状況の点検作業を進めてまいりますが、前回終わりました自然環境部会以外の部会で点検いただいた結果をご報告いただき、さらに、当部会で議論を行った分野のうち、まだ今後の課題に関する議論を終えていない分野についてご審議をいただきます。

 他部会からの点検結果の報告につきましては、循環型社会部会、環境保健部会、地球環境部会の順番にご報告をいただき、その後、一括して質疑の時間をとらせていただきます。

 それでは、まず、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」の点検報告について、この点検を担当されました循環型社会部会の酒井部会長からご報告いただきたいと存じます。

○酒井循環型社会部会長 循環型社会部会の酒井でございます。

 「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」につきまして、循環型社会部会で点検を行いましたので、その結果を報告申し上げます。

 まず、点検の手順でございますが、循環型社会部会では、6月に関係省庁からヒアリングをさせていただきました。本日の資料1-2、2ページ以降にお示ししたとおり、ヒアリングの結果を取組事項ごとに省庁の取組例、評価及びその理由、今後の課題について整理し、部会で審議いただいた上で、この基本計画点検の共通様式にのっとって、今回の資料1-1のとおり取りまとめております。

 本重点分野には七つの重点検討項目が設けられております。2年前の点検の際には、データがまだ十分にそろっていなかったことから、これら7項目のうちの循環型社会における環境産業の育成、国際的な取組の推進の二つに絞って点検を行いました。今回は、7項目全てについて検討を行っております。したがいまして、報告書の分量もかなり多目になっております。本日は、時間の関係もございますので、48ページ以降に取りまとめております、今後の課題を中心に報告させていただきたいと存じます。

 まず、48ページでは、重点検討項目ごとの課題の前に、重点検討分野全体の課題について整理させていただいております。

 まず、循環型社会の構築に向けた政策をより効果的・効率的に推進していくためには、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を参考にしつつ、本年5月にG7会合に伴い定められた富山物質循環フレームワークを踏まえた政策を進めていく必要があるということを冒頭で述べております。

 具体的には、SDGsには多くの目標(Goal)がございますが、そのうち、資源と環境に直接関係する12のGoalについて、2030年に達成できるよう、循環型社会の形成を戦略的に進めること、よりよいデータ、よりよい分析に基づいた政策立案、政策評価を強化すること、特に、国内指標を科学的に検討するとともに、算定方法や指標、レビュー結果の共有を含む透明性のあるフォローアッププロセスとすることを記述しております。

 また、富山物質循環フレームワークに示された、地球の環境容量内におさまるように天然資源の消費を抑制し、再生材、再生可能資源の利用を進めるという共通ビジョンの達成のため、例えば2050年の我が国のビジョンを設定し、そこからバックキャスティング的に戦略的に取組を進めることを記しております。

 49ページ以降では、この七つの重点検討項目ごとに今後の課題を記しております。個別に説明をさせていただきます。

 まず、重点検討項目①「「質」にも着目した循環資源の利用促進・高度化」を掲げております。この分野での課題として、今後も拡大生産者責任の徹底を引き続き図っていく必要があるということ、特に、環境配慮設計については、各種リサイクル法の対象外の製品も含めた横断的な検討が必要であろうということ、今後、太陽光パネルあるいは蓄電池などの低炭素型社会を目指した製品の普及が考えられるが、そのような製品の3Rの推進が阻害することのないように検討を進める必要があるということ、本年1月に発覚した食品廃棄物の不適正転売事案を踏まえて、転売等の防止、食品リサイクルの取組を同時に促進していく方向を目指すということを記述しております。

次に、重点検討項目②「低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組」に入らせていただきます。

冒頭で、「廃棄物以外の有価物を含めた循環資源全体での温室効果ガス削減効果を検討すべきである」と書いておりますが、前に返りまして補足をさせていただきます。

14ページをお開きいただければと思います。図表10で、「廃棄物部門由来の温室効果ガスの排出量の推移」を示しております。廃棄物分野において、インベントリ報告をしている量を示しておりますが、2000年辺りをピークに、廃棄物分野で一定量の削減が果たされています。

それに加えて、15ページに、「廃棄物として排出されたものを原燃料への再資源化や廃棄物発電等に活用したことによる他部門での温室効果ガス削減量を示しております。これを見ていただきますと、徐々に増加しているということは見ていただけると思います。廃棄物以外の有価物を含めた循環資源全体で温室効果ガス削減効果を検討して、その有効な方策は何かということを考えていくということを50ページの冒頭でうたっております。より具体的には、バイオマスプラスチックなどの再生可能資源の使用拡大を積極的に図る必要があること、SDGsの目標の中にも触れられております、目に見える形で食品ロスの削減の取組を進めるという必要があるということを今後の課題として掲げております。

次に、51ページ以降ですが、重点検討項目③「2Rを重視したライフスタイルの変革」に関しましては、経済的インセンティブなどを活用しつつ、引き続き2R、3Rのような上位対策、リデュース・リユース、発生抑制・再使用の推進を図っていく必要があるということ、特にリユース業界の優良化、リユースビジネスの市場拡大ということも触れております。

引き続きまして、重点検討項目④「地域循環圏の形成」ですが、これも前に戻りまして、24ページで、地域循環圏の考え方について記述をしております。

24ページの下から6行目辺りでございますが、「一定の地域内で循環させることが適当な循環資源については、それぞれの地域の経済・文化等の特性や地域に住む人と人とのつながりに着目し、適正な規模で循環させることができる仕組みづくりを進める」ということを「地域循環圏の形成」という概念で整理をしております。これを推進するために、今後、行政、事業者、NGO・NPO等の各主体が連携し、地域循環圏の拡大に取り組んでいく必要があろうということ、その際には、今後の人口減少あるいは高齢化の影響を含めた検討を行う必要があろうということを51ページに書き加えております。

さらに、この物質循環に加えて、低炭素への取組、自然共生の観点、経済的な観点も加味をした「地域循環共生圏」の構築を目指すべきであるということも書き加えさせていただきました。

次に、52ページの重点検討項目⑤「循環分野における環境産業の育成」に関しては、高度なリサイクルが社会的に評価される仕組みを構築すること、電子マニフェストの改善・普及を進めることの必要性、優良な産廃の処理事業者の育成のために、規制の合理化とワンセットでインセンティブ施策を充実させる必要があろうということを、今後の課題として挙げております。

重点検討項目⑥「安全・安心の観点からの取組の強化」におきましては、高濃度PCB廃棄物の計画的処理完了期限の一日も早い達成、廃金属水銀の長期管理徹底に向けた調査研究などを進めるといった、PCBあるいは水銀対策について触れております。

それから、2011年の東日本大震災以来、大きな問題になってまいりました、災害時の廃棄物について、いわゆる災害廃棄物の収集、処理を適切かつ迅速に行うための平時からのシステムの強靱化を進める必要があるということにも触れております。

また、最近、国際的には有害物質の規制強化、POPs条約等に関する動きがあります。このような動向を踏まえて、リサイクルの在り方の検討を進めることを課題として掲げております。

次に、53ページに示しております、重点検討項目⑦「国際的な取組の推進」については、不法輸出入の監視を強化するため、国内外の関係機関との連携を一層進める必要があること、特に、我が国の先進的な環境技術を生かした非鉄金属のリサイクルを着実に進めるため、バーゼル法の規制の在り方について検討と措置が必要であるということ、国際的にも大きな議論になっているマイクロプラスチックによる海洋汚染の対策を念頭に置いて、リデュースの推進、調査研究などを進め、取り組むべきであることなどを今後の課題として揚げております。

最終ページで、「その他検討すべき事項」として、1点目に、自治体の浄水場又は終末処理場において保管されている放射性濃度の高い汚泥の処理の推進の要請についても部会では意見が届いております。この取り扱いに関しましては、この総合政策部会全体で整理いただければありがたいと思っております。

 また、人口減少により過剰となるストック資源の活用方策の検討も始めねばならないということの書き込みをしております。

さらには、新たな構想力と実行力を持った人材の育成に取り組む必要性を記しております。

循環型社会部会からの点検報告は以上です。

○浅野部会長 酒井部会長、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」の点検について、環境保健部会の相澤部会長からご報告いただきます。

○相澤環境保健部会長 相澤でございます。

 それでは、「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」につきまして、環境保健部会による点検結果をご報告申し上げます。

 本分野については、7月26日の環境保健部会において点検を行い、本日、資料2のとおり報告書(案)を取りまとめております。この資料2に基づいて説明いたします。

 まず、本分野における重点検討項目は、総政部会においてお示しいただいたことに基づきまして、平成26年の点検と同じ、「科学的なリスク評価の推進等」と「ライフサイクル全体のリスクの削減」の二つを設定しております。報告書(案)の基本構成は、26年の点検と概ね同様ですが、終了案件と開始案件の入れかえを行ったほか、化学物質分野では、大気や水・土壌、廃棄・リサイクルなどのさまざまな分野にまたがるため、そのままでは総合性が見えにくいので、まず総論的な事項をまとめ、それ以後に個別の取組の内容や進捗状況、今後の課題について整理しました。

 まず、総論的な事項ですが、1ページで、施策の総合的かつ計画的な推進を図るとした環境基本計画の趣旨に鑑み、点検対象の施策の関係性を俯瞰的に図表1のとおり整理しております。化学物質分野において、どのような施策がどのようなステージで行われているかを示しています。横軸に製造・輸入・使用から環境への排出・放出、そして廃棄・リサイクルというスケール、縦軸の科学的リスク評価の推進とライフルサイクル全体のリスクの削減について、それぞれの調査対策の位置づけがわかると思います。

その結果として、第1に1ページの図表1の下にあるように、大気、水・土壌といった環境を経由する諸問題については、多様な施策が取り組まれていることが確認できました。また、施策の総合性の確保のためには、これらの施策間の調和の確保が一層重要になっております。

第2に、2ページの上部ですが、ライフサイクル全体に通じた施策というのはまだ多くないのですが、水銀に関する取組と新たな取組が実行段階に入っており、今後も状況に応じた措置を検討していく必要があるという整理をしております。

2ページの第2パラグラフ以降では、関係施策間の具体的な連携事例として、PRTR制度の多面的な活用やGHS、すなわち化学物質の分類および表示に関する世界調和システムに基づいた安全データシートによって、ステークホルダー間で化学物質に関する情報伝達を行っている事例等について言及しました。

2ページの一番下のパラグラフですが、これらの事例に代表されるように、化学物質対策を環境の保全の観点から総合的かつ計画的に推進していくためには、各施策間の調和を確保しつつ、ステークホルダーの参画も得て、一層の連携を図っていくことが重要であると整理しました。

3ページ以降は、これまでの点検報告書のスタイルを踏襲いたしまして、重点検討項目ごとに、環境基本計画における施策の基本的方向と現状と取組状況について整理しました。

また、例えば12ページをご覧いただくと、その前半にあるように、前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況という項目も設けました。時間も限られておりますので、これらの取組状況の重立ったもののみ説明させていただきます。

まず、3ページから始まる重点検討項目①「科学的なリスク評価の推進等」の「リスク評価の推進、目標等の設定」についてです。

9ページからのばく露評価の推進に関する取組として、12ページの前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況において、PRTR制度については、その円滑な運用のため、推計精度向上に関わる取組や活用事例の収集が取り組まれていることを報告しました。

13ページ下部の有害性評価の推進においては、下から2行目から14ページにあるように、各種毒性試験等が実施されており、2020年までには、人又は生活環境動植物への著しいリスクがあると認められる優先評価化学物質を特定するためのリスク評価を行い、著しくリスクがあると判明された物質については、必要な規制措置を講じるということを報告しました。

14ページの下部から記載しているリスク評価の推進においては、16ページ中ほどのパラグラフで、化学物質審査規制法の施行状況及び必要な措置の検討を含め、今後の化学物質対策のあり方について、環境大臣から中央環境審議会会長に諮問されたことを報告しました。

17ページからの目標値の設定につきましては、18ページの下から3行目から19ページにかけて記載があるように、1,4-ジオキサン及びクロロエチレンについて土壌環境基準が設定されたことを報告しました。

次に、19ページからですが、bのリスク評価の効率化などに向けた新たな手法の開発・活用についてです。

23ページをご覧いただくと、いまだ評価されていない多くの化学物質の安全性評価を早急に実施するため、QSAR・トキシコゲノミクス等の開発・活用について、前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況において、国際的取組に積極的に参加していくことを報告しました。

次に、24ページからのcの予防的取組方法を踏まえた未解明の問題への対応です。

26ページから27ページにかけて、化学物質の内分泌かく乱作用のリスク評価に向けた取組について報告しました。

27ページの第2、第3パラグラフのように、課題とされていた試験法の開発及びリスク評価の加速化については、開発した試験法がテストガイドラインとしてOECDで承認されるなどの進捗が見られること、また、試験の実施とリスク管理の議論にシフトしたEXTEND2016という新たなプログラムが設定されたことを報告しました。

また、31ページですが、最近、国際的に注目されております、環境中に検出される医薬品等により生態系への影響に関する取組を新たに報告しております。

次に、32ページから始まる重点検討項目②「ライフスタイル全体のリスクの削減」のa)化学物質の製造・輸入・使用段階での規制の適切な実施や、事業者の取組の促進についてです。

用途に応じた規制の実施においては、例えば37ページから38ページにかけて、化学物質審査規制法について報告しましたが、38ページの第2パラグラフの前回点検時の「今後の課題」を踏まえた取組状況において、その施行状況等について、予備的な点検・検討を行い、課題の整理等を行うため、昨年8月に「化審法施行状況検討会」が設置され、今年の3月に報告書が取りまとめられたこと、さらに、関係する諮問が環境大臣から中央環境審議会会長に行われたことを報告しました。

40ページからですが、ライフサイクル全体における対策においては、40ページ前半にあるように、水銀に関する水俣条約に関する取組として、関係法令の整備・締結がなされ、計画策定等の準備が進められているところを新たに報告しました。

次に、41ページからの、bの化学物質の環境への排出・廃棄・リサイクル段階での対策の実施についてです。

45ページの中ほどにおいて、最近着手されたPOPs条約対象物質含有製品の廃棄物処理に向けた処理方策等の検討に関する取組を新たに報告しました。

そして、47ページからのcの過去に製造された有害化学物質や汚染土壌・底質等の負の遺産への対応です。

49ページの下部から51ページにかけまして、これも循環型社会部会長からも報告いただいておりますが、PCB特措法に関する取組の推進として、PCB特別措置法が改正されたこと等を報告しました。

各論の最後が52ページからのd事故等により化学物質が環境へ排出された場合の措置です。

53ページですが、過去に発生した事故を教訓として、水環境の危機管理・リスク管理推進事業によって、平常時に水質事故を未然に防止するための適切なリスク管理がなされ、水質事故時には迅速な原因究明により被害拡大防止を図ることができるようにしておくための取組が進められていることを報告しています。

また、54ページの一番下の中丸のように、海上における環境・防災対策の充実強化として、日露合同油防除訓練が実施されることを報告しました。

最後に、56ページ、57ページには、今回の点検に際して、環境保健部会での議論を踏まえて整理した今後の課題をまとめております。

56ページの冒頭の柱書きにあるように、今回は、平成26年の第1回点検の結果を踏まえて取り組まれた施策について、関係府省の自主的点検結果を踏まえて点検を行いました。その結果、各施策が概ね進捗していることを確認いたしましたが、今後、着手あるいは一層の促進が必要な事項について八つの項目に整理いたしました。

まず、一つ目ですが、いわゆるWSSD2020年目標のために重要となる観点について総括的に整理しました。具体的には、ライフサイクル全体のリスク評価を、より詳細に行うための手法の高度化と評価の加速化、例えばPOPsや電気電子製品の重金属について、ライフサイクル全体を通じたリスクの削減のために必要な段階における管理、各種施策間の調和・連携、関係者間の情報共有の一層の促進などについて、さまざまな施策を組み合わせた包括的なアプローチとして具体化するとともに、未解明の諸問題への取組結果や国際的観点を踏まえた検討を随時行うこと等、戦略的に推進していくことが重要であるとしました。

二つ目以降の項目は各論になります。二つ目の項目は、化審法に基づくリスク評価を効果的かつ効率的に進めるための新たな評価方法の開発と活用の重要性を、三つ目の項目は、化学物質排出把握管理促進法について、法の目的である自主的な管理の改善の促進と環境の保全上の支障の未然防止を確保することの重要性を、四つ目の項目は、水銀対策について、ステークホルダーが必要な情報を共有し、ライフサイクル全体の管理を総合的かつ計画的に実施することの必要性を、五つ目の項目は、ナノ粒子について、国際的動向も念頭に、ライフサイクル全体における取り扱いのあり方についての検討する必要性を、57ページに移りますが、六つ目の項目、化学物質の内分泌かく乱作用の問題については、国際的な動向を念頭に置きつつ、リスク管理についても検討を進める重要性を、七つ目の項目、いわゆるエコチル調査については、調査の着実な実施と成果等の国内外への発信により、科学的知見の共有を促進していくことの重要性を、最後に、事故・災害等への対応については、化学物質の漏えい・流出や流出した際の防除等について、環境リスクを最小化するための措置について検討していくことの重要性を、それぞれ、今後の課題として指摘しました。

以上、簡単ですが、「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」について、点検結果をご報告しました。

以上でございます。

○浅野部会長 相澤部会長、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、「地球温暖化に関する取組」について、地球環境部会で点検をいたしましたので、部会長を兼ねております私からご報告を申し上げます。

 資料3をご覧ください。この「地球温暖化に関する取組」については、当部会で3回の審議を行い、報告(案)をまとめております。重点検討項目ですが、「国内における温室効果ガス削減の取組」、「国際的な地球温暖化対策への貢献」、「気候変動の影響への適応に関する取組」の三つが環境基本計画に掲げられておりまして、この三つを全て点検項目としました。

 以下、それぞれの項目について、どのようなことを点検したか申し上げます。

 まず、重点検討項目①「国内における温室効果ガスの削減の取組」ですが、一つ目の国内における取組として、我が国は、京都議定書第一約束期間(平成20年~24年度)において、1990年度比6%の温室効果ガス削減という約束の確実な達成のための取組を行ってまいりました。結果的には達成できたということですが、後にも記しますように、正味の温室効果ガスの排出量で削減できたというよりは、京都メカニズムの活用というようなことで削減できた点は見落としてはならないことだろうと思います。

 それから、さらに昨年の7月に2030年の削減目標を2013年度比で26%とするという日本の約束草案を、地球温暖化対策推進本部で決定して、国連に提出をしております。

 本年5月13日には、我が国の地球温暖化対策に関する計画である地球温暖化対策計画が閣議決定されました。この計画では、約束草案で示した2030年度の削減目標の達成に向けた道筋を明らかにするとともに、長期的な目標を見据えた戦略的取組ということで、2050年までに80%削減を目指すということが基本的な方向として位置づけられております。

この項目に関しては、エネルギー起源COの削減対策、エネルギー起源CO以外の温室効果ガスの削減対策、森林吸収源の削減対策、この3点について取り上げており、まず、3ページ目をご覧いただくと、エネルギー対策起源COの削減対策について記しております。平成26年度のエネルギー起源CO排出量は、前年に比較して、主に、電力消費量の減少や電力の原単位の改善による電力由来の排出量減少ということで、3.7%の減少になっております。取組としては、例えば地方公共団体の実行計画に基づく温暖化対策の推進、トップランナー制度による機械・器具の省エネ性能の向上、住宅・建築物の省エネ性能の向上・低炭素化、自動車の単体対策等について触れております。

さらに、再生可能エネルギー発電の導入促進や税制・金融のグリーン化、国民運動の取組などについて触れております。

平成26年、前年度に比較して温室効果ガス排出量が下がりましたが、原発が完全に止まっている状態が前の年と同じ状態であったのですが、それでも下がっているということですから、これから見ると、やはり実質的に温室効果ガス排出量を下げる努力はそれなりに成果を上げてきていることを示しているともいうことになりそうです。ただし、もっと成果を上げなければ、なかなか先は厳しいということを示しているということにもなるわけです。

それから、次に、20ページをご覧いただくと、エネルギー起源CO以外の温室効果ガスの排出削減対策について記しておりますが、この部分については、平成26年度の排出量が、前年度に比べて冷媒分野でのハイドロフルオロカーボンの排出量増加などによって、1%の増加ということになっております。

取組としては、混合セメントの利用拡大であるとか廃棄物の排出抑制や、メタンの排出抑制のための有機性廃棄物の直接埋立量削減などが行われております。

さらに代替フロンの4ガスについては、総合的な排出抑制対策を進めているということが記されております。

次、24ページ以下をご覧いただくと、森林吸収源の対策について記しており、ここでは森林吸収源対策や農地の土壌吸収源対策、都市緑化の推進等の取組が行われたことが記されております。

以上が、重点項目の1についての記載ですが、2番目の項目である、国際的な地球温暖化対策への貢献については、26ページ以下に記しております。昨年11月から12月に開催されたCOP21において、全ての国が参加する公平で実効的な新たな枠組みの採択ということで交渉が行われ、その成果としての「パリ協定」が採択された。国連の気候変動交渉以外の場でも、G7やG20などの多国間枠組みを活用した温暖化対策などが実施されている、さらに、我が国においては、二国間クレジット制度や先進国間での政策協調の推進を初めとする協力が進められているということです。

本項目につきましては、二国間の協力、協調施策、地域での協調的施策、多国間の国際機関との協調的な施策といった点について取り上げており、例えば途上国に対する専門家派遣や、あるいはJCMの構築や、あるいは先進国間の協調した取組のための政策対応を実施する等の連携強化が行われているということです。

それから、29ページ以下には、地域における協調的施策について記しており、アジア太平洋地域におけるネットワーク活動などが記されております。

31ページ以下には、多国間での協調的施策ということで、我が国では、COP21に向けて新たな貢献策としてACE2.0を発表した、あるいはパリ協定合意に向けた交渉の後押しをするといったことをやりましたし、そのほか多くのネットワークづくり、さまざまな主体との連携ということを進めております。

次に、35ページ以下をご覧いただくと、気候変動の影響への適応に関する取組ということで記されております。IPCCの報告書でも、気候変動に対する緩和とともに適応を進める必要があるということが記されており、パリ協定でも適応の必要性については強調されているところです。我が国では、気候変動に関するさまざまな影響については、政府全体としての取組を計画的に進めるということが必要であると考え、政府としての初めての「気候変動の影響への適応計画」が閣議決定されました。このもとになったのは、中央環境審議会地球環境部会に置かれた適応の小委員会の報告です。この計画の策定については、科学的な知見をより充実させるということとともに、その成果を計画に反映させているところです。

そのほか、各主体が適応に取り組むための基礎となる情報をしっかり提供できるように、プラットフォームを構築する必要があるといったことが検討されており、それは既に今年度実施されつつありますし、各地方・地域での適応策推進のための計画づくりの支援などが行われております。

また、途上国での適応策の推進のためには、気候変動の影響評価や研究支援、アジア太平洋地域におけるネットワーク活動での支援といったことが行われております。

以上のようなことがこれまでの取組として記されております。

前にも申し上げましたが、この地球温暖化に関する第4次環境基本計画の本体の記載は割合に薄いものがありまして、それはなぜかというと、第4次の環境基本計画をつくる段階では、まだ長期的な目標というものがしっかり政府で決まっていなかったという事情がありましたし、今後のエネルギー政策がどうなるかということは全く見通しがついていないということがありましたから、かなり抽象的なことが書かれていまして、書かれたことをどこまでやられたかという点検は甚だ難しいという状況にあるわけです。ですから、この報告では、むしろ基本計画にこう書いてあるので、それがどうだったというよりも、何が行われたかということを記したという意味で、他の部会同様、やや分量が多くなってしまっておりますが、お許しをいただきたいと思います。

以上の取組を踏まえて、今後の課題が40ページ以下に記されておりますが、地域環境部会での議論をもとに課題を記しております。これは、項目によってはかなり意見が分かれるところがあり、発言の量に応じて記載をするということになると、大体の分布がわかるわけですが、なかなかそうもまいらず、ともかく両論併記で平等に書いておるというのが実態です。ですから、会議での議事録をよくご覧になりますと、部会での意見の分布がわかるわけですが、ここでは、それを明示することは遠慮しております。

さて、40ページ以下に今後の課題ですが、地球温暖化に関する取組全体として、京都議定書目標達成計画に基づく取組が行われて、目標が達成された、ただし、先ほど申しましたように、悠々と達成できたというものでもないだろうということは記しておりますが、今後は、地球温暖化対策計画に基づいて、中期目標の達成のために取り組まなければならないということが書かれております。

個別の課題について書かれておりますが、抜粋して述べますと、長期目標に関しては、地球温暖化対策に長期的な目標を見据えた戦略的取組ということが位置づけられていることを確認しております。この目標については、実現可能性の観点や、国際的な潮流を踏まえる必要性があるといった、さまざまな意見があるということが記されており、41ページをご覧いただくと、パリ協定、COP21決定にて策定することとされた長期温室効果ガス低排出発展戦略について、早期に策定すべきであるということにしております。この策定に当たっては、十分な議論が必要であって、実効性のある戦略を策定すべきだという意見や、現在、既に開かれております長期低炭素ビジョン小委員会においても、しっかりと議論を行うべきであるという意見があったことも記載しております。

 同じく41、42ページでございますが、電力分野における二酸化炭素排出源単位の低減については、今年の2月の大臣間合意に基づいて、各取組が目標達成に向けて十分に機能しているか、透明性の高い形での進捗管理が行われるべきであるということを記しておりまして、目標達成ができない蓋然性が高いと判断された場合には、新たな手法を検討する必要もあるということも記しております。

 また、民生部門における取組については、取組の推進に当たって、地方公共団体が策定する実行計画が非常に重要であると、国としても、ソフト面、ハード面の両面から支援の必要があるということを記しております。

 42ページには、国民運動について、「COOL CHOICE」を旗印として、環境大臣のリーダーシップのもとで、PDCAを回しながら進めるべきだということを記しております。

 次の43ページの部分ですが、「カーボン・プライシング」について、特に国内排出量取引制度については、地球温暖化対策計画に、慎重に検討を行うということが記載されていることが確認されておりますが、したがって、検討は進めていくのですが、検討に当たって必要になる観点、いろいろな意見があるということを記しております。

 それから、44ページの2番目の丸の部分ですが、そこに気候変動の影響への適応について、気候変動への適応計画に基づいて、政府として計画的・総合的に取り組む必要があるとしておりますが、この計画の進捗管理方法はもとより、適応策の法制化を含めた政府・地方公共団体が継続的・計画的に取組を進めるための仕組みづくりが必要であるということを記したところです。

 そのほか、さらに算定方法や観測などの基盤的な施策、コンパクトシティづくり、再エネの導入の加速、あるいは熱利用、それからESG投資や民生部門の取組強化、金融機能の活用、フロン対策、JCM、SGDs、そのほか温暖化対策全般におけるPDCAサイクルの重要性といったことについての指摘をいただいておりまして、今後の課題として、これらを中に盛り込んだ報告にしております。

 以上、地球環境部会における点検報告を申し上げました。

 それでは、ただいま各部会からの報告について、部会長から報告を申し上げましたので、委員の皆様方からご意見をいただきたいと思います。どの部会の報告に対するご意見であるかということがわかるようにご発言いただければ助かると思いますが、どの部会からという順序は決めませんので、ご自由にご発言をいただきたいと思います。

 ご発言をご希望の方は、どうぞ名札をお立ていただけませんでしょうか。ほかにもいらっしゃいませんか。

 それでは、安井委員、どうぞ。

○安井委員 ありがとうございます。

 まず、資料1-1でございます。循環型社会についてですが、このデータを拝見して、やはりなかなか難しいことが起きているということがきちんと説明されていないという気がいたしました。

 と申しますのは、まず、6ページ目の循環利用率は、このところ最後にひょっと上がって、まあまあ上がっています。ところが、大分先になりますが、16ページをご覧いただくと、そこに資源生産性が出ていて、これは大体このところずっと横に流れていて、あまり上がっていないという状況になっているように見えてしまいます。これは一体何が起きているのだろうかというのが一つの心配事でして、それで、これをまずもう少し解析をしなければいけないのではないかなというのが一つの感触です。

 それを踏まえますと、52ページにあるような重点検討項目の⑤番、環境産業の育成ということですが、ここで「高度なリサイクルが社会的に」と書かれているのですが、この「高度」というところをきちんとディファインし直さなきゃいけないのではないか。要するに、何かリサイクル率は上がるけれども、GDPには全く寄与しない、そのようなリサイクルを進めるということが一体何を意味しているのかということをやはり解析した上で、「高度なリサイクル」というのは何かということをもう少し解析をすべきではないかという、ちょっと難しいかもしれないようなことをお願いしたいと思う次第でございます。

 それから、その次の化学物資についてですが、56ページの今後の課題というところで、2番目の丸で書かれているものでございますが、化学物質審査規制法(化審法)に基づくリスク評価を効果的に進める云々、これも大賛成でますが、そのためにQSARとかトキシコゲノミクスをやる、これも多分流れだと思うのですが、ここで一つ、大きな問題がありまして、化審法でわかるというか、そこに届けられる化学物質の名前が、例えばCAS番号が入っていない形でずっといまだに行われていて、したがって、QSARにかけようにもかけられないというものが出てくる。特に私もQSARを使って少量新規はもっと簡単に通したほうがいい、ただし、物質名はやっぱりCAS番号をきちんとわかるように、要するにQSARにかかるということを条件にするということが今後ない限り、これはお題目にすぎないと思うんですよね。ですから、その辺り、もう少し根本的な問題があることをこれも指摘をしておかないといけないのかなという気がいたします。

 それから、地球温暖化の話ですが、これもまた今後の課題のところ、40ページの下部から41ページに行きますと、非常に長い段落がありますけど、ここの書き方が若干気になります。確かにそういう意見があることも事実なのですが、先日、大塚先生の研究会に出て、学者でもやはりこういうことを言う人がいるのだというのがよくわかって、それがいささか意外だったのですが、そこでどういうふうにしたいかといいますと、次のページを見ていただきますと、42ページの真ん中辺り、これは末吉委員辺りから発言もあるとは思うのですが、ここにESG投資の話が書かれている。そのESG投資というものを考えたときに、パリ協定に積極的に取り組むグローバル企業が高く評価されて、こういったESG投資上も有利になるということが多分あるのです。ですから、そういうこともあるということを、むしろこの長い段落をさらに長くするということでもってバランスがとれるのではないかという気がしますので、そんな変更があり得ませんかということのお願いでございます。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。

 私、物質循環と環境保健の部会に出させていただいて、そこで発言していなかったこと、一つ発言したいと思います。

 今、資料1-2の、循環部会のほうで○×、いろいろと明確につけていただいている資料があり、それを見ると、バツがはっきりついているものが一つだけあり、有害物質に関する問題で、有害物質の混入状況に関する基準や、適切な管理方法が進んでいないというところがバツになっています。これに関して、先ほどご説明いただいた本文のところ、資料1-1の一番最後から2ページ目、53ページの上から三つ目の丸に、プラスチックのことが「国際的動向も踏まえつつ対策を検討する」という、同じ文言だけが出ています。ここが非常に大きな問題として残ったということですので、もう少しここを明確にするということと、例えばこういうことであれば、次の環境保健部会の化学物質と連携して対応をとるとか、そういうこともあり得るのではないかと思いました。

 その次に、地球環境部会について、最後の課題として、いろいろなご意見があるということで、項目がたくさん出ているのですけが、例えばこれを後で社会が読ませていただくときに、いろいろなことが出ているなという、いろんなご意見があるなという状況になってしまうように感じまして、もう少し、例えば長期的な問題、エネルギー原単位の問題、都市づくりの民生、家庭部門、事業者部門の問題、そして適応の問題と、いろいろ価格をつけていく話とか、分野を分けて明確にしていただくということはできないのだろうかと思いました。よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、髙村委員、お願いします。

○髙村委員 私は、物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組、資料1-1について少し質問させていただきます。重点検討項目で低炭素社会と自然共生社会づくりとの統合的取組という項目を設けていただいていること、非常にありがたいことであると思います。日本は資源を海外に非常に依存しておりまして、木材もそうですし、鉱物資源を輸入しているわけで、日本の消費者が消費活動をすることに伴う海外の環境の破壊などのようなサプライチェーンの問題を、ここの項目で、少し扱っていただいたほうがいいのではないかという気がいたしました。

 一消費者としては、最近は、スーパーに行くと、プラスチックは有料になりましたので、かなり使用は控えるようになっておりますが、まだまだ紙袋みたいなものはいっぱいくださるというのが現状です。例えばごく普通の化粧品を買いますと、立派な箱と入れ物というのが必ずついてきて、その箱は、東南アジアの熱帯林、木材資源をかなり使っているといった情報をもっと消費者に与えていただくような取組を増やしていただければありがたいなと思いました。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 白石委員、どうぞ。

○白石委員 包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組についてですけども、総論的に、表に2枚ほどまとめていただいたのは非常に結構なことだと思います。非常に多くの施策があるという中で、連携が大切だと前半述べておられますが、その後で、物質の情報をいかに利用するかということの情報の重要性というものを多分述べておられるのだと思います。例えばPRTRの情報の伝達、あるいは製品の化学物質、有害化学物質も含めてだと思いますが、ケムシェルパのようなものもできているということを述べられておると思います。

 それを受けて、今後の課題ですが、今後の課題において、化学物質情報について、いかにまとめていくかということが、少し視点が弱いと感じました。安井委員から、先ほど化学物質の審査規制法に基づく審査でCAS番号もついていない、構造もよくわからないとのご意見がありました。構造が分からないということはないと思うのですが、QSARは化審法で今審査の段階で参考的に利用している状況でありますので、そういったことはないと思いますが、化学物質はさまざまで、構造のわからない反応生成物とか混合物、重合した非常に複雑なものとか、生物起源のものとか、たくさんありますので、そういったものを含めて、いかに我が国で流通している化学物質がどのようなことにあるのかという情報をまとめていくということも必要ではないかと思います。リスク評価の結果、あるいは暴露の状況等も含めて、そういった情報をいかにまとめて推進していくか、先ほどの化学審査規制法にかかわらず、そういったことも今後の大きな課題ではないかと思いますので、ぜひ追加していただきたいと思います。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木臨時委員 ありがとうございます。

 私は二つお願いをしたいと思います。

 初めに、資料2ですが、エコチル調査については大変興味のあるところでありまして、質問票の回収率が8割以上ということです。私はこの調査の回収率は立派だなと思って感心をしているところですが、成果を可能な範囲で随時公表というふうに記載してございますが、特筆すべきポイントを、一つ、二つ教えていただければありがたいと思います。それが一つです。

 それから、二つ目は、資料3に関する件ですが、私は、学校教育現場で、環境教育を授業としてやらせていただいているのですが、授業そのものは文科省との連携が非常に重要ですので、この辺り抜いては授業を設定するのが難しいわけです。現学習要領は洞爺湖サミット開催時期の編成でありましたので、急遽、学習指導要領の中に環境教育を、立派に入れさせていただいたわけですが、どうも最近は環境教育そのものが学校でトーンダウンしています。したがって、次期学習指導要領編成では、ぜひ、文科省との連携をきちんととっていただきたいということを重ねてお願いします。その点について、どのようにお考えかということを再度お伺いしたいと思っております。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。

○末吉臨時委員 ありがとうございます。

 安井委員のご意見にも触発されて、少しコメントを申し上げます。

 循環型社会部会の酒井部会長のご説明、ありがとうございました。資料、48ページに、循環型社会の形成の取組を経済・社会課題としても扱い、いろいろ政策を包括的に統合するというコメントには、大変強い共感を覚えました。そういった視点から少しお話し申し上げますが、今、私が見ている限りで申し上げますと、例えば企業の情報開示が義務化になっています。フランスでは、法律で上場企業に気候変動関連のリスクの情報開示が義務になりました。あるいはアメリカでは、いずれ上場企業の義務になる会計原則の見直しが進んでおります。これは財務ではなくて、サステナビリティ(持続可能性)です。こういったことは上場企業が対象ですから、もし、日本企業がフランスやアメリカで上場しようとすれば、あるいは上場している企業は、強制的にこのルールを受けることになります。

 あるいは金融の世界で、先ほどお話のありましたESG投資ですが、これは2年前の数字ですが、2014年末では、世界で運用されている資産の3割がESG投資になっています。ヨーロッパでは、これは6割を超えております。それで、GPIFも署名した国連の責任投資原則、これは世界で今1,600ぐらいの機関が署名しておりますが、その運用資産額は60兆ドルです。これは日本のGDPの12倍の大きさです。今、こういうことが起きています。もし、年金基金などの資金の運用を仕事としてとろうとすれば、PRIに署名していないと、そもそも入札資格がないのですよ。ですから、責任投資原則に署名することがビジネスの最初の出だしのところの要件になっております。

 こういったことを考えますと、今、世界で起きていることは、経済や金融、あるいは社会のインフラとして物事を決め始めたと、そのインフラといえば、強制力を持つ社会システムとして組み込まれ始めた、ですから、これは別な言葉で申し上げますと、ビジネスルールになり始めています。ビジネスルールですから、中央政府が何もしなくても、簡単に国境を越えて世界の企業にそのルールが適用になります。

 もう一つは、明らかにサプライチェーンの資格要件になってきたのではないでしょうか。ということは、こういったことがビジネスができるかできないかの決定要因になり始めているということですし、投資の世界で申し上げれば、インベストメントするのか、ダイベストメントするのかの判断基準にもなっている、つまり、良質の資金調達が可能なのか可能でなくなるのかといった判断基準になり始めているということだと思います。

 そういったことを考えますと、日本の国内で我々が決めるルールをみんなで守ってやりましょう、ということは大事ですが、それでは多分国際的には不十分なのだと思います。国際ルール、世界ルールをコンプライしなさい、さもなくばエグジットだという状況になっているとすれば、とりもなおさず、地球温暖化やその他の世界的規模の問題が非常に深刻になって、もう本当に行動しなければいけない。そのためには、社会としてどういうルールを、システムを持つべきかという視点が非常に今にじみ出てきていると思います。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、中村委員、お願いいたします。

○中村(恒)臨時委員 ありがとうございます。

 循環型社会部会と地球環境部会の点検結果に関連して、意見を申し上げます。

 まず、循環型社会部会について、資料1-1の48ページ、丸の三つ目についてです。ライフサイクル全体を通じてということになれば、これは国民全体が主体だということであり、また規制的処置だけで全ての主体が動くかというとそうでもないと思います。そのため、事業者をはじめとする生産者だけに拡大生産者責任を課すのではなく、全ての主体に対して自主的な行動を促すような仕組みを構築することが、ライフサイクル全体を通じた実効性のある循環型社会の形成につながると考えております。したがいまして、規制的処置の導入を考える前に、透明性や説明責任の確保に配慮しつつ、国民全体が自主的に行動できるような仕組みを構築していただきたいというのが、循環型社会に関してのお願いです。

 次に、地球環境部会についてのお願いです。

 資料3の40ページ以降です。これについて、大きなお願いが一つございます。40ページの2つ目の丸に記述されている長期目標についてです。2050年の削減率という長期目標の捉え方について、私どもは、まだ国内でも国際的にも議論が尽くされておらず、また、その中には科学的根拠としてもまだ不確かさがあるという中での目標ですので、努力目標として捉えるべきと考えています。したがいまして、次期の環境基本計画につきましても、この数字が絶対条件のような形で明記され、そこに向かってバックキャストするような議論を行うのは拙速であると考えています。

 「長期の温室効果ガス低排出発展戦略」においても同じです。この長期目標を大きく捉え過ぎますと、2030年までの地に足のついた目標の達成も危ぶまれる中、進め方を誤るのではないかと危惧しており、経済成長と両立できる慎重かつ十分な熟慮をお願いしたいと思います。

 さらに、民生部門における温暖化対策の取組が非常に重要であり、それをリードするのは、まさに環境省だと考えています。環境省には、国民一人一人の自主的な活動を促すような仕組みを一生懸命考えていただくようよろしくお願いします。

 最後に、カーボン・プライシングについて申し上げます。43ページ、一つ目の丸、一番下から3行目に「我が国においても真っ当な議論を進める」と書いてあります。まさに、カーボン・プライシングにつきましては、本部会あるいは地球環境部会等々で、国際競争力の維持、経済成長と温暖化対策の両立を念頭に置いた、真っ当な議論をさせていただければと考えております。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

長辻委員、お願いいたします。

○長辻臨時委員 私は、具体的な記述の問題について、少し気づいたことを申し上げたいと思います。

 まず物質循環、資料1-1の36ページ、重点項目⑥「安全・安心の観点からの取組の強化」の現状に、「埋設農薬について、適正な処理が進められている」と書かれております。そして、37ページの取組状況には、「埋設農薬処理計画の事業等のための支援や、処理完了後の安全性を確認するため、周辺環境の水質調査等に対する支援を実施している」と書かれているだけで、これだけでは何のことかよくわからないのです。実を申し上げますと、私自身、「埋設農薬」という言葉を知りませんでした。それで、調べてみますと、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、BHC、DDT、この5種類の有機塩素系農薬で、発がん性など有害性が高いとされて、1970年代に国によって使用がとめられて、各都道府県が国の主導で地下に埋め、その後、土壌や地下水の汚染が起きて社会問題となった、そういう経緯があるわけです。調べてみると、4,400tぐらいの量があったということです。現在、そのうちの4,000tが処理を終えているということがわかりました。ですから、52ページの今後の課題には、「埋設農薬について、引き続き適正処理を推進していく必要がある」とだけ書かれているのですが、表現については、未処理量1割に対しての適正処理が必要であるとか、もう少し具体的になさったほうがいいだろうと思います。なぜかというと、有機塩素系の農薬の問題というのは、まさしくレイチェル・カーソンの『沈黙の春』の物質でして、環境問題の原点の一つであるわけです。ですから、これはこんなにさらりと書かれているだけではよくわからない。例えば埋設農薬というところに、「DDT等、70年代に地下に埋められた5種類の有機塩素系の埋設農薬」といった枕言葉を入れていただければありがたいなと思いました。よろしくお願いします。

 それから、次は地球温暖化に関する記述ですが、資料3、14ページに、原子力発電の活用とあります。ここには「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けられている」とあるのですが、エネルギー基本計画を見ますと、「低炭素の準国産エネルギー源」とか、「運転時に温室効果ガスの排出もない」というふうにも書かれているわけですので、言葉を一部挿入して、「安全性の確保を大前提に、二酸化炭素の排出削減に貢献しつつ、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けられている」という表現にしたほうがフェアではないかなと思いました。

 それから、非常に細かいことですが、同じページの下から3行目に、「原子力発電所の再稼働を進め」と書かれております。ですが、再稼働するのは発電所ではなくて、1号機、2号機という個別の号機です。ですから、ここは、例えば「発電用原子炉の再稼働を進め」という表現のほうが適切だろうと思いました。

 あと、これは質問ですが、この地球温暖化の記述の中に、ヒートアイランドという言葉が出ておりません。それでいいのかなと思っておりまして、答えというか、考えを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○浅野部会長 ありがとうございました。

それでは、根本委員、どうぞ。

○根本臨時委員 ありがとうございます。

 私からは、地球温暖化、資料3についてお話しさせていただきたいと思います。大きく2点です。

 1点目です。こちらは全体からすると大変小さなお話かもしれません。恐縮です。

 いわゆるエコドライブでございまして、エコドライブは、ご存じのように、COOL CHOICEの一環ということで、COOL CHOICE全般については、国あるいは政府主導で強力に推進していただいているかと思います。ありがとうございます。私どもが所属している自動車工業会、こちらのほうでも、やはり低炭素社会に向けて貢献できることは積極的にやっていこうということで、エコドライブについても、取り組んでいるところです。

 しかし、COOL CHOICEのCHOICEというワーディングがいたずらしてかもしれませんが、どちらかというと、やはり環境性能が高い製品を選択し、購入しましょうというほうに頭が行きがちではないかなと思っております。ご存じのように、どれだけCOを排出するのかということにつきましては、製品性能、これはもとより大事なわけですが、やはりその後の使い方、これも大きく左右してくると考えておりまして、これは例えばですが、製品性能が仮に悪くても、悪いなりに使い方を改善していけば、COの排出を大きく下げることはできると思っております。性能のよい製品への買いかえということになりますと、今すぐみんなで買いかえようということは、なかなか難しくて、ハードルの高い話になってしまうわけですけれども、今の製品でいいから、賢く使おうということであれば、これは今すぐでもできることだと思っております。いわゆるエアコンで夏であれば温度設定を少し高目にすると、それと近いようなお話かなというふうに思っております。

 車のほうは、お陰様で広く普及している製品でございますので、そういったエコドライブに参加する人が増えれば増えるほど即効果が出るというようなものであろうかと思いますので、COOL CHOICEを今後も強力に推進していただきたいと思っておりますが、進めていかれるに当たっては、やっぱり製品の選択、買いかえということも大事なわけですが、それに負けず劣らず、やはり使い方のほうに光を当てていただくということも大事なのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。

 そういった視点で見たときに、3ページ以降の削減対策ということで、主な施策、記述されておるわけでございますけども、ざっと見たところ、エコドライブという表現が全く出てこず、ちょっと残念だなと思っております。やはり30年に向けた削減の規模ということでいきますと、エコドライブに期待されている割り当ての期待値ですが、かなり大きなものだろうと思っておりますので、何らかの形で、できましたらという程度のお願いではございますが、記述があればと思っておりますので、可能であれば、ご検討いただければと思っております。

 以上が1点目でございます。

 2点目でございます。こちらは長期目標、先ほど中村委員のほうからあったお話とかなり重なってしまうかもしれませんが、私のほうからもコメントさせていただきます。これは表現云々ということではなくて、あくまでコメントということで、意見として言わせていただきたいと思います。

 安井委員にちょっとお叱りをいただいてしまうかもしれませんが、40ページから41ページに関して、これは両論併記という形ですので、何々という意見があるということで、現時点では、必ずしも私どもくみすることのできないことも含めて、一方、我々のほうで経済界としてかねてより申し上げていることを、しっかり記述いただいていると思っております。この点に関しましては、率直に感謝申し上げたいと思っております。

 長期目標については、これも中村委員がおっしゃられたこと、そのとおりですが、議論のまだ初期の段階にあると思っておりまして、初期ですので、当然、いろいろな意見があって当然ですし、むしろ健全かなと思っております。問題は、むしろこれからでして、このように開いた意見がある中で、どのように終結させていくのだろうかということかなと思っております。最後の最後、でき上がりました目標に対しましては、国全体で、国民一人一人までが、しっかり取り組むということが当然必要になってまいります。そういったことまで考えますと、やはり理解あるいは共感といったものを得ながら進めていく必要があるのだろうなと思います。そういう意味では、納得感とか透明性とかあるプロセス、そして実現可能性がこれならあるだろうと思えるような施策提案といったものが不可欠になってくるのだろうなと思います。

 残念ながら、現時点では80%削減の道筋というものについては、当然、見えたと言える状況ではございませんので、こういった中で、いわゆる見切り発車的なご判断をされるということは、国の進め方としては必ずしも好ましいものではないのだろうなと思っております。

 中環審の中でも、長期低炭素ビジョン小委員会が、また、経産省のほうでも、長期地球温暖化対策プラットフォームといったものがあると聞いております。こういった二つの場で、長期戦略に関する検討が進められると伺っておりますので、長期低排出発展戦略を策定する際には、これらの場での議論をよく踏まえていただき、ぜひとも広く納得を得られるようなステップを描いていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 最後ですが、40ページに、パリ協定について、「早急に国内締結手続きを進めるべきである」という表現があります。これは必ずしも我々は反対しているわけでは、当然、ございませんし、COP21の成果、そしてパリ協定の精神ということについては、我々経済界としても高く評価しておるところです。

 ただ、一方、京都議定書の際の苦い経験、記憶というものがありますので、締結に当たりましては、パリ協定の最大の価値ということは、全世界が取り組む、特に、最大排出国であるアメリカ、中国がしっかり参加するということだと思いますので、世界の中で3%の日本が参加するということは、それはそれで大事ではございますが、米中がどう出てくるのかということをしっかり見きわめる、そういった冷静さも必要だろうなと思っております。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

林委員、どうぞ。

○林臨時委員 まず、資料1-1の物質循環についてですが、全体からして、出てしまったものをどうするかということはかなり丁寧にやられていると思うのですが、発生のほうの抑制という点が、まだかなり弱いのではないかなと思います。

 一つの提案としてですが、トップランナー方式というのは、温暖化のほうの資料で出てきておりますが、省エネに対して非常に効果があるということですが、これは、廃棄物として製品が壊されたとか、使わなくなったときに出たときにどうするかという、そういうものもトップランナーの段階で組み込めないのかなというのが一つでございます。

 二つ目は、一言でいうと、建物の建てかえなき都市開発のような概念を打ち出す必要があるのではないかということです。これは国交省と非常に関係するのですが、むしろ環境審議会のほうで、今の都市計画のルールというのは非常に弱い弱いと言われて、全然進まないで、建物単位で建てるのではなくて街区単位でのストック化をしましょうというような、要するに、そういうストックにきちっとするという概念を一つやる必要があると思います。

 次は地球温暖化ですが、今、建物のことを言ったことと非常に関係するのですが、包括的な土地利用対応という、特に都市の土地利用ですが、そういう概念をどこかに入れる必要があるんのではゃないかと思います。コンパクトシティということが出てくるのですが、このレベルで言っていたので進まないのです。どういうふうにコンパクトにするかという、もう一段下がった段階のことを提唱しないと、全く機能しないということであります。

 そのときに、その土地利用を、一言でいうと住んだときのクオリティー・オブ・ライフを上げて、なおかつCOを下げると、これは先ほど安井委員が言われたのでしたか、パフォーマンスのことを言われたと思うのですが、まさに、この土地利用を畳み込むときにも、COだけ減らしたらいいというものではございませんので、生活の豊かさが上がらなければいけません。そのパフォーマンスで見ていくということです。

 そのときに、適応策との連携がよいと思っていまして、これは端的に、豪雨災害などがあったときに、災害脆弱地からの撤退というのは、これは最重要事項になっているわけですが、それだけではなくて、それを社会的なコストに換算しますと、災害の脆弱地からも撤退しなくちゃいけないし、同様に、スプロールしているようなところも、人口1人当たりどのぐらいのコストがかかっているかというふうに普遍化してしまえば同じことなので、一方はナチュラルハザード、もう一方は、私はソーシャルハザードと呼んでいますが、そういうようなものを一般化しながら、しかも、お互い高ベネフィットがありますので、そういう包括的な言い方をどこかに入れていただくのが非常によいかと思います。フローを追いかけるだけではなくて、ストックに着目したいと思います。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 三浦委員、お願いいたします。

○三浦臨時委員 ありがとうございます。

 1点目は、循環型社会部会からの報告についての中で、現在、都市の規模の大小にかかわらず、郊外部で一番問題になっているのは、産業廃棄物が、要は山積みになっているということで、市街化調整区域の中で、特に産業廃棄物が放棄されているという実態をどうするのかということで、それぞれの市町村が、例えば要綱を定めたり、条例をつくったりということで、市街化調整区域における不適切な土地利用という形でしか規制ができていないというのを、今後、どのように環境省としては見ていくのかとということです。

 本文の中にも、重点項目の⑥の安全・安心の観点からの取組の中で、災害時においての仮置場の確保とあるのですが、この仮置場が、常時、市街化調整区域に散見していると想像していただければわかりやすいかなと思います。ですから、それについての記述も若干いただきたいと思っております。

 2番目に、環境保健部会における点検の結果ということで、これは全体を通しまして、何となく文章の表現が冗長的だなと思っております。というのは、ガイドラインの背景の中には、ガイダンスというプロセスが1回あって、そのガイダンスを経てガイドライン化をしていこうというのが、うまく整理されていないのではないかなということを思っているのが一つと、もう一つは、そのガイドラインの中でも、非常にドメスティックな標準化と、それからインターナショナルに、グローバルにガイドラインを定めていこうというのが、どうも混在をしているのではないかなということです。特に、OECDにおけるガイドライン化においても、アジアの政策としてガイドライン化していくのか、あるいは、欧米を含めた、世界のグローバルとしてガイダンスを定めていくのかということも、何となく文章の中ではっきりしていません。ガイダンスからガイドラインへのロードマップが描かれていないので、テストガイドラインとしてガイドライン化を進めていきますという表現にとどまっているのは、何となく冗長的だなと感じました。

 それともう一つは、ガイドライン化をするに当たって課題となっているのが、今、さまざまな試験法、特に22ページですとか、幾つかの試験法が例示として挙がっていますが、そういうものの国際特許を得るということが課題になっているということも、記述として少し、今後の課題の中に入れておいていただくほうがいいのではないかなと思いました。

 非常に細かい話ですが、22ページの中段ぐらいで、in vitroの試験法の開発をしたというところが、非常にあっさりと記述されているのですが、これは正確には、OECDのガイドラインとして、28年の1月に認定されたという事実がありますので、それもきちんと記述をしておいていただくべきかなと思います。ここには国環研との共同研究のみ記されていますが、実際には理研との共同研究による、例えばKGE法だとか、神奈川県の衛生研究所とのビーハス42の発がん性の物質の検出だとかということも、OECDのガイダンスとしては、今年に入って認定されていますので、できればそういったものを、ガイダンスの段階のもの、ガイドラインの手前のテストガイドラインのもの、あとガイドラインに認定されたもの、さらに、表にして、ドメスティックなものとグローバルなもの、特許が取れている、取れていないというようなことで整理をしておいていただくほうが、情報としてはありがたいのではないかなと思いました。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、山本委員。お願いいたします。

○山本臨時委員 2点、意見を申し上げます。

 第1点は、資料1-1の6ページ、7ページですが、この循環利用の循環利用率、図表5と図表6ですが、この目標値が、既に達成されたような目標値になっていまして、この目標値の設定が、そもそも適切であるかどうか、それから、この目標値は、結局、国民1人当たり、資源の利用量をどのぐらいに削減していくことに相当するのか、その辺が全く触れられていないというところがちょっと疑問です。

 と申しますのも、ご存じのように、UNEPの国際資源パネルがたくさんレポートを出しておりまして、結局、1人当たりの年間資源量を6tから8tに、2050年までに下げていかないと世界がもたないのではないかというレポートが出ております。ところが、日本の循環型社会基本計画には、1人当たりの資源の使用量をどこまで下げていくかという目標が書かれておりません。議論はされているのだと思いますが。

 そうすると、平成32年度の目標値が、日本国民1人当たり何tになるのか、それが国際的に議論されている数値とどのくらい違うのか、その辺を明らかにしてほしいというのがお願いであります。

 2点目は、資料3、浅野会長からご報告のあった地球温暖化に関する取組ですが、この長期目標について、極めて後退しているのではないかと、日本の環境省、中央環境審議会が、全く手ぬるいのではないかと、国民の不安に答えてないのではないかと私は懸念しております。

 私は、福田内閣のときに、総理懇談会にメンバーで出させていただいて、1990年比、2020年までに25%削減ということを基本に議論を展開してまいった経緯がございます。それで、2007年のIPCCの第4次報告書が公表されたときには、中央環境審議会は、会長を初め、有志で国民に声明を発表して、大変な事態が起きているというような情報を提供し、国民にそういう警告をしたという記憶があるのですが、今年になって、私は、同様なことがあってしかるべきと、浅野会長には何度か申し上げたと思うのですが。ご存じのように、アメリカのNOAAの発表、NASAの発表でも、今年の1月から7月にかけて、どの月も、過去のデータに比べて、月間の世界の平均気温は過去最高を記録し続けているわけです。NASAのギャビン・シュミット博士によれば、99%の確率で、今年の年間世界平均気温は過去最高を更新するとのことです。とにかく半年で0.2℃とか0.3℃、気温が上昇しているということは、ただごとではないわけです。この非常事態に当たって中央環境審議会は何をやっているのか、というのが私の個人的意見であります。IPCCの第5次報告書以降もたくさんの論文が出版されているわけで、一つだけご紹介しますと、ハワイ大学の研究グループは、いわゆるクライメット・ディパーチャーといって、温暖化が明確に、その地方の気候に影響し始める時期を世界の都市について計算をしております。まずインドネシアの諸都市から始まるわけですが、2020年からクライメット・ディパーチャーを迎えると。東京・横浜については、2041年にはクライメット・ディパーチャーを迎えると計算がされているわけであります。これはたくさんのコンピュータシミュレーションから抽出したデータでありますから、もちろん不確実性はありますが、それに符合するような気候の変化が続々と、今、起きているわけですね。

 今年に入って、まだ台風10号がふらふらしているわけでありますけれども、一人の国民として見れば、今、世界で起きていること、身近で起きていることは、まさにこの周期的な気候変化プラス地球温暖化の影響がもう身近に迫っているということです。

 そういう状況において、この資料3に記述されていることは、全く、私は、国民一人一人の懸念に答えているような内容にはなっていないのではないかというところを大変心配するわけでございます。

 したがって、もともと日本国内では、1990年比、2020年までに25%削減ということが言われていたわけでありまして、また、第一次安倍内閣でも、2050年には世界的に半減すると言っているわけでありますから、この長期目標については、2050年に、とにかく8割ぐらい削減するということは、私は国是だと。もう議論する余地は全くないと考えているところでございます。

 私、二つ意見を申し上げました。以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 大塚委員、お願いいたします。

○大塚臨時委員 恐れ入ります。それぞれの資料について、それぞれの部会で意見を申し上げていて、既に反映していただいていますので、発言が遅くなって申し訳ありませんが、一言だけ申し上げておきますが、資料1につきまして、先ほど崎田委員が指摘された点は、私も気になっていた点で、この53ページのプラスチックについての有害物質規制の強化によって、リサイクルが阻害されているという、この点に関しては、プラスチックについても、この有害物質がプラスチックに入っていることが特に問題になりますので、それも含めて、ぜひ、もう少し記述を詳しくしていただきたいと、私からもお願いをしておきたいと思います。

 あと、資料1-1の拡大生産者責任については、既に循環基本法に入っている内容ですので、これはこのまま維持していただいたほうがいいと思いますし、あと、資料3に関しては、今、山本委員から非常に重要なご指摘をいただきましたが、ちょっとパリ協定の成立についてのインパクトが、まだ日本全体に必ずしも行き渡ってないようなところがあるかと思いますので、京都議定書に関して、アメリカ、中国がやらなかったのに日本がやらされたというトラウマみたいのが残っていると思いますが、パリ協定ができた結果、新しい時代を迎えているということだと思いますので、ぜひ心を入れかえて取り組んでいく必要があるのかなと思っています。

 パリ協定に関しては、取り組むこと自体については拘束力があるというふうに考えられていますので、しっかりとした長期目標に向かって進んでいただけるとありがたいと思っています。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、ほかにご意見がございますか。よろしゅうございますか。

(な し)

○浅野部会長 では、今、ご意見をいろいろいただきましたので、各部会長、あるいは担当の事務局からお答えをいただければと存じます。佐久間委員、ご発言でしょうか。どうぞ。

○佐久間委員 ありがとうございます。長期目標についてだけ、1点。

 今までの議論を踏まえて、今のこのテキストというのは、いろいろ意見があるということが描かれている点では、議論を反映しているということなので、いろいろ今日もご意見ありましたけれども、ここに書かれている記載というのは、最低限やはり維持していただきたいというふうに経済界としては思います。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 それでは、まず、酒井部会長、あるいは事務局からお答えください。

○酒井循環型社会部会長 それでは、循環型社会部会にいただきました質問のうち、二つだけ、私から答えさせていただきまして、あとは事務局からご回答いただきます。

 末吉委員のほうから、この循環型対策、経済社会との分野横断的な統合と、ここを重視して取り組んでいくことに対して賛意を表していただいたわけですが、この点は、今日ご報告申し上げた、地域循環圏ということで、第二次の計画で出させていただいて、そして現在も取組を続けておるわけですが、今回、地域循環共生圏ということで、いわゆる自然共生との関係等も視野に入れながらという部分を、浅野会長からのアドバイスがありまして、含めさせていただいております。この部分が、まさに今の経済社会との統合的に資源循環も、そして廃棄物対策も、さらには低炭素対策も考えていかねばならないところだと思っております。ここにどう魂を入れていくか、今後、部会の中でもしっかりと検討をしてまいりたいと思いますし、その際、責任投資原則といったような世界の追い風があるというところも、今日、拝聴いたしまして、十分に頭に入れて検討を進めたいというふうに思っております。ありがとうございます。

 それから、林委員のほうから、排出抑制が弱いというご指摘、これは3R対策ということで、発生抑制、再使用、リサイクルということで、これまでどちらかといいますと、個別でリサイクル対策のところに相当力を入れてきたということはあろうかと思います。

 そういった意味で、今後の本当の社会に必要な資源量は幾らあるのか、あるいは、消費の量は幾らなのかというようなところを長期的に見据えていく中で、どう対策を組んでいくか、ここも十分に考えてまいりたいと思います。

 今、特に食品廃棄物、食品ロスのところへ相当力を入れて検討を進め始めておりますので、今日ご指摘いただいた、もう一つ、いわゆる建物建てかえのない都市づくりというのは、これはまさに建設廃棄物等々のリンクする話というふうに思っております。その際にトップランナー方式、どのような形で導入できるかということも頭に置いて検討をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○田中リサイクル推進室長 それでは、循環部会の事務局より、追加でご説明させていただきます。

 まず、安井委員からご指摘がございました、資料1-1の16ページ、資源生産性の分析でございます。これは、循環基本計画の点検、毎年行っているほうでもう少し細かく書いているのですが、この「現状」のところの定義で、分母が天然資源投入量で、分子がGDPとなっています。GDPが横ばいの中、分母である天然資源投入量が、次のページの図表13.にございますように、平成21年度までは大規模工業、特に黒い部分の非金属鉱物のところが顕著ですが、公共工事の減少ですとか、産業構造の変化により減少してきたことが、資源生産性の、平成21年ぐらいまでの右肩上がりに貢献してまいりました。

 一方で、近年の天然資源投入量が、この図表13.のとおり、22年ぐらいから横ばいになっております。これは建設工事の増加による、建設工事に投入される非鉄金属鉱物の増加ですとか、あるいは火力発電の増加による発電所向けの石炭輸入量の増加などが効いているのだと考えております。この資源生産性の向上に向けて、循環政策としては、例えば今後の課題の49ページに、環境配慮設計、入り口の投入量を減らすための協力、あるいはリサイクルの向上などの取組によって努力してまいりたいと考えております。

 また、高度なリサイクルにつきましては、例えば小型家電の量をやるとともに、その額を上げていくような取組、あるいは、自動車のシュレッダーダストの質の高いリサイクル、あるいは、容器包装とかの水平リサイクルなど、高付加価値なリサイクルというような、質を重視した取組が、各個別リサイクル法の点検の中で課題として出ておりまして、事業者、あるいは消費者の皆さん、NGOの皆さん、自治体とも連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 続きまして、崎田委員から、53ページについてご指摘がございました。今年度の循環部会での循環基本計画の点検の中で唯一バツがついたところです。これについては、リサイクル原料の有害物質の混入状況に関する基準の策定、あるいは、効果的な管理の手法については、今年の秋の循環基本計画の最後の点検、あるいは、来年度の循環基本計画の見直しに向けて、1年半後には新しい循環基本計画の閣議決定の予定ですので、そうした中で議論させていただければと考えております。

 続きまして、髙橋委員からご指摘がございました、一つは海外の環境配慮、サプライチェーン全体としての資源の循環利用ということです。ページの都合上、循環基本計画の点検報告書のほうには書かせていただいているのですが、例えば、隠れたフローを考慮した金属資源のTMR、採掘に当たった隠れた鉱物とか土砂等のフローを含めた循環利用率というような目標も実はございまして、これにつきましては、平成22年以降、上昇傾向になってはございますが、こういった取組、サプライチェーン全体での視点というのは、ご指摘のとおりだというふうに考えてございます。

 今後の課題の48ページの下から二つ目の丸のところに、生産段階、消費段階を含むライフサイクル全体を通じた循環社会の形成という取組を、まさに今後の循環計画の点検、あるいは見直しの中で、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 その48ページの下の消費者に関する情報提供についても、引き続き関係者と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 末吉委員のご指摘につきましては、酒井部会長からご指摘いただきました。次に中村委員からのご指摘についてでございます。ライフサイクル全体、国民全体で、規制的な措置に加えて、透明性を持って取り組んでいくべきだというご指摘をいただきました。こちらも、各種リサイクル法の中で、今回は紙面の都合上十分書き切れていないところもございますが、例えば容器包装につきましては、地域協議会、あるいはコンソーシアムの中で、事業者団体、NGO、消費者が連携して地域で取り組んでいくこと、あるいは、自動車についても、指定法人が持っている情報を、今まで、まだまだ効果的に発信できなかったということで、今、JARCの中での検討会をやっております。あるいは、家電の情報発信、あるいは小型家電の情報発信、それから食品リサイクルの情報発信等、これも、それぞれの点検の中で、課題の中で書き込まれておりますので、これについて、今、関係省庁と検討会などで情報発信のあり方を進めているところでございます。食品リサイクルにつきましては、福井県の中心となっている、今年の秋にも自治体の食べきり、食品ロスのネットワークをつくろうという動きが始まっておりますので、国としても、これらに協力してまいりたいというふうに考えております。

 長辻委員のご指摘いただきました、埋設農薬の記述につきましては、具体的な記述につきましては、丁寧な対応となるよう相談させていただきたいというふうに考えております。

 それから、三浦委員からご指摘がございました、産廃の件でございます。資料1-1の30ページをご覧いただければと思いますが、自動車や家電など、さまざまな不法投棄につきましては、敷地外の不法投棄、あるいは敷地内での不適正処理、それぞれ減少傾向にはあるところでございます。自治体と連携しながら、モラルハザードにならないように留意しつつ、原因者が特定されているものについては指導の強化、それから、原因者がどうしてもわからないものについては、自動車メーカー、家電メーカーの協力も得ながら、撤去というのを自治体と連携しながらやっているところですが、引き続き、よく相談しながら対応をしていきたいと考えております。

 あと、大塚委員のご指摘を踏まえた記述については、検討をさせていただければと思います。

 それから、山本委員からご指摘ございました、国民1人当たりの資源量についても、今の循環基本計画では、1人当たりの排出のほうは指標がございますが、資源の採取等、投入のほうについては計画の中で持っておりません。UNEPの国際資源パネルには、日本からは、循環部会の委員でありました森口委員が、報告書の作成には携わっておりました。今回、委員の見直しで、パネリストは立命館大学の橋本委員になっておりますが、橋本先生にも協力をいただきながら、事務的にどういうふうに対応していくか、次の循環基本計画の見直しに備えていくかというのを、実は相談を定期的にさせていただいております。G7の1人当たり排出量、フットプリントは、世界平均、あるいはBRICsの2.5倍というところについては、危機感を持っております。今後の循環基本計画の点検、見直しの中で、循環部会中心でご議論をいただければというふうに考えております。

 私からは以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 循環基本計画を、そもそも最初につくったときの経過を言いますと、キャップをかぶせるような発想に対してはかなり抵抗が強かったということがあって、やむを得ず、資源生産性という指標を目標にしようという議論にいたしました。この指標は、経済成長をすれば資源投入量をふやしてもかまわないというものであると、たびたび批判を受けていますが、計画では、資源生産性だけでなく、循環利用率と、最終処分量についても目標を決める、3点セットでやる。そのことによって、事実上は、総枠がちゃんと押さえられるはずだろうと考えてやってきたわけです。

 ただ、先ほどお話がありましたように、資源生産性については、どうも順調に数字が伸びていかないという現象が昨今起こっていますので、もう一度考えなければいけませんし、循環基本計画をつくったころには、国際的な目標というような概念がそもそもありませんでしたから、そういうものを入れることには困難があった面もあります。意識はしていたのですけども、なかなか難しかろうというので、ちょっと迂回のような形での目標設定にしたわけですが、今、事務局、あるいは部会長がおっしゃるように、次の循環計画では、それを正面から、どこまで考えるかということが課題だろうと思いますので、山本委員のご意見も参考にしながら、さらに循環型社会部会で検討をいただければと思っております。

 それでは、相澤部会長、あるいは事務局からどうぞ。

○立川環境安全課長 それでは、環境保健部会の点検報告を、資料2に対していただきましたご意見に対して、環境保健部会の事務局であります、環境保健部環境安全課、立川よりご説明申し上げたいと思います。

 ご指摘いただいた部分の資料2のページに沿ってできるだけ説明したいと思います。

 恐縮ですが、資料2の21ページの下のほう、「QSAR・トキシコゲノミクス等の開発・活用」といったところについて、三浦委員から、試験法の記述ぶり、冗長になっていて、一方、ガイダンス的なものとかガイドライン的なものが混在していたり、あと、理研等のほかの機関の取組が落ちているものもあったりと、そういったご指摘をいただきました。ここの部分、まさしくそういった部分はあるのかもしれませんので、関係府省と相談したいと思います。後ほど担当からお伺いさせますので、具体にまた相談させてください。

 それから、その次でございます、ページで追っていきますと、25ページ、「子どもと健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」について、佐々木委員から、どのような成果が得られているのかといったご質問をいただきました。このエコチル調査につきましては、実はコホートが確定して、ようやくデータが出てきたといった段階でございまして、したがって、まだ非常に成果としては限定的な段階にございます。ただ、得られたデータとしては、既に環境省のウェブページにも出させていただいておりますが、例えば妊娠された女性の方の喫煙率と出生児の体重が減るといった関係、こういったものが見られるといったような形でご報告させていただいております。今後は、お母さんの血液の検査、それからお子さんの身体的な測定の結果等々も含めて、データが出てまいりますので、そうしたこともどんどんこれからデータとしては出してまいりたいと思っております。

 それから、ページが飛んで恐縮です、51ページの下のほう、埋設農薬の件について、長辻委員からご指摘いただきました。物質として、どういったものがここの埋設農薬として扱われてきたのかということを記載したほうがいいといったご指摘だと思っておりますので、そうした点については追記を検討したいと思っております。

 それから、56ページでございます。56ページ、「今後の課題」のところで、二つ目の丸、化審法に基づくリスク評価について、QSARにもかけられないものがあって、そもそもうまく回らないのではないかといった点、安井委員からご指摘いただきました。まさしくQSARにもかけられない物質といったものがあるといったことは、私どもも認識しておりまして、この点を含めて、リスク評価をどういうふうに加速化していくのかといった点、これは前からも指摘をいただいていた部分ではあるのですが、なかなか着手できていないということもございまして、今後、中環審のもとの小委員会で具体的に検討をしてまいりたいと思っております。

 ただ、ここの二つ目の丸の指摘については、どちらかというと、新規の物質に関してのリスク評価というよりは、既存化学品について、ありていに言うと宿題がいっぱいあるものですから、なかなか宿題が済まないということについての対応として、記載させていただいたものでございます。

 それから、ページをちょっと遡って、必ずしもこのページというわけではないのですが、38ページの辺り、一番上に、「化学物質情報検索支援システム(ケミココ)」という部分がございまして、これに関連いたしまして、白石委員から、情報をまとめていくこと、こういった視点が、全体的な視点、記載、記述ぶりが弱いといったことをご指摘いただいております。環境省といたしましては、ここに書いてありますケミココを出しておりまして、そのほか、例えばNITEがクリップといった情報システムを出しています。こうしたものを統合するものとして、日化協がビッグドクターといったようなものを出しておりまして、いろんな動きがありますが、そうしたものが存在するということ、そして、こうしたデータベースシステムは持続性が重要だということがございますので、そうしたことを意識しつつ、足りない点の強化を考えてまいりたいと思います。

 それから、最後に、崎田委員から、資料2というよりは、資料1-2の14ページ、先ほど廃リ部からもお答えいただきましたが、廃棄物における有害物質に関する基準策定について、廃リ部と保健部でしっかり協調をというご指摘をいただいたのだと思っております。まさに、我々の環境保健部会のほうでいただきました点検報告書の中の大きなテーマといたしまして、ライフサイクル全体を通じた施策といったもの、しっかり対応していかなければいけないということでございますが、そこの中で、当然のこととして循環部会、ないしは廃リ部としっかり連携していかなければいけない点があるのだろうと思っております。まさしくPOPs等でそういったご指摘を我々もいただきましたので、今後ともしっかり連携して、検討してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 地球環境部会についてもいろいろとご意見をいただきました。山本委員からも厳しいご意見をいただきまして、危機感がないのではないかと言われてしまいましたが、個人的には大変な危機感を持っておりますが、なかなか部会で完全に一致しないというところが悩みの種だということは最初に申し上げました。

 また、パリ協定の早期発効についてもその重要性はよくわかっておりますし、これは大塚委員が言われるように過去の京都議定書での嫌な思い出にとらわれて、ぐずぐずするということが本当にいいのかということは問題だというご指摘も、そのとおりであります。特に発効要件については、我が国の提案によってあのような発効要件にしているということもありますから、そのことも十分に忘れないでおく必要があるだろうと思います。つまり単純多数ではない。排出量が多いところが一定数以上同意をしない限りは効力を生じないというのは我が国の提案だったわけですから、そのことをぜひ記憶した上で、我が国が一番最後にというようなことになってはいけないだろうという認識は持っております。

 ご指摘をいただきました点で、安井委員、崎田委員、あるいは根本委員の手直しをしてはどうかというご指摘については、私もそうだと思いますので、事務局と相談をさせていただきたいと思います。

 林委員のおっしゃることも誠にごもっともと思いながら聞いておりますが、どこにどう入れるかというのは、ちょっとなかなかつらいところなので、しっかり考えてみたいと思います。

 さらに、長辻委員から、ヒートアイランドについてはどうかということを言われました。これは改めて現行計画を見たのですが、計画の中にも実は入っていなかったり、あるいは、国土づくりのほうにも入っていないようです。緩和という政策とはつながらないという認識が当時あったのだろうと思いますが、今のように適応策の重要性をこれほど厳しく言っているときに、気候変動の適応とあわせて考えてまいりますと、ヒートアイランドの問題は全く別の問題というふうに考えるのは不合理だと思いますから、今後、適応を考えるときには、これを一体的に考えなくてはいけないだろうという認識を持っております。

 その他については事務局からお願いします。

○名倉低炭素社会推進室長 その他も含めまして、まず一つは、佐々木委員から、環境教育に関するご指摘がございましたけれども、それにつきましては、3ページの上から四つ目の丸のところに環境教育等の推進による人材育成というのは書いてございますけれども、詳しくは後ほど、環境教育室から答えていただきます。

 そのほか、ほとんど部会長に言っていただきましたけれども、根本委員からご指摘いただきましたエコドライブにつきましては、18ページのところに「COOL CHOICE」に関する記載がございまして、「COOL CHOICE」は、低炭素型の製品への買換え・サービスへの選択・ライフスタイルへの選択を進めるものであり、ライフスタイルの選択に入ると考えておりますけれども、これも部会長からおっしゃっていただきましたように、後でご相談をさせていただいて記述の適正化を図っていきたいと考えております。

 以上でございます。

○浅野部会長 環境教育推進室長、どうぞ。

○永見環境教育推進室長 補足させてください、環境教育推進室長でございます。

 佐々木委員のご指摘でございますけれども、学習指導要領の今般の改訂の方向性についてはお詳しいところであると思いますが、3本柱ございまして、社会に開かれた教育課程、主体的、対話的で深い学び、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からというので3本柱のうちの二つが、環境教育であるとか、体験学習、自然体験学習といったところに親和性のある方向性が出されております。このため、個別の科目に、いろいろ環境教育というのはなかなか難しいところもあるのですが、こうした3本柱の方向性に合わせて、環境省が文部科学省と協力して、ESD、持続可能な開発のための教育という旗を立てまして、地域、地域で持続可能な開発のための教育が行われていくことを支援していこうということで取組を進めているところでございます。ただ、学習指導要領改訂の方向性の一つには、学習内容の削減は行わないというところもあって、なかなか現場はお忙しいというところもあるようでして、そういったところもうまく調整して、しっかり進めていきたいと思っております。

 また温暖化、個別の問題に関して言いますと、最近でいいますと地球環境局で取り組んでいる地球温暖化防止コミュニケーター事業というのがございまして、これは地球温暖化の取組の現状であるとか、今後の地球温暖化のIPCCの内容であるとか、そういったところを広く一般に説明して、理解していただくようなコミュニケーターを育てていって、現場でいろいろと活躍していただこうというような事業でございますが、こういったところにも、文部科学省にもご協力をいただいて、先生方にこういった事業があることを周知して、積極的に参加、実際の研修に参加していただいて、コミュニケーターになっていただけないかということで周知を図るなどをしているところでございます。

 以上です。

○浅野部会長 それでは、ここまでで、各部会にお願いしておりました点検についての議論を終わりたいと思います。

 酒井部会長、相澤部会長、どうもお忙しいところありがとうございました。この後、もしお急ぎでしたら、席をご自由にお外しください。

 それでは、続きまして、総合政策部会で審議しております、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」、「放射性物質による環境汚染からの回復等」の項目の今後の課題に関する検討、さらに、平成28年の地方ブロック別ヒアリングに関する報告、環境情報戦略に基づく施策のフォローアップの調査結果、以上について、一括して事務局から説明をいただきます。

○山田環境計画課計画官 それでは、事務局から、資料4、5、6、7について一括で説明させていただきます。

 まず、資料4「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」でございます。この資料の18ページまでは、6月24日の第84回部会でイメージ案として既にお示しをしております。その後、大きな変更はございませんので、その部分の説明は省略させていただきます。

 19ページをご覧いただければと思います。このページは今回新たに作成したものですが、持続可能な地域づくりのための地域資源の活用及び地域間の交流の好事例ということで、先ほど申し上げましたし、これから資料6で説明いたしますその地方のヒアリング、3カ所で行いましたが、そのシンポジウムの概要をこちらに記載させていただいております。内容につきましては資料6で説明させていただきますので、19ページ、20ページの説明を省略させていただき、21ページに移らせていただきます。

 今後の課題でございます。この地域づくりの分野では、重点検討項目は二つございます。一つは国土管理、もう一つはアセスでございます。国土管理につきましては、地方公共団体における生物多様性地域戦略の策定の状況というのは、この10年で順調に増加をして、2030年までに全ての都道府県で策定するという目標値に着実に近づきつつあるということを確認いたしました。愛知目標の実現に向け、生物多様性の重要性について一層の理解を促す取組が必要だということです。また、低炭素なまちづくりに関連して、多様な主体が連携することが重要です。また、温室効果ガスの削減効果を可視化したり、指標を用いて定量的に状況を把握することも重要です。加えて、都市計画には環境への配慮が十分になされていない状況もあるということですので、温対計画に掲げられたコンパクトシティの実現も視野に、低炭素なまちづくりの観点を可能な限り組み込んでいくべきであるとさせていただいています。

 アセスの制度でございますが、着実な進展が見られ、一定の効果が出ていると考えられます。対象外事業におけるものも、そのガイドラインということで、小規模発電所建設においても、実務的に対応を促していくことが重要だ、ということにさせていただいております。

 風力発電に係る環境影響評価でございますが、効率的に実施することができるようになった一方で、さらに手続きを迅速化していくための取組も必要、とさせていただいています。

 これらを踏まえまして、個別の課題として三つ挙げさせていただいています。

 一つはグッドプラクティスの共有ということで、地域づくりをする際に、頑張っている、その先進的な事例を共有しまして、それぞれの地域の実情に応じて柔軟に対応していくべきだ、とさせていただいております。

 もう一つは、この前のほうのページにあります各施策について、生物多様性地域連携保全活動の推進についてですが、多様な主体の連携が不可欠です。分野横断的な取組を行うべきであるとさせていただいております。加えて、これもこの前のほうのページにある低炭素なまちについてということですが、まちづくりの視点に環境への配慮が十分反映されるよう、環境省がリーダーシップをとり、国土交通省等の関係府省と連携しながら推進すべき、とさせていただいております。

 22ページをご覧ください。アセスの制度についてでございますが、着実な運用を図ることが重要で、事業の環境配慮の促進についても一層取組を進めるべきであるとさせていただいております。戦略的アセスについてですが、関係する諸外国の情報収集を行い、我が国に即した制度の検討を進めるべきである、とさせていただきました。

 続いて、資料5「放射性物質による環境汚染からの回復等」でございます。この資料も、6月24日の部会で既にイメージ案をお示ししているものであり、基本的に説明は省略いたしますが、1カ所だけ、コメントにより追加させていただいた箇所がありますので、ご紹介させていただきます。

 15ページをご覧ください。上から5行目でございますが、県民健康調査のうち「甲状腺検査」についてコメントがございましたので、追記をさせていただきました。こちらは、福島県が設置しました県民健康調査検討委員会の検討結果を記載させていただく、ということでまとめさせていただいています。一巡目の検査に関するその見解をまとめ、現在、福島県が二巡目以降の検査を実施しているところ、ということについてもあわせて追記させていただきました。

 その後、22ページに移らせていただきます。最後のページでございます。今後の課題についてです。まず、除染についてですが、除染を含む方針が今後具体化される帰還困難区域を除きまして、概ね着実に進捗をしているということを確認いたしました。また、中間貯蔵施設の整備ですけれども、取組の強化を図ることが必要です。また、地方公共団体等の関係者と連携をすべきだということにさせていただいています。指定廃棄物の処理ですけれども、これも政府と地方公共団体が緊密に連携し、着実に進めるべきであるとさせていただいています。

 放射線による人の健康へのリスクの管理及び野生動植物への影響の把握でございますが、取組に進展が認められますが、農産物等の風評被害が引き続き見られるということ、特に、被災地以外の消費者等に対する理解促進の取組が重要ということです。なお、情報発信に当たっては、福島県環境創造センター等の施設等も最大限活用すべきであると追記させていただいています。

 個別の課題として一つ挙げております。放射線による人の健康へのリスクの管理及び野生動植物への影響の把握についてですが、知見を引き続き積極的に公表、発信するということが重要だということ、あと、リスクコミュニケーションにつきましても、関係府省、オール霞ヶ関で一丸となって個々人の放射線不安に対応したきめ細やかな取組を一層進めていくことが重要である、とまとめさせていただきました。

 続いてで恐縮ですが、資料6です。先ほども少し言及させていただきましたが、今年、地方ヒアリングということで3カ所、環境シンポジウムの開催と現地調査を行わせていただきました。この資料にまとめさせていただいております。6月には、東北ブロックということで仙台、7月は近畿ブロックということで大阪、8月は中国ブロックということで岡山、この3カ所でシンポジウム、現地視察を行いました。

 内容につきましては、東北ブロックにつきましては環境シンポジウムのテーマとして「地域に根差した再生可能エネルギー等を活用した持続可能な地域づくり」とさせていただきました。取組状況の報告といたしまして、宮城県東松島市、山形県最上町、アミタ株式会社、株式会社元気アップつちゆからご報告をいただきました。それから、視察につきましては、東松島市にあるディスカバリーセンター、同じく、東松島市のスマート防災エコタウン、同じ東松島市の野蒜・宮戸地区を視察させていただきました。

 近畿ブロックについては、「水域でつなぐ多様な主体の連携による持続可能な地域づくり」をテーマといたしまして、環境シンポジウムを開催させていただきました。このシンポジウムでは、NPO法人家棟川流域観光船、プロジェクト保津川、大阪産業大学濱崎先生、それから、吉野川紀の川源流物語のそれぞれのご担当の方からご報告を頂戴いたしました。視察は、大阪市内にあるあべのハルカス、それから、大阪ガスにありますハグミュージアムという展示施設を視察させていただきました。

 中国ブロックについては、岡山で行ったものですが、「中国地方の多様な主体による持続可能な環境保全の取組について」ということで、環境シンポジウムを開催させていただきました。取組状況の報告としましては、岡山県西粟倉村の担当課長、秋吉台科学博物館、NPO法人里海づくり研究会ということで、備前市立日生中学校の先生とともに取り組んでいる例をご報告いただきました。視察先としましては、西粟倉村内の薪ボイラーを使った温泉、それから、A0(エーゼロ)株式会社、さらには森の学校というところを視察させていただきました。

 立て続けで恐縮です。資料7「環境情報戦略に基づく施策のフォローアップ調査の結果」でございます。こちらは第3次環境基本計画で環境情報戦略を策定するということにされたことと、さらに、政府のIT戦略本部が打ち出したものをもとに、総合政策部会の下に環境情報専門委員会が設置され、平成21年に環境情報戦略が策定されました。こちらのフォローアップを行っておりまして、今回は4回目ということになります。このフォローアップにつきまして、先ほど申し上げた、その環境情報専門委員会で審議されたものをご報告させていただきます。

 4ページをご覧ください。取組状況と書かれている、資料の真ん中辺りから説明させていただきます。進展が認められた主な施策と今後の主な課題について記載させていただいています。進展が認められた主な施策といたしまして、気候変動影響統計ポータルサイトを全面リニューアルした、環境経済情報ポータルサイト内の環境ビジネス総合情報サイトを開設した、それから、これは5ページの三つ目の丸にありますとおり、環境省ホームページにおけるコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)を導入するなどの進展が見られました。

 一方、今後の主な課題といたしまして、政府のIT戦略本部で決定いたしました「オープンデータ2.0」について、この、政府のオープンデータ推進の取組に基づき、環境情報に関するオープンデータの取組を強化する必要があるということです。その際、そのオープンデータとセキュリティ対策の両立を図るとともに、過去に遡ったオープンデータへの対応、気候変動分野へのオープンデータの強化、さらには、研究成果のオープンデータへの対応等を進める必要がある、とさせていただいております。

 6ページに移ります。環境情報の利用者のニーズや不満、利活用状況を的確に把握するということが重要だ、としております。その次ですが、国や地方公共団体だけでなく、民間・市民セクターが保有する環境情報を含め、多様な主体が互いの環境情報を共有し、相互に利活用が進められるような協働型の仕組みづくりを検討する必要があるとしております。その次ですが、環境省のホームページについて、情報を即時にアップするということ、あとは、海外に対する戦略的な情報発信を強化すること、SDGsに関する情報発信の強化を進める必要がある、とさせていただいています。最後の丸ですが、政府のオープンデータ推進の加速化等、その環境情報を巡る状況の変化をよく踏まえて、次期環境基本計画の検討と合わせて、この情報戦略の見直しに向けた検討を行う必要があるということでまとめさせていただきました。

 説明につきましては以上でございます。

○浅野部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見がございましたらお聞きしたいと思います。どうぞ名札をお立てください。今のところ大塚委員のみでございますが、ほかにはいらっしゃいませんか。

 大塚委員、どうぞ。

○大塚臨時委員 意見ではないが、一言だけ申しあげます。この地域ブロックの検討というか、取組について、近畿に参加させていただいて、大変いい経験をさせていただきました。一言だけ申し上げておきたいのは、資料6の6ページにある、(5)の②の原田さんという人のお話とか、非常に感銘を受けましたが、「海ごみ」の対策に関して、清掃活動をやっているということですけれども、河川敷の不法投棄に対して、防犯カメラをつけて対応して、皆さんで協力されて、根絶に近いようなところまでいっているというところもございまして、プラスチックごみとかの関係も含めて、非常に重要な取組だと思いますので、ぜひ環境省さんも参考にしていただけるとありがたいと思いました。

 以上でございます。

○浅野部会長 ありがとうございました。

 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。私も、地方ヒアリングの大阪と岡山と参加させていただきました。そして、地域づくり・人づくりということでは、地域の各主体の連携協働ということを大変重視して、私もいろいろな事例を伺いましたけれども、そういう取組が進んでいる中で、特に大阪のほうでは、地域の各主体の連携の中で専門性、大学とかそういう専門性のある方がしっかり入って、環境改善に関して質の高い取組が進んでいるということが印象に残りました。それが大阪で、もう一つ、岡山では、これからの地域づくりは持続可能な視点を非常に重視して、地域の仕事起こしとか、少子高齢化対策、仕事づくり、そういうことをしっかり考えた活力ある地域づくりという、そういう方向性が非常に明確だという印象を大変持ちました。

 それはコメントなんですが、資料4の21ページの地域づくり・人づくりの今後の課題のところで、丸の2番目、生物多様性のところで一番最後の行、21ページの一番下に「国土交通省等の関係府省と連携しながら推進すべき」とありますが、これから地域の山林とか山やなんかをどういうふうに新しいまちづくりに開発しようかというときに、バイオマスを使うにしても、どういう方が所有しておられるかがなかなかわからないという状況になっているわけですけれども、そういう中で、例えば、昨年度改訂した国土交通省の国土形成計画のほうで、そういうところの土地をきちんと管理できるような新しい方向性というのがかなり打ち出されてきていますので、そういうことも活用しながら、できるだけ地域が面的に利活用できるような形で推進できればと期待しております。

 もう1点ですが、資料5の放射性物質の汚染のところ、いろいろ進んできたということで、ご苦労の中で取り組んできていただいており、指定廃棄物などに関して熱心にやっていただいておりますが、地域の方の信頼関係の醸成が遅れていて、なかなか計画どおりには進まないというようなところが、大変申し訳ないですが、文章を読んでいる中で、そのご苦労というか、状況が余り伝わってきません。もう少しその辺の状況を加えていただいてもよろしいのではないかという感じがいたしました。

 もう一つ、環境影響評価のところで、環境影響評価にも関係するんですが、環境情報でビッグデータ、オープンデータを使っていくようなことを地域の課題解決に生かすようにという方向があるというお話がありました。環境影響評価のところも、そういうことで多くの方がパソコンの中でどんどんシミュレーションしながら地域の将来を考えられるような、そういうデータの作成というのも非常に期待されているところであると思いますので、そういうことを相互に生かしながら取り組んでいただければありがたいと感じました。

 どうぞよろしくお願いします。

○浅野部会長 ありがとうございました。

岸上委員、お願いします。

○岸上臨時委員 1点、確認と質問をさせていただきたいと思っております。

 資料4に関して、持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進ということで題がついておりまして、一読させていただいたところ、日本の国土についてどう考えるのか、また、日本に生まれて日本で育った人が、持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備ということを前提に記載されているような印象を受けております。海外の状況、例えば大塚先生のご講演ですとか、NASAのご紹介などもやっておられるという意味で、海外の状況を確認することが必要だという範囲での記載はあります。また、現在、世界中で、かなり人の動きが激しくなっていると認識しております。そのような状況を想定して、この資料4をつくられているのか、その点を確認させていただきたいと思っております。

 趣旨としては、地域に生まれ育った人でも、グローバルな会社に就職して、海外で活躍する方もいると思いますし、逆に、海外から人がやってきて地域に住み着くといったような状況も将来的には考えられるのかなと考えておりまして、そのような視点から、前提をどのようにお考えなのか、お聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 ありがとうございました。

中村委員、どうぞ。

○中村(紀)委員 今までの重点項目の点検結果、非常に丁寧にしていただいていると思います。

 1点、私が危惧していることが一つあるのですが、それは、先ほど山本委員から、非常に世界中で、温暖化であるとか、いろいろな情報が出てきて、この環境政策というのは刻々と変わらなければいけない状況にあると思うのですが、日本は一旦環境政策が決まって動き出すと、それを見直したりストップするという仕組みがないのではないかという危惧を私は持っております。

 例えば、今回の人づくり・地域づくりの中で、国土の管理というのが重点項目の一つになっているのですが、例えば東日本大震災のところで、今、湾岸のところに6メートル、9メートル、10何メートルという堤防、防波堤をつくろうとしています。それが本当に正しい方向なのか。かなりの反対があるようなのですが、まさに一旦走り出したこのプロジェクトは、総理大臣であっても止められないというところまで来ていると聞いています。でも、一旦政策が決まったとしても、刻々と変わる情報、例えば、防波堤を何メートルもつくらなくても、今やいろんな情報、データを集めれば、いつ、どのくらいの規模の津波が到達するかぐらいはわかる時代になってきているわけです。それを一切そこに住んでいらっしゃる方から、海が全く見えない堤防をずっとつくり続けていくと、これが今、止められない状況に来ている、これは一つの一例ですけれども、まさに今やっている環境政策というものが、当時の基本計画にのっとって動き始めてはいるけれども、刻々と変わる変化に対して、この部会が見直し・点検してくださったことが、どのような形で変わっていく力があるのか、可能性、あるいは重みがあるのかというのが見えなかったものですから、今後はそこのところも検討していただきたいと感じています。

 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。

○末吉臨時委員 後出しですみませんでした。

 資料4の地域づくり・人づくり、基盤整備のところで1点だけ、NPOという言葉がたくさん出てきて、多様な主体の一角に入っている。これは大変結構なのですが、まことにNPOの方には申しわけないのですけれども、日本の規模とか、経済規模、あるいは生活レベル、問題の多様性などから見ますと、日本のNPOあるいはNGOは、私は、必要かつ十分な状況になっていないのではないかと思います。ここの記述を見ますと、あたかも必要なレベルのNPOが十分いて、それを活用しようというふうに読めるのですけれども、世界を見ると、世論の形成、社会教育、あるいは政策決定、さらには、いろいろなことを実践する上で、NGO、NPOは場合によっては政府並み、あるいは政府以上のパワーを持っています。そうした視点を考えますと、NPOとかNGOをどうやって育てていくのか、あるいは支援していくのか、こういったことも相当念頭に置いて話をしないと、あたかもそこに十分なNPOがいるような形でやっていくのは、私はちょっと不思議だなと思っております。

 ですから、いろんな意味で、行政、企業、社会全体で、よりよいNPO、NGOをどう育てていくのかというのは非常に大きなテーマだと思います。

○浅野部会長 ありがとうごいました。

 今ご意見をいただきましたことを踏まえて、必要な修正を加えるつもりでありますが、岸上委員からのご質問というかご発言は、ちょっと困ったなと思って伺っていたのですが、実は、今の環境基本計画のこの部分は、どちらかというと国土をストックとして、いかに環境面からきちっと守っていくのかということがスタートラインになって、そこに地域づくりと人づくりがかみ合うんだという話になっているのです。ですから、おっしゃるような人の流れというようなところから発想してないのですよ、今のところ。それでどうしてもそれは入ってこないということです。ただ、地域づくりという話を実際に現場に行ってみるときに、おっしゃるような要素は当然あり得るわけですから、それがその地域の活性化につながっているというのは幾つもありますので、次の計画を考えるときには、おっしゃるような視点をしっかり入れて考えていく必要があるだろうと思いながら伺っておりましたが、多分これは事務局も答えにくいだろうと思いましたので、私からご説明申し上げました。

 NPOを強化せよということについては確かに大きな問題としてございますし、それから、先ほど林委員が指摘されたことは、どちらかというと資料4に入れてもいいかなと思って聞いておりましたので、また、どういう表現がいいか、なかなか魅力的なご発言ではあったのですが、そのまま書くのもなかなか難しいかなと思って聞いていましたけれども、こちらのほうにも生かせていただくことができるかなということも思いました。

 今日いただきましたご意見に基づいて、今日の報告に関しては、それぞれの部会に関することは各部会の部会長とご相談をしながら、さらに全体にかかる事柄については私が責任もございますので、事務局と相談をしながら再度調整をさせていただいて、この後、パブリックコメントにかけたいと思います。パブリックコメントを受けた後、そこでいただいたご意見も踏まえて、さらに修正すべき点がありましたら、その修正を加えたものを、もう一度この総合政策部会におかけして皆さんのご意見を伺い、報告案をまとめるという順序になると思いますので、とりあえずパブリックコメントに付する案については、私にご一任いただけますでしょうか。

(異議なし)

○浅野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、本日の予定しておりました議事は以上でございます。この後、事務局からお知らせすることがございましたら、どうぞお願いいたします。

○山田環境計画課計画官 それでは、今後の開催予定についてご連絡いたします。

 参考資料5、一番最後の資料になりますが、ご覧ください。第87回総合政策部会ということで、10月19日(水)、10時から12時まで、場所はここ、航空会館大ホールです。議題は、先ほど、浅野部会長からお話がございましたとおり、第4次環境基本計画の進捗状況、今後の課題についての中で、パブリックコメントの結果等を踏まえた点検報告書の審議ということにさせていただきたいと考えております。

 以上です。

○浅野部会長 それでは、ほかに何か、特にご指摘・ご意見はございませんね。よろしゅうございますか。

 それでは、どうもありがとうございました。本日の部会はこれで終了いたします。本日もご協力ありがとうございました。

午後 0時26分 閉会