中央環境審議会 総合政策部会(第71回)議事録

開催日時

平成25年7月29日(月)16:32~18:58

開催場所

環境省 第一会議室

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (一)第四次環境基本計画の進捗状況の第1回点検について
    •  経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進
    • 持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進
  2. (二)その他

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1-1 「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」に係る報告
資料1-2 重点点検分野に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)
「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」
資料2-1 「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」に係る報告
資料2-2 重点点検分野に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)
「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」

【参考資料】

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
参考資料2 第四次環境基本計画の点検の進め方について
参考資料3 「東日本大震災からの復旧・復興に際しての環境面から配慮すべき事項」に係る報告(抜粋)

議事録

午後4時32分 開会

○山本環境計画課計画官 それでは、時間となりましたので、ただいまから第71回中央環境審議会総合政策部会を開会いたします。まだお見えでない委員の方もいらっしゃいますが、定刻となりましたので始めさせていただきたいと思います。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。資料1-1から、1-2、資料2-1、2-2に続いて、参考資料1、2、3がございます。足りない資料がございましたら、事務局までお申しつけいただきますよう、お願いいたします。
 本日の部会は、現時点で全委員29名のうち過半数の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
 それでは、今後の進行は武内部会長にお願いいたします。

○武内部会長 どうも皆様、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。
 最初に、「第四次環境基本計画の進捗状況の第1回点検について」を議題とさせていただきます。
 本日は、前回に引き続き、横断重点分野の点検を行います。今回扱う重点分野は、まず「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」、それから、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」となっております。まず、これらの分野のヒアリングに入ります前に、前回行いました「東日本大震災からの復旧・復興に際しての環境面から配慮すべき事項」のヒアリングにおいて、岩村委員からご質問のあった復興予算における便乗予算の件について、経済産業省が回答を持ち帰っておりましたので、この件について、経済産業省より回答をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○宇野係員(経済産業省) 経済産業省からお答えさせていただきたいと思います。
 前回、環境基本計画に登録されている施策の中に、いわゆる悪乗り予算、復興予算の流用問題に挙がっている施策が登録されているのではないかというご心配をいただきました。念のため、持ち帰らせていただいて確認しましたところ、こちらの施策は該当しておりませんでした。ということで、ご安心ください。
 以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 今日は岩村委員はご出席ではないということで、これは議事録に記録させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、本日の議題に入りたいと思います。
 まず、横断重点分野、「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」の報告に移ります。
 最初に、事務局のほうより報告をお願いいたします。

○山本環境計画課計画官 それでは、今回も横断重点分野、2分野についてご説明して参ります。
まず、「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」に係る点検報告でございます。資料1-2のとおり、関係府省から自主的点検結果として調査票をご提出いただいています。これに基づいて、事務局にて資料1-1の点検報告書案を作成しております。この資料1-1に沿ってご説明したいと思います。
 「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」分野の重点検討項目は、1ページ目に記載のある経済・社会のグリーン化と、7ページ目のグリーン・イノベーションの進展、この2つでございます。検討内容の詳細につきましては4月の部会でご議論いただきましたので、説明は省略いたします。
 まず、重点検討項目経済・社会のグリーン化について、ご説明いたします。環境基本計画における基本的方向性では、グリーン化がより一層進められた経済・社会において、各主体の活動が環境負荷をできる限り削減した持続可能なものとなるためには、商品・サービス、金融市場において環境の価値が認められ、事業者に対し環境配慮を求める意識が浸透すること、供給者が環境配慮型の事業活動を行うとともに、需要者側に分かりやすい情報を提供すること、消費者等にそれらの情報が正確に届くことにより、環境配慮を実施している事業者が便益を享受できる基盤の整備をさらに進めることを重視しています。
 また、環境金融の拡大についてもその必要性を指摘しています。
 続いて、現状分析をご覧ください。グリーン購入の実施率については、地方公共団体における平成24年度の実施率が約81%、上場企業における平成23年度の実施率が約75%と、高い水準で推移しております。
 また、「循環型社会に関するアンケート」による国民の意識調査では「環境にやさしい製品の購入を心がけている」と回答をした人の割合は、平成23年度の調査で約82%であり、国民が比較的高い意識を持っていることがうかがえます。
 ISO14001の登録事業者につきましては、平成18年度以降ほぼ横ばいで推移しておりますが、中小企業向けの環境経営システムであるエコアクション21の認証事業者数は増加傾向にあり、平成24年度には7,729社が認証を取得しています。環境報告書の掲載企業数は842社で、ホームページの延べ閲覧数は約17万ページビューを数えます。
 公募のSRI投資信託の純資産残高については、平成19年をピークに減少傾向にあり、平成25年3月時点では2,488億円となっています。「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」については、平成25年3月末時点で186の金融機関が署名しています。
 3ページ目に、現状分析に関するグラフをまとめてございますのでご参考ください。
 次に、4ページ目の③主な取組状況等をご覧ください。この取組状況の冒頭においては、基本計画にある国の役割について引用しています。環境の価値が市場において適切に評価される政策を企画立案するとともに、市場で供給されない公共的な財やサービスを安定的に供給することが国の役割であるという観点から、次のような取組を行っています。 
 まず、プレミアム基準の活用による市場の更なるグリーン化に係る取組については、平成24年度にプレミアム基準策定ガイドラインを発行しています。環境省におけるプレミアム基準の活用状況については、4ページの枠内記載のとおりです。
 続いて、5ページ目に記載のありますISO等に関する取組については、冒頭述べましたように、中小企業向けの環境経営システム「エコアクション21」では、平成24年度末、7,729社が認証を受けています。また、「環境報告ガイドライン」について改定を行い、「環境コミュニケーション大賞」を主催いたしました。環境コミュニケーション大賞については、平成24年度に279件の応募を受けています。
 経済社会における生物多様性の主流化に向けた国内施策の調査・検討については、平成24年度に事業者の取組状況の実態調査や国際的な動向の把握などを行うとともに、ウエブサイトを作成したところです。
 6ページ目に続いて機関投資家等に帯する社会的責任投資(SRI)や環境・社会・ガバナンス(ESG)投資等の環境投資の拡大に係る取組については、先ほど述べたとおり「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」の署名金融機関は186機関に到達しております。また、ウエブサイトの「環境報告書プラザ」の利用実績につきましても、平成24年度は842社が環境報告書を掲載し、延べ約17万ページビューの閲覧数がございました。
 続きまして、重点検討項目②のグリーン・イノベーションの進展については、環境基本計画における施策の基本的方向性として、2つ考えています。1つ目は、中長期の「あるべき持続可能な社会の姿」を念頭に置いた研究開発です。これは、社会の備えるべきロバストネスやレジリエンス、効率性の整合性を図る観点から、総合的な研究の実施が必要だというものです。2つ目は、技術パッケージとしての研究開発、政策手法の最適な組み合わせによるグリーン・イノベーションの推進です。個別の環境技術の性能向上を目指すのみならず、技術パッケージとしての開発を促進しつつ、政策手法を組み合わせていく必要があるというものです。
 ②現状分析について、平成24年度の政府全体の科学技術関係予算は1,261億円となっています。また、環境研究・環境技術開発の推進戦略のフォローアップによりますと、脱温暖化社会領域の他、各種の領域において、新規課題が採択されています。
 環境技術の特許については、平成19年以降、毎年250件以上が出願されています。詳しくは、掲載グラフのとおりです。
 10ページ目にうつります。主な取組状況等については、環境と経済・社会の観点を踏まえて統合的な政策研究を推進すること、環境技術を社会に一層普及させていくために、あらゆる政策手法を組み合わせていくことが重要という観点から、以下の取組を行っています。
 科学技術重要施策アクションプラン対象施策の特定に関する取組において、優先的に進める重点的取組事項の設定と資源配分方針を決定し、各種資源の配分の最重点化を行っています。詳しくは、①~⑥に記載のとおりです。
 戦略的創造研究推進事業については、平成24年度に新規課題の追加採択を行っています。
 気候変動リスク情報創生プログラムについては、気候変動に関する生起確率やその影響を評価する技術の開発を目的としてで、平成24年度に公募の上実施体制を決定しています。
 気候変動適応戦略イニシアチブについては、都道府県や市区町村で行われる適応策の立案に向けて科学的知見を提供するため、各種の技術開発を推進しているところです。また、地球環境情報統融合プログラムでは、各種データを統合解析して、地球環境情報創出のための情報基盤となる統合・解析システムのための研究開発を実施ししています。
 気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のためのプロジェクトについては、農林水産分野についての温暖化緩和技術と適応技術の開発の促進のため、平成24年度は20研究グループへの委託を行いました。
 12ページ目の、地域資源を活用した再生可能エネルギーの生産・活用のためのプロジェクトにおいては、それぞれ「木質」「微細藻類」などを対象に、これらを燃料として低コストで安定供給する技術を開発するため、24年度は4研究グループに委託を行っております。
 国土交通省技術基本計画においては、「今後取り組むべき技術研究開発」として162件の技術研究開発を実施することとし、特に優先度の高い政策課題の解決に向けて、七つの重点プロジェクトのひとつとして、「グリーン・イノベーションプロジェクト」を位置づけています。
 環境技術実証事業については、環境保全効果について第三者による客観的な評価指標を用いた実証を行っています。
 13ページ目の、環境研究・技術開発推進事業については、「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」のフォローアップ及び改訂に向けた検討等、主に三つの事項を実施し研究開発の評価の充実を図るため、平成24年度はこの戦略の進捗状況を確認しています。
 環境研究総合推進費については、環境省が求める研究開発テーマを提示して公募を行い、採択された課題を実施しています。平成24年度には、復興枠などを新設し除染やがれき処理等に係る研究開発に着手しています。
 環境研究・技術開発の実施体制の整備については、競争的資金である地球温暖化対策技術開発等事業により、65件の技術開発事業を実施しています。
 14ページ目の、国が実施した研究・技術開発の社会実装状況については、バイオマス資源の総合利活用として、各種の実証試験を推進しています。平成24年度はタスクフォース会合を2回開き、実証研究の総括を行いました。また、9月にバイオマス事業戦略を決定しています。
 漁船等環境保全・安全推進技術開発事業費のうち、電動漁船等地球環境保全型漁船の技術開発事業については、二酸化炭素の排出の削減に資する省エネ効果の高い電動漁船を開発することを目的とし、漁船の電動化システムの開発・実証を行っています。
 以下、再掲事業でございますので、省略いたします。
 説明は以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明に基づきまして、委員の皆さんからのご意見をお伺いしたいと思います。ご発言のある方は札を立てていただければと思いますが、特にこちらのラインは私から見えるようにぜひお願いしたいと思います。
 それでは、山本委員、お願いします。

○山本委員 ありがとうございます。私の理解では、この経済のグリーン化、環境立国ということを日本は標榜していたと思うのですが、最近はあまり聞かなくなってしまいました。経済のグリーン化、日本のみならず、特にこのアジアの経済のグリーン化、国際市場を視野に入れた取組、そういうことが重要だと思っております。
 実は、今日、お昼に聞いたばかりなのですけれども、元日経にいた小島明氏によりますと、世界銀行統計による各国・地域の貿易依存度の比較をすると、日本は180カ国中、何と175位であると。貿易依存度は、輸出入合計の国内総生産に対する比率でありますけれども、それを輸出だけで依存度を見ると、日本は14.02%で148番目だということでありまして、我々がこの10年、環境立国、グリーン経済の振興、日本のすぐれた環境製品を輸出するということが実現できているのかどうか、大変心配な状況でございます。
 その中で、今日は、私は、国際グリーン購入ネットワークの名誉会長でございますので、その立場から、幾つかご報告、ご提言申し上げたいと思います。
 まず、国際グリーン購入ネットワークは、全世界的に環境に配慮した製品・サービスを国際的に普及させるということで、これは仙台市の主催した第1回グリーン購入世界会議で、2005年4月に設立されました。これは、主たる事務局は日本、第2事務局をマレーシアに置いておりまして、メンバーは日本を含む12カ国・地域であります。現在、ニュージーランドとミャンマーでグリーンネットワークの設立準備を行っております。アジア太平洋地域のメンバーとしては、日本、韓国、中国、香港、台湾、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、インドネシア、インドでありますが、この国際グリーン購入ネットワークにつきましては環境省から、2007年から2011年の間に世界各地の環境規制情報を収集提供するデータベースの構築事業を委託されておりまして、これが5年間で約9,000万円。これが大変大きな支援になりまして、国際グリーン購入ネットワークがこれほど発展を今遂げているということでありまして、この場を借りて、環境省には御礼を申し上げたいと思います。
 問題は、この10年間で劇的に国際情勢が今変わりつつあるわけでありまして、一つは、リオ+20に象徴されますように、単なるグリーン購入から、これはサステナブルな生産と消費という方向へ移っておりまして、グリーン+倫理的な消費ということが公共調達においても取り組まなければならないということになりつつあるわけです。ISO26000シリーズに基づき、環境問題はもちろんのこと、説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの利害関係、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重などを組み込んだ調達のガイドラインの作成に取り組むということが大きな流れになってまいりました。
 既に北米では、政府や自治体による社会的・倫理的な調達のガイドラインの採用が進んでおりまして、2007年の時点で既に、カナダはカルガリー、トロント、オタワ、バンクーバー、アメリカは6州38都市12市町村の自治体がエシカル購入に取り組んでおります。また、ご案内のように、フェアトレードという運動がございますが、イギリスが熱心に取り組んでいるわけでございますが、フェアトレードタウンが1,000を超えて、日本は熊本市がやっと1000番目のフェアトレードタウンになり、現在は名古屋市がそれを準備中と。こういう動きの中で、ヨーロッパは2010年にバイイング・ソーシャルという社会的購入のガイドラインを出版しておりまして、そういう意味で日本は、アジア太平洋地域の市場でのサステナブルな購入・調達推進のために、このバイイング・ソーシャルのアジア版を作成するべきであると。こういうことで、来年の2月6日には、札幌市が資金を出しまして、始めたのは、このエシカル購入に関する国際会議を札幌で開催することに決まりまして、そこでエシカル購入宣言を、札幌宣言を出すという状況になっております。
 あと、一、二分時間をいただきたいのですが、それで、今年になりまして、UNEPは非常に強力なリーダーシップをとって、このサステナブルな公共調達のイニシアチブを今年から開始をしております。これは世界各国の政府、自治体、NGO、NPO、民間企業、専門家、コンサルタント等に呼びかけて、今年、より国際的な枠組み、協力を推進するということで、私ども国際グリーン購入ネットワークもそのアドバイザーになっております。
 その中で私が見過ごすことができないものがございます。これはASEAN+3という、「グリーン公共調達とエコラベルに関する知識の向上と能力の強化プロジェクト」というものが開始されまして、これは日本、中国、韓国で蓄積してきたグリーン公共調達と環境ラベルのノウハウやベストプラクティスをASEAN地域で共有し、持続可能な公共調達と環境ラベルの取組の強化を目的にUNEPが進めるプロジェクトでありますが、中国と韓国政府は既に1,600万円を拠出しているわけでありますけれども、日本政府は全く拠出していないわけでありまして、これは大変私は、これまでの長年の日本政府の努力の成果を失うのではないかということをおそれているわけであります。
 一方、ヨーロッパでございますが、EUは、2007年以来、既に2007年から2013年にかけて、日本円で190億円のお金をアジアに投入して、SWITCH-Asiaというプロジェクトを開始しておりまして、これは何を目的としているかというと、アジアで持続可能な生産と消費の、そういう関連政策の策定と実施を強化することを目指したプロジェクトでありまして、この資金により、実際にマレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンのグリーン公共調達実施を行っているということでありまして、私は、ぜひ日本は経済のグリーン化、グリーン経済の推進、日本の優れた環境製品技術の輸出というか、共有というか、それの方向で、さらに支援をするべきではないかということを申し上げて、私の意見表明を終わります。
 ありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、末吉委員、お願いいたします。

○末吉委員 ありがとうございます。今、山本先生から、世界の潮流の中での日本という視点でお話がありましたけども、私も同じ視点からお話を申し上げます。
 確かに今日のご報告は、関係行政機関の取組状況を確認したということですので、国内の話というのはそうなんだろうと思いますけども、そのことが世界の中でどういう位置づけになっているか、やっぱりこういう資料にも入れないと、我々は判断を誤るんじゃないかと思います。
 例えば、3ページのSRIの残高のグラフがありますが、これを見ると、日本もよくやっているじゃないかと、こういう話になろうかと思います。1兆円にもなって。でも、前回申し上げましたとおり、このレベルの世界の総額は1,300兆円なんです。その中で、日本が増えて1兆円というのは、一体どういう意味があるんだと、こういうような視点が私非常に重要だと思うんですね。
 ですから、例えば、この1ページの下の部分に書いてあります、「環境の価値が認められる」ということですけれども、どういったことの環境の価値を認めて、それを評価するといったときに、どういう評価をするのか、そうしたところまでの話が入っていかないと、私の最終的な話で申し上げますと、環境の価値を認めた結果、例えば、投資する人の立場でいけば、投資をやめるという話になるんだと思うんですね。投資の回収を行う。もうこんなところには投資し続けられない。逆に言えば、よくやっているところにはもっと投資をしようということです。
 ですから、単純な、いいことしているねというような評価ではなくて、一番大事な資本金のキャピタルマーケットで調達ができるか、できないかという、そういうことまでの意味が含まれているんだろうと思います。あるいは、「分かりやすい情報を提供する」とありますけども、今、世界で起きているのは、どういう情報がマストで入らなきゃいけないのか、そういうような議論をしているわけですよね。何の情報を欲しいのかという、裏には価値観があるはずなんです。そういった価値観を日本が世界と共有しないと、単純な日本だけの判断での情報を提供しても、世界の投資家とか、あるいは消費者とか、あるいは世界の当局者は評価しないという話になるのではないでしょうか。
 ですから、私が申し上げたいのは、このESG、あるいは環境というファクターは、やればいいねという話ではなくて、ビジネスにとってみれば、明らかにリスクファクターになったという認識なんだと思うんです。ESGに適切に対処してないところの企業やビジネスは、これからリスクがどんどん大きくなって顕在化するんだと。そうしたところを相手にビジネスをしていいのか、取引していいのか、投資をしていいのか、そういうふうな判断、そういう企業のものを買っていいのか、そういう判断を迫るということだと思うんです。
 なぜそういうことをするかというと、環境などをリスクファクターに取り入れて、社会が適正な判断をすることによって、結果として企業に、よりグリーンな企業行動をとってもらう、そういう変化を導くために、社会が必要な情報を出してもらって、そういう判断をし、行動をしていくんだという、こういうことではないかと思っております。
 ですから、ぜひ、経済や社会のグリーン化といった場合に、日本の国内での取組ももちろん重要ですけども、世界が今、何をしようとしているのか、それとの比較で、我々は正しいトラックに乗っているかどうかの判断が非常に重要になってくると思います。
 もう一言で申し上げれば、こういったことでの新しいルールづくりの競争が始まっていると。そうしたところに日本がもっと入っていって、あえて申し上げれば、日本の企業により有利な評価が出てくるようなルールづくりをしていく、そういったことまでも考えた対応が必要ではないかと思っております。
 どうもありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、崎田委員、お願いいたします。

○崎田委員 ありがとうございます。1点のみ。今回、検討していただいた中の後半、最後のページなんですけれども、「国が実施した研究技術・開発成果の社会実装状況」という項目があります。それで、その前の何ページかに、各府省がやっておられる研究開発が非常に丁寧に書いてあるんですけれども、やはり社会の関心事として、こういう全体的に同じ方向性を持ったものが一つのパッケージとして定着されつつあるのか、あるいは、そういうところまで行かなくても、きちんと各省庁が連携した形で社会的な実装に本格的に取り組んでいるのかというところが大変重要な視点だと思います。それに関してもう少し丁寧に書き込むなり、情報を入れていただくなりしたほうがよろしいのではないか。社会の関心に対して大変重要な視点なのではないかというふうに感じました。
 よろしくお願いします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、市村委員、お願いします。

○市村委員 ありがとうございます。今、政府は市場経済メカニズムを何とか長期化しようという形で動いているわけで、その中で非常に重要なのはやっぱりこの長期投資、あるいはESGに基づいた投資、これを進展させようということです。この中で、やっぱり末吉先生がおっしゃるように、世界的な流れをよく見ながら進めていかなければいけない。それで、それを考えるとき、二つの面がありまして、まずは企業サイドです。これはもう開示に関して、ESG開示を積極的に進めざるを得ないのではないか。先進国とか途上国でESG開示が制度化されていないのは、ちょっと言い過ぎかもしれないですけど、日本だけだと思っています。このような状況の中で、ESGに基づいた投資をどうのこうのとか、もう言っているような状況じゃないと思っていまして、これは金融庁が進めるのかどうなのかわからないですけども、省庁横断的にESG開示体制を進めるのがまずは先決だと思います。
 もう一つ目は、投資家サイドです。投資家サイドが、長期的投資を行うべきアセットオーナーが、長期的投資に関心を持っていない。例えば、年金ファンド。ここは長期的に、株式なり、いろんなものに資産を投資して増やしていかなきゃいけないのに、その運用方針も明確にしていない。例えば、欧米なんかだったら年金法で長期的なESG情報を用いた運用方針を開示させるとか、そういうのをやっているのに、それもさせていない。あるいは、国連のPRI、これにサインしている日本の機関投資家は、最近の数字はよくわからないですけど、二十数社だったと思います。世界的には千何百社がサインしている。こういうのを積極的に進めるとか、そういう形でもっと幅広い形でこのESG情報、あるいは長期的な投資、もちろん環境も含めてということなんでしょうけども、これを進めていかないと、なかなか全体として、この件に関して進めていくのは難しいのかなという気がいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 安井委員、お願いいたします。

○安井委員 ありがとうございます。私も1点だけでございますが、10ページから、国が実施いたします研究・技術開発の取組が掲出されておりますが、ちょっと不思議なのは、これは経済産業省が載っていないことなんですね。といいますのは、実を言いますと、私は、文部科学省と経済産業省のグリーン・イノベーションをいかに進めるかという合同検討会というのを、座長をやっておりまして、そこで文部科学省の基礎研究から、経済産業省を通して、それで社会実装に至るまでに一体どうやったら共通してやれるかなんていう検討会を開いて、そこでの予算措置まで行われて、そこは残念ながらどこかに入っちゃったんですね。多分、文部科学省のALCAのどこかに予算は入ってしまったかと思いますが、そういう、先ほど崎田先生からご指摘があった、そのあたりの省を超えたなんていう活動を、こういうところであまり軽んじていただきたくないなという気がいたしまして、一言申し上げました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、進藤委員、お願いいたします。

○進藤委員 一つは、今、点検ということで、グリーン・イノベーション化の進展という題目、技術開発の取組、研究への取組ということで、マクロ的にいろんな施策、いろんなテーマに何十億入れたという、こういうまとめになっているんですが、一つの限られた時間で、限られた紙面で点検するというと、こういうことにならざるを得ないかと思うんですが、実際、どういうテーマをやっていて、どこに向かって、今、全体が流れているのか。何が可能になって、どういうことに、今、お金が使われているのかという、何となく肌ざわりが、我々素人にはよくわからないという感じが一つあります。
 一つの提案として、今回はともかく、次の点検なりフォローをするんだったら、こういう中で代表的な何かテーマなり研究開発というのを一つ、これはかなり事務局の価値観が入ると思うんですけども、こういうことにお金が使われていますよというような報告の仕方が一つあっていいんじゃないのかな、というのが一つ。
 それから、今、何名かの委員からも出ましたけども、では、これ全体として、各省がいろいろやっている中で、国として、全体としてどういう方向に統括されているのか、総括されているのか。あるいは、連携はちゃんととられているのか。グリーン・イノベーションと言うからには、やっぱりCO2が減っていくということに貢献するのだと思うんですけども、そこあたりがよく見えないという点検の仕方でいいのかという問題、指摘であります。
 今回は特にあれですけども、次に、また何年か後にやっていくんだと思いますので、そういうような視点も入れていくべきじゃないかなというのが私の意見です。

○武内部会長 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 簡単に1点だけ申し上げたいんですけども、今、進藤委員がおっしゃったこととも若干関係しますし、末吉委員が言われたこととも関係すると思いますが、例えば、2ページのグリーン購入の実施率とかが出ているんですけども、自治体に関して80%といっても、これは量がどのぐらいかというのがわからないと、80%で、みんなやっているからいいねという話では多分ないと思いますので、80%ぐらい高くなってきたら、実施率だけではなくて、その量を見る必要があるのではないかというような検討は多分必要になってくると思いますし、SRIの数もそうでしたけど、この「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」、186なんですけど、これは前年に比べてどうで、どういう傾向にあるかとか、そういうこともぜひ書いていただかないと、これは今回は書かないというご趣旨かもしれないので、もしそうだったらすみませんが、ちょっと傾向がわからないので、ただ羅列されているという感じが若干しますので、書き方の中で、全体的な流れがわかるようにぜひしていただきたいということがございます。
 以上です。

○武内部会長 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 今ご指摘ののグリーン購入実施率は、循環社会形成推進基本計画の点検のために、経年的にかなり数字を追っているので、そういうものを引用していただくことができるかもしれません。
 それから、代表的な研究テーマを挙げたらどうかという進藤委員のご指摘は、確かに環境省がどこに力を入れてきたかということにつきましては、どういう形で入れるかは若干問題ですけど、環境省の環境研究総合推進費では、戦略研究プロジェクトいわゆるSの研究というものを一貫したストーリー性を持って展開してきているわけですから、そういうものを紹介すれば、どんなふうに、どこに力を入れてきたかということがはっきりすると思いますし、また研究のフォローアップも行われて結果が公表されています。こういった資料を活用すれば、研究成果がどんなふうに活かされてきたかということも、大体わかると思いますから、ぜひ、進藤委員のご提案を、今年からでも入れていったらどうかと思います。
 ちなみに、何年後かにまたとおっしゃいましたが、この重点課題の点検は毎年行うことになっていますので、来年すぐまた回ってまいります。

○武内部会長 ほかに――どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。進藤委員、大塚委員がおっしゃったことを言葉を換えて言うと、基本計画の点検作業ですので、基本計画の中に書かれているそれぞれのテーマに関する課題に対して、今やっていることがこれで十分なのかどうかというところの記述がなされるとよろしいのではないかと思います。数字として、何件やりましたというのは、まさにそのとおりでしょうが、それが十分と考えられるのか、それとも、まだまだ足りないというレベルなのか、その辺の評価について、各省庁のほうでどう判断されているかというところをぜひお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。ほかに――よろしいですか。
 大体皆さんおっしゃっていることが共通性が今日は高かったと思います。個別にはチェックしているんだけども、全体としてきちっとしたレビューになっていないというのと、国際的な視点といった点もかなり欠けている。それから、省庁連携の部分についての記載が十分でないという、そこいらあたりだと思いますけれども。
 まず、事務局のほうでお答えいただいて、それから関連の府省の方々にコメントを求めたいと思います。
 どうぞ。

○山本環境計画課計画官 幾つか指摘をいただいておりますが、確かに点検という性格上個別の事業を並べてしまうというのが役所の悪い癖です。全体としてどのような方向に向かっているかというところまで記載していないのは事実ですので、どこまで書けるかどうかというのはありますけれども、ご指摘のあった点を生かせるように、事務局で文章を工夫したいと思います。
 国際的な視点についても同様でして、国内の取組を中心に記載しておりますので、ご指摘いただいた点もできるだけ情報を集めて、事務局の能力の問題もありますが、工夫したいと思っております。
 国が実施する研究・技術開発の取組に経済産業省が載っていないという安井先生からのご指摘につきましては、事務方で状況は確認できませんので、もしこの後、各省からの回答で補足していただければと思います。
 それから、市村委員のご発言については、4月の第69回総合政策部会でも経済・社会のグリーン化に厚生労働省を追加したらどうかというご指摘をいただきました。趣旨は、公的年金の運用について環境配慮の観点がどの程度含まれているのかというものでしたが、事務局で状況をヒアリングいたしましたところ、公的年金の年金給付は専ら被保険者の利益のために運用をするというものですので、現在のところ社会的責任投資については特段の対応は行っていないとのことです。このような状況もあって、委員のご指摘があるものと思います。
 また、浅野委員と進藤委員からご指摘ありました研究テーマにつきましては、記述のところで工夫していきたいと思っております。
 私からは以上です。

○武内部会長 それでは、省のご出席の方々からコメントがございましたらお願いしたいと思いますが、特に経済産業省と文部科学省は具体的に指摘事項があったものですから、もしよろしければ――どうぞ。文部科学省、お願いいたします。

○鈴木係長(文部科学省) ありがとうございます。安井委員にご指摘をいただきました、文部科学省と経済産業省の合同検討会において御検討いただいた連携テーマにつきましては、経済産業省と連携をして、平成25年度よりこちらに記載のALCAという事業で実施しているところでございます。今回の点検は、平成24年度に実施していた事業を中心に記載させていただいており、平成25年度の連携テーマとしてご議論いただきました蓄電池とエネルギーキャリアにつきましては、今後の点検に反映させていきたいと考えております。

○武内部会長 ありがとうございました。
 経済産業省さんのほうでは何かございますか。

○宇野係員(経済産業省) 経済産業省です。幾つかご指摘いただいたとおりなんですけれども、グリーン・イノベーションということで省内取りまとめを行っていて、ちょっと省内の仕切りがなかなかうまくいかず、省として一本で、ご指摘いただいたように、一つの方向性でまとめて出すというのもなかなか難しく、かといって個別の、では、テーマに分けるかというと、かなり多くなってしまって、なかなかちょっと、現在、省の中で取りまとめができていない状態で、作業が遅れている状態で、今回、ちょっと掲載がまだできていないというので、非常に申し訳ない限りなんですけれども、次回の点検までには掲載させていただきたいと思っております。
 以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 ほかの省の方でご発言ございますか。内閣府のほうで、イノベーションの取りまとめについてという……。

○岩崎参事官(内閣府) 内閣府のグリーン・イノベーションを担当しております、岩崎です。
 今回のこの点検につきまして、何人かの先生から話がありましたキーワード、府省連携を内閣府で進めております。資料1-1の10ページに記載いたしました、このアクションプランにつきまして「グリーンイノベーション」に関する重要課題の達成に向けて、内閣府でヒアリングをさせていただいております。今、まさに、総理、あるいは山本大臣が、内閣、特に総合科学技術会議の機能強化を目指して、それを進めているところですので、今後さらに府省連携を進化させるべく司令塔機能強化に向けて尽力してまいります。

○武内部会長 ほかの各省――どうぞ、農林水産省。

○木内課長(農林水産省) 農林水産省ですけれども、バイオマスの関係は、内閣府さんも含めて、各府省一緒に取り組んでいるんですけども、個々の分野になりますと、バイオマスの中でもいろいろと、草本を対象にしてバイオ燃料をつくるとか、あるいは林地残材、リグニンを使ってとか、それぞれ得意な分野がいろいろ分かれていたりしまして、例えば、草本で言うと、農水関係の研究機関が中心になって、あとは大学とか民間企業、それから、リグニン関係ですと、産総研さんが中心になって、また大学とか企業を巻き込んでやるとか、こういう、まあ、くくりの仕方だと思うんですけれども、それぞれの細かなテーマになってくると、それぞれの得意分野が分かれていますけども、バイオマス全体の研究開発という意味では、一緒に連携しているということは言えると思います。

○武内部会長 ありがとうございます。
 環境省の環境経済課長。

○大熊環境経済課長(環境省) ありがとうございます。環境経済課長でございます。お世話になっております。
 2点ほど、先生方のご指摘について、私どもが今考えておりますことを、お答えできる範囲で申し述べさせていただきたいと存じます。
 1点目は、山本委員から、グリーン購入、グリーン製品の普及について、特に国際的な側面展開をしっかりやっていく必要があるというご指摘をいただきました。まさにご指導いただきながら、我が国は世界の中でも非常に早い時期からグリーン購入法をつくり、進めてきているところでありまして、これは世界に誇れる成果というふうに考えてきております。ご指摘のように、UNEPなどの場を使いながら、アジアへ展開していこうという動きがあるという情報、まさしく山本先生ご関係のIGPNなどからもいただき、私どもも注目しているところでございまして、ぜひ日本の経験を、アジア地域を初め、世界に展開していけるように、国際グリーン購入ネットワークとも連携して、お力も借りながら、政府としてもしっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、2点目、末吉委員、それから、市村委員からも、日本のSRI投資その他、あるいはESG投資、これが世界の中では極めて遅れている、世界の文脈の中でしっかり日本の位置を確認して、必要なことをやっていく必要があると。もっと文脈的に、いろいろ幅広い、深いご意見でしたが、そういったことに関するご意見を頂戴いたしました。
 この分野でも、私ども環境省を含め、日本政府として、従来から取り組んできておりました情報の開示の分野にまず着手をして、環境配慮促進法というものが制定され、そして、中小企業向けのマネジメントシステムであるエコアクションの普及、そして、近年では金融機関の方々と連携しながら金融行動原則という活動を我々としても後押しをさせていただき、さらに、ここ数年、そして、昨年から強化していますが、政府の資金も使った形での環境分野への投資の促進、呼び水となることでの促進という形で、いろんな取組を進化させ、広げるべく努力をしてきているところですが、なお、世界と比較すると、環境分野に注目したESG投資、あるいは社会的責任投資が日本では非常に立ち遅れているというのが、残念ながら、現状なのはご指摘のとおりでございまして、そうした中、ご指摘のとおり、まさにリスクファクターとして重要になってきているという局面が、ここ数年、非常に強まってきていると思います。
 私どもの政府としてできる取組をいろいろ組み合わせて強化していくということと、そのリスクファクターとしての重要性が高まっているということを受けての、まさに民間ベースでの取組とうまく組み合わせるような形で、ぜひここをブレークスルーして進めてまいりたいという認識を持っておりまして、方法についてはいろいろ悩んでおるところでございますが、ぜひ引き続きお力添えいただきながら努力してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから。

○山本環境計画課計画官 最後に、1点、補足でございますけども、基本計画に記載のある課題に対して、各省の取組が十分かそうでないのかを記述する必要があるというご指摘をいただきましたけども、まさにその点が点検の中心になると思います。委員の皆様方のご意見を、点検の最後に報告書としてまとめることで反映したいと思っておりますので、ご指摘いただければと思っております。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 もし特段のご発言がないようでしたら、次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、次に、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」の報告について、資料を用いて説明をお願いしたいと思います。

○山本環境計画課計画官 先ほどの議題と同様に資料2-2は、関係する省庁から提出いただいた調査票です。この調査票を基に作成しました資料2-1が報告書案でございますので、この報告書案を基にご説明いたします。
 資料はかなり大部ですので、簡潔に説明したいと思います。
 「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」に係る点検報告においては、2つの重点検討項目を設定しており、1つ目を環境教育等の取組及びそれらの連携の強化に向けた取組、2つ目を持続可能な地域づくりのための地域資源の活用及び地域間の交流等の促進、としております。
 まず、環境教育等の取組及びそれらの連携の強化に向けた取組について、環境基本計画における基本的方向性では、あらゆる年齢階層に応じて、その環境教育・環境学習を通じて、「未来を創る力」、「環境保全のための力」を育て、活かす場を広げること、また、各主体の継続的なパートナーシップの形成に努めて、地域全体として環境保全に向けた取組を図ることを重視しています。
 現状分析として、ユネスコスクールの加盟校数が年々増加しており、「+ESDプロジェクト」の登録数も、24年度末において200件となっています。
 また、環境教育、協働取組等の推進に関する行動計画を策定している地方公共団体は、平成25年4月末時点で14件です。
 2ページ目の主な取組状況では、家庭、学校、地域、企業等の様々な場における環境教育の取組や、その組織・ネットワークづくりを支援することが国の役割として重要であるという観点から取組を行っています。ESDの理念に基づいた環境教育の取組、及び政府、企業、NPOなどの連携促進に向けた取組として、平成24年度においては、ニーズに応じた教材やコンテンツ等を提供するデータベースの提供であるとか、ESD活動の拡がりやつながりを推進するプロジェクトの推進、環境カウンセラーの活動の促進や、関係省庁や地方自治体との連絡会議や環境教育に関する調査等を実施しています。
 続いて、環境のための地球規模の学習及び観測プログラム(グローブ)へ参加しています。平成24年度は15の指定校がグローブ活動を実施しました。その他、環境教育に関する実践発表大会の開催、基礎講座の実施を行っています。
 続いて、日本/ユネスコパートナーシップ事業とがございます。ユネスコスクール全国大会や地域交流会等を開催し、ユネスコスクール間の交流を図るといった取組を行っております。
 青少年の体験活動の推進としては、毎年10月を、「体験の風をおこそう推進月間」と認定して、青少年関係団体間の連携を図りつつ、全国的な事業展開を図っています。
 4ページ目に移りまして、国立青少年教育振興機構を中心とした自然体験活動等の機会と場の提供に関する取組がございます。国立青少年教育施設において、各施設の特色を生かした自然体験活動等の機会と場を提供しています。また、同機構に設置している「子どもゆめ基金」により、3,433件の体験活動等を支援しています。
 続いて、子ども農山漁村交流プロジェクトの推進がございます。平成20年度から平成24年度までに141の受入モデル地域において、約12万人4千人の小学生が宿泊体験を実施しています。また、「遊々の森」を175カ所設定して、継続的に多様な体験活動を展開できる場を提供しています。
また、海辺の自然学校を全国13箇所で16件開催し、児童や親子を対象に、自然体験プログラムを提供しています。
 5ページ目です。文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の協働取組として、環境を配慮した学校施設(エコスクール)の整備推進に関するパイロット・モデル事業がございます。平成24年度は112校を認定しています。。
 続いて、広報事業が3件ございます。資源循環政策普及広報事業では、循環型社会の形成に向けた政府の取組と現状の紹介として、ハンドブックの印刷や配布を行っています。その他、省エネルギー設備導入等促進広報事業、新エネルギー等設備導入促進広報事業に取り組んでいます。 6ページ目、国土交通省の取組として、地球環境問題に関する知識の普及計発がございます。地球環境問題に関する科学的知見や対策などの普及を目的として、平成24年度は「気候講演会」を2回開催しています。また、防災気象情報等に関する知識の普及計発として、平成24年度に「防災気象講演会」を計47回実施しています。
 続いて、里地里山保全活動支援事業においては、実践的な保全再生計画づくりや作業技術を向上させるための技術研修会を行っています。
 「国連生物多様性の10年」推進事業については、平成24年度に生物多様性全国ミーティング、生物多様性地域セミナー、委員会の推奨する連携事業の認定、推薦と図書等の選定、Webサイトやパンフレット等による情報発信を実施しています。
 地域連携保全活動の推進については、地域連携保全活動協議会の設立への気運醸成・支援を図っています。
 続いて、NGOとの連携によるODA事業がございます。人づくり分野の事業に関して資金協力を行うことにより、開発途上国や地域におけるESDの普及と活性化を促進しています。
 環境教育関係者や指導者の育成・支援に関する取組については、環境省は、環境教育等の取組及びそれらの連携の強化に向けた取組として、平成24年度に教職員や地域の環境活動リーダーを対象に全国2カ所で研修を実施しています。また、産学官民により設立されたコンソーシアムにる環境人材育成のための教材作成プログラムを実施、環境教育等促進法による人材認定事業等を実施しています。
 続いて、環境教育の実践普及としては、環境教育・環境学習指導者養成基礎講座を平成24年度に4回開催しています。
 次に、9ページ目をご覧ください。重点検討項目②持続可能な地域づくりのための地域資源の活用及び地域間の交流等の促進に関するご説明に移ります。
 基本計画において、持続可能な地域づくりに向けては、地域に存在する資源を発見して、それらを適正かつ最大限に活用するとともに、地域特性を生かした環境負荷の少ない社会資本整備などを進めることが重要であること、これらの取組の担い手を育成することが重要であることを言及しています。
 重点検討項目①でもご説明のとおり、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省と連携してエコスクールのパイロット・モデル事業の実施をしており、平成25年5月時点で1,453校が認定されています。
 また、持続可能な地域づくりのための地域資源の活用に関するアンケート調査によると、一部でも行っている地方公共団体の割合は全自治体のうち56%で、都道府県単位では91%に上ります。地方公共団体のうち、各種事業者、住民、住民団体のいずれかと連携していると答えた割合は約61%で、都道府県単位では78%です。
 主な取組状況等につきましては、大きく2つの取組を行っております。1つは、持続可能な地域づくりのための、地域に賦存する再生可能エネルギーの活用の促進の取組、もう一つは、エコツーリズムや地域おこし等の、地域の文化、自然とふれあい、保全・活用する機会を増やすことを念頭に置いた、地域間での交流や広域的なネットワークづくりの促進の取組です。
持続可能な地域づくりのための、地域に賦存する再生可能エネルギーの活用の促進の取組についてご紹介して参ります。
農山漁村再生可能エネルギー供給モデル早期確立事業においては、太陽光などの各種発電事業を円滑に開始するための地域協議会への支援や、施設整備への支援を行っています。
 地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立事業においては、再生可能エネルギーの発電事業で得られた収入を、地域の農林漁業の発展に活用するというモデル的な取組の構築支援を実施しています。
 小水力等再生可能エネルギー導入推進事業についても、基本整備計画の策定や、各種法令に基づく協議取組等への支援を実施しています。
 木質バイオマス利用施設等整備については、木質バイオマスのボイラー等の施設整備に対する補助、地域協議会への支援などを行っています。
 続いて、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく低炭素まちづくりの推進がございます。これまでに北海道下川町、長野県小諸市、兵庫県川西市の3都市で低炭素まちづくり計画が策定されています。
 その他、河川等における小水力発電の推進、下水道における再生可能エネルギーの導入促進がございます。
 環境省の取組としては、まずチャレンジ25地域づくり事業がございます。温室効果ガスの削減へ向けては、地域特性を踏まえた環境技術を組み合わせた集中導入が大事だとして、平成24年度には全国19カ所において支援事業を実施しています。
 また、低炭素化に向けた事業者連携型モデル事業についても、温室効果ガスの削減対策を推進するためには、事業者間の創意工夫によって相互連携した取組も効果的であることから、相互連携の取組による温室効果ガス25%削減を検証しています。平成24年度は全国1カ所で事業を実施しました。
 続いて、地域の再生可能エネルギー等を活用した自立分散型地域づくりモデル事業にいては、災害に強い低炭素な地域づくりのモデル事業を具体的に形成するため、平成24年度に全国5カ所において事業を実施しております。
 環境資源の活用と環境負荷の少ない社会資本の整備・維持管理については、平成24年度に長崎県の椛島沖で洋上風力の発電実証事業を実施しております。ここでは、小規模試験機の設置・運転を行いました。また、資金調達等が課題となって低酸素が進まない老朽不動産について、国が民間資金の呼び水となるリスクマネーを供給することにより、良質な不動産の形成を促進しています。この事業では官民ファンドの創設を計画しており、平成24年度は、基金設置法人の公募を行って、基金の造成を実施しています。
 災害等非常時にも効果的な港湾地域低炭素化推進事業においては、非常時においても港湾への電力供給を可能とするシステムの実証を事業実施し、5事業者へ委託を行っています。
 同じく港湾における洋上風力発電の導入円滑化については、平成24年度に導入円滑化のためのマニュアルを策定しています。
 続いて、エコツーリズムや地域おこし等の、地域の文化、自然とふれあい、保全・活用する機会を増やすことを念頭に置いた、地域間での交流や広域的なネットワークづくりの促進の取組についてご説明いたします。
まず、エコツーリズムの推進がございます。平成24年度には、地域コーディネーター活用事業交付金によりまして、24の推進協議会を支援しています。
 続いて、グリーン・ツーリズムの推進については、平成24年度に「食と地域の交流促進対策交付金」により、都市と農村の交流促進に取り組む229の地域を支援しています。
 川の魅力をいかした地域づくりの推進については、まちづくりと一体となった水辺空間の整備等ハード面と規制緩和等のソフト面の両面からから支援・推進を行っています。
 15ページ目の森林・林業体験交流促進対策については、国有林野におけるフィールドの整備など、平成24年度末時点で20カ所において体験プログラム等を実施しています。
 最後に、ナショナル・トラスト運動の促進では生物多様性の保全のための重要な土地の取得が促進されるよう、情報の提供や助言など、必要な援助を実施しています。
 簡単ですが、ご説明は以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、この件に関して、ご意見、ご質問のある方は札を立てていただきたいと思います。
 それでは、最初に、三浦委員、お願いいたします。

○三浦委員 ありがとうございます。私のほうからは2点、お伺いしたいなと思うんですが、まず一つは、今伺っていると、各省からの取組状況の成果の報告が、何かこう、量的な拡大、単に何件増えたという、その達成が、量的にどれぐらい達成できているのかというところにまだとどまっているのかなと。初期の段階でしたらいいと思うんですよ。まだ、例えば、文部科学省のグローブ指定校が、例えば、15校が16校になったとか、次のページの青少年指導者の利用団体の学習目的に応じた様々な体験の場の機会が、年間395万人が利用したと、この数字の拡大というのはすごいと思うんですが、何かそれをやることだけが今や目的になっていないかなというふうに感じられるような何かご報告だったなというふうに思います。
 今や、その量的な拡大が一つの達成点ではなくて、では、どういうことを目指すためにこの数字を拡大してきたのかということの当初の目的に立ち戻るべきではないかなと。
 一つ、基本計画を策定するときに、ここは物すごく議論をしたと思うんですが、その多様な主体がさまざまこういう機会に参加することによって、その意見が政策形成に反映させると。その政策反映させるためのいろいろな情報提供を行っていこうということが基本計画の中で書かれていたんじゃないかなということを思い出したときに、では、この人たち、ここに参加した人たち、これに触れた人たちが、今、どういうようなことに不満を持っているのか、あるいは、こういう政策が欲しいと思っているのかというところまでの言及が、それぞれの各省さんから出てくる、そろそろ時期ではないかなというふうに伺って感じました。
 もう一点は、とても細かい話なんですが、14ページの国土交通省さんが進めていらっしゃる、「川の魅力をいかした地域づくり」というところで、実は私は現場に出ている人間なので、ここに、川の魅力をいかした地域づくりを推進したいということで、親水性のあるハードの面を、規制緩和によってソフトの面からの両面を推進しますよというのを、本当に国土交通省さんは思っているのかなというような場面にばかり出くわしています。各整備局さんだとか、河川管理者なんかは、これだけの一時的な大洪水ですとか土砂災害が発生してきた中では、私は、前よりも、より強固な、国土強靱化政策にちょっと移行しつつあるかなというところがあって、ソフトとハードの面の両立をとるということは非常に難しいことはわかるんですけれども、何かこう、片肺だけが環境省のこの中環審で語られているようで、その強靱化政策と、その環境のソフト面と、エコツーリズムだとか、地域、自然とのふれあいというものを、どういう折り合いをつけていくのかということを、むしろ、ここの審議会で議論しなければいけないんじゃないかなというふうに感じた、この2点だけコメントさせていただきます。
 ありがとうございました。

○武内部会長 ありがとうございました。
 林委員、お願いします。

○林委員 私の意見は、11ページぐらいから、低炭素まちづくりの後ろのほうの二、三ページにわたるところなんですが、非常に断片的、単発の施策といいますか、そういうことにとどまっているんじゃないかと思います。先ほどのご発言とも非常に関係あるんですが、どこかにはその防災のことが書いてあったりもしますし、それから、低炭素ということですが、例えば、東日本の大堤防、これまた防潮堤を築こうなんていうことをしていると思いますけれども、ああいうものに対して、一つは、ディザスターレジリエンスというか、こういうものを保とうとしてやるんだろうと思いますが、トータルの計画とか設計をしないということで、将来的に非常に大規模なインフラをただ残すだけでよろしいのかと。誰が維持管理してということも考えなくちゃいけないし、そういうことをやることによって、背後の土地利用のほうをほとんど考えていないような、インフラと土地利用の関係を考えていないようなやり方をしておりますので、これが、そのディザスターレジリエンスもそうですし、ローカーボンもそうですが、そういうものをうまく両立させていくような、そういう統合設計法といいますか、あるいは、その統合計画法というものについての方法論をつくり、実践していくような、それを誘導するような予算組みというのがもっと必要であって、あまりにも断片的だという印象を受けました。
 以上であります。基軸は土地利用じゃないかと思っております。

○武内部会長 ありがとうございました。
 長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員 ありがとうございます。14ページでございますけれども、環境省さんが実施されている「エコツーリズムの推進」というのと、農林水産省さんの「グリーン・ツーリズムの推進」というのがありまして、このエコツーリズムとグリーン・ツーリズムの定義につきまして、質問いたします。ちょっと読む限り、グリーン・ツーリズムのほうは、食に重点が置かれているような気がしますが、ちょっとこの二つの違いがよくわかりませんでした。また、ひょっとして、同じような活動が重複して実施されているようなことがあれば、の二つが強化されて、より一層連携して、より充実したプロジェクトになるように進めていただけると良いというふうに感じました。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、長辻委員、お願いします。

○長辻委員 「国連生物多様性の10年」推進事業に関して、意見と質問をさせていただきたいと思います。
 私が関心を持っていますのは、山梨県の河口湖と山中湖と西湖、この三つの湖で行われているオオクチバス、つまり、通称ブラックバスですが、これの放流ですね、これについて、お尋ねしたいと思います。
 2005年に外来生物法が施行されておりますけれども、この三つの湖では、それ以前から地元漁協が漁業権、このブラックバスを扱う、その漁業権を持っていたということで、特例として、その放流が認められてきております。それが今年の12月に、漁業権の更新時期を迎えることになっておりまして、ここで放流中止の好機になればいいなと思っていたんですが、そういうふうにならずに、さらに10年間延長という方向が、今、だんだん見えてきております。
 この放流は、海外からブラックバスを輸入して、それを放流するという、完全にその外来生物法と真っ向から対抗する行為になっているわけなんですね。ですから、環境省は、山梨県と、それから、地元漁協に、どういう働きかけをこの間してきたのか。10年間の猶予があったわけですね。それにもかかわらず、また改めて10年間延長されようとしているというのは、これは非常にゆゆしき事態だと思うんです。
 ブラックバスを釣る遊びというのは、ゲームフィッシングとして、これは大人だけでなくて、子どももやります。そうしますと、環境教育という点からも、これはどういうふうに説明していくのかという、非常に難しい問題をはらむと思うんですね。これは非常にまずいことがほかにも幾つもありまして、生物的にもまずいと。これは百数種類ですか、外来生物の法の対象になっている生き物がいると思うんですが、ブラックバスという、オオクチバスというのは、これは代表的存在ですよね。
 それから、あと時期的にもまずいんですね。これはなぜまずいかというと、愛知目標の目標達成に向けて、日本が議長国としてやっていくときに、これから10年間やろうという。これから10年間の漁業権の延長というのは、これはほとんど重なっちゃうわけです。
 それから、あと場所もまずいんですよね。なぜまずいかというと、これは富士山の山麓の湖ですね。文化遺産で、自然遺産じゃないにしたって、これは非常にまずいわけです。
 それから、あと繰り返しになりますけど、愛知目標の議長国であると。こういう立場からしても、まずいわけですね。
 地域づくり・人づくりという点においても、これは非常にまたまずいという。
 このまずいことだらけが重なっている、これをどうするかということなんです。これは特例だからということで認めていると、何のための生物多様性なのかというのが全く見えなくなってくる。その辺をもう一度、再考されてしかるべきではないかと思いますので、お尋ねいたしました。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、末吉委員。

○末吉委員 ありがとうございます。私は、教育とか人づくりが全く素人ですので、少し自信のないままコメントをいたします。
 先日、こういう話を聞いて、私はびっくりしたんですけれども、英語でネイチャー・デフィシエンシー・シンドロームという病気があるんだそうです。要は、子どもたちが自然に接してないことから、さまざまな精神障害を起こしてしまうという病気で、これは日本はもちろんですけど、世界でいろいろ問題になっているらしいんですけれども、そういった話を聞きますと、環境教育とか、エコツーリズムとか、いろいろ人を大事にするという、教育をするという話があるわけですけども、そもそも、もっと人間らしい子どもを日本の中で育てていくと。自然にもっと接するような、そういった子どもを育てていくということのほうが、本当の環境教育じゃないのかななんて、僕なんかは感じるわけです。
 また、こういう話も聞きました。都会の子は、つまずいて倒れるとき、頭から突っ込んで倒れるんだと。なぜならば、自然の中とか、いろんなところで自分を守る体験をしてないんだと。だから、倒れるときに頭から倒れていくんだというわけです。これなんかも非常に驚きなわけです。
 ですから、私はぜひ、環境の視点から人づくりをお考えになるのであれば、もう少し原点に立って、子どもたちが人間らしい子どもになるためにはどういう環境をつくってあげるのがいいのか、そういった視点をぜひお願いいたします。
 ちなみに、日本でそういう症候群にかかっている子どもたちを自然の中に連れて行って解き放すと、半日、1日、2日、3日で、見る見るうちに普通の子どもの輝いた笑顔に戻るんだそうです。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。私は、学校現場をステージにして、この記述の裏側に流れる現実をお話しさせていただければありがたいと思います。
 基本的に、三浦委員の指摘と同感でありますし、ただいまの末吉委員の人づくりのためのことについても基本的に同じでございますけれど、やはり人づくりは、環境教育の中では心と理解と実行、この三つが環境教育の重要な条件だというふうに言われておりますから、その視点に立ってお話をさせていただければありがたいと思います。また、少し質問も中に含まれるかというふうに思いますが、よろしくお願いいたします。
 ユネスコスクールの件でございますけれど、ここに約半数が小学校というふうになっております。私が常日ごろ感じておりますのは、小学校では、ある意味では環境学習なるもの、総合的学習等で行うことも頻度も多いのですけれど、中学校、高校、はたまた大学へ行きますと、この間もちょっと大学で少し授業をさせていただいた経緯から申しますと、いわゆる環境の学びをしている大学は本当に少ないと思います。特に教職を扱っている学校でも、私は、物を大事にするとか、自然を大事にするとか、自然の中で自分の思いを実現するとかというふうなことは、先ほど申し上げた、この理解・実行の中で非常に大事なことでありますので、やっぱり教員になるような学生、環境の学びが非常に大事な、そして、そこが、子どもをつくっていく人づくりをしていく重要な条件になっているのかなというふうにも思っています。
 ですから、今申し上げたいことは、小学校が半数だというふうになっていることの非常に危ない中身だというふうに思っております。小学校から中学校で分断されてしまう、中学校から高校で、大学ではさらに分断されてしまうという、こういう連携の継続性が非常に少ない領域ではなかろうかなというふうにも思っております。
 それから、少しそこで質問ですけれど、ユネスコスクールの1校の予算はどの程度でしょうか。数年前の予算については私はわかっておりますけれど、近年についてはちょっとそこは勉強不足ですので、予算措置はどのようになっているのかということを教えていただければありがたいと思います。
 それから、2ページのところに関わって、学校や社会におけるESDの理念に基づいた云々のところの白丸の一つ目の①ですね、これも先ほどの三浦委員と同じ意見でございますけれど、やっぱりこういう記述の仕方というのは心もないし、非常に理解しがたい中身だと私は思っております。配れば、それで目標が、目的が達成したというふうに思われるような記述は、全く心のない記述だというふうにも思います。配布したことが実施したということにはならないので、やっぱりその効果を追跡することも含めて、完成することが実施したということになろうかなというふうにも思っております。
 また、3ページの「日本/ユネスコパートナーシップ事業」のところの文末ですけれど、ESDについて、国民の認知度が低いというふうに表現してありますけど、悪いのは国民だけでございましょうか。
 私はかつて、朝の勉強会と称して、自民党の環境の勉強会に、数年前ですけど、参加させていただいたことがありますけど、いわゆる学校教育における環境教育のことについて述べよということで、参画させていただいたことがありますが、議員レベルは環境の学びということに非常に、私は低いということにびっくりいたしました。その話の中に、何で日本の学校には環境科というのがないんだという。それは自分がやるんでしょうというふうな、私はそういう思いで聞いておりましたけれど、そういうことも含めて、ESDなんていうことについては全く無知でありましたし、非常にびっくりした経緯もございますので、やはり議員自ら、その環境の学びをきちんとされること、それもぜひお願いしたいものだなというふうに思っております。
 それから、4ページの「子どもゆめ基金」、これは珍しく、私はありがたい基金措置でありまして、ちょっと報告だとか届け出が面倒なところがありますけど、これは予算措置があるわけですからいたし方がないと思いますけど、大変使い勝手のいいゆめ基金でありますので、今後の継続もぜひよろしくお願いをしたいなというふうに思っております。
 それから、5ページのところのエコスクールのことですが、これも私が現場にいましたときに経験のあることですけれど、これは各区市にきちんと説明をされているのでしょうか。そんな単純な質問ですけれど、私の経験では、さまざまな学習会も行われ、スタートしてから破談になったことがありまして。それはやっぱり予算の関係ですね。国の分と、それから、各区市の分と、分けて経費を配分するときに、ちょっとそこでトラブルがあって、いわゆる研修等を全て行いましたけれど、研究発表も行いましたけれど、いわゆるそれが破談になった経緯がありましたので、きちんとした前段階においての十分な各区市の説明が十分だったのかなと、今ごろ反省しておりますけれど、そんなこともちょっと質問させていただければありがたいと思います。
 それから、6ページの、長辻委員がお話しされました生物多様性の件ですが、これは何回も申し上げておりますように、私は学校現場のことについて、それをステージにしてお話をしておりますけれど、教科書にも出てくることは出てくるんですが、この浸透率の低さにびっくりするばかりでございます。文部科学省とか関係省庁は、この件に関して、学校現場に対してだけでも構いませんので、どんなご努力をされているのか、伺いたいものだというふうに思います。
 ありがとうございます。以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。
 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。私は指標のほうの委員会にも参加させていただいているので、一言申し上げると、やはりこの人づくり・地域づくりというのは連携・協働のところが大変重要なんですが、連携・協働というのは、これまでも本当にどうやってその状況を定量化するかというのを大変悩んできた分野だというふうに思っています。そういう意味で、いろいろな主体の連携・協働で取り組んでいるというところの数を集約する、いろいろな方法で、今回、単に定性的にならずに数字を出してくださっているわけですけれども、それが少し数字だけがひとり歩きしているように見えて、あまり心のところにつながってないように見えるというご意見も多いわけですので、もう一度、そういう意味では、書きぶりとか――書きぶりだけの問題ではないかもしれませんが、そういう視点をきちんと全体をもう一回見直していただければ大変ありがたいなと思いますし、特に環境教育のところを一つ一つ見ると、連携体制でやっている事業とか、そういうふうに書いてあるんですが、各省庁がしっかり取り組む中で、国全体では、どういうふうな状況なのかとか、やはりそういうところを、最初なのか最後かにきちんとまとめて書いていただくという、そういう場所があってもよろしいのではないかなというふうに感じました。
 重点検討項目の2番目なんですけれども、これに関しては、再生可能エネルギーの活用の促進なんですが、今回、これを見終わってから感じることは、実は再生可能エネルギーを導入するために、各省庁がかなり規制を見直すとか、そういうことに取り組むことで、再生可能エネルギーが地域の中に定着できるというものがかなり増えているというふうに思います。そういうこともどこかに少しまとめて書いていただくというのがあってもいいんじゃないか。なぜかというと、例えば、農林水産省の水利権の――水利というか、農業用水とか、国交省の水利権とかを、経済産業省の再生可能エネルギー政策と合わせて、微妙にやはり変えていくことで、まだ変えている途中のものもありますが、こういうところが定着していくわけですので、そういう言及がきちんとあってもいいのかなというふうに思いました。
 それで、最後の、地域づくりのための交流の話なんですけれども、私はこの前の週末に、新潟県佐渡市内のまちづくりの方たちの現場にエコツアーを実施したんですけれども、ちょうど小澤先生もご参加いただいて、いろいろなご知見をいただいたんですけれども、そのときにたまたま佐渡市の方から、今、佐渡で一生懸命取り組んでいる、世界農業遺産登録の話を伺いました。日本の中では五地域登録しているそうです。例えば、そういう話の中で棚田を、今、非常に一生懸命守ろうとされていたりするわけですが、棚田を守っていく、あるいは農業を守っていくことで、自然環境とか、景観とか、生物多様性も全部守られていく。そういうような入り口に棚田再生があるわけですが、そういう棚田も、あと10年ぐらいで、年齢が皆さん高くなっていて、それ以上はなかなか続かないというのが最大の課題なわけです。そういうところを全国できちんと守っていくというのも、環境の視点、あるいは持続可能な社会づくりというのは大変重要なわけですけれども、今回のところにはそういうところの情報は、せっかく農林水産省さんが応援しておられるのに出ていないということなので、環境基本計画の評価で情報を出していただくときに、持続可能な社会づくりという少し広げた視点で情報を出していただくと、より施策の広がりが見えるんじゃないかなというふうな感じもいたしました。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございます。
 岡田委員、お願いします。

○岡田委員 ありがとうございます。私は日本環境教育フォーラムという、これは公益社団法人なんですが、会長をやっていますので、実際の取組の中の現状を若干お話し申し上げたいと思います。
 日本環境教育フォーラムというのは、もともとは自然学校等を自分たちでつくって運営している、当時はまだNPOというのがなかったので、NGO、あるいは個人というのがもともと参加して、27年前にスタートしている組織なんですが、昨今の状況は、私どもの団体そのものの会員数も、横ばいと言うと聞こえはいいんですが、やや微減状況にあります。
 それから、毎年一遍、清里で、清里ミーティングというものをずっと26年間やっているわけですが、毎年の参加者も、今、二百数十人が参加してくれていますが、これの中で、各省庁、5省庁ぐらいのお役所から後援のお名前を頂戴していますが、5年ぐらい前は大体清里に実際に各省の担当者が実際に来て、激励の言葉をいただいたり、いろいろしていましたが、昨今では恐らく環境省だけになっていると思います。山梨県はもちろん地元ですから来ていただいています。
 一方で、会員は、どういう人が会員かというと、今申し上げたような、実際に活動しているNPO、NGOの人、あるいは個人の人もいますね。それから、あと環境教育に関心を持っている個人、あるいは学生、それから、企業が入っています。ですが、これも全体的に、先ほど申し上げたような、辛うじて横ばいを維持している。
 これはもう、私ども自身の営業力と企画力が足りないからいけないんだというので、今、我々が反省すべきだというふうに中では言っていまして、そういう取組をしていますが、全体的に見ていると、何となく言葉で環境教育とか人づくりと言っている割には、エンジンがかからないというか、そういう感じが実態であります。
 それで、我々のところで会員になっている、実際に学校をやっている人たちが、それぞれ充実している学校ができているといいんですが、なかなかそうばかりでもないんですね。だからこそ、逆に言うと、私どもが営業力、企画力でもって企業さんからプロジェクトを預かってきて、そいつを会員さんへ、ちょうどいい企画物を持っている会員さんのところにそれをぶつけるというようなことも私の仕事なんですが、それが全体がそもそも増えてないもんですから、そちらで私どもが支援をしてあげるということもなかなかできない。
 こんな状況なもんですから、こういうせっかく話をして、こういうデータをつくって、こういう分析をなさるときに、全体的に、しからば動きはどうなっているんだ、それに対して各省はどういうことをやっていただけるのか、やろうと思ってもらえるのか、この辺の話をもう少し整理していただけると大変ありがたいと思います。
 以上であります。

○武内部会長 ありがとうございました。
 小澤委員、お願いします。

○小澤委員 よろしくお願いいたします。3点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、この第四次環境基本計画のときに、相当私も書き込んだというのか、いろいろと意見を言わせていただき、それから、この1ページ目に書いてありますことを、「未来を創る力」、それから、「環境保全のための力」につきましても、政務官室で議論して、報告書もまとめ、そういうものが投影されていると思いますが、一番、今、大事なことは、量ではなく質の問題に移ってきているはずなんですね。そこに対して何も言及がないということ。
 これは基本計画の54ページから見ていただきますと、そこに書いてあることが、では、どういうふうにそれぞれの省庁・関連部署で展開されているかというのがないんですね。それは三つのキーワードがあると思います。一つは統合的に、そして、連携していくという、それから、コラボレーションですね、協働という力が働かなければ、ここでは、環境基本計画では持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくりなんですね。それは単に環境教育ではないということなんですね。その視点がやはり書き込まれないといけないんではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、住民の力が統合するという、統合させていくという、そこで、先週末、崎田委員と一緒に佐渡に行って、「談義」という言葉、それは昔から知っていたんですけれども、ただ単に地域の人だけがやっているわけじゃないんですね。都会の若い人も入り、そして、住民と地域の方、そして、行政の方も連携しながら、コラボレーションしながらやっていくという、そういう力が、今、少しずつ起こってきているんですが、それに対して、やはり中心の力というんでしょうか、この東京一極集中の弊害が表れているかなというふうに思っております。
 そこまで書き込まなくても、やはり地域の資源を活用して統合的にやっていくという中に、日本全体の国土のあり方、先ほど、林委員がおっしゃったようなことも、あまりにも過剰な力が働き過ぎて、地方はもう疲弊している。ですから、この基本計画にあるようなことがなかなか実現できないということが大きな課題としてあります。
 2番目は、先ほど、末吉委員がおっしゃった、これは自然欠乏症候群というふうに言われているんですね。私はこの言葉は、子どもが本来持っている、子どもの野性を取り戻す営みだと思うんです。ところが、日本社会では、受験学力の圧力がものすごいために、もう小学校へ入る前から受験学力をつける。しかし、その弊害が、今、多分大学に所属しておられる先生は、何人かは思い当たるところがあると思います。このままでは日本社会はだめになるというふうに思っております。
 ただ、先ほどのいろんな症状がありましたけども、これは多分、何も自然に触れているだけではないんですね。いろんな神経細胞に対する化学物質の影響等々などもありますから、簡単には言えませんけれども、しかし、学校教育、あるいはこの計画をまとめるときに、発達を考えて、せめて小学校4年生まで、本当は私たちが墓に入るまで、自然とふれあい、豊かな感受性を育てていくということは大事だと思いますけれども、あまりにも私たちは自然に触れるということが行われていないという。そこで、日本の自然の恵みを共感していく力が弱っているのではないかと思います。そのために、子ども環境学会では、今、私は会長をしておりますけれども、そういうことに取り組んでおりますけれども、これはある意味で、先進国の病的な症状だろうと思います。
 それから、三つ目に、私は学術会議で、これで7年目かな、8年目に入ります、環境思想・環境教育分科会の座長を2期務め、そして、今、3期目で副会長的なことをやっておりますけれども、ここで言っていることは、学校教育における環境教育の充実、それから、高等教育における環境教育の充実、そして、3番目に大事なことが、やはり地域の特性ですね。私たち、自然、それから、文化、それから、歴史というものを育まれた日本の豊かな営みというものを、単に学力テストとして学ぶことではなく、やはり生活と科学知を統合していくような学びが必要であるというふうに思っているんですけども、そこのところがなかなか、幾ら学術会議で提言しても、それが投影された――内閣府に幾ら提言しても、何の響きもないというところで悲しいことではあるんですけれども。しかし、救われるのは、小学校の4年生ぐらいまでは文部科学省の学習指導要領で自然に触れるということがある程度行われています。しかし、それがESDになっているかというと、この基本計画で言っている地域づくり・人づくりになっているかというと、それはないんですね。自然に触れるのは、これは環境のことを、自然のことを知る。葉っぱがどういうふうになっているか知る。でも、それは、地域づくり、あるいは人づくりに向かう能力育成になっているかというと、そこの理解が進んでいないという、大きな課題がありますし、また、学術会議で、文化的な点と、それから、自然科学的なところの融合といったら、もう学問分野では融合とは言わないとか、学者の世界でもいろいろと言葉遣いを注意されておりますけれども、何か先ほどのグリーン化のことを伺っておりましても、どうも日本人のこの統合的に、あるいは総合的に物を見る見方というものが今問われているのかなということが、今日の――ここのことはよくわかります、私も関わっているのがいっぱいありますので、この数字的なところはわかりますけれども、統合的なところを何とか書き込んでいただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、岡本委員、お願いします。

○岡本委員 どうもありがとうございます。質問と意見、特に要望的な意見になると思いますが、発言させていただきます。
 まず、質問ですが、1ページ目の最後のところで、環境教育、協働取組等の推進に関する行動計画、これが14件、地方公共団体で策定されているというふうに書いてありました。都道府県レベルだけではなく、政令指定都市、それから、市町村も含むとすると、昨年の閣議決定後、1年たっていない、または努力義務だとしても、14件というのはいささか少ないなと私は感想を持ちました。特に来年、この関係の国際会議が日本で開催されるということを考えますと、ちょっとこの数字について、環境省としてどういう判断というんでしょうか、どういうふうに見ているのかということをお伺いしたいと思いますし、何か指導的なことをされているのかということをまずお伺いしたいということが1点です。
 それから、環境教育についてなんですけれども、環境教育の範囲というのは、非常に身近な身の回りの問題から地球環境問題と、大変幅広いというふうに思います。そういうことからいえば、学校教育に加えて、家庭とか地域社会におけるさまざまな取組によって、初めてその効果が期待できるというふうに思います。
 先ほどからお話もありましたけども、まさに消費者、それから、事業者、民間団体、学校、行政など、さまざまな主体がその特徴を生かして、連携・協働しながら環境教育を展開していくことが何よりも重要だというふうに思います。
 府省の連携ということでいえば、消費者庁が、消費者教育推進法に基づいて、消費者教育に関する基本方針を策定して、この6月に閣議決定をされました。特に消費者教育において持続可能な社会の実現に向けた倫理的消費、この観点というのは、環境教育とも大変同じような問題意識を持っていると思いますし、環境教育との連携によって、その効果が高まるというふうに思います。今回、2012年度の点検報告ですから、入っていないのは当然だと思いますけれども、今後の取組の中で、きちんと消費者庁との連携というものも、前回も申し上げかと思いますけども、改めてお願いをします。
 それから、報告書の中で、参加・体験のお話がありました。今も小澤先生からもありましたけども、夏休みで体験学習をするという取組も多いと思いますし、その夏休みのいい思い出としてはいい取組だと思います。その一方、単発の取組ではなかなか短期的に成果を求めるイベント的な活動となってしまわないかという疑問を持ちます。もちろん、学校教育における体験というものは必要だと思いますけども、複雑な構造を持った環境問題を理解をしていくには、総合的な視点やアプローチが不可欠だというふうに思います。学校教育において時間的な制約というのはあるかというふうには思いますけれども、これまで以上に豊かな自然体験とか生活体験、そういったことを積める場の確保をお願いをしたいと思います。
 それから、環境に対する親の取組姿勢というものは子どもに多大な影響を与えますので、親、社会人を対象にした環境教育、学習の実施とか、親子が一緒に体験できる、そうした学習、ここにも幾つか書いてありますけれども、その強化ということもぜひご検討をいただきたいというふうに思います。
 今回の報告は2012年度の取組結果ですので、2013年度以降どうしていくのかということが書いてない部分もあります。予算を見ても、「なし」と記載されていたり、それから、予算がかなり減少しているものも幾つか見受けられますので、そういったものについて、今後、どうしていくのかが、ちょっとこれだけを見ると、わかりにくい、ということも申し上げて、発言にかえさせていただきます。

○武内部会長 ありがとうございました。
 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 全体的なことを1点と、細かい点を3点、簡単に申し上げたいと思います。
 全体的なこととしては、先ほど、三浦委員がおっしゃったことは、私も基本的に賛成なんですけども、第一次環境基本計画以来、できるだけ定量的な目標を立てるというのは割と一般的に必要だというふうに考えられてきたところで、数字を出していること自体は私はいいと思っているんですけども、その数字の持っている意味とか、全体の傾向との関係というのがちょっと必ずしも出ていないというところが問題なんじゃないかなというふうに考えております。先ほど来、冨田委員とかもフォローしてくださった点ですので、ぜひ、全体的にそういうふうに進めていただければありがたいと思います。
 それから、細かい点ですけども、重点検討項目②のほうについて、幾つかございますけれども、一つは、再生可能エネルギーとの関係での地域の進展の点ですけれども、地域づくりとか地域資源の活用の点ですけれども、崎田委員がおっしゃったように、規制改革を結構していますので、閣議決定とかを含めて、規制改革をかなりされていますし、法律のほうでも改正をされているところがございますので、それは取組としては非常に重要な取組だと思いますので、ぜひお書きいただけるとありがたいと思います。
 それから、第2点ですけれども、14ページのところで、エコツーリズムですが、ここもちょっと書き方がどうなのかなという感じがちょっとしていて、エコツーリズム推進協議会を支援したところとか、推進全体構想の認定とか、ガイドのこととかが書いてあって、これはこれでいいんですけども、全体として、その地域の再生活性化にどういうふうに貢献しているかというのは、ちょっとなかなか難しい注文で誠に申し訳ないんですが、何か書けないかなということがあって、ぜひちょっとお伺いしたいところがございます。
 それから、第3点ですけれども、15ページのところですが、ナショナル・トラスト運動に伴う税制上の優遇措置というのは、これは里地里山法との関係で非常に重要な点だと思いますけれども、認定が1件しかないということなんですけど、これはちょっとやっぱり少ないかなと思うんですけど、基準とかを含めて、何か、どういうことなのかということをちょっとコメントしていただけるとありがたいということでございます。
 以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。
 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 三浦委員が指摘され、その後、多くの委員が指摘されたことを私も言おうと思っていたことでした。つまり、これは書き方が悪かった面もあるのだと思いますが、何々のために、というか、何々を目指してこういうことをやろうという、その部分が、どうも各省から出てくる報告はその部分が消えてしまって、後だけを見て、それで書いてあるわけです。ですから、これではまずいといわれればそのとおりだと思います。特に環境教育についての基本計画の思いは、連携が重要だ、ということでした。特に先ほど、岡本委員が今おっしゃった点は、我々が最初から考えていたことでした。学校教育だけじゃありません、社会教育だけじゃありません、それがどう横につながるかということが大事だから、それをとにかく大事にしながらやっていきましょうということです。キーワードはとにかく連携ということですし、協働であるし、小澤委員がおっしゃったとおりですが、そういったことを計画では随所で述べてきているのに、それが必ずしも十分に各省に伝わってないのか、あるいは、各省がやっておられることがそういうことだったら、では、それを我々はどう評価するかということになるんだろうなと、こんな感じがするわけです。
 環境教育の計画に関しては、先ほどの岡本委員のご指摘があった点について、私も考えていました。個別の環境教育法に即した計画があるか、と聞いてしまうから、こういう結果になってしまうのであって、実際には、全国の多くの自治体では環境教育・学習計画を任意に作ってきているはずです。それを何々法に基づいてと聞かれたら、それはうんと考えますからこういう結果になる。一体、全国の自治体にはどのぐらい環境教育・学習計画というのがあるのかという見方で調べれば、山のようにあるはずです。だから、実際には計画が多数あるということと、それから、法律に基づいての計画を作れということとの間のギャップを、では、環境省の担当室がどう考えるんだと、これが問題なんではないかという気がするんですよ。
 ただ、残念ながら、各自治体から報告をとろうと思っても、今の分権の時代には報告を無理にはとれない。法律に基づいて作っていますか、と聞けば、なんとか答えてくださる。ところが、そんなものが何にもなかったら、答える義務もないわけですから、知りませんとなってしまうのですけど、そこをどう克服するかですね。本当に努力してやっている自治体って山のようにあるはずなのに、それが全くこういうところでその結果が出てこなくて、たった14団体にしか計画がないかのような、ネガティブな印象しか与えられないというのはまずいことだと思いますから、これはぜひ、全国市長会からも代表に来ていただいていますから、お願いして、積極的にそこに働きかけて、いいことはちゃんとみんなにPRしようよと言って、出してもらうという努力をしなきゃいけないということを言っているのですが、なかなか実って参りません。
 それから、同じことは、後のほうの話についてもそうです。例えば、再生可能エネルギーというときに、計画ではただ単に再生可能エネルギーをどれだけだと言っているわけではないのであって、地域づくりと結びつけて、それをどうするのか、と考えています。。だから、本当は、そういう工夫をした再生可能エネルギーの取組がどのぐらいあるかということを知りたいのですが、これがもし難しければ、これはトピックス的でもいいから、こういうところでこんなことをやっている、例えば、市民発電所のような取組が行われていて、こんなに成果が上がっている、といったことを、例として報告に挙げていくだけでもいいと思うのです。ただ単にべたっと、再生可能エネルギーを進展するために、こういう施策が各省それぞれに行われていますと書いてしまうと。これでは、何でばらばらにやっているんだ、事業仕分けが必要ではないのか、という印象すら与えかねないわけです。それでは困るわけで、この基本計画が言わんとしているのは、それが地域づくりに結びついて、地域資源として地域エネルギー、再生可能エネルギーをどう活用していくかということを問題にしているわけですから、そこにちゃんと焦点を当てておかないといけない。温暖化対策計画の点検をしているわけじゃないのですから、そこを間違えられては困ると思います。
 同じようなことは、これは実は我々の責任ですから、各省に文句を言っちゃいけないのですが、失敗をしてしまいました。今ごろになって申し訳ないのですけれども、14ページに書かれているように、確かに「エコツーリズムや地域おこし等の」と書いてしまったわけですね。ところが、元の計画の文章のほうには、これは計画の60ページなのですが、ここには地産地消があって、それから、エコツーリズムがあって、というふうに書いてあって、「地産地消」も入れていたわけですが、各府省にお願いする際に、この地産地消という言葉をを入れてなかったものですから、エコツーリズムについて報告を求めているという印象を与えてしまっているようです。
 ところが、計画がここで本当に期待しているのは、地域間交流、ネットワークづくりということでした。これについては、指標の検討会で大分議論をしまして、この地域間交流の一番代表的なのは何だろうか、ひょっとしたら、地産地消の商品をあちこちで一生懸命売っていますよね、それに都市の人が出かけていって、みんながそれを買うわけです。こういうプログラムというのは、農林水産省がかなり補助金を出して、施設整備をされたりして、それなりに成果が出てきているようです。そういう努力を国はやっています。それを今度は受けて、地域のそれぞれの組織や、みんながそれに乗って、地域間交流をしていますと、そういうことが表に出てくればいいなと思ったりしました。それで、地産地消の、そういうショップのようなものについてのデータをとってくださいと事務局にお願いしたのですが、農林水産省が、それは環境政策じゃないでしょうと言って、相手にしてくださらなかったというわけでした。
 私はそれを聞いて唖然としたのですが、要するに、それは環境省が予算や権限に割り込もうと考えて言っているわけでも何でもないわけで、やっておられることは環境政策の面から評価できることだから、こういう点検の中に紹介して、評価しましょうと思っているのに、そういう反応しか出てこないというのは誠に残念きわまりないと考えております。
 多くのご意見が出ましたけども、最終的には前回と同じことを申しあげますが、今日のこの資料で終わるわけではなくて、この後にもう一つ文章がくっついて、今後、どうしてほしいというときに、例えば、書きようによっては、もう既に今年度からは実施されているようだが、と記すことによって、今年度既に実施されていることまではそこに書きこむことは構わないと思います。各省は前年にやったことについて書くように求められている。それはそのとおりです。しかし、そこでももうちょっと工夫して、前年、これだけのことは検討をした、というふうに書いておいてくだされば、それが次の年につながるということがわかるわけですが、やったことだけ書かなきゃいけないというふうに思って、既に予算がついて事業化したことだけを答えていただくという結果になっていることは、これは、この部会からの聞き方が悪かったと思うので、これは来年からはもうちょっと工夫して、次年度に実現に向かって可能性のある検討が行われていて、それが次年度に実現されているならば、それについても書いてくださいと言っておけば、検討されたことがこんなふうに実ったといって評価できるようになるわけです。ですから、これは今年、各府省に責任を負わせるわけにいかな。来年の点検ではもっと上手に点検をして、どういうことがどんなふうに行われているかということを聞いた上で、ここは足りない、ここはどうすればいいかということをしっかりと示していくことになるだろうと。そんなふうに思います。
 エコツーリズムについては、多くの方々から、それだけかというご指摘があったわけですが、もともと環境基本計画の考え方はそれではなかったということです。崎田委員もおっしゃいましたけども、これはどういうテーマを指標として挙げて、今、どうなっているかということを示せるかと、いろいろ考えてみたのですけども、結局のところはなかなかデータがとれなかったということです。
 これまで、指標の検討会でたびたび検討委員から指摘されていることは、データがとれないものは、どうしてもこのような点検の場面には使えないので、それでしようがないなといって、データのあるものばっかりを指標として追っかけているのですが、それではよくないという点です。こういうデータを出すべきだと指摘することによって、データをつくる努力をさせるべきだろうと。集めさせるべきだろうと。なぜそれをやらないのか、受け身の姿勢で、今あるデータだけを追っかけ回して、それでできることだけやっている限り、指標は先へ進まないと言われています。この辺は、座長としても責任を感じておりますけれども、今後はこんなデータをぜひとらなきゃいけないということを積極的にこの点検報告の中で発信していくことによって、各府省が既に持っておられるデータであれば、それを使えるようにしたいと思いますし、ないものは、意識的にそういうデータをきちっと集めるというのでしょうか、つくるというのでしょうか、その努力をしていかないと、点検がどうしても上っ面をなでるようなものになってしまうという、部会での委員のいら立ちがいつまでたってもなくならないんだろうと思います。
 どうもありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、中杉委員、お願いします。

○中杉委員 すみません、浅野先生が総括された後で発言をしてしまうと怒られるかもしれませんけど。
 中身ではなくて、書き方の問題なんですが、私の解釈が間違っていたらご指摘をいただければと思いますが、この皆さんのご意見は、全体がどうもわからない、個別のものが出てきて、という話が各委員から――私もそのとおりのような印象を受けているんですが、それは事務局の話では、ここで各委員から出された意見をまとめて書き込んでいくんだというご説明でしたけど、それはどこに書くのかということなんですけども、今の章立ての立て方でいくと、まあ、「基本的方向」はいいですよね。その後の「現状分析」というところは、これはどういう位置づけなのかがよくわからない。そして、最後に、「主な取組状況等」ということで、個別の取組がだーっと挙がってくるので、何となく散漫な印象がするんですね。そこで終わってしまう。多分、それを受けて、いろんなご意見を踏まえた上で、現状分析なのか、現状分析プラス評価なのかわからんけれども、そういうものができてくるんじゃないかなと。
 そうすると、そこには、こんな取組をしているけど、それを受けて、全体をまとめるとこうなるというふうな形でのまとめになるのか、その個々の施策のところに、これはこういう方向だ、こういう方向だと、こういうふうにしなさいと言っても、やはり各委員からのご意見に必ずしも沿っているとは思えませんので、そこら辺の全体のつくりは――これまではずっとこんな形で、これまでの基本計画の点検はしてきたように思うんですが、そこら辺のところをもう少し考えてはいかがでしょうかという、ご質問と意見ということでございます。

○浅野委員 「現状分析」という言葉が、ひょっとすると誤解を与えているのかもしれないなと思うのですが、それは、もともとここは指標を中心に評価をしていこうということを考えてつくった項目だったのですが、さっきちょっと正直に言いましたように、なかなか指標化できるものがない、種がないと。そこで、種がなければ、もう定性的にでも書けばいい、あるいは、年次ごとの変化が追いかけられないものならば、現状の数字だけでも書いたらどうかということで、こういうふうになっているものですから、ちょっと「分析」という言葉が、評価的な要素を含むというふうにとられてしまっているので、ここはもう一遍、全体を通じて考えてみる必要があると思います。
 その上で、さっきから申し上げているように、何をやったかということを列挙するだけでは点検にならないわけですから、それに対して、審議会として、それに対する、どういう言葉か知りませんけども、総括的な文章を後にくっつけるというのは今までもやってきているわけですね。決して、各府省が何をやりましたということを羅列して終わってはいません。そこを今まで以上に強化する必要があるということだと思いますし、それから、さっきちょっと申しましたけど、聞き方が我々も悪かった面もあると思うので、「主な取組状況等」というところに、できればこういうことのための取組というふうに言っているので、その目から見て、どんなふうに各府省はお考えかということを、ヒアリングでもいいから聞いてみるということをやれば、ひょっとすると、各省のほうでも、自分たちは考えているのに、一方的に中環審に違うと言われてたたかれるのはしゃくだというのがあるかもしれませんから、そこは双方向で情報交換をしながら、我々としては、さらにこれをお願いしたいというふうなことを、あるいは、こうすべきであろうということを書くと、こんなことになるだろうと思います。

○中杉委員 だから、④という形で、そういうものがつくというふうに解釈してよろしいですか。

○浅野委員 解釈してというよりも、それを決めるのはこの部会が決めることですから。

○中杉委員 ですから、基本的にはそういうものがないと……。

○浅野委員 私はそういうふうにしたほうがいいと、前回以来申し上げているとおりです。

○中杉委員 それを一番後ろのほうにつけたほうがいいだろうというのが私の意見でございます。

○武内部会長 ありがとうございます。
 鷲谷委員。

○鷲谷委員 点検の手法とか、それから、こういう記述の仕方についても、方針があってなされていることだろうとは思うんですが、「エコツーリズム……広域的なネットワークづくりの促進の取組」のようなところを拝見しますと、ほかのところにもそういう傾向があると思うんですが、霞が関の中だけに目を向けた記述にとどまっているように――もう既にいろいろな先生方のご意見もありましたけれども、そのような印象がすごく強くでた文章になっている気がします。
 そして、生物多様性に関連する分野で、国家戦略とか、愛知目標もできてから、地域レベル、自治体等でも、こういう項目に関わるさまざまな動きがあって、その中にはグッドプラクティスもありますし、先ほどご発言があったように、ちょっと首を傾げるような方向に行ってしまっているということもあるように思います。そういう国全体における環境基本計画や、それに基づいて出てきた政策で動いている現状というのが、何らかの形で反映できるような文章が、点検の文章として出てくると、もっといいのではないかと思います。その方が後々生かせるようなものになるような気がします。もちろん、労力と時間の制約の中で何ができるかということはあると思いますが、例えば、委員がこれだけいらっしゃるので、委員の持っている情報をもう少し活用することを考えるとか、新聞記事なども、キーワードで検索すれば、ある程度の動きというのは把握できると思うんですが、それを客観性を担保するための工夫をして、取り入れるというようなことも考えてはどうかと思います。でも、時間と労力というところが最大のネックになっているのかもしれません。
 何かこの文章があまり生き生きとしていないというか、これをどうやって改善につなげていくかが、なかなか見えてこない文章になってしまっているような気がします。もちろん、重点項目の性質によって、それでいい、霞が関の中だけでいいテーマもあるかもしれませんけれども、特にエコツーリズムとか、環境教育とか、地域づくりに関わるところは、それでは難しいのではないかという印象を持ちました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに委員のご発言ございますか。どうぞ。

○田村委員 ありがとうございます。遅くになって申し訳ございません。先ほどから、佐々木委員のほうから、大学のほうに指導というか、学生さんがおられんということで、私も県レベルで、この審議会で会議しておりますと、必ず、環境教育が必要だと。それには、大学の先生、委員長さんがなっておられるんですが、やはり言うのには、小学校は、地域の子どもたちは、中年のおじさんとかおばさんで、地域で環境はしておると。でも、悲しいことに、大学生にはいないので、うちのところも大学生は環境教育を勉強してないんだなと、指導者がいないんだなということをお聞きしましたので、やはりここへ来てもそういう話が出るということは、本当に環境教育の指導者が、各県にやはり数名はいていただいて、その人たちがまた大学で教えていただいて、子どもたちを教えていただくというような立場に持っていただけると、また進むのではないかなということを感じましたので、遅くになって申し訳ございませんが、発言させていただきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局からまず説明をいただいて、それと、あと環境省で関連の部署で追加説明があればということで、そして、最後に、今日ご出席の各省の方から、質問等に対するお答えをお願いしたいと思います。

○山本環境計画課計画官 私からは、全体に関わることで申し上げたいと思います。
 三浦委員を初めとして、複数の先生方からいろいろ個別の事業は書いてあるけれども、何のために実施しているのか、数字の羅列ではないか、そもそも何だか方向性がよくわからないといったご指摘をいただきました。現時点の報告書案では事業を並べているだけですので、そのようなご感想をいただくのだと思います。環境基本計画と比較して、今、どこまで達成してどこまで達成していないのかという点がまさにこの点検の重要な部分だと思いますので、いただいたご指摘を提言として書き込んでいくことになります。
 また、重点検討項目について単なる環境教育のことばかり書いてあるのではというご指摘を小澤先生からいただきました。確かに重点検討項目がまさに環境教育ですので、取組事業を点検するとこのような形になってしまうのですが、その背景に流れる考え方や思想からも、十分なのか、不十分なのかを整理していくことが点検ですので、そのような観点でまとめたいと思います。
 再生可能エネルギーについても、単なる再生可能エネルギーの進捗状況を調べることが点検ではありませんので、地域づくりとの関係でどうなのかというのは、まさにご指摘のとおりで、そのあたりも工夫していきたいと思っております。
 浅野先生からの、データがない部分はデータを集めるべきというご指摘については、私も指標検討会に出席してよく認識しておりますので、工夫していきたいと思っております。
 私からは以上です

○武内部会長 それでは、環境省関係で――どうぞ。

○吉田環境教育推進室長(環境省) 環境教育推進室長でございます。
 岡本先生からお話がありました、1ページの「現状分析」のところの、地方で行動計画を策定している件数が14件ということでございますが、その後、浅野先生からもお話がありましたとおり、前の法律のときにいろいろなことを、計画とか、公表している自治体はたくさんございます。ただ、この新しい法律が施行されたのが昨年の10月ということで、その後、この「協働」というのが大きなテーマでもありますし、そういったものを取り入れた計画をつくっていただくということで、今のところは14ということでございますが、今、検討中の自治体は多数あるというふうに認識しております。またいろいろな場で行動計画についてお話ししていきたいというふうに思っております。
 以上です。

○武内部会長 どうぞ。

○中尾自然ふれあい推進室長(環境省) 自然ふれあい推進室長でございます。ご意見をいただき、どうもありがとうございました。
 まず、長谷川先生のほうからご指摘のありました、エコツーリズムとグリーン・ツーリズムについて、確かに地域的に重なる部分がございます。エコツーリズムの場合は、貴重な自然地域と、人が関わることによって維持されている二次的自然地域の両方で行われております。
 私たちもグリーン・ツーリズムとの協力が重要だと認識しており、平成22年から平成24年に、「エコツーリズムとグリーン・ツーリズムの融合による地域活性化推進事業」を実施しました。農林水産省さんにご紹介いただいたグリーン・ツーリズムが盛んな鹿児島県垂水市と兵庫県の養父市で実施しました。グリーン・ツーリズムのプログラムをさらに生きもののつながりや、あるいは生態系の仕組み等についても加味したプログラムを、地域で実際にグリーン・ツーリズムをやっている方々と市、観光協会等と検討しつくり上げてきました。
 次に、大塚先生のほうからご指摘のありました、全体として地域の再生活性化にどう貢献しているのかが見えないというご指摘について、確かに鷲谷先生がおっしゃるように、味気がない記述になってしまっております。ただし、私どもといたしましては、エコツーリズムは、地域の自然観光資源という宝を見つける作業を通じて、地域外からの人の交流を促進し、地域の人々が自分たちの地域における誇りを醸成するとともに、地域内の人と人とのつながりを強化するという地域活性化に資する活動だと考えており、こ記載のように、エコツーリズム推進協議会を支援したということは、地域におけるさまざまな主体によるエコツーリズムのための活動を支援しているということで、それ自体が地域活性化に貢献していると考えております。
 さらに、浅野先生からご指摘がありました、エコツーリズムというよりも、むしろ地域間交流を重視したいとのご指摘なにつきましても、エコツーリズムは外から人を呼び込む活動だとに考えておりますので、地域間交流という面でも一定の役割を果たしていると思います。
 なお、エコツーリズムガイド育成事業は、エコツーリズムの取組を推進していく、あるいは担っていく人材を育てている事業ですので、紹介させていただきました。
 以上です。

○武内部会長 どうぞ。

○河野生物多様性施策推進室長補佐(環境省) 生物多様性施策推進室の河野と申します。本日はどうもありがとうございます。
 まず、長辻委員から、生物多様性の10年に関連して、山梨県のブラックバスの問題についてご指摘がございました。縦割りで大変申し訳ございませんけれども、特定外来種対策につきまして、現在、外来生物対策室というところで実施をしております。
 外来種につきましては、それぞれの種ごとに、それぞれに置かれている状況に基づいて取組がなされていくというふうに思っております。ちょっと私のほうで、過去の詳細な資料ですとか、状況というのを踏まえているわけではないので、きちんとしたお答えはできませんけれども、山梨のブラックバスにつきましては、さまざまな判断材料をもとに、今後の取り扱いというのは決まっていくというふうに私は認識をしております。ご指摘の点につきましては、担当の部署にきちんとお伝えをさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 それから、佐々木委員からのご指摘で、生物多様性について、教科書にも出ているけれども、認知が低いというお話がございました。お配りをしている資料の7ページ目をご覧いただけますでしょうか。6ページ目から7ページ目にかけまして、「国連生物多様性の10年」推進事業ということで書かせていただいておりますけども、7ページ目の上から7行目のところに、「推薦図書等の選定」というものがございます。平成24年度は、この委員会におきまして、子ども向け図書というのを選定しております。絵本ですとか、図鑑ですとか、そういったものを含めまして、生物多様性の理解ですとか、普及啓発ですとか、環境学習に資する図書ということで、全部で100冊ほど選定をさせていただいておりまして、生物多様性の本箱ということで選定をさせていただきました。
 ただ、これを選んだだけではどうしようもないと思っておりますので、今後、こういったものをより一層PRしていきまして、使っていただいて、生物多様性の普及啓発というのをさらに進めていければと思っております。よろしくお願いします。
 それから、大塚委員から、ナショナル・トラストについて、ご質問がございました。ナショナル・トラストにつきましては、平成23年に公益法人制度改革がございまして、税制上の優遇措置というのが少し整理をされております。例えば、公益社団法人や、公益財団法人につきましては、寄附金にかかる所得税や、法人税について、税制の優遇措置があるといったことでございますけども、それに加えて、自然環境保全法人に認定をされますと、不動産の取得税や、固定資産税についても軽減措置が適用されると、そういった内容になっております。
 自然環境保全法人の認定条件につきましては、幾つかありまして、例えば、すぐれた自然環境の保全や、活用を対象にしているなど6項目ほど、認定の条件というものがございます。こちらにつきましても、通知とあわせまして、ホームページに掲載しているところでございますけれども、さらに周知に努めまして、具体的に相談等がありましたら、適切に対応してまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。
 ほかに環境省のほうからは――よろしいですか。
 それでは、環境省以外の省庁からの追加的なご発言ございましたらお願いしたいと思いますが――どうぞ。文部科学省、お願いします。

○村瀬官房企画官(文部科学省) 文部科学省で官房企画官をやっております、村瀬と申します。本日は委員の皆様から、大所高所から幅広いご意見を賜りまして、ありがとうございます。
 今日、たくさんご意見をいただいたわけでございますが、まず全体として、文部科学省といたしましては、環境教育につきまして、豊かな心を育むという視点から、各学校段階ごとに、教育課程の基準である、学習指導要領に規定をしているところでございまして、その旨、重要性は十分に理解してございます。
 そういう中にありまして、現在の教育振興基本計画、これは教育基本法に基づく政府全体で取り組んでいく計画でございますが、この中でもESDに向けた取組等、記述がございまして、自然体験に触れ合う事業、こういったものを親子を含めて実施できる機会を工夫するなど、取組には意を用いているところでございますけれども、個別にはやはり先生方がご指摘のような点、あろうかと思っております。
 こうした中で、個別のお尋ねにつきまして、まずユネスコスクールについてのお尋ねがございましたが、大変恐縮でございますが、現在、1校当たりのユネスコスクールのデータはございませんけれども、関連して申し上げますと、このユネスコスクールの運営を支援する、そういった事務局の運営であったり、ホームページを運営管理する、そういう委託事業というものを当省で持っているわけでございますが、現在、9件ほど、委託してございまして、こちらの予算が約7,700万円規模になってございます。お尋ねにつきましては、事務局を通じて、またご提出できればと思っております。
 それから、二つ目のエコスクールにつきまして、これは公立学校施設の整備についてはすべからくそうなんですけれども、各設置者、基礎自治体と、執行の段階できめ細かくいろいろと意見交換しながら進めているわけでございますが、より、このあたりは意識しながらキャッチボールのやりとりをしいきたいと思っております。
 それから、さらに連携についてもいろいろとお尋ねがあったかと思います。現在、青少年の体験活動の機会を、より充実させようという、そういう事業があるわけでございますが、こうした中で、従来型の体験機会といったものの数を確保するということはもとよりそうなんですけれども、例えば、家庭、あるいは企業などへ、その体験活動への理解を求めていくためのフォーラムであったり、あるいは、企業のCSR、こういった観点から、企業の社会貢献活動を通じた青少年の体験活動の推進といったものを普及啓発していく、こういった事業も行っているところでございます。
 いずれにせよ、先生方のご指摘につきまして、我が省もこれから来年度の概算要求に向けまして、いろいろと議論していく段階にございますので、検討して参りたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○武内部会長 それでは、農林水産省。

○木内課長(農林水産省) 農林水産省でございます。長谷川委員からご指摘いただきました、エコツーリズムとグリーン・ツーリズムについては、環境省のほうからお話があったとおりでございますが、グリーン・ツーリズムについては、先生がおっしゃったように、食、郷土料理とか、景観とか文化、それから、農作業など、いろんな農山漁村が持っている魅力を、都市の人との交流の中で味わっていただこうということ。もう一つは、地域の活性化に役に立てていきたいという視点がございます。エコツーリズムとの重なるところというのはございますので、一緒に進めていっているところもございます。
 それから、崎田委員のほうから、世界農業遺産の登録の関係を例にとっていただいて、地域の連携、協働の重要さをおっしゃっていただいたんですけれども、おっしゃるとおりで、持続可能な社会というのは、農林水産省がもう要はやらなきゃいけない話で、持続可能な農山漁村と農林水産業というところで、全てがそれにつながるわけなんですけれども、特に地域については、コミュニティを今大事にしていこうという話を進めております。
 それから、農林関係者だけではなくて、農外の方、いろんな方、都市の方、NPOの方も含めて、いろんな方を巻き込んで持続可能な地域づくりというのに取り組んでまいりたいと思っております。実際に、そういうふうな形でネットワークを広げております。
 最後に、浅野委員からご指摘いただきました、地産地消の件でございますけれども、私どもが趣旨を十分理解しておりませんで、大変失礼いたしました。地産地消の話については、直売所や、それから、給食関係とか、そういうことも含めて、いろんな方と、都市との交流とか、そういうのに取り組んでおります。予算的にもかなりの金額を注ぎ込んでおりますので、今では日本の食を広げるプロジェクトとか、いろんなことも含めて、人材育成、それから、新しい商品も含めて、開発も含めて、幅広く取り組んでおりますので、こういうところで扱っていただけるのであれば、私どもも本望でございますので、取り組んでいきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、国土交通省。

○鈴木課長補佐(国土交通省) 国土交通省でございます。
 三浦委員から、14ページ記載の「川の魅力をいかした地域づくりの推進」と、国土強靱化の関係についてご指摘がございました。まずこの地域づくりというのは、水質浄化によってにぎわいを創出したり、河川空間を利用して、観光の魅力を向上させようというものでございます。ただ、当然、治水という面も重要でございまして、これは一定の基準の下で行っており、河川管理者と関係者間の協議の下で行っているものでございます。委員のご指摘も受け止めまして、今後とも引き続き、適切に行って参りたいと思っております。
 以上でございます。

○武内部会長 ほかにご発言ございますか。よろしいですか。
 少し積み残しで、後ほどご回答をいただく、あるいはデータを出していただくという部分はございますけれども、それも含めて、次回に、その結果について、ご報告をさせていただきたいと思います。
 ということで、今日、二つの議題をこれで終了させていただきたいと思いますが、局長、何かございますか。

○清水総合環境政策局長(環境省) 今日は大変熱心にご議論をいただき、ありがとうございました。
 非常に横断的テーマであるにもかかわらず、先生からご指摘いただいたように、少し個別の事項に今回の記述はなっておりますけれども、皆様のいろいろなご意見を踏まえまして、さらに総合的に、連携的にできるように努力していきたいと思いますので、どうぞご指導をよろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、これで本日の審議を終了とさせていただきます。
 事務局から連絡がありましたらお願いいたします。

○山本環境計画課計画官 委員の皆様方からの、次回の部会の開催につきまして、ご都合を伺っておりますけども、最終的にまだ日程を決めておりませんので、速やかに決めさせていただいて、決まりましたらご連絡いたしたいと思っております。
 以上です。

○武内部会長 今日は本当に大事なご意見たくさんいただきまして、どうもありがとうございました。
 これで終了といたします。どうもありがとうございました。

午後 6時58分 閉会