中央環境審議会総合政策部会(第62回)議事録

開催日時

平成23年7月28日(木)14:00~15:32

開催場所

三田共用会議所 4階・第4特別会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (一)第三次環境基本計画の見直しについて
      • ・第四次環境基本計画策定に向けた考え方について
      • ・今後の検討について
    2. (二)その他
  3. 閉会

配付資料一覧

【資料】

資料 第四次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた中間とりまとめ)(案)

【参考資料】

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
参考資料2 今後の検討について

議事録

午後2時00分 開会

○矢田環境計画課計画官 それでは、若干遅れていらっしゃる方もいらっしゃるようでございますけれども、定刻になりましたので、ただいまから第62回の中央環境審議会総合政策部会を開会いたします。
 初めに、お手元のほうの配付資料のご確認をお願いいたします。議事次第の下に配付資料一覧と書いてございまして、番号はございませんけれども、第四次環境基本計画策定に向けた考え方(中間とりまとめ)(案)でございます。それから、参考資料といたしまして、当部会の名簿と今後の検討についてという紙がございます。
 もし足りない資料等がございましたら、事務局までお申しつけいただきたく存じます。
 それから、毎回お願いいたしていることでございますけれども、マイクをお使いいただきます際には、スタンドにありますスイッチを押してからご発言をお願いいたします。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりましたら、スイッチを切っていただくようにお願いいたします。
 続きまして、事務局のほうに人事異動がございましたので、ご紹介させていただきたく存じます。
 まず、総務課長でございますけれども、中井徳太郎でございます。

○中井総務課長 中井でございます。お世話になります。よろしくお願いいたします。

○矢田環境計画課計画官 続きまして、環境計画課長でございます加藤庸之でございます。

○加藤環境計画課長 加藤でございます。よろしくお願いいたします。

○矢田環境計画課計画官 本日の部会には、現時点で全委員43名中過半数の委員の出席をいただいておりますので、定足数の要件を満たし部会として成立していることをご報告いたします。
 それでは、今後の進行につきまして、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、早速、第62回総合政策部会ということになりますが、議事に入らせていただきたいと思います。
 本日はご出席いただく予定の方が大変多くて、43名中4分の3以上という予定であります。ぜひ皆様で活発なご議論をお願いできればと思います。
 もうご承知のように、3月7日に第三次環境基本計画の見直しの諮問を受けました。これ以来、この総合政策部会において議論を進めてまいりまして、前回の部会で、第四次環境基本計画策定に向けた中間とりまとめのたたき台となります(素案)についてご議論いただきました。委員の方々から大変たくさんのご意見をいただきました。
 本日は、この議論を踏まえまして、修正を加えさせていただきました、第四次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた中間とりまとめ)(案)についてご議論いただきまして、できましたら、本日の議論をもって、第四次環境基本計画策定に向けた中間とりまとめとしてご了承いただければと考えております。その後、今後の検討の進め方、ヒアリング等々が目白押しとなっておりますので、それにつきまして、事務局から説明させていただきたいと思います。
 それでは、早速ですが、第三次環境基本計画の見直しについての審議に入らせていただきます。審議の進め方といたしまして、第四次環境基本計画策定に向けた考え方につきまして、先ほど申し上げましたように、前回の議論を踏まえまして修正をしております案がお手元にございます。これにつきまして、修正部分を中心といたしまして事務局から説明をいただき、議論を始めたいと、このように思っております。
 では、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○矢田環境計画課計画官 それでは、お手元に資料ということで、「計画策定に向けた考え方(中間とりまとめ)」(案)というものをお配りしておりますので、それに基づいてご説明をさせていただきます。
 まず1ページをご覧いただきたいと思います。「はじめに」というところでございますけれども、前回のご議論の中で、震災を受けて社会のあり方、あるいは、その意識というものが変わったから、四次計画を策定すると、その点が重要だというふうな形に書き方を修正すべきではないかというご意見を頂戴いたしました。
 その点を踏まえまして、従来は2つ目の○と3つ目の○の順番が逆になっていたわけでございますけれども、環境基本計画第三次計画の説明の後、本年3月、第四次計画の策定に向けて検討を開始したところ東日本大震災が起こりましたということで、東日本大震災のことをご説明した後、こうした変化は今後の環境政策のあり方にも大きな変革をもたらすものとなっているということで閉じております。それを踏まえまして、4つ目の○でございますけれども、東日本大震災のもたらした社会的状況を踏まえまして、第四次計画の策定に取り組むという形で修正を加えているところでございます。
 1ページめくっていただきまして、2ページでございます。前回、「地球温暖化に関する状況」というところで、気温の上昇についてのご説明等が中心になっていたところ、昨今の異常気象についての記載が足りないといいますか、そういうところが影響が出ているということをしっかり記述するべきだというご意見を頂戴いたしました。
 その点を踏まえまして、2つ目の○の「また」以下のところをご覧いただきますと、「近年、世界各地において記録的な大雨や熱波が発生しており、同報告書――これはIPCCの報告書でございますけれども、地球温暖化に伴い、極端な高温や熱波、大雨の頻度が引き続き増加する可能性が非常に高いとされている」というような記述を追加しているところでございます。
 続きまして、7ページのところでございます。環境と経済といったところで、「従来、環境保全は経済活動の制約要因であると考えられてきたけれども、グリーンニューディール、グリーン成長という概念が広まってきている」というところで、2行目に「諸外国」と書いてございますけれども、前回のときは「先進国」という形で記載しておりました。前回の議論の中で、韓国、中国、マレーシア等々の例も引き合いに出されまして、各国がそういう取組を進めているということもございましたので、「先進国」を「諸外国」という形に改めるとともに、あとのほうでご説明いたしますけれども、記述を追加しているところがございます。
 9ページをご覧いただけますでしょう。9ページの最初の○のところでございますけれども、記述を追加いたしております。そうしたいろいろなグリーンイノベーション、グリーン成長といったところで、技術の関係でございますけれども、諸外国の追い上げが厳しいといいますか、競争が激化しているという中で、日本がトップの技術を持っているということで安心してはいけない、危機感を持って取り組むべきだというご指摘が前回ございました。こうしたことを踏まえて、○の部分の記述を追加しております。「水処理技術、廃棄物処理技術等においてトップレベルの技術力を有しているけれども、従来我が国が強みを有していた技術分野においても、世界的な環境産業の発展に伴って、国際競争が激化し、シェアが低下しているような例も見られる」という形で追加をしているところでございます。
 続きまして、その下の「土地利用の状況」というところでございます。ここも前回のご指摘の中で、主として都市の拡大、土地利用の問題の中で、自動車利用が進んでいる中でCO2の排出が進んでいる。特に自動車については、単体の排出量そのものは減っているけれども、移動に占める割合が高まっている、利用頻度が高まっているという中で、CO2の排出が増えているというご指摘がございました。詳細なCO2の排出量等については、秋以降、各論で議論すべきところかとは思いましたけれども、特に自動車交通への転換によってCO2の排出量が増えているといったところについて記述を追加しているところでございます。
 続きまして、10ページをご覧いただければと思います。10ページの真ん中より少し下辺りのところでございます。「・我が国の環境技術を途上国に移転することは」で始まるフレーズの後段のところでございますけれども、「また、その際に我が国の技術の優位性を維持するため、環境研究、技術開発の推進や普及等にも取り組んでいく必要があること」という部分の記述について、先ほどご説明した経緯の中で追加いたしているところでございます。
 それから、11ページの下のところでございます。「以上の課題に取り組むにあたって、費用対効果や社会的費用の低減」という形で書いてございましたけれども、「社会的費用」という言葉をよりわかりやすくという観点から、「社会全体で負担する費用」という形で修正を加えているところでございます。
 それから、12ページの下から2つ目の○のブルントラント委員会の報告書の記述でございますけれども、将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満足させるということで、「ニーズ」という形に直すべきだというご指摘をいただきましたので、ご指摘のとおり修正を加えているところでございます。
 続きまして、13ページでございます。「2.今後の環境政策の展開に当たり重視すべき方向」の柱書きのところでございますけれども、「以下の4つの考え方を提示する」という中身だけでありましたが、今回の第四次計画の見直しにつきまして、「東日本大震災の発生によって大きく変化している持続可能な社会の姿を踏まえて、それを達成するために重視すべき方向として4つの考え方を提示する」ということで、この報告書の全体の流れを踏まえた書き方にするという形で修正を加えているところでございます。
 続きまして、14ページでございます。14ページの小さなポツの下から2つ目のところでございますけれども、「以上のように環境と経済の関わりが一層広く深いものとなり」で始まるフレーズでございますけれども、「そのためには」というところで、「経済との関係を意識して環境政策の実施に当たる」という記述を追加しているところでございます。従来この記述はございませんで、経済活動のあらゆる場面に環境への配慮を織り込む取組を進めていくということだけ指摘されておりましたけれども、環境と経済の関わりが一層深くなっている中で、環境政策を企画し、実施する際にも、経済との関係を十分意識する必要があるというご指摘を踏まえて、その部分を追加したということでございます。
 続きまして、15ページでございます。15ページの最初のポツ、上から10行目ぐらいのところでございますけれども、この部分の記述に修正を加えております。このグリーン成長、グリーンイノベーションにつきましては、より記述を充実させるべきだというご意見でありますとか、あるいは、先ほどのご指摘の中にもありましたように、日本がトップにいるということだけではなくて、追い上げが厳しい中でしっかり取り組んでいく必要があるという危機感を持った記述にするべきだというご指摘も踏まえまして、この部分で「世界の潮流に遅れることなく、引き続き取り組んでいく必要がある」というような記述を追加するなど、全面的に書き換えを行っているところでございます。
 続きまして、16ページをご覧いただきたいと思います。16ページの下から2つ目のポツ、「今後の国際環境協力は」というフレーズで始まるところでございますけれども、その最後の「加えて」ということで、「国際環境協力に取り組むことで、我が国の国際社会における存在感を高めることが、日本の安全保障上の立場を向上させ、国益を増進させるための鍵となりうる」という記述でございますけれども、ここにつきまして、「非実態の国益として日本の安全保障の向上というところにつながる」という記述になっておりましたけれども、「非実態の国益」というのがなかなかわかりづらいというご指摘もございましたので、そうしたわかりづらいフレーズを除いて、「国際環境協力に取り組むことが、我が国の国際社会における存在感を高めることにつながり、さらに国益の増進につながるのだ」という形で記述を改めているところでございます。
 それから、17ページの一番下のところをご覧いただきたいと思います。これも前回の議論の中でご指摘いただいたところでございますけれども、従来、ここは都市基盤等のストックについて、「質が高いものとして適切に維持管理・更新を進めていく」という記述でございましたけれども、我が国の住宅について20年ないし30年で建替えられるということが環境負荷を高めているというようなご指摘ですとか、従来の整備されてきた都市基盤という形で、必ずしもこれから整備するものが含まれないような書き方になっているというご指摘がございましたので、その点を踏まえまして、「これまで蓄積されてきた都市基盤やらの新規計画・整備及び新規を含む住宅ストック等についても」ということで、都市基盤に加えて住宅も含むということ、それから、従来整備してきたものではなくて、これから整備するものも含むという形で記載を改めているところでございます。
 それから、18ページでございますけれども、18ページの「国土利用メカニズムの構築」の上から4行目のところでございますけれども、「自動車利用から公共交通利用などへの転換を図る」ということで、先ほどもご説明いたしましたけれども、自動車利用によってCO2の排出量が増えているという部分を、できるだけ公共交通利用などに戻していくという取組が必要だというご指摘がございましたので、そういうことも含めて例示を追加しているということでございます。
 続きまして、19ページ、「環境問題の解決に向けた多様な主体間の連携」のところでございます。ここのところで、従来の記述が自然科学系の知見に偏った記載になっているのではないかというご指摘を踏まえまして、必ずしも自然科学系の知見だけではなくてということで、「環境に関する幅広い知見や、地域の生活に根ざした知恵を活用していく」ということ。それから、様々な主体ということを、きちっと連携をとってやっていくことが大事だということでございましたので、「行政、企業、NPO、市民などの様々な主体」という形で例示を加えているということでございます。
 それから、19ページの3.のところで「理念・原則・手法等について」という記述がございます。この部分について記述が薄いのではないかというようなご指摘をいただいたところでございます。この点について前回説明が不十分だったかと思いますので、補足させていただきますと、特に理念・原則・手法については、今回の中間とりまとめにあたって、具体的にどこをどういうふうに追加するという議論をしたというよりも、第三次計画においても掲げられていた、ここに記載しておりますような理念なり原則を引き続き四次計画の中にもきちっと位置づけるべきだというご意見をいただいておりましたことから、第三次環境基本計画においても掲げられていた、ここに記載しておりますような理念・原則等について、引き続き四次計画においてもきちっと掲げていく必要があるということで記載をしているものでございます。
 そういう意味でいうと、中身について踏み込んだ記述はしておりませんけれども、こうした記載をしているところでございます。また、この趣旨を明確にするために、(1)のところに「第三次環境基本計画においても掲げられていた」という記述を追加しているところでございます。また、社会全体で負担する費用というところも、わかりやすくするという観点から修正を加えているところでございます。
 続きまして、20ページをご覧いただきたいと思います。こうしたことを踏まえまして、第四次環境基本計画の構成ということで、重点分野を設定して秋以降議論をしていくということになっているわけでございます。この重点分野の設定にあたりまして、縦割りの6分野と横割りの3分野を設定するということで前回お諮りしたところ、横割りの3分野が、先ほど申し上げました4つの方向性との関係が深いということでございますので、むしろここでの記載順としては、横割り分野のほうを前に出すべきではないかというご指摘をいただいたところでございます。
 このご指摘を踏まえまして、現在の20ページからの記載順といたしましては、まず「事象横断的な重点分野に係る取組」というものを前に出して、そのあとで、21ページの下半分になりますけれども、(3)ということで、「縦割り事象面で分けた重点分野に係る取組」という記載順にしているところでございます。
 ただ、20ページの中ほどをご覧いただきますと、「(2)事象横断的な重点分野に係る取組及び」で始まるフレーズでございますけれども、全体として縦割り6分野と横割り3分野というものをどういう記載順で最終的な計画の中で記載するということについては、最終答申案に向けてさらに検討していくという形で整理をさせていただいております。
 続きまして、22ページでございます。22ページの「[6]物質循環の確保と循環型社会の構築への取組」というところにつきまして、前回、特に「適正処理の確保」といったところに重点が置かれているので、むしろ「ライフスタイルの変革あるいは事業活動の改善等々、3Rの取組の更なる推進」といったところとのバランスをとってほしいというご指摘をいただいたところでございまして、4行目から、「そこで、ライフスタイルの変革や事業活動の改善等により」という3行の記述を追加しているところでございます。
 以上が前回からの主な変更点でございますけれども、それ以外のところを若干補足させていただきます。
 11ページの一番上のところでございますけれども、「環境政策を進める上で、我が国が持続可能であるためには、世界が持続可能であることが不可欠であることを念頭に置く必要がある」という記述がございます。これにつきまして、前回、地球益の追求が国益につながるのだ、あるいは、地球益と国益では、地球益が重要なのだというようなご指摘がございました。今回、地球益と国益を両立させるように取り組むべきだということで、あえて国益というものを重視すべきだということを中間とりまとめの中で記載しておりますので、地球益のほうが重要だという記述は今回の方向性と必ずしも一致しないといいますか、言いたいことがずれてしまう可能性があると思って、地球益のほうを重視すべきだという形の記載にはなっておりませんけれども、地球益というものが我が国の持続可能性にとって極めて重要だということについては、この2行目から3行目に記載しているという形になってございます。
 一点だけ補足をさせていただきました。私からの説明は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、委員の先生方からいろいろとご質問あるいはご意見があろうかと思いますので、例によりまして、ご意見をお持ちの方は名札を立てていただければと思います。
 よろしいでしょうか。よろしければ、これで決まってしまうのですが(笑)。
 では、こちらから順番に。大塚委員からまいりましょうか。

○大塚委員 まだ完全に意見がまとまっているわけではないので、一点だけ質問させていただきたいと思います。前回、休んだので申し訳ないのですけれども、14ページの下から3つ目のポツのところで、「経済との関係を意識して環境政策の実施にあたる」というのはいろいろなふうに読めるので。私は、グリーンニューディールとか、経済とか雇用の関係を考えながら進めていくべきだともちろん思っていますけれども、ここの趣旨をもう少し詳しくご説明いただけるとありがたいと思います。表現がこれだとかなり直接的に聞こえすぎるのかなという若干の危惧はないわけではないのですが、その観点から質問をさせていただきたいということです。

○鈴木部会長 では、崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。質問というよりもコメントなのですが、20ページから21、22ですか、最終的な今後の展開の記述を、横串のほうを先に出したほうが新鮮さが明快に出るのではないかという提案をさせていただきまして、今回思い切ってそういうふうに組み替えて出していただきまして、ありがとうございます。今後、文言は皆さんと意見交換していかなければいけないと思いますけれども、これで今回の明確な意思というのがかなりはっきり出たのではないかと感じております。ありがとうございます。

○鈴木部会長 そのほか、いかがでしょう。では、冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。修正要望ではなくてコメントだけなのですけれども、環境基本計画のそもそもの目的は、総合的かつ計画的な推進を図ろうということだと思うのですね。具体的に四次の計画を検討するときには、重点分野ごとに検討するということになろうかと思いますけれども、その際にはお互いの関係、16ページの最初のポツのところにも書かれておりますけれども、一方の保全策が他方においてはそうならない可能性があると、それを加味して総合的に評価・考慮しようというところが書かれているわけですけれども、具体的にそれをどういうふうにやるのかというところが非常に大事なところだろうと思います。したがって、計画をつくられた時にはこういう観点でチェックをしていこうという私自身の気持ちを持っているということでコメントさせていただきました。
 以上です。

○鈴木部会長 三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 ありがとうございます。前回でしたか、前々回、鈴木会長のほうから、今回の災害に関しても、あるいは、原子力の問題、エネルギーの問題にしても、環境省がイニシアティブをとって推進していくのだというような意気込みを語られていたのですが、この「はじめに」の中に、今後、省庁の中で各部局が連携して今後の環境政策に対して積極的に施策を執り行っていくというような意思表明みたいなものを入れておいたらどうかなというふうに感じたのですが、いかがでしょうか。

○鈴木部会長 そのほか。末吉委員委員、どうぞ。

○末吉委員 ありがとうございます。今のお話ともちょっと関連するのですけれども、私の見るところでは、国連を中心に世界の議論の一つが、来年、リオ+20ということですけれども、この20年間何やってきたのだと。極論すると20年間の取組は失敗だったのではないかということはみんな思っているような気がするのですね。ですから、その20年間の国際的な取組が功を奏していない。だから、次をどうしようかと。そこにはすごく危機感があるような気がするのですね。
 その危機感というのは、おそらく国際的な取組も含めて相当ドラスチックなことも生まれてくる可能性があると思うのですね、政策やいろいろなことにおいて。とした場合に、まさに今のお話にあったとおり、環境基本計画の下で行うことの書かれていることを本気でやるという覚悟、これは結構利害がぶつかりますよね、いろいろ書いてありますけれども。書いてあることは私は高く評価しますけれども、現実にやるときに、貿易政策と環境政策がぶつかったときに、誰が何のインタレスで決めていくのだというような話を考えると、書いてあることに本当に実行していく。
 そういうのを例えば「ガバナンス」と呼ぶと、ガバナンスの体制をどう組んでいくのだと。だから、この計画が組み立てられて、5年6年たったときに、そのガバナンスの下で所期の成果、結果がちゃんと生まれるのだというようなことはこれからお互いによく議論していかないと。書いてあることはすばらしいのだけれども、一体誰がぶつかりあうインタレスの調整をして、どういう判断でとっていくのだというようなところを大変懸念いたします。そういうことが起きないように、これからの議論の中で、どういう体制やお互いの了解、これを「国民的合意」という言葉で言えば、そういうことだと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 そのほかいかがでしょうか。
 それでは、まず事務局のほうから……。あ、横山委員。

○横山委員 ありがとうございます。11ページのストックの関連なのですけれども、修正要求とかということではなくて意見として少し申し上げたいと思っています。17ページにもストックのことが書かれていて、くどいようですが、持続可能な社会というのはストック管理がすごく重要だろうとい認識は、このとりまとめでも十分表現されていると思うのですが、そのストックを管理する主体をどういうふうに考えるのかと。当然に重複している、行政主体として三層の政府レベルがあるわけで、国、都道府県、市町村というように行政でも重層しているわけですので、その辺のところのストック管理の仕組み、ここで書かれている「適切に管理していくための仕組み」という言葉の中に、それぞれの役割分担みたいなものをどういうふうに考えられているのかと。
 それから、公共部門だけではなくて、民間部門のストック管理というようなことが重要になってくるのではないかと。今回の東電の対応の問題も、まさにそうしたストック管理の責任主体も問われてくるということで言うと、ストック管理をする仕組みづくりを今後どういうふうに構築していくのかということについては、これまでのストック管理の仕方でうまく管理できたのかということへの検討なりが加えられるべきではないかと。意見です。
 以上です。

○鈴木部会長 櫻井委員。

○櫻井委員 ありがとうございます。14ページで、先ほど大塚委員もおっしゃいましたけれども、経済との関係を意識して環境政策の実施にあたるというのが昔の経済配慮条項的なイメージになるのではないかというご懸念かと思いますが、多分そういう文脈では書いてないのだろうと思いますけれども、それがわかるように書かれたほうがいいのではないかというのが一点。
 それから、同じく14ページの終わりから15ページにかけて全面的に書き直されたという部分は、前回の議論を受けて、グリーン成長、グリーンイノベーションというのを表に出して書いてあって、いいかとは思うのですが、その中で例えば4行目、「適切な法制度の整備や環境によい製品の需要と供給を喚起する施策を実施するとともに云々」となっていて、何となくそこのところがぼんやりしているというか。後段はエコポイントなどをイメージしておられるのかもしれませんけれども。
 あえてどう書くかというのはありますけれども、従来環境と経済の関係で、特に経済的手法ということになりますと、税制、特に環境税的なもの、あるいは、排出量取引的なものというような、経済的手法というのが議論になってきたわけですが、あえてここで議論を呼ぶことを書く必要はないかとは思いますが、何となくきれい事で済ませてあって、手法のことが書いてある後ろの20ページですかね、20ページの事象横断的な重点分野の[1]で具体的にどういうことを書くかというので、「あらゆる活動において環境配慮を織り込むための取組」、こんなことを書きますよという括弧書きの中にいろいろなことが書いてはあるのですが。ここでこれから詳しく書かれるおつもりかどうかわかりませんけれども、手法的な部分の記述が少し弱いのかなという感じがいたしました。
 以上です。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

○浅野委員 ご指摘をいただいた点でありますけれども、確かに今、櫻井委員がおっしゃったけれども、大塚委員のご懸念はかつての1967年の公害対策基本法のイメージが出てこないようにというご指摘だったと思いますし、当然そんなことを考えて書いたつもりは全くありませんので、誤解を与えないようにもうちょっと文章を直せというご指摘はそのとおりかと思いました。
 それから、櫻井委員のもう一つのご指摘の点でありますが、15ページの4行目のところに殊更「法制度」と書いてしまっているので、政策実現手段全体のことについてはもういいよと言っているようにも見えてしまうのですが、ここはご指摘に従って修文をすることができるのではないかと思います。
 それから、横山委員からのご指摘の点は、この部会の中で縷々ご指摘があって、特に地域社会が崩壊していくということが、こういうストックの管理の主体を喪失させているんだと、その議論を受けて書いておりますので、意識としてはあるわけですが、今後の議論の中ではそれをぜひ明らかにしていくということになろうかと思います。
 そして、冨田委員のご指摘の点でありますけれども、これはこれからどうやって議論を進めていくのかということについてお諮りをすることになりますが、今までの反省として、確かに冨田委員ご指摘のような反省がございます。つまり、重点分野の検討を始めますと、重点分野の検討だけがそれぞれ縦割りで行われていってしまって横のつながりがあまりないと。特に担当委員を決めて、その方にある意味では責任を全部お任せするような格好になってしまいますと、その方が「いいよ」と言われたものを、みんなでケチをつけて直すというのは非常におかしいことになってしまうので、ついつい遠慮してしまって手直しができないというようなことになってしまっては困る。やはり部会で議論をして計画をつくる以上は、担当委員に全部任せて丸投げしているわけではないわけでから、横のつながりをちゃんと考えることができるような検討のシステムをとるべきだろうというふうに私は考えておりますし。
 それからさらに、今までどうも重点領域の議論だけをやっていまして、あとのほうにある、度々申し上げておりますけれども、全体の施策を並べて鳥瞰図のように示している部分については、審議会としてほとんど議論をしないで、すっと通ってしまっているのですけれども、これもよくないと思うのですね。そこもやっぱり相互の関連をちゃんと見なければいけませんので、各局に書いていただいたものをホチキスでとじるというようなやり方はやめるべきだと前から思っておりますから、多少手間ひまがかかって、時間もかかるかもしれませんけれども、委員おっしゃるように、特に横の連携が重要であるということを言っておきながら、計画策定の段階では全くそうでないというのでは困るというのはそのとおりだと思っております。

○鈴木部会長 事務局のほうで何か補足を。

○矢田環境計画課計画官 ご質問という形でいただいたものは、大塚先生から14ページの「経済との関係を意識して環境政策の実施にあたるとともに」というところの趣旨ということだったと思います。この点についてはもう既に若干やりとりがあって、私どもとしてはその方向で対応したいと思っております。もともと事務局としてこの記述を入れたのも、環境と経済との関わりが深まっている中で、経済活動の中に環境政策、環境への配慮を織り込むというだけではなくて、例えば環境省として環境政策を企画し実施していく中で、経済との関わりを意識しないといけないのではないかと。経済活動のほうに配慮を織り込むというだけではないのではないかと。むしろ本筋は環境政策の企画・立案、実施の中で配慮すべきではないかという意識の中で書いたというだけでございますので、先ほど来議論になっているような懸念があるということであれば、それについて誤解を生じないような書き方に修正するという形で対応したいと思います。

○鈴木部会長 いろいろ大事なところをご指摘いただいていると思います。環境省がどのくらいの覚悟をもってどうしていくのかと、こういう問題に関しては、この基本計画が閣議決定という性格を持っているということが一つの大きな意味なのだろうと思いますが、あまり環境省が突出して書いてしまうと閣議決定にならなくなってしまうという。これは本当にいいのかどうかあれなのですが、そういうところで環境省自身がある程度自粛する面が文章をつくる上ではあるのかもしれません。あるいは、各省との折衝をしていく中で、その辺のところを調整していかなくてはいけない。
 しかしながら、一つは、総合性ということはほかの省庁を巻き込んでということもあると同時に、環境省の中のそれぞれの担当局・担当部がこの重点分野については自分のところでケアをするというような話になってしまうと、ほかになかなか目が届かなくなる。そういう意味で、環境省の中での総合性をいかに担保できるような仕組みをつくっていくのか。これは基本計画を超えてと言いますか、基本計画とは別に環境省の中で、まさに総合環境政策局、総合政策局というのがあるわけですから、ここは総合政策局がそれをやらなくてはいけないことなのではないかという気がいたします。
 それはそれといたしまして、環境省が、先ほどご指摘がありました東日本震災について、一体どこまでどうこの文章の上で示しておくのが適切なのかなかなか悩ましいわけですが、「はじめに」のところにいろいろ示してあると同時に、廃棄物の問題も含め現在もいろいろな検討をなされているわけですが、これからもまた新しい問題がいろいろと出てくることは間違いないでしょう。放射性排水の問題であったり、あるいは、汚泥処理の問題であったり。そういう問題に対して環境省がきっちりと対応していくということと同時に、今の時代ですから、持続可能な仕組みを考えていくときに、横山先生おっしゃったストックの管理というのは、言葉だけはあっても、今までは例えば自然資本をどういうふうに考えていくのかというようなことは、具体的に定量的にきっちりとされているとはとても言いがたい、それぞれに任されていた。
 というようなものも、今後の課題としてといいますか、今後きっちりと考えていくような方向を、ここでそのつもりで進めるとしましても、この基本計画にどういう形で書き込むかというのは悩ましいところがあろうかと思います。しかしながら、ここでご議論いただいたことは、きっちりと議事録にも残っていくわけでもありますし、この基本計画の精神としてそういうものをちゃんと理解しておいて、この基本計画を点検していくプロセスの中で生かしていく、あるいは、基本計画に加えてほかの施策でカバーしていくと、そういうことにせざるを得ないのかなと感じております。
 ちょっとバタバタというような感じで、ご意見をいただく方があまり多くはなかったのですが、追加しておっしゃっていただくことがありましたら。それでは、どうぞ、木下委員。

○木下委員 ありがとうございます。16ページの「互恵的な国際環境協力の推進」ということについてお伺いしたいと思います。この中に書かれている内容については適切であると思いますけれども、我が国が実施する国際環境協力が、我が国が相手方に与えた一定の協力に対して常に対価を伴った、それをどういうふうに評価するかは別にして、そういうものに限定するといったイメージが強く出てしまうおそれがあるのではないかというふうに危惧しています。
 もちろん、我が国が様々な国際協力をして、環境協力をして、その結果、我が国が様々な便益、利益を受けるということはあり得るとは思いますけれども、今後、我が国が実施する国際環境協力がすべてこのような互恵的な国際環境協力の推進というふうに限定をしてしまうというような、誤ったイメージを与えるのではないかなと危惧いたしております。
 以上です。

○鈴木部会長 今のところは我が国の存在感を高めるというような言いぶりが……。

○木下委員 そのこと自体は賛成ですけれども、「互恵的な国際環境協力の推進」ということにしますと、常に我が国が一定の何らかの便益ないし利益、どういうふうに評価するかは別にして、そういった環境行政に限定をしていくのだというようなイメージが出はしないかということを心配するということでございます。

○鈴木部会長 なるほど。むしろ今まではそういう意識なしに、ただただ垂れ流したと言っては語弊がありますけれども、それがあったということに対するある意味では反省もあるのかもしれないと思いますが、具体的にどういう形での関係をつくっていくのか。ある意味では戦略性を持ってどう進んでいくのということはあまり議論されていなかったですね、今まで。だから、確かにその辺に対する文章は少し……。

○浅野委員 「互恵的な」というのが先に出てくるものですから。「互恵的」と言っても、中を読んでいただければ「対価」と言ってないことはわかるのですけれども、見出しがいきなりこうなってしまうと、そういう誤解を与えるというご指摘だと思います。どうやって直すかは考えないといけないと思いますが、順序を逆にするということもありうるのですね。「互恵的」といきなり出てくると、何の定義もなしに出てしまいますから。そこはちょっと工夫は可能ではないかと思います。
 ご意見として、ありがとうございます。

○鈴木部会長 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 二点あるのですけれども、簡単なほうから申し上げます。22ページの[6]のところに「世界全体で資源の枯渇が予想される」というふうに書かれているわけですけれども、資源というのは枯渇しないのですよね。つまり、高価格化するわけですよね。枯渇が近くなれば価格がどんどん上がると。だけど、枯渇はしないということなのですよね。そういう意味では、「世界全体で資源の高価格化が予想される」というほうが経済学的には正確だと思いますよね。
 それが一点。それから、もう一点は、前のほうに戻って、15ページに「グリーンイノベーション」という言葉が盛んに出てくるのですが、一番上の○と言うべきでしょうかね、「また」というところですね、「我が国と同様に諸外国においても、グリーン成長に向けた積極的な取組や、グリーンイノベーションが各国の経済政策の重要な要素となっており」というふうに書いてありますけれども、ここはちょっと意味があいまいなのですね。
 グリーン成長に向けた積極的な取組というのと、グリーンイノベーションというのが、どういう意味で二つが列挙されて、これが経済政策の重要な要素となっているというのがよくわからない。つまり、政策運営の基調となっているとか。単に「経済政策」という言葉を狭い意味にとれば、これはあらゆる国の政策の基調と言いますか、機軸といいますか、よくわかりませんけれども、何でもいいのですけれども、そういうふうな表現にすべきではないか。つまり、経済政策の重要な要素になっているというのは何となく引っかかるということと、「グリーン成長に向けた積極的な取組やグリーンイノベーションの推進」とか、せめてそういう言葉がないと国語的に何となくおかしい感じがします。
 以上です。

○鈴木部会長 そのほかいかがでしょうか。はい、山本委員。

○山本委員 ただいまの資源の問題でちょっとコメントさせていただきます。経済学的にみれば、今、佐和委員の指摘されたとおりだと思いますけれども、品位の高い資源については確実に枯渇化が進んでいるわけでありまして、特に銅資源は相当の品位の低下が進行しているわけですね。いずれにしても、もう時間の問題で、高品位の資源は使い切ってしまうということでありますから、将来の世代に極めて低品位の、ものすごいエネルギーをかけなければ精錬できないような資源を我々は残すことになってしまうと。そういうことを考えれば、良質な資源の枯渇化は確実に進行していると、そういってよろしいかと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 そういう良質なというのが入れば佐和先生も納得されますね。

○佐和委員 そうではなくて、今、原油は410ドルから20ドルぐらいだと思うのですけれども、それが150ドルから200ドルというふうになると、当然、非常にコストのかかる海底油田の採掘に資金が投じられるというようなことで値段が高くなれば。そして、逆に今度は消費する側に立って言えば、ガソリンで自動車を走らせるのはもったいないということで、電気自動車ということになろうかと思うのですね。では、200ドルとか300ドルというふうに原油が高くなれば、結局、ノーブルユーズに使おうと。
 ノーブルユーズというのは一体何なのかというと、今現在の我々の生活の中で、別にガソリンがなくても移動は可能なわけですね。あるいは、大量のガソリンがなくても。ですから、ガソリンというのは決定してノーブルユーズではない。やっぱり石油化学製品だと思うのですよね。それから、飛行機がジェット燃料以外の燃料で飛べるかといったらこれもまた非常に難しい。そして、貨物船ですね、外航貨物船が重油以外で走行できるかというと難しい。そうすると輸送コストがものすごく高くなる。

○鈴木部会長 ええ、十分に理解しております。すみません、それでは、よろしいですか。

○佐和委員 ですから、ちょっと良質なという言葉を入れたら済むという問題ではないと思うのですね。

○鈴木部会長 文章、その辺を気をつけて。
 末吉委員、どうぞ。

○末吉委員 もう一回、ありがとうございます。19ページの3の(1)理念・原則のところなのですけれども、正直言いまして、ここに書いてある第三次基本計画における、これが活用していくということなのですけれども、ちょっとさびしい気がするのですね。今、21世紀の世界が言っている理念というのはこれだけで済んでいるのかという気が率直にします。幸いに前のほうにはいろいろないいことが一杯書いてありますので、その書いてあることが新しい理念を表しているのだと、あるいは、書いてあることを新しい理念として打ち出すということが、私が先ほど申し上げた、例えばインタレストがぶつかったときの線引きをどうするかといったときに、その新しい理念に照らすとこういう線引きになりますよねと、そういう判断の決定の違いがこれからどんどん生まれる必要がありますし、そうなるのだろうと思うのですね。
 例えば、10ページの上から2つ目の○に環境と経済、社会の総合的な向上を目指すとありますけれども、今まさに国連を中心にスリーピラーといって、社会と経済と環境の3つのバランスをどうやってとるのかという話を言い始めているわけです。ですから、本気で経済と社会と環境のバランスをとるのだということであれば、これなどは第四次計画の基本的な理念や原則になっていくのではないかという気がするのですね。
 それから、行政と企業、NPO、市民の多面的な参画ということですけれども、これを本当にやるのですかと。本気でやるのですかということであれば、これは非常に重要だと思うのですよ。むしろこれは日本全体において本当のオープンなデモクラティックな国をつくっていく、それの一番根本になるところが、こういういろいろなステークホルダーが参画して本当の議論をして、一緒に何をつくっていくと。そういう社会を日本の中にこれからつくっていくのだというようなことであれば、これはとても大切な理念であったり原則であったりするのだと思うのですね。ですから、ぜひそういった思いでこれからの議論の中でも、理念や原則を大切にしていくと。そういうようなことがこの環境基本計画の中でうたわれると私は大変うれしく思います。
 以上です。

○鈴木部会長 ここのところは、「第三次環境基本計画において挙げられていた」で済ませるのは、10年前と同じことをやっているというイメージを与えかねないところもありますが、ほかにも……。
 あ、大塚委員。

○大塚委員 理念・原則のところは大変大事なところだと思いますが、末吉委員がおっしゃったような感じのことを私も考えないではないのですけれども、一方で理念・原則というのは10年たったらすぐ変わってしまうというほどのものではないような、かなり安定したものでないとまずいという側面もあることはありますので、何か追加していただくのだったら、これに追加していただくということは当然ありうるとは思いますが。
 今、末吉委員がおっしゃった環境と経済の統合、あるいは、社会の統合というのは、これは昔から言われてきたことではあって、持続可能な発展の概念の中に入っており、かつ、持続可能な発展の概念をどういうふうに整理するかという大問題が、その概念の中で具体的に議論するというような話ではあるわけですね。だから、それを具体的に書いていけばいいのであって。ただ、持続可能な発展自体は環境法の一番基になるような理念、最も高いところにあるような理念ですので、それをわざわざ書くというよりは、全体の中からそれが醸し出されるような感じに書かれているのだと思いますけれども、原則との関係、あるいは、理念との関係ということで、今おっしゃったようなお話があるとすれば、持続可能な発展という概念と大いに関連していると思います。
 それから、貿易と環境との関係は、予防的な取組方法とも関係しますし、費用負担については、汚染者負担原則と関係しますので、この辺は最も基本的な理念であって、10年や20年で変わってしまうようなものではないという面もないわけではありません。さらに、最後におっしゃった参加の点は、確かに理念から抜けていると私も思わないでもなくて。ただ、これを今追加するとなかなか大変なことだなと思いますけれども、参加の点は確かに足りないと言えば足りないかと私自身は思っています。
 以上です。

○浅野委員 少し次元が違う話が一緒になってしまっているような気がするのですね。もともと長期的目標と、殊更言挙げはしていないのですけれども、循環、共生、参加、国際的取組という長期的目標を掲げて、それはずっと今まで大事にしてきているわけですね。そして、持続可能な社会というキーワードが2回目から出てきて、3回目にさらにそれを明確に示していった。3回目に環境と経済と社会の統合的向上という、ヨーロッパ諸国でも言われているものを我が国も初めて表に出したと、こういう流れがあるわけですね。それはここで言っている「理念」という、掲げている部分のお話とはやや違っていて、もっと上位の話である。
 それから、ここで「理念」と書くからいけないのかもしれません、どちらかというと、「原則」ぐらいなのですが、環境政策の中では昔から言われている原則というものをきちっと理解しながら、その時々に必要なことを加えていくということがありますから、それをここでは言っているということです。だから、あまり「理念」というところにこだわってしまうと、おかしくなってくるかもしれません。もしどうしても気になるとおっしゃるなら、外に出すときにこの「理念」という言葉を除いて、「原則」というふうに直すことは可能かと思います。

○鈴木部会長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 ちょっとご質問をよろしいでしょうか。まず環境基本計画の18年度版の第三次のほうですけれども、この基本計画がどのくらい中身が達成されたかどうかの検証が何らかの形でされていると思うのですけれども、いわゆる第四次計画の中の「はじめに」というところで、第三次計画で何と何と何が達成されたと、取りこぼしてきているのが何であると。さらに、今の大震災のこれをもってこういったことが必要であると。まず、「はじめに」という項目のところでちょっとその辺をはっきりしていただかないと、一般市民、国民の方々は非常にわかりにくい計画になるのではないかと思うのですね。その辺のことをお尋ねしたいと思います。

○矢田環境計画課計画官 第三次計画を18年につくりました後、19年度、20年度、21年度、22年度と4回にわたりまして、毎年この総合政策部会で第三次計画の点検を実施してきております。基本的には毎年の点検結果は報告という形でまとめられておりまして、ホームページでも公表されているという形にはなっております。その点検結果を踏まえまして、今回の第四次計画の見直し作業に入ったということになっているわけでございます。
 そういう意味でいうと、「はじめに」のところで何と何が足りませんでした、何と何が達成できましたというところは、それぞれ各年の報告書も数十ページから100ページにも上る点検結果報告書ですので、必ずしも記載しきれてはいないわけですけれども、これから「はじめに」のところを直すというのもなかなか難しいところはございますけれども、何らかのご提案があれば、できるものについては検討したいと思います。

○中村委員 いわゆる絵に描いた餅にしないための確固たる覚悟が第四次計画の中に入っていなければいけないと思うのですね。例えば、19ページにありますけれども、NPO、市民、行政、企業が連携してやりましょうと言っているのですけれども、これが過去うまく回ってきたのかどうか。各主体が勝手に動いていて、連携、共同ができていなくて問題の解決にあたれなかったと。微々たる小さい力はあるけれども、全体としては、その動きあるいは結果に伴っていなかったと。こういったものを第四次計画の中で、特に環境省が個々に活動していらっしゃる方々のデータをきちっとまとめて、インターネットで公表して、それぞれ協業、連携してくださいという意思が出てこないと、やる気のある方でもどこに何を探っていいかわからない。
 私は、こういった省庁から出てくる報告書とか計画署というのが一般にわかりにくい書き方になっていたりするというのは常々感じているものですから、たまたま私がこのメンバーであるために、第四次はぜひ一般の方々が読んでわかる、過去何をしてきたか、何が成功して、何ができなかった、今何をすべきかと。それがぱっと見てわかるような書き方であったら、なおすばらしいというふうに思ったものですから、ちょっとご質問させていただきました。

○鈴木部会長 それでは、森嶌委員。

○森嶌委員 故意に無視されているのかと思っていたのですけれども、気がついていただいてありがとうございます(笑)。先ほど名札を挙げなかったのは、この文章は今日初めて見たものですから、皆さんのように何ページの何とかの文章はこうであるということは、いずれ最終的な段階でやればいいことだと思っていました。議論をしている過程で末吉さんがおっしゃったことについて、事務局ではなくて、事務局を代表された浅野さんのお答えであれっと思ったものですから、私はコメントとして申し上げます。
 この議論が始まったときに、第四次の環境基本計画というのはまさに3.11のディザスターが起きたということを前提にして、今までと状況は、環境という場合にも、大きく違ったものになってきています。先ほどから国土のストックという話がありましたけれども、これも違った状況にあります。それを前提として、今回の環境基本計画というものをつくっていかなければならないということは冒頭に申し上げました。そして、「はじめに」もこれは書いてあります。それこそ1ページの下に書いてあります。
 ところが、先ほどのお話ですと、理念も前にもちゃんと書いてあって、その理念があるから、理念でだめだったら、理想でもよろしいと言っておられましたけれども、まさに理念そのものが言葉としてはこれまでの基本計画と同じであっても、現在の状況の中では、例えば環境と経済のとらえ方も、かつての第一次、第二次、第三次と今回とでは前提となっている環境も違います。それから、リオ+20という国外の状況も違ってきているわけですから、例えば環境と経済のとらえ方自体が違ってきているわけです。
 先ほど末吉さんが言われましたから、繰り返しませんけれども、それを、ただ言葉が同じというだけで、理念が同じだから同じだというのではなくて、外側が違う、それから、日本自体が変わっているという、そこを今度の第四次でどういうふうに具体的に変えていくのか。そして、どこを押さえなければ社会は動かないのかということをしっかり認識していないと、前と同じだからいいではないですかということではだめです。重点領域を先に挙げて悪いのだったら、崎田さんが言われたから、横断的なのを先に出しましょうとか、グリーンイノベーションと言ったから、少し新しいではないですかではだめなので、何のためにグリーンイノベーションが出てくるのかということをしっかり理解していかなければならない。それを現在の日本がグローバルに変わった、それを前提にしてそこを押さえないと。先ほどのお答えを聞いていると、また前のと同じ発想で、ただ言葉づかいが変わっただけの基本計画が出てくるのではないかと心配します。
 そして、先ほど中村さんがおっしゃったように、訳のわからない、外側の人が見たのではわからない、それから、前回までにどこまで達成されて、今度何が達成されるかわからないままに新しい計画ができてしまうのではないかということを、これまでの基本計画策定に携わってきた者として、反省を込めながら、今度こそちゃんとしたものをつくりたいと思って冒頭に申し上げたはずです。しかし、また前と同じようになるのではないかとおそれます。もう一度コメントとして申し上げますけれども、先ほど末吉さんがおっしゃったことと、100パーセント同じことなのか必ずしもわかりませんが、末吉さんの問題提起を、全員がここでシェアして、新しい事態をどう今度の環境基本計画の中に取り込んで、具体的な施策の中に落とし込んでくるのかということを考えていただきたいと思います。
 言葉の遊びばかりやっていたのでは意味がないと思います。今日はもう少し読んでから何か言おうと思ったのですけれども、指していただいてありがとうございました。

○鈴木部会長 では、福井委員。

○福井委員 私のほうは個別のことなのですけれども、9ページから取り組むべき課題というので、それぞれ重要なことが書いてあると思うのです。最後の11ページのところにエネルギーの話が今回、前回は確かなかったと思うのですけれども、追加されて、それはそれで大変結構だと思います。ただ、最後のところで「また」という位置づけで二、三行書かれているのですけれども、現在の状態を考えると、「また」というような問題意識のくらいのウエートの話では少し足りないのではないかという気がいたします。
 そういう意味で、必ずしもどう直してほしいということではありませんけれども、例えば、省エネルギーとかエネルギー効率の改善ということから言いますと、電源構成をどうするかという話とは無関係に重要な話なので、これまで環境省も取り組んでおられた省エネルギー分野を中心に、例えばグリーンエネルギー一般、それから、見える化とか、あるいは、蓄電というのもあるかもしれません。そういったことをもう少し入れながら、ウエートが回復するような工夫というのがありうるのかなというのが一点でございます。
 二点目は、これも今回入れてほしいということではありませんけれども、進める上での留意点というので一塊書いてありますけれども、いろいろな環境問題、温暖化でもリサイクルでも化学物質管理でも、見える化をするというのが非常に重要だと思っていまして、PDCAを回していく際に見える化をしていくと。その際にITを使いながら客観的なものをとっていくということが重要だと思っていますので、どこかの段階でそういうものを盛り込んでいただければというふうに思っております。

○鈴木部会長 いろいろご意見をいただきました。まず、中村委員のほうから基本計画、第三次ではどこまで達成できたのかと。これは先ほどありましたように、毎年毎年点検をしているわけですが、ターゲットがここにあり、その80%を達成できていると、そういう形の指標の設定が非常に難しいということもあって簡単ではないのですが、例えば第三次の環境基本計画ですと、第二次でどういう問題が残っていますというのが、第1章の第2節ぐらいのところに若干まとめて書いてあるのですね。
 ただ、これだけ見てもなかなかわからないということもあって、私は、第四次に関しましても点検をしながら、そのそれぞれの点検がまた白表紙のこういう報告書が出たから終わりというのではなくて、環境省の中でホームページを通じ、あるいは、『環境白書』というのが非常に人気がある印刷物になっていますし、白書などをやっておられる方もここにおられるわけですが、そういうものと連携して年々の政策の進展がわかるようにするということが大事なのではないかと。第四次の基本計画の中にどういう形で第三次の成果をおさめるかというのは、入れだしますと何ページあっても足りないようなことになってしまうのですね。
 まさにいろいろな主体の共同参画みたいなことは、第三次でも重点項目、人づくり、地域づくりなどのところに挙がっていたわけですが、それもどう評価するかというのはなかなか難しい。指標をつくるというのは、浅野先生はそういう意味では大変ご苦労なさったところがあると思うので、簡単には第四次のほうにも含められるかどうかはちょっとわかりませんが、何らかの形でそれがわかりやすくするということは、基本計画を超えて環境省として考えていくということではないかと思います。
 それから、末吉委員ご指摘の理念・原則、「理念」、「原則」という言葉が、こう書いてしまうと、何とかの原則とか、何とか責任とか、こういうようなものが理念・原則みたいな、何となくでき上がったものがここへあてはめられてしまっているようなこともあるのですが、例えばこれからの5~6年を考えていくときに、環境効率性などということを誰が考えて、どういうふうに動かしていくのか、ちょっと私には。ある意味ではこれは当たり前のことになってしまっているのではないかという気もいたしますし。
 拡大生産者責任というのもある意味では一過性で、生産者があるところまでこれを達成する、これは今では当たり前のことになってしまった。こういうものもまたここへ繰り返さなければいけないということであるならば、総合的な環境管理というか、持続可能な社会に向けた総合的な取組とか、あるいは、各主体の連携のとれた参画であるとか、これから何年間かで大事にしていかなければいけない原則みたいなものをここで考えていく。透明性も多分そこにあたるのではないかと思いますが、そういうようなものを、前回の原則に加えて、あるいは、一部入れ替えて、これからどこを重視するというようなことをここに書き込んでもいいのかなという気持ちで伺っておりました。
 今、この文章のまま残しますと、また第五次のときに、第三次においても挙げられていたものが第五次にも挙げられるなどということになったのでは、一体我々は何を考えているのかというようなことが問われることにもなろうかと思いますので。

○森嶌委員 ちょっとよろしいですか。原則とかコンセプトというのは、本来ならばコンセプトそのものは一つの内容のを指示していることに意味があるのですね。私は、原則をを挙げること自体に意味がないと言っているのではなくて、末吉さんがおっしゃったのは、これを挙げることがいいとか悪いとか言っているのではなくて、かつて挙げられたのと今とでは意味が違うだろうということです。そのことをちゃんと理解して、現状を踏まえたうえでやらないと、原則を挙げたからいいというものではないということです。
 例えば、予防原則、あるいは、予防的な取組というのが、いい例かどうかわかりませんけれども、例えば原子力について、原子力発電は予防原則をとっていなかったというとそうではなくて、あれほど予防的な対策をとっていた技術というのは少ないぐらい予防をやっているわけです。ところが、今回原子力事故が起きてみると、ちゃんとした予防をしていなかったではないか、と言われています。予防原則をとっていなかったのではなくて、どこまで予防対策をしておくべきだったかということなのです。
 それから、拡大生産者責任でも、ごみを出す者までごみの生産者に含めた場合に、誰が生産者として責任を負うのか、拡大すべき生産者責任のとらえ方ですね。それから、生産者責任が、仮に普通のメーカーだとしても、どこまでメーカーがカバーしなければならないのか、そして、製品が行った先で使う最後の人まで、誰がどこまでのコストを負担するのか。コストの配分を何を基準にして考えるのかということですが、効率性を基準にするにしても、このコンセプトがカバーするのはどの範囲なのか、現実の経済とか現実の社会のものの考え方によって決まってきます。参加もそうです。参加だからといって、国会に1億人の人間が押し寄せて法律をつくるかというと、そういうわけにいかないわけですね。だから、参加だっていろいろなやり方があるわけです。ですから、参加は万歳といったって、そういうわけにはいきません。言葉は同じでも、文脈によって意味も働きも違います。
 これ以上しゃべるとまたいい加減にしてくれと鈴木さんおっしゃるだろうから、やめておきます。ですから、コンセプトを出せばいいというものではなくて、まさに今の社会で動く、あるいは、動かさなければいけないのはどういうものかというのが大事なわけで。その意味で、私が前に申し上げたのは、3.11の後、社会の意識も変わり、外側の社会が変わっている中で、第四次の基本計画をこれから5年やろうというときに、社会の変化に合った政策をこの原則なら原則でやろうとするのならば、それをどういうふうに働かせていくのかということを現実的に議論するのがこの部会の役割であって、国語辞典のでき損ないみたいな議論をするのがここの役割ではないということです。この言葉を後ろに持っていけばいいだろうとか、先へ持っていけばいいだろうなんていう議論をみんなでこんなところで議論することはないのです。それは浅野さんにやってもらえば十分だと私は思っていますので、以上でお終わりにします。

○鈴木部会長 森嶌先生のお考えはほかの方とそんなにずれているとは思わないのですが。

○森嶌委員 と思います。ですけれども、ずれていると思わないにも関わらず、しゃべっている皆さんは、私から言わせれば空理空論をおっしゃるので、私はそれにもう一つ空理空論を重ねているだけであります。

○鈴木部会長 第四次の計画の中で、言葉は「理念」なのか「原則」なのか、あるいは、「目標」なのかはいろいろあると思いますが、例えば拡大生産者責任というのは、循環型社会形成推進基本法に基づくいろいろなリサイクル法がわあっとできた段階ではこれは非常に大事なことだと。でも、これをまた第四次の基本計画でここに書くからには、それに応じて循環型に関連する個別法をどういうふうに変えていくのかぐらいのことがなければ、ここに書いてもあまり意味がないのかなと、そういうような。ですから、そういう意味でこれから6年間、もちろん目標は20年先であったとしても、これからの6年間で大事な、達成すべき目標的なものをここに挙げていきたいと、そういうようなことなのですね。
 それから、主体の参画にしても、前回も主体の参画みたいなことは実際には重点分野として……。

○森嶌委員 手が挙がっています。もう一人、空理空論する人がいます。

○鈴木部会長 そうですか、では、どうぞ空理空論を。

○大塚委員 空理空論のつもりはないのですけれども(笑)。拡大生産責任は、例えば容器包装リサイクル法の10条の2という仕組みが入ったのですけれども、あれでは十分ではないというのが学会の意見で、終っているということには必ずしもならないのかなというのが、私だけの意見ではなくて、多分あると思います。
 あと、森嶌先生がおっしゃったことはそのとおりなのですけれども、予防的な取組方法にしても、汚染者負担原則にしても、あるいは、拡大生産者責任にしても、他方で一つの事業者に余りにも過剰な負担をかけるわけにはいかないという比例原則の考え方があるので、その比例原則とこの原則との関係をどうするかというのは、まさに時代によって多少変わってくるところがあるので、そこを具体的に判断する必要があるというのは、森嶌先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、それはここのあとの各論というか個別のところで、重点領域のところでやるのかなと私は思っていまして。だから、ここはコンセプトが書かれていて、その先の具体的なことは各論でやるのかなと私自身は思っていました。
 さらに、持続可能な発展というのももちろん重大な原則・理念なのですが、それを前の1のところで今回たくさん書いてあって、それはさっき末吉委員が気にされたところとも大いに関連するのですけれども、これはもちろん原則なのですけれども、これはすべてを包摂するような原則なので、特にここの3の(1)には書いていないという趣旨かなと思っておりました。森嶌先生もこれをなくしたほうがいいというご趣旨ではないので……。

○森嶌委員 いや、そうではない、私もそう思っております。

○大塚委員 そういう意味では私と全然変わらないと私自身は思っていますが。若干おざなりの扱いを受けている気は確かに私もしていて、残すので精一杯という感じで私自身はいたので、ここをもっと具体的に議論するということだったら、それは歓迎ですけれども、各論でやることなのかなと個人的には思っていました。

○浅野委員 もともとこの部分はちょっと書き方が悪かったなと今にしては思いますね。つまり、この言葉をそっくりそのまま残して、中身も全くそのまま残すというつもりで書いているわけではなかったのですが、「考え方を活用していくこと」というのが、いかにもそんなふうにとられてしまったのは本意ではありません。長期的目標にしても、第二次計画までは同じことを書いていたのですが、第三次計画では言葉は使っていても順番を変えたり中身を膨らませたりして随分変えていますよね。同じことは四次計画のときに当然ありうるというのは大前提に持っていましたから、もし気になるなら、ここに「活用していくこと」と書いてありますけれども、まだ検討の段階で……。

○森嶌委員 そういう法律家だけに通用するような議論はしなくて、「わかりました」と言って、次へ進んだほうがいいですよ。

○浅野委員 要するに、絶対的にこれを入れなければならないというわけでもないので、新しいものが入るかもしれないし、消えるかもしれないし、意味づけが変わるかもしれない、それは当然前提にしているわけですね。それがわかるように、この部分はちょっと加筆をさせていただきますので、お許しください。

○鈴木部会長 果てしない議論になりそうですから(笑)、この辺はこのくらいで幕を閉じさせていただくとして、そのほかの論点が何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、いろいろいただきましたご意見をこちらで受け止めさせていただきまして、修文あるいは、構成はこれでよろしいかと思いますが、必要なことを加筆・修正させていただきたいと思います。
 ということで、その後はどういうふうに進めていかれるかを事務局のほうからご説明ください。

○矢田環境計画課計画官 それでは、私のほうから今後の進め方についてご説明させていただきます。
 今日ご審議いただきました中間とりまとめでございますけれども、いただいた部分につきましては、必要に応じてご意見をいただいた先生にもご確認をしながら修正をさせていただいて、最終版につきましては、皆様のほうに事務局から送付させていただきたいと思っております。
 また、いただいたご意見のうち、具体的な政策に関わるものなど中間とりまとめの中に必ずしも全部盛り込めなかったものもございますので、それにつきましては、秋以降、計画の具体的な内容に関する議論をしていくことになりますので、その中で反映していくように努めたいと思っております。
 この中間とりまとめにつきましては、そうした修正を経た上で、環境省のほうで報道発表として公表させていただきたいと思っております。その際には、併せてパブリックコメントに付したいと思っておりますので、ご了解をいただきたいと思います。
 その後の進め方については、本日お配りした参考資料2に記載しておりますので、これについてご説明させていただきます。
 今後の進め方でございますけれども、概ね8月一杯ぐらいをパブリックコメントの期間にあてた後、9月以降、審議を再開したいと思っております。1のところに書いてございますとおり、各種団体あるいは関係行政機関のヒアリングを、意見交換会という形で開催させていただきたいと思います。
 開催日につきましては、内々ご連絡等を差し上げていると思いますけれども、現時点で9月9日、14日、29日、10月5日のそれぞれ午後を予定しております。この4日間全部をヒアリングにあてるのか、それとも、これから各種団体、関係行政機関とヒアリングの調整をいたしますので、場合によっては3回とかになるかもしれませんけれども、現時点でこの4回を仮押さえさせていただいておりますので、あらかじめご予定をお願いできればと思っております。
 2つ目、重点分野の検討でございますけれども、今回、中間とりまとめの中で9つの重点分野というものを設定させていただく方向で今ご議論いただいているところでございます。この9つの重点分野ごとに検討を行いたいと思っておりまして、重点分野ごとに主担当をこの総政部会の委員から決めさせていただきたいと思っております。
 また、この部会の他の委員あるいはこの部会に参加しておられない他の有識者の方にも、必要に応じて入っていただいて、検討を行いたいと思っております。この主担当の総合政策部会、主査というふうに呼んでおりますけれども、これについては事務局のほうから、9つの分野ごとにご相談をさせていただければと思っております。
 また、9つの重点分野にご参加いただく皆様のご希望につきましても、追って事務局のほうから希望を聴取した上で、参加を希望される分野に参加できるような方向で調整をさせていただきたいと思います。
 3つ目のポツのところに、具体的な人選については総合政策部会長が行うという形で、部会長が行うことにしておりますけれども、希望を聞いた上で、その希望については反映するという方向で行いたいと思っております。
 最後の2つのところに、関係府省庁の協力を得ながらということと、中間とりまとめの中にいろいろな考え方を記載させていただきましたので、それに基づいて重点分野の検討を進めさせていただきたいと思っております。
 さらにその先のスケジュールでございますけれども、重点分野ごとに行いました検討結果につきましては、概ね11月下旬から12月上旬を目途といたしまして、総合政策部会に重点分野ごとにご報告をいただきたいと思っております。先ほど浅野部会長代理からもお話がありましたとおり、ご報告いただいたものをそのままホチキスでとじるということではなくて、改めてこの総政部会でも一定の議論ができるような形で、11月下旬から12月上旬に報告をいただくということを考えていきたいと思っております。
 その後、来年3月を目指して答申案の作成作業を進めていきたいと思っているところでございます。
 ちょっと駆け足になりましたけれども、今後の進め方についての説明は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 関係各団体等々との意見交換、今、4日間を予定しておりますが、3日になるかもしれないというようなお話でした。重点分野の検討をしていくにあたりましては、それぞれの委員の方々、ご参加なさりたい重点分野を事務局のほうにお知らせいただければ、全体として調整を図らせていただくと、こういうことになろうかと思います。
 今ご説明いただいたスケジュールに関して、何か特にご質問。はい、どうぞ。

○末吉委員 前回というか、かつて申し上げたと思うのですけれども、最終的な対外発表の中に英文でということを申し上げたかと思います。例えば、今回の9月の日本のパブリックコメントのために日本のパブリックに出されるわけですけれども、英語で海外のパブリックに出すという考えはないのでしょうか。この中に書いてあることをすなおに読めば、海外も日本にとっての非常に大きなステークホルダーだと思うのですね。とすれば、私は今、中間でこういうことを議論しているということ自体も海外に知ってもらう必要があると思うのです。
 そこの意見をとるとらないは別にしても、海外も日本のような国の環境政策がどうなるかということは非常に重要な影響を受けるわけですから、日本の考えていることを世界に知ってもらうということも含めて、あるいは、もっと言えば世界のステークホルダーの目にさらして、我々が考えていることがどうなのかと。そういう視点も大変重要だと思います。

○鈴木部会長 これを考えていただくことは難しいですか。

○白石局長 法律的な義務のあるなしという議論は別にして、大変いい提案だと思います。役人ですので、では中国語をどうするのだろう、韓国語をどうするのだろうと、いろいろなことを考えるときりはないのですけれども、少なくとも英語ということでは、予算のことを確認していませんけれども、前向きにやらせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。
 それでは、こういうスケジュールで進めさせていただくということでお願いしたいと思いますが、まだ委員の方々からこの本体に関しましてのご意見いろいろとあろうかと思います。速い時期でしたら、メモで矢田さんのほうに、追加のご意見等は。もうよろしいですかね。
 追加のご意見があれば、パブリックコメントの時にパブリックの一員としてお出しいただくと(笑)、こういうことでお願いしたいと思います。
 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 ありがとうございます。スケジュールの確認ですけれども、今日お示しいただいた中間まとめの19ページから21ページ辺りは、こういった考え方を活用していくとか、これから何となく肉付けをしますよという部分が多いですよね。20ページの(2)[1]、[2]、[3]辺りもこういうことを記述しますよということで。そうなっていますが、この辺の記述というのは、先ほどお示しいただいたスケジュールでいうと、パブコメを終えて、重点分野の検討を終えて、原案をとりまとめる段階でお示しいただくという理解でよろしいのでしょうか。

○矢田環境計画課計画官 20ページの[1]のところにありますように、経済社会のグリーン化とグリーンイノベーションの推進というのが一つの重点分野になっておりますけれども、これについて、重点分野の一つとしてワーキングをつくってそこで議論をしていただいて、その結果を11月下旬から12月にかけて総合政策部会のほうに上げてもらうと。
 もちろんこの中で希望していただく方には、[1]の分野に参加していただいて、11月までの間も参加いただけるわけですが、ご都合によって参加できなかった方については、11月以降3月までの議論の中でさらにご意見を頂戴するというような形で進めていくと、そういう形になろうかと思います。ほかの分野についても同じということでございます。

○櫻井委員 重点分野ではなくて、19ページの今日議論のあった理念・原則、その次の最適な手法ですかね、この辺もまだこれから肉付けの議論にかけるのですか。

○矢田環境計画課計画官 そうですね、重点分野以外のものについても、おそらく11月まではほとんど重点分野の検討ということになると思いますので、11月、12月以降、それ以外の部分についても原案を作成した上で、この総合政策部会でお諮りしていくという形になろうかと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、本日予定いたしました議題は以上ということで、大変早く終了してしまって申し訳ありませんでしたが、ありがとうございました。

午後3時32分 閉会