中央環境審議会総合政策部会(第60回)議事録

開催日時

平成23年6月15日(水)14:00~16:57

開催場所

三田共用会議所 4階・第4特別会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (一)第四次環境基本計画策定に向けた論点について
    2. (二)その他
  3. 閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1 第四次環境基本計画策定に向けた論点
資料2 図で見る環境白書
資料3 家電エコポイント制度の政策効果等について

【参考資料】

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
参考資料2 社会経済及び環境問題の状況

議事録

午後2時00分 開会

○矢田環境計画課計画官 時間になりましたので、まず資料確認からさせていただきたいと思います。
 まず、お手元の資料、クリップどめになっているものでございますが、1枚目に配付資料一覧が載っておりますが、資料1、第四次環境基本計画策定に向けた論点、資料2が図で見る環境白書、資料3が家電エコポイント制度の政策効果等についてという資料がついております。その下に参考資料といたしまして、参考資料1が名簿、それから参考資料2が社会経済及び環境問題の状況という資料がついております。
 それから、クリップどめの資料とは別に、先週、法改正が成立いたしました環境保全活動・環境教育推進法改正の概要という1枚紙が別途配布されているかと思います。
 もし、足りない資料がございましたら、事務局のほうまでお申しつけいただきたいと思います。
 それから、毎回注意事項ということでお願い申し上げておりますけれども、マイクをお使いいただきます際には、スタンドにございますスイッチを押してご発言をお願いいたします。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりましたらスイッチを切っていただくよう、ご協力をお願い申し上げます。
 まだちょっと空席のほうございまして、定足数に達していない状況でございますけれども、ご出席の予定のお返事をいただいている方について座席を用意しておりますので、後ほど成立した段階で部会長のほうから成立を宣言していただくという形で会議のほうを始めさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、これ以降の進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、委員の方々もおいおいそろわれると思いますが、時間の関係もございますので、いろいろ説明をいただくところから入りたいと思っております。
 ご承知のように第三次基本計画の見直しの諮問、これを3月7日に受けております。この総合政策部会でも既に3回にわたりまして議論を進めてまいりましたが、その中で、社会経済及び環境問題の状況についての確認、そして環境政策の各分野の現状や課題、こういうものにつきましてご議論をいただきましたほか、委員の方々からも意見表明、そして文書の提出等を通じて、見直しの方向性についての審議を進めてまいりました。
 本日の部会におきましては、これまでの3回の審議を通じていただいたご意見等を踏まえまして、第四次環境基本計画策定に向けた論点、これを準備させていただいております。これにつきまして審議を行いたいと、こう存じます。本日は17時までとなっております。十分な審議時間を確保しておりますので、委員の皆様におかれましては活発にご議論をいただければと、そしてまた委員の方々の間での双方向のやりとりも可能となると思っております。今回の議論をいただきまして、来月には第四次環境基本計画に関する骨格的なものを決めさせていただいて、それ以降、具体的な作業、ヒアリング等々に入っていくと、こういうことになろうかと思います。本日はそういう意味で大事な審議をいただくということになりますので、ぜひいろいろな議論を深化させていただければと思っております。
 また、本日の議事は、議事次第にもございますように、その他の部分で環境白書と家電エコポイント制度の政策効果に関する報告、そして時間ございましたら、先ほどの環境保全活動・環境教育推進法改正、これらのご報告をいただくと。こういうふうにさせていただければと思っております。
 では、事務局のほうから第四次環境基本計画策定に向けた論点について、この資料の説明をお願いいたします。

○矢田環境計画課計画官 それでは、私から資料1に従いましてご説明をさせていただきます。
 最初、資料1の1ページ目でございますけれども、一応「はじめに」という表題で書かせていただきましたけれども、今回、第四次環境基本計画策定の背景ないし契機を簡単に整理をさせていただいております。
 まず、1つ目の丸で、環境基本計画、これまでに3回策定してまいりましたが、第三次計画におきましては、「環境・経済・社会の統合的向上」という環境政策の展開の方向とともに、10の重点分野政策プログラム、目標・指標による進行管理ということをポイントとしてつくってきたという趣旨が記載をされております。
 2つ目の丸でございますけれども、その後5年経過をいたしまして、施策に一定の進展が見られる一方で、環境制約の限界がますます明らかになって、多くの課題がいまだ解決されずに残っていると記載しております。詳細については2ページ以降でご説明をさせていただきたいと思います。それから、環境問題に関連する社会経済の状況も大きく変化しているというような状況にございます。
 こうした状況を踏まえまして、来年5月のリオ+20なども視野に入れつつ、環境基本計画の見直し、四次計画策定に向けた検討を開始したといったことを記載させていただいております。
 そして、前回、前々回と2回にわたりまして、非常に多くの委員の先生方から東日本大震災関係のコメントをいただきました。この東日本大震災、ここに書いてございますように、多くの死亡・行方不明者が発生したということに加えまして、住宅・工場の被災ですとか電力不足によりまして経済活動の停滞といったような問題も起こっておりますし、また、原発事故に起因いたしまして放射性物質が漏出をして、住民が避難に追い込まれるといったような、我が国の社会経済に大きな影響を与えているということでございます。また、こうした大きな被害の中で、また計画停電や節電によって不自由な生活を強いられる中で、今日の社会のあり方というものを見直すという必要性が改めて意識されるようになってきているのではないかというようなご指摘もいただいているところでございます。こうした東日本大震災も環境基本計画の背景として大きな要素を占めていくのではないかということで、4つ目の丸で記載をさせていただいているところでございます。
 こうした全体を踏まえまして、第四次計画の策定に当たりましては、環境に関する状況・課題を的確に把握すると同時に、長期的視野に立って環境政策の方向性を提示するというこれまでやってきたことに加えまして、東日本大震災からの復旧・復興の中で、どういうふうに持続可能な社会の実現に取り組むべきかと点を踏まえて検討を進めていきたいということでございます。
 続きまして、2ページをお開きください。大きく分けまして、2ページ目、3ページ目が環境に関する状況、それから4ページ目、5ページ目が環境問題に関連するような社会経済の状況ということで、それぞれ分けて記載をさせていただいております。
 まず環境に関する状況といたしましては、世界と我が国の状況、それから東日本大震災関連ということで簡単に整理をさせていただいております。全体の状況をとらえるということで、気候変動問題、それから循環リサイクルの関係、それから生物多様性の問題、それから公害や化学物質等の問題というような形で、大きく全体の状況というものを簡潔にとらえるという形で、環境制約に突き当たっているという状況を明らかにしようということでございます。これだけではなかなか言い尽くせていないという部分もあろうかというふうに思いますけれども、そのような趣旨で選択をした項目ということでございます。
 4ページ、5ページ目が社会経済の状況ということでございます。そうした社会経済の状況につきましても、人口や経済、資源エネルギーというものの制約ということを意識して、あるいは環境と経済の関係の深まりといったようなことも意識して状況というものをとらえようということで取り上げる項目を選択しております。
 まず、2ページ、環境に関する状況の世界の状況でございますけれども、まず主として気候変動のところでございますが、新興国を中心に温室効果ガスの排出量が増加をしていて、また世界の平均気温の上昇が継続しているということでございます。また、IPCCの第四次評価報告書によりますと、最も厳しい緩和努力をもってしても気候変動の影響は回避できないので、気候変動への適応が必要だという状況が指摘されているところでございます。
 次に循環・リサイクルの分野におきましては、まず世界の廃棄物発生量は増加の見通しであり、また途上国におきましては廃棄物の不適正な処理、リサイクルによって環境汚染が発生しているというような状況が見られるところでございます。
 また、新興国の資源生産性は概ね低く、また大量の資源の採掘・輸送に伴う環境負荷の増大というものが懸念される状況でございます。
 次に、大気環境の分野につきましては、東アジア地域では大気汚染等による健康被害が発生しているという状況でございます。また、我が国へも酸性雨やオゾン、黄砂、海洋汚染といった越境汚染の問題が生じているところでございます。
 水環境の関係につきましては、安全な飲料水が継続して確保できないといった地球規模での水問題の深刻化といった状況が見られるところでございます。
 化学物質の関係につきましては、RoHS規制やREACH規制など、幅広い有害化学物質について製造、使用、廃棄に関する規格や規制の導入に向けた動きが進展しているという状況でございます。
 生物多様性の関係につきましては、COP10におきまして愛知目標、名古屋議定書の採択といった進展があった一方で、生物多様性の損失が依然として進んでいるという状況、また地球温暖化の影響による生態系サービスの低下の深刻さも増しているという状況でございます。
 また、自然環境の関係につきましては、アフリカ、南アメリカ地域を中心に森林の減少、あるいは乾燥地域での砂漠化といったものの進行も見られるということでございます。
 続きまして、(2)が我が国の状況でございます。まず気候変動の関係につきましては、我が国の2008年度、2009年度の温室効果ガスの排出量は京都議定書の目標を達成できる水準にありますけれども、我が国の平均気温の上昇傾向は継続をしている状況でございます。
 循環・リサイクルの分野につきましては、物質フロー全体で見ますと、社会構造として省資源化への移行が進みつつあるということは評価できる一方で、岩石、砂利などを除外した天然資源の部分あるいは石炭や石油等の化石燃料の投入量に対するGDPという意味での改善は不十分という状況でございます。また、3Rのうち、発生抑制、再使用の取組が不十分であり、使用済み製品等の循環資源が国内で再利用されないまま廃棄されたり、あるいは海外に輸出されるといったような状況が見られるところでございます。
 続きまして、3ページ目の1つ目の丸でございます。大気環境につきましては、全体としては改善傾向にございますけれども、光化学オキシダントや微小粒子状物質については取組が必要な状況でございます。一方、水環境の関係につきましては、閉鎖性水域における有機汚濁の環境基準達成率が低く、また健全な水循環の確保というものは第三次計画でも揚げましたけれども、いまだ不十分な状況でございます。また、土壌汚染については、汚染事例の判明件数の増加傾向というのも見られる状況でございます。
 化学物質の関係につきましては、環境中の残留量及び排出量、PRTRに基づく報告に基づきますと、減少傾向が見られるという一方で、化審法の関係では化学物質の多くについて健康や生態系への影響に関するデータ収集・整備が不十分な状況でございます。また、国民の健康や環境を守ることを基本とし、製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全体を考慮した対策の確立と記載いたしましたが、化学物質がもともと製造過程に対する規制という形で始まったということもございまして、製品の対象範囲や製造から廃棄までという全体を見通した対策という点において不十分ではないかというような指摘が行われているところでございます。
 自然環境の関係につきましては、我が国の国土は3分の2を森林が占めるほか、また領海とか排他的経済水域という部分では非常に大きなものを持っているということでございまして、そうしたところでは未利用のエネルギー・鉱物資源というものを保有しているということが指摘をされております。
 また、多様性の関係では、生物多様性の損失というものが継続しているという状況でございます。また、里地里山につきましては、そうした生物多様性の保全上重要な地域とされておりますけれども、人口の減少等あるいは過疎化によって、生物の生息・生育環境として質の低下が指摘をされているところでございます。また、その結果、鳥獣被害の増加といったようなことも生じております。
 最後に、東日本大震災関連の状況が掲げてございます。環境問題として考えるべきものとして、まず膨大ながれき等の廃棄物の発生、その迅速かつ適正な処理が必要だということ、それから被災した工場やがれき等からアスベスト、さまざまな有害化学物質の飛散漏えい等による環境汚染が懸念されている状況、それから原子力発電所の事故によって大量の放射性物質の漏出が見られたこと、それから気候変動の関係でいいますと、稼動時の温室効果ガスの排出が少ない原子力発電の割合が低下をしているということとか、あるいは逆に再生可能エネルギーの導入促進や節電の取組によって、プラスの面、マイナスの面、それぞれあろうかと思いますけれども、排出量に大きな影響が今後出てくるだろうということを記載しております。
 次にページをめくっていただきまして、4ページ目、5ページ目が環境問題に関連する社会経済の状況であり、初めに世界の状況を記載しております。
 まず、人口・経済・資源エネルギーの関係でございますけれども、世界全体の人口というものが2010年時点で69億人、今後とも増加するという予想になっております。また、都市人口割合というものも、現在50%ございますけれども、今後とも増加をしていくというようなことが予測をされております。
 GDPの関係でいいますと、途上国の割合が2010年時点で約5割まで達しておりまして、特にBRICSのような人口と資源を有する国々の台頭が顕著な状況でございます。こうした新興国の発展に伴う資源需要の増加によりまして、環境負荷も高まっているというふうに考えられます。
 また、途上国間におきましても貧富の格差の拡大といった傾向が見られまして、食料や水といった基本的な資源でさえ配分の不均衡が生じているという指摘がございます。
 また、エネルギーの関係で申し上げますと、2035年時点でさらに現在の1.5倍というような需要が予測をされておりまして、またレアメタル、水・食料、その他天然資源につきましても需要が増大をして、貿易の制限、価格の高騰など、価格競争が激しくなっていくというおそれが指摘をされているところでございます。
 また、環境と経済の関係でいいますと、先ほど「はじめに」のところでも言及いたしましたけれども、来年5月に予定されておりますリオ+20に向けて、グリーン経済の実現についての議論というようなものがなされているように、グリーンニューディールやグリーン成長といった概念が広がりを見せている状況にございます。
 また、次の丸でございますけれども、環境保全に関する規制や規格の導入が進んでおりまして、一国のそういう環境保全に関する制度が他国の制度やあるいは経済に影響を与えるというような状況が発生するようになってきております。また、気候変動とか生物多様性の損失の対応などにおいて、環境制約が経済活動のあり方を規定するということが強く意識されるような状況になっておりまして、環境というものが国際競争に影響を与えるというような、経済に影響を与えるという度合いが非常に大きくなっているというのが重視すべき点ではなかろうかということでございます。
 また、環境に関する国際会議におきましても、環境問題への対応というものが国の経済的な利益に直結するということで、国家間の経済的な利害関係というものを意識して厳しい交渉が行われているという現状でございます。
 4つ目の丸でございますが、生物多様性とか生態系サービスの経済的価値を評価しようといったTEEBが公表をされまして、また世界銀行で生態系の経済的価値を国民経済計算の中に組み込もうというようなプロジェクトが立ち上がるというようなことにも代表されるように、生物多様性の価値を自然資本として考えるような取組というものも始まってきているということでございます。
 価値観の多様化につきましては、GDPにかわる指標によって豊かさや幸福を測定しようとする動きなど、環境保全を考える上での価値観の多様化といったことも指摘をできるかというふうに思います。
 5ページのほうに行かせていただきまして、我が国の状況でございますけれども、我が国におきましては2005年に人口が減少に転じておりまして、急速な高齢化が進行しているということでございます。特に、生産年齢人口の減少によって経済へのマイナスの影響というものが指摘をされております。
 GDPは2009年度時点で474兆円でございまして、1990年からほぼ横ばいの状況でございます。公的債務の増加が続いておりまして、長期債務残高は800兆円というような状況でございます。
 エネルギーの関係につきましては、自給率は2007年時点で4%、また原子力を国産に分類するというようなことも行われておりましたけれども、それによっても18%というようなことでございます。金属資源もそのほとんどを輸入に依存しているという状況でございます。食料自給率も約4割ということでございます。
 我が国におきます環境と経済との関係でございますけれども、新成長戦略の中で、環境が経済成長を牽引する分野という位置づけがなされております。
 また、炭素の価格づけということで、地球温暖化対策のための税の検討というものが進められているところでございます。
 また、企業活動におきましても、環境に配慮した商品の生産でありますとか、あるいは消費者の側も省エネとか省資源型の製品の選択というように、資源制約とか環境制約を念頭に置いたさまざまな取組が広がりを見せているという状況でございます。
 また、企業経営におきましても、環境への取組が融資の評価基準となるような事例が出てきたり、あるいは企業の目標としても、短期的な利益よりも永続的な経営というものを評価しようというような動きも出てきているところでございます。
 大震災の関連につきましては、被災地に立地する工場等の被災によって部品・製品供給の停滞が起こり、我が国というよりむしろ世界の経済活動に大きな影響を与えているということでございます。
 また、原発事故に起因をいたしまして、多くの原子力発電所が停止しておりまして、夏季の電力需要に対応する供給能力の不足が見込まれております。経済活動への大きな影響を及ぼすことが確実な状況かと思います。
 一方で、節電に積極的に取り組む機運が国民の間で高まっておりまして、エネルギーや資源の使用といった面から環境や持続可能性への意識に変化の兆しが見られるという指摘もございます。また、エネルギー政策の見直しというものが原発事故の検証結果を踏まえて行われる予定となっているということでございます。
 以上、状況の分析でございますが、この状況を踏まえまして、6ページ目に取り組むべき課題を整理させていただいております。この取り組むべき課題は、今申し上げました状況の中から、7ページ、環境政策の展開の方向、それから8ページ、今後の環境政策の展開に当たり重視すべき方向という、この2ページにつなげるということを意識して記載したということでございます。7ページは、持続可能な社会というものをどういうふうに考えるかということで留意すべき点、8ページは、その持続可能な社会というのを実現するために、こういうことを重視すべきではないかということの記載をしてあるわけでございます。
 まず、1つ目の丸でございますけれども、我が国におきましては環境保全の取組に一定の進展は見られるものの、世界の環境負荷は今後さらに高まるということは、今申し上げたような状況の中から、確実な状況であると思います。こうしたことから、我が国としても地球全体の持続可能性を念頭に置いて取組を進めていくことが不可欠ということで、1つ目、持続可能な社会というものを考える上での課題ということで設定をさせていただいております。
 その際にどういう視点でというのが2つ目以下の丸に書いてあるということでございますが、まず環境と経済、社会の統合的な向上というのを第三次計画で掲げたわけでございますけれども、そうした統合的な向上を目指すことが引き続き不可欠な状況ということでございますし、特に環境と経済の関わりということを踏まえた取組を進めるということが重要かと思います。その中では環境分野への新たな投資が経済成長を牽引するという観点も踏まえまして、持続可能な社会を構築するためのグリーン・イノベーションあるいはグリーン・イノベーションを生み出す基盤となるような環境研究、技術開発というものの推進が大事なのではないかということでございます。
 また、その環境と経済の結びつきがますます強固なものになるという中で、環境分野におきましても国家の経済的利害の対立が容易に生じやすい状況になっているということを今現状分析の中で申し上げましたけれども、そういう中で、環境保全に関する国家間の枠組みを決めるような国際交渉、あるいは環境に関する国際規格や基準の設定、国際環境協力の実施等々、さまざまな場面におきまして我が国の国益と地球益というものを両立するような戦略的な取組というものが必要になっているのではないかということでございます。
 それから、3つ目といたしまして、水、食料、エネルギー、鉱物といった人類の生存に不可欠な資源がますます不足することが見込まれます。こうした中で、使用済み製品の循環資源やあるいは我が国の領土、領海等がストックとして有する価値、あるいはそこから生まれるような生態系サービスとしての価値というものを、持続可能な形で有効に活用するということが大事なのではないかということでございます。
 それから4つ目、人間の活動によって生ずる環境負荷を低減するという目的のためには、環境教育を通じた意識啓発などを図りながら、企業や国民、NGOなどの多様な主体が連携・協力しながら環境保全に取り組むという、こうした社会的な仕組みということも大事なのではないかということでございます。
 5つ目、特に東日本大震災の関係でいいますと、その復興に当たりまして、省エネルギーの一層の推進あるいは再生可能エネルギーのさらなる利用拡大というようなものを含めたエネルギー政策の見直しというものが必要だということ、また、環境や持続可能性に関する意識の変化ということも指摘いたしましたけれども、そういう中で、エコタウンやコンパクトシティの考え方でありますとか循環資源の徹底利用等に留意をした、環境負荷の少ない新たな社会経済システムの構築ということを進めていくことが必要ではないかということでございます。
 また、原発事故によりまして大量の放射性物質が環境に出たというようなことがあるわけでございますけれども、こうした環境汚染への取組ということも大きな課題として挙げられるのではないかということでございます。
 以上のような問題意識のもと、まず持続可能な社会というものを考える上で留意すべき点というものを7ページのほうに記載いたしております。
 まず、1つ目の丸といたしまして、第三次環境基本計画におきます持続可能な社会というものでございますけれども、ここに書いてございますように、健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域にわたって保全されるとともに、それらを通じて国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき、将来世代にも継承することができる社会という形で提示したところでございます。
 そうした持続可能な社会というものを達成するために、環境、経済、社会的側面の統合的な向上が必要であるという指摘を行ったところでございます。
 また、平成19年には「21世紀環境立国戦略」を策定いたしましたが、そこでは、持続可能な社会ということで、低炭素、循環、自然共生という三側面の実現に向けた取組というものを統合的に展開して、地球環境の危機を克服すべきだという提言を行ったところでございます。以上がこれまでの経緯をご紹介したものでございます。
 4つ目の丸以下で第4次計画における持続可能な社会の姿を記載しているところでございます。今回、東日本大震災や原発事故を背景に、安全・安心という視点の重要性が高まっているのではないかということでございます。この安全の確保というのは、化学物質汚染等による公害から人の健康・生活を守るという点におきまして、環境行政の原点でございますし、また低炭素・循環・自然共生社会という三側面の基盤というような位置づけもできるかと思います。
 こうした点を踏まえまして、第四次環境基本計画において目指す持続可能な社会の姿といたしましては、安全の確保というものを前提として、その基盤の上に低炭素、循環、自然共生という各分野が統合的に達成されることによって、国民が安心して生活することができる社会ということを位置づけることができるのではないかと記載をしているところであります。
 5つ目の丸でございますけれども、持続可能な社会を考えるに際して、長期的な視点というものの重要性について記述をした部分でございます。例えば、生物多様性の保全という点について言えば、50年、100年という単位で状況の変化を考えていくべきものであり、温暖化対策についても、温室効果ガスを2050年度までに80%削減するというような目標が設定をされており、やはり40年先の目標を設定しているという状況でございます。また、循環型社会というものも、資源の枯渇とか産業構造の変化への可能性というようなことを踏まえていくと、やはり長期的に考える必要があるのではないかということで、そうした意味で申し上げますと、環境基本計画、5年ないし6年で見直しというものを行っておりますけれども、長期的な視野からの政策の立案・実施という、長期的視点というものの重要性ということを記載いたしております。
 また、今申し上げた長期的な視点で持続可能な社会を考えるということとも関係するわけでございますけれども、環境の各分野で持続可能な社会という姿を具体的に描いて、そこにどういうふうな道筋を通って実現していくかということを考えるに当たっては、社会経済の状況の変化あるいは国民の意識(価値観)の変化というものに適切に対応しなければいけないと考えるわけでございます。持続可能な社会の姿というものは一義的に決まるというものではないということを考えますと、そうした長期的な視点に立った上で、国民の意識や価値観饒辺化に対応しながら必要に応じて適宜修正を加えながら進展を目指すというような位置づけになるという点に留意すべきではないかということを記載しております。
 めくりまして8ページ、今後の環境政策の展開に当たり重視すべき方向でございます。
 環境基本計画は、環境基本法に基づいて策定される長期的な施策の大綱という位置づけになっております。また、先ほどご説明した環境の状況及び課題を踏まえて、持続可能な社会へとつなげていくという点からいいますと、この(1)から(4)というような考え方というものが重要であり、総論の中に位置づけるべき政策の方向性ではないかということで記載をいたしております。資料中には、「P」と書いてありますが、これはペンディングという意味でございまして、表題については、本日皆様方からご意見をちょうだいする中で、検討してまいりたいということでございます。
 重視すべき方向の1つ目が、政策領域の統合による持続可能な社会の構築ということでございます。環境と経済と社会の統合的発展というところを第三次計画でも位置づけたわけでございますけれども、さらに環境と経済との密接不可分の関わりというものが非常に深まっているという中で、そうした関わりを踏まえた取組を進めていく必要があるのではないか。そして、グリーン・イノベーションを通じた持続可能な社会づくり、それから長期的視点を踏まえた環境研究・技術開発の充実・活用、あるいは分野相互間の連携というものを視野に入れた取組といったようなことが、先ほどの課題設定の中から浮かび上がってくるのではないかということで整理をしております。
 それから、重視すべき方向の2つ目といたしまして、国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組の強化というタイトルにしておりますけれども、国益と地球益の双方の観点からの戦略的な取組ということと、それから互恵的な環境、途上国あるいは協力をする相手側だけではなくて、ある意味それが日本に返ってくるのだということを踏まえた互恵的な国際環境協力の推進、こうしたことが位置づけられるのではないかと記載しております。
 それから、3番目といたしまして、持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成というタイトルにしております。先ほど申しましたが、ストックとしての国土の価値の増大と活用に向けた取組、あるいは環境保全上の観点からの国土利用の推進。この中には、先ほど申し上げたエコシティ、エコタウン、コンパクトシティというような考え方を踏まえたまちづくりといったことも入ってくるのかと思います。
 それから、(4)といたしまして、地域をはじめ、さまざまな場における多様な主体による行動と協働の推進というタイトルにしております。環境教育や意識啓発による一人一人の行動への環境配慮の織り込みでありますとか、環境問題の解決に向けた多様な主体間の連携といったことがこの中に入ってくるのではないかということでございます。
 また、その下にアスタリスクで注をつけておりますけれども、環境保全に取り組むに当たっての理念、原則、手法といったものも総論の部分に記載することが必要ではないかということで、記載をさせていただいております。
 最後、9ページでございますけれども、第四次環境基本計画に掲げる重点的な取組分野ということでございます。ここにも一応大きくペンディングの印を付しております。本日、皆様方からこの点についても積極的にご意見をちょうだいできればというふうに思っております。
 まず、1つ目といたしまして、個別的分野と書いてございますけれども、個別の事象ごとに必要となる具体的分野といたしまして、現在の第三次環境基本計画におきましては6分野を設定しております。その下に書いてございますように地球温暖化、循環の関係、それから大気、水、化学物質、生物多様性という6分野でございます。これは環境省の行政組織もこういう形になっておりますし、現実の行政というものがこれをもとに動いているというところもございますので、私どもとしては基本的にはこの6分野というものは継承する方向で考える、それぞれの分野の中でどこに重点を置くかとか、そういう部分は今後の議論としてもあろうかと思いますけれども、基本的にはこの6つの分野というものを残していくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、2つ目といたしまして、横断的分野ということでございまして、今申し上げた6つの縦割り分野に対しまして横断的分野と整理をしておりますけれども、領域を横断した取組とかあるいは環境政策を推進するための基盤整備ということで、第三次計画におきましては4分野を設定しております。市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、環境保全の人づくり・地域づくり、それから長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法の基盤の整備、国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進という形になってございます。こちらの横割り分野の方は割と前段の縦割り6分野に比べますといろいろな切り方が考えられるところでありまして、本日も、横割り分野としてどのような分野が考えられるかという点についてもご議論をいただければというふうに思います。
 環境政策の展開の方向、重視すべき方向といったところを1から4まで挙げておりますので、こうしたところとの整合性、連携あるいはつながりというものを意識して横割り分野を設定するのではないかとも考えるわけでございますけれども、その点も含めてご意見をちょうだいできればというふうに思っております。
 また、9ページの一番下のところにアスタリスクをつけておりますけれども、前回も部会長のほうから問題提起がございましたけれども、実際、今後環境基本計画をつくっていく中で、東日本大震災に関する項目を別立てにするのか、それともそれぞれの分野の中に位置づけるという形で記述をしていくのかというのも今後の構成の中で議論が必要ではないかということで、留意事項として記載をさせていただいているところでございます。
 以上、ちょっと簡単ではございますけれども、私のからの説明は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 いろいろと最初の部分ではよくご承知のような現状と課題、そしてそれを受けて環境政策の今後の展開の方向と、こういう流れになっているわけですが、この環境基本計画が今後5年から6年の間、有効なといいますか、重要な強調すべき施策をここに書き込んで、それを国内あるいは国外へ発信していく。こういうことがあると同時に、五、六年の政策というのは当然のことながら、将来的には2050年を見据えてどういう国をつくるか。それをちょっと5年と50年では期間が長過ぎますが、その間をログ的に割ると15年から20年、15年から20年の政策を視野に入れた上で、当面の五、六年、何をするか、こういうようなことを書き込んでいくという、こういうことになろうかと思います。
 現状と課題に関しましても、いろいろとここに欠けているのではないかとか、あるいはここを強調すべきであるというようなご意見があろうかと思いますし、今後どういう形でどういうものを書き込んでいくかという、そこのところに関してもいろいろ委員の方々からご意見があろうかと思いますので、順不同でまず委員の方々、ご質問、ご意見おありの方は名札を立てていただきたいと思います。できれば2回り以上としたいと思っておりますが。
 では、何となくいつも回り方が決まってしまいますが、三浦委員のほうからお願いできますでしょうか。

○三浦委員 ありがとうございます。
 6点ほど指摘をさせていただきたいのですが、まず1つは、3ページ目の東日本大震災関連の記載の中で、丸の2つ目、「環境汚染も懸念される」というところですが、環境汚染があるということはもう周知のことでして、その全容がつかめておらず評価できないということがまず現状としての課題ではないかと思いますがいかがでしょうか。さらには、将来的な健康被害や土壌・海洋汚染があるということ自体が懸念されると記載すべきではないでしょうか。さらに丸の4つ目なのですが、「原子力発電所事故の影響により」と。温室効果ガスの問題ですとか云々書いてあるのですが、何よりも水俣を経験してきた環境省としては、長期にわたる人の命の問題ということの記述をここに入れるべきではないかと申し上げます。
 その次、5ページ目なのですが、ここも東日本大震災の関連の記述、下のところですが、一番下の「原子力発電所事故の検証結果を踏まえた」という記載の中で、「行われる予定」というのは随分と他人事だなと感じたわけでして、環境省としてはこの問題をどういうふうに今後とらえていくのかということをこの中で言及していく必要があるのではないでしょうか。
 6ページ目の下から2つ目の丸、「東日本大震災の復興において」というところなのですが、この部分だけなぜか非常にたくさんの質の異なるものが、単なる句読点で区切られて詰め込まれているという印象がありますが、この中には省エネの話、再エネの話、エコタウンやコンパクトシティの話と循環のシステムの話と、こういったことを分けてきちんと取り組む課題として認識できるように記載しておくべきではないのでしょうか。それぞれの課題に取り組む管轄官庁も違いますし、そういったところをこの一文に詰め込んでしまうのはいかがかなと思います。
 7ページ目、環境政策の展開の方向性のちょうど真ん中あたりの「従って」というところで、第四次環境基本計画において目指すべき持続可能な社会ということは、安全を前提にしますよと記載されているのですが、これは低炭素、循環、自然共生の各分野が統合的して達成されるとなっています。達成のイメージと持続可能な社会という言葉がどちらが後先かわからず堂々めぐりしている印象を受けます。一体、どんな社会を目指したいのかがよく伝わらない。5年、10年、または50年、100年というそれぞれタームはあるのですが、今短期的に達成すべき目標イメージが必要なのではないでしょうか。随分現場感覚からいうと遠い記述内容だなと感じます。
 それが8ページ目にも表れているような気がいたしまして、今後の政策に当たり重視すべき方向性に(1)から(4)まであるのですが、安全を基盤に持続的な社会を構成しますというのですから、まずは命を守る環境政策、そして情報の収集と評価の仕方、新エネルギーへの道筋の議論といったものが今後必要だということをきちんと文章化しておく必要があるのではないでしょか。その記載が一切なくて、その前のページを見ると、安全が基盤になりますというのはどうなのかなということで、加えさせていただきました。
 最後ですが、9ページの東日本大震災に関する項目を立てるべきかどうかです。項目があるかどうかということが問題ではなくて、環境省として、今回の震災を受けてさまざまな問題が発生してきている。津波や地震によるさまざまな環境汚染の問題や原子力発電所の放射能の問題、その中で省が果たすべき役割をこの基本計画の中で明確にするべきで、個別がいいのか、それとも分けて考えたほうがいいのか、それは記述の仕方だと思いますけれども、きちんと今の時点の整理は必要かと思います。

○鈴木部会長 では、藤井委員。

○藤井委員 たまたま今日ここに来るまでに三浦委員と1時間ぐらい議論した、そのことがかなり先に三浦委員から指摘があったなというふうに思って伺っておりました。
 まず、今のこの東日本大震災の項目を立てるべきかということについて言えば、7ページの丸ポツの4つ目の安全の確保は化学云々のところで、人の健康・生活を守るという点において、環境行政の原点と位置づけられるものであると。そこにのっとって言えば、初めのところにきっちりと、東日本大震災において、この環境行政の原点にのっとって、今までの三次計画とは全く違う視点での見直しが必要だということを「はじめに」にきっちり書き込むべきだというふうに私自身は思います。
 それから、小さな各項目については、三浦さんからもお話ありましたが、3ページの丸ポツの4つ目ですが、原発事故について、環境省はこの原発の扱い、大変扱いかねているような気がいたします。それで、そこの態度の不明確さが稼動時の温室効果ガスの排出が少ない原子力発電の割合の低下ということで、原子力発電が使えないことによるエネルギーのことへのおもんぱかりはありますが、そのことによる命の安全をめぐる水の問題、大気の問題、土壌の問題というところへの触れ方と随分差があるなというふうに思います。まず、安全と置いたここの書きぶりに少し問題があるというのが私の認識でございます。
 それからもう一つ、それに関して、これももう三浦委員から出ておりますが、5ページのところの「原子力発電所事故の検証結果を踏まえたエネルギー政策の見直しが行われる予定」というところを、そこの姿勢をどういうふうに見せていくかということをここの委員会の中できっちりと出して、環境省として3月11日を経てどういう態度で第四次の見直しをするかということを合意を図っていくということが重要ではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 すみません、名札が見えない。すみません。福井委員ですね。

○福井委員 ありがとうございます。
 網羅的なコメントはすぐにはできないのですけれども、とりあえず8ページの重視すべき方向というところで、私が特に関心があります(1)の環境行政における研究・技術開発の重要性ということを盛り込む案となっていることについて、大変心強いと思います。
 それから、やはり環境問題の解決に向けた多様な主体間の連携というところも重要な分野と思っております。この分野における充実というのを期待をしております。
 そのほか2点お話をしたいと思いますが、1点は、東日本大震災との関係ですけれども、恐らく今、国のレベルでの復興特区の制度をつくり、自治体が計画を立てていく。それに伴って規制をどうするかとか資金をどうするかとか、そういったことの申請をしていくという枠組みではないかと思います。同時に、国の政策の規制のあり方だとか補助のあり方というのを決めていくということが次の補正予算に向けて進むのだと思います。恐らく、マクロの面とミクロの面でそれぞれ環境省と環境行政がいろんな形で密接に関与していくことと思いますので、マクロ、ミクロの計画づくりにおいて、環境行政の働きかけとその成果、方向性というのを何らかの形で盛り込んでいくのが適当ではないかと思います。
 もう一点ですが、4ページの環境と経済のところです。「環境制約が経済活動のあり方を規定することが強く意識される」、「環境が国際競争に影響を与える度合いが非常に大きくなっている」と。これは、異論があるところではありませんけれども、検討の中で常に念頭に置いておかなければならないかと思うことは、逆にかなり日本の産業が心配な状況になっている状況があるということです。税の面とか立地の面とかあるいはこれからエネルギー価格がどうなるかとか、そういった面、いろんな要因を考えたときに、かなり不利な面を負っているというところがあると思います。強い経済基盤があると高い環境対応力があるという関係にあるということだと思いますので、それを考えながら議論をしていくということが大事ではないかと思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 では、林委員。

○林委員 まず、2ページ、3ページの現状問題点のところですが、我が国の状況のところで1つ必要かなと思っているのは、市街地形成・更新不全のような、つまり市街地がばらばらと勝手につくられていくということによって、廃棄物もたくさん出ることになりますし、つまり建物とか街区の中の関係によって建物等の寿命が非常に、極端に日本は先進国と比べて短い。それから、廃棄物と同時にCO2もたくさん出るわけであります。そういう意味から、土地利用、インフラ、街区、建築という、そういう全体の連携も含めてなのですけれども、市街地形成・更新不全ぐらいの意味合いのところがどうしても必要なのではないかなと思うのです。これがあって初めて後ろの8ページの2の3のところの持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成というところへつながるのかなと思いました。
 それから、今のちょうど8ページへ行きましたので、そこで申しますと、今3番のところですが、先ほどから震災のことも出ていますので、ここは安全でとかいう、そういう言葉は国土の場合、必要かなと思いますので、ここにつけておいたほうがいいかなと思います。
 それから、3のところの書き方が非常に、これはこれでいいのですが、静的なとらえ方をしているなと思いまして、(3)の2つ目ですが、環境保全上の観点からの国土利用の推進というのは、これなんかは国土審議会のような感じなのですが、ここはもう少し踏み込んで、国土利用メカニズムの構築のような、メカナイズするということが大事なので、そういうところに踏み込んでいただきたいと。あるいは、書き方としては、持続的な土地利用、保全・更新へ切りかえていくというような、そういう書き方でもいいと思いますけれども、そのあたりをもう少し踏み込んだ書き方のほうがいいのではないかと思いました。
 それから、場所としてどこがいいのか私はよくわからないのですが、同じページの2の国際情勢のところでいいかなと思いますけれども、日本からの製造品が海外へ、途上国へ出ていくわけですが、特に私に近いところですと、自動車が中古車がたくさん出ていきまして、アフリカなんかですと、日本から直接出ていって向こうで使われるのではなくて、ドバイとかそういうところの中継地がありまして、そこの保税地のようなところで勝手にハンドルを反対側に取りかえたりとかいろんなことが起こって、非常に不良品として切りかえられてしまって各国へ大量に実は輸出されているわけです。アジアもそうですが、アフリカ諸国の交通の安全性も非常に重要なのですが、加えて、環境負荷が非常に大きくなっている原因の一番大きいぐらいの原因になっているそうでありまして、日本がどういうふうな責任を製造品に対して持つかというところと関係するのですけれども、どの程度の書き方がいいかはまだ私も十分わかりませんけれども、1項目必要なのかなと思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 では、長辻委員。

○長辻委員 1点だけなのですが、9ページの個別的分野、6分野が挙げられています。この中に考えておりまして、もう一つ、海洋環境保全のための取組という、そういう取組を1項目加えるのはどうかと思うのです。といいますのが、地球上は陸上よりも海洋のほうがはるかに大きな面積を占めておりますし、二酸化炭素の排出増加によって大気の温度が上がっていくというのは、これはもう周知の危惧の部分なのですけれども、大気中の二酸化炭素が増えることによってこれが海洋中に溶存していきまして、その結果、海水の酸性化、正確に言うと弱アルカリ化なのですけれども、これが進行することによって、甲殻類だとか炭酸カルシウムを骨格に持つ軟体動物、例えば貝類の貝殻が溶けていくだとか、こういう問題が起きてくると。これは確実に起きるだろうと言われているのですが、まだ余りそれほど深刻には取り扱われていないと。しかし、今後、この10年とか5年とかを考える上では、これから国際的にだんだんこの問題は大きな問題になっていくと思われますので、そういった目配りもしておいたほうがいいのではないかと思うのです。これは水循環とか温暖化、生物多様性とも関係しますし、それからあと、これは食料問題とも、今後伸びていく人口との関係でかなり深刻な問題になってくると思いますので、そういうことを考えました。
 以上です。

○鈴木部会長 永里委員、お願いします。

○永里委員 ありがとうございます。
 ここは環境基本計画の策定を考える場ではありますけれども、エネルギーセキュリティをどう考えていくのか、質のよいエネルギーをどう担保するかを考慮しないと、日本経済そのものが成り立たないわけですから、常にこれは頭に入れておくべきで、その目配りがやっぱり必要だと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 では、冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。
 まず、私の理解が違っていたらご指摘をいただきたいと思うのは、この環境基本計画は環境省の施策だけを扱うわけではなくて、政府の施策だということです。したがって、政府全体で取り組まなくてはいけない環境に関わるものがこの中に含まれていて全く構わないだろうということです。その理解が正しいというそれを前提でお話ししたいと思います。
 何人かの委員の方がおっしゃっておりましたけれども、大震災に伴って環境が放射性物質で汚染されています。この環境基本計画の根拠になっている環境基本法ですか、その中にはたしか放射性物質による水とか大気、土壌への汚染というのは、この法律では扱いませんという……

○浅野委員 別の法律で定めることによるとなっている。

○冨田委員 別の法律で扱いますということになっていたかと思うのです。質問は、6ページの一番最後のところで、この基本計画で放射性物質における環境汚染についてどのように取り組むかというところが論点として書かれているわけですけれども、法律の条項等を考えたときに、環境基本計画の中においてこの放射性物質による環境汚染を扱っていいのかどうかということです。扱う上で法改正が必要なのかどうかということによって、書くべき内容がやっぱり変わってくるのではないかなと思うの、そこについて1点教えていただければと思います。
 それからもう一つは、9ページのところで、四次の計画に掲げるべき重点的な取組分野として、個別的分野、これは恐らく三次のときにも同じような形でこの6つの分野というのが出ていたと思います。これまで、この部会の中でも意見を申し上げておりますけれども、この個別分野において、全部とは申しませんが、幾つかの分野については個別に基本計画をつくることになっていると理解をしています。例えば、物質循環でありますとかあるいは生物多様性についてはそのような考え方の─そのようなというのは、基本的な計画、この分野の基本的な計画を考えることになっています。それらの計画とこの環境基本計画がどういう関係にあるかというご質問をさせていただいたときに、その分野の重なり合う部分ですか、そういうところについてきちんとこの環境基本計画の中では扱うのだというお答えであったと思いますし、私もそうあるべきだろうと思いますが、この9ページのところの書き方においてそれが読み取れるのかどうかお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 佐々木委員。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 私は感じたことをお話しさせていただきたいと思います。初めに、分析は現状の課題をクールに分析されて、私は大変わかりやすい分析をしてくださったなというふうに思っております。
 ただ、6ページの取り組むべき課題の中の白丸の5つ目でしょうか、環境教育のところでございますけれども、また参考資料の3でもご説明いただけるかと思いますけれども、私はやはり基本になるのが、環境教育の中にもさまざまな形であっていいわけで、当然そうあるべきだと思いますが、組織的に、意図的に、計画的に進められる環境教育というのはやはり私は学校教育だろうと、思っているわけです。本年度から小学校では新学習指導要領で環境の学びを各教科、道徳、各領域で行うものとしてスタートしているわけですけれども、現実は学校の状況によっては温度差があるものですから、きちんとした形で教員が学習指導要領を通して子どもに指導すべき中身であるのに、現状としては学校教育の中では学校間で温度差があるのが現実です。
 したがって、参考資料の3にもありますように、こんな形できちんとした体制を組んで、そしてこれをつくっただけではなく、それぞれの各区市の教育委員会と連携しながら進行状況、進捗状況を把握まで今する必要がある時代だと思っているところです。
 私は、もともと環境科という教科をつくるべきだという考えを持っています。そんな思いでずっと環境教育を進めさせていただいている一人でありますが、いまだに日本では環境科という学習がきちんとした形で組織立って運営されていないのですね。各教科で授業を組み立てなさい、といっても一覧表程度しかつくっておりませんで、(それは教員の資質とそれから学校長の学校経営方針の中で進めていくべきものでありますけれども)、何回も申し上げますけれども、非常に学校間によって温度差があるわけでございます。
 したがって、そういう意味において、ぜひこの白丸の今申し上げました中身で、学校教育の中の環境教育もきちんとうたっていくべきではないのかなというふうにも思っているところでございます。やっぱり教員を育てること、環境の学びを子ども自身、教えられたことは─私は環境の学びというのは支援を子どもにすることも含めながら、きちんとした指導事項であるべきだろうというふうに思うのですね。教えたことは子どもはわかりますので、その支援に従って子どもの動きを待つのではなくて、今こそきちんと子どもに指導すべき中身だろうというふうに、そんなふうに思っているところです。
 実は、全国小中学校環境教育研究会だとかそれから東京都小中学校環境教育研究会という組織がございます。今までは、研究発表会の開催時に動員数も教員もかなり多くの全国からあるいは東京都の教職員は集まっておりましたけれども、本年度の全国大会は大震災の関係で一たん東京に全国大会は戻ってまいりましたけれども、被災された地域で復興・復旧の関係でぜひやらせてください。校舎の1階は教室も使用できない状況ですし、また校庭にはそれぞれ被災された方たちのテントも建っているようでございますけれども、11月の20日過ぎですが、被災された地域で全国大会を、環境の学びを全国に展開させていただくということになっております。ぜひそんな努力も評価していただきながら、それは意図的に、計画的に環境の学びを進めていこうとする情熱があるからこそできるわけでありまして、そんなこともぜひご理解をいただきながら、組織的に教員を育てていくということも私は国の役割なのかな、と思っております。
 また、震災につながることにつきましては、記入すべきなのでしょうかなどという遠慮がちな表現ではなくて、初めにも、中身の内容におきましても、終わりにおきましても、これが震災の復興とつながるのではないかなどというふうな推量をするのではなくて、きちんとした形で、今こそ復興に向けての環境の学びをきちんとした形で、これは子どもたちにも、それから国民にも知らせるべきだと思いますので、ぜひ記載をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 櫻井委員。

○櫻井委員 ありがとうございます。
 震災の後、エネルギー政策の見直しとか復興の基本方針がなかなか定まらないとか、非常に不確定な要素が多い中で第四次の基本計画をつくるということですので、どこまで書き込めるか、どこまで決められるか、閣議決定に至るまでには、各省との関係もあって難しい面もあろうかと思いますけれども、現時点で今日の論点を拝見して、一、二述べさせていただきたいと思います。
 1つは、6ページの一番下に、放射性物質の環境汚染についてどのように取り組むか、とあります。先ほど冨田委員からもお話がありましたけれども、環境基本法に放射性物質のことは除くというふうに書いてあったとしても、これだけ国民が広く被曝をするというか被曝のリスクを考えざるを得なくなっているときに、政府の中で、大気中であれ食料であれ土壌であれ、10年ほど前にダイオキシンを議論したときと同じような状況ではないかという気もしないでもないですが、そういった被曝のリスクというのをどこかが統一的に検討するという作業がどうしても必要なのではないかという気がいたします。それは、環境省がやればいいのではないか、あるいは政府の中で文部科学省がやるということであれば、それでいいのかもしれませんけれども。昨日テレビを見ていましたら、海水浴場の安全性を環境省で検討されるというニュースも流れておりましたので、放射線の被曝リスクというふうなことも何らかの形で取り上げるべきではないかと思います。
 そういう意味では、9ページには、1の個別分野で化学物質の環境リスクということで、化学物質とだけ書いてありますけれども、放射線とかそれ以外の環境リスク、環境省の行政の中でも扱っている部分がありますが、例えば熱環境とかあるいは花粉とか、それぞれ環境を媒体にしたリスクであり、それは病気になれば厚生労働省の話かもしれませんけれども、環境リスクとしてどういうふうに位置づけるかというのは、環境行政ないしは環境基本計画の中で取り扱ってもいい項目なのかなという気がいたします。
 それから、スケジュール的に非常に難しい時期かなということはありますが、年末のCOP17、あるいは来年の5月にはリオ+20というのが開かれますので、我が国がいろんな面で国際的にその立場を鮮明にしなければならない機会というのが次々やってくるということです。環境基本計画は我が国の基本の考えというか基本スタンスをきちっと書くべきであろうと思います。国際交渉は国際交渉であっちでやっているけれども、環境基本計画はこっちで淡々とつくりましたというのではまずいのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○鈴木部会長 鷲谷委員。

○鷲谷委員 生物多様性の保全と持続可能な利用に関わりのあることについてですけれども、3ページに、真ん中あたりでしょうか、「生物多様性の損失はすべての生態系に及び、その傾向は継続」の後にすぐ「里山は」というふうに続くのですけれども、これはちょっと飛躍をしているように思うのですね。里山の管理を放棄されたことも損失の一因ではありますが、レッドデータブックなどのデータに基づいて検討すれば、開発─今は開発の後遺症ということもあるかもしれませんが、それから外来種の影響などが絶滅要因としては大きな比率を占めているのですね。さまざまな開発による生息・生育場所の喪失と分断・孤立化、外来種の影響で、ますます影響が大きくなる地球温暖化の、主要には3つが複合的に作用して絶滅リスクの高まりをもたらして、それに里山の管理放棄も加わっているというふうに見るべきではないかと思います。里山についての扱いは、ここにあったかどうかはちょっと見つけていないのですけれども、里山イニシアチブのような視点で取り上げるのが適切ではないかという印象を持っています。
 それで、次に7ページですけれども、「例えば」というところに続いていますが、長期的な視点の政策が非常に強調されていて、もちろん長期的な視点というのは大変重要なのですけれども、絶滅とか生態系の跳躍的な変化、ティッピングポイントを超えるような変化について─跳躍的な変化という言葉を使わせていただきますと、そういう不可逆的な変化が多く起こってしまうと、長期的展望自体が描けなくなってしまうのですね。それで、現時点で緊急にとめなければならない傾向とか、あるいは今のうちに手を打って再生しておかなければいけないということもあると思います。現在は長期的な展望を描くためのかなりクリティカルな時期で、しっかり取り組まなければいけない時期。それで、必ず10年とか5年で成果を上げなければならないこともたくさんあるという見方が重要なのではないかと思います。
 COP10もきっとそうだと思いますが、愛知ターゲットの2条の個別目標というのは、10年間で実現すべき目標なのですね。世界が10年で達成するのでしたら、日本は5年ぐらいで達成して、発展途上国などをサポートしていくということが、最初からのサポートも重要ですけれども、必要になるのではないかと思います。国連生物多様性の10年ということも日本が提案して、国際社会がそれを決めたわけですから、日本は先に模範を示して、世界を引っ張っていくと。そういうことによって、COP10を成功させたわけですけれども、日本が国際社会から尊敬される国になるということをより確実にしていくということが必要ではないかと思います。
 それから、もう一ついいですか。再生可能エネルギーに関する議論というのが非常に高まってきていますが、そのときに、再生可能エネルギーであれば、環境負荷、炭素の削減という面も含めてですけれども、自動的にあって、カーボンニュートラルであると見るのはかなり間違っていると思うのですね。それで、それぞれバイオマスなんていうのはまさにそうで、どんな材料をどういう生産方法で生産して使うかによって、カーボンニュートラルどころかカーボンネガティブ、カーボンポジティブになる。土壌にも有機炭素を蓄積させるようなバイオマスを使えば、非常に効果が大きいということもあって、LCAの視点などについてはもうアメリカ合衆国などでは研究がなされていますし、ほかのものについてもきっとそういう評価をする視点というのはできているのではないかと思います。炭素についてだけではなくて、生物多様性へのメリットもあるし、デメリットもきっとあると思いますので、そういうことも含めて、評価の視点ぐらいはきちっと提示しておくことが必要なのではないかと思います。これからもしかしたら大規模な選択というのが行われるかもしれません。それで、走り出してしまうと、何か問題があったときに取り返しがつかないこともあるかもしれないので、スタートする時点でしっかり、メリット、デメリットの評価をしておくことが必要ではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 中杉委員。

○中杉委員 大きな点は2点、それから小さな点が2点、ご指摘をさせていただこうと思います。
 1つは、先ほどから議論になっている震災関連の話なのですが、震災関連の議論というのは、冨田委員が言われたように環境基本法のほうへ入っていないのかもしれませんけれども、先ほど櫻井委員がご指摘になったように、官房長官の指示で委員会で検討しろと。私も昨日それに参加させられたのですけれども、そこで議論している中で非常に問題になりましたが、この問題を考えるときに、放射性物質が特にそうなのかもしれませんけれども、今の状況、事故が起こった後の状況をどうしていくかという視点と通常時をどう考えるのかというのは、全く別物の議論が必要になってくる。そこら辺をしっかり分けて、書くなら書いておく必要があるだろうと。これは、通常何もないときと同じ状況を今求めるというのはとても無理です。それはそうでないのだと。福島県という場所を言うといけませんけれども、汚染があるところで大体このぐらいの何ミリシーベルトという目標をつくっていますけれども、あれは通常の1ミリシーベルトよりはるかに高いところですね。だから、そこのところをしっかり分けて議論を、この中で書き込むにしても、書いておく必要があるだろうということは第1点です。
 それからもう一つは、最後のページの6つの分野という、個別分野の6つのあれですけれども、これの中で1から6までで1、2、6につきましては、前のほうで書いてあるように、物質循環、それから地球温暖化、それから自然共生ですか、分けられているのですが、3、4、5というのは、これはいわば安全を担保するという形のものだろうというふうに考えます。環境省の局、部の関係でいくと、こういう分け方になるのは仕方がないのかなというふうに思いますけれども、実際には、例えば化学物質は、私はよく絡んでいるところなのですが、化学物質を見ましても、全体のあれでいくと、5の環境リスクの低減ということは、製造・使用の禁止・制限とそれから自主的な排出削減のところでとどまっています。その後の排出規制というのは3とか4のところで書き込んでいる。そういう形になると、どうしても継ぎはぎになるのですね。全体として統合がとれた形の政策がなかなかとれない。少なくとも、環境基本計画の中では、6つに分けるにしても、こう単純に今の各局が所掌しているところで切るのではなくて、別な工夫が必要なのではないかと。これはどう切ってもなかなか切り切れないのですけれども、何か少しそこら辺は知恵を出していただく必要があるのかなというふうに思います。
 それから、小さな点ですけれども、これは表現ぶりのところなのですが、3ページのところで土壌汚染の話があります。我が国の現状のところで土壌汚染がどうなるという話があるのですが、土壌汚染の判明件数が増加傾向にあるということですけれども、実際にはここ二、三年、少し減ってきているのではないかと。土壌汚染、一生懸命調査をしていったので、かなり見つけられたのですが、その後、新たな汚染が次々起こっているわけでは必ずしもないので、少し下がってきている状況にあるかもしれない。少なくとも、増加傾向にあるというのは数年前の話ではないか。ちょっとここら辺のところは正確に記載をしたほうがよろしいのかなというふうなことがあります。
 それから、4ページのところですけれども、一番最初のエネルギー状況のところの一番下の書きぶりのところで、獲得競争が激しくなるという視点の裏には、恐らく量的な問題でということになってくるのだろうと思いますけれども、先ほど永里委員が少しご指摘をされたように、エネルギーも資源も質的なものがだんだん変わってくると。量的なものの獲得競争になると質的に変化してきて、それによって逆に安全を脅かして、環境汚染のほうが問題になってくるという視点が非常に重要だろうと思いますので、そこら辺のところも少し書き込んでおいていただければというふうに思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 では、佐和委員。

○佐和委員 ページ順で申し上げますけれども、まず4ページをご覧いただきたいのですが、環境と経済というところの2つ目の丸のところに、「環境制約が経済活動のあり方を規定することが強く意識される中」というふうになっていますが、これは、例えば10年、20年前と比べたらその意識が薄らいでいるというふうに私は思うのですよね。つまり、環境制約があっても、それに対して企業がそれこそ適応して、そして、つまり規定の度合いを緩やかにするという、そういう創意工夫がめぐらされる結果ですね。ですから、今現在こういう「強く意識される」というような表現は、ちょっと何となく古いなという感じがします。
 それから、同じページの4ページの一番下のところに、「GDPに代わる指標」というのがありますね。これは、恐らくサルコジ大統領が去年あたり、スティグリッツなんかを集めてかわる指標をつくろうではないかということを言い出したのを受けてのことだと思うのですけれども、日本でも昭和40年代の初めごろに、当時はGNPというふうに言っていましたけれども、GNPにかわる指標というふうなことで、ネット・ナショナル・ウエルフェア、NNWというふうなものをつくろうなんていうことで、これが当時の経済企画庁で始まったのですね。経済審議会でと言うべきかもしれません。ところが、NNWですから、何が何だかわからないということで、結局、全く以降顧みられなくなったと。それから、同じようなことが、同じような医療とか健康とか教育とか、つまり社会のいろんな側面があるではないかと。そういうのをいわば表す一つの指標として、ヒューマン・ディベロップメント・インデックスみたいなものがあるわけですね、既に。あるいは、グリーンGDPということも今から10数年前には盛んに言われたと。
 だけれども、結局、一つ一つの指標にまとめ上げるということは無理なのですよ、基本的に。ですから、多次元的に物事を考えるということが重要であると。ですから、GDPを相対化するということが重要なのですね。GDPだけが、これが経済活動の指標として絶対的なものではないという、そういうことを意識を共有すべきだと思います。
 それから、5ページの下から3つ目の丸ですけれども、言いかえれば、東日本大震災関連の2つ目の丸ですけれども、これは「原子力発電所事故に起因して多くの原子力発電所が停止しており、夏季の電力需要に対応する供給能力の不足が見込まれ、経済活動に大きな影響を及ぼすことが確実」と書いてあるのですね。本当ですか、これ。例えば、今僕ここでパソコンを開いているのですけれども、ここにある東京電力のホームページで、本日のピーク時の供給力は4,300万キロワットと書いてあるのですね。去年だと、朝の10時に停電を起こしているのですよ。去年と同じような調子で使っていればですね。ところが、ことしは25%ぐらいピークがカットされているわけですね。それで、本日の予想最大電力というのは3,480ということで、4,300だと十分な余裕があるわけですね。真夏に5,500ぐらいは確保できるというふうに東京電力が言っていますよね。それに対して去年のピークが6,000だったと。それが仮に20%ピークカットできれば、六八、四十八で4,800万になりますよね。ですから、5,500ぐらいあれば十分だということになって、停電なんかは起こらないわけですよ。
 それで、今ここに上がってくるのは、確かに4階の階段を上がってくるのは皆さん方は大変だったかもしれませんが、その程度の苦痛─苦痛というほどのことでもないですけれども、むしろ健康にはいいことだと思うかもしれませんが。つまり、大した労苦なしにこの程度の節減はできるわけですよね。つまり、20%ないし25%ぐらいの。これは真夏で冷房がピークに達するころになると、恐らく節約のパーセンテージというのはもっと大きくなると思うのですね。30%ぐらいピークがカットできると思います。
 それで、今現在も、例えば今朝の新聞によると、日銀の総裁が経済活動はやや上向いているというようなことがあって、何も電力不足のために経済活動が、大きな影響とか言っているけれども、これは悪い影響という意味ですよね。そういうことは、これは私はあり得ないと思うのですけれども、もしあり得ると思われるのだったら、その理由を説明していただきたい。
 それから、もっと重要な問題なのですけれども、先ほどどなたかがご指摘になったように「長期的」という言葉が至るところに登場するわけですね。しかし、その長期的に考えるべきと。これで、どうも長期的という場合、50年ぐらいを何となく意味していらっしゃる様子なのですけれども、そうしますと、例えば8ページの(1)の3つ目の丸で、長期的な環境研究・技術開発ということを書いていますね。これはまさしく、いわゆるジオ・エンジニアリングということになってしまうわけですよ。つまり、短期的なこつこつとした省エネルギーの積み重ねとかいうのではなくて、びっくりする、例えばCO2を固形化するなりシャーベット状にするなり、あるいはそのままにせよ、要するに地中に隔離するわけですよね。そういうふうな大型技術というものの開発には20年、30年とかかるだろうと。だから、長期的な視野でということは、そういうすごい大型技術の開発ということを意味しているわけですよね。ですから、その辺はやっぱり意見の相違もあるわけですから、そう軽々しくおっしゃっていただきたくないということ。
 それから、それともう一つは、やはりかねてといいますか、京都会議以前からこういう気候変動問題を議論するときの一つの大きな論点として、アーリーアクションをどうとるべきか、それとディレードアクションについて十分なのかという議論が散々なされたわけですね。そのときには、当時は510ppmというものを超えると大変なことになると。今はもう380ぐらいになっていますけれども、当時は350ppmぐらいだから、まだまだ余裕があると。だから、このまま二、三十年間、今のような調子でCO2を排出し続けても、大気中の濃度は400をちょっと超えると程度だろうと。そのうちに、30年ぐらいたてばどんどん技術が開発されて、安いコストで大気中の濃度を下げるということが可能になるのだと。だから慌ててやる必要がないということで、京都議定書そのものを否定する論拠になったわけですね。ですから、ここでやっぱり長期的ということは、これは短期的には何もするなと、アーリーアクションでは差し控えろというようなことを意味するわけで、ですからその辺を注意していただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。きちんとご説明を伺っていないので、少し的がずれていたら申し訳ございません。
 資料の8ページ、9ページを中心にちょっと意見を申し上げたいと思うのですけれども、まず、今後の展開に当たりというところで(3)番、持続可能な社会の基盤となる国土ということで、まちづくりとありますが、今、地域の未利用資源を活用してまずエネルギーにきちんと生かしていくという、地域の自立分散型のまちづくりというのが非常に注目を浴びているわけですが、こういうあたりの要素というのがきっとこの丸の2つ目のあたりに来るのだと思いますので、そういう視点を踏まえて考えられるようにしていければと思っています。
 なお、次の(4)番なのですけれども、連携・協働がやはり非常に重要なのですが、地域自治体の環境基本計画は大抵、今、連携・協働できちんと実践型の行動を起こしていくというのが基本計画の1番に挙がって、持続可能な社会づくりのいろいろな低炭素社会とか循環型社会とか、そういう要素は基本目標の2番から5番ぐらいに来るような形でつくって、社会をできるだけ市民の主体性あふれる社会に興していくというような作戦を立てているところが増えてきているわけです。そういう視点も強めて、この4番の連携・協働を起こすということだけではなく、課題解決に向けて連携・協働での政策実現をして環境配慮を定着していくような、そういう視点まで明確に入れて強調していってほしいという感じがいたしております。
 次のページなのですけれども、循環型社会の部分は循環計画部会でも発言させていただきます。今、[5]番のところに化学物質の環境リスクの話が出ていますが、この前のページの現状認識のところには、余り化学物質に関して書いてある部分が少ないのではないかなという印象がしておりました。この大震災でかなり放射線への関心が高まっていますが、それまでの状況を考えると、やはりエコチル調査などに見られるように、化学物質の影響でかなり私たち人類が少し弱くなっているのではないかというような予想もあって、いろいろな研究が進み始めているという状況ですので、もう少し化学物質に関して冷静に扱っていく、そしてリスクを削減していく、管理を徹底していくというようなことを、現状認識をちゃんと入れるあたりが大変重要な課題だと思っています。
 なお、9ページの最後に東日本大震災に関する項目は立てるべきかとありますが、いろいろなものは中に入れ込めたとしても、最後にやはり放射線影響のものに関する環境回復に関しては、緊急的な対応として環境省がきちんと関心を持っていく、取り組んでいくということを最後に立てることが重要と思います。例えば、水、大気、廃棄物、浄化槽や下水道汚泥など、今非常に問題になり始めておりますので、こういうことを踏まえて環境回復に関して緊急にきちんと環境省が非常に関心を持って関わっていくということと、今後の様子に関してきちんと世界に発信していく役割を担うというようなあたりを、ここに特出ししてもいいのではないかという感じもしております。どうぞよろしくお願いします。

○鈴木部会長 大塚委員。

○大塚委員 全体としてよくできていると思ってはいるのですけれども、今いろいろなご意見を聞いているうちに、まだ検討すべきこともあるだろうと思いました。私は3点ちょっと申し上げておきたいと思います。
 1つは、三浦委員とか藤井委員とか今、崎田委員も触れられたことと関係しますが、命とか国民の健康というのをある程度大きな柱に出してもいいのかなという気がしています。これはちょっと考え方が2つ分かれるので別の議論もあることは承知をしていますけれども、7ページのところに安全の確保についてのことが書いてあるのですけれども、ここのとらえ方の問題ですけれども、結局、ここの7ページの上から4つ目の丸の書き方だと、安全の確保というのが前面に出てはいるのですけれども、結局、低炭素社会と循環型社会と自然共生社会の基盤という形でまとまっているような感じはいたします。
 ただ、先ほど中杉委員も言われたように、9ページのところだと、1の[3]、[4]、[5]というのはこれは安全の確保のためのまさに取組なのですね。従来型の公害とか今回出てきてしまった放射性物質とかいうのは、まさに安全そのものの問題で、国民の健康の問題が主になりますので、そういう低炭素とか循環とか自然共生とは違う短期的な面も含めた、従来型の公害とも近いようなものが新しくまた大きく問題になっているという状況が出てきているということは、認識できるような書き方にしていただいたほうがいいのではないかなと思っています。つまり、安全を、全体の基盤というだけではなくて、やはり低炭素とか循環とか自然共生とは別に、もう一つ柱として残すということが必要であって、全体の土台というだけでとどめるのはどうかなというのが私の意見として申し上げたい点でございます。
 関連して、放射性物質に関して環境基本法に規定がないか対象にしていないという13条の問題ですけれども、これはほかの中環審の会議で議論が出ていたし、ここでも出ていたのですけれども、防止については確かに入っていないのですが、もう今回、放射性物質が出てしまいましたので、その回復の問題はどうかというのは必ずしもはっきりしないところがございまして、それは環境行政の中には含めていくような方向を打ち出してもいいのではないかと考えています。以上が第1点でございます。
 あとは、簡単ですけれども、第2点ですが、9ページの東日本大震災に関する項目は、私も立てたほうがいいと思っていまして、ただ、それぞれの個別の分野のところでもちろん触れていいと思うのですけれども、それ以外に東日本大震災に関しての影響について配慮しているということを示すために、別の項目も打ち出していいのではないかと思っています。
 それから、第3点ですが、ちょっと細かい点でございますけれども、この間もちょっと議論がありましたけれども、森島先生などからもご意見がございましたが、5ページの一番上の、残念ながら今、財政赤字がひどいことになっているというようなことは国家の持続可能性という問題にもなるわけですが、この点が取組とかにどういうふうに反映されるかという、あるいは環境政策の展開の方向にどういうふうに反映されるかというのはちょっと出ていないような気がするので、入札とかの話では全然ないのですが、政策とか手法の選択とかのときに、この社会的費用の低減とかいうことを考えながら検討していく必要があるということが恐らくあると思いますので、どういう形で書くかはちょっと要検討事項だと思いますけれども、何らかの形でそういうことは触れてもいいのかなというふうに思っています。
 以上です。

○鈴木部会長 浅野委員。

○浅野委員 例によって例のごとくでございますが、多少原案をつくる側に回っている面もあるものですから、ご意見をお聞きしながら、もっともだなと思ってお聞いたした部分とちょっと違うなと思う部分があるわけですね。
 まず、震災の件に関してですが、ちょっとこの書き方がよくなかったのですね、確かに。震災に関する項目を立てるべきかとここにわざわざ書いてある意味は、特に重点的に取り組む項目というような形でいろいろ挙げていくのと同様に、1つ見出しの項目としてきちっと独立に章を起こして書くのか、それともこれに関するいろんな考え方は各項目の中にきちっと織り込んで入れたうえで、さらに特出しの項目としてするべきかどうかについて皆さんで考えていただきたいというつもりでこのように書いたわけでして大震災について4次計画には何も書かないという選択枝があり得るというようなつもりでは全くなかったのですが、この表現が誤解を与えてしまったと思います。書くことは当然書かなきゃいけないのだけれども、それを大きな項目としてきちっと挙げるかどうかということについてはどうかということ言っているだけです。これは誤解を解くために申し上げることです。
 その上で、中杉委員がご発言になりました若干関連いたしますが、今私ども、こんな席で私が言っちゃいけないのかもしれませんけれども、本当に被害をお受けになった方々に行き届く施策が十分には機能していないことを知らされ、3カ月たっても何も動いていないといういら立ちの中で、どうなのだというようなことを思っているわけです。そういう思いの中で今この第4次環境基本計画準備のための議論をしているのですが、ただ、第4次環境基本計画そのものは、震災復興計画ではありませんし、それからこれが閣議決定されまする次の3月です。それまでにどういう状況で、どういうふうになっているのか。それまで全く何も決まらない状況が続いているとは到底思えないわけですから、そのことは十分考えながらこの議論をやらなくてはいけませんし、この計画は少なくとも環境基本法に基づいて中長期の見通しをしっかり立てるというためのものであるわけですから、その中長期の環境政策の中で、環境政策の考え方を復興の事業を行い必要な政策を立てていく上で、環境面への配慮をどう反映していただくかということを十分書く必要はありますけれども、当面の震災あるいは原発事故に関する喫緊の課題を議論するということとはちょっと違うというのが、一応原案をつくっている側の認識でございます。
 そこで、お話を伺いながらも思ったのですが、恐らくこのままの状態でいきますと、ひょっとすると環境についての配慮なんかは全くないままに震災復興計画ができてしまうということに対する危機感を私も大いに持っているわけで、そのことは中環審の総会での議論をふまえて既に鈴木会長の名前で大臣あてにご意見を申し上げているのですけれども、その後のフォローアップが十分できていない。我々のこの環境基本計画準備の作業は、最終的な仕上がり品ということでいえば来年3月になってしまいますから、そうなりますと、今回はやはり従来とはちょっと違った特別な状況にありますので、環境基本計画をつくり上げるということと、つくり上げる途中でいろいろ議論してその都度その都度こういうことは今の段階で必要だということを外部に発信するということとの、2本立てで作業をしないといけないのかな。つまり、第四次の環境基本計画づくりは従来の基本計画づくりとはちょっと違う様相があるのではないかと思われます。
 幸いこの審議会は、諮問がなくても意見具申ということはできるわけですから、それを適宜必要に応じて鈴木部会長、会長のご判断を仰ぎながら、こういうことについては大体みんなの意見が一致しているから、この段階で言わなきゃいけないことは言おうではないかというようなことがひょっとしたらあるかもしれないし、あるいはやるべきかもしれないと思いました。ですから、いろいろ出ているご意見はそういう形でも考えるということを一方で意識しながら、環境基本計画そのものは向こう5年もしくはもっと長い期間の計画としてつくるのだということを十分認識しておかなきゃいけない。こんなふうに思っております。
 その上で、冨田委員のご質問について、私が答える立場にはないわけなのですが、少なくとも放射性物質の問題に関しては、先ほど私はちょっと不規則発言を申し上げましたが、「他の法律に定めるところによる」と書いてあるわけですから、他に何も定めていないという状況がある以上、それは物が言えるというのが私の解釈でありまして、他の定めをちゃんとやれということも言えると思うのですね。ですから、今のところ、見ていますと、どういうことについては法律に書いてあるが、どういうことが書いていないというのははっきりしているわけです。ところが、既存の法律に書いていない部分に結構問題があるということもわかっておりますので、それについて発言することは何の制約も受けないというふうに思っております。
 それから、テーマが他の個別計画と重複する部分についてはどうかということでありますけれども、少なくとも2つについては環境基本計画が基礎となりますので、環境基本計画をつくると、その考え方をもとに循環とそれから生物多様性についてはまたその分野の計画ができていくという構造になっておりますから、その点は整合性がございますので、余り遠慮することはないと思います。
 温暖化については、基本法が通りますとそれに基づいて基本計画がつくられることになりますが、この基本計画は制定の母体そのものが中環審でないということがありますので、そこは上下がどうかというような話には全くならないのですけれども、しかし国の環境政策の中でこのテーマについてこういう考え方なのだということが少なくとも次の3月に閣議決定でされるわけですから、その段階までに別途しかるべき方針が閣議で決定されるのであれば、それが当然こちらのほうの政策を決めるときにそれに背馳すれば閣議決定段階でチェックされてしまうと思いますが、それまで何も決まっていないのであれば、我々が言ったことが閣議決定になりますので、それが次につくられる温暖化に関するさまざまな政策のベースになっていくというふうに思いますから、今の段階では前後関係がどうなるかということを余り考える必要はないような気がいたしております。
 それから、実は温暖化の基本法は、同法の基本計画というものとそれからそれに基づくさらにまた具体の計画というのがあって、2本立てになっておりますし、温暖化基本法における基本計画が大体どのぐらいの時間軸を考えた基本計画になるのかということは今のところはっきりしていないわけです。しかし、今の基本法の考え方は、2050年、80%削減ということをまず第一に挙げて、それから次は2020年ということを言っておりますから、そこから推測するところによると、多分、温暖化基本法が意図している基本計画というものはかなり長期の計画を考えていて、具体の政策につながるものはもうちょっと下の下位計画になるという理解が、今の国会で審議中の法案の素直な読み方だと思いますから、そうなりますと、環境基本計画との関係では、別にそんなに矛盾が起こることはないだろうと思っております。
 というわけで、これは先ほどのことについて、もし違っていたら後、事務局からまた訂正があるかと思いますが、私はそのように理解をして作業を進めようと思っている次第でございます。
 さらにいろいろ重要なご指摘をいただいております。鷲谷委員がおっしゃったように、再生可能エネルギーというものが生物多様性との関係でのメリット、デメリットをしっかり示すべきであるということは、全くご指摘のとおりでありますし、それから先ほどご指摘がありましたご意見では、林委員がおっしゃった、ストックと言うときにどうも自然系のものだけを意識しているというご指摘は、まさにご明察と申しあげるほかはございません。第三次計画の検討の段階で国内の様々なストックの活用ということを議論しながら、最終的に文章化するときには突如として自然のストックだけというのになってしまいまして、それを何となく今まで引きずってきています。しかし、もともとストックと言っていた理由は、これから先、次から次へと新しいインフラをつくることもないだろう、都市の今までのインフラもこれをいかに有効に活用するかということも含めてストックの活用が必要だという議論があったのが、第三次計画で最終的には消えてしまっているのです。ですから、林委員のご指摘のとおりで、自然以外のストックもしっかり認識した第四次計画にすべしということは私も大賛成であります。
 それから、大塚委員のご指摘があった点なのですが、さらにまたこれは皆さんでご議論をいただいて、最後は整理の仕方の問題ですから、多数がご賛成になるのであれば、別に全然こだわりはしないのですけれども、この原案らしき今日のメモ書きの中に、安心・安全ということについて書いてあることの意味をちょっとだけ申し上げますと、もともと現計画の中には「持続可能な社会とは」ということが定義されておりまして、その全文を読むことは長いから省略しますけれども、国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受し、次世代にも継承することができる社会であるということが書いてあって、さらに、すなわちそれは何かというときに、安心、豊かさ、健やかで快適な暮らし云々というようなことが書いてあるわけですね。ですから、要は環境政策の一番の目標は最終的に何かというと、やはり今いる我々の安心・安全であり、次世代の人々、将来世代の人々の安心・安全であるのだと。それが究極の目標なのだろうなということを薄々感じながら今までの計画をつくっていたわけですが、その後の流れの中で、低炭素社会、循環型社会、生物共生社会という言葉が出てきて、これが持続可能な社会を進める上で同時に実現しなきゃいけないことだというのが出てきたわけですね。
 それで、それを踏まえながら議論を内々にやっていましたところ、確かにさっき中杉委員がご指摘のとおり、考えてみると、これまでの環境汚染系の問題とか環境リスク系の問題といっていたことは、安心・安全というキーワードでくくれるテーマだなということになりました。そこで、低炭素社会・循環型社会・生物共生社会に付け加えて、もう一つ安心・安全社会というようなキーワードを設けるべきなのかなという議論もやったのですけれども、しかし安心・安全社会というキーワードである政策課題をくくっていくというやり方をしますと、その言葉の持っているもっと重要な重みが、薄らいでしまうのは困るのではないか。むしろ、音楽で言うならば、バロック音楽の通奏低音みたいなもので、いつも低い音で響いているようなものが安心・安全で、その上にいろんなものが乗っかっているというほうがいいのかなという話をしながら、とりあえずこういう表現で今日のペーパーが出たわけでございますけれども。その上で、なお中杉委員が言われるように、政策課題をくくるという意味でのもう一つ別の次元の言葉としてそういう共通概念をつくるということはいいと思うのですけれども、余りそれにこだわり過ぎると、本当の意味での安心・安全というところが消えてしまうことを若干恐れてこういう書き方だということだけは、少し弁解がましくなりますが申し上げておきたいと思います。
 というわけで、こういう案を出したわけですが、今日出されたご意見は大変傾聴に値するご意見がいろいろございました。ただ、長辻委員がおっしゃった海洋の問題に関しては、ひょっとして取り上げるとすると、温暖化と言って何となく平均気温の問題だけを問題にしているというところが不十分だというご指摘は全くそのとおりで、そのことは前に既に海底にCO2を固定することの規制が条約との関係で必要というわけで、海洋汚染防止法の改正をしたときに別の部会で議論していてよくわかっているのですけれども、どうも何か国境線や領海の中の話ではないような印象が強くて、ついつい扱いが粗雑になっているという事実なのです。ですから、地球環境問題、温暖化問題、気候変動問題ということを考える中の文脈の中にそれがあるということは間違いない事実でありますから、そういう形できちっと今度は出していくということはあると思いますけれども、1つの独立項目にするのはなかなか構造上難しいかなという気がいたします。もちろん、検討をする必要があると思いますので、ご指摘はもっともだということはよくわかります。

○鈴木部会長 いろいろと大事なご意見をいただいたと思います。
 まず最初に、ちょっと私のところにメモが参りましたのは、ちゃんと幸いなことにこの部会が定足数に達しているという、そういうことが確認されておりますので、申し上げておきたいと思います。
 大変いろいろなご意見をいただきまして、このペーパーに対する書きぶりの問題であるとか、いろいろございましたが、このペーパーは基本計画の原案というわけではないのですね。これは当初の部分でいろいろと論点を整理していただき、ですから、ここの書きぶりあるいはこれが欠けている、ここを強調すべきというのは、これから基本計画の骨格をつくっていく上でぜひ参考にして進めることが必要だろうと思います。
 具体的なご議論も若干ございましたが、今度、環境基本計画をつくっていくときに、第三次におきましては10の重点分野というのがあって、一番最後の9ページのところですが、その6つはいわば環境省の中の部局対応というのでしょうか、各局に対応するような分野となっていて、その後の4つがクロスカッティングというのでしょうか、横串的な4つの分野が挙げられていた。果たしてこういう切り口でいいのだろうかというようなところが、多分次回まで少し詰めなければいけないところだろうと思います。それに伴って、温暖化基本法が今後どうなっていくのか、あるいは循環型社会形成推進基本法、そして生物多様性の国家戦略とか、そういうものとの関連ということが先ほどもご指摘がありましたし、これまでも議論されてきたことだろうと思います。
 3、4、5がすべて安心・安全だろうと。確かにそうなのですが、今、5のところはいわば先ほどの局対応でいうと環境保健部が見るというようなことになっていますから、重層低音でも何でもなくて、まさに1本串でしかなかった。これをどういうふうに今後考えていくのか。都市における良好な大気環境ということで、大気環境、光化学スモッグ、それからSPMみたいな話をいつも続けていくという、いわばハウスキーピングというのでしょうか、毎日の出入りを考えていくようなテーマと、それから規模が大きく、また時間的に変化していくテーマと、そしてまた考え方の構造そのものを変えていかなくてはいけないというようなところも、安心・安全なんかもそれに入るかと思いますが、そういうような問題を見たときに、一体これをどういうふうに仕分けしていくのがいいのかというのが、多分、対象を特定するこの分野の課題だろうと思います。これは、とりもなおさず環境省の今の行政の区分のスタイルがこれでいいのかというようなことにも関わってくる課題かと思いますので、その辺も視野に入れながら、最初の6分野、幾つの分野にするのがいいのかわかりませんが、それを考えていく。
 そして、下の横断的な分野というのは、何となく今までどこにも入らないみたいな感じで、ただ市場であるとか国際であるとか人づくり・地域づくりなんて言ってきたのですが、実は、環境省のここで考えていく環境基本計画というのは、先ほど来出ていますように国の計画なのですね。閣議決定がされていく。したがって、環境省だけでこれを責任を負うというものではもちろんなくて、各省庁を巻き込んで国として何をどうしていくか、その部分を多分この最後の4分野として─4分野なのか幾つかわかりませんが─考えていく。
 つまり、こういう分野を通じてというのは、私はむしろ8ページに記載されている重視すべき方向というのが今後4つの分野に対応するようなものになるのかなと思っておりますが、こういうものを、まさに局の間でのオール環境省で横串として考えると同時に、日本全体として横串で考える。先ほど来、例えば林先生のほうですと、コンパクトシティというか都市の問題、まちづくりの問題、これはもう環境省だけの問題ではなくて、国土交通省はもちろんですし、あるいは周辺も入ってくれば土地利用、農水省も関わるかもしれない、経済産業省も関わってくる。そういう省庁。それから、やっぱり森林、里山みたいなものをどう考える。これはバイオマスだけの問題でもないし、生物多様性だけの問題でもない。まさに我が国として非常に重要な森林というものをどういうふうに位置づけるかということになれば、環境省だけではなくて、農水なんかとどういうふうに考えるのか。そこに水が絡んでくれば、厚生労働省も関わりますし、国土交通省も関わる。というような横串ですね。
 もう一つ言いますと、海の問題というのは今まで案外ないがしろにされていましたけれども、これはやはり国土交通省、水産庁、海上保安庁みたいなものが関わってくる。しかしながら、排他的経済水域というのは、日本は世界で6番目に大きい地域を持っているわけで、そこの環境問題を今後どう考えていくかなんていうのは非常に大きな課題。しかしながら、水部で考えるにはちょっと大き過ぎるわけですね、現状では。しかし、それを今後どうしていくかというのは、やはり考えていかなくてはいけない問題かもしれません。
 こういうテーマに関して我々がパッと無邪気につぶらな眼でこうあるべきだということを書いても、閣議決定に至るまでにずたずたにされるのが落ちだろうというのが多分私の推定なのですが。だから、そこをどういうふうに格調高い理念をつくり、そしてそれを国の政策にしていくのかというあたりが、この基本計画づくりのときに重要なのかな。しかしながら、国全体が今がたがたと来ておりますので、そういう意味では、環境省が乗り出すいいチャンスではないかと私は思っているのですが、そこに環境省として─環境省というのは単に環境の狭い分野をやるのではなくて、国の持続可能な将来像を具体的に示していくと。そして、それを世界に発信していく。そういう格調高い使命を背負った存在として、閣議決定にまでつなげられるような、そこには復興政策にも絡むものがあるでしょう。エネルギー政策、もちろん。原子力政策にも絡んでいくというようなことで、それを通じて世界的な発信ができるようなものをつくり上げていくというようなことになるのではないかと、そんなふうに願っております。
 今、今日のご議論の中では余りなかったのですが、とはいいながら、こういう基本計画というのが五、六年の間に何をどう実現しようという、そういうゴールというよりはターゲットをやはり明確にしておく必要があるだろうと思うのですが、そのターゲットをどういう指標であるいはどういう数値目標とするのかというような意味での指標、これは全体としての持続性指標なんて言い出すと、研究対象にはなっても今ここで議論できるわけではないので、それぞれのところでのそれぞれの指標をどう考えるかというようなことは、むしろ先ほどの6つの分野あるいは4つの分野をどう考えるのかということに、その陰にある考え方、哲学をそこに生かせばいいのかな、そんなふうに思っております。
 それから、佐々木委員のほうから環境教育について大変重要なご指摘があって、これまでは環境教育というのは言葉としては何回も何回も言い尽くされていながら、具体的にその成果が上がっているとはなかなか思いにくいと。幸いなことに、後ほどご説明があるかもしれませんが、こういう推進法ができたと。しかし、文科省がやはり初中教育をしっかりと握っていて、そこでは環境教育の指導要領みたいなものも一応はできているのですね。何とか政策研究所というところがつくったこんな……。それが全然使われていないというか生かされていない。
 それはなぜかといえば、文部省にとってみれば、それはワンオブゼムで、食育教育もあり何教育もあり、いっぱいやたらめったら今はいろんな教育があって、そのうちの一つとして環境教育があるという、そういうようなことなので、どうしても当面学校に任されてしまうというようなことで、先生方が結局苦労してお手上げになるというようなことになるのかもしれないので、ぜひここの法律ができたことを契機にして、環境省がいかに環境教育に乗り出して手をやはり入れていくのか。文科省をやはり教育をしていくという、向こうもそれは多分待っている面もあるので、そういうことで一応、教育審議会なんかも環境教育なんて考えたこともない人たちが集まっているわけですから、そういうところにいろんな意味でこちら側から積極的に手を差し伸べるということも必要なのかなと。そういうようなことは環境基本計画の中にどういうふうに位置づけるかというふうなことも少し考える必要があろうかな。
 というようなことを話し出すと切りがなくなってきますから、事務局のほうからいろいろこれまでのご議論、そしてご質問的なものもあったと思いますので、お答えいただくようにお願いします。

○川上総合環境政策局総務課長 まず、総政局総務課長でございます。
 特に、まず環境基本法、放射性物質の関係、冨田委員、櫻井委員、中杉委員、大塚委員、浅野委員からいろいろご発言をちょうだいしました。途中でもう大塚委員あるいは浅野委員にかなりまとめていただいたところでございますけれども。
 まず、環境基本法の解釈ということについては、もう既に大塚委員あるいは浅野委員からもお話がございました。私どもは狭く解釈しておりまして、そういう意味では、歴史的経緯からも、大気の汚染とか水質の汚濁、土壌の汚染の防止のための措置ということで限定されていると。むしろ環境基本法の総論的なものは、当然放射性物質についての環境への影響というものについても対象にはなっているという理解でございます。かなり限られてはございますけれども、離島等においてモニタリング等、環境省で現にやっていることもあるわけでございます。
 今後のこの震災を受けての対応でございますけれども、今までの法制度でなかなか想定していなかったものがいろいろ出てきているということでございます。そして、スピード感についていろいろおしかりもいただいているわけでございますけれども、私ども松本大臣も申し上げておりますのは、とにかく各省がやれることをまず、足元は今危機対応でございますから、まず今の法制度のもとでやれることをやろうと。そして、そこでまた足りなければ今後議論していこうと、こういうスタンスで今懸命に対応しているところでございます。
 そして、先ほど浅野委員からもご指摘がございましたけれども、この計画自体をまとめていただくのはまだ来年3月を目指してやっていただくことでございますから、当然政府部内、この場に限らずいろんな場でまたこの原子力、放射能についての対応というものについてはいろいろご議論がございますので、そのあたりの役割分担を見据えていきながら、3月に向けてアウトプットを出していただく。特に、事前に何かご意見について制約するということではなくて、むしろご議論は自由にいただいたらと思いますけれども、そういう中でいろいろな場においていろいろなご議論がある。それは私どもも随時またフォローアップをしながら、ご報告もさせていただきながら、ご相談もさせていただきながら進めていきたいというふうに思っております。
 それから、環境教育の関係、後ほどまたお時間がございましたら教育法の関係も少し担当からご説明をさせていただきますけれども、佐々木委員ご指摘のとおりでございまして、私どもも非常に高い問題意識を持っております。おかげさまで、この教育法におきましても従来のやや抽象的な記述をさらに具体的な方法論ということで深めていただいておりまして、これをもとにして今後施策の展開をしていきたいと思っておりますし、それからこれと並行いたしまして、実は今年の年明けから樋高政務官をヘッドにいたしまして、文科省も実は事務方入ってもらいまして、両省も一緒にいろいろこの環境教育については議論いたしまして、先日アウトプットを出しております。その中では、この教員の養成の話も含めまして、今後、文科省とも連携をしながらいろんな施策を展開していくことも入ってございますので、今日のご意見、応援と受け止めさせていただきまして、また今後、来年の予算あるいは今後の施策の展開ということで進めていきたいと思っております。

○鈴木部会長 鎌形さん。

○鎌形地球環境局総務課長 地球環境局、鎌形でございます。
 幾つか温暖化政策の関係でご意見、ご発言ございました。特に、原発事故の影響を受けて、エネルギー政策の見直しが進んでいくのではないかと。その中でどういうふうなことかということの中で、例えば5ページの中の記述で、エネルギー政策の見直しが行われる予定と、他人事のようなことではないかとか、あるいはあと3ページ、6ページのような記述をめぐりましても、環境省のエネルギー政策に対するスタンスがはっきりしないからよくわからないと、これはどうするのだと。こういうような観点からのご指摘が幾つかございました。
 それで、まさにエネルギー政策の見直しということが始まろうとしていて、これも私ども環境省として別に他人事ということで受け止めるということではございません。それで、具体的には、政府の中で、原発事故の影響なども踏まえて、今後のエネルギー政策というものを、例えば省エネ、新エネ、あるいは原子力のあり方とか、あるいは化石燃料の使い方とか、そういうことも含めて議論していくということで、閣僚ベースでエネルギー環境会議というのが立ち上がることになっております。近々第1回の会合が始まってまいりますが、国家戦略大臣がヘッドで、副議長に経産大臣と環境大臣、あと関係閣僚で会議をつくりまして、そのもとに幾つかのチームで議論していくということになろうかと思いますけれども、そこでこうした再エネ、新エネ、省エネ、どういうふうに進めていくかということも含めて議論していくということで、私ども環境省としてもそこには温暖化政策を進めるという立場からしっかりと加わっていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 また、その中で、健康の問題が環境省にとって原点ではないかと、こういうようなご指摘がございました。まさにそのとおりだと思います。環境省、でき上がったのは、まさに水俣病を初めとする公害、こういったものに対してどう対応していくかということが原点だ、これはご指摘のとおりだと思います。ですから、例えば今後のエネルギー政策を考える上でどういったことを考慮していくのかという中にも、例えば従来、コストの問題とかあるいはエネルギーのセキュリティの問題とか、いろいろございましたけれども、そういう中で最近は特にCO2という観点がいろいろ議論されておりましたけれども、もちろん国民の安全ということが大前提、そのもとで考えられるべきだと、こういうスタンスで我々は臨んでいきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、あとは、佐和委員から、特にこれは5ページの記述ですか、「夏季の電力需要に対応する供給能力の不足が見込まれ、経済活動に大きな影響を及ぼすことが確実」と。こういうことが実際に起こるのであれば示してほしいと、こういうようなご発言がございました。それで、ちょっとここの記述そのものが正確であるということかどうかは別にして、問題としては、節電というものを進めていかなければならない。その原因は、やはり供給能力に問題があるということで、現実問題としてご自由に電気をお使いくださいということではなくて、節電を呼びかけていくことになりますし、さらにもう少し強い政策として、大規模の需要家には電力の使用制限という形をかけて、こういうようなことも想定される中でのことでございまして、記述そのものがこのままでいいかというのはちょっと別にして、そういう電力の供給能力が従来より低いということに対応して物事を進めていかなきゃならないということの認識を示したものと、こういうふうに受け止めております。
 実際は、さらに今までも節電が進んでいるから、供給不足というか需給のクラッシュといいますか、そういうものが起こらないではないかというようなご発言かと思いますけれども、やはり今のところはまさに節電ということで、企業においても例えば輪番休業とか照明の間引きとか、ある意味少し無理をして対応しているというところがあろうかと思います。そういったことが、前回もちょっと議論させていただきましたけれども、単なる我慢で、長続きするような対策になるかどうかということがございますので、我々としてはやはりシステムとして省エネの進展とかあるいは再エネを進めていくとか、さらにはライフスタイル、ビジネスのあり方を変えていくとか、そういう中で長続きするような体制をとっていくということが必要かと。こういう問題意識だということはご理解をいただきたいと、こういうふうに思います。
 それからあと、鷲谷委員のほうから再生エネルギーをめぐりまして、特にバイオエネルギーを念頭に、いわゆる再エネだからといって単純にカーボンニュートラルではないのだと。もうちょっとライフサイクルで物事を考えていくということが必要であると、こういうようなご指摘がございました。これもご指摘のとおりでございまして、やはり例えばバイオマスといえば輸送にどれだけかかるかというところで、エネルギーという観点だけから見ても、ライフスタイルでいろいろ考えていかなきゃならない問題、あろうかと思います。そういう意味で、我々としてはとりあえず予算をとって、そういうのの勉強、再生エネルギーを使っていく上でライフサイクルの観点からどういう問題があるかというふうな勉強を進めていますけれども、こういう観点も基本計画を議論するときに入れていただいて、今後の政策の必要性ということでご指摘いただくということは我々としても受け止めていきたいと、こういうふうに思います。
 ちょっと漏れているかもしれませんが、とりあえず私のほうからは以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、一応ご説明をいただき、ご質問をいただき、それに対する応答もあったわけですが、再度先生方からご意見ございましたらお願いしたいと思いますが。
 では、2ラウンド目はちょっとお待ちいただくといたしまして、善養寺委員のほうからいきましょうか。

○善養寺委員 いろいろ気になったのは、論点整理というこれ、今までの間で幾つか意見が出たものを、委員の意見としてここへ整理したととらえると、私が一番重要に何度も吠えていたことはどこにも入っていないような感じがしました。何度も言っているのは、何をします、かにをしますだけではなくて、やはり国の法律の全体の中でマイナスになるものもある。いろんな物事が表裏一体ですので、この前、筑紫さんが言われていたような、何かをよかれと思って規制をかけたことが、一方の推進にはマイナス効果になってしまうことも実際起こるわけですから、そういう実態があることも何らか考えていかないと。ほかの省庁の方々は気がついていないのではないかと。どういう形で入れるのかはわからないですが、そういうものがあるということをどうにか表現できないかなと思います。
 それと、先ほどの文科省の環境教育の話のなんかもそうですけれど、環境省も今までやってきたことが、予算の問題とかで伐々と切られていくマイナスのところがある。できれば、横串という同じ目的のものを各省庁、役割分担を持ってやっていくべきことを具体に示す─前回言ったのは、「国が」という書き方をするのではなくて、関連するどこどことどこどこがどういう形かで連携してくださいと名指しをすることによってメッセージが伝わるのではないかと発言しました。具体的にどのことを掘り下げるかだけではなくて、新しく第四次の本をつくる際に、全体構成案として何について書くかだけではなくて、どのような見せ方で書くかというところも少し議論してもいいのかなと思いました。
 いわゆる化学物質について掘り下げて書く、放射能について掘り下げて書くということだけではなくて、国に促すためにはどうしたらいいのかと、自治体に促すためには具体的に書く項目上、どうしたらいいのか。連携させるにはどうしたらいいのかとか。
 後もう一つは、いわゆる予算の節約をしろというと、すぐに競争入札がまるで善のように書かれてしまうこと。でも、それがマイナス的な効果も実際出てきているわけですから、そういう点でマイナスがあるということも書いた上でどんな考え方があるのか。環境教育推進法の中でそういうNPOなどの契約のあり方も示されているようですけれども、ここの中でもやっぱり具体的にどういう考え方が本当に中身のある、クオリティがあってコストパフォーマンスがいいという発注の仕方になるのか。それは単純なる入札のような経済手法のお金の面だけではないというところを示していかないとならないのではないかと思っているのですが。全くどこにもそれについて今回の論点の中には書かれていないような気がしましたので、ぜひとも考えていただきたいと思います。

○鈴木部会長 速水委員、どうぞ。

○速水委員 ありがとうございます。
 先ほど部会長が森林の話を出していただいたので、もう言う必要はないなとは思いながら伺っていたのですが。ここには2ページにCO2の吸収源としての森林と、3ページに国土の3分の2が森林だというふうなことで書かれているのですけれども、そういう意味で、もう少し森林のとらえ方をはっきり出てこないかなという期待が以前から環境省に対してあったわけです。3分の2も国土を覆っている形状である森林というものが、林野庁というそれ専門の組織があるので、環境省もなかなか遠慮があるのだろうとは思うのですけれども、環境側面から見て森林がどうなのかという視点でしっかりと見れば、それはそれで環境省としての視点が出せると思うのですね。
 昨年COP10があって、そこで生物多様性の問題があって、森林との関わりの話が出ながら、里山でとまっているみたいなところがあって、森林の概ね4割ぐらいが人工林なので、針葉樹を中心とした人工林に対する生物多様性の期待度とか、そういうものも環境省だから書けるということがあるのだろうと思うのですね。それを我々、森林管理している者がじゃあ生物多様性をどのようにやったらいいのかという意識が出てくると、林野庁はそれに対応したものが出てくるという順番なのだろうとは思っておりますので、その辺をしっかり書いてきてほしいなというふうに思っております。
 水循環の話であれば再上流は森林でございますし、物質循環の場合、リサイクルの話とは少し違って、木を植えてという大きな地球の中での生物循環を含めた循環型なので、そういう意味ではリサイクルとはまた別の形の物質循環の一つの輪ができるわけですね、森林の場合。そのとらえ方も非常に僕は大事だなというふうに思っています。それができると、今度はそこから生産される木材というものが、森林というのはCO2を固定しないと大きくならないという、木はそういうものなわけですね。言ってしまえば、CO2をフィルターで取って、それを木に固めていくみたいな、そんなものなので、その結果としてできたものが木材ですから、そういう大きな生物を入れた物質循環を考えていった場合には、木材という視点がもう少ししっかりとした視点で、ただの木材という物質だという視点以上に、もっと大きな視点で木材をとらえられることができるのではないかなというふうに思っています。
 もう一つ、森林の場合、海外との関係というのは、いつもいろんなところで申し上げるように、日本の場合は輸入国であるということもあって、海外の生物多様性に対する影響だとかあるいは森林に依存する人たちに対する人権の問題とか、非常に大きな影響を与えているというふうなところがありますので、その辺を海外との規制の問題であったり日本に輸入する場合の問題であったりというのは、もっと環境省も書いていっていいのではないかなと思っています。既にご存じの方も多いかもしれませんが、米国だとかあるいはEUは完全に海外での森林に対する違法行為の結果として出てくる木材を輸入するだけで国内法で罰するという、思い切った法律までつくり上げて、先進国の中では完全に日本がもう遅れちゃっているわけですね、そういう扱いが。そういう点でももう少し反省を含めて何か前向きに書ければなと。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 藤井委員。

○藤井委員 先ほど鈴木部会長のお話の中、伺っている中で、環境省が使命を背負った存在として今こそ見せていくべきという、非常に力強いお話を伺って、私もそうあってほしいと本当に願っています。と同時に、環境基本法の中で放射性物質、今日お話を伺う中で、今の基本法の中でも扱えるのだということが少し見えてまいりましたので、ならばということで、もう少し踏み込んでほしいのは、現地でいうと、誰も身の安全を守ってくれない、頼りになるのはどこかという、その省庁が見えない中で、ちょっと具体的なお話をいたしますが。
 飯舘の中には「負げねど飯舘!!」というチームがあって、これは水俣の今までの半世紀の歴史をずっと見てきながら、もし将来10年先、20年先に起きたときに、自分たちがきっちりと放射線被曝の状況を把握していかなければいけないというので、健康手帳をつけ始めているのですね。そのメンバーの何人かがホールボディカウンターを受けに行くのですが、ホールボディカウンターの中で基準がないにもかかわらず、数値を示さず、基準以内ですから安全ですと。そうすると、テレビでも何でもラジオを通してでも何を通しても、直ちに命には影響はないということを聞き続けていて、本当にこの命は保証されるのかということで不安を持っているわけです。劇症型ではなくて、毎日毎日、日々蓄積されていくこの蓄積線量の中で命の安全を脅かされているという人たちが本当に現場にたくさんいるのだなということを思いますので、頼りになるのは環境省というぐらいのところで、本当に命に寄り添って政策をやっていくのは環境省だというぐらいの存在感を示して、そこをもっと現場でどういうことが起きているか、何が人の命のところで大きな課題が起きているかということにも迫っていってほしいなと。そこのところを強く感じました。
 以上です。

○鈴木部会長 三浦委員。

○三浦委員 ありがとうございます。
 私も、鈴木部会長の環境省がイニシアチブをとってというようなお言葉で意を強くしまして、もう一度ちょっと発言させていただきたいというふうに思った次第です。
 まず、9ページにあります横断的な分野という、環境政策推進のための基盤整備というのをもう一歩踏み込んで、どういう形で横断的にあるいは環境省がイニシアチブをとって実施していくのかということを明記していただければということが1つと、3.11以降、この中環審が二度ほど開かれて、今日、三度目と記憶しているのですが、その間あらゆる震災で起こったことが、調査結果を待って方向を考えなければいけないというようなお言葉をいただいたのですが、その後、調査の進捗状況あるいは環境省が独自にイニシアチブをとって何か事が動いていったのかどうなのかをお聞かせいただきたい。
 以上です。

○鈴木部会長 何か具体的な事例なんかは、多分廃棄物の関連とか、そういうこと、たくさんあろうかと思いますが。じゃあ。

○坂川廃棄物・リサイクル対策部企画課長 廃棄物・リサイクル対策部企画課長でございます。
 今回の地震で災害廃棄物が非常に大量に発生をしたということで、従来、災害廃棄物は市町村が処理をするというのが原則でありますが、今回もそういう原則の中で、国でできることは何があるかということで、今までの災害とはかなり違った対応をしてきております。いろいろやっていますけれども、財政支援だけではなくて、今回は国の職員も現場に派遣して、県にも常駐させるとか、または市町村を巡回して回りながら、いろいろなお話を聞いて実態を把握しつつ、いろいろな相談に応じていると。そういうようなことを今やりつつありまして、国として今まで以上に積極的に関わってきていると。支援を手厚くやろうとしているということが1点あります。
 それからもう一つは、原子力発電所の事故で放射性物質が放出されて、それによって汚染されたおそれのある災害廃棄物があると。これについての対応というのが今まで我々が経験したことのなかったことでもありますし、また、本来そういったものをどこの省庁が対応するのかということも明確なルールはないわけでありますが、しかしこれも災害廃棄物として処理しなければいけないということですから、環境省が関係省庁と協力しながらどういうふうに処理・処分をしていけばいいのかというところを検討しつつ、その途中経過について市町村に説明をしながら、今処理を進めようとしていると。そういう状況でございまして、この問題はなかなか解決が難しい部分もありますから、国としてさらにどういう関わりが必要なのかというところも検討しながら今進めているということでございます。
 いずれにしろ、今までの災害と全然違った様相、これは量的な問題だけではなくて質的にもかなり違っているというのが現状でありますので、市町村にお任せすれば済むということでは決してないと。国としても前面に出なさいと、こういういろいろなところからのご指摘もありますので、我々としてもできるだけの対応をしていきたいと思っております。

○鳥居生物多様性地球戦略企画室長 ありがとうございます。自然環境局でございます。
 速水委員から重要なご指摘があったと思います。4ページの世界の状況の中で、環境と経済のところで下から2つ目の丸といいますか、一番下の丸ですか、生物多様性や生態系サービスの経済的価値を評価したTEEB、これがCOP10でもレポートが出まして、今後ますます生態系、生物多様性が持つ価値を、森林の場合であれば単に木材ということだけでなくて、レクリエーションあるいは水源涵養とか、いろんな視点でのサービスをある程度数値化して、それを持続可能な形で利用していくと。特に、森林というのはうまく管理をすればストックは増えると思います。それを今日本は木材資源を非常に海外に頼っているわけですから、日本の豊富な森林をうまく管理するということ、先ほどの国土利用とも十分関わってくるかと思うのですけれども、そういう視点も入れ込んでいきたいというふうに思っております。

○鎌形地球環境局総務課長 先ほどの三浦委員のご発言のうち、前回、前々回の議論のその後の進捗状況というようなご発言がございました。前回、前々回も私どもは温暖化政策の観点から、温暖化政策をどうしていくのかということの問いかけに対しまして、原発の事故の影響や節電とかあるいは再エネの状況とか、その辺が読めないと、こういうことを申し上げました。その後どうだったかというご指摘でございますけれども、基本的には、例えば原発事故そのものもまだ収束に向けて進んでいるという状況であるので、あと、今後どうしていくかということもようやく議論が始まるという状況にあるので見きわめがつかないということは、そのとおり変わっていないのですが、そのままそういったものを待っていては、温暖化政策をどうやって進めていくかということに関して非常に遅れが生じてしまうということがございます。前回に申しましたけれども、2013年以降の計画が今ないとか、あるいは国際交渉が進んでいるという状況もございますので、やはり新しい温暖化の計画を、2013年以降の計画をつくるという作業に取り組まないと間に合わないという認識に立ちまして、近々、これは同じ審議会の中の地球環境部会になりますけれども、そちらで議論を開始していただきたいということで、部会長、これも鈴木部会長でございますけれども、相談を始めさせていただいているというところでございますので、そういう意味で、今わかっている限りのことをお示ししながら議論をいただくというようなことを近々始めたいと、こういうふうに考えております。

○鈴木部会長 よろしいですか。
 いろいろとまたご意見をいただきましたが、善養寺委員の競争入札のマイナスとか法律の問題は、それは多分基本計画というよりはどこかほかのところで議論していただくといいのかなと思いますが。本当はこういう基本計画にも国はこうすべきであるではなくて、まさに文科省はこの教育の問題についてどうすべきである、経産省はこれをこうすべきであるということを書き込みたいと思っておられる環境省の立場ではないかと思いますが、書いた途端にこれが全然閣議を通らないということになるというのが─そんなことはないのですかね。書いてみましょうか、一度。書くともう……。

○川上総合環境政策局総務課長 例年の作業でも、これで書いていただいて、またいろいろ点検作業で関係省庁を呼んでいろいろチェックをしなくてはなりませんので。

○鈴木部会長 そうですね。それはわかります。しかしながら……

○川上総合環境政策局総務課長 それから、逆に特定名指しすることによって、ほかの役所は、じゃあ自分のところは関係ないと言ってサボるという面もございますものですから……

○鈴木部会長 じゃあ、それもたくさん書き込んで。

○川上総合環境政策局総務課長 はい。ですから、物によってやっぱり、これは閣議決定に出す文章でございますが、当然担当者は閣議が通るように細心の注意を払いながら、しかし、まさに善養寺委員ご指摘のような戦略的な発想で、どうやれば一番世の中を変えられるかということは考えながら書いているのでございます。ですから、またそれぞれの具体的書きぶりの中でご相談させていただくということではないかと思います。

○鈴木部会長 多分、何かこういう、最終的にはともかく閣議を通る形でできるにせよ、これの何か裏版みたいなものにはちゃんと具体的なものを書き込んで、そんなものでもつくっていただくといいのでしょうかね。

○浅野委員 前から言われているSEAというについて、何かかたい制度をつくるという議論のほうにすぐ走っていってしまうところに問題があるように考えます。つまり、何かある政策を考えるときに、その政策はどういうポイントから評価されるべきか。事後的な政策評価はあるのだけれども、事前のものがどうなったのかよくわからないのですけれども、やっぱりそこにちゃんと環境面ではどうなるのだという配慮が働くようにしろというのが、ずっとこの環境基本計画の中でも言い続けてきたいわゆる戦略アセスというものの考え方ですから、それは公衆の意見を聞いてどうだこうだという手続の議論ではないはずなのね。発想法の問題なのだというふうに思いますから、それは今までも言ってきたはずだし、もっと制度をつくれ、法律をつくれという議論ではなくて、政策をつくるときに考えてくれということを書くことは十分可能だと思うのですね。
 ですから、あえてここに重点項目としなかったので、私の言ったことを無視したというご発言がございましたけれども、そんなことはないと思います。

○善養寺委員 浅野先生が言われたような─今の戦略アセスのイメージが、先生は法律をつくるときにも同じではないかというのですけれども、一層そうやって書いてもらったらいいと思うのです。今までだと、戦略アセスというと、どこかに施設つくるときとか、そういうときにのみ戦略アセスをすればいいのだみたいな状況にみんな思っていると思うので、証券取引の規制をかけるだけでも戦略アセスとして環境の基本計画を考慮しなきゃいけないと書けば、違ってくると思うのですけれども。

○浅野委員 少なくとも、環境基本法の19条には、あらゆる施策を考えるときに環境についての配慮をしなくてはいけないということが読めるような条文があるのですね。だから、極端なことを言えば、郵政民営化はどう環境に影響するのか。何も影響しませんという議論は一度も行われていなかったのは、環境基本法19条違反だと思います。

○鈴木部会長 大体、予定の時間となってきましたが、特にご発言ありますでしょうか。報告事項がございますけれども、何か特にご発言があれば。
 放射性物質といいますか、原発の後の問題、今日も大変いろいろご心配が多かったわけですが、今まではともかく100%事故は起こらないという前提のもとにつくられた法律体系が、いざ事故が起こってみて、放射性物質の排出が行われ、環境中への排出あるいは流出という形で実際に汚染環境が生じてしまう。こうなって初めて環境省がようやく手を出せるというような、そういうような状況が本当にいいのかどうか。この辺の法律体系そのものも今後どういうふうに考えていくのかというのは重要だろうと思うのですが。私なんかは、これは全く個人的ですが、原子力の安全管理そのものに環境省がきっちりとコミットしていくぐらいのことがなければ、経済産業省がその辺もお世話します、中立的には内閣府でなんて言われても、やはり一般の方々は安心できないという面があるのではないかと思うのですが、そういうことを申し上げると、森島先生にとんでもないということになりますので、とりあえずは汚染された環境、環境中に放出された放射性物質に関してどうするのかと。廃棄物に関しても、今までの放射性廃棄物とは全く違いますよね。だから、それをどういうふうに環境省が考えていくのかという、非常に大きな課題を今目の前にしております。
 でも、放射性リスクということになると、保健部がこれから考える面も出てくるのですか。瀬川さんのあたりですかね。まだそこまで進めてない。

○瀬川環境保健部企画課長 済みません。考えていません。

○鈴木部会長 いろいろとその辺は今後検討していただかなきゃいけないかと思います。
 それでは、いただきましたご意見はまたこの論点整理をベースにしまして、次の素案をつくる、素案の素案ぐらいをつくるところに進めていただければと思っております。
 では、報告事項につきましてお願いいたしましょうか。どういう順番で。白書ですか。

○大熊企画調査室長 はい。最初に。

○鈴木部会長 白書も大変きれいなものをおつくりいただいているようで。

○大熊企画調査室長 ありがとうございます。
 それでは、若干お時間をいただきましてご報告をさせていただきたいと思います。お手元の資料の中でカラーの、ホタルの絵なのですけれども、ホタルと花のかいてあるカラフルな冊子をお配りさせていただいております。環境白書は先週6月7日に閣議決定をされましたので、本日若干お時間をいただいてご紹介をさせていただきます。本刷はこうした厚い冊子でございまして、これは委員の先生方のお手元にお送りをさせていただいております。本日はこの概要のみで、ポイントのみご紹介させていただきたいと思います。
 まず、中身に入ります前に、環境白書の位置づけでございます。ご案内のとおり、環境基本法におきまして毎年環境の状況、それからその年に講じた施策、そして翌年講じようとする施策、これを取りまとめて国会に提出することというふうに規定をされておりまして、これに従って作成をしているものでございます。したがいまして、閣議で決定をし、国会に提出というプロセスを踏んでございます。環境基本法のみならず、ほかに循環基本法、それから生物多様性基本法に同様の規定がございまして、それぞれに従って3つの白書があるということに法律上なってございますが、便宜上、これを合冊して作成をしているというものでございます。
 構成でございます。表紙をおめくりいただきますと、1ページと2ページに目次がございます。全体を通じていいますと、第1部とそれから2ページにございます第2部で構成をされてございます。これの順番を、逆に第2部のほうからご紹介させていただきたいと存じます。第2部につきましては、ページ数で申しますと70ページからが第2部でございます。この冊子は概要版でございますので、第2部については極めて短く省略して掲載しておりますが、ここに第2部の冒頭に四角で囲ってありますように構成が書かれておりますが、このように部門ごとに施策の状況を紹介をしております。これは、先ほど申しました法律の規定に従いまして、環境保全に関する施策を網羅的に紹介をすると。そして国会に報告するというために、かなり毎年継続性を重視いたしまして、前年から変化した部分はアップデートする形で、平たく申しますとかなり役人的な文章になっておりますが、網羅性を確保するという観点で取りまとめている部分でございます。
 お戻りいただきまして、3ページ目からが第1部の部分でございます。先ほどの第2部に加えまして、幅広い読者の方々に環境問題についてよりよく理解していただけるように、そういう観点からわかりやすく環境問題の状況を紹介しようということでつくっている部分でございます。毎年テーマを決めて記述をしてございます。本年の白書では、冒頭、表紙にございますが、「地球との共生に向けた確かな知恵・規範・行動」というサブタイトルを置きまして取りまとめております。
 この1部の部分、今年の白書で主に3つの特徴がございます。1点目は、生物多様性に関しますCOP10、これが昨年開催されたことを踏まえまして、生物多様性というものに重点を置いて書いているということでございます。2点目が、世界全体の持続可能性が懸念されているという状況の中で、日本の技術、特に低炭素社会に関する技術、それから循環型社会に関する技術、これを世界に展開していくという観点からの記述を言っております。3点目が、東日本大震災の発生を受けまして、新たに1章を立てまして復興への取組について記述をしているというものでございます。時間の関係もございますので、この後、中身をぱらぱらとページをめくって飛ばしながらポイントだけご紹介をさせていただきたいと存じます。
 2ページから第1章という部分でございまして、持続可能性と豊かさということで、さまざまなデータを用いまして世界と日本の持続可能性を概観している部分でございます。例えば、5ページまで飛んでいただきますと、世界の人口の動態、あるいは6ページのあたりでエネルギーの供給、あるいは8ページで世界の地下資源の枯渇の懸念といったようなことにも触れながら、世界の持続可能性についての紹介をしております。さらに、9ページ目から我が国の持続可能性ということで、例えば10ページ目で資源生産性のデータを紹介したりしながら、日本の状況を、環境汚染の状況の紹介も含めて報告をしました上で、15ページぐらいからは、日本の豊かさについても検討してみるということで、環境のみならず、健康ですとかあるいは余暇の時間の使い方、こういったものも含めて分析をしてございます。
 17ページからが第2章でございまして、この辺からが生物多様性に焦点を当てている部分でございます。特に、そうした豊かな生活を支える基盤として生態系サービスがあるという観点で、生態系が与えてくれるサービスについてまず紹介をしております。18ページ以降、建築、食文化あるいは遺伝資源といった自然から与えられるサービスというものを紹介をし、さらに20ページぐらいから、特につながりという観点から生物のつながり、それから森林生態系のつながり、水循環のつながりといったものについて現状を紹介をしております。そうした生態系サービスの現状を踏まえまして、29ページから生物多様性の保全に向けた施策の状況を紹介してございまして、30ページ目から30、31のあたりでCOP10の成果、愛知目標、名古屋議定書について紹介をした上で、ちょっとすみません、飛ばしますけれども、38ページぐらいから生物多様性の損失を防ぐための対策について、保護地域の指定あるいは里山の管理のための取組の促進、そういった内容を含めて施策を紹介しております。41ページ、42ページでは、企業とのパートナーシップといったようなことにも触れてございます。
 続きまして、43ページからが第4章といたしまして、先ほど申しました日本の技術を世界に展開して、世界の持続可能性を高めることに貢献するといったことを記述している部分でございます。まず、43ページでグリーン・グロースあるいはグリーン・イノベーションといった考え方が世界の潮流になっているということを紹介した上で、44ページ、45ページのあたりで環境ビジネスの促進あるいは研究開発を支援して技術開発を促進する施策、こういったことを紹介し、46ページ、環境教育についても触れて、その上で47ページから、特に循環型社会の白書の部分でございますが、静脈産業、静脈ビジネスの技術、これを世界に展開していくということを紹介しております。49ページのあたりで、49ページにあります図は、日本が世界の中で比較的GDPが高いにもかかわらずごみが少ないということを紹介して、こういった日本型の経済成長を進めてもらうということが必要だということを訴えまして、その後のページ、51ページ、52ページ、そして53ページのあたりで、日本の技術を海外に展開していくために、バイ・マルチでアジア各国と協力する仕組みをつくっているといったことを紹介をしております。54ページからは低炭素社会に向けての取組でございまして、COP16の成果に触れた上で、57ページで日本の国内での温暖化対策税、あるいはその後はエコポイントの制度などにも触れた上で、60ページぐらいから日本の低炭素技術、日本の基幹産業の技術あるいは交通輸送システムの技術、そして62ページでスマートグリッド関連、こういったものを含めて、日本の技術を世界に展開していく、それによって世界の持続可能性に貢献していくということを提唱しております。
 63ページから、3月11日の震災の発生を受けまして、急遽1章を加えた部分でございます。これは震災関係の対応、刻一刻進展をしておりますので、途中での断面になりますが、編集の都合上、5月上旬までの状況で暫定的な内容を書かせていただいているものでございます。63ページで環境問題関係の部分の対応ということで、がれきの処理についての取組を記載しております。それが64ページに続きまして、さらにし尿処理あるいは環境汚染への対応についても触れた上で、66ページから電力需給が逼迫を受けた節電対策についても触れておりまして、節電のメニューなども掲載をしております。最後に、68ページに今後の震災復興についての方向性について、震災の復興構想会議もまだ議論中でございますので、現時点で我々として言える暫定的な内容ということでございますが、方向性についての若干の提言を記載しております。68ページの最初、1段落目、2段落目ぐらいで、節電対応を乗り越えて、経験を生かして、今後、再生可能エネルギーあるいは分散自立型エネルギーの一層の導入促進を含めて、事業活動、ライフスタイルのあり方を見直していくことが必要だといったようなことを提言しております。それから、その次の段落では、東北地方の特徴を踏まえまして、豊かな生物多様性などの自然を生かした地域復興につなげていくということも重要だといったことに触れておりまして、そういったことを含めて、環境保全の観点からもモデルになるような新しい地域づくりを目指すことが望まれるのでないかと。こういった提言を現段階で書けることとして記載をしております。
 以上が今年の環境白書で掲載した内容でございまして、またこれ以降の進展については来年の白書でということで、今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上、簡単ですがご紹介をさせていただきました。ありがとうございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 この白書、大変読者が多くて、環境省にとっては非常に有用な発信母体になっていると思いますが、ぜひこの辺も環境基本計画の点検と何らかの形で、どういうふうにリンクすればいいのかわからないのですけれども、お考えいただくというのも必要かなと思っております。
 それでは、次はエコポイントですね。家電エコポイント……

○岡田委員 すみません。1つだけ。

○鈴木部会長 どうぞ、岡田先生。

○岡田委員 後で個別に伺ってもいい話なのですが、77ページだけちょっと。私、これは全部一応目は通しましたけれども、77ページのこの色の識別だけが私には理解できません。多分、これはうまく色が出ていないのだと思うのです。要するに、色の家庭系、手付かず食品、食べ、残し、調理くず・その他、事業系というのだけれども、1つ、緑色っぽいのがあるでしょう、上の例えば342という数字のところ。これと39という青いのがありますよね。多分、これ、物の順序でいくと、絶対数値がわからないからわからないところはあるのだけれども、これはどう……。要するに、緑色の表示がどれかわからないということなの、簡単に言っちゃうと。それはその下も同じです。そのすぐ下の292、304のところも皆同じです。これはちょっと困るのではないかなという気がしたので、個別に聞けばよかった話ですけれども、一応念のため。

○鈴木部会長 ええ。では、それはちょっと訂正版を。これはあれですか……

○浅野委員 とりあえず今わかるのは、どっちがどっちということは。

○鈴木部会長 後で調べていただいて。

○鈴木部会長 これは環境省のホームページからアクセスできるのでしょうね。ウェブに載っているのでしょうか。そこで確かめていただくと。

○大熊企画調査室長 もちろんウェブに掲載しておりまして、そこは見やすく必ず直しますが、いずれにしても確認はしまして、この時間内あるいは個別にご説明、ご報告させていただきます。申し訳ございません。

○鈴木部会長 1冊幾らなのですか、ちなみに。

○白石総合環境政策局長 2,000円台だと。

○浅野委員 こちらの「図でみる環境白書」はもっと安いでしょう。

○白石総合環境政策局長 これは非売品でしょう。

○大熊企画調査室長 こちらは売らなくて頒布をしているのですが、ただ、部数に限りはあるので、さらに大量に必要な方には有償でお分けをしているということになります。こちらは、今ちょっと手元に正確な費用はわかりませんが、かなり安くお分けできます。

○鈴木部会長 あんまり返本が増えて廃棄物が増えても困るから。
 では、エコポイントにつきまして。

○正田環境経済課長 お時間の関係もございますので、資料3をご覧ください。家電エコポイント制度の政策効果等につきましてご報告を申し上げます。
 1枚目の下半分、概要ございますように、このエコポイント制度につきましては3つの目的がございまして、温暖化対策の推進と経済活性化、地デジ対策という3つの目的を持ちまして、経産省、総務省と環境省、3省で推進したものでございます。ここにございますように、平成21年度の1次補正予算以降、補正予算、予備費というものを活用させていただきまして、対象期間といたしましては平成21年の5月からでございまして、購入期限は3月末、申請期限は5月末までということでございまして、これを踏まえまして、昨日、5月末までの実施状況とあわせまして、この政策効果等を3省それぞれの3つの観点から、推計といたしまして発表したものでございます。
 一番上のほうに政策効果、概要をまとめてございますが、温暖化対策という面でございますと、これは家電エコポの対象を統一省エネラベルが4つ星相当以上ということにしてまいりまして、そういった省エネ性能の高い製品の普及が広がったことに伴いまして、CO2の削減効果は、約2年間実施した結果、年間当たり約270万トンの削減と推計したところでございます。また、経済活性化の面でございますと、このエコポイントによって約2.6兆円、対象の3製品の販売押し上げがございまして、これに伴う波及効果として5兆円と推計されてございます。また、地デジ対策といたしましては、この地デジ対応テレビの出荷台数が2.2倍に増加したということでございます。
 また、その下に制度概要とございます中に、トピックスといたしまして、震災を踏まえまして、3月末からエコポイントの対象を震災の義援金等に寄附ができると、この仕組みを導入いたしましたところ、予想を上回る形であったと私どもは受け止めておりますが、1億円を上回るポイントのご寄附を震災対応としていただいたところでございます。
 めくっていただきまして、簡単にCO2のところだけ概要を申し上げますと、シート番号5番でございます。まず省エネラベル4つ星相当以上のものにつきましては、ここにございますように、ほぼ市場におきまして100%近い形でこういった省エネ性能の高いものの普及が進んだということでございます。これを踏まえまして、270万トンと申し上げましたが、下にその内訳がございます。エアコン、冷蔵庫、テレビとそれぞれございまして、合計273万トンのCO2の削減と試算しております。また、そのラベルの全出荷台数に占める割合は、下のグラフの左側でお示ししておりますような形で向上してきたということでございます。
 こういった形で今回、家電エコポイント制度の政策効果等をまとめさせていただきました。
 報告は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 環境教育推進法は少しご説明になる。

○河本環境教育推進室長代行 環境教育推進室でございます。
 先般、環境教育推進法について改正になりましたので、お手元に参考資料の3というものをお配りしておりますけれども、それに沿ってちょっと簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 現行の環境教育推進法は平成15年に成立をした法律でございますけれども、その後、環境保全活動の重要性、あるいは持続可能な開発のための教育の動き、あるいは学校における環境教育の関心の高まりと、そういった背景もございまして、より実践的で具体的な法体系となるように改正をすべきであると、そういうふうな動きになりまして、議員立法として改正図られまして、今月6月8日に参議院本会議全会一致でもって可決成立をしております。
 改正の内容につきましては、そこの改正の考え方のイメージというところにざっと書いてございますけれども、時間の関係もございますのでポイントを3つだけご説明をさせていただきます。
 まず1つは、佐々木委員からもご指摘ございましたけれども、学校教育における環境教育の充実を目指すということでございます。学校施設の整備での環境配慮を促進する、あるいは教材開発ですとか職員研修の充実をすると、そういったことについて条文を盛り込んでおります。
 それから、ポイントの2つ目といたしまして、環境教育等を進める仕組みを強化をしたということでございます。まず、環境教育等の取組を支援する、これは情報を提供するとか、あるいは調査研究をするとか、指導者のあっせんをするとか、そういった形での支援になりますが、そういった支援をする団体について国が指定をするという制度を追加しております。また、5ポツのところにございますが、自然体験等の機会の場を提供すると、そういった仕組みについても導入をしております。
 それから、ポイントの3つ目といたしまして、民間団体の意欲あるいはノウハウをより発揮しやすくすると、そういうふうな仕組みを導入しております。6ポツのところに書いてございますけれども、政策形成に当たって国民等による政策提案を推進をしていく。それから、先ほど善養寺委員からもございましたけれども、公共サービスの効果が十分に発揮されるように、価格以外の多様な要素も考慮して契約をされるように推進に努めていくと、そういった条文を盛り込んでおります。さらに、協働取組の推進のための協定制度と、こういうものも導入をしております。
 こういった中身を踏まえまして、法律の題名自体も今回変えておりまして、現在の法律、ちょっと長いですけれども、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律となっておりますが、今般、一番右下に書いてございますけれども、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律というふうに題名の改正がされております。こちら、平成24年の10月1日に全面施行という流れでございますが、それに向けまして、省令の策定であるとかあるいは基本方針の改定と、そういった作業を進めることとしております。
 簡単でございますが、以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 では、以上で大体予定した件は終了ですが、特に何かご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これをもち─では、佐々木委員。

○佐々木委員 今の法改正の件ですけれども、少し意見を述べさせていただければと思います。2つです。
 1つは、6の4のところでございますけれども、ほかのことにも関わりがあると思いますが、事業型環境NPO活動支援に関する裏意見でございます。活動支援を受けるとき、手続的に応募申請論文、多分書くことになると思うわけですけれども、その是非によって審査決定される。これは当たり前のことなのですけれどもね。ただ、一部のNPOは残念ながら、実践力もあり成果も上げているのですが、第一突破口が苦手なところがあることも現実としてあり審査対象にならずに支援を受けることが実現しない状況にあるやに聞きます。こういうときこそ、私は応募要項の中に、環境カウンセラーのような人たちが活用できるようなこともちょっと記載していただくと、応募指導を受けるのにも効果があるのではないのかなという。それは裏情報でございます。
 それからもう一つは、3の[2]に関わることでございますが、学校教育は確かに文科省でございます。しかしながら、この法を確実に実効力のあるものにするためには、手立てとして教材開発だとか資料を作成するのには、私は現場の教員をぜひ活用していただければなというふうに思います。環境教育に造詣の深い教員もおりますので、いわゆる校長先生だけだとか、国の行政の方だけだとか、そういうことのないように現場の教員をうまいぐあいに活用していただければな、そんなふうに思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それはもうよろしいですね。
 では、これをもちまして第60回総合政策部会を終了させていただきたいと思います。
 事務局のほうから。

○矢田環境計画課計画官 次回の日程についてお知らせをさせていただきます。
 61回目の総合政策部会ということになりますけれども、7月12日2時から5時までということで予定をしております。場所でございますけれども、この三田共用会議所ではございませんのでご注意いただきたいと思いますが、ホテルフロラシオン青山3階、孔雀の間ということになっております。詳細につきましては、開催通知を追って出させていただきますので、ご覧いただければというふうに思います。一応、今回の論点をさらに肉づけをいたしまして、中間取りまとめの素案のようなものにしてご審議をいただければというふうに考えております。
 よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、どうもありがとうございました。

午後4時57分 閉会