中央環境審議会総合政策部会(第46回)議事録

開催日時

平成20年9月26日(金)14:00~17:00

開催場所

三田共用会議所 4階・第4特別会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (一)第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検について
      • 地球温暖化問題に対する取組
      • 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
      • 生物多様性の保全のための取組
    2. (二)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1 「地球温暖化問題に対する取組」に係る報告
資料2 「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」に係る報告
資料3 「生物多様性の保全のための取組」に係る報告
資料4 予防的な取組方法の考え方に基づく施策のフォローアップ調査結果の報告

参考資料

参考資料1 第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について
参考資料2 排出量取引の国内統合市場の試行的実施について
参考資料3 「カーボン・オフセット」について
参考資料4 グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」の開催について
参考資料5 「エコ・アクション・ポイント」について
参考資料6 総合政策部会委員からの御意見
参考資料7 古紙偽装問題に係る特定調達品目検討会最終とりまとめの概要
参考資料8 中央環境審議会総合政策部会名簿

議事録

午後 2時01分 開会

○小川環境計画課長 それでは、少し遅れて来られる委員の方もいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、ただいまから第46回中央環境審議会総合政策部会を開会いたします。
 議事の前に、まず配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧ください。
 まず、議事次第と配付資料の1枚紙です。資料1といたしまして「地球温暖化問題に対する取組」に係る報告です。資料2の「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」に係る報告です。資料3の「生物多様性の保全のための取組」に係る報告です。資料4の予防的な取組方法の考え方に基づく施策のフォローアップ調査結果の報告です。
 それから、参考資料です。参考資料1が第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について、参考資料2が排出量取引の国内統合市場の試行的実施について、参考資料3が横の1枚紙ですけれども、「カーボン・オフセット」について、参考資料4が「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」の開催について、参考資料5がA3の折り畳んでいるカラーのものですけれども、「エコ・アクション・ポイント」についてという1枚紙です。参考資料6といたしまして、青木委員から、生物多様性の保全のための取組に関する意見書をいただいております。参考資料7といたしまして、古紙偽装問題に係る特定調達品目検討会最終とりまとめの概要であります。参考資料8が総合政策部会の名簿であります。
 それから、委員の席のお手元に、委員限りといたしまして封筒がございますが、これは環境省の21年度の重点施策などの参考資料でございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 以上、資料につきましてご不足がありましたら、事務局のほうにお申しつけをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、この7月に環境省のほうで人事異動がございましたので、議事に先立ちまして、関係の総合環境政策局の幹部についてご紹介をさせていただきます。
 局長の小林、遅れて来る予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、官房審議官の総合環境政策局担当の小林正明でございます。
 総務課長の梶原成元です。
 私、環境計画課長の小川でございます。
 環境経済課長の石飛博之です。
 企画調査室長の細野宏です。
 環境計画課計画官の小森雅一です。
 以上でございます。
 それから、発言の際には、このマイクの前のボタンを押してお願いいたします。また、発言が終わられましたら、もう一度ボタンを押してスイッチをお切りいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの進行を鈴木部会長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 今年度は、第三次環境基本計画の進捗状況の第2回の点検の年に当たっております。重点分野10のプログラムがございますが、このうちの5点について昨年度、そして残りの5点について今年度というような形で計画の進捗状況の点検を行うことになっておりますが、今年度の5点のうちの「地球温暖化問題に対する取組」、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」、「生物多様性の保全のための取組」、この3点の報告を本日は聴取させていただき、点検を行うということにいたしております。
 これは、それぞれ個別計画が存在いたしまして、それぞれの部会で、いわばその点検に当たるものをしておりますが、個別の基本計画の点検あるいは進捗状況の管理と、ここで行うべき環境基本計画の点検とは、多くの部分が重なりますが、趣旨が異なる面もございます。そういうことで、この環境基本計画の点検におきましては、それぞれの分野で点検をしていただいたものについて、環境基本計画に挙げられた重点分野プログラムの視点に沿った形でご報告をいただき、それについてご審議いただく、このようにいたしております。
 残りの2点の重点分野プログラム、「化学物質のリスク」、そして「人づくり、地域づくり」、これにつきましては第5回及び第6回の環境基本計画点検小委員会において既に点検を行ったところであります。
 それでは、各個別計画が存在します3つの分野につきまして、本日、それぞれの部会を統括しておられる事務側からご説明をいただくという形で、この計画のフォローアップを活用した点検を進めさせていただきたいと思います。
 まず最初のプログラムといたしまして、「地球温暖化問題に対する取組」につきまして、こちら側に担当の環境省の方々においでいただいておりますので、説明をお願いしたいと思います。
 15分ぐらいで、徳田さんから。

○徳田地球温暖化対策課長 それでは、お手元の資料1、重点調査事項[1]:京都議定書の6%削減約束の確実な達成のための取組からご説明させていただきます。
 これにつきましては、6%削減約束を達成するために京都議定書目標達成計画に位置付けられた対策・施策について調査を実施したところでございます。
 環境基本計画におきましては、すべての主体の参加・連携の促進と各主体に期待される役割、多様な政策手段の活用、PDCAの重視を十分に踏まえるということが書いてございます。
 さて、私ども行ってまいりました取組状況でございますけれども、京都議定書目標達成計画、平成17年4月に策定をされましたけれども、今年3月28日に全部改定をしたところでございます。
 次のページをご覧いただきますと、排出量の状況、そしてまた、それをどこまで持っていく必要があるかという図がございます。
 基準年、原則1990年でございますけれども、排出量が12億6,100万トンでございました。2005年度には13億5,800万トンと、7.7%の増加を見ております。2006年度は2005年度と比べますと1.3%減っておりますけれども、依然として基準年と比べると6.2%の増という状況でございます。これが2008年から2012年の約束期間においては、11億8,600万トンまで減らす必要があるわけでございますけれども、森林吸収源対策、京都メカニズム、それを見込みます12億5,400万トンまで減らす必要があるという状況にあるわけでございます。こういう状況のもとで目標達成計画の改定を今年3月に行いました。
 恐縮でございますが、11ページの次に色刷りのA4の縦長の資料、「改定京都議定書目標達成計画の概要」というものがございます。これをご覧いただけますでしょうか。
 上のところにございます排出量の見通しは、今ご覧いただいたものと同じでございます。
 こういう状況のもとで、どんな対策を打っていく必要があるかということでございますが、左側にございますように、主な追加対策の例といたしまして、既存の目達計画に加えて、自主行動計画をさらに推進するとか、住宅・建築物の省エネ性能の向上、トップランナー機器等の対策、工場・事業場の省エネルギー対策の徹底、自動車の燃費の改善、中小企業の排出削減対策の推進、農林水産業、上下水道、交通流等の対策、都市緑化、廃棄物・代替フロン等3ガス等の対策、新エネルギー対策の推進。そして、吸収源対策として、間伐等の森林整備、美しい森林づくり推進国民運動の展開。
 さらに、横断的対策として、排出量の算定・報告・公表制度、国民運動の展開、こういったものを実施することによって、右側にございますように、温室効果ガス排出量は、2010年度の目安でございますけれども、12億3,900万トンから12億5,200万トン程度に減らすことができるということでございます。
 ただ、これは漫然としていればこういう数字が達成できるかというものでは決してないわけでございまして、各主体が、現行対策に加えて追加された対策・施策に全力で取り組むことにより目標は達成し得るということになっておるわけでございます。
 その各主体が現行対策に加えて全力で追加対策に取り組んでいるのかどうかチェックをする必要があるわけでございますので、一番下にございますように、年に2回、6月ごろと年末に進捗状況を厳格に点検をするということを示しております。さらに2009年度、来年度でございますけれども、第1約束期間全体の排出量の見通しを示して総合的に評価をするということにしております。
 必要に応じて、機動的に、これは必要があれば毎年でも計画を改定し、対策・施策を追加・強化をし、6%目標を確実に達成するということにしておるわけでございます。
 以上が6%削減約束の確実な達成のための取組ということでございます。
 資料の本体のほうは、今ご説明差し上げたことが書いてありますので、読み上げることは省略させていただきまして、重点調査事項[2]に移らせていただきます。
 重点調査事項[2]は、5ページでございますけれども、長期的、継続的な排出削減のための取組ということでございます。
 1番目に、中長期目標の策定について。2つ目に、省CO型に経済社会を変革していくための取組について。3つ目に、2013年以降の取組について、我が国がリーダーシップを発揮するということについて、これらについて調査を実施したということでございます。
 主な取組状況のところをご覧いただきます。
 福田総理のスピーチ、6月9日でございますが、これは後ろのほうに資料をつけてございますけれども、そのスピーチ、それから懇談会の提言、さらに、福田総理スピーチなどを受けた「低炭素社会づくり行動計画」の閣議決定、これは7月29日でございますが、こういったことが行われました。
 我が国としても、2050年までの長期目標として、現状から60~80%の削減を行うこと、今後10年から20年程度の間にピークアウトすること、来年のしかるべき時期に我が国の国別総量目標(中期目標)を発表することということが書かれているわけでございます。
 それから、研究のほうでございますけれども、地球環境研究総合推進費におきまして、「戦略的研究脱温暖化2050プロジェクト」というものが行われておりますが、そこにおいて、主要な温室効果ガスであるCOを1990年に比べて70%削減する技術的なポテンシャルが存在するということが明らかになっておるところでございます。
 続きまして、我が国の経済社会を省CO型に変革していくための取組でございますけれども、ここに掲げられておりますように、様々な取組が行われてきております。
 新エネルギー導入を加速化するための補助金による再生可能エネルギー導入支援。技術開発事業の実施、燃料電池自動車の実証走行などによる次世代自動車の導入支援。テレビやエアコン、冷蔵庫などについて、トップランナー基準の見直し、研究開発事業、情報提供による省エネ性能の高い機器の導入の加速化。住宅についても、省エネ改修促進税制の導入、情報の提供による省エネ住宅の普及推進。それから、「見える化」とかカーボン・オフセットとか、そういったことについて検討を開始しております。環境モデル都市については、募集・選定による低炭素型の都市・地域づくりの推進を進めております。「21世紀環境教育プラン」などの実施による環境教育の充実も図っております。クール・ビズ、ウォーム・ビズなどの「チーム・マイナス6%」の取組等を推進することによる国民運動の展開も図っております。先ほど申し上げましたような「低炭素社会づくり行動計画」が策定されたところでございまして、それに基づく施策も進めてきておるところでございます。
 それから、研究分野では「戦略的研究脱温暖化2050プロジェクト」で、「2050年までにCOの排出量を1990年比で70%削減し、豊かで質の高い低炭素社会を構築することは可能である」との結論が出ていたわけでありますが、それを受けて、70%削減を現実のものとするための具体的な12の方策を提案するということもしておるところでございます。
 リーダーシップの発揮でございますけれども、洞爺湖サミットで2050年までに世界全体の排出量を少なくとも半減するビジョンをUNFCCCの全締約国と共有することを求めることで合意いたしました。特に、先進国については、野心的な中期の国別総量目標を実施することなどが合意をされたところでございます。また、セクター別アプローチに関して、有益な手法であるということも合意をされました。また、7月9日、サミットの最終日に行われました主要経済国首脳会合においても、途上主要経済国は、対策をとらないシナリオのもとでの排出量からの離脱を達成するための適切な緩和の行動を遂行するということが合意をされたところでございます。
 今後の展望でございますけれども、1つは、「低炭素社会づくり行動計画」を踏まえた取組を推進していくということで、技術の開発・普及。太陽光発電、次世代自動車、省エネ機器、そういったものの導入。国内排出量取引制度につきましては、この10月をめどといたしまして、できるだけ多くの業種・企業が参加する試行的実施を開始するということでございます。また、税制のグリーン化を進める。カーボン・フットプリント等の温室効果ガスの排出量の「見える化」について、2008年度中にガイドラインを取りまとめ、試行実験をする。カーボン・オフセットについても、2008年度からモデル事業を行うといったようなことを考えております。農林水産業の役割を活用した低炭素化については、食料供給と競合しないバイオ燃料生産拡大対策等を進めます。低炭素型の都市や地域づくりについては、環境モデル都市の選定等々、それから低炭素社会、持続可能な社会について学ぶ仕組みについて、生涯を通してあらゆるレベル、あらゆる場面の教育において、低炭素社会や持続可能な社会について教えていく仕組みを取り入れる。そして、チーム・マイナス6%の取組の促進やクールアース・デーの取組を展開するといったことを進めてまいります。
 また、革新的制度の設計と導入ということも考えておりまして、中環審で「低炭素社会づくりに向けて」という報告をいただきましたけれども、また地球環境研究総合推進費で「低炭素社会に向けた12の方策」という研究が行われておりますけれども、そういったものを参考にしながら、革新的な技術の開発導入と両輪を成す革新的社会制度づくりの課題を明らかにして、革新的制度の設計と導入を進めてまいりたいと考えております。
 国際的議論を主導する我が国の役割でございますけれども、今後10年から20年の間にピークアウトさせる。また、すべての主要排出国が参加する、公平かつ実効的な2013年以降の新たな枠組みの構築に向けて、国際的議論を主導していく。中印等の新興国に対しても、長期目標を共有し、国連交渉において採択されるようリーダーシップを発揮していくということを考えておるところでございます。

○小野研究調査室長 引き続きまして、重点調査事項[3]の地球温暖化による避けられない影響への適応のための取組でございます。
 この重点調査事項[3]につきましては3点ございます。1点目が、国際的な連携のもとでの適応策のあり方に関する検討や技術的な研究、2点目が、モニタリングの拡充・強化、3点目が、我が国の取組と途上国等への適応策への支援という3点でございます。
 主な取組状況でございますが、まず、適応策のあり方に関する検討や技術的な研究の分野でございますが、1点目は、適応基金が、気候変動枠組み条約のもとで設置が決定されておりまして、CDMクレジットの2%相当を原資として、途上国の適応策の資金援助をするということでございます。現在、支援の対象範囲でありますとか規模、活動等々の詳細事項を理事会で検討中でございます。可能な限り早期の運用を目指して運用体制の詳細について議論を進めるという状況でございます。
 2点目は、いわゆるAPNと言われておりますが、アジア太平洋地球変動研究ネットワークでございます。この研究の中で、途上国に対する気候変動への脆弱性評価や適応策の研究について支援が行われております。
 2番目の大きな柱のモニタリングでございますが、これにつきましては、モンゴルあるいは中国西部を中心として、衛星観測ステーションを設けまして、衛星データと地上観測データを組み合わせた影響の早期検出ネットワークを設けております。
 3点目の我が国における適応策の実施と途上国への支援ということでございますが、1点目といたしまして、環境省の委員会で、本年6月に適応に関する調査報告書をまとめていただいておりまして、今後の影響・適応研究の具体的な方向性、あるいは行政分野での方向性を示していただいております。
 2点目は「クールアース・パートナーシップ」、今年1月に福田前総理から提唱されておりますけれども、この中で、適応策については、我が国の無償資金協力、技術協力等、あるいはUNDP等国際機関を通じて、本年からおおむね5年間で累計2,500億円程度の支援を行うというふうになっております。また、アフリカ開発会議のほうでも、UNDPと共同で支援の枠組みを構築いたしております。
 環境省といたしましては、外務省あるいはJICA、JBIC等への助言、あるいは現地調査団への参加等々によりクールアース・パートナーシップの推進に貢献しております。
 最後に、今後の展望でございますが、論点として、以下のような点が取りまとめられております。
 まず、国際的な連携による適応策の検討につきましては、先ほどの適応基金でございますが、このルールの制定が遅れておりまして、次期枠組み交渉に影響を与える可能性がだんだん増えているという課題がある。
 2点目といたしましては、APNについては、気候変動への適応に焦点を当てた研究の拡充が必要であるということ。
 我が国における適応策につきましては、先ほどございましたけれども、調査研究を引き続き推進するとともに、さらに関係省庁と調整をして、行政レベルにおける適応策の推進に関する検討を進めること。
 最後の、途上国に対する支援でございますけれども、クールアース・パートナーシップについては、より多くの国に対する支援を実施する。さらに、こうした支援を通じて、すべての国が参加する、2013年以降の実効性ある枠組み構築に向けた交渉を促進していく。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 この地球温暖化問題に関しましては、きょう、参考資料を関連するものとして4件準備していただいております。この周辺でいろいろなことが動いておりますので、これにつきましてご説明をいただいて、その後で委員の方々からご質問、ご討論をお願いしたいと思います。
 排出量取引の国内統合市場の試行的実施について、「カーボン・オフセット」について、「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」の開催について、「エコ・アクション・ポイント事業の実施状況」、これらにつきまして説明をまずお願いいたします。

○高橋市場メカニズム室長 市場メカニズム室の高橋でございます。
 まず、私のほうから、排出量取引及びカーボン・オフセットにつきまして簡単にご説明いたします。
 まず、参考資料2をご覧いただきたいと思います。「排出量取引の国内統合市場の試行的実施について」でございます。
 これにつきましては、6月9日の福田総理スピーチの中で、今年の秋から、排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始する。これによりまして、本格導入する場合に必要となる条件、制度設計上の課題などを明らかにするということが打ち出されました。
 また、7月29日の「低炭素社会づくり行動計画」におきまして、9月中に試行的実施の設計の検討を進めまして、10月を目途に試行的実施を開始するということが閣議決定をされております。
 これを踏まえまして、内閣官房を中心に環境省、経済産業省、国土交通省、農水省、外務省、金融庁の局長クラスからなります検討チームがつくられまして、そのもとで課室長クラスの作業グループを設置しまして、また、産業界からのヒアリングなども行いながら、現在この中身を詰めているところでございます。
 きょうお配りいたしました資料は、右肩にございますように、9月17日に開催されました、官邸に設置されております地球温暖化問題に関する懇談会政策手法分科会、これは森嶌先生が委員長をされておりますけれども、そこでこの試行的実施の検討状況について報告をいたしました。その際に使用した資料でございます。
 まず、制度の骨格でございますけれども、企業等が自主的に参加する試行として実施するということでございまして、総理のスピーチにもございますが、できるだけ多くの業種・企業が参加するような仕組みにする。また、現在、既に第1約束期間に入りまして、自主行動計画を踏まえた対策が行われておりますので、その自主行動計画の取組にも役立つように、自主行動計画との整合性もとっていくということでございます。また、本格導入する場合に必要となる条件、課題等を明らかにしていく。ただし、この試行自体は、将来の義務的な排出量取引制度の導入を前提としたものではないということでございます。
 また、試行を通しまして実効性あるルールの構築を図っていくということで、これも総理のスピーチの中に入っているポイントでございますけれども、削減や技術開発につながる実効性あるルールづくり、あるいはマネーゲームを排除していく。また、技術とモノづくりが中心の日本の産業に見合った制度というものを検討していく。また、国際的なルールづくりの場でのリーダーシップの発揮につなげていく、そういうようなことを頭に入れながらやっていくということでございます。
 現在検討中の基本的な執行の枠組みでございますけれども、中心的な部分につきましては、2にございますけれども、企業が自主的に削減目標を設定していただきまして、その達成を目指して削減をしていただく。また、自主的な目標を達成するに当たりましては、その削減に加えまして排出枠、あるいはクレジットの売買を活用できるという考え方でございます。
 具体的にどういうものが売買に使えるかということでございますけれども、これにつきましては、一番最後の紙にポンチ絵がございます。これをご覧いただきたいと思いますけれども、試行的実施のイメージという一番最後の紙でございます。
 これをご覧いただきますと、四角が幾つかございますが、「国内統合市場」の試行という下に大きな四角がございますが、左側に、個々の企業等が排出削減目標を設定、超過達成分を取引するという部分がございます。ここが今回の試行の中核部分ということで、ここの中には、自主行動計画を目安に自主的に目標を掲げて入っていただいている企業、あるいは環境省が実施しております自主参加型の排出量取引というのがございますけれども、そういうところに参加をしている部分もございますが、自主的な目標を設定している部分でございます。
 [1]、[2]に入っている企業は、右側にございますような、国内クレジット。これは目標設定をしていない中小企業等が削減努力をした場合に、それをクレジットとして認証して、それを活用していくという仕組みを今回新しく始めることになってございます。あるいは京都クレジット。これは従来から、CDM等のクレジットを使えることになっております。こういうクレジットを活用しながら目標達成し、また、自主行動計画に反映していくということで、大まかに言いますと、こういう構造で試行的実施をしていこうということで、今この詳細を詰めているところでございます。
 1枚目に戻っていただきまして、4.削減目標の設定というのがございます。
 今回、試行ということで、目標の設定自身は、自主行動計画と整合をとった上で自主的に設定をしていただくということになりますけれども、次のページにございますが、ただ、安易な売り手の参加を助長しないような一定の設定方法を検討する必要がある。例えば、既に自主行動計画を大幅に達成しているような業種につきましては、そのまま自主行動計画を目安に参加されますと、いわゆる入っただけでホットエアが売れてしまうということがございますので、そういう場合には、目標の見直しをした上で参加をしていただくということが必要かと思っております。
 また、今回自主行動計画を目安にしているということもございまして、今、自主行動計画で設定されている企業につきましては、排出量だけではなくて原単位による目標の設定も認めるということでございます。ただ、この場合は、最終的に目標を達成したかしないかという場合に、どれだけのクレジットを売買しなければいけないかという場合には、原単位の値に、何らかの形で活動量を掛け合わせることによって、実際の売買しなければいけない量を決めるというプロセスが当然入ってまいります。
 あと自主行動計画の関係につきましては、先ほど申しましたように、できるだけ整合性をとっていくということで、今回いろいろ取引をするクレジットなどにつきましては、自主行動計画上も反映されるという方向で検討を進めてございます。
 最後に、6.排出枠・クレジットの信頼性確保ということでございます。
 これも、この試行の中で大変重要な要素でございますけれども、排出量のモニタリングでございますとか検証、あるいは取引される排出枠・クレジットの管理システム、こういうものを適切に実施するということで、これについても具体的な中身について今詳細を詰めているところでございます。
 以上が試行的実施の概要でございます。
 もう一つ、参考資料3でございますけれども、「カーボン・オフセット」についてということでございます。
 「カーボン・オフセット」という言葉が最近ちまたで言われているようになってございますけれども、ここにございますように、「カーボン・オフセット」といいますのは、市民・企業等が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、削減努力を行うとともに、その削減できない部分については、他の場所の削減・吸収量など、そういうクレジットを買うようなことをいたしまして埋め合わせをしていくということでございます。こういう新たな手法でございますけれども、これによりまして、市民・企業などによる自主的・主体的な取組を促進する。また、クレジットを買うということによりまして、内外の削減プロジェクトに対する資金調達にも貢献できるというメリットがあると考えてございます。
 下に取組でございますけれども、現在、環境省では、このカーボン・オフセットを適切に推進していくということで様々な取組をしてございます。2月には、「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方」という指針を策定いたしまして、また、右側にございますけれども、4月には、カーボン・オフセットに関する情報提供や相談支援等を行うカーボン・オフセットフォーラム(J-COF)というものを設立してございます。
 また、カーボン・オフセット、現在クレジットとして使っているのは、主に京都メカニズム、CDMによるクレジットでございますので、いわゆる海外からのクレジットが主でございますけれども、国内の削減とか吸収、こういう活動を進めることによってカーボン・オフセットに活用できないかというニーズも大変ございますので、カーボン・オフセットに用いることができる国内の排出削減吸収クレジット、こういうものを認証基準というものを現在検討してございます。
 また、今年からカーボン・オフセットモデル事業というものも進めてございます。
 裏側に、先般8月にモデル事業を9件ほど採択いたしましたけれども、ここにございますような商品・サービスを利用したオフセットでございますとか、会議・イベントをオフセットするというような取組、あるいは自らの産業活動をオフセットするというもの、それから特定者間型オフセットと申しますが、これは市場を流通するようなクレジットではなくて、もう少し地域の地域通貨のような形で、少し緩い形で排出量、吸収量を認定いたしまして、それを地域で流通させていくというような取組でございます。
 例えば、3番目の新宿区というのがございますが、これは新宿区と長野県伊那市が連携いたしまして、新宿区が、伊那市における森林保全活動に支援いたしまして、それによる吸収量で新宿区の都市活動に伴う排出量をオフセットする、そういう都市と連携したような取組も取り上げてございます。
 簡単ですけれども、以上でございます。

○石飛環境経済課長 続きまして、参考資料4で、「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」の開催についてご紹介いたします。
 いわゆる環境税、炭素税と言われるようなCOや炭素に価格を設定して、それを基準にして税収を得るというような税制につきましては、平成13年に、この総合政策部会と地球環境部会の合同部会のもとに税制の専門委員会を設置して検討していただいたというところから端を発しております。その結果は、平成15年8月に具体的な案として取りまとめられたところでございます。また、平成15年12月には、政策総合企画小委員会を設置いたしまして、その後の情勢変化を踏まえて論点の取りまとめをいたしたところでございます。
 1枚目に書いてありますように、平成17年4月に閣議決定された目達計画におきましては、環境税は、いろいろと検討すべき課題があるということでの位置づけがなされました。さらに、平成17年5月に、この総政部会、そして地球環境部会のもとに、「環境税の経済分析等に関する専門委員会」が設置されまして、非常に精力的なご審議をいただいて、同年8月に中間的に審議の整理を行ったところでございます。
 さらに、本年3月に閣議決定されました目達計画におきましては、先ほどご紹介があったとおり、いろいろなことを踏まえて速やかに検討すべき課題とされました。また、本年6月に閣議決定されました「骨太方針2008」、それから「低炭素社会づくり行動計画」等におきまして、本年秋、もう秋になっておりますが、に行われる税制の抜本改革の検討の際に、道路特定財源の一般財源化にとどまらず、環境税の取り扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直し、税制のグリーン化を進めることということが政府の方針として決定されたところでございます。
 また、遡りますが、昨年11月の政府税制調査会がまとめた基本的な考え方においても、環境税については、既存のエネルギー関係諸税との関係を踏まえて検討すべきということでございます。
 さらに、今般の情勢変化ということで、現下の原油価格の高騰等の経済状況についても留意が必要である。
 こうした昨今の様々な情勢の変化を踏まえて、これまで長期間にわたってご検討いただいたものに、さらに現在の分析を加える必要があるだろうということで、今般、これまでございました環境税の経済分析等に関する専門委員会、これを若干衣替えいたしまして、少し視野を広げて、「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」を開催するということで、既にこれまで2回開いておりまして、技術的、専門的な見地からの調査・分析を行っていただいているところでございます。
 テーマは、2.調査事項のところにございます[1]~[6]、読み上げませんけれども、様々な分野からご指摘をいただいている課題について、現時点での調査・分析を行うということが目的でございます。
 続きまして、2ページには、この専門委員会の委員の名簿を示してございます。委員長は、東京大学の神野教授にお願いしているところでございます。
 3ページ、4ページ目には、この専門委員会で議論すべき論点、検討事項につきまして、少し具体的に説明したものをつけてございます。
 さらに、5ページ目にまいりまして、専門委員会の開催状況でございますが、今月3日に第1回を開催いたしまして、これまでの経緯の報告と今後の検討事項・論点についてご議論いただきまして、第2回は16日に開催いたしまして、原油価格の高騰等の経済状況下での課税の効果、諸外国における取組の現状をご審議いただきました。また、第3回は来週予定しております。こういった議題について行いまして、第4回、そして第5回をできれば10月中に開催いたしまして、先ほどの論点、検討事項について一通りのご審議をいただいて、その成果をまとめていきたいと思っております。
 その成果につきましては、またこの部会にもご報告申し上げたいと思っておりますし、この成果に基づいて、環境省で具体的な税制の案を作成いたしまして、今後の政府税制調査会の議論に反映したいと考えているところでございます。
 その次から、参考資料といたしまして、この専門委員会で提出いたしました資料、また若干ご指摘いただいたものを踏まえて修正したものをつけておりますので、また後ほどご覧いただければと思っております。
 続きまして、参考資料5に移らせていただきます。「エコ・アクション・ポイント」についてということでございます。
 国民運動、特に温暖化対策を進める上での国民運動をさらに加速化するということで、これまでも様々な普及啓発活動をやってまいりましたし、先ほど紹介のありました「見える化」につきましても取組がなされております。それに加えまして、よりCOの削減につながる消費活動、また日常の行動を促す直接的な経済インセンティブがないだろうかということで、今回これを始めようと思ったわけでございます。
 世の中にはポイント制度が非常に多くございます。大体それらは各デパート、スーパーマーケット、そういう店舗単位で抱え込みをするということが目的になっておりますが、このエコ・アクション・ポイントというのは、その囲い込みの垣根を乗り越えて、できれば、地域単位、さらには全国単位で環境に配慮した、特にCOの削減につながる商品を購入する、またはサービスを購入する、さらには、日常生活を行う、そういったものにエコ・アクション・ポイントという、今までの単純な消費に対するポイントとは異なるポイントを与えて、それで国民の皆様の行動を環境配慮型に誘導していくということをねらったものでございます。
 時間の関係で、すべて説明することはできませんが、表のページの右側に「エコ・アクション・ポイント」とありますが、今申し上げたように、CO等の排出削減に資す照る商品サービスの購入・利用や、省エネ行動によりポイントを与えて、そのポイントの利用に応じて商品等の経済的価値のあるものと交換できる仕組みということでありまして、買っていただくものは省エネ型の家電製品、住宅設備、地産地消型の商品というような削減の効果のあるもの。それにつきましてポイントを与えて、そして様々なものに交換するわけでありますが、ここでは必ずしも省エネ型のものに限らず、様々なものに換えることができますということにしておりますが、温暖化対策事業への寄附、例えば、自然エネルギーの開発への寄附、それから商品の交換、鉄道利用その他のCOの削減につながる商品に交換、さらにはオフセットといったようなメニューを用意して、こういったものを活用していただければと思っております。
 右下に全国型(3事業)、地域型(9事業)ということで、先ほど言いましたように、全国型と地域密着型のエコ・アクション・ポイント事業を今始めようとしているところでございます。
 裏のページをご覧いただきまして、左上でございますが、このエコ・アクション・ポイントの一つの特徴は、先ほどと重複しますが、温暖化対策を自ら行うことに比較的関心のない大多数の家庭の方々を動かすような魅力的なインセンティブが必要だろうと考えております。
 そこで、ポイントを貯めるという入り口は狭くする。これはやはり温暖化対策に資する商品サービス、行動に、買っていただく、または行動を起こしていただくということに対してのみポイントを与える。ただし、ポイントを使う段階では、余りここを縛りつけると、大多数の家庭の関心がそがれてしまうということで、関心のない方でも興味を持つ仕組みということで、最初は通常の商品サービスとの交換もできますよということで、出口を広くするという仕組みでございます。
 それから、左下でございますけれども、このポイントの事業につきましては、地域でもいろいろな取組が、特に自治体でも行われますけれども、これまで多く行われているものは、原資を公共が負担するということが主流でございます。そうしますと、どうしても税金からポイントを支給するということには継続性が伴わないという問題点が起きますので、私どもが目指しているのは、最初の立ち上げには様々なシステム、ポイントの管理システム、配給システムの開発が必要でありますので、立ち上げ時の支援は資金的な支援もしますけれども、一たん立ち上がった後は、民間の主導で自立したビジネスモデルになるようにということで、今そのシステム設計を慎重に進めてきたところでございまして、ようやく来月16日にこの立ち上げのためのシンポジウムを開催しようと思っております。また後ほどご案内をさせていただきたいと思いますけれども、ようやく多くの民間企業の方々の賛同をいただきまして、このポイントを始める段になっております。これがまた順調にいくように、私どもとしても支援をしていきまして、その成果につきましては、またご報告をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 地球温暖化問題に対する取組に関しましての点検に関する報告の部分と、それから4件、それに付随するいろいろな活動のご紹介がございました。委員の方々からご質問あるいはご意見をいただきたいと思いますが、ご質問の方、名札を立てていただきたいと思います。
 9名の方でよろしいでしょうか。それでは、速水委員のほうからまいりましょうか。

○速水委員 両方とも森林に関してでございますが、2点ございまして、1つは、なかなか森林の管理、3.8%を期待されても難しいところがあるんですけれども、例えば、国内取引は今回考えられている中で、森林というのは管理をしても3.8の中に入ってしまうというので、吸収した部分はすべて国の部分だというふうなとらえ方が─そうだと言われているわけで、なかなか特に私有林経営者が森林管理に対して、CO絡みでのというか、温暖化ガス吸収絡みでの制御のインセンティブというのはなかなか起きてこないわけです。そういう意味で、どういうやり方がいいのかはまだわからないんですけれども、例えば、ここで新宿区と伊那市の例が出ていると思うのですが、多分これは本当にお互いの納得の中で済ませていくだけであって、外に対してリセールバリューがあるような話なのではないだろうというふうに思っているんですけれども、例えば、その辺の仕組みをしっかりと見えるように打ち出していただいて、我々が自ら森林管理を積極的にやることとCOの吸収というものがくっつくような仕組みを出してもらわないと、常に補助金だけで動いていくしかない。そうなってくると、実際には作業する、例えば、森林組合という組織の作業班がそこで働くための場所として常に作業が繰り返されるので、便利な同じ場所が管理されていくとか、そんなことが起きてきて、実際になかなか全体の数字が上がってこないみたいなことが起きてくるんだろうと思います。
 もう一つは、バイオマスの燃料で食料と競合しないというふうに、それは当然のことだと思うんですけれども、木質バイオマスの話というのは当然出てくるんだろうと思うのです。例えば、間伐材を合理的に搬出しまして、それをチップ化するなりペレット化するなりして燃料として、あるいは発電所なんかの燃料として使っていく。当然そこは削減になるわけなので、そうすると、国内排出削減で売れるのかという話になってくるわけですけれども、その流れをよく見ると、森林管理も進み、そこで森林のほうの吸収源の確保もでき、そしてバイオマス燃料として使われて削減されていく。化石燃料を代替するから削減されていくという、非常に話としてはきれいに進むわけで、余り悪いところが見えないというふうに思います。その辺をもっと合理的に、事業のこういう評価の中で明らかにして、注目をしていただいて、動く仕組みを、林野庁だとかそれぞれ単独で考えるのではなくて、もう少し流れとしてつくれれば、全国一応森林というのは、人工林だけで1,000万ヘクタールぐらいあるわけでございますので、そこが本気になって動き始めれば、それなりに森林の吸収量というのは確保されていくんだろうというふうに、森林を管理する者としてはいつも思います。
 特に、近年、企業が森林を購入したり、あるいは自分たちが今まで余り管理していなかった森林を管理しようという動きが見えてくる中で、特に森林の吸収量、そしてそこを次にバイオマス燃料として使った部分での削減量みたいなものを一連のものとして評価できる仕組みをしっかりつくることで、かなり単純に森林の3.8以外の部分でも効果が出ていくのではないかなというふうに期待していますので、その辺をぜひ検討して、こういうところにしっかり書き込んでいただきたいというふうに思っております。
 以上です。

○萩原委員 1点です。目標達成計画の概要の中に、「深夜化するライフスタイル・ワークスタイルの見直し」というところがありますが、そういった中で、今、内閣府を中心に、ワークライフバランスが国民運動として進められていると思います。例えば、ひとつ働き方を変えるということで「カエル!ジャパン」、こういったところとの連携といったものは今どのようになっているのか、考えていらっしゃるのか、もう既に進んでいるのかということについてお聞きしたいと思います。

○長辻委員 お尋ねしたいことが1つあります。
 2050年までの長期目標ということと関連して、前々から気になっていることが一つあります。それは、政府の地震調査委員会によると、今世紀前半には東南海地震、南海地震が起こるであろう、さらには、東海地震も連動しそうだと予測されていることです。また、首都直下型地震も予想されています。つまり、日本の経済社会に甚大な影響を及ぼすこれらの大災害が、温暖化対策の中にどういうふうに織り込まれているのか、あるいは予測してもしようがないことだから置いておこうということで、検討の枠外に置かれていたのか、そのあたりのことをもう一度確認したいと思っております。
 以上です。

○永里委員 資料1のページ5に書いてあります温室効果ガスの濃度の安定化に向けた長期的継続的な排出削減等のための取組の中に触れられておりますけれども、2050年、COを70%削減するという日本の計画についてコメントします。このターゲットに関しましては、環境税とか排出権取引だけでよしとするようではとてもだめでして、企業が抜本的に製造プロセスを変えるとか原料をかえるとか、そして生活者がライフスタイルを抜本的に変えるといくというようなことをやらない限りできないと思います。したがって、化学会社をはじめとして、COを原料としたり、あるいはCOを出さないようなプロセスに製造業は変更していくと思います。それに対して、生活者のほうも、そういう会社を評価し、そういう会社のブランドを高めさせると同時に、積極的にその製品を買っていくというようなことが重要だろうと思います。そのベースには、環境教育の徹底が重要であり、小さいときからの刷り込みが必要です。何が環境によいことなのか、そして企業をどう評価していくのかというようなことも含めて環境教育が重要だろうと思います。
 その意味で、今の生活者というのが、そのレベルに達しているかどうか、北部ヨーロッパに比べてその点は達していないような気がするんですが、まず手始めに、今回、エコポイントみたいなものができてきまして、だんだん関心が高まってくると同時に、環境教育に対する徹底した行動が政府のほうから出てくると思いますが、マスコミのほうもぜひこの辺を報道し、そして政府のほうも、これを広報活動として取り上げて、2050年、70%が可能な社会をつくっていただきたいと思います。

○善養寺委員 速水さんのを聞いていてあれだったのは、森林保全の部分のカウントをする際に、今回、試行ですけれども、排出量取引が企業の自主的参加によるというので、本当にまともに目標が達成するほど効果があるのかというところがあります。そういう点では、本当は自治体レベルできちっとしたキャップをかけて、その中で地域に存在する企業に対して数字を上げさせていくとか、森林を持つエリアが、その森林を保全することで自治体の削減の中で明確に入れていくというような、もう少しきちっとした枠を強制していかないと難しいんではないかと思います。
 それと、速水さんが言っていた、バイオマスは今後すごく検討すべきだと思うんですけれども、そのまま間伐材を燃料にしてしまうということは、余り値段がつかないんではないかと思われます。本来は、今、建設廃材を建材にリサイクルしているところを逆に禁止してしまえば、間伐材は建材になり、廃材はサーマルになるということで、森林に落とされる間伐材に対する値段はまともな値段がついてくるんではないかと思う。そういう総体的なことを考えながら、いろいろな弊害となっている法律をきちっとしていくことも重要なのではないかなというふうに思います。

○塩田委員 大変たくさんのご説明をいただきましたので、細かい点で恐縮ですが、幾つか質問したいと思います。
 第1点は、適応に関してモニタリングをするとか、適応基金の活用を今検討されているということに関してですが、モニタリングというのはこれから大変重要になると思うんですけれども、先ほどモンゴルについての地球環境への影響をさらに早い段階で検出するモニタリングをやるということは、非常に重要だということは指摘されたんですけれども、この問題については、例えば、我が国の国内ではもう既にこういうモニタリングというのは、十分行われているのかどうか。それとの関係で、何故モンゴルがここで特に取り上げられるのかという点が第1点です。質問です。
 第2点は、適応基金に関して、CDMのクレジット2%を原資として適応基金の検討が今検討されているということですけれど、検討されるということについては何度も説明をいただきましたが、これが具体的に今どんなイメージでまとまっていきそうなのかということについて、検討資料でも何でもいいんですが、もし参考になるようなものがあったら、その資料を教えていただきたいというのが第2点です。
 第3点は、排出権取引の実効あるルール、この点に関して、私は排出権取引をもし実際に活用するということであれば、マネーゲームはぜひ排除しなければいけないと思うのですが、マネーゲームの排除というのは、例えばどんな方法で可能なのかどうかという点について、今検討されている内容について紹介していただければありがたいと思います。
 最後に、4番目に、よく「見える化」というご指摘があるのですが、この点に関して、広範に影響を与える電気料金の対象となる使用量に関して、この「見える化」というのがどのように実現しそうなのかという、そのイメージをもしお持ちでしたら教えていただきたい。
 以上4点です。

○川上委員 今後の世界的な排出量と削減努力というコンテキストでのご質問をさせていただきたいのですが、先ほどからのご説明、あるいはペーパーにも書いてありますけれども、日本は今後、国際的なルールづくりでのリーダーシップを果たす、多面的ですか、積極的な役割を果たすということがうたわれていて、リーダーシップというのが一つのキーワードみたいになっていると思いますけれども、今年のサミットはそれなりにしっかりした成果が得られたと思いますし、日本がリーダーシップをとれたんだと思いますけれども、問題はこれからで、今後のCO削減努力において日本がいかなる実質的なリーダーシップをとれるのかという点が大事だと思います。
 そこで、一つの例ですけれども、もちろん環境税だとかいろいろあるわけですが、きょうは排出量取引がもうすぐ始まる、試行されるということで、先ほどご説明もありましたので、それに関してのコメントといいますか質問ですが、世界的に国際的に見ますと、EUは既にキャップ・アンド・トレードをやっているわけですが、これから二、三年ぐらい先を見通して、各国がやろうとしている、あるいは計画中であるものを頭に置いてみますと、かなりの程度、いわゆる国際標準的なものは、キャップ・アンド・トレード的なものになるのではないかということが十分予測されるわけです。他方、我が国が今やろうとしている試行というのは、伺っている限りでは、あくまで企業の自主的な参加で、かつ目標も自主的にやるということであって、実際問題として、いわゆるイマージングといいますか、だんだん世界の標準になりつつある制度との関係で著しく乖離があるというふうに見ざるを得ないんですが、今後、その辺の乖離をどのように縮めていくことができるとお考えなのか、あるいはその辺はもうなかなか日本の国内事情で難しいというふうにお考えなのか、これはかなりこれからの削減努力において基本的な点でございますので、もしわかればご説明をいただければ幸いです。

○山本委員 私の質問は、今のご質問とも絡むのですが、相当これは急がないといけないということでありまして、昨年9月の北極解氷の面積が413万平方キロまで減少して世界が驚いたわけですが、今年は何と、先週アメリカの発表では452万平方キロまで減って、観測史上2番目になって、どうもこの北極解氷が消滅に向かっているのは確実であるというふうに世界の雪氷学者がコメントしているわけですね。早ければ5年で消滅するということで、ただならない情勢になっていると思います。
 それで、日本の自民党、公明党、民主党は、地球温暖化防止法案というのを制定せよということを6月に表明して、既に参議院で民主党で提案して、それは廃案になったわけですが、今度の臨時国会に提出するというふうにも報道がされているわけです。
 それで、私の提案は、今、我々は点検作業をやっているわけですが、日本の政治が動いて、こういう温暖化基本防止法案が国会で通ったなんてことになれば、この基本計画の位置づけはどういうふうになるのか、やはり改定作業をするのか、その辺をお尋ねしたいということであります。ありがとうございました。

○佐和委員 それでは、資料1から順々に私の質問及び意見を何点か申し上げたいと思います。
 まず、資料1のページ5ページをご覧いただきたいのですが、[1]の一番最初の

○のところに、「バックキャスティング」云々というのが書かれていますね。どうも書き方として若干疑義があると思うのです。バックキャスティングという場合は、例えばどういう技術が二千何十年ごろに実用化されるのかとか、そういう技術のロードマップシステムみたいなものをまず前提とされなければいけない。同時にまた社会的な制度改革のようなものがどういうテンポで実施されるのかどうかというようなことを前提として、つまり、2050年に、日本の場合だったら70%削減するということの目標を達成するためには、こういう技術がアベラーブルになるから、かなりそれは実現可能である。同時に、こういう制度をさらにそれを後押しするために、どういうリキデンで導入していかなければいけないかというのをやるのがバックキャスティングである。
 それから、ここに突然「予防原則」という言葉が出てくるのは、何でここに「予防原則」という言葉が出てくるのかが理解しがたい。
 それから、海外での削減分というのをどう考えるのか。つまり、70%なんですけれども、そのうちの10%分は、あるいは20%分は海外での削減分をカウントに入れてもいいんだというふうなシナリオづくりをやるのかどうか。
 もう1点、日本は2050年には、注意予測で9,500人まで人口が減るわけですね。つまり30%人口が減る。そうすると、1人当たりのCO排出量を現状で維持するとすれば、それだけで30%減るわけですね。ですから、そんなことをどう考えていらっしゃるのか。
 それから、6ページですけれども、新エネルギー補助金というのが出てくるんですね。ここで確かに福田前総理が、2020年に太陽光発電を10倍にして、2030年には40倍にするという大変大胆なことをおっしゃったわけですが、すぐにまた補助金ということが話で出てくるわけですね。なぜ、ここでドイツに倣って固定価格制度というのを導入しないのか。つまり、補助金を出すということは、額内の行政コストを要するわけですね。ところが、固定価格制度にすれば、それは東京電力なら東京電力の、各電力会社のつくる請求書のソースウエアをちょっと変えるだけで済むわけで、コストゼロです。ですから、その点、何でまた補助金が出てくるのか。
 それから、国内CDM、国内のクレジットというのが出ていることは大変結構だと思うのですが、そのクレジットの評価を、国際的な場合はオペレーションナルエンティティというのがあるわけですね、国連に認められた。国内ではそういうオペレーションナルエンティティにかわるようなものをどういう形でつくるのかということです。
 それから、金融機関が、例えば中小企業に低利融資をして削減に協力した場合に、金融機関に対してもクレジットは出る。そういうリスキーな融資を中小企業がやりやすくするということも考えに入れるべきだ。これは言い忘れましたけれども、参考資料2についての質問です。
 いずれにせよ、先ほどもどなたかからもお話があったように、この日本型の排出量取引制度というのは国際的に見れば極めて特殊であり例外である。その点について、これが一種の試行的─試行的だったら、もう少しリュウエン系に近いようなものをやってみて、どういう欠点があるのか、問題点が生じるのかということを試すべきである。
 最後に、参考資料4ですけれども、これについて原油価格の上昇と環境税の関連性についてということが[2]のところに書かれていますよね。これについてですけれども、原油価格が上がってガソリン価格が上がった。それで、例えば私の住んでいる京都なんかでは、目に見えて車が減っているんですね。よく環境税をかけたって、ガソリンが20円や30円上がっても、そんなもの効果がないよというのが一つの日本的な言い分の一つだったわけですね、効果がない。しかし、効果があるということがわかったわけですよね。ですから、これは大変有効な社会実験が行われたと私は思っております。
 電気自動車は、来年、三菱自動車が売り出しますけれども、今、1キロワットアワーで10キロ走るというわけですね。つまり、1キロワットアワーというのは410グラムですよ、COの排出量で、全国平均で。それに対して、ガソリン1リットルというのは2.3キロのCOを出すわけですよね。リッター10キロはごく標準的な車ですから、2.3キロが410グラムに下がるということは、それで6分の1ぐらいになるということですから、そうすると、運輸部門の20%が6分の1まで減るというようなこともあるわけですから、ぜひ電気事業車の普及を早めるという方向へ対策をとっていただきたい。
 以上です。

○大塚委員 簡単に3点お伺いしたいと思います。
 1つは、国際的な話ですけれども、余り必ずしも表にでてきていない話で、ここでするのが適当かわかりませんが、恐らくここですることがほかの場所よりも適当だと思いますのでお伺いしておきますけれども、フロンについてなんですけれども、モントリオール議定書のもとでのフロンのCFC等について、京都議定書とモントリオール議定書の間、あるいは気候変動枠組み条約とウイーン条約との間の溝みたいなものができてしまっていて、途上国で2010年にCFCの生産が全廃になることとの関係で、その後5年くらいの間に数十億トンのCOに対応するようなフロンが大気中に放出されるおそれがあるということがございますけれども、これは現在、国際条約等で対応していない問題ですので、日本として今まで余り何も対応していませんが、先ほど出ていた国際的なリーダーシップを発揮するという観点からは、これは結構安く対応できるということもありますので、改修破壊事業等について、日本で何か声を上げるべきではないかと思いますけれども、これはお願いということでもありますが、ぜひご検討いただければありがたいと思います。既に日本の企業でそういうことに目をつけているところもあるようでございます。
 第2点でございますが、先ほどございましたバイオ燃料の話ですけれども、これで間伐材とかいろいろやっていただくのはいいと思うんですけれども、恐らくまだ省庁によってETBEのほうを中心する考え方をとっておられると、E3を中心とする考え方をとっているようなところの食い違いがあるために、ガソリンスタンドでETBE中心でいくと、バイオは幾らつくっても結局売れないということになるんじゃないかと思うのですが、ここはいろいろ難しい問題があるかと思いますけれども、一生懸命バイオのほうで燃料をつくっても売れないと何もならないので、ETBAじゃないといけないということだと、実際には拡大していかないんじゃないかということが割と簡単に想像できるんじゃないかと思うんですけれども、ここは何とかブレークスルーしていただきたいところですので、ぜひお願いしたいということでございます。
 第3点ですが、これは私も多少かかわっておりますので、今ここでお伺いして申しわけないのですが、試行的な排出量取引についてでございますけれども、先ほど、エコポイントの話が出てきて、余り気がついていなかったので申しわけないのですが、エコポイントの参考資料5の右のほうの真ん中辺のところに書いてある、個人のCO排出量をオフセットするというのもエコポイントであるんですけれども、これは今回もう間に合わないんですが、試行的な排出量取引に入れていだたくことも可能性としてはあると思うんですが、特に家庭とかのことについては、今回の排出量取引には全然入ってきていないので、そういう観点からも、それを拡大していくという観点からもかなり重要なインセンティブを与える可能性があると思うんですけれども、今回は無理だと思いますが、ご検討いただきたいので、何かご回答いただけるとありがたいということでございます。
 以上3点でございます。

○浅野部会長代理 多くの委員からいろいろとご指摘がありました。質問というよりも、むしろご意見が出た部分については、幾つかの点検の中で取り入れておく必要があるだろうと思います。
 とりわけ、速水委員がご指摘になった森林の問題に関しては、やはり中環審としてしっかり意見を出していくということは必要だと思いますから、ぜひ、速水さんのご発言をこの中にうまく織り込むように、事務局としては最終の報告をまとめる段階で努力をいただきたいと思います。
 それから、私自身が気がついたことについて1点申し上げますと、この報告ペーパー中にも若干記載があるのですが、地球研究には随分多くの予算を費やしているわけです。今回は幸いにも西岡プロジェクトの成果がかなり全面に出されてきていて、研究成果を政策に生かしていこうという方向が出てきていることがわかるのは歓迎すべきことだと思いますけれども、ほかにも多くの研究が行われております。しかし、地球環境局は忙しいせいか、かなり重要な研究が行われ、成果が上がっているにもかかわらず、それが十分には政策に結びついていかないということをかねて感じております。この点は何とか克服していかなければいけないと思いますし、例えば、さきほどツバルのお話も出ていますけれども、地球研究の報告会でお話をうかがっていますと、問題は単なる海面上昇だけではなくて、ツバルの開発のあり方もかなり大きく影響しているんだということでした。このことは、新たに調査団を送り込んで何かしようという前に、既にちゃんとそういった研究が、3年間かけて研究費を投入してやられているにもかかわらずまだ調査段階でという感じがするわけです。あの研究報告に書かれていることを、さっとそのまま生かして、もっとアクションを早く起こすべきだろうと思うのですが、そういうことになると、環境省の中で研究報告がどのように生かされているのかすらよく分からない。ましてやそれが外務省あたりにまるっきり伝わっていないのではないのか、と心配になりもするのですが、研究費を審査している側から見てもこういう危惧を強く感じています。

○鈴木部会長 ありがとうございました。大変多様ないろいろご意見、ご質問をいただきました。
 やはり全体として総合的にというか統合的にいろいろと考えていかなくてはいけないという、森林もそうでありますし、あるいは2050年に向けてのいろいろなビジョンづくり、あるいは政策づくりもそうでしょう。そのほかにもこの基本計画の点検の域を超えたご意見もたくさんいただいて、お答えいただくのも大変かも知れません。特に、他省にかかわる各省間の連携の問題もありますし、環境省の中の各局の間の連携の問題もありそうですから、お答えになれる範囲でお答えいただき、また、どういうところを基本計画の点検に生かすかというようなことも付言していただければと思います。また、将来に残すべき課題というようなものも少し挙げていただいておいたらどうかと思います。それでは、徳田さんに最初に。

○徳田地球温暖化対策課長 大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。できる限り私どもの施策に反映をさせていただきたいと思います。
 いろいろ多岐にわたるご意見をいただきましたので、回答のほうもそれぞれ担当のほうからご説明させていただくところもあろうかと思いますが、まず最初に、森林についてのご意見がございました。
 森林管理、3.8%に入ってしまうという問題。それから、間伐で得られた木を化石燃料に代替すれば、そこでまたCOが減るではないか。そういったようなことを推進するための仕組みについてということでございますけれども、私どもそういったことは十分認識しておるわけでございまして、それで、一歩でも前に進むようにということで、カーボン・オフセットで間伐吸収源についてもとらえることができないだろうか。あるいは燃料代替については排出量取引に使えないだろうかというようなことで検討を進めておるところでございます。後ほど、市場メカニズム室長のほうからさらに詳しく説明があろうかと思います。
 それから、深夜化するライフスタイル・ワークスタイルの見直しということでございますけれども、これにつきましては、産環審、中環審の合同審議会でも議論があったところでございます。特に、コンビニの24時間営業など象徴的な問題としていろいろ議論が行われたわけでございますが、結論を得ることができませんでしたので、先ほど説明は省略いたしましたけれども、A4の1枚紙、縦の紙の中に、速やかに今後検討すべき課題として位置づけているというところでございます。今後また目達の見直しの過程を通じて検討を進めていきたいと思っております。
 それから、長期目標に地震を盛り込んでいるのかということでございますが、これは、地震については入っていないと理解をしております。後ほど佐和先生からもございましたが、人口については減っていくということで、これは見込んでおるわけでございますけれども、地震は入っていないかと思います。
 それから、永里先生からご意見をちょうだいいたしました。それから、善養寺先生からはキャップの話等々ございまして、これは後ほど市場メカニズム室長からお答えしたいと思います。
 それから、塩田先生から適用について、排出量取引について、「見える化」についてということでございまして、「見える化」につきましては、電気料金の使用量の「見える化」はどうなるのかということでございますけれども、現状は、東京電力の場合ですと、領収書に電気使用量が出ておりまして、それを使ってCOが計算できるように計算式が出ているという状況でございますけれども、そういった取組が、少なくともほかの事業者にも普及していくということはまずは必要だろうと思っております。またガスについても同様だろうと思います。
 海外について見てみますと、私どもが調べた範囲では、例えば、オーストラリアの場合ですと、領収書にCOの排出量を記載しているということがございました。そのほか幾つかの国についても調べましたけれども、ホームページで対応しているというところが大半でございました。そういったところをさらに検討して、適切な対応をとっていきたいというふうに考えています。
 適応と排出量取引については後ほどご説明させていただきたいと思います。
 それから、温暖化防止基本法が通ったら、環境基本計画はどうなるのかということにつきましては、これは総政局のほうから後ほど回答があろうかと思います。
 佐和先生から、バックキャスティングの書き方、予防原則の書き方等々ご指摘をいただきましたが、これは、現在の環境基本計画に記述されていることでございますので、それがここに書いてあるということでございます。ご指摘を踏まえて、今後、施策を講じるときには検討していきたいと思います。
 それから、長期目標などをつくるときに、海外の削減分をどうするのか、あるいは人口減をどうするのかというようなことでございますが、海外の削減分をどう見込むかというのは重要な検討課題だと思います。国際交渉とも絡んでくるというふうに考えております。人口減は、先ほど申し上げましたが、今まで、例えば、国立環境研究所で出されている報告などでは、人口減も考慮して、その減り方も一つの減り方ではなくて2種類過程を置いて計算をしているというふうに理解をしております。
 それから、エネルギーにつきまして、固定価格買取制を取り入れるべきではないかということでございます。これは、佐和委員よくご存じのように、合同審議会で議論も行われたところでございます。
 ここに書いてあります新エネルギー補助金云々というのは、これはこれまでの取組ということで書かせていただいているわけでございます。合同審議会で固定価格買取制を取り入れるべきではないかという意見もございました。他方で、入れるべきではないという意見もございました。そういった中で、目標達成計画におきましては、新エネルギー対策の抜本的強化について速やかに総合的検討をするという記述になったわけでございまして、経済産業省においても検討が進められていると理解をしておりますし、政府全体としても、目達を受けた検討が必要になってくるというふうに理解をしております。
 それから、電気自動車を推進していくべきではないかということでございまして、私どももそのとおりであると思っておりますので、税制上の優遇措置等を通じて、検討していきたいというふうに考えております。
 それから、フロンにつきましては、全くご指摘のとおりだと思います。先般のUNFCCCのアクラワーキンググループでも、我が国政府としてフロンをモントリオール議定書には規制されているけれども、規制されていないフロンについてデータ整理を図るべきではないかというような意見を提出しております。
 バイオ、ETBEの話でございますけれども、ブレークスルーしろと、ETBEだけではなくてE3もというようなことかと思いますけれども、努力をしておるところでございます。
 浅野先生から、重要な研究が政策に結びついていないという重要なご指摘をいただきました。心していきたいと思います。
 それでは、排出量取引、カーボン・オフセットの関係について、室長から。

○高橋市場メカニズム室長 たくさんご質問ございましたので、まとめてご回答いたします。
 まず、バイオマスあるいは森林の活用ということでございました。
 徳田課長からも触れられましたけれども、排出量取引につきましては、速水委員ご指摘のとおり3.8%、吸収源については今回該当いたしませんけれども、森林、バイオマス等による燃料代替につきましては、国内クレジットという部分で活用ができるのではないかと考えてございます。また、カーボン・オフセットにつきましては、吸収も含めて、幅広く森林について活用していきたいと思っておりまして、先ほどの新宿区の例は確かに二者間でございますけれども、吸収クレジット、認証基準等をこれから検討したいと思っております。これができますと、きちんとした認証されれば、吸収クレジットが全国流通をして、それが広くカーボン・オフセットとして活用されるというようなことも可能かと思っておりますので、その辺、積極的に林野庁とも連携をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、全体で多くの委員の方から、自主的な目標ということで不十分ではないか、あるいは海外の制度と乖離しているのではないかというご指摘がたくさんございました。
 確かに、今回につきましては大変短い期間で、なおかつ、試行ということで法律で強制するものではございませんので、一定の限界はございます。ただ、今回はまずできるだけ幅広い企業・業種に参加をしていただいて、我々としては主要業種にすべて入っていただくようなことで期待をしておりますけれども、できるだけ幅広く排出量取引というものを試していただくということがまず肝要かと思っています。また、その結果をきちんと評価をしていくということで、当然この排出量取引試行自体の評価もございますけれども、当然、目達計画のフォローアップの中でこの成果を活用して、次の政策に結びつけていく。我々としては、本格導入の制度設計につながる知見をこの中で得ていくということは大変重要かと思っております。
 また、世界標準という意味では、排出量のモニタリングでございますとか検証、こういうものは大変重要でございます。まさに、この辺がICAP等の国際的な議論の中では議論されておりますので、そういうところにつきましては、国際標準というものをにらみながら、精度の高いものを目指していくということも大変重要かと思っております。
 それから、塩田委員のほうからマネーゲームというご指摘がございました。
 実は、マネーゲームというのは一体何なのかというところも実はまだ議論がございます。ただ、そういうことが起こらないようにということは大変強いご懸念としてありますので、今回の試行の中では、まだ限られた議論でございますけれども、例えば価格指標、いろいろなクレジットが出てまいりますけれども、そういうものの価格指標というものをきちんと出していくということが必要ではないかとか、排出枠を割り当てられた企業がむやみに売らないような、売り過ぎを防止するような、そういう措置も考えてございます。また、こういう試行の中で、マネーゲームというものは何なのか。マネーゲームを規制する余り、逆に円滑な取引が損なわれるという意見もございますので、その辺も含めて、市場のあり方というようなものも議論をしていきたいと思っております。
 それから、佐和先生のほうから、国内クレジットの評価等につきましてご指摘ございました。
 この国内クレジットにつきましては、基本的にはCDMのルールを念頭に置きながら制度設計をしているということでございますので、当然、いろいろなプロジェクトの削減量を第三者的な目から検証するというプロセスは入ってまいります。中小企業が対象になりますので、その辺のコストを下げていく、検証コストなんかを下げていくということも必要でございますけれども、そういうことを図りながら、当然、削減量については第三者検証をやっていくということで考えております。
 金融機関の融資、この辺はまだ勉強不足で、この辺は少し勉強していきたいと思っております。
 とりあえず私のほうからは以上かと思います。

○小野研究調査室長 それでは、何点かご質問いただきました。
 塩田委員から、影響のモニタリングについて、国内は十分なのか、あるいはモンゴル等でやっているのはなぜかというご質問があったかと思います。
 まず、国内でございますけれども、かなりいろいろ幅広く各府省・機関でモニタリングをやっておりまして、国内体制といたしましては、環境省と気象庁で連携拠点という、モニタリングの情報源情報を一元的に公表したり、あるいは精度管理のやり方、ルールを考えたり、連携のやり方を考えたりという機関も設けてやっております。ただ、なかなかこういう地道なモニタリングは、資金面を含めて、維持していくのがなかなか難しいということで、各省庁とも、環境省も含めていろいろ苦戦しておりまして、まだ十分というところまではまいりませんけれども、そういうことでやっております。
 モンゴル、中国西部のモニタリングというのは、山本先生からもご指摘ありましたが、北極海の海水ではないですけれども、凍土の融解とか、そういう非常に脆弱な部分がございますので、そういうところでやることによって、温暖化影響をいち早くとらえていくという観点、それからまた国際協力という観点から実施しているところでございます。
 浅野先生から叱咤激励をいただきました。浅野先生のご指導も得まして、かなりここ5年、10年で行政に結びついているものが増えてきているというふうに私自身は思っております。
 ツバルの調査についても、推進費の結果はインプットされておりますし、あるいは、先日ありましたトキの放鳥についても、地球環境研究のほうで、そのバックとなるようないろいろな研究をして、直接結びついております。ただ、私自身も、政策への結びつきはまだまだ不十分だと考えておりますので、情報発信側としてもまだ努力をしていく所存でございます。

○瀧口国際対策室長 川上委員と大塚委員のほうから、国際的なリーダーシップの発揮ということでご意見をいただきました。それに関しまして、大塚委員のほうから、第1点、フロンがモントリオール議定書で規制されているわけですけれども、今、大気中に放出されることは規制されていないということで、今後それが放出されることにより温室効果ということが懸念されていることへの言及がありました。この問題につきましては、先月、ガーナのアクラで気候変動枠組み条約と京都議定書の特別作業部会というものがありまして、その際に、この問題について検討し、何らかの対策をとるべきだということを日本から提案しました。それでEU等から賛同を得まして、今度の気候変動枠組み条約、京都議定書、それからモントリオール議定書サイドとも連携して、今後何とか対策を考えていこうということになりましたので、ご報告させていただきます。

○小林環境協力室長 先ほど、塩田委員から適応基金についてのご質問がございました。具体的にどのようなイメージでまとまっていきそうなのか、適当な資料があれば教えてほしいということでございましたけれども、実は、この適応基金の理事会でございますが、当初予定よりも多目に会合を開いて議論はしているところでございますけれども、なかなか議論が進んでいない状況でございます。
 温暖化交渉関係者の間で、この適応基金による支援が2009年12月前に開始するということが途上国が温暖化交渉に参加する前提になっている、こういうような認識がございますけれども、そのために、我々関係者としても、できるだけ早くこの基金を使えるような状態にしたいと思っておりますけれども、何分、途上国からの参加者が、まさに温暖化交渉における議論と同じような原則論を、このような理事会においても繰り返しているような状況でございまして、なかなか具体的な基金の使用、運用のルールを議論することについては、なかなか話が進んでいない状況でございます。
 ただ、年末のCOPなどもございますので、そこに向けてさらに議論は進むものとは思っております。
 その資料ということでございますけれども、これまた、これを見ればすべてがわかるというようなものは現時点ではないわけですけれども、理事会の資料につきましては、ウェブで公開されております。それから、議事録も同じようにウェブで公開はされておりますので、現時点では唯一それらが参考になろうかとは思います。

○石飛環境経済課長 佐和先生から、税制に関連しまして、昨今のガソリン価格の高騰で、自動車の走行距離が見事に下がっているというような効果があるというご指摘をいただきました。
 私どもも、まさにそのようなデータを今揃えつつありまして、如実に、昨今ではその成果が出てきている。いわゆる価格弾力性が非常に示されているということで、今年の通常国会でも、福田前総理、町村前官房長官も、その旨の正式な答弁をさせていただいているということでございまして、今後の税制を考える上で、やはりそういった点は大変重要だということで、真剣にそれは考えて税制に反映させていきたいと思っております。
 それから、エコポイントに関しましても、お二方からご指摘をいただきました。
 強力に推進していこうと思っておりますけれども、それ以外の様々なオフセットであるとか「見える化」事業等の連動を考えて、相乗効果が出るように十分検討して進めていきたいと思います。
 以上です。

○小川環境計画課長 基本計画について2点お答えいたします。
 1つは、山本委員のほうから、温暖化の基本法案、法律ができたなら、基本計画を見直すことになるのかというご指摘でございましたが、これは法律を先取りすることはできませんので、現時点ではまだ何とも言えませんけれども、仮に法律の中で新たに長期的問題ですとか、基本計画でこういうこととを書くべしという位置づけがされれば、それに応じて必要な見直しをするということになると思っております。
 また、浅野委員のほうから、本日の議論を適切に点検報告に整理するようにというご指摘でございましたので、かなり広いご議論をいただきましたけれども、基本計画という観点からどのように整理するか、また部会長とご相談させていただきまして、次回までに報告の案をまとめたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。大体ご質問、ご議論いただきましたことはカバーしていただいたのではないかと思っております。
 それでは、地球温暖化対策につきましては、以上とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」に移らせていただきたいと思います。

○大森循環型社会推進室長 では、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」に係る報告につきまして、お手元の資料2に基づきまして、私、廃棄物・リサイクル対策部循環型社会推進室長の大森から概略をご説明させていただきます。
 資料の1ページ目をご覧いただきますと、重点調査事項として大きく[1]、[2]、[3]と書いておりまして、今回の調査事項といたしましては、これを4つに分けまして、その下のところのブロック体で書いてあるところでございますけれども、a)自然の物質循環に係る適正な循環の確保に係る施策、b)関係主体の連携、役割分担等による循環型社会形成に向けた取組、c)東アジア等における国際的な低炭素・循環型社会の形成を推進する取組、d)物質フロー等に関するデータの迅速かつ適格な把握、分析及び公表に関する取組について今回の調査を行っております。
 1ページめくっていただきまして、2ページ目のところでございますけれども、主な取組状況ということで、まず、循環分野についての取組といたしまして最初にご報告すべきことといたしましては、本年3月に、第2次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されております。これは、中環審の循環計画部会で、本日ご出席でいらっしゃいます武内循環計画部会長、それから浅野部会長代理を初めとする各委員の多大なるご尽力をいただきまして、ご議論いただいて報告をまとめていただきまして、それをもとに閣議決定をされております。
 この計画では、環境基本計画の指摘事項も踏まえて、循環型社会の形成に関する施策がかなり網羅的に盛り込まれておりますので、本日はその内容を中心にご報告をしたいと考えております。
 まず、a)自然の物質循環に係る適正な循環の確保に係る施策につきましては、この循環基本計画の国の取組の基本的な方向のところで、例えば、自然環境の保全や環境保全上健全な水循環の確保を図るとともに、自然界における窒素等の物質の適正な循環を維持、増進するような施策を講じますというふうな基本的な方向を位置づけまして、さらに、その具体的な取組といたしまして、まず1つ目として、下のほうの(1)でございますけれども、循環型社会と、先ほどいろいろご議論いただいております低炭素社会の統合的な取組、やはり一つずつの社会をそれぞれ独自に目指すのではなくて、統合的な取組を進めていくというのが今度の循環社会の基本計画の中でも大きな目玉になっておりますので、そういう統合的な取組の推進を進めるというのを、より具体的に計画で記述しております。
 具体的には、分野横断的な施策として、廃棄物発電の導入による熱回収の徹底による温室効果ガスの削減、同じく廃棄物発電のネットワーク化による安定した電力の供給や熱回収の進んでいない中小廃棄物事業者に対する熱回収促進のための措置、そういった持続可能な廃棄物発電のあり方の検討。それから、バイオマス系循環資源の有効活用なども今後取り組むべきものとして盛り込んでおります。
 それから、3ページ目に移っていただきまして、もう一つの社会の柱でございます自然共生社会と循環型社会の統合的な取組の推進についても、具体的な取り組むべき事項として記載がされております。
 例えば、生物多様性の保全にも配慮しながら、天然資源のうち化石燃料や鉱物資源等の自然界での再生が不可能な資源の代替材料の開発、効率的な使用、それから使用量の増大の抑制に努めますといったこと。
 それから、自然界で再生可能な自然の活用に当たりましては、生物多様性の保全に配慮しながら、持続可能な利用を推進することも盛り込まれております。そのために、例えば、バイオマスの利活用の促進、それから森林の適切な整備・木材利用の推進、さらには、化学肥料や化学合成農薬の使用低減による環境保全型農業や漁場環境の改善などについても盛り込ませていただいております。それから、里地里山の利用・管理によって生ずる草木質資源などの、今まで利用されていない自然資源の利用についても盛り込んでいるところでございます。
 では、b)の2つ目の調査事項でございます関係主体の連携、役割分担等による循環型社会形成に向けた取組でございますけれども、ここについても、同じく循環基本計画において、各主体の役割をそれぞれ書くとともに、連携についてきっちり進めていくべき、具体的には、すべての関係主体の連携のもとで積極的な参加と適切な役割分担によって、各種施策を総合的かつ計画的に推進していくというようなこと。それから、地域における先進的な連携・取組の評価を行いまして、その情報発信をさらに強化していくということが盛り込まれております。
 それを受けまして、ちょっと飛びますけれども、5ページ目をご覧いただきますと、環境省では、地域からの先進的な連携・取組を支援する施策といたしまして、例えば、平成19年度はエコ・コミュニティ事業と申しておりました事業、それから平成20年度は循環型社会地域支援事業と申しておりますけれども、例えば、NGO、NPO、それから地方自治体、事業者といった関係主体が連携して実施する、地域から発信するような先進的なモデル的な循環型社会づくりの事業について支援をしております。
 ここにありますように、平成19年度でございますと、例えば、ガラス瓶の統一的なリユースシステムの構築、それからファーストフードやコーヒーショップなどと自治体との協定によるリユースの推進事業といったことを支援しておりますし、平成20年度でございますと、6ページ目をご覧いただきますと、真ん中辺でございますけれども、食品循環資源のループ形成で、スーパーとか小学校で排出されるような食品の循環資源を堆肥化して、その堆肥を利用して野菜を生産して、また市場とか給食に戻す、そういうループの形成を図るような事業について、そのほかにも、里山を管理しながら薪を利用促進するような事業、そういった先進的な事例についての支援を行っているところでございます。
 駆け足になって恐縮ですけれども、7ページ目をご覧いただけますでしょうか。
 c)の重点調査事項の3つ目でございますけれども、東アジア等における国際的な循環型社会の形成を推進する取組については、これは第二次基本計画でかなり大幅に分量をとって位置づけられたところでございますけれども、国際的な資源循環の動向や課題を踏まえて、我が国がシーアイランドサミットで提案しました3Rイニシアチブでさらに転換して、アジアや世界で3Rを推進するための国際協力を充実するというようなことが計画に盛り込まれているところでございます。
 具体的には、それを踏まえまして、7ページの下のところでございますけれども、例えば、我が国の制度・技術・経験の国際展開といたしまして、ベトナム、インドネシアなどの各国の3R関連施策や、各国の3Rの行動計画のようなものの策定支援というようなものを進めているところでございます。それから、各国のニーズ・状況に合わせて我が国の3R技術・システムの提供、それから研修生の受け入れなどを行っております。
 それからもう一ページ、8ページ目のほうをご覧いただきますと、東アジア全体で資源が不適切にはならないようにうまく循環するような、そういう資源循環の実現を目指して政策対話などを行っているということをご紹介させていただきます。
 それから、それらの取組を支えるものとして、(3)のところでございますけれども、アジアでやはり研究・情報ネットワークと共通のルールを構築すべきということで、国際機関や各国と連携して、3Rの情報拠点、ナレッジ・ハブといったものを構築しております。それに加えまして、各アジア・太平洋地域の廃棄物処理や3Rの専門家・研究者のネットワーク構築を進めているところでございます。
 (4)でございますけれども、そういった資源生産性を国際的に向上していくべきという動きに向けても、UNEPなどで行われています研究者の活動などを支援しているとともに、OECDと協力いたしまして、その物質フローや資源生産性に関する理事会勧告を新たに採択していただくということに貢献したということが言えるかと思います。
 何と言っても大きな成果といたしましては、今年5月、G8サミットプロセスの一環といたしまして、神戸においてG8環境大臣会合を開催しまして、G8各国の率先的取組、途上国の能力開発に向けた連携、温暖化対策とのコベネフィットなどを内容とするような「神戸3R行動計画」が合意されまして、この計画については、洞爺湖サミットについても、そのG8首脳間で支持されたという成果がございます。
 最後の調査事項のd)のところでございますけれども、物質フローなどに関して、やはり循環型社会を支えるデータを迅速かつ的確に把握すること、それから分析して、わかりやすく公表する、そういった取組についての状況については、きょうはお見えになっておられませんけれども、安井先生などの専門家による検討会などの成果を踏まえまして、新しい循環基本計画に物質フロー指標、それから取組指標ということで、各種指標が拡充強化されております。
 具体的には、9ページ目の上の図表をご覧いただければと思いますけれども、従来の計画に加えまして、物質フロー指標ですと、目標を設定する指標の下のところにございますけれども、目標を設定する補助指標、推移をモニターする指標などを加えております。また、目標を設定する指標についても、資源生産性について、トン当たり約42万円というような、平成12年度から見て約6割の向上を果たすような非常に大きな目標を掲げて、それに向けて努力するというようなことを定めております。
 それから、取組指標のほうにつきましても、同じく目標を設定する指標を拡充しているとともに、新たに推移をモニターする指標、例えば、レジ袋の辞退率ですとか、そういった取組の状況の推移をモニターする指標を盛り込んでおりまして、今後こういう目標の実施状況をよく定量的に把握できるようにという工夫をされております。
 そういうことで、実態把握に努めるということで、すみません、駆け足で恐縮ですけれども、10ページ目のほうに移っていただきまして、今後の展望、論点というところに移らせていただきます。
 まず、何と言いましても、物質循環の取組につきましては、今駆け足でご説明いたしましたけれども、新しい循環基本計画の取組を着実に実施校するということが課題となっておりまして、3つの社会、低炭素社会、自然共生社会とあわせた循環型社会の形成・推進を統合的に展開すること。
 それから、説明で抜けておりましたけれども、新しい循環基本計画では、各地域地域で、地域の特性にあわせたような最適な資源循環の範囲を形成して、最適な規模の「地域循環圏」というものをつくっていき、さらには、地域活性化にもつなげていくべきであるということがうたわれておりますので、その取組について、先ほどご紹介しましたコミュニティとか、そういった地域の先進的な取組も生かしながら、この地域循環圏の形成を推進していくということが大きな課題となっております。
 それから、指標のところにつきましても、新しい計画が充実強化された部分につきまして、それをさらに廃棄物についての定量情報を把握するということ、それと量だけではなくて質も見たような、種類とか業種別に応じた発生量、循環利用量などの質にも着目したデータの蓄積。そして、何よりも速報化。データの集計を急いで、すぐに施策に反映できるような、そういう速報化に関する把握手法の検討を進めるというようなことが課題となっています。さらには国民運動の展開、それから国際面で、神戸の3R行動計画の着実な実施ということで、アジア全体におきまして循環型社会をつくっていくために、国際協力などを進めていくということを大きな課題として挙げております。
 循環基本計画のほうでも毎年、中環審循環計画部会のほうで行っていただくことになっておりまして、今年度もその3つの社会の統合的取組や先進的な取組などに着目しながら、可能な限り定量的に循環型社会構築に向けて進捗状況を把握して、新しい施策の企画立案に役立てていくという予定でおります。
 ご報告としては以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、ご質問等がございましたらお願い致します。
 それでは、5名の方でよろしいですね。今度は佐和先生のほうからまいりましょうか。
 時間が大変押しておりまして、なるべく簡潔にお願いいたします。

○佐和委員 私の質問といいますか意見ですけれども、3ページの一番上の(2)に関することなのですが、やはりここに、要するに、天然資源のうち化石燃料等々の代替材料の開発とか効率的な使用、使用量の増大の抑制ということが書かれているわけですけれども、大森さんも経済学のご出身だから、当然ご同意いただけると思うんですけれども、やはり結局、かつてローマクラブが資源の有限性ゆえに成長には限界があるということを言ったわけですけれども、実は、最近のこういう資源価格の高騰というのは、実は3Rを推し進めるインセンティブとして働くわけですね。何も環境倫理とかそういうことで動くというのは、私は必ずしもそれほど効果的とも思えなくて、むしろ価格の上昇というのが非常に大きい。
 同様に、特に石油価格の高騰というのが、実は、否が応でも低炭素社会へと我々を向かわせるというふうに思います。そういう意味で、この3Rということに関しましても、やはり価格の上昇ということが、むしろそれをポジティブにとらえて、3Rに追い風が吹いているというふうに理解すべきではないかと思います。
 以上です。

○藤井委員 私も3Rイニシアチブのところで質問したいと思います。特に、国際的な関係のところです。
 この間、私、JICAのテレビ討論で随分、東アジアを含めてアフリカやなんかのメンバーとテレビ討論する機会をこの何年間かずっと続けているんですが、本当に技術とか日本のノウハウを求めているなということが身にしみて感じられるような状況があります。
 ところが、片側、NGOとして海外に、実はこの16年間、モンゴルに始まって各地域に小さな石けん工房をつくりながら、廃棄物を資源化するということをずっと続けてきていて、一昨年はインドネシア、今年はバングラデシュに行きますが、そこで出会うNGOは、基本的にこのバーゼル条約を超える日本からの資源という名のごみを輸出するなという大キャンペーンに出会うことがたびたびあります。タイで集会をしたときなんかは、まさにその一色になるということがあって、これは循環型社会の中でも相当日本の循環が成り立っているのは、海外に流しているというか、輸出とその両方で循環型が成り立っているというのが数量的にはあるという議論もなされていましたが、本当に把握が難しいと思いますが、海外に行っている資源という名のごみがどうなっているかということを、私たちはどう把握したらいいんだろう。本当に各国での戸惑いが大変大きいです。
 今回、バングラに行く場合も、旧ダッカのリサイクルストリートとか、それから、もしかしたらチッタゴンの船のところまで行こうと思っているんですが、日本からのものだけではないです、もちろん。でも、日本からのものだけでも少し把握できたらいいなということを常々思うものですから、国際的な流れということの中の資源の動きを少し情報があれば教えていただきたいと思います。
 以上です。

○青木委員 5ページ、6ページのエコ・コミュニティ事業等について教えていただきたいのですが、これは支援と書いてございますけれども、支援は補助なんでしょうか。それから、年度によってテーマが変わっていくのでしょうか。単年度の事業なのでしょうか。それから、補助額というのは、1件当たりどのぐらいになるのでしょうか。また、これの成果というのは、将来の循環計画に反映されるとか、そういうふうな目的的な補助ということになっているのでしょうか。教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○善養寺委員 循環型の熱回収などここら辺でうたわれていますけれども、ほとんどが企業に対していろいろゆだねているところが多くて、地域熱供給に関しても推進していきたいと言いながらも、企業の努力にゆだねてしまっているところがありまして、上水や下水のように、行政サイドが割と厳しい強制力を持って、必ず下水道を接続しなければいけないとか、上水をつながなければいけないとか、あとお金の支払いに関してもきちっと取っていくということが、熱供給の場合は、民間企業者にそれをすべてゆだねているところがありまして、ですので、ヨーロッパなどでは日本の地域熱供給技術、ヒートポンプによる下水の温水による住宅への熱供給とかを行っているのは日本の技術だったりはするんですが、結局、システムとして日本でなかなか普及できないのは、やはり電力会社とガス会社でシェアを争うような、ガス管を接続しなければ安くする、オール電化を推進したりする、そういうことによって、歯抜け状態になっていくことが、また今度逆に、下水処理場やなんかでバイオガスやなんかをつくって住宅のガスの供給をしたいと言っても、ばらばらになっている状況でまたインフラ整備を民間企業がやろうとするのは大変なわけですね。そういう地区的なエリアをインフラをある程度強制力を持って新たな設備を導入するに際して、ブロックごとの強制力を持たせるような法律を立ててあげないと、なかなか普及できないのではないかというふうに思います。総合力で、総合力でと言うんですけれども、自主的な総合力ではもう限界があると思います。
 先ほど速水さんも言っていた、またバイオのあれになりますけれども、ウッドペレットもそうですが、一方で、建築廃材によるウッドペレットと、間伐材によるウッドペレットでは価格がどうしても大きく違ってしまいます。建築廃材でしたら、1立米10円で材料が手に入りますが、もし間伐材ですと、1立米1万円以上払ってもらわないと割が合わない状況になります。そうすると、片方で廃材のペレット化を許してあったり、建材にすることを許していると、価格競争の中では、間伐材利用は負けてしまうんですね。ですから、基本的にそういうものがどうしたらいいのか、全体的を考えたときに、本当の循環社会というものはどちらがいいのかを考えた場合に、間伐材では建材の新しいバージン建材をつくろう。そして、ウッドペレットも家庭用のストーブですと高温にできませんので、廃材なんかに入っている悪いものがあった場合は、住宅内を汚染してしまうわけですから、そういう場合には、そういうものの含まれない間伐材、バージン材を使って家庭ストーブ用のペレットはそちらにしよう。あとは、火力発電所のような大きな場所で管理が行き届いた場所については、廃材利用を進めていこうとか、経済のお金のきちんとした数字を見据えた総合的な政策というものをとっていかないと、市場に任せるというのは必ずしも簡単なものではありません。その辺をどう考えるのか。
 そうすると、今、足かせとなっている法律はいっぱいあります、建築基準法とか。建廃のリサイクル法もそうですが、その中で、足かせとなるものを直していって、そして、それが推進になる具体的な法律を、やはり環境という法律とは関係なくかかわってくるところあります、都市計画の法律とかも地区計画、具体的な下水道法か水道業法かわかりませんが、そういうものがかかわってくるものも環境の視点でどうやって取り込んでいくかということの連絡をとれるような、推進するためには何をしたらいいのかという本当に具体的なことのコミュニケーションがとれるような場をどうやって設けていくのかということを、ほかの連携だと思うんですけれども、考える必要があるのではないかと思います。

○中野委員 身近なことなんですけれども、ページ11の国民運動としてというところで、私たちはマイ箸、マイバッグという一つの運動をしております。これをすればどれだけの効果があるか、成果が上がるかということが一番大切だと思います。
 いろいろとここで基本計画を立てていただくときに、それが国民のところにおりてくるときに、もうちょっとかみ砕いてしていく。それは、各県の行政と県民がすることだと思いますけれども、これを基本にしてみんなが誰でも、どこでも取り組める、そういうふうな、下までおりるような状態にしていけたらいいなと思います。それは私の考えです。すみません。

○鈴木部会長 それでは、大森さんのほうから。

○大森循環型社会推進室長 多岐にわたる貴重な意見、どうもありがとうございました。
 では、順にお答えをさせていただければと思います。
 まず、佐和先生のほうからいただきました価格の上昇が3Rにポジティブに働くのではないかというご指摘については、まことにそのとおりだと考えております。そういうのも、資源の逼迫、特に石油の価格の上昇というようなことを踏まえながら、おっしゃるような3Rの対策にうまく生かしていきたいと考えております。
 それから、藤井委員のほうからいただきましたアジアでの、日本が廃棄物を輸出しているのではないか、NGOを中心とした批判があるというのにつきましては、大変大きな議論にもなっております。その具体的な量ということではないんですけれども、把握につきましては、新しい循環計画の中でも、国際的な資源の輸出入については把握していきたいという課題は持っておりますので、今後の課題とさせていただきたいと思います。
 さらには、やはり日本だけの取組とか各国だけの取組ではなくて、アジアの各国、それから国際機関というのがうまく連携して、各国各国それぞれの中でも3Rに対する制度を整えていただくとともに、バーゼル条約その他に基づく資源のやりとりについての制度をうまくつくっていくのに合意していく、そういうのが今後の3Rイニシアチブの進む道だと考えておりますので、またそこら辺を十分検討していきたいと考えております。
 それから、青木委員のほうからいただきましたエコ・コミュニティその他の事業についてのデータについてでございますけれども、これは残念ながら単年度、単年度の事業になっていまして、単年度ごとに公募をして採択するということになっています。
 補助ではなくてモデル事業ということで、人件費その他を全額国が負担するという事業になっております。
 1事業当たりの額でございますけれども、ちょっとばらつきがございますが、1件当たり500万円から300万円ぐらい、割と小規模な事業になっております。
 年度によっては、テーマというか、やはりその時点その時点の先進的モデル的な事業を採択するようにということで、審査委員会を設けましてそこでご議論いただきまして採択していただくという仕組みになっております。
 その成果につきましては、循環基本計画の点検、それから、例えば循環白書を毎年出しておりますけれども、そういった中にも取り込むことで成果を反映しているところでございます。
 善養寺委員からいただきました地域地域のいろいろな制度との関連ということでございますけれども、確かにおっしゃるような課題というのがあるというのがございますけれども、具体的に一つ一つ問題ごとに、地域の状況も踏まえて、いかに資源がうまく回っていくのか、環境に、当然環境汚染のないような形で資源を回していくのかというようなことを考えていく、そのためには、それぞれの地域の特性ですとか、資源の特性ですとか、そういったものを踏まえた形で、例えば、地域循環圏をつくっていく中で、それぞれの制度との関連ですね、既存の制度との関係でどこが課題なのかというのを考えていきたいと考えています。

○善養寺委員 それは地域の法律ではなくて国の法律が足かせになっているということで、それは官庁間で話し合ってもらったほうがいいんではないかということです。それは環境という視点を持って官庁間で話し合ってもらったほうがいい。地域はやろうとしても、国の法律が足かせとなってできないんです。

○大森循環型社会推進室長 すみません、説明が不足して恐縮です。
 地域循環圏の形成につきましても、環境省だけではなくて、関係省庁と連携した形でつくっていきたいと考えておりまして、その中で、おっしゃったような課題がもし足かせになっているというようなことがございましたら、またそういう連携の枠組みの中で議論を進めていきたいと考えております。
 それから、中野委員のおっしゃったような、いろいろなマイ箸だのマイバッグ、そういうものの成果について、おっしゃるように、一人一人が取り組んだ成果をわかりやすく納得いく形で理解をして取り組んでいただくというのが非常に大事だということを考えておりまして、それはまさに我々の課題でもございます。
 例えば、いろいろな取組について、LCAの分析をいたしますとか、そういう定量的な評価も踏まえて効果を分析してホームページやパンフレット、その他、行事といっていろいろな機会に提供していきたいと考えております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございます。
 私のほうで気になるのは、フォーマットの問題で恐縮なのですが、重点調査事項というのが[1]、[2]、[3]とあって、それぞれに対応する形で最終的には点検報告をわかりやすくもう少し整理していただくといいのかなと思います。要するに、今回はこの重点分野の中の重点調査事項として[1]、[2]、[3]が上がっていますので、それぞれに対応する回答、点検がどうなのかという形を、後で整理されるときにまとめていただいたら如何でしょう。

○大森循環型社会推進室長 わかりました。そのように、[1]、[2]、[3]にきっちり整理してまたお出ししたいと考えています。

○鈴木部会長  それから、循環型社会というときに、「3R」という言葉が非常にはやってきてしまったために、出てきた後の廃棄物対策みたいな印象が非常に強いんですが、もっと上流側の製品を作る側のエコ・マテリアル、エコ・プロダクトを推進していくということも、これはお考えになっていることだと思いますけれども、そっちの上流側の省も巻き込むような形でぜひ考えていただければと思います。

○大森循環型社会推進室長 わかりました。ありがとうございます。

○鈴木部会長 それでは、よろしいでしょうか、ここの部分は。
 どうもありがとうございました。循環分野につきましては以上とさせていただきます。
 続きまして、生物多様性分野といたしまして、「生物多様性の保全のための取組」に関します検討結果につきましてのご報告をお願いいたします。

○徳丸生物多様性地球戦略企画室長 自然環境局生物多様性地球戦略企画室長の徳丸でございます。
 「生物多様性保全のための取組」についてご報告申し上げます。資料3をご覧いただければと思います。
 まず、重点調査事項[1]の生物多様性の保全・再生の強化のための取組、及び[2]の生物多様性の保全に向けた広域的・横断的な視点での総合的な取組についてでございます。
 その下に太字で書いてございますが、3つの切り口で施策をまとめております。
 a)が生態系の保全・再生の推進、地域や分野を超えた広域的・横断的な視点での総合的な取組とその体制づくり、b)が絶滅のおそれのある種の保存、外来生物による在来生物等への影響への対応、c)が自然環境データ充実等に係る措置でございます。
 まず、そもそも環境基本計画における施策の基本的方向でございますが、その下に4つ記述がございます。
 1つ目が生態系保全の強化、自然の再生、生態系ネットワークの形成。2つ目が、絶滅のおそれのある種の保存及び外来生物による在来生物等への影響への対応。3つ目が、科学的・客観的データの充実と生物多様性の状況の一般への周知。4つ目が、異なる行政分野にまたがる対応等地域や分野を超えた広域的な、あるいは横断的な視点での総合的な取組でございます。
 このような基本的方向を踏まえまして、施策をどのように推進してまいりましたかについて、先ほどの3つの切り口から主な取組状況等としてご報告をさせていただきます。
 a)生態系の保全・再生の推進、地域や分野を超えた広域的・横断的な視点での総合的な取組とその体制づくりにつきましては、平成19年11月に「第三次生物多様性国家戦略」が閣議決定されました。また、本年6月には、議員立法で「生物多様性基本法」が成立・施行されております。
 第三次生物多様性国家戦略につきましては、資料の中に1枚紙で概要をお示ししておりますので、ご覧いただければと思います。
 改定のポイントとしましては、課題のところに、これまで生物多様性に係る危機として、従来の開発による危機や、里地里山などにおいて人のかかわりが不足することによる生態系への影響、及び外来種による生態系の攪乱の3つを掲げておりましたが、これに地球温暖化による危機を加えております。
 また、長期的な視点、民間や地方の多様な主体の参画をベースにした上で、4つの基本戦略をまとめてございます。
 4つの基本戦略は、Iが生物多様性を社会に浸透させる、IIが地域における人と自然の関係を再構築する、IIIが森・里・川・海のつながりを確保する、IVが地球規模の視野を持って行動するでございます。
 これらの4つの基本戦略に基づきまして、第2部として具体的な行動計画を立てているわけですけれども、新しい戦略では、どこの省庁が何をするかを明記して660項目にわたる具体策を掲げたところでございます。また、このうち34の項目につきましては、具体的な数値目標を立てております。
 数値目標の例としましては、見直しをする自然公園の数や、保安林を増やす面積、トキを野生復帰させる数、奄美大島でのマングースの捕獲数などがございます。
 また、生物多様性基本法につきましても、「生物多様性基本法の構成」ということで、これも資料をつけてございますが、端的に申しますと、生物多様性の保全と持続可能な利用の推進を法律できちんと位置づけたということでございます。具体的には、中身的には戦略と同じような部分もございますが、白書を作成して毎年国会に報告することや生物多様性戦略を法で定められたものとすることなどが、生物多様性基本法において新たに定められた部分でございます。また、地方レベルでも、こういった生物多様性戦略を策定するということが努力義務として規定されました。
 以上が戦略と基本法の制定でございますが、そのほかにも幾つかの施策を行っております。
 平成19年3月には、「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する提言」を受けまして、国立・国定公園を、生物多様性の視点も入れて再評価することなどを始めておりますし、保護林のモニタリング調査やサンゴ礁の保全、あるいは自然再生事業などを推進しております。
 また、今年度から、地域における地域住民、あるいはNGO等による生物多様性保全の活動を支援するための事業も開始しておりまして、今年度は、長野県千曲市で棚田や里山の管理をするとか、名古屋市でため池の保全をするとか、南大東島でオオコウモリの森づくりをするといったような市民あるいはNGO中心の事業に支援を行うということを決めております。
 次に、切り口b)の絶滅のおそれのある種の保存、外来生物による在来生物等への影響への対応でございますけれども、昨年8月までに絶滅におそれのある種のリスト、いわゆるレッドリストを更新しておりまして、10分類群で3,555種を掲載したところでございます。以前に比べまして461種増となっております。
 このほか、国内希少野生動植物の保護増殖事業、鳥獣保護区の保全事業、外来種の防除、動物愛護法に係る特定動物、特に危険な動物、毒ヘビとか猛獣ですね、これらの管理の徹底を実施しております。
 最後に、切り口c)の自然環境データの充実等に係る措置ですけれども、自然環境保全基礎調査で、植生図等の作成を着実に進めますとともに、本年3月には、個別の生態系の経時的な変化の把握を行いますモニタリングサイトの設置数は1,000カ所を達成いたしております。また、データのインターネットによる提供や、今年度から温暖化の生物多様性の影響を市民参加で調査する「いきものみっけ」という事業も開始しております。
 今後に向けてでございますが、先ほどご説明いたしました「第三次生物多様性国家戦略」にほとんどこれから行う施策等を記載しておりますので、その着実な推進を目指してまいりたいと思っております。
 特に、昨日、トキが放鳥されましたけれども、野生鳥獣と共存する地域づくりや、我が国の生物多様性の総合的な評価だとか、温暖化による生物多様性の影響の把握、また、手引きなどを作成いたしまして、地方版の生物多様性戦略が制定されるように努力をしてまいりたいと思っています。
 また、加えまして、2010年には名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議が開催されることが決まっておりますので、これに向けても、日本がイニシアティブをとっていけるよう努力していきたいと思っております。
 次に、重点調査事項[3]でございますが、生物、生態系サービスの持続的な利用のための取組でございます。
 こちらにつきましては、基本計画における施策の基本的方向として、「エコシステムアプローチの原則」を踏まえた予防的、順応的な態度での自然資源の管理・利用と、窒素循環等物質収支の観点、あるいは一次産業との兼ね合いの中での自然資源の持続的な利用が掲げられております。
 これにつきましての主な取組状況等でございます。自然資源の利用と申しますか、観光利用としてエコツーリズムというのがございますが、平成19年6月に成立しました「エコツーリズム推進法」に基づきまして、本年4月に「エコツーリズム推進基本方針」を閣議決定しております。これによりまして、適正なエコツーリズムの事業を認定していくなどの各種施策をとっていくことになっております。
 また、政府調達の木材の適正化や、農林水産業における生物多様性の保全等に係る施策を実施いたしました。
 今後でございますが、「第三次生物多様性国家戦略」に基づきまして、生物多様性保全に貢献する農林水産業の推進や里地里山の保全、食料や木材などの消費行動における生物多様性への配慮の国民への浸透などを推進してまいりたいと思っております。
 あと、青木委員から意見書が提出されておりますので、簡単にお答えを申し上げたいと思います。環境省では、ご説明でも申し上げましたように、レッドリスト種が大幅に増加している等の危機的状況にかんがみまして、昨年度から、生息域外での保全方策について検討しております。その中で、絶滅危惧植物の保全には、種子保存が有効であることや、日本ではまだその取組が遅れているということが指摘されております。これを受けまして、環境省では、昨年度、種子収集保存マニュアルを作成しております。これに基づきまして、新宿御苑を中心として、絶滅危惧植物の種子保存の国内ネットワークを構築するためのモデル事業を早急に立ち上げたいと考えております。全部の植物というところまで手が届くかどうかわかりませんが、とりあえず絶滅危惧植物の種子保存については、何とか近いうちに実施していきたいと考えておる所存でございます。ご意見ありがとうございました。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、ご質問あるいはご意見ございましたら、お願いいたします。名札を立てていただけますか。
 それでは、速水委員のほうから回ってまいりましょう。

○速水委員 意見なのですが、生物多様性は、なかなか我々森林の現場でも、私、実は林業をやりながら、住んでいるところは漁村で、昔、漁業組合長もやっていた家族なんですけれども、そういう漁業をやっている方も、生物多様性というのはなかなかとらえにくい。
 今回、これを拝見していても、国レベル、行政レベルで生物多様性をどう取り組んでいくかというふうなとらえ方が、どちらかというと多いと思うんですね。
 自分の例なんですけれども、私、2000年にFSCという森林認証を初めて取ってみたんですけれども、そうしますと、ここに、例えば幾つかの森林とか生物に関して書いてあるようなことをほとんど網羅して審査を受けるわけです。例えば、今まで林業において外来種に対して、私有林経営者自らがプランを立てるということはまず考えられなかったんですけれども、そのプランがないじゃないかというふうな指摘を受けたりとか、あるいは河川に対して両生類だとか、河川に依存する生物類の産卵の場所だとか、身を隠す場所の森林をどう維持するのかとか、今まで日本の森林管理に全く考えられなかったような多様性に対するアクションというものを強く要求されていくわけです。それが、ただ多様性をそこに求めるだけではなくて、結果的には森林全体の適切な管理というふうな形で評価をされていって、まだなかなかそれが市場に受け入れられてはいないですが、それなりに市場に対して受け入れられるような仕組みをつくっていくという、それが民間の認証制度を見てみますと、もう少しそういうものを上手に利用していかないと普及しないのではないかなというふうに思うんですね。
 漁業なんかでもMSCとか幾つかできていると思うのです。特に生物多様性に関しては、そういう民間の活動と政府の考え方みたいなものをすり合わせるために、より積極的な認証制度の利用とか、そういうものをもう少し組み込むという努力をしていかないとだめだろう。そういう認証制度の中での生物多様性というのは、一体どういう評価をされているのかという研究等も含めてやっていければいいし、結構各国そういうことをやっていらっしゃるようなので、その辺に対して意見というか、お考えもついでに伺いたいと思います。

○長辻委員 生物多様性を維持するための重要な法律としては、特定外来生物法が制定されておりますが、これが実際に余り機能していないのではないかという印象を受けています。
 例えば、税関で入れてはならない生き物が入ってくるのを見つけるというようなことは行われますが、例えば、陸水の中で今一番問題になっているブラックバスの問題、ブルーギルの問題、これの密放流が行われていることは、ほぼ常識ですけれども、それが実際に摘発された例というのはほとんど聞かない。
 それから、数年前でしたか、岐阜県で駆除しようとして水を減らしつつあったため池の中のブルーギルとブラックバスがその前夜に全部誰かによって堰が取り払われて、下流の方に全部流出していったということがあったと思うのですが、そのときも特にそれが刑事事件として、誰がどういう目的でやったかという調査が進んだということも余り聞いてはおりません。
 実際に密放流をするということが行われている、それを摘発するのはなかなか難しいとは思いますが、余りにも摘発例が少ない。これでは、やり得だという形になってしまうんじゃないかと、そういうことをブルーギルとブラックバスで感じています。そのあたりがどうなのかということをおたずねしたいと思います。
 また、別の問題でもう1つ。地球温暖化による影響を調べるために市民参加の「いきものみっけ」というプログラムが行われているということですが、これは非常にいいことだと思います。そこでお尋ねしたいのは、種の同定をどこまで厳密になさるのかということです。これをしっかりしておかないと大混乱が起きるだけなんですね。非常に重要なことだと思います。これをしっかりやろうとすれば、ナチュラリストの養成ということが必要だと思います。しかし、その養成にも時間がかかるだろうし、これをうまく早く普及させていく、それから知識のレベルを高めていくということも欠かせない。これらをどういうふうにして取り組んでいかれるおつもりなのか、それをお聞かせください。
 以上です。

○青木委員 意見書を参考資料6で配付していただきまして、ある程度ご回答いただきましたので、ありがとうございました。
 特に、新宿御苑がこれから中心になって絶滅危惧対策をやっていかれるということで、非常に心強く思っておりますけれども、意見書にも書いておきましたけれども、日本の、特に野生植物については責任を持つ官庁がないんですよね。それで、日本の不幸なところは、国の中心的な植物園というのはない。東大の小石川植物園がその役割を果たしてきたと思うんですけれども、現状はもうとてもそんな状況ではございません。
 英国を初め各国では、国の中心的な植物園がこういった問題についてリードしながらやっているということになるわけですけれども、特に今、新宿御苑をいろいろ活用されるというお話がございましたので、ぜひ機能を充実されて、レッドデータブックなんかも新宿御苑なんかで常時監修していただいてフォローしていくということになれば、今、大変な努力をしてレッドデータブックをつくっておられるというお話を伺っておりますけれども、そういったことも対応できるのではないかというふうに思いますので、非常に期待をしております。
 それから、全種を対象にするのは難しいとおっしゃっていますけれども、日本の種は、いろいろ数え方はありますが、せいぜい7,000種とか8,000種とか、大きく数えたら1万種ぐらいあると思うんですけれども、意見書にも書いておきましたが、例えば、オーストラリアのパースでは、あそこは特殊な事情はありますけれども、1万数千種の冷凍保存をやっております。それから、ご承知のように、キューガーデンでは、自分の国はもちろん全部やるつもりでしょうし、世界の種子植物の30%を集めて冷凍保存をすると言っているわけですから、日本で全種を冷凍保存するということは不可能ではないと思いますし、冷凍保存でなくても、いろいろ地元の植物園とか公園とか研究機関とか、そういったところを活用していろいろ保存をしていっていただくということは当然可能だと思うんですよね。ぜひ、そういうことを実施していただきたいと思うのです。
 非常に環境省は慎重で、できることしか書かないという趣旨のようですけれども、例えばマスキー法だって、これはゼロエミッションということを言って、全部実際にはゼロエミッションではなくて、最新の技術でやるという話になったわけです。緊急を要するものは当然すぐやっていかなければなりませんけれども、全種を保存するのに20年、30年かかっても構わないわけですから、国がやはり今ある種子植物は全部保存するんだという方針を明確に出されれば、国民でもそういった植物に対する関心が深まってまいりますし、そういった宣伝的効果等も考えられまして、やっていただきたいというふうに思います。
 要望でございます。以上。

○鷲谷委員 重点調査項目が3つありますけれども、これ自体がばらばらのことというよりは、広域的というのは若干違う観点になると思いますけれども、地域においてこういうことを総合的、統合的に考えて取り組んでいければ、地域づくりにも寄与するし、生物の養成、保全の実も上げられるということだと思うのですが、お答えの仕方がややばらばらになっているような印象があるんですね。
 新しくできた法律であるとか、新しく始まった事業の中に、恐らくそういう総合化、統合化のきっかけになったり、そういうツールとして利用できるものがあるのではないかと思うのですが、今はどの施策もばらばらのように書かれているのがやや残念な気がしました。自然環境計画課と野生生物課の施策を連携する仕組みとかになり得るものもあるように思うんですけれども、そういうことに関してこれからどういうふうに考え進めていかれるのかということをお聞きしたいのと、平成20年度に始まった生物多様性保全推進事業で、地域生物多様性協議会をつくって多様な主体が参画して、計画や活動を進めるというものがあるというのがここに記されておりますけれども、総合的、統合的ということとかかわりのある施策ではないかと思うのですが、幾つかの地域で事業が始まったのか、典型的な例だけでもいいと思うのですが、どのような主体が参加して、どのようなテーマで、どのような課題を取り上げて、平成20年度に始まったということですから、活動の実績があるというよりは、議論が始まったというところだと思うんですけれども、どんなテーマに地域の方たちが生物多様性というキーワードで関心を持たれて協議を始めているのかということを教えていただければと思います。

○武内委員 最初に、ここで議論の進め方について私なりに思うことがあるんですけれども、基本的に温暖化の問題、循環型の問題、生物多様性の問題というような、何となく部会で議論されたような話をもう一回ここで再度されていて、そして担当者も、自分の番が終わったら、とっとと帰ってしまうという。しかし、本当はこの場では、温暖化と循環型、それから生物多様性のお互いの関係性を議論するということを本来議論することがよりこの議論を有効なものにすることになるのではないか。私なんかは循環型を聞いたって全然勉強にならないですよね、だって自分がやったことだから。だから、やっと生物多様性で、やっと言ってみようかなという気になったんですけれども、いずれにしても、これは手続的には必要なのかもしれませんけれども、せっかくこういうふうにやっているんですから、そういうお互いの相乗効果が出て、政策統合に向かうようなことをやって、担当者もいて、人の話も聞いて、生物多様性はこういうことをやっているのか、じゃ、温暖化等の関係ではこういう問題が出てくるのかな、そういうことをちゃんと─忙しいのはわかりますけれども、何か終わったらぱっと帰っちゃうというのは、極めてそれぞれ縦割り的なものの象徴のような気がして、少しその辺お考えいただけないかというのが、ジェネラルな私のコメントです。
 もう一つ、今回、生物多様性について議論をされたんですけれども、これも、私は実は国土形成計画でエコロジカル・ネットワークのことを直接担当して、国土形成計画そのものと、それを支える専門委員会の議論に参加したんですけれども、そのときに、いわゆる環境基本計画なり生物多様性国家戦略における生態系ネットワークと、どういうふうにしてうまく、一方で連携ということもありますけれども、他方で役割分担ということもあるので、考えていたんですけれども、やはり生物多様性のほうは本当の生物多様性とか、生態系機能とか、そちらに特価すべきだし、多分、国土計画というのは、それを含みながらも、景観だとか防災だとか、そういう国土の自然の軸というものの多面的な機能というのを評価していくとか、そんな役割をうまく使い分けていくんだろうなというふうに思っていたんですけれども、ここではそういうこと全然書かれていないんですよね。これもやっぱり大変残念なことですね。
 同じように、生き物の「100年計画」、これは大変いいと思いますけれども、では、100年経ったときに、100年後に日本の人口がどうなって、高齢化率がどうなって、そして食料自給率がどうなって、木材自給率がどうなって、農業はどうなっているのか、あるいは都市が人口減少になったときに、そこはどういうふうになっているのかというふうなこととのかかわりの中で非常に大事な問題というのはあると思うんですよね。特に、農村も当然非常に深刻ですけれども、大都市、特に地方の大きな都市で人口が減少して、そして郊外に拡散した都市部、ここをどう再生するかというのは最も大きな都市計画上の課題で、ここはこういう生物多様性みたいなものとか生態系サービスで固定していくしかやり方がないんです、もうお金ないですから。だから、そういうところを再生するということのための投資の余力というのはないですから、一番いいのは、そこは豊かな自然空間として再生しながら、しかし、そこは一方で日本を豊かな国にしていくというものにして、それが衰退じゃなくてポジティブなよい環境づくりにしていく。だから、とてもその生物多様性の議論は大事なんですね。だけど、そのことは余り関係なく、とにかくにぎわいが100年続けばいいというような、そういう話で本当にいいのかな。そういう意味で、施策が深まっていないという感じがするのです。ですから、そういうことをぜひお考えいただきたいと思います。
 それから、もう一つだけ申し上げます。里山イニシアティブ、これは生物多様性条約の事務局の事務局長も非常にいい話だということで、生物多様性では余り日本から発信したものはないんですけれども、もしかしたらこれがかなりインパクトを持つ、日本からの世界への発信ということになると思うんですけれども、気をつけないといけないのは2つあって、1つは、今の里山は決していいわけじゃないんですよね。むしろ、人間・自然関係は壊れちゃっているんですよね。だから、それをあたかも、ほら、日本をまねしろというふうな言い方をしたらとんでもない話になるということが1つです。
 もう一つは、やっぱり里山というのは若干日本特殊的なところがあるんですね。人が加わることによって自然が豊かになるというような。その辺は、生態学者によると、そういうケースというのは必ずしも世界的に普遍的なケースであるかどうかというのは疑わしいということを言っているので、そこを世界に概念を広げていくときに、人間・自然関係の再構築という全体の姿はいいと思いますけれども、もう少し種の多様性を、人間がかかわることによって豊かにしているというところあたりは、きちっと議論をしてから世界に発信していかないと、とんでもないことを言っているという国際的な批判にもつながりかねないというので、私はこれは伸ばしたほうがいいと思いますけれども、やはりきちっと議論した上で、どう発信するかということを考えたほうがいいというふうに思っております。
 以上です。

○佐和委員 私は、大変素朴な単純な質問です。
 至る所に出てくるわけですけれども、このカラーのページのところで、第1、第2、第3の危機ということで、第3の危機で「外来種などの持ち込みによる生態系の攪乱」というのがございますね。
 ヨーロッパの人たちが遺伝子組み換え作物というものを拒否する理由の一つというのは、要するに、組み換えられた作物の花粉が生物多様性に対して生態系を攪乱するんだという意見があると思うんですが、私は全くそういう知識がないので、具体的に遺伝子組み換え作物がどういうふうな生態系の攪乱をもたらす可能性があるのかどうかについて教えていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 点検を超えたいろいろご意見、ご質問もあったと思いますが、ご質問に対してのご回答をお願いしましょうか。なるべく簡潔に。

○徳丸生物多様性地球戦略企画室長 全部にお答えできるかどうか不安なのですが、認証制度等について、民間が行っているようなものの活用につきましては、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議の開催に向けまして、民間、そして研究者、企業との対話ということを続けていく、あるいは共同していこうということで、今準備をしております。そういった中で、認証制度等についてもよく伺って、我々の施策の中に、そしてCOP10に向けて世界に打ち出す中に取り込んでいけないかについて十分話をしていきたいと思っております。
 あと、外来生物の問題につきましては、その状況を今はっきり手元に資料等がございませんので、状況を踏まえまして対処させていただきたいと思います。
 「いきものみっけ」の種の同定につきましては、専門家の方に、出てきたデータなり報告をきちんと選別をしていただくなり判断をしていただくことをしなければいけないと思っていますし、また、地域の人にそういった能力を持っていただくことも非常に大事ですので、それはインターネットを活用したり、あるいは地方事務所レベル、市町村レベルでそういったナチュラリストの方にうまくご協力いただけるような施策を検討していきたいと思っております。
 全体的な施策と個別の施策がここの報告書に並んでいるというご指摘がありましたが、確かに、各課がやっている施策を羅列した点がございますので、我々計画課が持っております全体的な施策と個別の施策が並んでしまったところがあると思います。次期点検等がありましたら、総合的に実施する我々の施策と、個別に実施する施策をうまく連携づけてご説明できるような形にしていきたいと思っております。
 支援事業ですが、手元に細かい資料はございませんけれども、先ほど例に挙げさせていただきました千曲市では、地元の方々と市役所が連携して里地里山の保全をしておられますし、屋久島では、ヤクタネゴヨウをずっと守ってこられた民間の方々が中心になって、これも屋久島町が一緒にかかわって事業を起こしております。地元の方とNGOと市町村等が協力して行う事業のうち、協議会経費等は国が100%支援して、実際の事業にかかる伐採をするとか、森づくりを、植栽をするという費用の半分を支援するという形の事業でございます。かかわってきている人は、まさに地元のNGO、そして地元の市民の方、そして市町村などでございます。本年度19カ所を選定いたしまして、支援することを先日発表したところでございますので、これから事業が行われることになろうかと思います。1事業に対して2カ年程度の支援を行うことを予定しております。
 「100年計画」に関しましては、具体的なシミュレーションが進んでいないのですが、これもCOP10に向けまして、今後の生物多様性の状況を総合評価する際に、単に種が増えるとか、生物多様性が豊かな地域の面積が増えるということではなく、きちんと社会経済的な指標も踏まえたシミュレーションを行っていきたいと考えております。これは現在予算要求中ですけれども、そういった対応をさせていきたいと思っております。

○堀内生物多様性地球戦略企画室長補佐 先ほど、佐和先生のほうから、組み換え作物の影響についてのお尋ねがございました。
 遺伝子組換え作物に限らず遺伝子組換え生物を野外で利用した場合について、生物多様性に明らかな影響を与えたという報告は、今のところ我々は聞いておりません。
 予想される影響は、多分3つぐらいに大別されると思っています。1つ目は、遺伝子組換えで獲得された形質により、同種あるいは同じようなニッチを占めるような生物と競合して、それらを駆逐してしまうという場合。2つ目は、例えば、病害虫に強いような遺伝的特性を付加した農作物を捕食した昆虫を殺してしまうような場合。3つ目は、交雑によってもともとあった種が変わってしまうとか、近交弱勢が起きて衰退してしまうような場合が考えられています。

○小林(光)総合環境政策局長 武内先生のご指摘、ありがとうございました。
 担当が忙しいから帰ったのかはともかくとして、シナリオがそうなっているわけでございまして、担当に罪もないのかと思いますけれども、基本計画の点検の仕方が大きな課題でありますことは全くそのとおりです。もともと点検を始めるときに、それぞれの個別の計画があるものの上での基本計画の点検というのは一体何なんだろうかという議論が1回あって、そして、とりあえずは個別の細かい話はここでやるのはやめよう、その上に立った点検をしよう、というところまでが今来ている到達点のすべてだと思うのです。それを踏まえて、さらにこの先、それでは何を点検していくのかというと、きょうも議論いろいろあったかと思うのですが、例えば、速水先生のほうからもありましたけれども、吸収源のことと森林の保護のことというのは、また違う角度でございます。都市をなるべく減築していってコンパクトにしていくときに、アーバンフリンジを自然に戻すことをどうやってファイナンスするのか、これも多様性と温暖化の境目の問題です。あと、たしか善養寺先生のほうからもお話ありましたけれども、リサイクルしている材料が化学物質の点で安全か、あるいはほかの観点から見たときに整合性があるのか、こういったご議論もあったかと思うのです。そういった3分野を横並びにしたときの政策の正しさといいますか、効率性みたいなことは確かに検討する余地がある新しい見方を示唆されているのではないかと思います。既に別の場所ですが、政策評価のときもそういう議論がありましたものですから、その辺の方法を開発しなければいけないね、ということには一応なってございます。でございますので、次回点検ということになりまして、少しそういう観点からもできることがあるのか調べてみたいと思います。
 単純に言いますと、いろいろな分野の中で整合性のないことが副作用として起きているかというようなことがあるかないかをチェックすること、これが一つと、あとは、ウインウインで相乗的な効果をちゃんと発揮できるものがされていないんじゃないか、もっとこうやったらウインウインになるんじゃないかというような見方もあると思いますが、そういったようなことをピックアップして、そういう目で見ていくというのはひとつあるのではないかと思います。
 省内的には、とにかく地球環境局だけで温暖化ができる状況ではとてもないので、各局の中で、例えば温暖化のこともやりなさい、予算的にも人員的にもそうしようということで、だんだん変化をしてきておりまして、なるべく縦割りでなく、横串を刺して対応していこうかな、という気運です。総合政策局自身が本当はそうなきゃいけないと思うんですけれども、そういった観点で、この基本計画も点検ができるようにしてみたい、と思った次第でございます。ありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 2010年に、生物多様性条約のCOP10が日本に招致されているというようなこともありますし、里山イニシアティブとかいろいろな言葉が、だんだん人口に膾炙していくようにはなっていくだろうと思いますし、一方において、自然局に生物多様性地球戦略企画室という室がありますので、やはりもう少し2010年のCOP10を一つのチャンスにして、生物多様性というものに関する、コンセプトと戦略をきっちり固めて、しっかりした将来計画をつくっていくことを期待したいと思います。100年先というと、いつも、誰も責任を持たないというイメージがありますね。2050年が責任を持てるのかどうかと言われると問題があるかもしれませんが、少なくとも2050年とか2030年か、そういうようなところに向けて自然局はどうしようとしているのかというあたりのビジョンも少しつくっていただくといいのではないかと思います。
 一般の企業も今、生物多様性に関心が増し、CSRの関係で、いろいろ人手やお金を使うようになってきているわけで、そういうものもちゃんと組み込んで環境省が、日本の自然をどうしよう、あるいは世界の生物多様性をどうしようとしているかという理念をぜひ出していただければというのが私の希望です。
 よろしいでしょうか。時間も大変押しておりまして、それでは、「生物多様性保全のための取組」に係る報告、これをもって終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 予定の時間をオーバーしておりまして申しわけありませんが、まだ議題(二)「その他」というのがございます。
 第三次環境基本計画におきましては、「予防的な取組方法」の考え方、これが今後の環境政策の展開方向として重視すべきものの一つに位置づけられております。
 「予防的な取組方法」につきましては、重点点検分野ではありませんが、昨年度も点検報告に入っております。本年度もそういう意味では点検を行ってはいかがかと考えておりますので、事務局のほうに資料4というものを提出いただいております。資料4「予防的な取組方法の考え方に基づく施策のフォローアップ調査結果」、これについて、短い時間で恐縮ですが、説明をお願いいたします。

○細野企画調査室長 資料4に基づきまして、「予防的な取組方法」につきまして、各施策ごとにどのような進捗状況になっているかをご報告させていただきます。
 資料4の冒頭にございますように、予防的な取組方法の考え方につきましては、10ページの注1で経緯に当たるようなところを書かせていただいておりますが、幅のある概念ではございますが、リオのサミットでの第15原則を大体ベースにして対策を進めるということで、基本計画におきましても、20カ所近く書いているところがございますが、今回は施策分野に応じまして、約10カ所に集約させていただいております。
 関係の各省も含めまして、取組状況を答えていただいたものをまとめさせていただいたわけでございます。
 端的に申し上げますと、化学物質の環境リスクの低減などを初めといたしまして、それぞれの分野での考え方に基づく施策が進められてきておるということはわかったわけでございまして、今後も引き続き推進に努めていくということで、各分野ごとに明らかになったところを順次ポイントを中心に申し上げたいと思います。
 まず、地球温暖化問題についてですが、2ページの施策の進捗状況等というところに書かせていただいてますように、基本的には「低炭素社会づくり行動計画」ができまして、国内対策としては、革新的技術の開発や仕組みの導入などということが進んでおります。
 国際的には、昨年のバリ行動計画に従って国連での議論は進められていくということになっておりますが、そのほかに、農林水産分野では、農水省の総合戦略というのができておりまして、それに基づきまして、「見える化」などのほかに、農地、土壌の温室効果ガスの吸収源としての機能の活用に対する取組も行われております。
 また、バイオマスの利活用ということにつきましては、特に食料と競合しない日本型の拡大政策などについて、あるいはバイオマスタウン構築の加速化といったことが取り組まれています。
 また、適応のほうの問題になりますが、気候変動の影響の判断が難しい河川環境につきましては、モニタリングの強化ということが行われているところでございます。
 物質循環につきましては、特にアジア地域との関係でのビジョンづくりといったことが予防的な取組として基本計画の中には位置づけられてございますが、既に循環室からもご説明ございましたが、この関係の進捗といたしましては、「神戸3R行動計画」や「新・ゴミゼロ国際化行動計画」といったことが位置づけられるところでございます。
 次に、都市における良好な大気環境の確保でございますが、大気中の有害性のある物質につきましては、環境基準がつくられたりしておるものもございますが、そこまでの知見が蓄積されていないものにつきましても、施策の進捗状況を3ページに書かせていただいておりますように、リストを作成いたしまして、有害性や濃度等につきましての基礎的な情報を集めながら、事業者などが自主的に排出抑制に努めるための指針値を定めてきております。現在、アクリロニトリルなどの7物質について設定されています。
 それから、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組でございますけれども、4ページに書かせていただいておりますが、いわゆる化学物質審査規制法(化審法)、またPRTR法と言われておりますが、特定化学物質の環境への排出量の把握などについての法律、この2つを柱として施策が進められております。
 いわゆる化審法につきましては、制定以来1万1,000の新規化学物質の届け出などを受けまして点検が行われておりまして、監視化学物質としては1,100物質、特定化学物質としては39物質が指定されているという状況でございます。
 また、PRTR法につきましては、毎年、排出量の公表が行われておりまして、6回目の集計・公表が行われているところです。届け出排出量は、こうした公表制度の成果といたしまして減少傾向にあります。また、現在、関係の審議会におきまして、このPRTR法の対象物質の見直しも行われそのための指針が公表されたところでございます。
 それから、生物多様性につきましても、既に個別施策といたしましてご説明があったところですが、施策の進捗状況のところ、5ページにございますが、生物多様性国家戦略に基づいて、モニタリングサイトの設置などが行われているところです。さらに、議員立法ではございますが、施策の概要のほうに書かせていただいておりますけれども、生物多様性基本法におきまして、予防的な取組方法が基本原則として盛り込まれておりまして、生物多様性国家戦略に基づく施策も予防的な取組方法に基づいて進められることが明確になったわけでございます。
 そのほか、(2)に書かせていただいてますが、カルタヘナ法、遺伝子組み換えの関係の法律につきましては、事前の生物多様性への影響評価などが行われておりまして、現在までに132件の承認が行われております。
 それから、農水省関係での戦略に基づきまして、農林水産業と生物多様性の関係を定量的に図る指標の開発が行われているということが明らかになっております。
 それから、6ページですが、長期的な視野を持った科学技術の基盤の整備ということで、科学技術開発等推進費と、地球環境保全のための地球環境研究総合推進費とに基づきまして、それぞれ研究が進められております。その中で、予防的な取組方法に関しましては、環境技術開発等推進費につきましては、生物種の生態影響評価の開発などといったものについての研究が取り組まれております。
 また、地球環境の関係では、「賢い適応」策というものについての特別枠、あるいは低炭素社会づくりに向けた特別枠というのがございますが、平成20年度におきまして、それぞれ4課題、9課題の新規採択、実施ということが行われております。
 また、国際的枠組みルールの形成に向けての推進でございますけれども、具体的には、7ページの施策の進捗状況に書かせていただいておりますように、クリーンアジア・イニシアチブというものをまとめまして、アジア地域におけます具体的な政策目標や分野別のパッケージが公表されております。
 低炭素社会に向けてコベネフィットな取組などが位置づけられているわけですが、それらに基づく施策の推進が図られているところでございます。
 また、オゾン層の保護につきましては、7ページの施策のところにございますが、年次報告としての監視結果の報告のほかに、現在、改正フロン回収・破壊法によりまして、整備時におけるフロン類の回収義務の追加などが行われております。
 また、酸性雨における対策につきましては、8ページになりますが、施策の進捗状況にございますように、長期モニタリングが実施されておりますほか、さらに、アジア地域でのネットワークの活動につきましての支援、また地域大気汚染も含めたものに拡大することについての取組が行われております。
 次に、化学物質の環境リスクの評価というところですが、先ほどの化学物質のところは、化学物質のライフサイクルに応じた対策を書いておりますが、ここでは、化学物質の初期評価ですとか、あるいは環境ホルモンについてのリスク評価等々についての対策を書かせていただいております。
 9ページの施策の進捗状況のところにございますように、初期評価は、32の物質について平成19年度に行われております。環境ホルモンの関係につきましては、「ExTEND2005」という方針に基づきまして、幅広い取組が進められております。
 また、官民集まっての既存物資に関する「Japanチャレンジプログラム」につきましては、優先物質につき、スポンサー登録が行われているということがございます。
 また、リスクコミュニケーションについては、ガイドブックがつくられたり、データベースがつくられたりといったことでコミュニケーションを高める努力が行われております。
 そのほか、(2)といたしまして、経産省の関係で進められております社会全体での最適管理の実現のための手法開発、それから、(3)これは厚生労働省関係でございますけれども、化学物質の総合的評価につきましても、化学物質の構造に応じた審査や評価の高度化・迅速化の研究などが行われているということでございます。
 最後、調査研究の充実ということも書いてございますが、ここは具体的な計画の中身は6ページとダブっておりますので、特に記述はさせていただいておりません。
 以上、とりあえず予防的な方法につきましてどのような施策が進められているか、わかる範囲でまとめさせていただいたものでございます。今後も引き続きこういった施策の推進がなされるようにしてまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 いろいろな分野における予防的な取組方法に関して、各省で行われているものを、いわば横串に刺していただいたということと思います。
 何か特に。

○浅野部会長代理 注1というのがついていますが、これは理解のしようによっては、環境基本計画には予防的な取組方法について何も説明しないままこの言葉を使っているというふうな誤解を与えてしまうと思われます。そうではなくて、計画策定の段階では予防的取組方法という言葉にするのか、予防原則にするのかといったことまで随分細かく議論して、それらの議論を踏まえて予防的な取組方法表現することに落ち着いて、その結果を基本計画の19ページに丁寧に書いているわけです。だから、わざわざ何もリオの第15原則なんかこんなところに持ち出す必要はないのですけれども、どうしても持ち出したいなら、こういうことをふまえてちゃんと明確に計画の中にそのことを書いていると記しておいてもらわないと、計画をつくった側から言うと、いささか困ります。

○鈴木部会長 計画のどこを受けているかというあたりを明確にしていただくということですね。それは必要だと思います。

○細野企画調査室長 定義の面も含めまして、ご指摘の点については整理させていただきたいと思います。

○大塚委員 今、浅野委員がおっしゃったこととも関係ありますけれども、これは各省から出していただいたものが集まっているみたいで、きょう各省庁の人がいらっしゃるかと思ったけれどもいらっしゃらないので余りあれですが、19ページのところに書いてあるように、不確実性というのが前提になって、予防的取組方法という言葉が使われていると思いますが、ここで書いてあるのは、必ずしもそういうことに限らず、いわゆる未然防止のようなものも全部一緒くたになっていて、予防という言葉が非常に、あれも予防、これも予防という感じの使われ方がしているので、それはアンケートか何かわからないんですけれども、調査をしていただくときに、そこを気をつけて調査をしていただくとか、環境省というより、各省庁の問題だと思いますけれども、出していただく必要があったんじゃないかと思います。
 さらに、これは今回これを出していただいたんですけれども、どこが不足しているかというようなことは一切出てこなくて、どこがこれをやっていますみたいな話が出てきているだけなので、今後につながらないというのが恐らく一番の問題で、関係省庁で定期的に、1年に1回でもいいのかもしれませんが、もうちょっと頻繁なほうが本当はいいと思いますけれども、集まっていただいて続けて検討していただかないと、国会でも問題になっているようですので、どこが不足だということがわかるように、そのためにはもう少し定量的な計画が出てこないと、これをやっていますという話だけ出ているのでは、点検のしようがないものですから、そこはちょっと問題かなということがあります。
 その上で1点だけお伺いしておきたいのは、特に、化学物質に関して、この予防的な取組方法についてどういうふうにお考えかということをお伺いしておきたかったんですけれども、特に環境省だけよりは、むしろ経済産業省にお伺いしたかったところがあるんですが、もしお答えいただければ。特に、この化審法との関係についてお伺いできれば大変ありがたいと思います。すみません。

○鷲谷委員 生物多様性にかかわるところで、農林水産業に関しての記述ぶりが、予防的な取組とか順応的な姿勢とかにかかわるような記述になっていないような気がするんですね。業や営みが生物多様性に負のインパクトを与えたり、危機の要因になるという認識があって初めて予防的、どういう振る舞いが予防的であるかということが明らかになるわけですが、プラスの効果が強調してあって、ただ戦略をつくっているということだけが書いてあるんですが、戦略のどの点が予防的になっているのかということをむしろ書いていただく必要があるのではないかと思います。

○永里委員 化学物質というのはハザーダスですが、人間が生きていく上に必要なものなのです。それで、化学物質の規制というのは、その規制の考え方というのは、自然界に存在する値以上に厳しくしないようにというふうに要望いたします。

○鈴木部会長 どういたしましょうか。今幾つかご指摘をいただいた点と、それからあと、委員の方々でこれを目を通していただいて、予防的な取組方法というものの趣旨に合わないようなところはどういうところか、あるいはこういうところが欠けているのではないかというようなご意見がありましたら寄せていただいて、そして、これも点検ですから、最後の部分に、今後の課題というようなものをきっちりとつけておく。その今後の課題に、現状では、ある意味では、予防と言うにはふさわしくないものも入っているかもしれないということをきっちりと入れておいていただいて、今後また予防的取組の点検をするときに、何をどうすべきかというようなことを少し整理しておいていただくということが必要なのかなと思います。そんな形で報告書には少しまとめていただくことでいかがでしょうか。

○小林(光)総合環境政策局長 どうも部会長の提案ありがとうございます。
 この件も、もともと発注のときは、予防的取組の考え方の適用場面を統一的に見て、どういうときには予防原則を発揮して取組をすべきかといったような整理をすべきではないか、ということです。これは、もともと国会なんかであった議論でございます。本来、すぐそこにストレートに答えられればよかったんですけれども、そういう一般原則をまだ確立しておりませんものですから、個別の分野からそれを見ていくとどうなんだろうかということで、今回初めてやってみたというのが正直なところでございます。
 そういうことでございますから、一般的に予防の考え方の進捗状況をどうやってこれから見ていくかというのは一つの大きな課題ですので、今、部会長からご指摘があったようなことで、点検を重ねる中で順次解決できるように、そこら辺チャレンジしてみたいと思います。ありがとうございました。

○鈴木部会長 まだ残っておりまして、報告事項がございます。1つですが、「古紙偽装問題に係る特定調達品目検討会」についての報告をお願いいたします。

○石飛環境経済課長 それでは、もう時間も過ぎておりますので、手短にご報告申し上げます。
 私ども、国等が環境配慮物品、商品サービスを率先して購入して、それが地方公共団体、民間企業、さらには国民の市場に広がるようにということを促進する、いわゆるグリーン購入法というものを施行しております。その中で、コピー用紙を初めとした紙というのは非常に大きなウエートを占めております。
 ご案内のとおり、今年1月8日に、年賀はがきの中に古紙100%でないものが含まれるという報道がございまして、これで私どももそういう製造業者に対する信頼の上に立った制度運用をやってきたわけですけれども、これで信頼が失墜してしまったという大きな問題を抱えたわけでございます。もちろん、これは制度的には公正取引委員会が、景品表示法に基づく排除命令を出したという強制的な措置をとったということがありますが、私どもも、製品の中に、環境に配慮したと言いつつ、そこの表示が間違っている、または意図的に誤ったものを出しているということは、法施行上看過できないということで、半年間かけて専門の検討会、これは本日おいでになっておりました山本先生に前半の委員長を務めていただきましたけれども、検討会を開きまして、最終的に予防措置、それから改善措置をまとめていただいたものでございます。
 2番のところに書いておりますが、具体的な再発防止として、これは製紙メーカーに対して求めていることでありますけれども、製紙メーカーが独自に、どのぐらいの古紙パルプを入れたかということを検証する制度を自主的につくるということでありましたので、私どももそれをチェックしながら、今後、不適正な状態がないかどうかということをよく監視していきたいと思っておりますし、企業には、その情報を国民に広く情報開示をするようにということを求めております。
 もう一つが、一定のサンプルを抜き取りして、私どもの基準に合っているかどうかという製品テストを今年度準備して、来年度から行いたいと思っております。これは、古紙や紙に限らず、再生プラスチック等、そういう可能性があるものについては順次行っていきたいと思っております。
 基準につきましても、次のページをご覧いただきまして、裏のページでございますけれども、中ほどでございますけれども、現在、コピー紙は、国のグリーン購入法の基準は「古紙パルプ配合率100%」であるということを条件にしておりますので、99%以下のものは、我々の購入対象にはならないということでございます。ただし、実際に今の技術的なレベル、そして供給体制を考えると、必ずしもそこまでいっていないということも今回の調査で判明いたしましたので、古紙100%を推奨するわけでありますけれども、あわせて、それに準ずるものとして、下から3行目にありますけれども、「環境に配慮された原料を使用したバージンパルプ」、これは認証された森林からのパルプ、それから間伐材というようなものを使って、そしてやはり環境に優しいものを我々は購入する、調達するというような基準づくりもあわせて関係者、業界が集まって現在つくっているところでございます。
 こういうエコテスト、商品テストをやるということ、そして基準も現状に合わせつつ、よりいいグリーン購入の制度になっていくように、引き続き努力をさせていただきたいということを現在検討を進めているところをご紹介申し上げます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 何かただいまのご報告につきましてご意見、ご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。

○石飛環境経済課長 すみません、きょう皆様の委員限りの封筒の中に、この検討会の最終取りまとめの本体を皆様にお届けしてございますので、また後ほどお目通しいただければと思います。ありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、特にご質問ございませんでしたら、本日の審議は以上とさせていただきたいと思います。
 事務局のほうから、連絡事項ございましたら、お願いします。

○小川環境計画課長 次回の日程をお知らせいたします。
 次回の総合政策部会は、10月31日金曜日の10時から12時でございます。場所は、本日と同じ場所です。
 議題につきましては、本日を含めまして行いました点検の全体の結果を取りまとめてご議論をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、進行の不手際で15分ほど予定をオーバーいたしましたが、本日の総合政策部会、以上で終了させていただきます。
 ご出席ありがとうございました。

午後 5時17分 閉会