中央環境審議会総合政策部会(第44回)議事録
開催日時
平成19年11月9日(金)10:00~10:56
開催場所
経済産業省別館1028号会議室
出席委員
鈴木基之部会長、浅野直人委員、大塚直委員、倉田薫委員、崎田祐子委員、佐和隆光委員、 山本良一委員、和気洋子委員、鷲谷いづみ委員、青木保之委員、石坂匡身委員、川上隆郎委員、河野正男委員、鳥井弘之委員、永里善彦委員、中杉修身委員、長辻象平委員、中野璋代委員、速水亨委員、福川伸次委員
議事次第
- 開会
- 議事
- (一)第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について
- (二)第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について
- (三)その他
- 閉会
配付資料
資料1 | 第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について(案) |
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資料2 | 第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について(案)に対する意見 |
資料3 | 第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について(案) |
参考資料
参考資料1 | 中央環境審議会総合政策部会名簿 |
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参考資料2 |
環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について(平成16年11月29日、中央環境審議会) |
参考資料3 |
第三次環境基本計画の点検の進め方について(平成18年12月20日、第41回総合政策部会資料) |
議事録
午前10時00分 開会
弥元環境計画課長 定刻になりましたので、ただいまから第44回中央環境審議会総合政策部会を開催させていただきます。
議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。資料1といたしまして、第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について(案)、資料2といたしまして、第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望に対する(案)に対する意見、それから資料3といたしまして、第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について(案)。それから、参考資料1 委員名簿、参考資料2 環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について、参考資料3 昨年度ご検討いただきました第三次環境基本計画の点検の進め方について。以上でございますが、足りない資料などがございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、鈴木部会長、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは早速議事に入らせていただきたいと思います。
本日の議事は、議事次第にございますように、第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望、これをおまとめいただくということと、第2回の点検が来年度行われますが、その進め方についてご議論をいただく、そういうことにしております。
まず、それでは議題の1となりますが、第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について、これを議題といたしたいと思います。
9月13日に、第42回の総合政策部会が行われまして、ここにおいていただきましたご意見、それから部会終了後に各委員の方々からいただいたご意見を盛り込みまして、資料1の報告書案、これが作成されております。
この報告書案につきまして、本日皆様のご了承をいただければ、総合政策部会として決定して、環境大臣に報告をさせていただくと、いうふうに進めたいと思います。
では、資料1 報告書案につきまして、9月13日の総合政策部会以降からの修正点等を中心に事務局の方から説明をお願いいたします。
○弥元環境計画課長 それでは、お手元の資料1によりましてご説明をさせていただきたいと思います。
今、部会長からお話をいただきましたように、前回の9月13日の総合政策部会から変更した点についてご説明させていただきたいと思います。
その時いただいたご意見やその後いただきましたご意見を含める形で修正をさせていただきました。
その修正したものを使いまして、パブリックコメントを行ったものでございます。パブリックコメット後、修正した点というのはインデント、頭を揃えるといったような修正でございまして、特に内容の修正というのはございません。
それでは、資料1につきまして、1ページから3ページについては変更はございません。
4ページから10ページに、42回総合政策部会の資料では、参考資料ということで説明をさせていただきましたけれども、こういった全体にわたる資料に基づく評価を入れるべきだというご意見がございましたので、4ページから10ページにわたりまして、参考資料または資料を挿入させていただいております。
それから、11ページにつきましては、各府省における環境配慮の方針に係る取組状況というところでございますけれども、表の中の上から3つ目の箱の右の欄で、2つ目の・に13府省等が「環境に関わる政策分野」も対象にしている、ということで、13とあることから、記述の中にすべての省庁が環境分野を対象としていくことが必要だという記述を入れさせていただきました。
11ページでは真ん中あたりですけれども、指標や数値目標を設定する、あるいはそれを充実していくといったようなことについて、「府省等によって大きな開きがあり、今後の大きな課題」である、という指摘を追加させていただきました。
それから、12ページでございますけれども、1つ目の○、その第2段落の真ん中あたりですけれども、地球環境に対する関心が高い、とだけ記述していたんですけれども、これは根拠を示した方がいいと、そういう書き方にした方がいいというご指摘をいただきましたので、この表から見てとれるように、「地球温暖化」が91%、次いで「オゾン層の破壊」が65%、それを根拠に地球規模での環境問題に関心が高い、という形に追加、修正をさせていただきました。
それから、下の記述でございますけれども、間接的な環境保全活動への参加についても記述として書いた方がいいということでございましたので、「署名活動に協力したことがある」という項目が26%。「金銭や物品の寄付をしたことがある」、23%、こういう形で間接的に参加したという記述をさせていただきました。
それから16ページ、ここは1ページを挿入した部分でございます。3つのアンケート、それぞれの対象者についての情報を挿入させていただきました。
それから、17ページでございますけれども、ここから重点点検分野の点検ということになるわけでございますけれども、適宜本文に関連する指標や用語解説や図表といったようなものを挿入した形で記述を充実、わかりやすくしておるつもりでございます。
17ページの四角囲みの中のSPMとNO2の記述について見直しをさせていただきました。これは環境省として、公表しているのものの言い方を合わせたという修正でございます。
それから、20ページから21ページ、21ページのところのグリーン物流パートナーシップ推進決定事業の事例紹介ということで、図を挿入させていただきました。
文章の中でグリーンパートナーシップという言葉が出てまいりますけれども、どんな体系で施策を進めているのかをわかりやすくしようということでございます。
それから、25ページでございますが、今後の展望のところで、2つ目の○、それから3つ目の○で、2つ目の○は今回に当たってご意見を踏まえて書き直した箇所でございますし、3つ目の○は新しく追加した部分でございます。
2つ目の○では、ヒートアイランド現象の実態や環境への影響に関する調査観測が実施されていると評価できますが、ヒートアイランド現象のメカニズムの解明や温度上昇が与える環境影響等については、未だ研究途上と言えます。さらに、ヒートアイランド対策の効果についての定量的な評価については、知見の蓄積が十分とは言えず、対策の評価方法の確立が今後の検討課題と言えますということを追加させていただきました。それから、その次も、その際、経済面、環境面を勘案した費用対効果を手法間で比較することが必要となります、という旨、書き込みを意見を踏まえる形で追加させていただきました。
それから、3つ目の○、以上を踏まえ、ヒートアイランド対策について国民の理解を深め、各主体による取組の一層の推進を図る観点から、ヒートアイランド現象の緩和に関する指標を分かりやすく示すことなどについて努めていく必要があると言えます、という記述を新たに追加させていただきました。
それから、26ページでございます。水循環のところでございますけれども、四角で囲んである基準に照らした評価の部分でございますけれども、2つ目のところ、最後の記述、達成率が十分ではなく更なる改善努力が必要ということを位置づけさせていただきました。
29ページです。住民参加の状況ということの1つ目の○におきまして、例示といたしまして筑後川ではこういう活動が行われているということで、住民参加が実際に具体的にどのように行われているかといったようなことを、書き出すととても長くなるんですけれども、こういう短い形で挿入したつもりでございます。
32ページ、ここも水循環でございますけれども、今後の展望の中に、2つ目の○を新たに挿入いたしました。このような取組を着実に実施するためには、各取組についてもしっかりと評価する必要があります。例えば、各種の森林の作業や管理については、それぞれが水源涵養にどれほど寄与するものなのか、科学的定量的な評価が十分とは言えません。森林の水源涵養等を目的とする山間部での取組の状況を評価する上でも、今後の検討が必要と言えます、という記述を新たに挿入いたしました。
36ページでございます。ここも今後の展望の部分の追加修正でございますけれども、一番下のところに今後の展望で、○と打ってあります真ん中あたりを追加したわけでございますけれども、湖沼、内湾等の閉鎖性水域においては、流域からの負荷が流入・滞留しやすく、内部生産や底質からの溶出と相まって水質の改善がなかなか進んでおらず、各施策に係る活動及び各施策の連携を強化する必要があります、というご指摘を記述をして加えさせていただきました。
それから、42ページでございます。3つ目の○で、後段、2つ目の文章を挿入させていただいた形になっております。物品と比較して、役務の分野はグリーン購入の取組が遅れています、の後に、電力購入に係る裾切り方式の活用など環境配慮契約法を有効に使うことも含めて取組を進める必要があります、という記述を一部分追加させていただきました。
それから、47ページでございます。これはいろいろご指摘もいただきましたので、そのご指摘、ご意見を踏まえて、全文を詳しく書き直したという部分でございます。改めて読み上げると分量多いものですから割愛させていただきますけれども、ご意見を踏まえて全面的に詳しく書き直した形になっております。
それから、52ページでございます。環境情報についての部分でございまして、今後の展望の最初の○の後ろの方でございますけれども、いろいろ取組はしているけれども、環境基本計画上の目標、90%を超えるんだというものにははるかに及ばない状況であるという評価、十分とは言えないという評価をつけ加えさせていただきました。
それから、一番最後の○の後ろの方で、先日設置いただきました環境情報専門委員会の設置について触れております。
1枚めくっていただき54ページ。戦略的環境アセスメントの今後の展望のところでございます。1つ目の○の2行目の真ん中あたりから追加をさせていただきましたが、実施事例が積み重ねられることが期待されます。このため技術的な検討を進めるとともに、それら取組の状況等を踏まえて、SEAガイドラインの不断の見直しを行うことが必要です、ということ。それから、2つ目の○につきましても後ろの方に、より上位の計画や政策の決定に当たっての戦略的環境アセスメントについて、準備作業を進める必要があるというご指摘をいただきましたので、加えさせていただいております。
それから、大分飛びますけれども62ページ、予防的な取組方法の考え方についての本分記述の後ろの方で、今後は-のところ、今後は今回整理した内容も踏まえ、我が国における予防的取組方法の考え方について関係省庁でさらに検討を深める、という部分を追加させていただきました。
それから2.環境基本計画の点検に当たって、というところを新たに加えさせていただいております。その最後で、指標の充実を図るなど、さらに充実化が必要だという記述も重ねて改めてここにも書かせていただいたところでございます。
続きまして、資料2、パブコメでいただきましたご意見をまとめさせていただいております。資料2をごらん下さい。
パブコメは、10月18日から11月1日まで実施をいたしました。
その結果の概要でございますけれども、まず表の上半分のご意見は全般的評価のところに対してのご意見でございますが、これは指標を用いて現状の把握を行った部分に対するご意見でございまして、今回の点検の重点調査事項に対するご意見ではございませんので、一般的なご意見というふうに受けとめさせていただきまして、今後の施策の参考にするために、関係する部局に伝えさせていただきました。
次に、表の下半分の重点点検分野の点検部分についてでございます。点検や点検報告書そのものに対するご意見が幾つかございました。
例えば、一番上のNO2の環境基準の策定方法そのものを点検すべきというご意見がありましたけれども、これは環境基準の設定の仕方に関する技術的な話でもございますので、水・大気局所管の部会で検討されるべき事項というふうに考えております。
それから、真ん中あたりにございます38ページから47ページというところ、限定的に環境にいい企業行動を評価するだけではなくて、大気の汚染物質排出や環境負荷を与える行為が高コストになるとともに、その原因企業が明らかとなるような、市場でそういった企業が損をするような仕組みをつくることが必要だというようなご指摘でございますけれども、点検事項についてはあまり広範囲、多岐にならないようにということで、今回総合政策部会で重点調査事項をお決めいただいていますので、それを外れたところでのご意見をいただいたということでございますので、ちょっと取り込みようがないなというふうに考えておるところでございます。
そのほか幾つかご意見をいただいておりますけれども、個別具体的な事項に関する技術的なことであったりいたしますので、点検報告書の性質上からはご意見を反映するということは難しいと考えているところでございます。
以上でございます。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまご説明いただきました資料1、進捗状況・今後の展望について、それからパブコメの意見等につきまして委員の先生方からご意見、あるいはもしご質問がございましたらご質問いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
前回いろいろとご議論いただきましたことと、それから実際の点検の場におきましてもいろいろとご意見、ご議論をいただいている総まとめということになりますが、いかがでしょうか。
では、中杉委員。
○中杉委員 修正をいただく必要がないのかもしれませんが、ちょっとコメントだけしておきます。9ページの化学物質の環境リスクの低減に向けての取組状況のところなんですけれども、PRTRの対象物質のうち、というようなことで、環境基準や指針値が設定されているものに限定する必要はなかったのではないか。今さら環境基準が設定されているものは、一般に排出規制が行われていて、それについては規制によって対応している。PRTRというのはその外側を対応しようという考え方で、違法的な取組も含めての考え方ですので、今回はこれで結構だと思うんですが、そういう意味では、PRTRでわざわざ基準値、指針値が設定されている項目に限定する必要はなかったのかなという感じを持っています。
○鈴木部会長 では、ひと回りご意見をお伺いしたいと思います。川上委員。
○川上委員 60、61ページ、国際的取組のNGOの活動に関する課題と今後の方向という結論の部分に関してですけれども、この段階でちょっと具体的なことを申し上げるのも何なんですが、読んでいて気になったんですけれども、61ページの一番最後のところ。これがいわば今後の総まとめみたいな書き方で、これらの課題を含めNGO等に期待される役割や何が国のレベルでできるのか云々という概念を整理した上で、資金面も含め、NGO等が協力に参加しやすくなる方策を戦略的に検討することが必要だと、この結論の部分なんですけれども、政府、地方公共団体とNGOへの一層の支援、あるいはNGOとの連携が必要だという観点がちょっと欠如しているのではないかなという印象がございます。現状でも、ODA、すなわち政府とプロジェクトベースでの財政的あるいは技術協力的な支援というのは既に行われているわけで、私に言わせればそれはまだ非常に微々たるもので、これはもっと拡充すべきだというふうに考えているわけですけれども、ここの書き方は極めて漠然としているわけですが、ODAとNGOとの連携、さらにその支援の必要性、その支援というのは財政面、技術協力面、両方含めるわけですけれども、そういった面での方策も含めて戦略的に今後検討していく必要があると。それをもうちょっと具体性を持って記述した方が、方向性がはっきりするのではないかと。
これでは一体、現状に大体満足していて、これから概念的に考えていきましょうよといった程度の話に過ぎなくなってしまうというふうな印象でございます。
以上です。
○鈴木部会長 そうですね。一通りご意見をお伺いしたいと思います。鳥井委員。
○鳥井委員 ご説明を伺って、いろいろな評価が必要だという話が大分つけ加えられたというのはいいことだと思うんですが、そういう評価の話も含めて、いろいろこれが重要ですとか、これが必要ですということは書かれているんですが、それはやるということを意味する、今期の基本計画期間中にそれをやりますと言っているのか、それとも来期の期間に入ってからやるから、今のところ勘弁してねという意味なのか、そこのところが読む側から見ますと、いまひとつ。確かに展望ですから、なかなかよくわからないんですが、それを読んだ側が、いつやるんだろうなと、いつまでにやるのかな、というようなことがもう少しはっきり。はっきり日づけまで切って約束する必要はないと思うんですが、今のところ必要ですというところにとどまっているのはちょっと弱いかなと。語尾の問題と、全般を通してということで。
○鈴木部会長 それでは、崎田委員。
○崎田委員 全体的には、これまでにも私は今、国を挙げて政府、産業界、国民、自治体、すべてが本当に積極的に取り組まなければいけないということですので、それぞれの省庁の連携状況とか、そういうことも明確にわかるようにということで意見など言わせていただきまして、かなりそういう記述も増えてきておりますので、そういう状況が国民に伝わった方が、そういうムーブメントも起こってくるというふうに思いますので、そういうことを今後期待したいというふうに思っております。
それで1点、今お話したいと思ったのは、先ほど、パブリックコメントの中で、38ページから47ページに関して、市場において環境が評価される仕組みのところで、もう少し環境と経済の好循環が明確にいくような仕掛けが欲しいというようなご意見がなかなか取り組みづらいというお話があったんですが、実は昨日、公害防止ガイドラインのフォローアップという環境省と経済産業省との連携の会合がありまして、そのときに、ガイドライン策定後、大きな産業界の環境基準の違反事例というのが起こってきて、それを早目にフォローアップするということでやったんですけれども、やはりそのときにも環境の価値をしっかり評価させていくうようなことがもっと明確になっていくことが必要なのではないかということが盛んに議論されました。
そういう現状がここに、今回の中には、例えば大気とか水もありますし、経済のところもありますし、全部のところのフォローアップが関係しているのに、そういう現状がなかなか入れ込めないというのはちょっとつらいなという感じがいたしました。何かそういうところが若干、今後加わるような可能性があるのならばうれしいという感じがいたしました。よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 大塚委員。
○大塚委員 取りまとめの時期ですので、あまり実質的なことは申し上げませんが、29ページの住民参加の状況のこの3つのところですけれども、先ほどお話しいただいたように、下から7行目のところで、筑後川の例を挙げていただいて、大変ありがたかったと思っております。
住民参加の具体的な事例がどういうふうになっているかというのは、私も前からお願いしていたので、大変ありがたかったと思いますが、できればオールジャパンでどうなのかというのはもう少しいろいろな例を出していただいたり、表みたいなものをつくっていただくと、とてもよかったと思いますけれども、今回は、これでご努力いただいたと思いますので、ありがたかったと思っております。
以上です。
○鈴木部会長 浅野委員。
○浅野委員 まず中杉委員の最初のご発言ですが、これは第三次計画本体の方に指標として、化学物質についてははとりあえず環境基準及び指針値が設定されているものと書いているわけですね。ですから、そのときに言わないで今ごろ文句をつけるのはフェアでない気もするんですが、なぜ指標のところでそう書いたかというと、理由ははっきりしていて、定量的に把握しやすいということで、とりあえずそこから行きましょうという話だったと私は記憶しております。
確かに、これでいいのだというメッセージになっては困るというのが、中杉委員の発言の真意だと思いますし、それは全くそのとおりだと思いますので、今後どうするか。あるいは今回はいいのですけれども、次回以降、こういうものを取り上げるときは、書きぶりとしては、これですべてではないと、今、中杉委員が言われたように、こういう部分もで既に対策が進んでいるのだということがわかるようにしないといけないという点は、そのとおりだと思います。ですから、ご発言は次回以降の宿題として扱うことではないかと思います。
それから、川上委員がおっしゃった、61ページに加筆すべきというご意見は、点検の過程で、たびたびみんなが発言してきたことでありますので、ここには書き足しても組みなおしをしなくてもいい程度に余白がありますので、これはぜひ川上委員のご意見にしたがって加筆をするべきだと考えます。
それから、鳥井委員がご発言になりました、必要です、というのでいいのかというお話。報告書を丁寧に見ると、それぞれの場所でそれなりにニュアンスの書き分けがしてあって、事務局の思いのたけが多少あらわれているのかなという気はするんですが、われわれは基本計画の点検をして、これを環境大臣が閣議に報告をし、閣議で報告を受けた各省は言ってみれば、成績簿をもらうようなところがあるものですから、ここに必要ですと書かれている点は、そもそもこの第三次基本計画の5年間の内にやらなければいけないという閣議決定のしばりを受けている項目,事項に関してて、特に「必要です」と言われれば、それはやはりやらなければいけないと受け止めるべきことは当然いうことになる、と、こんな読み方を多少希望的ではあるんですがしていくこともできるのではないか。という前提で見れば、語尾について、それなりにニュアンスをもった書き方がしてあることに、それなりの意味があると理解できよう、と私は考えます。
それから、パブコメの、38ページから47ページについて書かれていることが、なかなか今回の報告には書きづらいという事務局のご説明について言えば、確かに書きづらいという、事務局の説明の方が理解しやすいことだと思われます。
というのは、38ページ以下のこの報告書の中では、市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくりという中で、重点調査項目としてグリーン購入をあげ、さらにSRI等の環境投資の拡大ということを掲げて、それを重点的にチェックしているわけです。そうするとこの重点調査項目に関連づけて、それぞれの今後の展望のところに唐突にこのパブコメに出ているようなコメントを入れてみても、それでは文章のつじつまが合わなくなってしまのではないか、と思われるからです。
今後の展望ではなく、最初の前文のところにこれを唐突に入れるのもちょっとつらいところがあり、全般的に、しかもこのパブコメは環境汚染物質という書き方になっていて、割合限られた言い方になってしまっておりますが、むしろ環境負荷を与える行動がどうだというようなことは確かに問題ですから、課題としては十分に考えなければいけないこととして、もっと総論的に取り上げるという必要があるわけですけれども、この次の二巡目に市場の仕組みづくりということを考えるときの重点調査項目事項にこういう関心事をうまく反映できるような項目を選ぶということにして、今回は、「入れられたらありがたい」というご発言があったんですが、やはり入れづらいなという事務局のお話を了とせざるを得ないと考えました。
○鈴木部会長 浅野先生ご自身のご意見はよろしいですか。
○浅野委員 私自身のコメントですが、あまり言うとまたややこしくなるので、やめておきたいところですが、パブコメのうちに、戦略アセスメントのガイドラインから発電所が除外されたのは問題であるというご意見があります。ガイドラインづくりの座長をやっておりましたので、このことについてすこし触れておく必要があるかもしれません。確かに除外されてしまったわけですが、検討会では、別に何も除外をしろとか、除外をするなと言った覚えはございませんので、結果的には、これは諸般の事情で除外されたということだと思います。
検討会に出しましたガイドラインの当初案について改めてちょっと申し上げておきますと、発電所をということを暗黙のうちに考えていたことは否定できないのですが、民間事業に関しては、公共事業と全く同じようなやり方をSEAの手法として要求することには無理があるだろう。そのことについては、十分留意せざるを得ないということを入れております。
といいますのは、例えば公共事業ですと用地取得について強制的に取得するという手立てがありますから、複数案を検討して、こっちの方がいいという場合には、無理矢理でもその土地を取得するということも可能ですが、純然たる民間事業の場合には必ずしもそうはいきませんので、最適な場所をと言われても、そうは行きませんとか、あるいは規模についてどうだと言われても、これは経営戦略上やむを得ないということになるでしょう。
それから、さらに事前に全部情報を流してしまったのでは、全く競争相手に対して情報が漏れるのでやりづらいということもあるでしょうから、SEAをやるにしてもいろいろな工夫が民間事業について必要でしょうねということを申し上げたわけです。これだけ申し上げた上で、なおかつそのことが十分に理解されなかったことは残念なことだと思っておりますけれども、結果的には民間事業について全く同じやり方をSEAでやらなければいけないとは考えていなかったということだけは、改めて、公式の場で申し上げておきたいと思います。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
いろいろいただきましたご質問、コメントに対して、浅野先生の方から大体回答をお出しいただいたという形になっておりますが、そもそもこの基本計画の点検であるということとそれから基本的計画そのものがある意味では、完全なものではない。それの点検をするということで、しかもその点検のやり方が、重点点検分野の中から、重点調査事項というものをえぐり出して、それを2つ並べてという一種のフィルターがそこにかかっておりまして、それに対する点検に対してこの報告書がまとめられ、そしてそれに対してパブコメが出てきているというようなことなので、ある意味では限定的な点検報告ということにならざるを得ないわけですが、しかしながらやはりここで点検をしたことについては、最後のそれぞれのところの今後の展望のところで、問題点をきちんと明確にして、第3期、次の基本計画がつくり上げられるまでの間に実現すべきことを明確にしておく。そしてまた、次の基本計画にどういう形でそれを生かしていくかというようなことも、私たちとしては蓄積をしていくということが重要だろうと思います。
しかしながら、部分的にちょっと不明瞭であって、若干の修文でその辺が明確化できる。先ほどの川上委員のところとか、それは今でも直していただき、早急にこの詰めをさせていただきたいと思います。
大体、そんなところでよろしいでしょうか。崎田委員のところはやはりちょっと重点調査項目でテーマを絞りすぎたところもあって、ここでは生かせないということで、これは次の点検のときの1つの宿題というようなことにもなろうかと思います。
それでは、こういう形で、部分的に修文をさせていただくというようなことを含めて、実はきょうは、総政部会の定足数が1名不足ということで、ここで決定するということができませんので、事務局の方に預からせていただき、そして完成版を委員の方々にお送りして、ということになります。
それで文面をもって、部会報告をさせていただく形をとらせていただかざるを得ませんが、よろしいでしょうか。
なるべく早く環境大臣にこの報告をさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○浅野委員 前にも前例にないわけではないのですが、これはやはりある意味では、生鮮食料品みたいな時期ものでありまして、古くなってしまうとあまり意味がないということがあります。報告ということでありますので、今部会長がおっしゃったように、報告はさせていただいて、その上で、前回も同じようなことをやったわけですが、次回に正式に定足数を満たしているところで、改めて追認をしていただくという手続を今回もおとりになったらいかがでしょうか。
○鈴木部会長 なるべく定足数を満たす部会が開かれることを祈っておりますが、大臣に対する報告は書面で一応了解をいただき、後ほど追認をいただくという、そういう形をとらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に入らせていただきますが、第三次環境基本計画の進捗状況の第2回点検の進め方について、これを議題といたしたいと思います。
来年は、第2回目の点検を行うことになっておりますが、この点検の進め方につきましては、既に昨年十分にご議論をいただいて決定されているところがございます。
事務局の方から、説明をお願いします。資料3ですね。
○弥元環境計画課長 それでは、資料3についてご説明をさせていただきます。
来年は第2回目の点検ということになりますが、その案を作成したというものでございます。まだ枠組みだけでございますけれども、まずその分野につきましては[1]から[5]として、地球温暖化問題に対する取組、それから物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組、化学物質の環境リスクの低減に向けた取組、生物多様性の保全のための取組、環境保全の人づくり・地域づくりの推進、という5つの分野にしたいと考えております。
これは、昨年度第三次環境基本計画の点検をどういうふうに進めていこうかということを方針、枠組みとしてご決定いただいておりますが、そのときに既に今年度行った点検の残りの部分というとちょっと語弊があるかもしれませんが、残りの部分を来年度やるということで予定されているものをすべて、[1]から[5]に挙げたという形でございます。
実際の点検作業についてでございますけれども、[1]と[2]と[4]の3つにつきましては、それぞれ個別の計画が存在しております。
例えば、温暖化につきましては、京都議定書目標達成計画でありますとか、物質循環のところは循環型社会形成推進基本計画でありますとか、生物多様性のところは生物多様性国家戦略という全体的な総合的な計画がございまして、それに基づく点検の結果を聴取するという形で、重複を避け、簡略化して進めていきたいと考えております。
具体的には、その取組状況等の分析につきましては、個別の計画に基づく点検状況について報告をしてもらおうということ、それから指標を使ってその施策等の詳細な分析作業を当方で行うことはしない、省略するという方法を考えておるところでございます。
一方で、[3]と[5]の点検ですが、これは総合政策部会で行うということになってまいります。
今回の点検小委員会の中で、審議時間があまりにも短いというご意見、ご指摘をいただきましたので、来年はぜひ十分な審議時間を確保したいというふうに考えております。
この[3]の分野といいますものは、最近、政府の方針といたしましても、国民の安全安心の確保、そういった視点を重視すべきだとなっておりますので、先般も総理から、国民生活の基本である「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」、こういう分野については、法律や制度、事業など幅広く行政のあり方の総点検を実施するようにという指示が出されたところでございます。こういった中で、化学物質の環境リスクの低減、こういった取組について点検を行うということは時宜にかなったものというふうに考えております。
それから、[5]の分野につきましても、地域活性化という大きな柱が現在立っております。先般も第1回目の地域活性化統合本部会合が開催されたところでございまして、地方再生のための総合的な戦略を内閣官房で取りまとめるという予定になっております。この地域活性化に関しましては、環境保全の観点からも重要でございますので、この分野の点検を行う必要性は高まっているというふうに考えておるところでございます。
なお、たびたびご指摘をいただきました指標の充実についても行っていきたい、必要であるというふうに考えておりますので、総合政策部会の審議と並行する形で指標の充実化に向けた検討も進めていきたいというふうに考えております。
[3]と[5]の重点調査事項につきまして、具体的な調査事項を案としてつくった上で、次回の総合政策部会においてご審議いただきたいというふうに考えておりますけれども、参考までにということでしかございませんけれども、環境基本計画においてはどういう項目立てがされて記述が行われているかというものを点線の枠内に、項目立てについて主なものを、参考ということで書いてみたものでございます。
こういった項目立ても参考にしながら、第三次環境基本計画を策定する際に[3]の化学物質の分野の主担当を務めていただきました浅野委員、それから[5]の分野につきましても主担当を務めていただきました田中委員とご相談させていただきまして、次回の部会までに重点調査事項の案をつくってお示しし、ご審議いただければというふうに考えておるところでございます。
今後の大まかなスケジュールといたしまして、来年度の点検に向けてでございますけれども、本日の総合政策部会で来年の重点点検分野とするこの5つの、[1]から[5]を対象とするんだということをご確認いただきまして、次回の総合政策部会で重点点検分野ごとの重点調査事項をお決めいただきたいと考えております。その後、アンケート調査でありますとか、関係府省の自主的点検、あるいはブロック別地方ヒアリングといったようなことを進めてまいりたいと、本年度とほぼ同様の日程を考えているところでございます。
以上でございます。
○鈴木部会長 今のご説明につきまして、ご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。
では、浅野委員。
○浅野委員 第2回点検の報告書のスタイルが今回と同じようなスタイルでまとめ上げられるかどうかということが若干懸念されます。全く同じようなスタイルのものにならない可能性があるのではないかという意見を申し上げておきたいと思うわけです。
と申しますのはご存じのように、今、温暖化について京都議定書の目標達成計画の見直しをしていて、それが年度内には新しく、恐らく現状のままということはまずあり得ませんので、改定されることになる。
そうするとそれが動き始めて、半年でどこまで進捗したかというようなことを見るのはかなり難しくなりますから、結果的には新しく改定される計画をつくるに際して議論したさまざまなデータなどを並べて、こういうことが問題だったからこんなふうに変えたのだという説明しかできないであろうと思われます。同様のことは、循環についても実は年度内に新しい計画に切り替えていきますので、全く同じようなことになってしまいます。
それから、生物多様性は、先ほどお聞きしますと、今月中には審議会の答申が出るということで、恐らく11月中には新しい計画ができますが、かなり今度の第三次生物多様性国家戦略は、従前のものよりも詳細なものになっていますし、具体の記述があるわけです。そうなりますとそれができて半年後に点検ということはこれもなかなか難しいのではないかという気がします。
もちろん第三次国家戦略も毎年点検されるということになっていますから、間に合うかもしれませんけれども、そういう意味では、特に[1]と[2]については、今回と同じようなスタイルの点検報告書をそれぞれの部会で検討した結果に基づいて、まとめ上げるということはなかなか難しいのではないかと思われます。
それから、もう1点、若干危惧の念がありますのは、京都議定書の目標達成計画と環境基本計画が考えている[1]の重点の分野の間には、若干の差異があります。
といいますのは、京都議定書目標達成計画はあくまでも京都議定書を達成するためにどうするかということだけを考えて、先をどうするかということは直接には入れていないわけです。しかし、環境基本計画は何も5年間の第一約束期間のことだけを考えて、中身を書いているわけではなくて、もっとその先までにらんで書いておりますので、目標達成計画の点検作業で出てきた結果がそのまま環境基本計画の点検に行くということはないと思いますし、そうすべきではないと思います。
というのは、目達計画の点検は、あくまでも目達計画の中だけで、ある意味では論理を簡潔させて点検するという手法をとっておりますが、それと基本計画が合わない面があると思います。むしろ地球環境部会で、2050年なり、先のことを考えて、どうしたらいいかという議論が始まっていますから、そういったものをいろいろおり交ぜながら、地球環境部会にもし委託を受けるのであれば、地球環境部会なりのドキュメントを別につくると、こういう形でないといけないのではないかとも思われる。事務局のご説明は、そちらでは点検を行っているからそれを使えばいいだろうというニュアンスのご発言でしたが、それは違うということを認識しておく必要があると思って発言いたしました。
○鈴木部会長 その点は、私も全く同感なんですが、目達計画の点検といいますか、それを実際に実現していく。循環計画についてはある意味では基本計画がかなり同じラインをとるかもしれません。
生物多様性の国家戦略も、これは国家戦略をつくるということを目指した議論とここの生物多様性の保全のための取組という基本計画の中身とはある意味では、どっちがどっちということではないんですが、新鮮度が違ったりしていますので、それをここでやるべきことは第三次環境基本計画の進捗状況の点検、あくまでもこれの点検という、ある意味ではちょっと古くなったものを点検するようなことになってしまうので、どういう形で、平仄を合わせるかというあたりは、これはちょっと宿題ですね。お考えいただいて、なるべくならフォーマットを整えるような形で、そういうものを取り込んで、ここの目標は、次の基本計画をどういうふうに、第四次の基本計画にそれをどう生かすかという、そういうところにあるわけですから、そういう線で、この3つのそれぞれのインディペンデントに、あるいはほかの方向を若干向いている検討につきましても、どういう形でここにまとめて取り込んでいくかという、これは少し事務局の方で考えさせていただくということでよろしいでしょうか。
○大塚委員 別の点でもいいですか。
○鈴木部会長 はい、結構です。
○大塚委員 先ほど課長からお話があった地域の活性化の点も環境部門から重要だということで、今回ご検討いただく地域づくりの中で、ということだろうと思いますけれども、大変重要だと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。
その中で、環境省の地方事務所の位置づけというような点も、恐らくやや関連してくるのではないかと思いますので、今回、水質汚濁などについてモニタリングポイントが減少していることとか、あるいは地方自治体で環境に回す財源がやや不足してきているという点等々も含めてご検討いただけると大変ありがたいと思います。
以上です。
○鈴木部会長 これは、田中委員がおまとめいただくときに考えていただくようにいたしましょう。
では、福川委員。
○福川委員 大体ご説明の方向で結構だと思いますが、[5]の環境保全の人づくり、地域づくりの推進というところですが、これは環境基本計画に含まれているいろいろな問題が有機的に展開されることだろうと思います。これは化学物質の問題もあれば温暖化もあるし、あるいは循環型もあるし、いろいろなものがこの人づくり、地域づくりには出てくるんだと思いますので、これを考えるときにはぜひ有機的にその辺を検討していただくということをお願いしたいと思います。その場合、今行政のお話もありましたし、また市民側のNPOのものもありますし、また商工会議所とか商工会とか産業側の問題もありますし、それをぜひ有機的に持っていくという形で、これは非常に重要なことで、言ってみればここが本当に推進力かなという気もしますので、ひとつめりはりのきいた検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○鈴木部会長 第2回点検では、この人づくり・地域づくりが唯一横断的な事項ということで、すべてにかかわってくる面もぜひ忘れないで、おやりいただくことだと思います。
そのほかよろしいでしょうか。
この点検のやり方そのものもいろいろと検討しながら進めていくということが重要だと思いますので、またぜひいろいろな点検のプロセスの中で、ご意見をいただければと思います。
事務局からはよろしいですか。
○弥元環境計画課長 はい。次回の予定として、年明け1月あるいは2月ぐらいに、また改めてご予定、スケジュールをお伺いした上で調整し開催していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします
○鈴木部会長 かなり早く終わってしまうことになるのですが、これで部会を終了させていただきたいと思います。それでは、次回は来年1月または2月ということで、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
午前10時56分閉会