中央環境審議会総合政策部会(第35回)議事録

開催日時

平成17年12月9日(金)14:00~17:08

開催場所

経済産業省別館9階 944号会議室

出席委員

鈴木基之部会長、大塚直委員、崎田裕子委員、佐和隆光委員、高橋滋委員、服部拓也委員、山本良一委員、青木保之委員、浅野直人委員、天野明弘委員、石坂匡身委員、井手久登委員、江頭基子委員、江森孝至委員、猿渡辰彦委員、塩田澄夫委員、善養寺幸子委員、武田善行委員、筑紫みずえ委員、永里善彦委員、長辻象平委員、馬場久萬男委員、福川伸次委員、松田美夜子委員、松原純子委員、三橋規宏委員、渡辺修委員

議事

(一)第二次環境基本計画の見直しについて

  • ・重点的分野検討結果報告
    (報告分野)
    「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」
    「長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備」
  • ・総論部分に関する検討

(二)その他

  • ・環境研究・技術開発推進戦略専門委員会の設置について

その他

閉会

配付資料

参考資料

議事録

午後 2時00分開会

○苦瀬計画官 それでは定刻を若干過ぎましたので、議事に入ります前のお手元の配布資料のご確認から始めさせていただきたいと思います。
 本日の配布資料一覧でございますが、議事次第の裏側のところに配布資料一覧がございます。
 資料の1が、第三次環境基本計画における重点分野「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」報告書
 資料2が同じく「長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備」報告書
 資料3が、第三次環境基本計画 第一部第2章 今後の環境政策の展開の方向(素案)
 資料4-1が、環境研究・技術開発推進戦略専門委員会の設置について(案)
 資料4-2が、中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の設置について(案)
 参考資料といたしまして参考資料1が、新たな環境基本計画(循環部分)の概要
 参考資料2が、第三次環境基本計画 重点分野の検討方針について
 参考資料3が、第三次環境基本計画目次(案)
 参考資料4が、環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿
 参考資料5が、中央環境審議会総合政策部会名簿となっております。その他にいつものとおりですが、会議後回収と貼っております現行の「環境基本計画」、それから「第三次環境基本計画に向けた考え方 中間とりまめ」等の資料が机上に置いてあると存じます。資料の不足等がございましたら事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。
 それでは、議事に入っていただきたいと思います。鈴木部会長よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、ただいまから第35回中央環境審議会総合政策部会を開催させていただきたいと思います。お手元の議事次第にございますように、本日の議題は大きく2点になっております。(一)は「第二次環境基本計画の見直し」、そして(二)は「その他」でございますが、その他といたしまして「環境研究・技術開発推進戦略専門委員会の設置について」という件がございますので、この件の方を先にお諮りさせていただきたいと思います。なお、本日は総合政策部会45名の委員のうち現在25名のご出席で部会成立しておりますので、過半数に達しているということでございます。
 それでは、この環境研究・技術開発推進戦略専門委員会、この設置につきましてはさかのぼる11月10日の部会でお諮りいたしまして、当日ご欠席の委員につきましては書面をもってご了承いただくこととしたところでございます。この件につきまして、事務局からその結果についての報告をお願いいたします。

○宇仁菅環境研究技術室長 それでは、説明をいたします。先ほど部会長からお話がありましたように、11月10日の部会では出席委員が17名ということで定足数に達しなかったわけでございます。それでその後、書面で了解をいただくということにいたしまして、今日までに23名、17名の方以外に23名の方から了承するというふうな返事をいただいておりますので、過半数に達したということでございます。部会長とも相談をいたしまして、専門委員会を設置させていただきまして、実は既に第1回目の会議を開催したところでございます。
 その際に11月10日の部会で浅野委員から意見がございまして、専門委員会を始めるということについては異論がないので問題ないけれども、正式にちゃんと定足数がそろったところで遡及的に確認をしておけば許容されるのではないかというようなご意見がございました。そのご意見に従いまして本日、確認をさせていただくということでございます。
 お手元に資料といたしまして資料4-1「環境研究・技術開発推進戦略専門委員会の設置について」がございます。これまでも何度も説明をしておりますので、詳しい説明は省略させていただきますけれども、その1番の「設置の趣旨」の最後のところでございますが、今後の環境研究及び環境技術開発を重点的に推進するための戦略の在り方について、技術的専門的な見地から検討を行うための「環境研究・技術開発推進戦略専門委員会」を設置する。というようなことでございます。既に活動を開始させていただいておるというとこでございます。
 以上、簡単でございますけれども終わります。

○鈴木部会長 ありがとうございました。国全体としての総合科学技術会議の方で検討をしております科学技術基本計画、これが来年の3月に閣議決定を予定しておりまして、ここに環境分野の重点推進分野等々を盛り込んでいただくということもあって、大変急いだわけでございますが、ご説明がありましたように11月10日ご欠席の委員のほとんどの方から、設置に賛成の意を表していただきましたので、その時点でこの推進戦略専門委員会を設置させていただき、活動が開始しているということでございます。
 本日は部会が成立しておりますので、ここでその旨ご報告させていただいて、ご出席の委員の方々からご了承をいただきたいということでございます。よろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございました。それでは、この件につきましては総合政策部会として正式に了承ということにさせていただきます。なお、専門委員会の委員長は総合政策部会の委員でいらっしゃいます安井至先生にお願いをしております。
 それでは、1番目の議題に入らせていただきたいと思いますが、「第二次環境基本計画の見直しについて」、この重点分野別検討結果のご報告を本日は2件、最後の2件ということになりますが、ご報告いただき、そしてもう一つ、第三次計画の総論の部分のうち「今後の環境政策の展開の方向」これを記しております第一部第2章についてのご審議をいただくことにいたしております。
 では、まず重点的分野別検討についてのご報告といたしまして、最初に「物質循環の確保と循環型社会への構築のための取組」、これにつきまして崎田委員の方からご報告をお願いしたいと思います。時間が限られておりますので約15分ぐらいでご報告をいただいて、その後、ご議論をいただき、1時間程度でこの分野をまとめさせていただければと思います。
 崎田委員、よろしくお願いいたします。

○崎田委員 それでは、報告させていただきます。今日の報告に関しましては資料1と参考資料1とその2点を使わせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。この「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」、この分野なんですけれども、今回、検討に際しましては循環型社会形成推進基本計画の進捗状況などを検討しております循環計画部会が担当させていただきました。そしてこの検討に関しましては8月31日、10月24日、11月17日、12月2日とこの4回にわたって委員の皆さんに検討をいただきました。この循環計画部会には総合政策部会と重なっている委員の方が5名ほどいらっしゃいます。藤井委員、浅野委員、永田委員、横山委員、そして私です。で、私が今回まとめ役として報告をさせていただきます。また総合政策部会の大塚委員と田中委員にご参加いただいて検討に加わっていただきました。ありがとうございます。
 それでは最初に参考資料1の方をちょっとご覧いただきたいのですが、実は委員の皆さんと最初に色々な意見交換を始めたときに、新たな環境基本計画のポイントとして大きく3つの意見が出てまいりました。1つ目はやはり最優先かつ困難な課題の廃棄物の発生抑制の取組を進めること。そして2番目は地域を基礎としつつ、世界にも視野を向けた循環型社会づくりを推進すること。そして3番目には様々な環境政策の分野と横断的取組をして相乗効果を発揮していくという、そういうような3つの意見が大変強く出されました。そういうような検討過程を経てまとめたこの新たな環境基本計画の循環部分に関する概要が、この参考資料1です。
 これを見ていただくと、ちょうどこの真ん中辺に「現状・課題を踏まえた目標達成のための取組」と書いてあります。この最初の課題の部分、そして次の施策の基本的方向、この辺を見ていただければ今の委員の皆さんの主な意見というのが網羅されていると考えております。ちょっと見ていただければ、循環利用量は改善しつつあるものの、まだ全体の1割である。2番目の○として、
 

○廃棄物等の発生抑制を最優先に、施策体系の充実・効果や国際的取組への動向、関係者間の連携の促進等が重要な課題。
 こういうふうな課題をとらえた上で施策の基本的方向としては、
 

○循環基本計画に沿って、すべての関係者の連携と役割分担を踏まえて施策を実施する。
 

○国の施策の推進に当たっては、政府一体として施策を実施し、新たな課題でもある地方との連携、国際的な取組、他の環境分野との相乗効果の発揮にも対応する。
 このような視点を重要視した上で視点を上に持っていただければありがたいのですが、目標とする2025年の循環型社会の姿として描いているのがこの4つの○に表されております。これは実際には第2章の方に書いてありますが、
 

○資源消費の少ないエネルギー効率の高い社会経済システムづくり。
 

○「もったいない」の考え方に即した循環の取組の広がりと関係主体のパートナーシップによるその加速化。
 

○ものづくりの各段階での3Rの考え方の内部化。
 

○廃棄物等の適正な循環的利用と処分のためのシステムの高度化。
 このような将来展望、これは言ってみればつくり手、使い手、そして廃棄、すべての主体の連携と役割分担によって3Rの政策を推進し、そして天然資源の使用が最小化された環境と経済の好循環する社会を実現していくという、こういうような社会像を描いております。それに向けて一番下、黒い矢印の下に「重点的取組事項」と書いてあります。この辺を重点的な事項として7つの事項を挙げております。
 

○自然界における物質循環の確保
 

○一人ひとりのライフスタイルに根ざした地域重視の循環型社会づくり
 

○循環社会ビジネスの振興
 

○循環資源の適正な利用・処分に向けた仕組みの充実
 

○循環型社会の形成に向けた国際的な取組の推進
 

○地球温暖化対策等の他の環境分野との横断的な取組の推進
 

○循環型社会形成に関連した情報の的確な把握・提供
 このような重点的取組を挙げております。これに関しての詳細に関しては今、平成19年度を目途に新たな循環基本計画で位置づけていこうということで見直し作業あるいは検討を進めていく予定でおります。
 このような中で資料1の方をご覧いただきたいのですけれども、少し具体的に報告書(案)をまとめております。これに関して少し重点的なところを読ませていただきます。
 第三次環境基本計画における重点的分野「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」報告書(案)でございます。第1章としては、「現状と課題」、現状に関しましては、大量生産・大量消費の経済社会活動は、大量廃棄型の社会を形成して、健全な物質循環の阻害に結びつく側面を有しています。こういう中で我が国ではまだ約4億5,000万トンという膨大な量の廃棄物を発生させているわけです。
 こういうような中で少し飛んで「近年」というところを見ていただければ、ここに書いてありますが、近年の我が国経済社会におけるものの流れの傾向をみると、約20億トンの総物質投入量に対し、全体の約5割がエネルギー消費や廃棄物として環境中に排出されています。また、リサイクル等により循環的に利用されている量を示す循環利用量、これは若干改善しつつありますが、全体の約1割に過ぎません。
 こういうような中、循環型社会形成に向けたさまざまなリサイクル法が設定され、進んでいるのですが、下のところをご覧いただいて、特に循環基本法では、適正な物質循環の確保に向けて廃棄物の[1]発生抑制、[2]再使用、[3]再生利用、[4]熱回収、[5]適正処分という対策の優先順位を定めています。同時に同法に定める基本原則を踏まえて、廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減に関しては事業者や国民などの排出者が一義的な責任を有するという「排出者責任」の考え方と、製品の製造者などが製品の使用後の段階等で一定の責任を果たすという「拡大生産者責任」EPRと言われておりますが、この考え方が廃棄物処理法や各種リサイクル法に取り入れられました。このような経過を経て、国民、NPO・NGO、事業者、地方公共団体、国等の関係者による取組が広がっております。
 また、国際的な視点に立ちますと、中国、アジアなど途上国の経済発展を背景として、廃棄物を含む循環資源の国際的な移動が増加しており、地球規模での適正な資源循環を確保することが重要となっています。これに関しましては平成16年のG8サミットで我が国の提案で廃棄物の3R(リデュース・リユース・リサイクル)を通じて国際的に循環型社会を構築するという「3Rイニシアティブ」が合意され、これを踏まえて閣僚会合及びその後の取組などが進んでおります。
 課題として考えられること、これはちょっと重要ですので、課題全体を読ませていただきますが、2ページです。このような社会経済システムや物質フローの現状を踏まえると、現在の取組を一層充実させ、ライフスタイルの変革も含め、天然資源の消費の抑制と環境負荷の低減を目指した持続可能な循環型社会の形成を実現するということが喫緊の課題となっています。
 廃棄物等の発生抑制を最優先の課題としつつ、国内外において循環資源の循環的な利用の促進、適正な処分の確保を進めるよう、廃棄物処理法や個別のリサイクル関連法の充実等により、施策体系の一層の強化充実を図ることが必要です。また、地域の実情に即した循環型社会づくりの取組や、国際的に適正な資源循環を確保するための取組等を早急に講じていくことが必要になっております。これらにあわせて国民、NPO・NGO、事業者、行政の役割を明確化するとともに各主体間の連携を促進していくことが急務となっています。
 このような課題をまとめましたが、この課題を踏まえて中長期的な目標としてこのあと(1)から(4)までの4点を挙げております。3ページをごらんください。
 項目を挙げさせていただきますと、中長期的な目標としては、(1)資源消費の少ない、エネルギー効率の高い社会経済システムづくり、環境と経済の間に環境をよくすることが経済を発展させ、経済が活性化することによって環境もよくなる。こういうような好循環を国内のみならず、国際的にも広く実現するということが重要になっております。そのためにも資源消費の少ないエネルギー効率の高い社会経済システムづくりを進めます。
 (2)「もったいない」の考え方に即した循環の取組の広がりと関係主体のパートナーシップによるその加速化、これを進めてまいります。これはライフスタイルの見直し、そして実践が国民の間で高まり、エネルギー利用やもの、サービスの選択、消費活動、暮らしのあらゆる場面で「もったいない」の考え方に即した行動を広げていくということですけれども、このような変化を通じて先ほどと同じですが、地域の各主体のパートナーシップに基づく様々な関係者が一体となった循環型社会づくりの取組を進め、さらに意識・行動の変革を加速するとともに、地域の活性化にも結びつけていきます。
 そして(3)ものづくりの各段階での3Rの考え方の内部化、拡大生産者責任に基づく制度の拡充や事業者による自主的取組を通じ、環境へ配慮した設計や使用後の製品回収の取組が進み、生産、流通、販売の各段階で3Rの考えを広く取り入れていきます。一例としては、レンタル・リースやサービサイジング等の進展により物の販売からサービスの提供へ移行を進めるということが重要になってまいります。
 次のページをごらんください。4ページ目、(4)中長期的な目標の4番目として、廃棄物等の適正な循環的利用と処分のためのシステムの高度化、これは循環型社会構築の基盤としての各種リサイクル施設やバイオマス活用プラント、循環資源の広域移動に対応したリサイクルポートの整備などを進め、新たな循環資源を供給する資源産出拠点となり、自然界からの新たな資源採取の最小化に寄与するということが重要になってきます。これらのところでは施策の優先順位を踏まえ、有害廃棄物も含め、可能な限り再使用・再生利用が推進されるとともに、再使用・再生利用ができない廃棄物等の焼却処理が行われる際には、発電や熱供給といった熱回収を高効率で行う、こういうようなことが重要となってまいります。
 このような中長期的な目標に踏まえ、施策の基本的な方向として3に(1)から(6)までの6つの方向を挙げております。これに関してポイントとなるところを読ませていただきます。4ページ目の3の(1)廃棄物等の発生の抑制を最優先に、適切な再使用、再生利用の一層の促進を図るなど循環機能を高める施策を講じていきます。
 (2)番目は、循環基本計画に即して、すべての関係者の連携の下で、その積極的な参加と適切な役割分担により、各種施策を総合的かつ計画的に推進していきます。
 (3)これは国民やNPO・NGO、そして次のページ、事業者、そして地方公共団体、それぞれの役割に関して基本的方向を述べております。
 そして(4)国としては他の関係主体とのパートナーシップの育成を図るとともに、重点的取組を中心に国全体の循環型社会形成に関する取組を総合的に進めることが重要となっています。そのため、各府省間の連携を十分に確保しながら、政府一体となって環境基本法、循環基本法に即して、各種法制度の適切な運用や事業の効果的・効率的な実施を推進します。
 (5)番、このように国の施策は従来からの枠を超えて、より広い視野での取組が重要となっておりますが、特に近年新たな課題となっている国と地方の連携による循環型社会の形成、東アジア等における国際的な循環型社会の形成、さらには地球温暖化対策等の他の環境分野と連携し、相乗効果を発揮する取組を推進します。
 (6)番としては、このようなものに向けた物質フローや廃棄物等に関するデータ、その辺の迅速かつ適切な把握、分析、公表、このようなことを基本的な方向として挙げております。
 6ページ目をご覧ください。このような基本的な方向に向けて重点的な取組事項として(1)番にアからキまでの項目を挙げております。そして8ページの方に(2)となっております。これに関しましても項目に関して簡単に挙げていきます。6ページにお戻りください。 重点的取組事項の(1)番、循環型社会の形成に向けた重点施策、アとして、自然界における物質循環の確保。これは生態系や生物多様性といった物質循環以外の環境要因にも配慮しながら、天然資源のうち化石燃料や鉱物資源等の自然界での再生が不可能な資源の使用量の増大を抑制します。資源を大切に使うというところですが、それとともにバイオマス・ニッポン総合戦略の見直し内容を踏まえたバイオマス等の利活用の促進や、森林の適切な整備・木材利用の推進を図るとともに、自然環境の保全・再生のための施策を講じます。さらには環境保全を重視する農林水産業への移行を促進します。
 イ、一人ひとりのライフスタイルに根ざした地域重視の循環型社会づくり。これの真ん中辺に高齢化でリタイアした技術者等も含め、地域住民の積極的な参画により生活用品のリサイクルの取組やフリーマーケットの開催等を促進します。このような地域社会での取組も大変重要になっております。そして「さらに」のところ、このような地域における取組を反映しながら、国全体の観点と地域の実情を踏まえて、国と地方が構想段階から協働して循環型社会の形成のための地域計画を策定し、循環型社会の形成のための基盤の整備を推進していきます。地方、そして国という連携をつくっていくということです。
 ウ、循環型社会ビジネスの振興、2行目、レンタル・リースやサービサイジング等、ものの供給に代えて環境負荷の低減に資する取組を推進します。このような循環型社会ビジネスというのも環境誘発型ビジネス、少し広げた視点で積極的な推進が必要ということになっております。
 7ページ目の真ん中辺、エ、循環資源の適正な利用・処分に向けた仕組みの充実、4行目あたりを読ませていただきますが、製品の特性に応じたライフスタイルを考慮した設計・製造の推進など、廃棄物の発生抑制につながる上流対策等の一層の充実を主眼に、各種リサイクル制度の強化を図ります。そして有害物質の問題、そして廃棄物の適正処分の問題、そのようなものをきちんととらえながら、加えてアスベストやPCB等、有害性や処理の困難性に照らして特別の対応が必要な物質について、その時々の科学的知見を最大限に活用しつつ、その適正処理の仕組みの充実を図ってまいります。このような形で特に不法投棄に関してはアクションプランなどを踏まえて推進を図っていくとしました。
 8ページ目、循環型社会の形成に向けた国際的な取組の推進。これは中環審などでも検討が進んでおりますが、「ゴミゼロ国際化行動計画」に沿って、途上国におけるキャパシティ・ビルディングの推進等、各国での循環型社会形成の支援やバーゼル条約による有害廃棄物の適正処理の取組等、廃棄物の国際的な移動による汚染を防止するための方策を講じます。この国際的な取組に関しては今後非常に重要な分野になってくるところと考えております。
 カ、地球温暖化対策等の他の環境分野との横断的な取組の推進。この項の最後の方を見ていただければ廃棄物熱利用の促進や廃棄物発電の導入促進を図ることとし、廃棄物やバイオマスを利用した高効率の熱利用、発電施設の整備等を促進します。温室効果ガス対策などとの連携も非常に重要な課題としてとらえております。
 キ、循環型社会形成に関連した情報の的確な把握・提供。この分野は今後とも電子マニフェストなどの情報整備も踏まえて大変重要になってまいります。
 (2)として、本基本計画を受けて実施すべき具体的な施策の詳細について、社会経済の変化に柔軟に対応して、今後平成19年度を目途に新たな循環基本計画において体系的に位置づけるというふうに考えております。
 このような中、5番目、指標及び具体的な取組として挙げております(1)物質フロー指標として、資源生産性、循環利用率、最終処分量そして取組指標と挙げております。このような検討内容についてご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しましてご意見、ご質問等ございましたら……では、こちらからまいりましょうか、山本先生。

○山本委員 はい、ありがとうございます。4点ほどコメントをさせていただきます。3ページのこれは用語の問題なんですが、環境へ配慮した設計をDfEというふうに書いてあるんですが、これちょっと古い言い方で現在はエコデザインあるいはエンバイロメント・エココンシャス・デザインという用語の方がよく用いられております。来週の月曜日から私、エコデザインの国際会議を今組織しておりまして、小池大臣にも最初に挨拶をいただくのでありますが、この Design for Environment というのは10年前に流行った言い方で環境のための設計というのはちょっとおかしいんじゃないかというふうに、今欧米を中心に批判がなされています。エコデザインの国際規格化が今進行中でございまして、できればエコデザインあるいはエンバイロメント・エココンシャス・デザイン、ECDですね、と直していただければありがたく存じます。これは環境配慮設計あるいは現在ではさらにヨーロッパが法的規制を強めていまして、環境適合設計というふうに日本では言われております。
 次、4ページへまいりまして、これは第2点なんですが、施策の基本的方向の(1)でございますが、食料を大量に輸入して日本国内が窒素過剰であることはもうよく知られた事実でございますが、この文章を読みますと、「自然界における窒素等の物質の適正な循環を維持、増進する施策を講ずる」というのですが、これはもう食料輸入を相当減らさない限り、私は達成不可能だと思うんですね。ですから、こういうふうに書いていいのかどうか、私は大変疑問に思います。それから6ページでございますけれども、「自然界における物質循環の確保」とこれはアに書いてあるのですが、ここの内容は先ほどの内容をお聞きいたしますと、どうも物質循環の確保というよりはこの表題が再生可能資源あるいは再生不可能資源の有効利用をうたっているような感じがいたしました。表題が適正かどうかということです。
 それから最後に第4点でございますが、9ページの物質フロー指標の点でございますけれども、循環利用率と最終処分量は技術のトレンド及びその政策のトレンドを考えれば設定がある程度できるとは思うのですが、この資源生産性は分子が要するに貨幣、GDPで、分母は炭酸ガスの排出量あるいは何かとると思うんですけれども、この根拠が大変不明確だと思うんです。もちろん相当な計算をされてこういう目標を立てられて、私の記憶では40%向上を目指しているのだと思うんですけれども、こういう根拠がちょっと疑わしい。まあ、もうつくってしまったから仕方がないと言えば仕方がないんですけれども、これ実現可能性とか何かがまったく見えないような気がいたします。
 さらに付け加えて申しますと、来年から次期の日本経団連の会長、キヤノンの御手洗さんですが、キヤノンはこの資源生産性を2000年に比べて2010年は200%にするという目標を挙げているわけですね、そういう非常に大きな資源生産性の向上を挙げている企業は日本の中でも相当増えているわけでありまして、従って、この資源生産性のところは果たしてこのトン当たり39万円でいいのかどうかちょっと合理的な根拠がどこまで示せるか、私は少なくともちょっと自信がない、あるいはもっと高く設定できるかもしれないという部分があります。

○鈴木部会長 どうしましょうか……はい、浅野先生。

○浅野委員 まず今の山本委員のご発言については、最初のDfEは、これはたしかに新しいものがあるならきちっと勉強して修正する必要がありますなら修正することが適当であると考えます。あとのご意見についてはいちいちここで討論をするということもできませんが、例えば物質循環というところについては、要するにこういう構造になっているということを言いたいのであって、確かにご趣旨はわかりますからもう少し表現ぶりを直すという工夫はしなければいけないと思いますが、大筋ではこれで良いのではないか。この環境基本計画に基づいて循環基本計画をつくると、法律ではこういうことになっていて、現在の第二次環境基本計画ができまして、それを受けて循環基本計画がつくられたわけです。今回はまた今度、第三次環境基本計画ができますと、それを受ける形で第二次の循環基本計画ができると、こういうことになっていきます。
 それで第三次環境基本計画にどういうことを書くかということは、それがそのまま第二次循環基本計画の骨格につながる、とこういうことになります。そういう理解をしておかなければいけないわけですが、循環基本法という法律があって、これが循環基本計画の根拠法になっているわけです。循環基本法と環境基本法が、どういう関係にあるのか、これを解くカギが山本委員ご指摘の自然界における物質循環という大きな物質循環を考えて、そこまで視野に入れたのが環境基本法及び環境基本計画であり、循環基本計画はその下のところの社会経済システムとしての循環の部分をとらえると、こういう一応の整理が行われているわけで、今日に至っているわけです。
 ですから、ここでは山本委員ご指摘のとおり、上位の環境基本計画の中の基本的な考え方としては、まずはその社会経済以前の「自然界における物質循環」を正常なものにしていかなければいけないということが大目標なんだということをうたわなければいけないわけですが、そうはいうもののそれはほとんど不可能に近いことを言っている面があって非常に難しいわけです。ですから、ここでもそれを意識しながら、例えば温暖化の問題も言ってみれば物質循環のかく乱による現象なんだというような認識を示しておくことは大事な点であり、それを受ける形で循環計画が社会経済のシステムの中での循環を考える。こういう構造になっているわけですから、ご発言のご趣旨はよくわかります。そういうような流れがここで必ずしも明瞭に表現されていないことはその通りですから、表現の手直しは必要でしょう。
 次に指標の問題ですが、循環基本計画の方で既にこういう目標を決めてしまっていて、それをさらに平成22年までに達成すると宣言済みなものですから、今さらここでそれは違うとされますと大変困ってしまう。それで資源生産性の指標についてはいろいろご意見もあることは承知しておりますから、我々としてはここにありますように補助的な指標をつくることによって、もう少し何とか姿形がはっきりするように工夫しなければいけないという認識は持っています。例えば中部新空港をつくったその数年間に土砂が大量に埋立てに用いられた。それだけでこの数字が大きく変動してしまうというようなことがあったものですから、そういうような要因がわかるような物差しをもう一つ用意しておく必要がある、というのがここの書き方です。
 根拠がはっきりしないとおっしゃるのもそのとおりなんですが、いろいろ検討してみて循環部会の中でもさまざま、これは工夫をして変えるとしたらどうなのかと大いに議論はしたのですが、どれをいじってみてもなかなかはっきりしない面があって、結局また元に戻ったということでございます。その上でここでは物質フローに関する指標としては3つが3点セットで出てきます。だからこの資源生産性の指標だけをとりあげて議論されるとちょっと辛い面がある。2番目と3番目とを合わせて、それらが全部達成されて初めて物質循環がうまくいっているんだと理解しようとしているわけですから、そういう理解をしていきますと海外に物が出てしまうというようなことについても、2番目と3番目のところを合せてみていくと、国内の話についてはある程度整理ができるわけです。なお今後、特に経済の国際化あるいは物質循環そのものも国際的に循環するということを考えると、次の第二次の循環計画ではこの部分については、さらにすそ野を広げなければいけないということは共通認識で持っておりますので、その点もここの中には既に記している考えていただければと思うわけです。
 山本委員のご指摘については実は構造的なところの問題も絡んでおりますので、直ちにおっしゃることを「ああ、そうですか」と直せないということがある点をご理解いただければと思います。先ほど申しましたように、循環部会ではこの環境基本計画に書き込むことについては、できるだけ第二次循環計画の中に新たに課題として持ち込まなければいけないことは考えて入れたつもりでおりますので、これで足りないというような点がありましたら、ぜひおっしゃっていただいて、そこは次の第二次の計画の中に生かせるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ちょっと山本委員のご質問に対するレスポンスになってしまいましたが、まず一通りご質問、ご意見等をおうかがいして、まとめてまた対応させていただきたいと思います。
 善養寺委員。

○善養寺委員 まず気になった点が2点ですが、1ページ目の下の方ですが、「循環基本法では、適正な物質循環の確保に向け」というところで、[1]発生抑制、[2]再使用、[3]再生利用、[4]熱回収、[5]適正処分となるのですが、これは循環基本法の中で定められていて、今さら訂正はできないのだと思われますが、すごく違和感があるのは熱回収という言葉が突然出てくるところです。エネルギーへの転換が熱回収という言葉になっているのかと想像しますが、熱回収というと、我々建築では排熱を回収し、それをもう一度利用するという排熱利用のときに熱回収利用という言い方をします。それは、熱が既に存在するからそれを回収して再利用するというか適正利用するということで、通常のごみ処理の際の焼却時に出た熱を排熱せずに、使うのだったら熱回収という感じがするのですが、廃棄物そのものを、敢えてエネルギー利用として、電気を起した熱を使ったりするのであれば、これは「エネルギー転換」なのではないかと思いました。
 それに絡めまして4ページの部分で、同じように「廃棄物等の焼却処理が行われる際には、発電や熱供給といった」これは廃熱利用を行うということだと思うのですが、これを「熱回収を高効率で行っていきます」というのは、発電と熱供給を、「熱回収」という言葉の表現もちょっと不思議で、ここは、「エネルギー利用への転換を図っていきます」という言葉の方が意味が通っているのではないかという気がします。
 また、それに絡めまして、8ページのカのところですが、ここも「京都議定書目標達成計画に沿って、廃棄物熱利用の促進や」と書くよりは、廃棄物のエネルギー転換の促進を図るとし、「廃棄物やバイオマスを利用した高効率の熱利用・発電施設の整備等を促進します」という言葉の方がいいのでないかと思いました。
 これは「熱回収」という言葉でのことですが、もう一つ。6ページの「高齢化でリタイアした技術者」という書き方は何かすごく違和感があって、「定年退職された技術者」というような表現に変えられないものかと思います。高齢でリタイアしたと言われると、何かすごく年寄りな感じに受けたので、まだまだ全然高齢ではないけれども定年退職されて、今は特別仕事に就いていないということを意味しているのであれば、「定年退職された技術者」をというふうにした方が……多分まだ60代ですと本人は若いと思っていますので、そうされたらどうかと思いました。

○鈴木部会長 熱回収というのはたしかにサーマルリカバリーという言葉を使っている、どこかあれでしょうかね、他のいろいろ基本計画等々でもこういう言葉が使われているとすると、それはそれでしようがないかもしれませんが、たしかに違和感がありますね。

○浅野委員 コメントは付けてもいいけれども、法律で使われている用語なんですね。

○鈴木部会長 いや、ただ熱回収というのと、その物からそれの持っている自由エネルギーを回収するというのは違いますからね、本来は。

○浅野委員 要するにリサイクルというキーワードで法律の言葉をつくっちゃったものだからそうなったんですね。だからこれはコメントの世界だと思いますが、おっしゃるようにちょっと……。

○鈴木部会長 あとでグロッサリーが付きますからね。

○浅野委員 ええ、違うんですね、スタートラインがもともと循環法の場合はですね。

○鈴木部会長 はい、結構です。では、永里委員。

○永里委員 5ページの一番上の方に社会的責任が書いてありまして、その6行目に「廃棄物等の適正な循環的利用及び処分への取組等を一層推進していきます」ということがうたってあります。その「一層推進していきます」の前に修飾語をつけて「透明性をもって」というような言い方を入れた方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、逆にこういう言葉を入れることによって、文章そのものが弱くなるのであればこの話は目的が違いますので、そのときは撤回いたします。
 以上です。

○鈴木部会長 すみません、今6行目のところに、循環的利用及び処分への取組等を透明性をもってという……あとでご検討ください。

○崎田委員 はい、ありがとうございます。

○鈴木部会長 それでは、長辻委員。

○長辻委員 まず、これは質問なんですけれども、この再循環、再利用ということなんですが、この中には原子力燃料の再利用、核燃料サイクルということは……。

○鈴木部会長 入っておりません。

○長辻委員 これは入っていない。で、議論の最初からこれは除くということで進めたわけですか。

○崎田委員 基本的に循環基本計画ができたときに原子力についての検討というのは、基本的には原子力廃棄物に関しては話の範囲から除外というか、やはり今後社会的には大変重要な課題になってくるということはありますけれども、非常に構造というか実施の仕方というのが違う分野ですので、検討の中ではとりあえず原子力廃棄物、放射性廃棄物という話は入れずに検討をしているというのが現実です。

○佐野境計画課長 多分、森本課長が言っても同じだと思うんですけれども、この環境基本計画の根拠は環境基本法にございます。それでこの環境基本法の体系の中で、そこの善し悪しとかを論じ出すと色々あるわけですけれども、放射性物質による環境問題というのはその環境基本法のフォーカスにしないという枠組みでできておりますので、それに基づいてつくっている環境基本計画も、今の崎田委員のご説明ですとそこに判断があるかのような取り方もあるんですけれども、それは環境基本法のもとにあるのものとして初めから議論の枠組みに入れないということでやっているものでございます。

○長辻委員 しかしエネルギーの、発電量の3分の1は原子力でつくっているわけですから、エネルギーと環境というのは不可分の問題で、だからそこのところを避けて通るというのは……根拠はわかりましたけれども、相当難しいなというのが印象なんですけれども。

○森本廃棄物・リサイクル対策部企画課長 温暖化の面では多分出てくると思いますけれども。

○長辻委員 それとあとクリアレンスで低レベルのものが一般の廃棄物として処理されるというのがありましたよね。

○佐野環境計画課長 そこが実はちょうど環境基本法あるいは環境行政の世界との橋渡しになっておりまして、そこはむしろ森本課長のところの所管なんですが、そこのその橋渡しのルールを決めて関わってくるという仕組みになっております。あと多分、補足があると思いますけれども。

○森本廃棄物・リサイクル対策部企画課長 低レベルのものについてはいわゆる通常の産業廃棄物として扱うということで処理されていますので、一応ここの中の適正な処理の中に概念的には入っている、特に明記はしていないというだけになるかと思います。

○長辻委員 で、最後ですけれども、この原子力はここから除くということは環境基本計画のどこかに書かれるんですかね。

○佐野環境計画課長 正直申しまして関係者はある種当然のものとしてつくっておったわけでございますが、ちょっと検討させていただきます。

○長辻委員 初めて見る国民にですね、これ一般の人にして知ってもらわないといけないので、やっぱり普通の人が見れば、これ何で書かれていないんだろうというのはやっぱり非常に、まずそこで首かしげてしまいますよね、と思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。では、福川委員。

○福川委員 大変精力的におまとめいただいて、大変わかりやすいと思います。二、三ちょっとおたずねしたいと思いますのは、1つは6ページ目の農林水産業ですが、「環境保全を重視する農林水産業への移行を促進します」と、こう書いてありますが、これはどういう意味なのか、どういう農林水産業を描いているのか。ちょっとこれだけだとイメージが湧きにくいので、どういうことを考えるのか、もっと林業をやろうとしているのか、結構水田でもメタンガスが出たりとかいろいろな問題がありますが、環境保全を重視する農林水産業というのを、できればもう少しイメージの湧くようにしていただければと思います。
 それから6ページ目の一番下から2行目のレンタル・リースが書いてありますが、これは一つの循環型社会ビジネスの一部と取り上げておりますが、レンタル・リースはレンタル・リースを利用した方は別にこれは資源を元へ戻すということになりますが、リース業者あるいはレンタル業者の方ではこれをまたどうするかという問題は当然残るわけで、これをもっと供給者に戻せとこういうことになっているのか、ただレンタル・リースを促進したらそこの局地はそれでいいと思いますけれども、レンタル業者、リース業者では何をしなければいけないかというところがやっぱり問題として残るのではないかというふうに思いますので、これで循環型に果たしてつながるか、局地的には循環型でもその他としてどうかという点にちょっと疑問を感じます。
 それからここでよく読むと書いてはあるんですけれども、じゃあ、こうやって循環型システムをつくって、循環型経済にしていくために何が大事かというと、ここにも適正処理技術という文言が7ページにもあったりしますが、結局この技術の問題と、それから社会全体の価値観の問題と、それから循環するシステムの問題とどう改善するかということの組み合わせだろうと思うので、よく読むといろんなところに書いてありますが、何かできればもう少しわかりやすくそこら辺の問題が浮かび上がるといいなという感想を持ちました。
 それからこれは前にも、ずっと前、数年前にも議論になってなかなか進展しないんですけれども、今日本の電圧ですが、今日本は100ボルトでやっているわけですけれども、これを200ボルト、220ボルトにすると電力のロスは非常に減退するということが言われていて、今電力会社でもかなりのところまで、家庭の近くまで200ボルトの電圧の送電線が入ってきているわけですけれども、今100ボルトを使っているのは世界中で北朝鮮と日本しかないわけですが、この電圧を高くするということにするというのは一つ方法だとよく指摘をされておりますが、そうすると家電のいろんな機械を全部入れ換えなければいけないから消費者がたまらんと、こういうことで進まないんですけれども、この辺はどうしてもだめなものかどうか、本当にメリットがあるかどうか、それから何が障害なのかというのを一回ご検討をたまわったらどうかという気がいたします。
 それからもう1つ、こういうことで合理的に使うのにヨーロッパではよく蓄熱装置を各家庭に入れていて、夜間電力でオフピークのときの電力を使って蓄熱装置をして、それでそれを翌日の風呂に使うとかいうことになって、かなり平準化する家電品が欧州では随分進んでいるわけでして、そうすればもちろん電力の方の料金の支払いも安い電力が使えるということに家庭でもなるわけですが、そういったこの蓄熱装置のようなものをもう少し普及できるという方法ができないものかという、そんな感想を持ちますのでご検討をたまわればありがたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、松田委員。

○松田委員 循環型社会というのに対する皆さんの取り方が人さまざまなので、この文章、このまとめに対してもさまざまなご感想が出てくるんだろうなと思いながら、私は自分の感想を述べます。
 この循環型社会は私も本当に、この言葉が本当に正しいかどうかって直す責任はないですけれども、これは読み替えると、廃棄物の少ない社会を構築するためにどのような取組をしていくかということがここの大きな狙いだと私は解釈しています。そうすると、崎田委員の先ほどのご説明はとってもわかりやすくて、このフローは大変よく書けているんですけれども、それが文章に落とされたときには何かすごく曖昧になっちゃって、薄まってわかりにくくなっているような印象を受けました。
 で、具体的にじゃあ、どこかと言いますと、例えば1ページのところの「廃棄物等」というところに括弧があって、またかぎ括弧があって、また括弧で括ってという形で、4行の中に括弧で括る部分が3行入っているというとっても変な文章になっているんですね。これは廃棄物の多様化に伴う処理の困難さというふうに書いてしまって、その廃棄物のとらえ方、廃棄物とは何かというのを循環型社会の表の中の廃棄物の定義として注書きしてしまった方が読み手としては非常に読みやすい。それから、じゃあ、「廃棄物の多様化」という形容詞なんですけれども、多様化ってこれも人によって様々な取り方があって、放射性は入れるのかとか、どこまでが多様化というこの形容詞もちょっと具体的に書かないと、「廃棄物の多様化」っていったい何という話になっていくと思います。
 それから循環基本法って書いているんですけれども、これ略語ではないでしょうか。循環型社会形成推進基本法……。

○浅野委員 それは書いてありますね。

○松田委員 どこかに書いてある……最初に。

○鈴木部会長 一番最初に。

○浅野委員 それは今言われた括弧の中にあります。

○鈴木部会長 それを入れたために括弧が増えたんです。

○松田委員 いや、この略字で書くということが、私たちはこれ読みとばすと、環境基本法って読んじゃったりしちゃって混乱してしまいましたから、どこかで最初にきちんと書いていくと、この熱回収という善養寺さんのおっしゃるその熱回収の気持ちで、ああ、建設業界はそう取るのかと思ったんですが、私たちはこの熱回収というのは清掃工場で熱がどんどん水をかけられて捨てられてしまっている状況を何とか熱回収というサーマルリカバリーという形でつなぎとめようと思ってつくった言葉なので、ああ、そうなんだなと思いながらも、熱回収の優先順位というのは適正処分より前なんだよというふうに、とる人によって違うことに気づきました。だからやはりそこは説明が必要なんだと思います。
 で、3ページにまいりますと、ここもバイオマスというのは私も非常に大事にしないといけないんですが、このバイオマスの利活用という形で抽象的に書いておりますけれども、私はこれからのバイオマスは、廃棄物由来のいわゆる残渣のほかに林業とか農業とかも連携した、そういう木質バイオマスの話も入ってくる必要があると思いますから、このバイオマスという抽象的な書き方の中で、たしかに有機性資源であることは大事なんですが、農林業と連携したというふうなところ、それから廃棄物も含めてというような形にすると、読み手としてはこのエネルギーの、その自然エネルギーの一貫性を持った政策がこれからは廃棄物分野で進んでいくんだなというイメージでとらえると思うんですけれども、突然バイオマスだけ出てくると、何でバイオマスだけが優先でほかの技術は出てこないのというふうに、ふっと思ったりしてしまいますので、この辺の語句の整理は必要かと思います。
 特に5番目のところで、強調したいのは、現在の循環型社会を形成する基本法とか環境基本計画を反省してみますと、私もいろんな省庁の委員をしておりますけれども、必ずしも各省庁が同じ方向を向いてゴミ減量発生に対して効果を上げているとは思いません。頑張っているところはあるんですけれども、頑張りきれないところもあります。例えば農林省関係だと、その木質バイオマス関係はやっているというけれども、海外の先進国に比べるとまだ実験段階に過ぎないとか、それから発生抑制というところにつきますと、ヨーロッパの方が発生抑制の政策は進んでいるけれども、日本は後始末、リサイクルの技術は最高に進んでいるとか、そういうふうな各省庁の進んでいるところとそれから現在まだいま一つというところと、各省庁で整理し直して、で、循環型社会のこの新しい基本法に向けて自分たちの省はどこのところを重点施策としてこれから進めていくということがプロポーズされてくると、私は新しい循環型社会の基本計画というのがすごく充実してくるのではないかというふうに考えております。
 以上です。

○鈴木部会長 服部委員。

○服部委員 ありがとうございます。若干細かいコメントになるんですけれども、7ページのところのエのところでございますが、下から5行目ぐらいのところ、「その適正処理の仕組みの充実を図ります」ということになっておるんですけれども、これは対象はアスベストとかPCBのところなんですけれども、現状アスベストをリサイクルするということになりますと、溶融処理ということになるんですけれども、溶融処理を引き受けていただけるところは現状はなかなかなくて、コスト的にも相当な高いコストになりそうだということもあります。それからPCBについても同様であります。そういう観点からしますと、やはり経済合理的に処理処分をしていくということはとても大事な視点ではないかというふうに思いまして、できましたら「その適正処理の仕組み」という前に、「社会コスト低減の視点を踏まえた」とか、そういうふうな用語を入れていただければというふうに思います。ご検討いただきたいと思います。
 もう1点は、これはちょっとしつこいかなというような感じがするのですけれども、同じエのところの上から数行目ですか、発生抑制につながるところの「上流対策等の一層の充実」ということが書かれておりますけれども、上流対策のみならず、やはり発生者責任というのが同時に必要だということもあります。この文章だけ見ますと若干上流対策のところが強調され過ぎているような感じがいたしますので、3行目の「国際的な整合性の」という前当たりに、「排出者責任に加えて」というような言葉を入れてもらえば、最初の2行に排出者責任と拡大生産者責任の2つの考え方を踏まえてはあるので、あえて私が申し上げたところまで書く必要はないのかもわかりませんけれども。
 以上ご検討いただきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。いろいろとご意見をいただきまして、やっぱり皆さんがいま一つ何となくモヤモヤとしているのは、浅野先生もご指摘になった循環型社会形成推進基本計画とこちらの計画との、その物質循環の確保というこの重点的分野との関係だろうと思うのですが、やはり環境基本計画ですから、山本委員のご指摘もありましたが、自然も含めるというか、例えば大量生産、大量消費、大量廃棄、その前に実は大量資源採取というか、それからその段階における大量自然破壊があるんですよね、──フローみたいな形での、そういうものも本当はここへ書き込んで、環境基本計画というのはそこまで目配りをしているんだという、その辺があるといろんなところがすっきりするのかなという気が伺っていてちょっといたしました。
 自然系における物質循環を環境施策において何をするんだというそういう話になると、先ほどの食料輸入の問題もありますが、本当にこの部分で何をするのかというあたりをもう少し整理をすることが必要なのかなと感じておりました。
 いろいろいただきましたご意見につきましては、今後こちらの方でおあずかりいたしまして、最終的な文章は12月22日までにまとめさせていただくことになりますが、今いろいろありましたご意見、ご質問的なものもあったかと思いますが、崎田委員の方から最後に。

○崎田委員 皆さんからいろいろとご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。今、鈴木部会長からもお話がありましたように、この部分は環境基本法と循環基本法をつなぐという微妙なところを持っておりますので、今いろいろ委員の皆さんからご指摘された自然界の環境破壊であるとか大量資源消費の部分とか、あと最終的なエネルギー消費のことに関してかなりご意見をいただきました。そういう全体像との連携に関して、今後環境基本計画の新しい第三次にまとまる全体像の中で、きちんとその辺の交通整理ができるようにということをちょっともう一回考えながらきちんと最後のところのまとめ、落とし込みというかそういうところを考えていきたいなというふうに思います。
 あと、特にやはりエネルギーに関してのご質問が大変出たんですけれども、この部分で言える部分はきちんと考えて、かなりバイオマスの新しい利活用で地球温暖化対策のところに非常に重点的にも重要課題になってきているということ。そしてその温暖化対策だけではなくて先ほどの新しい林業とか農林水産業との少し広域的な視点とか、そういう部分がかなり重要なところが出てきていますので、実は話し合いの中ではそういうことをかなり重視しながらこの分野で言えるようなことをかなり盛り込んだつもりでおります。その辺もう一度いろいろ委員の皆さんからかなりご意見をいただきましたので、ちゃんともう一回考えながらやりたいと思っておりますが、この次の第二次の循環基本計画の見直しという環境基本計画の次の話のときに、いろいろいただいた提案などをきちんと課題として検討していきたいなというふうに私は感じております。ありがとうございます。
 それで少し事務局の方から具体的なことに関して何かご返事がいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○鈴木部会長 そうですね、お願いします。

○森本廃棄物・リサイクル対策部企画課長 すみません簡単に。まず先生方から貴重なご意見をいただきありがとうございました。崎田先生、もちろん竹内部会長をはじめそうした循環部会の先生とまたご相談をして推敲したいと思います。それから松田委員からいただいたもう少しわかりやすいようにというところは、もういっぺん工夫させていただきます。個別のものについてはちょっともう少し詰めてやっていきたいと思います。

○鈴木部会長 では、今後いろいろと例えば環境保全上適切な農林水産業というのは、今までやはり環境上適切ではなかった農林水産業が動いていたと、こういうことなんでしょうから、その辺を具体的にどう書いていただくか……。

○崎田委員 実は今回、バイオマス・ニッポンとかバイオマスのことに関して農林水産省とかそれ以外にも国土交通省とか経済産業省、いろんなことに関わるようなことにかなり言及しているつもりです。そういう中で持続可能な地域、そして国土ができていくというそういう道筋に対して新しい提案とか一歩が踏み出せればという思いでかなり書き込みをさせていただきました。
 で、持続可能な農林水産業というのはいろんな意味があると思いますが、例えば一つの平野を流域ととらえるような考え方というのも非常に重要で、そういう場合には例えば山から海につながっている川がありますけれども、そこから流域が広がっている、そういうときに色々な栄養あるいは資源が山の林業と平野部の農業と海の水産業と非常につながっている。そういうような視点も持っていく、そういうことで新しい国土というものが、環境負荷の減らした国土というものが提案できるのではないか。そういう思いも込めまして、こういう文言を色々な方のお話の中から入れてまいりました。上手く次の一歩につながるように少しわかりやすく、あるいは具体的に進むように検討ができたらと思い、また皆さんのご意見をちょっと受け取らせていただきたいと思います。

○浅野委員 短く短くと言ったからですね、言えば各省いくらでも持ってくるわけです。(笑)

○鈴木部会長 そうでしょうね。

○浅野委員 だからある省だけよけい書いてあげると、またよそもいろいろ言ってきますから、そこはバランスの問題ありますが、実際は元ネタはいっぱいあるわけです。やや短く全体としてこれはあまり長くしないようにという大命題のもとでつくっているので非常に書き方がわかりにくいと言われるのはそのとおりで、もっと書いていいと言われればいくらでも書けると思います。今の点はもともとこちらが言い出したことではなくて、当然農林水産の側がこういうことを一生懸命言ってこられたということがもとになっていますから、書ける材料はいくらもあります。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、この「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」、これにつきましては皆様からいただいたご意見をこちらの方で修文につなげさせていただきます。またいろいろとご意見おっしゃり足りなかったところがあろうかと思いますが、来週はじめころまでにファックスまたはメールで事務局まで、そのご意見を提出いただければ、それを組み込ませていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、続きまして「長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備」、この分野につきましてご報告をお願いしたいと思います。
 それでは、主担当の天野委員の方からお願いいたします。

○天野委員 ありがとうございます。主担当委員の天野でございます。重点的分野の第9節につきましては総合政策部会の委員であります浅野先生、田中先生、安井先生のほか、酪農学園大学の金子正美先生、それから東京工業大学の屋井鉄雄先生、そして国立環境研究所の森口祐一先生、植弘崇嗣先生に検討委員にご就任いただきました。そして9月30日と11月18日の2回にわたりまして検討会を開催いたしました。
 第1回は現状と課題、中長期的な目標、施策の基本的方向に関する事項について、また第2回では具体的な重点事項と指標もあわせまして報告書案について議論をしていただきまして、座長報告としてまとめさせていただきました。お手元の資料の2の報告書でございますけれども、検討会の議論の結果、表題は本年7月に示されました中間とりまとめから現在のもののように改めております。また4つの項が入っておりまして、こういうスタイルをとっているのはこの第9節だけでございます。それは現在ますます環境問題は複雑化、多様化しておりますが、予防的に取り組む重要性もいよいよ高まってきている、こういった取組を支える基盤としまして、ここでは4つ分野が集まり、科学技術の推進、環境情報の基盤整備、行政施策における環境配慮のための手法の確立推進、そしてこういった基盤を生かした超長期の展望と、こういう4つの項を設けましてそれぞれ記述をしております。
 それでは、第1項の「科学技術の推進」ですけれども、まず環境分野の科学技術を取り巻く現状と課題ということで、第1に科学技術基本計画のもと、さらなる選択と周知を行いつつ、重点的な推進が求められております。それから第2に今日の複雑な環境問題に対応するため、総合的・統合的な研究・技術開発が求められております。第3に、科学的不確実性のある問題に対する予防的・予見的取組が大変重要になってきております。第4に、環境と経済の好循環をつくり出す科学技術の役割が重要となっております。第5、国民理解の増進等ですね、投資効果とか波及効果を通じた成果の一層の社会的還元が不可欠になっております。そして第6、アジア等発展途上国を中心とした国際的な取組が重要であること。そして7番目としまして、ナノテクノロジーと先端科学技術につきましては負の側面にも配慮しつつ、それらの技術を積極的に取り入れていく必要があること。こういったことがそこで挙げられております。
 こういう中で[2]の中長期的な目標としましては、当面の課題として(1)で直面する環境問題の解決に貢献するということを挙げておりますが、中長期的には(2)と(3)、つまり環境と経済の好循環に貢献し、環境対策の未然防止型の転換を促進する。この2つを設定しております。
 こういった目標を達成するための施策の基本的方向が[3]でありまして、科学技術基本計画のもとで策定される環境分野の推進戦略に沿いまして、戦略的に絞り込みを行いながら引き続き重点的に推進するということになっております。その際、各主体の役割としまして国及び地方公共団体は民間のみでは進まない課題に注力をするというふうに述べております。また事業者には環境と経済の好循環を推進する役割、大学には知の源泉となる役割をそれぞれ期待する。そして国民・民間団体にはここでは国等の取組を評価する役割というものを期待しております。
 基本的方向性を担保する具体的な重点的取組事項、これは[4]ですけれども、(1)科学技術基本計画のもと、戦略的重点化を図りつつ、(ア)ですが、総合的・統合的な研究・技術開発、(イ)として予防的・予見的な対策に資する研究・技術開発、(ウ)は環境と経済の好循環に資する科学技術、こういうものを重視する。そして(2)で戦略的重点化に当りましては(ア)で国際的な取組、(イ)で成果の一層の社会還元、(ウ)では先端的科学技術の活用、(エ)として人材・組織の整備、こういった方策の強化を述べております。
 [5]ではその取組推進に向けた指標でありますが、5ページの上の方に4つのものを示しております。この4つの指標を中心として、その他にも補足的なものがあるでしょうから、それについては引き続き検討をするということにして、こういった指標につきましては国際比較にも活用するということを書いております。
 次に第2項ですけれども「環境情報の基盤の整備」で、まず[1]の現状と課題としまして、環境情報の整備につきましては一定の取組は今までなされてきておりますけれども、今後、環境と経済並びに社会の各側面を統合的に向上させていく、そのためには環境だけではなくて経済、社会に関する幅広い情報の収集をしまして、その利用を図ることをはじめとして、さらなる取組を進めていく必要があるということを述べております。
 そういう中で、[2]の中長期的な目標としましては、(1)経済、社会のデータも含んだ幅広い環境情報を施策において幅広く利用する、こういう情報立脚型の環境行政という表現をしておりますが、そういう環境行政を確立する。(2)で国民が環境情報を容易に入手できる、そういうことを通じて持続可能なライフスタイル、それから環境問題への取組、そして環境政策への参加、こういうことを一層促進する「環境情報ユビキタス社会」を構築する。ここでもこういう「環境情報ユビキタス社会」という表現を使っております。この2つを中長期的な目標として設定をいたしました。
 この目標を実現するための[3]施策の基本的方向ですが、(ア)では利用者のニーズに沿った整備を行う、利用者本意の環境情報の整備、(イ)として情報流通の各場面において流れが停滞しないよう、一体的に取組を行う、環境情報の流通の促進。そして(ウ)国内及び海外の様々な主体が相互に連絡協力する体制を構築する国内外での連携協力体制の構築、この3つの方向性を掲げております。それから各主体の役割としましては、国について定めておりますが、そのほか地方公共団体、研究部門、そして国民・事業者・NPO等の民間団体についてそれぞれ期待される役割を示しました。
 この基本方向を受けまして[4]の重点的に取り組む事項、これは国が取り組む事項ですけれども、第1に、計画的な基盤整備の推進としまして、優先して収集すべき情報、その利用や提供のあり方などを定めた環境情報戦略の策定を行うということです。それから第2に、利用者本意の環境情報の整備としまして行政が利用するということ、それから国際的な比較可能性の向上を念頭においた情報の収集、整理などをする。特に事業者が行う環境投資の実態把握のためのデータ収集を実施するということを述べております。第3に環境情報の流通の促進の件につきましては、(ア)としてデータベースの体系的な整理やポータルサイトの構築、長期保存を見据えたアーカイブシステムの実用化。それから(イ)GISを用いた地域環境の評価手法の導入、それから経済社会情報と環境情報の統合的な整理、分析。(ウ)としては多様なメディアとの連携や新たなツールによるわかりやすく使いやすい多様な提供、それから世界に向けては英語情報の配信、そして(エ)として、さらに国民からの意見を反映するという意味で、フィードバックシステムを構築する。こういった取組を一体的に進めることにしております。そして第4に国際的な情報連携基盤の整備としまして、アジア太平洋地域をはじめ情報の相互発進を行うための国際的なネットワークの構築を挙げております。
 それから最後にこういった取組推進に向けた指標[5]でございますが、最終目標として環境情報に関する国民の満足度、これはいろんなアンケートをしておりますけれども、その満足度が90%を超えるということを目標としております。そのほか参考指標としてホームページの英語化率などを示しております。
 次に第3項「行政施策における環境配慮のための手法の確立・推進」であります。行政主体の活動は社会経済活動に対して広汎かつ多岐にわたる影響を及ぼしますが、環境へ影響を及ぼすというふうに認められる施策の策定に当りましては、こうした影響の低減のための検討が必要になります。これまで[1]の現状と課題に挙げておりますような取組が行われてまいりました。(1)では戦略的環境アセスメントについて書いておりますが、廃棄物分野における試行的なガイドラインの提示、それから諸外国、特に欧州諸国とか国内では地方公共団体における制度化が進展しているといった国内外の状況を踏まえまして、導入に向けた一層の取組を進めることが必要であるというふうに考えております。(2)の環境影響評価につきましては、これまでの知見の蓄積状況などがありますので、それを踏まえた制度の改善が行われてきましたけれども、今後とも一層の充実を図る必要がある。(3)の環境管理システムにつきましては、すべての府省において環境配慮の方針が策定されるなど取組は確実に進展しております。今後は国における取組の充実とともに地方公共団体における取組を支援するということが必要であります。
 こうした現状を踏まえましてこの第3項では[2]の中長期的な目標としまして、「行政における意思決定グリーン化」に資する諸活動を推進するということにしました。これは様々な施策についてあらかじめ行政主体が科学的に予測・評価を行い、環境影響や環境負荷を透明性・客観性を確保しつつ確実に低減させるための検討を推進すると、こういうことでございます。こういった目標達成に向けて戦略的環境アセスメントの考え方の具体化、現行の環境影響評価制度の改善、環境管理システムの効果的な実施などを推進することにしております。また国はこういった取組を率先実行するなど各主体がそれぞれ必要な取組を進めることが求められるわけでありますが、こうした点を[3]の施策の基本的方向性の中で述べております。
 [4]の重点的取組事項に記しておりますように、何を重点的に進めるべきかということですけれども、戦略的環境アセスメントにつきましては諸外国とか地方における制度化の進捗状況などを参考にして、我が国の実態に即した共通的なガイドラインの策定を図る必要があるというふうに考えております。また上位計画の決定に当たっての戦略的環境アセスメントにつきまして、制度化に向けた取組を進める。それから政策決定に当たっての戦略的環境アセスメントにつきましては、検討を進めるということが重要であると考えております。環境影響評価につきましては、事業の特性に応じたよりわかりやすい環境影響評価の実施に努めることとか、わかりやすい方法書などの作成を進めることが必要であろうということでありますが、また環境影響評価法につきましては、施行状況を検討し、法の見直しも含めて必要な措置を講ずる必要があるというふうに述べております。
 環境管理システムにつきましては国自身の取組を強化するとともに、地方公共団体への必要な支援も行うことが必要であろうというふうに思われます。
 最後に第4項「超長期の展望の提示」ですけれども、21世紀におきまして世界は歴史上大きな転換点に至っております。現在の趨勢のままでは地球温暖化の進行と地球規模の環境・資源制約が厳しさを増すと考えられておりますが、国内におきましては人口減少にともなう社会資本とか二次的自然の荒廃など多くの問題に突き当たることが指摘されているところであります。このために世界、アジア及び我が国における2050年といった超長期の展望を見通した上で、持続可能な社会の構築に向けて、今から何をすべきかということを検討することが必要になっております。
 そのために[2]として中長期的な目標としまして、超長期の将来を見据えて環境保全に関する取組をどう方向づけるか、ライフスタイルや社会システムをどう見直すか、そういう見直しがなされる社会のために現在から超長期にわたる対応策として見直しのあり方を明らかにすることを目指すというふうに述べております。
 そのための[3]の施策の基本的方向としましては、超長期の展望につきまして幾つか述べておりますが、(1)では、起こりうる複数のシナリオ描く。(2)として望ましい将来像に向けてバックキャスティングという考え方を適用する。(3)として対応策とか政策手法の検討を行う。そして(4)としてその成果を国際的に発信し、相互依存を深める世界と日本の位置するアジアにおきまして、この分野でリーダーシップを発揮したいということを書いております。こういった点に留意して調査研究を行うということであります。
 そして重点的取組事項としましては、非常に多くのご意見がありまして、[1]から[12]まで並んでおりますが、[1]では脱温暖化社会、[2]では顕在化する温暖化の影響に対する適応、それから[3]はアジア地域の環境問題への対応、[4]はアフリカなどの地域的危機に対する関与のあり方、[5]として循環型社会の形成、これは超長期の話ですが、[6]番としてアジア太平洋地域をはじめとした生物多様性の確保、[7]少子高齢化と人口減少に対応した社会資本と二次的自然の維持形成、[8]で環境保全型の第一次産業の活性化、[9]として「負の遺産」の問題に対する対応、[10]で環境リスクの早期発見・早期対応のための仕組み、[11]はライフスタイル及び地域社会づくりのあり方、そして[12]で環境立国としての世界への貢献、こういうことになっております。
 以上で第9節の報告を終わらせていただきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に対しましてご質問あるいはコメントございましたら。では、三橋委員の方からまいりましょうか。

○三橋委員 幾つかちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 まず、第1項の科学技術の推進のところでは、例えば4ページでは、戦略的重点化に当たり強化すべき方策で、先端科学技術の積極的な活用というふうに書いてありますね、これはこれでよろしいんですけれども、結構日本では伝統的な色々な技術が環境負荷の低減に役に立っているケースがあるわけですね、例えば皆さんご承知のようにアサザプロジェクトなどの場合にはコンクリートの防波堤ではなくて粗朶を組んだ防波堤とかアサザによる波消しの方が効果があるなど、そういうような形で先端技術だけではなくて古来からある非常に自然のリズムを利用したような、そういう技術の評価みたいなものも必要なのではないかなという感じがします。それが第1点です。
 それから5ページの環境情報の基盤の整備のところですが、中長期的な目標とかいろいろありますけれども、地球の中で様々な環境破壊現象が起こっているわけで、それをリアルタイムで私たちが知るというようなシステムがないことが一番問題だと思うんです。ときどきテレビや新聞がシベリアで大きな山火事が起こっているなどと、そういうようなことは断片的に報道されるわけですが、いろんなところで色々な問題が起こっているわけです。そういうことで足元の地球全体の環境破壊の毎日の動きというものを、我々国民がリアルタイムで知るようなシステムの確立。そういうようなものがやっぱり今非常に必要だと思うんです。確かに中長期でこうやるべきだというようなことも大切なんだけれども、今相当厳しい形での環境破壊が世界各地でどんどん起こっている、そういうのを断片的にしか知らない、その辺りの溝を埋めていくようなことが必要なんじゃないかなというふうに思います。だからそういうような点も考慮していただけた方がいいかなというような感じがします。
 それから7ページです。環境情報の流通の促進のところですけれども、私はかねがね……(ウ)のところの最後に書いてありますね、さらに世界に向け、英語化された環境情報の積極的な配信が必要であると。今日本の環境情報は例えばジャパンサスティナビリティーみたいな民間のNPOがやっているんです。例えば政府が日本の様々な環境情報を海外に発信するというと、これは聞いた話ですけれども、財務省の主計官は「英文情報を海外に発信してCO2 がどのくらい削減されるのか」というようなことを平気で質問するというんですね、そういうような形で英語化された環境情報を海外に積極的に発信するなんていうようなことができるのかなという問題もあるので、あまり気安く英語化された環境情報を積極的に配信するなんていうのが書いてあると、非常にむなしい感じもします。
 その辺りに対して本当に日本の様々な環境情報を英語化するのだったら、そのための予算もしっかり取って、そういった主計官をはね返すぐらいの力がないといけないと思うんです。そういうようなことも踏まえた上でこういうことを書いていただきたいなという、これは私の感想なんですけれども、やはり表面のもっともらしい言葉の裏にある真実みたいなものもちょっと皆さんに知っておいてもらった方がいいかなというふうに思うんです。大体英語に直してCO2 がどのくらい減るかなんていうような発想を日本の中心官庁の役人がするというのは、私なんかは本当に驚きを超えていますけれどもね、まあ、そんなところをちょっと感想として言わせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 それでは、長辻委員。

○長辻委員 まず2ページ目の(7)先端科学技術との関わりのところで、「シーズとなるナノテクノロジー等の」とありますが、環境関連の先端技術ならば光触媒も入れたおいた方が私はいいと思うのです。それとあとナノテクノロジーの方がいいのではないかと思います。
 それから7ページ目で(2)利用者本意のところで、その2番目の段落で「特に、事業者が行う環境投資」、これ「に」が落ちていますね、「実態把握については」。
 それから8ページ目でユーザビリティという言葉がポンと使われているんですけれども、この言葉は非常に難解なので、ユーザフレンドリーということの今の流行の言葉がユーザビリティなんでしょうけれども、これはもう少しわかりやすい言葉になさった方がいいんじゃないかと思います。
 それからあと最後の13ページ目ですけれども、これ[6]のところで「国内からアジア太平洋地域をはじめとする様々な空間レベルにおける生態系ネットワークの形成により」、この「様々な空間レベルにおける生態系ネットワークの形成」というのがちょっとよくわからないので、もう少しわかりやすくしていただければいいのではないかと思います。
 それとあと、そのページの上から2行目のところに「東アジア共同体形成を視野に入れながら」とありますけれども、これも非常に流動的な共同体、本当にできるのかどうかわからないし、どこの国が入ってくるかによって全然違ったものになると思いますので、この辺も少し何か他に表現があるのではないかなとも思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 すみません、最初におっしゃったのは……ナノテクノロジーのところでちょっとマイクの調子が悪かったものですから。

○長辻委員 ごめんなさい、「シーズとなるナノテクノロジー等の先端科学技術を推進し」とありますが、ここのところにナノテクノロジーと並んで光触媒という言葉を入れた方がいいんじゃないかと私は思いました。というのはこの環境科学技術の先端的なものだとナノと並んで光触媒というのは今最も注目されている分野で、ひょっとしたらこちらの方がマーケットは大きいかもしれないので、短い言葉ですから入れたらいかがかと思ったのです。

○鈴木部会長 そうですね、ちょっとそれだけ特異的な技術というか、光触媒だけを取り上げるのはどうか、あとで検討させていただきます。
 では、永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。問題提起みたいなことになってしまうのですが、12ページの第4項[4]の重点的取組事項について、「展望に関する主要な論点として、温室効果ガスの大幅削減に対応した世界と日本の脱温暖化社会とは何か」と、こう書いてあるわけですけれども、このときに先ほど福川委員のおっしゃったような200ボルト電源機器を使うと大幅にロスがなくなりますので、そういうことについてやっぱりふれた方がいいという意見が、先ほどのところでありました。で、それはそうだと思います。ところがここで先ほど長辻委員がおっしゃったのですが、原子力関係についての議論がここから抜けてくるとなると、いったい何のことなのだろうかということを言いたいと思います。
 「ガイア理論」を提唱したイギリスのラブロックという博士がイギリスのインデペンデント紙で、地球温暖化問題を止められるのは原子力発電のみであると警告しています。彼が言うには「原子力の危険性は、熱波や海面の上昇といった危険と比べると、その脅威は小さい」として、再生可能エネルギーを試す時間はないと強調、いま直ちに化石燃料の使用を禁止しても、これまでの二酸化炭素の蓄積で影響は1000年に及び、これ以上の使用は子孫に致命的な影響を与えると警告しているのです。この教授は天然ガスの利用がCO2 の放出量を半減させるとしながらも、メタンがCO2の25倍の温室効果ガスを持つことを指摘して、原子力に対する反対は不合理ながら恐怖に基づいており、原子力は1952年当初から最も安全なエネルギーだったということを言っております。
 私の意見は、この問題についてここで避けて通るということについての問題提起であります。
 以上です。

○鈴木部会長 はい、機会がありましたらきちんと議論すべきだとは思います。
 服部委員。

○服部委員 2ページのところの(5)のところでございますけれども、環境技術のところで、「特に今後グローバルスタンダードを取りうる燃料電池技術等について」ということなんですが、確かに燃料電池というのは非常に脚光を浴びている技術ではありますが、これだけを取り出して書くことが適切なのかどうかというのは、ちょっと今代案があまりないんですけれども、ちょっと検討させていただいて意見を出させていただきたいというふうに思っております。
 先ほどどなたかがおっしゃったような、福川委員でしたかね、蓄熱技術だとか今ある技術レベルでも相当世界をリードするような、あるいは省エネの技術だとか等々いろいろございますので、これは発電サイドだけではなくて需要サイドの技術等々ありますので、その辺バランスよく書くか、あるいはもう少し丸めて何か書くかですね、あまり長くならないような形で置き換えたらどうかなというふうに思っているところでございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。ここは長期的な視点を持ったというところですので、その技術とか情報、手法というお話ですので、それをどう活用するかとか、どう生かすかというのはそれぞれの分野で考えればいいことという前提のところなのかと思うのですけれども、そういう上でちょっと一言発言させていただきますと、例えば科学技術の部分ではこういう新しい技術が実際にこうどんどん出てくると、実際の社会の中で使うときに今までの法律規制の中で非常になかなか推進できないとか、現場の中ではそういうことで皆さんお困りになったりする、そういうところをきちんとどういうふうに、それは地域行政の話かもしれないけれども大きな視点でどういうふうにそこを推進して、新しい提案を現実に試していくかとか、何かそういうことへの配慮というのもあってもいいんじゃないかなという気もいたしました。
 で、同じ視点から言いますと、第2項の環境情報のところも、例えばこういう情報の整備というのが大変重要だと思っているんですが、具体的にいうと例として挙げれば不確実性のまだある化学物質に関して、今いろんな環境情報をそろえるということでいろいろな制度がそろってきているんですけれども、そういう情報をどうやって市民が使うかとか、市民が活用するかという、そういうようなところをつないでいくところの活用策とか活用する能力を持った人材育成とか、それを基にした総合コミュニケーションとか、やはりそういうところが非常に重要になってくるわけで、そういうことを、例えばすべての分野に関係するような形でこういう情報を使ったその次のステップとの連携が重要なんだというあたりも少し強調していただけたらいかがかなと思いました。
 同じような視点かもしれないのですが、第3項なんですけれども、ここは行政施策における色々な環境配慮のための手法というところなんですが、特にこの中で環境管理システムというところがかなり出てきます。それで私この頃、ISOを取得していらっしゃる企業の方がどういうふうにより良くしていこうかというような話し合いに参加させていただくことが大変多いんですけれども、実際に今地域行政がISOあるいは環境管理システムを実際に取り入れて、それを活用しながら自分の環境負荷の削減だけではなくて、環境負荷を削減した地域をつくっていくためのコミュニケーションツールとしてどう活用するのかとかですね、今皆さんそういうあたりを非常に考えていらっしゃるというふうに感じています。そういう感じのもう半歩踏み込んだような文言を加えていただくと、よりこういう技術、情報、手法を推進することの重要性あるいは現状というのが見えてくるのではないかなという感じがいたします。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ここの長期的な視野を持ったということと、この3つの領域での基盤の整備というところですから、おっしゃいましたようにいろんなところへここが関わっていて、ここへそれぞれのキーワードを書き込もうとすると何ページあっても足りないんですよね。多分、天野先生も大変ご苦労なさったのではないかと思うんですが、かといってまた今回、ここへご提出いただいた様に実にきれいに整理されていると、それだけで何となくいろんな将来性が閉ざされたような感じを持ってしまうという面もあるのかもしれません。その辺のところで長期的な視野とそれから基盤の整備というところに絞るとしたらどんな感じになるのかなというあたりが……はい、浅野先生。

○浅野委員 何か4つがバラバラに並んでいるように思われては困るので、最初の前文のところにこれがバラバラの話ではなくて、全部がつながっているということを書いているわけです。ですからここのところをまずきちっと読んでいただくと、バラバラではないということがわかると思うんですが、特に崎田委員のご指摘の点については、それぞれの項目のところの現状と課題のところなどに、ちょっとした書き込みを入れるだけで生きるだろうという気がして聞いておりました。
 例えば技術のところも確かにおっしゃるとおり現実に研究の評価なんかやっていると、それじゃ、実用化のときにどうなるのというところが抜けてしまうということが案外多いのですが、それはやはりこの基本的方向のところに研究を進めますではなくて、それをさらに実用化できるようにしっかり考えていくと一言書くだけで大分違ってくるだろうということは言えそうですし、情報についても同じように崎田委員が言われたことを最初の方向性のところにちょっと入れておくというようなことはできると思います。
 その限りにおいてはそのように修正すればいいのではないかと思うんですが、全体としてはもう一回これは佐野課長のところの仕事になると思いますけれども、それぞれのところでこれに関連することがいっぱい出てくるわけですね、ですからここにまた全部書くのはもう部会長のおっしゃるとおり大変なことになってしまうのですが、色々な重点取組事項の中にこれに関連にすることがあちらこちらに出てきますから、そこは上手くつながっていくように、どういう形がいいかちょっと今直ちにはお答えは出ないのですが、あまり項目などをつくると百科事典みたいになってしまうのですけれども、例えばどこかに書くときにこの点については後に第何節で示すようにというような形にして書くとか、これは既に何節で取り上げられたことであるがというような形で、それぞれの対応関係がわかるような工夫は編集の段階でというか、全体を審議会としてつくり上げるときにかなり工夫をすればできそうな気がしますね。
 今一つ一つのパーツを見ているものですからどうしてもそれだけで見て、その中で簡潔的に答えを出さなければいけないというふうになるんですけれども、おそらく部会長のおっしゃっていることはそういうことだろうと思いますので、これは22日までに頑張っていただいて、ということではないかと思います。課長ができないと言えば別ですが。

○鈴木部会長 大変な作業になるかもしれませんが、幾つかご質問的なものもあったと思いますが、天野先生どうでしょう。

○天野委員 大変たくさんご意見をいただきましてありがとうございます。ちょっと気がついた点を幾つか申し上げたいと思います。現在世界中で起こりつつある自然環境破壊のニュースを逐一国民がわかるように伝えるべきであろうというお話、私もそうしてほしいということを常々考えております。しかしちょっと難しいのは例えば洪水が起こったとき、その洪水が環境破壊の結果であるとはっきり言い切ることは大変難しい場合が多い。あるいは温暖化の影響がハリケーンを引き起こしたというようなことを根拠としてちゃんと言えれば、そういう意味では環境意識を触発する非常にいいニュースになると思いますが、それでなければ普通のただニュースになってしまうという懸念がありまして、どう現象と根拠をきちっと説明したニュースにするかという点が大変難しいのではないかなというふうに考えております。ただ、そういう情報が関連づけて説明される機会が最近は増えてきておりますので、その辺をもう少し工夫をする必要があろうかというふうに考えております。
 それから生態系ネットワークって何だろうというご指摘があって、私もそのとおりだと思います。これはおそらく生態系関連の協力に関するネットワークということが省略されたのではないかと思っておりますが、確認をして訂正をしたいと思います。
 それから第9節というのは、他の第7節から第10節までと同様に事象横断的な分野における政策ということですので、非常に横断的な書きぶりをする必要がある、ただ実際には横断的ですけれども、提供されるのは具体的な分野があるわけですが、前回あるいは前々回もそうですけれども、こういう分野横断的なところの書きぶりというのは非常に簡潔に要を得て書いてあるんです。ある意味で教科書的でちょっと無味乾燥のようなところがあるのですが、それが書いてあるということが非常に重要だということがあとでわかってくる。例えば経済的手法それから情報的手法、さらっと書いてあるんですけれども、現在の基本計画の中で非常に大きな意味づけというのを持ってきているところがありますので、細かい具体的な例がわかりやすく入ればそれはそれとしていいと思いますけれども、むしろ原則をきちっとはっきり書いて、これをやりますというふうにお書きいただくのが、後々この基本計画が次の基本計画にいくまでの間、よく使われるというふうなことがいいのかなというふうにも思ったりします。後はまた事務局の方と相談をしていろいろ盛り込んでいきたいというふうに考えております。

○鈴木部会長 三橋委員の「地球上で起こっている情報が」といのうは、これは環境に限らず我が国のメディアは、どこを回しても何か似たような番組をやっていてニュースをやっていないとか、そういうむしろメディアに対するいろいろなリクエストをこの辺に含めておいてもいいのかもしれませんですね、なかなか書きにくい面もあるのかもしれませんが。
 事務局の側から何か補足されることありますか。

○上河原総務課企画官 1件でございますが、東アジア共同体についてご指摘をいただきました。たしかにまだ東アジア共同体はどのようなメンバー国になるのか、あるいはどのような機能を果たすかということはこれからでございますが、ただ、ひとつご理解いただきたいのは、既に日・ASEAN東京宣言2003年において小泉首相自身が対外的にコミットをされた、こういう方向を目指すということをコミットされていますことはご理解いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

○長辻委員 それは東アジア共同体という言葉を使っているんですか。

○上河原総務課企画官 東アジアコミュニティという言葉がこのときに使われておりますが、そのあとの政府の文章の中では「東アジア共同体」という言葉も使われております。

○鈴木部会長 そのほかよろしいでしょうか。

○佐野環境計画課長 それぞれ個別の部分につきまして実はここに座っている何人かで手分けをしてやっておるのですが、統計のところは私のところが直でやっておりまして、実はここで検討グループでまとめをしましたときにも、ひとつこういうことでいこうやということでご理解をいただきましたのは、今までも多分そういうことなのではないかなというご指摘が幾つかありましたけれども、生の情報、統計というのを噛み砕いてわかりやすい形で、あるいはここが問題なんだよというような形の、ある種その価値観といいますか、意味づけをして国民に解説するというのは公の仕事なのだろうか、という面がありまして、このレポートではそれは例えばNGOのようなところの仕事なんであろう。そして、公の仕事はそういった方々がそういった活躍ができるように基本的な情報をだれでもすぐに利用できるように、多ければいいというものではないでしょうけれども、必要な情報を参照できるように提供するということが、まず公の仕事だろうという考え方で組み立てられております。そうなんだろうかというご意見もあろうかと思いますけれども、そういったところはまたどう考えたらよろしいかご指導をたまわれればと思います。

○鈴木部会長 それでは、善養寺委員。

○善養寺委員 具体的にこの部会で出た言葉をちょっとどこかに入れられないかなと思ったのですが、伝統的技術の件についてはこの3ページの総合的・統合的・研究技術開発の推進の中に、i)、ii)、iii)で「技術開発等を推進します」の後に「先端技術だけに限らず伝統的技術の再評価などをし、またそれらの成果を環境政策に積極的に反映します」というふうに、伝統技術をどこかでもう一度総合研究をするんだというところを一つ加えてもらえたらいいかなと思います。
 あと、先ほど燃料電池の話もありましたが、いろんな技術が確かにあります。そうすると、どれを書き、どれを消すかは悩ましいところなので、総して、「グローバルスタンダードとなることを期待される技術などについて取組強化が求められます」という表現にしたらどうでしょうか。たしかに蓄熱技術やいろんな技術がありますので、それら今後期待されるようなものを、ローテク、ハイテク限らずに進めるという文に直せばそれほど長文にならずに済むのではないかと思いました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。横断的なという長期的基盤の整備というところで一般的な書き方をするとあっさりして面白くなくなるし、また何か書き込もうとするといっぱい書かなければいけないという非常に難しいところ、これはまた今後検討をさせていただくということでよろしいでしょうか。

○浅野委員 もう1点だけいいですか、東アジア共同体は国際的取組協力のところでもちょっと問題になっていて、そことの調整をしなければいけませんので、先ほど何かいかにも総理が言っておられるからそのまま残すべきだというような事務局の答えがあったのですが、いろいろ議論をしてその言葉をそのままでは使わないということにした報告書もありますから、このところはちょっと総合調整をもう一回します。

○鈴木部会長 はい、よろしくお願いいたします。
 それでは、只今までいただきましたご意見はこちらの方であずからせていただいて、22日に向けて全体調整を図らせていただきます。また他にご意見がございましたら、先ほど申し上げましたが、来週初め頃までにファックスもしくはメールで事務局までご提出いただければと思います。では、天野先生ありがとうございました。
 それではもう一つの共通部分の第三種計画の第一部第2章部分がございますが、ここでもう既に2時間経過いたしましたので、10分ほど休憩をとらせていただきたいと思います。4時10分から再開いたします。
午後4時00分休憩
午後4時11分再開

○鈴木部会長 それでは、本日最後の件になりますが、第三次計画の第一部第2章部分につきましてこちら側で準備させていただきました素案のご検討をお願いしたいと思っております。本部分につきましては机の上に準備されております「第三次環境基本計画策定に向けた考え方の中間とりまとめ」、これをベースとした素案となっておりますので、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。

○佐野環境計画課長 はい、よろしくお願いいたします。先ほどまでの議論で10の重点プログラムの部分の案を見ていただいたわけでございますが、環境基本計画の構成がどうなっておりますか、ちょっとここでおさらいの意味で参考資料3に現在検討中の目次がございますのでご参照いただければ幸いでございます。立て続けの開催で恐縮でございますが、これまでの4回の会でこの第二部の第1章のところ、地球温暖化対策から始まって1~10とここの重点分野ごとの課題のご審議をいただいたわけでございます。
 それで全体の構成はこの目次のようになっておりまして、これからお諮りをさせていただきますのはその上の第一部の第2章、いわば総論のところが現状と課題とこれからの総論的な方向というふうになっておりまして、各分野の専門に入ります前の会でこの現状と課題のところの項目立てをお諮りをさせていただいたと思いますが、それに続く格好で今回は第2章の「では」ということで展開の方向という部分になるわけでございます。この部分はただいま部会長からお話がございましたように、基本的には中間とりまとめの際に「こういうところが大事だから、こういう方向でいこう」という格好でおとりまとめをいただいたものを、節立てを見ましても同じになっておりますのがお気づきになりますように、それを下敷きにしたものでございます。お手元の資料のところに中間とりまとめを用意してございますので、必要に応じてご参照いただければ幸いでございます。
 それでは今回、ご説明をさせていただきます案に関しその中間とりまとめからどういうことをやったかと言いますと、一つは中間とりまとめはそういう意味でこれから部門ごとの検討を始めるに当たって、「この基本計画はこういう基本的な考え方でつくる」という総論であったわけでございますが、それと同時に個別のプログラムを検討するに当たっての手引き的な性格を持っていたわけでございます。そういった内容の部分で、先ほどまで見ていただきました個別のプログラムのところで書かれたようなものはそちらに譲り渡したということで、こちらの第一部第2章ではもう一度は書かないとしたところが若干ございます。それから一方、逆にこの重点プログラムの検討をやってまいりますと、いろいろ見えてまいりまして、総論というあるいは基本的な考え方としてちゃんと押さえておいた方が良いねというところが出てまいりましたところを、逆に書き込んでおります。
 それからもう一つ、検討を進める上で現行の環境基本計画ですと4つの基本的な考え方、「汚染者負担の原則」、それから「環境効率性の概念」、それから「環境リスクの考え方」、「予防的な取組方策」というものを、前回の基本計画でも重要な視点として挙げておったところでございますが、これらが重要であるということは、第三次基本計画においても引き続き維持をするのだということがわかるように若干文章に手を入れたところがございます。そういったことを踏まえまして具体的にどんな格好になっているかご説明をさせていただきます。ということで、主に中間とりまとめから変わったところ、加えたところ、というところを中心にご説明をさせていただきます。
 第1が環境と経済、社会の統合的な向上ということに関してでございます。ここは一つは中間とりまとめで割合押さえるべき点が、順不同で出てきたものを話の流れがつながるように組み換えたというようなこともやっております。最初のところではエネルギー、資源の消費というのが増加してきたわけですが、環境面からの許容量には限界がある。したがって長期的に見れば環境的に持続可能な社会経済の姿を目指すことが必要だという、ここがまず基本的な主幹的な考え方になるわけでございます。1頁の中段にまいりまして、「そのような持続可能な」というパラグラフで環境効率性、これが大事なことになるというところを押さえております。で、こういったことによって豊かさあるいは経済の付加価値が拡大しても環境負荷の増大につながらないようにする。そのため、環境保全の観点から性能が優れた技術や製品をいち早く創り出し、それが新たな経済活動を生み出すというような環境と経済の好循環を生み出すということを目指すべきだ。これも中間とりまとめのころからあるわけでございますが、そういう基本的な考え方につなげております。
 そしてそれをどうやって実現をするか、でございますが、一枚めくっていただきまして2ページ目の頭に、「資源消費や環境負荷が少ない事業活動が、社会や消費者に評価され、発展していくような経済の姿が必要である」と、これがこの総論におきます基本的な主張の一つでございます。その下のところで汚染者負担の原則というのもちゃんと踏まえるのだということを述べております。
 そのためにはという話に入っていくわけでございますが、その後ろに経済的手法の解説、これは中間とりまとめにおいてはこれから要検討ということで、仮置きに近い形で現行基本計画の経済的手法の議論のところが丸ごと書いてあったわけでございますが、その中の個別的な議論、そういったものについては今回、例えば第7ブロックの「市場」で個別の議論がされております。例えばデポジット制度であるとか排出取引制度であるとかという個別の議論が書いてあったところは、それぞれ温暖化なり市場なりという個別のところで議論がされたということで、経済的手法についてはこのような考え方に基づくというパラグラフの4の、これは実は現行計画の経済的手法の総論での記述と同じなんですが、そこだけ残しております。またこの部分、経済的手法につきましては、まだ現時点においても事態がいろいろ動いておりますので、またその推移を見ましてお諮りをさせていただければと存じます。
 下へたどっていきますと、色々な制度のベストミックスが必要であるというようなご指摘も議論の中で出てまいりましたので、それを書き加えております。それ以外のところはおおむね中間とりまとめを受けております。2項としまして、今度は環境と社会という部分でございますが、これは議論を深めてまいりまして、1つは、なぜ環境と社会なのかというところ、最初の一文が「地域コミュニティの再生等を通じて相互に強い関係があります」と、ここは中間とりまとめと同じなんですが、なぜ環境と経済なのかということにつきまして、地域の課題としての環境保全への取組を通じて社会問題解決の基盤にも地域コミュニティが活性化するということが期待できる。一方、地域コミュニティに活力があると、環境保全の取組も地域で進むようになる。あるいは実態から見ても、例えば里山や水路の管理は昔から社会的コミュニティの役割として取り組まれてきたことも述べまして、なぜ環境と社会なのかということを述べたというところを加えております。
 それから今度は、では、環境と社会であればそれをどういうふうにアプローチをするのかというところ、これもこれまで個別分野の検討の中でいろいろ検討が深まってまいりまして、3ページ目の一番最後の部分でございますが、我々はこれをどういうふうにしていくかというと、例えばこの上にございますコミュニティ・ビジネスというようなものをつなげて、地域において環境保全活動を行う人材が育つ、それからネットワークが形成される、地域の様々な人々が地域コミュニティに積極的に関わるようになる。そういうことによって地域コミュニティのつながりが強化されると、その力のあるコミュニティというのは例えばその社会的な教育であるとか、あるいは地域のお年寄り等々との助け合いであるとか、その社会的な面でも地域的コミュニティの力が強まっていくであろうと、こういうふうなものを目指すのだという考え方を少し整理をいたしまして書き加えてございます。
 それから第3項の部分は、これはライフスタイルということで、いわば国民への呼びかけという部分でございます。この部分も基本的に中間とりまとめの議論を受けておりますが、では、どういうものを目指すか、下へたどってまいりますと、「もったいない」というような言葉を引用しまして、大量生産、大量消費、大量廃棄につながるようなビジネススタイルや生活習慣の見直しを行っていく必要がある。そのような持続可能なライフスタイルは環境効率性が高く、豊かで質が高いものである。ここでこういったものは画一的なものでもあるいは単に何かを我慢するということを求めるというものでもないという、その性格を述べておこうということで加えております。そこのあと、LOHAS等々を引用しておりますところは中間とりまとめと同じでございます。
 それから第2節は環境保全の観点からの持続可能な国土・自然という部分でございます。ここでもいろいろ考察が進んでまいりまして、ストックとしての国土の価値ということが課題であるというその一番最初に、かつ基本的なところを述べたあとで、それはどういうことかというと、国土に対して正の影響、負の影響が蓄積された結果としての現在、将来の状態に着目して国土の価値を高めるということ。このため自然環境の適切の保護・管理に加え、自然再生あるいは「負の遺産」の処理等を進めていく。生物多様性の保全のために、生物の生態特性に応じた生息・生育空間のつながり適切な配置を確保していくという基本的な考え方を整理しましたものを述べております。
 それから第2項へまいりますと、では、インフラのようなものを含めて人口も減ってまいります中で、その既存のストックあるいは農林水産業の機能にも着目した、持続可能な国土づくりをどうやって進めていくのかということでございますが、この部分では5ページの一番下に2つパラグラフを加えております。1つは、持続可能な生活が行われるようなまちづくり、またそれは何かというと都市全体の構造もありましょう、あるいは生活インフラもありましょう、あるいは地域コミュニティの活力が維持・活性化される面もありましょうが、そういった観点からのまちづくりを行うべきであるということ。それからもう1つは、ここの分野につきましては、国土づくりに関しますいろんな法律に基づきます諸計画、諸施策の役割が大変重要であります。現行環境基本計画の制定以降、そういった計画については、環境基本計画との調和を図るべきであるというような規定を持っております計画も大分増えておりますので、そういった計画にはこれらの考え方を踏まえていただきたいということを伝えてございます。
 それから第3節第3番目のテーマは、技術開発・研究の充実あるいは不確実性を踏まえた取組というところでございます。具体的にどう進むのかということにつきましては、先ほどまでご議論いただきました第9ブロックで述べてございますが、ここでは方向として何が重要かということで、まずは2項の施策決定において最大限の科学的知見を追求すべきである。で、ここでその環境リスクという考え方を押さえておくことが重要であるということを述べております。
 それから次に、やはりそうはいっても不確実性が残るということで、そういった場合の施策決定ということでございますが、1つは先ほどの4番目の原則であります予防的な取組方法、これは6ページの下から5行目ぐらい「このような問題に対しては」というセンテンスが出てまいりますが、「完全な科学的証拠が欠如していることをもって対策を延期する理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら、必要に応じて対策を講じるという、予防的な取組方法の考え方に基づく対策を講じる」、この予防的取組方法の考えを押さえるという記述を加えてございます。
 そのためにはという記述が7ページにかけて続いておりまして、1つは、こういった場合の政策判断を行うためには国民全体との合意形成が不可欠である。そのためには適切なコミュニケーションをする、またそのための情報提供が大事だということが、これは中間とりまとめで述べたわけでございますが、「しかしながら」というところからが加わっておりまして、これまで水俣病等の教訓を踏まえますと、すべての関係者の同意を得ることを待っていて対策を遅らせることができない場合もあるということ、こういった場合にはどのような検討を行って、どのような政策判断を行ったかについて説明することが重要だ。こういったことについての、あるいは先ほど出ました予防的方策の考え方ということにつきましては、国際的な議論を含めつつ検討をするということを述べております。
 第4節は地方分権等々も踏まえまして国、地方公共団体、国民の新たな役割はいかにあるべきか、それから参加・協働を進めるということでございます。第一のところでは国、地方公共団体、国民の役割を踏まえた連携を強化するということでございますが、これは8ページの2に入ってまいります一番前、要するにこの第1項の一番最後のパラグラフでございますが、これらを踏まえて、国、地方公共団体、国民それぞれの役割を明らかにしつつ、同時に十分なコミュニケーションを図りながら連携を図っていくという、いわば結びの言葉を設けております。
 それから2番目、第2項では参画の促進ということを述べておりますけれども、ここでは逆にその問題をわかりやすくということで、人類の活動が質量ともに拡大し、複雑化している中、環境保全に関わる課題についても不確実性のある中で対策を検討すべき課題、こういった不確実性に応える道としての参画ということが重要だという趣旨がわかるように少し文章を補っております。
 3項にまいりますと、行政と国民のコミュニケーションの向上が重要であるということを述べておりますが、ここでは欧州でのオーフス条約に見られるように諸外国においても、行政の保有する環境に関する情報を国民が容易に得られるような取組が行われており、我が国においても、有効活用されるようにしていく必要があるという説明を加えております。
 5番目の重要な方向といたしましては、国際的な戦略ということであるわけでございます。1つは国際的な枠組みの中での取組の強化ということでございますが、これは趣旨、構造をわかりやすくするため、我が国として地球環境を保全するために、地球環境や地域レベルの取組、開発途上国をはじめとする各国における取組に、効果的、長期的に協力していく必要があるという、まず基本的な考え方の枠組みを述べた文章を加えております。
 それから10ページでございますが、第2項は国際的なルールづくりの積極的な参画でございますが、ここは2パラグラフ目、国際的なルールについては行政によって定められるものではなく、民間主導の規格等も増えているので、こちらも積極的な役割を果たしていくという、この民間主導の規格についても説明を加えております。
 第6番目が長期的な視野からの政策形成、ここも長期的なビジョンをつくりますという具体的な内容につきまして、先ほどの第9節の第9ブロックのところでお諮りをいたしたわけでございます。中間とりまとめは4月にまとめたものでございますので、ここの第1項の結びはそういったバランスのとれたシナリオを示すことによって、施策の展開を図ることが望まれるという結びになっていたわけでございますが、その後7月以降、何とか所要の予算の要求等もいたしまして先ほど来の議論にございましたように、こういったものをつくるという方針で望むことにいたしましたので、50年といった長期間のビジョンを示すと、やりますという形に直したというのが、ここの直しでございます。
 こういったところが7月に中間とりまとめをまとめていただきました以降の、いわば各論に当たるところの検討をしてまいる過程で、いろいろわかってまいりましたところ、あるいは極力話の筋をわかりやすくという意味で整理をした方がいいのではないかと思うに至ったところでございまして、それを中間とりまとめの当該部分に載せましたものが今回の案でございます。よろしくご指導をお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま説明いただきましたことに関しまして、ご意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、こちらからいきましょうか、大塚先生。

○大塚委員 どうもありがとうございます。大変よくまとまっていると思いますけれども、4
点ほど簡単なことを申し上げておきたいと思います。
 まず、第1ですけれども、先ほど第二次基本計画にありました4つぐらいのタームについてご説明があり、それぞれ埋まっているというのか書き込んであるということもご説明いただきましたけれども、それを中心に。他のところにも影響してしまうかもしれないので、まったくの提案ですけれども、太字とかにしていただいた方がいいのではないかという気がしますので、ちょっとご検討をいただければありがたいと思います。普通の字の中に埋没していて、ちょっとインパクトが小さくなってしまっているので、今まではちゃんと項目として出していたわけですけれども、今回は完全に埋没しちゃうものですから、ちょっとそれが気になるところでございます。非常に形式的な話でございますが。
 それから2ページの真ん中当たりのところの経済的手法について例を挙げるのをやめられたということで、第7ブロックに入っていればそれでいいんだと思うのですが、ちょっとここの書き方だと見ようによっては経済的な優遇措置、助成のようなものを中心に、それだけを見てしまう可能性もあるので、もう少し具体的に廃止の取引とか負荷金とか税の話も書いておいた方がいいかなというふうに思っておりますが、これはちょっとお任せする他ないかなということでございます。
 それから第3に、これは中間とりまとめに今見たらあったので、申しわけないのですが、2ページの下から4行目のこの「自然との関わりにおいても、経済活動の一環として自然を活用することが自然保護につながり」という、ここはもう少し説明をしていただかないと、エコツーリズムの話はあるんですけれども、これはおそらく自然を中心に研究されている方からみると少し弱いというか、何を言っているかわからないというと申しわけないんですけれども、多くはやっぱり経済活動の一環として自然を活用することは、基本的には自然の破壊につながってきたという歴史がございますので、ここはちょっとこれではまずいかなというふうに今思いましたので、ここはちょっと修正していただけるとありがたいと思います。
 それから第4ですけれども、8ページのところで、これはちょっと前から言っていることなのですが、10行目ぐらいのところで三位一体改革の話が出ていますが、これはこれでよろしいんですけれども、私が前回、もう5月ぐらいに申し上げたときも幾つか審議会に出させていただいて、別に水の問題だけではなくて野生生物とかいろんなところで三位一体改革のこともあり、国からの補助金がなくなっていろんな関係行政に影響があるということも出てきていますので、これも書きにくいのだろうと思うので申し上げておくだけですが、モニタリングの費用等について何か書き込んでいただくと、しかしどう書き込むのかというのはおそらく大問題ですが、それは自治体が積極的にやってくれるようにお願いする形で書いていただくことになると思いますけれども、書き込んでいただくとよろしいかと思います。
 例えば野生生物について、野生生物の管理の方向に現在、2000年ぐらいから完全に法律改正で動いたわけですけれども、モニタリングをしないと管理できませんので、管理のためにモニタリングが必要ですが、そのための費用が出ないという大問題が起きていますので、何らかの形でお願いするような形で書いていただければと思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。ここの部分は今回の新しい第三次の環境基本計画の傾向の非常に根幹をなすところで大変重要だと思っております。そういう意味で本当にしっかりとまとめ上げていただいていまして、その辺の新鮮さは出てくると思っています。その上で内容のことではなくて技術的な話なんですが、目次を見たときに、ぱっと見た感じで行政の方はおわかりになるのでいいのかもしれないのですが、結果的にどういうことをここで言いたいのかというのが、ぱっと掴めないような言葉づかいというのが目次のところに並ぶんですね、第2章のところの第1節、2節、3節、4節、5節、6節と、この辺のところでもう少し、例えば第1節の次が「より良い環境のための経済」と「より良い経済のための環境」の実現とかですね、結局は例えば環境と経済の好循環とか、ここのところ、いろんなところで皆さんが新しく使いはじめたそういうキーワードというのが少し出た方が、多くの社会の方が、あっ、今度の基本計画って変わったというようなメッセージが届くのではないかなという感じがいたします。
 それでそういう視点でいくと、例えば予防的措置のところ、急に6ページに飛びますけれども、6ページの3のところに「不確実性を踏まえた施策決定と知見の向上等に伴う施策変更の柔軟化」、非常によくわかるのですけれども、例えば予防的な取組の導入とかですね、何かそういうことはここで言い切ることは難しいんでしょうか、という感じがちょっといたします。
 あと、第4節のところの「参加・協働」というところも実際の内容はもう参加ではなくて参画だというふうに、もうすべてが参画になっているのですが、タイトルだけは「参加・協働」なんですね。そういう意味で回の踏み出しているんだという辺りのインパクトというのを、もう一歩見せることはできないかどうかという、ちょっと技術的なところなんですが、感じがいたしました。
 あと、最後に10ページ、第6節の「長期的な視野からの政策形成」というところで、例えば先ほど長期的な計画を立てるお話もありましたけれども、こういう部分の基礎になるようなデータというのは大変重要だと思いますので、例えば巻末のところに地球温暖化の今後の展開のこととかですね、人口のこととかですね、今までの色々な資料が出てきたのがきちんと巻末にわかりやすくおいていただくように配慮いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。佐和先生。

○佐和委員 この冒頭の「より良い環境のための経済」と「より良い経済のための環境」というのは何かわかりにくいというようなことを、前回申し上げたと思うのですが、ここの第2パラグラフの説明でかなりわかりやすくなってきていますね。これちょっとよく似たことなんですけれども、別の観点から申し上げます。若干頭の中で算術をしていただきたいのですが、GDP=GDP/資源投入量と、で、掛ける資源投入量となります。これまったく当たり前の式ですね、で、それぞれのログをとって分類しますと左辺がGDPの成長率になって、右辺が要するに資源生産性ですよね、GDP/資源等による資源生産性の上昇率プラス資源投入量の増加率と、そうすると結局資源の投入を普遍にすると、これ以上ふやさない、あるいはむしろ減らすと、減らしつつ、つまりその環境のことに配慮しつつ、経済性を成長させるためにはどうしても資源生産性というものを高めなくてはいけないということで、環境保全ということは実は経済のためになるんだというようなこともやっぱり、別に書く必要はないと思いますが、念頭におかれる必要があると思います。
 それからやっぱり、先ほど大塚先生がおっしゃった2ページの中ほどの経済的手法云々のところ、別に私はそう具体例を書く必要があるというふうには必ずしも思わないのですが、この意味がよくわからない。この最後の行で「環境的側面と経済的側面の統合的向上の考え方に寄与し得ます」と、これちょっと何のことを言っているのかわからないですね。で、多少修文していただいた方がいいんじゃないかと思います。
 それからその次に6ページですけれども、この1のところで「一方で、大学を含む公的な研究機関」と書いていますけれども、もはやもう国立大学はなくなっているわけですね、で、私立大学もあるということで、「大学を含む公的な研究機関」というのは、これちょっとやっぱり、何か多少修正していただきたいですね。
 それから次に3の予防原則に関するところですけれども、「このような問題に対して」云々というところですね、下から5行目からですが、「科学的知見の充実に努めながら」と、ここまではいいのですが、「必要に応じて対策を講じる」というのは、これはむしろ一番消極的な場合でも No regret policyみたいなことで、例えば省エネに一生懸命努めるということは、それは別に仮にCO2 の大気中の濃度の上昇が必ずしも仮に原因でないとしても、要するに省エネに努めるということ自体は、まさにNo regret policyなんですね、No regret である限りはやるというのは一番消極的なんですね。
 それよりもむしろ、これは可能な限り、可能性の範囲内で最大限の、最大限というと変ですけれども、最善の対策を講じるということ。 つまり要するに前に申し上げたかもしれませんが、例えば遺伝子組換え作物みたいなものをヨーロッパが輸入を拒否するというのは、そんなものを食べなくても今食料足りているじゃありませんかということなんです。だけどアメリカのアグリビジネスに言わせれば、その穀物を食べた家畜が何か異常が起きたとか、そんなことないじゃないかと、つまりそういう因果関係とかあるいは人間の健康を害するという事例はないじゃないかというふうに言うわけですけれども、しかしそんなものを強いて食べなくていいじゃないかというのが予防原則なんですね。
 ですから、この場合もひょっとするとというか、大いなる可能性でCO2 の大気中濃度の上昇が大変なクライメートチェンジをもたらす可能性があると、それが科学的な証明、試験は不十分かもしれないけれどもやっぱり最大限の、何か「必要に応じて」というのは、これは言葉の使い方としてはまずいと思いますよ、この文脈で。
 それから10ページですけれども、2の一番最後の行で「また、環境保全と貿易の相互支持性」と、これはどういう意味なのかということをあとで教えていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 あとでまとめていろいろ対応させていただきたいと思います。それでは、服部委員。

○服部委員 はい、ありがとうございます。私、2点コメントをしたいと思いますが、まず10ページの3のところであります。ここで我が国のエネルギー問題について極めて短い文章で書かれているんですけれども、環境問題ということになると3Rということがあるのですが、エネルギー問題で我が国の場合にはやっぱり3つのEですね、3Eの両立ということが基本的な考え方であります。とりわけエネルギーセキュリティの確保というのは、これはもう一番目に挙げられる問題でありますので、ぜひともこの点について一言入れていただければというふうに思っております。具体的には下から2行目の「省エネルギーや」というその前のところに「エネルギーセキュリティの確保を図り」とか、何かそういうことを入れていただければ日本のエネルギー政策全体と非常に整合性がとれるのではないかというふうに思います。
 それからもう1点は2ページ目ですね、先ほど来、ご意見が出ておりますが、ちょうど3分の1ぐらいのところですか、「経済的手法」のところでありますけれども、事務局の方から先ほどこの点についてはまだ流動的で書き換えるというお話がございましたが、私どもの認識としては目標達成計画に書かれている文面が現状の皆さんの基本的な認識だというふうに思っておりますので、目標達成計画で書かれている文面と平仄をあわせて書いていただけるのが一番穏当なところじゃないないかなというふうに思っている次第であります。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、天野委員。

○天野委員 現行の基本計画の第二部で「展開の方向」というのがあったんですが、それが今回はこの第一部の方へ移ってきている。それを両方比べてみますと、前回というか現行のものにつきましては、政策の指針となる考え方というのをいろんな原則の形で並べているんです。ですから汚染者負担の原則あるいは予防的な方策、環境効率性も入っていますし、環境リスクも入っている、こういうのが政策の指針となる考え方ですということが非常によくわかるんです。ところが今回の部分は、先ほど言葉は中に取り込んであるというふうにご説明があって、たしかに入ってはいるんですけれども、それが環境政策の指針となる考え方であるという点が、もちろんそういうつもりで書いているんだと言われればそうかもしれませんが、先ほどのいろんなご意見と同じで本文の中に埋没してしまって、これが大変重要な基本的な方針だという受けとめが出てこないんです。その辺、私はある意味では何か大変後退した表現になったという印象を受けました。
 それから第2点ですが、経済と環境、それから社会と環境というふうに3つが大変重要な関係にあるというので、環境と経済の点は割合よく書き込んであるのですが、普通その経済、社会、環境というときの社会というのが何かというのがどうも私の理解と随分ずれている感じがいたします。ここで取り上げられているのは地域コミュニティの再生あるいは活性化というのが社会的な問題で、環境問題とそういう問題とがいわば好循環をするという取り上げ方なんですが、経済と社会と環境と3つ並べたときに地域コミュニティの再生だけが社会的な側面だと言われると非常に狭い。実際、サスティナビリティーという表現をするときの社会というのは、もっともっと広い一般的なものを含んでいるわけですから、環境省はそういう認識なのかなというふうに疑ってしまうと思いますので、ここはぜひ基本的な考え方として環境と社会を統合するというのは、どういう意味かということをきちっと普通の常識で見て、違和感を覚えないような内容でお書きいただけないかというのが2番目です。
 それから3番目は、オーフス条約を研究されていまして、ここでは国民が情報にアクセスできるという側面だけの例として引用されているのですが、オーフス条約は三本柱がありまして、国民の情報に対するアクセスとそれから環境に関する意思決定に対する国民のアクセスと、それから最後にそういうのがうまくいかなかったとき、国民が司法に持ち込むことができるというアクセスと、この3つのアクセスをまとめてつくった条約なんですね。ですからちょっとこのオーフス条約をこういう国民に情報を提供するというところだけの例として挙げるのは、むしろこれだと挙げない方がいいんじゃないかというふうにさえ思ってしまいます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。あと、善養寺委員。

○善養寺委員 2点あるのですが、先ほど自然との関わりにおいて経済活動の一環としてはわかりにくいということで、その例としてエコツーリズムが挙げられているのですが、もしこれを書くのであれば、住宅における国産材利用などの例の方が、いわゆる経済活動の一環として自然を活用し、それを保護するというような意味合いには使えるのではないかと思います。「自然との関わりにおいても」というよりも、直接、住宅の国産材利用におけるような経済活動が自然を利用し、保全にも繋がるというような文章に変えて、それを維持することによってエコツーリズムなどにも使えるというふうにつなげる方が理解しやすいかなと思われました。
 それと佐和先生も言われたように、10ページの貿易ルールについて、この「相互支持性の確保」という言葉がよくわからない。もしそれであれば「環境保全を前提とした貿易ルールの策定に積極的に取り組む」とかの方がわかりやすい。多分言いにくいからあえて濁したような訳のわからない言葉を使ったのかなという気もしないでもないですが、いわゆる環境保全と貿易を両方うまくさせるという意味かもしれないのですが、もうこの期に及んでは環境を無視した貿易なんていうものが商業取引の中でルールが固定化されるようなことは問題だと思うので、やはりこれからの国際ルールとして、貿易において環境保全は常に前提とされなければいけないというルールづくりに積極的に取り組んでもらいたいと思いますので、具体的にわかりやすく書いていただく。1行足しても文章がふえる問題はないように思われます。

○鈴木部会長 そうですね、WTOの問題とかいろいろありますね。
 筑紫委員、お願いいたします。

○筑紫委員 私も2点ありまして、4ページの真ん中の方で欧州のスローフードの取組とかアメリカにおけるLOHASということで、「生活を豊かにしつつ持続可能な社会を求めるような、個人の価値観に基づく積極的な取組が一つの参考になります」といって、「物的な豊かや時間的な効率を優先する生活を見直して」と言っているんですが、で、「自然と調和した新しい豊かさ」と言いながら、その下で「環境保全と豊かな暮らしを同時に求める」というときに、何かこう新しい豊かさと言いながらその下で「環境保全と豊かな暮らし」といったときに、「新しい豊かさ」とその下の「豊かな暮らし」というものがどうつながってくるのだろうかというところで、どうもこの豊かな暮らしといったときにやっぱり物がすごく少ないという感じはこの文脈からはあまりしないんですね。そうしますと、この辺は私なら例えば「環境保全と心豊かな暮らし」とかにされたらもっとわかりやすいのかなという気がいたしました。
 それからもう1つなんですが、11ページのバックキャストするというのは、新しいものだと思うんですけれども、過去と現在の影響からフォアキャストではないんだよということはずっと、それがもっと早く必要だったと思うのですが、ここのところでもう必要に応じて用いると言っているんですけれども、どんなときに必要で、逆に、バックキャストを用いないときとはどういうケースなのか教えてください。

○鈴木部会長 馬場委員。

○馬場委員 最初に1ページのところから2ページにかけてなんですが、確かこれ7月の中間とりまとめのときに書いたのと中身は同じなんですけれども、中間とりまとめの方が非常にインパクトが強い表現、例えば当時の7ページのところを見ますと、最初のところで「経済の姿を変えていくべきである」とか言っているんですが、今回のやつは丁寧に書いてあるのですが、その変えていくべきであるというところは2ページ目の上から2行目ですか、「経済の姿に変えていく必要があります」と、そこに至るまでにずっと長く間が入っちゃっているんですね、同じことを書いているんですけれども非常にインパクトが弱い感じになっているので、できればもうちょっとこの計画のメッセージのインパクトを強い形に書くような工夫をしていただいた方が、ボリューム的には1の「より良い環境のための経済」と「より良い経済のための環境」の実現というのは、中間とりまとめに比べてむしろ減っているんですかね、行数でいうと減っているぐらいなので書き方の問題だと思いますけれども、是非そこはもう少しインパクトあるような書き方を、中間とりまとめの段階と同じようにしていただきたいと思います。
 それから5ページ目のところですね、これも書いていることはわからないわけではないんですが、5ページの一番上で、「現在及び将来における「状態」に着目して国土の価値を高める視点が必要です」と、この状態をわざわざかぎ括弧で書いてあるのですけれども、この意味がちょっとわからない。国土の価値を高めるのは重要ですし、国土ってある程度状態的なものですからわかるんですけれども、何かわざわざかぎ括弧で「状態に着目して」と強調したところがちょっと意味がわからないので、これを教えていただきたいと思います。
 それから7ページの下の方ですが、「国、地方公共団体、国民の役割を踏まえた連携の強化」と、これがこの最初のパラグラフがだれがと、国がなのか何かよくわからない。下の方へいくと「仕組みづくりやパートナーシップづくりを地方公共団体と役割分担しながら進めていきます」というから多分国なんだろうけれども、「国が」とか「政府が」という話が出てこないというのが1つと、それからこの中で「政府が何もせずに市場に任せるだけでは適切な状態に保たれない場合があります」と、まあ、それはそうなんですけれども、何か政府の計画の中で政府がやらない限りはこういうことがありますと、何かだれがどの立場でものを言っているのかわからないような表現があるので、できれば工夫をしていただきたいと思います。
 以上3点です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、浅野委員。

○浅野委員 大塚委員が最初に指摘された点は、善養寺委員がよく中身をわかってコメントをしてくださったと思います。大塚委員の御指摘はむしろ昔のリゾート法みたいなイメージでとらえてしまって問題があるということですから、善養寺委員が言われた御意見を入れるのが適切ではないか、そのことの裏にある善養寺委員が言われた意味、つまり自然というのはそのままほっといたらそれが一番よく保全できるのではないんだという、そこのところがちょっと言葉として不足してしまっているんだと思いますね。それで大塚委員がリゾート法みたいな読み方をされたら困るからということだったので、それがよくわかるように入れるということは必要だろうと思います。
 それから先ほど天野委員から、指針が不明確になってしまったというふうにおっしゃって、大塚委員もそこは太字にしなさいというふうに言われたんですが、今日はまだ出ていないのですけれども、この計画には序章があります。そして序章が従来のものよりもっとそういうような点でのメッセージ性をはっきりしたものになるのだろうと、私は期待していて、それを受けてここで第2章の展開の方向が出てくると思うので、指針のようなものは序章の中にしっかり書いてくださるのだと思います。これは確認のために申し上げておきたい。そこにしっかり書いておけば、多分今のような問題はクリアできるんだろうと思います。
 それから細かい修文の点は、これはいいと思います。それから天野委員がご指摘になった社会の問題は、実は中間とりまとめのときに書いた記述をそのままそっくりこっちへ移してしまっていて、そのときに気がついていなかったのか、あるいはもっと突き詰めて考えるつもりで先送りにしたのかよくわかりませんが、たしかに中間とりまとめでは、我々はコミュニティのところだけで社会ととらえてしまっていて、ちょっとそれではまずいと言われるのはそのとおりです。しかし考えてみたら、中間とりまとめのときに気がついておかなければいけなかったことではあったかなという気がしました。
 それから善養寺委員が指摘された相互支持性ですね、これも実は中間とりまとめの記述をそのまま書いているわけです。この部分はその後の国際的な枠組みづくりとか、いろんなところの重点的取組事項の中で書いていますので、そこに書いたものをもう一回ここに少し要約して前に出すことによって、中間とりまとめで抽象的なワンワードで書いているようなものの説明ができると思うんです。それはやらなければいけないと思いますね。
 総じていうと、私も第2章をあらかじめ拝見して前半は丁寧に見たんですけれども、後半は力尽てしまっていて、中間とりまとめに書いてあることが書いてあるから、まあ、いいやと思って通り過ぎた点もあるんですけれども、確かに言われてみればわかりにくい点が残ったと思います。
 馬場委員がご指摘の「状態に着目」というのは、実はストックということだけを前の方で書いていて、それをもう一回言いなおして「状態」と書いているのですが、たしかにストックということを考えて、それでというのが「状態」という言葉でうまく言い換えになっているかどうかは言われてみればそのとおりですから、もう一度事務局で一緒になって考えてみる必要があるかと思います。
 あと色々な……バックキャストのことについても「必要に応じて」というのはあとの方をずっと見ていくとわかるのですが、先出しにしてどういう場合かというのは、あとの方にどうせ書くんだからけちけちしないで先に見せたらいいというのはおっしゃるとおりだから、それを入れたらいいのではないでしょうかね。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか、大変建設的といいますか、いろいろと後で佐野課長が考えやすいコメントをたくさんいただいたのではないかと思いますが、やはりいくら序章で何があるにせよ、ここのところはもうちょっとインパクトを、目次を見てぱっとわかるような、そういうキャッチコピー的なものを考えるということも大事だと思いますので、その辺もぜひ検討を。何となく経済のための環境、環境のための経済、社会のためのというのも、まあ、面白いことは面白いのですが、もうちょっとわかりやすい目次を連ねていくということもあるかと、あまり長過ぎるのもまたよくないと思いますし、難しい問題ではありますが、ぜひお考えいただければと思います。
 自然のところは必ずしも……そうですね、これは自然局の人たちも目を通して、また違う観点で問題もあるんでしょうね。森林業、林業の活性化なんていうと農水省は大喜びしますよね。一応シークエストストレーションの問題なんかとも絡むような話もあるかもしれませんし、色々と面白い話になっていくのではないかと思います。
 私も天野先生がおっしゃった、その環境と社会というのはもうちょっと広いスペックできちんととらえないと、そのサスティナビリティーのボトムラインですからね、そこはぜひまた少し字を加えていただければと思っております。
 何か佐野課長の方から……それではいろいろまたご質問もあったように思いますね。

○佐野環境計画課長 はい、幾つかご指摘がありました。バックキャスティングのところは何かありましたね。

○鈴木部会長 いや、だから「必要に応じて」を取っちゃっておいたらどうですか。

○佐野環境計画課長 はい、実はこの長期的ビジョンの検討を行うに当たって、専門の先生方にもお話をうかがって、一般的にこういうのをやった方がいいというのは、例えば現在の延長では出てこないような大胆な改革をやるようなときは、最後のゴールのところから逆算していった方がいいというのはあるんですが、逆にいくとバックキャスティングできないのは、その望ましいゴールとはなんぞやというそのこと自体が問題になってきて容易に決まらないようなときだということです。ただ、その辺の中身を解説をしていって考現学をやってもあまり始まりませんので、ちょっとここの表現を検討させていただきたいと思います。
 それから社会のところも、むしろこれは社会との統合的な向上が必要であるということはあるのですが、その社会面のいろんな切り口で、じゃあ、そこでどういう提言をしようかと考えたときに、その手立てとして出てきたのが地域コミュニティだという面がありますので、では、そこでこぼれ落ちてしまった分をどうしたらいいかということをちょっとまた考えさせていただきたいと思います。
 それから問題の4つ基本的指針でございますけれども、前回の計画ではこれが大事だということを言うというのが重要な課題だったわけでございますけれども、ある意味では今度の計画ではそれが大事だということはもう既出であるということでやったものですから、じゃあ、やっぱりもう一回大事だとやった方がいいのか、それはもう踏まえられていくからそれはこなした上で、その上にどうしたらいいかを考えたらいいのかというところは、ちょっとご相談をさせていただきたいと思います。
 それから自然のところは部会長がおっしゃいましたように、多分ここの基本的な認識は、今日その自然を守っていくためには、それは何だから守っていくのかということがはっきりしていないと守れない、守れないというのはそこへお金なり人なりを投入することができないからなんですが、それを何だからということで守っていくのかということで幾つかやり方はあろうという、例ということであろうと思います。これも部会長がおっしゃいましたように担当局とも相談をしまして検討をさせていただきます。

○鈴木部会長 いかがでしょうか、何か追加いただくこと。馬場さんはよろしいですか。では、大塚先生、最後ということで。

○大塚委員 自然のところはそんなこだわるつもりはないんですけれども、もしエコツーリズムとか自然とのふれあいとの関係でということだったら、入園料とか入山料とかの話が関係しますかね。利用調査チェックについては既に法律に入っていますけれども、国産材も別に悪くないと思いますけれども、ちょっとまた観点が違う話なのかなという気もしないでもないものですから、ご検討いただければと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか、それではもし、まだご意見、もちろんあろうかと思いますが、その場合にはまた繰り返しますが、ファックスまたはメールで事務局の方にご意見をお寄せいただければと思います。それを考慮の上、修正されたものを第三次計画の第一部第2章の素案とさせていただくことにいたしたいと思います。
 それでは先生方の方、事務局の方もよろしいですか。では、ちょっと時間をオーバーいたしましたが、これで本日の審議を閉めさせていただきたいと思います。次回部会の連絡につきましては事務局の方からお願いいたしますが、今まで4回にわたり検討結果をご報告いただいた重点的分野、分野別検討結果報告をまとめた第三次計画第二部の第1章部分と、それから先ほどご議論いただきました第一部第2章部分、その他の部分の素案も事務局の方で作成していただき、第三次計画のひととおりの全体像をお見せできればと思っております。12月の後半になりますが、ぜひご出席をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の審議はこれで終了させていただきたいと思いますが、事務局の方から。

○佐野環境計画課長 はい、今部会長からお話がございましたように、次回12月22日、14時から17時、場所はこの建物の一つ上の階へ移動しまして、1028会議室でございます。
 そういうことで、部会長からお話のありましたこの目次をもう一度念頭においていただきたいのですが、これまでお諮りをさせていただいておりませんでした残りの部分につきまして、今までとにかくご指導をいただいて、積んで積んでという積んどく状態になっているんですけれども、残りのものをお諮りをさせていただいて、とにかく一応頭から尻尾まで計画を構成するもののたたき台についてお目通しをいただくということになりますように、残る部分をお諮りをさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、どうもありがとうございました。

午後5時08分閉会