中央環境審議会総合政策部会(第28回)議事録

開催日時

平成17年6月13日(月)14:08~17:00

開催場所

経済産業省別館9階944号会議室

出席委員

鈴木基之部会長、大塚直委員、崎田裕子委員、佐和隆光委員、高橋滋委員、藤井絢子委員、山本良一委員、青木保之委員、浅野直人委員、天野明弘委員、井手久登委員、石坂匡身委員、川上隆朗委員、久保田泰雄委員、猿渡辰彦委員、塩田澄夫委員、善養寺幸子委員、武田善行委員、田中充委員、永里善彦委員、中野璋代委員、中村紀子委員、馬場久萬男委員、速水亨委員、星野進保委員、松原純子委員、横山裕道委員、渡辺修委員

議事次第

開会

議事

第二次環境基本計画の見直しについて

  1. (1)第三次環境基本計画策定に向けた考え方について
  2. (2)今後の検討方法について

その他

閉会

配付資料

資料1 第三次環境基本計画策定に向けた考え方(素案)
(計画策定に向けた中間とりまとめ)
資料2 今後の検討方法について(案)
参考資料1 第二次環境基本計画の見直しスケジュール(案)
参考資料2 総合政策部会委員からの御意見
参考資料3 中央環境審議会総合政策部会名簿

議事録

午後2時08分開会

○佐野環境計画課長 お待たせをいたしております。部会長がまだお見えになっておりませんが、事務的なことから始めてまいりたいと思います。
  最初に、資料の確認をさせていただきます。

○苦瀬計画官 それでは、資料の確認の方から始めさせていただきます。
  本日の資料ですが、お手元に、まず議事次第があろうかと思いますが、その議事次第に配布資料一覧が記載してございます。資料の1が「第三次環境基本計画策定に向けた考え方(素案)」、資料2が「今後の検討方法について(案)」、そして参考資料1が「第二次環境基本計画の見直しスケジュール」、参考資料の2が、「総合政策部会委員からの御意見」。この参考資料2とはしてございませんが、あとにもう一枚、大塚委員からも出ておりますのが、同じく参考資料の意味でございますが、後につけてございます。それから、参考資料3ですが、中央環境審議会総合政策部会名簿でございます。
  ほかに、いつものように本日の座席表と、それから、会議後回収させていただきます資料といたしまして、環境基本計画、それから環境と経済の好循環ビジョン、それから、昨年まで3回にわたって行われました環境基本計画の進捗状況の点検結果の冊子がございます。
  資料は以上でございます。

○佐野環境計画課長 続きまして、総合政策部会の臨時委員につきまして交代がございましたので、ご紹介をさせていただきたいと存じます。
  今まで総合政策部会臨時委員としてご参画していただいておられました、安原正財団法人環境情報普及センター顧問が、6月10日をもちまして退任をされまして、同日付で日本損害保険協会副会長の石坂匡身様が臨時委員に選任されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  それでは、恐縮でございますが、部会長がお見えになりますまで、まだ暫時かかりますようでございます。実は、部会長代理をこれまで安原委員にお願いをしておりましたので、正委員の五十音順ということで、大塚委員に暫時のご進行をお願いをいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

       開会

○大塚委員 突然のご指名で、ちょっとびっくりしておりますが、大任ですけれども、部会長がおいでになるまでの間、ごく短期間、座長を務めさせていただければと思います。

       議事
         第二次環境基本計画の見直しについて
         (1)第三次環境基本計画策定に向けた考え方について

○大塚委員 では、最初に、資料につきまして事務局の方からご説明をお願いいたします。

○佐野環境計画課長 そういうことで、ちょっと事務局の方でご説明をさせていただきたいと存じます。
  前回の部会では、環境基本計画におきます目標、あるいは指標のあり方につきまして、検討状況を皆様にご報告を申し上げますとともに、次期環境基本計画策定に向けた論点という形をお諮りをいたしまして、委員の皆様からご指導いただいたわけでございます。その後、ご発言いただけなかった点等につきまして、何人かの先生方からメモをいただいております。そのうち、ご了解をいただきます、ご指示のありましたものにつきましては、参考資料ということで置いてございますので、ご参考にしていただければ幸いでございます。
  本日でございますが、事務局といたしましては、一応今月末を目途に第三次、次期の環境基本計画に向けた中間とりまとめというものをいたしたいと存じております。この中間とりまとめに当たります計画策定に向けた考え方といったものにつきまして、きょうまたたたき台に当たりますものをご用意させていただきましたので、これのご説明をさせていただきまして、ご意見、ご指導を賜りたいと存じます。これが資料の1でございます。
  本案は、前回、論点という格好でご提示をさせていただきましたものに、その席上、あるいはその後いただきましたご意見等を踏まえまして、いわば肉づけをしたものでございます。しかしながら、これも現時点においてのたたき台というような性格のものでございますので、項立て、あるいはタイトル等のようなものも含みまして、これからご指導いただきまして見直しを行い、なるべくすっきりしたものにしてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。
  それでは、資料1の頭から、順次ご説明をさせていただきたいと存じます。
  一を「はじめに」とつけてございますが、これは、前回の論点というところでは、持続可能な社会についてどう考えるかという、考え方に当たる部分について、これまで諸外国の例のようなものもご提示させていただいたところでございますけれども、それを整理をした。そういったものを踏まえまして、こう考えたらどうかといったような形のもので、まず最初の方向だからということで先頭に持ってきたものでございます。
  「はじめに」の部分の頭書きの部分は、基本的には環境基本法の考え方を引いておりまして、これがまず、持続可能な社会を目指すということの基本的な考え方であろうと言えようかと存じます。そして、丸がございまして、[1]、[2]、[3]とございます。では、その持続可能な社会というものを目指してまいるに当たって、環境とのかかわりをどういうふうに考えたらよいかということにつきまして、当然ながら物質的な、物理的な問題のかかわりというものがあるわけでございますけれども、これに加えまして環境等の問題、今日の問題を考えますと、[2]にございますような心の面でのかかわり、私たちもその一つの生物として、四季の環境の中で健康的な、快適な生き方というものを求めているわけでございます。また、その環境との生き生きとした関係というのは、我々の社会、あるいは文化、あるいは我々の肉体的、精神的生活といったようなものにかかわっておるという認識が重要ではないかと考えました。また、[3]番といたしまして、環境というものは、特に将来の世代の人々、それからまた、今日の問題を考えますと環境はつながっておりますので、世界の人々とのかかわりというものも持っておるということを踏まえる必要があろうかと存じます。
  そして、○でございますが、これは前回も少し考え方の芽のようなものでお諮りをさせていただいたところでございますが、私どもの目指すべき持続可能な社会というものをもう一回考えてみますと、人々の生活の基盤をなす環境を、健全で恵み豊かな状態に維持し、この豊かなかかわりを確保するということを通じまして、今日の多様化する国民の期待──どういったものか考えてみますと、物質的な面にとどまらず、精神的な面も含めました安心、豊かさ、快適な暮らし、あるいは歴史と誇りある文化、地域社会の結びつきといったようなものを世界にわたり、また将来世代にわたって約束するような世界というふうに考えるのがいいのではないかというふうに考えております。
  それから、漢数字の二といたしましては、次期の環境基本計画策定に向けての現状と課題といったようなものを整理をしております。
  この次の中項目の1番「踏まえるべき経済・社会の現状」と、2番「環境の現状」というのは、基本的に前回、論点といった格好でお諮りをさせていただきましたものと、余り大きくは変えておりません。世界の現状、日本の現状の中でそれぞれ着目しておくべきものを並べております。
  それから、算数字の中項目の2番が「環境の現状」でございますが、これは、温室効果ガスの状況、廃棄物の状況、自然の状況等、4つの丸で並べておりますが、このほか、本計画を策定いたします過程で踏まえておくべき環境上の問題について、本審議会の最初の方の回でもご説明をさせていただいたところでございますが、これら他の論点、ポイントにつきましても分析をしまして整理をしておきたいと存じております。
  それから、中項目の3番の方では、そういったファクツの方を踏まえまして、じゃ、これを解決すべき課題としてどうとらまえたらいいかといったようなポイントとして整理をしてございます。これも、前回の論点という格好で出しましたものと余り大きくは変えてございません。最初に、やはり特定少数の原因の課題、あるいは科学的知見のある課題というものについて改善が進んでいるわけでございますが、日常生活や一般的な事業活動に伴って発生する環境負荷の削減というものは、必ずしも進展をしていないということ。それから、近年の人々の生活、あるいは価値観の変化といったようなもの、それから、環境と経済の好循環の考え方、国民の参加、地方公共団体の取り組みと役割分担、あるいは環境との触れ合いの仕方、それから、不確実性を伴う問題の考え方、あるいは「負の遺産」といったようなもの、最後に国際的な取り組みといったようなものを掲げさせていただいております。そういったものをいわばまとめた格好で、これも前回の論点という格好でお諮りさせていただいた点でございますが、従来の基本計画、「循環」「共生」「参加」「国際的取組」の4点、これをいわば長期的目標と呼びまして掲げてきたわけでございます。これらの4つの課題につきましては、今後とも環境問題に取り組む理念としては、維持すべきものと考えてよいのではないかという案にしてございます。
  一方、その中身ということにつきましては、最近の環境問題の変化、あるいはこれまでの議論を加味いたしまして内容を整理いたしますと、次のような要素があるんではないか。これも基本的には、前回お諮りをさせていただいた項目、基本的にはそれに沿ったものでございます。
  続きまして、漢数字の三番のところから、今のフェーズで整理をいたしましたような持続可能な社会をつくり出すための考え方、いわば環境政策の展開の方向というものを整理をしております。これも実は5つの中項目から成っておりますが、この項目につきましては、前回の論点ということでご相談をさせていただいたものと同じでございます。前回、こう考えてはどうか、ここはどう考えるかというような格好でお諮りをいたしましたものに、先生方からちょうだいをいたしましたご指摘を踏まえまして、私どもなりに考え方をまとめたものでございます。
  第1が、環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上、この三者の統合というようなものが、一つ大きな課題としてあろうかと思います。経済と環境というふうな局面から見ますと、やはりこれまでのいわゆる大量生産、大量消費、大量廃棄といった社会から、資源消費なり環境負荷なりの単位当たりの付加価値の高い事業活動を行い、また、それを社会や消費者が評価するというような経済の姿に変えていくべきではないか。こういったことは、現在の不安定性を考えれば、我が国経済の持続性にも結びつくものではなかろうかというふうな案をつくってございます。
  そのための方法としては、環境効率性を高める、言いかえれば、環境性能にすぐれた技術・製品、あるいはそういったものをいち早くつくり出しまして、それによって新たな経済活動を生み出すというような形で、環境と経済の好循環を生み出していくということを目指すべきではないか。
  それから、じゃ、そういったものをつくり出していくという過程におきましては、環境というものは公共財という側面がございますので、これの環境への影響を市場経済の中で適切に評価をするという仕組みが必要でございます。その中で、汚染者負担の原則、あるいは拡大生産者責任の考え方といったようなもの、現行計画でも指摘がなされておりますが、踏まえてまいる必要があるというふうに考えております。
  さらに、6ページへまいりまして、後ろの方のポツでは、こういった環境負荷の削減、減少のための努力が評価されるような仕組みづくり、それから、あるいは消費者の意識というものが重要である。それから、そういったものをやってまいるためには、そういった物なりサービスなりを設計をする段階でのトータルでの取り組みが重要である。それから、まず環境への影響の大きい分野、あるいは削減効果が大きい分野を優先にいたしまして、また、社会全体の費用をなるべく少なくするようにという考え方があろうかと思います。あるいは、自然環境の面につきましても、エコツーリズムというものに代表されるような、自然保護と、あるいは産業という関係、こういったものの保持が必要ではないかといったような観点を挙げてございます。
  一方、2つ目の○でございますが、社会と環境という局面では、環境問題と、いわゆる社会的な問題というのは、いわゆるコミュニティーというものを通じて非常に強い関係があるんではないか。あるいは、環境保全活動と、いわゆる社会的責任というような社会的側面について、同一の制度や運動の中で向上させようという局面があるんではないか。こういったことを踏まえて、特にコミュニティーにおける持続可能な社会づくりというものを進めていくことが重要ではないかというふうに考えております。
  3番目の○で、これらを統合的に向上してまいる上で、ライフスタイルのようなものをどう考えるかということでございますけれども、これまでご紹介をしてまいりましたような、アメリカにおけるLOHASという考え方、あるいは、ヨーロッパのスローフードといったような考え方が出てまいっておりますし、こういったものも一つの考え方の参考になるのではないかといったようなことを述べてはいかがかと思っております。
  2番目のポイントは、国土、地域、自然といったものにつきましての環境面からの質の向上というものでございます。まず、自然環境の多様性の維持、それから「負の遺産」と言われるようなものを含めました質の回復・向上というのがポイントになるわけでございますが、持続可能な国土づくりという局面からは、既存のいろいろなストックにも着目をして、ストックとしての国土の価値を高めていく。環境面から見た価値を高めていくといったようなポイントが重要なのではないかということを述べております。あるいは、農林業、森林の持っております地域の国土環境を保全する機能、こういったものをどうやって評価して支えていくかということが重要であろうかと思っております。
  それから、大きな3番が、不確実性を踏まえた取り組みということでございます。
  ポイントとしましては、やはり最大限の科学的知見を踏まえた、その上で施策決定をどうするかということでございます。これも現行計画で述べられておりますような環境リスクというような考え方を踏まえて、できるだけ合理的な判断を行う必要があるわけでございますが、現時点で活用できる最高の科学的知見を得ていくということ、それから、その知見をもとに、将来世代ということも踏まえました施策の必要性、あるいは社会全体のコスト、こういったものをなるべく明らかにした施策決定ということが望まれるのではないかと思います。
  それから、一方で、こういった科学的知見というのは常に深化してまいるわけでございますし、一定の不確実性というものはあるわけでございますが、一方、非科学的な問題というものがあるわけでございますので、最大限の情報をもとにした予防的な方策を講じるという考え方。あるいは、その場合に当たりましての関係者、あるいは国民全体での合意づくり、そういったもの。そのための適切なコミュニケーション、あるいは、今後の新しい知見が出てまいった場合の柔軟な変更といったものが重要ではないかというふうに考えております。
  4番目が参加と協働でございます。この点も、前回までに論点ということでお諮りをさせていただいたものに多少の肉をつけたものでございます。
  まず、地方公共団体の自立、あるいは地方公共団体と国との関係といったようなものを踏まえる必要があるということがあります。それから、こういった広範な主体が参加した政策決定のプロセス、持続可能な社会づくりの観点から、こういった政策決定に当たりまして、国民、あるいは民間の各種組織が十分な参画をできるようにしていくための仕組みが必要である。そのためには、幅広い情報を示しつつ、どのような検討を経て、どのような政策決定がなされたかという説明責任というようなもの、あるいは行政と民間との間の適切なコミュニケーション、こういったものがポイントであろうかと述べております。
  5番目のポイントが国際的な取り組みというところでございまして、これも論点といたしましては、前回のお諮りをしたものに肉づけをしたものでございます。1つの論点が、持続可能な開発に資するような戦略的な国際協力を進めていくこと。これは現行計画でも視野に入っておったわけでございますが、加えて、国際的なルールづくりへの積極的な参画。それから、国際社会の中での枠組みでとらえての我が国における持続可能な社会へ向けての取り組みと、こういったものが重要であると考えておるところでございます。
  漢数字の四番におきまして、では、今度、こういった基本的な考え方に沿っての計画に折り込んでいく施策の枠組み、考え方といったようなものをどう考えていくかという部分でございます。
  まず、本計画でございますが、現行計画では21世紀初頭におけると、こういったふうになっておったわけでございますが、今回新しくつくります計画は、おおむね21世紀半ばぐらいを見通しながら、その半分ぐらい、2025年ごろにおける我が国の環境への観点から、望ましい社会を構築するための方法。それから、そのための当面というのは、5年か10年と、そういうスパンでございましょうが、具体的な政策を提示をするという枠組みで考えております。
  重点的な分野をどう考えるか。現行計画では、戦略プログラムという11項目のものをつくり出したわけでございますが、これも踏まえました重点的な分野ということを考えますと、まず、個別の分野。私どもは縦割りというふうに呼んでいるんですが、個別課題の枠組みに関しましては、温暖化、それから物質循環、それから都市における良好な大気環境、環境保全上健全な水循環、化学物質の環境リスク、生物多様性という、この6項目については、基本的に現行計画のものを維持をしてはどうかというふうに考えております。なお、現行計画では3番目が交通というふうになっていたわけでございますが、今日、例えばヒートアイランド等々も問題になってきているということを考えますと、こういった枠組みにするのがよろしいのではないかというご提案でございます。
  それから、横断的分野をどう考えるかということにつきましては、[7]からでございますが、一つは、環境と経済の好循環をつくり出していくための市場における仕組みづくり。これは、経済的インセンティブなどに加えまして、情報的手法と呼ばれているようなものも重要ではないか。こういったものを踏まえまして、企業が長期的な環境に関する投資、これを行うことができるという条件をつくっていくということではなかろうか。こういったものが一つポイントになるのではないだろうか。
  それから、8番目といたしまして、環境保全の人づくり・地域づくりという枠組みで考えてはどうであろうか。今日の状況を考えますと、人づくり、あるいは地域づくりというのは、かなり一体の部分があるんではないか。人づくりを進めていく場が地域づくりであり、人の力が発揮されるのが地域づくりの局面ではないだろうかというふうなことで、この2つを一体に考える。かつ、健全なコミュニティーそのものが環境面で非常に重要だと。地域社会の持続可能性を高めるものだと、重要と考えて対処していくということが重要ではないかというふうに考えております。
  それから、9番としまして、環境配慮を支えるための手法・情報・技術基盤ということで、一つは科学的知見の基盤となる調査研究、技術開発の充実・推進ということ。それから、継続的な情報収集、あるいは分析、さらに情報の共有といったことが大事ではないか。それから、不確実性の残る段階での政策決定における国民とのコミュニケーション、こういったものをまとめまして、一つのブロックとしていくのがいいのではないか。
  4番目に、10番の国際的枠組みということで、国際ルールの形成であるとか、特に東アジアを中心といたしましての、地域内のパートナーシップに基づく環境保全の取り組みの推進、枠組みづくり、あるいは政策対話と、こういったものを一つの固まりにしていくのがよいのではないだろうか。
  こういった以上のところを、まず、今後個別の課題の検討等を行っていくに当たりましての基本的な考え方にしてはどうかというふうに整理をいたした次第でございます。

○大塚委員 どうもありがとうございました。
  資料の2については、続けてご説明なさいますか。

○佐野環境計画課長 まず、資料1の基本的な考え方につきまして、ご指導賜れればと存じます。

○大塚委員 では、ご意見を伺いたいと思います。ご意見のある方は札を立てていただけると幸いでございます。
  では、私の左の方から順にお願いしたいと思いますけれども、高橋委員からよろしくお願いいたします。

○高橋委員 まず、もともと大塚委員の方からのご意見も出ているようですけれども、地方分権との関係で国の役割をどう果たしていくのかということは、ある程度、やはりきちんと書き込んだ方がいいのかなというふうに思います。ただ、モニタリングの話を具体的に書くと、いろいろとまた誤解を招きますので、分権の中でも、必要な国の役割を果たしていくというような記述は、この中に入ってもいいのかなというふうに私は思いました。
  それから、9ページなんですけれども、実はちょっと変わったところがあるみたいですが、4の2ポツの部分です。今度はちょっと逆の話を言いますが、2ポツの一番最後ですけれども、「問題によっては、日本全体にとって最適な選択となるよう、国単位で施策を考えることが求められるものがあり」、その後なんですが、「国が一定の基準作りや調整を行う必要がある場合もある」と、こうなっているんですが、これだけちょっと単純にやりますと、昔みたいに通達や指導みたいなもので自治体を縛るのかといったような、要らぬ誤解を受ける可能性がありますので、ここは、例えば技術的な指針や法令上認められた必要な関与を行っていくなどで必要な役割を果たすといったような書きぶりで、誤解のないようにされた方がいいのではないかと思いました。
  以上でございます。

○大塚委員 どうもありがとうございました。
  じゃ、まとめてお答えはいただくということにいたしましょうか。よろしいでしょうか。

○浅野委員 今の高橋委員のご発言に続くことになるかと思いますが、地方公共団体の役割が重要であるという、この部分について、それから、大塚委員から、国の役割もなお重要であるというご意見が出ているわけですが、この辺をどうするかというのが検討課題として大きな課題であろうと思います。
  できれば次回、資料として委員の皆様にごらんいただけるようにしたいと思っていますが、先週、全国市長会から環境政策に関する政策提言が出されました。その中で、環境基本計画を検討する上では参考にしていただけるのではないかと思われる部分があります。今回の全国市長会の政策提言は、従来型の要望・お願い型の提言ではありません。今、広域合併が進んでいますので、地方自治は市が中心になって担っているわけです。そして、「都市環境」と一言で言っても、現在の「市」は、いわゆる都会ばかりではありません。言ってみれば、現在の市は、日本の国土のかなりのエリアをカバーしているということになるわけです。そういうような状況の中で、市がどういう役割を果たすべきかということを考えているわけです。お願いではなくて、自分たちもこういうことをやるということを積極的に言っていかなきゃいけないという認識のもとでの提言でありまして、ただ、こういう部分は国がちゃんと動いてくださらないと、うまく動きませんといったようなことを、いろいろな課題ごとに丁寧に洗い出しているという提言でございます。
  ですから、先ほど高橋委員がご指摘になった点についても、こんな部分はやはり国がやらないとどうにもならないというようなことが、具体的な問題を取り上げて議論していこうとしている現場自治体にとっては十分にあり得るわけです。例えば、廃棄物の不法投棄問題に関して、これまではどちらかというと、法律の構造上、産業廃棄物は都道府県の事務である。だから、都道府県事務としての産業廃棄物の不法投棄は、都道府県がまずは責任を持って処理をし、警察とタイアップしてやりなさいということになっているわけですが、現実にはそれではうまくいっていないわけです。今回の改正で、ようやく保健所政令市に自動的に産廃の権限をおろすことをやめたということなどは、多少の改善であろうと思われますけれども、それにしても、産業廃棄物規制については、国は応援というだけですというようなあり方で本当にいいんだろうかという問題意識が現場にはあるわけです。こういうことは、積極的に国がちゃんとやるべきではないかといったことが指摘できますし、それから、温暖化対策などについて言えば、地方自治体が大胆な思い切って、例えば営業活動の自由にも踏み込むような施策を講じたいと考える場合にも、これにはどうしても憲法上の問題が出てきて、それが邪魔をするので、自治体は思うようにはできませんというようなことが起こるわけです。こういうところは、国がちゃんと政策としてはっきりとした方向を出していくということが必要ではないか。かつて公害防止が問題になった時代に、事業活動の自由ということが優先するのか、それとも公害による国民の健康を守ることが優先なのかというような議論がありましたが、その後方向がはっきりしてきたわけです。同じようなことは今後環境問題について、もっと別の観点から出てこなきゃいけないんではないか。どうしても営業の自由の方だけが前面に出ていきますと、例えば24時間営業をもう少しおとなしくしてくれといったようなことを、幾ら自治体で言ってみても通用しないということが起こってしまうわけです。このように、国がやらなきゃいけないことというのは、そういうふうにかなりはっきりしているわけです。他方、自治体に自由にゆだねるべきことというのは、やはりこういうものはこうだということが出てくるわけですから、これは素案の中でもかなり意識して書いてくださってはいますが、まだまだ中身を詰めていく段階では細かく議論しなきゃいけないんではないかと思うわけであります。
  重点項目については、ぜひまだ解決していない問題をさらに引き続いてやるという意味で、かねてから申し上げておりますように、11ページ、12ページにありますような、[1]から[6]までの項目を引き続き取り上げていかなきゃいけないということについては賛成でございますし、項目によっては少し内容の模様がえが必要だということを申し上げましたが、それをお考えいただいて、[3]のところは少し表現を広げていただいたということも、大変結構なことであろうと思います。
  横断的分野でありますが、この横断的分野に関しては、第二次計画に4つあったので、また4つということは芸がないという気もいたしますが、しかし、整理していけばこういうことになるのかなという気もしますし、かなり従来とは観点が違う整理が示されておりますから、これも一つの整理としてあり得る考え方だろうと思います。ただ、この中で[7]は非常に抽象的で、従来の社会システムと書いたものの表現を変えてはいるんですが、じゃ、これで一体何を具体的に戦略的なプログラムとして取り上げていくのかというのが少々気になります。他の委員からも同じようなご意見があるかもしれませんが、この横断的分野の一番大事な点は、それが[1]から[6]までの項目に、うまくくし刺しの方で入り込むような構造にしておかないといけないということです。横断的と言いながら、横断的分野がまた縦割りになってしまうということでは意味がないわけです。もちろん、国際的というようなもののように、ちょっとなかなかくし刺しにしづらいものがあるにはあるんですが、この点については、ぜひ今後の検討で我々が留意をしていかなければならないことだと思います。
  国際的取り組みの強化が10ページ、11ページにございまして、それを受ける形で13ページに国際的枠組み構築というのが出ております。これにつきましては、大変申しわけないんですが、地球環境部会で現在、大臣の諮問を受けて国際協力のあり方について審議をしておりまして、今月中には最終的な取りまとめをいたします。そこでやっている議論を大体よく把握して書いてくださっておりますけれども、答申とのそごがないように、調整をしていただきたい。特に現在、従来型のODAを中心にとか、援助を中心にというようなあり方が大変厳しく批判されておりますし、それから、この分野でも、極めて多くのNPOが現場に出ていって、かなりいい働きをしておられる。あるいは、企業も、別に海外に行って悪いことばかりやっているということはあり得ないわけで、国際的な協力という意味では、企業活動も相当いい働きをしておられるということを我々も認識しておりまして、そういうような主体とのパートナーシップをもっとはっきりさせていくべきだろう。つまり、国が上にいて、適当に手足でみんなを使うという形の国際協力は、もうとても今後もたないであろうということを認識しながら議論を進めておりますので、その辺のところが、この取りまとめでは弱いという気がいたします。今後、報告書をまとめ、答申が出てまいりましたら、それを受けていただければと思いますし、もしこの部分について、この段階で、この部会でのご意見を積極的に伺うことができましたら、まだ取りまとめまでに2週間程度の時間の余裕がございますので、可能なものは受け入れて、その中にとり入れさせていただきたいと思います。

○大塚委員 鈴木先生がお見えになりましたので、ここで議事の座長を本来の鈴木先生に引き継がせていただきます。

○鈴木部会長 すみません。遅くなりまして失礼いたしました。
  それでは、議事を継続させていただきたいと思います。

○天野委員 今、浅野委員がお触れになった横断的分野につきまして、私も7番と、それから9番について少しご意見申し上げます。
  どちらも大変抽象的な表現であって、この横断的分野、あるいは情報技術基盤の整備ということが、具体的に重点項目についてどういうふうに行われるのかということが、ほとんど見えない。これは今回だけではなくて、現行の環境基本計画でもそういう扱いになっていると私は思います。ですから、今回は、やはり過去にそういうふうになっていたということを直すためにも、この4番の特に7番、どういう政策手法を、どういう分野でどういうふうに使うかというのは、そのすぐ前にあります3番の個別的分野ですね。重点的に取り組むべき分野、6つありますけれども、それぞれについてこういった手法がどう使われるのかどうかということを具体的に検討するということを、きちんとお書きいただければというふうに思います。
  とりわけ、現基本計画には非常に数多くの手法が羅列をしてありますが、これは何か環境政策の教科書を書いているような感じでして、なるほどと思って見るんですけれども、具体的にどれも余り、どう適用されたかがわからないということであります。学生に説明するにはいいんですけれども、国の政策としては非常に不適当であると思いますので、とりわけ経済的手法と情報的手法が、この6つの個別的分野でどう使われるのかということを、これから検討するということを入れていただければと思います。
  同様なことが9番で、特に私は、ここで情報基盤の整備という点を以前から申し上げておりますけれども、確かに今回の中間とりまとめでは、あちこちに情報を収集して分析をして評価をして共有することが重要であるということを書き込んでいただいております。その点は私は高く評価するんですが、どういう情報を集めるのか、どうやって収集、分析をするのかということが、どうもよく見えません。それは、先ほどの手法の場合と全く同様でありまして、私は、むしろ漢数字の三番「今後の環境政策の展開の方向」という、これをサポートするといいますか、その展開をするに当たって必要な情報の分析手法、それから評価・共有ということをするんだということを、この[9]で書いていただければと思います。5つの論点がありますけれども、それぞれについて必要な情報の収集、分析、評価、共有という点についてお触れいただくことが適当ではないかと思います。そうでないと、やはりここも教科書になってしまいますので、よろしくお願いしたいと思います。

○川上委員 前回、ちょっと出られなかったんですけれども、議事録を拝見しておりまして、森嶌先生や、それから、それをフォローした形で部会長からもご発言があった。大変興味深い議論だと思ったんですが、21世紀の今後を踏まえまして、いわゆる社会のパラダイムシフトの必要性といったようなことを、ダイナミックな形でメッセージとして送る必要があるんではないかという論点があったと思いますけれども、私、全面的に賛成でございます。基本的に、やはり環境基本計画というものを、インパクトを与えた形で国民に提示するということでなければ意味がないわけで、書き込む項目というのは、もちろん日本の国内ではライフスタイルの変更だとか、脱物質化だとか、今後の国内の社会資本整備の方向性をどう変えていくかといったようないろいろな論点があると思います。素案にももちろん出てきてはいるわけですが、こういうのをできるだけめり張りのきいた形で提示していくということで、我々は努力していくべきではないかというふうに、総論的にまず感ずるわけでございます。
  それから、各論としまして、先ほど浅野先生から、地球環境部会で今、国際協力の話をしているので、それを踏まえて議論せよというお達しがありましたので、私が言おうとしたことは、大部分それでそがれちゃったんですけれども、にもかかわらず、まだ時間があるからというお話もありましたので、若干言わせていただきます。
  まず、国際協力の前提としての現状分析のところあたりも、もうちょっとめり張りのきいた形で書けるんではないか。地球温暖化の問題の深刻さだとか、アジアの爆発的な経済力の伸び、発展に伴う環境負荷の飛躍的な増大といったようなことを、やはりメッセージとして国民にきちんと提示するということで、我々の住んでいる日本だけじゃなくて、アジアや世界が持続可能な社会であるために、我々として何をなすべきかといった視点を、もうちょっと色濃く反映させる努力が必要なんではないかなという感想でございます。
  ご承知のように、2002年に持続可能な開発のためのWSSDという国際サミットが開かれたわけです。これはリオの環境サミットの10年後に開かれたわけですが、環境という言葉ではなくて、むしろ開発という言葉で置きかえてサミットを開いたということにもあらわれておりますけれども、今、人類にとって、途上国問題を取り残した形での環境問題の解決というのはあり得ないということが明確に示されているのではないか。途上国では、貧困、技術のおくれといったような環境に対応できない。そこで国際的な協力、取り組みが必要であるという理屈になっていくんじゃないかと思うんですね。特にアジアにおいては、先ほど言いましたようなすさまじい経済発展を遂げている隣国・中国、それからインドというようなことで、強力な国際協力なしには、温暖化だけじゃなくて、種々の環境負荷というものが日本にも大きな影響が出てくる。そういった現状での危機意識、こういうものを、もうちょっとめり張りのきいた現状分析というものを行った上で施策につなげていく。これは13ページ以降、あるいは10ページあたりにもつながっていくのかもしれませんが、ではないかと私は思います。そこでの何をやるべきかということのメッセージの中心というのは、やはりG8の一員であって、世界に冠たる環境技術を持った日本が強いリーダーシップを発揮していくべきだということで、世界に向かってさまざまな発信を行うべきであるといったようなことも盛り込んだらどうか。特に、それは当然のことながら、これは紙にも出てきますけれども、アジアにおいてのリーダーシップ、国際協力を積極的に推進するということにつながるわけですが、その前提として、もうちょっと世界の中で我々が果たすべき役割といったようなことにもつなげていく書き方をすべきではないかと思います。
  それから、そのためには、もちろん資金や技術の移転といったようなことが必要なわけで、ODAだけの世の中ではない。先ほどご紹介がありましたが、私も長年ODAをやっていて、まさに世の中が大分大きく変わってきて、そういうことだけではとても処理できない、総合力が必要な世界になってきたなという感想を持っております。しかし、やはりCDMといったような問題も含めて、日本の技術を使っていくということは、今後非常に必要になってくるということがあるわけですから、その辺を頭に踏まえた上で書き込むべきじゃないかというふうに私は思います。

○久保田委員 2つです。
  第1点のグローバルな視野でと、それから、環境と経済と社会的側面の統合というような切り口での問題意識は、今、川上先生が言われたのとほぼ同様の認識を持っています。労働組合という立場で、グローバリズムの持っている光と影の側面というのを非常に世界的に、先進国も発展途上国も悩みつつ、今までとは違う仕組みをつくらなければいけないんじゃないかというような意味合いでさまざまにやっておりますが、やはり貧困とか雇用とか、とりわけ発展途上国のエイズの問題や、それは戦争の問題に結びついたりしていますが、そういうことと同時に、この地球環境への負荷を少なくしていくということは、並大抵のことではないという認識も必要だろうというふうに思います。日本国内での、あるいは先進国の中だけでの経済と環境との統合ということだけではない、社会的な視野でやらなければならない。そうすると、もう一つ難しさの軸が出てくるのですが、それをどうやって乗り越えていくのかということに、今、大変重要な岐路に差しかかっているんじゃないかというふうに思います。それが1点です。
  2つ目には、どこに項目があるのかちょっとあれですが、文章的に言えば、6ページの上から2つ目のポツの新しい仕組みづくりや消費者の意識改革のための取り組みというような項目、あるいは、7ページの丸で囲んでいますが、新しいライフスタイルの項目等々につきまして一言申し上げたいと思います。
  一番最初の1ページに、物の面と心の面というふうに書いていますが、確かに物と心ということもあるんですが、いきなり心とか、ここで言っているような生物としての本来のというような部分もあると思うんですが、ちょっと切り口を変えますと、もう少し、例えばシステムだとか社会のあり方だとか、今まで常識としていた成り立ちとか消費者意識だとかいうことについて、どういうメスの入れ方をするのかということが、もう少し見えるような形でやっていく必要があるんじゃないかという問題意識でございます。部分最適が全体最適になっていないという仕組みの中に、さまざまなことがあると思います。これまで積み上げてきた大量生産型仕組みの中で、先ほど浅野先生からも言われましたが、24時間営業とか、あるいは在庫ゼロということの中で、3回配送というような仕組みが、それぞれの企業としてのコストの最適化というような観点では、それでずっと進んできたんですが、本当にそれでいいのか。もう一度大きい仕掛けで見直してみるというのは、これは国が旗を振っただけでもあれですし、産業界の小さなところでやってもだめですし、労使でも個別企業でやっても絶対だめでして、やはりトータルの業界なりトータルの問題として、一体どうしていくんだと。結局、熾烈な企業間競争を価格を中心にやって、労働条件の切り下げ競争をやりながら、あるいは中国とも戦えるようなみたいなところの行き着く先では、とても出てこない世界ではないかというふうに思います。
  ただ、そのときに消費者自身も意識を変えていく。曲がったキュウリの問題とか、何か泥のついたあれだとか等もありますが、どうもなれてしまって、もう一度原点に戻って、自然とともに生きていくということだったら、これで当たり前じゃないかとか、消費者システムの無限の欲望は、日曜日だったら「月曜日できることは、もう日曜日はやめておこう。ここで働く人もいるんだから」というぐらいの、消費者の方も、何か「お客様は神様です」というところから、もうちょっとバランスを持った社会の成り立ちということをそれぞれ考えてみよう。結局、だれが悪いということと同時に、自分たちも何を変えるかということを含めて、それを単なる心の問題ということにすぐ帰着してしまうと、何か拡散してしまいますので、社会の仕組みの問題として、いわゆるソフトウエアといいますか、ハードだけではなくてソフトウエア的な部分として、これはやりようによっては相当課題としてはあるんじゃないかというふうに思いますが、そういう部分について、思い切って何か踏み込むような方向性というのが出せないのかなというふうに思っております。
  以上です。

○善養寺委員 前回、議事録を読んできまして、幾つか私から意見があります。建築士ですので、都市環境の件について先に言わせていただきたいと思います。
  今回もちょっと出てきておりますが、都市における良好な大気環境の確保に関する取り組みです。多分これは交通のことから大気の問題で出てきていると思うんですが、単純に大気環境のみに限定しないで、もっと踏み込んで、都市における良好な環境確保に関する取り組みというのを掲げるべきではないかと思います。議事録の中で前回、CO2の濃度が450ppmなのか、550ppmなのかという議論が何か出ていましたが、環境教育のワークショップで計ると、都市でのCO2の濃度は、現状としまして550から600あります。都市部でのCO2の濃度が高いことが、地域環境というかヒートアイランドも含めて、地域気候の変化をもたらしていると思うんですね。それは、大気中のCO2濃度の問題だけではなく、そういう地域気候ができてしまったことから、クーラーを大量に使用したりなど、建物自身が外部と切り離された形の建築になってきてしまったという現状もあります。現在、利便性から道路だとか街のあり方が計画されているので、環境に配慮した都市計画というものを、早目に出さないと、どんどん都市化が進んで、同じような状態のまま都市がつくられ、土地の単価が上がった後では、いざそれを環境のよい形にしようとすると費用対効果の話ばかり出て、とてつもない金額でできないということになってしまいます。ですから、都市開発がどんどん進んでいますので、早急に環境の視点から見た都市開発というものがどうあるべきかを打ち立てていく必要があります。地方の郊外、緑の多い地域のこれからの目標とするものと、都市は別立てで、こうあるべきというような項目を設けていかないと、人間が住んでいる割合が多いですし、エネルギーを消費している割合も大変に多いので、そういう点では重点的な部分として取り上げるべきではないかと思います。
  次に、国際的な話と、産業の、環境と経済の好循環の話ですが、木材に関しては、日本では、大量に違法伐採された材料が安価な価格でホームセンターなどに出回っています。それは本来違法伐採ですから、NGOなどはいけないことだと訴えておりますが、なかなか輸入規制ができない。そして、入ってしまったら最後、野放し状態になっている。こういう物の取り締まりをを徹底的にやらないと、片や、日本の林業の足を引っ張るようなことになっています。国際的な問題として、両方の問題を踏まえてやること。それは動物の輸入も同じだと思います。入ってしまえば何もとらえどころがなくなってしまったり、国内で育てれば良いではなくて、やはりその地域にある動物が日本の風土を乱すのであれば、そういう動物は、ここで育ったにしても、いずれはそれを規制して、なくしていくような法律をつくらなければ、生物の問題はどんどん広がっていくと思います。
  そして、行政責任。廃棄物の問題を先ほど先生方もおっしゃられましたが、わかっていて注意を促したけれども、完全なる徹底した指導ができなかった場合、やはり行政側には連帯責任があると思います。地方行政の中で責任を持たせて、それを国が受けとめて、やはり早期に、環境汚染につながるような廃棄物の不法投棄など、徹底的に、短い時間で余り広がらないうちにできるような法律の整備とか社会制度をつくるべきだと思います。
  あとはライフスタイルの見直しです。生活のスタイルもそうなんですが、職業の多様化が求められると思うんですね。あらゆる産業の中で、すべてが大きく、大企業だけが動けばいいというわけではなくて、小さな企業──それが零細であったり、すき間産業であったり、そういう人たちが活躍できる、経済的にも恵まれる、そういう制度も必要です。何よりもプライドの持てる状況をつくるべきではないかと思います。日本は、なかなかホワイトカラーとブルーカラーのように、何か肉体労働者に対する職業差別意識みたいなものがどこかにあります。いろいろな意味でマイスター制度みたいなものを入れて、その職業に誇りが持てるような社会のスタイルを作っていってもいいのではないか。
  そして情報の話です。確かに行政の中で、情報の目的外使用が困ると再三言われますが、今、国が持っている情報を発信していこうというような動きがあります。環境教育推進法の基本方針中でも謳っているように、情報を共有することが絶対に必要だと思います。その中で目的外使用を規制で押さえる形で、環境情報共有の原則を入れたらと思います。同じ環境教育をやっている。文科省と環境省と、お互い同じ事業を同じような形でやっているのに、その情報の共有が認められないがために、同じことを二本立てでやっていかなきゃいけない。これは税金のむだ使いだと思いますので、情報共有の原則というようなことを入れていただきたいと思いますし、官庁の情報を、それぞれのところで持っているのではなくて、どこか大きな情報センター的なもの、そろそろ、情報庁みたいなものができてもいいんじゃないか。もうそれだけのIT時代になっていますので、そういうところにまとめて、環境情報がいろいろなセクション、いろいろな官庁から出してきたもので共通できるようなものは、一つそこでデータベース化して、みんなで共有できるような形につくっていくということも、今後あるんではないかと思います。
  そして、2025年というビジョンの目的で何をするかというところでは、過去の25年を考えても、一気にいろいろ変化しておりますし、50年を考えれば、もう全然違う世界ではないかというほど変わります。今できることは何なのかということも確かに大事ですが、2025年をどこまでどれだけ変えていくかという、理想論でも構わないので、かなり大きなビジョンを打ち立てて目標としないと、なかなかやはりそこへ進めないんじゃないか。だから、その目標が、8割達成でもかなりのレベルというような形の目標を掲げた方がいいんではないかと思います。
  以上です。ありがとうございました。

○武田委員 私は、最後の10番の国際的取り組みのところにつきまして申し上げたいと思います。
  先ほど川上委員からもお話がございましたが、全体の総論は幅広い議論をしなきゃいけないわけでございますけれども、その時その時に応じためり張りといいますか、ポイント、ウエートづけというのはあってもいいと思うんですね。現在においては、この10番、これは行数が少ないからといって申し上げているわけじゃないんですが、もっとここの中身を充実して、ウエートをつけるということをぜひお願いを申し上げたいと思います。お話がございましたように、地理的に東アジア圏というのは相互依存があるというのは、これは論をまたないわけでございますし、また、前半の方のご説明にございましたように、人口問題についても経済成長についても、環境問題についても、アジア、特に東アジアの部分というのは非常に焦点が当たっているというか、注目を浴びているわけですね。ここについて我々が何をするのかというのは非常に大事なことだし、また、日本自体にとっても、京都議定書が発効して、今度は京都メカニズムというものを活用する。その中でCDMをどのように位置づけていくのかということを現実の問題として考えなきゃいかんところに来ているわけだと思いますね。このCDMを進めていくについてはいろいろな問題があるわけで、これについて国として、基盤整備とかプロジェクトの案件形成について何をしなきゃいけないかということを、きちんと明確にする必要があるんではないかというふうに思います。
  それからもう一点、若干はみ出すかもしれませんが、ここに「公正な国際ルール」という表現がございますので申し上げます。現在、ちょうどポスト京都の問題が議論されておるわけでございまして、現在の京都議定書の問題点というのは明らかなわけで、米国ないしは発展途上国をどのように取り込んでいくのかということが非常に大きな課題になっているわけですね。ところが、現在の見通しにおいては、国別総量規制というものについては、米国も途上国も乗ってくる見込みが今のところないわけです。であれば、どのような基準を考えていくのかということを、日本の国益に合ったような格好で、かつ全地球的に効果のある方法、技術的な革新、基準、そういうものを追求していくのかもしれませんし、その辺の議論を、やはり国としては今、非常に責任が重大だし、大事なことだと思いますので、ぜひ含んでいただければと思います。
  以上でございます。

○田中委員 ありがとうございます。参加と協働の関係で3点申し上げたいと思います。
  この資料の9ページでございますが、ここに参加と協働の促進、それから役割分担という項がございます。私自身は、全体的にいい流れになっていて、よく整理されていると思うんですが、この9ページの下段、2つ目の丸に、広範な主体が参加した施策決定プロセスと書いてあります。私は、一つお願いしたいのは、この見出しの、やはり政策決定プロセスだけではなくて、政策のさまざまな実施プロセスであったり評価プロセスにも、広範な主体が参加した方がいいのではないかというふうに思います。そこで、実は内容を見てみますと、政策決定プロセス以外の、例えば実施の段階である、あるいは具体的な行動の段階、そういうところにも参加が必要であるという主旨のことが書いてありますので、ここのところについては、政策決定に限らないで、広範な主体が参加した政策プロセスといったように整理していただいた方がいいのではないかなと思います。その上で、全体に主語といいますか、行政は何をするのかということ。特に政府ということになるかと思いますが、政府は何をするのかという観点を記述していただいた方がいいのかなというように思います。これが1つ目です。
  それから、2つ目は具体的なプログラムの関係でございまして、12ページ、13ページでございます。
  12ページに、[8]の「環境保全の人づくり・地域づくりの推進」ということが書いてありまして、なるほど、こういうものだというふうに思うわけですが、この人づくりや地域づくりというのが、やや概念的で、中身が少し伝わってこないという印象を持ちました。この人づくりというのは、恐らく私が考えるところ、例えば環境に配慮する意識啓発であるとか、あるいは環境に配慮した行動であるとか、あるいは人材づくりといったことがテーマになるかと思いますが、そうした人づくりの具体的内容も、少しこの中に盛り込んではどうかということ、これが一つです。
  それから、もう一つは、他方で地域づくりということがございまして、ここでは地域コミュニティーというのがキーワードになっておりますが、どうもこの地域コミュニティー、内容を見てみますと、自治体レベルのことよりは、もう少し小さなレベルで、非常に地域に近いところでの地域コミュニティーということをキーワードに使っています。そこで関係して、ここで私が気になりますのは、一つは地域コミュニティーの再生という表現が再三出てくるわけですが、むしろ再生ということもありますし、それから、創出ということもあろうかと思いますので、こうした表現も、コミュニティーの創出、あるいは再生という使い方はどうかな。それから、あわせて、コミュニティーという考え方に少しなじまない、例えば流域の環境保全の活動のようなものが、これはどちらかというと、上流から中流、下流に至るまで一体的に取り組むような流域環境保全活動であったり、あるいは里山の保全活動のようなものが広がってきております。そうすると、このコミュニティーという概念は少しなじまないと思いますので、そこらあたりも表現上工夫していただいたらどうかなということです。これが12ページの関係です。
  それから、13ページ、再三出ております[9]番のところでございまして、環境配慮を支える手法・情報等の基盤の整備というところです。これは、今までの各委員からも出ておりますように、情報のストック、そしてその活用が大事だということは、これはこのとおりだと思いますが、もう一つ、1つ目のポツのところでしょうか。「環境保全を目的とする行政はもちろん、環境に影響があると認められる施策を策定し、及び実施する際に環境配慮を行う際にも」という、こういう表現なんですが、この結びが「施策の検討を行う必要がある」と、このようになっております。むしろ施策の検討を行う必要があるから、もう少し踏み込んで、やはり施策のいわば意思決定の環境配慮の統合といいますか、政策決定に当たって環境配慮を盛り込んでいくという、施策の検討と思わないで環境配慮を盛り込む、こういう方向を打ち出していくことが必要ではないかなと思います。たしか本文のどこかにもそのような表現がありましたけれども、やはり環境配慮を支える手法ということでいけば、そういう考え方が必要ではないかと思います。
  以上3つが主な意見でございまして、あと、これはむしろ質問ということになりますが、具体的にどういう内容かというのを教えていただきたいんです。
  例えば6ページでございますが、6ページの下から十二、三行あたり、下から黒ポツの2つ目です。環境に関わる新たな取り組みを国内の各主体が自主的に進めていくための参考ガイドラインや標準づくりを国内で積極的に推進する。これを世界じゅうに広めていくということを書いてありまして、なるほど、こういうものをつくる、またそれを広めていくことは大事かなと思うんですが、内容が少しわかりにくいです。「参考ガイドラインや標準づくり」、これは一体どういう中身を想定しているのか、ちょっとご説明いただければと思います。
  以上です。

○鈴木部会長 ご質問は、また後ほどまとめて……。

○永里委員 ありがとうございます。私は、12ページの横断的分野について2点ほど意見を言いたいと思います。[7]の「市場等において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」というのと、[10]の戦略的な国際的取り組み等についての施策の推進についてお話しします。
  まず、[7]の「市場等において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」ですが、ここに書いてあるのは、最初の方のパラグラフが、国がそういうことに関してインフラを整備するようなことだろうと思います。具体的には書いてはないわけですけれども、そういうことだろうと思います。
  そして次のパラグラフですが、「各企業が20年後にも持続的であるため、長期的な視点を持った環境保全への投資を行うことができる環境を創っていくことが望まれる。また、現在行った長期的視点に立った投資や努力が将来評価されるような仕組みづくりも検討すべきである」と、こう書いてありますけれども、実は、ノースカロライナ大学のスチュアート・ハートという先生が、ハーバード・ビジネス・レビュー・ブックスの2001年1月号に経営戦略論を書いておりまして、その中に、まさしくそのことについてポートフォリオを示しておりまして、21世紀に生き残る企業というのは、環境問題を先取りする企業でないとだめなんですよということも理論的に展開しております。私が言いたいのは、現実の方が進んでおりまして、各企業がこれをやっているわけで、したがって、政府が後から追いかけて──例えば、よくIT関連で、法律の方が後から出てくるんですけれども、そのような感じがちょっとしますねという感じですね。トヨタでもどこでも、先進企業ってみんなこういうことを考えていまして、これこそが飯の種なので、このことについて、後から追いかけると言ったら、ちょっと語弊があるかもしれませんが、各企業がこれをやっているというときに、どういう方向でこれをまとめていこうとなさるのか、後追いになると思います。
  それから、10番目の戦略的な国際的取り組みについてですけれども、これは7ページの環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的向上のところで、LOHASとかスローフードが出ております。まさしく先進国のあり方というのはこういうことだろうと思うんですが、これは、先進国は途上国に対して、こういう生活をまた強いるんだろうかということですね。先進国はこうなければならないんですが、途上国についてはどう考えるのか。それは国の援助であったり、あるいは企業の援助だったりいろいろな仕組みが考えられますが、どうやって途上国の環境問題に関与していくのかという問題で、この13ページの[10]ですけれども、国際戦略ということが非常に重要になってくるわけです。中国に対しては、もう爆食の中国というか、食料問題が出てきます。それから環境問題がたくさん出てまいりますし、そういう点では、非常に戦略的に攻めていかないといけない。そこで私は考えるんですが、エネルギーという切り口でいくことによって、戦略的に中国とそういう対話ができるのではないかというふうに思います。
  以上です。

○中野委員 ありがとうございます。私は、国民や地域の消費者の視点から申し上げます。
  全体的にこれはうまくまとまって、大変うれしく思いました。その中でも、12ページの8は、人づくり、地域づくりに取り組んでいる私たちから見ますと、簡単な言葉で国民に問いかけて、国民が身近な生活の中で環境を考え、前向きに実行をどうしたらいいかということを考える文章で、大変いいと思いました。
  それと、5ページの三番の丸ポツの2つ目の「世界レベルでは」というところの、「エネルギーや資源の消費も増加する圧力が高まる一方で」と、このように書いていただいておりますが、圧力が高まるということは私にはちょっと理解しかねますので、また教えていただけたらなと思います。よろしくお願いします。

○中村委員 中村でございます。
  1つお願いがございます。9ページで、4の「参加と協働の促進と役割分担」という項目なんですけれども、もう環境保全が大切だということは、国民だれもが大分認識をしておりまして、一番大切なのは、一人一人の国民が自分のできることを、どのようなことからそれを行動に移すかということを今求められていると思うんですね。そのときに、一番やはり欠けているのが、じゃ、やってみたい、行動したいんだけれども、それをどこに聞けば環境ワンストップセンターになっているのか。多分こういった環境の対策は、今後地方自治体、公共団体の方に中心が向いていくと思うんですけれども、その公共団体の中で、そういう一つのワンストップ窓口をぜひつくっていただきたいというふうに思います。
  というのは、例えば私ども、保育とか、そういう仕事をしている中で、全国に2万2,300カ所の保育園がある。それから、幼稚園は1万5,000カ所もある。こういったところが戦後60年をかけて、今、だんだん建物が古くなってまいりまして建てかえの時期に来ております。そういった中で私どもは、建てかえるときに、ぜひ省エネ、環境に優しい建物をつくっていきたいという気持ちがございまして、それを実際にやっていこうと思ったときに、どういう建物をつくると、それが税金の控除になっているのとか、補助金が出てくるのとか、あるいは最新のそういう情報ですね。省エネ、あるいはそういったことの情報が、あちこちにやはりたらい回しをされてしまう。これは別に環境省だけではなくて、日本の役所の縦割り行政のまずいところなんですが、ぜひこの環境問題はワンストップの窓口をつくっていただいて、一人の国民がそこに電話をすれば、あるいはインターネットでメールを送れば、いろいろなところのデータベース化が──先ほど善養寺さんがおっしゃったように、一つのいろいろなことの環境に関するデータベースをまとめておいていただいて、そこから発信していただけるというような状況を、ぜひ環境整備をお願いしたいというふうに考えております。
  以上です。

○馬場委員 ありがとうございます。
  1つは、先ほど川上委員もおっしゃいましたし、また、前回私は欠席しましたけれども、議事録を見ますと森嶌先生とか渡辺委員もおっしゃっていますが、やはり全体の考え方のパラダイムの転換といいますか、それがどこへ行くかという問題だと思うんです。読みますと、いろいろなところに散りばめられていますし、特に5ページ以降の漢数字の三のところでは、そういう考え方が大分出ているんですけれども、恐らくこれは、三の1のところで環境面と経済面、社会面の統合的な向上という題の後の丸が、まず経済という話に入っちゃっているので、むしろそこは、7ページの環境面、経済面、社会面の統合的向上──内容はこれでいいというわけじゃないんですけれども、この統合の話としてパラダイム転換の話をバンと出していただいて、それから経済との関係、社会との関係というふうに整理していただいた方がいいんじゃないかなという感じを持っております。それが1点です。
  それから、2つ目は、現状のところの最後の方に農用地の減少みたいな話が出ていまして、都市への人口の集中と地方での人口減少が進んでいるという……。これは恐らくその後に、コミュニティーの再生であるとか、あるいは、これは8ページの上の方の農林業を初めとする第一次産業の活動等に結びつく話だと思うんですが、そうであるとすれば、8ページの上の方で、農林業を初めとする第一次産業の活動及び森林がというふうに言っているんですが、恐らくここで森林だけじゃなくて、農用地や森林の維持という、やはり人の営みとしての活動があって、初めて地域の国土環境を保全するというふうになっていくんだろうと思うんですね。土地や森林があればそれでいいというんじゃなくて、やはりそれを維持していくということを言って、それがまた6ページのところの下の方のコミュニティーの再生とか、持続可能な地域づくりとかというふうにつながるという、そういう文脈になるんじゃないかと思うので、その辺をもう少し明確にしていただいた方がいいんではないかというのが2点目でございます。
  それから、3つ目は、9ページの中ほどから下のところにありますが、地方自治体との国との役割分担のところで、ここはただし書きで、地方自治体が実施する事業についても、何か国が一定の基準や調整を行う必要がある場合もあるというふうに書いてあります。本当は、この問題は、まず国は何をするか、地方自治体が何をするかというのがはっきりあった上で「ただし」となるんですが、国のところがはっきり読めないんですね。先ほどお話がありましたけれども、例えば流域の環境保全みたいなやつは、地方自治体じゃとてもできないという問題がございます。関東平野で言えば、利根川の上流域と下流域と、利害がいろいろ調整が難しかったりして基準がつくりにくい問題とか、いろいろございますので、国はそういう地方自治体の区域を超えた、領域を超えた問題についてやるんだということをはっきり打ち出した上で、地方自治体は自立してやって、かつ地方自治体、特に日本全体との問題が矛盾するといいますか、必ずしも統一できないところについては国がどうするという、そういうふうに書かないと、何かここでは、国が何をするかというのは、どうも明確でないという感じがしますので、少し工夫していただきたいと思います。
  以上です。

○速水委員 ありがとうございます。
  最初の1ページと2ページの[1]と[3]の文章のところがちょっと気になりまして、それぞれ最後のまとめが、例えば[1]の方は「どこかの地域やどこかの世代で我々の生活に大きな悪影響が発生し、生活や社会、経済を不安定なものとするおそれがある」。これは物の面から見た最後のまとめがこういうふうになっています。[3]のところも、これは世代間だとか、あるいは地域間の問題を書いていると思うんですけれども、「様々な地域の環境と無縁ではない。世代や地域の異なる人々を思いやり、悪影響を及ぼすことがないよう努めていくことが、不可欠である」。こちら側は、どうすべきかということが書いてあるんですけれども、特に[1]の方は、物から見た環境と我々のかかわりと書いたときに、どうも最後の3行は、せっかく入れるんだったら[3]とはちょっと違う扱い方を、物ですから何かできないのかなというふうな気がいたします。
  もう一点は、先ほど田中委員でしたか、6ページのところに「環境に関わる新たな取り組みを国内の各主体が自主的に進めていくための参考ガイドラインや標準づくり」というふうにちょっと書いてあるんですけれども、そういうとらえ方と絡んで、9、10の「参加と協働の促進と役割分担」のところなんかにも、例えば国際的なNGOだとかNPOが、いろいろな原則だとか基準をつくって、いろいろなものを評価したりとかやっている組織が結構あるわけですね。ヨーロッパの政府なんかですと、かなり民間の活動のやっている基準だとか原則なんかを政府が評価をして、この基準は使えますよとか、そういうふうに上手に利用しているような感じがあるんですね。日本はまだ、ISO9000ぐらいはかなり利用しているところが多いと思うんですけれども、何か今後、もう少しそういうものを役割分担の中でうまく使っていくというところが書けないかなと思います。特に地方自治体あたりは、下におりていけばおりていくほど専門家が少なくなっていく。例えば、私に関係している森林問題なんかでも、市町村のレベルへ行くと、森林の問題はわかっていても、森林の問題をどう解決をしていこうかという知識はなかなか持ち得ないわけですね。そういう場合に、国際的な基準だとか、そういうものを適用させながら、自分たちの地域の森林を評価していくなり改善をしていくというのは、かなり利用価値のあるものだろうというふうに思うわけです。ほかの産業界も同じような部分、あるいは行政も同じような使い方ができていくんではないかな。その辺をもっと上手に書き込めばおもしろいのではないかなと、そんな気がいたしております。
  以上でございます。

○星野委員 どうもありがとうございます。
  私は、4ページの4ポツのところについて、ちょっと感想的なことを言わせていただきたいと思います。
  ここには、第1回目の基本計画で、「循環」「共生」「参加」「国際的取組」と4つの理念のフレームワークが出ているということを、もう一歩、ここの表現では「最近の環境問題を巡る変化やこれまでの議論を加味して」云々と書いてあるわけですが、とりあえず大変野心的に、第1回目から10年たちますから、そういう意味では、この4つの理念をより具体的に、ガイドポスト的にきちんと使えるようにしたいというご意図が多分あって、こういうものを掲げられたんじゃないかと思うんです。
  今度は若干けちをつけて恐縮なんですが、例えば最初の丸ポツの「環境の容量を超えない」、これをどうお考えになるかということですね。容量のスタンダードがないと、超えるか超えないかわからないわけですから、容量を超えないというのは、環境容量というのを多分これからご計算なされるということなんでしょうか。こういう言葉をよく使いますが、環境容量を超えないというのは当たり前の言葉のようですけれども、いざガイドポストとして使おうとすると無内容なんですね。内容がない。容量を超えないと言っただけじゃ、容量がわかっていないんだから、超えるのか超えないのかわからない。
  同じように、ここに書いてあるのは、あくまでも1回目の作文ですから、作文の抽象性が高いというふうに考えれば読み飛ばせばいいんでしょうけれども、次のポツも「予防的観点も含めて安全・安心で質の高い生活を確保する」という場合、質の高いというのは一体どういうインジケーターでとれるんだろうか。つまり、予防的観点も含めて、安全・安心で質の高い生活を確保する。安全・安心というのは、例えば国土の安全だとか、あるいは生活の安心感だとか、そういうもので考えてみれば、地震対策はよくやっていますとか、あるいは年金や何かもまあまあ大丈夫ですねとか、そういうことは割合具体的にイメージが出てくるんだけれども、果たして「環境の側面から、予防的観点も含めて安全・安心で質の高い生活を確保する」って一体何なんだろうか。かつての公害対策だと言えばわかると思いますが、我々は、環境問題になったときの新しいインジケーターをいただけるんだろうか。
  それから、「世代間、地域間、主体間で負担を公平に分かち合う」と書いてありますが、公平というのは一体どういう基準で考えるのか。これは環境問題と当然絡むわけですから、公平って、一体何を基準にして公平というふうに判断できるのか。
  次の「健全な」というのも当然問題になりますし、我々、当たり前のように「自然と共生」という言葉も今まで使ってきておりまして、これは抽象度が高い段階はいいんですね。共生ですねということでわかるんですけれども、そうじゃなくて、もうちょっとガイドポスト的に使おうとすると、共生というのは具体的に何と何と何、どういう尺度ではかれるのかねというようになってくるんだろうと思うんですね。
  ただ、私の言っているのは多分できないと思うんです。できないとどういうことが起こるかというと、先ほど来ご議論に出ておりますように、地方にしても企業にしても、非常に熟度が高まってきていますよね。環境問題に対する成熟度、自分の企業の都合でなかなか適応がしにくいとか、地域には地域のいろいろな利害関係があるから、直ちに適応できないということはあっても、環境問題はナヘンに問題があって、どうしなきゃいけないかというのは、大体皆さんのお力のおかげで、どこの主体もかなり熟度が高まってきているんだから、そういう熟度が高まっているときには、むしろガイドポスト的なことを国が示してくださる。ここに書いてあるような観点から、割合わかりやすいガイドポストを出してくれると、それが自律的に各主体に伝わって、主体の間で非常にハーモナイズしていくというのが、実は一番望ましい基本計画の態度なんじゃないかと思うものですから、あえて申し上げました。ないものねだりをしていて申しわけないんですが、精いっぱいここいらのことを、数量化まではできないかもしれないけれども、数量化に近いようなところまで近づけていただくようなご努力を期待したいと思います。それが恐らく第3回の基本計画の一番大きい目玉なんじゃないか。それでないと、第3回って何をやっているのかねということに見られるんじゃないかという気がいたします。
  以上です。

○松原委員 それでは、私は、今回の素案を見ますと、持続可能な社会のための施策について、非常にページ数も5ページから最後まで、10ページ近く書かれておりまして、施策の展開ということに議論が重点を置かれているように思いました。その中でも、一つ一つ個別的にはいい提案がなされているんですが、この委員会の初めの方で何人かの方から、主体がはっきり出てこないというようなご意見が出てきました。私もそれにちょっと関係して、幾つかコメントを述べさせていただきたいと思います。
  まず、例えば7ページに「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的向上」という、環境と経済の問題、環境と社会の問題が出た後で統合ということで、非常に難しい丸になっているわけです。それの説明について、急に個人のライフスタイルだけが注目されて書かれているわけですが、やはりそういう個人の問題として、ライフスタイルだけでよいかということが一つあると思います。
  それからまた、行政と民間との適切なコミュニケーションというのが10ページの一番上の方に書かれておりますが、ほかの委員の先生もご質問されたように、一体どうやって、いかに、howという問題に対して、ちょっと記述が弱いわけです。やはり行政、国、あるいは地方自治体と、それから民間、あるいは個人とをどうやってのりづけしていくかという問題は、政策の実施、あるいはその評価について非常に大きな問題であります。そういった問題の具体性に関して、どういう主体を考えているかということです。
  それから、12ページのところに[7]で、やはり上の方に「市場等において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」ということで、これもとてもいい提案が出ているわけなんですが、そういった評価をするためには、13ページの[9]に書かれてありますように、環境配慮を支える手法・情報、技術等の基盤というものの確保が非常に大事なわけです。ですから、7と9は総合関連しながら、情報を交換しながら、継続的な情報収集した上で情報データを分析して、そして方針を決定していくわけですけれども、そういう中で、いわゆる行政体が実施している環境指標データの動きとか、その分析とか活用とか、あるいは環境評価に当たって必要なリスク評価に関する基盤というのは、だれがどこでどうやっているのかというふうなことが、余り読んだだけではイメージとしてはわいてまいりません。それぞれ国は国、地方自治体は地方自治体、個人は個人でそれぞれの役割があると思うんですが、全体的に、やはり情報を取得し、まとめ、またそれにコメントするような機構というのは何かというのを考えてみますと、例えばこの中央環境審議会というものが常に、例えば年次的にだれかから報告を受けて議論するのかとか、あるいは中央環境審議会の下にいろいろな小委員会などがあって、具体的に評価の方法論とか検討をすることが将来的に可能なのかどうか。こういった幾つかの有効な提案に対して、だれがどうかかわっていくかというところが見えにくいなと思いましたので、将来の実施の可能性等を含めて、どの程度まで今後検討すべきかどうかについてお答えいただければと思いました。
  以上です。

○横山委員 3点申し上げたいと思います。
  私も、前回は出席できなくて議事録を読んだんですけれども、山本委員を中心に、特に温暖化問題なんかで将来予測というか、科学的なデータでは非常に厳しい状況にあるということで、それを反映してほしいというような意見が出たと思うんですが、全然それが反映されていないんですね。それがなぜなのか、ちょっと私にはわからないということです。
  それから、そういう将来予測に加えて、もう一つ大きな問題は、国際的な取り組みとか日本の取り組みにおいても厳しい状況にある。もちろん国際的取り組みというのは、京都議定書問題をとれば、アメリカの離脱の問題とか途上国の問題とかがあるわけですね。それよりもっと大きいのは、私は日本の取り組みだと思うんですね。例えば環境税一つをとってもいまだにまとまらない。あるいは、京都議定書の目標達成計画をつくってみたけれども、やはり中途半端な内容になっているというところで、これでは、先ほども議論が出ましたが、日本が環境問題で世界をリードする、リーダーシップを発揮するといっても、全然できるような状況には私はないと思うんですね。ですから、幾らこの中で環境基本計画をつくるんだという理想を掲げてみても、肝心なところが日本の場合は全然できていないわけで、その辺を、苦しくてもやはり言わなければならないんではないかというふうに思います。一般の人に理解してもらうには、日本の環境問題での意思形成の段階で大きな問題があるんだということを、ぜひ言ってほしい。できれば、この横断的取り組みの一つの中に、環境問題に関する意思形成をどう行うかというようなことを入れる、あるいはここに案に出てきている4つの中に、それも取り込むような形にできないものかなというふうに思います。基本計画になると閣議マターで、なかなか実際に書けるかどうかはわかりませんけれども、この素案ぐらいなら、まだまだ厳しいことを書いて、中環審としてはこういう考え方を持っているんだというようなことを何とか打ち出せないかなというふうに思います。多分この中間とりまとめなら、調整とか、そういうこともしなくてもいいんではないかなと思いますので、そのぐらいはやってほしいと思います。
  私は今、環境問題を少しを知っている一般の人たちは、みんな白けていると思うんですよね。自分が何かしようと思っても、肝心なところで政府も産業界も、いつもだめだと腰砕けになっちゃうということで、自分たちも何かできることはいっぱいあるなと思いつつ、肝心のところがしっかりしていないということで、自分たち一人一人が取り組んでも、そんなに効果が上がらないんじゃないかという白けた状況にあると思います。それを是正することが必要ではないかというふうに考えます。
  それから、2番目は、それとも絡むんですが、現行の基本計画の後、どうなったか。この五、六年の間にどうなったのか。だから基本計画を変えるんだという哲学が入っていないんですね。何で変えるのかわからない。つまり、五、六年に1回変えるから、仕方なく変えるんだというふうにもとられちゃうわけで、そうではなくて、やはりいろいろな情勢も変わっているんだと。積極的にこれを変えて、今の世の中に合った基本計画にするんだという意思を表示していただきたいなというふうに思います。
  それから、3番目は、もう少しわかりやすく書くということが少し欠けているんではないかと思います。例えば、私は一番気になったのは、8ページの「不確実性を踏まえた取組の推進」ということです。これ、環境問題をある程度理解している人なら、何のことかよくわかると思うんですが、これを初めて読む方は、一体何を言っているのかというのが全然わからないわけですね。何か一つ具体例──例えば私は、環境ホルモンの問題とかダイオキシンの問題というのが、ここに絡んでくる大きな問題だと思うんですね。例えば、98年ぐらいから、環境ホルモンとかダイオキシンが報道されない日がないぐらいすごかったわけですね。環境省もSPEED'98とかをつくって一生懸命やろうと。それがどうなったのかと、それを一言でも書けるなら、これはもっとわかりやすくなるし、それから、もちろん環境ホルモンとかダイオキシン問題だけではなくて、温暖化の問題だって不確実性を踏まえた取り組みの推進というのはあると思うんですが、それを書かずに、抽象的にこれだけを書いたんでは、何のことかわからないということです。環境教育の重要性は、私は非常にわかるし、それは積極的に進めるべきだと思うんですが、こういうものを環境省、あるいは中環審がまとめるものが、やはり一般の人にもわかるような内容にするのが重要で、めり張りをつけるとか、あるいは具体的な例を挙げてわかりやすくするということが必要ではないかと思いました。
  以上です。

○大塚委員 3点ほど簡単に申し上げます。
  第1点は、先ほど馬場委員とか久保田委員がおっしゃったことは、私もそのとおりだと思いまして、結局、今回の環境計画の第三次の目玉は何かという話。前回も私もちょっと気にしていて申し上げたんですけれども、多分その辺が一番重要なポイントではないかと思います。7ページの上から2つ目というんですか、大きい○のライフスタイルの変更のところを、もっと先に出した方がいいんじゃないか。5ページの1のすぐ後あたりに出した方がいいんじゃないかというのは、私もそのとおりだと思いますけれども、先ほど、ライフスタイルの変更だけでいいのかというご議論もほかでもあったように、システムの変更とか社会的制度にメスを入れるという久保田委員がおっしゃった話を、どこかに入れていただくといいなというふうに思っております。
  さらに、その点に関連して、第二次の環境基本計画も、環境基本計画の前文というんですか、最初のところで3つの道があるということをお書きになっていて、環境政策を前提条件として受け入れながら、その制約の中で資源やエネルギーを効率よく利用する努力を行っていくという第三の道が求められているんだという話があって、私はこれは現在も非常に重要なポイントだと思っていますが、これをもう少し具体化したものを今回入れていただけると非常にありがたい。しかし、ないものねだりかもしれないので一応申し上げておくだけですけれども、オランダの環境基本計画はそういうものを入れていたと思います。ある程度数字を入れたようなシナリオを書いていただけると、第二次環境基本計画の考え方をさらに受けて発展させるということになりますので、非常にいいのではないかと思っております。
  それから、第2点でございます。先ほど星野委員がおっしゃったことは、前回私もちょっと気にしていたところで、目玉の一つとして、指標が目玉ではないかということを申し上げていたのですけれども、まさに星野先生がおっしゃったところはそのとおりでございます。4ページの4のところにいろいろな考え方が出ているんですけれども、基準が具体的に出てこないところが、なかなか難しいことは事実なんですが、どうしても環境基本計画が抽象的になってしまうということに導かれてしまいますので、何らかの基準を指標として出していただけると大変ありがたい。それをやらないと、今回の第三次環境基本計画は何のためにつくったんだというふうに──ちょっと言い過ぎだと申しわけないんですけれども、思われてしまうとちょっと困るかなという感じがします。
  それから、第3点ですけれども、ペーパーを出させていただいた点でございます。先ほど高橋委員等からもご発言がございまして、この基準については、確かに通達で縛るというようなことではないので、この中の書き方も、もちろん法令に基づいて基準をということであるので、そこは少し補充していただいた方がいいと思いますけれども、何となく分権推進の中で、国とか環境省とか、ご自身がおやりになることについてやや萎縮されているのではないかというふうに、私はちょっと横で、あちこちの審議会に出させていただいて思っているところもあるものですから。しかし、国は国として役割がございますし、基準を設定するというのは、もちろん法令に基づいていたんですけれども、やっていただかないと、自治体の中では、必ずしも環境関連の意識が高くないところも残念ながらございます。そういうときに予算が限られていれば、どうしても後回しになることは当然あり得ると思いますので、ナショナルミニマムという考え方を堅持することをぜひご検討いただければと思って、そういうことをどういうふうに書くかというのはなかなか難しいかもしれませんが、何らかの形で盛り込んでいただけると大変ありがたいということでございます。

○崎田委員 私は、最終的な重点的な部分だけ、きちんと意見を言わせていただきたいと思います。
  前回のときにも、今回の見直しに関しては、本当に大きな構造改革、あるいはパラダイムシフトをするんだという、そういうような意思をきちんと示すことが大事だというふうに盛んに言われましたけれども、私は、この重点的な取り組みの、例えばここを読んでいただくとそれがわかるんだというふうに提示することが、すごく大事なんではないかなというふうに考えております。
  そういう視点から、12ページ、13ページというのを読みますと、その前の1から6というのは個別分野で、7から10というのが、それを横断的に取り組むという話題だと思います。そうすると、7、8、9、この3つのポイントでパラダイムシフトをするんだという、そういうような意思を明確に示していくということが大事なんじゃないかというふうに思います。どういうことかというと、例えば、やはりこの7番の「市場等において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」、これは非常に易しい言葉で書いてありますけれども、その前に、環境と経済に関するいろいろな文言が、その前の方のページに入っております。こういう中をきちんと書いたことだと思いますが、やはりもう少しわかりやすくここを書いていただく。そこが大事なんじゃないかと思います。
  どうしてかといいますと、例えばきょうの午前中に、私は、この部屋で容器・包装リサイクル法の見直しに関する審議などにもかかわらせていただきました。今、いろいろな山場を迎えているんですけれども、やはり消費者の消費選択に対する企業の方の信頼感を持っていただけるかどうかとか、政府が本当にこういう環境と経済の好循環という視点できちんとやっていくような意思を明確に持っているのかどうかという、産業界の方と消費者、そして行政の明快な将来に対する信頼関係があるかないかで、その辺のみんなが納得できる合意形成ができるかどうかという、やはりそういう山場に差しかかっているように私は強く感じています。
  そういう中で、やはりそういう社会をみんなでつくっていくために、例えば消費市場の中で、これを読むと、よくわかっている方はおわかりになるのかもしれませんが、消費者の消費選択のときの、例えば環境ラベルであったり、あるいは企業評価のときの環境報告書とか、その他いろいろな評価のこともあると思います。何かそういうものがきちんと社会に定着する話とか、あと、後半の方は、きっとこれは金融がちゃんともっと環境をキーワードに支えるような社会をつくっていくとか、いろいろな要素があると思いますが、この辺をきちんと書き、こういうふうに向けてみんなでどういうふうに各主体が連携し、あと雇用をきちんとつくっていくとか、そういうような雰囲気を明確に与えていって、パートナーシップ型の社会をつくっていくというイメージをはっきりさせることが大事なんじゃないかと感じています。
  その後、それを受けて、そういう社会をどうつくるのかというと、それは今申しましたが、みんなの各主体のパートナーシップ、あるいはそれぞれの取り組みでつくっていく、自分たちの暮らしの見直しや地域の中での事業活動や地域づくりの中できちんと変えていくという、そういうような人づくり、地域社会づくりをしていくんだという、例えば7、8の連携したイメージがちゃんとわかるように書いていくということも必要じゃないかと思います。特に、この人づくり、地域づくりというのは、私はこの言葉は大変いいなと思うんです。よく環境教育という言葉で言うと、机上の学問というふうに誤解される方が大変まだまだ多いんじゃないかと思いますが、今、環境教育と、例えばそういう言葉で言われているのは、ライフスタイルの見直しや、地域の中でのいろいろな活動、課題を見つけて自分たちで解決していくような意欲を持つ行動をするような、そういう人づくりをしていく、そういうことが今、環境教育の一番の課題となっているわけです。もう一つ、そういう意欲のある人たちと企業や行政とをつないでいくようなネットワークをつくる、パートナーシップを育むような人材育成が非常に大事だと思っております。その人材育成ということに関して、ちょっと書き方が弱いような気がいたします。
  あと、この地域の中でも、今、ネットワークをつくる、あるいは協働と連携できちんと取り組むという、そういうような動きも大変重要なので、もう少し書き込んでいただければありがたいかなと思っております。そういう中で、この9番が、それを支えるための手法・情報・技術だというところを、非常に重要なんですけれども、もう少し具体的に……。これで行政の方とか皆さんがおわかりいただけるなら大変いいんですけれども、ちょっともう一回、全体をわかりやすくしていただけるとありがたいなと思います。
  あと、10番に関しては、最近政府の方も、京都議定書の関連のいろいろな施策、あるいは3Rイニシアチブ閣僚会合、非常に熱心に取り組んでいらっしゃいますが、こういう国際的なルール形成に積極的に関与するという、この視点は非常に大事だと思っております。あと、もっと民間の動きが起こっているんだというお話がありましたが、10ページの方には書き込んでいただいておりますけれども、こういう市民や地域でのアジア、アフリカなどの諸国との相互交流型の、そういう連携による新しいアジア、アフリカでのパートナーシップ型、あるいは市民参加型の社会を伝えていくという新しい動きなども起こっておりますので、こういう10番もきちんと書き込んでいただければありがたいと思っております。
  ありがとうございます。

○佐和委員 ほとんど国語的な点についてコメントを申し上げたい。
  まず1ページ目ですけれども、第1パラグラフの一番最後の文章が「また、将来にわたって維持されることが求められる」とありますが、これ、何がという主語がないんですね。恐らく想像するに、主語は「限りある環境が」だと思うんですね。したがって、次のように書き改めることを提案します。「また、それを将来にわたり維持することが求められている」。つまり、維持されるというんじゃなくて、やはり人間が維持するということですね。
  それから、1ページの[2]のところですけれども、「我々の生活、生き方は環境に形作られている」というような、これは国語的にどう考えてもおかしいですね。「環境に形作られている」、これは「環境に応じて」とか、何かそういう言葉が必要だと思います。
  それから、その後、ずっと先になるんですけれども、さっき横山さんがわかりにくいとおっしゃった8ページの3ポツのところです。ここは三、四点、かなり修正を求めたいと思います。
  まず、最初の丸ポツの3行目のところで、「その時点において合理的なコストの下で活用できる最高の科学的知見」という、これも変な表現ですね。「合理的なコストの下で活用できる最高の」というのは、つまり、できるだけ安いもので、要するに何かよくわからない。ですから、これはもう少し意味を明確にしていただきたい。
  それから、その次のポツですけれども、「一方で、科学的知見は常に深化するものであり、自ずから常にその時点における限界を伴っており」云々とありますが、ここは「一方で、科学的知見は常に深化するのだが、自ずから」──「常に」は一度出てきているので取る。「自ずからその時点における限界を」──「限界を伴う」という言い方は余りしないので「限界を有しており」、そして、その次に「一定の不確実性を有することは否定できない」というのは、ここが問題で、このままの文章だと、科学的知見は一定の不確実性を有することは否定できないというふうに読めますね。しかし、不確実性を有するというのは現象なんですね。ですから、この表現がいいとは言いませんけれども、例えば各種現象が一定の不確実性を有することは否定できないとか、つまりそういうことなんですね。科学的知見は深化するけれども、限界を伴っていて、科学の不確実性じゃなくて現象の不確実性ということになるわけですね。
  それから、ついでに申し上げれば、やはりこういう不確実性というときには、かねてから確率とは何ぞやというようなことでいろいろな議論があるわけですけれども、認識上の不確実性、つまり、科学的知見がどんどん深まっていけば必ず確実なものになるんだと、不確実性は取り除かれるんだという考え方と、いや、実はそうじゃなくて、現象そのものが不確実性を内にはらんでいるのであるという考え方の2つあるわけですね。ですから、クライミットチェンジの問題なんていうのは、恐らく現象そのものが不確実だと思うんですね。ですから、その辺を認識した上で適切な修文を行っていただきたい。例えば、地震の予知なんていうことにこれだけ長い時間とお金をかけても、なかなか予知が可能にはならないですよね。こんなことを言ったら地震学者にはしかられるかもしれませんが、恐らく将来も予知可能にはならないと思いますけれども、そういう点もあって、不確実性という言葉をもうちょっと慎重に使っていただきたい。
  その次に、予防的な措置を講じることが必要だということを入れていただくのは大変結構なんですが、なぜここだけ「予防的な方策」という、ほかのところでは「対策」という言葉を使っているのに、あえてここで「方策」という言葉をわざわざ使われたことの理由なり意味ですね。
  それから、その次の9ページで、最初の1ポツの下から4行目のところで、ここの文章をちゃんと読みますと、「環境保全を求める行動が持続可能性を高めることにつながるような」じゃないんですか。「仕組みづくりやパートナーシップづくりを行うことが」というふうに思います。
  それから12ページです。[7]の最初のポツの2行目のところで、これこれのように「プラスになることを担保する」と、これですね。最近、日常慣用化されているからいいんですけれども、「担保する」というのは比較的最近つくられて、国語辞典にはないんですよね。担保は担保であって、「担保する」というのは、これは保障するとか何か知りませんけれども、もっと適切な言葉に……。別に構わないですけれども、僕だったら「担保する」とは書かないというだけのことです。
  その次に、これもちょっと誤解を招きそうなのは、9番の2つ目のポツです。ここのところで、真ん中あたりに「科学的知見の基盤となる調査研究及び技術開発をより一層充実させることが必要である」と、これは、実は「科学的知見の基盤となる」が調査研究及び技術開発にかかるのか、それとも、これこれで「科学的知見の基盤となる調査研究」、それが一つで「及び技術開発」というふうに読むのか。それがどちらかというのをはっきりさせていただきたいと思います。
  以上です。

○藤井委員 前回お休みしましたが、議事録を拝見しました。それから、前々回も含めて、森嶌委員からのかなり強烈なパンチと、それから、前回はクライミットチェンジにかかわる山本委員の強烈な指摘がありました。それで、そういうものを受けての素案かなと思いましたが、どうももやっとしていて、これは待ったなしの状況にあるという認識が大変薄いのではないかという気がします。
  この環境基本法ができて12年の間に、例えば市町村レベルで言えばスロータウン連盟というのができて、これが60余りですね。それから環境自治体会議、そして、地域新エネルギービジョンで言えば、もう全国で900ぐらいの自治体が取り組んでいると思いますが、自分たちの地域は、このままではなくなってしまう。つまり、孫子の代まで安心した地域、このままではだめだぞということで、持続可能性も云々もなし、ともかく食べることとエネルギー、そういうことの充実を図るということで、随分とおもしろい取り組みがなされていると思います。
  そういうところからすると、例えば9ページの──本当はたくさんあるんですが1カ所だけにします──4の丸1の丸ポツ2番目の最後のところです。地方公共団体のところです。スタートの「一方で、より小さい主体の方が自らの周辺状況に関する情報を多く持つ」というところに始まり、その辺もちょっといろいろ問題があるんですが、最後のところ、「問題によっては、日本全体にとって最適な選択となるよう、国単位で施策を考えることが求められるものがあり、国が一定の基準作りや調整を行う必要がある場合もある」とあります。例えばここを「国単位で施策を考えることが求められるものがあり」はいいですが、国が地域の実践に学んで、基準づくりや制度設計の変更を行う必要があるというふうに、地方のイニシアチブをここに前面に立てて、そこに学ぶという姿勢が、この第三次の見直しでは必要ではないかと、そんなふうに考えます。
  以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
  一応これで一回り、まだご発言を求められている方がいらっしゃいますが、それは2巡目ということにさせていただいて、時間が切りがないものですから、ここで休憩を少しとらせていただきたいと思います。
  今ご指摘いただきましたことは、これから文章をつくっていく上で大変重要なことをたくさん含んでいたと思いますが、あくまでもここに出てきているのは第1次案である──とは言いながら、次回にはある意味では最終案に結びつけたいという、非常にある意味では乱暴でもあるんですが、特に個別案件にかかわるところは、まだ内容がございません。個別的分野を検討していただくところで、多分指標の問題は、ここの個別分野ごとにいろいろとご検討いただいて示されてくることになると思います。そういうことで、何を指標と考えるかというようなところも非常に大きな課題かと思いますが、ご指摘いただいた、特に横断的な分野のところは非常にやはり重要だと思います。国際的な取り組みに関しては、浅野先生の方で、今、国際的取り組みに関する専門委員会を開いておられるということなんですが、ご指摘いただいた、例えば途上国に対する取り組みであるとか、あるいはCDMをどう考えていくか。日本がG8の一員として、一体どういう役割を果たすのか。これは実は、もう環境問題を超えた、日本全体としてアジアにどういう戦略で事を構えてといいますか、協力・協調を図っていくのか。これが実は我が国には、残念ながらはっきりしたものが見えていない。その中で、少なくともこの環境基本計画の中では、環境の面からぜひしっかりとしたものを浅野先生の委員会の方でお出しいただけるんだろうと思っております。
  それから、情報に関しても非常に多くのご指摘をいただいたと思いますが、今、実は国として、経済社会統計整備というようなことで、経済財政諮問委員会でしょうかね、そちらの方で6月10日に答申が出たばかりのところなんですね。それは、経済社会統計に関して、国としての一つの情報センターを、きちんとセンター機能を持つようなものをつくっていくということで、例えばGDP等々の評価に関してもそういう情報を生かしていく。残念ながら、そこに環境という文字が一切書き込まれていない。本当は、そこにやはり環境情報も、きちんと国としての全体像の中で位置づけられるというようなことが必要なのかもしれないと思うんですが、そういうことも、あるいは環境基本計画の中から打ち出していくというようなことも必要かと思います。
  それから、個別のいろいろなところで、やはり将来何を目指すのかというパラダイムシフトの観点では、もう少し文章をいろいろと全体の整理をしてわかりやすくしていく。インパクトのあるものを出していくということがやはり必要だろうと思いますし、いろいろ都市というようなものも、大気汚染だけではなくて、一体どういう形で──これは日本だけの問題ではなくて、アジア諸国でもメガシティーの問題というのは非常に大きな問題でもあるわけで、人間活動と自然生態系が与えるサービスとの関連というようなものも、いろいろと書き込んでいく必要があろうかと思います。やはり主体を明確にするということも非常に重要で、こういう環境基本計画を通じて、参加するNGO、NPO、自治体、そして個人、こういう方々の力をやはり引き出すという、そういうことが非常に重要だろうと思いますので、その辺のところもご指摘いただいたようなところをさらに検討して、この文章を練っていくということが必要だろうと思います。
  ちょっと休憩をとらせていただいて、その後、今まで言いっぱなしというと変ですが、ご意見を伺うだけで──ご意見をいただきたいと思いますが、1回目でまだ札を立てていらっしゃる先生方は、そのところでまず最初にご発言いただいて、それから、なるべく多くの方にいろいろ反論なりディベートしていただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  では、4時20分に再開させていただきたいと思います。
午後4時10分休憩
午後4時20分再開

○鈴木部会長 それでは、よろしいでしょうか。時間になりましたので再開させていただきたいと思いますが、まず、先ほど1巡目のところで幾つかご質問があったと思いますので、それを事務局の方から答えていただきます。

○佐野環境計画課長 これまで大変広範にわたり、的確なというか、厳しいご指摘をいただきまして恐れ入ります。
  1つお願い申し上げておきますのは、実は、特に個別課題の考え方のようなもの。事務局に、もう個別課題の中身について腹案があって、それをもとに個別課題の内容の案を書いているのではないかと評価をしてくださっている先生もおるように見えたんですが、実は今回の中間まとめというのは、あくまでもこれから個別課題──縦割り、横割りございますが、個別課題の具体の内容を検討していくに当たっての考え方、こういうことに留意して、こういう方向で具体の計画を検討せよというような性質を持っているものでございます。じゃ、個別のそれぞれブロック、ブロックにおいてどういうことをやっていくのかという計画そのものにつきましては、今そんなに私どもの腹案で全部持っているわけでも何でもありませんので、今回のご指摘も、ただいまのご指摘も十分踏まえまして、今後の作業の中で検討してまいるということになるであだろうと思っております。
  幾つかのファクトにつきましてご質問をいただきましたけれども、市場活動のところですね、社会経済との関係。6ページの下の方に丸がございますが、その上のブロックのところで、各種のガイドラインや標準づくりというのは、これは一体どういったものかということでございます。これは、例えば、この分野は経済活動のということでございますから、現在で言えば環境会計であったり、環境報告書であったり、環境マネジメントシステムであったり、これもすぐに国際的な規格化みたいなことになってまいりますので、そういったものにつきまして国際的な基準をとる。特にこれもボーッとしていますと、すぐ日本になじまないようなものができ上がりかねませんので、そういったものを国際的な観点から考えていく必要があるという主旨でございます。
  あと、幾つかご指摘をいただきました。例えば、ここから続いてまいります7ページの3側面の統合的向上という、ライフスタイルの考え方というところでございます。ここにつきましても、最初に申し上げましたように、ここはある程度、これまでの、その以前のブロックで論じました、とにかく環境効率性を向上させて、経済発展と環境負荷の増大とのデカップリングをしていく必要があるというそれまでのやるべきことから、さらに踏み込んだ内容でございますので、ここで、この審議会の総意といたしまして、どこまで提言をしていただくかということにつきましては、これから十分ご相談をしましてご審議を賜りたいと思います。
  それから、これまでご指摘をいただきましたように、前提としての危機認識の書き込みが足りないのではないかというご指摘もございました。ここにつきましても、正直申しまして、前回のご指摘からまだ消化不良の点はあるわけでございますが、一体、じゃ、この新計画の前提とします環境の状況みたいなものをどう整理するかというのは、実は3ページのところにも、まとまっておらないので断り書きをつけてしまったんですけれども、今後の作業の過程でよく整理をいたしますので、ご指摘の点も十分に踏まえてまいりたいと存じます。
  あと、指標につきましても、資料の2のこれからの進め方のところで考えてまいりたいと思いますので、次のところでご説明をさせていただきます。
  以上でございます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
  それでは、限られている時間しか残っておりませんが、15分ぐらいをめどに、第2巡目にご意見をいただければと思います。なるべく大勢の方にいただきたいものですから、1分とか2分ぐらいをめどにお話しいただければと思います。

○青木委員 二、三点ございますが、4ページで理念というところがあって、先ほど星野委員もいろいろご指摘になっておられます環境の容量の問題です。これ自体も問題があるとは思いますが、仮に環境の容量という概念がわかるとしても、理念という以上は、果たしてそれだけでいいんだろうか。この理念という言葉も、最近は非常にあいまいに使われているので、かなり広い用語のようではありますけれども、理念という以上は、やはり容量を超えないというのは当然で、環境の容量、復原力を考慮して環境への影響を最小限にとどめるというような──これは主語もはっきりしませんので、何を対象にしているのかよくわかりませんが、仮に開発というようなことを考えたとしても、容量限度までいっていいということじゃなくて、環境への影響を最小限にとどめなきゃならないというような考え方が理念ではないかというような感じを持っております。
  それから、4ページでいろいろ国民参加の記述がされておりますけれども、その前に、やはり国民の意識の向上といったようなことが基本であって、その上に国民の参加とか、そういったことが出てくるのではないか。
  それと関連して、環境教育の問題になるんですけれども、12ページで地域と環境教育の必要性が語られておりまして、地域の必要性は当然でございますけれども、これを強調するあまり、学校教育とか家庭教育、社会教育などとの関係がわかりづらい。崎田先生と同じような感じを持っております。
  それで、現行計画もちょっと見てみたんです。この本の中で33ページとか70ページに環境教育が書いてございますが、ここのところで環境教育とは何かというと、各主体の行動への環境配慮の折り込みを増進と書いてあるんですね。霞ヶ関用語というのがあるのかどうか知りませんけれども、これは霞ヶ関用語としてもかなり難解の部類に入るのではないか。環境配慮の折り込みというのが環境教育というふうに理解されるのでしょうか。環境問題というのは、やはり人が主体的に考えて行動して、一人一人が解決しなければ全体の問題は解決しないということですから、人の意識を変えていくということが一番大事で、そのために教育やしつけが大切だというような観点がこの表現では不十分。我々は環境配慮の折り込みをさせられるのじゃないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  以上でございます。

○井手委員 簡単に3点だけ申し上げます。ペーパーとして出しておりますので、細かいところはそちらに任せます。
  第1点は、1ページの環境の要素の中に土壌が入っていないのは大変ぐあいが悪いので、これはぜひ加えていただきたい。長い間、地球環境が破綻がなかったのは、土壌の役割が非常に大きいわけですから、その意味でもぜひお願いします。
  2点目は、これは三の環境政策の方向のところにかかわる部分で、5ページ目でございますね。この1番は、内容的にはエネルギー、物質循環という循環系と経済のかかわりというようなことが中心で書かれて、それから、2番目の方は、国土の自然の環境の質の向上というような、そういうことで多様性とか共生系という格好で書かれている。何か少し縦割りの書き方になり過ぎていないかというふうに思います。それは、循環、共生、参加、国際というのは、相互に入り組んだ関係になっているべきもので、特に1番の環境と社会経済の統合ということを言っている中には、当然共生系及び保全系、多様性という問題も入ってきて、この環境と社会経済の統合というものになるわけでありますから、この循環、共生、参加、国際というようなことを全部受けた格好で、それぞれ分離した表現になり過ぎていないかという気がいたします。そこで、この循環、共生、参加、国際というのは相互に密接に関係しているということを、どこかで言っておく必要があるのではないかというのが2番目の意見です。
  それから、3番目は、これは先ほど善養寺委員もちょっと触れられましたが、13ページの環境配慮を支える手法等の基盤の整備ということに関係して、この環境基本計画が国土計画とか都市計画とか市町村計画とか、その他の専門計画等において積極的に適合するような法整備が行われるということが、これから必要ではないかというふうに思います。それと同時に、そのための計画策定手法の整備とか開発が必要になる。これは、環境基本計画が基本的な方針を示すということだけでなく、物的なフィジカルな計画の中で位置づくというような側面を今後持っていく必要があるというふうに思います。これに参考になるのが、例えば緑の基本計画というのが都市計画や市町村計画の中で積極的にかかわるような、そういう法的な位置づけになっておりますので、そういうような形の役割も、この環境基本計画というのは今後持つべきではないか。そういうことをどこかに触れるということも必要かというふうに思います。
  以上です。

○猿渡委員 それでは、ちょっと違った視点からアドバイスをさせていただきます。
  きょうのレジュメの中の5ページに書いてございますけれども、漢数字の三のところなんですが、ここの内容を読みますと、エネルギーを大量消費しなければならない。これは避けられない圧力である。だから環境性能にすぐれた技術や製品をいち早くつくり出し云々とか、その下に、4ポツ目なんですけれども、「エネルギーや資源利用の効率の高い持続可能な循環型の社会経済が望まれる」というふうに、消費そのものを抑えていこうと、こういうふうな記述があるんですが、平成6年に策定されました環境基本計画を読みますと、93ページ目をちょっとあけていただきたいんですが、これですね。この平成6年の計画書の中には、明確にエネルギー開発というものがうたってございます。93ページ目のdでございますけれども、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電のような自然エネルギーの活用云々と、これらの新エネルギー等の開発・導入を積極的に推進しますと明確な意思がここに入っております。次のページにもメタンの排出規制とかありますけれども、新しいエネルギーを開発していきますというふうに明確な意思がございます。今回のこのまとめの中には、いわゆる循環型エネルギーの開発という言及はほとんどないんですけれども、それは各論の話であって、基本的には入っておるんだというふうに受けとめていいのか。今回のものは、ちょっと違う視点で環境を守ろうというふうなまとめにするのか、これがちょっと私には解せないところでございまして、アドバイスでございます。私といたしましては、ぜひ循環型エネルギーの開発、これに対して注力をするという明確な意思と行動を行っていただきたい。また、ともにそれをやっていきたいというふうに思っております。

○塩田委員 3点だけ申し上げたいと思います。
  第1点は、11ページの4番の「持続可能な社会に向けた重点的な取り組み」の中で、個別的分野を6つ取り上げられていますけれども、なぜこの6つを今取り上げるという説明が必要だと思います。それが第1点です。
  それから、第2点目は、これも善養寺さんを初め、何人かの委員がもう既に発言されたことですが、この基本計画ができた後で、国民や企業や、あるいはNPO、その他の団体などが環境に貢献しようという意図を持って基本計画を見るときに、どういうことが本当に今、環境を守るために必要であるということが、手っ取り早くわからせてあげるというような仕組みがぜひ必要だと思います。この案では、多分社会づくり、人づくり、地域づくりで対応するとおっしゃっているんだと思うんですけれども、それだけでは私は足らないんじゃないかというふうに思いますので、個人が環境に貢献しようとしても基本的にとるべき行動が何であるかわからないことが多いということを指摘したいと思います。
  それから、3番目に、これからの作業に関してですが、先ほど星野さんからご指摘があった点です。抽象度の高い用語の具体的な基準の内容が今後にまとめられるという点について、これからまとめられるということですが、その具体的な基準の内容がまさに大事なんだというふうに私どもは思いますので、早期の段階で具体的な数値とか指標とかが出て、十分な審議が行われるようにお願いしたいと思います。
  以上です。

○渡辺委員 もう大勢の委員の方が触れられたことと重複する部分が多いんですけれども、1つは、今度3回目の基本計画になるわけですけれども、この十何年かを振り返って、1回目、2回目の基本計画で予定したというか、期待をしたような成果が必ずしも十分に上がっていない。このままこういう状態では、本当に大変なことになると山本先生がおっしゃいました。あるいは、地球部会の方で今後のことをいろいろご検討中だとは思いますけれども、第3回の基本計画の冒頭部分において、危機意識をみんなで共有する必要がある、ということをはっきり強調するべきではないか。これが1つ目でございます。
  それから、第2点は、森嶌先生が前回、パラダイムシフトとおっしゃいました。ライフスタイルの見直し、変更、消費を抑えた新しいライフスタイルと、これは主として個人の話です。これと合わせて、社会のシステム、在り方を大きく変えることが不可欠です。これは個人の考え方の変更が基礎にはありますけれども、やはり触れていただきたいのは、社会のシステムとして、社会全体としてのありようを根本的に変えないと対処できないという、この部分をどうかさらに強調していただきたい。
  それから、第3点ですけれども、前回横断的分野としてとりあげた、環境教育とか環境学習の推進は、非常に大事な、最も基本的なことではありますけれども、今度の素案に触れられています人づくりの推進というのは、地域づくり、非常にいいところに着目をされたと思います。私どもの生活を振り返ってみて、仕事を持っている人間の職業生活の部分と、家へ帰っての個人の日常生活の部分とありますが、日常生活は、ここにありますけれども、普通の私どもの生活。それはやはり地域に根差した生活ということでありまして、そういうところで具体的な環境配慮を折り込んだ行動、あるいは、みずからボランティアその他として環境保全の活動に従事するというところに着目をした地域づくり、人づくりという物の見方、切り口は大賛成であります。
  以上3点を申し上げます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
  一応皆様から第1回目の発言をいただいたことになると思います。
  それでは、これまでのご意見等に対してのいろいろレスポンスをお願いしたいと思いますが、天野先生から。

○天野委員 ありがとうございます。11ページの個別的分野なんですが、この中にどういうものを入れるかというのは、これからご議論があろうかと思いますが、例えば地球温暖化対策一つとりましても、21世紀半ばを見通しながら、2025年における我が国の環境の視点からということです。当然、25年に温室効果ガスの濃度が幾らになっていることが日本にとっては望ましいかという判断は表明すべきだろうと思うわけですね。あるいは、2050年には何%減らす。既にそういうことをちゃんと表明している国もあるわけですから、そういう内容が新しい基本計画には当然入ってくるだろうというふうに考えますと、それ以外の国内のいろいろな取り組みにつきましても似たような、例えば2025年ごろの望ましい環境というのは、物質循環で考えればどうすべきか。埋立地がほとんどなくなってしまうような状況から、何%ぐらい減らすことが必要なのかといったあたりの議論も当然入ってくるわけですね。ですから、例えば2050年をにらみながら、2025年にどういうシナリオが描けるかというシナリオを一つ一つ書いていこうとすれば、当然どういう指標が必要なのか、どういう情報を持っていなければ、そういうシナリオが書けないのかということがはっきりしてくると思いますので、私は、それぞれの個別分野の施策をお考えになる場合には、これは一つの手法ですが、それ以外のことも当然やらなきゃいけませんけれども、一つの手法としてシナリオを書いてみるということをぜひお願いしたいと、こういうふうに思います。

○鈴木部会長 大変な注文なんですが、それぐらいの覚悟でおやりいただけると考えていいんでしょうかね。当然ですね。当然だという小林さんの……

○佐野環境計画課長 ご指導をいただきながら頑張ってみたいと思います。

○善養寺委員 先ほど1つ言い忘れたのは、前回、人づくりの点で、今後国家資格のように、環境のコーディネーターとかアドバイザーみたいなものをという話が出ていたと思うんです。その中で、新たに国家資格をつくるという一つの方法もあるんですが、福祉住環境コーディネーターのように、つくってはみたもののというようなこともあったりするので、特に環境分野というのは、かなりいろいろな範囲に及んで専門的な知識が必要となってくるので、既存の国家資格の上に、プラスオンして専門分野に合わせた環境的なノウハウを得るような資格という形で、新たな資格として得られる、それぞれの目的を持った資格制度というのもあってもいいのかなと。建築士のように、みんな一律に取りますが、今は特に専門分野別になってきているので、同じ一級建築士でも分野によって全然違うノウハウを要求され、実際は違う分野で働いております。一般の方々が、この人は何を専門としてやっているのか、特に環境というだけのキーワードではわからないと思うので、専門分野別の資格の上に、特に必要な、発展するような、環境知識を持たせる資格制度というのが良いと思います。人づくりの中で、単純に国家資格を追加しようというのではなくて、今ある知識にプラスオンさせるような仕組みを用いた方が効果的ではないかと思いました。

○馬場委員 先ほど、ちょっと1つ忘れたものですから、すみません。
  6ページの一番上のところに、拡大生産者責任の考え方のところがあるんです。これは読めば読めるんですけれども、ちょっと前にいただいたもので、製造者と販売者と並列してあったんですが、販売者が今度は消えちゃっているんです。実は、私は特に食料品の関係を見ているんですけれども、今は製造者の立場というのは非常に弱くなっていまして、殊に大規模な小売業者からの、いわゆるプライベートブランドみたいなものを要求されると、それでつくって供給するという形になって、流通というか販売業者の力が我が国では非常に強いんです。そういう人たちが責任を持つということは、やはりちゃんと自覚していただいた方がいいと思うので、できれば販売者というのを書いておいた方がいいんじゃないか。
  それから、もう一つは、輸入品が非常にふえていますので、国内に製造者がいなくて流通業者しかいないという場合もありますから、ここは「など」で読めると言えば読めるんですけれども、明確にしていただきたいという希望を申し上げておきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
  それでは、崎田委員でターミネートさせていただきたいと思います。

○崎田委員 すみません。じゃ、2点ほど。
  先ほど、将来を考えるときに、ビジョンを少し明確にして考えたりすると非常にわかりやすいのではないかというお話があったときに、天野先生も浅野先生も、もちろん入ってやっていただいていたんですが、そういうときの素材として、環境と経済の好循環ビジョン、きょう資料として出ていますけれども、健やかで美しく、豊かな環境先進国へ向けてという、こういうものも一つの素材として皆さんに活用していただきたいなというふうに思います。これは、平成16年、去年生まれた人が二十になるときの時代を想定して、少しそれぞれの地域の中での暮らしぶりというのを書くというような、できるだけ私たちのライフスタイルに密接な視点で書いていくという、そういうような手法をとって、私が言っては何ですけれども、環境省のまとめとしては非常に珍しいというふうに思っております。そういうようなことで、ぜひこういうようなものもきちんと素材にしながらお話をしていただければありがたいなというふうに思っております。
  あと、もう一点、先ほどエネルギーのご意見がありまして、ちょっと思い出したことがあって、実は先日、政府の地球温暖化対策の計画が策定されたときに、その文面を読んで思ったんですけれども、もちろん新エネルギーの開発とか将来のエネルギーというのは大事だという前提で書いてあるんですが、ただし、それを実行するには時間がかかるので、とりあえず今できることを書いていくというふうに読み取れるような感じがありました。そういうふうに思いました。ですから、やはり例えばこういう環境基本計画の場合、自然エネルギーの開発であったり、11ページには再生可能なエネルギーというふうに書いてありますが、再生可能なエネルギーというだけではなく、例えば未利用エネルギーの徹底活用とか、そういう意味で、少しエネルギーという視点を、やはり私たちも強く持っていかなきゃいけないんじゃないか。エネルギーをつくる、そして大切にするというような視点が必要なんじゃないかというふうに感じました。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
  いろいろといただいたご意見は、次回のときまでに、この文章を全体的に見直しを多分していただけることになると思いますが、取りまとめをまた提出させていただいて、30日にご議論いただいて、それをもとに、その次のステップをどういう形で、またいろいろな方々からご意見をいただくか、そういう方向に進んでいくことになります。

        (2)今後の検討方法について

○鈴木部会長 今後の検討方法についてというところに移らせていただきたいと思いますが、これにつきましては、お手元の資料2でしょうか。これをもとに、佐野さんの方からご説明をお願いいたします。

○佐野環境計画課長 ただいまもご説明させていただきましたように、今回の中間まとめというのは、これから計画の具体の中身をつくっていくに当たって、どんな考え方のもとでやるかというような性質を持っているわけでございますが、それでは、こういったものを固めた、つくりました後で、じゃ、今後の進め方をどうしていったらいいのかということについて、案をお諮りをさせていただきたいと存じます。
  まず1つは、中間とりまとめの後、これをいわばたたき台に、各種団体、いわゆるステークホルダーという方々との意見交換をさせていただきたいと存じます。おおむね夏の間、7、8、9月ぐらいを使いまして、各種団体、あるいは関係省庁等々との意見交換会を開催していきたいと思います。ただ、これは、現行計画の際にも非常に多岐にわたる方々との意見交換をやっておりまして、全員が全体をということはできません。特にそれぞれの戦略的プログラムの項目に密接に関係をする分野というのがあろうかと思いますので、それぞれの重点分野に関連づけまして、例えば自然関係とかいうふうになるかと思いますが、そういうふうなグループに分かれまして、関係する委員にもご参加をいただきましてやっていきたいと思っております。
  それから、次が、重点課題でありますところの戦略的プログラムの検討でございます。ただいま塩田委員から、この6プログラムというのはどうやって出てきたのかというご指摘もいただいたところでございますが、補足をいたしておきます。実はこの6プログラムというのは、現行計画の重点戦略プログラム6項目を基本的に踏襲をしております。踏襲することでどうかというのが事務局の案でございます。ただ、踏襲の中で3番目のところが、現行計画では交通というふうになっておったかと思うんですけれども、ここの部分につきまして今日の問題を見ますと、特に都市におきます大気環境の問題、交通だけによって来るものかというところは見直しまして、ちょっと枠の形を変えたという案でございます。
  この重点分野の検討でございますが、それぞれのご専門分野の先生がいらっしゃいますので、まずそれを主にご担当いただきます部会の先生をお願いをいたしました上で、必要に応じまして、その他の部会委員、大気なら大気部会というふうにそれぞれ関係部会がございますので、そういった関係部会の協力も得て検討をお願いをしたいと思います。具体には主査とお呼びするのが必ずしも適当ではないと思いますが、検討に当たる本部会の委員の具体的な人選は、部会長にお願いをしたいと思っております。これに当たりましては、これは当然内閣の計画でございますので、もちろん関係する府省の協力を得ながら検討を行いたいと考えております。
  それで、戦略的プログラムを検討するに当たっては、もちろん各分野で中長期的に目指すべき方向、あるいは行うべき施策ということがあるわけでございますが、これも現行計画のフォローアップでご指摘をいただきましたように、ここでまず国、地方公共団体、事業者、国民、民間団体というそれぞれの主体が取り組むべきこと、あるいは、政府がつくるものでございますから、どういうことを行っていただきたいかということを明確にするようにと、これは現行計画のフォローアップの際にもご指摘をいただいたところでございますので、これは一つのルールというか、枠組みにしたいと思っております。
  それから、もう一つ、これも現行計画のフォローアップの際にご指摘をいただき、また本日もご指摘いただきましたように、それぞれについて、目標の達成状況、あるいは取り組み状況を把握するための指標について検討をいただいて、極力その指標に沿っての具体的な目標、いわゆる数値目標ということになろうかと思いますが、その具体的な案を策定をするように努めていただくという……。これも現行計画の際にご指摘をいただいたところでございますので、こういったものを一つの方向にいたしたいと思っております。
  それで、今後の進め方でございますが、それぞれの分野の検討については、本年、とりあえず10月から11月というふうなめどに、またこの部会に結果をご報告をいただく。それをいわば部品といたしまして、計画素案の作成をするというふうな格好で進めてまいりたいと思いますが、こんな格好でお諮りをさせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 今ご説明がありましたように、先生方に働いていただかなくてはいけないという、そういうことでございます。
  何かご質問等ございますでしょうか。

○浅野委員 前回の検討は、テーマ別にチームをつくってやったという経験があるんですが、私も今回もそういうやり方が良いのではないかと思って発言をしたこともございます。しかしチームに分かれてしまいますと、どうしてもそのチームでつくった原案が固定的になってしまって、テーマ間の横のつながりをつくろうと思ってもなかなか難しい。前回はすこしまじめにやり過ぎた面もあるわけですね。それで、今回のこのやり方は、もうちょっと横の連絡も自由にとれるようにということも考えてというご提案だと思うので、前回の経験を生かすという意味では非常にいいのではないかと思います。
  それから、頻繁に部会を開いて、部会の定足数を気にしながら議論をしていっては、なかなか細かい議論ができませんから、そういう意味でも、どこでどういうようなミーティングがあるんだということは、すべての委員の方にわかるようにオープンにしながら、密室でない形でやるけれども、それは必ずしも定足数にはこだわらないで、実質的な議論ができるという場をつくっていくということを、ここでみんなで確認をして、それがある程度できたものを、しっかりあとは部会でみんなで議論をするという提案だろうと思いますので、このような進め方でよろしいのではないかと思います。
  それから、指標については、引き続き検討を進めるということが事務局の側からも述べられております。とりあえず、崎田委員もおっしゃったように、経済と環境の好循環ビジョンの中でも、既存のものも折りまぜながら、こんなことではどうでしょうかという2025年の目標のものを示しているんですけれども、それも参考にしながら、では、全体としてどういうようなシナリオが書けるのかという天野先生のご指摘がありました。これは実は天野先生は、「やってみろよ。多分できないだろう」と腹の中で思いながらおっしゃっているような気がするんです。つまり「やると多分データ不足で何も出てこないだろうけれどもね」というのが言外にあることが見えるんですが、少なくとも、この戦略プログラムに関しては、担当各局や各省が、それぞれの思惑で勝手なことを言って、何か適当に数字が出てくるというやり方は、決してこの審議会としては好ましくないので、出てきたものは、やはりちゃんとお互いに関連性があるとか、それから、形式的に3つずつそろえましょうみたいなことに余りこだわらないで実質的に考えればいいということだろうと思います。余り形式にこだわらない、実質のある、読んだらよくわかるような計画ができるように、これから夏、秋にかけて頑張っていくということが、この検討についての提案だろうと理解をいたしまして、そのような主旨であるのは大いに結構ではないかと思うわけです。

○鈴木部会長 本年10月から11月をめどにということですので、その間、夏休みを挟んで、いろいろな関連の方々、いろいろな主体ごとにご意見を伺うというようなこともしなければいけないわけで、ある意味では大変錯綜した作業になるかと思いますが、よろしいでしょうか。ご覚悟いただいたということで、人選の方は、それでは部会長にお任せいただくということでよろしいでしょうか。今ご反対がなければ、ご了解いただいたものとさせていただきたいと思います。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○鈴木部会長 それでは、各分野のご検討をお願いする委員の方々には、また後日、個別にご相談をさせていただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  きょう、大変いろいろとご意見をいただきまして、これにすべてこたえることができるかどうかということもあろうかと思いますが、可能な限り、この文章につきましても検討を加えさせていただいて、次回部会にまたご議論をいただくようになろうかと思います。本日は、大変有益なご議論をいただいてありがとうございました。
  あとは何かあれでしょうか。その後のスケジュール等々はございましたでしょうか。

○佐野環境計画課長 あとは次回でございますけれども、次回、ちょっと間隔が詰まっておりまして恐縮でございますが、6月30日。今度は先生方のご予定を伺いまして午前中にいたしております。10時から13時までという予定で、場所は、この建物の1つ上、10階の会議室でご案内をさせていただいておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
  それから、恐れ入ります。事務局からでございますが、今回、またさらにご発言、また時間の関係でご発言いただけませんでした点等、ご指導、ご指摘ございましたら、なるべく今週中めどで、また事務局へお寄せいただきますようお願いいたします。

       閉会

○鈴木部会長 それでは、本日の審議は終了ということにさせていただきます。
  どうもありがとうございました。


午後5時00分閉会