中央環境審議会総合政策部会(第26回)議事録

開催日時

平成17年4月25日(月) 15:05~17:25

開催場所

経済産業省別館9階944号会議室

出席委員

鈴木基之部会長、安原正部会長代理、大塚直委員、崎田裕子委員、藤井絢子委員、青木保之委員、浅野直人委員、飯田浩史委員、江頭基子委員、川上隆朗委員、河野正男委員、久保田泰雄委員、猿渡辰彦委員、善養寺幸子委員、武田善行委員、田中充委員、筑紫みずえ委員、永里善彦委員、中野璋代委員、中村紀子委員、馬場久萬男委員、速水亨委員、福川伸次委員、星野進保委員、松田美夜子委員、松原純子委員、三橋規宏委員、森嶌昭夫委員、山口公生委員、横山裕道委員、渡辺修委員

議事次第

開会

議事

  1. (1)「環境税の経済分析等に関する専門委員会」の設置について
  2. (2)第二次環境基本計画の見直しについて
    • ・諸外国における計画について
    • ・環境政策に関する理念や手法の状況について
    • ・目指すべき社会像について

その他

閉会

配付資料

資料1-1 環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置について(案) [PDF 11KB]
資料1-2 中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の設置について(案) [PDF 8KB]
資料1-3 中央環境審議会議事運営規則 [PDF 18KB]
資料2 諸外国における環境総合計画等の動向に関する総括表 [PDF 23KB]
資料3 環境政策に関する理念や手法の状況について [PDF 27KB]
資料4-1 目指すべき社会像について [PDF 8KB]
資料4-2 目指すべき社会像について(別添資料) [PDF 23KB]
参考資料1 諸外国の環境総合計画等(概要)
参考資料2 アジェンダ21と持続可能な開発に関する国家戦略について
参考資料3 「(資料3)環境政策に関する理念や手法の状況について」関連資料
参考資料4 「(資料4-2)目指すべき社会像について(別添資料)」関連資料
参考資料5 社会経済の状況について
参考資料6 第二次環境基本計画の見直しスケジュール(案)
参考資料7 中央環境審議会総合政策部会名簿

議事録

午後3時05分開会

○苦瀬計画官 まだお見えでない先生方も何名かいらっしゃいますが、定刻を若干過ぎましたので、議事に入ります前の、お手元の配付資料のご確認から始めさせていただきたいと存じます。
 それでは、配付資料でございますが、お手元の資料1-1が環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置について(案)でございます。
 資料1-2が、中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の設置について(案)でございます。
 資料1-3が、中央環境審議会議事運営規則でございます。
 資料2が、諸外国における環境総合計画等の動向に関する総括表でございます。
 資料3が、環境政策に関する理念や手法の状況についてでございます。
 資料4-1が、目指すべき社会像についてでございます。
 資料4-2が、目指すべき社会像について(別添資料)でございます。
 その後ろに、参考資料といたしまして、参考資料1、諸外国の環境総合計画等(概要)、参考2、アジェンダ21と持続可能な開発に関する国家戦略について、参考資料3、「環境政策に関する理念や手法の状況について」(関連資料)、参考資料4「目指すべき社会像について(別添資料)」関連資料、参考資料5、社会経済の状況について、参考資料6、第二次環境基本計画の見直しスケジュール(案)、参考資料7、中央環境審議会総合政策部会名簿でございます。
 ほかに、いつものように環境基本計画と、それから環境と経済の好循環ビジョンについての資料が、この会議の席上用ということでご用意してございます。

○佐野環境計画課長 ここでご披露させていただきます。
 今、委員の皆様方の机の上に「環境ビジネスウィメン」という冊子をご用意させていただきました。これは小池大臣の音頭によりまして、環境と経済の好循環をつくり出す上で、環境に関するビジネスを特に立ち上げられて活躍をされておられます女性にお集まりをいただいて、崎田委員にお取りまとめ役をお願いして、本日お見えの善養寺委員にもお入りいただいているんですが、そういった皆さん方のお話を聞く懇談会というのを開催いたしました。この冊子は、普通こういった役所の検討会の報告書というと、出てきたものをまとめて白表紙でつくるということになるんですが、そう申しましたところ、ご参加の方々は、それではおもしろくないから、普通の人に読んでもらえるようなものを書きおろされるとおっしゃいまして書いていただきました報告書に当たるものが、このたびできております。この基本計画を考える上でも、環境と経済の好循環というようなものを考える上でも、ご参考になるのではないかと思いまして、用意させていただきました。ご高覧をいただきまして、あるいは何か機会がございますれば、いろいろなところでご紹介をいただければ幸いでございます。

開会

○鈴木部会長 それでは、ただいまから第26回中央環境審議会総合政策部会を始めさせていただきます。

議事

(2)第二次環境基本計画の見直しについて

○鈴木部会長 本日の議題は主として2つでございます。お手元の議事次第をごらんいただきますと、まず1番として、環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置について、2といたしまして、第二次環境基本計画の見直しについてとございますが、この順を逆転させていただきまして、本日は、まず2番の第二次環境基本計画の見直しについての具体的な、いろいろと皆様方からのご審議をいただき、最後に、環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置についての審議をお諮りしたいと思います。
 それでは、早速ですが、第二次環境基本計画の見直しについての審議に入りたいと思います。前回ご出席になられた委員の方もたくさんいらっしゃると思いますが、環境基本計画の見直しに当たって踏まえるべき環境政策を取り巻く諸要因の検討ということで、各政策分野ごとの環境政策状況及び各主体の状況につきまして、担当の部局から説明をしていただき、委員の皆様方のご意見を伺いました。本日は、この見直しについての議論では議事次第に3点上がっております。諸外国における計画について、そして環境政策に関する理念や手法の状況について、これは前回同様状況をいろいろとお調べいただいたものをご説明いただく。そういうようなことで、事務局の方で資料を整理していただいております。これにつきまして、事務局からまずご説明いただき、また委員の皆様方からのご意見あるいは今後に向けてのいろいろなお考えをお伺いできればと思っております。
 続きまして、目指すべき社会像についてというところは、現在の主要な問題であります持続可能な社会、これが一体どういう姿であるべきか、こういうようなものをご議論いただきまして、これが結局のところ次の環境基本計画のいわばゴールといいますか、一つのターゲットになっていく、こういうようなものであろうと思います。
そういうことですので、まず最初に、諸外国における計画及び環境施策に関する理念や手法の状況、これにつきまして事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

○佐野環境計画課長 ただいま部会長からお話のありましたように、本日、前半の方は基礎的な状況ということで、それでは、諸外国の同様の計画はどうなっているのかということと、それから特に現行計画策定以来、以降出てまいりました新たな政策手法、政策理念のようなものはどういったものがあるかという点につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、諸外国の状況につきましては、資料の2で総括表になっておりまして、もっと詳しいものが参考資料1という格好で、少し厚めのホッチキスでとじたものがついておりますが、基本的に資料2でご説明をさせていただきたいと存じます。
 ここにございますように、主に欧米諸国の、私どもの今課題としておりますような環境基本計画に相当するような類似の計画、特に私どもの現行の環境基本計画が策定された以降にできてきたもの、最近の流れというようなものがどうなっておるかというところを調べてみましたものでございます。
 総括表という形で並べてございまして、主に、例えば、では基本的な枠組みに加えまして、目標あるいは指標みたいなものはどういったものが挙げられているか。あるいは、その前提として一体持続可能な社会のための計画ということで、どういった範囲の視野、あるいは間口というか、そういったものをカバーしているか。さらに、あるいは計画の実効性を確保するため、あるいは参加を促すためにどんな仕組みを持っているかといったような観点から見てみましたものでございます。
見てみますと、まずやはりリオサミットにおきますアジェンダ21、これにどんなものが挙がっているかといいますのは、参考資料の2で別途横に置いて見ていただくためにつけてございますが、ここで持続可能な開発についてということで、例えば貧困であるとか、人口であるとか、人の健康であるとか、セクション2にありますような、私どもが普通考えますような環境問題に加えまして、そういった問題であるとか、あるいはセクションの3にいきますと、女性であるとか、青年であるとか、先住民であるというような、こういうものを掲げましてアジェンダ21がつくられまして、かつ、こちらの参考資料2の3ページでございますが、ここの中の8章というところで、持続可能な開発に関する国家戦略を策定すべきであるという勧告がなされましたものを受けまして、持続可能な開発のための計画という格好でつくりましたというようなものがございます。あるいは、そういったものとちょっと離れまして、やはり環境のための計画としてつくっている国もあるようでございます。
最初の、資料2のメーンの資料の1ページ目、A3の大きな表になっております1ページ目は、EUでどういったものがあるかでございますが、EUも、ここにございますように、アジェンダ21を受けた格好の、よりよい世界のための持続的な欧州という計画と、それから環境行動計画と二本立てで持っております。
環境行動計画の方は1972年、むしろ前回の地球サミットの、リオサミットの前のストックホルムの人間環境会議の年でございますが、そこでもう環境行動計画の策定を欧州共同体の機関に命ずるということでやっておりまして、73年以来何5回の改定を経ているというものでございます。
こちらでは、目標としてとらえておりますのは[1][2][3][4]、温室効果ガス、自然システムの構造、汚染物資、それから資源生産性というような、通常の環境政策が視野に入れているようなものであり、目標については、気候変動のところだけ、京都議定書と同じ、第一発足期間において8%の削減というのと、それからここに正誤表をはさんでございますが、元の資料ですと再生可能エネルギーの発電量に占める割合を12%と書いてありますが、これは間違いでございまして、全エネルギー消費量に占める割合を12%、ここだけ定量的な目標が置かれているというものでございます。
一方、右側にございます、よりよい世界のための持続可能な欧州、こちらの方は、アジェンダ21を踏まえましてつくられたものということで、例えば主要課題として、気候変動、エネルギーといったようなものに加えまして、公衆衛生であるとか、4番目の貧困と社会的阻害者であるとか、高齢者といったようなものも視野に入れてつくられております。
こちらの目標の立て方ということで、これは主要分野につきまして幾つか、ここに上げましたそれぞれについて並べておりますのは、参考資料1の9ページからいろいろ並んでおります。気候変動の抑制とクリーンエネルギーの活用というようなところから順次、数字は斜めにごらんいただいていますが、数字は余り入っておりませんで、定性的な書き方のものが多くなっておりますが、こういうような、それぞれ大ぐくりにした課題の下に幾つもの目標を掲げているというような構造になっております。
大きな表の2ページ目から、欧米の各国ごとの類似の計画を見てまいりたいと思います。
最初に出てまいりますオランダ、これも国家環境政策計画という、環境だけのものと、アジェンダ21を受けた持続可能な開発戦略というものを別につくっておる国でございます。環境政策の基本計画の方は2001年に策定されたものでございまして、これは、比較的普通の環境政策、それでも[1][2][3][4][5][6][7]とあります、持続可能なエネルギー、生物多様性と自然資源、環境自然農業、持続可能な農業、化学物質というようなところに加えまして、[5]に外部安全政策の改革、ハイリスク事業者というのは、例えばこれはプラントの爆発事故みたいなものの防止を視野に入れておるようなものでございます。それから、放射線バイオテクノロジー、食の安全というような、現在の我が国の環境政策の範疇より多少広い、隣接した分野まで取り組んでいるというような形のものでございます。
これに対応した主要な目標が置かれておりまして、その中では一部定量的な目標が置かれている。これがまたぞろぞろと並んでおりますのは、参考資料の1の方の17ページぐらいのところからずらずらっと並んでおるんですけれども、例えばCO2の排出量ですと、2030年時点で40%から60%削減、あるいは2030年までに20万から30万ヘクタールの農地を湿地に戻すというような計画のものも含めまして、各分野いろいろ並べてあるという形の目標でございます。計画の実効性のためにはこれらの概要の報告書をやりなさいとか、環境影響評価をやりなさいとか、政策評価をやりなさいというような仕組みを持っております。
一方、右側のオランダは、アジェンダ21を受けました持続可能な開発戦略を別につくっている国でございまして、こちらの間口といいますか、どこをターゲットにしているかということについて見ますと、[1][2][3][4][5]というふうに、気候変動、水、生物多様性というのに加えまして、人口であるとか、知識、これは教育とか介護というような切り口のようでございますが、こういったものも一まとめにしておりまして、アジェンダ21を踏まえながらも、やはり国の置かれた課題を踏まえて構成してあるというようなことではないかと思います。
これらについては、5テーマに対応した目標をつくる。どうも英語になったものを私どもの担当者が一生懸命見たのですが、つくることになっているというぐらいのレベルのようでございまして、その中で、定量的な目標があるのは高水準の雇用、恐らく、勤労者年齢、労働力年齢の人口の70%の雇用という、これだけがはっきり目標として置かれている。こういったような構成をとっておる計画でございます。
次に、3ページにまいりますと英国とドイツの例を書いてございます。英国のSecuring the Futureという、これもアジェンダ21の要請を受けて策定された、1994年に策定されて以後、5年ごとぐらいに改定をされているという計画でございます。
ここの枠組みといいますのは、[1][2][3][4]にございますように、持続可能な消費と生産、気候変動とエネルギー、天然資源の保護と環境の改善、それから持続可能なコミュニティとより公正な社会ということで、[4]のところに、コミュニティ活動であるとか、雇用とか、犯罪とか、貧困とか、福祉、教育といったようなものも視野に取り入れているということでございます。
これらに対応して、今、[1][2][3][4]と申しましても、いろいろな要素を含んでおりますので、進捗状況を示す68の指標という格好で数値的な指標がぶら下がっている。温暖化のところですと2010年までにCO2を20%削減というような形になっておるという計画でございます。
一方、ドイツは、これは2002年にできたものでございまして、アジェンダ21を受けたというものはありましょうけれども、ヨハネスブルクサミットを受けてドイツの貢献姿勢を明確にするということでつくられた計画でございまして、これも枠組みとしては、世代間の平等、生活の質、社会的団結、国際的責任という、こういう余りイシューでないような、私どもの感覚でいえば横割り的な切り口を目標に掲げまして、その中に、温暖化であるとか、農薬、大気汚染であるというような、いわゆる環境問題の目標というか、ターゲットと、加えて教育であるとか、雇用であるとか、犯罪であるとか、外国人であるとか、開発協力であるという、こういう社会的な目標のようなものが並べて組み込まれているという形の計画をつくっておられます。
これのための指標ということで、これはやはり4つということよりは、その構成要素として21、参考資料1の42ページぐらいのところから並んでおりますが、これはかなり数値的な目標、1番は2020年におけるエネルギー原材料の生産性、いわゆる環境効率性を2倍にする。それから、温室効果ガスですと21%削減をするというふうに、各かなりの部分について数値の目標が置かれているという形の計画になっております。
さらに、主目標の達成のために、政府を挙げて、財政あるいは福祉、雇用みたいな、多様な部分について施策の計画を書いている。それで、実効性の確保のためには2年ごとに政府が点検をやって報告書を作成する。あるいは、もちろん政策計画レベルで環境影響評価をやるといったようなものを掲げております。
最後の4ページ目は、米国とカナダでございます。この両国の点で共通しておりますのは、環境分野に限らず、米国ですと3番目の策定根拠のところにございますGovernment Performance and Results Actという、我が国でいえばどうも政策評価のような、要するに政府がどれだけの成果を上げているか、きちんと計画を立ててフォローアップして公開しなさいという、こういった政府共通的なルールがございまして、それに基づいて環境分野はEPAがつくっているという計画でございます。
これも、切り口から言いますと、[1][2][3][4][5]にございますように、清浄な大気と気候変動、水、土地、それから健全なコミュニティと生態系、それから制度の遵守と環境管理というふうに、5番目だけ何か対象物の切り口がちょっと違っておりまして、こういうふうに、切り口が違う。縦から切ったり、横から切ったりというようなものを並べるという例も見られるようでございます。
これに対しての目標の置き方をどういうふうにしているかと申しますと、まずそれぞれの、先ほどの[1][2][3][4][5]に対応するような、これの目標の姿というのは、参考資料1の48ページでございますが、ここではかなりいわば作文で、大気のところですと、大気が保護改善され、健康に呼吸でき、人間の健康と環境へのリスクを低減するといったような、こういった定性的というか、理念と目標が書いてございまして、これの会に、50ページからでございますが、幾つかかなり多数の、135に及ぶような個別の、これもほとんどが数値を持っている指標が置かれているという形をとっております。
それから、同じくカナダでございますが、これもアジェンダ21を契機としておりますが、契機として、要は各省庁に環境施策の計画をつくりなさい、そういった形をとるという形で計画がつくられておりまして、29省庁それぞれがつくるといいますので、今の我が国でいえば各省庁の環境保全の方針みたいな形の立て方をしておりまして、環境省は、97年、2001年、2004年とつくっているということのようであります。
それで、各省共通してこういったものを目標に掲げようということでは、自然資源の維持、カナダ人の健康及び生態系の健全性、国際的義務への対応、公平の促進、生活の質と健康・福祉の改善といったような、こんな範囲を間口にするといったような計画になっております。
では、これを受けた格好の指標目標ということでございますが、資料の66ページに並んでおりますが、こちらはどうも2001年以降のものには定量的なものは置かないというような形のものをとっているようでございます。
駆け足で見てまいりまして、英語になった資料を検討したのですが、どうも実態がいま一つ私どもの理解力が及んでいないところがございますが、諸外国、どういったふうな傾向があるかというふうに見ますと、比較的今まで、また我が国においても環境問題ととらえられているようなところにとどまっているものもございますし、それに加えて、特にアジェンダ21を受けたものについて、生活の質、コミュニティ、人口、財政といったような分野まで統合的に見ているものもあります。
それから、目標、構成の仕方についても、アジェンダ21をそのまま引っ張るというよりは、それぞれの国の置かれた課題の状況にあわせて組み直しているというようなことがいえようかと思います。あるいは、目標、指標の置き方について見ますと、ほとんどの国で何らかやはり定量的な指標を持っているということがいえようかと思いますが、あと、どの程度のレベルかと見ますと、例えばEUのように、もう京都議定書の目標そのままというようなものもありますし、それからいろいろな分野にわたって多岐な定量的目標というようなものもございます。
それから、やはり各国とも何らかの形で点検を行う仕組みを用意する。それから、あるいはパートナーシップとかコミュニティというようなものを掲げて参加を促すというような仕組みを持っているということがいえようかと存じます。
続きまして、資料3によりまして、私どもの現行環境基本計画の策定以後に出てまいりましたものを中心に、政策、理念、手法といったようなものにどういったものがあるかということを、あわせてご説明をさせていただければと存じます。
これも具体の内容につきましては、参考資料の3というところにつけてございます。表紙のところに幾つか政策理念、手法が並んでおりますが、むしろ主に現行環境基本計画以後に提言されるようになってまいりましたものが、網かけになっているものでございますので、おおむねその部分をかいつまみましてご説明をさせていただきたいと存じます。 あけていただきますと、環境効率性というもののもとにありますような、例えば環境に配慮した製品がつくられるための仕掛け、あるいは環境に配慮した商品が売れるための仕掛けというようなものの中では、源流対策、言語ですと、アップ・ストリームなんでしょうけれども、こういったものが出てまいっております。これも余り新しいかというと必ずしもそうではなくて、逆に対立概念としてエンド・オブ・パイプという言い方を従前からされていまして、エンド・オブ・パイプではいけないというようなことは言われてきたわけでございますが、やはり、なるべく環境汚染物資なりその他の環境負荷について、製品などの設計なり、製造過程の段階で工夫をして、汚染物資や廃棄物をそもそもつくらないようにするということを優先すべきだということでありまして、近年3Rを中心とします施策は、おおむねこういった理念から組まれているものではないかと思います。
それから、新しいものでいきますと、2ページ目の[1]、モノの販売から機能の販売へということで、環境負荷という観点から考えますと、モノを販売する。消費者側から見れば物を買って所有するということではなくて、物の持っている機能だけを提供するということで資源消費量が随分減るのではないかという考え方ができております。もちろん、リユースで、新しいのを買うかわりにもう一度使う。あるは買うかわりにリース、レンタルで、要するに使うときだけ賃料を払って使う。あるいは、リフォーム、建てかえるかわりにリフォームをする。あるいは、リペアあるいはメンテナンスのサービスを売るといったような、ここにあります最近出てまいりますのは、松下電器が開発しましたあかり安心サービスということで、蛍光灯を売るのではなくて、蛍光灯自体はいわば松下側が持っていらっしゃって、蛍光灯が光るという部分のサービスだけを、いわばリースに近い格好で提供をするというようなビジネスでありますとか、その他、カーシェアリングというようなビジネスモデルが出てきているところでございます。
それから、理念として、もう一つは協働原則、公共主体が施策を行う場合には、施策に関連する民間の各主体の参加を得て行うべきであるという原則、こちらの柱の下にあるものとして、その前に前提としての補完性原則という言い方をしまして、基礎的な行政単位で処理できる事柄はその行政単位に任せ、そうでないものをより広域的な主体に上げていく。あるいは個人で処理できるものは個人に任せ、そうでないものを政府が処理するというふうな理念がうたわれているところでございます。
それから、政策手法という観点から見ますと、網かけがございますのは2の3番で、統合汚染回避管理という考え方をOECD等で出てきております。これも、我が国でも従前から、例えば個別の排出量、大気、水質、土壌というような切り口から見て、排出量を規制するというよりは、環境媒体について統合的に、これはむしろ具体的に何をやるかというと、施設の構造なり、性能なり、つくりなりという面から見れば、こういうものがまとめてみんな見られるぞということでございますので、我が国も、例えば大気汚染、水質汚濁法も、施設の設置の届け出、計画変更命令というような制度を持っておりますし、理念として明らかにならなくてもそれに近い取り組みはされてきたようなものでございます。
それから、各種の手法の中で新しく出てきましたのが、一番最後に並んでおりますオーフス条約ということで、これもリオ宣言からきているのですけれども、環境に関する情報のアクセス、あるは環境問題の意思決定における市民参加、あるいは手法へのアクセス権というようなもの、これはやはり欧州ですとお互いルールを統一して、どこの国も不公平がないようにこのくらいでやろう、これだけはやろうというような条約の形でできてきているという動きがございます。
こういったものを並べてみますと、現行計画から変わらずやはりちゃんと考えていかなければならないもの、恐らく現行計画で上げました環境効率性であるとか、拡大生産者責任であるとか、予防原則であるというようなものもあろうかと存じますし、それから、その中で、やはり現行計画以降具体の動きとして進展が見られるもの、拡大生産者責任のような面では、あるいはエコデザインという面では現実のものとしていろいろできてきておりますので、こういった進展が見られたもの。それから、新たに理念として提言されるようになったものというようなものがあるのではないかと考えております。
駆け足でございますが、新計画の策定に当たりまして、考慮してはどうかと考えるものの、3番目のご説明として、諸外国の動向、それから新たな政策理念として考えるべきものといったところはこんなところではないかと考えております。
以上でございます。

○鈴木部会長 ただいまの事務局からのご説明、諸外国の動向、そして環境政策に関する理念や手法、このご説明につきまして、特に何かご意見がございましたら、少しの時間お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大塚委員 基本理念とか原則に関することを勉強してきたので幾つか申し上げておきたいことがございますが、余りたくさんあり過ぎて、できるだけ簡単に言おうと思いますけれども、これは、例えば今まで出ている、今の環境基本計画にあります、汚染者負担原則を理念としているのを、これを落すというご趣旨でしょうか。追加のことですか。
 それでもいろいろと問題がありますが、政策手法の方に、予防に関する考え方を入れているというのは、これは普通理念の方に入れるので、なぜ手法にしているかという問題が多分あるかもしれません。
 それから、協働原則自体についても、ドイツでもかなり批判がありますけれども、これはとりあえず置いておくとして、補完原則を協働原則の下に置いているというのは、先ほどのご説明ではわからなくはないですが、補完性原則はもともとEUの中で出てきている、EUと各構成国の間の問題なので、行政単位の問題を民間主体の参加の問題にくっつけるのはいかがなものかという感じがいたします。
 それから、補完性原則をここでわざわざ上げることについて、環境省は、例えば地方分権推進の中で、従来出てきていたナショナルミニマムの考え方についてどうお考えなのかというあたりが、実はかなり関係してくると思いますけれども、この辺を精査をしないで、地方分権推進との関係で、総務省などがおっしゃっている補完性原則をここでさっと上げてしまうことは、例えばモニタリングについての補助金等の問題とか、いろいろなことを考えると、私は、ちょっとどうかなという、どういうご見識かなという感じが多少します。それは多分いろいろお考えになった上で上げておられると思いますので、教えていただければと思っております。
 それから、統合汚染回避管理の問題についても、先ほどのご説明だと、前からやってきたことだというご趣旨かもしれませんが、EUの統合汚染回避管理は、むしろこの3つをまとめて一つの基準をつくっていくという方向を考えているんじゃないかと思いますので、日本でこれを本当に入れていいのかどうかというあたり、従来から環境基準等について完全に3つに分けてきていますので、それとの関係でどういうふうに精査をなさった上で書かれているのかというのをお伺いしたいところがございます。
 オーフス条約のことは、私も情報へのアクセス権に入れた方がいいと思っていますけれども、ご承知のように、オーフス条約だと、かなり情報へのアクセス権は現在の日本の制度よりは広げるということを考えていますので、環境省で、ここで基本計画として上げられることについては、今までの制度との関係ではややいろいろな問題が出てくるかもしれません。その辺はどういうふうにお考えになっているのかも、私は、これは賛成ですけれども、お伺いしたいところがございます。

○鈴木部会長 これは、多分、今、現状いろいろな考え方をここでご紹介いただいて、むしろ環境基本計画に関する議論はこれから始まるところなので、そこでいろいろとまたご意見をいただけるのではないかと思います。

○浅野委員 アカデミックな分析・検討という立場からすれば、今の大塚委員のご発言が出されることは当然といえるわけですが、今、部会長がおっしゃったように、ここではあくまでもこういう動きがあるということを言っているだけだと理解すべきでしょう。これをまともに全部取り上げるということであれば、それをどういう形で取り上げるかを含めてもっとこれから議論しましょうという趣旨でもあることだと、思います。ただし統合汚染回避管理の原則は今までも日本で採用してきましたというご説明は、余計なコメントで、あったのかもしれません。
それよりも、第2次環境基本計画ができた後のわずか5年の間でも、世界全体の状況を見るとこんなふうに考え方が次々出てきている。その中には、既に我が国で考えられてきたことがあるし、同じことが別の表現で言われているものもある。それから、現計画の中にはそういう言葉では必ずしも明示に出していないけれども、発想は十分計画の中に含まれているものもある。
 さらにこの部分については、少しは考えてはいたんだけれども、必ずしも十分に考えていなかったとか、特に最近のトレンドをふまえれば、ここを強調した方がいいというものもある。とそういうような形でこの資料を読むことができるだろうと思います。
 補完性原則も、厳密に学問的に言うと、こういうことだという大塚委員のご指摘は私もそのとおりだと思っていまして、日本では補完性原則というのがいろいろな文脈で政策学の人に自由に使いたい放題使われている面があることは事実ですが、少なくとも我々が今後さらに考えていかなければいけないこととして、これまでの一連のこの部会の議論に示されてきたことですが、各主体の役割をはっきりさせ、それをもっと強調し、連携を図るということが、今後の環境基本計画にはとりわけ必要であるということがあります。この点から言うと、環境基本法の構造上、環境基本計画は国の政策方針をまとめ、そしてそれを実施するためにさらに必要なことを並べるという書きぶりになっていますから、どうしてもこれまでは法律の表現に縛られて、国が何をやりますということを主に書いてきたという傾向がありました。これは、第2次計画の点検の中でもいろいろな形でご批判として出てきまして、国だけでできるものではないでしょう。そこをもっとはっきりさせなければいけないじゃないですかという議論が出てきたわけです。
 ですから、そういう意味では、基本法でいっている環境基本計画の内容のうちの第二号の部分により多くのウエートをかけなければいけないということが言われてきたわけです。その一環として言うならば、やはり地域の役割、地方公共団体の役割、コミュニティの役割をもっと強調していく必要があるだろうということもはっきりしてきております。そのことが、国際的な動向から見ても、位置づけはともかく、補完性原則とか、あるいはオーフス条約という言葉で呼ばれている環境情報への多くの人がアクセスを自由にできるようにする必要があるといった形で出ているわけですから、こういうことはぜひとも今後の計画の中では総論の中にしっかり入れていく必要があるだろうという示唆があるというべきではないかという気がいたします。
 統合汚染回避管理について、具体的に統一的なというか、統合的な目標、規制基準のようなものにもっていくかどうか、これは少なくとも環境管理計画などが真剣に考えなければいけないことですが、これまでも、我々はこの計画をつくる段階、原計画の段階でも議論をしてきましたし、その後の一連の流れの中ではっきりさせてきたことは、特に化学物質管理についてはこのことをはっきり意識しています。つまり、大気中に出るものと、水に出るものと、土壌に出るものをばらばらに分断して化学物質の排出基準をつくっても、最後は化学物質が環境の各媒体をぐるぐる回ってしまうのだから、それではどうにも化学物質全体のコントロールになりません。そのことについては我々は既に意識を持っているわけですから、それは、今後は例えば温暖化とのつながりの中でこういう点はどうなのかといったような形で、視野を広げて見ていくということは必要だということもはっきりしてきていると思います。
 既に我々がどっちかというと、化学物質管理のような世界だけで考えていたことが、今度は温暖化対策と交通とか、あるいは森林管理とか何とか、いろいろなものが結びついて、それぞれのところで一つの指標をつくり、目標をつくり、基準をつくったときに、他のところではそれがマイナスに働くようになったら、そういう基準づくりはできるだけ遠慮した方がいいといったようなことを、我々は意識しなければいけないという点を明らかにする意味で、この言葉は意味がある。こんなことではないかと思っております。

○鈴木部会長 いろいろな環境分野の領域あるいは要素が、インタリンケージを考えなければいけないというのは、前回も強くご指摘いただいていることだと思います。そういうような観点から、ここでご紹介いただいた考え方は、これから議論していく上でのいわばコンポーネントといいますか、一つの考慮すべき要素とお考えいただければと思います。

○河野委員 最初に説明をいただいた、諸外国における環境総合計画等の動向に関する総括表の説明のところで気になった説明があったので、確認をさせてもらいたいと思います。
 環境基本計画といいますか、環境基本計画に限らず、計画ですと、その計画の目標を指標化して、その指標化したもので進行管理し、評価するということが一番やりやすいのだろうと思ってます。そのことを念頭に置きまして、各国の指標の状況についてご説明を聞いておりましたところ、EUとカナダ等は指標が少ないということでした。EUは加盟各国の状況に違いがありますから、特殊の条件が加盟各国にありますから、大枠だけ決めて、多分細かな指標は各国に委ねて決めていないのだろうと思います。
 それから、ドイツやイギリスではかなり指標が決まっていまして、我々のこの環境審議会も、可能なかぎり指標化という方向をたどるのだろうと思っています。カナダについては、指標化のところは少し後退しているかのように見えますが、67ページをたまたま開いたら、進行管理については常設機関を設けて管理することのようです。モニタリングするというようなことも書いてあります。それから、オランダも、下の方に、環境バランスを報告するとあります。これは多分エコバランスのことではないかというふうに思います。これは多分目標があって、その目標の達成状況について報告するというようなことが多分方向としてはされると思われます。そういうことを考えますと、多分各国とも、計画における目標の指標化ということでは進んでいるのではないかという理解をしているんですが、確認といいますか、状況を一般的な状況ということで、それぞればらばらのようなご報告があったかに思いましたので。

○佐野環境計画課長 大塚委員、それから河野委員からご指摘のありましたところを、お答えできます範囲でご説明をさせていただきたいと存じます。
 私どもの方も直前まで、確かにコンサルタントも含めましていろいろ準備をしておりまして、勉強し切れなかった部分もございます。あるいは、大塚先生などは事前にお持ちしてご指導いただければよかったのですが、至らないところもございます。
 例えば、ただ、やはり地方との関係で言いますれば、やはり三位一体改革なりあるいは市町村合併の大幅な進行といったようなことを考えますと、一体、環境行政において、国と都道府県と市町村との役割分担を今後どうしていったらいいのかというようなことは、これからのスパンのところでかなり大事な問題になってくるのではないかと思っております。
 それから、我が国全体の一つの約束ごとといういか、基本理念というものを、環境行政だけ真っ向否定するということもなかなかしがたいわけでございますので、そういったものがある中で、では一体これからの環境政策をどうやっていったらいいのかというのは、この計画の策定の中で考えることではないかというつもりで、こういった切り口があるというものを今回ご説明させていただいたものでございます。
 同様に、統合汚染管理ということにつきましても、私どもの公害行政におきましても、例えば極力合理化をすべきであるという要請、例えば現実に規制を担っております地方の公害部局、予算、人員とも大変厳しい状況にもございますし、そういった中で、新たな理念も出ていく中で、どういったことを考えていく必要があるかということであろうかと存じます。
 それから、河野先生からご指摘のございました諸外国の目標の設定の仕方でございますが、カナダにつきましては、私どもの担当者も一生懸命英文の資料で探したのですが、どうも参考資料1の65ページぐらいから並んでいる、計画の結果できてきた成果のようなものについて、Long-Term Outcome、Intermediate-term Outcome、それから、コミットメントというような形で整理をされているんですが、そのOutcomeであると言われているところにも、どうも何が何%というものはカナダにはない。私どもが見つけ損なったのかもしれませんけれども、そういうような状況でございます。
オランダのものも、指標があるというのは別途指標の方の検討では資料を見たことがありますので、まだ我々の理解が足りないのかもしれません。どういう位置づけのものでどういう関係にあるのかということの理解がまだ足りないのかもしれません。引き続き調べさせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 また、詳細につきましては今後いろいろ基本計画を検討していく段階で、必要に応じてお出しいただければと思います。
 それでは、時間の制約もございますので、本日の主要な議題になろうかと思いますが、2番目の、目指すべき社会像について、これにつきましてご説明をいただき、またご議論いただきたいと思います。

○佐野環境計画課長 それでは、資料の4-1、それから4-2、それから参考資料の4、だんだん厚くなっていくわけですけれども、そういう関係でご説明をさせていただきたいと存じます。
 今度の環境基本計画をどういったものにしていくかという点をご指導いただくに当たりまして、まずそもそも目指すのが持続可能な社会であろうということについては、おおむねどう考えてもそうなるのであろうと思いますが、では、一体持続可能な社会というのがどういう姿のものなのか。今、ごらんいただきましたように、諸外国の計画の例でもかなり間口の取り方といったようなものはいろいろあるというような状況の中で、あるいは歴史的に我が国がいろいろ目指してきましたものの中でどういうふうに考えていったらいいのかといったようなところにつきまして、4-1に、私どもがご指導をいただければと思っているような論点というか、問題点を並べて書いたようなものがございます。こういったものを考えるに当たりまして、今まで私どもの歩んできたものにどんなものがあるかというのを資料の4-2で整理してございますので、先に4-2の方を簡単にご説明しまして、それからさらに前回以来説明しております、今の世の中の状態が概略どうなっているのかというのを、これは横に置いて見ていただくのに並べたものが参考資料の5でございますので、資料4-2のご説明を先にさせていただければと存じます。
 1枚目に、これまでの環境基本法なり現行の環境基本計画ではどんなものが書かれているかということで、環境基本法で、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、こういったものを目指すのだというふうになっているわけでございます。
 これまでにつくられた生物多様性の国家戦略、あるいは循環型社会形成推進基本計画といったようなもの、それから先日こちらでご審議いただきました環境と経済の好循環ビジョンというようなものにもいろいろな切り口が出ております。
 現行の環境基本計画では、では、持続可能な社会というのはどういうものかということで、[1][2][3]とございますように、環境の側面はもとより、経済的、社会的な側面において可能な限り高い質の生活を保障する社会であって、社会全体が環境の側面から見て健全性を保っていること、あるいは環境を構成する大気、水、土壌、生物間の相互関係により形成される諸システムの間に健全な関係を保つというような、こういった[1]から[8]までというのが現行計画の目指す世の中の姿というふうにされているわけでございます。
 では、新たな基本計画での視野、あるいは、そこの目指します持続可能な社会ということでどういったことを考えたらいいかということでございますが、これまで日本と世界でどういった流れがあり、どういったものが出てきたかというのを、議論の前提としまして資料4-2の2ページに年表形式でまとめております。
 一番最初の我が国の目指す社会像というと、まず所得倍増ということだったわけですけれども、1972年、ちょうどこの年にストックホルムの国連人間環境会議がありまして、ローマクラブの成長の限界が出、一方このときは日本では日本列島改造論が出た。翌年の石油ショックを経まして、その後田園都市国家構想というものが出、また1980年代になりますと、前川リポートによる構造改革というようなものの提言がされる。この間、世界では、80年代の末に、ブルントラント委員会で、ここで持続可能な開発というふうな提言がなされ、92年のリオサミットでアジェンダ21というような格好で、目指すべき世の中の形が世界では一つ示されたわけでございます。
 90年代、バブル崩壊以降、我が国の社会の姿を示したものといいますと、一つは例えば骨太の方針といわれているようなもの、これは平成13年、2001年になりますけれども、3ページ以降に、これら上げましたものの本当の骨というか、キーワードが書いてございますが、この骨太方針のキーワードというのは、努力する者が夢と希望を持って活躍し、市場のルールと社会正義が重視される。だれもが豊かな自然と共生し、安全で安心に暮らせるとともに、世界に開かれ、外国人にとっても魅力ある社会という言われ方がされたわけでございます。
 環境の分野では、現行の環境基本計画がつくられ、あるいは2000年に国連のミレニアム宣言、あるいは政府では生物多様性の国家戦略、循環型社会の基本計画というようなものがつくられた。
 こういった世の中の姿を描いたものとして最新のものとして、内閣の方で検討しておりました日本21世紀ビジョンといったようなものが、つい先日公表されました。参考資料4の末尾のところに、この計画が理念として掲げたようなものを示しております。
 これは内閣府におかれます経済財政諮問会議に置かれました日本21世紀ビジョンに関する専門調査会といったところでまとめておったものでございまして、つい先日、4月19日に公表されたものの、これも基本的な構成を一番最後のページにコピーして載せてございます。ここでは何を言っているかといいますと、我が国が今後一、二年の間に構造改革を怠ると、2番目にありますように、人口の減少によりまして生産活動も縮小して、緩やかに衰退する経済になるのではないか。あるいは、大きな政府が経済活動の重し・足かせになって、活力を欠く、高負担、高依存社会になるのではないか。これに対しまして、右にありますように、いわば生産性を向上させることを成長の原動力にして、生産性と所得が好循環するような社会、人口が減ってまいるわけでございますが、1人当たりにすれば2%制度の成長を維持する。
 それから、豊かな公・小さな官というキャッチフレーズのようなんですが、自分の可能性を高めながら公の活動を担うということであるとか、将来世代へ負担を先送りしない財政再建というようなものがいわれております。
 それから、左側の列の一番下にございますが、画一主義が地域の自主的な取り組みを阻むと郊外のゴーストタウン化といったことにつながるのではないか。これに対して、地域主権という言い方をしておりますが、地域政策においても選択と集中が必要ではないか。この結果、コンパクトなまちづくり、人口も減ってまいるときに、大きくベタに広がった都市の構造というのを考えた方がいいのではないかというような、こういった提言をされたものが出ております。
 その後、資料4-1、薄い方の資料の4ページ目でございますが、こういった我が国のいわば社会像を示したもの、それから国際社会において示したもののほかに、いわば草の根レベルの、ライフスタイルとしての草の根のレベルとしては、4ページの下の(1)(2)(3)と、特に(1)の米国ではLifestyle Of Health And Sustainability、健康的で環境面で持続的な可能性というものを重視するライフスタイルを提言する。
あるいは、イタリアでスローフード、ファストフードの反対概念というか、カウンターであろうと思いますが、そういったものを大事にする暮らしをしようではないかという運動が起こってきているということでございます。
 それでは、そういったことを踏まえまして、本日ご審議を賜れればと思っているところでございます、資料4-1でございます。新しい環境基本計画をつくってまいるに当たりまして、どういったことを踏まえるべきであろうかということで、私どもなりに、課題、視点ではないかと考えましたところを[1]から[8]までにまとめてございます。
 まず、社会のあり方としての持続可能な社会という言葉で何を議論の対象とするか。どういった間口を考えるか。特に社会的側面として何を考えるか。好循環ビジョンにおきましても、健やかで美しく、豊かな環境先進国という言い方がされているわけでございますが、環境と一体となって考える、広い意味での豊かで安心できる暮らしの要素というのはどんなものがあるであろうか。
 それから、特に持続可能な社会のためにどのような役割が、地域社会、コミュニティに求められるか。そういったコミュニティのありようというものはどういったものか。あるいは環境のための活動からコミュニティをつくっていくということを考えるべきではないか。
 それから、一方、社会資本をどう考えるか。あるいは自然との触れ合いや自然の活用をどう考えるかということと、温暖化なりとのバランスをとりつつ、どういった国土を目指していくか。
 それから、民間でできることは民間でという政府の方針に照らしまして、国、地方公共団体はどのような役割を果たすべきか。行政がどのような関与をしていくか。
 それから、人口が減少していく中で、これまで見てまいりました社会像の中で、生かすべき部分、変えていくべき部分、どういったものがあろうか。
 それから、これからは価値観にかかわる選択というものが重要になってくる中で、国民あるいは地域住民、社会というものが政策決定過程にどのように参画していくか。あるいは、国際社会の中で日本が果たすべき役割をどう考えるか。
 一方、我が国の文化、歴史の蓄積というものを踏まえて、世界史における我が国の役割を示す上での我が国の目指すべき社会というものをどう考えるか。こういった論点、留意点というのがあるのではないかと、私どもなりに思っているわけでございます。
 これを環境基本計画のつくり方というところへ引き寄せた切り口から見ますと、環境への負荷の少ない持続可能的発展が可能な社会、あるいは持続可能な社会という中で欠けている視点というのはどういったものか。
 それから、今まで見てまいりましたように、アジェンダ21におきましても、社会経済的な側面というのがいろいろ上げられて、これらが統合された意思決定が行われるべきである。あるいは、統合した国家戦略の策定が求められているという中で、例えば環境と経済の好循環ビジョン、これは主に環境と経済との関係から考えたわけでございますので、それに欠けている視点というものがあろうか。あるいは、歴史、文化といった価値、あるいは社会的な側面と環境との関係についてもっと掘り下げるべきではなかろうか。
 さらに、こういったことで考えました目指すべき将来像、姿というのを各主体にわかりやすく伝えるという努力が必要ではないか。特に私ども小池大臣は、持続可能な社会という言葉は非常にかたいということをかねがね申しておりまして、どうやってその姿を国民にわかりやすい形で伝えてまいるか、こういったことも課題ではないかと思っております。
 こういったところ、本日ご審議を賜りたい点を、私どもなりにまとめたものが以上でございます。

○鈴木部会長 大変難しいあるいは中身が議論し出すと切りがない問題でもあるんですが、非常に短い時間でこれまでの背景あるいは考慮すべき点をご説明いただきました。
 それでは、これから委員の先生方から忌憚のないご意見、そして、これからまさに、第3期の環境基本計画に向かってどこをターゲットにしていくのか、そういう議論が始まっていくことになりますので、ぜひ皆様、後で言い忘れたというようなことがないように、ご意見をお願いしたいと思います。

○崎田委員 非常に幅が広いので、きっかけで、私が今これを伺いながら感じたことを発言させていただくのをお許しいただきたいと思います。
 実は、持続可能な社会という言葉を最近非常に使っていますけれども、そういうときにみんなが思っているのは、自分たちの今を生きる世代だけではなくて、次の世代、将来世代も同じように心豊かに生きられるような社会につなげていくためにはどうだろうか。あるいは、それだけではなく、日本だけではなく、ほかの国の方たちと、国際的な視野で交流感を持ちながらきちんと皆で生きていけるにはどうしたらいいか。そういう国際的な公平性とか、そういうような視点が非常に強く話されていると思います。
 そういう視点が、先ほどいろいろお話になった中に、今までの中に余り強く出ていなかったのではないかという感じもいたします。そういうようなことを考えて、では、それをこの次にどういうふうに生かすかということを考えると、私は、今、地域社会の中で、みんなが地域の中で市民参画型に何か活動を起こしていって、まちがどれだけ快適になるかというような動きを地域社会の中で仕掛け、そしてそういうような全国の活動を応援するという全国ネットワークの運営などもしております。そういうことからいくと、本当に安心・安全なまちにするはどうしたらかいいかとか、自分たちそれぞれが地域社会の中で誇れるまちをつくっていくためにはどうしたらいいのか。いわゆる伝統とか文化とか、そういうことも入れながら考えていくにはどうしたらいいかとか、いろいろな国際的な方たちとどういうふうに地域の中で生きていったらいいのかということが、非常に大きな問題として出ています。
 そういう意味で、これからどんどん多様化して、価値も暮らし方もいろいろ多様化する中で、地域社会の中できちんと生きていけるという、そういうような、つなぐ視点、いわゆる環境と経済効率性、そういうことをつないでいって、人々が心豊かに住めるようにするにはどうしたらいいか。あるいはそれを地域の中に具体化するにはどうしたらいいかということが大事なことなのではないかなと感じています。
 そういうことを踏まえて、例えば今度の環境基本計画などで、国がどういう方向性を持っていくかというようなことを考えたときに、やはりぜひ、暮らしの現実、社会の現実、まちとか、都市とか、国とか、国土とか、そういう現実を動かしていく、変えていくということにきちんと視点を置いていただければありがたいなというふうに思っています。
 そういうときに、環境省の部分だけではない、例えばいろいろな、国土交通省が社会資本整備のいろいろな施策を打っていらっしゃったり、農林水産省がいろいろな循環型社会の政策を打っている、林野庁もとか、いろいろなすべての施策を統合しながら、国をどうするのかというビジョンをはっきり見せていただくことで、地域社会の中でそれを具体化するような、活性化したまちづくりとの相乗効果が出てくるのではないかなというふうに感じました。
 その辺だけ先にコメントさせていただいて、いろいろと先生方のご意見などをうかがえればと思います。

○鈴木部会長 まさにサステーナブルな社会、国というのは、環境省というよりは、国土デザインというか、国を、グランドデザインをどう考えるか、残念ながらそれを考えていただくところが、私が余り言ってはいけないのかもしれませんが、21世紀のビジョンも、ある意味では経済、財政という観点からおつくりいただいた。ここにやはり本当にサステーナブルと別のファクター、必要なファクターをいかに盛り込んで考えていくかということも必要だろうと思います。
なるべく大勢の方にご意見をいただきたいと思いますので、2分以内ぐらいのつもりでお願いします。

○久保田委員 労働組合の立場からすれば、まず国際的な労働運動の議論という面からすると、持続可能な開発だとか、持続可能な社会というのは、このアジェンダ21のようなコンセプトで語られます。したがって、環境問題だけではなくて、貧困だとか、雇用の問題や、さまざまな福祉の問題や、そういう文脈の中だろうと思います。
 したがって、基本的には経済政策と社会政策、社会政策の中に環境問題があるとすればそうだし、もっとベーシックな地球をシェアしているという感覚からすると、経済政策と社会政策と環境政策の整合性をどうとっていくのかということが、まさに国内だけではなくてグローバルな、宇宙船地球号という時代の中で問われているということではないか。
 しかも、労働組合としては、先進国も発展途上国も今グローバル化が一層進みつつある中で、その方向はいい方向に向かっているのだろうかという、見直しなり問題意識を非常に持っています。一言で言えば非常に格差社会が地球上で、しかも先進国であっても、発展途上国であっても広がりつつある。したがって、グローバル化の正の側面だけではなくて、負の側面等々が非常に広がりつつある中で、その中に環境問題も埋め込まれているというふうに理解をしているんですが、そこをもっと根源的に整合性をとっていく政策的議論、あるいは民主的議論というのが必要ではないかというふうに感じております。
 そういう意味で言いますと、環境基本計画を総合政策部会ということになっておりますけれども、実はここで問題提起されているような、日本あるいは社会の21世紀の形といいますか、そういうことについてはもっと、環境省というか、一省庁を越えて、本当に広い意味で議論をしなければならないのではないか。所得倍増計画、列島改造計画の後の田園都市構想計画以降については、本当はもっとしっかり議論をして、政策転換を早目、早目にやっておくべきだったところが、二の足が働いて、おくれてきたレーガン、サッチャー革命を今同時にやらざるを得ないという側面にあるのではないかという点を思っています。
 端的な言い方をすれは、一財政経済諮問会議がぽっと出すビジョン21というようなところで、日本の国の政策決定が動かされてはかなわないという点で、まさにもっとこの国の、日本のあり方等々について国民的議論と、そういうことの中で、環境政策も含めて、施策方向をどうするのか。それはお上だけではなくて、一人一人の国民がみずからどう参画をし、自分の行動をどう変えていくのかということの議論ではないかと思います。言いたいことは、もっと広い立場でぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。

○武田委員 ここの目指すべき社会像[1]のところに書かれている、持続可能な社会とか、健やかで美しい豊かな環境先進国という言葉自体は、大変立派な言葉で、総論的にこれはだめだとなかなか言いづらい面があるわけです。問題は、こういう理念を掲げながら、どのように施策を展開して、どのような結果が出るかということが問題だろうと思うんです。
 焦点を絞って言うと、例えば、京都議定書の問題についても、現状日本の状況は非常に厳しい状況です。何が厳しいかというと、民生だと思うんです。33%にふえている。ここについて、はっきり言えば、現在の政府のコントロールは及んでいない。ノーコントロールの状況にあるというふうに言わざるを得ないと思うんです。ですから、実際に幾ら理念を掲げても、効果があるような方法に結びつくにはどうすればいいのかということが、どのように規定されるのかということだと思うんです。
 先ほどのご説明でも、各国は定性的問題と同時に定量的な目標を掲げています。今度の京都議定書の目標達成計画が出されておりますが、この中の国民運動というところに、ややそういう、各世帯に期待されるエネルギー消費量を国民の行動の目安として策定し云々と書いてありますが、やはり国民一人一人が、意識はあるけれども、行動に結びついていない。その行動をどうすればいいかという指標をどうやって示して、どうやって実践してもらうのかということこそ大事だろうと思うんです。
 その辺について、どのようなことが現実に、この大きなビジョンの中で考えられようとしているのか。具体的な定量的なものが国民に対してどのように示されようとしているのかというところこそ、大事だろうと思いますので、もしそういう観点で具体的な方法があるようであれば、お教えいただきたいと思います。
 以上です。

○筑紫委員 こちらの資料4-1の目指すべき社会像について、私も考えてはいるんですが、例えば[8]ですけれども、独特の文化を持ち、歴史的知恵の蓄積を持つことを踏まえ、世界史的な役割についてこれからの日本がどのような社会を目指すと考えるかというようなものなんですけれども、どの国にも独特な文化があって、歴史的知恵の蓄積はあると思うんです。ですから、そこで殊さらに、特に日本で独特の文化を持ち、歴史的知恵の蓄積といったときに、何をおっしゃっているのか。ただ、私は、これは、ここを考えていかなければいけないということについては大賛成なんです。ですけれども、簡単におっしゃっているけれども、これは何なのか。
 それから、例えば以上の視点を踏まえつつ、以下のような観点からの議論をという(2)のところで、やはり下の方で、環境と経済の好循環ビジョンに欠けている視点として、特に、歴史、文化といった価値を踏まえつつ、社会的な側面と環境との関係についてと言っておられるんですけれども、これはどういう意味でしょうか。
 宗教とか、そういったものも、例えば、国家神道の前の古神道とか、よく海外で神道は非常にエコロジカルだということで関心が高いというのを最近感じるんですけれども、こういったことを考えていらっしゃるんでしょうか。それを後でお聞きしたいんですけれども、漠然とおっしゃっているのでしょうか。
 以上です。

○鈴木部会長 後でお答えがあればしていただきたいと思いますが、ここはともかく問題提起であって、これに基づいて我々が議論してつくっていく、そういうものであるとお考えいただければと思います。

○永里委員 今の筑紫委員のことについて、私は逆に、この1ページに書いてあるからそういうことをおっしゃったのであろうと思います。いろいろな矛盾も含んだ上でいろいろなことを考えて、もっともっとお書きになりたかったのでしょうけれども、また、2分間で皆さん意見を言ってくださいといっても、これも大変難しいことでして、私も2分間で言うにはどうしたらいいんだろうと考えたのですが、環境基本計画における目指すべき社会像を考えた場合に、魅力ある社会をどうやって築くのかということだろうと思います。
 では、魅力ある社会とはどういうことなんだろうか。社会が安定し、雇用があり、ここにまた独自の文化があり、そして、日本に住みたいと思わせる、そういう社会だろうと思います。そして、それだけではだめで、適度に刺激がないとまたいけないんだろうと思います。そのような社会には外国から金も入ってくるし人も入ってくる。活力ある社会というのは、多分小さな政府であって、ですが、高齢社会になっていますので、各自が社会に奉仕するような、そういう社会であろうと思います。人口の減少を補い、生産性アップもしくは維持するためには、知的製造への産業構造の変換を促していかなければならない。そういうことをすることによって豊かに暮らせる社会が出てくるんだろう。
 では、これはどうしたらいいのかということについては、私、たくさんの意見を持っているんですが、2分間ではちょっとできませんので、またいろいろといたしたいと思います。

○中村委員 一つ質問で、一つは意見です。
 一つは、環境基本計画ができてこれから2025年を中心にHERB構想というものが組み込まれていくと思うんですが、これは環境省として、例えば先ほどカナダの例があったと思いますが、こういったものを策定した段階で、各省共通の策定ガイドラインをつくるところまで環境省が音頭をとってもっていけるものなのか。環境省としてまとめましたと、そしてとりあえず国民の皆様に聞いてちょっとみましょうというところなのか。どのくらいの各省庁にまたがるすべてのことが環境の中には含まれていますので、どういう今後の計画、取りまとめが動かされていくのかというのをお聞きしたいのが一つです。
 それから、環境の問題は、いつぞやブレア首相がロケットスタートという話を首相になったときに言われましたが、私たちもロケットスタートでやらないと、刻々と環境は悪くなっていっていると思います。したがいまして、2025年の大きなビジョンが決まったあたりから、できるところからまず行動していくというところをやらなければいけない。内容を、何が入る、何が入らないの話をしていると切りがないので、できるところからまずスタートしていこうということで、やはり日本の国が目指すのは、経済大国二番手であったのが、そのうち中国、その他に押されていくと思いますので、我が国は経済大国世界一ではないけれども、環境改善の取り組み世界ナンバーワンを目指す。そういう形の国を目指していくということで、非常に国民にアピリットの高いスローガンを掲げていただきたい。
 先ほどからたくさん用意された資料を拝見させていただいておりますが、これは本当に一度で理解するには大変難しい。また、これを国民レベルで展開していくのも大変難しいですから、ぜひそういったスローガンでできたらいいなというふうに思っております。
 以上です。

○中野委員 目指すべき社会像についてということで、ここにまとめていただいているのは私たち常日ごろ思っていることでうれしく大変思っております。そうした中で、国民とか、地域の人々が、自分の住む市町村とか、そしてまた地域をどのようにしていったらいいかというような、思いを馳せられるような基本計画ができたらなと思います。
 もう一点は、皆さんも今までおっしゃいましたように、諸外国そしてまた各省庁との連携を軸にした一つの計画が立てられたなと、そのように思います。
 よろしくお願いします。

○馬場委員 非常に広い問題なので物が言いにくいのですけれども、今度の計画を考える上で一番重要なのは、日本の今の国のあり方、特に経済と環境の関係だと思います。経済という言い方はいろいろな意味があるんだと思いますけれども、例えば社会の持続的な発展とか持続可能というときに、必ずその中には経済がある程度発展していくという前提があるんだろうと思います。ただ、環境の問題に取り組んでいくときに経済というのをどのくらい位置づけるかというのは最大の問題で、例えば先ほど経済財政諮問会議などでは成長率2%とぽんと出るんです。貨幣価値ではかった成長率を当然プラスで考えていくという前提に立つと、これは環境問題と必ずぶつかってくる。世界の中の日本はかなり発展しているので、経済は、発展しなくてもいいというのではありませんけれども、もう重点ではなくて、むしろ社会全体の価値、経済ではかれない価値、あるいは環境というものに重点を置くというぐらいの、思い切った方向を言わないと、いつまでたっても経済成長を前提にその中で環境を何とかと言っている限りは解決しないのでなはいかという感じがしております。
 国際的に見ればまだまだ発展途上国もありますし、経済の発展は重要だと思います。だけれども、日本の今の社会は、経済の発展というのは、発展のとらえ方もあるんですけれども、少なくとも物はもうあふれているところがありますし、24時間電気はこうとうとついていて、夜中までテレビもやっているし、店もやっています。こういう経済をさらに発展させるという前提で環境問題を考えるというのはもう限界ではないかなと、私は思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 大変重要なところをご指摘いただきました。

○速水委員 ちょうど同じようなことを考えていたんですけれども、ここでいろいろな形で豊かという言葉が出てまいりまして、我々は、私を含めて一度味わった豊かさをなかなか捨て切れないというのが、我々人間のさがなんだろうというふうに思うんですが、そういう中で、先ほど馬場委員がおっしゃられたような、開発途上国の生活との差みたいな話も常にあるわけで、日本においての豊かさの意味みたいなものを、もう一度しっかり考えていかないと、一度手に入れた豊かさは後戻りできないという、ある一面的な豊かさだけを追い求めていくとそういう議論になるんですが、そこまで踏み込まないと、環境の議論とあるいは地球環境レベルの議論というのは、先進国である日本においては多分解決していかないし、国際的な日本としての役目というのは、[7]番、[8]番で書いてあるところを確保しようと思ったら、今のままでは決してできないだろうというふうに考えているのが一つです。
 もう一つ、ここで社会資本をいろいろな形でリユースをしていくというふうな話が少し出てきたと思うんですけれども、私自身は地方に、人口1万人ぐらいの町に住んでいまして、そういう中で見ておりますと、今回新しい、例えば市町村合併がどんどん進む中で、また何かつくってみたいという希望が地方の方はみんなあるわけです。そういう中で、社会資本なり,そういうものを今までできてきたものをリユースをしていく。建物であれば新しく内装を改造していくとか、そういうふうな形の施策をとって、ともかく社会として、社会資本をいかにリユースするかというふうな施策をとっていくというのが、今後非常に大事になってくるんだろうし、そこを理解させるための新しい豊かさみたいな部分を社会全体的にわかってもらう。
 多分、非常に利便性のいいところに住んでいらっしゃる方は、逆にそういうリユースの部分とか、そういう部分を理解しやすいんですけれども、私どものように地方に住んでいて、まだまだというふうな意識を持っていると、社会資本も含めてついつい何でも欲しくなるんです。その辺に対する適切な配慮みたいなものが何かうまくいけばおもしろいなというふうに思います。
 もう一つは、私、森林に携わっている関係がありまして、例えば農業とか森林のような、林業、土地産業の問題と、それとグローバリゼーションの問題というのは、非常に日常的に悩むところでございまして、それが環境との絡みみたいなことになってきますので、その辺の整理というものが今後日本でも要るのだろうというふうに感じております。
 以上でございます。

○星野委員 資料4-1をつらつら見ていますと、事務方は、多分上の方の[1]から[8]ぐらいの問題提起をされていますが、これは大体自分たちでビジョンができているんじゃないかと思うんです、中身はともかく。審議会の委員の先生方からいろいろな知恵をかりて、それを補強したいということだろうと推測しているわけです。
 僕はポイントは下の(1)(2)(3)なんだろうと思うんです。(1)に関係して欠けている視点はないかということなんですけれども、多分事務方はご存じだし、もう各省折衝もやっているからよくご存じだのことだと思いますが、国土形成計画法という、今、国会にかかっておりまして、これはかつての国土総合開発法を、昭和25年ですけれども、それを今書きかえようということで今かかっているわけです。多分各省折衝で中身は十分ご存じだと思うんですが、その中で、対象事項というのがありまして、国土形成計画で何をやるのかという第8番目に、良好な環境の創出その他の環境の保全及び良好な景観の形成というふうになっているのはよくご存じだと思うし、各省折衝の間に大変ご議論されたんじゃないかと思います。
 恐らく、(1)で欠けている視点はないかということで、あるとすれば、私は景観なのかなと思うんです。というのは、この環境基本計画の見直しスケジュール、資料6をさっと見たら、17年度内にめど、こういうふうに書いてありますから、恐らく、国土形成計画法が国会を通るのが6月かそこらかもしれません。そうすると、実際に向こうの計画がすぐスタートすると思いますが、大体1年半かかるから、こちらが先行します。先行する場合に、対象事項として、8番目に、良好な環境云々とありますから、こちらがつくればそれがそのままカセットみたいに入るのかなという気もしないではないんです。
 そのときに、景観というのが向こうはあるわけで、景観と環境というのは、非常にこれから微妙だと思うんです。かつての公害時代というのではなくて、まさに環境というのは、きょうの皆さんの出された8項目の中でも、本当にかつての公害問題ではなくて、人間の生活環境、あるいは物の考え方、感じ方までにも入り込むような話になるわけですから、景観というと、例えばまちづくりとか、そういうのが当然出てきますし、それから環境省の所管事項であります生物多様化という、ただ多様ならいいというのではなくて、多様だから田園都市国家政策の計画のときのように、小さい動物がいるからいいんだとか、それからいろいろな種類のものがあるから人間の心が和むんだとか、次には必ずそれが何に影響するかというのを考えながら考えなければいけないことがあるわけです。
 景観というのは、考えようによると環境と非常にこれから深い関係を持ってくるわけです。それを価値論とか、そのレベルの議論をしていてもこれは形而上学だから、幾らたってもそんなものは議論しても物にならない。むしろ景観というもので、景観の具体的なもので、何がそうなのかという、押さえられることが、多分1番目の皆さんがご提供されている、欠けている視点はないかというのだったら、私は、そこを少しちゃんと考えられたらいいのかなというふうに思います。
 それから、2番目はそれに関連しますから時間がないからやめます。
 3番目は、大臣が持続可能な社会というのは難しいからというのは、大臣勉強不足だと思うんです。というのは、持続可能な社会というのは、例のサステーナブル何とかというのは、持続的というのはブルントランさんでしょう。彼女は首相です。彼女は、首相で、そういう表題をきちんとつけられた。それの子孫である環境省大臣が持続可能な社会を自分で説明できないんだとしたら、環境大臣をやめるべきです。僕はそう思います。

○松原委員 環境政策に関する理念や手法について、手短に意見を申し上げたいと思います。
 本日、このご報告の中で、公衆の意思決定についてにかかわるオーフス条約についてお話がございましたけれども、これは、主として経済的面からの約束事だと思うんですが、私は一つポスト・ノーマル・サイエンスの考え方というのを手短にご紹介いたしたいと思います。
 と申しますのは、今、この情報化時代で、一般の方が環境情報その他の情報にアクセスすることが非常に容易な時代になりまして、オーフス条約はアクセス権や市民参画について述べられているようでございますけれども、そういう時代にあって、私は専門家とか科学者の役割というのが、非常に重要な時代になっているんじゃないかと思うんです。
オーフス条約はそういうことを一つも書いていないんですが、ポスト・ノーマル・サイエンスという考え方は、地球温暖化問題とか、環境ホルモン問題のような、非常に複雑で大きな問題は一人の科学者では結論を出せないような問題ですね。そういったときに、科学者が一人では、科学者はどうしても普遍的な意見にこだわりますので、一人では出せないということで、みんながそうなりますと、結局本当の将来の政策決定というのは、公衆を含めたみんなで問題を考えるということにならざるを得ないわけです。
 そうすると、データに出すのは従来の科学、ノーマル・サイエンスのやり方でデータを出していいわけですけれども、結論を出す段階では、一般の方々と絶えず情報交流しながら、ジグザグの段階を経て意思決定に向かうという、そういう考え方がポスト・ノーマル・サイエンスなんですが、このポスト・ノーマル・サイエンスの方はまだ主流にはなっていませんけれども、将来は確実にふえていくと思うんです。
 そういったことで、私は専門家と公衆のかかわり、あるいは政府とのかかわりの中で、こういった考えを、ポスト・ンノーマル・サイエンスという言葉を使うか使わないかは別として、考えを少し、第2次改定のときにご検討して入れていただきたいと思います。
 もう一つは、最後に、わかりやすく一般の方に情報を伝えるという問題も、目指すべき社会に指摘されていましたけれども、これは本当にそうで、専門家としても自分の持っている情報を的確に簡明にわかりやすく伝えるということは非常に重要なわけです。そういうときに、やはり専門家自体が、視点が自分の専門だけではなくて、私だったら女性であり大衆であるわけなんです。そうすると、環境問題だけではなくて、生命、命というものにどうしても目がいくわけです。先ほど崎田委員からもお話があったように、子孫のことというのは命の縦のつながりであり、また国際的な交流を促そうというのは人々の横のつながりなんです。そういった人々の縦と横のつながりということで、一言で考えれば、女性などは非常にわかりやすいわけです。
これは一例なんですけれども、新しい時代に向けて情報提供のやり方も、専門分化された科学用語だけにこだわらないで、的確な情報を提供するということは非常に重要だと思いましたので、意見を述べさせていただきました。

○三橋委員 では、3点について提案しておきたいと思うんですけれども、1点は、皆さんご承知のように、衆参憲法調査会で環境権の問題というのが取り上げられましたね。第3次になるんですか、環境基本計画の策定に当たっては、やがて憲法改正に当たって環境権というものを入れようというような国民的な合意が恐らくできてくると思います。もう既に先進国では、ドイツを初め大方の国が環境権というのを憲法の中に盛り込んでいます。
 それから、中国、韓国等々、日本の周辺国でもみんな憲法に環境権を盛り込んでいるわけです。その環境権の内容は何かといえば、やはり健全な環境の中でそれぞれの国の国民は住む権利があるんだということで、環境保全の必要性です。それともう一つは、健全な地球を次の世代に引き継いでいくということが、環境権という場合には大体この2つが中心になっているわけです。
 したがって、第3次環境基本計画をつくるに当たっては、やがて憲法改正の中で環境権を入れるときに、参考になるというか、その理念をそのまま憲法の中に盛り込めるような、そういうことを意識したつくりをすべきだろうというのが第1点です。
 つまり、もう環境権が先進国の中で憲法に制定されていないのは、恐らく日本ぐらいものだと思うんですけれども、全部調べたわけではありませんけれども、NGOの中でも、加藤三郎さんなどがやっているグループでは、もう既に環境権を憲法の中に条項として入れるべきだという運動もやっています。そういうような大きな環境権のとらえ方というものが、この第3次環境基本計画には必要だろうということが第1点。
 それから、第2点は、環境と経済の両立、これは大切だし、本当は環境と経済が今両立していないその理由というものをもっとしっかりと把握しないと、実は対策というのは出てこないわけですけれども、それはやるとして、環境と国民のライフスタイルの両立という視点も必要になってくると思うんです。やはりそれぞれ私たちはどこかの地域に住んでいるわけです。環境とその地域が両立する、環境と地域が両立するためには、そこに住んでいる人々のライフスタイルと環境が両立しなければいけない。そのためにどういうことが必要なのか。
 つい最近もテレビを見ていたら、おふろの中でテレビが見られる、そういう製品が開発できていいじゃないのということがあって、ばからしくなって消してしまったんですけれども、それが環境のためにいいんだというような手法でそういう製品が宣伝されるような時代、きちんと識別していく必要があるんじゃないかなということ、これが第2点。つまり、環境と国民のライフスタイル、あるいは地域社会との両立ということです。
 それから、第3番、これは資源投入量がゼロになっても、特に日本のような成熟化した社会では、サービス産業、サービス経済というものを非常にウエートを高くする中で、環境に優しい経済活動というものが可能になるような、今、そういう時代に入りつつあるわけです。
 経済学者でいえば、ジョン・スチュアート・ミルという、19世紀の学者が、ステーショナルセットというような形で、経済成長がゼロになっても、その中でストックを有効に活用することになって、技術革新も可能だし、人々も非常に創造的で、楽しい生活ができるんだというようなことを言っていますけれども、少なくともやはり資源投入はゼロでも、もう既に、特に先進国である日本は蓄積されたストックがありますから、やはりそれを有効に活用するということで、非常に省エネ、省資源型の経済へ移行することが可能だろうというふうに、私などは考えているわけですけれども、そういうような分析というものをかなり強めてやるべきではないかという、以上の3点です。

○森嶌委員 最近は常に嫌がらせみたいなことを言っているみたいなんですけれども、まず最初は、この中環審は何をやるところか。これは第3次環境基本計画の見直しをやるところである。我々は評論をするところではないということであります。
 環境基本計画は何かといいますと、これはちゃんと環境基本法の第15条に何であるかということが書いてありますので、時間がありませんので、委員は第15条をお読みいただきたいと思うのですけれども、環境保全に関する総合的かつ長期的な施策について、それを決めるということになっておりまして、今までのところですと5年に一遍ずつ見直しているということでありますから、5年間の政策について、議論をしているわけであります。ただし、今までは何をやっていいかよくわからないところがありましたので、かなり漠としていましたけれども、数量的なきちんとしたことをやっていないじゃないか。だから、実際に実施したか、しないかもわからないではないかということで、今までいろいろと反省をしてきたわけです。
 そこで、今度やるときには、20年がいいのか、30年がいいのかわかりませんけれども、それではこれから、5年か10年かわかりませんけれども、長期的なビジョンを持った上で、ではこれからの10年をどうするかということなんですけれども。それでは長期的なビジョンをどうするかというときには、現在のままの社会では、さっきサステーナブルがわからない大臣はやめろと、私も賛成ですけれども、今のままではサステーナブルでないことははっきりしているわけですから、そこで、30年先にサステーナブル、私はともかく安心と安全、先ほど崎田委員がおっしゃいましたけれども、これは次の世代の人が、私はその前に死んでいますから安心も安全もありませんけれども、と同時に、途上国の人に対してもそういうことを考えてもらうように、そういう横と、それから縦の面で安心と安全を提供できる。そのためには自然環境もきちんとしたものが、健やかなと言っていいかどうかわかりませんけれども、健やかで美しく豊かなどという言葉だけ並べても、サステーナブルではないんですけれども、これはちゃんと書いてあります。これは大臣が言った言葉ですけれども、それはともかくとしまして。
 その場合に30年先を言うときに、理念的なこと、評論家的なことを言うのではなくて、現在から、人口問題とか、日本の少子化とか、そういうことから予測される、これは我々が望む、望まないにかかわらず予測される30年先の予測と、それと同時に、では、そのままではなくて、環境政策を通じて我々が転換できることは何なのかということを織り込みながら、30年先はどういうことになるのかというビジョンを持ちながら、では、30年先にそれを達成するためには、5年先までに何をしなければならないかということをきちんとターゲットを持つと同時に、それに対するロードマップを書くというのが環境基本計画でありまして、我々はここで評論をするために、何回も言いますけれども、非常に安い2万円ばかりの金をもらって、こんなにたくさんの人が、この間60万円もらったという人がいましたけれども、国民の税金を使ってこんなところでくだらない話をしにくるために来ているわけではないわけです。我々は国民に対して責任を負っているわけですから、ここできちんとした長期的なビジョン、それは、先ほど言いましたように、きちんとした客観的に現在考えられることをやる。見通しながら、そして、我々の環境基本計画をもし実現できるとすれば、こういう修正が加わっていくだろうということを頭に入れなければなりません。
 なぜ我々の環境基本計画かというと、先ほど佐野さんがご紹介になったいろいろなヨーロッパのがありますけれども、だれが決めているのか、議会です。それぞれ権限があるんですけれども、中央環境審議会が、こういう政策を決めろと。例えば国土計画を、先ほど星野委員がおっしゃいましたけれども、こういうことをやれと言ったら、これは閣議にいったらたちまちつぶされてしまうんです。環境税だって通らないんです。そういうところで我々が夢を描いて、経済政策は何%にしよう、財政はあれを入れろといって、どんどん環境に対して注入しろ、自然は保全しろと言っても、中央環境審議会が言ったって通らないものは通らないわけですから、我々が言って通るもの、あるいは通らなくても頑張れば通るかもしれないものを我々はきちんと計画を策定して、実施できるもの、あるいは実施しなければならないものを我々としては出すことが、国民に対する義務であります。その上で、さらに役所にも頑張ってもらうし、我々も頑張るべきだ。
 しなければならないことをやって、そして実施できる環境基本計画をやらなければならない。佐野さんもいろいろ美しいことを提案されるのはいいけれども、それを前提として事務局もぜひ頑張っていただきたいと思います。れを前提として事務局もぜひ頑張っていただきたいと思います。

○山口委員 ちょっと視点が違うのでございますが、持続可能な社会とか、持続可能な開発とか、あるいは環境というものの言葉の持つ意味が世界でばらばらであるはずがないわけです。概念規定を少しはっきりしないと、これは日本だけ非常に特別な使い方をするような危惧がございます。
 英語で言えば環境はエンバイロメントで、サステーナブル・ディベロップメントというのは持続可能な開発で、日本で開発というのはどうかといって、サステーナブル・ソサエティという、こういう使い方を恐らくしているんだと私は思うんですけれども、いずれにせよ、世界と共通の概念を持っておかないと、だんだん会話が通じなくなるのではないかというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、公害問題から始まった環境問題が、とにかく持続可能性あるいは持続可能な社会、あるいは持続可能な開発というような概念を取り込んで、大分守備範囲を広げていくようなニュアンスを与えますと、これはやるべき仕事の対象をぼやかしてしまう。むしろ迫力がなくなってしまうのではないかということを危惧するわけです。
 日本の現在において、持続可能な社会を大臣がわかりにくいとおっしゃったというのは、それは環境から考えればこれは非常にわかりにくいはずなので、日本の場合、大多数の国民が持続可能な社会という概念から受ける印象は、年金問題とか、国や地方の累積の債務問題ということなんです。だから、世界でよく言っている貧困の問題というのは出てこないんです。だから、国によって持続可能な社会という概念はそれぞれ違うわけですが、一つ言えることは、これはかなり大きな上位概念だということです。
 そういう意味で、ドイツの資料2を配っていただいたのでここに非常に端的に出ているんですが、ドイツの計画の主目標というところを見ていただくと、表題はサステーナブル・ディベロップメントの国家戦略ですが、即環境とは書いていないわけです。真ん中あたりに、世代間の平等という観点から、地球温暖化とか、生物多様化とか、そういった問題がある。その次に、生活の質として現実に起こっている大気汚染という問題を取り上げています。つまり、サステーナブルという話と、エンバイロメントという話はすぐには結びつかないわけです。そこには中間項のような概念があるはずなんです。
 なぜかと言いますと、環境問題を放っておくと、持続可能でなくなるという言い方をしますと、何か物すごく環境が悪化して人間が日本には住めなくなって、どこかに移住しなければいけないというような印象を与えてしまうわけです。そうではないんです。つまり、このドイツの計画にあるように、きちんと、地球温暖化では放っておくと後の人が苦労するよということを言っているわけです。後の人がえらい被害を受けるよということを言っているわけです。ところが、大気汚染だと今の生活がどうかということですから、現世代の話です。そういうふうに、きちんと物事の概念を整理して、よく理解をした上でやらないと、漠然とした言葉で基本計画を余り書かれますと、環境省がせっかく努力しておられる政策が、ちょっとぼけてくるんじゃないかということを懸念するわけです。その辺はお気をつけいただいた方がいいと思います。れを前提として事務局もぜひ頑張っていただきたいと思います。

○横山委員 できれば2分の制限時間を守りたいと思いますが、よろしくお願いします。
 私も二、三の委員が言われたように、持続可能な社会といった場合に、安全・安心な社会というのを必ずイメージしておかなければならないと思うんです。例えば温暖化防止が進んで、環境面で持続可能な社会をつくったとしても、極端に言えば核戦争が起こるとか、あるいは日本では東海、東南海、南海地震が連続して起こるとか、そういうふうになった場合も持続可能な社会ではなくて、多分しばらくは立ち直れないわけです。そういう意味からいって、幅広く持続可能な社会という意味を考えるべきだと思います。
 一方で、環境問題が安全・安心な社会にはかなり絡んでくる。例えば、温暖化が進めば、昨年のように台風がいっぱい来るとか、あるいは洪水の被害が出るし、感染症がふえるとか、あるいは食の問題にも影響が出てくるというようなことになると思いますので、幅広い観点から持続可能な社会ということを考えるべきだと思います。
 安全・安心な社会ということを考えた場合、台風とか地震のことを考えればわかるように、最後に出てくるのは地域の力とか住民の力ではないかと思うんです。そこが重要だと。だから、よく言われるように、東洋文明とか、あるいは郷土の歴史とか文化とか、あるいは最近よく言われるもったいないの精神とか、地域の食材とか木材を利用するとか、そういうものにも絡んでくるし、そういうことで、地域でそういうことをやっていけば、これもよく言われる、物が豊かになって心も満足だというふうなものにつながっていって、環境問題にも結びついてくるのではないかと思います。
 そういう意味で、今の環境基本計画を見ると、環境面とか自然面以外で広く述べているのは環境教育、環境学習のところだけなんです。ですからもう少し幅広い観点で持続可能な社会、安全・安心な社会ということを考えて、その中で環境問題というのを位置づけるべきではないかと思います。
 以上です。

○渡辺委員 いろいろな委員の方のお話とダブルかなという気はしますが、私は特に馬場委員がおっしゃった、経済と環境の関係の見直しといいますか、社会全体の価値、経済ではかれない価値というものをもっと重視すべきではないかというお話に同感なんです。どういうことかと申しますと、私は、全くメンバーが違いますけれども、五、六年前でしょうか、伊東俊太郎先生という方が、国際比較文明学会の会長に日本人として初めて就任されたときのお話、講演を読んで大変感動し、審議会の場でも発言いたしました。この数百年間、科学技術は発達して、地球、自然、我々が生存しているこの地球を徹底的にむしばんできたというか、利用して、人間の生活の便利さのために酷使をしてきた。今や、その上に人間の王国を築いたんだけれども、その王国自身が崩れ去ろうとしている。現代の環境問題というのは、我々が直面している諸問題の根源であり、その克服のためには、すべての面で革命的な転換が必要である、というお話なんです。
 リオ宣言にも入っていたと思いますけれども、大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイルを変えて、生産と消費のパターンを変えなければいけない。物質的な欲望というのは際限なく続いていく。星野委員からいえば、あるいは形而上学的になるかもしれませんけれども、やはり物の豊かさだけを追うのではなくて、横山委員がおっしゃった、心の豊かさとか、自然と触れ合って心が満足するような、そういうことを重視していかなければいけないんじゃないか。
 これは今の環境基本計画にないとは言いません。きちんと入っていたと思いますし、さらにそのためには、人々の物の考え方を転換するために、環境教育が非常に大事だということも書いてあります。しかし、どうもそれだけでは不十分です。あるところで経験しましたけれども、2月に京都議定書が発効した。あるいは環境税をめぐって各省間で、あるいは各界で、非常に激しい議論がされたということが新聞に載った結果、そういう新聞に非常に多くの環境関係の記事が載ったというだけで、環境に関心を持つ人がふえているということです。
 私は、ある大学で週1回だけ90分授業をしています。3年前は30人しかいなかった。だんだん100人ぐらいになってきましたけれども、この春学期になっていきなり二百数十名、何で私の授業に急に多くの生徒が出てきたかということを調べたわけではありませんが、新聞、マスコミ、テレビに大きな環境関係の議論が載ったということしか考えられないんです。
 したがって、環境教育という狭い意味での教育、学習だけではなくて、例えば大分議論になった環境税も、人々の物の考え方を変える大きなきっかけになるという要素を持っているのではないか。先ほどどなたかおっしゃった、憲法の改正論議の中で環境権を新たに書くべきだということも、広い意味の環境教育上大いに役立っているのではないか。
そこで、きょうのテーマは非常に抽象的で難しかったのですが、私の気持ちは、欠けているわけではないけれども、新しい環境基本計画では、ライフスタイルというか、あるいは物の考え方を転換するという方向を、今の計画以上に重視して、そのためにどうしたらいいかということを考える必要があるのではないかなと思います。

○鈴木部会長 時間が参りましたけれども、皆様のご了解が得られればデスマッチで続けさせていただいても結構です。

○大塚委員 先ほど山口委員が言われたことは、私は大賛成でして、持続可能な発展という概念は、大臣がわかりにくいとおっしゃるのは、多分この言葉を変えるというよりは、この言葉があらわす内容を解決しなければいけないということだと思います。言葉からいろいろ考えてしまって、いろいろなバリエーションで、各人が勝手に……

○鈴木部会長 その辺の議論はまた次の機会にでも。

○大塚委員 要するに、世代間の公平と環境要領とか、生態系の保護というのと、それから発展とか貧困という3つの概念がもともと内容に入っているので、ぜひ環境基本計画の中でこれがどういうものをあらわすかというのを出した上で、議論を展開するようにしてほしいというふうに思っております。
 ここに書いてある幾つかの視点のところで、やはり少し抜けていると思うのは、これは別に抜かしたというおつもりではないと思いますけれども、化学物質の問題が抜けていますので、環境ホルモンの問題についてやや下火になっていますが。

○鈴木部会長 そういう意味では抜けているのはいっぱいありますので、その辺の議論は、申しわけないんですが。

○大塚委員 あと3点申し上げますが。

○鈴木部会長 大塚委員は2回目ということもありますので、藤井委員の方に。

○藤井委員 これからの日本は少子高齢化と言われていてということで、21ビジョンの中に、緩やかに衰退するとありますが、実はもう少子高齢化は地方のあちこちで実践しているわけで、地方のあちこちの少子高齢化している地域は全部衰退して元気がないかというと、どうもそうではない。そこにこそ日本の新しいありようがあるのではないかというので、実はつい最近、ある小さな町の市長の所信表明を総理官邸に送りました。総理が読んでくれたとは思えないんですが、これの中に新しいありようがあるというふうに思っていますのは、先ほど来ずっと出ている持続可能性など云々を具体的に形で実践しながら、自分たちの地域にあるものを徹底的に生かしながら地域経済を活性化する。そういう中で、自分たちの代、そしてさらに孫子の代、さらに交流する海外との世代間と地域交流などをやりながら、新しい地域のサステーナビリティを築く中にこそヒントがあるというふうに、私自身は思っています。
 例えば、ドイツの自然エネルギーのあの法案のベースになったのがアーヘンでした。アーヘンというところが自然エネルギーを買い取る。そしてそれを位置づけるということを国がやるという形で、国が決めたことを地域がやるのではなくて、今こそ地域の実情に基づいたものを原理として、それを国が政策化する、そういう時代に来ているのではないか。
 つまり、この目指すべき社会像についていえば、地域の細部の、少子高齢化しているけれども元気というところが随分たくさんありますので、そういう多様な地域のありようの中にヒントを求めていくという、そういうことが見直しの中でぜひ行われてほしいと思います。

○青青木委員 時間がありませんので、幾つかメモを書いたんですけれども、簡単に申し上げて、もし後で必要があれば文書で提出したいと思います。
まず、事実関係として一つ、1990年に大阪の花の万博で人と自然の共生という考えが出ております。これは私自身が関係したことでありますので、申し上げるのが適当かどうかですけれども、この人と自然の共生という考え方が花の万博から発信されて、世界でも共感を呼んできているという事実が一つございます。
 それはそれといたしまして、ここで申し上げたいのは、昨年までいたしましたヒアリングの過程で、私が一番気になったのは、現地で子どもの自然離れのことが非常に言われておりまして、また現実に自然教育をやることと、国の指導方針がいつもずれているということを言われております。
 また、花の万博のときに、ある方がいろいろ社会の指導層の方と懇談をされたことがあり、その際のお話を伺ったところ、社会の指導層の人も自然、自然というけれども、何も知らない。花のことも知らないし、植物も知らないで、自然、自然と、こう言っている方が多いとおっしゃるのです。これは15年前ですけれども、恐らく、現在でも、経済界であろうと、官界であろうと、そういう実態があるわけです。
 したがって、やはり一番大事なのは本当に自然を知ってもらう。環境教育という言葉だけでなくて、自然の恐ろしさ、それから優しさ、そういうものを徹底的に認識してもらう教育なり、社会教育なり、学校教育なりを徹底的にやっていただくということが前提にないと、将来の日本の環境というのはうまくいかないということが一つでございます。
 それから、もう一つは、前提を省きますが、豊かで安心できる暮らしというのは結構でございますけれども、人間の欲望は切りがありませんので、やはり豊かさには節度がなければ困るということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○川上委員 時間がございませんので、頭出し程度になりますけれども、一言だけ、世界の中での日本の役割といった観点から、今まで余りご議論が出ていませんでしたから、一言申し上げます。
 我々は、昨今世界の秩序、特にアジアにおける国際枠組みが大きく変動している、その中で日本の影響力も相対的に低下の方向にあるということは皆さんご承知のとおりですが、その中で日本国や国民は21世紀の日本の国家像というのは一体どうあるべきかというのを模索しているという状況にあるんだろうと思います。
 こうした中で、先ほど説明もございましたが、21世紀のビジョンの中にも書いてありますけれども、日本という国が影響力が低下して、国際政治を受動的な対応をし、状況主義の国家にならないようにする必要がある。私もまさにそのとおりだと思うんです。そういうために、国として相当性根を入れて、積極的な強いリーダーシップを発揮していく必要がある。
 それでは、一体どういう分野でリーダーシップを発揮すればいいのかという議論、これはいろいろな議論があると思いますけれども、私はやはり今人類の最大の共通課題というのが、ミレニアム開発目標というもので設定された、貧困の解消ということだと思うんです。その貧困の解消というのは、我々が議論している環境と非常に大きな関係がある。特に安全な水へのアクセスの問題等々、非常に大きな関係があるということを十分認識してかかるべきであって、そういうような分野において日本が積極的な役割を果たしていくということがますます必要になると思います。
 特にミレニアム開発目標というのは、これから10年の話であって2015年にセットされている目標ですので、我々の議論している第3次環境基本計画にも当然色濃く反映されるべき点ではないかと思います。
 また、リーダーシップの具体的な例でいえば、アジアにおける多国間の環境面での協力といった面でのリーダーシップというのは、引き続き大変重要な点ではないかと、考えます。

○善養寺委員 個人的には経済成長なしでもいいのではないかというふうに思っていますので、ありきのような方針でいかない方がいいというふうに思っています。
 それから、私の仕事としては、民生の建築分野ですので、一番問題となっているところなんですが、建築業界では、環境という言葉はエンバイロメントではなく、ついこの間までランドスケープでした。ランドスケープという意味が9割方占めている業界です。ですから、今の景観の話からいうと、景観の方が環境より大事というのがこの業界のスタイルです。ですから、環境知識のある人は技術者にかなり少ないので、都市計画をしてみても、これからそういう面では逆にかなり物を言って、そういう視点で設計図を書くように、逆に言っていかないとなかなかできない業界です。
 特に今の民生の方での建築の話で言いますと、建築基準法という法律がありまして、その中で品確法という法律の中で、いろいろな木材の乾燥率の規定などをしたために、逆に、せっかくの日本の森林がCO2をえらく使うような材料にならざるを得ないというような法律になっております。無垢のそのままの木を使えない。集成材にしなければならないというような問題も起こっております。
そういう意味では、もう少し現行法の中である種安全を担っているんですが、でも本来なら確実的にもっと安全性が確かめられるんですが、数字だけのことで簡易に法律をしてあるということが環境面で負荷を与えているということもあります。
 ですから、基準法の中の、一つは緩和というのもあるんですが、ある面では緩和をしながら、逆にエネルギーの消費状態は規制をしていくというようなものを、省庁を越えて注文をつけていけるような権利を持たないと、なかなかそれが進まないように思います。  それと教育ですが、今、学校の環境教育をこちらもやっているんですが、技術者もそうなんですが、学校側でも知の格差というか、経済的な格差ではなくて、環境に関する知識の格差がやはり大きいです。それはこうしましょうという何かを掲げて、目標値を掲げて、投げかけたところで、それをどうやって具体化すればいいのかわからないという部分が多くありますので、そういう面では、崎田委員がやっておられるような、地域のNPOなどのネットワークを活用し、そういうところに知恵を落すような具体的な政策をして、広く環境知識の格差を減らしていくような具体的な策というものをやるべきではないかと思います。
 そういうことを一つ一つわかりやすく、この中で掲げていかないと、やはり自分も環境をやっているからわかってはいるんですが、サステナブルな社会といって、では、それはどういうことなのかというふうに具体的に考えると、やはりいろいろ悩むところがある。
 それと、豊かさというものが地域によって違うんだということを具体的に示した方がいいと思う。金銭的な豊かさが豊かさではなくて、統一された豊かさではない、地域、地域のデザインというものでの豊かさというものがあるということを前提とした地域デザインをしたことに対して、国がそれが国全体の統ビジョンになるのではなくて、地域ごとにうまくなっていくような政策のお金の落し方が現実できてくるといいのではないかという意味では、価値観を具体的に変えてくるようなものの例を挙げて、こういうものをつくっていってもらいたいなと思います。

○松田委員 私は、皆さんの意見を聞きながら、ここは抜けているというところをお願いしたいと思います。それは、お願いして、提案していきたいんですが、日本の中で、景観という言葉では5年間で実現するということを伺いますと、日本の看板の多さを全部取ってしまう、これだけでも環境教育、環境学習には非常に効果があるし、景観としては非常にいい。
 それから、今、全国の山を見て歩いているんですけれども、まだ間に合います。戦後植えた杉の木は、今、これくらいの大きさ、私のウエストぐらいの大きさになっているんですけれども、ちょうど育ち盛りで、これをきれいに持続可能な社会というキャッチフレーズの中で、日本の国産材を使っていくということをもっと明確に打ち出していくとか、水産業とか、農業との連携の中で、環境省が他省庁とどういうふうに折り合いをつけながら、皆さんがおっしゃったように、本気で日本の持続可能な社会をつくるために環境省がやる気があるかどうかを見せていただくということなんです。ですから、そのために私たちはいろいろ考えますので、他省庁と連携して、日本の国をどうつくるかというところを、この5年間ぐらいの中で、ぜひ織り込んでいただきたいと思います。実現させた後で、私たちは次の世代へまた受け渡していきたい。

○鈴木部会長 多くの先生方のもっともっとおっしゃりたいというようなところを全く封じ込めてしまって申しわけありませんが、私は口をはさまずに伺っておりましたが、とても一言でまとめ切るわけにはいきませんが、多くの方に共通していたのは、やはり新しい豊かさとは何か。この辺を環境基本計画から発信していこうではないか。それは、もちろん今までのように経済と環境の両立というような麗しい言葉ではなくて、もっと根本的なところで、森嶌先生に多少抽象的、概念的であるとしかられようと、それを打ち立てて、なおかつそこに具体的な姿を載せていくこと、示していくことが必要だろう。それに基づいて、5年間のロードマップ、5年なのか、もう少し長くてもいいのかもしれませんが、ロードマップを書いていく。そのロードマップを書いていくときに、果たして指標というようなものがどういうものを取り得るのか。これは非常に重い課題だろうと思いますが、そういうものをきちんと書いていかないと、これは、環境基本計画は閣議決定で、ある意味では日本全体としての環境に関する意思を示していくことになるわけで、各省庁のご理解を得なければいけないということはもちろんありますが、と同時に、各省庁にも目覚めていただくということも必要になってくるので、大変難しいと思います。
 ただ、やはりそこで環境省としては基本的に一番重要なのは、国民的な合意をそこに持っていないと、これはここだけで走っても、森嶌先生ご心配なさるように、すぐつぶされてしまうというようなこともあろうかと思います。
 ともかく経済だけという姿から立脚して、新しいカルチャーをつくる。それをまた世界に発信していく。日本のやり方を発信していくというようなことが必要であろうというようなことをいろいろとおっしゃっていただいたと思います。環境権の問題、非常に重要な問題もあったと思います。ここは、これまでも第2期の基本計画に対する検討をしてこられた浅野先生に一言、最後に締めていただくのも必要かなと思います。

○浅野委員 サステイナブルという言葉が中心に浮かび上がってきたのは、環境基本法が第4条でこの言葉を使っていることを第2次計画では改めて確認をしたということでした。しかし、実はまだ積み残しは、第3条にもっと元の理念があって、何のために持続可能性か。それは森嶌委員がおっしゃったように、世界じゅうのすべての人の安心・安全、次世代の安心・安全、それを実現するために4条で持続可能ということを言ったということを、順を追って思い出し、第3次計画はもう一回第3条に戻るというのが、きょうのお話のまとめかなと思いました。
 それから、サステイナブルという言葉を日本語で持続可能性と訳していますけれども、英語のサステイナブル、サステインという言葉を使っている母国語の人たちの持っている語感と、私たちがそれを持続可能という、持続という言葉で訳してしまったときに、日本人として受ける語感はかなり違うわけです。学問の世界も同じことがあって、外国の学問をその母国語で理解をできる人と、そうでない者のギャップがあるようです。ですから、もっと素直に、余りうるさく言わないで、サステインという言葉の持っている豊かさをうけとめ直す必要があるのだろうと思います。

○鈴木部会長 環境省がサステーナビリティを抱え込むということはどうなのか。これは大変重要なところでもあるんですが、もちろん全国土設計にかかわっていくところで、しかしながら、今、ほかでそれを考えてくれないんです。それと、例えばヨーロッパでもフランスは既に環境省がサステーナビリティとエコロジー省、こういう形に変わりましたし、イギリスもサステーナビリティが中心課題ですし、ほかのヨーロッパの国もサステーナビリティ省に変わっていくところもある。そういう意味で、環境省自身もある意味では脱皮していかなければいけない面があるのかもしれませんが、これはもちろんいろいろ議論のあとだと思います。当面必要なのは、やはり環境省に限らず、オールジャパンでサステーナビリティを考えていく、こういうようなことのきっかけをつくっていくことなのかなと思っております。
 少しご質問がありましたことに関しては、お答えになりますか。

○佐野環境計画課長 時間が過ぎておりますので、ご回答ができるとすれば、この計画というのは、政府全体の環境に関する施策の計画でございますので、環境省の施策だけを書くということではございません。
 ただ、一方、環境省の権限というのは環境の保全に関する基本的政策の企画立案総合調整でございますので、ある先生の言及にありましたような、例えば、年金なり財政について企画立案調整ができるかというと、それはできないというふうに申し上げざるを得ない。一言で申し上げればそういうことであろうと思います。

○鈴木部会長 多分きょういろいろまだご意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますので、佐野さんの方にメモをお出しいただくようにいたしましょうか。連休前まで、今週中に。

○佐野環境計画課長 そのようにお願いいたします。
 すぐにこなせるかどうかわかりませんが、試験の答案のように過ぎたから受け取らないということはございません。

○鈴木部会長 きょういろいろとご議論いただきましたが、もちろんこの議論につきましてはこれで終わりということではなく、次回までにいただきましたご意見などを検討させていただいて、私の方で事務局と一緒に、次回に向けたたたき台を作成させていただきたい。基本的な社会ビジョン、これもまた大変な議論になるかと思いますが、そういうような形で次回のこの総合政策部会に向けさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(1)「環境税の経済分析等に関する専門委員会」の設置について

○鈴木部会長 実は、議題1として予定しておりましたことがまだ残っておりまして、あと数分そのままお待ちいただければと思います。環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置について、これは事務局の方からご説明をお願いいたします。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料1-1に基づきまして、環境税の経済分析等に関する専門委員会の設置について、ご説明いたします。
 環境税につきましては、この中央環境審議会でさまざまなご議論をいただいてきました。この総合政策部会、地球環境部会の両合同部会のもとで専門委員会や小委員会を設置いたしまして、いろいろな議論をいただいてまいりました。昨年は、環境省として税制改正要望いたしまして、政府税調や与党の税調でもご議論いただいたところでございます。ことしに入りまして、資料1にもございますように、地球環境部会では、目標達成計画に向けた答申をいただきまして、その中で環境税に関しましても早急に検討する。そして、京都議定書目標達成計画そのものにおきましては、これは間もなく今週末にも閣議決定しようというものでございますけれども、環境税については真摯に総合的な検討を進めていくべき課題と、こういうふうな位置づけをされているわけでございます。
 今後環境税に関してさまざまな検討を進めていくということが必要になってまいるわけでございますけれども、その検討の内容とか、あるいはどういう場で検討するかというのは、さまざまな場でいろいろやっていかなければならないというふうに考えております。ただ、当面この資料1-1の一番下にございますように、専門的な事項に関しまして、さらに検討を深めていくということがまず必要かというふうに考えているところでございます。
 具体的に申し上げますと、ここに価格インセンティブ効果とございますけれども、さまざまな各部門ごとの価格インセンティブ効果でありますとか、あるいはアナウンスメント効果についての具体的な分析、さらにはマクロ経済とか産業の国際競争力に与える影響の定量的な分析とか、あるいはリーケージといったものの分析、こういった専門的、技術的事項についてまず調査が必要というふうに考えているところでございます。
 そこで、今般環境税の経済分析等に関する専門委員会を、総合政策部会、地球環境部会合同部会のもとに設置をいただきまして、検討を進めたいというふうに考えてございます。ここにメンバー構成案でございますけれども、部会長のご指名により、学識経験者の方々をもって構成させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 こういった検討を深めまして、今後のさまざまな場の議論の材料なり、前提としていきたいというふうなことでございます。
 本件につきましては、地球環境部会と合同のものということでございますが、去る20日の地球環境部会で本件と同じ案件をご説明いたしまして、設置に関しまして了承いただいているというところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、 総合政策、地球環境合同部会、実際には合同部会を開くわけではございませんが、こちらの総合政策部会でも了承させていただくということで、この専門委員会を設置して審議をお願いすることに関しましては、よろしいでしょうか。ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○鈴木部会長 それでは、総合政策部会として了承ということにさせていただきます。

閉会

○鈴木部会長 大変活発なご議論をいただき、時間が大幅に超過いたしましたことをおわび申し上げますが、また次回の総合政策部会、ぜひよろしくお願い申し上げます。

午後5時25分閉会