中央環境審議会総合政策部会(第22回)議事録

開催日時

平成16年11月24日(水)14:00~16:22

開催場所

経済産業省別館944会議室

出席委員

(28名)

森嶌 昭夫 委員、安原  正 委員、浅野 直人 委員、黒氏 博実 委員、小澤紀美子 委員、崎田 裕子 委員、鈴木 継美 委員、藤井 絢子 委員、桝本 晃章 委員、村杉 幸子 委員、青木 保之 委員、飯田 浩史 委員、江頭 基子 委員、 川上 隆朗 委員、久保田泰雄 委員、塩田 澄夫 委員、田中  充 委員、筑紫みずえ 委員、永里 善彦 委員、中野 璋代 委員、萩原なつ子 委員、速水  亨 委員、福川 伸次 委員、星野 進保 委員、松原 純子 委員、三橋 規宏 委員、甕   滋 委員、横山 裕道 委員

議事

環境基本計画の進捗状況の点検について

  •  ・点検報告書(案)について

その他

閉会

配付資料

資料1-1   環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について(案)
資料1-2   環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について(案)(素案見え消し版)
資料2   第二次環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果(素案)に対する意見
資料3   環境基本計画関係の総合政策部会開催スケジュール
参考資料1   第二次環境基本計画における各戦略プログラムの状況について
参考資料2   中央環境審議会総合政策部会名簿

議事録

午後2時00分開会

○苦瀬計画官 それでは、時間がまいりましたので、まだ若干お見えでない先生もございますが、議事に入ります前に、本部会の確認等させていただきます。
 まず、議事に入ります前に、本部会の委員の異動がございましたのでご報告をさせていただきます。この11月8日付で新しく川上隆朗臨時委員が新たに任命されましたので、ご報告申し上げます。
 それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。資料1-1が環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果についての案でございます。資料1-2が環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果についての案で、これは素案の見え消し版になっております。それから、資料2が第二次環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果(素案)に対する意見でございます。資料3が環境基本計画関係の総合政策部会開催スケジュールでございます。
 それから、参考資料といたしまして、参考資料1が第二次環境基本計画における各戦略的プログラムの状況についてでございます。参考資料2といたしまして、中央環境審議会総合政策部会の名簿をつけてございます。
 足りない資料等ございましたら、事務局の方にお申しつけくださいますようにお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。

      審議事項

       環境基本計画の進捗状況の点検について

  •        ・点検報告書(案)について

○森嶌部会長 それでは、ただいまから第22回中環審の総合政策部会を開催させていただきます。
 本日は、前回までの審議に引き続きまして、環境基本計画の進捗状況の点検についてご審議をいただきたいと思います。前回申し上げましたように、本日の審議をもちまして、できれば点検の作業を終了させたいというふうに思っておりますが、前回の部会での審議と部会終了後に委員からお寄せいただきました意見を踏まえまして点検報告書の案を作成いたしております。この点検結果の報告書につきましては、本日でできれば終了させて、これをもちまして総合政策部会の報告書といたしまして決定をして、後日私の方から小池環境大臣に報告するという段取りにさせていただければというふうに考えております。
 点検の結果報告書につきまして、前回からの修正点を中心としまして、事務局から報告をしていただきます。
 では、よろしくお願いします。

○佐野環境計画課長 前回の部会におきまして、各委員より非常に適切なご指導をいろいろいただきましてありがとうございます。これに沿った形で点検結果の報告案を修正いたしまして、ご意見をいただいた箇所につきましては、事前にお目通しをいただいていたところでございます。それで、資料の1-1がそれに沿って直したもの、それで、資料の1-2が見え消しという格好で、どこが変わったかわかるようになっているものでございますので、この1-2の方に沿いまして、修正点を中心に簡単にご説明をさせていただきます。
 1ページ目でございますが、ここは経緯を加えまして、上の方でアンダーラインが引いてあるところが変わったところでございますので、上の方で経緯を加えましたので、下のところで、これは実は内部の文書審査の確定で、これは閣議へ報告いたしますので、閣議の場で名指しするのもいかがなものかということで、具体的な名前は落としております。もちろん事務的には相談をしておりましてちゃんとやっていただくことになっております。
 1枚ページを開けていただきまして、2ページ目では、文章の最後のところに危機感を具体的に行動につなげるというところで、具体的にどういう施策を講じるかが重要なのではないかというご指摘をいただきました。ここで直ちにこういうことをすべきであるということをちょっとなかなか決めがたいという面がございますが、とにかくそういうことが必要であるというふうな形の文章に修正をしてございます。
 それから、全体状況のところは、大きな修正はそのほか余りありませんで、各論の重点項目の中のまず環境投資のところでございますが、6ページでございます。6ページの一番上のところで、まず環境投資の方向、こういう方向が重要なのであるということをまずここでお示しをするというものを加えました。
 それから、新しくなっている[3]のところの環境コストの市場価格への織り込みというもの、これも意味がよくわからない。実は、これはもともとの計画自体が十分な書き方ではなかったのかもしれませんが、とにかくもとの計画の文章をもってきまして、「環境に係る外部不経済性が強く現れる場合などには」というものを加えてございます。
 それから、右側、7ページにまいりまして、右上の方の[8]番でございますが、新たな省エネルギー投資、新エネ、省エネルギー対策の投資が進んだ、取組が進んだというものを1項加えてございます。
 それから、その下の[12]番というところで、環境観測技術衛星みどりがとまってしまったということについても触れてございます。
 それから、今後の課題のところで[2]番のところでは、地方公共団体のところの状況の把握というところが十分でないというご指摘がございまして、新しく2行を加えまして、正確な実態の把握に努める必要があるという指摘を加えてございます。
 それから、[3]で環境アセスメントについても加えてございます。
 それから、8ページにまいりまして、[4]というところでございますが、中小事業者に対しての取組ということで、具体的な内容をというご指摘がございまして、一番中心になっておりますエコアクション21を例示で掲げてございます。
 それから、[5]番の金融機関に対する取り組みにつきましても、具体的な内容、方向性が必要ではないかというご指摘がございまして、ここへも金融機関への情報提供、投資家の啓発等々という極力具体の内容を加えてございます。
 それから、最後の[8]番のところで、森林について何も問題がいなように見えるというところで、ここは特に吸収量の確保という観点からも森林の整備・保全等々の取組が必要であるというものを加えてございます。
 それから、9ページにまいりまして、こちら、地域づくりでございますが、9ページの一番上の[1]のところで、市町村で一番取り組んでいるのはISO14001等の環境管理システムではないかというご指摘がございまして、その旨のデータと記述を加えてございます。
 それから、ここでは取組の方向におきまして、11ページにまいりまして、[9]番でございますが、各地域の新エネルギー、省エネルギー等々の中で一番取組が進んでいるもの、たくさんやられているのは風力発電ではないかというご指摘がございまして、これを加えてございます。
 それから、めくっていただきまして、12ページの今後の方向性のところでございますが、[1]のところ、ここの地方公共団体の体制のところ、財源や体制の状況では何だかわからないというご指摘がございまして、後ろの2行、地方の財政が厳しくなる中で取組を後退させないようというご指摘を加えてございます。
 同じく[2]、[3]のあたりは、説明の順番も含めて整理すべきではないかというご指摘がありまして、前の[3]番だったものを[2]番にもってきまして、連携・協働の重要性を指摘してございます。
 それから、[3]では、事後の評価が大切であるというご指摘を組み入れまして加えてございます。
 それから、最後の[6]番のところで、地域づくりにおいては、特に上流・下流域の連携が重要であるというご指摘がございまして、その記述を入れてございます。
 その次の3番目が国際的寄与・参加の推進の項でございますが、13ページの(3)の主な取組状況というところの[1]のところで、これ、おかげをもちまして前回の部会以降、京都議定書は2005年2月16日の発効というのがとうとう正式に決定をいたしましたので、最新の状況に合わせて書き直してございます。
 それから、14ページにまいりまして、特にアジアを中心とした循環型社会の形成のための取組状況に触れるべきではないかというご指摘がございまして、東アジアの不法輸出入防止国際ネットワークというような取組を加えてございます。
 それから、右側、15ページでは、[4]番というところで、自治体の取り組みが北九州イニシアチブ程度しか書いていないが、ほかにもいろいろあるのではないかというご指摘をいただきまして、例えば環日本海環境協力会議というようなものの説明を加えてございます。
 それから、今後の課題につきましては、16ページでございます。[1]番のところで、特に京都議定書関係につきましては、いわゆるポスト京都、京都議定書以降を含めました長期的な温暖化対策に関する国際的な取組が重要であるということを踏まえて修正をしてございます。
 それから、[5]番のところで、モニタリングの協力というところで、この場合のモニタリングというのは、単に測定器ではかる以外のものもあるのではないかというご指摘がございまして、そこは温室効果ガスのモニタリングや観測・測定データの収集・分析というふうに整理をしてございます。
 それから、[6]番で経済のグローバル化というものを踏まえた取組が重要であるというご指摘がございまして、これを加えてございます。
 それから、[7]番は、これもアジアにおける循環型社会の形成に向けての取組が重要であるというご指摘をいただきまして加えたものでございます。
 いろいろ適切なご指摘をいただきまして、極力それを踏まえまして私ども修正をいたしたつもりでございます。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 今ご説明いただきましたように、前回のご審議、それから、その後いろいろといただきました具体的なご意見を踏まえて、事務局ではできる限り指摘の点を盛り込んだつもりではございますけれども、なおこの点について追加ということがございましたならば、私先ほど申しましたように、日程等の関係もございまして、きょうを最後にしたいと思っておりますので、一般的なご意見ですと私どもも対応に困りますので、具体的にここをこういうふうにというご指摘をいただければと思います。どうぞ。どなたから、どの場所でも結構ですので、ございましたらどうぞ。
 はい、どうぞ。

○久保田委員 久保田でございます。ありがとうございます。
 質問をちょっとしたいという意味であれしたんですが、7ページ目の主な取組状況における[8]のエネルギーの特別会計等のグリーン化の問題でございますが、グリーン化全般について、何かいかにも相当進んだかのように見えてしまうんですが、この書きぶりでは、ここは具体的には石油石炭税のことを言われているんでしょうか。そういうことであれば、具体的な名称を挙げ、一部そういうことで促進をされているという理解の方がいいのではないかと。
 なぜならば、私どもも含めて、既存税制のグリーン化という、あるいは時代変化とともに道路特定財源等々から環境配慮型の方へ一層財源やそういうことをシフトするというようなことは、もう少し全般的に見直してやるべきではないかという視点を、意見を持っているわけですが、そういう意味におきましては、やはり取り組んではいるけれどもまだまだ序の口というか不十分だというような認識を少し持っているんですが、そういうニュアンスが出る、出ないは別にしまして、もしこういう記述をするんであれば、具体的な部署といいますか、箇所を挙げてやった方が正確ではないかというふうに思います。
 以上です。

○森嶌部会長 質問なのか修正意見なのか、どちらかといえば修正意見と思われますけれども、何か書くとすれば……

○久保田委員 もしそういう範囲であるとすれば、例えば石油石炭税とかいうことを記述すればいいんではないかという修正意見でございますが、採用されるかどうかはお任せします。

○佐野環境計画課長 ご指摘のとおり、これは具体的には石油石炭税という格好で組みかえがされ、かつ、執行の方においても、例えば環境省において事業がされるようになったということがあるわけでございます。現行計画の策定以降、その後例えばほかの税制、今ご指摘にありました道路特定財源系統の方でも例えば何か進展があったかどうか、ちょっと時期の前後関係は私も今つまびらかでありませんので、整理をいたしまして、それに沿った文章を考えさせていただきたいと思います。

○森嶌部会長 ということで、石油石炭税、とっさに書いたらどこかで漏れているかもしれませんので、少し調べた上で具体的に表現をするということでよろしゅうございましょうか。質問というよりも、そういう趣旨の修正ということで承って、今のような形で修正をさせていただくということでよろしゅうございましょうか。
 ほかに。
 はい、どうぞ。鈴木委員。

○鈴木委員 12ページの今後の課題の一番最後のところになると思うんですけれども、1つ加えてほしいと思うのは、大規模な自然災害時における環境対策、あるいは環境保全をどうするかということに配慮する計画が今後の課題として入り用なのではないかと思うんですが、ここに1項目入らないでしょうか。

○森嶌部会長 今[6]までありますけれども、そのほかに、何を入れるか、足すかは別として、項目を設けて、大規模災害の発災における地方自治体との関係で、それと環境保全との関係でしょうか。具体的な文言ということではちょっと私も非常に難しいと思いますけれども、何かありますか。

○佐野環境計画課長 具体的に、確かにこの点検の間に幾つか大きな災害があったわけでございますが、先生のおっしゃったのは、例えば震災害廃棄物の問題であるとか、そういった種類のことでございましょうか。

○鈴木委員 この前、神戸のときに野焼きが結構一般化してしまったわけですね。

○森嶌部会長 マイクを使っていただけますか。

○鈴木委員 この前神戸で起こったときに、野焼きの問題なんていうのがあったわけですけれども、緊急事態だということで、例えば野焼きに対してどう環境の側からアプローチするかというようなことは、十分に検討されてはいなかったわけです。あくまでも緊急事態だということで問題が別枠に押しやられたという、そんな感じに私は思ったものですから。今回いろいろな災害を見ていますと、やはりそこら辺の環境配慮は必ずしも十分ではないわけで、それがどの時期にどのように組織化されてくるのがいいのか非常に難しいと思いますが、短い文章で結構ですから、ここに1項目入りませんかねというのが私の意見です。

○森嶌部会長 大きな災害の場合に連帯をする環境への配慮の管理についてのいわば指針とか、あるいは対応の方法についての検討をする、今のだと今後の課題としてそういう検討をしなければならないという、そういう趣旨ということでしょうね。

○鈴木委員 今後の課題ですから。

○森嶌部会長 今後の課題、そういうことでしょうね。
 この点ですね、浅野委員。

○浅野委員 前も神戸地震のことがあってそういう議論が少し出たんですが、基本計画の総論や各論の部分も含めたところまできちっと書いていないんですね。今の鈴木委員のご意見は、今までの文脈の中のどこかにちょっと押し込むというのはなかなか難しい感じがしますね。

○森嶌部会長 ですから、今後の課題、今の鈴木委員の、ですから項目を立てる、この中に例えば新しく3として入れるのか、それとも[7]として入れるのかはともかく、順番はともかくとして、新しい項目を設けて、災害対策の中での環境配慮についてどういう管理をしていくかということについて検討すべきだと。先ほど言われたように、臨時だということでほうり出されているけれども、それについて検討していくべきだというご提案というふうに受けとって……

○浅野委員 鈴木先生のご意見は、どっちかというと起こった後のことについてのケースまでということを主におっしゃっているんですね。

○森嶌部会長 そうですね、それについて検討していかなければならない……

○浅野委員 それと同時にもう一つ、環境に配慮した地域づくりというもっと前段階のところでも大災害時を想定したということも両方あり得るので、その2つをうまく盛り込んで、[7]として書き加えることも考えられます。

○森嶌部会長 それは先生がおっしゃったことよりはちょっと広がっていくかもしれませんね。災害時におけるというのも1つの独立項目と思いますけれども、わかりました。たった今文言としてちょっと思い浮かびませんけれども、項目として、ではお任せいただくということでよろしゅうございましょうか。

○鈴木委員 はい、結構です。

○森嶌部会長 それでは、横山委員、どうぞ。

○横山委員 1ページの下から6行目の公正取引委員会と金融庁の具体的な名前について、閣議に出すので消しましたということについて、2点お尋ねしたいと思います。
 1点は、これ、もし書いて閣議に出したとするとどういうことになるのかということと、2点目は、昨年はもっと環境配慮の方針が確定していないところがあったわけですが、それも同じように配慮したんで、こういうものではやはり閣議に出すものであっても、けしからんことはけしからんとして固有名詞を出すべきで私はあると思うんで、事務局の方からこういうことでやめますと言われても、ああそうですかと私は納得しないというか、事務局にその辺については意見を言いたいと思いましたので。

○佐野環境計画課長 私どもが至らなかったと言えばそれまでなんですが、私ども内部で検討しましたのは、閣議にかけますので、要するに、これは席上大臣が名指しで言ったも同然だということになると。言うと何か深刻な責任問題になるかということではないかと思いますが、やや穏当ではないのではないかという指摘がありました。
 それで、昨年なんですが、実は昨年は環境配慮をつくった省庁を列記しておりまして、大体半分ぐらいであったかと思いますけれども、つくった方を列記してございまして、今回ざっと残すところ2つなので私ども正直に書いておったんですけれども、内部の検討でそういった指摘を受けたというところでございます。

○森嶌部会長 なお、私の方は事前に報告を受けまして、これらの省庁についてはこういう措置を、消すという措置をとるに当たって、既にきちっと話をしているということと、それから、まだファイナルにできてはいないけれども、もう既に作成をしつつあって最終的な段階であると。そして、つくるということについて約束をしておられると、今のはやりの言葉で言うと自主的取組をしておられるということを私の方としては確認させていただいたので、環境大臣が名指しをするということは適切でないとおっしゃるのならば、それはそれでいいのではないか。武士の情けとはいいませんけれども、それはそれでよろしいのではないかということ、私の方としてはそれで了承をいたしました。いや、そんなことを言われたら困ると、おれのところはやる気もないんだとおっしゃれば、それならば何でも書くということになりますけれども、一応そういうふうに私の方としては理解をいたしました。
 ほかに何かございましょうか。
 それでは……すみません、どうもこの横だと見えなくて、失礼しました。はい、どうぞ。

○崎田委員 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、前回発言させていただいたことはかなりきちんと直していただきまして、ありがとうございます。
 それで、今国際的寄与のところでちょっと伺いたいんですが、今後にとっていろいろやっている中で、具体的な名前をここに書いていらっしゃらないのはわざとなのか、ちょっと伺いたい。わざとというか、そういう配慮でやっていらっしゃるのか伺いたい。

○森嶌部会長 どの点ですか。

○崎田委員 例えば、国連の持続可能な開発のための教育の10年について、今後非常に積極的な取組が期待されるわけですけれども、始まるのは来年ですが、今までの流れというのも随分あると思いますが、この文の中に環境教育のことは書いてあるんですけれども、わざとそういう単語を外していらっしゃるのか伺いたいと思ったんです。
 それで、もう一つ、最後に3Rのこともきちんと書き込んでいただいて、17ページです、ありがたいと思うんですが、今3Rイニシアチブを政府全体でいろいろ、省庁でやっていらっしゃると思うんですが、そういう単語も書いていらっしゃらないのは、そういう行事名をわざと入れないのはそういうご配慮があるのかどうか、ちょっと伺いたいと思ったんですが、何かそういうことがあるのでしょうかと。

○佐野環境計画課長 前回そういった関係でご議論がありましたのは、事業の実施主体の主語がないではないかというご指摘はありまして、これはやはり政府として、オール政府の状況をまとめたものだという話がありましたけれども、具体的なプログラムについて、特にそういった何か事情があってということは一般論としてはございません。基本的には前回のご指摘を受けたところを直したという形でございますので、何か個別の課題において、これは例えばまだ決まっていないとかいう個別の事情があるのかもしれませんが、一般的な方針として何かそういうことをやったということではないと思っておりますが。

○森嶌部会長 ぜひ入れろということであれば、ほかとのバランスで、極めて特殊なものでなければここへ、何ページの何行目のどこどこにそれを入れろということであれば、必要ならば……

○浅野委員 まだ今検討し準備している最中のものなので……

○森嶌部会長 これは点検ですからね。ただ、そういうアイデアが出ているとか……

○浅野委員 ここにあるもので書くということになると、やはりほかのところで検討されているものもある……

○森嶌部会長 そうそう、アンバランスということもありますので、だから、持続可能なため教育の10年というのは適切かどうかは別として、具体的な、ここにこういうものを入れたらどうだというのでおっしゃっていただいて、それはまだ結果も何も出ていない、ただアイデアを言っただけだというので、それは入れられないというようなことがあれば別ですけれども、特に何らかの意図があってこれを外したとかいうことではないと思いますので、もしもしかるべきものでここに入るべきもので落ちているのがあるということであれば、今言っていただければあれとして、基本計画の点検として、やっていることの結果として載せるべきものが落ちているということであればいれてもいいですし、今浅野委員がおっしゃったように、あることはあるけれども、まだ進行中で、17ページぐらいのものに入れるには適切でないという場合には、今の時点でおっしゃっていただいても、そこまでは入れなくてもいいんじゃないでしょうかということになるかもしれませんので、何かあればどうぞおっしゃっていただければ。

○崎田委員 では、ご確認の上で、17ページの最後の[7]番のところに、今こういうの、3Rイニシアチブというような形で政府全体で推進されようと今どんどん動いていらっしゃると思うんで、その単語を入れた方がわかりやすいのではないかと思うので、ご担当部署とちょっとご確認いただければありがたいというふうに思いました。
 環境教育の、15ページの上の[3]番のあたりに入るのかと思いますが、持続可能な開発のための教育の10年のこれの取組が昨年あたりから事前取組が始まっていると思いますので、ご検討いただければと思います。

○森嶌部会長 では、いずれも担当の者と、例の国連のあれもまだ実際には来年ということで、まだ今何をやるかというのでやっておりますが、これも担当の部署に相談をいたしまして、話だけでなくて、ここに載せてしかるべきかどうかということについて佐野課長の方から相談をしてもらって、入れた方が適当であるということであれば入れることにさせていただきます。
 はい、どうぞ。

○筑紫委員 4ページなんですけれども、一番上にCSRを意識した企業経営に取り組んでいる企業が多いとあるんですが、これはやはりSRI、社会的責任投資というのを出さないと、CSRに取り組んでいるのはSRIというのがあるから、それで投資される可能性が高いので企業がこのことを意識し始めたということがありますので、いきなりCSRだけだとわかりにくいと思います。それで、SRI(社会的責任投資)と呼ばれる投資の世界的な伸張に伴い、CSRを意識した企業経営に取り組んでいると。そしてそのCSRの中に環境への配慮というのは大きいんだよとするといいと思います。

○森嶌部会長 それは委員のおっしゃるとおり、最近はもう何とかもしゃくしもCSRといって、私はCSRは何だと言ったら、何だかわからないけれどもCSRだと。何だというと、あれはコンポライアンスだと。コンポライアンスというのは守るんでしょう、何のコンポライアンスですと言ったら、うっと詰まるんですね。法律を守るのは当たり前の話なんですけれどもね、どうも最近は言葉が出てくると、それを口にすればみんなそれで免責というのか、それでいいと思っていて、おっしゃるように、論理的前提とかその対象は一体何を意味しているのかということをほとんどお考えにならないで、特に企業の方というのはそういう人が多いので、ぜひ今度はちゃんと教育してやってください。
 この間、びっくりしました。コンポライアンス、コンポライアンスとおっしゃるから、コンポライアンスって何をコンプライするんですかと言ったら法律ですと、法令ですとおっしゃるから、法令を守るのは当たり前でしょうと言ったら、準法令ですと言うから、準って何ですかと言ったらCSRですとまた循環するんですね。
 では、わかりました。それは書きかえさせていただきます。
 ほかにありましょうか。
 それでは、特になければ、今おっしゃったこと、いずれもまだたった今は文章になっておりませんけれども、今申し上げたような趣旨で事務局に、ほかの部署に確認するところがありましたら確認をいたしまして、事務局の方で、私も最終的に確認をした上で直しまして、もう一度会議を開くということはいたしませんが、私にご一任いただくということでよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○森嶌部会長 それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、その上で、訂正の上で、先ほど申しましたように、後日環境大臣にご報告をさせていただくということにさせていただきます。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 それでは、次でございますが、環境基本計画の見直しということでございますが、現行の環境基本計画は、平成12年の12月に閣議決定をされておりまして、アプライをいたしまして5年後をめどに見直しを行うというふうになっております。そして、環境基本計画の見直しに関する議論をぼつぼつ始めなければならないわけでございますが、まずは全体として現行計画を総括する必要があるように思います。現在の計画を点検するに当たって、いろいろなご議論がなされております。現行計画の問題点等も今までに提起をされているところでありますけれども、そしてまた、現在の計画は、ご案内のように、いわゆる戦略的プログラムと称しておりますけれども、11の戦略的プログラムというものから成り立っておりまして、主な目標、それから実施状況と、いろいろと今までの点検でも議論をされてきたところでご指摘いただいたところでありますが、そこで、これらの点を事務局に整理をしていただきまして、ここに……

○佐野環境計画課長 今お届けをした紙でございます。

○森嶌部会長 今からお届けをいたしますが、もう、今……

○佐野環境計画課長 はい、今事務局の方から、ちょっと取り急ぎ部会長ともご相談をさせていただいて……

○森嶌部会長 今までご議論をいただいたような点、こんなことが問題になったのではないかということで、現行環境基本計画の論点のようなものを簡単にまとめてございます。こういうたたき台をつくりましたので、これについて事務局の方から説明をしていただいて、どのようなことをこれから議論していくのかということについて、一度自由にご議論をいただいて、それを事務局の方でもう一度まとめた上で次期の計画についてご議論していただきたいというふうに思っております。
 それでは、説明をしてください。

○佐野環境計画課長 ということで、まず、次期の基本計画を考えるに当たりまして、現行の計画をどのように総括といいますか、進んだところ、うまくいっていないところをまとめたらよいか、考えたらよいかということでございます。
 それで、お手元の参考資料の1というところに、この現行環境基本計画の重点項目といってよろしいかと思いますが、11の戦略的プログラムにつきまして、これはこれまで過去3回行っていただきました点検の結果をほぼまとめたようなものでありまして、それぞれの項目、どういった目標が掲げられておって、これに対してどれだけの進展があったか、例えば法律ができたというようなものもございますが、どれだけの進展があったかということと、それから、これまでの点検においてどういったご指摘をいただいているかというものを整理してみたものでございます。
 それで、こういったものを土台にいたしまして、議論の基本的な枠組という、とっかかりという格好で部会長ともご相談をしまして、今お届けをしました紙で、大体こういった考えなくてはいけない切り口があるのではないだろうかと思うものを掲げてございます。
 1つは、現行計画策定後に内外の社会経済にどういった変化があったか、環境の状況の変化はどういったものであるか、地球温暖化等々の問題が深刻化しているのではないかと。また、社会経済面では少子高齢化の進展。あるいは、現在の日本経済の状況をどう考えるのか。あるいは、三位一体改革や市町村合併など行政を取り巻く情勢の変化にどんなものがあろうかと。それから、京都議定書の発効、アジア諸国の経済発展などの国際状況の変化というものをどういうふうに考えたらよいかというようなものがあろうかと存じます。
 それからまた、現行計画についてどう考えるかという面につきましては、これはこれまでの点検の過程におきましても、定量的指標が少なくて具体的な施策の達成状況の評価把握ができないというご指摘をいただいているところでございます。このほか、こういった11分野の戦略的プログラムという格好を設けたわけでございますが、この計画のもとでの施策の進展をどういうふうに評価をしたらよいであろうかということ。それから、さらに加えまして、これ以外に現行の環境基本計画を見直す上でどういったことに留意したらよいだろうかというのが議論のとっつきといいますか、切り口になるのではなかろうかという格好で整理をさせていただいたものでございます。

○森嶌部会長 皆さんのお手元に環境基本計画、これは第2期の方でありますが、今、私後ろを向いておりましたら、第1期の環境基本計画をちょっと持ってきてくれと言ったんですが、ごらんのように大分成長をしておりますけれども、単に判が大きくなっただけのものでありますが、実をいいますと、第1期から第2期になりますときに、第1期のものは割合に循環、共生、参加、国際的取組ということで、どんな問題があるのかということで現状を述べて、それを循環、共生、参加、国際的取組といういわば理念と申しましょうか、そのもとにずっと並べていったわけですが、どうしてもその前の公害対策基本法のときの公害の頭がどうしても残っておりまして、いわば比較的網羅的に環境基本計画ができております。それを公害よりももっと広げて、循環とか共生とか、そういったところに広げていこうと。
 第2期には、今佐野課長の方からもお話がありましたように、戦略的と、これも厳密にいうとどうも、戦略というのはやはり何をするのかというゴールを決めまして、そのゴールに至るいろいろな方法といいましょうか、もともとこれは戦争のためのあれですから、敵はあそこにいると、あそこに行く途中に森があったり川があったり、そのためにはこれは飛び道具を使った方がいいとか歩兵を使った方がいいとか、敵を攻めるのに敵の兵力とか何か、そういうゴールを決めておいて、その敵情を分析した上で、こちらの持っている兵力とか戦力とかを分析した上で最も効果的に出る方法を幾つか選択をしてやっていくというのがもともと戦略だろうと思うんですけれども、そういう今問題になっているのは何なのかということで、事項としましては6つ、温暖化、それから循環型社会というのと、それから、ここは地球温暖化ともかかわってくるわけですけれども、交通ですね、これは沿道汚染なんかもありますから必ずしもCO2だけではありませんけれども、自動車交通なんかの交通の問題、それから、水循環と化学物質と生物多様性という6つを事項として挙げて、それから、それを達成するための政策手段というのをまた戦略的プログラムと。この辺になってきますと、ちょっとこれは戦略かなという感じがするんですけれども、それを環境教育と、それから社会経済の環境配慮のための仕組みの構築と、それから環境投資という3つをやりまして、それからあらゆる段階における取組に係る戦略的プログラム、これは地域の問題と国際的取組、参加の問題というような形で、11に分けていわば重点的にこういうことをやっていこうじゃないかということでやっております。そのほか、伝統的な大気汚染はどうしようとか、11でカバーし切れないものを次へ、第2章以下で書いているというようなやり方をやっております。
 これに対して、戦略はいいんだけれども数値目標もあれじゃないかと。具体的にいついつまでに何をやるかというのは書いていないじゃないかと、それは戦略かというようなことのご批判を受けておりますけれども、その当時としては最大限これで一生懸命やったつもりなわけですけれども、これをつくった当時から見ますと、先ほど課長が説明しましたように、世の中も大分変わってきましたし、それから、いろいろな問題についてもいろいろな数値で語られるところも出でまいりましたし、まだまだ数値ではとても語り得ない、あるいは図り得ない問題もたくさん残っております。そういう状況の中でどうするか。それから、問題自身も、これを考えたときよりは温暖化の問題なんかは非常に出てきておりますし、それから、化学物質なんかもこの当時考えていたよりも今の化学物質の問題、また別の問題が出てきていたりしますし、水の循環だって違ってきておりますし、先ほど出ておりました3Rだって、あのとき考えていたのと今の3Rとはまた違っているかもしれません。
 そういうことで、ではこのまままた帆を大きくしたらもっといいかどうか、それはわかりませんけれども、このときのそのままのをやっていくのではなくて、もっと別の考え方があるのかどうかということをここで皆さんにきょうは自由に議論をしていただいて、それを私どもの、あるいは事務局の方で少し整理をして、陣容を整えるまでいかないかもしれませんけれども、少し陣容を考えて、それから部会で議論をするということにしないと、第1期から第2期にいくときも大分いろいろな方にお願いをしてやってはいるわけですけれども、いろいろな問題が出てきてもいることですから、この際一度部会でご議論をいただいて問題点の摘出をする、それから、アイデアをちょうだいをしたいということできょうの時間をとっているわけですので、どうぞ、思いつきで、思いつきで結構ですなんていうのも、これだけの識見のおありの方に申し上げるのも失礼ですが、深い含蓄に基づいた識見をどうぞご披露いただければと思います。どなたからでも結構ですので、どうぞ。どうぞ、どういう意見でも。
 浅野さんは後で結構ですので。あなたの識見の深いことはもうわかっているわけですから、もっといろいろな……福川委員もちょっと、いや、どうぞおっしゃってください。どうぞ、口火を切っていただいて。

○福川委員 それでは、前座ということで若干お話をさせていただきます。
 まず、1の内外の社会経済情勢の変化のところですけれども、(2)の[2]の日本経済をどうとらえるかという点は、できるだけ具体的に分析をした方がいいように思います。1つは、技術条件が非常に変わっているということは特筆すべきことだと思いますし、燃料電池だとか電気自動車だとかハイブリットカーだとか、あるいはバイオを使う、あるいは素材技術を活用するというような格好で技術革新が非常に進んでいるので、技術条件をどうとらえるかというのが1つは大事な視点ではないかと思っております。
 2つ目は、価値意識、人々の価値観が変わってきているということもここの中に入るかと思っております。1つには、例えばNGOが非常に活躍するようになったということも1つですし、それから、企業も自主的取組をするようになった。できることなら、こういう取組をもっとおだててというと言葉は悪いかもしれませんが、加速させるというような意味もあるので、こうした変化はきちんと指摘してみる必要があるような気がいたしております。これは今価値意識と申し上げましたが、取組の仕組みも変わってきているというシステム的なアプローチにも入ってきているという気がいたしております。
 それから、エネルギーの不足というのは、実はこれは環境と裏腹ですが、これはまたかなり深刻になってきているので、エネルギー不足と環境の汚染とをどう統合的に解決するかということもこの[2]の中に入ってくることではないかというふうな気がいたしております。
 それから、[4]の国際情勢ですけれども、ここも非常に国力のパターンが非常に変わってきていて、発展途上国の中でもむしろ先進国に仲間入りするものも出てきているということでありますし、片や貧困が非常に厳しくなっているという二極分化が今国際情勢が進んでいるわけですので、このアプローチも実は中進的発展途上国と最貧国というものと両方を分けて、もう少し論点として具体的に考えてみていく必要があるのではないかという気がいたします。
 2番の現行計画の課題ですが、これは前からもいろいろ議論があって、私も常にそう思っているんですけれども、まず、今度は京都議定書というある程度の目標が出てきておりますし、これから新しいポスト京都議定書の問題をどうするかという問題がありますが、やはり日本の中で時間的なターゲットを分けて見ていく必要があるのではないかと思っております。例えば50年、あるいは100年を考えた対策と、それから当面京都議定書、あるいはポスト京都議定書についての対応策を区分して取り上げる。30年、50年、100年をオーダーにもっていく、いわゆる温暖化防止条約の考えているようなものについては、これは相当早目からしなければいけないし、技術開発等であるとすれば、相当時間も要するということですので、このタイムスパンを分けた書き方をして、長期の問題についても今から精力的に取り組むということをぜひ今回は、考えてみていただきたいという気がいたしております。前にもいろいろ議論があった点ではありますが、そんなような気がいたしております。
 それから、この基本計画の循環、共生、参加、国際的取組ということで4つあるわけですが、この4つの目標の関係をどう考えるかという点がどうもなかなか必ずしもはっきりわからないし、この持続的成長という言葉自身もわかったような気もしますが、専門家の間ではわかっている問題でしょうけれども、一般にはなかなかわかりにくい。もう少しこの目標の立て方を、できることなら最終目的と、それから第2次目標とを分けた形でわかりやすく書くということが必要なような気がいたしております。
 それから、対応策を考えるときに、人々の社会意識とか技術開発とか企業の対応とか、あるいは文化的な価値観とか、そういった総合的なアプローチを考えているんだという工夫がわかるような形の立て方をしてみる必要があるように思います。11の分野もいろいろな切り口で書いてありますが、こうした立て方がもう少し合理的、有機的にうまく書けないものだろうかなという気がいたします。
 それから、もう一つ、先ほど環境基本計画の中で循環、共生、参加、国際取組、これをどう立てるかということを申しましたけれども、そういった目的と取り組むべき主体とそれから手段の問題とをうまく立体的に組み合わせて、なかなか難しいと思いますが、できることならわかりやすく考えたいという気がいたします。
 最後に1つ、これは一応温暖化が中心ではあるかと思いますが、他の環境汚染との連動ということへの配慮もしていく必要があるような気がいたします。どういうふうに書くかは難しいかもしれませんが、他の例えば酸性雨にしろ土壌汚染にしろ、いろいろな問題が絡みあって相乗的に地球環境を悪くしているので、そういった立体的な構造を考えてみるのも1つかなと思います。要するに申し上げたいことは、この2の現行計画の課題というものをいろいろ目的別、主体別に立体的にわかりやすく考えてみる必要があるのではないか、そんな気がいたします。
 とりあえずの感想で恐縮ですが、以上です。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 今のところ、次に永里委員、久保田委員、桝本委員、崎田委員、浅野委員ということで……

○佐野環境計画課長 今、筑紫委員が……

○森嶌部会長 すみません、筑紫委員、その順番で一遍やって、それで次あれしますので、今挙げておられる方、札を倒していただいても覚えて、ここにメモして、登録してありますから、どうぞ。
 では、次。

○永里委員 ありがとうございます。
 環境基本計画を見直すに当たって、「どのような社会を我々は目指すのか」ということがまずないと意味がないので、いろいろありますけれども、要するに、欧州が目標とするような社会経済なのか、アメリカがねらうような社会経済なのか、欧州というのは少子化が進み成熟した社会だと思いますし、アメリカの方は若々しい競争社会だと思いますが、環境と経済の両立とかいっておりますけれども、今回はもっと長期的によく見た場合、日本はどんどん人口が減っていくわけでして、そういうときにアメリカみたいに移民を受け入れて若々しさを保つのか、あるいは人口が減ってきたときにどういう社会になっていくのかということを考えた上で、そのような中で欧州のように豊かな社会をねらうのか、又はアメリカのように国力の充実をねらう方がいいのかということもあるでしょう。そういうことをある程度コンセンサスを得た上でつくらないと、全部アブハチ取らずの、八方美人の環境基本計画になってよくないと思います。
 残念なことなんですけれども、一部の非常に強い製造業が輸出過多をやっていまして、どんどん、例えばドルと円との関係で、円高にしないとうまくいかないような状態になっているんですが、別の言い方をすると、内需の方が全然充実していないためにこんなことが起こっているわけですね。だから、豊かな生活をしていないそういう社会でいいのだろうかということを受けまして、日本経済、日本社会はどうあるべきなのかということを考えた上でこういう環境基本計画というのは考えるべきじゃなかろうかと思います。

○森嶌部会長 では、筑紫委員、どうぞ。

○筑紫委員 すみません、10ページなんですが、社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組というところで、こちらの、またなんですけれども、目標の基本方向がありまして、環境利用のコストが価格を通じて十分市場に反映されることと、これはつまり金融のグリーン化だと思うんですけれども、そういうものという、やはり金融のグリーン化というものがないと非常に漠然としていると思うので、この辺に金融のグリーン化に留意しながらということを入れられたらいいんじゃないかと思います。
 それから、(2)のところで、またここでいきなり環境報告書作成企業数が着実に伸びているというんですが、これもSRIがあって、企業の社会的責任を評価して投資するファンドが出てきて、その企業の社会的責任を問う1つが環境だよということで、その環境への取組を評価するツールとして環境報告書や環境会計をこの民間の金融商品が使ったから企業はこれを出し始めたりして伸びたというところがないというのは、ちょっと非常に突然という感じがいたします。
 それで、11ページのところも、環境投資の促進の主な状況・成果というところ、(2)の[5]で、環境格付に基づく融資制度を日本政策投資銀行が創設、運用開始とありますけれども、その前に民間の金融機関がSRIファンドとかエコファンドとかというものでこういうものを出して初めて政策投資銀行さんはそれを後追いしたと記憶しておりますけれども、1年半ぐらい後にですね、そのときには民間のSRIとか、SRIの商品を研究された後こちらの方に入っていかれたと記憶しております。ところが、そういったものには全く言及されず、いきなり政策投資銀行のものは1つの評価として、こういう成果として出されているというのが、ちょっと私が実際にそれに、それといいますか、全くSRIとかそちらの方の成果はわかりませんけれども、ひがみかもしれないけれども、全然そこが出てこないというのはとても不思議な気がいたしますし、納得できない気がいたします。
 以上です。

○森嶌部会長 念のために申しますと、第三次の環境基本計画をどういうふうにつくろうかということですから、今おっしゃったことは、これは、第二次環境基本計画における各戦略的プログラムの状況については今コメントされたわけですから、こんなことを第三次でやっちゃいかんぞというご趣旨として今承ります。
 それでは、久保田委員。それから、青木委員、恐れ入りますが、後で挙げられましたので、第2順目にということで、久保田委員の次は桝本委員ということです。
 どうぞ。

○久保田委員 約1年間環境関係の審議会に幾つかずっと労働組合の立場で出させていただきまして、一言の印象は、非常にまじめにさまざまな角度で議論しているんですが、非常に効率の悪いエンジンになっているんじゃないかという感じがいたします。非常にベクトルが合わなくて、大変なエネルギーをかけているんだけれども前に進まないと、非常にエネルギーを消耗しているという感じがいたします。
 永里委員が言われたこととちょっと角度は違うんでしょうが、私も同じような意味で、やはりここまで来れば日本が次にどういう社会を目指すのかという、この国のあり方、形ということについて、しっかりとしたコンセプトと方向性というのを下流ではなくて上流の方から本当に議論し、そういう戦略に基づいてどうするのかということをやらなければ、下流の方で一生懸命それを積み上げて上流の方に持っていってもという感じがいたします。とりわけ経済と環境の両立、あるいは経済と環境の好循環モデル、あえていえば開発と環境のと、こういうのかもしれませんが、本当に持続可能な社会というのはどういうコンセプトなのかと。
 そして、このページでいえば、(1)に書いている環境が、本当に地球環境がどうなるのかという問題と、もう一つ、(2)の[1]、[2]、[3]ですね、世界でも未曾有の少子高齢社会に突入しようとしていると。しかも、中央部を含めて、戦後50年なかったような産業構造の転換をむしろ迫られている。そのベースには雇用問題も含めたそう簡単じゃないというところがあることも正しい、間違いない。しかも、その中で、道州制か、そういうようなことも含めてでしょうけれども、明治以来100年続けてきた中央集権型国家の枠組自体をもっと分散型のところに変えていかなければならないという、恐らく100年に1回あるかないかぐらいのこの国の形ということを議論するときに、一体環境問題をどう位置づけてどうするんだということについて本当に考えていかなければならないんじゃないかと。
 そのときに、私ども労働組合の立場からすると、きれい事だけでは済まないというか、打ち出の小づちじゃないわけで、そういうことをいうということは、自分の生活にとって一体どういう影響を持つのかということもしっかり踏まえて本当に議論していく必要があるんじゃないかと。例えば、生活を変えるという場合でも、省エネ型で変えるという言い方と、豊かさの中身そのものが、要は物質的豊かさ、無尽蔵な欲望の充足ということについてやはり制御していくのかどうかというようなレベルも含めて見直すのかというのは、やはり少しわけが違うんだろうと思います。省エネ型、いつの間にか知らないうちに電気やエネルギーを使わない生活というのもいいんですが、それが一歩進んで、負荷はかかるけれどもそこに踏み込んで、そういうことはお互いに納得して、少々欲望も我慢しようよというようなところも含めていくのかどうかということについては、実は大変大きい項目ですが、後者の方までいかないと本物ではないんではないかなという感じもいたします。
 それを2010年なのか2030年なのか2050年なのか、ターゲットの取組いかんにもよるでしょうけれども、そう簡単な問題ではないというだけに、国家戦略やこの国の形ということをぜひ上流でという意味では、省庁を超えて、環境省の方針ということではだめだというふうに思いますので、経済産業省、すべての省庁を含めたもの、そして経済界もNPOや市民団体や私ども労働組合も含めて、あれも反対、これも反対、いやそれはおかしいという意見のお互いの言い合いではなくて、川上の方で、企業も環境問題については本当に企業戦略という非常に重要なところに位置づけているわけですから、どうあればいいのかということを建設的にどうやって書いていくのかというような議論ができる方向でのまとめとか場のつくり方ということを本当にやらないと、非常に効率の悪いエンジンで、諸外国から見れば、何だいろいろ議論しているけれども、内部は一向にまとまっていないじゃないかということになってしまうのではないかという感じがいたします。大変重要な問題だけに、やはり本質論のところを議論していくべきじゃないかという感じがいたします。
 以上です。

○森嶌部会長 私がお答えする筋合いのものではありませんけれども、民主主義というのは時間がかかって能率が悪いものなんですね。ある国の首相が、民主主義というのは最も能率が悪くて最もだめなものだけれども、ほかのものよりはよいというふうに言っているわけで、私はこの審議会も、私は久保田さんにほめていただいたと思っております。ほかの審議会に比べれば、非常にいろいろな議論をしていると。確かになかなか決まりませんけれども、それはいろいろな意見を封殺しないでやってきているからだと、私自身はそう信じてやっております。
 それから、どういうふうな国の将来を描くのかということは、この審議会だけで決まることではありませんけれども、この審議会の中で議論してくださることが国の審議会、あるいは、最終的には私は国会が決めることだと思うんですけれども、国会にも反映していくことになるだろうと。それは時間がかかるのはやむを得ないんじゃないでしょうか。
 それで、産業界の方も、それからNGOの方も、それから久保田さんのような労働組合の方も、それぞれの方が意見をおっしゃっていただく。今までやってきたことを半年や1年で、それこそライフスタイルまで変わるというのは、私はできない。ただし、議論を感情的にやるのではなくて、現状がどうかというようなことをきちっと論点を整理しながら、できるだけ、やれているかどうかはわかりませんが、できるだけそれをやってみんなで認識しながら、私は常に、聞いておられる方はいいんですけれども、聞いておられる方が、聞いてなるほどあれは論理的なことを言っているというふうに皆さんに聞いてもらう、そしてまた、事務局にも不完全でもいいからできるだけ客観的なデータを用意しなさいと。それをだんだん積み重ねていくことによってみんながわかってくれるだろうと。国会の先生もわかってくれるかもしれないと私は思って議論をしているので、ひとつ1年であきらめないでやってください。
 民主主義というのはそういうもので、労働組合だってそう簡単にはいろいろなことが決まらないじゃないですか。ここだけが決まらないんじゃないんですよ。労働組合なんかもっと決まっていないんじゃないでしょうかね。と思いますので、ひとつ絶望しないで頑張って協力してください。
 それでは、桝本さん、お願いします。

○桝本委員 ありがとうございます。
 私は、この問題をしっかり考えてきたというわけではなくて、かねがね私が思っておりますことを聞いていただいて、今度の基本計画をおつくりになるときの考えの一部にぜひ加えていただきたいというお願いを込めてちょっと説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、この問題が将来の日本の社会づくりであるというご指摘は、私も全くそうであると思います。ただ、そこの社会づくりにいく前に、これは福川委員がおっしゃられたとおり、どういう取組をしていくかというふうに、やはり当面の短期と、それから中長期、それから願えれば主体が何をやるかというところが読み取れるように、今の計画はそこそこ書かれてはおりますがばらばらになっていまして、その主体のいわば役割のようなものが、私は散見はされるけれども統一的になっていないというふうに日ごろ感じております。
 その主体についてちょっと申しますと、例えば中央、官民と一言でいいます。官は中央政府と地方自治体がある。民は企業、国民、こういうところがあるわけですが、それぞれで恐らく、つかさ、つかさという言葉がありますように、やることが違うんだろうというふうに私は思っておりますし、やることをそれぞれのところがこれは自分のところがやるんだというような意識が芽生えるような書き方というものができればぜひお願いを申し上げたい。
 まず、社会づくりですが、価値観に及ぶ前に、幾つか恐らくここにいらっしゃる委員の皆様全員がそう思っていらっしゃるというのは、1つは、省エネ社会づくりということはもう間違いないんじゃないかと。これは、いわばエネルギー利用の非常に高効率の社会をつくっていくと。エネルギーを何にするか、これは原子力、新エネ等、いろいろコントロバイシャルで議論はありますけれども、より省エネ社会をつくる、より低炭素型社会をつくるということには私は異論がないと思います。
 それから、投入資源の生産性の向上を図ると。これはファクター4とかファクター10と言われるとおり、必須の流れでもあるというふうに思います。私流に申しますと、これは一種の社会改造計画ですから、1人中央政府だけが、1人企業だけが、あるいはNGOの皆さんだけが力を入れてもこれはだめなので、やはり国民、国全体を成すそれぞれの主体がそれぞれのポジション、ポジションでかかわるという必要があるというふうに私は思います。その帰趨として、結果として豊かさを見直すというようなことだってあるいはあるかもわからない。先ほど福川委員が持続的開発という言葉についての問題を若干お述べになりました。私は前にパンフレットで持続的開発という言葉はわかりにくいという指摘をして失礼をいたしましたが、私もそう思います。もうちょっと一般の人たちにこの持続的開発というのはどういう意味があるか、私に言わせると、これは場合によると欲張り過ぎているかもわかりません。我々の豊かさを少し落としても、削っても何かを求めるという必要があるいはあるかもわからないという意味で、この言葉はもうちょっとわかりやすく言い直す必要があると私はかねがね思っております。
 ところで、中心の私の主張なんですけれども、私は、この地球温暖化問題にとりあえず限ってお話をさせていただきますと、エネルギーの消費というのは大きく言って3つの要素になっていると考えております。エネルギーの利用は、必定、ある係数を経て二酸化炭素の排出、温暖化ガスの排出にかかわるという意味ですから、エネルギー利用そのものをよく分析する必要がある。そのときに3つの要素と申しますのは、ちょっと皆様の頭の中で算式をイメージしていただければいいわけですが、まず、資本ストックがある。機械、設備、単体としての例えば家電製品、あるいはそれが組み合わされた住宅、ビル、そういうようないわばストックがあるわけです。
 このストックは、実はそう簡単にエネルギー利用効率など変えられません。新しく更新されるか大変な技術革新があって機械そのものが入れかわられるか、つまり、ストックの中にエネルギー利用効率が具現化しているわけでございまして、ここが1つ大きいポイントです。私どもがかねがね、あるいは私がかねがね技術が大事だとさんざん口を酸っぱくしてお願いしているのは、このストックをエネルギー利用効率を高めるという必要があるという意味でございまして、特にこれは中長期とも言っていいような大きな期待をすべきポイントだというふうに思います。多くの場合ストックは、インフラ部分は官が持ち、多くの場合産業設備については民が持つと、企業が持つという格好になっているわけです。
 ところが、このストックが2つの要素で稼働されるというふうに私は思っております。1つは、生産量とか国民のライフスタイルとか距離とか、こういうことで動くわけです。実はもう一つ要素があります。それは、ストックのある場所、雰囲気、環境条件、一番わかりやすい例は、ちょっと卑近に過ぎますけれども、例えばエアコンの室外機が日照りの激しい暑いところに置いてあったんでは非常に効率が悪い。日陰にあってできれば涼しいところがいい。例えば、都市でも風通しがよくて緑が大変多くて、あるいは川、運河が非常に多い、そういうような都市は、考え方としてですが、恐らくヒートアイランド現象のようなものは比較的起こりにくいんではないかと私は思います。
 ですから、まずストック、そして全体を条件づける環境条件といいますか、私はそれを今K、そしてCというふうに自分では呼んでいるんですが、それからライフスタイル、稼働させるライフスタイルと。ですから、ライフスタイルの変更は、実はKにも及ぶわけですが、短期的には、大変排気量の多い車をさんざんあてがって車に乗るなというのは、ライフスタイルの変更というよりも何か矛盾したことを全体としてやっているというわけでありまして、私は、したがってストックを更新していく、いわゆる省エネ型にしていく、これが企業の1つの大きな努めですし、力です。そのことを助長され、促進させるのが資金の市場であり、企業の判断であり、そして中央省庁の大きな役割ではないだろうかと。
 それから、サーカムスタンスというかコンディションというか条件、これは都市づくりそのものです。あるいは、都市計画そのものにときにかかわるものでございますから、多くの場合中央官庁と、そして多くの役割を地方自治体が持っているというふうに思います。地方自治体が都市計画をどういうふうにおつくりになるかでそのまちのありよう、工場のありようも変わってまいります。そこもより省エネ型にするように配慮していっていただく。
 そして、最後は、その全体を稼働させる要素です。稼働させる要素は、例えば工場ですと生産量、そういうことになるわけです。エアコンですと気温。これは主に消費というところに多くつながっておりまして、私は国民にそこで大きな選択の力を発揮してもらうことができるんではないかと期待をしております。
 私のそれは単なる前々からの考えていることに過ぎませんけれども、お願いといたしましては、関係する主体がその環境基本計画の中で自分はどこにかかわって何をするんだと、中央政府が何をし、地方自治体が何をするんだというところが鮮明にできるだけなるようなご配慮をいただいて計画をおつくりいただきたいというふうにお願い申し上げます。ちょっと長くなりまして失礼いたしました。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 では、崎田委員。それから浅野委員。

○崎田委員 この環境基本をこれからどうしていくかというときに、やはり今までお話があったように、これからどういう社会を目指していくのかというところをきちんとお話をしていくというのは、私もやはりとても重要なところだと感じています。どうしてかというふうにいいますと、やはり環境分野というのは、本当に時間がかからないと効果が出ないということもありますので、やはりある程度のリーダーシップと、そして地域社会や市民、そして事業者のボトムアップと、このリーダーシップとボトムアップの両方がきちんと歩んでいくということがすごく大事なんだと思います。それで、両者がきちんと歩んでいくためには、やはりそれなりに自分たちが今この社会をどういうふうに目指しているのかというある程度の合意なり信頼関係というのが出ていくことがとても大事だと思っています。
 今リーダーシップと言いましたけれども、これが環境基本計画の話だけではなくて、政府の基本方針であるとか、それに基づいたそれぞれの省庁が自分たちの持っている法律をどう見直すのか、そういうことも全部含まれているというふうに感じています。どういう国を目指すのかというときに、やはりこれは、国民みんなが今いろいろなことを感じ始めている時期ですので、ぜひここの場だけではなくて、国民全部に一度投げかけていただいたらどうかという感じが私はします。
 ここのところ、やはりどうも気候が変化している、去年は冷夏でことしは暑い夏で、やはりおかしい。そういう実感は、かなり市民は大勢持ってきています。ただし、だからといって大変だ、大変だと言われても困ってしまう、今何をしたらいいかというあたりの情報を知りたいとか、そういうような段階の人も多いわけですけれども、そういう意味で、大変だだけではなく、どういうふうにみんなが明るい気持ちで生きていけるような、いつまでも明るい気持ちで生きていけるような社会をつくるのかという、その辺を示すことが大事なんだと思います。
 実は、今度の環境基本計画などにもぜひ参考意見として生かしていただきたいということで、この環境省の中でもいろいろな委員会でいろいろなお話し合いというのがあったと思います。そういうことも今後の参考資料としてどんどん提示いただければうれしいなというふうに思っています。例えば、健やかで美しく豊かな環境先進国を目指してということで、2025年の環境と経済の好循環ビジョンというのも、安原委員が進行してくださいましてまとめができたと思います。こういうのもいろいろな話し合いの上ですので、ぜひいろいろな委員がどういう意見を持ってまとめたのかということも参考にしていただければありがたいと思います。あるいは、環境基本問題懇談会というのも開かれておりますし、そういうところで、どういうことがいろいろな場で話されているのかというものをぜひ共有をしてつくっていくということが必要なのではないかと思っております。
 私としては、生活者の視点でいつも話をさせていただいています。そういうふうに考えると、一番はやはりわかりやすくどういう社会を目指すかというときに、先ほどからも省エネ型か我慢型かというのもありましたけれども、私たちが少し価値観を変えて、人生の価値観を変えながら、我慢ではないライフスタイルをきちんと、もっと自分の人生観、例えばワークシェアリングしながら自分の人生をきちんと組み立てていくような形にするのかとか、かなり自分の生き方を変えていくということも踏まえていけば、いろいろな可能性が広がるのではないかと思っております。
 そういうところで、これからの社会を実現させるのはだれかというときに、先ほど来お話があるように、パートナーシップで実施する、市民、事業者、行政がみずから動けるところをちゃんと主体的にやっていくという、そのパートナーシップ型の社会をつくるんだということを明確に私たち市民に伝えていただくということが重要なんだと思います。そのときに、もうそういう気持ちで動いているNPOの人とか、そういう人も社会に大変ふえておりますので、そういうNPOや環境活動している人たちの輪をうまく活用しながら市民参加型の社会にもっていく、そういうような割に強い作戦づくりというのも必要だと思っております。
 そういうことを考えると、いつもこういう環境基本計画とかまとめというのは、環境項目、地球温暖化、循環型社会づくり、自然との共生という具体的な項目が割に先にいって、それをつくる主体はどういう役割かというあたりが後ろにくるんですけれども、逆転の発想で、それぞれの主体の役割とかパートナーシップ型社会をつくっていくにはどうしたらいいか、環境教育の話とか、そういうことを前の方にもってきて、社会の転換は私たちがつくっていくんだということを広く訴えるような、そういうような構成にしていただくというのも1つ大きな転換ではないかと思っております。
 今の話の中にはほとんど入れませんでしたが、やはり今環境状況を変えていくのは、環境と経済の好循環をきちんとつくっていくという、それをパートナーシップ型の社会でつくっていくという、このバランスなんだと思っております。そういうことを明確にアピールできるような環境基本計画ができ上がっていくことを望んでいます。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 ファーストラウンドはこの後浅野委員で終わりまして、私の手元では、次は横山委員、それから青木委員、三橋委員、速見委員ということになっていますので、あと40分ぐらいありますから、今挙げていただきます。それで、あと40分ぐらいですので、挙がっているのを眺めて自分の発言の時間をあれして、それでは、その後、委員の名前を、委員というのを落としますが、横山、青木、三橋、速水、藤井ということで、もしかして星野委員の方が先に挙げられたかもしれませんが、星野、中野ということで、これで登録を締め切ってよろしいですか。それでは、あと皆さん、ほかの人の数を勘定して自分の発言をしていただければなと。
 それでは。

○浅野委員 今後の審議の折に発言をする機会もあろうかと思うんですが、ただいままでのご発言をお聞きしますと、桝本委員も同じようでしたし、ほかの委員からも同様にご発言がありましたが、福川委員がおっしゃった時間的なターゲットについては、単一ではないという、複数の考え方が必要であるということは私も全くそのとおりであると思います。
 環境基本計画のこれまでの流れを簡単に振り返りますと、1994年に第一次の計画をつくったわけです。先ほど森嶌会長がおっしゃいましたように、当時はまだ公害対策基本法と自然環境基本保全法をどう統合するのかということがまず第一であったわけです。そういう方針で計画を作ってみたら、やはり余りにもばらばらというのか、何もかもを盛り込み過ぎたからもうちょっと戦略的に重点を絞らなければいけないということになって、第二次の環境基本計画をつくったわけでございます。計画は最初から5年ごとに見直しをするというルールを定めて、その考え方でこれまでずっと来ているわけです。ですから、何となく5年間、5年間で見直すということがあり、そのようなスケジュールにやや引っ張られすぎている感じがありますが、先ほどどんな社会をつくるのかということがまず大事だとおっしゃったご意見がありました。このことについても全くそのとおりです。
 ただ、環境基本法をよく読んでいただく必要があります。環境基本法には第3条があって、そこに、要するに、次世代に環境の恵みを引き継ぐ、それが何より大事なことだと言っているわけです。そのために第4条で持続可能なと言っています。実は、持続可能なというのは第3条を実現するための手だてだという、そういう理解をしているわけです。第二次計画では、その第4条を殊さら強調したのは、第一次計画のときに3条、4条、5条の環境基本法の基本的理念はある意味ではわかり切ったこととして再掲することを避けてしまったんですが、それでは何となく基本計画の全体の哲学がはっきりしないのでもう一回基本法に戻りましょうということで、第4条を取り上げた。きょうのご議論でどんな社会を目指すのかというご意見が出たわけですが、抽象的、一般的に言えば、基本法の第3条が本当はベースなんだということを再度確認する必要があります。
 その上で、さっき崎田委員がおっしゃったんですが、委員が若干誤解しておられるのは、あるいは何人かの委員は誤解をしておられるんですが、好循環ビジョンは当部会の答申です。ですから、議論は余りやらなかったんだからあれは関係ないと言われては困るので、部会の責任で専門委員会の報告を皆さんがこれでとおっしゃった。2025年こんな社会にしましょう、これで大変結構ですということで皆さんのご賛同をいただいてこの部会の答申、審議会の答申として出しているわけです。ですから、それは既にある意味では1つの方向が出ているということを忘れては困る。崎田委員はそのことを言われているわけです。それをさらにもっとわかりやすく、あるいは、あのときにはまだ十分考えていなかったことがあるとすれば、それを足していくという作業がこの部会の今後の作業であるということを忘れないようにしないければいけないと思います。
 それから、主体のかかわりについて枡本委員がご発言になり、第二次計画はややその点がとおっしゃったのですが、若干弁解めいたことを言うと、第一次計画のときに各主体という項目があったんですね。それはどうしても1人の人がある部分では事業者であり、ある部分では市民でありといって、いろいろなところにかかわりを持たざるを得ない現実があるものですから、主体のところの書きぶりが整然としなかった。結構同じことを並べるといったことで記述がダブってしまったんですね。それで相当ご批判を受けたものですから、そこは戦略プログラムの中に入れればいいというので第二次計画ではあえて落としたといういきさつがあります。
 しかし、やはりこれから先のお話として、私は桝本委員がおっしゃったことはよくわかるんですね。特に環境基本法、環境基本計画は政府の計画だから国がやることを書けばいいという意識がどこか役所にはあるんです。だから、どうしても役所相手に注文をつけるというスタイルになってしまっている。これはおかしいということは私もたびたび言っているわけで、その点ではおっしゃることはよくわかります。ですから、この点は十分留意しながら、なおかつ、縦割りにならないように、むしろ主体のかかわりというときには、協働、連携ですね、これをしっかりやらなければいけないということです。
 また、細かい議論をするときに申し上げたいのですが、私は戦略プログラムの1から6までに掲げた項目は、まだ未解決の項目ばかりだろうと思います。ですから、6つはやはりさらに進めなければいけないと思います。しかし、6つのプログラムの相互の関係についてももっとはっきりさせなければいけないとも思います。そして、後の方にある5つについては政策実現手法に係る戦略プログラムなのですが、ここはもう一度整理し直す必要があると思います。
 私は崎田委員と同じことを考えていまして、後半のところに書かれている5つのものについては、再度統合して、可能ならそれはむしろ総論の方に持っていって、そこではっきりアピールをしていかなければいけないだろうと思う。そのことを前提にした上で6つのプログラムをしっかり構築しなければいけない、こういうようなスタイルに直すべきだと思っていましたから、その点では、崎田委員のご意見に基本的には賛成でありまして、その方向で議論していくということが必要ではないかと思っています。

○森嶌部会長 最初に浅野委員に発言してもらうのをやめたのは、最初に全体を規制してもらうと困るので、本当は最後にしてもらおうと思ったんですけれども、1ラウンドとなりましたけれども、そのうちにいずれまたご登場していただきますけれども、きょうのところはこれぐらいにして、何となく事務局の答弁を聞いているような感じがいたしましたけれども。
 それでは、横山委員。

○横山委員 3点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目は、事務局が出してくれた論点の1の(1)、地球温暖化など地球規模での環境の劣化がますます深刻化しているのではないかと、これに賛同したいと。台風の10個日本への上陸とか、あるいはことしの夏の39.5度ショックとかですね、これはやはり一般の人が何かおかしくなっているなと、専門家はきちんと言わないけれども、やはり我々を取り巻く環境がおかしな状況になっているんじゃないかなという共通認識がだんだん出てきていると思うんですね。それから、余り取り上げられはしなかったんですが、例えばことしの東京の初氷なんかも1月何日かで、それも観測史上記録的な遅さだったんですね。そういうことを見ておると、やはり何かはっきりは言えないけれども、地球の環境がおかしくなっているということは我々は大前提に考えていかなければならないと思うんですが、特に中環審なんか、そういう厳しい見方にたってこの環境基本計画の見直しなんかも進めていくべきではないかというふうに思います。
 仮に、これが単なる自然のリズムでちょっとことしとか去年がおかしくなったということかもしれませんけれども、やはり今のそういうおかしいものが温暖化の影響ではないと否定するものは全然ないわけですね。ですから、それは我々の立場からいっても厳しい態度、やはり地球環境が劣化しているんだということを大前提にやるべきではないかと思います。
 ところが、現実はどうかというと、私は全然その点がだめだと思うんです。例えば、私も最近学生に環境問題を教える立場になって、毎回感想なんかを書かせていると、やはり環境問題の現実を知れば知るほど、何で政府は手を打てないんだろうか、あるいは国際社会は何もできないのかというのが物すごい数寄せられるんですね。そのぐらい、学生でも、まだ環境問題がわからない学生でも、政府がどれだけ力を入れて取り組んでいるかということについて疑問を持っていると思います。
 例えば、今度の温暖化対策税のことを見ても、一部の行政とか、あるいは産業界が、こういう表現は申しわけないんだけれども、なりふり構わない姿勢がやはり大きな、なかなか環境税の実現という方向に向かっていかない大きな理由になっているんではないかと思うんですね。私は個人的には、きょうもCSRの話が出てきましたけれども、一体どこにいってしまって、CSRなんてことを考えたことがあるのかなというふうに思ってしまいました。しかも、日本の産業にマイナスだとか製造業の空洞化だとか、本当に自分のことしか考えていないんではないかというふうに思います。もう少しグローバルな見方をしないと、この地球環境問題には対処できないというふうに思います。
 政府もそういう産業界とか、あるいは名前は経産省とか、そういうところがなかなか腰を上げないから思い切った政策ができないということになると、一般の人も政府も企業も結局何もやらないんだから、おれたちがやっても意味がないんではないかというような変な空気が私は蔓延していると思うんですね。そういう悪循環というか、そういう問題にも今度の見直しに当たって取り上げて、何で日本で前向きに環境問題に取り組んでいこうという姿勢が生まれないのかというようなことをきちんと分析していく必要があるんではないかと思います。弁解になります、弁解というか、必ずしも産業界だけが悪いからそうなっているというつもりで言っているのではありません。
 それから、2番目は、1番目にも関係しますけれども、日本がやはり地球環境問題に関しては世界のリーダーシップをとっていくんだということで今度の第二次基本計画の見直しというか、それをやっていくべきだと思います。ちょうど幸か不幸かアメリカの京都議定書からの離脱という中で、やはり日本が先頭に立つんだということでやれば、一般の人たちからの理解も得られるんではないかというふうに思います。安保理の常任理事国とか、あるいはイラクへの自衛隊派遣とかですね、そういうことで日本の国際的立場を上げるというか、国際的に貢献しているんだということを理解してもらおうとしているようですけれども、私は環境問題でやはりもう少し前向きに取り組むことこそ世界に日本を理解させる一番のことではないかというふうに思います。
 それから、3点目は、中環審のマターのことかどうかいつも迷ってしまうんですけれども、日本のエネルギー政策のあり方にも少し言及すべきではないかというふうに思います。ご存じのように、原発が二酸化炭素を出さないということで、政府の政策になってどんどん進めているわけですが、このところ事故とかトラブル、不祥事が相次いでいるわけですね。それで、温暖化の二酸化酸素や温室効果ガスの削減も余りうまくいっていないという状況にあるわけです。一方で、自然エネルギーとかそういうものの普及が、ヨーロッパに比べるとだめだという状況なわけです。
 私は、やはり最終的には一般の国民が風力発電とかに投資をして、自分たちがエネルギーをつくり出しているんだというようなことになって初めて省エネとかそういうことにも力を尽くすようになるんではないかと思います。残念ながら今のように原発をどんどんやるということで余りほかの人も言わない状況だと、こういう自然エネルギーへの関心というものがどうしても高まらないんではないかというふうに思います。中環審は原子力は範疇ではないんだということを言われるんですけれども、これだけ地球環境問題が問題化している中で、やはり自然エネルギーをどう進めていくか、原発をこのまま進めてどうなのかという問題、基本に返って議論することも第二次計画の見直しでは必要ではないかというふうに思います。
 以上です。

○森嶌部会長 それでは、青木委員、どうぞ。

○青木委員 考えがまとまっているわけでもないんですけれども、部会長が何でもしゃべれとおっしゃったのに甘えて、若干話をさせていただきたいと思うんですけれども、やはり何人の方が言っておられますが、実際に環境問題に対応していくのは個別の人であり企業でありますので、そういった主体側の視点とか、あるいはそういう主体が現在どういう状況にあるのかという点をしっかり見きわめて対応していかなければいけないんじゃないかというふうに感じております。
 1つの例として、最近ある地方の小さな町の教育長さんのお話を伺ったんですが、今農家の子供たち自身が自然に興味を失っていると。先般の新潟のヒアリング、私も参りまして、ヒアリングの後の懇談会でも地元の方とお話をしていますと、やはりそういうお話が出てまいりました。農村の子供が自然に関心を失ってしまっているというのは、これからの我が国の社会に大変な問題であろうと。今コンピューターでありますとか携帯でありますとか、それから、親自身が自分の子供にこういうつらい仕事はさせたくないとか、そういうような問題があって、子供を山に連れていくとか一緒に畑へ連れ出すということがなくなっているということで、子供はそれだけでもう引きこもってしまっているというような状況にあるというような感じの話を伺っております。
 そういうような実態、本当にそういう実態があるのか、あるいは教育の担当である省庁がそういった実態を踏まえていろいろな対応を立てておられるのか、そういったところが非常に問題だと思うんですが、いずれにしても、子供だけでなくても、都市住民にいたしましても、都市住民が現在どういうことを考え、どういう環境意識があるのか、環境基本計画をつくって以来、そういった意識がどういうふうに変化してきているのかということを踏まえていかないといけないと思います。都市でも行政がいろいろ、市長さんなり行政側が条例を作っていくというようなことはあるかもしれませんけれども、主体はやはり市民ですから、市民の意識がそっちになければどういうこともできませんし、市民の意向が環境問題に関心があれば自然にそういう方向にいくわけでございますので、そういった視点を大事にしていっていただきたいというのが1つの感想でございます。
 それからもう一つは、協働社会で、社会全体が環境問題とか温暖化対策に向かわなければいけないわけですが、これはやはり社会全体、いろいろな層を切っても、それぞれ考え方がもちろん違いますから、違っていいんですけれども、方向づけとしては、同じベクトルを向いていないと協働にはならないということで、例えば行政にしましても、縦割りは非常に厳しいというような感じがいたしますが、先般の各省庁のヒアリングを聞きましても、私の関係しておりました国土交通省でも、かなり環境問題を中心にした行政施策を考えてきているというようなことがございます。やはり問題のあり方、場所とか、それからどういう方向にもっていけばいいのかというのがわかれば、縦割りの中でも機能していく。したがって、そういった縦割りをうまく使ってやっていくということが必要だと思うんですけれども、それはいろいろな情報を共有するということが大事でありますし、例えば、この委員会の場でもできるだけそういう各省庁の方に来ていただいてヒアリングをするとか、一緒に議論をしていくというような対応をやっていく必要があるだろうというふうに考えております。
 いずれにしても、どういう層にどういうような情報を共有してもらえばいいのかと、例えば私もこの委員会に出させていただきましてかなり情報をいただいて、なぜこういう考えがあるのかとか、こういう方向にいかなければならないことが良く理解できるようになってまいりましたが、国民1人1人がというわけにはいきませんけれども、環境省の担当官と同じ認識を持てばみんな同じような結論が出てくるだろうと思いますので、そういったことも考えてやっていただければありがたいと思います。
 ちょっと感じたことだけ申し上げました。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、三橋さん、どうぞ。

○三橋委員 まず、現状認識の部分ですね、現在の社会経済情勢をどのようにとらえるかというところで、現状認識をもっと現実あるがままに厳しくやはり現状認識をしてもらいたいということが第1点ですね。例えば、温暖化の問題1つとっても、例えばペンタゴンレポートなんかに象徴されるように、温暖化というのはもう足元の問題なんですよと。50年、100年先の問題じゃないんですよというようなことで、現状認識をもっと厳しくするということですね。ごみ処理の問題を見ても、埋め立てできる場所なんかがどんどん不足している、そういうやはり現状認識を厳しくする。
 また、対外的にいうと、中国の今経済発展が非常に盛んで、日本の企業が中国進出ラッシュをかけているんだけれども、私なんか、逆に中国の今の水の問題とかさまざまな状況を考えると、恐らく中国の環境状況が非常に悪化して、日本の企業も相当打撃を受けるんじゃないかなと思っているんですけれども、不思議なことに、今中国進出をしている多くの日本企業は、その辺を議論すると黙ってしまうんですね、担当者は。自分が担当しているときにはまず進みますと。しかし、その問題が2010年以降、恐らく割と早い段階で起こってくると思いますけれども、そのときにはもうそのポストをやめていますから、おれ知らないよというような感じなんじゃないかなと思うくらい熱心なんだけれども、一歩離れて中国の環境事情みたいなものを見ると、とても恐らく持続可能な進出はできないだろうというような感じがあるので、そういうようなことへの現状認識というのは、この基本計画できちんとやるべきだと思うんですね。
 それと、中国ともう一つアメリカだと思うんですよ。アメリカの穀倉地帯というのが、この数年続く干ばつなんかで非常に悪化しているわけですよ。そうすると、家畜飼料用のトウモロコシなんかを9割以上アメリカに依存している日本は、とどめの大干ばつが起こったときにどうなっちゃうのという感じがするわけですね。
 そういう日本を取り囲む周辺諸国、あるいは貿易関係が非常に盛んなような国の実際の環境状況というものがどういう今現状にあるのというようなことについては、相当しっかりとした分析をしてこの報告書に盛り込むべきなんだろうという感じがします。したがって、要するに、現状分析というものをかなり厳しく、具体的に新しい環境基本計画の中には盛り込んでいくべきだろうというのが現状認識の問題ですね。
 それから、現行計画の課題ですかね、第三次をつくっていくに当たって何を重点にすべきであるかということなんだけれども、第一次は循環、共生、参加、国際取組、第二次は理念から実行への展開というふうに進んできたわけですね。それで、私はこの第三次の基本計画づくりに当たっては、地域に何ができるのか、企業に何ができるのか、行政に何ができるのかというようなことを問うような形の計画書にしてほしいと思うんですね。
 もう既に、地域も企業も政策もいろいろな形で動いているわけですよね。先ほど横山委員が言ったみたいに、最近は非常に不愉快な業界団体が環境税は要りませんみたいな広告を出して驚いたんですけれども、私は経済記者として30数年ずっと企業、業界を担当して思う1つの結論は、業界団体というのは大体護送船団の一番後ろについているんですよね。だから、環境税は要りませんというようなことを業界団体が出したということは、かなりやはり追い詰められているなというふうな印象を持つわけです。
 それで、私は業界団体と個別企業というのは違うというふうに考えているんですね。個別企業は、環境税に対応する経営戦略というのを今どんどん進めています。そういうことで、皆さんも業界団体イコール企業の考え方じゃないんだよということと、企業は恐らく環境税が導入されたらあすにでも対応するような、そういうような対策を今とっているというようなこともありますので、企業に何ができるかという場合には、業界に何ができるかということを問うているんじゃないんですよ。企業というのはやはり生き残らなくちゃいけないんですから、新しい環境にどんどん対応しています。そういうことで、企業に何ができるのか、業界に何ができるのかということじゃないんですね。その辺は非常に大切なことだと思います。
 それから、話が前後しちゃうんだけれども、地域は今非常に大きな変化を遂げています。できるだけ大型、自然征服型の技術じゃない、自然とマッチして、さまざまな昔からの伝統技術なんかも使って、非常に住みやすい地域づくりというのをしていますよ。そういうものをどんどんピックアップするだけでも、すぐに100や200あるぐらい今ふえていますね。そういうような動きに新しい光を当てて、地域が何ができるか。
 それは何かというと、今までは地域、特に市町村、基礎的自治体は、中央政府、都道府県を通して政策の伝達者、あるいは実行者というふうな役割をとっていたんだけれども、なかなか中央からのお金が流れなくなってきたという中で、基礎的自治体の多くは一種のNGO化しているんだよね。そういう形で、非常に大きな変化を遂げて、やはり地域をいかによくしていこうかということで、やはり地方自治体の中でも市町村ベースは町長さんを初め、そういう意識を持っている人たちが非常に多くて、どんどん変わっていますね。そういうような形で、むしろ市町村、役場がNGO、NPO化しているというような認識をぜひ鮮明に解明するようなレポートが必要なんだろうというふうに思います。
 それから、3番で、行政、政府に何かできるかという問題なんだけれども、先ほどの環境税の問題1つとっても、議論が税収をどう使うかみたいな話に換言されちゃうんですね。そうじゃなくて、やはり環境税を導入するというのは、化石燃料の消費を抑制して産業構造を変えていこうというようなことなので、その効果が上がるか上がらないかは別として、とにかく化石燃料の消費を抑制するために環境税を導入するんだということ、それが実施されることによって、それがてこになって環境教育にも意味を持ってくるんだし、できるだけ温暖化を促進させないような税を導入しましょうという議論が根本になぜ議論されていないのか非常に不思議な感じがしますね。
 それと、日経新聞の最近の調査だと、国民の大体65%がもう環境税というものは必要なんだよというような答えをしている中で、環境税は要りませんというような意見広告が出るような、そういう時代を私たちとしてはどういうぐあいに認識していくのか、そういうようなこともやはり考える必要があるので、政府に何ができるのかという問題ですね、政府はやはり基本姿勢を示すということが重要なんですね。上がってきた税収をどこに使うとか、一般財源に組み入れるのか特定の目的に使うだとかみたいなマイナーな議論になっちゃうと議論が進まないと思うんですね。産業構造を変えるんだと、できるだけ化石燃料依存型の経済体質を変えていくんだという議論のもとで環境税というものを定義して国民の理解を求めていくような、そういうような根本に返った問題提起というものをこの第三次レポートの中ではぜひやるべきだろうというようなことで、一応私の意見を言わせていただきました。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 それでは、速水委員。

○速水委員 私は、自然環境と、それから、私自身が住んでいるところは人口1万人ぐらいの農業と森林と漁業のまちというところからここにいつも来ているんですけれども、そういう立場で、そういう産業と自然環境、あるいはそういう地方での住み方の話で少し意見を申し上げたいんですが、この二次の基本計画の中にもかなりそういう地方を重視したり、あるいは農林水産業を循環型産業として評価して重視されたりして書き込んでいただいてあるのもわかるんですが、最近、やはりずっとそういうところで暮らしておりますと、やはり農林水産業の第1次産業がかなり疲弊して、なかなか産業構造の中で厳しい状態が、平均的に見まして、優秀なところはきっちりやっているところはたくさんあるんですけれども、全体的に見ますとやはりかなり困った状態があるなというものが年々はっきり見えるようになってきているというふうなことがあるわけです。そういう産業というのは、やはり自然に優しいとかいろいろいうんですけれども、実際には直接的に自然環境と絡み合いながら、ある意味では影響も与えながら、地域の、人間と自然環境との最前線のところに人間が活動している産業なもので、そういうところがつくってきた長い歴史の自然環境みたいなものがかなり変化をして変わっていってしまっているなというのを非常に感じるわけです。
 そういうものと、もう一つは、やはりそういうところに、そういう農林水産業だけではなくて、そういうところに住む人々の自然環境に対する維持していくための役割の評価みたいなものがなかなかまだされていないなというふうな感じがいたします。
 例えば環境投資の問題なんかも、単純に環境に優れた状況をつくり出すようなものに対する投資というふうなものとともに、そういう地方に対する環境の最前線の部分に対しての都市部からのお金の循環というふうな部分も含めて何らかの提案がされていくというふうな形で、日本の自然環境を維持していく仕組みというものができないかなというのが、日ごろそういうところから出てくると感じるわけです。
 私は、三重県に住まいを寄せているんですが、三重県の環境の問題を取り上げますと、やはり県は、例えば四日市公害を中心とした工業地帯での環境問題としてもとらえたりと、なかなか生態的な豊かさを持っているような、例えば紀伊半島の先端部分の環境問題という部分は、なかなか生態環境ってとらえにくいんですね、行政として。それをどうするかというのはなかなか書き込みにくい。生物多様性国家戦略等もここに出てきているわけで、そういうふうな部分をもう少しバランスよく、人とのかかわりを含めて書けないかなというふうに期待するところです。
 うまくやれば、もう少し子供たちに対する教育の場所としても使えるのもありますし、北海道なんかではそういう自然教育の人たちの話を伺いましたけれども、私どもの地域ではそういう自然学校があるんですが、やはりなかなかいろいろな意味でうまくいかない、経済的にうまくいかない、苦労しているというのは見れます。ああいうものの評価、あるいは先ほど三橋委員でしょうか、おっしゃられたような市町村の自然環境、あるいは環境に対する評価みたいなものがもう少しきっちりされて、大きな経済活動の中での環境の問題だけではなくて、市町村、地域を含めた環境の問題をしっかりと書き込めれば、もう少し評価が変わるんではないか。特に市町村というのは、レベルの違いが非常にありまして、ある部分では非常に環境的な対策をやっているところと全く無関心なところもございまして、その辺のレベルを評価することによって全体をボトムアップしていくというふうな形ができると、そんなことを思っています。
 以上です。

○森嶌部会長 では、藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 ここの(2)の[3]の中に、「三位一体改革や市町村合併など行政をとりまく情勢変化を踏まえ」とありますが、市町村合併の中でこの主体者の市町村の中にかなりぐらつきというか、しんどいなという状況が大変出てきているような懸念をしています。実は、これは経済産業省系ですが、地域新エネルギービジョンに取り組んだまちというのは、合併前の3,200の大体3分の1強、それが自分たちのまち、そこを脱原発、脱化石でどういう地域をつくるか、そこに向けて自然エネルギーだけではなくて、地域雇用を活性化させながら自分たちをどうしようかというの、これは別に環境と経済の好循環のまちづくりということを考えてやったわけではなくて、こうしないと生き延びられないからということもありながらやってきているんですが、実は合併の中で、首長選びの中で、これは全く政治絡みで首長が選ばれていきますから、そういう中ですとんと後退してしまう。あっという間にゴーストタウンになってしまうということがあって、特に西側は合併が進んでいますので、そういう中で私たちは輝いているまちをこけないように、そこの首長が首長になれるように、しかも、その首長が落ちたとしても、そのビジョンがその新しい行政づくりにどう生きるかということに大変心を砕いて毎日動いているんですが、しんどいです、大変。
 そういう中で、環境省の地域事務所が開設されて、これがどういう役割をしているか私たちにはほとんど見えません。ここが、先ほど三橋さんがおっしゃったように、地域づくり、それで光ある地域づくりをしているところは随分たくさんあるけれども、この事務所は各管内の中でこんなおもしろいところがあると、そういうことを本当に把握しているのだろうか。少なくとも滋賀県の市町村で動いている限り、事務所の方はいらっしゃいません。何かでお招きして来賓を張りますが、ありません。多くは国の施策の説明だけ。
 そうではなくて、これからの、5年前にはなかった、市町村合併がなかったそこの新しきにいく場合に、小さくとも光り輝くそこのところにこそ私はこの国の将来のビジョンを形にしている、ビジョンがビジョンで終わっているのではなくて、形にしている、しかも、そのプロセスでどういう問題が起きているかということを、それはもう環境学習も、それから地域経済も、それから技術の問題も、さまざま小さい形ながら体現しながらインテグレートしていると思うのです。ですから、ぜひそういう地域にきちっと目を見据えて、地域に何ができるかではなくて、地域に何を学ぶかという形でやっていかない限り、常にビジョンはビジョンで、行動計画も行動計画のままになってしまう。ぜひ今度は形あるものにするために、数値目標はもちろんですが、そのような関係性の逆転をぜひ入れていただきたいなと思っています。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 当初の予定ではあと中野委員でおしまいということで締め切ったんですけれども、その後に松原委員と黒氏委員と田中委員が札を挙げられましたので、民主主義というのはこういうものでございます。時間ももう既に4時でありますけれども、皆さんがよろしければ、3人の委員が民主主義的に挙げられましたので、私としては皆さんがよろしければその3人の方に時間を考慮してご発言をいただければと思います。順番としては、松原、黒氏、田中委員の順番でやっていただきたいと思います。
 では、中野委員、どうぞ。

○中野委員 すみません、私は全体的な感想を述べさせていただきます。
 今、各専門の方たちの中で、地域で環境にかかわっている国民の1人として参画をさせていただいたことに大変うれしく思っております。そしてまた、部会長さんのユーモアあふれる司会に大変親しみを感じてきておりました。
 それから、今国の方では、各省庁との関連を進めていてくださいます。例えば環境教育にいたしましても、文部科学省とそして環境省とか、いろいろなことをご一緒にしていただいておりますけれども、各地域に帰ってみますと、どれだけそのことができているのかというのをいつも思っております。そうしたことで、今後も私たちは行政と、そして企業と、そして実際に学びを実践とする市民の1人としてより一層よい関係を進めて、何気ない市民の疑問を、持ちかけた疑問をいろいろと発言していきたいなと思っておりました。そして、国と地域とに橋渡し、いろいろ国で決めていただいたことを地域に帰っていろいろなことを皆さんに伝える1人として、ここにかかわった1人として橋渡しを今後は地域でさせていただきたいなと、そのようになお一層感じた次第でございます。
 ありがとうございました。

○森嶌部会長 どうぞ、星野委員、どうぞ発言してください。失礼しました。

○星野委員 どうもありがとうございます。
 時間もないようですから、なるたけ手短にしゃべらせていただきたいと思いますが、ここに与えられているのは、1と2で、1の方でこれからどういうふうに目標を含めて考えるか、それから、2番目が手段の話、具体的にどう課題に取り組むかと、こういう話だと思うんですけれども、皆さんの非常に有意義なお話を聞いていて、自分に何か問いかけられているような気がいたしましたので後から発言をお願いしたんですが、第1は、私自身、一体環境問題ってどう考えていたんだろうなということを今一生懸命考えていたところ、一番根っこにあるのは、どうも記憶として根っこにあるのは、宇宙船地球号なんじゃないかなと。これはケネス・ボールディングという人が1960年ぐらいに書いて、世界じゅう、ある意味では大変おもしろいなと、こう思ったわけですね。中身は何かというと、一言でいうと地球の持っている資産をお互いに減らさないで次の世代にどんどん送っていこうじゃないかと、これに尽きてしまうんだろうと思います。そういうことから考えると、日本は、宇宙船地球号というのは、これはグローバルな価値ですから、それに対して、それを率先してやっていくというのが日本が本当の意味で先進国としてこれからやっていく道なのかな、こういうふうに思うわけであります。
 それから、第2番目の具体的なやり方なんですけれども、ここに定量的指標が少なくと書いてありまして、私は実は自分のキャリアからいうと経済計画ずっとやってきたものですから、統計をいろいろひねくってやるのは好きなんですけれども、我々がやってきた経済計画というのは、どちらかというとフロー、要するに、新しくできてきたものをどう配分したり投資したり消費したり、そういうことを考えて、その後大変問題になっておりますように、GNPがふえるんだったら森林をもっと切って売ればいいじゃないかとか、要するに、資産食いつぶしの問題が起こってくる、あるいは、公害で外部不経済という言葉がありますが、外部不経済が起こったらそれは実はGNPを空洞化している、GNPが統計上は出てきても、それは減らしているんだ、こういうことがあったわけなんですが、どうもこの環境基本計画で、きょうは天野先生がいらっしゃらないので、天野先生に教えてもらいたかったんですが、従来どおりのフローを中心にした考え方でものを考えてもだめなんじゃないかなと。むしろ、ストック統計を、これは大気、それから水、水もきれいな水、汚い水とか、当然いろいろ分類していけば数限りなくあるんだと思いますが、ストック統計をどのくらい今度の5カ年間ぐらいの間に精力的に集めてみるか、それのもとは、要するに宇宙船地球号なんですね。宇宙船地球号の観点からどうやってストック統計を整備してみるか、これは日本だけではなくて、恐らくヨーロッパでは多分いっぱいやっていると思いますから、彼らともいろいろやったらいいと思いますが、それの上で初めて何か国際的に共通の判断ができるような統計ができてくるんじゃないかな。残念ながらGNP統計というのが、どうもこれを語れないだろうと私は思っているんです。だからこそ時代が変わっているんでありまして、そういう意味では、1つ、今度の新しい5カ年計画の場合には、思い切ってストック統計を調べてみるというのが必要なんじゃないか。
 蛇足を1つ加えると、経済計画の歴史でも吉田総理というのが昭和20年代におりまして、経済復興計画というのを役人がつくって出したところ、計画はだめだと、こういったときの吉田さんの理由の一番大きいのは、戦争も勝てないような統計の状況でなぜ戦後の復興があんな統計、当てにならない、要するに、大本営発表を考えていたんです。それで何でちゃんとした計画案をつくれるのというので断ったんですね。これは、吉田さんというのは正直な人ですから、多分それが本音だったんだと思うんですね。計画嫌いというより、何も道具がないのに何を格好いいことを言うのよと、こういうことだったと思います。
 環境計画も、かなり国民の気分も盛り上がっていますし、今回の点検でも、私はもうもろ手でここまでよく来ているんだなと思うわけなんですけれども、この先に行こうとすると、これはちょっと大変ですね。要するに、自分たちの国のことだけ考えてもしょうがない。これからは国際的な価値を一致させながら日本というのはその中でどういう貢献をしているのかということが実は最終的には問われるわけで、日本はどうしてもエゴイズムですから、今まで自分がよければいいという発想で物を考えるわけですが、今度は間違いなく宇宙船地球号の中の一員として、しかも、我々ができやすいことですから、やっていけることなんですから、そういう方向でぜひご努力いただけたらという、大変生意気な書生論議をして申しわけございません。よろしくお願いしたいと思います。

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 それでは、松原委員、どうぞ。

○松原委員 後でおくれて登録いたしまして申しわけございませんでした。一言でお話しさせていただきたいと思います。
 本日、11の戦略、それから、それを含んで問題点の抽出ということでしたので、ちょっと感じたことを簡単に申し上げます。
 私は、環境研究とか環境情報ということに非常に興味を持っている人間でございますが、この報告書全体を見ますと、非常に抽象的な目的等がきちっと並べられているんですが、具体的にそういった目的を実行する方法を実現する研究とか知的資産がどういうふうに設置されているかということ、そういう観点から見てちょっと一言申し上げたいと思います。
 先ほど、桝本委員の方から持続的開発の意味についてまずはしっかり議論したいと。そういう論点も3つの要素があって、1つは手法とかストック、つまり、機械とかハードの技術、それから、2番目に生産量とか主体とか個人のライフスタイル、つまり、人間にかかわることだと思うんです。それから、3番目に環境条件というような3つをおっしゃったんですけれども、私もそういうような切り口から環境研究というのを見てみますと、今まで環境研究というのは、環境の、例えば汚染物質の濃度、あるいはレベルを測定するとか、そういうとにかく実態をはかるということ、それから、企業の方では、いかにクリーンな技術を開発するか、そういったような点に非常に大きな重点が置かれてきたかと思います。それはそれで非常に重要なことなんですけれども、今後これからさらに伸ばしていかなければならない分野というのは、やはり人間、つまり環境にかかわる人間の主体と、それから、人間の行動のあり方にかかわる部分で、そういった部分に関する研究とか知的な情報は必ずしも十分でなかったと思います。
 これからの時代は、そういった人間とのかかわり方についても、さまざまな科学的な生物学的にも医学的にも両方含めて情報が出てきておりますので、そういったことも含めた研究が、単に汚染物質の濃度をはかるだけではなくて、そういうものに対して人間がどういうふうに対処するかというようなことも研究成果の1つとしてあり、またそういうことがわかれば、環境教育とか環境学習というものが一般の公衆に対して環境の影響を理解させるときに非常に参考になると思います。ですから、ここに幾つかの課題があるわけですけれども、そういう課題のベースになる知的な資産として、私が申し上げたような意味での環境研究の拡大というものが将来は必要ではないかというふうに思いましたので、一言発言させていただきました。

○森嶌部会長 それでは、黒氏委員。

○黒氏委員 ちょっと時間を過ぎて、大変会長のご配慮によって特別に認めていただきましてありがとうございました。
 今、ずっと各委員さんの意見を聞いていて、よく地方自治体の話が出てきます。私も全国市長会で一応一員としてこれまでこの会合に出させていただいて、地方自治体の立場としてのそれぞれの考え方が今言われておりますけれども、例えば、全国に3,000近い地方自治体がありますから、すべて同じことを同じようにやっているとはなかなか、私もそれぞれの地域に地域によっては違う部分があるのかなというふうに思っております。しかしながら、今非常に地方自治体で一番大きな関心が高いのはやはりこの環境問題、特にまちづくりの大きな柱になってくるのがこれから環境の問題だと、私はそう思っておりますし、私は北海道の市ですけれども、私どものまちもやはりまちづくりの大きな柱は環境です。
 そういったことを考えていくと、今三位一体だとかいろいろな問題があるんですけれども、1つには、やはり今までやろうとしたことがどうしても制限がかかってしまう。制度上の問題だとかいろいろな問題があってできないこともたくさんこれまでありましたけれども、これからもっと地方が自由に環境問題を取り込めるような、そういった制度改正というのも必要になってくるんじゃないかな。そのことがそこの地域の住民の環境意識の高まりにつながっていく、私はそういうような気がしてならないなというふうに思います。
 ただ、今この環境基本計画、これは環境基本法の中から出ておりますけれども、地方自治体でもそれぞれ環境基本条例をつくりまして、環境基本計画もつくっております。これも1つは国のこの法律に基づいた指針に沿ってやっている部分もありますけれども、その計画の中には、それぞれ地域の独自性を持った環境問題も結構取り入れているというのがございます。
 そういったことで、私もこういった地方自治体の立場としてさまざまな問題を抱えながら、今環境問題に一番関心を持って、そこに住んでいる市民の方々もかなりそういった意識を持ってやっている方々が地域の中にいるので、そういう人たちの、それぞれの所管によっては違う部分もあります。環境省だけがやるわけじゃありません。文部科学省だとか国土交通省だとか、さまざまな分野でこういったそれぞれのいいところを、どんどんやっているところをもっととらえつつ、それを全国に、やはりそういったいいものをどういうふうにPRしながら各地域に広めていくかということも非常に大事なことではないかなというふうに思っておりますので、今後、こういった環境問題を1つとらえて考えていくときに、さっきある人がそれぞれの自治体はNGO化してきているんじゃないかなという話もありましたけれども、私は必ずしもNGO化じゃなくて、一部にはNGO化もあるかもしれませんけれども、企業化とか、そういったかなり大きな分野で今地方自治体がそれに取り組んでいこうという考え方があります。
 ただ単に国から言われているからやるのではなく、それぞれの地域を地域としてこれから守っていくためにどうしていったらいいのか、そういうことをそれぞれの地域や自治体が真剣になって今とらえてるということも1つ理解をいただきながら、今後も環境行政のあり方というものをしっかりとこれから国も地方も考えていかないといけない問題だろうというふうに思います。ただ、これ、国と地方だけじゃなかなか前に進まないという部分もありますから、そこに企業もさまざまな形でその中にどう環境問題として一体となって考えていくかということも非常に重要な問題ではないかなというふうに思います。
 今私たちがこうやって考えていることを、これからの次の世代にしっかりとそれを引き継ぐためにも、今やらないといけないことをやっていくということが大事でありますので、これから新たな基本計画を策定する中で、総花的な話だけではなく、今しっかりとやらないといけない問題をその中にどういうふうに具体的に取り組んでいくかということの位置づけをしっかりと考えていくということが私は大事なことだろうなというふうに思っておりますので、ひとつその辺もよろしくお願いしたいと思います。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、田中委員。

○田中委員 貴重な時間をありがとうございます。
 私は、2点申し上げたいと思います。1つは戦略プログラムの評価であります。現行計画の戦略プログラムは、11のテーマについてプログラムを設定しているわけですけれども、私自身は、非常にうまく位置づけられているなと思います。私も、地方自治体の環境計画づくりにいくつか携わっておりますが、自治体の方でも、国の戦略プログラムの考え方や手法を取り入れる動きが広がっております。と申しますのは、環境問題は非常に幅広い分野にまたがりますけれども、地域ごとによってさまざまな個性や特性があり、状況がありますから、優先すべき課題というのはどうしても出てくるわけでありす。そうした多様な課題に対していわゆるメリハリをつけて、重点化していくという考え方が自治体の環境計画では広く取り入れられるようになっております。国においても、この戦略プログラムの考え方で、多様な形で生じている環境問題に対して重点化して対処する、幅広い環境分野の中で何を当面5年間でやっていくかという、メリハリをつけるということであり、この重点化の発想というのは今後も踏襲すべきではないかということでございます。
 2つ目が、計画の担い手という視点を考えなければいけないということです。先ほど、計画の主体ということを明確にすべきであるという話がありましたが、私は計画の主体でもいいですけれども、計画の担い手ということを考えた方がいいのではないかと思います。計画の実施状況点検などにも携わってきて、事務局がまとめる資料を見ておりますと、計画が政府の中の計画という点に意識がいっている印象を持っております。むしろ、この環境基本計画は、政府の計画というより日本社会全体の計画である、そのように受けとめるべきではないかと思います。
 そういう意味では、環境基本計画は、率先行動計画とは本質的に違うわけでありまして、当然ながらその取組の実績も、もちろん政府の実績もその1つでありますけれども、日本社会全体としてどのような実績が上がっているか。例えば、それは市民レベルであったり、民間レベルであったり、あるいは自治体レベルであったり、さまざまな主体があるわけですけれども、そうした各主体の取組実績の総合が、基本計画の実績になるということです。そういう点では、計画の担い手という視点をもう少し意識して、この計画の内容、計画の方向、計画の目標が、例えば地方自治体と共有化されていく、市民や事業者とも共有化されていく、そういう広がりといいますか、政府の中に閉じていかないような、工夫が必要であると思います。
 実際、自治体レベルの計画づくりではそうした意識が広がってきておりまして、従来のような行政中心の計画から地域社会の計画へという動きの中で、例えば自治体レベルでは、環境市民会議のような組織を立ち上げて、そこに計画の推進役をお願いをしていくという工夫もいくつかの事例でみられております。計画の策定段階、それから計画の推進段階で、さまざまな主体が関与できるような、そういう工夫も今後は考えたらよいのではないかなと思います。
 以上、2点です。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 きょうご意見を、時間の関係もありましたとおり、出せなかった委員もおられますけれども、またどういう視点を今度の計画の中に盛り込むべきかというような点でお気づきの点がありましたら、ぜひお寄せいただきたいと思います。また、きょうご意見をいただいた委員の方でも、後で考えてみたらちょっとこれもあったということがありましたら、ぜひ事務局の方にお寄せいただきたいと思います。
 次回は、皆さんからいただきましたご意見を踏まえて、早速作業が始まるのではなくて、こういうことで見直しを始めるに当たってこんなことを議論していきたいということで、また少し議論をしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 きょうは、いろいろと事務局と私どもの方でも考えていたわけでありますけれども、それを補強していただいたところもありましたし、また、考えていない視点などもいただきましてありがとうございました。またぜひよろしくお願いをしたいと思います。

      3.その他

○森嶌部会長 それでは、何か事務局の方で……。

○佐野環境計画課長 本日は、まず、私どもの幹部、ただいま税調の関係と三位一体改革の関係で走り回っておりまして、失礼をさせていただいております。
 本日は、非常にたくさんのご指摘をありがとうございました。これを取りまとめをさせていただきたいと思います。
 それで、次回でございますが、ご予定を伺わせていただきまして、ちょっと大分押し迫ってまいりますが、12月22日、12時にすぐにご予定のあるという委員がいらっしゃいましたので、9時半から11時半の2時間というふうに、これが現行計画から新計画を考える方向づけのまとめというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。

○森嶌部会長 なお、あれですね、今期の委員会としてはこれで最後になりますね。

○佐野環境計画課長 実は、中央環境審議会の委員の先生方の任期が年明け早々となっておりまして、今期での恐らく最後の部会ということになろうかと思いますので、改めましてよろしくお願いいたします。また、これまでのご指導ありがとうございました。

○森嶌部会長 まだ、今は……

○佐野環境計画課長 あと一回なんですが。

○森嶌部会長 いずれにしても、次回で今期の委員会としては最後になりますので、どうぞよろしくご出席いただきたいと思います。

      4.閉会

○森嶌部会長 どうも本日は、ちょっと時間を延長いたしましたけれども、どうもありがとうございました。

午後4時22分 閉会