中央環境審議会総合政策部会(第14回)議事録
開催日時
平成15年9月24日(水)14:00~16:42
開催場所
経済産業省別館944会議室
出席委員
26委員
安原 正 | 部会長 |
---|---|
浅野 直人 | 部会長代理 |
崎田 裕子 | 委員 |
鈴木 継美 | 委員 |
藤井 絢子 | 委員 |
桝本 晃章 | 委員 |
村杉 幸子 | 委員 |
青木 保之 | 委員 |
天野 明弘 | 委員 |
飯田 浩史 | 委員 |
井手 久登 | 委員 |
江頭 基子 | 委員 |
塩田 澄夫 | 委員 |
瀬田 重敏 | 委員 |
武田 善行 | 委員 |
田中 充 | 委員 |
筑紫 みずえ | 委員 |
中野 璋代 | 委員 |
林 貞行 | 委員 |
星野 進保 | 委員 |
三橋 規宏 | 委員 |
村上 忠行 | 委員 |
安井 至 | 委員 |
横山 裕道 | 委員 |
渡辺 修 | 委員 |
議事(審議事項)
(1) | 「環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会」の設置について | |
(2) | 「施策総合企画小委員会」の設置について | |
(3) | 環境と経済の好循環を目指したビジョンについて(諮問) | |
(4) | 環境基本計画の進捗状況の点検について | |
[1] | 重点点検分野別審議(第2回) | |
・ | 環境への負荷の少ない交通に向けた取組 | |
・ | 生物多様性の保全のための取組 | |
・ | 社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組 | |
[2] | 「地球温暖化対策の推進」等の点検の今後の進め方について |
その他
配付資料
資料1-1 | 環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会の設置について(案) | |
資料1-2 | 中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の設置について(案) | |
資料2-1 | 施策総合企画小委員会の設置について(案) | |
資料2-2 | 中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の設置について(案) | |
資料3-1 | 環境と経済の好循環を目指したビジョンについて(諮問) | |
資料3-2 | 環境と経済の好循環を目指したビジョンについて(説明資料) | |
資料3-3 | 環境と経済の好循環を目指して | |
資料4-1 | 環境への負荷の少ない交通に向けた取組について | |
資料4-2 | 中央環境審議会答申及び排出ガス規制強化のスケジュール | |
資料4-3 | 自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画の概要 | |
資料5-1 | 生物多様性の保全のための取組について | |
資料5-2 | 環境基本計画と新・生物多様性国家戦略との対比表と点検の概要 | |
資料5-3 | 新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第1回)概要 | |
資料5-4 | 新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果について(第1回) | |
資料5-5 | 数値から見る具体的施策の展開 | |
資料5-6 | 各省庁が全国を対象に実施している主な生物調査 | |
資料5-7 | 生物多様性関連年表 | |
資料5-8 | 新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第1回)(案)に対する意見 | |
資料6 | 社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組について | |
資料7 | 「地球温暖化対策の推進」等の点検についての意見(概要) |
|
(参考) | ・ | 中央環境審議会議事運営規則 |
・ | 第二次環境基本計画の第2回点検の進め方について(抄) | |
・ | 環境基本計画の点検の今後の総合政策部会開催スケジュール | |
・ | 中央環境審議会総合政策部会名簿 |
議事録
午後2時00分開会
○苦瀬計画官 それでは、議事に入ります前に、お手元の配布資料のご確認をお願いいたします。座席表がございまして、議事次第がございまして、その裏に配布資料一覧がございます。
以下、資料1-1「環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会の設置について(案)」。資料1-2、それは1つになっています。
それから、資料2-1「施策総合企画小委員会の設置について」。裏が資料2-2でございます。
それから、資料3-1、3-2、3-3が1つになっていると思いますが、「環境と経済の好循環を目指したビジョンについて」の関係です。
それから、資料4でございますが、「環境への負荷の少ない交通に向けた取組について」。それから、4-2として、「中央環境審議会答申及び排出ガス規制強化のスケジュール」。資料4-3「自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画の概要」。
それから、資料5-1が「生物多様性の保全のための取組について」。それ以下が多く掲げてあると思いますが、一覧にはございませんが5-9として、一番最後に、その数字の最後に5-9までついているかと思いますので、ご確認いただければ幸いです。
それから、資料6「社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組について」。
それから、その後に、資料7「「地球温暖化対策の推進」等の点検についての意見(概要)」。
その後、参考資料がございますが、ちょっと番号を振っていなくて恐縮ですが、まず中央環境審議会議事運営規則。それから別のつづりで、第二次環境基本計画の第2回点検の進め方について。それからその裏に、環境基本計画の点検の今後の総合政策部会開催スケジュール。そして、最後に名簿がつけてございます。
足りないものがございましたら、事務局のほうにお申し出くださいますようにお願いいたします。
それでは、議事に入っていただきたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。
○森嶌部会長 それでは、ただいまから第14回中央環境審議会総合政策部会を開催いたします。
本日の議題は4つございまして、最初の2つは、小委員会の設置に関する議題でございます。そして、最初は、「環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会」の設置について。2番目が、「施策総合企画小委員会」の設置について。それから、3番目が、環境と経済の好循環を目指したビジョンについて。これは諮問でございまして、そして、順番としては最後になりますけれども、今日の本題でございます、環境基本計画の進捗状況の点検について、ご審議いただきたいと思っております。
○審議事項
(1)「環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会」の設置について
○森嶌部会長 それでは、早速議題に入らせていただきまして、最初の「環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会」の設置につきまして、審議に入らせていただきます。
この件に関しまして、事務局からこの小委員会を設置する背景とか、あるいは趣旨等について説明していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○佐野環境経済課長 担当の環境経済課長でございます。いわゆる環境に配慮した事業活動、環境経営というような言われ方をすることもございますが、事業活動に当たりまして、その環境への取り組みを重要な課題として、環境マネジメントシステムであるとか環境報告書であるとか環境会計であるとか、こういった環境配慮のための仕組みを取り入れる事業者が大変増えておりまして、この辺につきましては、今日の基本計画の点検のところでご報告を申し上げたいと思います。
それで、環境と経済活動の懇談会の報告におきましても、こういった環境経営というものの一層の推進というのが提言をされておるわけでございます。また、ちょっと切り口が違いますが、規制改革推進3カ年計画でも、むしろ規制緩和だけではなくて、事業者の自主的な取り組みを進める、規制を緩和して自主的な取り組みを進めるということをうたっておるわけでございますが、その中で、そういったものを進めるためには、環境報告書の信頼性の向上といったものが一方で必要であるというようなご提言もいただいているところでございます。
そういったようなことを背景にいたしまして、特に、既に代わられてしまいましたが、鈴木前大臣におかれても、法制度も視野に入れて検討を行うというようなご発言もあったところでございまして、こういったことを背景に、各事業者におきます環境に配慮した事業活動、そのためのいろいろな仕組みの積極的な採用を一層促進するための方策についてちょっと集中的にご議論を賜りたいと存じまして、これを専門に検討いたします小委員会のご設置をお願いするものでございます。
委員でございますが、これは資料の一番最後のほうの参考というところに、一応環境審議会の議事運営規則を載せてございますが、そこの8条の2項でございまして、小委員会を設けました場合のメンバーというのは部会長にご指名をいただくということになっておりますので、本部会にご所属をいただいております委員、もちろん臨時委員、専門委員を含めました委員の方々を中心に、関係をする学識経験者の委員の方、あるいは産業界、金融界、言論界、市民団体といったような方々の中から、部会長とよくご相談をしまして、部会長よりお示しをいただく予定でございます。
審議のスケジュールといたしましては、これは立ち上がり次第、来月以降ということになろうと存じますが、数回程度小委員会を設置いたしまして、一応年末ぐらいをめどに、何らかのとりまとめがお願いできればと、その位のスケジュール観で進めていただければと存じております。
以上でございます。
○森嶌部会長 この点につきまして、ご質問あるいはご意見等ございましたら。
どうぞ。
○桝本委員 お願いでございますが、ご案内のとおり、既にある意味でマーケットそれから投資信託等の金融機関等で、この企業の環境に対する取り組みは、環境構造報告書を含めまして、評価の仕組みが動き出していることはご案内のとおりです。これは、ある意味で政府よりは民間のいわばビジネスベースで動き出していると。中でも、例えば、ここに関係の方もいらっしゃいますが、新聞それから雑誌等の環境のメディアなどでも優劣がつけ始められて、事業活動の促進がそういう目で見られているのはご存じのとおりでございます。ぜひ、こうした一種の自然ななりゆきを大事にしていただきたい。国が、間違っても企業、産業の事業活動を採点するというようなお考えをおとりいただきたくないというふうに思います。
それから、若干今ご説明、法制度もという大臣のご発言のご紹介がありましたが、これは事業活動そのものは、法制度をつくったからどうこうされるというものでは全くございません。この辺も十分踏まえて、事業活動の促進を、いわばここにいらっしゃる皆様方のような目で見るということに徹していただきたいというふうに存じます。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
それでは、どうぞ。
○瀬田委員 まず1つの質問は、9月19日の、日本工業新聞に、環境経営促進法に関して中央審議会に専門委員会を設置し、環境保全に積極的な企業を支援する環境経営促進法の素案づくりに着手するという新聞記事が出ておりますが、これは今日の課題とは関係があるのでしょうか。それとも……
○佐野環境経済課長 不完全な格好で情報が出てしまっておりますが、今お願いしているものでございます。
○森嶌部会長 新聞は大体不完全にしか報告をしない。しかも、決まっていないことまで決まったかのようにあれしますので、そこに書いていることはここでやろうとしていることについて、正確に行ったと。一昔なんだけれども、もしも関係者がおられたらお詫びしますが。
○瀬田委員 わかりました。
○森嶌部会長 ほかにございませんでしょうか。
どうぞ。
○筑紫委員 すみません、今ちょうど私のところに今朝オーストラリアのほうからメールが入っておりまして、それはオーストラリアの環境大臣の名前で、メイズレポートというものが出たということを、たまたま私の友人のショウ・メイズという者がとりまとめたものですから、というメールで入ってまいりまして、ざっと中身を見てきたんですけれども、それは一応環境大臣と、それから金融業界という、それがいろいろな産業界も含めて、企業の事業活動と環境負荷の関係ですとか、それから環境負荷を企業が少なくしていくことで、それが企業活動のパフォーマンスといいますか、事業のパフォーマンスとどう関係があったり、あるいはそれがどう投資のパフォーマンスとつながっていくかというようなことをざっとまとめているんですが、ざっとですけれども、膨大な92ページの資料だったんですけれども、これを見ると、先ほどこういうことは民間にお任せしてということなんですけれども、まずイギリスでは民間に任せているんですけれども、割にそちらのほうに方向性といいますか、方向が事業活動の環境負荷を少なくしていくことが企業のメリットにもなり、それが投資家のメリットにもなるというような仕組みのための方向づけというのは、国がやっぱりやっているわけなんですね。
それで、ちょっと今日のオーストラリアのこのレポートとかも見ておりまして、やはりこういうものは民間のほうで自然発生的にマーケットが、マーケットの力でマーケットが入ってきたものですが、それを今度はやっぱり1つのシステムとしていくのには、もう少し大きな国のようなところがやっぱりある程度かかわっていただくということが大事ではないかと思うんですね。といいますのは、例えば日本のそういったものに一応かかわってきたと自負している身としましては、さらに一層例えばマーケットの拡大をと思うときに、実はあまり当事者が動けないということがあります。というのは、あまりそれをやると、自分の個人的な利益ではないかというふうに思われるというところもありますし、実際に日本とかアジアというのは、やっぱりそういう考え方の、李下に冠を正さずというようなところがありまして、ちょっと当事者だけではやりにくいというステージがある時期になってくるとできるんですね。それが今の日本だと思っております。
そして、他の国がどうしているかというと、環境に負荷の少ない事業活動が、そうやって企業の競争力につながるということを、実は今度は国際競争力にしようとしておりますので、どの国もマーケットに任せてそのまま国はなるべくということではなくて、ある程度になったら国として関与して、国家的に環境立国ということを、どの国もやっぱり競争力にしようとしているわけですから、もちろん私はあんまり国が何から何までというようなことではないんですけれども、やみくもにすべて市場原理でというようなことは、時期によって違ってくるのではないかと。これからは、国としてこの産業のでき上がったばかりのマーケットをどういうふうに育てていくかというときに、国として、システムとして何かあるのかということでインボルブしていただくのがいいのではないかなと思っております。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
ほかに。天野委員。
○天野委員 先ほど来、環境報告書等のお話が出ておりますけれども、環境報告書は国際的にも、作成にあたってたくさんのステークホルダーの関与が必要だという考え方が一般的になってきているわけです。ですから、官とか民とか、中央政府とか地方政府とかいう区切りがだんだん意味が薄れてきていて、一応そういう区切りなしにいろんなステークホルダーの関与によって方向づけが決まっているというふうな考え方ができ上がってきておりますし、またそれをエンカレッジするために、国際的なグローバルなプリンシプルというものもたくさん出ております。
そういう意味で、たぶんこの小委員会、委員会の進め方もそういった線で進めていただくものだと私は理解しておりますので、その方向でどうぞお願いしたい。
○森嶌部会長 どうぞ。
○桝本委員 今の筑紫さんのご意見、私なりにわかりますが、くれぐれも公的あるいは政府の関与は最小限にしていただきたい。
それから、企業のこうしたことに対するいわば活動の促進の前提になる評価でございますが、これはご案内のとおり、ヨーロッパではグローバル・リポーティング・イニシアティブとか、社会的責任論という企業評価の新しい事項をつくり始めて動いていくことは言うまでもありません。しかし、これはそれぞれの地域の損得といいますか、利害に応じた形を背景にしているということもぜひ皆様には頭の片隅においていただきたいというふうに存じます。
○森嶌部会長 もう何か小委員会が始まったような感じがいたしますけれども、小委員会の設置の場合にこういう方向で議論しろというお話というふうに承りましたが、設置することにつきましていかがでしょうか。
〔異議なし〕
○森嶌部会長 よろしゅうございましょうか。
それでは、先ほど事務局の方から申しましたけれども、委員の指名等につきましては私のほうからさせていただくということで、今出ましたご意見も十分に踏まえて、委員の構成等を考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくご協力いただきたいと思います。
○審議事項
(2)「施策総合企画小委員会」の設置について
○森嶌部会長 それでは、施策総合企画小委員会の設置につきまして、これもまず事務局からご説明いただきたいと思います。
○佐野環境経済課長 引き続きまして、私のほうからご説明をさせていただきます。
これは、基本的にはこれまで本部会と地球環境部会の合同部会の形の下にある形でご議論いただいておりました、地球温暖化対策税制専門委員会の報告がまとまりましたものを受けたものでございます。この専門委員会につきましては、平成13年10月に、本部会と地球環境部会の合同部会という格好でご承認をいただきまして、議論を続けてきたわけでございます。申し上げるまでもなく、温暖化対策税制、税・課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら環境保全上の効果、マクロ経済・産業競争力等国民経済に与える影響、諸外国における現状等の論点について、この資料にございますが、さまざまな場で引き続き総合的に検討すると。これが政府の温暖化対策推進大綱の決めであるわけでございます。
これを踏まえました格好で、専門委員会でご議論をいただきまして報告書を取りまとめていただいたわけでございますが、これにつきましては、今後は、1つはこの段階に至ってまいりますと、税制についてだけ議論をするということではなくて、他の施策との全体の、温暖化対策全体の関係の中でどう考えたらよいのかということの検討が必要になってまいりますし、それから、そのためには各方面のご意見を伺うという必要も出てまいっているわけでございます。したがいまして、今後幅広い方面にご意見をいただいて、検討を一層深めるというために、今度、技術的なことで恐縮でございますが、小委員会という形にいたしますと、これは部会レベルということになります。本来、総合政策部会、地球環境部会合同の部会で議論をするべきものではございますが、著しく多人数でございますので、これにつきまして、部会と同レベルの小委員会という形を設置をいたしまして、温暖化対策税制とそれに関連する施策を総合的観点から検討をいただくという場を設けてはどうかと考えております。
これにつきましても、委員につきましても同じように部会長のご指名ということになっておりますので、部会所属の委員あるいは専門委員、臨時委員の中の方から部会長にご指名いただきまして、学識経験者の方も加えて、産業界、言論界、あるいは市民団体というような方に幅広くお願いをしたいと考えております。
そのやり方でございますが、当面はまず議論のたたき台というものができましたので、これも踏まえた格好で各界のご意見を伺い、当面国民各層の意見の集約あるいは論点の整理といったようなところからお願いできないかと思っております。
それで、申し忘れまして恐縮でございますが、資料の後ろの方に、中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の設置についてと。これが部会決定の部会申し合わせに当たるものでございまして、これを所要の改正をするという格好で、設置を決めさせていただきたいと思います。
申し遅れましてまことに恐縮でございますが、先ほどの環境に配慮した事業活動の促進の小委員会につきましても、その資料の後ろの方に総合政策部会のいろんな専門委員会、小委員会の設置を決めた委員会申し合わせがついてございまして、これを合わせて改正をさせていただくことになります。
説明が若干混乱いたしまして、失礼をいたしました。
○森嶌部会長 それでは、いかがでございましょうか。施策総合企画小委員会の設置という。
どうぞ。
○桝本委員 これは、この小委員会をおつくりになる上でお願いでございます。今ご説明にありましたとおり、1人税制だけでなくというお話がございました。これまでも何ともいえない経緯からして、税制について進めたい、進めようというご意思というか、お気持ちが非常に強いように私自身感じております。それだけにこの小委員会が税制に限らず、広くという今のご趣旨に徹していただきたい。ここの後ろ側の資料2-2の1の(2)、地球温暖化防止のための税制及びこれに関するの「これ」でございますが、この「これ」というのは地球温暖化防止という意味でありまして、これは税制ということではないと。あるいは税制よりもうちょっと広い全体を意味しているというふうに読むという解釈をいただければ、私はこうした議論の場が改めてつくられると理解はできます。
なお、環境省全体の中環審についての最大の疑問点は、先ほどおっしゃったとおり大変委員が多い。委員が多いから、合同部会やそれぞれの部会では、なかなか審議がしにくい。それでまた小委員会や何かをつくると、こういうやり方が、本当にますます重要になってくる環境問題を詰めるときにいいんだろうかという基本的なところに非常に疑問を感じたりして、メモでお配りさせていただきました。ぜひよろしくお願い申し上げます。
○森嶌部会長 最後の点だけについて申しますと、そこへ任せてしまって、そこでやったらもうあとはそのまま環境省の決定になるわけではございませんで、それぞれの部会のもとに、部会で議論されたものは中環審の会長が、それを承認した場合に、部会の決定が中環審の決定になります。今までもいくつか置いたことがありますけれども、小委員会は部会の下に置かれ、そこでかなりテクニカルなことも含めて議論をしていただきまして、その報告が部会に上がって、中間で上がって最後で上がることもありますし、最後で上がってくるということもありますが、要するにこれだけの方を何回も何回も集まっていただくということはできないということで今までにやっておりまして、決して少人数に任せて、多人数のほうは知らん顔ということでは全くございません。この辺は私は、中環審の非常にいいところだと思っております。よその審議会に出ますと、割合そういう他人任せみたいなところが、ないわけではございませんけれども、その点は、中環審では桝本委員がご心配になるようなことはありませんので、ぜひその点はご了解いただきたいと思います。
ほかに、ご意見ございましょうか。よろしゅうございましょうか。
どうぞ。
○桝本委員 私ばかりで恐縮でございます。これは委員長の森嶌先生にお願いでございますが、一任なされる委員、メンバーの選択に当たりましては、ぜひ産業界というもののいわば個性、特徴を踏まえてご配慮をいただきたい。言うまでもございません。環境に経済産業界は影響を与えておりますが、付加価値を高め、所得によりこの豊かさをつくっている大もとでもございます。すべての税はここから生まれているといってもいいくらいです。そういう意味で、産業界のこの委員は非常に重要でございますので、ぜひご配慮を賜りたいと存じます。
○森嶌部会長 何か重要な責任ですけれども、これは私の方で十分考えさせていただきますけれども、出てきた結果が、お前はちゃんと負託に答えなかったといわれても困りますが、今のご意見は十分に配慮した上で、ぜひ委員を選任したいと思います。
どうぞ、三橋委員。
○三橋委員 総合企画小委員会のところの(2)の、税制及びこれに関連する施策について、やはりこれは税制というふうに私は理解すべきだと思いますね。桝本委員のご意見があったということは、小委員会のとき等々でもちろん考慮しなければいけないと思いますけれども、この読み方を一般ではなくて、これは文章の書き方としては税制及びこれに関連するというのは、税制に関連するというような意味で受け取るべきだろうというふうに私は思いますね。だから、桝本委員のような意見が産業界としてあったということは、議論をする過程で十分尊重をしていかなくてはいけないと思いますけれども、読み方を憲法9条の解釈みたいな形で、わけのわからないような形の解釈をしないほうがいいと思うんですね。
○森嶌部会長 私が桝本委員の解釈のとおりだというようにお答えしなかった件、運営にあたって桝本委員のようなご意見があったということは十分配慮していかなければならないと考えているからであります。
ほかに。藤井委員。
○藤井委員 今、三橋委員がおっしゃってくださったので、私も「これ」というのは税制というふうに思います。9月16日に、前大臣の鈴木大臣と、この地球温暖化防止税を巡るシンポジウムに私も参加させていただいたんですが、日本経団連も含めて、産業界で大変この地球温暖化防止税に厳しいという状況は、その中でも体験しました。私どもとしては、この温暖化防止税の議論が遅すぎると思っているぐらいで、何とかこの小委員会の中で環境省らしく、ここに毅然とした方針をここで議論していただきたいと思っております。
○森嶌部会長 それでは崎田委員、どうぞ。
○崎田委員 私もこの地球温暖化対策税、これに関してきちんと国民的議論を巻き起こして、社会全体でこの地球温暖化対策を本気になるという、こういう時代の、今という時代の中でこういう提案がきちんと出てきたというのは大変すばらしいことだと感じておりますので、この議論をきちんと広めていただきたいと思っております。特に、前回このとりまとめのご説明をいただいたときに、私ちょっと意見を申し上げる機会がなかったので、今手を挙げたんですが、実は国民による検討、議論のための提案ということで、大変わかりやすくまとめていただき、どこが問題点で今後話し合いを広めていただきたいかということが非常に丁寧に書いてある報告書でした。やはり今後、産業界の方が大変危機感を持ってとらえていらっしゃるのはわかるんですけれども、結局は産業界の方だけではなく、国民全体でこの問題をどうとらえるかということですので、これに関してきちんと全員で話し合いを広めていけたらいいなと思っております。
○森嶌部会長 それでは、武田委員。
○武田委員 先ほどの「これ」でございますけれども、事前にいただいた資料と本日いただいた資料で小委員会の名前が実は変わっておりまして、事前にいただいたものは、税制総合企画小委員会となっておりました。本日拝見いたしますと、施策総合企画小委員会となっている。私は、これは税制に限らず幅広く議論をしてもらいたいという趣旨だと理解をいたしました。今いろんな意見が飛び交っておりますが、小委員会を設置するについて、あまり枠を入れないで、広く議論してもらうというふうにしておいたほうが、私はよろしいんだと思いますし、この委員会の名前が変わったことは、そういう趣旨であろうと私は理解しておったんですけれども、あまり限定しないでやられたほうがよろしいかと私は思います。
○森嶌部会長 私のほうから申しますと、やはり税が1つの大きな柱になることは確かでありますけれども、税だけを議論するのではなくて、2005年からの第2ステップ、ステップ・バイ・ステップの第2ステップに入る前に、2004年、来年に、2004年までの成果をふまえて、ではどうすればよいかということで、さまざまな新たな施策の検討をすることになっております。第1ステップでは、現在ある施策を進めてきているわけですけれども、それでどこがうまくいくのか、どこがうまくいかないのか、もしも今までのままだとうまくいかないとするなら、どういう施策があるのかを検討します。その1つが税ということで考えられているわけですけれども、しかし、これを最初から、この間の中間報告もそうでありますけれども、入れたらこうなるという話をしているわけではなくて、こういう問題があるということをやっているわけですから、それを第2ステップに向けて、それこそ幅広く、税を真ん中に据えながらやっていただきたいという趣旨でありますので、そういうふうにご理解いただきたいと思います。
それでは。
○桝本委員 今の委員長のご説明と武田先生のご質問で、私はほぼ同じ意見ですが、ぜひこれまでのワーキンググループ、そして専門委員会と、税の議論だけは進んできているはずでございます。したがって、今回この小委員会をおつくりになられる最大の意味は、税もひとつ頭に入れながら広範な議論をする。いわば政策のミクスチャーというか、あるいはパッケージというか、そういうものの議論をしましょうという意味だと私は実は理解をしております。ぜひよろしくお願いします。
○森嶌部会長 どうぞ。林委員。
○林委員 先ほど会長がおっしゃったことですけれども、ちょっと新鮮なものですからちょっと質問させていただくと、小委員会をここで2つつくっているわけですが、小委員会における議論は、この部会に対してインフォームされるのかどうか。先ほど、小委員会というのは部会と同じレベルだというお話がちょっとあったような気がするんですけれども、部会と同じであればまさに小委員会で議論されたことはこの部会には関係ないというか、同等なものでやったのは横で議論することはあり得ないわけですから、そうなのか。それとも、この部会、小委員会で議論されたことは、透明性というか、この部会に対してもいろいろインフォームされ、また若干議論する機会があるのかどうか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
○森嶌部会長 ええ、私は部会でも検討すると考えております。
○浅野委員 明日地球環境部会でまた同じ議論をやらなければならないわけですが、これはこの部会と地球環境部会のもとにある小委員会ということでございます。そこで、ただ今森嶌部会長が最初に、専門委員会から報告が出たことを契機に小委員会を設置したいとご説明いただいた趣旨をよく理解いただきたいわけです。専門委員会はあくまでも専門的な事項を、言ってみれば勉強して報告書をまとめるのが役割です。それが上がってきた段階で部会で議論をすることになるわけですが、この専門委員会は両方の部会のもとに置かれた専門委員会でありましたから、本来その受け皿としては、合同部会が受け皿にならなければいけないということになります。しかし、合同部会を開くとなりますと、80人をこえるメンバーになってしまいますので、なかなか定足数を確保することが難しいわけです。
そこでおそらく、小委員会の形でない限りは、おそらく専門委員会の報告書を受け止めて、それをもとに、さらに積み上げる議論というのはできないだろうかということで小委員会設置の案が出てきたわけですが、小委員会に全部任せ、小委員会の決定をもって部会の決定とするということにはなりがたいと思います。
ところで、専門委員会報告の中身をよく読んでいただきたいわけですが、この報告書は税を導入することを提案しているのではない。これまで、さまざまな政策実現手法についての選択肢の中で、これまでこの総合部会でも、地球環境部会ができる以前からさまざまなポリシーミックスの議論をやってまいりました。安原先生が中心になられて、提案をしてきたわけで、そういうものの積み上げがあるわけです。ところが、経済的手法に係る検討は十分な積み上げがなかったものですから、今回その欠けを補うために専門委員会で、もし経済的手法を採用するとすればどういうような点が理論的に問題で、どういうようなところが問題点となるのかということを検討したのが専門委員会報告であります。専門委員会の報告書は、これはこういう前提の下でこの報告を出したんだということをはっきり記しているのですが、どうもそこのところが見落とされてしまって誤解を受けているという感じがあります。
ですから、まさにこの施策総合企画小委員会で諸施策の統合を図るわけですが、その最大の目的は、先ほど部会長がおっしゃいましたように、第2ステップがもうまいりますので、大綱の第2ステップの段階で、もし第1ステップの施策だけでは京都議定書の目標達成が難しいのであれば、さらなる施策の強化をしなければいけない。そのとき、どういうような点をを強化すべきか。また、具体の施策については、さまざまなメニューが出てきますけれども、その施策を具体的に実施していくためのツールあるいは手法については、これはまだ必ずしも十分議論ができていないわけです。あるものは法律をつくらなければいけないかもしれませんし、あるものは自主的な取り組みを促進させるためにこういうような点をもっと強化しなければいけないということになるかもしれない。それから、場合によっては協定というような手法をとるべき場合があるかもしれないなど、さまざまあるわけです。そのようなさまざまな政策実現手段の1つとして、経済措置も位置づけられておりますから、それを全部含めて議論をすることが必要です。しかし、ともかく専門委員会が出した報告について、その中身についてディスカッションをする場が全くないという状況であり、専門家の議論だけで終わっておりますから、今度はさまざまな主体を代表する方々からもこれについてご議論をいただく場が必要であろうということでございます。
したがって、森嶌会長がおっしゃったように、税の問題を中心にというのはちょっと言葉のあやみたいなところがありますが、それについてはこれまでちゃんとした議論の場がなかったので、それをやります。しかし、それだけではなくて、さまざまな施策の中にどうそれを組み合わせるかということも、ここできちっと議論をして、第2ステップの施策に備えるということだろうと理解しておりまして、明日はそのような説明をするつもりでおります。
○森嶌部会長 ほかにございましょうか。
それでは、今のような、多少ニュアンスの違うところもありそうですけれども、今までの経緯から申しまして、今まであまり議論をしてこなかったことについて、中心というかどうかは別としまして、それをきちっと押さえた上で、第2ステップに向けてどのような施策をとらなければならないのかということをご議論いただくと、そういう趣旨のものであります。
それでは、そのようなことで、これは明日の地球温暖部会を開いた上で、最終的に決まることになります。
○浅野委員 この部会としての結論は決めていただかないと。
○森嶌部会長 もちろんそうなんですけれども、工程とか、そういうものは決まりますけれども、この部会でそれを設置するということについてはご了承いただくということでよろしゅうございましょうか。
〔異議なし〕
○森嶌部会長 それでは、そうさせていただきます。
○審議事項
(3)環境と経済の好循環を目指したビジョンについて(諮問)
○森嶌部会長 それでは、次に、環境と経済の好循環を目指したビジョンについてということでありますが、これもまたいろんなものをつくるのかとおしかりを受けるかもしれませんけれども、この点につきましては9月19日付で、環境大臣から私ども中央環境審議会に諮問がございまして、その日にこの部会に付議されているところでありますが、改めて事務局のほうからご説明いただきたいと思います。
○谷環境計画課長 環境計画課長の谷でございます。
資料3-1をごらんください。こちらが鈴木環境大臣から9月19日付で諮問がございました諮問の内容でございます。中長期的な視点に立った環境と経済の好循環を目指したビジョンについて、貴審議会の意見を求めると書いてございます。
下から4行目からございますが、国民、企業、行政が一体となって共通の方向を目指して取り組んでいくためのわかりやすい将来像を示す必要があるとございます。
この背景でございます、後ろのほう、資料3-3をちょっとごらんいただきますと、こちらは環境と経済の好循環を目指してという、6月に出ました懇談会の報告でございます。こちら1つおめくりいただきますと、環境についての学識経験者の方々や産業界の方々が、大臣とずっと懇談をされまして出していただきました報告でございますが、9月の審議会でも配布をさせていただきました。
この16ページをごらんいただきますと、この中で、中長期的な戦略の必要性という中の、このパラグラフの下のほうで、国家としての明確でわかりやすい将来像をということが書いてございます。これをどうするかと申しますと、このページの下から4行目、今後の環境基本計画の見直しに向けた検討に反映させてと、このように書いてございます。
この報告をちょうだいいたしまして、ちょっとあちこちすみません、3-2にお戻りいただきますと、これがまさに今書いてございますようなご報告をちょうだいして、中環審で専門委員会を設けていただきたいということでございます。検討体制・スケジュールの(3)をごらんいただきますと、産業界、学識経験者、マスコミ、NPO等の幅広い主体からお願いをしていただければと思っております。こちらも森嶌部会長にご一任をいただければと思います。
右側にございます検討スケジュール、こちら専門委員会でございますので、専門委員会のほうで、来年の3月までご議論をいただきました後、今度総合政策部会でご議論をいただきたいと考えております。こちらでパブリックコメントの素材を出して、またご審議をちょうだいできればと思います。
ちょっとあちこちすみません、資料1-1、先ほど環境に配慮した事業活動、1-1の次に1-2というのがございまして、こちらが、本日ご決定を願いたい設置について、資料1-2でございますが、先ほどご議論いただきました環境配慮の事業活動が2.でございます。その右側の一番下、5.で環境と経済の好循環専門委員会を設置していただければと。こちらも(2)で、環境と経済の好循環を目指したビジョンに関する調査ということで、委員は部会長にご指名いただくという改正案になってございます。
以上でございます。
○森嶌部会長 先ほどから、ギリギリと小委員会と専門委員会とはどう違うんだというご質問もありましたけれども、制度上は違いますけれども、専門委員会はどちらかといえばかなり学識経験といいましょうか、部会や小委員会は学識経験がなくてもできるということでは決してございませんが、どちらかといえばテクニカルなことを含めて少し集中的にやっていただくということでございます。これもやっていただいた上で、それを受けて部会できちんとご議論いただくということでございますので、制度上はともかく、部会運営の観点から申しますと、どの程度の人数とか、どの程度の回数をやっていただくかという点は小委員会と専門委員会とでは違うかもしれませんけれども、部会に対して、一定のお考えを示していただくという点では同じものだと考えております。それでは、この専門委員会の設置についてはいかがでありましょうか。ご意見はございませんでしょうか。
どうぞ、崎田委員。
○崎田委員 この環境と経済活動に関するこの懇談会に参加させていただいた1人として手を挙げましたけれども、この懇談会自身は、多くの産業界の方たちが、ご自分たちのいわゆる環境行動がどういうふうに社会で評価され、うまく経済的に好循環になっていくか、そういう提言をされて、あと市民として参加してもらえると、専門家として参加してくださった方などを踏まえて、皆さんで話し合ったところなんですけれども、こういうような懇談会を受けて、具体的にどういうふうな社会をつくっていったらいいのか、あるいは地域社会の実情とか、現実に産業界と消費者がどういうふうにつながったらいいか、いろいろな視点を込めて、すぐにこういうふうにこちらに諮問をしていただいて実際に動き出すという、こういう流れをつくっていただいて、大変うれしいと思っています。やはりこの時期にこういうふうに具体的なことをきちんと出していくということが大事だと思いますので、こちらのほうもそういう現実をきちんと出していっていただきたいというふうに考えております。
○森嶌部会長 ほかにご意見ございましょうか。どうぞ。
○桝本委員 今のお話に関連して、この報告書を参考につけていただいている最後のところに、国際的な視点の指摘がおありですが、今度のこのビジョンについての諮問の委員会では、ぜひ大きなアジアあるいは世界全体の中での日本を考え、かつ日本の特徴を十分貢献し得るような意味での広がりをもったビジョンづくりにお努めいただきたいというふうに存じます。これはお願いです。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
ほかにございましょうか。
総合政策部会自身の名前が総合政策部会になったのは比較的最近ですが、ともかく中環審でいっぺんに3つも、専門委員会というか小委員会というかはともかくとして、3つも同時に走って、大体数か月のうちにある方向性を出して部会へ出していただくということは初めてではないかと思いますが、いずれあちこちからこれらの小委員会なり専門委員会なりから、ある程度のお考えがまとまって返ってきたときには、皆さんに働いていただかなければならないのと同時に、たぶん小委員会委員を兼ねたり専門委員会委員を兼ねたりということで、一部の委員には大変労働過剰になるかと思いますけれども、日本の将来のために、指名をさせていただいたときには是非快くお引き受けいただきたいと思いますが、この設置についてよろしゅうございましょうか。
〔発言者なし〕
○森嶌部会長 それでは、これにつきましても、私のほうから委員を追って指名をさせていただきたいと思います。
○審議事項
(4)環境基本計画の進捗状況の点検について
○森嶌部会長 それでは、議題としては最後でありますけれども、今回の本題でございます、環境基本計画の進捗状況の点検に移らせていただきます。
本件につきましては、先日開催をいたしました前回の会議におきまして、重点点検項目別審議の第1回、前回で、重点点検項目となっています5つのテーマのうち、地球温暖化対策の推進と、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取り組みについてご審議いただいたところであります。また、物質循環の確保と、循環型社会の形成に向けた取り組みの分野に関しましても、本年の3月に、循環型社会形成推進基本計画が決定されておりますけれども、そのことについて事務局から報告を受けました。
前回、地球温暖化対策の推進につきまして、この部会でも、他の部会等でご議論いただいたものをもう1回取り上げるべきではないかというご意見もございました。今回は、環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みと、それから、生物多様性の保全のための取り組み、それから、社会循環の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取り組みをご議論いただくわけでございますが、既に以前の部会で、生物多様性の保全のための取り組みにつきましては、これは国家戦略等が決まっているので、これに基づいて、各部会でご審議していただくということになっております。温暖化に関しましては、以前の部会で地球温暖化対策については他の部会でご検討いただいたものを前提にするということになっておりましたけれど、前回、きちっとこの部会で議論すべきではないかというご指摘がございました。前回のご指摘を受けまして、これに関して、地球温暖化対策の推進に関して提示された意見や今後の対応方針について、今回の3つのテーマの審議が終了した後に、ご議論いただきたいと思います。
ちょっとごちゃごちゃいたしましたが、今日は3つ、交通と、生物多様性と、それから環境配慮のための仕組みの構築に向けた取り組みと、それぞれ3つの点について議論をいたします。そして、2番目の生物多様性の問題については、生物多様性国家戦略という形で別の部会から出ておりますけれども、それも報告していただきますが、この3つが終わった後に、前回地球温暖化対策の推進について、既に他で点検をしたものをそのまま我々が裏書するということはいかがなものかということもございましたので、これについてもなおご検討いただくことにしたいと思います。そういうことで、3つ半といいますか、3つプラス前回の宿題がございますので、よろしくお願いいたします。
○[1]重点点検分野別審議
環境への負荷の少ない交通に向けた取組
○森嶌部会長 それでは、各テーマごとに10分程度事務局から報告を受けまして、15分程度の質疑ということでやっていきたいと思いますが、最初に環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みについて、報告をお願いいたします。
○鷺坂環境管理局総務課長 環境管理局総務課長の鷺坂でございます。
それでは、環境基本計画にあります戦略的プログラムの中の、環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みという点につきまして、進捗状況等についてご報告させていただきたいと思います。
まず、初めに、お手元に環境基本計画そのものがお配りしてあるかと思いますけれども、ここの環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みにつきましては、53ページから56ページぐらいにかけて、戦略プロジェクトという形で位置づけられております。今回、ここの節につきましては、現状と課題、それから目標、施策の基本的方向、重点的取り組み事項という、こういう形で基本計画では書かれているわけでございますが、重点的取り組み事項につきましては、これは主体別に書いてあるということもございまして、基本的にはこの53ページから54ページにあります施策の基本的方向の中の、施策別の方向性ということで、自動車単体対策の推進とか、事業活動や生活様式の変革、交通による環境負荷の少ない都市交通システムの整備、それから経済的手法の活用、こういうふうに項目が分かれておりますので、それにしたがってとりまとめさせていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、今日お配りしております、資料4という、ちょっと薄い2枚もののペーパーにしたがいましてご説明したいと思います。
初めに、資料4、環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みについてというところでございますが、現状認識でございます。現状認識といたしまして、大気汚染、騒音、地球温暖化問題等、交通に起因する環境問題については、大都市地域、幹線道路沿道で深刻な状況にあるということで、前回のときも同じようなフレーズがあるわけでございますけれども、依然としてそういった状況があると。特に、大気汚染につきましては、排ガス規制の強化等を図っておりますし、また、自動車NOx法を改正して、自動車NOx・PM法による総合的対策を進めておりますけれども、自動車交通量の増加、交通渋滞等によりまして、特に大都市地域を中心として、NOxでありますとか、あるいはSPMでありますとか、そういった大気環境基準の達成というのは非常に厳しい状況にあると。こういう状況でございます。
それからあと、地球温暖化問題等についての記述、それから騒音等についての記述ということがございまして、こういったことを踏まえまして、交通に起因する環境問題につきましては、主として自動車交通を中心として引き起こされており、自動車交通による環境への負荷を軽減するのが喫緊の課題であるということと、現状認識としては整理させていただいております。
次に、取り組み状況でございますけれども、同じ紙の真ん中あたりでございますが、先ほど申しましたように、施策の基本的方向に沿いまして記述しております。1として、自動車単体対策の推進ということでございます。その中で、まず最初に、自動車NOx・PM法の着実な施行でございます。基本計画ができましたのが平成12年12月ですが、平成13年度改正におきまして、自動車の騒音についてPM、要するに粒子状物質を新たに入れておりますし、また対策地域につきましても、それ以前は首都圏と近畿圏ということでございましたが、中部圏を対策地域に入れております。
そういったことで、自動車NOx・PM法の着実な施行を推進していくということでございます。
資料4の後ろに1枚ものがあって、その後ろに資料4-3というところで、自動車NOx・PMの総量削減計画の概要というものを参考までにつけさせていただいております。これは、自動車NOx・PM法の対象地域のうち、7府県におきましてまとめられた総合削減計画ということで、今年、平成15年7月に公害対策会議の議を経て環境大臣が同意しているものの概要ということでございます。
この冊子の5ページをちょっとお開き願いたいと思うんですけれども、7府県トータルでの総量削減計画の削減目標量というものを掲げておりまして、この5ページの表にありますように、真ん中あたり、平成22年度の目標年度というのがございまして、その枠の下のほうに[4]というのがありますけれども、自動車の排出総量ということで、この一番右側の合計欄、7府県の合計ということで、NOxにつきましては自動車からの総排出量について、平成9年度に比べて、22年度目標といたしましては54%の削減、PM、粒子状物質につきましては84%の削減を図ろうと、こういう総量削減計画をつくっているところでございます。
この総量削減計画を踏まえまして、この自動車NOx・PM法に基づきまして、基本的には平成22年、2010年までにNOxにかかる環境基準、あるいはPMにかかる環境基準につきましておおむね達成しようと、こういうことで施策を進めているところでございます。
同じように、このNOx・PM法に基づきまして、対策地域における車の車種規制というものを導入しております。したがいまして、その対策地域については、一定の排ガス性能を持った車以外のものは、車検等の制度を用いまして、車を代替していかなければいけない。主に今回はディーゼルトラックとかバスということでございますけれども、代替していく必要がある。そういった車種規制も導入しておりますし、また今回の法律におきまして、事業者指導ということで、比較的大きな事業者につきましては、そういった計画をつくると、こういったようなことを実施しております。
次に2つ目の・でございますけれども、ちょっとお時間の関係があるのではしょらせていただきますが、自動車単体の排ガス規制の強化ということでございます。これは次の1枚紙でございますが、資料4-2というのを見ていただきたいと思いますけれども、基本計画ができた後、この4-2の一番右にちょっと細かく書いてあるんですけれども、14年第五次答申、これは中央環境審議会の答申の状況でございますが、ガソリン、ディーゼルにつきまして新長期規制、これは世界で最も厳しい規制ということでございますけれども、これをやろうということで、実施は平成17年からということになりますけれども、こういった対策をしているということ。それから、その下の第六次答申には、二輪車の規制強化、それから特殊自動車につきましても規制強化をしていると。それから、燃料の品質の問題でございますけれども、これも同じように、14年の第五次答申と、それから今年の7月に出ました15年の第七次答申におきまして、軽油については、軽油の中にある硫黄分の割合を、答申が出たのは今年でございますけれども、平成19年には10ppmに下げていこう、それから、ガソリンについても、これはすでにガソリンの硫黄分の割合を50ppmに下げるとともに、今回の第七次答申におきまして、ここの資料4の3つ目の・にもちょっとかかってくるわけでございますけれども、ガソリン中の酸素分の許容限度を新たに設定するということで、この答申におきまして、ガソリン中の主にエタノールの割合、これは実は温暖化対策に役立つということでございますけれども、それを答申では、酸素含有量で測るわけでございますが、それを1.3%質量ということで、これは品確法のほうで、いわゆる3%体積の質量ということでございますので、いわゆるE3というような言い方を一般にはしておりますけれども、そういった含有量の答申もいただいているということでございます。
次に、またもとへ戻りまして、資料4の1枚目の4つ目の・でございますけけれども、その他、ディーゼル微粒子除去装置等の装着促進ということで、いわゆるディーゼル車について、粒子状物質を除去する装置を装着するように、国の方でも補助金をもって推進しているということでございます。
次の裏側を見ていただきたいと思うんですけれども、そこでは燃料電池自動車の導入に向けた取り組みということで、政府を挙げまして、燃料電池自動車の実用化・普及のためにさまざまな対策、安全に関する技術基準の見直しでありますとか、あるいは燃料電池自動車そのものの普及啓発、こういったものを進めているところでございます。
それから、低公害車の導入ということにつきましても、その次の・でございますけれども、政府におきましては、平成16年度末までに、政府の一般公用車すべてを低公害車化しようと。約7,000台あるわけでございますけれども、そういったことで進めているということでございます。
次に、2つ目の事業活動、生活様式の変革ということでございまして、この項目につきましては主に事業者とか個人の生活様式の問題になるわけでございますけれども、事業者個人がそういったような変革にしやすいような基盤となるような施策、こういったものについて触れているところでございます。
1つ目の・が、公共交通機関等の整備とか、あるいは利便性の向上ということで、主に旅客交通において、自家用乗用車から公共交通機関への利用転換を促進していこうと。それから、2つ目でございますけれども、モーダルシフト、共同輸送等による物流の環境負荷低減ということで、このあたりの施策は主に国土交通省というようなことになるわけでございますけれども、こういったモーダルシフト、共同輸送化等の環境負荷低減策の実証実験等をしていこうと。あるいは、3つ目の・で、静脈物流システムの構築ということで、静脈物流システムの構築のためのさまざまな調査研究と。それから、その次の・で、次世代内航船の実用化ということで、非常に輸送効率が高く、あるいは環境への負荷も低減するような次世代の内航線の実用化というものも進めていくということでございます。
それから、3番目でございますが、交通による環境負荷の少ない都市、交通システムの整備ということでございますけれども、1つ目の・が、交通需要マネジメントの推進ということで、自動車交通需要そのものを調整あるいは低減を図っていくためのさまざまな実証実験等とかをいろいろしているということでございます。
次のページの・でございますけれども、有料道路の料金にかかる社会実験の実施ということで、これはどちらかといえば経済的手法のほうに整理したほうがよかったかもしれませんけれども、一応有料道路の中で料金格差を設けて、住宅地域の沿道環境を改善しようということで、阪神高速道路の神戸線とあるいは湾岸線の料金格差を設ける。あるいは、首都湾岸道路と首都高の川崎線ですか、そのあたりで湾岸線のほうをむしろ料金を安くして、周辺の住宅環境の改善に資すると、そういったようなことの実施をしていくということでございます。
それから、その下の・は、高度道路交通システム、ITSの整備・開発ということで、特に渋滞情報とか交通規制等の道路情報を提供するVICSシステムの整備と。あるいは、有料道路の料金所におけるETCの整備等を掲げてあります。それから、あと道路とか、騒音対策でありますとか、道路交通の騒音とか沿道の道路騒音対策とか、あるいは新幹線とか航空機の騒音対策等も書かれております。
それから、最後に4番目の・でございますけれども、経済的手法の活用ということで、低公害車の導入に対する補助制度とか、あるいは税制の活用ということで、自動車税のグリーン化、これは平成13年度からでございますけれども、ディーゼルの古いものには重課をして、重い税金をかけて、低公害車とかあるいは燃費が非常によくて、排ガスについても性能のいいものについては軽課していこうと、こういったようなもの。あるいは、自動車取得税の特例措置。そういったものを導入しているということでございます。
いずれにいたしましても、今後の課題といたしましては、先ほど少し触れましたけれども、平成22年、2010年に向けまして、NOx・SPMの環境基準を達成していこうという、そういった目標を掲げまして、今後とも引き続きまして、自動車の単体対策、排ガス規制をさらに進めるとともに、次世代の低公害車の開発普及等についても検討を進め、また今まで未規制でありました船舶からの排ガス対策につきましても、国内法制化等を検討いたしまして、環境負荷の少ない交通への転換と、交通に起因する環境負荷の削減に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○森嶌部会長 それではどうぞ。浅野委員。
○浅野委員 環境基本計画の担当課長が課長になっておられますので、環境基本計画の線に沿った報告をまとめていただけたと思って非常に安心して聞いておりました。
ところで、環境基本計画のポイントは私の見るところいくつかあるわけですが、効果の大きい対策に重点をちゃんと絞ってやるということがまず大前提とされている。それから、第2は、全体的に計画に出ている施策の項目を見ると、もちろん単体対策のようなハード面もありますが、事業活動、生活様式の変革であるとか、あるいは交通負荷の少ない都市交通システムの整備であるとか、経済的手法の活用であるとかという書き方で、このシステムのところは、読みようによってはいろいろ読み方もあるわけですけれども、あまりコンピュータか何かでハードを動かしたら何とか答えがでてくるというようなものよりも、もっとソフトで全体のシステムを考えなければいけないということが多く示されていると思われます。
先ほど鷺坂課長からお話しがありましたように、経済的手法のところがちょっと弱いんではないかと思われますが、有料道路の項目は、課長おっしゃるとおり4のほうに移されたらいいのではないかという気がいたします。それ以外のことについても、現状ではこういうことしか行われていないことはよくわかるわけで、各省はこういう施策を行ったということは良くわかるわけですが、当審議会から各省に対して再度フィードバックで情報を返すという意味では、もう1回環境基本計画が言っている効果の大きい対策ということに注目をして、どの施策はどういうふうに効果を上げ得たのだということについて、やっぱり挙証責任をもう1回各省に転換していかなければならないのではないか。そうしないと、やりましたやりましたとざっと並んで、予算はこれこれこれを使いましたということがあげられるだけで終わってしまう。これがずっと繰り返されていくと、最初にかかれている現状認識という状況が、また来年も再来年もさらに同じように続いていくことになるのではないかという危惧の念があります。
温暖化対策の点検素案と全く同じなのですが、全体に書いているものを拝見しますと各省がやりましたということは並んではいるんですけれども、どの施策はどのくらい効果を見込まれ、どのくらい期待が大きいので力を入れてやったのかという点がやや不明確ではないか。それから、ソフト面について言うと、自治体の現場ではかなり健気にがんばっているわけですが、どうしても霞が関にはその声は届いていないという印象があるんですね。NOx・PM法にしても、自治体との連携を強調しているわけでありまして、今日出ているペーパーでは、自治体が一生懸命努力しておられるのもよくわかる記述がありますけれども、生活様式の変革とか事業活動の変革ということになりますと、どのようにその自治体が、あるいは事業団体やNPOが活動をし、がんばったのかということがこういう展開の中でうまく出てこないと、読んでいてもむなしいと思わせてしまう。やっている人が第一、自分たちが全然評価されていないではないかと思われてしまうのではないかという危惧の念もあります。
ですから、やっぱり各省ベースで出てきた施策を整理するというだけではなくて、環境省もいろいろアンケート調査とかさまざまなことをやっておられるわけですから、そういうところから都合のいいといっては表現が悪いんですが、何とか使えそうな種を探し出して、こういうようなことが実際に行われているとかこういうような動きが既に出ているんだということが書かれないと、何となく基本計画の点検というのはいつもこんな形なのかなということになってしまうような気がします。素案の骨格は非常によくできているだけに、今後の課題というようなところに今私が気づいたような点が書かれてもいいのではないかと、考えるわけですが、いかがでしょうか。
○森嶌部会長 他のご意見を伺って、それから宿題をそちらに振りますので。
どうぞ。天野委員。
○天野委員 私は大気環境部会のほうにも所属しておりますが、単体規制、車種規制に非常に重点があって、交通流対策がなかなか進まないというのを実感しております。今日お配りになられた資料4-3の5ページに対策地域の取り組みが書いてありまして、兵庫県もあるんですけれども、この平成22年度の削減目標が、すごく厳しくて、どうやって達成しようかと四苦八苦しておられると思うんですね。
先般、NOx・PM法で特定地域が決まりました。その地域の中の車種規制はできたんですけれども、神戸市というのはご存じのとおり東西に長い街でして、全国の流通の通り道になっているわけですね。ですから、地域内だけで規制しても、どんどん他の地域から入ってきて、その車が尼崎とか国道43号とかを通るわけです。それは規制できないことになるわけですね。NOx・PM法が成立したときに参議院で付帯決議が付けられて、そういう他の地域からの流入の問題を早急に対処しなければいけないということが決まっていたと思うんですね。
実は他の地域から入ってくるだけではなくて、その地域の車とか業者が外へ出て、そこから戻ってきたものを通すというわけですから、外の地域から入ってくる車が一定ではなくて、増えるわけですね。ということは、車種規制をやりますと、それが原因になって新たな交通流対策を別途講じなければいけないような効果が出てしまうと。こういうこともありますので、単体規制とか車種規制とか交通流規制とか、縦割りにしないで、全体をまとめて、特段別の対策が必要にならないような車種規制なら車種規制をやっていただきたいというふうに思います。
それと、先ほど湾岸線で料金を変えて、それでそちらのほうへ誘導してというお話もありましたけれども、現在実施はしておりますけれども、差があまりにも小さすぎてほとんど効果が上がらない。しかし、大きな差をつけようとすると、大きな反対がある。これは特に全国の輸送に関係しておりますので、反対が強くてできない。そういうふうなことがあって、自治体も相当苦労はしておりますけれども、おのずから限度があるということをご理解いただきたいと思います。
○森嶌部会長 それでは、江頭委員、それから塩田委員、それから筑紫委員。
○江頭委員 今のお話を聞きながら、非常に環境基本計画に沿って努力をなさったことがわかります。国の施策を地方公共団体や民間または国民1人1人がどれだけ意識を向上させたかというのは、ちょっとこれからは見えないんですね。
目標が平成22年という目標が、本当に達成できればすばらしいと思いながら聞かせていただきました。
○森嶌部会長 塩田委員。
○塩田委員 環境への負荷の少ない交通に向けた取り組みと、この基本計画に対する点検に対する事務局のご説明は、まことにこの基本計画に沿ったご説明であったと思います。
それで今、何人かの委員からご指摘があった点について私の感想を言いますと、2~3点あるんですけれども、この基本計画は、非常に総合的に書かれてあって、あまり各論的な取り上げ方をしていないわけですね。それで、そういうのの項目の中で、具体的な施策について、メニューみたいな形で取り上げた。それに対してはどういうことが行われたかということは今事務局から進展のご説明があったということだと思います。
私は、今各委員からのご発言を聞いていますと、もう少し今の交通問題における交通と環境の関係で、問題というのはどういうところに重点的な問題があって、それに対する対策が総合的に進捗しているのかどうかというような分析が足りないのではないかというふうなご意見のように伺いました。その観点から申しますと、私は今の我が国の交通の問題というのは、大都市圏あるいは幹線道路の沿線あるいは鉄道もあるかもしれませんが、そういうところの問題と、それから、それ以外の地方の交通の問題というのは全く様相が違うんだと思うので、それを同じように論じるというのは問題があるのではないかというような気がします。
それからもう1つ、この計画というのは目標年次というのが普通は要るんでしょうけれども、その目標年次がここではいろんな事情があって、必ずしも書かれていない。そこで、それぞれの排気ガスの規制とかそういう面で、目標年次が決まっているものについてはその目標年次にしたがって、着々と行政が進められているという方向が今あったと思うんですけれども、総合的に見てどういうものを目標にしていくかというようなものは、その計画にないから、それのレビューはしにくいというようなことではないかという気がいたします。
それから、3番目に、一番具体的にわかりやすい問題としては、交通関係の施設がどのくらい整備されていて、あるいは交通関係の施設とはいわず、施設あるいはシステムがどの程度整備されてきたか。これはかなり立派なものが整備されてきたと思うんですが、それを実際に利用する利用者の方々が、その施設がどの程度整備されていて、どのように利用するのが一番うまい利用の仕方かというような情報が必ずしも十分に提供されていないがために、道路混雑になったりする。そういう面があるのではないかというふうに私は思います。
この3つ目の問題は、情報の提供というのが最近カーナビその他いろいろあると思うんですけれども、私は自動車の利用者には、ラジオが一番手っ取り早いと実は思っておりますけれども、今ものすごい交通渋滞がどの道路で起こっていますということが把握できれば、そこに出て行く人は、少なくとも相当減ると思うんですね。その情報が必ずしも十分でないから、何とかうまくいくかもしれないと思ってそこに出て行って渋滞に巻き込まれるなんていう人が非常に多くて、その人たちが非常に大きな不満をもっているのではないか。それが大量の排気ガスを出すというような、問題も起こしているのではないか。こんなふうに思いますので、もちろん施設の整備が十分でないというところもたくさんあるんでしょうけれども、それ以上に施設の整備及び利用の状況又は渋滞に関するそのときそのときの情報が十分に利用者の方に届いていないというところにもう少し重点を置いて検討していくと、わかりやすい交通に関する環境政策になっていくのではないかと思うわけです。
最後に申し上げますけれども、地球温暖化の運輸部門における温室効果ガスの発生源の9割は自動車からで、そのうちのかなりのものが自家用車の排気の問題というのはご承知のとおりです。地球温暖化対策の問題と、この「交通と環境」の問題とは切り離して検討するほうがわかりやすい。なぜかといえば、「交通と環境」の問題というのは、通常は人体に有害な排気ガスの取り扱いの問題ですとか、あるいは非常に健康に影響のあるような騒音の問題に重点が置かれるんだと思っています。地球温暖化対策の場合においては、そういう意味での健康に直接的な問題がないわけですから、大きな局面から、炭酸ガスを中心とする温室効果ガスの排出を減らせるかという点に重点を置いて検討すべきだと思いますので、これはやはり切り離して、検討したほうが、検討はしやすいのではないかというのが私の意見です。
○森嶌部会長 それでは筑紫委員、それから瀬田委員。
○筑紫委員 全体に大変よくできていると思うんですけれども、何か肝心のこととか、非常に肝心のことでちょっと抜けていると思うことがありまして、例えば渋滞についても、渋滞の情報を適当に非常にドライバーに出すということにはすごく一生懸命で、それからそのためのいろんな新しいITを使ったようなことに対しては非常に熱情が感じられるんですが、渋滞そのものをなくすということの研究はやっているのかということについては、あまり入ってこない。例えば、なぜ渋滞がというときに、結構信号の置き方が不適当だというようなことはドライバーの方からよく聞くんですね。タクシーに乗っていまして、町の中でこっちからの車とこっちからの車がこう来るんだからこんなところに置いてはいけないんですよと運転手さんが一生懸命言っておられると。そういうことをもう少し、あまり楽しくない作業だとは思うんですけれども、こういったことはもうちょっと緻密にやっていいのではないかと思います。
それから、低公害車の導入支援とかいうんですが、低公害車の導入も支援するんですけれども、車に乗らないで済むためにはどうするかということについて、もっと具体的な、例えば補助というのも、低公害車の導入に対して補助するんだったら車に乗らない人のためにも補助をすると。例えば自転車通勤について税額の控除をするとか、公務員の方というのは地球環境問題こういうことがありましたというときに、すぐに28度に設定して、暑くても扇風機とかうちわをしていらっしゃったというふうに率先なさるわけですから、公務員の方の宿舎は都内にあることが多いので、結構自転車で通勤できるのではないかと。そうすると、自転車通勤に対して補助をされるとか、こういった細かいんですけれども基本的なところでの施策というのがもっとあってもいいのではないか。
また、自転車については、例えば今のドイツとか、それからスイスとか行って列車に乗りますと、必ず自転車専用の自転車を置く車両があります。そしてそれは無料です。そういったことを今のシステムの中で、自転車、折りたたみの自転車に対して補助が出たり、そうしたらそれを持って入って、それでまた降りて自転車で通うというようなこと。そうすれば、駅前の自転車の駐輪場も要らないとかいうようなこともちょっとお考えになったらいいのではないかなと思います。
○森嶌部会長 議題1で25分を予定したんですが、35分経ちました。あまりサスなものではありませんけれども、瀬田委員、安井委員、その辺で、あと宿題にどう答えるかというのはまたそれぞれで用意していただいて。
○瀬田委員 この資料4に書かれている現状認識でございますけれども、基本的にはこれは地球環境ということで書いてございますので、それはそれで非常にいいと思いますし、またその中に騒音という言葉が入っているのは非常にいいと思っております。やはり、この種の取り組みというものについては、1つはまず地球環境の改善と、それにあわせて、できるならばやはり人間らしさの追求というか、人間生活環境の改善という視点が原点として当然あるはずでございまして、その辺のところをもう少し入れていただいたらどうかという気がいたしました。
具体的に申しますと、5年ほど前にEUの人と一緒に車に乗って東京を走っているとき、その人が「アグリシティ東京」という言い方をしたんですね。それはどういうことかと聞いてみますと、やっぱり1つは、この渋滞、混雑。それから2つ目が大気汚染。3つ目が騒音だというんですね。その騒音も、平均的な騒音だけではなくて、非常に飛びぬけた騒音、バイクであるとかスポーツカーであるとか、そういったような非常に飛び抜けた、ある意味では違法な騒音ということが入っているようです。そういったものをいくつか指摘されてありますけれども、そういう人間生活環境の改善という視点を入れられるともっと豊かなものになるのではないかというふうに思います。
○森嶌部会長 それでは安井委員。
○安井委員 どなたかがおっしゃるかと思って聞いていたんですけれども、現状認識のところで大気汚染と騒音とそれから地球温暖化について述べられていますが、後のほうの対策のところでは、強いて言えば燃料電池車とかあるいはITSとか、地球温暖化対策にはなっているとは思うんですけれども、先ほど浅野委員のおっしゃったことで、これはどれくらい効果があるかというのが指摘されます。実は、国土交通省は何かまた新たにグリーン税制を始めるつもりなんですか、よく知りませんが、ときどき新聞報道なんかのあるところを見ておりますと、どうやら一番問題になっているのは、2010年の燃費規制なるものかなと私は思うんですね。あれは既に実を言いますと、先日トヨタがプリウスなる車を出したことで、達成率250%なんですね。要するに、あの規制値の2.5倍燃費のいい車が現実に存在しているわけです。そういうような規制がそもそもいくらなんでも意味をなさないのではないかというようなところが、何か少しこういうところに今後の課題がてらに盛り込まれるべきではないかというような気がするんですけれども。
○森嶌部会長 今のご意見も含めて、これに全部鷺坂さんに答えろと言ても無理なことが多いでしょうけれども、今のご意見の中からこれについてはこういう対応をしていくというようなことがありましたら、お示しください。
○鷺坂環境管理局総務課長 非常に広範にわたっておりまして、なかなか一言では言いづらいところがあるんですけれども、確かに施策と評価との関係というのはなかなかまだ、新しい基本計画をいただいて、それに伴ってNOx・PM法の改正をしてということで、NOx・PM法のほうでの総量削減計画の中での評価とか、そういったものはその時点になれば、例えば中間年度とか、平成22年度とは言わず、中間年度とかということで見直ししながら考えるということは可能かと思いますけれども。
あと、ちょっと非常に広範でしたのであれなんですけれども、そういった流れの中でまた我々としては対策をしていくということになります。
あと、温暖化との関係につきましては、また温暖化対策大綱との整合性とか、そういったこともちょっと図っていく必要があるのかなという、ことであります。
○森嶌部会長 去年もそうでしたけれども、環境基本計画の点検といったときに、今までは各省から出てきたものを並べたのですけれども、先ほど浅野委員がいろいろ言われたように、それだと本当に効くのか効かないのか、これをやっています、あれをやっていますだけではないかという問題ががあります。かといっていろんなデータがないところで、今の段階でこの政策はこれだけ効きましたと評価することは難しいにしても、今後も中環審は点検を続けていくわけですから、少なくとも今の時点で各省庁に対して中環審は今後こういう方向でこういう点について点検を進めます、たった今答えが出ていなくても、今後はこういう答えを出してくれという形で点検してもらうように、我々の方で少し検討したほうがいいのではないかと思います。この交通問題だけではなくて、全体にそういうふうに思いますので、その辺も含めて今度ここで最後の案を検討する際に、このような考え方の頭出しをしていただければと思います。
どうぞ。
○鷺坂環境管理局総務課長 まず、その施策の中で、やはり各省との連携を図っていかなくてはならないものは、特に交通量対策とか、非常に多いわけでございまして、私どもはそれぞれ所管の警察庁でございますとか、国土交通省でございますとか、経済産業省でございますとか、連絡会議を持っていろいろお話はさせていただいているところでございます。
○森嶌部会長 中環審がどういう考え方で何に着目して点検しているかというのは知ってもらうことが、今後他の省庁が資料を出す場合もやりいいと思いますので、ぜひその点をよろしくお願いします。
そういうことで、まだまだ、ご意見がおありかと思いますけれども、まだ審議すべき事項が残っておりますので、次へまいりたいと思います。生物多様性のための取り組みに移りたいと思います。
○[1]重点点検分野別審議
生物多様性の保全のための取組
○森嶌部会長 先ほどもちょっと申しましたけれども、この分野については生物多様性国家戦略の新しいものができておりまして、この新生物多様性国家戦略に基づいて進捗状況の点検が別途に行われております。環境基本計画の点検においてもこの点検結果を活用しようということを去年私どもの部会で決めているところであります。
したがって、事務局からの報告も、基本的には国家戦略の点検結果に沿ったものということでございますが、この間もご意見がありましたように、ただそれ聞いてああそうですかというわけにはいかないではないかということがございますので、その上でご議論をいただきたいと思います。
どうぞ。
○黒田自然環境局自然環境計画課長 自然環境局自然環境計画課長の黒田でございます。生物多様性の保全のための取り組みに関するご説明をさせていただきます。
既にパワーポイントの画面が開いておりますが、これと同じものが生物多様性の関係、資料もちょっと分厚うございますが、資料5という束がございます。それの一番最後に、このパワーポイントと同じカラーコピーの資料をお付けしております。こちらのほうもまた、同じものでございますが、お使いいただければと思います。
今部会長からお話がありました生物多様性国家戦略の点検状況というものを一番最初にご説明をさせていただきます。ここに書いてあるとおりでございますが、既に5月から検討に着手しておりまして、6、7と、各省庁が関係省庁が多数ございまして、自主的な点検を行うと。それを関係省庁連絡会議というものを設けておりまして、こちらのほうで点検結果の取りまとめをしたところでございます。8月にパブリックコメントを実施し、既に先週でございますが、9月19日に中環審、これは自然環境野生生物合同部会というものをこの国家戦略の点検のために設けて、こちらのほうにご報告し、パブコメの結果とあわせてご報告し、ご審議をいただいたところでございます。
この合同部会は新しい国家戦略をつくるときにやはり同様に自然環境野生生物合同部会をつくってご審議いただいたということから、今回も同じ手順を踏もうということで設置していただきまして、現在、先日ご審議いただいたと。本日のご報告の内容はそのときとほぼ同様のものとさせていただいているところでございまして、また、自然環境部会と野生生物部会の合同部会につきましては、次回は来週10月3日に開催いたしまして、生物多様性にかかる今後の施策の方向についてご審議をいただき、ご意見をいただくと、このようになっているところでございます。
第1次、最初の国家戦略というものは、平成7年にできましたが、新しい国家戦略は環境基本計画が策定されて1年4か月後、平成14年3月、昨年3月に開催されておるところでございます。したがいまして、環境基本計画と大きな時代的な認識のずれであるとか、あるいは施策の方向性の差異というものがあるわけではございません。
お手元の資料を1枚めくっていただきまして、資料5-2というところに、基本計画と新国家戦略の関係を対比させてございます。まず、現状の認識ということでございます。基本計画のほうは、左のほうのボックスの一番上のところになりますが、環境基本計画では、生息地の生物の減少や分断。2番目として、二次的自然環境の質の変化。それから移入種の影響。こういうものを掲げておりますが、生物多様性国家戦略では、現状の認識を、生物多様性の危機という表現を使っておりまして、第1の危機として、人間活動に伴うインパクト。第2の危機といたしまして、人間活動の縮小に伴うインパクト。第3の危機として、移入種などによるインパクト。こう掲げております。したがいまして、この3つの認識につきましては基本的にずれはございません。
また、計画の目標でございますが、基本計画はそこにありますとおり、国土全体から地域までのさまざまなレベルにおいて、それぞれ多様な生態系及び動植物が保全され、持続可能な利用が図られることとされておりますが、国家戦略のほうではもう少しブレークダウンした形で、種・生態系の保全、それから絶滅の防止と回復、そして持続可能な利用。この3つを掲げておるところでございます。
したがいまして、内部的にこれらの施策の計画を戦略の間で齟齬があるということはございませんで、あえていいますと、それは一番下のボックスに関してでございますが、自然再生というものを国家戦略のほうでは1つの施策の基本方向として掲げておるところでございます。
自然再生について申し上げますと、基本計画のところでは明示的にそういう言葉は使っていないわけでございますが、中身には湿地の回復というような記述をしているところがございまして、考え方としては、自然再生というものが基本計画にもう既に盛り込まれている。このように考えております。
基本計画と新国家戦略につきましては、非常に濃い説明ですが、こういうような関係となっておりますので、こういうこともお含みいただきまして、新国家戦略の点検結果を環境基本計画の点検作業にご活用いただきたいというふうに考えておるところでございます。
実は、今申し上げた計画と国家戦略の対比の細かい点は、その裏側にもう少し細かく書いてあるところでございます。
次に、生物多様性国家戦略につきまして、少し詳し目に説明させていただきたいと思いますが、生物多様性国家戦略は、我が国が締結している生物多様性条約の第6条に、締約国は生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略もしくは計画を作成することを定められておりまして、これに基づき我が国において作成しているものと。
あちこちいって申しわけございませんが、お手元に、「いのちは創れない」という、こういう薄いパンフレットをお配りしておりますが、これの20ページに作成経過が簡単にまとめられておりまして、平成7年に最初の国家戦略というのが策定されているんですが、新しい国家戦略は、この最初の国家戦略から5年以上が経過している。その間に、生物多様性の危機の進行や、社会経済情勢の変化が生じていますし、また河川法を始め、いくつもの法律に環境の保全というものが位置づけられている。
平成13年5月に、小泉総理大臣の所信表明の中で、自然と共生する社会の実現、これは重要な政策課題として位置づけられたものでございます。こういうこともございまして、この年、全面的な戦略の見直しに着手しまして、昨年3月、7年ぶりになりますが、新しい戦略として取りまとめられました。
この新国家戦略は、自然と共生する社会を政府全体として実現するということを目的としておりまして、自然環境とこれらに関する施策全般を論じるとともに、単に保護するということだけではございませんで、自然の再生、創出といった考え方や、文化的な側面など、広範な分野、領域における持続可能な利用の観点、こういったものも重視している。そして、それらをもって、自然の保全と再生のトータルプランとして策定をしたものでございます。
机の上に、これもまた環境基本計画の冊子と同じくらい厚い本として、国家戦略の本がございます。この中には、速やかに着手すべき施策、あるいは少なくとも5年の計画期間中に実施すべき施策について、可能な限り明示的に盛り込みましょうと、こういうことでつくっておりまして、多岐にわたる施策が実践的な行動計画として取りまとめられているということでございます。
その政府に対する国家戦略の全体の点検結果の報告書につきましては、お手元の資料の5-4というところに入ってございます。これは始まったばかりでございますので、全般的に顕著な進展が見られるということではございませんが、各省庁の取り組みがどのように進展しているのかというのがわかるように、統一した様式で、後ろのほうでございますが、個票を掲げたりして、できるだけわかりやすくお示ししたつもりでございます。
それから、後ろのほうに、資料5-5というものがございます。ここに、数値で見る具体的施策の展開という資料を添付しておりますが、これは生物多様性の観点から数値的な指標というものを拾い出しまして、これまでの間の推移という、この点検までの間の推移を整理していると。こういう数値を見ることによって具体的な施策の進展状況がより客観的にフォローアップできるのではないかというふうに考えているところでございます。
少し駆け足でございますが、先ほど言いましたように、新しい国家戦略は、生物多様性の現状を3つの危機として表していますが、この3つの危機に対して、それぞれに対してこの1年間どのような進展があったのかということについて、まずご説明をしたいと思います。
初めに、第1の危機でございます。これは、人間の活動や開発が種の減少あるいは絶滅、生態系の破壊、こういうものをもたらしているという危機でございますが、これは環境基本計画では、生息地の減少や分断として掲げられている区分に該当します。例えば、動植物の捕獲・採取、あるいは開発による森林の減少、埋め立てによる海岸線の破壊、こういったものによりまして、生物の個体数が減少したり、生態系の破壊あるいは分断といったようなものが生じており、結果として現在我が国に生息生育する脊椎動物、それから維管束植物、高等植物でございますが、の2割が絶滅の危機に直面していると。こういう状況にあるものでございます。
こういった第1の危機につきまして、どのように対応してきたかということでございますが、最大のこととして、昨年12月に、自然再生推進法が成立したところでございます。この法律は、過去に失われた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的をしておりまして、地域の多様な主体が参画して、自然再生を目指していく。いわば、ボトムアップ形式による自然再生の枠組みを示している法律でございます。現在、荒川の中流域、中流部に残された旧水路、蛇行した旧水路の復元を目指した取り組みが、この法律の手続を踏んで進められておるところでございますし、北海道の釧路湿原におきましても、法律に基づきます自然再生協議会の設立準備が進められているところでございまして、このようにこれから自然再生推進法に基づくいろいろな取り組みというものが増えてくるものというふうに考えております。
この自然再生につきましては、各省の予算制度という面でもこういう言葉が使われるようになってきている。私ども環境省では、平成14年度から、自然再生事業という事業を新たな予算制度をとって創設しておりますし、国土交通省の河川局、都市地域整備局、港湾局でも、自然再生のための事業、そういうものを新たに創設をしております。
このように、公共事業の中に予算制度として自然再生事業が位置づけられてきて、自然再生そのものを推進される条件が整ってきているということでございます。またさらに、間もなく策定されます社会資本整備重点計画におきましても、平成19年度までに、失われた湿地や干潟のうち、回復可能なものにつきまして約3割を再生するという具体的な数値目標が示される。こういう見通しとなっております。
このように、平成15年度は、自然再生につきまして、制度面だけではなくて、事業を実施するための予算面、あるいは計画面でも、いろいろ実質的なことがスタートしている。そうした意味におきまして、自然再生元年と、こういうふうにいえるのではないかと思っております。
続きまして、第2の危機でございます。これは雑木林やため池など、里地里山という人為的に管理され守られてきた自然に対して、人間の働きかけが減少してしまう、減ってしまうことによる危機でございます。環境基本計画では、二次的自然環境の質の変化として掲げている部分でございます。例えば、管理放棄された竹林が周囲の2次林の中に侵入していくということであるとか、農業の水管理システムが変化し、メダカなど、かつては身近に、本当に普通に見られた生き物が減少している。こういうことでございます。
この第2の危機に対しましては、土地所有者の管理に任せるだけではなくて、NPOと多様な主体の参画によって里地里山等を管理する仕組みの創設が進められつつある。こういったことが見られます。平成13年の土地緑地保全法の改正というのがございましたが、これによりまして市民団体などが土地所有者と管理協定を締結する。そして土地の管理を行う市民緑地制度というものが導入されている。平成14年度の自然公園法の改正におきましても、自然公園内の里地里山を対象にした同様の制度である風景地保護協定制度が導入されている。こういったことにより、都市計画区域内あるいは自然公園区域内におきまして、法的な枠組みのもとで、土地所有者に代わってNPO等の多様な主体が土地の管理に参画するということになってきております。
法律の運用を見ていくというのはまだまだこれからでございますが、このような多様な主体が里地里山などの管理に参画する枠組みが整備されつつあるという状況でございます。
3つ目の第3の危機でございますが、これはそれぞれの地域には存在しなかった生き物、生物や物質が、人間により外部から持ち込まれることによる危機でございます。環境基本計画では、移入種による影響として掲げられているものです。移入種による影響は、ブラックバスによる在来魚の捕食という問題に代表されるわけですが、南西諸島における、マングースによるヤンバルクイナなど希少種の捕食、あるいは在来の昆虫と移入の昆虫の遺伝的撹乱といった問題も懸念されているところでございます。
この第3の危機に関しましては、奄美大島におけるマングースの捕獲事業、駆除事業を実施するということに加え、現在移入種対策の必要な措置のあり方につきまして野生生物部会に諮問し、必要な法制度の整備を目指した検討を進めていただいているところでございます。
また、遺伝子組み換え生物の生態系への影響を防止するため、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」、長い名前ですが、カルタヘナ法と呼んでおりますが、が制定され、組み換え生物の環境中での使用に対しては、生物多様性への影響評価の的確な実施が求められるようになりました。
それから、もう1つ、ここでどうしてもご紹介したいこととして、今回の点検で明らかになった点として、関係省庁の取り組みが自然環境の調査に関する取り組みに進展が見られたということでございます。恐れ入ります、資料5-6というところに、関係省庁が全国を対象に実施している主な生物調査という横長の紙がございます。これは、環境省あるいは国土交通省の河川局や港湾局、それから林野庁、農水省の農村振興局、こういったところがいろいろ調査を実施しておりまして、一番左の欄に書いてございますが、こういうところでどういう調査をしているかということを横断的に整理をして、今回の点検で整理をしたところでございます。そうしますと、魚類では、全国で4,700地点で調査が行われるとか、鳥ですと3,900、植物については何と1万6,000か所ぐらいでモニタリング調査が実施されているということが判明いたしまして、こういうことをつかんだこと自体が今回の点検の1つの大きな意義と考えておりますが、こういう調査を累計して実施することによりまして、生物多様性の把握の進展というのは非常に大きく進むことが期待される。現段階では残念ながら横の連携があまり十分ではございません。このギャップを埋めていくということが今後の大きな課題かと考えているところでございます。
最後に、資料5-4に、先ほど申し上げたとおり、それが本体の点検の報告書でございますので、この構成を簡単にご説明しますと、この報告書の中で、一番最初のほうで3つの危機に対する進展を述べているところでございます。それから、次いで施策の基本方向として掲げている保全の強化、自然再生、持続可能な利用の観点、それからその3つの観点からどのような進展があったのかをお示ししております。そして、こういう基本的な方向に沿って推進すべき新国家戦略の7つのテーマというのがございまして、このテーマごとにどういう進展があったかというのを示している。そして、先ほどもちょっと触れましたが、国家戦略に記述した各省庁の施策につきまして、統一した個票形式で約70項目にわたりまして点検結果を掲げている。こういう構成となっています。
パブリックコメントのほうでございますが、この結果は資料5-8に示しておりますが、パブリックコメントは6名の方から20件の意見をいただいたところでございますが、内容的には個別の点検結果に対する意見というよりは、例えば移入種問題等に積極的に関与していくべきというような、今後の施策の方向につきましてのご意見をより多くいただいたところでございます。
大変時間をかけてしまいまして申しわけございませんでしたが、私からの報告は以上でございます。
○森嶌部会長 ということで、あと10分で4時ですけれども、ご意見をいただきます。ちなみに申しますと、もう1つ議題がございます。
どうぞ、横山委員。
○横山委員 地球温暖化のときも思ったんですけれども、やっぱりうまくいかなかったことが書いていないと。これは生物多様性の問題でもそうなのではないかということなので、それを何とかしていただきたいと。例えば、具体的に言うと、モニタリング1000というのを今年度から始めたわけですね。それがどの程度今進捗しているのか、どういう点がだめかというようなことを書いていただければうまくわかるし、モニタリング1000が完成するのはいつごろを見込んでいるのとか、そういうことを書いていただきたいと思います。
それからもう1つ、うまくいかなかったことというか、あまり触れたくないことを書いていないという例として、前回のときも指摘したんですが、諫早湾の干拓事業のことが、たぶん私が読んだ限り一言も出てこないと。例えば、第1の危機で、非常に人間の活動の開発によって生態系が破壊していると。それの代表例なのに、一般の人は少なくともそう思っているのに、それに対する記述が全然なくて、こんなふうにうまくいっているとか、あるいは自然の再生も、こんなスケジュールで進んでいるというんですが、いったいそういう第1の危機という中で掲げる対策を、政府全体としてどう位置づけているのか。これなかなか農水省の反発もあって書きにくいかもわかりませんけれども、それをぜひとも書いていただきたいと思います。
以上です。
○森嶌部会長 後でお答えいただきます。
星野委員、どうぞ。
○星野委員 突拍子もない質問でまことに恐縮なんですけれども、生物多様性戦略を進めると、CO2は減るんですか。CO2と、要するに地球温暖化との関係で言うと、生物多様性戦略というのはどこでジョイントするのか、教えていただけるとありがたいと思います。漫画チックだろうと言えば、鹿を大事にすると鹿が植林の芽を食べる。このこと自体が実はCO2をシンクさせないわけですから、むしろ多様性は維持されても、CO2には悪い効果が、これは漫画ですけれども、というようなことはそこいら中にあるではないか。
もう1つは、湿地だとかそういうのを大事にしていただくのは大変いいんですけれども、今問題なのはむしろ沿岸域での磯焼けだとか、全体に藻場が減っているとか、そういうことについてだんだん目が行かないで、むしろ珍しいものに目が行き過ぎているのではないかとか、そういうことに関連してくると思うので、突拍子もない質問で恐縮なんですけれども、地球温暖化と生物多様性戦略というのは非常にお互いに因果関係はプラスになっているのかどうか、教えていただければありがたいと思います。
○森嶌部会長 お答えは後にして。
それでは、中野委員。
○中野委員 すみません、私どもは何年も前から自然との共生を大きな柱として活動してきておりますが、生物の多様性の危機ということは、取り返しのつかない大きな問題だと思います。そうした面で、私たちは身近なことでイヌワシの保護、そのことを研修したりいろいろなことをしているんですけれども、大切なことは、国民の小さな情報にも常に耳を傾けていただきたいということと、もう1つ、行政のほうからその重要性の指摘とか指導が大切なことではないか。このように思います。そしてまた、皆さんのおっしゃいましたように、他の省庁との連携ということ、これは特に大切だと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○森嶌部会長 それでは、井手委員。
○井手委員 2つの点について少し考慮していただきたいと思います。意見です。
1つは、ネットワーク化について、土地利用項目を連携させるということ自身も結構でございますし、それから、里地里山の再生ということそれ自身も結構なことですが、ネットワーク化というのは、健全に管理されたそういう土地利用項目があることが前提になってネットワーク化されていないと意味がない。例えば、放棄農地というのは、それまでの生物の生息空間が失われてしまっているわけですから、単純にネットワーク化しただけでは、それは分断してしまうわけですから、そういう意味では、自然再生というのはネットワーク化の前提になっているということで考えていただくということが必要だと思います。
それからもう1つは、日本の自然環境、特に生物的な自然環境の豊かさ、多様性というのは、これは前にも言いましたが、東南アジアというこの地球上の中での非常に特殊な地域での日本の位置づけというのが大事なことになっていて、若干の海がありますが、この数十キロの海があることは分断ではありませんから、熱帯から寒帯まで連続している地域の中に日本があるということが、生物社会の空間的秩序の破綻の今までなかった理由であります。その意味で、日本が音頭をとって、施策として東南アジアのエコロジカルネットワーク化を推進するという視点を、ぜひ考えていただきたい点であるというふうに思います。この2点です。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
天野委員。
○天野委員 私はあまり専門家でもありませんので、いろいろご質問があるんですが、今日のパワーポイントの資料で3つの危機というのがありまして、1つは人間がもともとの自然の生態系に影響する。それから2つ目が、2次的な生態系相互の関係のようなもの。3番目は、異種・外来種が入ってくるということですが、私がいつも考えておりますのは、例えば農業生態系のようなものが日本では本当に減少の一途をたどっている。それの代わりに、都市の生態系がどんどん増えている。こういった違ったタイプの生態系の間の関連というのはどこで考えればいいのか、ちょっとわからないんですね。この第2の危機というのはそれに近いのかなと思うんですけれども、これは放置されて、他の1次の生態系を壊すというようなことですから、ちょっと違うかなと。都市生態系が、こういった森林等の生態系で食い込んで壊してしまうというのが一番ではなくて、むしろ2次的な自然を壊しているということではないかと思うんですが、そのあたりをどう考えたらいいのか。この第2の危機への対応ということで、そういうことがやれるのかどうか。特に、この生物多様性国家戦略のほうでは、都市に関する話も書いてあるんですけれども、どうもそれ以前の生態系の話と独立したような形で書かれてありまして、両者の関係というのがよくわからないので、都市は都市でいろんな生態系をつくらなければいけないと思うんですけれども、それ自体が他の生態系に及ぼす影響というのはどういうふうに考えればいいのか、ちょっと基本的な点をお伺いしたいと思います。
○森嶌部会長 それでは、村杉委員。
○村杉委員 ただいま、新国家戦略についてご説明を賜りましたが、この戦略そのものは大変わかりやすくまとめられていると思うんですね。ただ、この基本計画の見直しという視点で、それをどう入れ替え、書き込むかというのについては、やはり基本計画の見直しという意味では現状と課題というところをしっかり掘り下げて書いていかなくてはいけないのではないかなという気がいたしました。その意味では、まだ今日いただいた資料を十分課題のところを個別に書かれております、その辺を私自身まだ今後の課題を読み込んでいませんので、今後これをしっかり読んで、また拝見をしたいと思います。
○森嶌部会長 それでは、鈴木委員。
○鈴木委員 配られた資料の5-3の絵を見ていまして、一番最初に引っかかったのが、生態系への化学物質の影響のおそれの回避というのは、第3の危機のところにある。どうして第1の危機ではないのかなと、そう思ったわけです。そして、そう思ってもういっぺん見直してみたら、これ第1の危機も第2の危機も第3の危機も、全部これ人間活動に由来する危機なわけですね。そこで、問題点は、こういう危機の分類の仕方みたいなものは、苦労されたのもわかりますし、現実の課題としてつながっているのもわかるわけでありますが、むしろ予防的な対策をとれるものととりにくいもの、あるいは何らかの後始末というんですか、治療的な対策のとれるものと非常にとりにくいものというふうな、そういうようなあれから整理しなおすことは可能なのではないんだろうかと。どうもこれ、私にはこの危機の第1の危機、第2の危機、第3の危機というこの分類の仕方はよくわかりませんし、化学物質の影響の問題に関しても、どうもこういう扱われ方をするのがいいのかなというのがちょっと疑問です。
○森嶌部会長 それでは、崎田委員。
○崎田委員 生物多様性に関して、こういう国全体の方向性や何かをきちんとまとめて動き始めていただいたということは大変すばらしいと思うんですね。ただし、私が気になったのは、資料5-8で、この点検結果に関するパブリックコメントとして、3週間の時間をかけてくださっているんですが、意見が6名、述べ20件ということで、国民全体の意見を聞いたということにしてはちょっと数字が少ないと思うんですね。それで、もちろん、私たち市民の側の関心の持ち方というのも問われなければいけないと思うんですけれども、情報の出し方、あるいは例えば第2の危機などは市民参加の枠組みづくりとか、非常にこれからの市民、NPOがどうかかわるかということが重要だというふうにちゃんとなっているわけですので、もう少し何か情報の出し方とか取り組みをうまく盛り上げるようなやり方をとってくださっていれば、もう少し汗を流すだけではなくて、意見も言う方がもう少し多いのではないかなという気もするんです。ちょっとその辺の市民、国民全体とのこういう動きをどう広報するか、アピールするかという、ちょっとその辺に関しても視点を持っていただければありがたいなということを強く感じました。
○森嶌部会長 それでは、かなり多岐にわたっていますけれども、事務局でお答え下さい。
○黒田自然環境局自然環境計画課長 いろいろなご意見をお伺いしましたが、全部は言えないですが、生物多様性とCO2という件につきましては、CO2に関しましては、例えば地球温暖化対策推進大綱ですか、あちらのほうで森林のことが出てくることがあるというようなからみもありますが、生物多様性の関連の中でもやはり森林の保全というのが1つの項目になっておりまして、1つ1つが、おっしゃるように、鹿が芽を食べてしまうとか、家畜でございますが、牛のげっぷというようなこともあったり、いろいろな関係が出てきておりますが、私どもが国家戦略をまとめていくにあたり、やはりそれが最前線の目標ではないんだけれども、そういうものも念頭に置いて、今後そういうことに効果があるものについては、生物多様性の保全の中でもできるだけ常時続けていくというようなことを考えております。
それから、海につきましては、非常に情報が少ないということで、私どももこの先どういうふうにしていくかということで頭を非常にひねっておりますが、浅い海、人間の活動と非常に関係の近い藻場、干潟、サンゴ礁、こういったところにはだんだん力を入れてきているところでございます。
それから、井手先生からご指摘のありましたネットワーク化、これは国内のネットワーク、国際的なネットワーク、こういうものは、各省の対策の中でもネットワークに関するものはいろいろ出てきておりますので、既に各省と一緒になって、まずは国内のネットワークというものをどう進めていくべきかと。単に例えば緑のネットワークというもの、緑色の部分をつなげるだけ、そういうことでもあるまいというようなことで議論を始めてきているところでございまして、国際的な取り組みがどこまでいくかというところがございますが、取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、農業生態系と都市生態系のお話でございますが、基本的には1、2、3の危機のところでお話ししましたが、生物の生息にマイナスの影響を及ぼすような直接的な破壊であるとか採取であるとか、そういうような影響というのを第1の危機ということで整理しておりますが、都市的な利用に伴って、都市的な生態系といいますか、都市の仕組みというものが農業地域、農業生態系等に影響を与えるというようなことだとすれば、それは第1の危機に整理をしていくと。こういうふうに、割合単純に考えているところです。
あと、3つの危機の分け方が、そもそもなかなか適当でない面があるのではないかということでございますが、これは戦略の立て方そのものに関することでございますので、どういうやり方がいいのかということは、また一応5年ごとに見直すということでございますので、検討させていただきたいと思います。
あと、最後にパブリックコメントの関連でございますが、実は本当に数が少なくて、私どももちょっと残念な気がしております。いろんなNGOにもパブリックコメントにかけていますよということでいろいろお話はしたんですが、結果としてこういうことであったということでございまして、ご指摘のような情報発信の仕方についてはいろいろ工夫をしていきたいというふうに考えております。
個別でございますが、大体以上でございます。
○森嶌部会長 横山委員が前にもおっしゃった質問ですが。
○黒田自然環境局自然環境計画課長 失礼しました。別に点数稼ぎでこう書いているわけではございませんが、一応各省庁が取り組んだものについてまとめるということで、今回、特に国の施策、指針にそういうふうに書いているということでございますので、ご指摘の部分を、ご指摘のような、モニタリング1000なんかはこの中に含んでおるところでございますが、触れていない部分につきまして、それをどういうふうに点検に反映させるかということは、どういうやり方がいいか、ちょっと研究をさせていただきたいと思います。
○森嶌部会長 今の個別の話に限らず、いいことだけでなくて、取り組んだけれどもこういうまずい例といいましょうか、ということにも目を注ぐべきではないかというご意見として承っておきたいと思います。
○[1]重点点検分野別審議
社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組
○森嶌部会長 ところで、お約束の時間をもう5分過ぎて、極めて持続可能でないやり方なんですけれども、もう1つ、点検分野があります。それから地球環境温暖化の点検の問題についてもあります。それでは次の、社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取り組みについて、どうぞ。
○佐野環境経済課長 3つ目の点検すべき課題であります、社会経済の環境配慮のための仕組みの構築。別な言い方をしますと、事業者を初めといたします、社会経済の各主体の構造に環境配慮をどうやって組み込んでいくか、そのための仕組みを構築するということであろうかと思います。
環境基本計画におきましては、その道具立てにつきまして、1つが経済的手法、それから情報的手法、手続的手法と、大きく3つに分けまして道具立てを整理をいたしております。それに沿いまして、順々にどんな成果が上がったか、どういったことをやっているか、ご報告をさせていただきたいと存じます。
(1)にあります経済的手法のところでございますが、これはもう先ほど相当議論が尽きてしまったようなものでございますけれども、二酸化炭素の抑制という面においては温暖化対策。それから、廃棄物の抑制という部分については、主に地方自治体で最近できてまいっております産廃税、産業廃棄物への課税と。そういったものにつきまして、環境保全上の効果であるとか、国民経済に与える影響等々についての調査研究をいたしております。
温暖化問題の対応につきましては、先ほどご報告したとおりでございまして、大綱に位置づけられ、また政府税制調査会の先ほどの6月に出ました中期答申にこのようなものが盛り込まれており、また本審議会でご議論をいただきました専門委員会報告ができたわけでございまして、引き続き環境保全上の効果に加えて、国民経済に与える影響等々を含めまして、検討を進めて、こちらのご指導をいただきながら検討を進めてまいることとしております。
この後、情報的手法、手続的手法というのは、主にやはり事業者におかれまして、自主的に環境への取り組みを進めていただくための仕組みになるわけでございますが、その体系として、参考資料2、今資料6というところの束の説明文は数ページでございまして、後ろのほうがデータ集になっておりまして、説明が7ページまでございまして、めくっていただいて参考資料1、参考資料2と。この2の、この体系で私どもそれぞれ取り組みを進めているところでございます。大きく体制整備、それから把握・評価、公表。ここの体制整備というところが、主に手続的手法。それから、環境への取り組み状況の把握・評価、公表といったところが情報的手法というところになるようでございます。
これをまた順々に道具立てについてご報告をいたしますと、まず環境に関する情報の開示ということで、環境報告書というのがございます。直近のデータですと、現在約650社。大体上場企業、正確に言いますと環境省のアンケートにご回答いただきました上場企業の約3割ほどでおつくりをいただいているというのが今の状況でございまして、これを進めるための環境報告書のガイドライン、あるいはその後ろにある、ステークホルダー重視による環境レポーティングガイドラインというのは、これは経済産業省のほうでお出しになっておられるものでございますが、こういったものの普及を進めております。
2ページにまいりまして、この参考資料5というところに、私が先ほども最初のところで申しました、環境報告書の普及による自主的取り組みの推進が必要である。そのための信頼性、比較可能性の向上が必要であるというようなご提言をいただいておりまして、こういったものを進めるために、環境報告書の第三者レビューのあり方という検討を行いまして、報告書をまとめております。
今後の方向といたしましては、やはりそのガイドラインを引き続きその時代の要請に合わせまして、随時改訂して、定期的に改訂してまいるとともに、その普及を図る、あるいはよいものについて表彰をする。あるいは、今できているもののデータベースの提供をするというようなことがあろうかと思いますが、それに加えまして、先ほどの第三者レビューの仕組みについて、本日小委員会の設置をご了承いただきましたので、こちらのほうでもご議論いただきながら進めてまいりたいと思っております。
ちなみに、政府の目標としては、この参考資料7というところにございますが、先日できました循環型社会形成基本計画におきまして、上場企業の約50%、それから非上場で従業員500人以上の事業所の約30%という目標を掲げておりまして、これを目指してまいるということにしております。
それから一方、製品についての情報の開示という仕組みとしては、いわゆる環境ラベリングというものがあるわけでございます。まずはエコマークというものを進めているわけでございますが、これについてLCAの考え方を取り入れまして、逐次商品類型の整理を進めております。それから、各種のマークのたぐいのデータベースの提供であるとか、それから、生産者、販売者が製品の環境情報を定量的に開示をするというような仕組みも始められております。こういったものにつきましても、引き続き強化を図ってまいりたいと思っております。
それから次に、参考資料2の例の体系図を横目で見ていただくとありがたいんですが、ではその環境への取り組みの評価の道具立てとして、環境パフォーマンス評価というのがあります。要は、環境への取り組みが定量的にどれだけ成果が上がっているかということを評価する仕組みについて、これもガイドラインを逐次改定しておりまして、2002年度版を公表しております。引き続きこの普及、それから定期的にその改善というものを進めてまいりたいと思っております。
同じく、環境会計。環境への取り組みを会計面、どれだけの費用をかけてどれだけの効果が上がっているかという、費用対効果として把握するという仕組みにつきましても、これもそのガイドラインを2002年版ということで整理をいたしております。あわせて、国際的な検討の場にも積極的に参画をいたしております。
引き続き、こういったものの普及の促進と、またこういう手法というのは、どんどん進歩してまいりますので、手法の確立というか向上というものを進めてまいることとしております。同じ例えば製品分野について、端的に言うとどのくらい環境に優しいかということを評価する手法として、ライフサイクルアセスメント、LCAというのがございます。この手法につきましても、引き続き調査研究を行っております。特に、この手法、LCAは、製品から製品によります温室効果ガス、二酸化炭素の排出の抑制を図る上で非常に重要でございますので、こういったものを測定して影響評価を行って、仕組みの充実強化を図る。さらに国際的な枠組みの議論に参画するというふうに考えております。
それから、(3)の手続的手法でございまして、企業活動の面での体制といいますと、いわゆる環境管理システムでございます。これはISO14001というのが大変有名になりまして、我が国で直近のデータですと約1万2,000事業所が認証を取得されておられます。これ大体世界の4分の1弱を日本で占めているという格好でありまして、もちろん世界最高であります。これの普及を図るために、例えば日本政策投資銀行において、そのための費用を融資するという制度をとっておられる、あるいは中小企業総合事業団で講習会をされておるというようなことをやってございます。
ただ、ISO14001は取得認証を受けるのにかなり費用がかかります。どんな小さい企業でもやっぱり200万円とかいうぐらいの費用がかかってまいるようでございまして、環境省といたしましては、これまた参考資料2の体系図にありますように、体制の整備、把握・評価、公表をいわば一体として、私はいつも自習帳のようなものですといってご説明しているんですが、ご自分でその会社の活動のレビューを行って、自習帳の要求するようにやってみると、体制が書け、計画ができというようなもの。エコアクション21と呼んでおりますが、こういうものを編纂いたしまして、そちらの普及も図っているところでございます。
今後の課題として、引き続きISO14001、エコアクション21ともに普及充実を図ってまいるわけでございますが、特にエコアクション21は、従来自習帳でございますので、自分でやっただけ。それですと、あまり取引先等々から評価してもらえないという問題がありまして、これも最低限何か専門家が見てちゃんとなっていますよという保証をするという第三者認証の仕組みが必要なのではないかという提言をいただきまして、それに向けての体制整備として、現在、試行事業をやっております。
それから、製品の面での体制としてはどうかというと、製品の設計にあたって、環境への適合性を図る、組み込むというものがあるわけでございますが、現在ISOのほうで国際的な規格の設定の議論がされておりますので、これに積極的に参画をいたしておきたいと思っております。
以上が企業活動の主な面でございますが、体制整備、手続によって環境保全を図るという分野のもう1つの分野に、環境アセスメントの分野がございます。そのうちの戦略的環境アセスメントと申しますのは、個々の事業ではなくて、政策あるいは上位計画にあたるようなものに対してアセスメントを行って、その環境保全を組み込んでいくというものでございますが、これにつきまして現状では、いくつか、特に環境省の所掌のようなものを中心に、具体的な考え方や手法の例といいますか、試案のようなものが提示をされている。それから、一部の自治体において、これを行うための条例要綱等が設けられるようになってきております。具体的には、環境省において、環境省所掌の廃棄物分野を題材といたしまして、戦略的環境アセスメントの考え方あるいは海外事例等の報告書を出す、あるいは国際シンポジウムを行うというようなものを実施いたしております。
引き続き、廃棄物を題材にしまして、地方自治体が実施するための手引書の検討というようなものを進めております。今後の方向としても、なるべくガイドラインの作成というものを行いたいと思っておりまして、事業所管省庁、都道府県等とも情報交換をしつつ、事例を集める、実施事例を集めてガイドラインをつくるというふうにやってまいりたいと思っております。
それから、個別事業の環境影響評価でございますが、実施件数等々、一番最後の、この資料の束の中の参考資料16というところへつけてございますが、アセス法、平成11年6月に施行以来、手続を対象となったものが132、うち最初からこの法律に基づいて手続をやられたのが82ということになっております。課題としては、やはりアセス法で取り入れられたスクリーニングでありますとか、あるいはこのアセスメントによるいろんな主体間のコミュニケーションのためにどうやって活用していくか、あるいは技術的手法と、こういったところにいろいろ課題があるとは考えております。
環境影響評価の状況に関するホームページを開設する。あるいは施行後65件、環境大臣意見に基づくものを申し上げて、主に反映されたと考えております。
引き続きその技術手法の開発、あるいはそれをガイドという形でまとめた報告、影響、それから事例がだんだんできてまいりますので、事後調査、やった結果が実際にやってみてどうであったかというものの調査等を実施いたしております。
方向としまして、引き続き適切な法の運用に努めると。それから、アセスの結果に基づいて、実際の事業においてきちんと環境保全への配慮がされるかとか、されているかとかというフォロー。こういったものを進めていく必要があると考えております。手法的には、技術評価の手法のレビューを常に続けていく。それから、基本的な指針を定めております基本的事項というものの点検をする。それから、環境アセスメントといものを土俵というか、題材にしてのコミュニケーション、事業者と国民の間のコミュニケーションのあり方の検討。それから、過去の評価書のフォローアップ。そういったようなものを進めてまいりたいと考えております
非常に駆け足になってしましましたが、以上でございます。
○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ご意見を、浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 まず、前半の部分についてでありますが、情報的手法について。これは先程の塩田委員のご発言の言い方を借りれば、ひょっとすると我々の基本計画のほうに問題があったのかもしれないという気もしますけれども、この報告素案ではどちらかというと、ラベリングをつくるとか、あるいは報告書をつくるとかという側の、取り組み主体の側の努力はかなり進んでいるということがよくわかるわけです。ところで地球環境研究総合推進費の終了報告を拝見いたしておりましたら、その中にこういう環境報告書が出た場合のその受け手の側の反応について、非常に興味深い研究が進んでおりまして、これはやはり出し方の工夫と受け手に対する教育を徹底していかないと、中身は十分に理解していても、結局は企業はいいことしか言わないのではないかという反応しかないというのが我が国の傾向であるという答えが出ているわけです。
こういう研究を拝見しておりますと、やはり我々こういう情報を出していくとしても、出した情報がどううまく受け止められるか、適切にそれが理解されるか、そっちのほうの工夫をしていかないと、情報を出す側がむなしくなってしまうということになり、情報的手法の有効性が下がってしまうのではないかと思います。ですから、その辺のところも今後の課題としてどうも検討する必要性があるということに気づきましたので、申し上げます。
それから環境アセスメントについてでございますが、いろいろご意見が出るだろうと思いますが、先に申し上げますと、戦略アセスメントは、立法の段階にいきなり行くのではなくて、実績を積むという考え方を環境基本計画の中でもとったわけであります。それは我が国の計画決定のシステムというのは決して統一的ではない。ですから、統一的なもののシステムのないところに戦略アセスメントの制度を入れることは非常に難しいし、無理に入れてしまいますと、その制度と適合するような物決めが定められている分野でしか、この戦略アセスメントは適用できないことになってしまう。それだったらむしろ、現状に合わせて、実際の物決めのシステムの中にいかに上手に戦略アセスメントを組み入れるかという努力を重ねることが大事であるということで、環境基本計画のような考え方になったわけであります。ところでこの素案にはどちらかというと、環境省で、はっきり自ら意識して戦略アセスメントに取り組んでいるといえるものについて記載がありますけれども、他の省庁でも、戦略アセスメントを取り入れたとおっしゃらないけれども、事実上その考え方を取り入れている取り組みは結構あちこちで行われているわけです。その点について遠慮がちで、当該省庁が、うちは戦略アセスはやっていませんといわれるおそれがあるから書かなかったのかもしれませんが、結構実例あるんだということは、できたらこの中に書かれてもいいかという気がします。
それから、事業アセスメントでありますが、国の法律に基づく直営のアセスメントについてはまあうまくいっているんだろうなと一応信頼しているんですけれども、基本計画の点検ですから、国だけではなくて、環境アセスメントというシステムが、国全体の中でどう機能しているかということを見ていかないといけない。そうすると、地方自治体が条例で行っているアセスメントまで目配りをしなければいけない。そして実際に条例アセスのところまでいきますと、せっかく法制度で考えたシステム方法書の趣旨が必ずしもうまく生かされていないという実情があります。方法書のシステムは、無駄を省くために、本当にここに金をかけて調査をするべきところはどこかというのをあらかじめよく見ておいて、無駄なことはやめようという発想からつくられたものです。後になって、これもやっていない、あれもやっていないと言われないために、方法書の段階で住民の方々からも意見を聞いて、重点的にやることをはっきり決めて、そこに金をかけようではないかということを考えているんですが、相も変わらず現在のアセス図書は、どうでもいいことがやたらに書いてあって、読む人が疲れるのを待っているような感じです。アセスの図書をまじめに最初から読に始めても、途中で力尽きて、肝心のことまで目が行かないというようなものがあまりにも多くて、本当に必要なところはごくわずかなんですが、そこに目が行かないようなになっている。おかしいわけですね。そういうことが起こらないために、方法書でちゃんとポイントを絞りましょうといっているこの環境アセスメント法の趣旨が必ずしも生かされていないという認識があるんですが、どうも素案を見ると、アセスはうまくいっていますという表現ぶりなので、ちまたにはそういう意見があるということを申し上げます。
○森嶌部会長 崎田委員。
○崎田委員 今浅野先生が大変しっかりと全体をおっしゃってくださったので、私としては身近なところを言わせていただくと、やはり今日の一番最初に3つの新しい委員会などのご提案があったということは、こういう社会経済の環境配慮のための仕組み、こういうのを構築してみると、それをつないでうまく回していくような、好循環をやっていくような社会的な仕組みが必要だということがわかったからこそ、いろいろな委員会の提案が出てきたという、そういう流れもあると感じているんです。そうすると、今この点検の報告書が出たときに、多くの企業の方は、今の時点でお読みになりますので、そういう現状認識あるいはその課題のところに、こういう点検というか、こういうのを感じて今どういうふうに動こうとしているというような状況を、全体像をきちんと書き込んでいただいたほうが、私はこれが出たときによろしいのではないかなというふうに感じます。ですから、一番最初の現状認識のところに、もう少しきちんとその状況を書き込んでいただければいいのではないかというふうに感じました。
あと、個別なことに関しましては、今後の課題のところにこういう環境ラベリングとか環境報告書などを、どういうふうに社会に伝え、あるいは消費者に伝えていくか、どこが課題なのかみたいなことをもう少しきちんと整理していただければ、次に非常に具体的につながっていくのではないかと感じました。
○森嶌部会長 他によろしゅうございましょうか。
全体的な仕組みですので、大変要領よくやっていただいたんですけれども、今までやってみて、どういうことが問題なのかという、今崎田委員が言われましたけれども、やりましたやりましたではなくて、やってみたけれども、測定までしていなくてもこういうことが問題になった、そして、今後やっていくためにはこういうことを考えていかなければならないという、そういう視点から点検をしていくという必要があるように思います。これは去年も指摘され、今年、ずいぶんよくなったとは思うのですけれども、このまま行くと、やりましたやりましたということになりはしないかという気がいたします。特にこの社会経済の環境配慮のための仕組みというのは、ある意味では他の分野のように、今まできちっとした姿を見せていないいくつかのものを、浅野さんが言われたように組み合わせていく過程で出てきたわけですから、いろいろな仕組みがそれぞれどういう働きをするのか、そしてまた、実際にそれぞれの制度がどういう問題点を持っているのか、ということを総合的に分析することにすれば、今後の点検にも非常に役立つのではないかと思います。
特にお答えすることはないですね。私の今伺った限りでは、その箇所からお答えいただくこともないと思いますが、何かありますか。
○佐野環境経済課長 進行にご協力したいと思います。
○森嶌部会長 それでは、終了を予定した時間になりましたけれども、もうちょっとすみ
ませんが、いつものことながら少し延長させていただきます。
○[2]「地球温暖化対策の推進」等の点検の今後の進め方について
○森嶌部会長 先ほど申しましたけれども、前回、地球温暖化対策推進大綱の点検が他でなされているわけですけれども、それをそのまま持ってくるということは適当ではないのではないかというご意見がございました。そこで、これは地球温暖化対策の推進についてやりますが、その後いろいろなご意見をいただいております。それから、また資料7にそのいただいたご意見をまとめてございますけれども、そこで、そうした意見も踏まえ、それから前回一般的な形で提起された意見も踏まえまして、特に地球温暖化対策の推進の部分については、安原部会長代理や、あるいは地球環境部会の浅野部会長ともご相談の上で、事務局の協力を得て報告書案をとりまとめて、次回の総合部会においてご議論をさせていただきたいというふうに考えておりますけれども、これも今までご意見いただいていますから、なおご意見があればいただきたいんですが、とりまとめる段になると、少数でやらないとまたまたなかなか時間がかかってしまうということもございますので、そういうやり方でいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
どうぞ、塩田委員。
○塩田委員 ここに来てから、この資料7を読ませていただいて、大変問題点を網羅的に示していただいて、ありがたいと思います。ただ、1~2点、あるいはどこかに入っているのかもしれませんが、私の見方が悪いのかもしれませんが、意見を申し上げますと、1つは、私はこの中で、特にこの2.の(2)の定量的な分析等というところが大事だと思います。そこに書いてあることはみんな大事なことが書いてあると思いますが、この作業が今まで抜けていたのではないかという気がします。
それから、その次の3番の個別施策、この個別施策の列挙が大事なんだと思いますが、私はそのときに、少なくとも今現在は必ずしも、私はこの地球温暖化対策で温室効果ガスを6%削減することに量的に貢献するウエートが大きいものというものを、とにかく取り出して、見当をつけてみるということが要るのではないかと思います。そして量的にウエートの大きいものというものに限定して、今までどれだけの効果があったかということを、量的に把握するということが大事だということです。
それからもう1つ、この個別施策のところに関して、見逃しているのかもしれませんが、その個別施策を今までとっていたことで効果があった施策について、どれだけいったい行政コストがかかっているのかということの把握がやっぱり要るのではないか。これも計算がかなり面倒なところだと思いますけれども、少なくともこの温暖化対策の枠組みでこれから論議していこうという項目については、ここにどれだけその施策の推進にコストがかかったかということを明記すべきではないかというのが私の意見です。
その最後の点に関して、例えば今まで自動車の中で問題が大きいという、自家用車の使用に関して、今まで採用された施策の中で、自動車の単体規制の効果がものすごく大きかったわけですが、それとあわせて、単体規制の早期の実施という意味で、グリーン税制、特に自動車税の増減税中立の施策というのは効果が大きかったのではないかと思います。これはそういう意味での行政コストはかかっていないというふうに判断できるのかどうか。そういうようなこともあわせて、ここで評価していただければありがたいと思います。
以上です。
○森嶌部会長 ありがとうございます。
ただ、今3人でやりますけれども、かなり宿題が大きいのですが、確かにこれは前から塩田委員言っておられたように、あんまりくくったのは地球温暖化だけではありませんけれども、ズラズラっと並んでいても、効き目のあるものと大きいものとそうでないのは、むしろ比較的大きなウエートを占めているものに重点を置いて分析をしろと。これはできるだけそういう形でやりたいと思います。
それから、それによって具体的に量的にどういうところまで来ているのかということについては、これも大綱のところの点検のところで、出ているのもあるんですけれども、多くはどうやりましたではなくて、どうやりますということなものですから、では本当にやれているのかどうかということもある面ではわかりませんけれども、できるだけ事務局にも、他の省庁等々でデータが集められるものについては、量的に出るものについては出したいと思いますが、コストの面は、これはなかなか今の段階では、これはすべてだめだということではありませんけれども、かなり難しいかなと思いますけれども、これも事務局と相談をして、ただ、今の段階に、これからの点検のときにこういうことをちゃんと各省庁にチェックしてもらって出してもらうという、こちら側の将来の点検の方針を打ち出すということは、これは非常に有用だろうと思いますので、今の塩田委員のご指摘は、私もまことにもっともと思いますので、できるだけそれに沿いながら、できない場合には、将来はこういうふうにやるんだから、各省庁きちっとそういうことを考えておいてくれというふうなのを言っておきたいと思います。
他にございましょうか。どうぞ、桝本委員。
○桝本委員 2点お願いでございます。
まず、量的な把握の試み、これはぜひお願い申し上げたいと思います。かつて、13年度のシナリオ小委員会で、あれだけ詳細かつ技術的な検討をなさっていらっしゃいます。あのシナリオ小委員会をあそこで終わらせるのは、私はもったいないと思いますので、ぜひ、ちょっと時間はかかろうかと思いますが、あれを2年あるいは3年後にもう1度レビューするとか、あるいはシナリオ小委員会の技術メニューにもうちょっと加えるものがあるかとか、そういうことをレビューすることも1つは重要ではないか。
2点目は、先ほどさっきの先生がおっしゃったことと全く共通して、これは温暖化問題だけでなくて、この多様性、生物多様性もそうでございますが、どうも教育ということ、あるいは知識の普及、啓蒙、情報提供ということがいわれながら、果たしてどのくらい的確に行われているかということを私は非常に疑問に思っております。我が国のああいうおもしろい試みなどもあるのに、私は残念ながら的確かつ熱心に情報提供が行われているとは思いません。教育の場のわずか10年経てば、小さな子どもは大人に近くなるわけです。ぜひ、この教育の場で生物多様性の重要さ、地球環境問題の重要さ、あるいは価値観そのものを、こういう環境寄りに次第に持っていくというようなことは、試みとして今からでも始めていただきたいし、文科省もそれをやるというふうに考えると思うんですね。もうちょっと環境省も積極的にコミットして、提案をしていっていただきたい。こういうふうに昨年の地球サミットで、確か環境教育をわざわざ打ち出しているわけです。この教育についてはぜひ、単なる知識の普及、啓蒙を超えて、価値観を変える、あるいは消費者に判断する、考えてもらう材料を提供するという意味で、もう一工夫も二工夫もしていただく必要があるのではないかと思います。
○森嶌部会長 ありがとうございます。
私が申し上げたのは、次回というのは10月21日までに少し案をまとめまして、今のご指摘は非常に私も全くごもっともだと思いますが、時間的には間に合いませんけれども、そういう方向で将来的にも点検を進めると同時に、PRといいましょうか、教育といいましょうか、それはこの部会というよりか中環審全体、あるいは中環審全体だけではなくて、政府全体で進めていくような方向に持っていきたいとは思いますので。
それでは、他にご意見なければ、ちょっと時間が過ぎてしまいましたけれども、ありがとうございました。
なお、まだ後で考えてみたらこれがあったとか、さっき手を挙げようと思ったんだけれども、私がもう時間だというのでやめたとかいう方がおられましたら、ぜひ、これから1週間後の10月1日までに、遅れたらもう受け付けないということではございませんけれども、あと整理するのが大変ですので、その日までにご意見がありましたら、また今日議論したのでなくて、前回議論したことでも、なおお気づきの点がありましたら、ぜひご意見を事務局までお寄せいただければと思います。
次回は、さっき申しましたが、10月21日を考えておりますけれども、これまでのご議論を踏まえて、点検の結果、報告書の案を作成いたすつもりでございますので、それについてご議論をいただくという予定にしております。そして、11月中に点検の結果のとりまとめをしたいと思っておりますので、次回に終わるということではございませんけれども、ぜひ次回に方向性が出るようにしたいと思います。事務局も大変ですけれども、よろしくご協力いただきたいと思います。
他に何かございませんか。
〔発言者なし〕
○森嶌部会長 事務局、何かありますか。よろしいですか。
それでは、以上をもちまして、本日の総合政策部会を終わります。本日はまことにありがとうございました。
午後4時42分 閉会