環境影響評価制度小委員会(第5回) 議事録

日時

 平成31年3月27日(水)10001130

場所

 環境省22階 第1会議室

議事次第

1.開会

2.議題

  1.   太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について

3.閉会

配付資料

資料1   太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について

      (諮問書及び付議書(写))

資料2   太陽光発電事業に係る環境影響評価に関する検討状況

資料3   太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会委員名簿

議事録

午前10時00分 開会

○熊倉環境影響評価課長 定刻となりましたので、これより第5回中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会を開催いたします。

 本日は、ご多忙中にもかかわらずご参集いただき、誠にありがとうございます。

 私、事務局の環境省環境影響評価課長の熊倉でございます。しばらく進行を務めさせていただきます。

 本日は、白山委員と屋井委員が所用によりご欠席でございます。あと、大塚委員が遅れて到着とお聞きしております。ただし、委員及び臨時委員の出席者が過半数に達しており、小委員会として成立していることをここに報告させていただきます。

 続きまして、前回の委員会から約2年ぶりということになりまして、事務局の異動がございますので、ご紹介をさせていただきます。

 まず、環境大臣政務官の勝俣でございます。

 続いて、総合環境政策統括官の中井でございます。

 大臣官房総合政策課長、角倉でございます。

 環境影響評価課課長補佐の湯本でございます。

 それでは、まず、小委員会の開催に当たりまして、勝俣環境大臣政務官からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

○勝俣環境大臣政務官 皆さん、おはようございます。環境大臣政務官の勝俣でございます。環境影響評価制度小委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 浅野委員長を始め、委員の皆様方におかれましては、平素より環境行政の推進、格別のご協力を賜り、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。本当にいつもありがとうございます。

 再生可能エネルギーは脱炭素社会の実現のため非常に重要であり、政府を挙げて長期安定的な主力電源となるよう、その普及拡大に、今、力を入れているところでございます。

 他方、現在、環境影響評価法の対象になっていない大規模太陽光発電所(メガソーラー)につきましては、普及の拡大に伴い山林を大規模に伐採して、住民から反対運動が起こるなど、地域で課題となる事例が全国的に発生しているものと承知をしております。

 実は、私の地元、静岡県でも住民から反対運動が起こるなど、地域で問題となるケースも大変増えているわけでございます。このため、環境省では昨年8月に、太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会を設置させていただきまして、検討を進めてまいりましたが、先日、特に大規模な太陽光発電事業については環境影響評価法の対象とすべきとすること等の内容を盛り込んだ報告書をまとめていただいたところでございます。本報告書を踏まえ、太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について、本委員会でご審議をいただきたいと考えております。

 大変お忙しい委員の皆様方にはご負担をおかけいたしますが、国民的な関心も大変高い重要課題でございますので、皆様方には忌憚のないご意見を賜りたいと思っております。適切な環境アセスメント制度の早期の構築に向け、委員の皆様方のご指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

○熊倉環境影響評価課長 勝俣政務官は所用により途中で退席をさせていただきますことをあらかじめご了承ください。

 それでは、議事に入る前に、本日の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。

 議題が「太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について」ということで、資料1で、中央環境審議会に諮問を環境大臣からさせていただきました諮問書をおつけしています。それから、資料2が、太陽光発電事業に係る環境影響評価に関する検討状況、資料3が、先ほど政務官も申し上げました検討会の報告書でございます。環境負荷削減の観点からペーパーレス化の取組を行っておりまして、タブレットで端末の中に入っております。資料が格納されていること、ないしは不具合、操作等について、ご質問等がありましたら事務局の者にお申しつけください。

 なお、傍聴の皆様方には、ペーパーレスの観点からホームページからご覧いただくこととしておりますので、ご了承ください。よろしいでしょうか。

 では、これより先の議事進行については浅野委員長にお願いをしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○浅野委員長 それでは、おはようございます。早朝からお集まりいただきましてありがとうございます。

 ただいま政務官からのご挨拶にもありましたように、本日は、太陽光発電事業について、環境影響評価法の対象にすべきかどうかということに関してご意見を賜りたいということでございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料について事務局からの説明を受けます。

○湯本環境影響評価課課長補佐 では、資料1のところをクリックをしていただければと思います。太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について(諮問)ということで、3月7日付で環境大臣の原田より武内中央環境審議会会長に諮問をさせていただいております。

 環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について貴審議会の意見を求めるということで、諮問理由についても読ませていただきますけれども、脱炭素で持続可能な社会に向けて、地域資源を活用する「地域循環共生圏」を構築し、イノベーションにより成長を牽引していくことが求められており、再生可能エネルギーはその核となる重要な要素である。平成30年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画においても、再生可能エネルギーについては、長期安定的な主力電源として持続可能なものとなるよう、円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進していくこととされているところである。

 その一方で、大規模な太陽光発電事業の実施に伴い、土砂流出や濁水の発生、景観への影響、動植物の生息・生育環境の悪化などの問題が生じている事例がある。これらの環境影響を踏まえ、一部の地方公共団体においては、太陽光発電事業について環境影響評価条例により環境影響評価が義務づけられているが、環境影響評価法においては対象事業とされていない。

 こうした状況を受け、本諮問は、太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について、貴審議会の意見を求めるものである、ということで諮問をさせていただいております。

 右にスライドをしていただきますと、付議の資料がついてございます。同日付で中央環境審議会の武内会長から総合政策部会の武内部会長に付議をされておりまして、総合政策部会に付議をされたということでございます。

 一度クリックをしていただきまして、戻るを押していただきまして、資料2の説明に移らせていただければと思います。資料2のほうを改めてクリックしていただければと思います。

 太陽光発電事業に係る環境影響評価に関する検討状況ということで、右にスライドしていただきまして、1ページ目、はじめにでございます。中身は諮問文と重なりますので省略をさせていただきますけれども、再生可能エネルギーの主力電源化を進めていかなければならないという一方で、太陽光発電事業の実施に伴う環境影響が生じているという状況を踏まえて、環境省では検討会を設置し、検討を行ってきたというところでございます。この資料2につきましては、先ほどの挨拶にもございました検討会の報告書の概要をまとめたという内容になってございます。

 内容に入っていきます。2ページ目、導入状況でございます。2012年7月から開始したFIT制度により、太陽光発電の導入が大幅に拡大をしております。2017年12月末時点で累計約43ギガワットが導入をされているという状況でございます。

 太陽光発電は、日当たりのよい立地であればよく、資源の地域偏在性が低いということ、それから、パネルの組み合わせ次第で規模が多様であることから、さまざまな場所・スケールで設置することが可能という特性がございます。

 建物屋上ですとか工場敷地内の空き地等に加えまして、森林等の中山間地域において大規模に開発をするという事例が増加をしてございます。林地開発許可の対象となる森林の開発行為において、太陽光発電事業を目的とした件数及び面積が増加をしておりまして、大規模に森林を開発するような事案も見られるということでございます。

 下の図1、図2が林地開発許可に関するデータとなっておりまして、まず、左側の方でございますけれども、太陽光発電事業を目的とした林地開発許可の件数ですが、下のピンクのチェックのところが全て太陽光発電事業という形になっております。それから、右の図2のところでございますけれども、事業区域面積別の件数のグラフでございますが、1~10ヘクタールというところが当然件数が最も多くなっておりますけれども、100ヘクタールを超えるような案件も20件を超えるような形であるということでございます。

 スライドしていただきまして、次、3ページでございます。環境影響の状況の報道分析結果ですけれども、2016年から2018年夏までの報道の分析をいたしまして、その状況を見ますと、太陽光発電事業における環境保全等に係る問題事例数が69件ございました。

 主な問題点といたしましては、土砂災害等の自然災害の発生、景観への影響、濁水の発生や水質への影響、森林伐採等の自然環境への影響、住民への説明不足といったようなものが挙げられます。

 土地利用別の問題事例数で見ると、問題が発生した事例の大半が森林となっておりまして、敷地面積別で見ると、面積の大小にかかわらず問題が発生しているということでございます。下側のグラフで整理をしておりますけれども、土砂災害と景観のところが突出した形になっているということでございます。

 次のページに行っていただきまして、4ページ目、環境影響の状況② 地方公共団体アンケート調査結果でございます。

 太陽光発電事業における環境影響に関する苦情の発生状況につきまして、昨年9月に地方公共団体にアンケート調査を実施しておりまして、直近3年程度で苦情や要望書等が寄せられた事業数の累計が234件ございました。

 そのうち、事業の実施前の土地利用については、「林地」の案件が142事業と最も多くなっておりまして、次いで「農地」が44事業となっておりました。

 苦情や要望書等が寄せられた事業の事業実施前の地形につきましては、「大部分が斜面であり、一部が平坦な地形」が最も多くなっております。

 苦情等があった項目については、「土砂災害」が101事業と最も多くなっておりまして、次いで「景観」が67事業、「水の濁り」が52事業、「反射光」が41事業、「動物・植物・生態系への影響」が40事業といった形になっております。

 次のスライドに行っていただきまして、環境影響評価の実施状況等ということで、条例の状況をまとめております。

 条例におきましては、太陽光発電事業を対象事業に位置づけている地方公共団体が5県5市、電気工作物の新設に含めて対象としている自治体が3市、それから、土地造成事業ですとか、工業団地の造成等の面開発の一種として対象となり得る自治体が28府県10市ございます。

 面開発の一種として対象となり得る地方公共団体の規模要件については、50ヘクタール以上としている地方公共団体が最も多くなっておりまして、太陽光を特出しして対象としている事業の規模要件については、下の表1のところでまとめさせていただいております。山口県が100ヘクタール以上、山形県、長野県、静岡県、浜松市が50ヘクタール以上、大分県、仙台市、神戸市、岡山市、福岡市が20ヘクタール以上といった形となってございます。

 次のスライドに行っていただきまして、6ページ目、基本的考え方ということでございます。

 既に法で対象となっている事業と同程度以上に環境影響が著しいと考えられる大規模な太陽光発電事業については、法の対象事業とすることで国が全国的見地から制度的枠組みをつくり、国としての方向性を明らかにするとともに、技術的水準を示していくべきであるということでございます。

 法対象とならない規模の事業についても、各地方公共団体の実情に応じ、各地方公共団体の判断で環境影響評価条例の対象とすることが考えられる。

 環境影響評価条例の対象ともならないような小規模の事業であっても、環境に配慮し地域との共生を図ることが重要である場合があることから、必要に応じてガイドライン等による自主的で簡易な取組を促すべきということでまとめてございます。

 次のスライドに行っていただきまして、7ページでございます。規模要件の指標及び水準ということでございます。

 まず、規模要件の指標でございますけれども、電気事業法との整合性、発電所事業においては面積の統一的な考え方が存在しないこと、簡便な指標とする必要があることから、出力(交流)とするということとしてございます。ここにつきましては、検討会の中でもさまざま議論がございましたけれども、やはり、条例と異なりまして、法アセスについては電気事業法との整合性というところが非常に重要であるということで、こういった結論とさせていただいたところでございます。

 一種、二種の規模要件の水準でございますけれども、まず、一つ目といたしまして、環境影響評価条例においては50ヘクタール以上としている地方公共団体が最も多く、法対象の水準は、より大きな規模に設定すべきこと。二つ目といたしまして、法における他の面整備事業の規模要件の水準は、一種100ヘクタール、二種75ヘクタールとしていること。三つ目といたしまして、100ヘクタール相当の出力を一つの目安として出力を試算することは合理的と考えられ、現時点において32~37メガワット程度であるが、今後の技術革新により発電効率が向上することが見込まれることから、一種4万キロワット、二種3万キロワットを規模要件とするという結論としております。

 ③の32~37メガワット程度というところのデータに関しまして示したのが、まず図6でございますけれども、こちらが、FIT制度における太陽光発電事業の事業区域面積と、発電出力の関係をまとめたものでございます。まず、下の方が、FIT認定を受けた事業について、100ヘクタール相当の発電出力については36メガワットということでございましたけれども、そのうち、実際導入されたものについては100ヘクタール相当の発電出力が32メガワットであったということでございます。

 このデータに関しまして、次の8ページのスライドのほうを見ていただければと思うんですけれども、(参考1)といたしまして、太陽光発電事業における面積と出力の相関関係についての追加のデータを示しております。

 まず、一つ目といたしまして、太陽光発電協会(JPEA)様の会員を対象としたアンケートを実施していただいておりまして、二つ目といたしまして、条例アセスの実績についても分析をしてございます。

 まず、JPEAのアンケート結果でございますけれども、2メガワット以上の事業についてアンケートさせていただきまして、その結果をまとめたグラフが左側の図になっておりますが、100ヘクタール当たり約37メガワットという結果となっております。

 右側のほうが条例のアセス図書の実績でございますけれども、こちらにつきましても、同じく100ヘクタール当たり約37メガワットという結果となってございます。

 次のスライドに行っていただきまして、9ページでございます。こちらも参考ですけれども、FIT制度の認定状況における件数、容量、カバー率ということでございます。FITの認定の件数が1.のところ、それから、FIT認定の容量が2.になっておりまして、例えば、規模要件が3万キロワットという形にした場合には、件数ベースでは23.4パーセントがカバーされるということでございます。容量で見ますと、3万キロワット以上ということであると50.9パーセントがカバーされるということとなってございます。

 続きまして、10ページでございます。法と条例との関係ということでございます。

 法が規模要件の指標を総出力としても、地方公共団体が環境影響評価条例において太陽光発電事業を対象とする際に、規模要件の指標を面積とすることを否定するものではございません。

 むしろ、図に示すように、法の規模要件と条例の規模要件の指標が異なるということで、相互の観点から補完し合い、環境影響評価を実施すべき事案を確実に対象に含めることができると期待されるということで、図を示してございます。

 この図7につきまして、青いところが法アセスの対象ということで、二種事業の3万キロワットからということでさせていただいておりまして、条例対象については、当然、条例によって規模は異なるわけですけれども、例として、現状最も多い50ヘクタールとさせていただいておりまして、こういった形で相互に補完できることが可能なのではないかというふうに考えてございます。

 続きまして、11ページでございます。地域特性ということでございますが、まず、太陽光発電事業の特性といたしまして、さまざまな場所に設置されることから、環境保全と両立した形で適正に太陽光発電を導入するためには、環境への影響が懸念される地域ではなく、環境への影響が小さいと想定される地域に導入することが望ましく、規模要件の設定や評価項目の選定など、環境影響評価の実施に当たっても地域特性を考慮することが必要と考えております。

 次に、(2)ですけれども、法における地域特性に基づく判定の基本的考え方でございます。

 第一種事業につきましては、4万キロワット以上の大規模な事業でございますので、特に地域特性に応じて適用除外とすることはしないけれども、第二種については、以下のような考え方を基本とすることが適当ということで、黄色いセルのところでございますけれども、人為的な影響の比較的低い地域につきましては、大規模な森林の伐採や裸地化に伴い、水の濁り、斜面地で事業を実施することによる土地の安定性への影響、動植物の生息・生育環境の消失など、環境への影響が著しくなるおそれがあり、環境影響評価を行うべきと考えられるというふうに考えております。

 他方、人為的な影響の比較的高い地域につきましては、環境影響は小さいと考えられますけれども、住宅地の近隣に設置する場合等にあっては、供用時の騒音等の観点から環境影響評価を行うべきと考えられるということでございます。

 最後、建物の屋上や壁面でございますけれども、施設等の設置に比べて、さらに環境影響は小さいというふうに考えております。

 (3)条例における地域特性に基づく規模要件等ということでございまして、条例につきましては、地域の特性に応じて、地方公共団体において当然検討されるというものでございますが、環境影響が小さいと想定される地域に立地するものについては環境影響評価の対象外とする、規模要件を緩和する、または、簡素な手続とする等の条例とすることが望ましいとしております。

 次でございます。項目選定でございます。

 項目選定につきましては、面整備事業である土地区画整理事業ですとか、環境影響評価条例等を参考に整理を行っております。

 太陽光については、立地場所がさまざまであるということで、評価項目の選定に当たりましては、個々の事業の地域特性等に応じて、評価項目の絞り込みや重点化を行い、効果的・効率的なアセスを実施するということが非常に重要であるというふうに考えております。

 まず、面的な土地改変による環境影響でございますが、工事の実施に伴うもの、それから、存在・供用に伴うものと二つございまして、工事の実施につきましては、建設機械の稼働や工事用資材等の搬出入に伴う粉じん・騒音・振動、それから、工事中における建設機械の稼働、造成等の施工による一時的な影響としての水の濁り、同様に、一時的な影響としての動物・植物・生態系への影響、それから、人と自然との触れ合いの活動への影響、廃棄物等の発生に伴う影響というところが考えられます。

 それから、存在及び供用に伴う影響といたしまして、特に、林地や傾斜地で事業を実施する場合における土砂流出に伴う水の濁り、重要な地形・地質への影響、斜面崩壊など土地の安定性への影響、動物・植物・生態系への影響、景観・人と自然との触れ合いの活動の場への影響が考えられます。水の濁り、土地の安定性につきましては、特に、近年の気候変動の影響で、異常気象も背景に太陽光発電事業において問題となることが多くなっておりますので、特に林地や傾斜地で実施する場合には、項目として選定する必要があるだろうというふうに考えております。

 続きまして、太陽光発電事業特有の環境影響ということで、供用時におけるパワーコンディショナからの騒音と、太陽光パネルからの反射光による影響が考えられます。

 パネルの撤去・廃棄につきましては、固定価格買取制度による買取期間が終了した後の、放置や不法投棄が懸念されているところでございます。工作物の撤去または廃棄が行われることが予定されている場合には、必要に応じ、撤去に伴う廃棄物について評価項目として選定をするということが考えられます。

 続きまして、13ページ、調査、予測、評価の手法についての基本的考え方でございます。

 技術ガイドを参考に整理をしておりますけれども、法アセス対象、または、条例規模対象のような、かなり大規模なものにつきまして整理をしておりまして、それに満たないような小規模な太陽光発電事業については、やり方もまた大分異なってくるだろうというふうに思っているところでございます。

 これらについては、ガイドラインに基づき自主的にアセスを実施する場合の技術手法ということで、事業規模に見合った簡易な取組とする必要があり、別途検討し、ガイドラインとしてまとめていきたいというふうに思っております。

 具体の中身でございます。

 供用時の騒音につきましては、まず、住居等の保全対象の状況を把握し、必要な調査を実施した上で、騒音の伝搬理論式を用いた予測を行って、環境基準や規制基準等を参照して評価を行うことが考えられるということでございますが、パワーコンディショナは純音性成分が発生している場合があるということでございますので、その測定方法ですとか評価の仕方については今後の知見が必要であろうというふうに考えております。保全措置といたしましては、住居等の保全対象からの距離を確保するといったこと、それから、パワーコンディショナを収納する設備の防音性能を高める、遮蔽物でもって遮蔽するといった措置が可能となっております。

 水の濁りでございます。下流域にある河川等を対象に、既存の資料調査や現地調査により、水域利用の状況の把握、水質調査を行った上で沈砂池からの排水濃度等を予測し、浮遊物質量に係る排水基準等を参考に事業者の実行可能な範囲で影響が回避・低減できているかといった観点から評価を行うということが重要となっております。保全措置としては、沈砂地の設置、造成後の法面緑化等が考えられます。

 土地の安定性でございます。土地の改変に関する規制等の状況を把握し、既存の資料調査及びボーリング調査等により、対象事業実施区域の表層土壌や地質を調査した上で、土地造成を行う法面に対し斜面安定解析手法による予測を行い、宅地造成等規制法に基づく法面勾配の指針等を参考に、基準等との整合性に係る評価を行うことが考えられます。保全措置としては、斜面崩壊の発生のおそれがある地域の回避、安定性を向上させる工法や土留め工等の採用、適切な排水路の設計等の措置を適切に行うことが重要でございます。

 反射光でございます。反射光の影響を受ける可能性がある住居等の保全対象施設等の分布の状況等を調査した上で、影響をシミュレーションにより予測・評価するということが考えられます。保全措置としては、周辺への樹林の設置等の措置を適切に行うことが重要でございます。

 続きまして、14ページ、続きのところでございます。

 動物、植物及び生態系でございます。調査の対象となる希少種などの重要種ですとか、上位性・典型性・特殊性の観点から選定した注目種等について、できる限り定量的な予測・評価をするための情報が得られるように、調査地点や調査時期等を設定するということが必要でございます。予測の項目としては、動物の生息環境や植物の生育環境の直接的な改変・消失のほか、新たな環境の出現が及ぼす動物、植物への影響等が考えられます。予測の対象は個体の出現や行動、生息・生育環境でありまして、採食・休息・移動等の行動や、繁殖にどのような変化が生じるかを予測することが考えられます。保全措置といたしましては、重要な種及び注目すべき生息地の直接改変を回避する、改変量を抑制した工法・工種を採用する、工事後に緑化によって植生を回復させる等の措置が考えられます。緑化に当たっては、外来種の使用を避け、遺伝的撹乱を防ぐために、地域在来の植物を用いる等、緑化の質についても考慮をすべきである。なお、緑地の管理に当たっては、状況によっては侵略的外来種の進入を防ぎ、あるいは、防除を行うことが望ましいという整理をさせていただいたところでございます。

 続きまして、景観でございます。特に傾斜地に設置をする場合には、自然風景地や観光地、観光道路等の眺望点に大きなインパクトを与えるということでございます。また、住居の近傍に設置される場合には、日常生活の景観の変化に伴う快適性の変化などの影響が考えられるということに留意が必要でございます。手法といたしましては、主要な眺望点及び景観資源等を調査した上で、主要な眺望点からの眺めの変化について、フォトモンタージュですとかコンピュータグラフィックスで変化の画像を比較するということでございます。保全措置としては、事業の位置や規模、配置・構造の工夫により目立ちやすい地形条件の場所を避ける、植栽の実施により構造物を隠すといった措置が考えられます。

 最後、廃棄物等でございます。廃棄物等の発生量及び最終処分量が、実行可能な範囲で回避・低減されているかといったことを評価するのが基本となります。また、撤去段階の廃棄物の処理に当たりましては、太陽光パネル中の有害物質の含有状況の把握が重要であるということでございまして、その把握に努めることが望ましいと考えております。保全措置としては、工事段階、供用段階、撤去段階の各事業段階ごと、また、資材投入といった事業活動のステップごとに検討するといったことが重要でありまして、発生した副産物の再利用、廃棄物の分別・適正処理といったことが考えられます。

 続きまして、15ページ、地域との共生に向けてということでございます。

 諮問文のところとも重なりますけれども、再生可能エネルギー発電事業は、地球温暖化対策の観点からも、主力電源化に向けて引き続き積極的に推進していくべきものでございまして、地域資源を活用する「地域循環共生圏」の構築のためには、自律分散型のエネルギーシステムの構築による再生可能エネルギーの地産地消、災害に強いまちづくり、農業者の所得向上に資する営農型太陽光発電など、さまざまな課題を同時に解決し得る鍵であるというふうに考えております。

 他方、設備の安全性の問題ですとか、防災・環境上の懸念等をめぐる地域住民とのトラブルといった、さまざまな問題が顕在しているということも現状でございまして、これらの懸念を払拭し、適正な太陽光発電事業を推進していくために、国ですとか、地方公共団体でさまざまな取組が進められているというところでございます。

 まず、国の取組として三つ紹介させていただいておりますが、まず、一つ目といたしまして、FIT法改正で、事業計画を認定する新たな認定制度が創設をされております。事業計画の認定の申請を行う事業者向けに「事業計画策定ガイドライン」というのが作成されておりまして、その中で、関係法令の遵守等の遵守事項及び地域との関係構築等の推奨事項といったことが明記をされております。

 二つ目といたしまして、電気事業法及びFIT法の執行強化、それから、地方自治体の先進事例を共有する情報連絡会設置といったところが、こちら経済産業省によって進められているというところでございます。

 ③ですけれども、農山漁村における事業実施の際の森林法等の遵守の徹底、それから、農山漁村再エネ法の活用といった取組が、農林水産省によって進められているところでございます。

 地方公共団体の取組として、兵庫県と和歌山県の例を紹介させていただいております。

 兵庫県につきましては、太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例を設定しておりまして、施設基準として、景観、緑地保全、防災、設備の安全性等への適合、それから、近隣関係者への説明、事業計画の届け出といったところを義務づけるというものでございます。

 和歌山県につきましては、太陽光発電事業の実施に関する条例というのが定められておりまして、防災、設備の安全性、環境、景観、関係法令への適合というところの認定基準への適合ですとか、認定申請前の自治体との協議、自治会への説明等を義務づけるといったものでございます。

 16ページのほうに続きます。

 環境影響評価とは、事業者が環境影響の調査、予測、評価を行い、その結果を公表して住民、地方公共団体等の意見を聴き、それらを踏まえて環境保全措置を講じ、よりよい事業計画をつくり上げていくという制度でございます。

 太陽光発電事業について、環境影響評価を実施するこということによって、太陽光発電事業の地域との共生が進むことが見込まれますけれども、環境影響評価は一定の手続を定めた規定でございますので、それのみで全ての問題が解決するというものではないだろうというふうに思っております。

 他の法律ですとか条例による規制措置なども組み合わせて、国の関係省庁及び関係地方公共団体が連携をし、地域との共生に向けたさまざまな施策を総合的に進めるということで、太陽光発電事業の適正な導入促進を図るということが重要であるというふうに考えております。

 17ページ、おわりにでございます。

 風力は既にアセスの対象となっておりますけれども、それに加えて、今回、新たに太陽光を加えるということにつきましては、その導入・普及の遅れを懸念するという向きもあろうかなというふうに思っております。しかし、これらの事業がさまざまな環境影響に関する苦情ですとか問題の原因となって、それにより地元調整が難航し立地が進まないという事案も起きているのも事実でございます。特に太陽光につきましては、環境配慮や地域との情報交流の取組というのは緒についたばかりでございますので、今後、透明性の高い環境影響評価が行われれば、地域の理解と受容が一層進み、むしろ環境と調和した形での再エネの健全な立地というところが促進されるであろうと考えております。

 環境への影響の懸念から再エネへのイメージの低下が見られることとなっては、再エネ推進の観点から憂慮すべき事態であるというふうに思っております。こうしたイメージを払拭し、クリーン・エネルギーとしての国民と地域の理解を回復するためにも、太陽光発電事業を速やかに法の対象事業に追加すべきであるというふうに考えております。

 地域と共生した再エネが円滑に導入され、事業として発展するということを期待するものであるということで、報告書についてはまとめをさせていただいたところでございます。

 次のページ、18ページに検討会の委員の名簿をつけさせていただいております。座長は浅野先生に務めていただきまして、アセスの専門家の方々、それから、太陽光発電に詳しい先生にも入っていただきまして、議論を重ねてきたというところでございます。

 開催経緯が19ページにございます。第1回を昨年の8月に開催いたしまして、それから、現地視察を含めて何回か議論しております。2回風力をやっておりますけれども、第7回検討会を今年の1月に開催しまして、その後、パブコメを経て、今年の3月に報告書をまとめたというところでございます。

 最後、20ページ、今後の予定でございます。

 次回のアセス小委を4月の下旬に予定しておりまして、そこで答申案の取りまとめをいただければありがたいというふうに思っております。

 今年の夏ごろにアセス法の施行令の改正を目指して作業を進めていければありがたいというふうに思っております。

 その後、主務省令等を整備した上で施行ということでございます。

 説明は以上でございます。

○浅野委員長 よろしゅうございますか。検討会での検討内容、特に、太陽光発電をアセスに入れるかどうかということに関しての部分を中心に今日はご説明をいただきました。

 なお、検討会ではそれ以外のことについても少し議論をしておりますが、それについては次回ご報告を申し上げるということでございます。

 それで、これからご意見を賜りたいと思いますが、本当は項目に分けて議論ということもいいのですが、あまり私の趣味ではありませんで、どこからでも結構ですと申しあげたいところですが、検討会の報告書の構成は、大体こういうふうなことになっているということを再度申し上げますと、太陽光発電の施設について、これを法アセスの対象に入れることが適切かどうかが第一の点です。第二は、仮に適切であると考えた場合には、それについてどの程度の規模のものを法対象とするかということについての議論を検討会でいたしました。三番目は、その規模から法アセスの対象にするとして、ではどういう環境項目についてどのような配慮をしながら調査、予測評価をすべきかということに関する検討をしております。そして、最後は、地域との共生をどうするかということについて、多少補足的に説明をしていると、こういう構成になっておりますので、こういう点がポイントであるとご理解いただいた上でそのポイントに関してでも構いませんので、委員の皆様のご意見を賜ればと思います。

 なお、太陽光発電が固有に抱えている課題は何かということについても、三番目の整理の中で指摘しているわけですが、やはり、新しい事業種をアセスに入れるというときには、風力発電の場合もそうだったのですが、これまでの、どちらかというと、公害対策型の点が重要であった在来の事業種へのアセスとは違う要素が次々出てくるわけです。太陽光発電の場合には反射光でございまして、こういうものは、およそ公害の概念のどこにも入っていないのですけれども、これは結構大きな問題ですし、それから、検討会で現地調査もやりまして気づいたことで、ちょっとびっくりしたのは、意外と騒音の問題がありそうなのです。騒音については、伝統的には環境基準が基準で、それで、それがクリアできていれば問題ないという言い方をしてきているんですけれども、かねてから、風力発電のアセスを検討したときにもそれを強く感じたことでしたが、この考え方には疑問を持っておりまして、人の音の感じ方と環境基準の数値との間にはギャップがあるということでした。特に、この太陽光発電のパワコンが発する音について、今回、専門家のご意見を聞きますと、純音性成分が非常に多い。それがずっと続くということは結構ダメージを与える。だから、単に音圧レベルだけの議論ではないんだということを言われまして、なるほどなと思いましたので、こういった在来の環境政策の考え方を根本的に考え直さなきゃいけないということになるようなことがあるという気もするわけです。

 それからもう一つ、悩ましいのは、アセスというのは、基本的には、施設をつくるときの入口、導入の段階でどう環境を配慮をしていただくかということを考えるのが主な役割であったわけですけれども、太陽光の場合は、とりわけ供用廃止、つまり、もうこれでは売電はしませんという段階に至った場合でも、そこに施設がそのまま置かれっ放しにしてますと、電気は起こるんですね。そこで、例えば、子どもが中に入り込んで、ちょっと触れたりすると感電を起こしたりするなんということもあり得るわけですから、廃止時には確実に施設を撤去していただかなきゃいけないとか、撤去する場合でも、廃棄物・資源循環の対策の点などで、どう環境への配慮をお願いするのかというようなことが問題になるのですが、これは、従来の環境影響評価法の在り方の枠内で考えていくときには、若干違う面もあるんですけども、この際、ここまで踏み込まなくてはいけないという面がありますから、条例でもいろいろ考えておられますが、法の対象にするとすれば、それをどうするかということを議論しなくてはいけないということが出てまいります。といったように、いろいろ違う面もあるということも念頭に置きながら、法対象にするかどうかということを議論していきたいということでございますが、どなたからでもどの点でも結構でございますので、ご意見がありましたらお出しいただければと思います。このぐらいの人数の委員会ですから、できれば全員にご発言いただければと思っております。

 まず、検討会のメンバーでもいらっしゃいました田中委員に先にご発言をいただくと、後の委員が発言しやすくなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

○田中委員 ありがとうございます。

 ただ今、座長にもご紹介いただきましたように、私はこの検討メンバーに入っておりましたので、基本的には報告書の内容については賛同といいますか、支持する立場でございます。

 したがって、まず、太陽光発電を環境アセスメントの対象にするという点は賛成いたします。

 その上で、規模要件の考え方も、これは大変合理的な考え方がされていると思います。100ヘクタールという大規模な環境影響が生じるおそれのある規模要件を設定した上で、それを出力という、発電事業共通の規模要件の指標に落とし込んで、それを4万キロワット、そして、二種事業では3万キロワットという、ちょうどバランスのよい規模要件の設定がされたのではないかなと思います。

 それから、評価項目の選定ですが、そして特に、太陽光発電に特有の反射光であるとか騒音、また、廃棄に当たっての方向についても丁寧に考え方を整理していただきましたので、私としては、この内容でよろしいのではないかということでございます。

 以上でございます。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。

 では、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。

 今、委員長と田中先生のお話を伺って、私もこれまで、太陽光発電に関するさまざまなトラブルなどの話を耳にしておりましたので、やはり、今回の検討の内容を非常に支持していきたいというふうに思っております。

 それに関して幾つか質問をさせていただきたいのですけれども、まず、規模要件に関して、6ページのところに、法アセス、条例アセス、ガイドラインに基づく自主アセスというふうに、こういうふうに三つに分けていただいて、大変わかりやすい形になっているんですが、例えば、今回、法アセスを導入するとすると、次の条例アセスというのは、全部の自治体が条例をつくっているわけではないですので、今後、そういう内容に応じて自治体がどう判断するかを見守っていくという、そういう状態と考えていいのか、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。

 私自身は、その下に書いてあるガイドラインに基づく自主アセスというところ、本当に近隣トラブルみたいなものまで結構あると思いますので、ここも含め、この全体像が大事なのではないかというふうに思って、拝見しておりました。

 二つ目の質問に関しては、対象の項目として、先ほど、反射光とか騒音の話が出ました。今回、騒音に対して指摘がありますが、今まで、太陽光発電に対しては、そんな話はあまり出てこなかったんですが、パワーコンディショナから、やはりかなり音が出ているということが、今回明確に位置づけられているのは、非常に大事なことかと思います。

 行政機関の公害審査会などにも委員として参加をしているんですが、騒音トラブルが非常に多いんですね、全国的に。そういう意味では、ここは大変大事なところではないかと思います。

 教えていただきたいのは、13ページに、その騒音のことを純音性成分というふうに書いてあるんですね。この言葉をもう少し説明していただければありがたいなというふうに思います。

 なお、4番目の地域との共生のところなんですけれども、ここは大変大事だと思いますが、地方公共団体でいろいろ地域との共生の条例を入れているという事例が15ページに出てきていますけれども、兵庫県と和歌山県の例がありますが、これは、環境アセスの条例ではなくて、それとは別につくっている条例という理解でよろしいのか、この辺の性格をもう少し教えていただきたいと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 それでは、今崎田委員からご質問があった点について、事務局からお答えいただけますか。

○熊倉環境影響評価課長 ご質問ありがとうございます。3点ご質問をいただきました。

 まず、規模要件で、条例アセスの役割が非常に大きいということで、ご指摘のとおりと思います。自治体によって、太陽光発電の問題が多い地域と少ない地域と、結構差がございますので、基本的には各自治体さんの状況に応じてご判断をいただくというのが基本だと思っております。

 ただ、我々としては、問題があれば、アセスの有用性というのはしっかりご説明を自治体さんにしまして、条例化も含めた検討をお願いしているところでございます。

 直近でも、今後、条例化を検討するという前向きなお答えをいただいている自治体も多うございますので、つい最近も、山口県が新たに加わったということもございます。その辺の動きは我々としても後押しをしていきたいと思っております。

 それから、やはり、小さな規模の太陽光が問題が多いというのはご指摘のとおりで、条例の規模要件未満の、さらに小さなものについての取組、これを進めていくのは大事だと思っております。なかなか義務化というのは小さいものなので難しいと思いますが、自主的取組を促すという観点でガイドラインをつくって、その際にはできるだけ簡易でやりやすいもの、そういった視点で、来年度は検討していきたいと思ってございます。

 それから、騒音の話でございますが、これは、委員長からもご指摘がありましたように、必ずしも環境基準を満たしていればいいということでもなくて、純音性成分といった、非常に煩わしい耳につく音というものがございます。純音性成分というのは、全体的な大きさの総合的なものというのではなくて、ある特定の周波数が卓越していると。それによって、煩わしさというか、非常に気になってしまうというような、結構感覚的な問題を生じさせるものだと聞いてございます。こういったものが、実態は具体的にどうであって、それをどう防ぐかというところは、もう少し知見を積み重ねたいと思っておりまして、今でもパワーコンディショナの収納設備の防音性を高めた相当防音効果の高い機器も出ておりますので、そういったものもよく収集しながらしっかり対応したいと思っております。

 それから、最後に、15ページの兵庫県、和歌山県の例ですけれども、これはアセス条例ではありません。アセスというのは、ご案内のとおり手続法で、しっかり予測評価をして、地域住民等とコミュニケーションをとるというところを担保してございますけれども、それだけではなかなか不十分である場合には、別の条例体系で対応する必要もあるかなと思っておりまして、その一つの先進事例として兵庫県、和歌山県をご紹介させていただきました。

○浅野委員長 どうぞ、ほかの委員のご発言をいただきます。

 鷲谷委員、どうぞ。

○鷲谷委員 環境影響評価では、リスクを評価することになるわけですけれども、リスクは、影響を与える外力、影響を受ける側の脆弱性の相乗的な効果としてリスクを考えないといけないと思うんですね。私はこれまであまり太陽光発電のことは考えていなかったんですが、今日、先ほどご説明を受けて思いましたのは、今、設置場所が山林で、日本列島急峻な地形ですから、そういう地形のところにも大規模なものがあるとすると、これから考えないといけないリスクというのは、最近頻発するようになった、極端な気象事象による斜面崩壊を伴う風水害などではないかと思うんですね。そうすると、もちろん、規模、外力の大きさというのが重要ですから、規模を、面積と出力はとてもいい相関関係があるということですので、出力で構わないと思うんですが、大きさで基準を設けることはもちろんですけれども、若干脆弱性、非常に急斜面地であるとか、あと、もう既に知られている土砂崩れ地帯なのか、そこがですね。そういうことが若干加味できるようにしたほうが、今後に社会に大きな影響を及ぼすと考える甚大なリスクを回避するという上ではいいのではないかというふうに感じました。

 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 それでは、名札が立った順番ということでお願いいたします。吉田委員が先でした。どうぞ。

○吉田委員 賛否、規模、項目、その他という順番でお話をしたいと思います。一つ目の、賛否については、太陽光発電は、温室効果ガス削減のためにも非常に重要ではありますが、一方で、さまざまな問題があるため、環境影響評価法の対象にするということについては賛成です。

 規模については、ご検討いただいた内容で妥当だと思いますが、11ページに書いてある第二種事業における地域特性の考慮について、これまで第二種事業は規模要件だけで判断してきましたが、地域特性の配慮は特に重要だと思います。その地域で希少な動植物が生息・生育している場所だとか、斜面の形状によっては土砂流出の影響があるとか、そういった配慮をした上で、第二種事業の対象にするかということを判断することが重要であると思います。

 3番目の項目については、生態系・生物多様性と、人と自然とのふれあいの2点について申し上げます。動植物については14ページのところに書いてありますが、太陽光発電の立地は、里地里山につくられることが多いと思いますが、里地里山に絶滅のおそれのある動植物がかなり分布しているということが近年の研究で明らかになっており、環境省のレッドリストでも明らかです。現在、種の保存法に関連して野生生物課が担当して、里地里山の動植物を国内希少野生動植物種に指定すると、子どもたちがとってしまうことまで規制され罰則の対象になってしまうので指定しにくかったんですが、商業的に採る行為のみが罰則の対象になる特定第二種国内希少野生動植物種という制度をつくり、平成31年度から具体的な検討に入るということでございます。

 そう考えますと、草原性の蝶類だとか、あるいは里地里山などに生息する両生類だとか、そういったものの生息地が、太陽光発電計画にぶつかってしまう可能性があります。そういった生息地をあらかじめ回避するということが重要で、最初から代償でいいだろうということではなく、回避、最小化、代償というミティゲーション・ヒエラルキーの原則を守っていただきたいと思います。それから、環境保全措置の方法に関して、太陽光発電にあたって、例えば、両生類に必要な水がなくならないようにするなどの環境保全措置がきちんと行われなければ、行うべきではない。太陽光発電計画は、里地里山で行われることが多い事業ですので、より徹底していただきたいと思います。

 次に、人と自然との豊かなふれあいの、特に景観の部分ですけれども、現在は、反射光の問題は、生活環境の項目に入っているようですが、実は、景観の項目でも反射光は大きな問題ではないかと思います。というのは、一昨年、外国人の世界遺産の専門家を連れて吉野山に行った時、手前にある土砂採取地や、都市化についてコメントがあるんじゃないかなと思ったら、もっと遠く離れた、葛城山・金剛山の辺りの太陽光発電の反射光が気になると言われたんですね。遠く離れているんですが、世界遺産や国立公園の景観を害する場合があるということ、テーマは神聖な景観ということでしたが、その神聖な景観を阻害するということを外国人の専門家から指摘されました。

 そう考えますと、反射光が、世界遺産や国立公園などの重要な景観を阻害する可能性があるということを、景観の項目でもぜひ検討すべきではないかなと思います。

 最後に、その他です。本小委員会の検討範囲を超えてしまうかもしれませんが、太陽光発電を含む再生可能エネルギー全般について、戦略的なアセス、しかも、計画段階というより政策段階のアセスが必要なのではないかと思います。太陽光発電は、FITのみで推進し広がった結果、ご存じのとおり、九州地区などでは、消費より発電が上回るときは、まず太陽光発電から切ってくださいという状況です。これでは、FITが終わってしまったら一体どうなるのか。太陽光発電施設が、そこら中に放置されてしまうという問題も懸念されます。

 実は、FITをメガソーラーに適用するにあたって、住宅の屋根はまだまだポテンシャルがあるのにFIT適用を減らしてしまったんですよね。2009年辺りから導入された住宅の屋根の太陽光パネルは今年でFITが終わりなので、一般の住宅では蓄電池を入れて、発電した電気を自家消費するというようになってきています。しかし、FITをあてにして建設された太陽光発電施設の場合は、FITがなくなったらその後一体どうしようというのか。そういうことも含めて、太陽光発電が継続的に行えるような政策になっているかどうか、政策段階のアセスをする必要があると思います。この小委員会の検討の範囲外かもしれませんけれど、私自身も自宅の屋根に太陽光パネルをつけて、有効であるかどうかを自分で考えながらやっております。ぜひ国全体としてもそれを考えていただきたいと思って発言させていただきました。ありがとうございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 最後の点は別の他の審議会の関心事でもあって、特に、FITが終わった後、再生可能エネルギーの供給がパタッと途絶えてしまうというようなことは起こるのではないかと。これは電力業界の方も既にわかっておられて、心配しておられるんですね。ですから、何とか考えなきゃいけない。

 アセスの面で言うと、リプレイスについての要件を緩和するという言い方はよくないんだけれど、必ずしも必要でないところまでアセスを要求しないで、再生可能エネルギーのリプレイスに関しては、少し誘導的な手法を取り込むということは、多分できるだろうと思うし、考えなきゃいけないかなと思ったりもしております。それから、FITの問題も、多分カーボンプライスと結びつけて立体的に考えろということを、別の委員会では発言が出ていますから、これも環境省としても考えていただかなきゃいけないかなと思ったりしています。

 世界遺産との関係では、既に山梨県も、適地のマップをつくるときに、世界遺産を意識したマップをつくっておられるので、確かに反射光の問題は近隣妨害的な要素だけではないというご指摘はそのとおりでしょうから、これは少し、答申を書くときにも考えなきゃいけないかもしれません。ありがとうございます。

 それでは、古尾谷委員、どうぞお願いいたします。

○古尾谷委員 まず、太陽光発電事業法をアセスの中に入れるということにつきましては賛成でございます。特に、自然エネルギーの活用を阻害するということではなくて、促進する意味でも適正な立地を促進するという視点から検討がなされていることについては、検討会のご努力に感謝いたします。

 条例アセスのお話が何度も出ておりますけれども、その面でも法アセスの適用範囲を、条例アセスを踏まえた大きさにしていただいた。川崎市とかさいたま市辺りでは面積と出力で違いがあります。ですけれども、それぞれの自治体の判断があると思いますので、川崎が出力でやるのは、面積が小さくても出力が高いものもありますので、そうした点を踏まえた措置だと思っております。

 それから、従前から、私どもはアセス条例を持っているところも持っていないところも、県の中に土地利用調整条例というのがありまして、これは、例えば、墓地の造成とか特養の新設とかといった小さなものから、こうした宅地造成等規制法に規定される宅地の造成、切り土や盛り土を伴う事業は全て含まれておりますので、アセスの事業というか、太陽光も含まれております。そうした面では、それぞれの判断、その場合は小さな要件、4ヘクタール以上ぐらいで要件を決めてますので、具体的には法的手続、アセス手続のようなことはやらないで、申請書類に基づいて、森林法や、あるいは農地法、それから景観条例や、その地域が土砂渓流の災害危険地域ではないかとか、そうした点を踏まえた判断をさせていただいています。

 これは、どこの県も、土地利用調整条例の委員は、全庁的な委員を各部局から配置させていただいて検討を行っていると。一つのところから問題であるということが出れば、事業者に再度確認をさせる。それから、結果的には、例えば、横浜市など大規模市街地における市街化調整区域がほとんどでございますけれども、立地する場合は、緑地面積を増やして近隣の住宅との間に緩衝地帯を設けることを義務づけるような形で、かなり行っております。地方自治の中で、条例制定権に基づいて景観条例やその他の条例、例えば、兵庫県のこの条例も、アセスとは別にこういう条例として成り立っていっているのは、その中で太陽光の問題が議会等で大きくお話が出たということが起因していると思います。

 そういった面で、そうしたことを含めて、ある一定程度のところは自治体も既にやっていることでございますので、そこの判断に任せていただきたい。企業も非常に協力的に対応していただいていますので、私どもはやはり、自然エネルギーは推進していかなければならないというのが基本姿勢でございますので、よろしくお願いします。

 それから、11ページの下段のところに、条例における地域特性に基づく規模要件等という欄がありますけれども、環境影響が小さいかどうかも、これは地域の自治体の判断があると思います。その上で影響評価の対象外とする、あるいは、規模要件を緩和すると、簡素な手続とすることが望ましいというのは、検討会のご意見としてはわかりますけれども、それは自治体の判断でございますので、法の中に入ってくるとは思いませんけれども、そこは、アセス条例は自治体からできた条例であるということを踏まえまして、地域のそれぞれの状況に応じた判断がしていただければよろしいのかと思っております。

 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。重要なご指摘いただきました。

 それでは、石田委員、どうぞ。

○石田委員 まず、環境アセスの中に取り組むかどうかということにつきましては賛成でございます。この報告書の方向に賛同したいと思います。非常に丁寧な検討をされたことに敬意を表します。

 それから、規模要件も全く賛同なんですけれども、1点だけ。ある程度小さな規模のものでも、よく農村部で1件の農家が始められますと、その周辺に波及的に類似の設備が設置されるということがございますので、流域というほどの大きなことまでは申しませんが、一定のエリアの中で集積がどういった規模になるかという視点も必要かなというふうに思いました。

 そこまでは概ね報告書のことで全く賛同いたしておるんですが、地域との関係について、兵庫と和歌山の事例で拝見していますと、そうした方向性があると安心もしたところなんですが、これまで、自然環境を破壊するという何らかの事業が自然とのバーサスの関係でのみ捉えていたと思うんですが、最近の環境影響評価には、社会の要請とか社会的な環境の変動が自然環境の変動に影響を与えるというような、そういう関わりがだんだん強くなってきているように思います。

 そういったことを考えますと、法と条例、いろんな形でトップダウンで規制するという観点だけではなくて、地域と協働でコントロールをしていくというような、環境影響評価の一つの住民参加的な視点を評価するターニングポイントなのかなという感じがしております。いずれ施設が使えなくなったときの、先ほど委員長がちょっと言及されましたけれども、良好な管理を含めて、従来のような規制だけではない視点を取り入れる、絶好のチャンスのような気がしております。

 私ごとで恐縮ですけども、ここ10年ぐらい、農村計画の研究者の立場から、農業と福祉の連携に、地域でいろいろ取り組ませていただいています。そういうことを考えますと、例えば、よく言葉が先行しているような共生社会というようなことでも、交通バリアフリーできっかけができた移動に対するエネルギーの消費というような点と、社会の共生社会に対する人々の認識の高まりというようなことをどういうふうにバランスさせていくのかというような点での、当初の環境影響評価という点からは必ずしもそぐわない面も多々あるわけですけれども、そういった関わりが今後重要になってくるのかなと考えております。

 地域との関わりというのも、従来の何らかの説明を受けて守るということではなくて、一緒にコントロールに参加していくという点で、重要なターニングポイントであることを強調したいと存じます。

 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 では、勢一委員、どうぞ。

○勢一委員 ありがとうございます。西南学院大学の勢一です。

 私も、導入の是非につきましては、やはり、これは入れざるを得ない状況に既になっているというか、むしろ遅いぐらいではないかと感じているところです。地域とのバランスという点でも、適正な形で再エネを促進するためには、アセスの制度に入れるのが妥当だと考えております。

 規模要件につきましても、出力でというのは、法の体系としてはマッチした採用だと思っています。ただ、この根拠が100ヘクタールからの落とし込みということですので、この点も、これまでの条例の取組との整合性は否定されるものではないのではないかと考えております。

 ただ、一つ質問ですけれども、資料の7ページのところで、一種、二種の規模要件のところで、今後の技術革新により発電効率が向上することが見込まれるという記述がありまして、ここの部分はどういう形で今回考慮していただいているのかというのを、ちょっと門外漢なもので、少し追加で教えていただけるとありがたいと思っております。

 あわせて、この規模要件につきましては、条例との関係では、10ページのところで、むしろ、条例が面積で対応するということについては、法と条例とのコンビネーションとして望ましいようなご説明をいただきました。地域の現状という意味では、面積というのはわかりやすいし、地域特性を反映しやすい指標だと思っていますので、これをきっかけに条例アセスのほうの整備も進むのではないかという期待はございます。

 ただ、この今回の報告書の中ではこういう形で示されていますけれども、実際、法の条文の中には、恐らく条例で面積でという趣旨はわからないと思いますので、この辺りをどうやって周知というか、発信をするかということは少し工夫が要るのかなと感じています。特に事業者や市民の方からすると、なぜ法律が定めているのとは違う形で条例が規制できるのかというところです。ここは何か工夫をお願いしたいと考えております。

 評価項目のところ、私も廃棄物の部分は非常に気になっています。ただ、放置されたときのリスクであるとか有害物質の含有などは、最初につくるときに考慮する必要があるとは思いますので、やはり評価項目としては入れていきたい部分ではないかと考えております。

 最後、地域との共生の部分ですけれども、それは、先ほど既にほかの委員からのご指摘もありましたが、アセスで何とかできるという部分はかなり限られておりまして、恐らく、地域で立地規制の仕組みで対応することが必要になってくるところだろうと思います。

 特に、災害、防災という面におきましては、今回の報告書の中にもありましたけれども、面積の大小にかかわらず、場所によっては影響が大きいということがございますので、そこは、アセスでカバーするというよりは、アセスの制度と組み合わせる形で、立地のコントロールと地域空間のコントロールをできるような何か、本来であれば法体系との整合性をどこかつけるようなことができればいいと思います。けれども、これもここのミッションを超えますので、少しそういうことも想定する必要があるのかなというところで終わらせていただきたいと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問があった点、あとのほうのご指摘は発信するときに注意せよということですから、それは十分にわかっております。特に強調しておかなくてはいけない点は、アセス法は電事法のほうで特例を設けられているということがあるので、そこがどうしてもひっかかってくるんですね。ですから、電事法の要件とアセスの要件をずらしてしまうと少なからず混乱が起こるということがあってやっていますが、条例は電事法とは関係がない、要するに、許認可とはつながらないアセスということですから、そこがわかっていただければいいだろうなと思ったりしているところです。

 最初のご質問については、何か事務局からお答えがありますか。

○熊倉環境影響評価課長 技術革新により発電効率を考慮するという点ですけれども、業界団体のほうに最近の状況をお聞きしたんですけれども、やはり、年を追うごとに発電効率はいい製品が出て、向上しております。

 それで、規模要件を検討するに当たって、大体37メガワットとか36メガワットとかが出てまいりまして、切りのいい数字で上振れをさせるか下振れをさせるかというところを悩むのですけれども、今後効率が上がるということを加味して、上の方の40メガワット、4万キロワットにしたという、そういう検討経緯でございました。

○浅野委員長 率直に手のうちを示していけば、ということですね。

 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 どうも遅れてきて申し訳ございません。

 最初の、まず、アセスの対象にすべきかということについては、各地でいろんな紛争が起きておりますので、非常に重要なことだと、やるべきことだと思っています。

 規模要件に関しましても、条例の対応を基礎としながら、法律で太陽光の発電に関しても対象にするんだということを打ち出すという点で、適切であるというふうに考えています。

 先ほど浅野先生のおっしゃった点に関連しますけれども、確認しておきたいことが二つほどございますが、一つは、やはり、撤去のことを考えることが非常に重要だということでございます。これについては、そもそもアセス法のアセスの対象かということについて、全く問題がないわけではないと思いますが、基本的事項にも定まっていますのでいいということで、今後同じような問題が幾つか出てくるというふうに考えていますけれども、そういう意味では、廃棄段階についてもアセスの対象にするということを打ち出すことになるんだろうな、そういう例を新しく追加することになるんだろうなというふうに認識しています。

 太陽光パネルについては、リサイクルガイドラインとも一定の関連性を持っているようですが、その辺についてもご説明いただけるとありがたいというのが一つございます。

 もう一つは、リプレイスのときの合理化の問題は、主に風力のほうで報告書のほうでもお書きになっていますが、メガソーラーとかについても多分問題なのかと思われますが、ここは特に風力だけをお考えだというふうに考えてよろしいでしょうかということを、お伺いしておきたいと思います。

 あと、地域との共生に関しても、地域循環共生圏との関係で、再生可能エネルギーは非常に重要でございますので、報告書の書きぶりに関しては大変望ましいというふうに思っております。

 以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問のあった点について、事務局から、お答えいただけますか。リサイクルガイドライン、太陽光パネルのが出ていますが、それとの関係はどうなるかということです。

○熊倉環境影響評価課長 ありがとうございます。

 まず、撤去の問題ですが、各自治体さんとお話をしていても、供用後の放置を心配されているところが非常に多うございまして、大きな課題だと思っております。

 ただ、一方で、アセスは事業をしようとする際に行うものなので、どこまで評価していただくかというのが論点になるわけでございますけれども、今回の整理としては、もう事業の実施前の段階で、供用後、工作物の撤去、廃棄が行われることが予定されている場合については、撤去に伴う廃棄物の予測評価というものもやっていただくという考えでございます。

 具体的な中身としては、環境省の環境再生・資源循環局のほうで、適切な廃棄の基準であるとか、今後リサイクルをどう進めていくか、その辺のガイドラインもお示ししていくことになっておりますので、そういったものに沿ってやっていくという表明を、事業者の方にやっていただくというのがまずあるのかなと思っております。

 なお、経済産業省のほうで、FITの関係で、撤去の費用の積み立ての制度についても検討されておりますので、そういった点でも問題が起きないような担保になり得るかなと考えてございます。

 それから、リプレイスについては、現在は、風力で非常に論点になっておりまして、過去、環境省でも考え方の報告書を出しておりますし、今後もガイドラインという形でつくれないかというのは、来年度検討しようと思っております。しかし、太陽光については、まだ事例も承知していないところもあるので、そこはまず、業界の方としっかり対話をして、ニーズをつかんでいきたいと思ってございます。

○浅野委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、村山委員、どうぞ。

○村山委員 ありがとうございます。

 基本的には導入に賛成です。

 アセス課ではありませんが、環境経済課のほうで環境リスク調査融資促進利子補給事業というのが今年度まで行われていまして、そこにも私は少し関わっているんですが、環境配慮型の事業に対して利子補給をするというもので、対象はほぼ太陽光発電事業です。今回提案されているほどの大きなものではありませんが、簡単なアセスメント的な配慮をしていますので、そういったことも今後参考になるかなと思います。

 今回提案されている規模については、どこかで切るということになりますので、こういう形があると思うんですが、9ページを拝見すると、一種と二種の間の割合が大体10パーセントぐらいかなというふうに思います。ほかの事業を詳しく調べたわけではないですが、比較的この割合が大きいのかなという気がしました。そういう意味では、この二種に当たるもので、どの程度のものがアセスの対象になり得るか、例えば、11ページに挙げておられるような、この地域特性の区分の中で、黄色になっているような場所が、これまでどの程度あったのかということがもしわかれば教えていただきたいということです。

 それから、この黄色の部分と下の部分の区分けも、なかなか微妙かなという気がしまして、例えば、新規に森林伐採、裸地化ということになれば、これは本当に黄色になるわけですけれども、これまで何か事業がなされていて、その後、放棄されていると。そういったところで、こういった事業が行われる場合は下になるのかどうかということです。例えば、ゴルフ場を変えてソーラーをつくるといった場合はどうなのかなという、たしかそういう事例もあったように思うんですが、何かその辺りの区分けも今後考えていく必要があるのかなと思います。1割ほどの事業がこれまであったとすると、割とこの辺りの検討というのは、施行された後も結構議論になるのかなという気がします。

 それから、撤去・廃棄のところは、委員長、それから、大塚委員がおっしゃったように、やはり重要なところで、今後、ほかの事業にも波及する可能性があるような気がしますが、一方で、事業実施前でわかっていることと、それから、何十年かわかりませんが、その後たってから新たにわかってくることが多分あると思いますので、事業前の評価とともに、実際、その撤去・廃棄する段階でも改めて何か評価をする必要が出てくるのではないかなというような気もするんですね。ソーラーではあまりないかもしれませんが、ほかの事業でどうもそういう話が出てきそうなので、今回はいい機会だと思いますので、その辺りも含めて検討されていく必要があるだろうなというふうには思います。

 あと、評価項目については、先ほど申し上げた事業に関連すると、水の濁りに関わるかもしれませんが、パネルの洗浄剤が問題になることがあって、最近はもう洗浄しなくても済むようなものが出てきているようですが、そういった点が入ってくるように思います。

 それから、アセス法の事業ということになると少し状況が変わるかもしれませんが、先ほど申し上げた事業で関わった話の中では、パワーコンディショナの位置が決まっていればいいんですけれども、決まらない段階で提案が出てくると。そうすると、設置場所によってかなり騒音の大きさも変わってきてしまうので、そういったことがあり得るかどうかということです。その点も少し考えておく必要あるのかなと。特に、今回のようにかなり大きな規模になると、どこに置くのかということで大分影響が変わってくるように思いますので、その点もご検討いただく必要があるのかなと思います。

 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 何か事務局からお答えはありますか。データとしてそこまで丁寧に調べたかな。洗浄剤はご注意だからいいとして。

○熊倉環境影響評価課長 お答えできる部分をお答えしたいと思います。

 まず、規模要件の二種の範囲の中で、どれがその黄色の部分というか、アセスの対象になり得るかというのは、ちょっとすみません、まだそこまで精査はできておりません。FIT認定をとった案件のおおよそはわかるんですけれども、具体的にそこは林地なのか裸地なのか何なのかというのは、ちょっと精査をしてみないといけないところがございまして、申し訳ございません、ちょっと手元にデータがない状況でございます。

 あと、ゴルフ場のような既に開発済みのところという点でございますけれども、11ページに整理させていただいたように、基本的に既存施設の敷地内であれば、比較的環境影響は小さいと考えられますので、ゴルフ場もこれに該当する可能性がありますけれども、ただ一方で、もう大分何年もたっているとか、非常に傾斜地であって土砂流出の可能性があるとか、そういった場合はケース・バイ・ケースでやはりしっかり評価しないといけない、調査しないといけないという場合もあるのではないかと考えております。この辺は省令で判断基準を設けてまいりますので、ご指摘を踏まえて、より精査をしていきたいと思います。

 それから、パワコンの位置ですけれども、これまで、風力なんかで見ていますと、配慮書段階ではなかなか決まっていない場合が多いですけれども、さすがに、方法書段階になりますと、調査予測の関係で位置をはっきりさせないと評価できませんので、太陽光についてもそういったことで、しっかり予測評価できるような位置の選定というのはやっていくことになるんではないかと考えてございます。

 以上でございます。

○浅野委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、鷲谷委員、どうぞ。

○鷲谷委員 生物多様性に関することは何も触れなかったので、一言ちょっと気になっていること、こういうことにも影響評価をするときには注目してほしいというようなことなんですけれども、空間を占有することとか環境を改変するということは、ほかの事業と共通性が高いと思うんですけれども、太陽光発電の独自の影響として、人への影響ということでは認識されている、太陽の反射光の問題があります。空から水辺を探す生き物は、反射光をシグナルにして水辺を見つけるんですね。例えば赤トンボですけれども、繁殖期になると山からおりてきて、水田とか特に農村地域の水辺などにおりて産卵するんですが、それは反射光を見て水辺に降りて産卵するものですから、ソーラーパネルのあるところを見ると、結構トンボがみられます。それで、そうやって誘引しながら、でも繁殖はできない。その場所でできないということが、今、赤トンボの例だけを出しましたけれども、ほかの水生生物、あまりこういうことは誰も研究していないんですね。ソーラーパネルの影響自体が生態学で研究している方はまだいらっしゃらないんじゃないかと思いますので、観察からしてそうなんじゃないかというふうに感じています。そうすると、ミティゲーションの在り方というのも、私も、それから、考察できるんですけれども、誘引されておりてきて、全く砂漠のように水辺がないという状態ではなくて、どこかにちょっと水辺ビオトープがあるとかいうことだったら、規模の問題はありますけれども、ある程度だったらそこで繁殖活動ができるという在り方をつくることもできるのではないかと思うんですが、まずは調査なども必要な問題なので。反射光が人だけではなくて生物にもたらす影響というものも考慮する必要があるんじゃないかなと、個人的な観察からはそういうふうに感じております。

○浅野委員長 ありがとうございました。全くそういうことは気がつきませんでしたので、今後しっかり調査をしてもらう。ビオトープをつくるというのも一つの方法かもしれませんね。

 面開発と同じではないということは、検討会でかなりみんなは認識をしているんですね。それは、工作物が地面を覆ってしまうということが決定的な違いでもあるものですから、その点はかなり検討会では細かく議論しております。今の反射光についてのご注意はありがとうございました。

 それでは、河上委員、どうぞお願いいたします。

○河上委員 ありがとうございます。

 申し上げたかったことは大体委員の先生方から出てしまっているのですが、せっかくですからコメントさせてください。

 まず、全体としては、検討会でおまとめになった内容で妥当かと思っております。

 それから、規模要件につきましても、条例対象を意識されながら、4万、3万ということでいいところだと思うんですが、既に意見が出ておりますけれども、法、条例の対象外になっているところの小さなものについては件数が相当多い。面積にかかわらず問題が起こるということもございますので、これはご指摘にもありましたが、ガイドラインのところが極めて重要になってくるかと思いますので、法と条例の範囲外のところの今後おつくりになるガイドラインを、うまく運用されるように、いいガイドラインをつくっていただければと思います。

 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。

 一当たり各委員からご発言をいただきましたが、さらに追加でご発言はございますか。田中委員、いかがですか。よろしいですか。

○田中委員 大丈夫です。ありがとうございます。

○浅野委員長 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 ありがとうございます。簡単なところだけ。

 先ほど発言がちょっとできなかった中で、やはり、廃棄物に関して視点を入れているというのは大変重要なところだというふうに、私も思っています。

 それで、特に、先ほど事務局からお話があったように、FITの積み立ての制度の検討が始まっているという、そういうところもあって、私は、この環境影響評価のときに、廃棄物のリサイクルとか廃棄とか、そういう項目を入れて積み立てをし始めているかどうかという、それに丸をするとか、そのくらいのことでもかなり、将来どうするというところまで聞かなくても、それをやっているかで随分見えてくるんだと思うので、ちょっとそういうやり方もあるんじゃないかなというふうに思いました。

 なお、先ほど、戦略アセスの精神もというご発言が吉田委員からありまして、戦略アセスのようなことを検討するときにはまた大きな輪が必要かとは思うんですけれども、ぜひこういう場の、こういう新しい仕組みを実際に運用するときも、既にいろいろご意見が出ていますが、配慮書とか方法書の、そういう段階の中で、きちんと柔軟に地域の方とか自治体の声を受けとめて少しずつ修正して、みんなの納得感の高い企画、やり方にしていくとか、やはり、そういうようなところが一番こういうものの信頼性を高めていくところだと思いますので、ぜひそういうものを、うまくこういうものを活用していただければありがたいかなと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。

 ほかにご発言は追加でございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、報告書で書かれていることについてもいろいろご指摘いただきましたので、このご意見をもとに、次回は答申の案を整理してお諮りをしたいと思っております。どうぞご協力をよろしくお願いいたします。

 事務局から何かありましたら、どうぞお願いいたします。

○熊倉環境影響評価課長 本日は活発なご議論をありがとうございました。

 本日の議事録は、原案を作成いたしまして、委員の皆様にご確認をいただいた後に、環境省ホームページに掲載する予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 次回(第6回)の小委員会は4月25日(木)15時から、ここ、同じ環境省第1会議室にて予定をしてございます。

 議題は、本日ご議論いただいた内容を踏まえて答申案を作成いたしますので、それについて見ていただいて、ご議論をいただければと思っております。

 それから、小委員会の開催は約2年ぶりということになりますので、ここ最近のアセスに関する様々な動向についてご報告をしたいと思いますので、それについてもご意見をいただければと思っております。

 年度初めのお忙しい時期ではございますが、ご参加をまたよろしくお願い申し上げます。

○浅野委員長 それでは、次回は大型連休の前になりますが、最後のお休み前の仕事ということで、よろしく予定に入れてくださいませ。

 それでは、予定よりは早うございますが、本日はこれで小委員会の議事を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時30分 閉会