中央環境審議会総合政策部会 公害財特法の在り方検討小委員会(第2回) 議事録

日時

令和2年11月9日(月)14:00~15:13

場所

WEB会議

議事次第

1.開 会

2.議 事

  (1)公害財特法の在り方について

3.閉 会

議事録

○事務局 定刻になりましたので、ただいまから第2回公害財特法の在り方検討小委員会を開会したいと思います。

 前回に引き続き、本日は新型コロナウイルス拡大防止の観点からウェブ会議での開催とさせていただきたいと思います。会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合ございましたら、事務局までお電話またはウェブのチャット機能にてお知らせいただければと思います。

 なお、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、中央環境審議会総合政策部会ライブ配信チャンネルにてライブ配信を行っております。

 ウェブ会議の開催に当たりまして、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は各委員の御紹介及び発言をされる際のみオンにしていただきまして、それ以外は原則音声のみの中継といたしますので、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。このため、現時点でカメラ機能はオフにしていただきますようお願いいたします。

 また、議事中、マイク機能は部会長及び発言者以外はミュートに設定していただくようお願いいたします。なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックいただくか、チャット機能にて、御発言する旨をお知らせください。挙手アイコンは、青色に変わりますと挙手した状態となりますので、御発言の意志はこのマークで確認をいたします。部会長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますよう、お願いいたします。

 御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックいただきまして、黒になるよう御操作願います。挙手アイコンは、事務局でオン・オフを操作できないため、御協力をよろしくお願いいたします。

 本日の議事に入ります前に、資料の御確認をお願いいたします。事前にメール御案内のとおり、議事次第のほか、資料1から3、参考資料1から5となっています。

 なお、本日は、事務局が画面上に資料を、また前回同様、掲載をしながら進行させていただきますので、御案内の資料は必要に応じ、お手元で御参照いただければと思います。

 傍聴されている方につきましては、本日の資料、環境省ホームページの小委員会のページにアップロードしておりますので、そちらを御覧いただきますよう、お願いいたします。

 本日は、委員総数6名のところ、過半数の委員に御出席をいただいておりまして、定足数の要件を満たし、小委員会として成立していることを、まず御報告いたします。

 まず、本日はオンライン開催となりますので、委員の皆様におかれましては、お手数ですが、名前を呼ばれましたら、カメラをオンにしていただきますよう、お願い申し上げます。

 次に、本日初めて御出席の委員の先生を御紹介申し上げます。川本委員、すみません、お手数ですが、カメラをオンにしていただけますでしょうか。

○川本委員 川本です。よろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。それでは、今後の司会進行は大塚委員長にお願いをしたいと思ってございます。よろしくお願いいたします。

○大塚委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。

 本日は、議題につき、公害財特法の在り方について議論を行います。議論の進め方につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局です。1枚目の本日の議事次第にありますとおり、資料の2-1、公害防止対策事業の実施地域内外の水質濃度の分布図や、資料の2-2、公害防止対策事業計画の同意基準について、まずは説明させていただきます。その後、資料3-1、公害財特法に係る事実関係の整理についてと、資料3-2の第一回小委員会における主な意見について御報告させていただきたいと思います。

○大塚委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、まず資料2-1、資料2-2につきまして説明を20分程度お願いし、その質疑応答を20分程度取りまして、その後で、資料3-1、3-2の説明を20分程度、またその後に質疑応答を20分程度という流れで意見交換を実施いたします。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局です。 

お手元の資料2-1の方の1ページをまずお開きください。

 公害防止対策事業地域内外における水質濃度の分布図ということで調査をしています。前回の委員会でCOD、窒素・燐の公害防止対策実施地域内と閉鎖性海域全体の水質状況について差がなくなっておりますということを平均濃度で御説明申し上げたところなのですが、古米委員から濃度分布から見て環境基準の達成状況等の差がないかどうかについても確認する必要があるのではないかという御指摘がありまして、COD、窒素・燐の濃度分布について、それぞれ整理を行ったものです。

 まず、1ページにつきまして、公害防止対策実施地域内と全ての閉鎖性海域のCODの濃度分布をお示ししております。公害防止対策事業実施地域内において、濃度の高い地点が存在するものの、2ページ目のこれがA類型、B類型、C類型に分けて出しています。これについて、2ページ目と3ページ目では環境基準の類型ごとに、こちら整理していますけれども、こちらは環境基準値が8mg/LのC類型のものが多く含まれておりまして、A類型、B類型の環境基準を超過する地点数の全体を通した割合ということを見ますと、公害防止対策事業実施地域内のA類型の超過地点割合、これ右肩に示していますけれども35%、B類型の環境基準の超過地点割合は15%となっていますが、全ての閉鎖性海域のA類型の超過地点割合、こちら3ページになりますけれども、これが28%、B類型の環境基準の超過地点割合は13%ということになっておりまして、若干濃度水準の低いA類型の海域で公害防止対策事業実施地域内の超過地点割合は高くなっているものの、全体として濃度分布は変わらないということかと思っています。

 4ページに公害防止対策事業実施地域内と全体の閉鎖性海域の濃度分布、お示ししていますが、これを見ていただきますと、その傾向はより分かりやすく出ているのかなと思っていまして、こちらの資料は横軸が5mg/L刻みの濃度範囲の幅で、右に行くほど濃度が高いという幅になっています。縦軸がその濃度範囲に存在する箇所数の全体箇所数から見た割合を示しています。

 CODについては濃度範囲が1.5mg/Lから2mg/Lの範囲で全ての閉鎖性海域と公害防止対策事業実施地域内の濃度の分布割合がピークとなっていまして、そこから濃度が上昇するに当たって、分布割合の山が少しずつ下がるという状況になっています。全体としては、濃度の高い場所が公害防止対策事業実施地域内に多いということでして、公害防止事業対策事業実施地域内の濃度分布が若干高めに出ているのかなということですけれども、分布の傾向については同様だと理解をしております。

 続きまして、5ページは全窒素の濃度分布を示しています。濃度につきましては、1mg/Lを下回る地点が大半ですけれども、東京湾等の公害防止対策事業実施地域内で1mg/Lを超える濃度の高い地点も若干存在する分布となっています。

 6ページと8ページに、それぞれ公害防止対策事業実施地域内、全国の閉鎖性海域の環境基準の類型ごとの整理を見ると、Ⅳ類型の1mg/Lを超過する地点は、10ページの表にも示すとおり、いずれも公害防止対策事業実施地域内ですけれども、Ⅱ類型、Ⅲ類型の超過地点の割合は公害防止対策事業実施地域内も全ての閉鎖性地域も変わらないという状況かと思っています。

 続きまして、9ページですけれども、9ページの公害防止対策事業実施地域内と全体の閉鎖性海域の濃度分布を見ていただきますと、濃度分布はほとんど変わらないという状況かと思っています。濃度範囲が0.1mg/Lから0.2mg/Lの範囲で、全ての閉鎖性海域と公害防止対策事業実施地域内の濃度の分布割合がピークということで、こちらはほぼかぶったグラフになっています。

 続きまして、11ページお願いいたします。

 11ページ以降は全燐の濃度分布を示しておりまして、濃度は0.1mg/Lを下回る地点が大半ですけれども、東京湾等の公害防止対策事業実施地域内で0.1mg/Lを超える濃度の高い地点も若干存在するという分布になっています。

 続きまして、12ページと、さらには14ページに、それぞれ公害防止対策事業実施地域内、全国の閉鎖性地域の環境基準の類型ごとの整理を載せていまして、こちらによれば0.1mg/Lを超過する地点、これが17地点、16ページの表にも示すとおり、概ね公害防止対策事業実施地域内ということになっています。Ⅱ類型、Ⅲ類型の超過地点の割合は公害防止対策事業実施地域内も、全ての閉鎖性海域も変わらないということで、Ⅰ類型において多少差があるという状況です。

 15ページでは、公害防止対策事業実施地域内と全ての閉鎖性海域の濃度分布、こちらをお示ししておりまして、全ての閉鎖性海域において、0.01mg/Lから0.02mg/Lまでの濃度の分布割合がピークとなっています。

 公害防止対策事業実施地域内は0.02mg/Lから0.03mg/Lまでの濃度割合がピークとなっておりますが、濃度分布においてはほとんど変わらない状況かと思っています。

 続きまして、前回、委員長から御指摘をいただきました資料2-2の方をお手元にお出しいただければと思います。

 公害防止対策事業計画の同意基準ということでして、環境省のホームページでも平成23年12月に委員会でも御議論いただいた結果を踏まえて、お出しをしているものでして、基本的に公害財特法が10年の期限で、延長の法律が出るたびに公害防止計画の策定及びその同意手続というのは一からやっておる手続ですけれども、その同意を求める際に、国としての同意の基準というところを定量的にお示しをするために、こうした表を作っているということでして、主な中身といたしましては、2ページ目の公害が著しいことの判断基準ということになります。

 同意を行うに当たっては、公害が著しいことを環境大臣及び関係省の大臣と協議をして同意をするということになっておりますが、そもそも大都市に人と産業が過剰に集積をしたことで、様々な種類の産業公害等が発生をし、これに対して様々な公害対策が必要とされたという立法当時の経緯に照らして、様々な環境基準項目それぞれについて大気汚染、公共用水域、公共用水域の水底の底質汚染、土壌汚染、公共用水域の水質汚染(生活環境項目)、騒音・地盤沈下、これらについて評価を個別に行った上で、原則9点以上の場合について、同意を行うということで設定をしています。

 なお、平成22年度を終期とする計画の中で、引き続き事業を行うというものについては、計画期間が終了した際、環境の状況が十分かつ安定的に改善されたことをもって著しい公害が改善されたものと見るべきであるため、評価点数が7点という形で、継続ものについては、多少差をつけた評価を行っているということです。

 なお、前回の委員会でも少し御議論ありましたけれども、これ自体は、あくまで財政的措置を伴う公害、財政特別措置法というものを適用するかどうかということに関して、制度上の判断をするために、定量的にこういった通知をお示ししているものでありまして、これをもって、一概に定性的に公害が著しいとか、著しくないとかという議論とは多少別のものかなと思っておりますが、こうしたことについても資料をお持ちしております。

 前回、水質については大分資料を出させていただいたのですけれども、この中にあります大気、あるいは騒音といったようなものの状況について、あまり御説明する時間が取れなかったので、ここで御説明させていただきます。お手元の資料の参考資料の3の4ページを御覧ください。例えば、PM2.5ですね、具体的には微小粒子状物質でございまして、10年前からすると、環境基準の達成状況というものは、平成22年当時は大分低いと、大体10%、あるいは30%という状況だったのですけれども、この10年間で大きく改善をしておりまして、実際には90%を超えるところまで環境基準の達成状況も上がってきているということであり、水質以外にも、この10年間での環境の状況というものについては改善が見られているということを一つお示しできるかと思っています。

 あとまた、光化学スモッグもあるのですけれども、そちらは少し割愛をさせていただきまして、騒音の方です。参考資料の4に、騒音規制法に基づく施行状況ということで取りまとめております。参考資料4の2ページになりますけれども、こちらの中で平成12年度から平成30年度までの環境基準の適合状況ということでお示しをしておりまして、全測定点という形でいきますと、当時の平成12年当時は70%、72~73%であったものが、現在でいきますと、90%弱というところまで環境基準の達成状況も改善されてきているということです。

 騒音関係、大気質の関係は前回御説明できなかったので、今回こちらで説明をさせていただきました。

○大塚委員長 質疑応答に入りますけれども、御質問のある方は御自身のお名前の横にあります挙手アイコンを押してください。私から指名を受けた委員は、マイクのミュートを解除していただきまして、御発言いただきますようお願いいたします。

 古米先生お願いします。

○古米委員 前回の会議でコメントさせていただいた公害防止対策の地域と、全体の水域との濃度水準の違いを示すということとともに、環境基準が達成されてるかどうかという点についても整理いただきました。今回の資料で非常に分かりやすく、両者に大きな違いがないという確認ができましたのでお礼申し上げたいと思います。

○大塚委員長 ありがとうございました。

 中村先生、お願いします。

○中村委員 今、古米先生からもコメントがありました資料2-1なのですけれども、この図の見方で、少し気をつけなければいけないところがあるのではないかと思っています。

 資料の2-1ですが、ここで少し気をつけなければいけないと私が思いましたのは、この図ですと、オレンジ色のシンボルで表したのは、全ての閉鎖性海域のデータを入れておられます。ということは、この中に、公防地域内が入っているということなのですよね。そうすると、公防地域内のデータが多いと、この二つの図が重なって見えるのは、ある意味当然になってくるというので、できましたら、全ての海域ではなくて、公防地域外の分布を出していただけると、適用している場合と、そうでない場合の濃度の分布がかなり明確に違ってくるのが見えるのではないかなと思いますので、これは現状をどう判断するかということにつながるので、図の作り方には注意が要るのではないかなと思いました。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 事務局お願いします。

○事務局 事務局からです。今、中村先生からの御指摘があった件につきましても、実は、我々もデータについては整理をして、比較できるように確認しております。やはり、濃度がCODも窒素・燐も、かなり高いエリアのところは、公害防止対策地域内のエリアのところがほとんどとなっておりまして、一方で、全体的に見ると、濃度分布としては、かなりほぼほぼ似ているのかなというところで、今回は全体と公害防止地域内に絞ったものを出しておりますけれども、次回の会議で、公害防止地域内と外のものも一体どうなのかということも含めてお出ししていきたいと思います。もう既に中身については、我々も確認をしているところですので、次回お出ししていきたいと思います。

○中村委員 はい、分かりました。

○大塚委員長 他にはいかがでしょうか。

 では、浅野先生、お願いいたします。

○浅野委員 判断基準、資料として出された同意基準を作ったときのいきさつを少し補足したいのですが、環境基準を全部同じようには点数配分をしていないというところに注意をしていただきたいのです。それは、もともと公害財特法の適用を想定している場合に、産業公害が主であるということを考えていますから、都市公害的なもので環境基準をオーバーしているということでもって、あまり高い評価をするのはよくないのではないかという議論がありまして、結果的に、主に産業から起因すると思われる環境基準のオーバーについては、評価を高くするということにしています。

 それから光化学オキシダントについて、環境基準はもうほとんど全国どこも達成できていませんので、これは少しまずいなということで、ここでは注意報レベルになった場合が本当にひどいことにしようということにしています。

 さらに、自動車についても、同じように環境基準をなかなか達成できてないのですが、要請限度を超えるというような状態であれば、かなりひどいということで、評価点を上げることにしていますので、この評価点のつけ方についても、制度の趣旨を考えた点数配分をしたということについては、補足をしておきたいと思います。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございました。どうも恐れ入ります。

 他にはよろしいでしょうか。

 それでは、本題に入りまして、引き続き資料の3-1、3-2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局です。

 それでは、お手元の資料の3-1を御覧いただきますようお願いいたします。公害財特法に関する前回の議論の中で事務局がお示しした資料を取りまとめたということになりますけれども、現在の事実関係ということで整理しています。

 公害防止計画制度及び公害財特法の意義ということです。

 これまでの公害財特法制度、公害防止計画制度の、昭和45年の運用開始以来、始まったことに関しての意義、これに関しては、前回制度の経緯ということで、平成23年にございました第二次地方分権一括法に伴う改正でございまして、策定主体に伴う地方自治体の裁量拡大の観点からの大臣による策定指示の廃止、公害防止計画のうち、公害防止対策事業計画以外の部分に関しての大臣同意の廃止という適時の見直しについて記載をさせていただくとともに、これまでの実施状況ということで、52地域の策定、現在の21地域(18都府県)での運用といったようなことを書かせていただいております。

 主に、策定地域においては、前回も御議論いただきましたように、環境基準の達成率や対象項目の濃度水準については改善が見られているという認識でおります。

 また、これ以外の区域との差ということの、濃度水準等の乖離というものも、全体で見れば、制度開始以降、その解消に向かっての傾向というのは見られるかなと思っています。

 また、その中で、主に大宗を占めておりました国の財政上の特別措置に関する法律に基づく財政上の措置ということに関しましては、やはりこの防止計画に基づいて自治体が行う事業に対する措置に関しての財政面から推進を担ってきたということに関しまして、これに関しては防止計画同様、立法当時、もう何度も話出ておりますけれども、人口や産業が急速に集積した地域において発生をしていた激甚な公害等への対処として、国としてやはり財政援助を行う必要性が極めて高かったということを踏まえて、期間を限って立法されたということです。

 その際に、下の2パラ以降なのですけれど、平成22年度、前回の意見具申において指摘をされた課題いうことで整理をしています。

 実際は、こうした激甚な公害等への対処といたしまして、国としての財政援助を行う必要性の高さに加えて、これを国の財政特別措置を期間を限って実施をする、この必要性というものに関しましては、当時の激甚な公害から、人の健康の保護を図る上でのナショナルミニマムの確保という観点から、自治体に対する国からの策定指示、こうしたものも当時あったということでして、こうした策定指示等に基づいた必要とされる事業に関して財政措置というものを行ってきたところですが、こうした激甚な公害といったような状況が解消されつつある現在、同法をいつまで存続をさせて、国の通常の財政支援措置や個別制度による対応に移行するかということについては、総合的に判断をする必要があるということが、前回の意見具申において指摘をされた内容かと思っています。

 続きまして、期限の到来の中で、前回の意見具申の取りまとめです。

 公害財特法の今後につきましては、三点の議論がございまして、閉鎖性水域におけるCODや全窒素・全燐等に係る水質汚濁対策、ダイオキシンによる土壌汚染や大規模な底質汚染、カドミウム等による農用地の土壌汚染については、今後とも環境基準の達成に向けて事業を実施すくことが必要だというのが前回の議論でして、2パラの中で、こうした事業の中で、これを10年延長することが適当だという結論が得られる一方で、三つ目のところで、現在予定されている公害の防止に関する事業の相当程度が終了するとともに、環境基準の達成率も向上することとなれば、その後については、再延長しなくとも、国の通常の財政支援措置等による対応により、地方公共団体の実施する公害の防止に関する事業を円滑に推進できるような状況となることが期待される。そのために国と地方公共団体が一体となった精力的な取組を行う必要があるということが、主な議論のフレームワークかと思っています。

 さらに、留意事項といたしましては、3点。公害財特法は、立法当時、産業等が集積した地域において発生していた激甚な公害等への対処として、財政援助を行う必要性が極めて高かったため、期間を限って実施すると、こういう経緯、現在の財政上の特別措置ということについては、以前とは少しずつ性格が異なってきている。前回も御議論いただきました点でございます。

 二つ目で、環境基準の達成・維持のために、公害の防止に関する事業全般について、一律に国の財政資源を優先して投入すべきという制度をいつまで存続させるかについては、様々な見地と併せて、国家財政の見地からの判断も必要だということが指摘される一方で、公害の防止に関する事業の円滑な推進や、事業の実施を行う公共団体の財政に、予測できないような支障を生じさせることのないようにする必要があるということが留意として指摘をされているところです。

 3パラでございますが、こうした意見具申を踏まえて、現在の公害防止対策事業の計画期間内の事業の進捗状況、計画対象区域、資料でいうと3枚目の上の部分ですけれど、対象区域の環境の状況及び計画区域外との差異について、自治体等への影響等も考慮して検討する必要があるのではないかと考えています。

 大きく言えば、検討事項は三つあると思っていまして、事業の進捗状況が一つ目です。

 平成22年度末の公害財特法の延長改正以降、財特法の適用を受けて実施されてきた事業に関しましては、前回もお示ししましたとおり、令和2年度末の見込みといたしましては、およそ90%弱が執行し終える見込みということになっています。

 (2)の自治体のアンケート結果ということで、前回お示しさせていただきましたけれども、財特法の延長というものの一方で、延長または同等の財政措置の要望というものも自治体さんからお声としていただいているわけでして、財政への影響を懸念をするというお声がいただいているところです。

 (3)では、内外での環境の状況についてどうかということについては、本日も御指摘いただいておりますけれども、そこに関しては、まず一つは閉鎖性水域におけるCOD、全窒素・全燐に関する汚濁の状況ということでして、公害防止対策事業を行われている地域に係る海域は閉鎖性水域がほとんどですので、全国全ての閉鎖性海域と公害防止対策事業の実施地域に係る海域におけるCODの環境基準の達成率や濃度水準を比較いたしますと、一番の濃度水準の高い海域を対象に、公害防止対策事業実施地域の方が、濃度水準の高い地点数の割合というものは、多少大きい、本日も御覧いただいたとおりですけれども、全体を通した平均で見る限り、公害防止対策事業実施地域内外の環境基準達成率や濃度水準は接近しておりまして、その状態というのは、長期間にわたって継続をしているということが言えるのではないかと思っています。

 閉鎖性海域の富栄養化の指標となります全窒素・全燐につきましては、COD以上に環境基準達成率や濃度水準の改善効果がはっきりと見られていると思っておりまして、全国の全ての閉鎖性海域と公害防止対策事業実施地域に関わる閉鎖性海域における全窒素・全燐の環境基準の達成率や濃度水準を比較しますと、やはり一部濃度水準の高い東京湾、大阪湾、伊勢湾の湾奥部を対象に、公害防止対策事業実施地域の方が濃度水準の高い地点数の割合は大きいわけですけれども、全体の平均で見ます限り、公害防止対策事業実施地域内外の環境基準達成状況や濃度水準は接近をしておりまして、この状況といいますのは、長期間にわたって概ね継続をしてきているという評価が可能なのではないかと思っています。

 これらの海域の中でも、広域的な東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の沿岸にある対象地域の中で、都市地域を中心として公害防止対策事業計画を策定する地域が集中しているわけですけれども、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海については、現時点でもCOD、全窒素・全燐の環境基準が未達成な地域は存在いたしますが、濃度水準はCODの総量削減制度が導入された昭和54年当時と現在を比べますと、改善はしていると言えるかと思います。

 これは、前回も御指摘いただいた切り分けに少し絡みますけれども、総量削減制度をはじめとした水質汚濁防止法に基づく規制制度の様々な取組による効果というものもありまして、海域に流れ込むCOD、全窒素・全燐の汚濁負荷量が相当程度削減されてきたことは大きいのではないかと思ってございます。

 具体的にこうした対策事業と総量削減制度をはじめとした効果というものを厳密に切り分けるということは難しい課題ですけれども、公害財特による下水道の新設等に係るこれら財政支援ですね、沿岸地域における下水道整備や高度処理の導入の進展、結果として家庭からの雑排水の汚濁負荷の大幅な削減が長期間にわたって行われたということは確実かと思っていまして、また汚水処理施設の普及という観点で申し上げますと、令和元年度末における公害防止対策事業実施地域に該当する市町村の汚水処理人口普及率は97.1%という形で、非常に概成に近づいてきておりまして、これまで財特法で中心として担ってきた下水道整備区域の拡張により、汚濁負荷を削減できる余地といいますものは従来よりも大分少なくなってきているのではないかと考えております。

 また、加えまして、ダイオキシン類ですけれども、これに係る環境基準の達成状況につきましては、1,431地点、常時調査が行われている地点の中で、これらの地域のダイオキシン濃度の平均値は0.18pgでして、17地点で水質環境基準を超過しています。このうち、湖沼であります2か所において公害防止対策事業が実施をされておりまして、公共用水域における水質に係るダイオキシン類の平均濃度は平成30年度では0.2pg、平成12年度の0.39pgの半分程度まで数値は下がってきている。全国的にはですね、いう状況かと思っています。

 底質に関しましてですけれども、1,187地点で調査が行われておりまして、これらのダイオキシン類濃度は、平均5.9pgでして、3地点で環境基準を超過しておりまして、その全ての箇所で対策事業が実施をされているということです。そのうちの一部、ダイオキシン底質に係る環境基準を大きく上回る、例えば平均で430pgですね、環境基準150に対しまして430pgが検出されているものもございますが、底質に係るダイオキシン類の全国平均ということで申し上げれば、平成30年度では8.9pgでありまして、水質同様、平成12年度の19pgに比べれば、その半分程度まで水質同様下がってきているという状況かと思っています。

 なお、ダイオキシンに対しましては、その他(大気、地下水質、土壌)に関しての基準超過事案というものはございません。

 農用地の土壌汚染について報告をさせていただきますと、カドミウム、銅、砒素による土壌汚染事案というものは、ほぼほぼ把握が済んでおりまして、こうしたものは減少傾向にあります。その実際に把握されております7,592ヘクタールのうち、93.7%に当たります7,111ヘクタールで対策事業が既に完了していますが、その一部においても、今対策事業を行っておりますところで、対策事業地域内で、今2事業が実際に施行されているという状況かと思っています。

 以上のとおり、閉鎖性海域のCOD、窒素及び燐に関しては、濃度水準が高い地点が一部存在し、事業の進捗から見て、個別に引き続き対応が必要な事案は、個別に見れば存在すると考えておりますが、全体的な傾向といたしましては、公害防止対策事業実施地域内と、それ以外の区域の差は、環境基準の達成状況だけでなく、濃度水準も接近をしておりまして、公害防止対策事業の取組が順調に進捗してきたと言えるのではないかと思っています。

 ダイオキシンによる汚染及びカドミウム等による農用地汚染についても、一部の地域で引き続き対応が必要と、対応しているものもございますが、ダイオキシン類濃度全体としては半分程度まで低下をしておりまして、新たな、この10年間、新たな大規模汚染事案というものは前回の延長時と異なって確認をされていないということかと思っていまして、全体としては概ね順調に進捗してきたという事実関係はまずここでまとめさせていただきました。

 続きまして、公害財政、財特法の取扱いに関して、第1回委員会でも御意見いただきましたので、資料3-2のほうに、主な意見ということでまとめさせていただいております。

 3-2の1ページを御覧いただきますと、公害防止対策事業につきましてです。まず、事業全般に関しましては、公害防止対策事業実施地域と全体の環境基準達成状況を比較すると、両者はかなり近づいておりまして、改善をされてきていて、全体で見れば、公害防止対策事業実施地域の事業を特別扱いする必要はなくなってきているのではないかという御意見をいただいております。

 また、公害防止対策事業実施地域に対して手厚く支援をしなければならない状況が続いていると言えるのかと、特に事業費の大部分、98%は下水道整備に充てられておるわけですけれども、これらについて、制度が、優遇措置がなお必要される状況にあるかということだったかと思います。

 一方、下水道整備に関しましては、下水道などの事業は、今回のその10年後の整備の拡充、あるいは改良などの事業ニーズが継続をすると。この10年間の進捗だけを切り出して制度の必要性を評価することには懸念があるという御意見もいただいております。

 下水道に係る事業ニーズ、一方で、こうしたものは区域内外問わず存在をするという状況の中で、公害防止対策事業実施地域のみ優遇措置が必要なのかという点について、合理的な説明が可能なのだろうかということも御意見として頂戴したかと思っています。

 前回、環境基準について、大きな改善がこの10年で見込まれればと、意見具申、前回の意見具申に書いてあったことを受けて、この10年で環境基準の達成状況について、あまり大きな改善が見られたとは言えないのではないかという御意見もあった一方で、10年間の改善はわずかであったかもしれないが、10年前がスタート地点ではなく、延長という状況でありまして、今後の制度の必要性ということについては、制度本来が有していた趣旨目的に照らして達成状況を議論するべきではないかという御意見があったものと理解をしております。この部分については、事実関係ということよりも、皆様の御意見いただきましたので、別出しでまとめさせていただいたということです。

 駆け足で恐縮ですけれども、資料3-1及び3-2について説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

○大塚委員長 どうもありがとうございました。

 資料の3-1につきましては、前回の委員会で事務局から説明のありました資料について、当方が事務局に指示をいたしまして、事実関係について文章化したものでございます。

 公害財特法の在り方の議論の前提となる内容になるものです。

 資料の3-2につきましては、前回の委員会で公害財特法の在り方について、主な意見をまとめたものでございます。

 資料の3-1の内容も含めて公害財特法の在り方につきまして、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。

 御質問のある方は御自身の名前の横にある挙手アイコンを押してください。私から指名を受けた委員はマイクのミュートを解除していただいて、御発言いただきますようお願いいたします。

 挙手アイコンがもしうまくいかない場合は声を上げていただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。

 では、浅野先生お願いします。

○浅野委員 資料の3-1ですが、これにつきましては、これまでに出された資料に基づいて、整理をされてると思いますので、この内容について、私は異論がございません。

 前回以降、気になっていたことがあります。一つは財特法についてのこれまでの中環審での議論はすべて、公害防止計画が作られ、それを前提の上で財特法の適用があるということを想定した議論をしてきているのですが、実際には財特法には公防計画を通さないでも、総務大臣の承認があることによって財特法の適用がありうるということになっておりまして、この場合については、前回の中環審での議論がそのまま当てはまるかどうかは、若干疑問といえなくもないわけではありません。ただ、全体としては、このような場合の対象は支援額全体の中でも極めて割合が少ないということですし、具体的な箇所としてもピンポイントといえることですから、大きく財特法という枠組みを用意して対応しなければならないかどうかという点については、なお、検討の余地があるかもしれませんけれども、やはりその辺は依然として気になっているところです。

 それからもう一つは、これも地点としては、もうごくわずかしか残っておりませんので、大した問題でないといえば、そうかもしれませんけれども、農用地の土壌汚染に関しては、もともと法律の立てつけとしては、原因者負担が大原則で、原因事業者に、公害防止事業費の事業者負担法がかぶるはずなのですね。しかしそれが、実際にはどうなっているかというと、私の知る限りでは100%事業者負担という地域はあまり多くなく、それ以外の要素を考慮する、すなわち、例えば、我が国でそもそも近代的な産業が始まった以前から稼行されていた鉱山の鉱害に関して江戸時代からの持ち越し分みたいなものがあるのではないかとか、それから、さらに実際には農用地の土壌汚染対策に際しては、圃場整備事業といった公共事業的な要素を加味して事業をやりますので、そこでは純粋に汚染の浄化ということだけではなくて、新たな公共事業的要素の部分についてまで事業者に負担させることは不適当である。だから、やっぱりある程度公共負担があってもしようがないのではないかというような整理をしてきているように思われます。

 ですから、本来ならば、そういった整理の中で全部話はついているはずなのですが、ここに財特法がかぶってくるという話の筋道は、実際にどうなっているかよく分かりませんけれども、事業者負担分について財特法適用ということはあり得ないと思いますので、公共負担分についての財特ということになるはずなのでしょうけれども、それ一体どうなっているのかは気になるところです。そもそも、財特があることを想定して、費用分担を決めたりはしていないのではないか。その辺は一体、実際にはどうなっているのかということも、気にはなっています。繰り返しになりますが、金額的にはそんなに大して大きな金額じゃないと思いますし、大勢を左右する話ではないと思いますが、前からずっと気になっていたので、発言をさせていただきました。

○事務局 事務局の黒部です。お答えを申し上げます。

 今お話しいただきました農用地の汚染に関して、公害財特法の適用がどうかということです。公害財特法の、その制度の存在を前提に交渉がされる事業者、汚染事業者と地元の方で交渉がされるというような話は我々もあんまり承知はしていなくて、公害財特法とはまた別に、まず防止事業負担法で解決するケースも実は全部ではないと。具体的に当事者間同士の話合いで決まるケースが多いのではないかと承知をしておりますが、実際に、いろいろ汚染者と汚染された方というところの感情的なところもございまして、割と、今のところまで残っているものについては、その解決に関してすごく時間がかかっているというものはあるかと思います。

 実際に、その負担割合が当事者間での協議、これがほとんどですけれども、決まった後に地元負担、その中での自治体の負担ということに関して、公害財特法があれば、その中で自治体に対しても、その補助が、補助というか、その上乗せが適用されるということかと思いますけれども、これを前提として協議がされたような事案については、我々も承知はしていません。

 以上です。

○浅野委員 了解しました。

○大塚委員長 負担法の方は負担計画を決めて命令を出すことになっていると思いますので、その前に協議が進むかもしれませんけども、そういう仕組みになっております。

 他にはいかがでしょうか。

 古南先生、お願いします。

○古南委員 22年延長時の意見具申の中で、公害の防止に関する事業の相当程度が終了するとともに、環境基準の達成率も向上することとなれば、その後はこの法律は再延長しなくてもいいよというような意見具申なされているのですけれども、そのときのイメージとして、事業の相当程度が終了することのイメージとか、それから環境基準の達成率も向上するっていう、目標といいますか、目安といいますか、そういったものを何か想定されていたものがあるのかなというのが、少し気になっています。

 10年間延長ということで、自治体としては非常にありがたかったので、この10年間で頑張ってやれよということなんだろうと思っております。

 ただ、今までずっと何回も延長してこられていたという前提があるので、自治体側としても、若干の甘えはあったかなというような反省もあるのですけれども、そこら辺で22年の意見具申のときに、どこら辺まで行ったらもうやめてもいいよというような目安的なものを描かれていたのかどうかというのがもし分かればということと、それから先ほど浅野先生が資料の2-2のところで補足をしていただいた、適用の判断基準の中で、産業系に重きを置いて、生活系については、比較的点数低いような位置づけにしたのだとおっしゃっていたのですけれども、これは例えば、財特法が対象にしている下水道というのはメインとしては、生活系のものが多いのではないかなと思うのですけれども、そこら辺に対する比重を軽くしようというような、言葉が悪いですけど、もくろみがあったのかどうか、そこら辺を確認できたらなと思います。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。浅野先生、実際にこれ関わってくださっていたと思うんですけども、今の点について、何かお話しいただけますでしょうか。

○浅野委員 特に下水道については、産業公害系でもないので、ということをどこまで議論したかということですが、あまり議論はしてないと思います。むしろ、面的な汚染の問題と、それからノンポイントの発生源の問題があると、そこのところから出てくる公害への対策になるというようなことの意識はしていますけれども、結果的に財特法の具体的適用場面の98%が下水道の整備であるということを意識して答申を作ったかというと、決してそうではありませんで、やはり全体を俯瞰的に眺め、環境基準をずっとにらんで、これはこうだ、これはこうだってやってきたと思いますから、特段下水道を低く評価しようという意図があってやったとは思いません。ただ、確かに本来の公害財特法の持っている制度目的から言うと、いろんな要素のものが入り込んでいるのでということを議論したことはあると思いますがその程度です。

○大塚委員長 ありがとうございました。浅野先生、最初の古南先生のおっしゃった、最初の方の、10年前に目安としてどの辺までを考えていたかということに関しては、浅野先生何か御発言ございますか。

○浅野委員 その点についても、特にここまで行けばと考えたわけではありません。あの段階では、とにかくもっとよくしなければいけないので、もっとよくしましょうということで、ともかく10年延ばすということしか考えていませんで、ここまで行ったらどうだというような議論はしなくても済んだので、そういう議論はやってないと思います。

 これに類する議論で思い出せる例をあげれば、NOXPM法の目標の中で、沿道の大気汚染について環境基準達成ということを言っているわけです。こちらの方は、はっきりと完全達成ということを考えて、制度の延長を考えてことがあります。

 環境基準の達成といっても、測定点における達成をもって完全達成なのかという議論をしまして、測定点ですべて達成できてもそれで完全達成といえるのだろうか、なお、それ以外にはオーバーしている場所があるかもしれないから、より広く測定点を拾って、それで完全達成ということにするのが筋だろうというような議論を、やったことがあるわけですが、公害防止計画、公害財特法との関係では、そういった突き詰めた議論はやっていません。ですから、どこまで行けば卒業できるかというようなことを、そのときにもう既に想定しているということは事実としてはないと思います。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 よろしいですか、古南先生。

○古南委員 ありがとうございました。前回のときに、少し申し上げたのですけれども、平成22年の頃と今と、環境基準の達成度合いからいったら、そんなに大きな改善、先ほどの1回目の議論のまとめの中にも書いていただいているのですけれども、そんなに大きな進捗があったかなと、あまり見えないので、そこら辺の議論がどうだったのかなというのが少し気になったところです。

 以上でございます。ありがとうございました。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 前回の御議論にあった、前回の議論にあった、10年間の改善はあまり多くはなかったかもしれませんが、10年前がスタート地点ではないという御議論との関係をどう見るかというのはあるかと思います。

 他にはいかがでしょうか。

 古南先生、もう一度ありますか。

○古南委員 自治体アンケートの結果で、自治体側からは延長を求める声が強いということで、実際そうなのですけれども、特に、私どもが適用を受けている自治体にお話をお伺いしますと、しゅんせつに対して公害財特法の適用で優遇を受けているところは、もともとは適債性がないものについて起債を認めていただいているというところが非常に大きくて、もし、公害財特法がなくなってしまうと、起債ができないことになると、やっぱり事業をやっていく上で、かなり財政的に厳しい状況に陥ると感じていらっしゃるところが多いと感じております。

 とりあえず、現状として、他の自治体の御意見としてお伝えしておきたいなと思います。

 以上でございます。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 事務局、いかがでしょうか。

○事務局 事務局です。今、古南委員からお話があったとおり、特にしゅんせつ事業については、適債性の部分は、公害財特法の一つのポイントになるということで、まだ事業を、ダイオキシンが一部超過をしていたりすることで、しゅんせつをまだ一定期間、やらなければいけないという声も我々の方にも上がってきているところであります。ひとまず、今の事実関係の整理の部分のところにつきましては、資料3-1の5ページにもあるような形で、例えばダイオキシンによる汚染、カドミウム等による農用地汚染についても、一部の地域で引き続き対応が必要な事案は存在するという部分のところは、こちらの方に記載をさせていただいております。

 また、公害財特法の在り方の部分については、また本日の議論を踏まえてどうするかというところではあるのですが、ひとまず、事実関係としては、まだやらなければいけないところがあるというところは、こちらの資料にも記載をさせていただいているということであります。

○大塚委員長 古南委員、よろしいでしょうか。

○古南委員 はい、ありがとうございました。

○大塚委員長 それじゃあ、川本委員お願いします。

○川本委員 川本です。私は、この領域はあまり強くなくて、少し違うかもしれませんけれど、今回勉強させていただいて、もともとこの財特法のスタートが激甚な公害に対応ということで、激甚という言葉が使われています。そして10年前にどうするかというときに、大きな改善があればとなっています。今回(本小委員会に)出てきたのが、全体と比較して、大きな差はない、平均ではほぼ同じだと、平均値が出てない平均なのですけども、そういうように書かれています。全てが何というか、数字ではなくて、何というか、定量的でない表現がなされているので、皆様も、いろいろなお考えがあると思いますけども、一番最初の激甚なというところに、戻って考えたときに、公害防止対策事業実施地域の今の状況は、すべての閉鎖性海域の状況にかなり近づいていますので、その辺りを考慮したらいいと思いますし、私が専門としている、例えば重金属とかダイオキシンのような、いわゆる健康影響を及ぼすようなものについては、「個別に考える」、私はそういう考えでいいのではないかと思っております。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。事務局はいかがでしょうか。

○事務局 事務局から、少し補足しますけども、第1回の会議において、川本先生が御欠席だったときに、この資料3-1の別紙1に示す、別紙1や、別紙2、別紙3ですか、公害防止、例えば別紙1であれば、公害防止対策事業実施地域の環境に関する状況についてということで、CODや窒素・燐、ダイオキシンが農用地汚染の部分につきまして、平均濃度ではあるのですけども、公害防止対策地域と、全ての海域での平均濃度の差ではどうなのかという部分について、データをお示しして、その上でまた前回古米委員の方からもお話があった濃度分布も見て、今回資料の3-1について、委員長の方からの御指示もありましたので、今回の事実関係の整理のような形の文章とさせていただいております。

 あとは、先ほど川本委員からもお話があったとおり、一部、ダイオキシン、カドミウムで超過しているところもあるので、ここは一部の地域で引き続き対応が必要な事案は存在するという書き方をさせていただいております。

 以上です。

○大塚委員長 ありがとうございます。

 では、浅野委員お願いします。

○浅野委員 今の川本委員の御指摘、事務局のお答えにもあったのですが、現在の状況をふまえて考える場合に、公害財特法という大きな枠組みを残して、残された問題を解決しなきゃいけないのか、もっと別途の方法を考えるのかということは、検討の余地があると思いますし、今の状況を踏まえれば、これっきり一切今後は、面倒を見ませんということにしなければならないとも思わないです。ですから、仮に公害財特法という枠組みについては、もうある意味では店じまいというようなことにしなければいけないとしても、残っている問題を全く放置はできないということは、もうその通りだろうと思うのです。ですから、それについては何らかの方法を考えなければいけないということは、当審議会としても言うべきだと思いますし、最初に私が総務大臣の特別の承認を得て、別枠でやっているものがあるということは、もともと公害防止計画、公害財特法という枠組みで抱え切れないものを扱わなければいけなくて出てきたということであると思いますから、それについての必要性があるならば、その必要性については、公害財特法とは別の配慮というようなことも十分考える余地はあると思うし、その必要性があるだろうということは私も否定をしておりません。

 ですから、大体そんなような方向で何とかまとまることができればと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局 事務局でございます。浅野先生から前回も指摘をいただきました総務省同意のところも含めまして、総務省同意でやっております個別の汚染対応、しゅんせつでありますとか、ダイオキシン対応というのは、法律の第2号から4号までの事業ということになりますけれども、この法律の制度上も、あくまで産業公害で、面的に汚染が広がっている大都市に対してということなのですけれども、必ずしも、個別の大規模な、個別の特定の汚染みたいなものに対して、何もケアしないのかというと、そこについては、別途の対応措置を予定しているところでございまして、今の制度の終期に関しましても、区域全体としての大規模汚染ではないんだけれども、個別の対応といったようなものが、私どもも今、自治体さんからこの一、二年、丁寧にお話聞いてまいったつもりですけれども、そういったところも含めて、では何が、この制度上予定されている範囲がどこまでかというところについては、引き続き議論を進めていきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

○大塚委員長 他にいかがでしょうか。まだ御発言いただいていない先生方も含めていかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 では、どうもありがとうございました。議論がつきないところでありますけれども、この辺で終わらせていただきたいと思います。

 本日、委員の皆様からいただきました御意見などを踏まえて、今後、意見具申案の取りまとめを行っていきたいと思います。

 それでは、事務局にマイクをお戻しします。

○事務局 事務局の黒部でございます。活発な御議論ありがとうございました。

 本日いただいた意見も含めまして、また取りまとめの次回、小委員会の日程につきましては、改めて事務局からお知らせ申し上げたいと思います。

○大塚委員長 それでは、以上をもちまして、本日の議事を終了させていただきます。 本日はどうもありがとうございました。