中央環境審議会第26回総会議事録

日時

平成31年2月8日(金)13:00~15:00

場所

ルポール麹町 「ロイヤルクリスタル」(2階)

議事録

○白石総務課長 大変お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第26回総会を開催いたします。

 環境省大臣官房総務課長の白石でございます。司会を務めます。よろしくお願いいたします。

 現在、委員30名のうち、23名の委員がご出席されておられます。定足数である過半数を満たしておりますので、総会は成立しているということでございます。

 また、本日の会議は「中央環境審議会の運営方針について」に基づき公開ということにしてございます。

 続きまして、議事に先立ちまして、環境省よりご挨拶を申し上げます。

 城内副大臣、お願いいたします。

○城内副大臣 はい。今、ご紹介がありました環境副大臣の城内実でございます。本日は、お忙しい中、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本来ならば原田義昭大臣がご挨拶を申し上げるところでございますが、本日、衆議院の予算委員会のため出席できませんので、中央環境審議会の新しい体制での船出に当たりまして、原田大臣にかわりまして、私、城内実が一言ご挨拶させていただきます。

 中央環境審議会におかれましては、環境保全に関する重要事項を審議する機関として、環境行政の各課題に関し幅広くかつ高い見地からご審議をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。

 環境省といたしましては、今年6月に我が国で開催されますG20を念頭に、長期戦略策定などの気候変動対策や海洋プラスチックごみ対策に取り組むほか、地域循環共生圏の構築、国立公園満喫プロジェクトの推進などに取り組むことを通じて、世の中を脱炭素型、持続可能型にシフトさせるべく、環境省がこれからの成長の牽引役になっていかなければならないと認識しております。

 現在、プラスチック資源循環戦略小委員会においてご議論いただいておりますプラスチック資源循環戦略につきましては、6月のG20までに本戦略を策定し、国際的な議論をリードしてまいります。また、地球環境部会でご議論を深めていただいたフロンの廃棄時回収率向上につきましては、しっかりと対策を講じていくとともに、昨年、閣議決定いたしました第五次環境基本計画につきましても、審議会において進捗状況の点検を進めていただきたいと考えております。加えて昨今の環境行政が抱える課題といたしまして、自然との共生の実現のための野生鳥獣の保護管理、外来種対策、希少種の保全など、生物多様性の確保に向けた取組がございます。また、中間貯蔵施設の整備と除去土壌等の輸送、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備、指定廃棄物等の処理や放射線に係る住民の健康管理、また公害健康被害対策、化学物質対策、大気・水・土壌環境対策、先ほど出ました海洋ごみ対策、国内外の資源循環対策や安心・安全の確保、こういったものがございまして、非常に多岐にわたっております。

 これより、本日、任命申し上げます委員各位におかれましては、多くのお仕事をお願いすることになりますが、地球規模の環境問題から地域に根差した課題まで、多岐にわたる環境行政を支えるまさに柱でありまして、そして専門的知見に基づく委員の皆様のご審議にこそあるといっても過言ではないというふうに思っております。

 環境行政の推進に向けまして、皆様方の一層のご指導、ご協力をいただきますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○白石総務課長 ありがとうございます。

 続きまして、菅家政務官、お願いいたします。

○菅家政務官 はい。ただいまご紹介賜りました環境大臣政務官の菅家一郎でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、心から御礼申し上げます。ありがとうございます。

 私、原田大臣、そしてあきもと副大臣のもと、資源循環政策、福島の復興などを担当させていただいているところであります。環境省としては、国内外における資源循環の展開、海洋プラスチックごみ問題、中間貯蔵施設の整備等、除去土壌等の輸送、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備、指定廃棄物等の処理、放射線に係る住民の健康管理や健康不安への対応など、取り組んでいく課題は山積しているところであります。

 本日、中央環境審議会が新たな体制でスタートするわけでございます。どうか委員の皆様方には環境行政の諸課題に関しまして一層のご指導、ご鞭撻をいただきますよう、今後ともよろしくお願いを申し上げてご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○白石総務課長 ありがとうございます。

 また、原田大臣、あきもと副大臣、勝俣大臣政務官は、それぞれ所用により本日は欠席でございます。

 次に、任期満了によりまして、全員本日付で新たに任命されました。ここで委員の皆様のご紹介をさせていただきます。

 時間の関係からお名前のみご紹介させていただきます。各委員のご所属等は資料の1をご参照ください。アイウエオ順でご出席の方からご紹介させていただきます。

 大久保規子委員、大塚直委員、岸本卓巳委員、小西雅子委員、酒井伸一委員、崎田裕子委員、白石寛明委員、髙橋勝浩委員、髙村典子委員、髙村ゆかり委員、武内和彦委員、豊岡和美委員、南部美智代委員、新美育文委員、畠山史郎委員、中根英昭委員、細田衛士委員、細見正明委員、松永和紀委員、松本吉郎委員、三村信男委員、山田政雄委員、山本貢平委員、ご出席の委員は以上の皆様でございます。なお、足利由紀子委員、石井実委員、枝廣淳子委員、榮敏治委員、佐藤友美子委員、田中理沙委員、山極壽一の皆様は、本日はそれぞれご所用のため欠席となってございます。

 以上30名の本日付で任命されておられます委員をご紹介いたしました。

 取材の方々のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 では、城内副大臣、菅家政務官はそれぞれご公務のため、これにて退席をされます。

 次に、本日出席させていただいております当省の幹部をご紹介させていただきます。

 高橋地球環境審議官でございます。鎌形大臣官房長でございます。中井総合環境政策統括官でございます。森下地球環境局長でございます。田中水・大気環境局長でございます。山本環境再生・資源循環局長でございます。梅田環境保健部長、森山環境再生・資源循環局次長、上田大臣官房審議官、松澤大臣官房審議官、奥田大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、大森大臣官房秘書課長、松本大臣官房会計課長、永島自然環境局総務課長、川又総合環境政策統括官グループ環境計画課長、最後に、白石、官房総務課長を務めさせていただいております。

 以上でございます。

 なお、環境省幹部職員につきましては、一部の者が公務のため途中退席させていただく場合がございます。改めてご了承いただきたいと思います。

 次に、資料の確認をいたします。

 前回より中央環境審議会、ペーパーレスで開催をさせていただいております。お手元にタブレットがございます。指定のフォルダーの中に資料1、資料2、資料の3-1から8及び参考資料を搭載してございます。もしないというような場合がございましたら最寄りの事務局までお申しつけをいただきたいと。いや、入ってないとか、そういうような話がございましたらかわりのタブレットに交換させていただきます。

 それでは、議事の1、会長の選出に移りたいと存じます。

 お手元、参考資料1の中央審議会令第4条第1項の規定によれば「会長は委員の互選によってこれを定める」こととされております。つきましては、会長の候補者について、ご意見のある方はございませんでしょうか。

 はい、大塚委員。

○大塚委員 会長候補といたしましては、中央環境審議会で長年ご指導いただいております武内委員が引き続き会長として適任だと思いますけども、いかがでございますでしょうか。

○白石総務課長 皆様いかがでございましょうか。

(拍手)

○白石総務課長 ほかに意見がございませんようでございますので、武内委員に会長をお願いすることでよろしゅうございますでしょうか。

(拍手)

○白石総務課長 それでは、武内委員が会長に選任されました。

 会長には席をお移りいただきまして、一言ご挨拶をお願いしたいと存じます。

(武内会長 会長席に移動)

○武内会長 武内でございます。

 皆さんにまた会長にご推挙いただきました。一生懸命この職を遂げたいというふうに思っておりますので、審議会の委員の皆様方のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

○白石総務課長 ありがとうございました。

 それでは、以後の進行は武内会長にお願いしたいというふうに存じます。よろしくお願いいたします。

○武内会長 それでは、まず議事の2、会長代理、部会長等の指名を行わせていただきたいと思います。

 まず、会長代理の指名でございます。審議会令第4条第3項に「会長に事故があるときは」あってはならないことですけれども、「会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する」というふうに規定されております。私としては、新美委員にぜひ会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○武内会長 どうもありがとうございます。

 次に、部会長及び部会に所属すべき委員の指名に移ります。審議会令第6条第2項及び第3項の規定により「部会に属すべき委員は会長が指名する」こととなっており、また「部会長は会長の指名する委員がこれに当たる」ということになっております。

 まず、部会長につきましては、循環型社会部会長を酒井委員に、環境保健部会長を大塚委員に、地球環境部会長を三村委員に、大気・騒音振動部会長を畠山委員に、水環境部会長、土壌農薬部会長を細見委員に、動物愛護部会長を新美委員にそれぞれお願いし、また、総合政策部会長と自然環境部会長については引き続き私が担当をさせていただきたいと思います。

 それでは、各部会長から一言ご挨拶、抱負などをいただきたいと思います。

 酒井委員からお願いをいたします。

○酒井委員 それでは一言ご挨拶申し上げます。酒井でございます。座ったままで失礼いたします。

 循環型社会部会におきましては、昨年度、第四次の循環基本計画を議論させていただき、幸い昨年の6月に閣議決定いただいております。その中では、地域循環共生圏という構想を環境基本計画と足並みをあわせまして、また、その事前の協議も含めまして構想をさせていただきました。この具体化に向けて、今後、真剣に検討を進めて参りたいと思っております。

 また、同じ循環基本計画の中では、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環を謳っております。そのうちの一つがプラスチック資源でございます。ちょうど海洋プラスチック問題と足並みをあわせまして、このプラスチック資源循環戦略の検討を、小委員会を設置して議論を進めているところでございます。今はその議論がちょうど佳境に入っているところでございますので、いい構想となるように、いい戦略となるよう今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。

 あわせまして、廃棄物関係の検討ということでまいりますと、特に災害対応、毎年災害が頻発をしておりまして、そのたびに多くの災害廃棄物が発生しております。そのいい処理体制、また施設を強靭化することを含めて、また議論を進めて参りたいと思っております。

 簡単ではございますが、以上でご挨拶と抱負にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内会長 はい。どうもありがとうございました。

 それでは、次に大塚委員からご挨拶をお願いいたします。

○大塚委員 ありがとうございます。

 保健部会におきましては、化学物質、例えば化管法とか、今でも検討されていますけれども、水俣病訴訟とか、石綿の被害救済とか、エコチル調査とか、福島の放射線の問題とか、さまざまな安心・安全に関わるような問題を扱っていただいているところでございまして、環境政策、環境省の政策の最も基礎的なところを扱っていただいていると思っています。私自身ももともと公害のところから入ったところもございますので、非常に関心の高いところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、三村委員よろしくお願いいたします。

○三村委員 地球環境部会長をご指名いただきました三村でございます。

 地球環境問題、特に気候変動の問題では、昨年、COP24がありまして、パリ協定の実施をいかに準備するかということ。それから我が国でもパリ協定の長期戦略をつくって、国際的、また国内的にも持続可能な地球社会をどういうふうにつくっていくかというのが非常に大きな課題になっております。

 国内では、昨年、気候変動適応法が施行されまして、そういうことに対しても取り組む必要がありますし、また、副大臣のご挨拶にもありましたけれども、海洋プラスチックの問題とか、地球環境の分野ではさまざまな問題があると思いますので、皆様と一緒に議論をしてそれらの解決に取り組みたいと思います。よろしくお願いいたします。

○武内会長 はい。どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして畠山委員にご挨拶をお願いいたします。

○畠山委員 大気・騒音振動部会部会長にご指名いただきました畠山でございます。

 大気・騒音振動部会では、昨年8月に今後の石綿飛散防止のあり方についての諮問を受けまして、現在、小委員会を設置いたしましてこちらで審議をしているところでございます。また、昨年9月には、トリクロロエチレンの環境基準の再評価に関して、今後の有害大気汚染物質の対策のあり方について第11次答申を行ったところでございます。しかし、大気環境につきましては、まだPM2.5ですとか、水銀の排出の問題、それから自動車排出ガス対策など、幾つもの課題が残されてございます。これらの課題につきまして、部会や専門委員会等において慎重に十分な審議を尽くしてまいりたいと存じております。よろしくお願いいたします。

○武内会長 ありがとうございました。

 続きまして、細見委員お願いいたします。

○細見委員 水環境部会と土壌農薬部会の二つを仰せつかっております細見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 二つの部会におきます直近の重要課題として、まず水環境部会では、生活環境項目の環境基準の見直しとか、さらには水質汚濁防止法に基づく暫定排出基準の見直しが取り組んでいく必要がございます。

 また、土壌農薬部会におきましては、昨年6月の農薬取締法の改正によりまして、生体影響評価の対象項目が、従来の水産動植物から陸域を含む生活環境動植物へと拡大しました。これを受けて、先月、農薬の登録基準について検討して、鳥類と、それから水草を新たに評価対象項目として加えるということと、早急に野生のハチ類に対して検討を進めていくということを盛り込んだ第1次答申を行わせていただきました。さらに、引き続き農薬の登録基準の設定について取り組んでまいりたいと思います。

 さらには、土壌の環境基準と土壌汚染対策法における特定有害物質の基準に係る項目の見直し等にも取り組んでいく必要があると思っております。環境行政はますます複合的でかつ統合的な視点から取り組まないといけませんけれども、水、地下水、土壌といった分野というのは密接に絡み合っていますので、高い視点からそれぞれの分野の部会で検討を進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 それでは、新美委員にお願いをいたします。

○新美委員 どうもありがとうございます。動物愛護部会での状況、それからこれからの進め方について簡単にご報告申し上げます。

 動物愛護部会におきましては、人と動物の良好な関係はどうあるべきかということを基本的な視座に置きまして、さまざまな分野の専門知見を集約しておるところであります。ちょうど昨年辺りからでございますが、動物愛護管理法の見直しの時期に入ってきております。この法律は議員立法でできておりますので、議員の先生方が見直しの議論を進められておるところでございます。我々の部会といたしましては、その改正論議の中に、有益な情報としての専門家の知見を提供したいということで議論を進めてまいっておるところでございます。今後といいますか、近い将来そちらの方向が動き出すときには、より積極的に精力的に議論の中に有用な情報を提示していきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○武内会長 はい。どうもありがとうございます。

 最後に、私のほうから総合政策部会長と自然環境部会長としてご挨拶をさせていただきたいと思います。

 ご承知のように、昨年の4月に第五次の環境基本計画、これを閣議決定させていただいておりますが、その中で非常に大きな特徴として、持続可能な開発目標というのを初めて法定計画の中に取り入れたということ。それから、先ほど酒井部会長からもお話がございましたけれども、地域循環共生圏という、いわば経済と社会と環境を統合した、持続可能で自然共生型の社会づくりに向けて大きなメッセージを発信したということでございます。お陰様で、海外でも非常に評価が高くて、この施策を日本の国内の地域の問題解決につなげていくだけにとどまらず、さらにアジアを初めとする世界各地のそうした3社会像の統合に向けた貢献というところにも持っていきたいというふうに思っております。

 後ほど事務局のほうから予算についての説明があると思いますけれども、かなり地域循環共生圏に対していろいろと地域づくりのための予算が現在考えられておりまして、そういう意味では、少子高齢化ですとか、地方の経済的な活力の問題、こういうことに苦しんでいる地域に対して貢献するような施策として発展していくということがぜひ望まれるのではないかというふうに思っておりまして、審議会としてもそういうことに対して積極的に貢献したいというふうに思っております。

 他方、自然環境部会についてでございますけれども、これは外来種の問題だとか国立公園の問題だとか、いろいろと多岐にわたる問題もございますし、最近では、海洋保護区についての議論がなされたところでございますけれども、やはり長期的に見ると非常に大きな一つの課題は、来年になると思いますけれども、生物多様性条約のCOP15が中国の北京で開催され、今まで世界目標であった愛知目標の後をどうするかという、ポスト2020というふうに今言っておりますけれども、そのことについての日本の貢献というのがとりわけ求められるということになっております。日中間の関係というのは非常に今緊張した状況でもありますけれども、やはり日中がお互いに意思疎通をしながら、愛知目標を踏まえそれをさらに発展させる。特に大事な側面はやはりSDGsというのをポスト2020にどうやって入れ込んでいくかというようなことになるかと思うのですが、そのことについて中国政府とうまく連携しながら、新しい世界の方向性を見出していくことができればいいのではないかというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、各委員に所属いただく部会につきましてでございますが、私の責任で指名をさせていただき、追って事務局を通じて委員の皆様方に連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、議事の3、各部会の審議状況についてでございます。審議会議事運営規則第6条第3項によれば「会長の同意を得て審議会の決議した部会の決議については、会長は総会に報告するもの」とされております。平成30516日から平成3127日までの中央環境審議会の審議状況を資料2、中央環境審議会の審議状況等についてで取りまとめておりますので、これをもって総会に対する報告というふうにさせていただきたいと思います。

 次に、議事4の当面の諸課題についてでございます。環境省から、本日ご出席の委員の皆様方に共有をぜひいただきたく、最近の環境行政について報告をいただきたいというふうに思っております。ご意見、ご質問があるかと思いますが、それについては一通り説明が終わってから受けさせていただきたいと思います。

 それでは、環境省のほうから説明をお願いいたします。

○白石総務課長 それでは、まず環境省からのご説明の全体につきまして私からご紹介し、それぞれの担当からご説明をいたします。

 本日、資料の3-1から3-8までをベースにご説明いたします。

 まず、資料3-1、平成31年度環境省重点施策、これにつきましては大臣官房長から。資料3-2、地域循環共生圏の創造に向けた取組についてを総合環境政策統括官グループから。資料3-3、気候変動対策についてを地球環境局から。資料3-4、生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定について及び資料3-5、生物多様性条約第14回締約国会議の結果概要について、これを自然環境局から。資料36、被災地の環境再生等に向けた環境省の取組についてを環境再生・資源循環局環境保健部から。資料3-7、海洋プラスチックごみ問題についてを水・大気環境局から特にご説明させていただきます。

 なお、資料38、各部局の諸課題についてにつきましては、時間の関係上資料配付のみとさせていただきます。

 では、順次担当からご説明させていただきます。

 まず、平成31年度環境省重点施策について、官房長よりお願いします。

○鎌形官房長 官房長の鎌形でございます。よろしくお願いいたします。

 資料31をお開きいただけますでしょうか。平成31年度の重点施策です。

 来年度の予算につきましては、本日から予算委員会で審議も始まりました。環境省の予算の概要でございますけども、少しめくっていただきますと1ページ目が来ます。件数が掲げてあるところでございますけれども、環境省予算全体の額ということでございます。一般会計で1,609億円、エネルギー対策特別会計で1,706億円、いずれも前年度比8%増ということでございます。

 それから、その下に東日本大震災復興特別会計、復興特会でございますが、5,560億円ということで、前年度比85%ということで減少してございますけども、これは仕事が進んでいるというところで必要額が減少している部分があるということでございますので、必要額は確保しているということでございます。

 全体で8,874億円、前年度比マイナス7%ということになってございます。

 それで、次のページ、2ページ目をお開きいただきます。全体の来年度の重点施策、コンセプトということでございます。ここにございますように、大きな転換期を迎える中で、環境、経済、社会の諸課題に対して取り組んでいく。環境政策に取り組む中で、経済社会課題についても同時解決を実現していく。これが大きなコンセプトでございます。そうした中で、地域循環共生圏というものを創造して、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長をもたらしていこう。こういうコンセプトのもとに組み上げてございます。

 そして、今年はG20が日本で開催されるということでございます。プラスチックの問題、あるいは気候変動の問題、さまざまございますけれども、我が国として、途上国も巻き込んだ形で世界的なうねりをつくり出していく。こういう発信をしていきたいというふうに考えてございます。

 3ページには、全体の重点施策の骨組みでございます。上段には六つの重点課題が掲げてございます。これは昨年の環境基本計画の改定でまとめていただいた六つの重点戦略に沿うものとしてその項目を立てているものでございます。

 また、下には2ポツから6ポツまででございますけども、分野別の対策についても引き続き当然しっかりと進めていくということでございます。こういった構造の中で、具体的な施策については4ページ以下に掲げてございます。

 それでちょっと時間の都合上、トピックだけかいつまんで申し上げますけれども、一つは、海洋プラスチック対策、これが大きな課題ということでございます。4ページ目の(1)の一つ目のポツから三つ目のポツまでいずれもプラスチック関係の予算でございます。我が国の中で、プラスチックごみの国内における発生抑制、あるいは回収・リサイクルをしっかり進めていくというようなことに取り組んでいくということでございます。新たな素材のための実証事業なども含めておるということでございます。

 それから、その中にはESGの金融についても進めるということで予算を組んでいます。

 それから、(2)番に国土のストックとしての価値向上ということがございますけれども、気候変動に関しまして、昨年、気候変動適応法が成立いたしましたけども、こういったものに対応していく事業とか、あるいは一般廃棄物処理施設、浄化槽の整備など、従来から取り組んでいるものもしっかりと取り組むということでございます。海洋ごみ対策にも取り組みます。

 それから、(3)番では、地域循環共生圏、去年の環境基本計画で打ち出していただいたコンセプトだということでございますけど、こういった地域循環共生圏づくりのための自治体を支援していく、こういった事業も取り組んでいくということでございます。

 それで、5ページに参りまして、その他、健康で心豊かな暮らしの実現、あるいは持続可能性を支える技術の開発・普及、あるいは国際貢献といったようなところでそれぞれ予算を組んでいるということでございます。

 あと、6ページ以下は、それぞれの柱に応じた予算ということでございますが、ちょっと私に与えられた時間は3分ということで、もう経過してございますので、そろそろやめますが、ちょっとあと1点だけ。法律制度に関わるものとしてちょっとご紹介しておきますけども、6ページ目の(3)の三つ目のポツに、フロンの廃棄時回収率の向上に向けた法的措置の検討を含む対策強化ということでございます。フロンの回収率向上に向けた法案につきまして、この通常国会で提出して議論したいというふうに考えてございます。

 それから、少し飛びますが、ごめんなさい、8ページ目ですね。8ページ目の生物多様性の確保・自然共生という中で、それも(1)番のうちの三つ目のポツです。沖合域における海洋保護区の設定に向けた法的措置の検討ということで、これにつきましてもこの通常国会に法案を提出していきたいと思います。このいずれも二つの法案とも、それぞれ部会ないし小委員会でご議論いただいた、この内容を踏まえて法律を今立案しているということでございます。

 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○白石総務課長 川又課長お願いします。

○川又総政グループ環境計画課長 環境計画課長の川又でございます。

 私からは資料3-2を開いていただけますでしょうか。地域循環共生圏の創造に向けた取組についてご説明させていただきます。

 1ページめくっていただいて、第五次環境基本計画の概要というスライドですけれども、今、官房長からありましたように、第五次環境基本計画につきましては、中央環境審議会の答申を踏まえまして、昨年4月に閣議決定をいたしました。ここに改めて武内会長を初め、ご審議いただいた委員の皆様方に御礼を申し上げます。

 ご案内のように、第五次環境基本計画においては、各地域が自立・分散型の社会を形成し、地域資源等を補完し、支え合う地域循環共生圏の創造を持続可能な社会に向けた基本的方向性として掲げております。武内会長、先ほどおっしゃいましたように、この人口減少、少子高齢化という中で、我が国は深刻な課題を抱えております。そういった中でこの地域循環共生圏の創造ということを通じて、環境で地方を元気にするということを目指していきたいというふうに思います。

 基本計画の中では、この右下のポンチ絵を使って地域循環共生圏のイメージを説明してまいりました。環境省では、昨年4月の閣議決定以降、この地域循環共生圏の具体的な社会像をさらに具体化していくために、様々なステイクホルダーと意見交換を経て検討を進めてまいりました。そして昨年1225日の総政部会におきまして、次の2ページ目にある図を提示させていただいたところであります。

 2ページ目をご覧ください。非常に盛りだくさんで目がちょっとちかちかする図ではございまして、私どもこれ通称曼荼羅図というふうに呼んでおりますが、曼荼羅のようにいろんなものが盛り込まれているということでございます。この図について簡単にご説明させていただきます。

 キーワードは左の上のほうにあります自立分散「オーナーシップ」、相互連携「ネットワーク」、循環・共生「サステナブル」の三つでございます。地域社会を持続可能なものにしていくためには、各地域が分散していながらも自信と誇りを持って自立しているということが必要で自立「オーナーシップ」というものを掲げております。それから一つ一つの地域が自立しながらも、全て閉じてしまうということは現実的には不可能ですし、経済的にも成り立たないということがございますので、きちんと相互連携、ネットワークを持ってお互いに補完し合うという関係性をつくっていくということが大事だと考えております。

 そして、それぞれ一つ一つの地域循環共生圏の中を見ますと、全て循環、これは炭素循環も含んでということですが、共生という絵姿が実現されているということで、これによって人も物もお金も生き生きと循環しながら、地域外への資金の一方的な流出が抑制されて、豊かさと賑わいにあふれる循環共生のコミュニティが形成していければというふうに考えております。

 この三つのキーワードを通じて活力あふれる「地域循環共生圏」の創造ということを進めてまいりたいと思いますし、また、こういった地域循環共生圏をつくっていくことで、結果として脱炭素化ということも進めていけると考えておりますし、またSDGsの実現ということにもつながっていくものだというふうに捉えております。

 それで、この曼荼羅図の中で、ちょっと図のところの一部だけ説明させていただきたいのですが、五つの柱というものがございます。真ん中の地域循環共生圏というところの下から時計回りでお話ししますと、まず、自立分散型の「エネルギー」システムということで、昨年の北海道の地震等でブラックアウトというものがございましたが、今後は再生可能エネルギーを核とした、そういう自律分散型、災害に強い「エネルギー」システムということをつくっていかなければならないというふうに考えておりますし、また、そういったビジネスですね。今、日本から化石燃料の輸入のために、ピーク時には28兆円年間国富が流出するということになっております。これ頭割にしますと50万人の自治体で年間1,000億ということで、非常に大きなお金が地域から逃げているという状況でございます。環境省のほうでは、地域経済循環分析というツールを提供しまして、産業連関分析表をもとに、具体的にエネルギーでどれくらいのお金が地域から、各1,700の地方自治体それぞれにおいて計算できるツールになっておりまして、大体それによりますと、地域のGDP1割弱ぐらいがエネルギーを買うためにお金が流出しているという状況になっています。そういったものを止めることで地域の経済を活性化していくと。あるいは災害に強いような「エネルギー」システムをつくっていくということを実現していくことが重要だと考えております。

 二つ目が、「災害」に強いまちづくりということで、エネルギーのこともそうなのですが、各種インフラ、そういったもの、防災をどういうふうに進めるかということで、小さくグリーンインフラとかEco-DRRと書いてありますが、そういった自然の力も活用しながら災害に強い地域をつくっていくということも重要だと考えております。

 左の上に、人に優しく魅力ある「交通・移動」システムということがあります。地域では過疎化に伴って交通をどういうふうに維持していくのかというのが重要な課題になっておりますし、また、インフラの老朽化に伴って、道路とか橋とか、そういったもの、これをどう維持していくのかというのは非常に重要な課題になっております。それを今後の自動運転とか、そういった技術も使いながら、地域にも魅力ある交通システムを維持・発展させていくということが重要だと考えております。

 それから、次の「ライフスタイル」ということですけども、これもきちんと自然を保全しつつ、自然を活用して有機農業とか、そういったビジネスも地域の特産品として活用しながら、あるいは自然の景観というものを観光ビジネスというようにつなげるというような形でライフスタイルということを中心に、この地域循環共生圏に貢献していくということも重要だと思っています。

 最後に、多様なビジネスの創出とありますが、これら全てをまとめる形で、やはりビジネスとしてやっていくということが非常に重要だというふうに考えておりまして、この右上のところにも地域経営型のエネルギービジネスですとか、地域資源活用型の観光ビジネスというふうにありますけれども、さらに加えて地域課題解決型のビジネスというものも、上記のエネルギー、観光で稼ぎながら、そういって稼いだ収益の一部を、そういうあまり収益が得られないようなところにも活用してビジネスをやっていくということは重要だと考えております。

 こういったことは下に「Society 5.0」とありますが、最新のAIとかIOTとか、そういった技術も使いながら、こういった地域循環共生圏づくりというのを進めていければと考えているところでございます。

 以上のとおり、この地域循環共生圏は、経済社会の課題解決に大いに貢献する環境対策というものがたくさんありまして、環境にも経済にも社会にもいいという一石二鳥にも三鳥にもなるマルチベネフィットを目指すものだと考えております。ただ、これを進めるに当たりましては、政府、地方公共団体、民間、学会、市民社会、そういった関係者を含むマルチステークホルダーのパートナーシップというものが非常に重要だと考えておりまして、環境省が汗かき役、つなぎ役になって、こういったことを実現するために邁進していきたいというふうに考えております。

 それから、武内会長からも一言ございましたけれども、こういったモデルを海外にも発信していきたいというふうに考えておりまして、昨年12月のCOP24のサイドイベントには武内会長にもご登壇いただいて、このコンセプトを海外に向けて発信していただきました。また、この地域循環共生圏の構築というものは、政府の「SDGsアクションプラン2019」においても、SDGsを推進するための取組として位置づけられておりまして、今年6月のG209月の国連のSGDsのハイレベルフォーラム等にも我が国の取組として発信していきたいというふうに考えております。この地域循環共生圏づくりの創造に向けて、環境省として全力で取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ今後ともご指導、ご鞭撻のほうをよろしくお願いいたします。

 以上です。

○森下地球環境局長 では、続きまして資料の3-3をご覧いただければと思います。地球環境局長、森下でございます。

 昨年は非常にエクストリームイベント、夏の豪雨ですとか、あるいはいわゆる酷暑と呼ばれる現象が起こっております。気候に何か起こっているのではないかということが一般の方々、そしてビジネスの世界でも改めて深く認識された1年であったのではないかと思っております。

 資料3-31枚めくっていただきますと、1枚目には、2018年、昨年の夏の異常気象についてご説明しておりますけれども、日本だけではなくて、これ世界全体で起こっているということでございます。こうやって申し上げますと、夏だけではなくて冬も、そして通年で起こっているということが言えると思っております。

 その次のページ、2ページでございますけれども、IPCCの最近の動きご紹介します。パリ協定の中で2℃目標というのがございます。産業革命以降の温度上昇を2℃未満にすると。そして1.5℃を目指すということが目標の中に規定をされていますけれども、では、1.5℃を目指すというパスというのは一体どういう形態があり得るのかということについてUNFCCCから依頼を受けたIPCCが報告書をまとめて昨年の10月に公表したというものでございます。これによりますと、1.5℃と2℃の温度の差というのは結果にすごく大きな影響を及ぼすということと、1.5℃を大きく超えないようにするには、2050年前後にCO2の排出量をネット・ゼロにしないといけないと。2℃ということになりますと、今世紀後半にネット・ゼロということになりますが、これはパリ協定の中に書いてございますけれども、1.5℃ということになりますと2050年前後ということで、大変なことが予想されるということでございます。

 IPCCの総会につきましては、今年5月に京都で開催をされることになっております。日本がホストをしております。ここでは「温室効果ガス排出・吸収量の算定方法の改良に関する報告書」メソドロジーの改定についてご議論いただいて、それが合意されるということを想定しておりまして、日本のこれは貢献としてしっかりとこのインベントリについては日本が中心になって取りまとめておりますので、発信をしていきたいというふうに考えております。

 次のページが「いぶき」でございます。温室効果ガス観測技術衛星GOSATと呼ばれるものでございます。昨年の1029日に打ち上げに成功いたしております。私ども環境省、それからJAXAさん、そして国環研の間で共同開発をして打ち上げたものでございまして、現行の「いぶき」の1号から大きな改善点が得られております。観測精度が約10倍以上向上する。そして大都市単位、大規模排出源単位でスポットで温室効果ガスをしっかりと認識することができると。それから、人為起源のCO2の特定ができるということも、非常に人為起源の温室効果というのを把握するためにも非常に重要だと思っておりまして、宇宙ほうから地上のことをちゃんと見ていますよ、見張っていますよということに加えまして、途上国でこういった衛星で取得されましたデータというのを十分によく自由に使っていただくということで、気候変動に対する取組をグローバルに進めていきたいというふうに考えております。

 次のページが4ページでございます。三村部会長からもお話がございましたが、昨年COP24が開催をされまして、非常に大きな成果が得られております。パリ協定の実施指針が採択をされました。実施指針と申しますのは、協定を法律に例えますと、政省令とか告示とか、ガイドラインとか、そういったものでございまして、ようやくこれができたことで、今後、パリ協定、そして国際の社会は交渉からインプリメンテーション、実施に大きくかじを向けていくということが言えるということでございます。なお、この実施の採択に当たりましては、二分論によることなく全ての国に共通される実施指針をつくりたいというふうに私ども先進国ずっと思ってまいりました。途上国では、一方で、先進国用はこれだけど途上国にはちょっとこんなのをつくってという二つに分けたようなものをつくりたいという動きがありましたが、最終的にはパリ協定の精神にのっとりまして、フレキシビリティーを入れながら全ての国に共通に適用されるものができたということで、非常に大きな成果があったというふうに考えてございます。

 次のページ、5ページでございます。本年はG20イヤーということでございます。私どもの関係ですと、615日から16日にかけまして、軽井沢でG20、「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」と、こういうものが開かれるという予定になってございます。実はG20で環境に関するこういった会合が開かれるのは今回初めてということでございますので、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 その際のキーメッセージは、環境対策がイノベーションを生んで新たな成長につながるということだというふうに考えておりまして、今後、諸外国とも調整をしていきたいというふうに考えております。

 6ページは、最近の我が国の温室効果ガスの排出量をグラフにしてお示ししたものでございます。一番直近のデータが2017年、一番右の棒になりますが、速報値ベースですけれども、この4年間連続をして温室効果ガスの排出量を下げてきているということが見てとれます。この間、経済着実に発展してきておりますので、いわゆるデカップリング、経済成長しながら温室効果ガスを減らすということが、実際、我が国でも可能にしてきているということがうかがい知れるということでございます。

 7ページでございます。いわゆる長期戦略であります。パリ協定の中に各締約国がロングターム・ローカーボン・ディベロップメント・ストラテジーというのをつくって、つまり長期戦略というのをつくって国連に提出してくださいねという規定がございます。それを受けまして、私どもでは2020年の期限に十分先立って作成をしますということを2016年の伊勢志摩サミットでコミットしておりまして、現在そのための議論を進めてきているということでございます。現在、懇談会を置きまして、そこでご議論をいただいているというところでございます。G20が開かれることも視野に、しっかりとこういった長期戦略をつくっていきたいというふうに考えております。

 8ページになりますが、こちらは脱炭素化をめぐるビジネスの動きでございます。これも1年ちょっとぐらい前から本当に大きな変化を見せてきております。欧米を中心としまして、特にファイナンスの世界ではESG投資が拡大をしている。そしてビジネスの世界ではそれを受けてSBTScience Based Targets、要は気候科学の知見に沿ってパリ協定の目標と整合して自社の中でも削減目標をつくると。そういうことを経営戦略の中に入れていこうということが企業の中でも進められておりまして、そういった取組をする企業というのが、いわゆるガバナンスが効いている、そしてそこが今後の成長につながる、そういう資格を持った企業だというふうに今みなされる、そういった時代が来ております。RE100につきましても、これは再生可能エネルギーを100%使う。あるいはTCFDといいまして、投資家向けの気候変動情報の開示フレームワーク、こういったものをしっかりと受け入れて、それに沿って今後活動していこうという企業が出てきておりまして、私どもその取組のサポートをさせていただいて、こういった企業の経営戦略の中に気候変動の取組をしっかりと組み込んでいただくということを後押ししていきたいというふうに思っております。

 石炭関係でございますけれども、脱石炭火力に向けた動きがどんどん強まってございます。環境省も石炭火力に対しては非常に厳しい姿勢で臨むということにしておりまして、10ページ見ていただきますと、国内でも、金融、生保、さらにはエネルギー分野で脱石炭火力の流れがどんどん鮮明になってきているという状況かと思っております。

 11ページ以降はフロン類の関係でございます。官房長からもお話させていただきましたが、今期通常国会でフロン排出抑制法、いわゆるフロン法の改正にチャレンジしたいというふうに考えてございます。

 フロンに関しましてはオゾン層保護法とフロン排出抑制法というのがございますが、オゾン層保護法はフロンの生産のキャップで、それ以外のライフサイクル全体においてフロンの環境への影響を小さくしようというのがフロン排出抑制法でございます。ポイントは、フロンの廃棄段階ということでございまして、11ページ見ていただきますと、この廃棄段階で回収されるフロンというのが現在3割程度に低迷をしております。これを温対計画の目標である202050%、3070%に上げていくべくしっかりと取組を進めていきたいというふうに思っております。ちなみにこのフロンの取組は世界に先駆けてできたものの一つでありまして、最もすぐれた仕組みを持っているものでございますけれども、それだけ難しいことにチャレンジをしているということで、これをさらに上げていって、こういったものをソリューションとして諸外国にも提供していきたいというふうに思っております。

 具体的な法改正として、現在、中央環境審議会と産業構造審議会で合同の会合を持っておりまして、そこでフォローアップをいただいております。その中でご提案いただいているのがここに書いてございます事項でございまして、要はフロンを使った機器が廃棄される際に、確実にフロンが引き抜かれて処理をされると。そういう仕組みをしっかりつくっていこうということでございます。具体的には、ユーザー、つまり機器を使っている人たちがフロン機器を捨てるときに、現在はフロンを抜かなきゃいけないという規制がもう入っているのですが、それをしなかったときに罰則がかかることになっていますが、これは間接罰になっております。これを直罰にして、一回でも不適正なことをやったらば罰則50万円以下がかかるという規定にしたいということでございます。また、こういったフロンの機器は鉄の塊でございますので、廃棄物・リサイクルのルートの乗って鉄スクラップになるということですが、その際に、リサイクル業者さんがその機器を見たときに、この機器が果たしてフロンを抜いてあるのかわからないという今は状況になっております。そこで、川上からこれはもうフロンを抜きましたよという証明書が流れてくると。その証明書がないともう引き取っちゃいけませんよ、その業者の方々はという規制もあわせて入れたいなと。関係者が連携をしてしっかりとフロンが抜き取れるようにしたいというふうに思っております。また、解体の際にきちんとされてないという例も多いということですので、解体における都道府県の指導がしっかりできるように幾つかの工夫をしていきたいということで、回収率50%、2020年に達成できるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。

 最後に、適応でございます。長年にわたりましてこの中央環境審議会でご議論をいただいてご審議をいただいて、ようやく宿願でしたフレームワーク、法律で昨年つくることができました。本当にありがとうございます。

 こちらにつきましては、その法律に基づきまして、ちょっと飛ばせていただきますが、16ページが法律の概要でございまして、この中で気候変動適応計画をつくる。そして地域の取り決めを進める上で広域協議会をつくる、センターを指定するということが書かれておりまして、現在、17ページにつきましては気候変動適応計画というのを昨年の11月の末に決定をしておりますし、現在、地方広域協議会をこの2月、3月でできるだけ全国で立ち上げるべく、地方に今現在飛び回って活動しているという状況でございます。

 以上でございます。

○永島自然局総務課長 続きまして、生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定についてご説明申し上げます。自然環境局の永島です。

 資料の3-4をお開きください。初めに、検討の背景についてご説明を申し上げます。

 1ページをご覧いただきますと、我が国は世界第6位の広さの管轄海域を有する世界有数の海洋国家であり、その沖合域には海山、熱水噴出域、海溝等の多様な地形等に応じて特異な生態系が存在していることが近年明らかになってまいりました。

 1ページ目の真ん中に海底地形を模式的に表しておりますけれども、熱水噴出孔生物群集というような形でメタンですとか硫化水素を媒介とした生態系などが成り立っているということであります。ここで言う沖合域とは、領海の水深200メートルより深いところと排他的経済水域等を指しております。

 次のページには、沖合の海底域の多様な生物をお示ししております。

 3ページをご覧ください。これらの生態系については、生物多様性の保全の観点から重要であることはもとより、今後の生物資源の利用可能性の確保という観点からも非常に重要なものとなっています。

 4ページをご覧ください。国際的にも海洋環境の保全を推進することが非常に重要となっておりまして、我が国が主導した愛知目標等の国際目標を踏まえて、主要国でも海洋保護区の設定が加速しております。

 我が国において、海洋保護区は「海洋生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性の保全および生態系サービスの持続可能な利用を目的として、利用形態を考慮し、法律又はその他の効果的な手法により管理される明確に特定された区域」と定義しておりますけれども、この保護区の設定は我が国の管轄圏内水域の現在約8.3%にとどまっておりまして、そのほとんどが沿岸域に設定されているということでございます。

 5ページをご覧ください。そこで国内においては昨年5月に第3期の海洋基本計画が閣議決定され、これまでに設定が進んでいないEEZ等の沖合域において海洋保護区の設定を推進し、保全と利用を両輪で進めていくという方針が国全体のものとなっております。

 6ページをご覧ください。これまでの検討と経緯でございますけれども、環境省では、2010年の生物多様性条約COP10の開催以降、沖合域への新たな海洋保護区の設置に向けた調査研究を実施してまいりました。

 まず、沖合域の生物多様性の現状や重要性を整理しまして、平成28年に生物多様性の観点から重要度の高い海域とし設定して公表しました。これを重要海域と呼んでおります。この重要海域はあくまで生態学的、生物学的観点から重要性が高い海域を示したものでありまして、利用状況などの観点は反映しておりません。その後、平成305月に中央環境審議会自然環境部会に諮問をしまして、2回の検討会、そして11月の自然環境部会において審議をいただいた答申案について11月から12月にかけてパブリックコメントを実施しました。パブリックコメントで得られた意見も反映しつつ、本年1月に生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定についての答申をいただいたところです。

 7ページ以降で答申の内容について掲げております。まず、海山、熱水噴出域、海溝など、沖合域の海底地形の特徴に応じて形成されたさまざまな生態系というのは、沖合域の生物多様性の確保、生物資源の保存・管理、試験研究の場の観点から保全する意義が高いと考えられます。しかし、沖合域の自然環境については、鉱物の掘採や魚類を含む動植物の採捕、海洋投棄、船舶の航行等の人為的活動に伴って生じる海底の撹乱、海洋汚染などに加えて気候変動等も影響を及ぼすおそれがあるとされております。これらの影響要因のうち、直接的な人為活動による海底を中心とした生態系に対する影響を軽減又は回避するために海洋保護区の設定が有効な手段となるとされております。

 沖合域の海底の保全のための海洋保護区の指定方針及び管理方針についてですけれども、まず第1に、重要海域のうち、例えば海山、熱水噴出域等を対象として、可能な限り、どの生態系の種類もいずれかの海洋保護区に含めるよう指定が必要とされています。

 そして第2に、規制対象としては、海底の底質を変更するおそれのある鉱物掘採、海底又は海底に付着する動植物に漁具等が接した状態でのえい航行為、すなわち底引網などについて対象とすることが必要とされています。

 第3として、保全の必要性や利用形態等を踏まえて必要な規制の強さによって2段階にゾーニングをした上で、それぞれに適した管理を行うことが適当とされています。

 第4として、海洋保護区内での将来的な資源開発・利用については、今後得られる情報の蓄積を踏まえて、新たな同等以上の保護区を指定することを前提として、必要に応じ順応的に保護区の見直しを行うことも考えられるとしています。

 9ページをご覧ください。沖合域の海底における海洋保護区の設定に当たっては、重要海域を踏まえて資源開発・利用等とのバランスをとった上で候補地選定を行うこととされております。

 具体的に優先的・先行的に保全を図る海域というのも答申の中に示されておりまして、我が国のEEZ内で最も深い海溝や高密度の海山が存在する重要海域を含み、脆弱な生態系タイプが多様に存在し、科学的データが比較的整っておりまして、現時点で資源開発利用の可能性が低いと考えられる小笠原方面の沖合域が有望な選択肢に該当するとされています。

 また、沖合域の生態系は科学的に解明されていない事象が多いことから、沖合域の生物多様性の保全にあたっては、科学的情報の充実を図ることが極めて重要であり、沖合域における生物多様性の情報の収集、整理、分析や調査研究について関係省庁、研究機関、事業者等が連携して一層推進していくということの重要性にも触れられております。

 この答申の検討に当たりましては、海洋生物多様性のほか、国際法や水産業、鉱業等に係る有識者にも参加いただきました。また、内閣府の総合海洋政策推進事務局、農林水産省、経済産業省、外務省などの関係行政機関にもオブザーバーとして参加いただいたところです。

 本答申を踏まえまして、自然環境保全法の一部を改正する法律案を今国会に提出しまして、「沖合海底自然環境保全地域」という名称の保護区制度として整備していきたいと考えております。現在そのための準備を進めております。この改正によりまして、総合的な海洋の生物多様性の保全を達成するとともに、ポスト2020目標等の国際的な議論にも貢献していきたいと考えております。

 引き続きまして、資料の3-5に基づきまして、生物多様性条約COP14の結果概要についてご説明いたします。

 1ページをご覧ください。生物多様性条約は、生物の多様性の保全や持続可能な利用を目的として1992年に採択されております。現在196の国と地域が締結しておりますが、米国は未締結という状況です。

 2010年には愛知県名古屋市でCOP10が開催され、2020年までを期間とする生物多様性の世界目標である愛知目標が採択されました。2020年以降の目標については、中国で開催されるCOP15において決まることとなりますけれども、昨年11月に開催されたCOP14では、COP15までの今後2年間の検討プロセスを決めることが重要な課題の一つでありました。

 また、エネルギー、鉱業、製造業など、いわゆる第二次産業での生物多様性の主流化も主要な議題となっていたところです。

 次のページをご覧ください。COP14はエジプトのシェルム・エル・シェイクで昨年1117日から29日の2週間開催され、これに先立つ14日から15日にかけては閣僚級会合が開催されまして、環境省から城内副大臣が参加したところです。経済と関わりがある議題も多かったということで、会議には経済界から経団連の自然保護協議会の二宮会長なども参加いただきました。

 次のページをご覧ください。城内副大臣は、製造業及び加工業分野の議論を行うラウンドテーブルに参加し、キープレゼンターとして我が国の事例を紹介しました。また、ここで採択された閣僚級宣言では、第二次産業での生物多様性の主流化を進めていくこと、そして愛知目標の達成に向けた努力を加速化させていくことが提言として盛り込まれております。

 また、次のページですけれども、二国間会談等も城内副大臣は積極的に行われまして、エジプトの環境大臣をはじめとして、七つの国と国際機関の代表と個別会談を行っております。

 その次のページをご覧ください。COP14における主要な議題に関する決定の概要について、ご説明いたします。ポスト2020目標の検討プロセスについては次のページでご説明します。

 ②の第二次産業での生物多様性の主流化についてですけれども、インセンティブの付与、それから第二次産業での生物多様性の主流化を進めていくための措置について、締約国に検討を求めるという内容になっています。

 また、③の気候変動については、生物多様性と気候変動対策を同時に進めていくことの重要性、そして④その他の地域的な生物多様性の保全手段については、これは国立公園などの保護地域以外での保全を対象としたものですけれども、その定義や原則について議論がなされ、日本からはSATOYAMAイニシアティブで貢献していくという考えを示しております。

 SATOYAMAイニシアティブについてはポスト2020目標のもとでどういうふうに進めていくかということについて、現在、環境省内や、国連大学等とも連携して検討を進めております。

 このほか、⑤塩基配列情報、それから⑥合成生物学などについても議論がなされ、学術研究や技術開発の推進への影響の観点なども含めて検討を継続していくことになっております。

 なお、現在は2011年からの国連生物多様性10年の期間中となっておりますけれども、2021年以降を国連生態系再生の10年とすることについて、国連総会に提案することが決議されております。

 次のページをご覧ください。ポスト2020目標に関する今後のプロセスについてです。COP14では地域ワークショップ等を開催することや、締約国政府をはじめとする多様な主体の参画によるワーキンググループを2回以上開催することなどが決まりました。日本では世界に先駆けてアジア太平洋地域での第1回ワークショップを、この1月末に愛知県名古屋市でホストいたしました。その概要については参考2に記載しております。

 これらのほかにも、既に決定されていた条約の補助機関会合等における議論を踏まえて、202010月に中国の、恐らく北京ということになりますが、開催予定のCOP15において、ポスト2020目標が採択される見込みになっております。

 以上となります。

○森山環境再生・資源循環局次長 では、続きまして、資料3-6をお願いしたいと存じます。

 環境再生・資源循環局次長の森山でございます。

 まずは、1ページ目でございますが、右下、3ページ目になります、まずは福島関連で、環境再生に向けてどういったことをやっているかということでございますけども、災害廃棄物の処理ですとか、それから福島から漏れました放射能に関する廃棄物関係の処理、それから除染、被災家屋の解体、こういったことを環境省のほうで実施しているところでございます。

 4ページ目をご覧ください。体系図でございますけども、主に除染関係、土が中心になりますけども、これを剥ぎ取りながら減容化し、中間貯蔵施設に持っていくと。それから、廃棄物につきましては、解体建物が中心になりますけども、これを減容化し、濃度に応じまして中間貯蔵施設もしくは特定廃棄物の処分施設に持ってくると、こういう流れになってございます。

 こういった中で、次のページ、5ページをご覧ください。まず除染につきましては、帰還困難区域のところを除きましては、昨年、約1年ぐらい前に大体、除染が終了してございまして、現在は帰還困難区域のうちの一部に着手しているというところでございます。

 次をご覧ください。除染したものはフレキシブルコンテナという1トン程度が入るような袋に入れまして、これを地域に仮置きしまして、それを順次、中間貯蔵施設に運ぶと、そういう作業でございます。現在はフレコンバックでございますけども、これが1,400万個ぐらいあるものが、今200万個ぐらいが運び済みになってございまして、まだ仮置き場というものが、1,100カ所ぐらいあったものが今は1,000弱まで減っていると、そのような非常に大きな数があるわけでございますが、除染が大体、作業が終わりまして、今たまっている仮置き場から、こういう黒いような、一つが1トン程度になりますけども、そういったものを運び込む、そういった作業でございます。

 次をご覧ください。中間貯蔵地、これは福島第一原発の周辺の双葉町、大熊町に用地を買いまして、用地のほうも7割を超える程度の用地買収が完了し、現在、必要な整備を進めているところでございます。

 次をご覧ください。各地からここに運び込むと、そういう作業をしてございまして、現在、2018年度は目標180万立米という目標でございますが、それに対して黄色いところ、現在は120万程度が運び込みを終えていまして、トータルで累積しますと現在200万立米超が運び込めてございます。一日1,500台の10トンダンプで運んでございまして、来年度以降は400万立米、台数でいきますと2,500台程度を運び込むという作業をしていく。そういうことをやりながら、来年、再来年、3年目ごろには大体の運び込みを終えようということでございまして、現在、現場に行きますと、右にありますようなダンプに緑のこういうゼッケンをつけまして、除去土壌運搬車輌ということがわかる形で、安全を第一に運んでいるというところでございます。

 それから、運びましたものは受入分別施設、土壌貯蔵施設というもので、運んだものの袋を破きまして、大きな木ですとかコンクリ殻というものを取りながら、それから振り分けをしながら、ごみ系統を取りまして、20ミリ以下の、使えるような形の土に再生する形で処理し、それをこの土壌貯蔵施設に埋める、こういった作業をしているところでございます。

 それから帰還困難区域、これについても将来的にはちゃんと住める形にしていこうという方針が出てございますので、昨年から帰還困難区域の中でも拠点地区を決めまして、除染作業に入っているところでございます。昨年の11月に右下の葛尾村で着手しまして、6地区の全てで新しく除染作業が加わったところでございます。これについても新しく、そういった土のほうの発生が始まるというところでございます。

 それから土につきましては、11ページでございますけども、中間ということで、施設におきまして30年後には県外に最終処分をしよう、そういう方針になってございます。最終的な処分量を減らすということが方向になってございまして、極力、再生利用していこうということで、こういったロードマップをつくっているところでございます。

 12ページをご覧ください。上のほうに閣議決定の文字がございますけども、最終処分に向けた減容、再生利用に関する技術開発を国民の理解のもとに推進するとともに、再生利用先の創出に関し、関係省庁が連携して取組を進めるということで、特に8,000ベクレル以下のものは、手順を決めれば通常の土壌に使えるというような方向を出してございますので、そういったことを念頭に、再生利用を進める努力をしてございます。現在は南相馬市で実験ですとか、飯舘村で実験しながら、安全の確認をしながら、そういった具体的な処理の仕方等も検討しながら、その先を探しているところでございます。

 それから、13ページ目が、これは廃棄物の関係でございますが、各市町村ごとに処理ということで、昨年11月に双葉町でいよいよ新しく焼却炉の建設が始まりまして、全てのまち・村でそういった設備の準備が整ったということでございます。

 それから、14ページ目でございますが、これは現在動いているものでございますが、特定廃棄物埋立処分場ということで、これにつきましては一昨年の11月に搬入を開始し、現在は順調に搬入を進めているというところでございます。

 以上でございます。

○梅田環境保健部長 引き続きまして、16ページをご覧ください。

 環境保健部長、梅田でございます。

 住民の方々の、福島第一原発事故に伴う放射線に係る健康の不安、健康管理対策ということで実施している事業について、ご紹介したいと思います。

 住民の方々の不安に寄り添い、また長期に健康を見守るという目的で、福島県において県民の健康調査と、そして安心リスクコミュニケーション事業を行っております。これに対して環境省は、基金に財政的な支援を行うとともに、内容についての助言を行っております。

 具体的には右の、16ページの右側、福島県の囲みにありますが、県民健康調査事業による健康管理と安心・リスクコミュニケーション事業があります。県民健康調査事業につきましては、基本調査として外部被ばく線量の推計・把握を行っているということと、詳細調査、これは定期的に行っているものですが、甲状腺検査や生活習慣病などを念頭に置いた健康診査、心の健康度を調査したり、妊産婦の方々の調査を行ったりしています。

 ちなみに妊産婦に関する調査について、これまでのところ、生まれてきたお子さんに早産、低出生体重児、あるいは先天異常などについて、全国に比べてほとんど変わりがない、むしろ全国的な平均よりも発生率が低いというようなデータが出ているところです。

 また、甲状腺検査について、次のページで詳しくご紹介しております。チェルノブイリの事故の後で、住民の中で放射線の影響と確認されたのが甲状腺がんだったため、県民の方々に不安に応えるということでスタートした、詳しい超音波による甲状腺の検査です。対象者は事故当時に概ね18歳以下の、当時胎児であった方も含む全県民としております。対象約36万人、これは20歳を超えるまでは2年に一度、20歳を超えてからは5年に一回、繰り返し定期的にご案内を出しているというもので、先行検査は平成23年度からスタートしております。以降、継続的に2回目、3回目、4回目のお知らせをしていて、それぞれの対象者数と受診数を表にしておりますが、これまでの間、先行検査で見つかった悪性ないし悪性疑いは116名、そして本格検査の1回目と2回目で各々71名、18名の方々が見つかっておりまして、トータルで悪性ないし悪性疑いは、表の下に書いてありますが、207名。そして手術の結果、甲状腺がんと確定された方々が166名という結果になっております。

 この結果をどのように解釈するかについて、評価が行われております。まずは、平成283月に福島県「県民健康調査」検討委員会が中間取りまとめをしておりまして、この時点では先行検査の検査結果についての評価を行いましたが、総合的に判断をして放射線の影響とは考えにくいという評価を出しております。その根拠となっていますのは、下の鍵括弧のところに書いてありますが、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて少ない、被ばくから発見までの期間が短いので潜伏期間を考慮すると考えにくい、チェルノブイリの場合は事故当時、小さいお子さんからの発見が多かったのですが、福島の年齢分布がそうなっていない、線量の違う地域間で発見率に差がないということを根拠としております。

 環境省の専門家会議でも、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は認められないとしておりまして、また国際的にも、国連科学委員会UNSCEARが、福島でチェルノブイリ原発事故のときのように多数の放射線誘発性甲状腺がんが発生するというように考える必要はないという報告書を出しております。このことは、同じ国連科学委員会2017年の白書でも同様に認められておりまして、福島で発見されている甲状腺がんの症例は放射線の影響ではなく、集団検診の検査の感度が良いことが影響している可能性が高いと付記されているところでございます。

 甲状腺の検査は引き続き、対象の方々の健康を見守るという観点から、続けられておりますし、現在、本格検査の評価が行われているところでございます。

 続きまして、18ページの放射線に係る住民の健康不安対策でございます。健康不安対策のためにさまざまな取組を行っておりますが、特に避難指示解除をきっかけに帰還された方々や帰還を考える方々を対象とした住民セミナーや車座集会、特に昨年度は避難指示解除をきっかけに、多く開催しております。

 当初は放射線の影響の基礎知識に関連する内容が多くありましたが、その後は相談の内容が暮らしと密接に関連し多様化、複雑化している、変化してきておりますので、住民の方々を身近に支える相談員の方々の能力向上の支援を行うため、相談員支援センターを設置いたしまして、相談員の方々の対応を支援する、研修会や専門家派遣を行っております。

 また、全国に正しい情報を発信し風評を払拭するという観点から、さまざまな情報発信とリスクコミュニケーションに努めております。これも繰り返し行っていくことが重要と思っております。

 以上でございます。

○田中水・大気環境局長 それでは、海洋プラスチックごみ問題につきまして、資料3-7に基づきまして、ご説明させていただきます。

 関係局に幅広くまたがりますけれども、水・大気局のほうから一括してご説明を差し上げます。

 まず、1ページをご覧ください。まず、問題の状況、現状でございますが、もう言うまでもなく、ここの写真にありますように、現在でもかなり多くの海洋ごみ、海洋プラスチックごみが日本の海岸にも来ているということでございまして、左上にあるように特に日本海側、あるいは西日本のほうでは海外のものも、右のほうに洗剤容器などもありますけれども、たくさん来ているということでございます。陸域から来るものが多くございますけれども、もちろん漁具についても、特に重量ベースで行くと、かなりあるということでございます。

 被害として、下のほうにありますけれども、もう間違いなく、動物が誤って食べたりとか絡まったりとか、そういうことがございますし、船舶への影響、観光・漁業への影響、美観を含め、居住環境への影響、こういったものは間違いなくございます。

 さらに、小さいもの、5ミリ以下のものをマイクロプラスチックと言っておりますけれども、こういったものが生態系にどういう影響を及ぼすか、さらには人の健康にも何か影響があるのではないかというような心配、懸念もありますので、各国でこの辺の調査研究が進んでいるということでございます。

 2ページでございますが、海外の知見でございますけれども、例えば左にあるように、モデルを使って、どういうふうにプラスチック、特にマイクロプラスチックが分布していくかというようなことも予想、推計されております。

 右のほうは有名なアメリカの研究者による、これも推計でございますけれども、さまざまな前提を置いた計算によると、中国、インドネシアを初め、途上国における排出量が大変大きいということでございますので、世界全体の海を保全していく上で、途上国からの排出をどう抑えていくかというのは世界の課題だということでございます。

 3ページでございますけれども、環境省でも沿岸、それから近海、いろんなところで調査してきておりますけれども、そういう実態把握の中で、これは手っ取り早く起源がどこにあるかというものを見ようとすると、やはりペットボトルというのが適宜、便利な手段ということでございますが、左側の西日本、それから日本海側、こういったところを見ると海外由来のものが多いということは当然ですけれども、よくわかりますが、そうではないところ、太平洋側とか、あるいは内湾といったところだと、国内から発生しているものも大変多いということなので、海外と国外と、両方で対策が必要ということでございます。

 次の4ページでございますが、ごく最近の国際動向ということになりますけれども、2015年のSDGsの中にも海洋に関する目標の中に海洋ごみの大幅な削減ということが盛り込まれているところでございます。国連でも、それから多国間の枠組みとしてのG7G20においても、ここのところ、特に昨年辺りから、プラスチックごみの問題にどう対応していくかということが国際的にも大きな議論になってきているということでございます。

 右下にありますが、今年のダボスでも総理のほうからご発言をいただいて、大阪G20を出発点として、しっかり取り組んでいくというようなことが述べられております。

 5ページでございますが、国内でどうしているかということでございますが、かなり前から日本の海岸、諸海岸で大きな問題となっていたところでございます。ちょうど10年前に海岸漂着物処理推進法、通称は海ごみ法といっておりますが、制定されました。昨年の通常国会で、この法律を改正いただきまして、例えばマイクロプラスチックを初め、そういったものの発生抑制などを中心に、もう一つはやっぱり国際連携、国際協力を進めるのだということを法律にも明確に書いていただいたというところでございます。

 それから、循環基本計画の中でもプラスチック資源循環戦略の策定を初め、上流での3Rによる発生抑制、こういったことが明確に位置づけられているということであります。

 国内の海岸においては、国のほうで補助金を準備して、これで自治体で行っていただく回収処理を支援していく体制をとっているというところでございまして、今年も補正予算が通ったばかりでございますけれども、その中に盛り込んで、これを推進していくこととしております。

 6ページでございます。今後の方向性ということでございますが、冒頭、官房長からの発言にもありましたけれども、G20があります。その大きな課題の一つにもなっておりますので、G20から国際社会に発信するということで、これから取りまとめをしていく必要がございます。

 それから資源循環戦略、これも部会長のご発言の中にもありましたけれども、これから取りまとめに入っていくということでございますので、国内でもこういったものをしっかり進めていく。それから、改正された海ごみ法の基本方針というのを今政府で作っておりますので、こういった中にも海ごみに対する基本的な考え方をしっかり打ち出していくということでございます。

 次のページ、7ページでございますけれども、最終的には一人一人の国民も含め、産業界、自治体、国、研究者、さまざまなアクターの連携と協力、こういったことが非常に大事でございますので、環境省でもプラスチック・スマート・キャンペーンということで、下にありますように、こういった旗印のもとに取組を集約していこうということで、さまざまな取組をここに取りまとめて、国内外に発信するということを始めているところでございます。

 8ページを見ていただくと、具体的にキャンペーンのもとで実際にフォーラムというのを作りまして、フェイス・トゥ・フェイスで情報共有なり連携する、そういう場も作っているところでございます。これから、右にありますような大臣表彰ですとかシンポジウムですとか、ごみゼロウィークですとか、こういったことも進めて、一人一人の意識啓発、普及推進、普及啓発、こういったことを進めていく、そういうこととしております。

 よろしくお願いいたします。

○武内会長 以上で説明を終えたわけでございますが、ちょっと予定より長くかかりまして、残りが30分しかないということで、大変恐縮ですけれども、ご質問、ご意見のある方は簡潔にお願いしたいと思います。

 それでは、札を立てていただきたいと思います。

 それでは、私のほうからよく見える三村委員から、どうぞ。

○三村委員 ありがとうございます。

 資料3-2の地域循環共生圏について、お伺いしたいと思います。曼荼羅図は非常に興味深く拝見しました。こういうような方向で、それぞれの地域が自立してさまざまな意味での活力を展開していくというのは非常に重要な施策だと思うのですけれども、それを施策のレベルにするにはどうしたらいいかということを、お伺いしたいと思います。

 まず、概念としての共生圏というのはわかるのですが、それは一つの自治体をイメージしているのか、複数の自治体なのか、そういう地域のスケール感というのはどのようにお考えかというのが一つです。

 それから、これを推進する上での施策を打つ予算、それがもう既に今年度の予算から入っているかどうかというのが2点目。

 3点目は、地方創生の計画とも非常に密接に関連すると思いますので、それぞれの市町村は地方創生総合戦略というのを持っていると思いますが、それとの連絡がもう既にとられているかどうか。

 その3点であります。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは次に、松永委員、お願いします。

○松永委員 私も同じ資料、地域循環共生圏の曼荼羅図で、これは意見でございます。非常に瑣末なところなのですが、エビデンスに基づく政策とか、それからリスクコミュニケーションというところで、ちょっと、あれと思うところがありましたので、意見として述べさせていただきます。

 地域循環共生圏、真ん中の右上のほうの「衣・食・住にわたるオーガニック・ビジネス」、ここに小さい字なのですが、見ていくと、「体に優しくおしゃれなオーガニック素材衣類」とか、「自分と地球に優しいオーガニック・コスメ」とか、いろんなことが書いてあります。科学的なエビデンスからいうと、オーガニックが人に優しいという根拠は、ちょっとないのではないかなというふうに私は思っています。論文はいろんなものが出ていますけれども、消費者への残留農薬ということについては、リスクとしては無視できる、むしろオーガニックだとカビ毒というような問題をどう制御するのかという話もありますので、違うところでは、農薬以外のところではリスクが大きくなったりというようなことがありますので、消費者という観点では、人に優しいということは言えないというのが多分、エビデンス13453)的なコンセンサスだと思います。

 それから、農業者のばく露量というところも今は非常に先鋭的なトピックで、農業者のリスクの大きさはハザードの性質とばく露量によって変わりますので、今いろんな研究が出てきているというところで、どちらとも言いがたい。人に優しいという根拠が多分、エビデンスとしては非常に薄弱だというふうに私は思っています。

 それと、環境に優しいということが当たり前のように書いてあるように思いますが、それも今いろんな異論がありまして、例えば農薬を使うかわりに石油エネルギーを使って除草するというようなことが、果たして環境負荷が低いのかどうかということはわかりません。それから今、非常に大きな問題になっているのが、オーガニックは収量が低いので、その中で食料とかいろんな素材、原料として調達していくには、農地を造成していく、地球規模で見たときには農地を造成していく必要があると。農地造成イコール自然破壊にも直結するので、収量の低さという観点は、もっときちっと検証すべきだということで、いろんな研究が行われています。そういう背景を考えると、なかなかこういうような雰囲気では、私は書けないのではないかと。右下にはオーガニック素材をベースとする素材イノベーションというふうに書いてありますが、これも果たして環境負荷が低いのかどうかというところは、物すごく検証が必要な問題であろうと思います。

 日本は自給率が38%しかありませんので、食料を大量に輸入していて、その食料はいわゆる科学技術を使った大量栽培のものであり、オーガニックが排除している遺伝子組み換え技術を使ったものです。それが大量に入って、それを食べている、利用しているという現実がありますので、それを利用しながら、国内ではこういうふうにオーガニックはすばらしいというような情報を市民に与えるということの意味合いというのは、やっぱりきちっと考えておくべきことであろうというふうに思います。

 長くなりましたが、やっぱりエビデンスに基づく資料をつくる、政策を展開していただく、それから市民に情報提供していただくということがとても大事なことだと思いますので、そういう観点から、ちょっと気をつけていただきたいなというのが、私の意見でございます。

 以上です。

○武内会長 中根委員、お願いします。

○中根委員 海洋汚染対策の保護区について、事務局ないしは専門の委員の方にお伺いしたいのですけれども、海洋国家がEEZ内を中心に非常に市民に(30:55)海洋保護の取組をしていかなきゃいけないと考えておりますが、その際、地球温暖化による海面上昇が避けられないことがございます。そういうことでEEZが狭くなり、海洋保護の対象が減る、またはインセンティブが減るということがあるのではないかと危惧しておりますけれども、例えば温暖化の影響がはっきりしてきた1980年ごろとか、海面上昇の兆しがはっきりしてきた辺りでEEZないしは海洋保護の対象として取り組む領域を固定化するような、そういう議論が国際的、または国内的にもあるのかどうかと、そこをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○武内会長 ありがとうございました。

 新美委員、お願いします。

○新美委員 どうもありがとうございます。

 私も3-2の曼荼羅図についてですが、一つは、一つというか、それだけなのですが、この中でタイトルで自立分散という言葉と、下のほうの自律分散型の「エネルギー」システムというのは、同じ音なのですけれども、字が違っているんですね。この両者は専門領域によっては相当意味が違うので、書き分けたのはどういう趣旨なのか。さらには、オーナーシップというと、むしろ自ら律するほうのほうがふさわしいのではないかという気がするのですけど、両者を書き分けた意味を少しお伺いしたいと思います。

○武内会長 ありがとうございました。

 髙村ゆかり委員、お願いします。

○髙村(ゆ)委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思うのですが。

 一つは地域循環共生圏についてです。やはり社会的課題に対して統合的に対処する必要があって、その可能性があると、そこに環境政策が実践で貢献できるという図を、絵姿というのでしょうか、これを示したのは大変重要だというふうに思っております。その上で、三村委員のご指摘にも関わりますけれども、さまざまなモデル事業あるいは地域の支援事業において地域の力、特に私が念頭に置いていますのは地域の大学の関与、専門家の関与というのを重視していただきたいというふうに思います。それが継続的、持続的に、モデルから定着していくために非常に重要な条件だと思うからです。

 2点目が気候変動に関してであります。ご紹介があったとおり、この間、非常に大きな変化が生まれていると思いますが、次の日本の課題として、長期戦略に加えて、2020年のタイミングで、目標あるいは削減努力の水準をどう引き上げていけるかという課題に、やはり応える必要があるというふうに思います。

 いろいろ可能性はあると思いますが、一つはやはりHFCの排出の拡大というのは大変、エネルギー分野の削減を相殺するような状況になっているというところについては、ぜひ検討いただきたいと思います。

 最後、3点目は生物多様性のための沖合の海洋保護区の選定について、大変歓迎いたします。あわせて、ぜひ検討いただきたいのは、自国内あるいは自国のEEZ内の遺伝資源の重要性、生物資源の重要性を念頭に置いた設定だと思いますので、名古屋議定書のもとで、その資源へのアクセスについて、きちんとした国の管理が行き届いているかどうか、そういう制度になっているかどうかということについては、次の検討課題としてお願いしたいと思います。

 以上です。

○武内会長 ありがとうございました。

 髙村典子委員、お願いします。

○髙村(典)委員 ありがとうございます。

 地域循環共生圏の概念について、私もとても期待しておりまして、いい計画をつくっていただいたなと思います。具体的にこれを地域の人たちが実践していく、すなわち、地域の自然資源や環境資源を活用しながら地域経済を活性化させ、災害対応など、いろんなことを考えていくと。ですから、地域の環境部門以外のさまざまな地域の主体が参画しやすいような具体的な形、や仕組みを考えていかないといけないと思います。

 いい取組をしている団体の表彰とか、そういうふうなところは今までもやっていただいているのですが、ある程度、誰でもと言ったら変ですが、自治体の行政を担当している、施策をやっている人であれば、このポイントを考えていけば、ベースラインのところはやっていける、どういう部署に参画してもらって一緒に考えていってほしいというようなことを、ある程度、示していただく、そういうマニュアル的なものをつくっていただけると、自治体のほうはやりやすいのではないかという気がしました。ぜひ、そういうふうなこともお考えいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○武内会長 ありがとうございました。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。大きく言うと3点、お話ししたいと思います。

 やはり1点目は地域循環共生圏ということ。私自身も市民や地域の視点で環境まちづくりを長く支援してまいりました。制度の中で、そういう地域ごとの資源をしっかり活用しながら環境も考え、地域の方たちの暮らし方も考え、将来に向かって活力ある地域をつくるという、こういうことが明確に位置づけられたというのは、大変、地域にとって勇気をいただくことなのではないかというふうに思っております。

 少し、一つ具体的なことを申し上げますと、東京2020大会というのは都市型の地域循環圏づくりをしているというふうに理解していただいてもいいのではないかと考えております。私は今、持続可能な運営をするために組織委員会の検討に協力していますが、この委員会でも多くの委員の方に、そういう場で協力していただいておりますけれども、やはりエネルギーの問題、脱炭素の問題、そして資源をしっかり使い切るという資源管理では、調達物品99%リユース・リサイクルとか、非常に高い目標を掲げて、これが本当にできるように、いろんな方の知恵をいただいている真っ最中ですので、関心を持っていただきながら進んでいければというふうに思っています。

 なお、レジ袋とか、使い捨てのプラスチック容器包装などの課題も今、海洋プラスチックを入り口にしてプラスチック戦略を話し合っていますが、そういう中でできるだけ早目に、こういう無料配布の中止、有料化のような制度化は早めていただいて、実現していくのも大事なのではないかというふうに思っております。

 アジアに広げる地域循環圏という話でいえば、アジアというか、世界に広げるという話で、COPの開催地で発表されたという話を伺いましたが、3月上旬にはアジア太平洋3R推進フォーラム、環境省の支援でタイのバンコクで開催されますが、こういうところでしっかりと発信していくというのも大事だと思います。私もNGOとしてサイドイベントを実施するために行きますけれども、そこでしっかりと市民、地域の目線からのアジア地域循環圏をつくって、SDGsに貢献するという、そういう視点でしっかりとサイドイベントを実施してこようと思っています。

 2番目に申し上げますと、例えば国民運動とか、そういう取り組みは非常に大事で、いろんな分野ところにありますが、これがどういう効果を持っているのかというのはなかなか多くの方には見えにくい。例えば資料3-3の地球温暖化のところ、今日は資料に出ていませんでしたが、昨日、クール・チョイス・アワードの表彰式というのがありました。やはりこういう具体的な取組をしている人たちを応援していただくというのは、先進的な内容が出てきますので、私は非常にいいことだというふうに思っています。

 同じように、資料3-7にある海洋プラスチックのところにプラスチック・スマートという大きな枠をつくったという記述があります。こういうような連携の場を活用しながら、企業の方、そして市民の方、そういう具体的なものをしっかりと、いい取組を把握して発信するという、そういうことをやっていただくのが大事だというふうに思っています。

 最後に、簡単に申し上げます。福島の対応ですけれども、私はコミュニケーションの分野で関わらせていただいておりますが、今、中間貯蔵に向けたトラックも一日2,400便というのは途方もない台数なのですが、見学をしたら、非常に、何とこんなに緻密な一台一台の管理をしているのだろうと思うようなシステムをつくりながら、事故のないように、迷惑にならないようにしっかり管理していました。また、健康管理のほうでは相談員支援センターの皆さんが、しっかりと地域の方に根づくにはどうしたらいいかということを日夜悩んでおられる。もちろん、被災された方にとって、これで十分かというのはわからないですけれども、そういうような、いろいろな取組をもっともっと多くの方に発信していくということで、少しずつ復興に向かっている福島の現実というのを伝えていくというのも大事なことではないかなというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

○武内会長 ありがとうございました。

 小西委員、お願いします。

○小西委員 ありがとうございます。手短に2点、申し上げさせていただきます。

 1点目がまず、3-13-2に書いてあることなのですけれども、まさに脱炭素化とSDGsの達成に向けて、さまざまなイノベーションを起こし、同時解決という、この方向は本当に今の安倍総理もおっしゃっていて、本当にこれは、この時代になったなと、いいなと思っているのですけれども、イノベーションという言葉は、非常に人によって使っている意味が違うかなと思っております。例えばダボス会議の安倍首相のイノベーションといったスピーチにおいては、例えばCCSUとか、水素キャリアとか、そういったことをすごく例に挙げていらっしゃいます。一方、環境省さんのおっしゃるイノベーションって、曼荼羅図を見ていても、かなり、例えば再エネビジネス、適応ビジネスとか、アグリゲーションビジネスとか、細かに地域社会とか、社会システムをイノベーションが起こりやすいようにする、変えていくということも含めて、イノベーションとおっしゃっていらっしゃるのかなと。例えば社会システム、カーボンプライシングはその一つだと思いますけれども、そのここでおっしゃるイノベーションの意味というものを再度教えていただければなと思っております。

 あと2点目が、資料3-38ページで、例えば環境省さんが今、パリ協定、まさに非国家アクターの大きなイニシアティブも後押しして達成したもので、各地で非国家アクターたちのイニシアティブが非常に活発化していますけれども、例えば環境省さんがSBT支援をこのまま継続されたり、RE100を経産省さんが支援されたりとか、いろいろ省庁側からの非国家アクターへの働きかけというのも非常に大きくなっていると思います。その中において、例えば今、ジャパン・クライメイト・イニシアティブ、自治体さんと企業さんで参加は340を超えました。ですので、こういった非国家アクター発のイニシアティブも、例えば今までの産業界といったら、既存の産業界だけではなく、こういった新しいイニシアティブも日本の産業界として扱って、そして連携を考えていくとか、あるいは意見を聞いていくとか、そういったことをお考えいただけたらなと思っているのですが、そういった非国家アクターの新たなイニシアティブについてはどう思われていらっしゃいますでしょうか。

○武内会長 それでは大塚委員、お願いします。

○大塚委員 はい、2点の意見と1点の質問を簡単に申し上げさせていただきたいと思います。

 一つは、プラスチックの資源戦略でございますが、現在、案が検討されているところでございますので、ぜひそれを粛々と進めていっていただければと思っています。プラスチックの問題は従来型の資源循環問題と、温暖化対策の問題と、それから海洋プラスチック汚染問題と、三つの問題が重なっているところがございますので、実はそれぞれ、多少ずれているところがなくはないと思っているのですけれども、それらに総合的に対応するということを目指して、現在の案を私はいいと思っていますけれども、その案をさらに実践することを検討していただく必要があると思っています。

 それから、プラスチック資源戦略に関しては、基本的に国内のものですけれども、先ほどお話がございましたようにG20との関係がございますので、まず国内で始めるということで、国内でやることは極めて重要ですが、途上国の対応は必ずしも国内と同じものになるかどうかという問題は、例えば焼却の問題とかを含めて、なくはないところがあると思いますので、その辺で、必ずしも国内のやり方と100%同じことをG20でご提案になる必要があるかどうかという問題はあるかもしれませんので、その辺も含めて、ご検討いただければありがたいと思っております。

 それから、気候変動の問題につきましては、先ほどご議論がございましたように、長期戦略をどうするかが最大の課題だと思いますけども、先ほど森下さんがおっしゃった、IPCC1.5度特別報告書との関係では、今回の日本の長期戦略のほうに、今つくるのであれば、やはり1.5度目標のことは無視できないと思うので、どのようにして取り込むのかということを考えることが非常に重要なのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 それから、三つ目でございますけれども、沖合域の問題でございますが、先ほどご説明いただいて、私もちょっと関わらせていただいたので、法案になって大変よかったと思っていますけども、2段階のゾーニングというのは、従来の自然環境保全法の中の特別地域と普通地域のようなことをお考えなのかということを、改めて確認させていただきたいと思います。

 それから、COPのほうでの議論で、第二次産業の中で生物多様性を主流化するというのは具体的にどういうことをお考えなのかということを教えていただけるとありがたいです。

 以上でございます。

○武内会長 ありがとうございました。

 それでは豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 では私も2点だけ、簡潔にお願いいたします。

 地域循環共生圏について、お伺いしたいです。私は地域側から来ておりますけれども、今までと違うことは、特に経済的な側面がかなり強いということで、今まで環境省さんは環境保全とか、専門的なこと、保全などは得意だったとは思うのですが、経済的な側面を支援するところについて、なかなかそこが本当にそろうのであろうかということと、自治体側も同じで、こういうビジネスについて非常に弱いということもあって、私は非常に、先ほど髙村先生からも大学を利用してはということがありましたけれども、私ももう少し専門的な事業支援をするような、中間支援のアドバイザーが必要だと思っていて、人材的にもそういうものが必要だと思うので、それが置き去りにされては、なかなか事業化というようなことが進んでいかないと思いますので、そういう支援のほうをぜひお考えいただければと思います。ネットワークにすることも、ですけれども、中間支援の専門的な分野の応援が必要だと強く思っております。

 もう一つは、省庁間の調整も必要だと思っていて、今、ちょうど、洋上風力の推進地域5カ所などが議論されておりますけれども、環境省の役割がよくわからないのと、地域がどうも置き去りにされていて、どうやってそこに地域がコミットしていくのか、地域が主体的に事業を起こしていけるのかというような議論が全く置き去りにされていて、地域の意見を聞いて推進地域を決めていくというようなニュアンスで語られていては、地域のやり方がわからない、関与の仕方がわからない、どのような準備をしていいのかわからないというような声もたくさん聞きまして、非常にそこに乖離があるというふうに思いますので、ぜひ地域循環共生圏を実現するに当たっては、そこのところのご配慮をお願いします。

 今日お答えをいただけるとは思いませんけれども、意見として述べさせていただきました。ありがとうございます。

○武内会長 よろしいですか。それでは事務局のほうから、特にご質問があった点について、ご回答をお願いしたいと思いますが。

○白石総務課長 まず、順番で申し上げますと、一番質問の多かったのが曼荼羅図でありますので、まずそちらにつきまして。その次に自然局関係、次に地球局、それから水・大気局の順番、あと一番最後に福島関係で、お話があればとその順番でお願いを。

○武内会長 恐縮ですけれども、5分ちょっと、少し伸びるというふうにご理解いただいて、おつき合いいただければと思います。

○川又総政グループ環境計画課長 すみません。曼荼羅図について、簡潔にお答えさせていただきたいというふうに思います。

 まず、三村委員のほうから地域圏にどういうスケール感を持っているのかということですけども、これはいろいろあるというふうに考えております。市町村単位というのが一番の基本かと思いますけれども、さらに流域連携とか、複数のところが連携したりとか、あるいは都市部と農村部の連携ということもあり得るというふうに思っておりますので、そこは特に限定せずに進めていきたいと思っております。

 それから予算につきましては、資料3-14ページ目のところに二つ載せてあります。「環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業費」という一般会計のものと、エネルギー特会の「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」と、どちらも新規の予算ということで要求しておりまして、これをもとに事業を進めていきたいというふうに考えております。

 それから、地方創生計画とのリンクというお話ですけれども、これはこれからという形になっておりまして、先ほどの予算で支援していく自治体の中では、そういったリンクができるように進めていきたいというふうに考えております。

 それから、松永委員の意見については私どもも検討させていただきたいというふうに思いますが、こういうふうにオーガニックというところをやった背景といいますのは、ちょうど先ほどの予算の資料3-14ページ目の右下に兵庫県豊岡市の例があるのですけれども、そういった有機農業で自然保全、コウノトリの生息地保全ということで、それをブランド米にして販売するということを展開しておりまして、こういったものが地域資源を有効に活用した地域循環共生圏というものにつながると考えて、ここに一つの柱として書かせていただいております。

 それから、新美委員のエネルギーの自律とキーワードの自立の漢字が違うという点ですけども、キーワードのほうは、まさに地域が自立的にこれに取り組んでいただくということが大事だと、オーナーシップということで大事だということで、こちらのほうにしておりまして、エネルギーの場合は完全に自立ということになりますと閉鎖的に、それぞれの地域で全て完結するというようなふうに捉えられる可能性がありまして、それは必ずしもいいとは考えておりません。全体の系統の中で、できるだけ地域でやるという意味合いで、この漢字を書かせていただいております。

 それから、髙村典子委員のお話ですけども、まさに我々も自治体の環境部門以外をどう取り込んでいくかということは非常に重要なものだと思っておりまして、そういった形をどういったやり方で実現できるかというのは、今後も検討していきたいというふうに思います。

 それから、崎田委員の世界への発信ということで、3月の3R推進フォーラム、こちらのほうは循環局としっかり連携して検討していきたいというふうに思います。

 それから、小西委員のほうのイノベーションの話ですが、我々は地域循環共生圏の中では、あらゆるイノベーションというふうに考えておりまして、下のほうには、そういった新しい技術というのが曼荼羅図でもありますけども、それだけではなくて、従来技術、地域のニーズがあるようなもの、そういったものもやっていく必要があると思いますし、あるいはライフスタイルでのイノベーションとか、そういった概念も含んで考えているところでございます。

 それから、豊岡委員のほうの経済的な側面を支援できるのかという話は、まさにそこがキーポイントだというふうに思っておりまして、我々はプラットフォームというものをつくって、それは民間とか金融界とか、そういった企業もそうですけども、そういった専門家、そういったものをプラットフォーム化して、地域のニーズに合わせて派遣するということを、先ほどのプラットフォーム事業でもやっていきたいというふうに考えておりますし、大学とか、特に地方大学とか、その地域の大学の学との連携というのも非常に重要なことだと思っておりますので、それも今後推進していきたいというふうに考えております。

 以上です。

○永島自然局総務課長 中根委員から、気候変動に伴う海面上昇によるEEZへの影響に関して議論があるかということでございますけれども、EEZについては国際的にどの範囲にするかという厳密な議論がなされておりますが、気候変動による影響という観点からの議論は、今のところ承知しておりません。

 髙村ゆかり委員から、生物を保全して遺伝資源としてどう活用していくかという観点については、EEZ内のみならず、公海上の生物の保全ということも国際的には議論されておりまして、それは遺伝資源としての利用とセットで議論されていると承知しております。環境省あるいは日本としても戦略的に、それにどういうふうに対応していくかというのは非常に重要な、次なる検討課題ということで進めさせていただければと思います。

 大塚委員から、今検討している法案についてのご質問がございましたが、ご指摘のとおり、現在の自然環境保全法と同様に、特別区域と普通区域という形で分けて、許可と届出という法体系とすることを、今検討しているところです。

 それから、第二次産業における生物多様性の主流化については、例えばエネルギー産業であれば直接的な環境への影響がありますけれども、製造業であればサプライチェーンという形で、全ての産業において、その産業の特性に応じた主流化を進めていくという議論がなされていると承知しております。

○森下地球環境局長 地球環境関係で、まず気候変動でございますけれども、大塚先生から1.5℃について、どう長期戦略に取り込んでいくのかというお話がございました。IPCCが発表しまして、COP24でも非常に大きな話題になっておりまして、世界も大きくレポートを受け止めているということで、私どもも非常に重要視する必要があるというふうに考えております。しっかりご指摘を承りながら、考えていきたいというふうに思っております。

 それから、髙村ゆかり先生から、長期戦略の次に、今後どうしていくのだと、NDCの(202:59)見直し2020年みたいなこともある、その中でしっかり取り組んでいく必要があるというふうにご指摘いただきました。ありがとうございます。ご案内のように、今26%削減という目標を2030年度ということで積み上げてきておりますけれども、地球温暖化対策計画の中で位置づけております。この計画は3年ごとに検討を行って、必要によって見直すということになっておりますので、この規定に基づいて、温対計画がまた見直される中でしっかり、どう国として取り組んでいくのかということを考えていきたいと思いますし、ご指摘のありましたHFC、特にフロンに関しましては、これまではオゾン層対策として特定フロンから代替フロンに移ってきたという経緯がありますが、代替フロンも温暖化対策という観点から取組をしなきゃいけないという状況になってきています。特定フロン、代替フロンが使われている機器が使用から廃棄にだんだん回ってきているということもあって、今後大きく伸びてくる、HFCの排出量が、ということになりますので、今年の通常国会でしっかりと回収する、そういうフレームワークをつくっていくことが非常に重要だと考えているところでございます。

 それから小西委員から、先ほどイノベーションの話がありまして、川又課長からも答弁がありましたけれども、さまざまなイノベーションが重要だと思っています。行動をやっぱり起こしていくイノベーションということを考えていかないといけないなと。つまり、今まで、例えば規制ですと、全員一律でやらなきゃいけないという、そういうスタイルのイノベーションでしたが、今後は価値観を共有して、やりたいと、そこに価値を認める人たちが連動して、新しく運動する、取引をする、そういったことができるような世の中をつくらなきゃいけませんし、そのための柔軟なシステムを提供していくということは非常に重要だと思っています。行動に着目することが必要で、そのためにはナッジですとか、あるいは新しいシステムとしてブロックチェーンだとか、さまざまな新しい技術を使いながら、こういったものをしっかり盛り上げていくということが非常に重要だと思っておりますし、それから崎田先生からございましたクール・チョイスの関係で、いい人、やっていることでよく、しっかりと表彰するようなことも含めて、いい取組をシェアすることも重要だというご指摘をいただいておりまして、そういう方向でしっかり取り組んでいきたいと思いますし、先ほど申し上げましたようにアクションにやっぱり着目して、誘導をどんどん、一部の人だけじゃなくて、たくさんの人にやっていただくような、そういう仕掛けを考えていきたいなというふうに思っています。

 それから最後に一つ、G20絡みで大塚先生から、海洋プラスチックごみに対して途上国と先進国は違うのではないかというご指摘がありました。ご指摘のとおりだと思っておりまして、資料の中でもございましたけど、やっぱりプラスチックごみを多く出しているのは実は途上国ということもありまして、世界全体でこの問題への取組を進めていくことが必要だと思っておりますので、非常に、G20という途上国を巻き込んだ場で、途上国とよく考えながら、実効性のある取組、これをしっかり打ち出していくということが重要だというふうに考えているところでございます。

 ありがとうございます。

○山本環境再生・資源循環局長 あと、プラスチック資源循環戦略、大塚先生からご指摘がありました点ですが、ご指摘のとおりで総合的な取組でありますので、まずは審議会で答申いただいたものを政府としてしっかり戦略として位置づけて、その後の実施のところはまた引き続き審議会のご指導をいただきながら、しっかり実効性のある形で進めていきたいというふうに思っています。

○森山環境再生・資源循環局次長 崎田委員から福島に関する取組をしっかりもっとPRするべきではないかと。これについては従前からやってございまして、先月、中間貯蔵地工事情報センターというものを6号沿いの、昔はラーメン屋だったところを使って、やっているのですけども、これによって東電さんの廃炉資料館ですとか、廃棄物の関係のリプルン、それから中間貯蔵施設というのが比較的近くで見られると、そういった連携もしようと思ってございますが、ただ、福島地域におけるPRと、それから東京向けもあるものですから、特に来年のオリ・パラに向けて、いろんなマスコミが集まりますので、全国、海外に向けた、そういった状況も機会を見つけてPRしていこうというふうに考えてございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。

 まだちょっと説明が足りない部分もあろうかと思いますけれども、いただいたご意見を踏まえて、今後の環境政策に反映させていただきたいと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 議事はこれで終了ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

○白石総務課長 本日の議事録につきまして、ご出席の委員の方々にお送りしてご確認いただいた後で、ホームページにて公開させていただきますので、よろしくお願いします。

 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 以上でございます。

○武内会長 どうもありがとうございました。