保健・化学物質対策

第2回化審法施行状況検討会 議事録

1.日時

平成27年10月16日(金)15時00分~17時05分

2.場所

経済産業省 別館3階312会議室

3.出席

<委員>(◎は共同座長)

 有田 芳子 主婦連合会 会長・環境部長

◎大塚 直  早稲田大学大学院法務研究科・同法学部 教授

 亀屋 隆志 国立大学法人横浜国立大学大学院 環境情報研究院准教授

 蒲生 昌志 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 リスク評価戦略グループ長

 崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー

 鈴木 規之 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク研究センター センター長

◎東海 明宏 国立大学法人大阪大学大学院工学研究科教授

 丸山 修  一般社団法人日本化学工業協会 化学品管理委員会委員長 (住友化学株式会社 執行役員)

<事務局>

 山内 輝暢 経済産業省製造産業局化学物質管理課課長

 飛騨 俊秀 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室室長

 奥村 浩信 経済産業省製造産業局化学物質管理課リスク評価室企画官

 中沢 潔  経済産業省製造産業局化学物質管理課課長補佐

 鈴木 章文 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室課長補佐

 大久保 晶 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室課長補佐

 立川 裕隆 環境省環境保健部環境安全課課長

 福島 健彦 環境省環境保健部企画課化学物質審査室室長

 近藤 亮太 環境省環境保健部企画課課長補佐

 髙橋 亮介 環境省環境保健部企画課化学物質審査室室長補佐

 高橋 一彰 環境省環境保健部環境安全課課長補佐

 山崎 邦彦 環境省環境保健部企画課環境リスク情報分析官

4.議題

1.第1回検討会における指摘事項について

2.WSSD目標の達成に向けた既存化学物質のリスク評価の進捗状況

3.その他

5.議事

○環境省(高橋室長補佐) それでは、定刻になりましたので、第2回化審法施行状況検討会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。

 まず、前回御欠席されており、本検討会から御参加される委員を御紹介いたします。

 崎田委員でございます。よろしくお願いします。

○崎田委員 崎田です。どうぞよろしくお願いします。

○環境省(高橋室長補佐) 有田委員ですけれども、前回御欠席されていまして、今回御出席との御連絡をいただきましたけれども、まだ遅れているということでございます。

 なお、赤渕委員、菅野委員、武林委員からは本日御欠席との連絡をいただいております。

 続いて、オブザーバーとして厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室においでいただいております。

 次に、お手元にお配りした資料の確認をお願いいたします。

 議事次第の下から資料1、そして資料2、パワーポイントの資料になってございます。資料3、その下が参考資料1としまして委員名簿で、その後、メインテーブルの皆様には化審法の法令集と、あと第2回化審法施行状況検討会の欠席委員からの事前コメントが2つありまして、その後に第1回検討会後に委員から提出された御意見について、がございます。資料の過不足等がございましたら、事務局までお知らせいただくようお願いいたします。

 ここからの議事進行についてですけれども、本検討会の共同座長は東海座長と大塚座長にお願いしているところでございますが、今回の検討会の議事進行は大塚座長にお願いしたいと思います。大塚座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○大塚座長 どうぞよろしくお願いします。

 それでは、議題の第1の第1回検討会における指摘事項について御説明をお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) それでは、資料1の第1回検討会における指摘事項について、を御覧ください。

 この資料でございますけれども、前回の第1回検討会の議事録につきましては、委員の皆様に御了解をいただきまして、その後、各省のホームページで公表させていただいてございます。その議事録を元にしまして、御指摘いただいた事項について、1ポツ目、全般的な事項、そして、2ポツ目、既存化学物質等のリスク評価の進捗状況、3ポツ目、新規化学物質の審査・確認の状況、そして4ポツ目、特定化学物質等の適切な管理の状況の順番に整理させていただいたものでございます。

 また、メインテーブルにはお配りしておりますけれども、検討会後にいただいた追加の意見につきましても、同様に整理をさせていただいてございます。

 いただいた御指摘ですけれども、これから第2回、第3回、第4回という検討会の中でそれぞれ資料を作って御回答させていただきたいと思いまして、個別の回答は時間の都合上割愛させていただきますけれども、今回第2回は既存化学物質等のリスク評価の進捗状況ということでございますので、こちらについては資料2の中で回答させていただきたいと考えております。また、3ポツ目の新規化学物質の関係につきましては第3回の検討会、4ポツ目の適切な管理の関係につきましては第4回の検討会でそれぞれ資料を作成して御説明させていただきたいと思います。

 説明は以上でございます。

○大塚座長 今、説明していただきました資料は、前回の検討会の指摘事項を整理したものでございます。もし発言内容と異なるような整理がなされている場合には、検討会の終了後に事務局までお問い合わせをお願いいたします。

 では、時間の関係もございますので、議題2に移らせていただきたいと思います。

 議題2、WSSD目標の達成に向けた既存化学物質のリスク評価の進捗状況につきまして、まずは資料2の説明をお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) それでは、資料2の既存化学物質のスクリーニング評価及びリスク評価の現状についての資料を御覧ください。

 おめくりいただきまして、2ページ目、目次になってございまして、順番に御説明をさせていただきます。

 まず、1番はWSSD2020年目標について3枚目のスライドを御覧ください。

 前回の検討会でも多くの委員から、前回の化審法の改正時の視点から振り返ってはどうかという御意見を頂きまして、まずはそういった観点で振り返させていただきたいと考えてございます。

 まず、このWSSD2020年目標でございますけれども、上の囲みの2番目にございますように、「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」ものということでございまして、下の囲みにありますとおり、化審法はこの目標を踏まえた改正を実施しているということでございます。

 続きまして、次のスライドでございまして、4枚目のスライドでございます。

 前回改正において導入されたものということで、前回の検討会でもございましたけれども、前回の化審法改正は3本の大きな題目がございまして、その1番目、化学物質の上市後の状況を踏まえたリスク評価体系を構築するというものが今回の検討会の検討課題でございます。

 このポイントでございますけれども、下にあります通り、全ての化学物質を対象に製造・輸入事業者に対して数量の届出を義務化しているということでありまして、届出情報等を利用して国がスクリーニング評価・リスク評価を実施するという枠組みができ上がってございます。これに基づいて評価を行いまして、第二種特定化学物質の指定等を実現するということでございます。

 5枚目のスライドは、その参考としまして前回の答申あるいは国会答弁の状況を記載してございます。

 答申につきましては、2020年までにすべての対応を完了することを目指すべきであると書かれておりまして、また、国会答弁の中でもすべての優先評価化学物質のリスク評価を終了させる予定、あるいは1,000物質の優先評価化学物質に対して毎年100物質以上のリスク評価を実施して、リスク評価を終了させるというような御発言がありました。

 ただ、これらの答弁はスクリーニング評価やリスク評価の手順の検討開始前の時点で想定していたものということでございます。

 おめくりいただきまして、6枚目のスライドから実際にこれらのスクリーニング評価、リスク評価の概要について御説明させていただきます。

 この評価の対象となるものでございますけれども、昭和48年以前から既に製造輸入されていた既存化学物質に加えまして、審査を経て公示された新規化学物質あるいはまだ公示されていませんけれども、審査済みの新規化学物質等がこれに該当するということでございます。

 このスクリーニング評価、リスク評価でありますが、繰り返しでございますけれども、全ての一般化学物質を対象に規制対象物質を効果的・効率的に選定するためのスキームということでございまして、3省合同の審議会において、これらのスクリーニング評価やリスク評価が実施されているということでございます。

 さらに、前回の検討会でももう少し数字を出して議論したほうがいいのではないかという御意見がございまして、7枚目のスライドに少し細かく現在の絞り込みの状況というのをお示ししてございます。

 対象となる一般化学物質等は約2万8,000物質あるということでございますが、このうち実際に届出が行われている1社当たり1トン以上の製造輸入がある化学物質は1万1,897物質ということでございます。スクリーニング評価につきましては、全国で10トン超の製造輸入数量があったものを対象としておりまして、こちらは7,699物質あるということでございます。有害性クラスが付与されているものは人健康影響で約300物質、生態影響約235物質となってございます。

 ここから既に優先評価化学物質に指定されている物質は177物質あるということでございまして、リスク評価Iの対象となっているものは140物質ございます。リスク評価の評価IIの対象になっている物質は41物質ございまして、この中で評価IIを実施した物質が人健康影響で1物資、生態影響で4物質あるということでございます。大きくまず物質だけを見ていただくと、こういう形になっておりまして、実際の詳細につきましては、また次以降のスライドで御説明させていただきます。

 それでは、進みまして8枚目のスライドでございますけれども、こちらはその評価以前にまず手法を構築するところの議論の経緯について御説明させていただきます。

 このスクリーニング評価やリスク評価の手法の検討につきましても、やはり1年程度の時間をかけて実施されまして、手法検討のための3省の審議会が設置されまして、スクリーニング評価あるいはリスク評価について検討を行っていただいたということでございます。

 9枚目のスライドから、実際スクリーニング評価の手法について御説明させていただきます。

 こちらは前回の検討会でもお出ししましたけれども、スクリーニング評価につきましては、基本的にはこの優先度マトリックスで判断することとしておりまして、有害性クラス、そして、前回改正で入りました暴露クラスも加味してリスクの観点から判断していくということで、左上側、有害性が強く暴露が大きい物質をリスクが十分に低いと判断できないとしまして、優先評価化学物質に指定するということでございます。

 ただ、導入しました暴露クラスにつきまして、出荷量と用途に対して1つずつ設定される排出係数の掛け算で推計環境排出量を求めて推計しているのですが、前回の検討会でも排出係数の設定方法のところをもう少し詳細に説明してほしいという御意見がございまして、それにつきましては、10枚目以降のスライドで御説明させていただきたいと思います。

 こちらは用途分類別の排出係数の設定の経緯でございまして、もともと海外、EUの排出係数を出発点としまして、そこから専門家間の議論、こちらは先ほどの手法の検討会でございますし、また、日本独自の係数に換算するために、例えばPRTRのデータであるとか、産業界からのヒアリング結果を活用しまして、パブリックコメントも行った上で排出係数が設定されているということでございます。

 細かくは11枚目のスライドでございますけれども、例えば個別の物質や個別の事業者のデータが得られた時には加重平均値を取ったとしても、PRTRの排出量と比べても安全側に設定できているのではないかという考え方のもと、一つ一つ設定されたということでございます。

 また、スクリーニング評価の排出係数につきましては、後ほど説明させていただきますが、このリスク評価の排出係数を使ってさらに設定しているということでございます。

 排出係数はかなり細かく設定されておりまして、次の12枚目のスライドでありますけれども、ライフサイクルステージと我々は呼んでいますけれども、実際の化学物質が製造、使用される段階、つまりは製造段階、調合段階、工業的使用又は家庭等での使用段階、そして、長期使用製品の使用段階といったライスサイクルステージごとに排出係数を設定しております。また、優先評価化学物質のリスク評価の場合には用途分類を280ほど設定しており、さらに水溶解度区分あるいは蒸気圧区分といった物理化学的性状を踏まえて、一つ一つ排出係数を選択できるようにしておりまして、その数が6,000ほどあるということでございます。

 一方、スクリーニング評価に用いる排出係数は、スクリーニング評価の段階では物質もたくさんあることから届け出られる用途別出荷量も簡易なものになっておりまして、また物理化学的性状が得られていないものですから、先ほどの280ではなく、約50程度の用途分類ごとに、リスク評価用の物理化学的性状あるいは詳細な用途分類ごとの排出係数を幾何平均して排出係数を設定しているということでございます。

 おめくりいただきまして、今までの説明は優先度マトリックスで優先評価化学物質を選ぶ手法でございましたけれども、優先度が中あるいは低の物質の中からも3省合同審議会の専門家の判断によって優先評価化学物質に指定することができることにしております。

 具体的には、例えば暴露側の詳細評価としましては、PRTRや環境モニタリングデータ等の化審法によらないデータを使うようなケースであります。また、有害性についても、専門家によって重篤であると判断できるようなものについては、不確実性係数を修正するといったことがございます。こうした観点からも専門家の判断によって優先評価化学物質の指定をしております。

 この結果でございますけれども、15枚目のスライドでございます。

 これまで合計5回のスクリーニング評価が実施されておりまして、それぞれ、毎年製造輸入数量が変わったりしますし、また有害性情報も徐々に増えていく中でスクリーニング評価をしています。毎年毎年、優先評価化学物質が徐々に指定されているという状況でございます。

 ちょっと前回の結果をより詳しく見ていただこうと思いまして、16枚目のスライドを御覧ください。

 まずは暴露クラスについて御説明させていただきます。平成26年度に行われましたスクリーニング評価における暴露クラスの付与の結果でございます。円グラフにしておりまして、人健康影響と生態影響、それぞれ暴露クラスは異なりますけれども、見ていただくと緑色の部分が多くなっておりまして、暴露クラス外というところがやはり7、8割を占めております。対象が7,699物質ありますけれども、どちらかというと推計環境排出量の少ないものが多いということになってございます。

 次は17枚目のスライドで、有害性クラスの付与の状況でございます。

 こちらは、人健康影響、生態影響それぞれ付与されておりますけれども、棒グラフの水色の部分を御覧ください。7,699物質のうち人健康影響は約300物質、生態影響につきましては約235物質の有害性クラスが既に付与されているということでございます。

 この7,699に対して生態影響で言えば235という数でございますけれども、この物質の意味を環境省が担当しております生態影響の観点の作業状況と合わせてより細かく説明をさせていただきたいと思います。

 18枚目のスライドと比べながら御覧いただければと思うのですが、18枚目のスライドが、現在環境省が担当しております有害性情報の収集の現状をお示ししたものでございます。

 表の一番下の段、合計というところがございますけれども、暴露クラスの全ての物質を合計しますと、当然7,699になるということでございまして、そのうち審議会で審議いただいているもの、つまり有害性評価の終わっているものが235あるということでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、暴露クラスは推計排出量が多いもの、例えば1から4までで小計しますと、725物質あるということでございまして、それに対して有害性評価の終わっているものは141あるということでございます。

 では、残りの有害性クラスが付与されていない584物質はどうなっているかということでございます。まず、優先非該当と整理済みというものがございまして、こちらは前回のスクリーニング評価の審議会におきまして、例えば硫酸とか水酸化ナトリウムのようにすぐに分解してしまうものの既存の知見があるものは、すぐには評価しなくていいのではないかという御意見をいただきまして、そういった物質が24ほどあるということでございます。

 残りの表の赤い部分が審議会で審議済み、環境省で作業しているものとお考えいただければと思いますけれども、我々の方でまず2つのステップを置いて作業しておりまして、1つは有害性情報を収集する、文献を検索するという段階でございます。もう一つは、その中身をチェックするという段階でございます。有害性情報を収集済みで信頼性のある有害性情報があったというものは47物質ございまして、これにつきましては、今年のスクリーニング評価をお願いしたいと考えてございます。

 また、情報があったけれども、信頼性のある情報ではなかったというものが41物質あるということでございます。

 また、有害性情報を収集しようとしてみたけれども、そもそもどの文献にも有害性情報がなかったというものが181物質あったということでございまして、先ほどの41と合計すると、大体222の物質が評価を行うための信頼性のある情報がなかったというようなことでございます。

 こういった信頼性のある有害性情報がなかったものについてはどうするかということでございますけれども、19枚目のスライドを御覧ください。

 平成20年の答申におきましては、必要なハザード情報が不足している物質につきましては、一定以上の暴露が想定される場合には優先評価化学物質に指定すべきであるということになってございます。

 これを受けまして、スクリーニング評価手法では、有害性情報が得られない場合には、人健康影響であれば有害性クラス2、生態影響であれば有害性クラス1を付与する、つまりデフォルトの有害性クラスを適用するという手法が定められてございます。具体的な適用方法につきましては、昨年度の3省合同審議会でも対応を具体的に検討しようということになっておりまして、今後対応を検討している最中でございます。

 このように現在検討中の課題というのもスクリーニング評価の中で幾つかあるものでございまして、それを20枚目のスライドにまとめてございます。

 一番上の黒丸は、今申し上げた有害性情報の効率的な収集の部分でして、課題がデフォルト適用の具体的な検討となってございます。

 また、少しテクニカルな課題でありますけれども、適切な評価単位の検討というものがございまして、こちらは例えば混合物等のように、他の物質と組成が重複するとか包含関係にあるといったものはどうやって評価するかというなかなか難しいところがありまして、そういったものについては検討会を設置して、検討させていただいているということでございます。

 3つ目の丸は先ほど出てきた排出係数の見直しでありまして、ライフサイクルステージごとに排出係数を訂正しているということでございましたが、長期使用製品の使用段階の排出係数であるとか、あるいは廃棄物処理段階の排出係数はまだ考慮できていない部分がありまして、そういったところの設定であるとか、それを踏まえた排出係数の見直し等が必要ということでございます。

 それから、QSARやカテゴリーアプローチの活用がありますけれども、これは後ほど資料がまた出てきますので、そのときに御紹介させていただきたいと思います。

 次に、21枚目のスライドからが優先評価化学物質のリスク評価の手法ということでございまして、このフロー自体も先ほどの手法の検討の中でパブリックコメントさせていただいてできたものでございます。

 大きく見ていただきますと、評価の一次という段階がI、II、IIIの3つに分かれておりまして、有害性調査指示を行った後でリスク評価の二次というものが待っているということでございます。

 おめくりいただいて、特に一次につきましては、I、II、III、3つの段階に分かれております。ざっくり申し上げますと、評価Iというものは、評価IIに進める優先順位付けを行うということでございます。評価IIにつきましては、既存の情報を全て使ってリスク評価を行う段階で、ここで第二種特定化学物質への指定又は有害性調査の指示の可否を判断していくということでございます。評価IIIにつきましては、いわゆる暴露の情報が不足するような場合が主でございますけれども、そのような新しい情報を手に入れてリスク評価を精緻化していくという段階でございます。

 その進捗状況でございますけれども、23枚目のスライドを御覧ください。

 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Iの対象となっている物質は140物質ございました。こうして、この後評価IIに進んだ物質というものが41物質ございます。さらに、評価IIを実施したものが一番下のところでございますけれども、5物質あるというような状況でございます。

 この結果につきましては、24枚目のスライドでご紹介させていただきます。

 評価IIの結果でございまして、こちらも3省合同審議会で審議いただいておりまして、評価IIの結果、評価IIIに進んだ物質はまだないというが現状でございます。一方、優先評価化学物質を取り消す、要は一般化学物質に戻すという判断をしたものが1物質ございました。どの物質もこの時点で第二種特定化学物質に該当するというものはございませんでした。前回の検討会でもお示ししましたが、今後はさらに平成27年度、28年度、29年度と審議を行っていくという予定でございます。

 この評価IIの段階で幾つか課題が見つかっているものですから、それを御紹介させていただきたいと思います。

 まず、25枚目のスライドはイソプロペニルベンゼンという生態影響の評価を行った物質でございます。

 こちらの物質は評価Iでは優先順位が高いという評価になりましたが、評価IIではリスクがかなり小さいということでございました。排出量を確認いただきたいのですが、例えば平成22年度の出荷量につきましては、98zという用途での届出がございまして、その他の原料、その他の添加剤というものとして出荷されたということでございます。当該用途は届出事業者でもどう使われているかが分からないときに選択されるわけですけれども、そうしますと、ワーストケースで全てが環境中に排出されたという換算をするため、この用途での出荷量の割合は小さいのですが、排出量に換算すると割合が大きくなってしまうというものです。評価IIの段階で事業者さんに問い合わせて少し調べていただいた結果、精査され、排出量も減ったということでございます。

 今後はこういうことがないように、評価IIよりも前の段階でしっかりと用途を確認するような対応を実施しているところでございます。

 続きまして、26枚目はクロロエチレンでございます。

 こちらは人健康影響の観点から評価を行った物質でございます。クロロエチレンは発がん性があるということがもう知られてございまして、ただ、暴露の状況を見ていただきますと、例えば環境モニタリングデータを見ていただきましても、モニタリングデータでHQが1を超えた地点は1地点で、しかも、これは水質のモニタリングだったのですが、その後、経年的に見ても減っていたということでありまして、現時点では広範な地域で環境汚染による人の健康に係る被害を生じるおそれがあるとは認められないということで、一般化学物質に戻すという判断がされたということでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、発がん性があると、スクリーニング評価で言えば有害性クラスは1にあたりまして、また、化審法に基づいて推計排出量を計算しますと、暴露クラスは2相当になりますので、今の管理の状態がもし継続されたとしても、また優先度マトリックスに当てはめると優先度高に該当してしまうということでございます。こういった物質については今後スクリーニング評価でどういうときに優先評価化学物質に戻すのか、あるいはどういうやり方をして一般化学物質のままだという判断をするかというところはまだ課題となっているというのが現状でございます。

 続きまして、27枚目のスライドを御覧ください。

 こちらは1,2,4-トリメチルベンゼンという生態影響の評価を行った物質でございます。

 こちらは表を見ていただきますと分かるように、評価に用いられる毒性情報が魚類の急性毒性試験1つのみでございました。こういった場合には、例えば栄養段階ごとの種間の外挿係数あるいは急性毒性から慢性毒性を外挿するための係数という様々な不確実係数がかかりますので、1万という不確実計数積を使うということになりました。そうなりますと、かなり厳しいリスク評価の結果になってくるというものでございまして、審議会でももう少し確実な評価を行うために不確実性を低減する取組を実施してはどうかという御意見があったということでございます。これにつきましての対応は後ほど御説明させていただきたいと思います。

 あと、28枚目のスライドからでございますけれども、前回の検討会でも他法令の状況とかそういったものをもう少し確認してはどうかという御意見があったかと思います。そこで、評価IIを実施した、あるいはこれから実施する物質につきまして他法令との関係を整理したものでございます。

 他法令としましては、主に環境法令を引用させていただくことにしまして、例えば環境基準が設定されているとか、そういった有害性評価をもとにした基準値ができているもの、あるいは排出抑制対策が例えば水とか大気の排出規制が既になされているものにつきまして、対象物質ごとに並べさせていただいたものでございます。

 見ていただきますと分かりますように、例えば基準値が設定されている物質も幾つかあるという状況ですし、また、29枚目のスライドで来年度ぐらいになりましたら、どの法律でも手当していない物質がいよいよ評価の対象になってくるといったことが見てとれるかと思います。

 続きまして、31枚目のスライドでございまして、今度は逆に化審法の側から他法令に対して情報提供するようなものがあるということでございます。

 こちらは平成20年の答申でも法律間の相互連携をさらに高めていく上では他法令に関連する部分を関係部局に提供するといった対応が必要であるということが言われておりました。これをもとに47条という新しい規定ができまして、3省の化審法の担当大臣が他の法律に基づく措置に資するために必要に応じてその担当大臣に対して知見の内容を通知するというものでございまして、こちらは7例が今まで行われているということでございます。例えば労働安全衛生法とか消防法を所管する大臣に対して化審法の製造・輸入数量の実績を通知しているとか、そういった対応がとられているということでございます。

 32枚目のスライド、こちらから有害性情報の収集の仕組みをもう少し細かく御説明させていただきます。

 有害性情報の報告制度が化審法の41条にございます。1項と2項はそれぞれ既存の化学物質あるいは新規の化学物質について一定の有害性が得られた場合には、それを提供していただく義務があるということでございます。一方、3項につきましては努力義務となっておりまして、有害性情報を有している場合は提供いただくということになってございます。

 1項、2項は罰則がありますけれども、前回の検討会でこういった事例はあるのかという御質問がありましたけれども、適用された事例は特にないということでございまして、あと、全体的な傾向としましては、これから新規化学物質の届出をして審査を行おうとされる事業者さんがそういった有害性データを取得したときに、提出されることが多いのかなというふうに考えてございます。

 そして、33枚目のスライドでございます。

 こちらは、生態毒性について新しく有害性情報をいただくような仕組みができないかということでございまして、前項のものは義務でございますけれども、そうではなくて、先ほどの1,2,4-トリメチルベンゼンの例でもございましたが、もう少し不確実性の低減を進めるためにより多くの有害性情報を使えないかということで、事前に例えば評価の前段階で、例えば魚類の急性毒性試験しかないといったことを公表することでデータのないことが世の中の皆さんに分かっていただけますので、そのようにして任意で有害性情報の提供をいただけるのではないかというふうに考えてございます。

 また、前回の検討会でも、委員から例えばGLPではないが、事業者さんが自らやられているような試験も使えるのではないかという御意見もありまして、例えば非GLPのデータであるとか、あるいはこれからちょっと説明しますけれども、QSAR等のデータを提供していただく場合には、事業者さん自ら信頼性や妥当性を証明していただくというようなことができる仕組みを現在検討している最中でございます。

 34枚目からはQSARの説明をさせていただきます。

 これまで答申あるいは国会の附帯決議でも、QSARにつきましては可能な場面から活用を行うことが適当であるとか、あるいは参議院のほうからもQSARの活用等を含む動物試験の代替法開発、活用を促進することという御意見をいただいてございます。

 また、このスクリーニング評価やリスク評価の基本的な考え方の中でも、どのような場面でQSARやカテゴリーアプローチが活用可能かを検討するとか、それぞれ活用の場面に応じて評価の使い方は違いますけれども、そういった御意見をいただいているということでございます。

 36枚目のスライドでございますけれども、環境省が担当しております生態毒性を例に取り上げてQSARの現状を御報告させていただきたいと思います。

 そもそもQSARといいますのは、化学物質の構造あるいは性状に相関が成り立つのではないかということで、これによって毒性試験をしなくても構造によって毒性値といいますか活性値を得ることができるのではないかと考えられているというものでございます。生態毒性予測モデルで有名なものが3つ、ECOSARという米国EPAが開発したものと、あとTIMESというブルガリア、ブルガス大学が開発したものと、あと環境省と国立環境研究所で開発しておりますKATEという3つのモデルがございます。

 37枚目のスライドは、その精度の現状をお示ししたものでございます。

 毎月行っております新規化学物質の審査におきましては、QSARによる予測も参考情報として審議に供されてございます。その物質、386物質、過去3年間の新規化学物質のデータをどれぐらい当たっているのかをまとめさせていただいたものがこの円グラフでございまして、魚類の急性毒性と甲殻類の急性毒性につきましては、それぞれ3つのモデルを用いて予測してございます。

 見ていただくと、まず、目立つのは薄い紫色の部分が大きいということでございます。こちらはドメイン判定×というふうに説明されておりますけれども、そもそもドメイン判定とは何かというのは、もう一度36枚目のスライドに戻っていただきますと、参照した類似物質、元々モデルに入っているのは参照の類似物質でありますけれども、その範囲から実施される予測値の有効性の判定ということでございまして、モデルでそもそも予測値が有効でないというものをドメイン判定が×ということで返すということになっております。

 やはり新規化学物質の場合、なかなかドメインに入らないということがかなりありまして、そこがQSARを使うのを難しくしている原因なのかなと考えてございます。

 また、もうドメインに入った中での的中率というものを丸2番のほうで出しておりますけれども、大体5割とか高いものでも7割前後というところです。こういった的中率を踏まえて使える場面を検討していかなければいけないというところがなかなか難しいポイントでして、適用可能な物質について的中率のさらに一層の向上の余地があるのではないかというふうに考えてございます。

 ここまでを少しまとめさせていただきます。検討中の課題がございまして、38枚目、最後のスライドでございます。

 リスク評価における現在検討中の課題は、先ほどにありましたけれども、取り消した物質をその後どういうふうに取り扱うのかということが一つ課題になってございます。また、先ほども見ていただきましたが、有害性評価における不確実性の低減ということがもう一つ課題になってございます。

 あとの2つは同じですけれども、排出係数の見直しはスクリーニング評価と同じ検討課題でございまして、また、QSARの課題につきましては、今御説明させていただいた通りでして、活用可能が考えられる場面から試行を目指すとともに、必要に応じて一層の技術開発を進める必要があるのではないかということが課題になっているということでございます。

 ちょっと長くなりましたが、説明は以上でございます。

○大塚座長 要領よく説明していただきまして、ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) 失礼いたしました、すみません。御欠席の委員からの事前のコメントを御紹介させていただきたいと思います。申しわけありません。

○大塚座長 お願いします。

○環境省(高橋室長補佐) お二人の御意見をいただいていますけれども、資料2に関連するのは、赤渕委員から事前のコメントをいただいておりますので、読み上げさせていただきます。

 「資料2のスライド19頁について、既に平成20年答申において必要なハザード情報が不足している物質については優先評価化学物質に指定すべきとの方針が確認されているにもかかわらず、現在においても依然として、デフォルト適用に係る具体的な検討が課題とされていることの理由は何でしょうか。

 このことに関しましては、たとえば、上記のような物質、言い換えればこのままハザード情報が十分に提供されなければ優先評価化学物質に指定される可能性のある物質の一覧を外部に公表する、スライドの33ページにあるような仕組みを設けた上で、一定期間を経てもなお必要なハザード情報が提供されない物質については、自動的に優先評価化学物質に指定されるような制度が、早急に構築される必要があるのではないかと考えております。」という御意見をいただいてございます。失礼しました。

○大塚座長 ありがとうございます。では、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

 今後の課題とか検討の方向性に関する御意見につきましては、次の資料3の説明の後にいただきますので、それ以外のところについて特にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 では、亀屋委員、お願いします。

○亀屋委員 非常にまとまった資料をつくっていただきまして、大変ありがとうございました。

 本日のテーマはリスク評価、スクリーニング評価ということで、これは前回の改正の中でも一番大きな部分であったと認識をしております。

 それで、どこかに全体の評価のフローがございましたけれども、スクリーニング評価をやってから、その後評価I、II、IIIという形で段階的に回していこうということでやり方を決めて、前回の法改正の審議のときには、副大臣が大体1,000物質ぐらいを2020年までに終わらせようという非常に強い意気込みでやってきたと。当時もカナダは4,000物質とかEUのほうでもSVHCが1,500物質ぐらいになるとか、そういう意味で我が国も大分踏み込んだところまで目標、数と期限を切って頑張りましょうという意気込みでやってきたのだと思います。

 ただ、スクリーニング評価のところでも余りラフなことをやって安易に入れてしまうのではなくて、排出係数についてもどこか図がありましたけれども、EUのものをそのまま持ってくるのではなくて、かなり我が国独自のカスタマイズをしながら、慎重にやってきていると。それが5、6年経ってきたわけですけれども、ちょっとリスク評価が遅れているのではないかという感じを皆が持っているのは、一つ原因はそこにあるのではないかと思っておりまして、先程も御説明ありましたけれども、1,000物質というのはあくまでもあまり手法を固めていないときにこんなものではないかということで決めた数字でありますので、必ずしも1,000物質までいかなくてもいいかなとは思うのですが、そうだとすると、今のやり方で2020年までに大体どのくらいになるのかというのが今の段階で見積もれないものかどうか。あるいは今見積もれないとしても、大体いつぐらいの時期になればこの辺がはっきりして、進捗できている部分とできていない部分が今回の見直しで見直しできたということになるのか、という辺りの整理を今回、一回はやはりやっておくべきではないかなと思っております。

 また、先ほどのリスク評価のフローをぐるぐる回していくと。一般化学物質に戻ったものでも、製造輸入量であるとか、あるいは取り扱いの状況を見直して、スクリーニング評価から順次やり直して、毎年毎年、常にやり直すという形のスキームで始めたわけですけれども、やはりこれがぐるぐる回っているようにはまだ見えてきていないなというところが一つ進捗としてあり、どうしてそうならないのかというのを見直す必要があるのかなと。

 先ほど欠席委員の御意見でもありましたけれども、デフォルト値はいきなり当てるのではなくて、慎重に検討してきたからこれまで当てていなかったわけですけれども、今回の見直しではどういうルールを作ってやっていくのかについては、やはり方向性を作っておかなければいけないことだと思います。

 それから、21ページですね、フローは。21ページのフローをよく見ますと、評価Iのところから評価IIに進まなかった物質は製造輸入数量等を監視して、またこの表でいくと右のほうの一般化学物質であるとか上のほうに戻すというルートもあるのですが、これも回っているのか回っていないのかよく分からないようなところもありますし、それから、評価IIとか評価IIIのほうから一般化学物質に戻すようなところも、一部の物質はもう既に評価されたのもありますけれども、こういったところもやはりもう少し丁寧といいますか、議論していかないと、優先評価に入ってきた物質がここでずっと停留するような、すなわちリスク評価のスキームがぐるぐる回らないような事態がずっと続いてしまうのではないかなと懸念されるところがあるのではないかと思われますので、ぜひ、リスク評価をぐるぐる回していくために何が必要なのか、どういったことができるのかについての議論、議論といいますか見直しをしたほうがいいのではないかなと感じております。

 以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。リスク評価の目標に関してのお話と、それから、これをぐるぐる回していくことに関して見直しが必要ではないかという御意見、さらに優先評価に入ったものが停留するようなことについての御懸念などについてお話しいただきました。事務局に何かコメントしていただくのがいいと思いますけれども、今の亀屋委員の御意見に何か関連して御発言があれば、それを先に伺ってからと思いますけれども、いかがでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) すみません。事務局から。

○大塚座長 では、お願いします。

○環境省(高橋室長補佐) 先ほど想定で国会答弁の中で発言があったのは、すみません、ちょっと赤くしていなかったのですが、元々優先評価化学物質の想定としては1,000という数字でありまして、ただ、例えば今、暴露クラスの数字とか、あるいはスライドでいうと16ページ、17ページ、18ページあたりを見ていただきますと、実際にこの中でどれが優先になるのかは実際に評価してみないと分かりませんけれども、これぐらいの数字なのかなというところでございます。

 ただ、実際、2020年目標に向けてどういった目標を具体化していくのかというところにつきましては、資料3で御議論いただきたいと考えてございます。よろしくお願いします。

○大塚座長 ありがとうございます。今の点に関連してでも別の点でも結構ですけれども、いかがでしょうか。

 はい、どうぞ、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 排出係数について詳細に御説明いただきまして、ありがとうございました。これは確か以前から色々な話で申し上げているのですが、この排出係数だけじゃないと思うのですけれども、特にEUのリスクアセスメントで、彼らはリーズナブルワーストケースということを非常によく言うのですけれども、この排出係数は一例にすぎませんが、例えば排出係数というものがどのような平均値によって算出されたかということはテクニカルな事例ですけれども、そのことよりも、評価のスタンスとして自分たちの扱っているものがどういうワーストケースであり、平均ケースなのかというコンセプトの方が重要で、その視点をはっきりさせないと色々な議論が成立しないし、そもそもどのように平均値を算出したらいいかという話が定まらないと。

 ただ、私、昔学生に講義をして、リスクの安全ポイントを95%タイルに置くという講義をしたら、ある頭のいい学生はすぐに質問して、残りの5%はどうするのですかという質問をした学生がいました。この辺りが一種のポイントでありまして、そこを95と置くのか99と置くのか、どこに置くのかという、こんな議論はできないのですが、そのイメージをある程度作った上で、それに対して排出係数なり、他の様々な評価の手順が自分たちの狙っているコンセプトの近いところに行くかどうかという形で議論しないと、何が正しいかという議論は成立しないと思うので、今の化審法のリスク評価手法はいかにも日本的にきっちり組み立てられたものではあるのですが、そもそもどういうものを推定し、評価したいのかについて、考え方を少し明確化したほうが、様々な意味で説明しやすいし、また、規制を受ける方々にとっても理解しやすいものになるのではないかと私は考え、そういう視点を少し入れたらどうかと思います。

○大塚座長 これは事務局、いかがですか。

○環境省(高橋室長補佐) 先ほど亀屋先生の御指摘にもありましたけれども、ちょっと日本流にカスタマイズして慎重にやり過ぎているのではないかということとまさに同じなのかなと思います。あるいは先生からいただいたもっとぐるぐる回して評価を早くしたほうがいいというところと同じかなと思いまして、スクリーニング評価においてどういうコンセプトでざっくりと優先した後に詳細に評価するのか、それともスクリーニング段階でかなり慎重にやって、優先にする物質を絞り込むのかというコンセプトのところをもう少しこの検討会でも御議論いただければいいのかなと考えてございます。

○大塚座長 はい、どうぞ。

○経済産業省(大久保課長補佐) 排出係数に関しては、今NITEと、あとは環境省で検討会を開催して検討しておりまして、鈴木先生にも出ていただいて、色々とかなり細かい議論をしているところでございますが、今の御発言のようなコンセプトを少し取り入れて、もう少し適切な形のものを検討するようにしていきたいなというふうに思っております。

 今は、新規審査の場で色々と御指摘いただいたものを個別的に拾い上げて、見ているところではございますが、排出係数は多分、時期が経っていくに従って少しずつ実情とずれてきたりするところもあるので、PRTRの情報も踏まえて、より適切なものを先ほどのコンセプトも入れながら検討できればいいのかなと思っております。

○大塚座長 鈴木委員、よろしいですか。

 ほかにはいかがでしょうか。

○経済産業省(大久保課長補佐) すみません。1点だけ。

 ちょっと事務局からこんな話をするのもなんですけれども、ぐるぐる回るという話ですが、例えば優先評価化学物質のフローが後ろのほうにあったかなと思うのですが。21ページです。

 今、実際に優先評価化学物質に送り込まれたものは評価Iに140だかそういった物質がいるのですが、それで実際に細かい評価をするということで評価IIのほうに送り込まれていますけれども、事務局が感じるのは、今までの運用ではよく分からなかったのですが、5物質ぐらいこなしてきて、それぞれがどういった事情を抱えているのかを少し見ていくと、また実際のスピード感を見ていくと、矢印が戻るところが余りないようなイメージが事務局というか私のほうの感覚からいうと感じておりまして、各委員からもそういったところがあるのかなというので、まさに亀屋先生がおっしゃっているところと関連していると思いまして、要はぐるぐる回すという感覚ですね。重篤な影響がないものを早く処理できるような流れをこの中で表現して、いかに今までの経験での積み重ねなどからそれを表現していくのかが重要な話なのではないかと思いました。

○大塚座長 その矢印を戻すというのは、一般化学物質に戻すとかそういうことも含めておっしゃっているのですか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 例えばコンセプトからすると少しずれてくるのかもしれませんが、例えば評価Iからいきなり評価IIで、これは優先順位づけだという話になっていますけれども、実際には時期が経つと数量が減っていったりするものもあったりするので、この辺りは元のコンセプトの関係とかもあって調整はしなければいけないのでしょうけれども、逆矢印をつけるとかもあるのかなと思います。

 あとは評価II、多分これを作られた当時はもっとすごいスピードで処理することを考えていたと思うのですが、実際は事務局の中でもマンパワーの問題があったり、やはり物質数がすごく多い問題があります。あと、一個一個の物質が抱えている事情が全然違うので、その辺りを丁寧に見ながら評価をしていくので、どうしても遅くなってしまったというのがあるのですが、ただ、そういうことをしている間に、物質が優先評価化学物質に上がってしまったということで、事業者も作らなくなってきているとか、取扱いをやめてきている物質も出てきていたりするのです。そういった物質をどうするかは全然その当時は考えていなかったところもあると思います。そういったところも少し考えたほうがいいのではないかと思っているところではあります。

○大塚座長 ありがとうございます。今の点も含めていかがでしょうか。

 はい、どうぞ、崎田委員、お願いします。

○崎田委員 今、スピード感を上げるために矢印をもう少しいろいろ適切に振ったらどうかというお話もありました。例に挙げておられた重篤な影響のないものに関して、もっと早く回すためにということに関しては非常におっしゃるとおりだと思っているのですが、その評価の中では、例えば今日の資料に出していただいているような、毒性はあるのだけれどもリスク評価をすると余り値が高く出てこないので優先から外れて戻っていくとか、そういうものもあるわけですので、どういう流れにしていくのかはこの後の議論等で、かなり多様性を考えながら方向性を考えていってはいかがかなと思いました。よろしくお願いします。

○大塚座長 ありがとうございます。クロロエチレンとかですよね、例えば。スライド26あたりの御議論かと思います。

○崎田委員 そうですね。先ほどは、何ページかちょっと出てこなかったのですが。

○大塚座長 スライド26あたりでしょうか。

○崎田委員 そうですね、26ページです。

○大塚座長 今の点、重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。有毒性が高いものについては一般化学物質に戻してしまっていますけれども、これでいいのかどうかというような御指摘だと思います。

 はい、どうぞ。

○亀屋委員 一般化学物質に戻すという言葉は、私はちょっと、ぴんと来ない部分があって。というのは全ての物質が本来はきちんと管理されて使用されなければいけないはずだと思うのです。ですから、そういった意味でリスクの程度がどのくらいなのかという評価は、特に優先評価化学物質については早く結果を出してあげることによって、規制が必要なら規制の方に行くでしょうし、事業者の自主管理がもう少し必要だということであれば、事業者は自主管理をここまでやろうというふうに判断されるわけですし、あるいはそれほどリスクが高くないということになれば、これまでと同じような管理の仕方でいいという判断が事業者もできるようになると。

 だから、そういった方向、管理がしやすくなる方向に早く持っていくためにリスクの評価をもう少し早く回すような仕組みが必要だということを考えていますので、一般化学物質にしたものが何もやらなくていいのだという考えで評価をするのではなくて、一般化学物質になったものについても、何らかの管理を国なりあるいは事業者なりにきちんと考えてもらうような仕組みもやっぱり一緒に入れていかないといけないのではないかと考えております。

○大塚座長 そういうことですね。ありがとうございます。

 はい、どうぞ、蒲生委員。

○蒲生委員 鈴木委員がコメントしたことのちょっとフォローみたいな感じもあるのですけれども、このスクリーニング評価あるいはリスク評価のフローというのは、幾つかの絵にありますように、基本的に第二種特定化学物質の指定をいかに網羅的に効率よくやっていくかという枠組みだということを、色々な評価の設計とか、あるいは審議のプロセスで毎回思い出しながらやる必要があるのではないかと。その前に今の評価の仕組みに照らしたときに、この第二種特定化学物質というのは、概念としてはもちろん法律に書かれている通りだとは思うのですけれども、それが評価の仕組みの中でどのように表現されるかという解釈をもう一段入れて、それを共有した上で先ほどの鈴木委員の例で言えば、例えば95%で切るのが適当というような判断があれば、そのように設定するということかと思います。

 それがないと、結局全く何の懸念がどこにもないことが証明されない限り優先評価だというような方が、皆ではないにせよ、そういう御意見をお持ちになってしまう方もおられるかと思いますが、元々の趣旨がどうであったかがもうちょっと共有されるべきではないかなと思いました。

 関連で言いますと、では残りの5%をどうするのだということについて、例えば95%で切ったときに、先程の資料の中に他法令への情報共有でしたか、提供でしたか、あったと思うのですけれども、このようなものについては全くリスクの懸念も何もないわけではないのだけれども、別の法令がカバーするということがあれば、そういうことはもっと明示的に示すことで、化審法という枠組みはより効率的に回っていくのではないかなと思いました。

○大塚座長 ありがとうございます。事務局、今の御意見に対して何かコメントはございますか。よろしいですか。

○環境省(福島室長) 御指摘ありがとうございます。鈴木委員、蒲生委員、いずれも重要なポイントをおっしゃっていただいていると思っています。後ほど資料3でも御議論いただきたいと思っているのですけれども、この検討会では、方向性とか枠組みの議論をお願いしたいと思っておりまして、実際のテクニカルな概念整理とかの具体の作業は、先ほど経産省、大久保補佐から御説明のあった通り、内部の検討会なりあるいは場合によってはリスク評価の3省合同審議会で御議論いただこうと思っております。

 そのあたりは交通整理もした上で、どのようなタイミングでどういうお座敷で作業を行って、もし適当であるならばこの場にどういうふうにフィードバックするかを関係省庁でよく相談して整理したいと思います。

 あと、蒲生先生の御指摘で管理云々の話もあったと思いますけれども、その辺りの管理の話についてはまた先々の回でまた俎上に上がるのかと思っておりますので、その辺りとの仕分けもよく考えたいと思っております。

○大塚座長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。

 はい、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 これもう事務局は先刻承知ではないかと思いますが、18枚目のスライドを見ると、有害性情報の集めていないものが181物質で、集めたうちの半分強ですか、未収集が同じぐらいあると。この状況からすると、恐らく未収集のもの221物質も半分ぐらいはよくても、そもそも集めても何もないということがやらなくても想像されるような気がしますので、要するに、ないものはゼロになることは多分あり得ないと残念ながら現状だということを考えると、赤渕委員が書面でコメントされていましたが、それをどう扱っていくのかということは多分非常に重要な課題だと思いますので、それについて検討する必要があるのではないかと私は思っております。

○大塚座長 その点について事務局は何かコメントございますか。

○環境省(高橋室長補佐) 赤渕先生の御質問でもあります通り、まず、どうしてなかなかデフォルトの適用が進んでこなかったかということでございますけれども、やはり有害性情報のないことを証明していくというのは結構大変な作業でもありますので、我々としては、できるだけ検索する情報源を限るとかそういったところで、もうこれは、国では作業を尽くしたけれども、情報がなかったということを今後お示ししていきたいと考えてございます。

 また、未収集の物質でございますけれども、先生のおっしゃるとおり、この中にもまた有害性情報のあるものもあればないものもあるということはおっしゃる通りと思いまして、また、未収集のものの中にも、そもそも収集方法がなかなか難しいようなものも今後出てくるのではないかなと思っています。例えばCAS番号と言われるアメリカで国際的に通用する化学物質ごとにつけられている番号がございますけれども、例えばCAS番号がないような物質もこれから出てくるかもしれませんし、そういうところもこれからの検討課題かなと考えてございます。

○大塚座長 ありがとうございます。赤渕さんの質問は、結局スライド20にあるようなデフォルト適用に係る具体的な検討が課題とされていることの理由はなぜか、つまり答申に示されたことがいまだ具体化されていないことの理由は何かという質問ですけれども、これはいかがでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) まず1つは、有害性情報を収集して、有害性情報のあるものを信頼性評価するという作業を優先させていただいたということもありますし、また、ないことを本当にないかどうかくまなく探していくような作業も少し時間がかかったということでございますけれども、審議会でもデフォルトを具体的に検討するということが去年の評価でも書かれていますので、これからはこういった有害性情報のないものにしっかり取り組んでいかなければならないなと考えてございます。

○大塚座長 ありがとうございます。

 はい、どうぞ、東海委員。

○東海委員 短いコメントになってしまいますが、御説明は、大変よく分かりました。

 今、福島室長の御指摘ありましたけれども、議論として今後の方向性に資するような論点について集中していくべきであると。そのときに目標と手段と条件といいますか、大きく3つに分けたときに恐らく3省ともに共通の目標としてWSSDの目標を実現していくということに関しては、当然一致されていらっしゃるでしょうと。ただ、何をもって目標を達成できたかの整理といいますか、それがこれから論点となるのではないかと感じました。

 その意味で、7ページ目のフレームワークで進めていく中で、手段面でこういう工夫をすればもう一歩前に行けるというところはすごく勉強させてもらっておりますけれども、その部分に関しましては、また別途テクニカルな内容を議論するところで必要な議論をすることで、適切な議論に進んでいくのではなかろうかと感じております。

 さきほど挙げた3つのうちの条件ですけれども、諸外国でどのような観点で、どんな取り組みがなされていて、どこまで進んでいるのかということも当然恐らくご存じだと思いますけれども、それを踏まえた上で、化審法の中では2020年に向けてここまでは目標設定ができるということが論点として大事になってくるのではないかと感じました。

 以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。

 はい、どうぞ。

○丸山委員 今の先生のお話に引き続いてということになりますけれども、WSSDの2020年目標を目指して、今の化審法のリスク評価をどう加速していくかというのは、やっぱり一つの大きな課題になっているのだろうと。そうしたときに、どういったプロセスでやっていくのか。例えば精緻さをどこまで求めるか、まずは全体を一巡させるといいますか、今挙がっているものについて、一通りざっと見た上で、というのもある意味必要ではないかと思うところです。

 今データが不足しているということもございますけれども、国が収集した情報以外に企業が持っている情報はGLPでやっているものもありますし、non-GLPのものもたくさんあろうかと思います。

 それから、先ほどお話に出ましたようにQSARも使い、繰り返しになりますけれども、まずは国民全体のリスクの早期回避のために、ざっと一巡させるというような方法をとり、それを何回も回していくやり方をしていけばと思っているところでございます。

○大塚座長 いかがでしょうか。

 何か事務局と一対一対応になっているような感じがしますが、どうぞどんどん、やや違った意見でも良いので、ご発言ください。発言していただかないと議論になりませんので。

 はい、どうぞ。

○有田委員 実は、私は亀屋委員と同じように考えていて、このスピード感のなさに疑問もありました。2020年までには今のスピードではとても全物質を対象にするのは無理だという思いがあります。そこで委員が議論しないといけないということであれば、先ほどどなたかがおっしゃったように、2020年までにはこれぐらいだったら事務局として可能な数字だとか、そのためにはどうする、ということについてもう少し情報を出していただかないと、目標等の色々な議論をしてくださいと言われても、ちょっと議論になりにくいと思っているのです。

 一生懸命努力をされているのは、理解しているのです。けれども、それでもやはり2015年の時点では、もう少し進んでいると思っていたので。期待していたほどではなかった。それはいろいろ言っても仕方がないとは思います。目標というか、実はここら辺まではというのを何か腹積もりでも良いので教えていただいた上で、それに対して意見を言っていきたいなと思っているのですが。

○大塚座長 ありがとうございます。スライド18にあるように、7,699物質のうちでも235物質しか審議済みでないということですけれども、暴露クラス4までだと、725物質のうち141物質になるとか、色々な見方ができるのだと思うのですけれども、ゆっくりであることは多分事実なのですけれども、ゆっくりといっても、箸にも棒にもかからないという程かというと、多分そうでもないとも思いますので、そんなことを含めて、どうぞ事務局、何かお答えいただければ。

○環境省(福島室長) 経産省さんあるいは厚労省さんと詰め切ったわけではないのですけれども、実はこの夏に環境省の行政事業レビューの公開プロセスというのがあって、昔の公開事業仕分けに相当するようなものなのですけれども、そこで私どもの室は公開の場でいろいろヒアリングをされまして、そのときにどこまでやるのかということは、やはり聞かれております。その際には、今後経産省、厚労省と調整の上でというお断りをした上で、今の資料でいきますと、スライド18でありますけれども、「例えば暴露クラスに着目すると、暴露クラス4までなのではないか。そうしたときに暴露クラス4のものは、今700物質程度あって、その中で審議済みのものが140物質ということを考えると、必ずしも今のペースがそれほどひどいものではなかったのではないだろうか。ただ、具体的に700物質でいいのか、もっとあるのかとか、あるいはどういうペースでやるのかということは、今後3省でよく相談します」と公開プロセスの際にはお答えしております。

 ですので、環境省としての暫定の見方ということになりますと、今お答えしたとおりですけれども、これはあくまで私どものやりとりの中での想定でしたので、今後3省でよく相談しながら、この検討会あるいは他の場にどういう形で報告するかを考えていきたいと思っております。

○大塚座長 崎田委員。

○崎田委員 今の目標設定やその達成は何をもって評価するかとか、そういうお話の中で、先ほど東海先生がおっしゃった目標と手段と条件というお話がありましたけれども、今日いただいた資料2の3ページのところの最初の目標のところで、やはり市民の目線から非常に印象的なのは、予防的取組方法に留意しつつという言葉が入っていることに対して、どういうふうに留意してやっているのかということが仕組みの中で見えるということがすごく大事なのではないかと考えていました。

 SAICM等の中には、そういう流れが入っているという理解もちゃんとしていますけれども、この後の資料3を拝見すると、スピード感を持って取り組むことで予防的取組を担保するというような言葉があります。そういう理解だったのかと思って、後でその辺りの意見を申し上げようかと思ったのですが、こういう視点について、どういう形を担保することで社会が納得感のあるような形で予防的取組手法を進めていただくのかというのも大事な話なのではないかと考えました。

○大塚座長 ありがとうございます。1つには、スライドの19に出てくるような有害性情報が得られない場合に生態影響について有害性クラス1にするとか、人健康影響について有害性クラス2がどうかという問題はあると思いますけれども、この辺りは多分、予防的アプローチとか予防原則の話と関係するところかと思います。その他にも色々あると思いますので、どうぞ事務局、お願いします。

○環境省(高橋室長補佐) 今まさに大塚先生がおっしゃられましたけれども、前回の改正のとき、これからスクリーニング評価手法を作っていくときの考え方としましては、予防的取組方法としまして、例えば有害性の情報がないとずっと一般化学物質で止まってしまうといったことはおかしいのではないかということで、予防的取組はそもそも完全的な科学的証拠が欠如している場合であっても、安全側に仮定を置いて進めるということでございますので、先生がおっしゃられたように、有害性クラスで言えばデフォルトの有害性クラスを一番厳しい方向に設定して、どんどん評価を進めていって、その中で有害性情報を収集していって、あるいは必要があれば規制をしていくというのが前回改正時の予防的取組方法の考え方だったのかなということであります。

 また、これからの議論の中で、これで十分か、あるいはこの考え方や今やっている取り組みが十分なのかについては、御議論いただければと考えてございます。

○大塚座長 とりあえずよろしいですか。また資料3のところで。

 それから、先ほど丸山委員が言われた企業の持つ情報も活用してほしいというのは、ぜひやっていただきたいことだと思いますが、QSARの扱いについては、スライド37だと、的中率1と2で例えばKATEだと18%、74%なので、これをどう見るかという問題が発生すると思うのですけれども、他のECOSARとかTIMESもそれほどよくはないのですが、この辺りをどう見るかということになりますでしょうか。

 どうぞ。

○有田委員 企業の情報も当然中に入れながら進めているわけですよね。そこだけです。

○環境省(高橋室長補佐) まず、現状でも事業者さんに有害性情報を任意で出してもらうような呼びかけを行っておりまして、33枚目のスライドにありますけれども、現状の取り組みとしましては、いただいた情報をそのまま環境省の専門家会合の生態毒性の専門家の先生方に見ていただいて、事業者さんがやられた試験の例えば報告書をチェックして、使えるあるいは使えないということを判断しているということでございます。

 大塚先生がおっしゃられたように、QSARにつきましては、やはり技術的な課題もあります。また、事業者さんが使う場合には、33枚目のスライドにあります通り、どういう場面でどういうふうに使えるのかについて、事業者さんに信頼性や妥当性を証明していただこうと考えておりますけれども、国がどう使っていくかは、生態毒性については環境省で別途技術的な、専門的な方々あるいは産業界に加わっていただきまして、どういう場面でどう使おうということを今後検討していきたいなと考えてございます。

○丸山委員 ちょっとよろしいでしょうか。企業からのデータということでございましたけれども、先ほども申し上げましたが、GLPではなくて、non-GLPのデータでも使えるものはあると思うので、活用を検討していただければと思います。もう一つは、33ページにございますように、どういうデータが必要かに関して、あるいはどういうデータがないかに関してホームページで公表とありますけれども、我々が情報を出す上ではそのタイミングが非常に重要でして、直前になって出されても、なかなか準備ができないというものもございますし、あらかじめどういう物質についてどういうデータがないかをできるだけ早く教えていただけると、対応あるいは試験等もできるかと思いますので、今後検討していただく中で配慮していただけたらと思います。

○大塚座長 よろしいですね。

○環境省(高橋室長補佐) 33枚目のスライドをもう一度見ていただきますと、法律に基づく10条1項の規定に基づく求めとか、あるいはこの後は2項の調査指示というものもございますけれども、こういったものは原則GLPのデータとなってございます。要はこの法律の適用の段階になってしまうと、GLPの試験をいただくことになってしまいますので、その前段階でnon-GLPのデータといったものも活用したいという意図があり、まさに丸山委員がおっしゃられた通り、我々の検討の中で配慮しまして、このようなことにさせていただいているところでございます。

 また、評価IIのスケジュールは、既に向こう3年のスケジュールを示ししておりますので、なるべく有害性の評価を早目にやりまして、評価IIの物質の審議の前段階でデータはどういうものが集まったかをお示ししたいと考えてございます。

○環境省(福島室長) 補足いたしますと、有田先生がおっしゃいましたQSARにつきましては、全般で見た場合、的中率は非常に限られていますけれども、それこそドメインに入っているものですとか、既に利用可能な毒性データがある他の化学物質、構造上の類似が近いもの等については、ある程度の確からしさをもって使えるのではないのか。そうすると、どういう範囲の化学物質に使えるのかとか、それを使うのが実際のリスク評価の場面なのか、あるいはもっと他の場面なのかとか、あるいはどういうやり方で予測しているQSARだったら確からしさに蓋然性があるのかとか、そういった技術的なところを詰めた上で、使える場面からどんどん柔軟に使っていきたいと思っております。

 丸山委員がおっしゃった非GLPデータも一緒でありまして、やはりデータ不足が全般にありますので、私どもとしてもどんどん使っていきたいと思っておりまして、その際には、これまでアイデア段階で今後検討していきたいと思っていますけれども、信頼性、妥当性を証明するような、例えばどういう実験条件でやったのかとか、あるいはどういうやり方でやったのかとか、そういった資料もいただいて、非GLPだけれども確からしいことが確認できたものからどんどん使っていきたいと思っております。

○大塚座長 座長が質問して申し訳ないのですけれども、今の御回答でよく分かったのですが、スライド33との関係で、10条1項、2項が関係します。10条4項は企業の間で有害性調査に関する費用負担をどうするかという話が書いてあるのですが、先程の丸山委員の御指摘のようにどんどんデータを出していただければ非常にいいと思いますし、事業者もどんどん情報を出していただかないとリスク評価はなかなか進んでいかないと思うのですが、10条4項はあまり使っていないという話も伺っておりますが、どのような感じでしょうか。教えていただけますか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 10条1項が発出された後に例えば費用分担でもめたとか、そういったときにどうするかという規定です。また、基本的には費用の調整に関しては、国は調整しないというか、間に入らないというコンセプトになっているのです。どうしても調整がつかないときに10条4項で初めて国が間に入って何かしましょういう規定だと理解いただければと思います。

○大塚座長 REACH規則ではこれに関してかなり厳しい詳細な規定がありますけれども、そのような規定はまだお作りになっていないですか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 基準やガイダンス等具体的にどうするかについてはまだ作られておりません。

○大塚座長 リスク評価をどんどんやっていくためには、早くお作りになったほうがありがたいと思いますので、よろしくお願いします。

 他にはいかがでしょうか。はい、どうぞ、鈴木委員。

○鈴木委員 QSARについて私なりのコメントですが、37ページを見ていただければお分かりのように、大部分はドメイン判定外となっています。結局、できないという落とされ方をしているのが現状なので、私も別な分野のモデレーターですからこういう理論的なアプローチが有効であることは望ましいとは思いますが、あまり望みはかけられないと。多くのものはドメインで計算できないというのが現状で、これを使えば飛躍的にデータが改善するとは必ずしも期待できない気はしますが、一方で多分少なくとも似たもの、類似体あるいはカテゴリー等で使えるようなものについては、ある程度合うということは確かに言えるかもしれないので、もしかしたら、例えばデータが揃わない混合物等のややこしいものについて使えるとか、別の応用の仕方があるかもしれないという気はします。いずれにしてもあまり期待はできませんが、少なくとも利用にあたって間違いがなければ有効だと思いますので、有効な使い方をきっちり考えて使っていくことが正しいという気はします。

 残念ながら、とにかく何も考えずに使うと、2割しか当たらないという話ですから、それはなかなか悲しい話ですが、その2割の範囲の中で使えるものはあるかもしれないので、そこをうまく見つけ出して使っていくと。おそらく有効な使い方を探すことになるのではないかと思っています。

○大塚座長 何かございますか。どうぞ。

○環境省(高橋室長補佐) 先生がおっしゃられたように、どの場面あるいはどういう物質でどう使えるかというところは今後検討させていただきたいと思いますし、ドメインが狭いことについては、新規化学物質の審査の結果は非常に重要なデータですので、これを今後、国のホームページで公表させていただきまして、そういったモデルを開発される皆さんに使っていただいて。ドメインを広げるためには、実際の毒性試験のデータが必要になるというあべこべの状況になってございますので、そういう情報を公開することによって、モデルを開発していただく方々にドメインを広げるような努力をしていただきたいと考えております。

○大塚座長 鈴木委員、よろしいですか。

 ほかにはよろしいでしょうか。

 では、崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 この31ページに対して一言。いわゆる省庁間における知見の共有で、色々な違う法律がきちんと円滑によりよく動いていくように化審法の47条があるということで、今までの通知の実績というのが書いてあります。こういうことが実際にきちんと機能し始めているのであれば大変すばらしいことだと思うのですけれども、大体年に1回か2回ぐらいですし、今のところ情報の共有というのが基本的な情報であり、特定の何かというよりは、基本的にどういう法律の中でどういう名称か番号かというような情報のやりとりという感じがしておりまして、47条がうまく機能しているか、それとも何かもっとよりよくするために考えたほうがいいのかということも後々お話し合いの中に入ってくるのかどうか。とりあえずこういうところがしっかりと機能していけば、化学物質に関する取り組みがより円滑に進むのではないかと思って一言コメントさせていただきます。

○大塚座長 ありがとうございます。これは事務局にすぐお答えいただくよりも、こちらで議論することかと思いますけれども、何かございますか。

○有田委員 化審法でこういうふうに上手く機能しているというふうに考える部分と、化学物質全般をどういうふうに管理、考えていくかという別の議論があって、こういうことも含めて全体で化学物質を捉えていくことが必要じゃないかという意見もあると思います。これで、ああそうですかで終わるのではなく、こういうことも今後どういうふうに入れ込んでいくのか。化管法のときも、それは消防法があるからいいのだとか、それは何とかで横串が通らない、といったことがありました。これで多少は改善されたのだとは思うのですけれども、もっと全体で考えていく方向性も議論の中に入るのか入らないのか、という、意見というより質問ですかね。意見半分、質問半分です。

○大塚座長 これは検討の対象に入れても構わないということだと思いますが、よろしいでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 最初に蒲生先生からいただいた御意見の中で、化学物質の管理を考えるときに、他の法律でできることは他の法律でというところで、確かこの規定のことをおっしゃられたと思うのですけれども、例えば第4回目の検討のあたりで、化学物質を管理するときに実際に他法令の方がいいのか、あるいはやはり化審法でやらなければならないのかという中で、化学物質管理全般を見ると例えば化管法でやってもらったらいいこともありますし、あるいは化審法でやらないといけないこともあると思いますので、そういったところを俯瞰しながら、化学物質管理の観点で検討の中に加えられるのではないかと考えております。

○大塚座長 今、化管法にはこういう規定はないですよね。

○環境省(福島室長) 補足いたしますと、あくまでこの検討会では化審法の施行状況の点検ということでお願いしておりますので、今、有田委員のおっしゃった化学物質対策全般とかではなくて、化審法の施行状況がどうなのか。その中で化審法と他法令の連携のあり方はどうなのかといった観点で御議論を賜ればと思っております。

○大塚座長 よろしいですか。東日本大震災のときも有害物質がどういう状況になったかは結構重要なポイントになったと思いますので、そういう観点からも色々な知見の共有が重要になってくると思います。

○鈴木委員 私は法律家じゃないので一般論ですが、他法令との関係は重要だと思いますけれども、私が理解しているのは、日本の法令は法令が適用する場であるとか対象によってそれぞれ作られているので、必ずしも相互の法令が補完的に働いているわけではないという認識があります。補完的に働いたときもありますが、そうではないときもあるので。もちろん他の法令を有効に活用して全体の化学物質管理を、という考えは、この場かどうかは意見もあるようですが、それはどこかで考える必要はあると思いますけれども、少なくとも化審法でできないものが他の法令にできるかもしれないことをあまり当てにすべきではない場合の方が日本の法体系ではむしろ一般的のように思いますので、その議論はやや附帯的かなと思っております。あくまで化審法の対象において化審法の精神をしっかり実現できるかどうかという論点が重要なのではないと思っています。

○大塚座長 ありがとうございます。47条も含めて検討の対象にするということでございます。

 では、資料2につきましてはこの程度にさせていただいてよろしいでしょうか。

 次に、資料3の説明をお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) それでは、資料3、既存化学物質のリスク評価の進捗状況と課題の整理について(たたき台)、という資料を御覧ください。

 こちらは今まで御議論いただきました既存化学物質のリスク評価につきまして、進捗状況と課題の整理を取りまとめていくためのたたき台ということで作成させていただいてございます。

 まず、I、既存化学物質のリスク評価の進捗状況でございます。

 こちらの1ページ目、2ページ目には今まで御説明させていただいた内容を書き下したものでございまして、まずは評価の手法の構築を行ったということでございます。

 21行目のところで予防的取組方法、先ほど鈴木先生から御質問いただいた点につきましては、このように記載させていただいているところでございます。

 そして、おめくりいただきまして2ページ目が一般化学物質のスクリーニング評価の実施状況でございます。

 第5回では7,699物質に暴露クラスが付与されておりまして、有害性クラスはそれぞれ記載されているようなもの、300物質、235物質に付与しているということでございます。そして、現在優先評価化学物質の指定は177となっております。また、専門家判断によって優先評価化学物質に指定する物質もありますし、今回の説明の中ではありませんでしたので、次回で御説明させていただきますけれども、新規化学物質についても同様にマトリックスで判断することになっておりまして、この177物質あるいは今まで指定した190物質の中で、1物質はこういったものもあるということでございます。

 続きまして、3ページ目、(3)でございまして、優先評価化学物質のリスク評価の実施でございます。

 こちらも先程御説明させていただいた内容でして、140物質の中から評価IIに進む41物質、また、41物質の中で5物質が既に評価IIの審議を行っているということでございます。

 続きまして、3ページ目のII、13行目から既存化学物質のリスク評価の課題の整理ということでございまして、この検討会のミッションとしましては、課題の整理をしていただいて、今後の検討の方向性を議論していただくということですので、まずは課題の整理の案を作らせていただきました。

 まず、15行目の1つ目の丸でございます。平成21年改正化審法のこれまでの施行状況を踏まえ、改正時に想定していた目標を考慮して、まずは現状のリスク評価の進捗状況を評価してはどうかということでございまして、また、これまでの運用実績をもとに改善点の抽出を行ってはどうかということでございます。

 18行目、2つ目の丸でございますけれども、現在のスクリーニング評価、リスク評価における取り組みがWSSD2020年目標等に掲げられた予防的取組方法の観点から十分なものとなっているか、検証してはどうかということでございます。

 3つ目、その上でWSSD目標の目標年である2020年に向けて、化審法の枠組みにおいて達成すべき具体的な目標とそのための道筋が不明確であることが課題であるということから、化審法で今後どのような作業を優先して行うべきかを検討してはどうか、この際、欧米等の国際的な動向も踏まえつつ、化審法の枠組みにおける目標達成の具体的なイメージを明確化してはどうかというものでございます。

 そして、丸の4つ目がこの目標関係の最後でございますけれども、2020年に向けたイメージの具体化を行った上で、現状の進捗が不足しているのであれば評価を加速化する方策を検討してはどうかということでございます。現状のボトルネックとなっている要因を検討しまして、海外における取り組み、他法令における取り組みを踏まえて加速化方策を検討してはどうかというものでございます。

 続きまして、この後の丸3つは、その加速化方策の中で出てきていることでございます。

 1つ目は評価の優先順位付けの方法について見直しを行う等、例えば簡易的な評価として差し支えない物質とか、あるいは精緻に評価すべき物質について作業の優先度や作業内容の差別化を行ってはどうかというものでございます。

 2つ目はQSAR、カテゴリーアプローチ、これまでも導入の効果が期待されておりますけれども、導入に進展がないということでございまして、これまで示されております基本的な考え方で指摘された課題を踏まえつつ、利用可能なモデル等の精度、有効範囲等や国際的な動向を踏まえまして、適用可能な具体的な場面を想定して活用方法を柔軟に検討してはどうかということでございます。

 またもう一つ、先ほど御説明させていただきましたけれども、事業者さんの自主的な協力等によりまして収集を進めてはどうかということでございまして、例えば先ほど御意見いただきましたnon-GLPのデータとか、あるいはQSAR、カテゴリーアプローチによる予測結果についても活用を検討してはどうかということでございます。また、これらにつきましては、信頼性とか妥当性の確認方法等につきましては、関係会議において、その趣旨にも十分注意しまして検討してはどうかと考えてございます。

 次の2つは暴露評価関係と考えておりますけれども、1つ目は暴露評価に当たって、先程用途の話がありましたけれども、重要な要素でございますので、精査された用途だとか正しい用途の報告がなされるような対応を検討してはどうかということでございますし、また、前回の検討会でも御意見いただきましたが、暴露評価においても専門家判断によってさらなる評価が進められるように検討してはどうかということでございます。

 また、現在の手法、マトリックスを用いる等画一的な手法の運用になっていますが、その手法が想定していないリスクを見落とす可能性があるため、リスクの見落としがないかどうか検討してはどうかというものでございます。

 最後に2つ書かせていただいておりますけれども、これらの検討の実施に当たって、専門的・技術的な事項については、本検討会で課題の抽出を行った上で、これらと同様の課題について他の会議でも既に検討されている場合には、当該会議が設置された趣旨に十分留意しつつ、それらの議論も踏まえて引き続き本検討会で検討することとしてはどうかとしております。また、現状の検討課題として先ほども御説明させていただきましたけれども、有害性クラスのデフォルトの適用であるとか、こういったものにつきましては、速やかに検討を行い、対応してはどうかということでございます。

 資料3は以上でございまして、あと欠席の委員からのコメントを御紹介させていただきます。

 赤渕委員は(2)、(3)で資料3について御意見いただいてございます。資料3の4ページ、11行目以下にございます点につきまして、一方で事業者の自主的な有害性情報の提供が既存化学物質のリスク評価の加速化に向けて極めて重要であることは疑いがなく、その意味でこの御提言に賛成するものでございます。もっとも、他方でこうした有害性情報の収集を進めるに当たって、その全てを事業者の自主性に委ねることはリスク管理者としての国の責任を一部放棄するものに等しく、適当でなく、また現実的でもございませんので、必要に応じて国の行政機関が何らかの形で関与することで事業者からの有害性情報の提供を促す及び必要に応じて強制することも考える必要があるのではなかろうかと思慮しております。

 3つ目、また、自主的な情報提供に関しまして、事業者から提供される情報がリスク評価の根拠とするに足る適格性を満たしていることを制度的に担保する必要があると考えておりますということでございました。

 また、菅野先生からいただいたコメントを御紹介させていただきます。

 1つ目の御意見は、クロロエチレンのリスク評価については、他法令で既に管理が進められていることが一般化学物質に戻すことのポイントであったと理解している。今後、化審法のリスク評価に当たって、他法令で管理が担保されていない物質については、クロロエチレンと同様には扱えないことから、そのような物質の取り扱いには一層の注意が必要となる。その対応策を整えることが肝要ではないか。

 2つ目、QSARの予測値をそのままリスク評価に用いるのは、特に人健康影響においては難しいと考えている。カテゴリーアプローチに際しても、構造類似性の判断は難しい。活用方法の検討に当たっては、精度や適用範囲に十分に留意してほしい。

 3つ目の御意見は、評価の優先順位付け方法の見直しや作業優先度、作業内容の差別化は容易ではないと考えており、暴露評価、有害性評価ともに丁寧に検討する必要があるということでございます。

 4つ目の御意見でございまして、暴露評価については、さらにエキスパートジャッジメントの余地があるのではないか。リスクの観点から評価するのであるから、ハザード評価だけでなく暴露評価についても専門家による判断が加えられるべきである。特に暴露モニタリングデータに不足があると思われる場合には、専門家の判断による補強が重要となるということでございました。

 5つ目でございまして、予防的取組方法は重要な視点であり、第3回、第4回の検討でもこの視点に立った検討をしてほしいということでございました。

 以上でございます。

○大塚座長 ありがとうございました。では、ただいまの説明につきまして御質問、御意見があればお願いいたします。

 では、蒲生委員。

○蒲生委員 そもそものところをお伺いして申しわけないのですが、3ページの2ポツといいますか、課題の整理がそれぞれ、基本的に「検討してはどうか」という提言のような文体で書かれているのですけれども、誰が誰に提言しているのか、誰が誰に検討してはいかがかと投げかけているのかというのを確認させてください。

○環境省(高橋室長補佐) これは課題の整理となっていまして、事務局からこの検討会に対して御提案しているものでございまして、検討会でこの課題について検討していこうということであれば、少しこの末尾の文言を変えまして、最終的にはこの検討会でそういった内容を取りまとめていただきたいというふうに考えてございます。

○亀屋委員 自明のことかもしれませんが、リスク評価をこういうふうにしてやろうということになったのは、既存化学物質が2万物質程度あって、それの既存点検等もやっているけれども、1,500物質くらいでずっと止まっていて、ジャパン・チャレンジプログラムをやっていただいたけれども、こういうやり方をしていてはやはりちょっと遅いだろうということで、包括的に今回一般化学物質という置き方をして、全体のリスク評価をしてきたと。そういった中で、暴露クラスの多い物質はちゃんと見ていかなきゃいけないだろうということでスクリーニングというか振り分けをしながらやってきたわけでありまして、何かここの書きぶりだと7,699物質だけしかやっていないような書きぶりになっていますけれども、そうではなくて2万もある物質の全体に対してちゃんとやってきたのだということ、見直しですので、全体像が見えるようにレビューをしていただいたほうがいいのではないかと思います。

○大塚座長 よろしいですか。どうぞ。

○環境省(高橋室長補佐) そのあたり修正させていただこうと思います。

○大塚座長 重要な御指摘、ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。

 はい、どうぞ鈴木委員。

○鈴木委員 まず、この丸の進捗状況については、今、亀屋さんも言っていましたが、2万物質に対してとにかく暴露クラスを7,000物質につけたのですから、そう悪くはない、というと褒め過ぎかもしれませんが、そう悪くはないと。ただ、残り止まっている物質はデータがない、先ほど御説明いただいたように半分ぐらいはデータの収集が終わっていないという部分があり、もしかしたら加速化しなきゃいけない部分で、データがないという部分も加速化かもしれませんが、あと5年でそのデータを取るというのはできるかもしれないけれども、やはりそこは実現できる方法、今データがあるものでできる方法でどうやって狙って、データがないがゆえに暴露クラスは付けたけれども、優先判定ができないところをいかにクリアするかということかなと私は思っています。それが進捗状況じゃないかなと。

 あと、予防的取組方法の観点から十分か、これは赤渕先生と大塚さんに言っていただきましたので安心したのですが、私は言いたいけれども言っちゃいけないと思ってあまり言わなかったのですけれども、これは今の化審法で非常に欠けていると思っていまして、とにかく毒性というのはよく分からないものを相手にしているということが基本的な感覚ですので、分かる部分は全体の毒性の多分一部でしかなくて、それを一部だけで判断するのでなくてよくわからないことをどう判定するかというのが予防的な視点であると。

 だから、こういう制度というのは、EUはよくやったと思いますが、リスク評価的な制度とやや予防的な制度を対極に組み合わせるみたいな形が多分一つのやり方だと私は思っているのですが、一方化審法には片側があまりはっきりとは存在していないと。それに対処するために今は例えばデフォルトのクラスを当てるというような予防のやり方が考えられるとなっていますが、それはある意味やり過ぎみたいなところもあって、正面切って、予防的に扱う物質とはどういうものだという議論を正面切ってやったほうがいいとも言えるような気が私はするのですが、その議論は多分化審法では十分行われていないと。

 だから、データが不十分あるいはデータがあっても解釈しきれないようなものについて、人間が扱おうとすれば多分ある程度予防的に考えざるを得ない部分は必ず入ってくると思うのですが、その予防的な観点というのは、別に科学でないことを議論しようなんて思っているわけでは全くなくて、科学の限界みたいなところをどう議論するかという議論だと私は思うので、それを少しまじめに考えることは、今の課題じゃないかもしれませんが、化審法なり化学物質管理の将来にとっては非常に本質的な課題だと私は思います。

 ただ、当面は今の化審法の枠組みでいくならば、例えばデフォルトのクラスを当てるというような形で、わからないところを手当するというのは非常に現実的な考え方だろうという気はいたします。

○大塚座長 ありがとうございます。何かコメントはございますか。

 どうぞ、では有田委員。

○有田委員 今の御発言に関連するのですが、内分泌攪乱化学物質等は化審法の中のリスク評価では全く当てはまらないので、今後それをどういうふうに考えていって、化審法の中で取り込んでいくかという意見が度々出されていて、今後どこかで議論します、と言ったまま数年経っていると思うのですね。そういうことを言えば、はっきり生態系に影響があるとか人体に影響があるというような物質が薬とかは別にしまして、予防的取組方法の観点からの考え方で入れられないのかなと考えているのですが、また議論したら、それはちょっとここではないだろうということになるかもしれないのですが、意見として言っておきます。

○大塚座長 ありがとうございます。事務局に何かコメントをしていただいてよろしいですか。お願いします。

○環境省(福島室長) 鈴木委員と有田委員の御意見、環境省の最初のコメントですけれども、科学の限界といった問題ですとか不確実性をどう扱うかということ、内分泌はある種共通しているところがあるのかなと思っていまして、取りかかれるものと、あとは研究開発を進めていって手法の開発が必要なものもあるだろうと思っております。先ほど御紹介したQSARにつきましても、今あるものを使える場面では使っていきたいと思っていますけれども、QSARそのものの精度の向上ですとかドメインの拡大といった取り組みも必要だろうと思っております。

 有田委員のおっしゃった内分泌につきましても、一部生態毒性ではOECDでも試験法ができつつありますけれども、まだOECDテストガイドラインになったような確立した試験法というのが十分ではなかろうというのが現時点での環境省の化学物質審査室の見解でありまして、その辺りは今取りかかれるものと、あとは研究開発等を進めて中長期的に取り組むべきものを仕分けながら議論していくことが必要だろうなと思っております。

○崎田委員 ありがとうございます。私が最初に発言させていただいたときの思いをもう一回申し上げておくと、今回2020年目標をきちんと達成するという方向に向けて取り組んできているもの、今回化審法の取り組み状況を評価する中で、何を以ってうまく取り組んでいるとするかというような根本的なところが今まであまり議論されていなかったと感じられるので、それで申し上げました。そういう意味で色々と今の制度の中で予防的取組の精神を入れているやり方がリスク評価の中でもきちんとあるということも色々と出ていますが、そういうことを踏まえて、それが効果を出しているのかどうかといったところを少しきちんと検討していくことが大事なのではないかと感じました。

 ですから、ぜひ、この目標の評価をどういうふうにまとめていくかというときに、一度ちゃんと話し合っていくことが大事なのではないかと思っています。

 もう一つ別のところなのですが、資料3の4ページの真ん中辺りに「暴露評価にあたっては、化学物質の用途が重要な要素であるため、精査された用途又は正しい用途の報告がなされるような対応を検討してはどうか」という記述があります。それで、後々の検討で4回目に情報伝達が課題になると第1回の資料の中で出てきましたので、そういう際にもかなりしっかりした話し合いになるのではないかと思うのですが、消費者の目線から言えば、事業者の皆さんの川上から川下への情報伝達、そこがきちんとうまくいった上で、製品情報が消費者にきちんと伝わると、全体のリスクがきちんと低減されていく社会になっていくような感じがしており、消費者に近いところの情報伝達に関して非常に関心を持っているわけです。けれども、そうなるためには、まずは事業者の皆さんの川上から川下に向かって暴露評価の情報、例えば用途の情報がしっかり流れていくのは最低限当たり前なことだと感じていますので、それが担保されているような、正しい用途の報告がなされるためにはどうすればという辺りは、ぜひしっかりと議論していくことではないかと感じています。よろしくお願いします。

○大塚座長 ありがとうございました。予防的取組方法についてはWSSD2020年目標にも記載があるので、それはそういうものとしてこの会議でも扱っていきたいと思いますが、もう一つの御意見では用途との関係で、BtoCの話とかが出てまいりましたが、これについて事務局はいかがでしょうか。

○崎田委員 BtoCにも関心を持っていますけれども、BtoCの前に、BtoBがちゃんとなっていないと情報が来ないわけですので。

○大塚座長 ええ、その通りですが、BtoCは今回の対象にするのかなということがございましたので。

○環境省(高橋室長補佐) 資料1に前回いただいた御意見をまとめておりますけれども、その中でも崎田先生からいただいた御意見を4番の特定化学物質等の適切な管理のところに入れさせていただいておりますので、第4回で取り扱うべき課題としまして、用途の情報とか、あるいは管理の中で情報伝達の話も取り上げさせていただきたいと考えてございます。そういう意味では本日は資料が準備できておりませんので、4回目にさせていただこうと考えております。

○丸山委員 ちょっとよろしいでしょうか。今の情報伝達、それから、化学物質管理に関する情報を広く情報公開する取り組みについて、産業界で自主的に取り組んでいることを御紹介させていただきたいと思います。

 1つは、もうよくご存じかもしれないのですけれども、国際化学工業協会、ICCAでWSSD目標の達成のために化学物質管理に関する自主的取組、GPSというものを推進しています。これは化学品の製造から販売、それから、消費、廃棄に至る全てのライフサイクルでリスク評価を行って、その情報を公開するものでございます。日化協ではJIPSということで取り組んでいるところです。

 それから、もう一つ情報伝達ということに関して、それも全ての産業界が関わっているわけではございませんけれども、JAMPという川上から川下にかけての製品含有化学物質の情報伝達の仕組みを構築して、情報を流すような取り組みをしております。一応紹介でございます。

○大塚座長 ありがとうございます。今の御紹介をもう少し詳しくしていただくようなことはあり得るのでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 大塚先生の御指摘は、事務局から御紹介するということ......

○大塚座長 それは、いろいろ方法はあると思いますが。

○環境省(高橋室長補佐) ちょっと丸山委員とも御相談させていただいて、御紹介できるように進めさせていただきたいと思います。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

 はい、東海委員、お願いします。

○東海委員 2020年の目標達成に向けてやっぱりカバレージを拡張していくということは必要なことだと思いますし、かつその過程でその化審法の運用上の工夫ですとか改正等の必要性の文脈の中で、2020年時における達成目標の点検をするときには、ではこの過程で二特を確かに押さえることができたというところは、やっぱり外してはいけない点だと思っております。そういうときに、今のスクリーニングのやり方で進めていったときに、確実に将来、二特としてピックアップされるような物質が押さえられていることの保証といいますか、それは大事なことではないかと思っております。抜けがないかどうかを見る際に例えばさっき私が少し言いましたが、諸外国で優先物質として取り組まれている物質リストの中で、実はこれがというものがあれば、むしろそれは場合によっては、このスクリーニングのスキームを外れてでもパラレルで進めていったほうが2020年時点での化審法の事後評価と、それから、WSSDへの貢献ということに対して積極的なメッセージを出せるのではないかと思いました。

 2つ目は、目標とその手段は不可分なところがあるのですが、遅れているという意見も出ていましたけれども、頑張っているという評価もできるのではないかと思います。特に先ほど、生態の方では、暴露クラス1から4で700物質ありましたよね。その中で有害性が把握されているのは141物質で、残りが584物質であると。そうしますと、分母に何を取るかということで少し表現の仕方は変わってきますけれども、把握率は相当高まっているのではなかろうかという表現もできますし、かつこれまで環境省が進められていた環境リスク初期評価ですとか、あるいはNITEが進めてきた初期評価といった先行の検討結果も2020年度に向けてのアピールになるのではないかと感じた次第です。

 そのときにQSARを入れられるところもあれば入れられないところもあると。そこの判断基準といいますか、データを確保していって最終的にリスクを判定した際の判定の考え方のようなところが、ある部分は非常に少ない情報の下で決めざるを得なかったというルール的な部分の整理ですとか、多分それはどこの国でもきっと苦労しているところだと思いますので、そこはむしろ、やや研究課題的にもチャレンジングなところがあると思うのですけれども、そこはあえてQSARを使えば、実はUFが1万と使っている場合に比べてさほど遜色なければQSARを使ってもいいという理屈が出てきますよね。そういったところも合わせて手法面での検討をされることによって、カバレージを拡大できるのではないかと。ちょっとこれはアイデアになりますけれども、感じた次第です。

 かつ不確実な、不十分な情報の下で行うエキスパートジャッジメントの適用の仕方、プラス何か適用ルール的なものとしてまとめることができれば、研究上の貢献にもつながるのではないかと感じた次第です。

 以上です。

○大塚座長 重要な御指摘、ありがとうございます。何か事務局からございますか。

○環境省(高橋室長補佐) 先生から2つ御意見いただいて、例えば諸外国で既に有害性が出ている物質とか、あと、あるいはQSARのカバレージを使っていくかというところも資料3の中で少し文言を修正させて、記載を加えさせていただきたいと思います。

○大塚座長 私から東海先生にお伺いして申しわけないのですけれども、情報が少ない場合にQSARを使うというのもあると思いますが、他方でさっきの資料2の19のように、有害性情報が得られない場合にデフォルト値を使うという方法もあり、どちらにするかによって結論が大分変わってきてしまうような感じがしますが、QSAR自体の的中率が2割とかという話になってくると、どの程度使えるのかがなかなか微妙なのですけれども、科学の先生にそんなことをお伺いして申し訳ないのですけれども、どんな感じなのでしょうか。

○東海委員 アイデアの面がありましたが、少なくともこういうルールを一旦5年前に決めているわけですから、そのルールでもって走らせてみるというのは検討をこれから始める上で、どういう方向で改善していくべきかを考える上での一つの事前情報になるのではないかという感じです。ただし、行き過ぎるとやはりフォールス・ポジティブのところが極めて過大になってしまうので、そこは目配りしながらやるという考え方です。

○大塚座長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。

 どうぞ、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ちょっと違う話ですが、先ほど議論されたnon-GLPデータを利用するという話なのですが、赤渕さんが事前コメントで書いているように、GLPはリスク評価の根拠とするに足る正確性を満たすことを証明する手段だと思っているので、それに欠くものを使うというのは、貴重なデータだけで非常に敷居の高いところもあると私は思っていまして、ですから、ある意味それを生かすためには似たことを簡易、分析法は全然違うと思ったのですけれども、もしかすると、一つの単に思いつきですけれども、優先評価化学物質の第2カテゴリーみたいなものを作ることによって、判定されたものですということを明示的に扱う場所を作った方が、そういうものを生かすことができるのではないか。同じ物質として同様に扱うというのは、かなりハードルが高い事柄ではないかという気もしますので、逆に、生かすためには何か違う仕組みを考えた方が良いと。それによって全体を生かすような作戦もあり得るのではないかと思いましたので、一応発言いたします。

○大塚座長 どうぞ。

○環境省(福島室長) 確認させていただきたいのですが、今、鈴木先生がおっしゃったのは、リスク評価書の作成にあたり、これはGLPデータで評価したものですとか、あるいはこれはQSARとか非GLPデータを使ったものですというふうに何らかの色分けをした方がいいという御趣旨でしょうか。

○鈴木委員 いや、どういうやり方はそういうことをやってみてはどうかという方がかえって生かせるし、それによって、逆に実際にデータを生かすことができるとも言えますので、次のステップに進むための準備にはなるかもしれない。

○大塚座長 参考にさせていただくということですか。ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○環境省(高橋室長補佐) もう一点、現状のnon-GLPデータの取り扱いですけれども、既に我々が任意で事業者さんから情報提供いただいた中にはnon-GLPのデータもありまして、実はピンキリと言ったらあれですけれども、非常に立派な報告書を作られていて、この後QAがさらに進めばGLPになるのではないかという本当に出来の良いものから、予備試験のように濃度も10倍ずつしか振っていなくて、魚の数も足りていないようなものもありますので、現状では一個一個生態毒性の専門家の先生方に見ていただいていて、例えば非常に立派な内容でGLP相当だけれども、non-GLPだから信頼性は2番目だがかなり使えるというものもある。また、全然箸にも棒にもかからないようなデータも現状であります。non-GLPデータについても今は、一個一個確認して使っているということでございます。

○鈴木委員 それは確かに言われてみればそうかも知れないですね。non-GLPだけでのラベリングは簡単すぎるので、より一般的に、信頼性が高いデータを構成するものの中にGLPと別な形で検討したものと、検討しても判断しきれないような種類のものが含まれているということに、データの扱いの区分は対応させる方が有効かもしれません。

○大塚座長 よろしいですね。ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。

 さっき事前コメントをいただいた菅野委員とか赤渕委員の御意見にもございますが、菅野委員の一番上のコメントは先ほど崎田委員や亀屋委員がおっしゃってくださったことと関係していると思います。

 あと、(3)は今鈴木委員がおっしゃいましたが、赤渕委員の(2)のところは、本当に加速化させるのであれば、現在の仕組みだけでいいのかどうかという問題は恐らくあって、事業者からの有害性情報の提供に関してもっと促進するような仕組みを考えたほうがいいのではないかという御指摘かと思いますが、この辺りについて、もし御議論いただければありがたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 資料2のスライド32のところだと、法41条が載っていますが、1項、2項は過料の適用事例なしということですけれども、過料というのは20万以下なので罰則にも入らない非常に少ない額ではありますが、しかし、それも適用がなかなか難しいのであれば、勧告の規定を入れる等、細かいことが色々と考えられると思います。あとはもっと大きい話として、有害性情報の提供を促すような仕組みを何か考えたほうがいいのではないかという問題もあろうかと思いますが、いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○有田委員 先ほど委員の方がジャパン・チャレンジのことを取り上げられて、色々と努力してきたと。私も最初のコメントで、十分に努力をされてこれまでリスク評価をされてきたことは分かっているけれども、もうちょっとスピード感をもって、という言い方をしました。だめだったという意味ではなく、期待が大きかったので、ということを付け加えておきます。そういう意味では、事業者からの協力を受けながら今の状態だと私は理解しています。これ以上どういうことをすれば、ということを考えれば、過料をもっと高くするのかどうか。それによって本当に協力が得られデータを出してくれるかどうか。いや、したほうがいいと言っているわけじゃないのです。化学工業会も協力しますという発言もある中で、どういうことが考えられるのかと。こちらがこうしたらどうですかと言う事ができればいいと思うのですが、努力をして来られた事も認識しているので。そういうふうに努力はされてきたけれども、もうこれ以上は協力は出きないのですかという話です。先ほど工業会の方は協力するとおっしゃっていますが。

○大塚座長 どうぞ。

○丸山委員 よろしいでしょうか。何をどこまでやってWSSDの目標を達成したかがちょっと漠然としているのですよね。やはり少し遅れているかもしれないなと。それがちょっとなのかだいぶんなのかも、それぞれで違うかもしれないですけれども、少なくとも化学業界としては、今何らかの情報が不足していることによる遅延であるのであれば、まず、non-GLPのデータを使っていただくことで早くならないか、あるいはQSARも使えるところで使っていただくことで早くならないか。まず、そこをやってどうかということではないかなと思っています。

 それから、デフォルトの話もございましたけれども、例えば10条の第1項を適用されると、GLPのデータが要求されることになりますので、そうではないデータが活用できるようにしていただくと、そこのところも幾分解消されるのではないかと思うところでございます。

○大塚座長 化学業界も誇りを持ってやっていただいているので、余り罰則を高くしたらやっていただけるということではなさそうだということは窺っていますが、さきほどの例えば10条4項は、基準を作った方が化学業界としてはよろしいでしょうか。費用負担に関しては、丸山さん、いかがでしょうか。

○丸山委員 そこまではという感じがございますけれども。まずは我々業界として持っているデータをどんどん出していきましょうというところで、まだ何かスタートできる余地があるのではないかなと思ったところです。

○大塚座長 10条の適用があるのは、先ほどおっしゃっていたようにGLPデータであることが前提なので、それで費用がかかるという話であって、今おっしゃっている話とはちょっと別だと思うのですよね。他にも何か、業界として加速化させるためにお考えがもしあったら、丸山委員、いかがでしょうか。

○丸山委員 ちょっとよろしいですか。直接的には関係ないのですけれども、生物を使った試験も当然必要ですけれども、やはりQSARといったシミュレーションによる評価を業界としても精力的に取り組んでいますので、国としてもそういうことをサポートしていただいて、より評価が早く進むようにしていただきたいということはございますけれども。

○大塚座長 QSARについては、またさらに御議論いただければと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 資料3につきまして、他によろしいですか。

 はい、どうぞ。

○有田委員 先ほどフロー図の中で矢印とか、例えば箱を設けるとか、そういう意見が出たと思うのです。フロー図で、先ほど出た意見でも、確実なデータで評価したものとそうでないものの箱があって、それはどういうふうに評価が戻るのでしょうか。ここでの議論がこの図にどのように生かされるのかを確認させてください。

○環境省(福島室長) QSARにつきましては、どういう場面で使えるのかを検討する検討会を今年度の後半から始めたいと思っておりまして、今、関係省庁と業界団体とで相談しているところです。また、実際に箱をどうするのかとか、どういうふうに入れ込んでいくのかというのは、なかなかテクニカルな議論も多いですので、資料3の4ページにもある通り、司々の場で検討いただくことだと思います。

 ですので、こちらの検討会にお願いしたいのは、そういう司々での検討が必要かどうかについてのサジェッションということになるのかなと思います。

○大塚座長 よろしいですか。他にはよろしいですか。

 では、資料3につきましてはその程度にさせていただこうと思います。

 議題3ですけれども、その他でございますが、事務局から何かございましたらお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) その他は特に議題はございません。

○大塚座長 では、以上で本日の議題を全て終了いたしましたので、事務局にお返しいたします。

○環境省(高橋室長補佐) ありがとうございました。

 次回の本検討会の開催につきましては、12月4日金曜日、13時から15時半を予定しております。詳細については、改めて事務局から御連絡いたします。

 また、今回配付した資料、冊子がありまして重くなってございますので、もし郵送の希望等がありましたら、事務局までお伝えいただければと思います。

 本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

○大塚座長 ありがとうございました。

午後5時04分閉会