大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年5月13日(金) 9:01~9:18  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日、私から発言させていただくのは1点、国際生物多様性の日についてです。

 5月22日は、国連が定めた国際生物多様性の日です。特に本年は、生物多様性条約COP15で、新たな世界目標を採択する重要な年です。また、11日に生物多様性の確保にも貢献する外来生物法改正案が成立したところです。この機会に、国民の皆様にも改めて生物多様性への関心を高めていただきたいと思います。環境省では、5月20日に国連大学等と共同で、「すべてのいのちと共にある未来へ!」をテーマに、国内外の動向を共有するためのシンポジウムを開催します。また、COP10議長国として、生物多様性条約事務局を通じて、世界にビデオメッセージを発出する予定です。30by30ロードマップの公表や、生物多様性日本基金による国際貢献など、新たな世界目標に向けた我が国の決意を伝えたいと考えています。シンポジウムの詳細は、報道発表を御覧ください。また、ビデオメッセージについては、ウェブサイトへの掲載時に、追ってお知らせさせていただきます。以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。フジテレビの井上です。来週、22日は国際生物多様性の日ということですが、生物多様性の損失を回復させるため、今後必要とお考えになる取組などがあれば教えてください。また、生物多様性については、一般の方の理解はまだそれほど深まっていないようにも感じますが、この点への大臣のお考え、そして個人として何ができるのか、どのようなことが求められるのかなど、メッセージがあれば併せてお聞かせください。
(大臣)確かに生物多様性といっても、英語で、バイオダイバーシティーだと、分からないですよね。我々にとってはごく当たり前になってしまっている言葉ですけれども、生物多様性の言葉について、もっと理解していただけるように発信を更に深めたいと思います。現在、国内外で生物多様性の損失が続いていると。早急にこの損失を食い止めて回復させることが不可欠だと。我々はそう思っているわけですね。その危機感を是非多くの人に共有してもらえるように、どういうふうにするか。そういう意味では、この生物多様性を育む一定のエリアを確保することが必要です。先月発表した30by30ロードマップに基づいて、国内の陸と海の30%以上の保全を図っていく。我々はそういうふうに思っていると。これをどういうふうに共有させてもらうかというのは、今回の法改正のときもそうですけれども、いろいろと発信していかなきゃいかんなというふうに思っています。日々の生活の中でも、生物多様性に配慮したラベルのついた商品を選ぶ。木材でも、そういう生物多様性に配慮した環境で育てた木材だと、そういうラベルがあるらしいですね。そういう意味では、生物多様性に配慮したラベルのついた商品を選ぶとか、あるいは地域の保護活動に参加していただくとか、そういうことが、個人ができる取組だと思います。「国際生物多様性の日」をきっかけに、改めてこの問題に関心を持っていただければと思うし、具体的な行動を取っていただくことを国民の皆様にお願いしたいと思います。新聞でも、大分書いていただいているから、皆ある程度の理解は深まりつつあるかもしれませんけれども、まだまだね、我々が頑張っていかなければいけないなと思っています。

(記者)共同通信社の間庭と申します。生物多様性の日についてお尋ねします。先ほど、COPがある、そういった説明もあり重複もあるかと思うんですけれども、今年、世界へのビデオメッセージで国の決意を伝えたいということですが、ここについて、今年そういった取組をされる狙い、意義について、少し詳しくお願いいたします。
(大臣)事務局があって、こういうCOPの話というのは進むわけですけど、事務局のほうから、いろんな議長国に依頼があるみたいですね。日本はCOP10の議長国だったから、そういう意味では「日本からも是非」ということで、既にビデオメッセージ、私、吹き込みました。それで後は事務局のほうでアップされるんだと思います。事務局というのは、全体の、世界の事務局ですね。そういうことです。

(記者)「エネルギーと環境」エネルギージャーナルの清水です。税制に関連して伺いたいのですが、1つは今日の新聞で出ていますけども、上場企業の約1300余社がね、史上最高の利益を上げている。この中には、製造業とか商社が入っているわけですけど。ただ、エネルギー企業はなかなか厳しいということですが、そこで20年来、具体化しようとしているカーボンプライシング、これについて、是非大臣のお考えを伺わせてほしい。もう御努力されて、経済団体とも心合わせをやられてきたようですけども、改めてやっぱりこの時期に具体的な環境省としてのプライシングの、あるいは炭素税、排出量取引の制度の具体的な姿、やはりあれは環境省としてどうするのか。この大企業における、空前の利益留保というか、これは新しい資本主義で、分配とか賃金の引上げとか新規投資に回すということになるんでしょうけども、是非その炭素税とかそういうことへの対応というのも提示してもらいたいなと思っていますが、どうでしょうか。
(大臣)カーボンプライシングについて、脱炭素を制するものは次の時代を制すると。グリーンを制する者は世界を制すると。まず、この感覚が共有していただけるかどうかですね。この脱炭素を、要するにカーボンニュートラルを実現するための道筋、いろんなことを同時に総合的に、あるいは全部、あらゆる手を使っていかないと簡単にはできません。その意味では、カーボンニュートラルの道筋の中で、例えば鉄鋼業、コークスで燃やせばCO2だけど、H2で燃やせばH2Oだと。じゃあ、そのイノベーションはどうやって確保するのか。鉄鋼炉を変えるだけで4兆、5兆かかると。それで、おっしゃるように、官民一体でやるということであれば、国からどれだけ出せるか、あるいはその中に、内部にとどまっているものがあればきちっと出していただきたいと。それは浮沈がかかっているのだから、その工程によって、世界に冠たる鉄鋼業をきちっと立てていこうじゃないかと。そういう発想ですね。それは自動車業界についても一緒です。申し訳ないけれど、中国のほうが電動車はべらぼうに多い。そこで、その現実を受け入れられるかどうか。戦場で負傷した兵士は2つに分かれるらしいです。1つは、自分の傷を見るのも怖いから見られない、そういう兵士は残念ながら亡くなっていったそうです。でも、自分の傷を直視できる兵士は、少々傷が深くても生き延びているケースが多いらしいです。だから、やはり日本の経済で、中国との関係、現実を直視できるかどうか。それを見て、どういうふうにリカバリーに持っていくか。じゃあ、その中で蓄電池が大事であれば、それにどれだけかかるか、国としてどれだけサポートできて、自動車業界としてどれだけのものを、内部にとどまっているものも含めて出せるか、官民一体というのはそういうことですね。その中で、いろんな業界に我々ができるだけサポートしようとしているけど、国民全体の理解を得ていかなければいけないわけです。そういうことであれば、じゃあ今、地球温暖化対策税で2,200億円と言うけど、イノベーションのためにそれじゃ全く足りないことは誰だって分かりますよね。じゃあ、そのカーボンプライシングということで、炭素税のみならず排出量取引、あるいはクレジット取引があるけれども、どれか1つということでは足りません。「策多ければ戦は勝つ、策少なければ負ける」これは私の近くの尼子氏というのが昔、戦について言った言葉ですけれども、策に上策なし、どんな策でも大事だと、それが戦に勝つ秘訣だと。だからそれは、排出量取引だけではなくて、クレジット取引だけではなくて、全て、炭素税も含めて全てやっていくという図柄を我々は描きたいわけです。それがグランドデザインということでもあります。ですから、その意味でのカーボンプライシングの方向性を出すべしというのが岸田総理から私に下問があった1つでもあります。だから、カーボンプライシングについてどうかというふうにお聞きいただくということであれば、それはカーボンプライシングの中でもいろいろなものがあるけど、全部総動員してなお、そのことだけでは、カーボンニュートラルというのはできません。だけど、その全体として皆に納得していただけるように持っていきたいなと。だから、このカーボンニュートラルを通じて、脱炭素を制するものは次の時代を制するということを実現していくためにどういう手を打っていくかという、全体の中での1つですね。いろんな経済団体とも心合わせには努めているつもりですけれども、1回ではなかなか。もちろんそれぞれの言い分というか、それぞれのお気持ちをお聞かせいただいているわけで、こちらも考え方を少々は述べているけれども、全部はまだ伝え切れていません。これから、クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会の場等でも、また環境省、それから経産省で、それぞれ新しい資本主義という文脈の中で発表していくわけですけれども、そういう、カーボンプライシングの方向性についてもきちんとした考え方を持った上で発表していきたいと思います。ただ、その詳細な設計図はまだ作業中です。ですから、いろんな人の意見をまだ聞き足りていません。各省庁ともすり合わせをしたいと思っています。環境省的には全ての策を総動員だと。カーボンニュートラルを制するものは次の時代を制するということで、各経済団体のみならず、全ての人とすり合わせをしたい、心合わせをしたいと。だから全国行脚も、47分の30までは来たかな。というところです、今。

(記者)環境新聞の小峰です。昨日、自民党の原子力規制に関する特別委員会が、鈴木淳司委員長が原子力防災担当大臣及び原子力規制庁の担当大臣の山口さんに提言を渡しました。その中で、ウクライナでのロシア軍による原発攻撃も念頭に原発の防衛を高めることと書いていましたけれども、大臣の受け止めをお聞かせください。
(大臣)原発の防衛を高めることということはもう当然のこととして受け止めています。それはもう防衛省に関わることであったり、警察庁に関わることであったりするわけですけれども。ウクライナのことを踏まえてというときに、ミサイルが飛んできて、それを防げる原発はありません。世界に一基もありません。これからもできません。そこは、戦争を防ぐというのが最大のポイントですよね。外交で処理できなければ軍人の仕事になる。軍人の仕事にしないようにしていくのが外交官であり、政治家であり。最大の、最良の防ぎ方はそこですよ。その中でね、鈴木委員長が持ってこられたものについては、やはり自前の、国産のエネルギーをどう確保するかという文脈の中で、要するに、その原子力規制庁としたら、安全を絶対的に確保したいという、これは当然のことですから。だからそういう中で、もしもそのコミュニケーションのやり方に改善できるところがあったら改善してくださいというところをおっしゃっていただいて、必要な人員、必要な予算、それもお願いしますということで受け止めさせてもらいました。
(記者)ただ、鈴木淳司委員長の提言の前に、ゴールデンウイーク前に自民党の安全保障調査会のほうは、原発防衛も含めて、国土の防衛、国民の防衛のために敵基地攻撃能力まで一歩踏み込んで、反撃能力、敵基地攻撃能力など、反撃能力まで踏み込んで提言しています。もはや、そういう意味でもですね、外国のミサイル弾道、これはかなわないでしょう、大臣のおっしゃるように原発に当てられたら。一方で、重武装の国内テロ行為も十分に予想されます、重大事態に発展した場合は。そういう意味で、日本が原発を持っているということは、日本は核兵器も共同シェアするぐらいの覚悟をもって原発の運営をしていかなくてはいけないのではないでしょうか。
(大臣)防衛をやることは当然です。こっちが鉄砲を持ったら向こうも鉄砲を持つ。こっちがミサイルを持ったら向こうもミサイルを持つ。こっちが原爆を持ったら向こうも原爆を持つ。世の中はそういうものですから、やっぱりけんかにならないようにするというのが最大のポイントです。そのための仕組みをどうするか。戦後、世界はアメリカ主導の中で国際連合を中心に武力の行使を禁止すると、それが今、ロシアの行動で非常な危機を迎えている。その仕組みを整えていくと、大きなところで平和を作る仕組み、ピースメーカーに誰がなれるか、やっぱり日本が頑張らなきゃいけないですよ。
(記者)大臣は元外交官で、基本的なことを存じ上げている上に、釈迦に説法ですけれども、外交というものは、軍事力の裏づけなくして外交なんかできるものでしょうか。
(大臣)軍事力を先に立てれば外交はできません。外交の中で、軍事力というのは後ろに隠しておくものです。それを見せつけてやるのは外交ではありません。

 

 

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/HLHasmVMbKk 

(以上)