大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年3月1日(火)9:00~9:13 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日は、私からは、外来生物法の一部を改正する法律案と国連環境総会(UNEA5.2)におけるプラスチック汚染対策に関する決議の採択について、お話しさせていただきます。初めに、本日、外来生物法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。今回の改正案のポイントは、主に3つです。第1に、我が国への定着が懸念される「ヒアリ」対策の強化です。具体的には、「要緊急対処特定外来生物」という新たな分類を設けて、より強い規制が係る仕組みとします。また、特定外来生物全般について、生息調査のための土地への立入りを可能とするなど、規制の強化を行います。第2に、国内で広く飼育されているアメリカザリガニやアカミミガメによる生態系被害を防止するための規制の整備です。具体的には、新たに特定外来生物に指定する際に、一律に飼育などを規制するのではなく、輸入・放出・販売といった一部の行為のみを規制する仕組みを設けます。第3に、地方公共団体による防除の迅速化です。都道府県が行う防除について、国の確認手続を不要とするなどの措置を講じます。外来生物対策の一層の強化・推進を図るべく、今国会での法案成立に全力を尽くしてまいります。2番目は、国連環境総会(UNEA5.2)における海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染対策に関する決議の採択の見込みについてです。ケニアで開催されている国連環境総会(UNEA5.2)において、プラスチック汚染対策に関する決議案が事前協議で合意され、新しい国際枠組みづくりに向けた政府間交渉委員会、INCですね、これを今年中に設立することが採択される見込みであるとの報告がありました。今回の合意を歓迎するとともに、交渉に参加された関係各国の関係者の御努力に敬意を表したいと思います。今回の合意は、我が国から事前に提出していた決議案の考え方が大きく反映されていると思います。INCの設立に当たって、途上国を含め多くの国が参加することが期待できる内容となっています。今後、地球規模の海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染への対策を進めていく上で、大きな意義を持つものと考えています。合意の詳細については、別途、事務方から御説明をさせていただきます。環境省としては、今後も、海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染に関する新たな国際枠組みづくりに向けて積極的に貢献し、この地球規模の課題の解決に尽力していきます。なお、日本時間の明日3月2日の夜、UNEA5.2のサイドイベントとして、サーキュラーエコノミーに関する国際的なアライアンスであるGACEREの第2回閣僚級会合をオンラインで開催します。私も参加を予定しています。今回は「サーキュラーエコノミーと自然」というテーマで、日本の取組を国際発信するとともに、各国の閣僚との議論を行う予定です。会合は公開で行われますから、是非多くの方に御視聴いただければと思います。以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の信田です。まず、UNEAについて伺いたいんですけども、海洋プラスチック汚染決議、採択の見込みとなったということですが、日本としては、なるべく多くの国が参加できる、国際的に意義のあるようなものにしたいということで案を出されていたと思いますが、今の採択見込みの案では、その辺りはどうなっているのかというところを教えてください。
(大臣)たくさん排出する国があるわけですよね。そういう国々がみんな参加できるようにということで、具体的な名前はちょっと今言わないほうがいいかもしれませんけど、そういう国々もみんな交渉に参加していますから、いろいろな意味で、日本案、それからペルー・ルワンダ案が出ていたりしたわけですけれども、それをきれいに統合して、我々はペルー・ルワンダ案だと、ヨーロッパはそれに賛成していましたよね、要するに、ライフサイクル全般、最初のほうからカバーするということで、我々はそこまでやると、みんな参加できるのかなと、そういう懸念もあったわけですけれども、そういうのをずっとまとめて、できつつあるのが今の形なんです。ですから、日本案そのものではないけれども、みんなが参加できるという、そういうプロセスが見えてきていますから、これでいいのかなというふうに思います。
(記者)あと、もう1点。昨日公開されたIPCCの第2作業部会第6次報告書についての御所感をお願いします。
(大臣)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から、気候変動の影響・適応・脆弱性に関する最新の科学的知見を示した報告書が公表されましたと、こういうことですね。今回の報告書では、「人為起源の気候変動は、極端現象の頻度と強度の増加を伴い、自然と人間に対して、広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と損害を、自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしている」などと記載され、気候変動の影響・適応・脆弱性に関する最新の重要な知見が盛り込まれたところだと。要するに、去年の夏の報告書では、気候変動が人のなせる業だというところまでは言ったみたいですね。今回のものはそれが、「広範囲にわたる悪影響」を及ぼしていると、そういうところが一つあるんですね。今回の報告書において、気候変動への適応策の推進、気温上昇を1.5度に抑えるためのより一層の緩和策の重要性が改めて示されたと認識しています。こうした最新の科学的知見を国内の気候変動対策に反映させながら、適応と緩和両方の取組を国内外で一体的に推進していくことが必要だと思っています。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。ロシアのウクライナ侵攻で、ヨーロッパのエネルギー政策に変化が出ていると。例えば、ドイツでは石炭の発電所の稼働を当初の目標の2030年以降も継続する可能性について言及されたりしていますけれども、大臣はどのように受け止めているでしょうか。
(大臣)ロシアのウクライナ侵略ということで表現していますけれども、これはある意味で、平時から有事に移っているわけですね。そういう意味では、ドイツも今まで平時に計画していたものを幾ばくか変更しているというのはよく分かると思います。石炭について継続するというのも、ロシアからのLNGが来なくなったり、いろいろなものが来なくなったりすると、そういうことなのかなというふうに思いますけれども、カーボンニュートラル2050というのは、みんなでやっていかなければいけないし、そういう意味では、本当はロシアもきちんとやらなければいけないけど、そこら辺が非常に心配されますよね。そこからどういうふうにするべきかというのは、私はちょっとまだ答えを持っていませんけれども、今回まだ混乱の最中にあって、停戦協議が今どうなっているかということも必ずしもはっきりしないから、まだどういうふうにこれからなるかというのは、自分自身でもよく分かっていませんけれども、若干心配ですね。

(記者)共同通信の水内です。2011年の福島第一原発事故からまもなく11年を迎えます。現在においても、原子力緊急事態宣言が継続している状態です。廃炉作業だったり、今も残る避難区域がどのような状況になれば、その解除を検討するのか、そしてまた、今後の解除できる見通しについてどのようにお考えか、お聞かせください。お願いします。
(大臣)今も原子力緊急事態の宣言が継続していると。この原子力緊急事態宣言を解除するということについては、原子力災害対策特別措置法の第15条第4項で、「原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるとき」に、内閣総理大臣が行うということがまず仕組みとしてあります。解除宣言をする際には、住民の方々、今避難されている方がまだおられるわけですけれども、その避難、あるいは福島第一原子力発電所の施設及び設備の応急の復旧などの実施状況などを踏まえつつ、関係する地方公共団体の思いなどをしっかりとお聞きしながら、総合的な見地から判断するということで、この中で住民の方々がまだ避難されている、あるいは福島原発の今の状況、そういうことから、特に一番大事な一つは、地方公共団体、福島あるいはその現地のいろいろな町があるわけですけれども、その辺のみんなの気持ちというものを一番大事にしなければいけないなというふうに思います。そういう意味では、機械的なものではないかもしれません。解除の時期について、そういう意味で、現時点で確たることを申し上げるということは困難でありますけれども、今、お話ししたようなことを踏まえて、関係自治体の考えを伺いながら、今後も検討してまいります。

(事務局)UNEAの合意については、担当部局に今日来ていただいていますので、この会見の後に御希望があれば、背景説明はさせていただこうと思います。
(大臣)確かにそうですね。UNEA、国際的な枠組みをつくるということが大きな目的の一つで、日本的にはそこが見えてきているということがすごく大事だと思うんです。今年の後半ぐらいにINCを立ち上げて、2024年までに作業を終えると。国別の報告書も作ったり、いろいろな具体的なことも決めつつあるみたいですから、そういう意味では非常にいい形になりつつあるとは思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/dIW1jKyw7Dk

(以上)

配布資料

・ 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について