大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年2月10日(木)9:17~9:32於:環境省第1会議室)

.発言要旨

今日、私から発言させていただくのは、中央環境審議会の炭素中立型経済社会変革小委員会の開催についてです。「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会、その関係で、総理からの指示を受けて、中央環境審議会に設置した、「炭素中立型経済社会変革小委員会」の初会合を2月25日、金曜日の17時から、オンラインで開催します。この委員会では、幅広く具体的な御意見をいただくため、若者世代を含め、自治体、学識経験者、金融、企業など多様な分野の有識者に参加いただく予定です。カーボンニュートラル実現に向けた経済社会のグランドデザイン、特に、地域社会が主体的に進める脱炭素の取組の後押しや、国民一人一人の理解促進、ライフスタイルの変革など幅広い論点についての具体策を整理いただくことを期待しています。これらの具体策を通じて、グリーン投資を呼び込んでいきたいと思います。初回の会合には私も出席させていただく予定です。今後、委員の皆様に活発な御議論をいただいて、その結果を踏まえて、私から「新しい資本主義実現会議」へ報告させていただきたいと思っています。以上です。

2.質疑応答

(記者)産経新聞の日野です。今、御紹介いただいた新しい小委員会のテーマの中で、かなり抽象的なテーマも多いような気がしています。大臣が期待されている、そのアウトプットのイメージがあれば教えていただきたいのと、今回の委員会での取りまとめ目標はいつ頃になるのか、スケジュール感を教えてください。
(大臣)今回の「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会、キーワードはグランドデザインだと思うんですね。萩生田大臣と私で協力してやらせていただくということになっています。その意味では、産業界、そして自治体、それから国民一人一人の意識の問題、全部含めて、これから日本が脱炭素に向けて、そしてそのことが日本の国力の増進につながるようにという意味で、このグランドデザインを描いていく。国民一人一人の意識がなければ、こういうものというのは成り立ちませんから、そういう意味では、私自身は地域の脱炭素、それからまたライフスタイルの話、そういうことを受け持って、萩生田大臣のほうでは、それぞれの産業についての話を中心にされるんだと思うんです。そういう意味で、全部まとめて、グランドデザインを、これからの日本の方向性を打ち出していくというところにつながるようにリードさせていただきたいなと思っています。それからスケジュール感。これはまだ私もよく分かっていなくて、そういう意味では、夏までにできればなというふうに思いますけれども、これは今、調整中だと思います。
(記者)今回の小委員会でカーボンプライシングの件については、この委員会では扱わないのでしょうか。
(大臣)カーボンプライシングというのは、この脱炭素に向けての道のりの中で非常に重要な部分ですから、当然扱っていきます。

(記者)毎日新聞の信田です。委員会のことで私も伺いたいんですけれども、委員に、今回、26歳の方、ハチドリ電力の代表の小野さんという方が入られたと思うんですけれども、20代の方が入られるのは初めてかということと、こういう若い世代をメンバーに入れた理由、あえて若い世代から選んだのかとか、その辺りを教えてください。
(大臣)我々、2050年の話、あるいはその前の2030年の話、そこをしているわけですから、今の若い世代の方々にとっては、当然、我が事になると思うんです。その意味では、この場でも御意見をたくさんいただきました。そういうことも全部踏まえた上で、若い世代の方々に入っていただく、その意味で、この方を選ばせていただきました。理由というのはそういうことですけれども、やっぱりその世代の方々に直接に影響することだし、この方の専門、ハチドリ電力代表ということですけれども、それプラス、若い世代の方々の意見として、いろいろ言っていただいたらいいなというふうに思っています。
(記者)初めてかというのは分からないですかね、20代の。
(大臣)どうなんだろう。私はあまり全体を分かっているわけではないかもしれないですけど、ひょっとしたら初めてなのかな。今まで、もう少しそれぞれの分野の経験者というイメージが強かったと思うんですけれども、今は世界の流れで、やっぱり20代の人はいろいろな意味でよく頑張っている話だと思うので、そういう意味では、初めてかどうかというのは、私は今、断言するだけのものを持っていないんですけど、そういう意味では、非常に珍しいかもしれません。

(記者)共同通信の水内です。今の小委員会の人選について、私も確認と質問ですが、ハチドリ電力の代表の方が選ばれたということですけれども、例えば学生の方を選ぶとか、そういったことも検討したのかどうか。もしそうであれば、最終的には選ばなかった理由がもしあれば教えてください。
(大臣)脱炭素ということで、学生の方も当然、候補として私も考えたわけですけれども、やっぱり仕事を実際にされて、そしてこのハチドリ電力ということで、これからの脱炭素という経験もあるという意味で、この方にさせていただきました。

(記者)NHKの岡本です。私からは内容のことについてで、先ほどカーボンプライシングの質問が出たかと思うんですけれども、カーボンプライシングは、既に今、小委員会があるかと思いますけれども、そことのすみ分けはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
(大臣)お互い、それぞれで意見を出していただいたらいいと思うんです。カーボンプライシングというのは、多岐にわたる話だと思うし、やっぱり国民の生活に関係してきますから、したがって、カーボンプライシングの小委員会のほうでは、専門的な方々の意見が中心になって、テクニカルな、あるいは技術的なことにも、ぐっと深く入っていけるんだと思いますけれども、他方、国民の理解なくして、このカーボンプライシングという話は絶対あり得ないと思うので、そういう観点から、この小委員会でも議論させていただくということは大事かなと思っています。

(記者)インターネットメディアのOurPlanet-TVの白石さんから質問をいただいておりますので、産経新聞代読いたします。大臣が先週1日、元首相5人に対し、欧州委員会宛て書簡の中に記載された、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」との表現について、「放射線の健康影響に関する差別や偏見につながるおそれがある」として、適切ではないとの書簡を送付されました。この件で、3点御質問があります。1点目です。原発事故当時18歳以下だった福島県民に甲状腺検査を実施していますが、大臣はがんとなった子の人数を把握しているか。把握している場合、全国がん登録で把握された人数も加味した上で、最新の人数を教えてください。穿刺細胞診の悪性疑い例も含めて、お願いいたします。2点目です。この人数において、大臣は多いと思うか、少ないと思うか、お考えをお聞かせください。3点目です。2月3日付けの産経新聞で、「環境省によれば、甲状腺がんには生涯にわたって健康に影響しない「潜在がん」が多いという」との報道がありました。環境省の認識は、この内容で間違いがないか、教えてください。補足でちょっと続きがありますので、読み上げます。なお、記者会見の質問は国会答弁ではないので、事前に質問を集めるというのは、違和感しかありません。いずれの質問についても、大臣のお考えが不十分な場合、追加の質問をさせていただければ幸いです。与党が非難決議を総理に提出するという重大案件ですので、大臣の口から国の明確なスタンスをお聞きしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
(大臣)最初の人数等については、福島県が実施する「県民健康調査」の数値について、福島県のホームページを参照いただきたいと思います。福島県が実施している甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、国内外の公的な専門家会議により、現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされていることが重要と考えています。環境省としては、このような国内外の専門家の評価を踏まえて、科学的知見に基づく正しい知識の普及に取り組んでまいりたいと思います。そしてまた、環境省が編集したという、「令和2年度版 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」、そこに専門家の見解である御指摘の内容が記載されていることは、承知しています。この専門家の見解ということで、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、国連のこの委員会の2013年の福島原発事故報告書では、こう書かれていますね。「福島第一原発事故後の甲状腺吸収線量がチェルノブイリ事故後の線量よりも大幅に低いため、福島県でチェルノブイリ原発事故の時のように多数の放射線誘発性甲状腺がんが発生するというように考える必要はない。」。それから、2020年にまた報告書が出ていて、そこでは、「見直された公衆の線量はUNSCEAR 2013年報告書と比較して減少、または同程度であり、放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにないと引き続きみなす。」、「被ばくした子供たちの間で甲状腺がんの検出数が大きく増加している原因は放射線被ばくではなく、高感度もしくは高精度な超音波スクリーニングがもたらした結果である」というのが、このUNSCEARの報告書であります。環境省としては、福島県の子供たちの気持ちに寄り添うべく、放射線の健康影響に関する差別偏見の払拭に取り組むとともに、甲状腺検査の対象者や御家族の多様な不安に応えるため、例えば二次検査を受ける方への心のサポートの実施体制を強化する事業などを行っております。今後とも、こうした取組を進めてまいります。国会答弁もここでも、これは公式の見解ですから、そこはきちんとした形でお答えさせていただいています。

【配布資料】中央環境審議会地球環境部会炭素中立型経済社会変革小委員会委員名簿 [PDF 114KB]

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/nbaXBqQEKOA

(以上)