大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年2月4日(金)9:32~10:02於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

私からは、令和3年度原子力総合防災訓練の実施についてお話しさせていただきます。令和3年度の原子力総合防災訓練として、女川地域を対象とする今年度の訓練を2月10日の木曜から12日の土曜日にかけて実施させていただきます。新型コロナウイルス感染症の動向については引き続き注視しつつ、感染症対策をしっかり行って、対応可能な範囲で訓練参加者を絞った上で、訓練を実施したいと考えています。その上で、女川地域では、特に自然災害と原子力災害による複合災害時の孤立地域における住民避難などが重要な視点だと考えています。今回の訓練では、住民の陸路による避難に加えて、陸路による避難が困難になった場合の海路避難や空路避難についての実効性も確認したいと思います。私自身、原子力防災担当の大臣として、官邸及び内閣府本府において、1日目と2日目の訓練に参加する予定です。訓練内容の詳細については、本日午後に担当者から説明させていただきます。以上です。

2.質疑応答

(記者)共同通信の水内です。冒頭発言がありました防災訓練についてなんですけども、新型コロナの感染拡大が続く中で、これは延期ということも検討したのかどうか。それとまた、今、引き続き、動向を注視しつつという御発言ありました。これは状況次第で、延期の検討もあり得るのでしょうか。さらに、今回開催するという判断の狙いや意義について教えてください。
(大臣)コロナの新規の感染者数が非常に高い数値になっていますから、そこは延期するかどうかというのは、私も非常に注意深く見守った中で、どうしようかなというのはもちろん思っていました。よく宮城県のほうと相談して、住民参加の話もありますのでね、最終的に、いろいろなことが起こっても、絶対起こってはいけない原子力の災害ではありますけれども、いろいろなことが起こり得るという想定の下での話ですから、ここはやるべきかなというふうに、宮城県のほうでもOKであればやるべきかなというふうに考えた次第です。これからこの数字がどうなるかというのは、私自身も必ずしも予測できるわけではないんですけれども、直前まで感染状況を注意深く見守るという前提の上で、基本的には必要な対策を講じて実施したいというふうに考えています。その意味では、宮城県ともよく連絡を取らせてもらった上で、基本的に開催をさせていただこうというふうに考えています。どんな状況でも、どういうふうに対応できるかということを考えないといけませんから、そういう意味では、今回難しい状況ではあるんですけれども、万全の対策を講じた上で、やるべきかなというふうに私は思います。あとは、宮城県のほうといろいろな調整の中で、最終的に決めていくというふうに思っています。

(記者)環境新聞の小峰です。今の女川の防災訓練に関連する話ですけれども、大臣冒頭、この避難が自然災害と原子力事故との複合的な状況ということをおっしゃいましたけども、今ですね、今年に入って北朝鮮は7回もミサイル発射実験をしております。一方、中国の台湾侵攻や尖閣強奪の危険性も現実問題化しております。その際、日本の原発が北朝鮮や中国のミサイルで狙われる可能性もあると思います。原子力防災担当大臣として、山口大臣の対処方針というのはどういうものですか。それに際して、岸田文雄総理はこれらの事態に対処することも含め、敵基地攻撃能力の保有検討を表明しております。原子力防災担当大臣として、敵基地攻撃能力保有を表明すべきではありませんか。
(大臣)原子力防災担当大臣として敵基地攻撃能力というのは、ちょっと範囲が超えてしまうかもしれないので、ちょっとここでのコメントは差し控えたほうがいいかなと思うんですけれども、私も政治家として全体像を考えるということであれば、やっぱり最大の対応策というのは、そういうことをさせないということですよね、まず。それこそ、させるという前提の下よりも、そういうことをさせないという、そっちのほうが大きなポイントだと思うんです。そういう意味では、まずは、まずは北朝鮮にこういうことをさせないということのほうが、私にとっては非常に重点的なことなんです。外交官で処理できなければ、あとは軍人の仕事になってしまうというのは、私、よく使う表現ですけれども、やっぱりこの軍人の仕事にさせないようにするというのが一番のポイントですね。それは国家戦略というものです。だから、私、原子力防災担当大臣とか、環境大臣とかという範囲を既にそういうコメントは超えてますけれどね、超えていますけれども、あえて言わせていただくとすれば、私的には、まずは北朝鮮が何でこういうふうにミサイルの発射実験をしているのか、そこはやっぱり、よく見ていかなければいけないと思います。私は、彼らは対話をしたいということを何度も何度も発射実験をして言っているんだと思います。だから、そこはどういうふうに対応するかというのは、これはもう完全に私の範囲を超えますから、そこはここで止めますけれども、あえてお聞きということであれば、私はそういうふうに思っています。ただね、これも全ての事態に対応するということも1つの、小峰さんがおっしゃっていることの1つのポイントだと思いますから、それはいろいろなことが起こっても、どういうふうにこの事態を受け止めていくかというのは当然ありますから、PAZとか、いろいろ5km以内、あるいは30km以内という、そういう距離の話もありますよね。だから、そういうもので対応できるかどうかということも、それは例外的な想定としてはあり得るんだと思います。だけど、今回はそのことを想定しての訓練にはなりません。
(記者)だけど、大臣はかねて、軍人の仕事の前に外交官だって、かねてから、就任記者会見からおっしゃっていましたけれども、軍事力がなければ外交というのはあり得ないと思います。そういう意味でもですね、敵基地攻撃能力、これは原子力防災だけじゃなくて必要だと思うんですけど、大臣、この辺は岸田首相と考えが違うんですか。
(大臣)私は、内閣の一員として、岸田総理がそういうふうに言っておられることに対して、異を唱えるものではありません。

(記者)読売新聞社の服部です。2月1日にですね、大臣の名前で、元首相5人に対して、「福島県における放射線の健康影響について」という書簡を送られまして、元首相たちの表現について適切でないということをおっしゃっておられます。かなり速度感、スピーディーにこういった文書を出されたと思うんですけども、この文書の狙いですね、教えてください。
(大臣)元々、あの文書というのは、きっとEUのタクソノミーの話が発端だとは思うんです。原子力で発電したものをグリーンと捉えるかどうかというタクソノミーが発端だったと思うんです。この5人の元総理の方々は、それに対して異を唱えるというのが、元々の発想だったかもしれません。他方、その表現の中に、いわゆる子供たちがそういうことで苦しんでいるというような、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」と、そういう記述があったものですから、ここは少し科学的なこれまでの評価というものからすれば、いわれのない差別や偏見を助長するということが懸念されたので、私から書簡を送付させていただきました。国連のUNSCEARという専門家集団、あるいは福島県の専門家のグループ、それらがいろいろな評価をしています。評価というのは、科学的な知見に基づいた評価をしています。むしろその評価からいけば、当たらないという判断のほうが私は正しいんだと思うんです。その意味で、この書簡を書かせていただいたほうがいいなというふうに思った次第です。あれは2日だったのかな、EUのフロア大使と、それからEU加盟の大使の方々が集まってお話をするということになっていましたから、急遽その話も最後に加えて述べさせていただきました。あとは、昨日の時点ですけれども、この書簡というのは日本の元総理の方々宛てに私の名前で最初送らせていただいて、それでEUの大使の方々には口頭で伝えさせていただいたわけですけれども、EUの大使宛てに書簡を送ったほうがいいなと。というのは、元総理の方々の書簡が、EUのフォン・デア・ライエンさん宛てのものですから、EUの方々にも、私から直接、こういう趣旨ですということを、昨日の時点で書簡を書かせていただきました。大使からはEUのほうに報告電が出るはずですから、したがって、趣旨としては、EUの委員長に伝わるようにということで書かせていただきました。私自身の手紙として、フロア大使ですかね、この東京駐在のEUの大使、その方宛てに書簡を書かせていただきました、改めて。こういう手紙ですというものを。その手紙を添付させていただいた格好です。
(記者)関連でお伺いしたいんですけども、福島県で発見されている甲状腺がんについては、放射線の影響ではないというふうに国際機関も言っているところだと思うんですけども、とはいえ266人の方ががん又はがんの疑いという診断を受けているわけで、そうすると、放射線の影響じゃないんであれば、何の理由でそうなっているのかということも併せて発信していく必要があると思うんですけれども、国連の科学委員会なんかは、非常に高感度の検査機器で調べたので、本来、見つからなかったやつを見つけてしまったというような指摘もされているんですけども、環境省として、そういったことをもっと広く伝えることが風評払拭には大事なんではないかと思うんですが、その辺のお考えを。
(大臣)風評被害の払拭、その観点ですよね。それで、こういうことというのは、なかなかすぐには見つからないというか、すぐに即断できない部分もあると思うんです。だから、調査のことはずっとしばらく続けているわけですけれども、その中で、あえて結論的に、福島の原発が原因だったというふうに断じられないという状況、ずっと続いているので、そういう意味では、そこら辺を確認させていただくということが大事だろうなと。甲状腺がんというのは、普通なかなか調べないもののようですよね。ですから、そういう意味では、266人ですかね、そういう方々が見つかったということはあるので、我々としても、あんまりそこで、すぐボンと打ち切らずに、引き続き調査させていただくんだろうなというふうに考えています。

(記者)河北新報社の桐生です。原子力防災訓練について伺いたいんですけれども、実際、今回、参加の人数、特に住民の方というのがどのくらい参加されるのかというのを伺いたいんですけれども。お願いします。
(大臣)私自身が聞いているのは、宮城県の方針として、今回はあえて住民の参加はなしにすると。住民に当たる役割として、県の職員の方などが代わりにその役割を演ずるということを聞いています。人数的には、国・県・市・町の職員の方々、あるいは、いわゆる実動部隊というんですか、警察とか、消防とか、海保とか、自衛隊とか、そういうことを含めて1,000人ぐらい、あるいは1,000人を少し超えるぐらいになるかなというふうに見込んでいます。
(記者)実際に女川原発から30km圏には、大体、人口20万人くらい住んでいます。今回、住民にいかに避難対というのを周知するかというのが1つの焦点だったと思うんですけれども、実際にこれに住民が参加しないということで、この避難計画自体が本当に実効性あるのかという、少しこの訓練の意味を疑ってしまうところがあるんですけれども、その辺りについてはいかがでしょうか。
(大臣)20万人の方々、全部巻き込んでの訓練では元々ないわけですけれども、やはり、一番誘導するのは行政の人たち、あるいはその実動部隊の人たちですから、そういう方々が、いざというとき、あってはいけない、いざというときにきちっとできるようにという趣旨で、私は大いに意義があるんだと思います。また、1回だけではなくて、県として毎年こういう訓練も行っているはずですから、そういう意味では、今回、受けていただいた訓練を基に、このコロナさえ収まれば、住民の方に実際に参加していただいた訓練というのも、いずれしていただければいいなというふうに思います。
(記者)先ほど、共同さんの質問でもあったんですけれども、いかに住民の方が参加するのか、実際に多くの方が移動すると渋滞が発生したりとか、避難ルートをどこ使うかという問題だったり、いろいろなトラブルが起きると思うんですけど、そういったものを問題重ねることというのが、非常に、こういった避難訓練では大切だと思うんですね。なるべく多くの方が参加できるということが一番大事で、もう少し感染が落ち着いた時期に延期する選択肢はなかったのかと。なぜ今やるのかというのをちょっとお願いします。
(大臣)感染症というのはいつ起きるか分からないわけですから、そういう意味では、いつの話か分からないことよりも、いつなんどき何が起こるか分からないという想定の下で今回やらせていただくというのは、今おっしゃった道路の混み具合云々、それはいかようにでもチェックできますから、別に実際に住民の方々が20万人参加しなくても、ある程度チェックできると思うので、今回やらせていただくというのは意義があると思います。 今回、例えば、人数を非常に限った格好でやらせていただくわけですから、そういう意味では、実際に見た中で、もうちょっとこれは人数を増やしてからやらないと分からない部分もあるなということが出てきたら出てきたで、次回、今度は県が実際にやられる計画の中で試していただければ、できることではないのかなと思います。国と、要するに、官邸と女川、あるいは、内閣府の本府と女川、そういうことの連動の状況とか、いろいろ試さなくてはいけないことはありますから、そういう意味では、実際に住民の方々が参加していただくというのは望ましいんですけれども、それがなければ全く成り立たないというわけではないと思います。
(記者)もう1問だけお願いしたいんですけれども、大臣、以前会見で、今回、コロナ禍であっても、こういった避難訓練というのができれば、今の現行の避難計画というのが、コロナが起きても、感染状況ひどくても対応できると、証明できるというお話をされたと思うんですけれども、実際に住民が参加しないで、コロナ対策というのが果たして実際にやったと言えるような訓練になると思いますでしょうか。
(大臣)コロナの勢いというのが相当なものですから、私は決してこの勢いをなめてはいません。したがって、住民の方々に無理やり参加いただいてコロナが起こるようでは、むしろ私もつらいものがありますから、そういう意味では、そういう危険性を、もうほぼないようにさせていただいた上で、それでこの訓練を実際にやらせていただきたいなと思うんです。私自身は東京に残りますけど、実際に務台副大臣が現地の女川のオフサイトセンターに出向いて、それから、職員の人も東京から行く場合には、全員PCR 検査をしてから行きます。PCRの有効期限が切れた後は、毎日毎日、抗原検査をして、それで OKであれば参加を継続、陽性であれば即参加を中止して、離脱してということで、徹底的に対策を施した上でやるので、そういう意味では、今おっしゃられるように、実際に想定したフルの訓練ではないんですけれども、でも、かなりいろいろな大事なことは確認しながらできると思いますから、今回やらせていただいたほうがいいなと考えています。

(記者)朝日新聞の関根です。1問だけ。女川の訓練について、住民の参加がないということだそうですけれども、コロナ対策と避難対策の両立という意味で、大臣としては具体的にどの辺を具体的に検証してみたいというふうにお考えでしょうか。
(大臣)コロナ対策ということでは、人数がものすごく減るわけですよね。その中でも、避難の誘導、あるいは、いろいろなその数値の確認をしながら、それを緊急事態宣言ということで、官邸のほうで私は総理に上申して、それから総理が緊急事態宣言を出されて、それから、その時点で私も内閣府の本府から官邸のほうに移るわけですけれども、そういう動作全体を通して、この避難対策というもの、それも含んだ上で、現地との連絡を取りながら、避難対策が整々粛々と行えるかどうか。そういうことを確かめるという意味だと思います。だから、コロナ対策って、私は別にオミクロン株にどういうふうに対処するかという話はないんですけれども、コロナ対策ということで、安全を確認しながら、人数を減らしてでもこの避難誘導ができるかどうか、そういうことがポイントになると思います。
(記者)住民参加はしてほしかったけれども、宮城県の意向で住民参加はなしになった、こういう理解でよろしいでしょうか。
(大臣)住民参加がもちろんね、望ましいということはあると思うんですけれども、宮城県と相談させていただく中で、宮城県のほうからは、そういう住民参加というのはなしでいこうかということだというふうに承知しています。
(記者)最後に、延期して改めてやった方がいいんじゃないかという意見もあったと思うんですが、総理日程を取るのはなかなか難しいという現実的な問題もあり、かつ、再稼働を、もしかしたらこれ、急ぎたいのではないかと勘ぐられてしまう向きもあるかと思うんですけど、その辺はいかがですか。
(大臣)再稼働については、既に決まっているというふうに承知しています。私がこの仕事をさせていただく前から決まっていると。その必要な工事等も、今、最終段階に来ているというふうに思いますから、それとの連動というものではなくて、いつ起こるか分からないという中での、起こるか分からないというか、起こってはいけないんですけど、万が一ということで想定してやる話ですから、それは再稼働と連動してという、あるいはその条件づけということではありません。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。1点だけ。岡山県の美作市で、太陽光発電のパネル課税というのを条例化しました。環境省は、再エネ促進地域の受付をもうやっている。で、かつ再エネを促進するのを重要な政策としていますけども、パネル課税が全国的に波及すると大きなブレーキになると思いますが、どうですか。その辺は環境省としては、まあ容認なのか、あるいは、まあ問題だという認識なのか。いずれ総務大臣が美作市の法定外目的税として、総務大臣が審査するということで、もうやっているみたいですけど、いずれにしても、国の判断が大きな要素になりますが、どうですか。
(大臣)再生可能エネルギーを地域のまちおこしと両立する、あるいは、その相乗効果を持つようにということで、今、先行地域ということもやらせていただくし、あるいは、促進区域という議論もありますよね。私的には、あるいは、もうこれから環境省としてもそうでしょうけども、やっぱり地域の合意形成というのはものすごく大事だし、その中で、この課税というのはどういう趣旨なのかというのは、私、今つまびらかではないですけれども、これは地域がどういうふうに、そういうふうにお決めになったのか、そこは、その気持ちというのは、ある程度、優先させなければいけないのではないかなという気がするんです。このパネル課税があったとしても、ビジネスとして成り立つのであれば。この課税があったからビジネスとしてすぐ成り立たないんではないんだと、私は思うんですけれども、それは総務大臣とかいろいろな人の判断もあるんでしょう。だからそういう意味では、この地域の人がどういうふうに再生可能エネルギーを進めたいかという、そこら辺の気持ちもあるでしょうから、国のほうでそれをやってはいけないとかということでは、必ずしも最初からないと思うんです。どういう意図かどうかということを見極めた上で、ある程度その地域性があるのであれば、そこはそういうものもあるかもしれないし、国の全体の方針とあまりにもかけ離れたものであれば、総務大臣から何かコメントがあるかもしれないしということかもしれません。環境省的には、この再生可能エネルギーをとにかく徹底的に進めるんだという気持ちは、もちろんありますけどね、もう1つは、地域の合意形成、あるいはその地域の方々がどういうふうに再生可能エネルギーを受け止めておられるか。そういうことで、先日もアセスメントについて、抜本的計画の見直しということも言わせていただいたわけですけれどもね。だから、そういうことでいけば、この美作市の話も地域はどういうふうに考えておられるのかなということも非常に大事な部分だなというふうに受け止めます。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/0GYItUXQmLU

(以上)