大臣談話・大臣記者会見要旨

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界遺産登録に関する小泉環境大臣談話

 本日、世界遺産委員会において、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の、世界遺産登録が決定されました。コロナ禍での明るいニュースとなり、心から嬉しく思います。

 まず、鹿児島県、沖縄県、地元市町村、専門家、地元団体、関係省庁をはじめ、多くの皆様のご尽力に深く感謝申し上げます。そして、貴重な自然を守り、自然とともにある文化を育んでこられた島(しま)の方々に、心から敬意を表します。

 この島々の照葉樹林では、大陸で絶滅した生き物が、箱船のように生き続けています。アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど、個性的な生き物が暮らす、唯一無二の自然の価値が、今回国際的にも認められたと言えます。

 候補地となって以来、登録まで18年にも及ぶ長い道のりでした。
 西表島のほぼ全島を国立公園にし、やんばると奄美群島には新しい国立公園を指定しました。希少種の保護や外来種対策を進め、奄美大島ではマングースをほぼ根絶しました。このような努力の上、2017年に最初の推薦をしました。しかし、国際自然保護連合(IUCN)からは、「更なる取組が必要」という評価を受け、一度は推薦を取り下げることとなりました。

 それでもなお、島の方々は、諦めることなく、島の自然を見つめ直し、自分たちにできることが何かを考え、行動に移しました。ボランティアによる外来植物の駆除に、地元の建設会社が重機やトラックを出して参加し、島全体で取り組むようになりました。林業者は希少種保護のパトロールを担うようになりました。生き物の鳴き声を聞き分けられるようになった子供達は、将来この地を守る担い手となることでしょう。
 こうした島の方々の熱意と関係者の努力に支えられ、2019年に二度目の推薦をしました。新型コロナウィルス感染症のために世界遺産委員会そのものが1年延期されましたが、今回、ようやく悲願の達成となったのです。
 この道のりは、島の宝を、世界の宝として守るための方法を、皆で考える歩みでした。長い時間をかけた分、多くの人々が思い入れを持つ世界自然遺産になりました。改めて、皆様に心より敬意と感謝の意を表します。

 日本の世界自然遺産の歴史の中で、1993年登録の白神山地と屋久島、2003年選定の3候補地のうち、知床、小笠原諸島に次ぐ最後の登録が実現できました。
 これからは、他の登録地とともに、世界自然遺産に相応しく、質の高い保全と管理を一層充実させなければなりません。
 さあ、この登録を号砲とし、IUCNや世界遺産委員会からの指摘を羅針盤に、手を携えて、世界の宝であるこの素晴らしい自然の価値を将来に引き継ぐための道を歩んで行きましょう。