小泉大臣記者会見録(令和3年4月6日(火)9:05~9:30 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

前回の会見が院内のぶら下がりだったので、この会議室で新年度やるのは初めてだと思いますが、改めてよろしくお願いします。もしかしたら立場も変わられた方があったり、新しいメンバーの方もいるかもしれませんが、今後とも新年度、頑張っていきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 今日は1件ですね、閣議案件はありませんが、私からは脱炭素ドミノ、これをインド太平洋地域、これに広げていく上で重要なポイントが1つ、新たに事業の公募に関わることなので、報告をしたいと思います。かねがね言っておりますが、今回、今年の国際社会との関係でいうと、3つのポイントがあると既に言っています。1つ目が2つのCOPの成功例、2つ目がアメリカとの連携、そして3つ目がインド太平洋地域への脱炭素ドミノの展開。この3つ目のところに関わりますので、そこをお話しします。3月に開催した脱炭素都市国際フォーラムにおいて、東京都の協力によってクアラルンプール市が脱炭素ドミノの1号案件としてグリーンビルディング政策を拡充して、2050年のカーボンニュートラルを宣言する、ということになりました。今年も都市間連携事業を募集して、日本の自治体と海外都市との連携による脱炭素ドミノの輪を広げるとともに、日本のゼロエミッションビルディング、日本ではZEBと言われますが、こういったことの取組を海外に展開していくということであります。そして、2点目が国際的な都市間連携にも活用できる二国間クレジット制度、JCMの設備補助事業の公募を開始します。例えば、昨年度はフィリピンにおける29メガワット地熱発電プロジェクト、そしてタイにおけるブロックチェーンの活用による太陽光発電プロジェクトなどの再エネ導入に貢献をしました。今お話ししたような具体のプロジェクトなくして世界の脱炭素化は進みません。この都市間連携事業とJCM設備補助事業で再エネ導入を始めとする脱炭素のプロジェクトを具体化をしていくことによって、インド太平洋地域の脱炭素化の支援を日本としても積極的にリードしていきたいと思います。今日は冒頭はこの1件です。後は皆さんから、御質問あればどうぞ。幹事社さんから。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。よろしくお願いします。インド太平洋地域の脱炭素移行支援についてなんですが、大臣は先週の会見で東京都がクアラルンプールを支援した例などを4月22、23日に気候変動サミットや国際会合でアピールしていきたいとの考えを述べられています。冒頭関連の話があったと思いますが、こうした事例をアピールする理由や意義はどこにあるとお考えでしょうか。
(大臣)2点あると思いますね。1点目は、日本が訴えている脱炭素ドミノというのがリアリティーがあるんだと。このリアリティーという意義。しかもそれが既に実現をしているという、そういったことをしっかりと訴えていきたいと思います。そして2点目が、日本の取組の独自性の発信。国内でも脱炭素ドミノを、この5年間で先行エリアを作って、そこから広げていく。こういった地域から始まる脱炭素ドミノというアプローチを取っている。これは私もアメリカの政府高官、そしてカウンターパートであるジョン・ケリー氏を含めて、この脱炭素ドミノの話はしています。先日はEPAのリーガン長官とも会談をしましたけど、脱炭素ドミノの話もしています。特にEPAはアメリカ国内の脱炭素化に関わる組織ですから、こういったアプローチを日本が取っていることも話をしています。そして東南アジア、インド太平洋地域においても既にそれが動いているということ。言っているだけじゃなくて、日本というのは実際にそれを本当に動かしているんだということは、説得力を持って訴えられると思います。その2点です。

(記者)電氣新聞の匂坂と申します。よろしくお願いします。2030年の温室効果ガスの削減目標のNDCについて伺いたいと思います。常々、野心的な目標に引き上げるとおっしゃっていますが、そもそも野心的というのはどういう条件を満たせば野心的と言えるのか、基準や考え方についてお伺いしたいと思っております。例えば、海外のEUの今の30年目標は野心的と評価しているのかといったところも併せて、野心についての考え方なりをお聞かせいただければと思います。
(大臣)一言で言うと、積み上げだけではないということだと思います。
(記者)積み上げだけではなく、どういうものがあるのか。数字というところでしょうか。
(大臣)野心的ということが、どういうことかと一言で言えば、積み上げだけで描けない高い目標を掲げて、そこに政治が目標を掲げることで民間投資や民間企業の最大限の努力を引き出していくというアプローチ、私はそれが野心的なものだという理解です。
(記者)EUはそういう意味では、評価されていますか。
(大臣)2050年カーボンニュートラル自体が野心的な国際的なゴールです。それ自体がもう野心的ですよね。これも積み上げでは絶対に無理ですから。なので、2050年カーボンニュートラルという野心的なゴールに対して、整合的な2030年目標を立てるということ自体が野心的だと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。関連してなんですけれども、例えば2050年であれば、野心的な目標となる場合、革新的な技術なども2兆円基金などの効果で見込めるかなと思うんですけれども、2030年、あと9年というところで、そこで積み上げではない野心的な目標を掲げるというところで、今、民間投資が最大限のアプローチなどというふうに言われましたけれども、大臣としてはどういうふうに変化したら積み上げではない野心的な数値、数値目標はまだ出されていないですけれども、野心的な目標が可能とお考えでしょうか、2030年に関して。
(大臣)まず9年後のことを考えるときに、9年前のことを考えてもらいたいと思います。9年前に、今のわれわれの生活が9年前に想像できた人がいるかというと、あまりいないと思います。これだけスマホが普及することも、これだけリモートが普及したことも。間違いなくこの9年、10年の変化以上の変化が今から2030年までに生まれると思います。ただ、技術だけに頼るのは、私は良くないと思いますから、常々言っているのは、技術のイノベーションだけではなくて、ルールのイノベーションが必要だと。つまりルールを変えないと、高い目標のゴールにはたどり着かないと思います。ただ、それがカーボンプライシングとか、今回の温対法の法改正という法律を変えるということにもつながるんですけども、一方で現実を見れば、既に日本は想定以上の削減を積み上げています。この前、有識者会議で高村ゆかり先生が言われていましたけど、2015年と比べても今の削減というのは想定以上の削減をしていて、このままだと40%の削減につながるぐらいの実績を今出している、そういったお話をされていました。そして、さらに技術の関係でいうと、あまり言われないことですし、これはもっと言っていったほうがいいなと私も思いましたけれども、再エネ関連の特許の数というのは日本は世界でぶっちぎりです。こういった技術をいかに世の中に求められる商品やサービスにつなげていくかということが、日本としてはこの9年、10年で、特許数を、単純に特許だけの数で評価されるのではなくて、ビジネスとして、投資として、サービスとして根付かせなきゃいけないなと。最後に、これはすごい重要なところだと思いますけど、パリ協定と京都議定書というのは性格が違うということを改めて認識する機会に、有識者会議はなりました。高い目標を掲げて、そこまでの誠実な努力を評価をし合う、そういったものがパリ協定であると。京都議定書とは違う。これを理解した上での2030年目標をつくっていかなければいけないと思います。
(記者)重ねてなんですけれども、いろいろと試算の方は環境省、経産省などでやっていると思うんですけれども、コストの面で、電力料金についてですね、2050年カーボンニュートラルが実現した折には、小泉さんとしましては、電力料金というものは現在に比べて単価が高くなるとお考えなのか、大体どれぐらいのイメージをされているのか、お願いします。
(大臣)コストの問題は不可避ですよね。議論しなければいけないと思います。私の問題意識としては、再エネだけを国民負担というのはおかしいと思います。必ず再エネ、イコール国民負担と言われますよね、賦課金の関係で。しかし、ほかの電源も含めて国民負担のない電源というのはあるんでしょうか。そういったことを含めて今回、このNDC、そしてエネルギー基本計画、長期戦略、こういった大きな計画などを今後見直しをしていくことになりますが、そこでコストの問題は、再エネのコストだけを切り出して国民負担だと言い続けるのではなくて、電源全体としてコストをフェアに比較をする中で議論して、国民の皆さんからも納得感のある電源構成を含めて、気候変動政策とエネルギー政策の整合的なものをつくっていかなければいけないなと思っています。
(記者)電源全体のコストとして高くなると考えるのか、今と同じだとお考えなのか、どうでしょうか。
(大臣)それこそ、まさにどうなるかをデータを開示してやる必要があるんじゃないでしょうか。

(記者)テレビ朝日の藤原です。話変わるんですけど、福島の帰還困難区域で行っているイノシシ捕獲事業についてお伺いしたいんですが、帰還する人のことを考えるための事業だというふうにホームページにも記載があると思いますが、現状、捕獲数だとか、その目標に向かってどういった状況にあるのかというのと、今後の展望といいますか、どういうふうにお考えでしょうか、お聞かせください。
(大臣)捕獲の頭数からすると、昨年度は2,252頭ということです。この事業では、人の生活圏へのイノシシなどの侵入防止に重点を置いて、既に帰還が始まっている区域周辺や今後住民が帰還する特定復興再生拠点区域で、わなの数を増やすなどして捕獲を強化しているところです。その結果2,252頭と。これから帰還される方々が安心して生活ができるように、また既に帰還されている方も含めてですけれども、福島県そして地元の市町村などとの連携を図りながら、わなの配置を工夫するなどして、イノシシなどの鳥獣による被害への対策を進めていきたいと思っています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。よろしくお願いします。環境外交について2点ほど伺いたいんですが、1つは、中国の、前にも話したんですけれども、最大排出国として、どういう、30年目標、あるいはその先、中国を巻き込むのか、先ほど京都議定書とパリ協定の違いをおっしゃったわけですけれども、最大の違いは、中国、アネックスⅠ当時の中国と、パリ協定の中国と、全く質的に違うと思うんですよね。要するに最大排出国の中国とアメリカをどうやってまともに国際的な削減の枠組みの中に引き込んでいくか、ということだと思うんですが、今、野心的な目標という話がありましたけれども、野心的な目標ではないという認識がやっぱり必要じゃないかと。2040年にピークアウトとか、あるいはGNPの試算での削減目標とか、まずこういうものを改めて行ってもらう。そして、その、ピークアウトをもっと前に、中国としてやってもらうとかですね、国民のその、今のスキームを変えていくような問題提起はね、日本はやっていくべきじゃないか、ということが1つです。2つ目は、やっぱりアメリカとの連携ということをおっしゃるけど、アメリカはハンデがあるから。トランプ時代のパリ協定離脱という。そうするとやっぱり日本が中国に対して、やっぱり、日本としての、アメリカ連動じゃなくて、日本としてどうしてほしいか、どうすべきかという、かつてのODAの協力の大きな要素もあったので、やっぱりそういう、日本としての環境外交、中国に対して温暖化対策を出すべきじゃないかと思うが、どうでしょうか。
(大臣)1点目は全く同感です。中国に対して、より野心的な対策を求めていく。先日のぶら下がりの記者会見でも言いましたけど、中国の生態環境部長の黄部長とバイ会談を行いました。先週。そのときにも対策の強化を要請をしています。2060年のカーボンニュートラルというのは、私は中国の責任ある大国として、それでいいとは思っていません。中国は、場合によっては途上国という顔と、場合によっては大国という顔と、こういった2つの顔を、時に自ら使いますが、総理の昨日の国会答弁で、中国に対して、気候変動の世界でも責任ある大国としての貢献を働き掛けたいと。あの言葉は私なりには、中国は気候変動の体制の中で、責任ある大国なりの対策が求められるし、我々はそれを求めたい。そうでなければ世界の先進国を含めて、もう既にピークアウトに向かうのに、日本はもうピークアウトしていますから、逆にピークアウトをまだまだ先に持っている。一方で、世界で3割の排出をするのが中国で、その中国が経済の在り方、取組を変えなければパリ協定の成功はないと思う。ここはやはりその、国際社会一致してメッセージを出すことだと思います。2点目の答えにもつながるのは、アメリカは4年前のトランプ政権から、いわば空白の期間を埋めるために何ができるかということがバイデン政権として、これだけ気候変動の思いを持って、むしろそれを払拭するだけのものを出さなければいけないという思いがあるから気候サミットを主催し、そして最近でも8年間で220兆円という巨額の投資計画を出しましたよね。あれはまさに、また4年後に何が起きるか分からないという、こういった国際社会の声に対して、少しでも長期的なアメリカの決意を示していくという1つの行動ではないかと私は思っています。ですので、日米の連携は鍵ですから、改めて日米を含めて先進国の中で、特に民主主義国の中で、気候変動対策の成否を分ける鍵は中国の責任ある大国としての行動なんだということを1つの声としてしっかりと出していくこと、これを引き出していくことが日本としての役割だと思います。
(記者)追加で。現実の問題、ちょっと、今のお話について、炭素国境調整措置というものが、今いろいろ議論になって、審議会でも議論になっていますけれども、日本にとって、その国境調整措置で、中国への経済の依存というのは非常に大きいですよね。日本もそうだし、EUもそうだし、日本にとっては炭素調整措置で、経済、貿易上、国力上、一体プラスなのかマイナスなのか、そういう分析というか評価というのは、これは、どうでしょうかね。というのは、自民党でも重鎮を始めとして親中派っていうのが多いわけです。中国への厳しい対応というのは、なかなか与党ではまとまりにくいだろうという気がするんですが、その辺はどう対応しますか。
(大臣)まず、炭素国境調整措置はどんなルールが決まるかによって利益、不利益の度合いというのは変わってくるので、現時点ではそれがどうかというのは評価しにくい現状があります。ただ、炭素国境調整措置が入ろうと入らなかろうと、間違いないことは、化石資源の依存型の経済を続けていて、プラスなことは全くない世の中になってきたと思います。これだけ今、電源も含めて化石燃料に依存している中で、生まれている製品、サービスを買わなくなるマーケットがどんどん出ると。これは国境調整措置が入るかどうかは抜きに、間違いなくマーケットはその動きになります。だからトヨタの豊田章男社長が言っている、再エネが入らなかったら雇用は100万人、影響を与えかねないというのも、グローバルなマーケットを考えるからなんです。そしてEVだって、今は世界の中ではマイノリティーですけど、ノルウェーを除けば。間違いなくこれからは、最終的にはEV、FCV、こういった方向に収れんされる。その動きは、国境調整措置は関係なく進むことを見越して、日本の中の産業構造の脱炭素化と次世代化、これを進めなければいけないと思います。
(記者)自民党の方は。
(大臣)党内も、もうカーボンニュートラルを支えてくれていますから、この方向で不戦敗を免れた日本を何とか勝者にしなければいけないという頭は同じだと思います。
(記者)先ほどおっしゃったことで私がちょっと異論があるのは、日本はCO削減が非常に大きいというふうに私は受け取ったが、それはちょっと異論があって、1990年の京都議定書が始まった時点に比べると、日本はまだ6,300万トンぐらいしか減らしていない。ヨーロッパとかは、もっと削減幅が大きい。比較は、高村さんの言うようなあれじゃなくて、1990年がベースであるべきだと思うんですけど、その点だけちょっとお話しさせてもらいました。
(大臣)どこの年限で区切るか、比較をするかというのは、深遠なる議論が今までされてきて、それを合わせるかどうかということなんかも一部、国際社会ではあったことは聞いていますが、結局、各国が一番、自国の削減幅を取りたいところで取りたいから、まとまらなかったわけですよ。なので、今さらそこを言っても私は不毛な対立になると思うので、とにかくカーボンニュートラルを据えたことに変わりないわけですから、そこに向かって実効性のある、かつ野心的な目標を立てて、あとは行動がついていくようにする、これが一番大事だと思います。

(記者)朝日新聞の川田です。野心的でかつ実効性あるということだが、30年目標というのが野心的な積み上げではないものだとすると、実効性はどうなのかというのは逆についてくると思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
(大臣)積み上げだけのものが実効性のあるものだというのは、私からすれば野心的なものにはならないと思います。まず菅総理は2050年のカーボンニュートラルを、今までの日本のアプローチを転換したんです。それはまさに今御質問のあった、できることしか言わないという日本から、高い目標を掲げて、最大限の官民の総力を引き出していくというアプローチに転換をしたんです。国際社会はそういう発信をやってきて、そこまでの努力も国際的な評価も含めて、投資のことも含めて勝ち得てきたんですよね。なので、2030年目標についても単純な積み上げだけではないと、これが国際社会の常識です。それを日本の中で、9年後だから積み上げ以外のものは本当にどうするんだというのは、私はそういう捉え方も変えなければいけない、日本自身の捉え方や国際的に闘っていく上でも、国際的なコミュニケーションの在り方も一緒になって変えていく努力を私はしっかりと訴えていきたいというふうに思います。高村先生が言ったように、もう既に2015年と比べたら予想よりも削減しているんですよ。これは積み上げたら今の削減の幅は出てきていないです。必ず高い目標を掲げたときに、日本はそれに向かって総力を挙げる国ですから、実効性と野心的なもので、必ずどんなものを立てても両方から批判はあると思いますよ。低ければ低いで不十分だと言われる、高ければ高いでどうやるんだと言われる。それは分かっているんですけど、いずれにしても野心的で実効性あるものを立てていくという、そういう調整をしっかりやりたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=FIZT8OP6viQ

(以上)

ページ先頭へ