大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年2月24日(水)8:43~9:19於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日の環境省関連の閣議案件はありません。冒頭、今日は諮問会議に午後に出席をしますので、夕方ですね、それも触れたいと思いますし、2点目がESGアワードの2回目が今日ありますので、それについても触れたいと思いますが、それに関連して最近いろいろ世の中も動いていますので、私から少しそれに触れたいと思います。
 まず最近、中西経団連会長から、この前、日経新聞のインタビューが出ていました。今日、中西会長も諮問会議の出席をウェブでされると思いますし、私も出席をしますが、改めて今の中西会長の何よりもまず脱炭素を優先すると、そして地球環境あっての経済活動だという、ああいった御発言を聞いて、こんなに経団連の会長と環境大臣と根本的、基本的な認識を同じくして仕事に取り組めるという環境はいまだかつてないんじゃないかと改めて心強く感じました。カーボンプライシングについても、環境省、経産省に対して提言をしたいと、そういったことも述べられておりますので、引き続きしっかりと様々な産業界の声を聞きながら、しかし一方で、経団連会長のように環境がまず最上位にあって、地球環境あっての経済活動だという、そういった思いを中西会長に限らず多くの方と共有できるようにしたいなと思っています。そういった観点からも今日私からは、諮問会議の場では、再エネ、カーボンプライシング、そしてサーキュラーエコノミー、この三つに触れたいというふうに考えています。特に再生可能エネルギーについては、この前、予算委員会に私も7時間張り付いていましたけど、グリーン社会というテーマ設定の集中審議でありながら1問も質問がなかったんですけど、その議論を様々聞きながら改めて訴えていかなければいけないなと思ったことは、環境省は、日本の中の再エネのポテンシャルが(日本の電力需要の)2倍あるというふうに言っていること、2倍あるんだったらまずそれをフル活用することが国家としての基本方針にあるべきだと、そしてそれこそがまさに日本の国家の自立につながることなんだ、こういったことを改めて私からも諮問会議の場で申し上げたいと思います。カーボンプライシングについても、これは梶山大臣が予算委員会でも触れられていましたが、環境省、経産省が連携をして議論を前に進めていくという思いを改めて触れたいと思います。そして、日本製鉄に限らず、最近でも、製紙業界も含めて様々な声も上がっています。そういった産業界の声をしっかりと受け止めながら経産省とともに前に進めていくということ、こういったことも改めて大事なことだと思います。それと、サーキュラーエコノミーについても今日の諮問会議で触れたいと思っているのは、脱炭素、カーボンニュートラルを実現する上で、エネルギー政策を変えるだけで達成できるというのは大間違いで、世の中のシステム、あらゆるところから脱炭素型に変えていかなければいけません。食料システムなんかもそうでもあるし、このサーキュラーエコノミーも分かりやすい例で言うとAppleの最近の発信ですよね。Appleは2030年までにカーボンニュートラルだけではなくて、2030年までにすべての素材をリサイクル材にしていくという発信をしています。これの背景にある思いというのは、これ以上地球から新たな資源を採掘しない、究極的な目標に向かっていくという思いだと思いますが、まさに脱炭素、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミー、循環型の経済をつくっていくという動きがこれから世界的にも急速に高まっていく中で、今、環境省が特に力を入れて発信もして取り組んでいるサーキュラーエコノミー、経団連ともパートナーシップの立ち上げを合意できましたが、この政府全体としての取組の重要性も今日改めて触れていきたいと思います。そういった観点から、我々5年間、集中的に先行エリアをつくっていくという話をしていますが、広島大学が2030年までのカーボンニュートラルを大学で初めてこのような早い時期に、2050じゃなくて2030年という宣言をしてくれました。これは事実上、広島大学がカーボンニュートラルの先行エリアになるという、そういったことでもありますから、まさにこういった取組が教育の世界でも広がっていくこと、これこそ広島大学に通っている学生さんは、自分のキャンパス、大学関係を含めて脱炭素なんだなと実感できることというのは最高の教育だと思いますので、この前、国・地方チームのヒアリングで、浜松の開誠館中学校・高校の皆さんから教育の中に脱炭素をもっと入れてほしいというお話がありましたけど、まさにこの教育の世界から、小学校、中学校、高校、大学を含めてカーボンニュートラルの学校が増えていくこと、こういったこともすごく後押しが大事だし、広島大学の今回の決断に心から敬意を表したいと思います。また、トヨタのWoven City(ウーブン・シティ)がとうとう着工というニュースがありました。こういった新しい地域もまさにカーボンニュートラルの先行エリアになると私は思いますし、サーキュラーエコノミーの分野でもトヨタというのは世界的でグローバルに車から車へのリサイクル、この体制をもうかなり前から取り組んでいる先進的な企業です。私もこの前、22日の夜に国際会議にこのサーキュラーエコノミーについて出席をしてトヨタの事例を挙げさせていただきましたが、この分野は日本は間違いなく世界の中で技術、市場を取っていける分野だと思いますので、こういったことも全体としてこれから諮問会議、政府全体としても思いを一つにできるように取り組んでいきたいと思います。そういった観点からも非常に重要なのが世の中の資金の流れ、お金の流れが脱炭素やカーボンニュートラル、そしてサーキュラーエコノミーの方向に動いてくるということなので、今日開催されるESGアワードの2回目、こういったこともより多くの人たちに取り組んでいただけるような観点から新たな展開を今回から見せることになります。それは新たに地域部門を新設することになりました。今回、その新設の地域部門で金賞を受賞されるのは滋賀銀行です。滋賀銀行の皆さんは昔から近江商人の「三方よし」という精神と琵琶湖を目の前にしている環境もあって、環境が県民性の中で根付いている中での金融をやられています。地域新電力が行う再生可能エネルギー、この開発を資金調達面からグリーンボンドを発行して支えていたり、地銀の中でも滋賀銀行だけじゃなくて、この前の国・地方会議のヒアリングで参加していただいた秋田県の北都銀行、この北都銀行は地銀の中で初めて再生可能エネルギー100%を宣言した地銀でもあります。こういった地銀の活躍、これは地域の脱炭素化、カーボンニュートラルに間違いなく不可欠な重要なプレーヤーですので、これからもしっかりとそういった皆さんとも情報共有をしながら地域の脱炭素化を進めていければと思います。ちなみにこの北都銀行は、秋田県で秋田市内のバイオマス発電所の導入計画があったときに、海外からヤシガラを輸入して、それでバイオマスをやるという計画があったところを、それじゃ駄目だろうということで、地元産の木質チップにもっと変えろということをこの北都銀行さんがいろいろ議論の中で進めてくれている、より地域に対して裨益するようなバイオマス発電所になっているという素晴らしい取組だと思います。
 今日は諮問会議、ESG、世の中、そういった関連する様々なことに触れましたが、今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの三上です。先日、一部報道にあったように、再エネ導入について地域とのトラブルが発生する例がある一方で、再エネ導入により山を削るなどして自然が破壊されることもあります。今回の温対法によってこのような課題についてどう効果的にアプローチできるのかお願いします。
 もう1点、国・地方脱炭素実現会議のヒアリングで消費者や住民に脱炭素を広めるためのインセンティブについて意見が出されましたが、ヒアリングを終えて現時点で今後どのような対応が必要と考えるかお願いします。
(大臣)1件目、まず温対法の関係は閣議決定がまだなので、最終調整中ということだけお答えをしておきますが、あえて申し上げれば、この温対法の狙いは再エネを規制することではありません。再エネを促進することです。これはもう明確にしておきます。その上で、最終的に地域で再エネが結果として今のエネルギー収支が9割赤字という地域を黒字化に持っていくためには、地域に歓迎をされる形で入らなければそういったことになりません。ですので、この温対法の中で新たな仕組みをつくって地域の皆さんから歓迎される形で再エネが導入をされるような仕組みを入れていきたい。今そういう方向で最終調整をしています。ですので、例えば地方の自治体で再エネによる地域の中の合意形成がうまくいかず、結果として条例で再エネを規制するような、こういった形になってしまっている事例が幾つも今上がってきています。このトレンドを変えていきたいと思います。むしろ再エネをより促進されるような方向に持っていくための一つの位置付けがこの温対法の考え方であると、そういうことを御理解いただければと思います。
 2点目。この前のヒアリングでインセンティブという話がありました。これは両論あったと思っています。インセンティブとして、金銭的なインセンティブが効くという意見と、ポイントが大事だという、ポイント制ですね、大事だという意見と、いや、むしろそれがなくても設計次第で世の中は変わるし、むしろその方が持続可能であるという意見もありましたので、こういった様々な御意見を踏まえて、どういったものだったら世の中が自分も取り組もうと、この個人の行動変容につながる、我々としての考え方や制度設計とかを生かしていく議論を深めたいと思っています。いずれにしても幅広いプレーヤーで、普通こういうヒアリングで中学生、高校生が入るということはあまりないと思いますし、それをYouTubeで見たい人がすべて見られるという環境になっていることはなかなか今までなかったと思いますから、こういったことをより積み重ねて、幅広い意見を踏まえて、いいロードマップを作っていきたいと思っています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。カーボンプライシングに関して。経団連の中西会長が非常に前向きなあれを示したということですけれども、これまでの経緯を見ると、特に税制措置については総論賛成、各論反対が多かったですね。現に今回も石油連盟会長が既存の税制の見直しなくしてカーボンプライシングに賛同することはあり得ないとはっきり言われていました、先日。経団連との関係はさておき、産業界としてはそれが本音だろうと思うのですけれども、そうしたところをどう打開されていくつもりか、ということが1点です。
 もう一つは先ほどの自治体の再エネ導入の件ですけれども、温対法も絡みますけれども、電力システム改革及び卸取引市場の高騰で、再エネを推進する地方自治体が関与する地方の電力会社は疲弊しています。恐らくこの一、二カ月で数十社が倒産、あるいは追加投資や追加公募が必要になるでしょう。ここも総論はおっしゃるとおり再エネ推進ですけれども、その担い手が疲弊して、なかなか推進力にならないかもしれない、民間の新電力はもとよりです。その辺をどうお考えなのか。特に環境省としての考え方が整理されているのかどうか、2点伺います。
(大臣)まず1点目の産業界の反対をどう打開するか。これについては、まず産業界全体が反対だということは全くありません。これは産業界の中でもむしろカーボンプライシングを導入してくれ、そのことが産業構造の脱炭素に転換をしていくビジネスチャンスでもあるんだと、こういった企業の皆さんも経団連の中にもいっぱいいます。その皆さんから我々は提言を承っています。一方で、やはり排出の多い産業は、代表的なのは鉄鋼や自動車、製紙業界なども声が上がりましたが、そういった苦労される皆さんの声にどのように我々がこれから制度設計を考えていけるかというのは、まさに今、環境省と経産省で考えなければいけないことだと思います。そこで、海外を見れば、例えばヨーロッパではEU-ETS、この排出量取引をやっています。カーボンプライシングのトン当たりCO、これで値段が幾らぐらい海外に入っていますかといったときに、よくヨーロッパは水準が高くて日本は低い、こういうふうに示されます。ただ、それぞれ産業別にどういう企業に幾らぐらいかかっているのか。これは精緻に見れば、ヨーロッパなんかも、例えば鉄鋼とか実質は排出の枠が相当高めになっていて負担がないとか、額面だけ見ていると分からないことがいっぱいあります。ですので、いずれにしても成長に資するカーボンプライシングを設計しなければいけない。この思いは今、政府全体として持っていますから、まさにそれがこれからだというふうに思います。ですから、総論賛成、各論反対というのは、これはどの分野でもあることですが、まず総論として否定をされていないスタートで入れたということは、今までと比べたときに間違いない前進だと思います。清水さんも長年、私以上に環境省を見ていて、まさかこういう時代が来るとはという感覚はお持ちなんじゃないでしょうか。そして、経団連の中西会長は脱炭素が最優先、よくエネルギー政策で「3E+S」と言われる中で、脱炭素、環境が最優先ということを述べた初めての経団連会長が中西会長じゃないでしょうか。それは最終的にはエネルギー安全保障、私はこれは非常に重要なことだと思います。それと再エネが今まであたかも反発し合うような議論というのが私は国会の議論を聞いていてもあるように思いますが、それは全く誤解で、エネルギー安全保障と再エネというのは私はそれこそ直結すると思っていますから、(日本のエネルギー需要の)倍の(再エネ導入)ポテンシャルがあるんだから、これからも17兆円を毎年外に、化石燃料に払うより、これを自分たちで自活をする、自給をする、それを基本的に考えることは、日本の歴史的な命題でもあるエネルギー安全保障の確立というところの再エネの主力電源化、間違いなく必要だと思いますね。改めてその話も諮問会議でしたいと思います。
 2点目が地域新電力、これが今回の高騰で打撃を受けたのは間違いないと思います。地域新電力の経営に対する打撃に加えて、私も再エネを後押ししていきたいという中で、これはますます力を入れなきゃいけないなと思っていることは、世の中の空気として何か再エネの不安定さ、この価格の変動が激しいとか、こういった形で実態よりも過度に再エネのデメリットのようなものが喧伝をされたりすることを絶対に防がなければいけないなというふうに思っています。先日のヒアリングでもこのエネルギー、再エネ関係の事業者から、まずそもそも国民の多くの皆さんに電力契約を再生可能エネルギーに切り替えることができるということすらまだ多数派の方に知られていない、そういう事実。そして、さらに選ぶときに再エネは分かりにくい、こういったことも指摘をされました。まさに国民の皆さんに知ってもらうというところと今回のJEPXの高騰で指摘されているような市場の在り方の見直し、これは梶山大臣が必要があるということを触れているとおり、いかにこれから再エネの主力電源化の方向に間違いなく向かっていけるような制度改正や情報公開、市場の透明性、これは高めていかなければいけない。環境省の基本的なスタンスは、再生可能エネルギーが地域の経済活性化へもつながる、雇用にもつながる、地域に裨益する形で入れていくことが必要だと。それこそまさに地域で循環する経済をつくるということですから、再エネは進んだけど相変わらず地域の外にお金は出ていくねと、そういったことにならないように、地域での再エネを地域が活用して地域が潤う、これを基本的なスタンスで我々は政策を進めていきたいと、そう思います。

(記者)産経新聞の奥原です。温対法の改正に絡んで、再生可能エネルギーが急速に地方で普及しますと、読売新聞さんが21日に書いてあるとおり、トラブル、濁水、汚れた水とかも出てくることが起きかねない。24年のFITのときも確かそうだったと思うのですけれども、各地でトラブルがあり、かえって自然環境が阻害されるようなことになりまして、国として再生可能エネルギーの普及を急進的に進めていく中で、そういったトラブル防止について、地方自治体任せにせずに国としてどういうふうに取り組んでいくのでしょうか。
(大臣)まず、それこそ温対法の中で、国として2050年のカーボンニュートラルを法律の中にしっかりと位置付けて、再エネの主力電源化の方向は、これからも政策の継続性という観点からも、そういったことというのは国として明確に示す必要があると思っています。併せて、国として、地域の皆さんに歓迎をされるような形が必要だと考えているから、今までになかった新たな仕組みも入れて、そして地域の中で合意形成がその場でされた形の再エネの案件であれば、今までだったら各事業者が各省にまたがるような手続なのでそれぞれやらなければいけなかったケースも、今回はワンストップで特例的に対応できるような形も入れていきたい。そういったことも法律の中に位置付ける形で、今、最終調整を閣議決定に向けてやっています。ですので、今回、トラブルの件はいろいろ言われますけれども、大きな方向性として再エネを進めていきたい。それが歓迎される形でできれば、エネルギー安全保障の観点からも地域の経済にとっても雇用にとっても一番いい。これは多くの方が理解されていることなので、私はトラブルというものがこの法律によって、今、右肩上がりで条例とかが規制型で進んでしまうようなことを変えて、より歓迎される方向につながる形だと思っています。それがしっかり進むようにしていきたいと思います。
(記者)それで、山が黒いパネルでドバーっとなり、濁水がドカーっと流れていくようなそういう環境について、環境省さんは、国と地方にどういう…
(大臣)それは再エネの問題じゃなくて、事業者の問題もあると思いますよ。だから…
(記者)もちろんそうなんですけれども、じゃ事業者の問題についてはどういうふうに考えてらっしゃいますか。
(大臣)まさにそういう事業者が残念ながら、FITに入って権利は買ったけど実際は動かさないで、そのことを見ている人たちが、本当だったら再エネの応援団になりたいのに、なにか信頼できないプレーヤーが入っていることに対して不信感を持っている方というのは結構いるんですよ。私も政治家の先輩などと話をしていて、何でそんなに再エネに不信感を持っているんですかと。だって、訳の分からないのがいっぱい入っているじゃないかと。そういうことを言われたのを私も相当覚えていて、これはそういう意識を変えていかなければいけないなと。だから、いい案件が積み重ならなければいけないし、良質な事業者が、信頼される事業者が入ってくる環境をつくらなければいけない。だから、今回の温対法は、地域の皆さんと理解を得る形の仕組みを入れて、そこで皆さんに理解をされて円滑に進んでいくことが結果としてこの温対計画の中の新たな制度で認められた案件なんだねと、こういうことになれば、私は信頼感も高まってくると思うので、その一助になると思っています。産経さんの今日の社説も拝見しました。そういった法律に対する様々な思い、意見をしっかりと受け止めて、国会の審議の中で、閣議決定がされて提出された暁には、少しでもこの法律に対する理解が広がっていくようにしたいので、また温対法に対して紙面でも扱っていただけたら、よろしくお願いしたいと思います。

(記者)環境新聞の小峰です。今日は諮問会議で大臣はエネルギーの安全保障について言及したいとおっしゃっていましたけれども、再生エネルギーというのは、敵国から攻撃されたり大規模なテロに対して、分散型で非常に安全で、エネルギーの安全保障以上に国家の安全保障になるのではないかと思います。これについての御見解と、もう一つ、原子力エネルギーですね、原発。これはエネルギーの安全保障になるというのと、いや、あまりならないんじゃないかという議論と分かれますけれども、決定的に言えることは、原発が日本の国家にあるということは、いつテロに狙われる、いつロケットが飛んでくるか分からない。原発というのは国防上非常に危険なものではないのでしょうか。再生エネと原発の国防上の観点からの御見解をお聞かせください。
(大臣)まず1点目の再エネと安全保障ということは、それが私は繰り返し言っていることですから。ただ、国会の議論も、先日の予算委員会を聞いていても、エネルギー安全保障は再エネ以外のエネルギーと議論されている、こういったところが今まであるのかなと。むしろ(日本のエネルギー需要の)2倍の(再エネ導入)ポテンシャルがあるものを最大限生かすような国造りができれば、日本の歴史的な命題であるエネルギーの自給ということにも間違いなくプラスになるわけで、それは海外に払っている17兆円をどうやって地域や国家の中でも回していくかということにもつながるわけですから、改めてその認識を、経済財政諮問会議という日本の政府の中で大きなマクロ経済政策を議論する場で改めて、環境大臣がその会議に行くこと自体はそんなに当然のことではありませんが、このチャンスをいただいているので、しっかりと私からその認識を述べたいと。そして環境省の基本的スタンスは、これは2点目にも絡みますけど、2倍のポテンシャルがあるんだったら、それをフル活用する国造りをやろうじゃないですか、どれだけ時間がかかっても。その中で、これを環境省の思いにとどめずに、政府全体の基本的な考え方に私は位置付けていきたいと思っています。諮問会議でこれを話したいと言ったのは、まさに環境省が言っていることじゃなくて、政府全体としてその方向だということを私は訴えていきたいからです。今までもゼロカーボンシティを環境省だけが言っているんじゃなくて政府全体が言っていることにしたいと。そして、カーボンプライシングも、環境省だけが相変わらず言っているんじゃなくて、政府全体のものにしたい。常に私は大臣に就任してから、とにかく環境省しか言っていないということを政府全体の動きに変えていくことが環境行政を前に進めることだと思っていますから、サーキュラーエコノミーにしろ、再生可能エネルギー2倍のポテンシャルをフルに生かすことにしろ、環境省だけが言っているんじゃない、そういう次元に上げていきたい。そのための諮問会議での発言を今日はしたいと思っています。原子力についても、いかなる事情よりも安全を最優先すると、これは菅政権の中でも変わらないことだと思いますので、そういったことも踏まえた上で、我々としては、まず、菅総理も再エネを最大限入れる、原発の依存度は最低限にする、こういった考え方ですから、政府の一員として再エネを主力電源化にいかにできるか、環境省としてしっかりやっていきたいと思っています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。温対法の改正で、2050年ゼロカーボンに向かうというのを入れるということで、そこで伺いたいのですが、1回目の質問の、産業界の総論賛成、各論反対にもつながりますけれども、コロナでUNEPは年間のCO排出量が2020年度は7%とか8%減ると。しかし、2030年及び2050年に向けて1.5℃を満足するためには、そのぐらいの年間の減らし方をしないと到達しないだろうと。そこで伺うのですが、2050年の温対法で目標は定めたものの、その中間はどうするのですか。2030年の辺り。年間7%くらいCOの削減が必要だという国際的見解に対して、どういうふうに環境省として対応しようとしているのか、その辺をお伺いしたいです。
(大臣)まず2030年は、今年、菅総理も言っているように、COP26までに日本政府として、去年3月に提出したものに追加情報を加える形で、総理のカーボンニュートラル宣言と整合的な2030年目標になるようにしていきます。これがまず政府としてのこれからの基本的な方針です。なので、2050年を法律の中に位置付ける、これはヨーロッパのイギリスや幾つかの国もやっていますが、日本としてはそれに加えてNDCをCOP26までに出していく、そういった中で中間目標はしっかりと明記していきたい、その方向です。だからこそ環境省はこの5年、10年が勝負だと。あと30年あるんじゃないよと。特に5年間で多くの方に感じていただけるような先行エリアを作ることで世の中の認識も機運も企業の取組も後押しをしたい、そういうふうに思っています。この5年、10年が勝負だということは、私からアメリカなどにも伝えていますし、この10年が勝負だというのが基本的に国際社会の認識だと思います。あと、2点目は何でしたっけ。
(記者)国際社会は年間CO排出量を7%か8%ぐらい削減していかないと1.5℃は難しいということで、我が国としての対応方針はどうかという。
(大臣)それこそ、まさに今、我々がロードマップを示そうと作っている中で、排出を削減する形で考える上で、エネルギー政策の脱炭素化だけではなくて、ライフスタイル分野のカーボンフットプリントで6割CO排出ゼロなわけですから、そこを変えていかなければ1.5度のライフスタイルにはならないわけですよね。ですから重要だと思っています。IGESなどが出している報告書はこれから1.5度ライフスタイルが必要だという、そういう報告書を出していますから、それをどうやって、一人一人の国民の皆さんが前向きに取り組んでいただけるように。それと、この前のヒアリングでも非常に率直な御意見をいただきましたけど、世の中に脱炭素とか考えながら生きている人なんていませんと、こういう率直な意見、私、非常によかったと思います。そういった皆さんの行動変容が気付けば脱炭素型のライフスタイルになっている、こういうことにしていく仕掛けは我々として何ができるんだろうかというのが環境省としてできる大事なところだと思うので、ああいった声がしっかりとヒアリングで届けられるということは非常に大事なことなんじゃないでしょうか。環境省の中でもこんなに環境のことばかり考えている人の前提の仕組みとか作ったら大間違いを起こすと思いますので、非常にいい議論になったと思います。

(記者)フジテレビの三上です。総務省の接待問題について。今日処分が発表される予定ですけれども、受け止めをお願いします。
(大臣)まず、今日処分が発表される予定だというのは私の中でまだ聞いていませんので、そこについてのコメントはありませんが、いずれにしても、国民の皆さんの疑惑、そして不信、こういったことを招かないように、国家公務員倫理法で定められたルールを徹底することが重要だと考えています。環境省においては、これまでも各種職員研修や12月の国家公務員倫理月間において公務員倫理の順守の周知徹底を図っているところであります。さらに、今扱われている案件が国会で取り上げられた後の2月8日と今週2月22日にも、幹部会議などを通じて、職員に向けて利害関係者とのルールの順守の注意喚起を行ったところでもあります。今後も同様に機会があるごとに庁内に周知徹底を図っていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/FONWxApgkIY

(以上)