大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和3年2月12日(金)8:51~9:10於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は閣議で環境省関連のものはありませんが、冒頭私から2点お話ししたいと思います。1点目が将来世代との懇談、懇談だけではないんですけど、これから将来世代との連携を含めてお話をしたいと思います。2点目が、先日アメリカのマッカーシー補佐官とバイ会談を行いましたので、そのことについても改めて触れたいと思います。まず1点目の将来世代のことですが、今までずっと言っているこのコロナの危機と気候変動の危機から経済社会をリデザイン(再設計)する、そういった時代において、若者、将来世代の役割というものはものすごく大きいし、一番気候変動によって、またこのコロナの変化によって影響を受ける世代は将来世代ですから、こういった認識の中で今後の将来世代の声をしっかりと聞いて政策に生かしていきたいと考えています。おととい、2月10日水曜日は全国ユース環境活動発表大会で環境大臣賞を受賞した宮城県の農業高校の生徒6人と懇談をしました。その中でも、私も農林部会長経験者なので、農業高校はいろんな縁があったので、大変有意義で、私自身も楽しい、そして将来に向かって楽しくなるような、期待できるような意見交換ができました。ちなみに、宮城県農業高校は農業高校の中で最古の歴史を誇る農業高校だという紹介もありました。この農業高校は宮城県ということで、東日本大震災から復興を遂げる、そういった中で、被災をして津波に襲われた中でも奇跡的に残っていた桜、この桜をCO吸収に優れ、更に塩害に強い、こういう新たな品種の開発につなげたということで今回環境大臣賞ということで表彰されました。私もその話を受けながら素晴らしいことだと思い、もしもこれから将来、日本各地でこの新しい品種、「玉夢桜」と言うのですが、この玉夢桜のようなCO吸収に優れた、塩害にも強い、そういう桜が日本中で咲き誇れば、桜を見たときに、ああ、これが気候変動対策になっているんだなと。日本人にとって桜は特別ですからね。こういう桜が世の中にあふれることは素晴らしいと思い、今度、新宿御苑でその桜をまず東京でも咲くかどうか、こういった取組をやってみたいということを早速生徒たちにも提案をして、その実現に向けて事務方にも汗をかいてもらうように指示を出したところです。ぜひ、うまくいくかどうかはやってみなければ分かりませんが、そういった未来に希望をつなぐためにも、できるかどうかを含めて挑戦してみたいというふうに思います。そして、2月9日、その前日には「脱炭素チャレンジカップ2021」において、気候マーチに取り組む浜松開誠館中学・高等学校をはじめ、各地の小・中・高校生の取組が環境大臣賞などを受賞しました。いずれも地域と協力して課題を解決したり率先した取組を実践したりするものですから、その発想と行動力をこれからも生かしていただきたいと思います。また、近いうちにZ世代の皆さんが環境省の同世代の職員と議論して提言をまとめる新たな取組も始めます。そして、地球温暖化対策計画の見直しにおいても、将来世代の意見を聞く機会を設ける予定です。また、今日この後私は中環審の総会に出席をしますが、その中環審も男女半々で構成される新たな形になります。その中環審でも将来世代の意見を踏まえた議論をしていただきたいと。中環審での若者の声を反映する場、こういったこともつくっていきたいというふうに思います。いずれにしても、この地球全体の課題、気候変動は最も影響を受けるのは次の世代ですから、その世代の声をしっかり生かした政策反映をしていきたいと思います。1点目は以上です。
 2点目は、マッカーシー補佐官とのバイ会談についてです。改めてということになりますが、おととい10日の朝7時から1時間超、アメリカのマッカーシー国家気候担当大統領補佐官とオンライン会談を行いました。1月22日はケリー気候担当大統領特使と初めて電話会談を行いましたが、それに続いてのものになります。今回の会談ではケリー気候特使のケリーチームのスタッフ、そして環境保護庁(EPA)、このEPAのスタッフも参加をして3点について意見交換をしました。1点目が気候変動分野における日米両国の連携・協力、2点目が両国の気候変動政策の進捗状況、そして3点目が4月にアメリカが主催する気候サミット、この3点について意見交換を行い、先方との関係上これ以上の詳細は控えますが、非常に有意義な議論を行うことができました。ケリー特使とも前回の会談に続いてまた会談をしたいと考えていますので、今調整をしているところです。これからもアメリカとの緊密な連携の下で気候変動への対応を尽くしていきたいと思います。今日は冒頭以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの三上です。おとといのアメリカのマッカーシー補佐官との会談で、今後4月の気候変動サミットに向けて具体的にどのように日米協力を深めていくお考えなのかお願いします。もう1点、女性蔑視と受け取れる発言の責任を取って森会長が本日辞任の意向を固めましたが、その受け止めと五輪開催への影響についてお考えがあればお願いします。
(大臣)1点目、まずマッカーシー補佐官との気候サミットについてですが、詳細は先方との関係上控えたいと思いますが、どのようなサミットにしていくのか、お互いの認識や、そしてまた今後の日米のみならずCOP26に向けてもこの4月のサミットを共に成功させていかなければいけないと、そういった中での情報交換、連携、それを今後も深めていきたいと思います。そして、2点目については、今いろいろ報道はありますけど、私は正式に決まったものは何もないと捉えていますので、今のところコメントはありません。

(記者)環境新聞の小峰です。まだ森会長は正式に決定していませんけれども、森会長の女性発言問題に関係するというか、それ以上に、女性を蔑視どころか、女性の虐待というか、女性の生命にも関わるような不妊手術を強制的にさせているウイグルの問題をどう思いますかということで、先日、日本ウイグル議員連盟の会合も開かれ、自民党だけではなくて超党派でやる、そして国会で決議を目指すということですけれども、環境に優しい、そして人に優しい、女性に優しい小泉進次郎大臣としてはウイグルの女性虐殺問題をどういうふうに思いますか。
(大臣)まず、日本政府としては、国際社会において普遍的である自由、基本的人権の尊重、そして法の支配、中国においても保障されることは重要であるという立場であります。そして、これまでも日本政府から中国に対して閣僚や事務レベルで我が国を含んで国際社会は懸念を持って注視していることを伝えています。今、人権の問題というのは、これは世界の気候変動対策、脱炭素社会の中でも、ESG投資を含めて、EとSとG、EはEnvironment、SはSocial、GはGovernance、この特にSという分野の中でも世界的に非常に取組に対して今まで以上の目が注がれている中ですから、これから中国が2060年のカーボンニュートラル、そういった方向に進む中で全体としてそういったことをどのように取り組んでいくのか、ここについても今まで以上の国際社会の目が注がれることは間違いないというふうに思います。
(記者)ここというのは、ウイグル民族への人権を含めてということでしょうか。
(大臣)ウイグルを含めて、中国全体でそのような国際社会にとって必要な基本的人権の尊重、そして自由、そしてまた法の支配、力ではなくて法による統治、そういったことに対しての中国の取組、これはウイグルも含めてもちろんだと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。ウイグル問題に関係してなんですけれども、ウイグルでの虐殺の度合いというのは、例えばこの2、3年間で自治区での女性に対する不妊強制手術は20倍近く膨れ上がっているとか、人口の2%にすぎないウイグル族に対して中国全体で8割近い不妊手術が行われていることが中国の公式資料からも判明されているんですけれども、今おっしゃったような懸念を持って注視するという穏やかな表現といいますか、そういうレベルではないと思うんです。そういう中で、日本政府としては菅首相も施政方針演説でこういった中国の少数民族問題については全く触れることもなかったですし、そういう態度というのは今回の森発言以上に日本の女性に対する問題意識のあまりにも低さを知らしめてしまっているのではないかなと私は思うのですけれども、こういう問題に関して国会は国会で政府は政府でもう少し前向きに取り組んでいくべきだと思いますけれども、改めて見解を伺えないでしょうか。
(大臣)この人権の問題、これは国際社会から本当に厳しい目も注がれますから、中国の問題についても我々は改めてこの問題をしっかりと注視をして日本政府としてやるべきことはやらなければいけないと。もちろん気候変動対策などは国際社会は一致して取り組まなければいけませんから、特に中国は最大の排出国です。アメリカも、今まで米中のぶつかり合いの中でも、この気候変動問題に関しては世界第1位の中国と世界第2位のアメリカと是々非々で、他の部分においては中国に対してかなり厳しいスタンスを取ったとしても、気候変動対策において協力できる部分は協力をするというスタンスを見せていますので、なので日本にとってもそういうスタンスが私は必要だというふうに思います。これからそういったことについても、この気候変動対策や脱炭素の世界、COP26というのは、単純に気候変動だけが問われているわけではなくて、その国のESG全体の在り方というのが問われる時代になってきています。ですので、そこに対して我々自身も日本全体としても、そういった国際社会の新たな価値観の表明が続いていることも含めて、本当に感度を上げていかなければいけないと思っています。特に今感じるのは、今回のことだけではないですけど、日本にとっても国際社会の中でこの基本的人権の尊重、そして法の支配、最近バイデン政権が誕生してから大統領指令が出て、その中に出てきた新しい言葉というのがクライメート・ジャスティス、これは日本語に訳せば気候正義というふうに訳されます。この気候正義というのが何を意味するのかという中で、アメリカの中では先住民を含めてそういった歴史の中でのクライメート・ジャスティス、気候正義という捉えられ方もしますが、日本にとって今までなかなか議論がなかったこの気候正義というそういったテーマ、これは欧米、ヨーロッパの方でもたびたび言われる言葉なんです。こういったことについても日本はどのように受け止めて捉えるのか、私は一つしっかり考えていかなければいけないテーマであろうというふうに思っています。

(記者)時事通信の武司です。マッカーシー補佐官との会談についてなんですけれども、詳細については明かせないということなのですが、例えば日本の温室効果ガスの削減目標の引き上げとか対策の強化について求めるような発言などがありましたら教えてください。
(大臣)詳細については控えたいとは思いますが、さっき3点、今回マッカーシー補佐官とは議論をしたということをお話ししましたが、1時間超お話をさせていただいたということからも御想像いただければと思いますが、かなり具体的な中身で議論をさせていただきました。いずれにしても、NDCを含めて、今後まず重要であるのはこの10年間の取組であると。2050年のカーボンニュートラルは、もうアメリカも宣言をしたし、日本もしています。この2050は重要だけど、それに至る最も重要な指標の一つはこの10年だということは共有できていると思います。

(記者)読売新聞の服部です。中環審で今度男女半々になるということなんですけれども、どんな議論を期待するのかということと、また、若者の声を聞くという点は何か具体的に決まっていることがあれば教えてください。
(大臣)半々になるということで私が期待をするのは、しゃんしゃんの会議にしないでもらいたいというのが一言で言えば思います。今までも委員の中から、総会になると大体事務方の説明を聞いて、御意見はありますか、ないですね、終わりですという、こういうしゃんしゃんにもなりかねないようなことも聞いていましたから。私も出席をしたことがありますし、そのときに、事務方からの説明にあれだけ長い時間を使って実際の双方向のやりとりにそこまで時間が使われなかったとすると、私は事前に資料を配ってそれに目を通していただいて、集まるときは意見交換から始めたっていいと思うし、とにかく形式的な審議会ではなくて実質的な実効的な議論が行われる、そんな審議会にしていただきたい、伸び伸びとやっていただきたいと思います。その中でやはり次世代の声を反映する場、この中環審の場でどのような形だったら中環審で若者の意見を聞けるのか。中環審の委員というのは、学識経験だとか今までの実績だとか、そういったことも問われます。そういった立て付けではないところで、どのような形だったらふさわしいのかは事務方にもよく知恵を出すようにということも言ってありますので、そういったことを考えて、実際に実現できるときにまた詳細を話したいと思います。

(記者)朝日新聞の戸田です。森会長の件なのですけれども、まだ決まっていることはないということだったのですけれども、当初、女性が多いと会議が長引くなどの発言をしたことは事実でありますし、海外から日本も含めて大きな反発が出ました。一方、今出ましたけれども環境省が中環審で男女を半々にするなど、そういう動きこそ広まっていくものだと私は思っているのですけれども、当初の森さんの発言などについて大臣はどう見ておられたかお聞かせください。
(大臣)この前、国会で申し上げたとおりです。今まで長年、前政権の安倍政権下でも、ウーマノミクス、そして国際社会から、各国から要人や有識者なども参加をする「WAW!」というイベントを毎年やられていました。ああいったことについても、日本が今まで多様性に欠ける国だ、女性参加がなかなか進まない、これを何とか覆していきたい、そんなことはないんだと、そう思って活動してきた方が多くいます。そういった方の努力がこのことによって、結局日本は変わらない国なんだと、このように思われるとしたら本当に残念なことですし、私としては、今、環境大臣として、そんなことはないと、そういうことを払拭する具体的な政策の実現や環境省としての組織の在り方を含めて実現できることをやっていきたい。この中環審においても50%、これはかなり高いと思いますよ。今、他の民間の分野でも40%とか、そういった目標がありますけど、環境省は今50%中環審は実現していますから、そういったことなども対外的にはしっかり知っていただけるように、そしてまた議論もそのことによって更に活性化するように私としては期待をしています。今、堀内副大臣も支えていただいていますので、私からは改めて堀内副大臣を中心とするチームで今後更に何ができるのかをまた検討していただきたいと思っています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/FXEBUsLUs80

(以上)