大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年3月6日(金)8:58 ~ 9:10  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず1件目は、コロナウイルス対策についてです。4日水曜日、東京都が都立公園などにおける花見の宴会を自粛するように方針を示したところです。環境省所管の新宿御苑につきましては、前回もお話をしましたが、感染防止策を徹底した上で開放を継続することは変わりませんが、サクラの最盛期である土日など、例年7万人を最大で超えるということですけども、非常に多くの皆さんに御来園をいただくことになっております。こういった混雑時におけるキャッシュレス、年間パスポートの促進などによる入園待ちの行列の解消策を講じること、そして東京都が今回花見の宴会の自粛という方針を出されましたが、新宿御苑におきましてもレジャーシートを使用した集団での飲食など、こういったことを御遠慮いただく。こういったことなどをしっかり対策を講じまして、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて取り組んでいきたいと思います。また、状況に様々な変化もありますので、柔軟な対応を引き続き取っていきたいと考えております。
 2件目は、自治体のゼロカーボン宣言についてです。3月5日、福島県の浪江町の吉田町長が二酸化炭素の排出を2050年までに実質ゼロにするとの方針を表明されました。浪江町は明日、水素の実証フィールドの開所式、これは総理も含めて行かれるところでありますが、水素の利活用の検討、再生可能エネルギーの導入推進、スマートコミュニティーの構築などを進めて、エネルギーの地産地消と二酸化炭素排出の削減を目指すということであります。様々なゼロカーボンの取組は、この前の大熊町なども進んでいますし、前回のゼロカーボンシティーの動きを紹介した会見以降にも、例えば北海道の札幌市、そして福岡県の福岡市をはじめとして10市2町2村に表明をいただいておりまして、累計で15都府県、33市、1特別区、21町、7村の合わせて今77自治体が表明を行って、人口ベースでは約5676万人となりました。さらにこういった後押しをしまして、人口規模6500万人、この本年中の達成を目指していきたいと思います。なお、今回札幌市も表明されましたが、札幌市は2030年の冬季五輪の開催候補地としても手を挙げていますが、最近発表されているのは、2030年冬季五輪の開催地はCO排出実質ゼロ、そういった形でないと駄目だということになっているそうであります。そういったことも含めて、スポーツの世界、オリンピック・パラリンピックの世界もこのような気候変動と脱炭素、そういった観点での取り組みが進んでいるということだと思います。
 冒頭今日の最後になりますが、福島県の復興においての新たな取組について私から御説明をしたいと思います。今、私の両脇にもあります通り、福島の鉢植えを環境省内で設置するということを御報告したいと思います。これらの鉢植えには中間貯蔵施設に輸送されて再生資材化された除去土壌が入っています。これは、福島の復興は福島だけの課題ではなく日本全体の課題であると、そういった全国民的な理解の醸成の取組として実施をしたいというふうに思っています。こちらの鉢植えは昨日中間貯蔵施設から環境省に輸送しました。この鉢植えを含めて今八つ環境省に持ってきておりまして、私の大臣室には二つ、そしてその他、政務三役、また幹部の執務室に設置をすることとしています。この取組の根底にあるのは、環境省は常に福島と共にある、そして風化や風評被害を食い止める、この決意の象徴がこの福島の鉢植えです。福島の内堀知事には就任当初、苦渋と信頼、この二つの言葉を忘れないでほしい、そういった言葉をいただきました。昨日、中間貯蔵施設を苦渋の決断で受け入れていただいた大熊町の吉田町長、そして双葉町の伊澤町長、また再生利用に取り組んでいただいている飯舘村の菅野村長にお電話をして、改めて復興に向けた環境省としての決意をお伝えしたところでもあります。なお、この鉢植えはもう既に私の部屋には設置をしてありますが、鉢植えを設置した前後の大臣室の空間線量率はいずれも0.06マイクロシーベルトであり、変化はありませんでした。今回のこの取組は、今まさに福島が向き合う風評、風化という課題に対する新たな一歩だと考えています。間もなく3月11日を迎えますが、今後とも福島と同じ方向を向いて、地元の皆さんと一歩一歩確実な歩みを進めてまいりたいと思います。私がこの取組をいろいろ省内、関係者とも議論をする中で、特に私の中での思いがあったのは、今までも復興政務官など、青年局長時代からも東日本大震災の復興、そして福島の復興には取り組んできました。そして、環境大臣になって知事からのそういったお言葉、また昨年の12月には菅野村長をはじめ自治体の方々に環境大臣室にお越しいただいたときに、この9年という積み重ねてきた時間の重み、なかなかもうこれ以上、現場も高齢化も進んでいますし、この一日一日の重みというものを強く言葉としていただきました。そして、2月9日にこの前、飯舘村に行って、現地の再生利用の実証に取り組まれている皆さんの中のとにかく一日でも早く、そういった切実な思い、こういったことを受け止めたときに、復興というのは中長期の大きなスケジュールを見据えて、そこに向かって着実に歩みを進めていくことはもちろん大事なことでありますが、一方で、日々の中で小さな動きであってもやはり変化があるという、動きがあるという、そういった姿を福島の皆さんにお届けすることができなければ、なかなか復興に対する思いというのは伝わらないのではないかと、そういった思いがありました。今回この取組を進めるに当たっては、様々な皆さんの御理解、御協力を得て、このような形の一歩を踏むことができましたが、引き続き9年を迎える、そういった中でも、長い復興への道のりを福島とともに歩んでいきたいと考えております。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。冒頭で説明があった除染土を使った鉢植えについてお聞きします。まず、大臣室にその鉢を置かれる狙いと効果について改めてお聞きしたいということと、今、除染土の活用については実証段階で、いろいろ福島県外でも事業が続いていると思いますが、実用化に向けてはまだめどが立っていない現状があると思います。その現状の認識について改めてお聞かせください。
(大臣)まず狙いということでありますが、先ほども申し上げた通り、福島の復興は福島だけの課題ではありません。これは日本全体で全国民的な課題として取り組まなければいけません。そういった中で今回のこの除去土壌を活用して私の大臣室、環境省に設置をするということは、福島の今の取組に対しても全国民的な理解、そしてまた様々な思いを持っていただく理解醸成の一環としたいというふうにも思います。そして、私の部屋には様々な訪問される方も国内外にいらっしゃいます。今後、私の部屋のこの鉢植え二つのところには、英語表記も含めて、海外から来られた方にも今の福島の取組をしっかりと説明したいというふうにも思います。そして、なかなか外でこの理解が広がらないという今の鈴木さんの御指摘ですけど、今回、環境省の大臣室をはじめとする部屋で設置をするという形で県外でのこういった取組、そういったことも通じて、福島だけにこういった課題を押し付けてはいけない。そういった思いで私はこの取組を続けていきたいと、そういうふうに考えています。

(記者)NHKの吉田です。今日の冒頭の発表にもありましたが、現在の除去土壌のことに関して改めて御認識を伺わせてください。先月末の時点でも、中間貯蔵施設に搬入された除去土壌の量は約44%にとどまっていまして、福島県内には去年末の段階でも現場保管が5万カ所余り残っているというような統計もあります。改めて、まだ生活に身近な場所にこれだけの除去土壌が残っていることについて、大臣としての受け止めや今後の取組についてお考えを伺わせてください。
(大臣)環境省としては、仮置場や現場保管から除去土壌などを搬出して、仮置場や現場保管を早期に解消することによって地域の皆さんの安心につなげていく必要があると考えています。そのため、2021年度、令和3年度までに帰還困難区域を除く福島県内の除去土壌などの搬入をおおむね完了させる、これを目指しています。この目標に沿って取組を進めていまして、これまでの実績としては、今御指摘をいただいた通り、輸送対象物量の約45%、これを輸送して、仮置場の約半数、現場保管の約7割を解消したところであります。引き続き安全第一、これを第一として地元の皆さんの信頼を大切にしながら取組を進めていくことは変わりませんし、この取組もそういった福島で進んでいる大きな事業、これは復興に欠かせませんので、こういった取組も併せて多くの皆さんに知っていただけるような、そういった一端としたいと思います。

(以上)