大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年1月21日(火)11:02 ~ 11:34 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、今国会初めての定例記者会見ということですから、昨日開会した第201回国会に臨むに当たりまして、私から一言思いを申し上げたいと思います。まず、石綿飛散防止対策の強化を行うために、今国会への大気汚染防止法の改正案の提出に向けて対応を進めています。これに加えて、環境省の重要なミッションのうち、とりわけ気候変動、プラスチックごみ対策などについて次のような取組を進めていきたいと考えています。今年はパリ協定が実施される節目の年です。パリ協定が掲げる脱炭素社会の実現に向けて政府全体の方針としている再エネの主力電源化は必要不可欠です。このため、環境省自身がユーザーとして、2030年までにRE100、再生可能エネルギーの調達を100%、これを達成をします。まず、4月から新宿御苑の電力を100%再エネで調達するなどの取組を進めます。また、我が国で最大のポテンシャルを持つ洋上風力発電の社会実装へ向けた後押しもします。ゼロカーボンシティ、これは自治体の2050年までの実質二酸化炭素排出ゼロ、この取組の継続した後押しにも取り組んでいきます。更に、従来の電気自動車については、単に蓄電池で自動車を動かすだけというコンセプトでもありましたが、昨今の情報技術、これはIT、AIなどの進展を踏まえて、電気自動車を蓄電池としてエネルギーシステムとつなげる、いわゆるコネクテッド、このコネクテッドすることで再エネ導入などのエネルギーシステムの高度化が可能となります。これによって地域全体での気候変動×防災、この実践を図っていく必要があります。このようなコネクテッド、これを自立分散型の地域づくりの新常識としていきたいと思いますので、環境省としても対応の具体化を進めて発表したいと思っています。また、石炭火力プラント、この輸出の在り方については、COP25の過程で私が、関係省庁といわゆる輸出4要件と言われる、このことについては問題提起をしました。そういった中で、今日は1件具体的なことに触れたいと思いますが、今、ベトナムの石炭火力、ブンアン2という案件があります。この件に関しては、実態としてどうなっているかというと、日本の商社が出資をして、そしてJBICが入り、これは結果的にプラントのメーカーとして中国のエナジーチャイナ、そしてアメリカのGE、こういった形で成っています。私は、今までこの4要件の話の中でさんざん聞いてきた一つのロジックというのは、日本がやらないと中国が席巻すると、そういったことも聞いてきました。しかし、この構図は、日本がお金を出して、結果、つくっているのは中国とアメリカと、こういう実態を私はやはりおかしいと思います。こういった具体的な事例が見つかったことも一つ契機としまして、各省庁との議論、そして問題提起を引き続き行っていきたいと。そして、やはり私は、これは国民の皆さんの理解、そして国際社会からの理解、この二つを考えたときにも、明らかに私は、その理解は得られるものではないというふうに思いますので、こういったことの問題提起をCOP25でしてきたところです。あのときにも、現地でのぶら下がりで、今回、COPでの調整は間に合わなかったけども、私の理解は、各省との調整は引き続き続く、そういう理解だと申し上げましたが、まさにこういったことも含めて議論をしていきたい。そして、より国際社会、国民の皆さんからも理解できる政策の形につなげていきたいと考えています。そして、日本が石炭火力で批判で覆われている一方で、隠されているというか、広く国際社会に伝えきれていない先進的な取組を引き続き発信をしていきたいと思います。プラスチックについてでありますが、プラスチックの資源循環のためには、製品や社会システムの再設計、「Redesign(リデザイン)」が必要であります。これを新たな成長エンジン、国内1.4兆円の経済成長、4万人の雇用創出をしていくことをはじめとして、プラスチックをきっかけに循環経済への移行を進めていきます。このため、レジ袋有料化をきっかけとしたライフスタイル変革を進めることはもとより、企業、自治体の先進的な取組、ESG金融、更にアジアをはじめとする国際的な資源循環を我が国から強力に進めて、5月ごろに開催予定の循環経済ビジネスフォーラム、いわゆるCEダボス、これにおきましてプラスチックをはじめとした日本の誇る資源循環の輪を世界に発信していきたいと思います。同時に、プラスチック資源循環戦略の具体化に向けて、本格的な検討、実施を進めていきたいと思います。引き続き、環境省が社会変革担当省として社会全体の持続可能性を生み出していくよう、環境省自身の改革を図る「選択と集中」の取組をしっかり進めてまいります。
 次に、先ほど言及をした自治体の2050年までのネット・ゼロ宣言でありますが、1月18日に熊本県熊本市を中心とする熊本連携中枢都市圏を構成する18市町村が、二酸化炭素の排出をゼロに2050年までにする、この方針を表明しました。この18自治体、市町村は、熊本市、菊池市、宇土市、宇城市、阿蘇市、合志市、美里町、菊陽町、西原村、南阿蘇村、嘉島町、益城町、甲佐町、玉東町、大津町、高森町、御船町、山都町、これが18市町村ですが、この表明は12月4日に熊本県が、2050年熊本県内のCO排出実質ゼロ宣言をしたことを受けて、これに貢献するべく行われたものでありまして、エネルギーの地域間融通など、18市町村で各自治体の特性を生かしながら、支え合いながら、地域の脱炭素化を目指す先進的なものであります。これによりまして、2050年ゼロカーボンを表明する自治体数は50を超えて、51となりました。様々な機会を捉えて呼び掛けることによって、2050年ゼロカーボンを表明する自治体数が、大臣就任当初の4自治体から、とうとう50を超える段階になってきたことを私としても心強く思います。今年の目標は、人口規模で6500万人。不可逆的な流れを脱炭素化に向けてつくっていくためにも、こういった自治体の動きは大変重要ですので、環境省としても後押しをしていきたいと思います。なお、熊本市の中の温暖化の実行計画、この中に環境省はメンバーとして入って、様々な助言、そして連携、こういったことをしていることも、こういったことにつながっていると考えています。
 最後になりますが、今年は、環境外交という面でも大変重要な年であります。私は、就任当初から、環境省は国際的な外交という面でも大変重要だという話をしておりましたが、国際交渉やアジア各国との連携を更に進めていきたいと考えています。COP25では、私自身も国連のグテーレス事務総長をはじめ、数多くのバイ会談を実施して、気候変動対策を前進させるモメンタムを形成することができたと考えています。この機を活用して、本年の環境外交を一層前進させるべく、早速今週から環境省の職員を欧州に派遣して、各国との調整を開始しているところであります。私自身も、今日の午後、ポーランドのクルティカ気候大臣の表敬を受けまして、今年11月に行われる予定のCOP26に向けた考え方や今後の気候変動対策などについて意見交換を行う予定です。また、今夜、日本・ポーランド首脳会談及び総理主催の晩さん会がありますので、そちらに私も出席予定であります。本年11月のCOP26を見据えて、バックキャストで戦略を見据えて展開をしつつ、パリ協定の残された最後の宿題とも言われる6条の実施指針の締結に向けた交渉を進めるとともに、10月には生物多様性COP15がありますから、これに向けても日本が議長国として取りまとめた愛知目標が発展するものとなるように、地域での生物多様性保全と資源の持続可能な利用を進めてきたSATOYAMAイニシアティブの経験なども踏まえて、次期目標の議論に積極的に貢献していきたいと考えています。環境協力も進めていまして、先週1月14日から16日まで佐藤副大臣を日本・タイ環境ウイークに派遣をして、タイ王国天然資源環境省とセミナーやビジネスマッチングのための展示会、意見交換会を共催して、環境技術・ソリューションの普及促進に向けた機会の創出を行いました。また、石原副大臣をUN-Habitatとのアフリカ協力の会談のためケニアに派遣をしたところであります。このような取組を有機的に進めて、今年を環境外交を一層前進させるという、そんな年にしていきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)共同通信水島です。冒頭発言に関して2点お伺いします。石炭火力に関係してベトナムのブンアン2の輸出に関しては関係省庁での話し合いを進めるという表明がございました。これは、環境省としてはブンアン2の事例に関しては不適切であり、撤退すべきだという意見をお持ちだという理解でよろしいのか、ということが1点。もう1点は、国会に関係しまして、昨日、安倍総理の施政方針演説の中で、G20のブルー・オーシャン・ビジョンの更なる賛同国の拡大ですとか、革新的イノベーションを進めてのCOのビヨンドゼロを目指す旨の表明がございました。これに関して大臣の評価をお願いいたします。
(大臣)まず1点目の、ベトナムのブンアン、これについてでありますが、私はこの輸出4要件と言われるもの、そういったものと、この案件については、私としてはやはりおかしいと思っています。今まで、こういった議論をおかしいと思っているからCOP25でも発言をしているわけですが、その中で、必ずと言っていいほど出てくる理屈の一つは、日本がやらなければ中国が取ると。そういう理屈は多く聞きます。しかし、この事例でよく分かるように、日本がお金を出して中国メーカーが取る、これが本当にいいんでしょうか。私は、これは適切なことだとは思いませんし、仮に、これが国際社会からの評価、そして国民の理解、そういった下にあるというのであれば話は別かもしれませんが、現実として私はその最前線に、COPなどでも立っていることから、先月も様々な石炭に対する報道についても分かる通り、国際社会からはこれだけ批判を浴びながら、こういった実態があるということはどう考えても私はおかしい、そういうふうに思います。ですので、輸出4要件を私は問題意識を持ちながら、あのCOPで発言もした通りでありますが、改めて情報収集などを進めている中で実態を把握していくと、こういった事案が浮かび上がってくると。ぜひこういう問題提起も一つのきっかけとして、私は関係省庁とさらにコミュニケーションを取っていきたいと思いますし、日本の政策をよりよい脱炭素化に資する、そういう方向に変えていきたいと考えています。ちなみに、COPでは内外記者会見を行いました。これは国際社会、国際メディアにも4要件についても触れていますが、この石炭火力についての問題意識として私が申し上げたのは三つありました。この石炭火力輸出自体が抱える課題の一つが、価格の競争力、これが一つ目です。そして二つ目が、相手国の脱炭素化を結果として阻害して、相手国のエネルギー政策をロックインしてしまうということ。そして三つ目が、他国との技術的な優位性が低下してきているということ。そのまさに4要件の最後の一つが、日本が誇る最先端のUSC以上ということが4要件の一つの要件です。このUSCというのは、Ultra Super Critical、超々臨界の英語の略称ですが、それだけを普通聞けばその4要件に合致したものというものは日本の超々臨界の技術だと思いますよね。実態は違うわけです。違う例があるわけです。そういったことも含めた問題意識を私は申し上げました。今後様々な反応があると思いますので、その中でしっかりと我々が考えるところを打ち込んでいきたいと、そういうふうに考えています。
 2点目の御質問の総理の施政方針演説の関係についてでありますが、私は特に最後の方で総理が長期戦略、この早期の達成に向けてと、そういうところで触れられて、今回ノーベル賞を受賞された吉野先生が所長を務める、そういった拠点でビヨンド・ゼロを達成していくと、こういったところが非常に重要だと捉えています。それは私も、今まで国会の答弁などでも、2050年以降できる限り早い時期に脱炭素社会の実現をするというのが今の政府見解ですが、2050年以降できる限り早い時期というのは2051年を含むというのが私の答弁です。まさにその答弁の通り、この長期戦略の目標を早期にということで私は捉えていますし、ビヨンド・ゼロ、このビヨンドというのは超えるということですからね。それを考えれば今までの目標にとどまらない、そういった意欲の表れが日本から、総理の口から表明されたものだと思いますので、そういったことを国際社会に発信を強化していきたいと考えています。

(記者)朝日新聞の松尾です。今の関連で、2点共通することをお伺いしたいと思います。まず1点目、先ほど石炭火力の話がありました。話を伺いする限り、環境省として、環境大臣としてどういったオーソリティーというか権限があるのか、何ができるのか。今日いろんな提言をされました。実際にこれから大臣としてこの問題をどのように解決する権限があるのか。なかったらどのように取り組んでいくのか。その点が1点と、昨日、総理の演説で、今まさにおっしゃった国際共同研究拠点ですけれども、こちらはぱっと見る限り環境省が入っているのかどうかよく分からないイノベーションの世界ですね。これに関しても今取り上げられましたけれども、環境大臣として、環境省としてどのように携わっていけるのか、権限がないとすればどのように取り組んでいくのか、その辺りの明確化をお願いします。
(大臣)まず、後段の方から行きたいと思いますが、このゼロエミッション、ビヨンド・ゼロを達成するイノベーションの拠点と環境省の権限、関わり、こういったことでありますが、今朝官邸で第6回統合イノベーション戦略推進会議が開催されて、革新的環境イノベーション戦略が決定されました。この計画というのは、まさに今お話をした長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、世界の1.5度努力目標達成に貢献する革新的な技術の確立とその社会実装を目指すものです。環境省としては、まさに今御指摘の権限、そして関わりということに関連したところで言うと、この戦略の決定を受けて、今後設置予定のグリーン・イノベーション戦略推進会議の事務局、これが環境省が入ります。関係省庁、産業界と一体となってその事務局としてイノベーションをけん引していくと。そして、今日の会議で私から発言をさせていただいたのは、再生可能エネルギーを主力電源にしていくというのは、これは政府の統一の目標です。この主力電源に再生可能エネルギーをしていくというのは、イノベーションが不可欠です。このイノベーションが不可欠な中で環境省がRE100を宣言して、来年度から新宿御苑、これを再生可能エネルギー100%にしていくという話もした中で、防衛省も再生可能エネルギーの調達を更に積み増して今やっているという中で、他の省庁においても取組が加速するように環境省の取組が培った知見を共有していきますと、そういったことを申し上げたところです。ですので、このイノベーション、こういったことについても、これから産総研の方で吉野先生が所長となられて、このビヨンド・ゼロに向けてということが取り組まれることを、このイノベーションの戦略推進会議の事務局としても、環境省ができることを積極的に果たしていきたいというふうに思っています。
 1点目、この石炭の件につきましては、まさに石炭の問題について最終的な最前線に立つのは環境大臣でもあります。そういったときに、関係省庁とは日ごろから様々な意見交換、そういったことも行います。そういった中で各省、例えば今回の件で言えばJBIC、JBICに関しては財務省ですよね。そして、エネルギー施策と言えばエネ庁であり経産省、そういったことも密接に関わってくるのもこの案件でもありますので、そういったところに対してまさに輸出4要件、これが環境省から見てこの案件はどうなのかとか、そういったことは申し上げていきたいというふうに考えています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。石炭の関連で2点簡潔にお聞きします。ベトナムの案件について4要件は相いれないという表現をされたのですけれども、具体的に4要件はどう相反する部分があるのか。一見すると中国と一緒に例えば合同事業体のような形で進めることは、相反しているとは理解しにくいと思ったので、改めて説明していただきたいということと、今後、関係省庁と協議を進めていくということなんですけれども、具体的に協議をすることでどういうことをしたいのか。例えばこれからNDCの提出もありますし、温対計画の見直しの時期も差し迫っていると思います。そのようなところに具体的に盛り込みたいとか、何かそういう見通しがあるのか教えていただきたいと思います。
(大臣)何をやりたいのかというのは明確にあります。この石炭政策を変えたいと思います。私は当初からずっと言っている通り、日本が今すぐ石炭をゼロにすることは難しいと思いますし、ヨーロッパの一部の国で石炭どころか天然ガスも駄目だと。化石燃料全部が駄目だと。そういったことが日本にとっては今当てはまる状況ではないと思います。しかし、国際社会の全体で進めているパリ協定の中で、脱炭素社会の実現に向けた前向きな取組を加速する必要があるのは間違いありません。だったら、日本が誇る先進的な取組を国際社会へ発信して、日本の国益にもつなげていくということを考えたら、再生可能エネルギーの主力電源化、これはもう既に政府の方針で決まっています。これを更に続けることに加えて、石炭も減らすということはもう既に表明しているところであります。だとしたら、それが資する形で環境省ができる後押しをしていくのも当然のことだと思っていますので、この4要件についてはより脱炭素社会の取組として、国際社会からも日本が一歩前へ進んだとしっかりと発信ができる、そういった在り方に変えていくことは、私は不可欠なことだと思います。ちなみにこの4要件というのを改めて申し上げますが、一つ目の要件というのは、エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限る、これが一つ目。そして二つ目が、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合、これが二つ目。そして三つ目が、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形であるということ。そして四つ目が、原則USC以上であること。これが四つの要件なんですけど、これを結果として日本の誇る高効率石炭火力発電だと。私はそう取りませんね。日本のプラントメーカーじゃないんですから。しかし、私が聞いてきたロジックはそうではありませんでした。どう考えても理屈としては、日本のプラントメーカーがやっているから公的信用を付けるんだという説明の方が圧倒的に多かったと思います。この一例に限って言えば、それは違う。私はおかしいと思います。こういったことを変えたい、それが私の思いです。

(記者)石炭火力の輸出に関しての質問2点です。TBSの守川です。関係省庁、関係部署との話し合いの形なんですが、例えば個別に環境省の方からボールを投げる形にするのか、会議体、協議体のような形をつくられるのか、どのようなイメージでおられるのかが一つ。もう1点が、今回ブンアン2についての御指摘でしたが、環境省として他の石炭火力発電所についても調査した上で今回ブンアンのケースが見つかったのか、それとも他のケースについてもこの4要件と合致しない事案があるのか、今後調査を進めていくのか、どういう状況になっているのかお伺いしたいのですが。
(大臣)まず各省との協議、そういったことについては日ごろから様々な意見交換、コミュニケーションはやります。ですので、今回こういった形で私が問題提起をしたいということも伝わっていると思います。今後こういったことを受けて、果たして各省もこれをおかしいと思うのか、それとも、いや、おかしくないと思うのか、まさにそこはしっかり議論をすればいいと私は思います。
 2点目につきましては、環境省として今後、このブンアン2以外の案件もということですが、私から個別案件をしっかりと見るようにと、そういったことは伝えてあります。これは実際に一つ一つの個別案件を具体的に見ていくと、どれぐらいの時間がかかるか分かりませんが、実際にこういった案件が明らかになっているわけですから、これは、私は必要な情報というのはしっかりと共有されるべきものだと思っています。

(記者)読売新聞の照沼です。脱炭素社会の話がありましたけれども、今年、国内でも炭素税の議論を進めることになるかと思います。改めて導入の必要性や考え方について、また経済界、特にガソリンスタンドや石油業界、経団連からも根強い反対論があるかと思いますが、そこをどのように理解を得ていくのか考え方を教えてください。
(大臣)カーボンプライシングというふうによく言われて、これは私も環境大臣に就任して以降、この環境省にとって長年の歴史を積み上げてきている課題に対してどう私が向き合うべきかということは常に考えてきました。最近も省内で議論をしましたが、30年以上環境省としてこの議論をしていると。当初は環境税という名前だったそうですが、こういった中で与党の税制大綱、この第1章に、環境と成長の好循環の実現として気候変動問題への対応が盛り込まれました。党においても気候変動問題が喫緊の課題であることを認識していただいて、しっかり文言として入ったことは、環境大臣としても意義のあることだというふうに思っています。カーボンプライシングについては中央環境審議会で議論をいただいていますから、引き続き今おっしゃった産業界に理解を求めていくためにも、対話を重ねながら丁寧に議論を進めていきたいと思いますが、これに対しても一言申し上げると、今、温暖化対策税という形で温対税、これも国際社会の中で言えばカーボンプライシングの中に入る一つです。その温対税の下には石石税という形で、石炭、天然ガス、そして石油という形で入っていますが、私が問題意識として持っているのは、圧倒的に石炭は安い。そういう状況の中で、この階段のようになっている現状が本当にいいのか。それで脱炭素社会の歯車を回していくことにつながるのか。私はやはりそこもおかしいというふうに思っています。そういった問題意識を持ちながら、まさにこういう大きな話は様々なところの理解が不可欠なところでありますから、今国会、今年このカーボンプライシングについても様々な議論が進んでいくことを、私としては環境大臣としてできることはやっていきたいし、またさっきの石炭も、海外の輸出案件については触れましたが、それだけでなくて、今どう考えてもこれだけ安ければ使いますよね。そういったことも含めて、本当にこのままでいいのかという問題提起をこういった部分についてもしていきたいと考えています。

(記者)フリーランスの記者の横田です。再生可能エネルギーを主力電源にするということなんですが、現場で起こっていることは、送電線の枠が原発再稼働分で埋められて、再生可能エネルギー拡大の阻害要因になっていると。こういう問題についても環境大臣として物を申していくのかどうかということと、伊方原発の稼働停止に関連して、放射能汚染の被害を受ける祝島の方が、朝日新聞の記事なんですが、避難する船が十分ないと。避難計画が実効性がないまま稼働している現実について、これは原子力防災担当大臣としての権限もあるわけですから、それについても問題視していくのか、2点お伺いしたいのですが。
(大臣)1件目の送電線の関係、これについては経産省がまさに担当所管をしていますので、横田さんからは経産省にも尋ねていただきたいと思いますが、環境省としては、まさに再生可能エネルギーを主力電源にしていくという、これは閣議決定、政府統一の見解に向けてそれを阻害する要因は一つでも多く突破をしていく、そういうリードをしていく省庁でありたいというふうに考えているので、まさに「隗より始めよ」で、再生可能エネルギーの調達を100%していくということを10年間かけて、まずは今年、新宿御苑からということもありますが、環境省自身が身をもって示していきたいと考えています。
 なお、伊方原発に関する御指摘もありましたが、避難計画作り、これについても今二つ目の質問でありました。私も昨年の原子力総合防災訓練で島根原発に関わるような地域の現状を現場で見させていただきました。環境省の大臣としてではなくて、もう一つの私が所管をしている原子力防災担当大臣として最重要の役割の一つが、地域の皆さんと一緒になって避難計画作りをしっかりと進めていくことだと思います。こういった判決はありましたが、常に、全国の中でまだこの避難計画作りができていない地域もありますので、それがしっかりとでき上がるように継続して支援をしっかりとしていきたいと考えています。
(記者)経産省に物を申していくのでしょうか、原発再稼働はおかしいのではないかということで。
(大臣)様々なコミュニケーションは日ごろからやっていますので、私の問題意識は重々承知の上だと思います。

(以上)