大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(令和元年9月10日(火)10:23 ~ 10:51 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は私から一つ。青森、秋田、東北への出張を先日したところであります。これは先週6日から8日にかけて、十和田八幡平国立公園の視察を行い、また秋田県で開催されました第39回全国豊かな海づくり大会に出席してまいりました。十和田八幡平国立公園の美しい自然景観に感銘を受けましたが、利用拠点では廃屋が目立ち、さらなる活性化が必要であると感じたところであります。十和田湖は2県にまたがるという特殊性もございますけれども、地元の自治体と連携してしっかり取り組むように督励をしたところであります。国立公園も非常に最近は期待をされておりまして、私ども国立公園を担当する立場としても、それぞれの地域がもちろん環境の保護・保全に全力を尽くすと同時に、これだけの国民の資産ですから、内外の人を受け入れるということも大事ではないかなと思っております。とりあえず私からは以上でございます。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の安田です。おはようございます。よろしくおねがいいたします。明日、内閣改造が行われます。もちろん御留任の可能性もあるわけですけれども、取りあえず一区切りということで、1年間を振り返って、お仕事の受け止めについてお願いできれば。
(大臣)おかげさまで、1年ちょっとを切りますけれども、昨年の10月から今日まで環境大臣としての職務を預けていただきましたので、出せる力でしっかり頑張ってきたところでございます。たくさん報告もあろうかと思いますけれども、多少お時間をいただいてもいいですかね。私はこの11カ月、12カ月の間に外国へも随分行きましたし、それから国内でも、今申し上げましたように様々な行事も含めて視察もさせていただいたところであります。それぞれ勉強することがあり、そしてまた環境行政の立場でしっかり発信、また行動しなければいけないと思ったところでございます。
 いくつかありますけれども、まずはプラスチックの問題、廃棄物ですね。それからやはりパリ協定の問題等々ございます。まずプラスチックの問題は、6月末、G20大阪サミットで、安倍総理の指導力で、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンで、2050年までに新たなプラスチックによる汚染をゼロにする、こういうことを決めていただきました。これから大事なことは、どうやって具体的に実施するかということでありますから、私ども環境省が原案を作ってやっていかなければいけないと思っているところであります。とりわけ、それに先んずる5月の中旬には、長野県軽井沢でG20環境大臣会合というものがありましたけれども、そのときに一番腐心したのが、先進国、途上国を問わず、一定の規律でプラスチックごみ問題に取り組むということでありましたので、そういう意味では、かなり進んだのではないかなと思っております。ついては、それをどうやって具体化するというのが非常に大事なことでありますから、10月の途中に専門家会議が東京で行われますが、専門家会議の議論をしっかり私どもがリードといいますか、進めていかなければいけないなと。ちょうど我々、原案も今作りつつありまして、それを各国にお示しをして、先にある大きな目標に向けて具体的に頑張ろうと考えているところであります。とりわけこのG20大阪サミットでは大きな二つのテーマ、すなわちデジタル経済をどう規制するかということと、併せてプラスチックごみ問題にどう対応するかということが、結果的に大きなテーマとして取り上げられたことに、私も大きく責任を感じて、これからやっていかなければいけないと思っているところであります。併せて、レジ袋の有料化等も大臣案として提示したところでありまして、これもこれから具体化するには、様々な業界の皆さん、消費者の皆さんの御意見を聞きながら進めていくと。最終的には法律の制定などが必要になると考えているところであります。

 2番目に、私は環境省というと、やっぱりパリ協定をいかに具体化するかということでありました。私も何度にもわたってパリ協定の実施に向けて、とりわけまたCO2をどのように削減していくかということを真剣に考えながらこの問題を進めていくなかで、内外、様々な課題がありましたけれども、その中でやっぱり石炭火力を抑制するというのが一つ大きなテーマだと考えております。石炭火力は重要な発電源であるけれども、同時に、これは今、国際的には石炭火力はある意味ではCO2対策の象徴的な役割も果たしているかなと感じております。この間、電力業界などを中心に、その抑制等もいろいろ相談してきたところでありまして、例えば、アセスの手続の中ではしっかり厳しく対応する、中止も辞さないということもいたしました。またその中で電力業界、とりわけ東京電力は非常に象徴的な会社だとも考えておりましたし、特に広い範囲を持っている東京電力で何とか石炭火力を抑えるという観点から今後の計画を検討してくれと、こういうことも要請という形で出させていただいたりしたところであります。いずれにしましても、この日本が環境先進国としてこれからしっかりやっていくには様々な課題があります。例えばフロンガス規制につきましても、私どもは5月にはフロン排出抑制法を強化いたしまして、私どもとしてはしっかりそれは国内対策としてやってきたところであります。ついでに世界中を見ますと、このフロン規制についてあまり各国がしっかりやっているとも思えないという意味では、ここは日本がそれをしっかりと働き掛けて、例えば今までのフロンガス規制体制、モントリオール議定書に基づくものを少し見直すべきではないかというようなことも日本からいろいろ働き掛けたところであります。
 その他たくさんありますけれども、例えば私は今回福島にも何回も出張させていただきました。この福島の出張を通じまして、本当にこの復興の問題は大変だなと、今でもこれは道半ばであって、これから国を挙げてこの問題について取り組まなければいけないなと、本当に現地の皆さんが営々と努力しておられる、こういうことについても、私ども国としてはしっかり対応しなければいけないと思っているところであります。
 いろいろある中で、例えば原発の今保管している水の処理についても、確かにいろんな議論がありまして、真剣に各般の議論がされているところであります。私は、所管は外れますけれども、やっぱりそれを思い切って放出して、それを希釈すると、こういうことも、いろんなことを、選択肢を考えると他にあまり選択はないなと。原子力規制委員長も、そういうことを言っておりまして、安全性、科学性からすれば、これは大丈夫なんだと。むしろ、それによって起こるであろう、例えば、風評被害とか、漁民の皆さんの御苦労とか、それについてやはり国を挙げて、補完するというか、そうすることも極めて大切なことだなと。これは多少私の考えも入れまして、そういった思いに至っているところであります。これはあくまでも、それぞれ所管があります。ただ大事なことは、何がやっぱり今の国家に必要なことかというようなことも、常に考えておかないといけないと思っております。
 その他、例えば動物愛護の関係で、今回、議員立法でたくさんのものを作っていただきました。また、私どもは業務としてもそれが必要なことだと思っているところであります。さらにライチョウの保護の問題とか、更には新宿御苑の開園時間を延長するとか、ローカルのようでありますけれども、やっぱりこういうものも非常に大事ではないかなと思っているところであります。更に私どもの仕事の中で、水素エネルギーを究極の環境型エネルギーだということもしっかりやっていかなければいけないと思っています。
 様々あれこれ思い出すままに申し上げましたけれども、何と言っても環境と経済の一体性というか好循環というか、私はこれこそがこれからの環境行政の中心でなければいけないと思います。併せて、そのことによっていわゆる地域循環共生圏、そのことが地域再生のやっぱり一番の中心になるんだと。そういう意味で、私どもはこれからの環境政策もそういう高い理念、国際的には何といってもSDGs、これを何としても具体化すると、こういうことも考えておるところでございます。
 いろんなことを申し上げましたし、もう一つ、カーボンプライシングについては先ほどのパリ協定の関係でありますけれども、しっかりまた議論していただいているところであります。本格的議論はこれからでありますけれども、しかし今回の概算要求にもしっかり書くことで、これから開かれた場所でしっかりまた議論していくことがやはり大事なことではないかなと。パリ協定については、それを日本が率先してやるということが、やっぱり日本が環境先進国として頑張れる非常に具体的な政策ではないかと思っております。
 ちょっと言い始めればきりがありませんけれども、こういうようなことについて、おかげさまでこの1年間、中の職員の皆さんと本当に活発な議論をし、また我々は何ができるのか、また何をしなければいけないのか、こういうことを議論してきたところであります。いずれも後任者も含めてこれからの環境行政に役立てていただければいいかと思っております。ちょっと長くなりましたけれども、思いの丈の一部をお話させていただきました。

(記者)朝日新聞の松尾です。大臣今言及のありました中で、福島の水の関係について、この辺ちょっと確認させていただきたいんですが、大臣としてはですね、今おっしゃったことの確認でいきますと、放出して、これは海洋放出して希釈すべきであるというそういうことであるという理解でよろしいでしょうか。

(大臣)結論はそういうことですけれども、はっきり言ってそれしか方法がないなということが、私の印象でもありまして、これは現場に行っても皆さんそう思われるでしょうし。しかし、これは極めて重要な政府全体の話ですから、軽々にはこうすべきとは言えませんけれども、まずはこの話は、安全規制、科学的な基準をしっかり説明すると。その上でもちろん内外また風評被害も含めて、当然、対応しなければいけませんけれども、国によっては、韓国のような国にもですね、いろいろ意見が出るかと思いますけれども、やっぱりしっかり科学の技術、誠意を尽くして、説明するということが何よりも大切なことだと思います。そういう意味では、政府全体でこれから慎重な議論がされると思いますが、私もこの1年間、様々な御意見を聞き、また、現場にも行きましたけれども、これは単なる意見として聞いていただければいいと思いますけれども。

(記者)関連なんですけれども、いわゆる土壌の方については、環境省の方で担われているわけですけど、そのあたりについてはどういうふうなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(大臣)土壌についても、今様々な地域で、まずそれを一時保管、仮設保管も含めまして、また中間貯蔵施設についても、これはそういう意味では、まだまだ放射線の問題はもちろん残ってるわけでありますが、そこはしっかりそのための処理減容化、さらにはうまく活用できるもの、再活用も含めて、あらゆる努力をしなければいけないと思っております。そのベースに、科学技術といいますか、科学的な根拠というものをしっかり説明すると。その背後では、しっかりまた、原子力規制委員会、規制庁の御指導を仰ぐと。これは私ども、規制庁につきましては所管はしておりますけれども、内容について一切異論はありません。いずれにしましても、前提として、汚染土壌について、また、水について、そういう大変大きな問題がありますけれども、その辺を多くの皆さんの健全な判断で、それを処理していただくことが大事かなと思っております。

(記者)環境新聞の小峰でございます。原田大臣はこれまでの記者会見で環境行政の所管外として、かねてからの御持論であった憲法改正への思いを封印されてきたと思いますが、そろそろ憲法改正への思いをお聞かせ願いませんでしょうか。
(大臣)私は別に封印というか、行政としてこの問題についてはあまり発言をしなかったのは事実でありますけれども、私はもちろん自由民主党の党員でございまして、閣僚になる前はもちろん憲法改正議論の中で役員としても活動しておりますし、また当然しっかりした目標の下にこれは進められるべきではないかというのが私の意見であります。それは省としては直接の関係はございませんが、政治家個人としては今までも、またこれからもしっかりやっていくつもりでございます。

(記者)憲法改正に関連して、日本国内、そして世界の環境保全と国内外の平和と安全保障を守ることは相通じるものがある気がしますが、環境行政の最高責任者として国内と地球環境の保全のために尽力されてきて、その辺と、平和と安全保障との接点を大臣は感じられないでしょうか。
(大臣)環境行政というのは日本の、また地球の環境を守り、結果的にそれが国民、人類のためになるんだと。それが環境行政のやっぱり一番大事なところでありまして、結果的にそれが平和や安全に向けた国際間の動きの中に、私はそれはいい方向に動くとは思っております。しかしそういう意味では直接の関係というよりも、やっぱりまずは与えられた職務、環境行政をいかに粛々と進めていくかと。特に先ほどちょっと触れましたけれども、パリ協定の話、更には地球温暖化の話、気候変動の問題は、いずれもただ日本だけでやればいいというものではありません。これは当然米国、中国、ヨーロッパ諸国と語らいながらそれを進めていくことしか方法がないわけでありまして、しからばそういうものを通じて、今、御指摘いただいたように、平和とか安全とかそういうものにも間違いなく私はつながるものと考えております。いずれにしても、密接には私は関係があると思いますけれども、それぞれ与えられた職務はやっぱり環境政策をひたすらに進めていくということが大事ではないかと思っております。

(記者)共同通信の広江といいます。原発の処理水のことでちょっとまたお伺いするのですけど、地層注入とか、蒸発させるとかいろんな選択肢がある中で、大臣が希釈して海洋放出するのが他に選択肢がないなと思われた根拠というか、どういうところもってその海洋放出が、一番妥当だなと思われたんでしょうか。。
(大臣)今、しかるべき政府の小委員会でですね、専門家が集まってやられているのはよく熟知してるところであります。その現場に立って、あそこの貯蔵タンクは2022年にはもう大体、いっぱいになるというようなことを見てきたのも事実でありました。同時に、放出することは、安全性やら、科学的な知見によると、国際的にもそういうことをやっているとか、国内の原子力発電所でも、やっぱりその辺はもう普通に行われているんだと。確かにトリチウムというなかなか難しい物質も含まれていて、それはそれで、科学的に対応することが絶対に必要だと思うのですけれども、何よりも原子力規制委員会が、それなりの評価をしていただいたところはやっぱり私どもにとっては、日本で一番権威がある判断足りうるのではないかなと。ただ、それは、住民の皆さんの風評被害、それから諸外国への影響とか、極めて大きいものがありますけれども、ちゃんと、後対策というか、その対策は絶対にしなければいけないということだと思います。今、四つか五つ、いろんな、科学的に蒸発するものとか、しっかりまた委員の皆さんから出されているということも聞いていますし、それともちろん比較考量してやられることと思いますけれども、多くの皆さんの御意見聞きながら、どこかで決断するということも大切かなと私は考えておりまして、これは最終的には国全体で見ていただくことですから、そういうふうに、御理解いただければいいと思います。

(事務方)すみません。この件、所管外でして、大臣も立場離れて言えばということでおっしゃっていますので、これ以上細かい話はこの件は所管外ですからできれば経産省なりに聞いていただければと思います。

(以上)