大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年4月23日(火)09:00~09:22 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 まず、令和6年能登半島地震復旧・復興支援本部について、御説明申し上げます。本日、能登半島地震復旧・復興支援本部に出席し、公費解体の進捗状況、解体工事の加速化や公費解体の円滑な運用に関する取組等について御報告いたしました。
 公費による家屋解体については、4月中に200棟程度完了の見込みでございます。今後、解体事業者による仮設の宿泊施設の設置が進み、600班以上が解体工事を行うピークに向けて加速化できるよう石川県と連携し、引き続き支援してまいります。
  また、その後開催された閣議において、災害廃棄物の早期処理等に必要な事業として、被災した廃棄物処理施設の復旧に関する予備費の使用を決定しました。
被災地の早期の復旧復興に向け、引き続き環境省として必要な支援を行ってまいります。
 次に、熱中症警戒アラート等の運用開始とクールビズの呼びかけについて、御説明申し上げます。明日、4月24日水曜日から熱中症警戒アラート及び、今般新たに創設された熱中症特別警戒アラートの運用を開始いたします。国民の皆様には、熱中症警戒アラートなどが発表された際には、エアコン等を利用し、涼しい環境で過ごす、小まめに水分、塩分補給を行う、周りにいる高齢者や子供などへ見守り、声かけなどを行うなど、熱中症予防行動を取っていただくようにお願いいたします。
 これと併せて政府において推進する国民運動デコ活の一環として、環境省本省においては、5月1日から9月末までの間に集中的にクールビズを実施いたします。企業、自治体、団体、そして報道機関の皆様におかれましても、クールビズを呼びかけて、熱中症予防行動とともに実践していただくようにお願いいたします。
 以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の毎日新聞、山口です。
 今発表ありました熱中症警戒アラートについてお伺いします。民間企業の実施した調査では、今回新たに始める特別警戒アラートを知らないと回答したのが6割に上ったという調査結果もあります。クーリングシェルターのほうも準備が進んでいる自治体はまだ一部にとどまっているという状況かと思います。暑さ対策が本格化する夏に向けて、住民や自治体に今後どのよう働きかけを行っていくのでしょうか。
(大臣)御指摘の民間企業の調査については承知してございます。環境省が昨年実施したアンケート調査では、熱中症警戒アラートの認知度が約80%となっております。その上で、熱中症から国民の命を守るには、さらに国民の皆様に、このことを浸透させていくという必要があると考えております。関係府省庁と連携して展開する熱中症予防強化キャンペーンを通じて、普及定着を図ってまいりたいと思います。
 昨年の気候変動適応法の改正を通じて新たに創設された指定暑熱避難施設や熱中症対策普及団体などの制度についても、地方公共団体向けの手引きを策定、公表し、説明会も開催してまいりました。引き続き、地方公共団体の職員等に対する研修や先進事例の展開及び地域における取組をしっかり後押ししてまいりたいと思います。
 政府の熱中症対策実行計画では、2030年に熱中症による死亡者数の半減という目標を掲げております。これを達成すべく、環境省は関係府省庁と連携を図りながら、熱中症から国民の命を守る対策を一層強化してまいりたいと思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 PFASについてお伺いします。先日、アメリカのEPAがPFOAとPFOSをスーパーファンド法の有害物質に指定して、汚染者に調査であったりとか除去の費用を負担させるという形で対策を進めることになりました。費用の問題は日本でも課題になっているかと思うんですけれども、まずこの点どのように受け止めているか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)今御指摘のこの米国環境保護庁において、いわゆるスーパーファンド法にPFOS、PFOAを指定物質として追加したことは承知しております。御指摘のとおり、2022年の9月の日米環境政策対話共同声明では、PFASについて規制と対策に関する科学的知見を深めるための協力を継続することを確認しております。
 今回の発表も踏まえて、これらの今までの経緯も踏まえて、今後、スーパーファンド法による調査、対策等の方法や、実際の運用状況等についてもアメリカの環境保護庁と様々な機会を捉えて情報交換をしてまいりたいというふうに考えます。
(記者)今、言及いただいたのは、前西村大臣のときにEPAの長官と協力の連携を確認された話かと思うんですけれども、今のお話だと、EPAとはPFASの対処の方法について連携を深めるという趣旨でよろしかったでしょうか。
(大臣)そのとおりでございます。
(記者)具体的に時期的な話であったりとか、そういったものはありますでしょうか。
(大臣)今すぐ詳細をお示しはできませんですけれども、まず事務レベルで、必要であれば政治レベル等、考えております。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。おはようございます。
 まず、冒頭にいただいた能登半島地震の関連で、4月中に200棟程度の公費解体が達成できる見通しと触れられましたけれども、この200棟というところの根拠といいますか、どういった形で200棟が達成できそうかという具体的な情報があれば、お示しいただきたいんですが。
(大臣)詳細は事務方から説明いたしますけど、実際にそういう解体班が動いているというところでございます。
(記者)分かりました。では、後で取材しようと思います。
 また、熱中症警戒アラートについてお伺いします。熱中症特別警戒アラートとの制度の違いを見ますと、特別警戒アラートは警戒アラートより早く伝えている、早く発表するっていうところにひとつ特色があると思うんですけれども、この早く伝えるという根拠というか、理由というか、意味づけ、その辺りを大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(大臣)特別という名がついているように、熱中症というのは温度だけじゃなくて、湿度とか風とか、諸条件で起きるものですけど、やはり早く対応しないと熱中症の被害が出るということから、早く出すと。それから、一段階高い危険度があるということだと思います。
(記者)分かりました。そうしますと、制度を見ますと、ちょっと一点気になっているのが、前日の午後2時をめどに発表という制度になっていますけれども、そもそも午前中の段階でデータはある程度そろっているようで、少し吟味に時間をかけているようだというふうに理解をしているんですけれども、その数時間というのが今の大臣の早く対応しないといけないというところを考えると、できれば緩和したほうがいいんじゃないかなと個人的には思っています。その辺り、データを捉えてから発表までの時間、所要時間について、例えば今後さらに短くしていく展望があるですとか、あるいは今年度の段階で緩和措置みたいなものを設ける考えとか、その辺り4時間というのは、どうしても必要なのか、あるいはもっと短くできるのか、その辺り大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
(大臣)その辺は専門家の検討を経て、そのような状況になっていると思いますけれども、今御指摘を踏まえて、もう少し短くすることができるかどうかについても検討させてまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)おはようございます。インターネット報道メディア、IWJの浜本です。よろしくお願いします。
 先ほどもありましたけど、重ねてPFAS問題について質問します。今月の10日、米国の環境保護局EPAは、飲み水のPFAS濃度の全国基準を最終決定しました。PFOSとPFOAがそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムと、世界的にも大変厳しい水準になり、PFNAやPFHxSなど、ほかの種類についても1リットル当たり10ナノグラムとなり、PFOS、PFOA合計で1リットル当たり50ナノグラムという日本の暫定目標値よりはるかに厳しいものとなっております。国内の汚染状況の監視と公表も義務づけられ、米国のPFAS問題に対する本気度が伺えます。
 翻って、日本は暫定目標値のままで、水質基準にもなっていません。また、実態に合わせた疫学調査も行われておりません。疫学調査、汚染の実態調査など、PFAS研究においては米国や欧州が進んでおり、日本の水道水の暫定目標値設定の際も欧米の数値を参考にしてこられましたが、今後、水質基準にしていくことを含め、日本の暫定目標値見直しにおいて参考とするお考えがありますでしょうか。
 また、疫学調査や汚染の実態調査を行う意思や予定はおありでしょうか。よろしくお願いします。
(大臣)ありがとうございます。御指摘のように、今回米国の環境保護庁が飲料水中のPFASに関する規制値を公表したことはよく知っております。
 一方、我が国では、食品安全委員会において、PFOS、PFOAの耐容一日摂取量、すなわち生涯にわたって人が食品から摂取し続けても、健康に影響が出ないと推定される量について、今回の米国環境保護庁の規制値の根拠のある知見を含む最新の知見に基づき総合的な検討が行われております。パブリックコメント、これも本年の2月7日から1か月間、実施されたものと承知しております。
 この水道水質に関する目標値については今後、食品安全委員会の評価結果などを踏まえ、専門家の意見を伺いながら検討を進めていくとしておりますが、今回公表された米国の基準については諸外国や国際機関における動きの1つとして参考にしてまいりたいと、そういうふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。
 先週の閣議後会見で、PFAS関係なんですが、環境省以外の閣僚、総理も政府全体で取り組んでいく必要がある、認識をお持ちじゃないかというお話だったんですが、これ、伊藤大臣から閣議のタイミングなんかで首相に御自身から進言されたりとかいうことはあったのか、またそういう予定があるのかというのをまずお伺いできないでしょうか。
(大臣)閣議の場で進言をしたということはありません。ただ、私は基本的に、この問題は連携して行うべきだというふうに考えております。
(記者)あとEPAとの件、先ほどまずは事務レベルでその次に、その後に必要があればという話だったのですが、大臣は国際関係も非常に強いという、大臣も直接電話会談なり、対面であるでも、そういう方法もあるんじゃないかなと思うんですが、まず事務レベルでいくという、そのお考えはどういうところからくるんでしょうか。
(大臣)やはり、このことは事務レベルといいますか、専門家も含めて総合的に検討する必要がありますので、そこを踏まえて、大臣レベルとか長官レベルでする必要があればしていくということだと思います。
(記者)すみません、あと1点だけ。何度か申し上げた、地方自治体から、いつも汚染後の対策とか除去で非常に困っているという話はよく耳にするんですね。
 先ほどおっしゃった、EPAとの調査対策、連携という部分、これはまたそうした部分が含まれるという認識でいいでしょうか。
(大臣)アメリカの考え方と日本の考え方、必ずしも同じでありません。ただ、アメリカにおける知見というのも十分に参考する必要があります。その辺も踏まえて、日本は日本の考え方で、国民の皆様の命と健康を守るために、環境省としてできる限りことをしていきたいと、そういうふうに思います。幾つかの地点で調査をしておりますので。
 
(記者) 東京新聞の松島です。すみません、引き続きPFASに関連してお伺いしたいんですけれども、日米地位協定に基づいて発せられるJEGSというものがあると思うんですけども、日本環境管理基準、これに関して、環境補足協定において、最も保護的なものを一般的に採用するというふうにされています。4ナノグラムに水質基準が引き下げられて、またスーパーファンド法が制定されたということは、この保護的なものを一般的に採用するという、この環境補足協定の条文を根拠に、JEGSに盛り込むということを日米地位協定の環境分科委員会等で求めていくという考えは現状、ありますでしょうか。
(大臣)今の御質問の詳細については少し検討した上でお答えしたいと。事務方からお答えしたいと思います。
(記者)分かりました。
 
(記者)NHKの林と申します。
 冒頭に発言があった熱中症の件で、特にクーリングシェルターの関係なんですけれども、手引き等の言及があったと思うんですが、改めて現段階の大臣、環境省の認識として、各自治体が進めているクーリングシェルターの取組というのは、どの程度進んでいるというふうに認識しているのかと、それを場合によっては後押しする必要があるのかなど、そこを伺ってもよろしいでしょうか。
(大臣)この政策は始めたばかりでございますので、全ての都道府県で必ずしもしっかりと認識され、具体的に進んでいるわけではないと思います。しかし始めたわけですから、日本全国のそれぞれの都道府県で進めるように環境省としても広報、そしてまた支援措置を講じてまいりたいと思います。
 新しく建物を造るというよりは、既にある建物をクーリングシェルターとして活用できるようにするというのが多分、中心になるだろうと思います。
(記者)ありがとうございます。
 もう1点、クールビズとの関係なんですけれども、熱中症特別警戒アラート、警戒アラートの期間が4月24日から10月23日、それは特に熱中症への警戒が必要な期間と国のほうが指定した期間、暑さに注意する必要がある期間と言っていると思うんですけれども、それとクールビズの期間が若干ずれているというのは、そこはどういう整理をしているということなんでしょうか。
(大臣)クールビズということと、熱中症警戒ということはオーバーラップすることもありますけども、全く同じコンセプトではありません。クールビズというのは、もう随分前から始まっておりますけど、この長年の実施により社会慣習として定着しております。
 もともとは呼びかけの期間とか、実施地域を限定せず、日々の気温や環境に応じて、エアコンの適切な使用と各自の判断による快適で働きやすい軽装の取組の実践を呼びかけているというのがクールビズの政策でございます。
 その上で環境省本省においては、5月1日から9月末までの期間において集中的に実施するということにしております。国民の皆様には、この期間に限らず、ある意味ではデコ活の一環としても、TPOに応じたオフィスの服装自由化やサスティナブルファッション等を積極的に取り入れていただきたいというふうに考えております。
(記者)文句を言っているわけじゃないんですけど、それこそ特別警戒アラートの周知等も含めて、今年は4月24日から始めるという判断とか、次年度以降でもいいかもしれないんですけど、そういう判断とかというのもあり得るでしょうか。
(大臣)今回、アラート、新しい「特別」も入れたわけでございますから、クールビズについても、この熱中症の発症リスクを下げるという効果がありますので、熱中症リスクの高まる5月に合わせて運用を開始するということだろうと思います。特にゴールデンウィーク前にするということも大事だろうと思います。
 
(記者)共同通信の堀口です。
 話が少し変わります。環境省の取組としての脱炭素先行地域の進捗状況についてお伺いします。環境省は政府の2050年カーボンニュートラル実現に先駆けて30年度までのCO2排出実質ゼロを目指す地域を先行地域として、交付金で支援、現在4次認定までで36道府県の73件で取組が進んでいます。一方で、3月に奈良県三郷町が辞退するなど想定どおりいかず、計画を見直した地域もあります。これまでの計画見直しや交付金執行状況など現状についてと大臣の受け止めをお願いします。
(大臣)この脱炭素先行地域は一定エリアの民生部門の電力を中心した脱炭素化と、それに合わせて地域課題の解決を目指す極めて意欲的な取組でございます。御指摘のとおり、36道府県の73地域で地域の特性を踏まえた先進的な取組が進みつつあると大変うれしく思っております。
 御指摘のこの三郷町以外には計画の廃止をした地域はございません。実際、この事業を開始すれば、大小様々な課題に直面するということが極めて考えられるわけであります。環境省としては、有識者の助言もいただきながら自治体への伴走支援を行っております。その中で対象となるエリア、取組規模など相当程度を変更する必要があると、こういう場合には、評価委員会、ここに諮った上で、計画変更を行うこととしております。
 ちなみに令和4年度から令和5年度にかけて4計画について見直しを行ったところでございます。先行地域づくりに係る交付金の執行状況については令和5年度において採択時計画の約192億円に対し、執行額は約124億円でございまして、約64%の執行率になっております。そして、また脱炭素先行地域は、我々の狙いとしては、この脱炭素のドミノの起点として、まさに同心円的ですね。試行錯誤を繰り返しながら、他の地域へのモデルを示すということが期待されているものでございます。
 計画実現の加速化に向けて、環境省としても引き続き、伴走支援をしっかり行ってまいりたいと、そういうふうに考えております。
(記者)先行地域ゼロの都道府県がまだ残り11あり、取組に濃淡が見られるとも言われます。来月には第5次の募集もありますが、こうした空白地への認識をお願いします。
(大臣)御指摘いただいたとおり、脱炭素先行地域に選定された計画提案が1件もない都県、いわゆる空白県、これは11県、まだございます。先行地域はこの脱炭素ドミノの起点でございますので、全国の都道府県にあることが望ましいと考えております。次回、第5回目の募集においては、空白県から積極的な応募を期待したいと、それに対する広報や連絡も行っているところでございます。

 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/x8BxQ857l00?si=1qNy7GeD48SSFi6N
 
(以上)