大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年3月5日(火)08:38~08:48 於:衆議院本会議場正玄関前)

1.発言要旨

 おはようございます。本日の閣議で環境省関係の法律案が2つ決定されましたので、それぞれ御報告申し上げます。
 1点目は地球温暖化対策推進法の改正案です。この法律案では、我が国の温室効果ガス排出削減目標の確実な達成に向けて、二国間クレジット制度、いわゆるJCMの実施体制を強化するため、クレジット発行、口座簿の管理等の手続や、指定法人制度の創設等の規定を整備いたします。また、都道府県及び市町村が共同して、再エネ促進区域を定めることができるようにするなど、地域脱炭素化促進事業制度の拡充等を行います。あわせて、国民の皆様に、ライフスタイル全体で排出量が少ない製品等の選択や、ライフスタイルの転換を働きかける規定を整備いたします。
 2点目は新法になりますが、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案でございます。この法律案では、2030年までのネイチャーポジティブの実現に向け、企業等による、里地里山の保全や外来生物の防除といった、生物多様性を維持・回復・創出する活動を促進するものでございます。主務大臣、環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣が、活動の実施計画を認定する制度を創設し、活動に必要な手続のワンストップ化、簡素化を図ります。この法律案により、既に先行して進めている自然共生サイトでの企業等の活動を、さらに後押しできるものになると考えています。
 今国会では、両法案の成立に全力を尽くし、環境省の重要課題である気候変動対策、生物多様性の保全をさらに加速していきます。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の日本テレビ、村田です。よろしくお願いいたします。まず、地球温暖化対策推進法の改正についてなんですけれども、JCMの実施体制が強化されるということなのですが、この法案がどのように2030年度1億トンのCO2削減目標に結びついていくのでしょうか。
(大臣)現在、政府において、2025年をめどにJCMのパートナー国を30か国程度に拡大するとともに、2030年度までに累積で1億トンCO程度の排出削減、吸収量の確保に向けて取り組んでいるところでございます。これまでに29か国とパートナー国の覚書を結び、約240件のプロジェクトを通じて、累積で2,000万トンを超えるCO2を削減してございます。
 今回の改正により、このJCMの実施に必要な事務の大半を政府が委任する指定法人に一元的に実施させることで、長期的かつ安定的な実施体制を確保することとしております。これにより政府は、パートナー国の増加に向けた協議や、プロジェクト案件の組成等に注力することが可能となります。
 今後は、新たな実施体制の下で、大型案件の発掘、公的資金に加えて、民間資金を活用したJCMの拡大等に積極的に取り組むことで、目標達成を確実なものにしていきたいと、そのように考えております。
(記者)もう一点、生物多様性の新法案についてもお伺いいたします。生物多様性保全の活動を行う企業等へのインセンティブが重要となりますけれども、この法案によって認定を受けた企業等には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
(大臣)この法律案では、ネイチャーポジティブという国際的な潮流に適合した取組である旨を国が認定し、企業等の活動の意義や重要性を明確にすることで、企業価値の向上や情報発信に寄与することが大きなポイントであると考えております。また、法律案では、自然公園法の許可等の特例を設け、活動に必要な手続をワンストップ、簡素化するとともに、協定制度を設け、長期的、安定的な活動を可能としております。加えて、自然共生サイトと同様に、認定を受けた活動の実施場所をOECM国際データベースに登録し、30by30に貢献する場所であることを国として発信していくほか、活動主体と支援者のマッチング等のサポートも行ってまいりたいと思います。
 
(記者)テレビ朝日、中尾です。よろしくお願いします。外来生物に関連してお伺いします。オオサンショウウオの交雑種に関してですけれども、これまで専門家会議において特定外来生物に指定するかどうかが議論なされてきたと承知しております。この件に関連して現在の検討状況と、また今後、本件にどのような対策をとるべきかということについて、お考えを教えてください。
(大臣)今年の1月、特定外来生物の選定等についての意見を聴取するために開催した、両生類の専門家会合において、チュウゴクオオサンショウウオと、これと在来種が交雑した交雑種について、特定外来生物として指定することが必要ではないかと、そういう意見をいただいたところでございます。この意見を踏まえて、現在、特定外来生物全体を所管する専門家会合に、これらの種の特定外来生物への指定の是非についての意見を聴取しているところでございます。指定が適当との意見が得られれば、パブリックコメント等の特定外来生物の指定に向けた手続を進めたいと考えております。特定外来生物に指定された場合には、法に基づいて、飼育や移動等が規制され、防除を進めることになります。環境省では、防除に必要な識別マニュアルの作成や、交付金等により、地方公共団体が実施する防除事業を支援してまいりたいと、そのように考えております。
(記者)もし、大臣として本件危機感みたいなものを感じていたら教えてください。
(大臣)本件のみでなくてですね、やはり、今グローバルにといいますか、国際的にいろいろな外来種が入ってくる頻度、またリスクというのが高まっておりますので、そして今回交雑種の問題が出ておりますけれども、そのことによって在来生物が脅かされて、また、日本国内の生態系が脅かされる。また、人間の健康が脅かされると、そのリスクも高まっていると思います。ですから、なるだけ早い良い時期に措置がとれるように、環境省としても積極的にいきたいと、そのように考えております。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。生物多様性の新法案のことでお聞きしたいのですけれども、今回の新法案の生物多様性の保全だけではなくて、回復と創出の活動も新たに認定すると思うのですけれども、そこについて、その意義と、それを活動する主体へのインセンティブの与え方というもののお考え方を聞かせてください。
(大臣)ご指摘のように、今ある生物の多様性を保全するだけではなくて、やっぱり生物多様性の回復、創出というのはより重要になってくると思います。今回はその観点も非常に踏まえた(制度)改正でございますけれども、自然共生サイト、これもありますけれども、今回の法律の施行後にはですね、法律に基づく認定制度への移行を促しておりまして、現在ある生物の多様性を保全するだけではなくて、やはり失われた生物多様性を回復する、創出する、そのことにも総合的に力を入れて、生物多様性がしっかりと今後持続可能な形で、日本国内で未来に向けて維持されるようにしたいと、そのように考えております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=QPlABxrTAuk&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
(以上)