大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年1月30日(火)10:15~10:37 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。国立公園制度100周年記念貨幣について、まずお話いたします。 財務省請議の政令となりますが、国立公園制度100周年を記念する貨幣のデザイン等を定める政令を、本日の閣議で決定いたしました。国立公園制度が創設されて100周年を迎える2031年に向けて、本年から順次記念貨幣を発行していきます。
 初回の今回は、沖縄県にある「西表石垣」、「慶良間諸島」及び「やんばる」の3つの国立公園の貨幣デザイン等を決定しました。詳細は、後ほどお配りする財務省の報道発表資料を御覧ください。
また環境省としても、100周年に向けた機運を盛り上げるべく、国立公園における滞在体験の魅力向上など、様々な取組を展開してまいります。
 次に、能登半島地震における環境省の対応について御説明申し上げます。1月26日金曜日の会見以降の取組、進捗状況を報告いたします。
 先週、1月27日土曜日、私は被災地を訪問し、七尾市の避難所の仮設トイレや浄化槽施設、し尿、片付けごみの処理施設の状況、羽咋市の仮置場の運営・管理状況、金沢市のペット連れの被災者支援の現場の状況について、視察、確認してまいりました。また石川県庁では、馳知事と面会を行うとともに、石川県災害対策本部員会議にも出席させていただき、被災自治体の首長の皆様から直接、様々な御意見、御要望をお伺いしました。
 私からは、お手元にお配りしました政府全体の支援パッケージを踏まえた、環境省の取組などを御説明申し上げ、いただいた御要望も踏まえつつ、今後も、被災者の日々の生活環境の確保、被災者の生活再建と、被災地の復旧・復興のためにしっかり対応していくということをお伝えいたしました。
 私から、今回の訪問で特に印象に残った点を2点申し上げたいと存じます。
 1点目は、私自身も東日本大震災を現場で直接体験いたしましたけれども、そのときと同じく、被災者の方々、地元の自治体、民間企業、また関係団体、そして応援自治体の職員の方々、環境省をはじめとする国の各機関のチームワークで復旧・復興を進めておりまして、災害対応の最前線で、懸命に取り組まれている皆様の姿に感銘を受けました。
 2点目は、大量に発生する災害廃棄物の処理が、被災地の復旧・復興の観点から重要であって、また、被災者の日々の生活環境の確保の観点から、し尿処理や浄化槽の復旧が重要な課題であるということを改めて感じたところでございます。
 浄化槽については、実際に現地の被害状況を目の当たりにして、また、地元の首長の皆さんからも、上下水道一体の復旧に向けた支援について多くの御要望をいただきました。環境省では、浄化槽の復旧に関する各御家庭からの問合せを受け付けるコールセンター、これを2月中旬までに設置する予定です。また現在、各市町では、優先的に調査が必要な浄化槽のリストアップ作業を進めておりまして上水の復旧に合わせて、戦略的に浄化槽の点検、復旧作業を進めてまいります。
 被災家屋の解体撤去については、昨日29日、被災自治体の家屋解体の事務手続に当たり、参考となる情報を整理した「公費解体・撤去マニュアル」を策定し、被災自治体へ周知を図るとともに、空き家など、所有者不明家屋の解体の参考となる情報に関して、事務連絡を発出いたしました。
 今後、環境省職員や災害廃棄物対応経験を有する他の自治体の職員から成る家屋解体・撤去専門チームによる被災自治体への技術支援を、今月末以降進めるとともに、所有者不明建物管理制度などの活用に関する被災自治体職員向けの相談窓口を2月中旬に設置するなど、県と連携して、被災自治体への実務的な支援を行ってまいります。
 これらの技術支援、人的支援に合わせて、予備費を活用した財政支援により、倒壊家屋の解体・撤去に取り組む被災自治体を積極的に支援してまいります。
 被災ペットへの対応については、志賀町における一次避難所の再編などにより、ペットの飼育スペースの確保に関する課題が出ておりますことから、環境省では、志賀町への支援として、トレーラーハウスを避難所に設置し、昨日からペットの受入れができる状態となっております。ペットを飼育する被災者が安心して避難生活を送れるよう、避難所や仮設住宅でのペット受入れ環境の確保に向けて取り組んでまいります。
 石川県の一日も早い生活再建と創造的復興に向け、引き続き必要な支援を迅速かつ的確に行ってまいりたいと思います。以上でございます。
 
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の共同通信、堀口です。2点お伺いします。1点目は能登半島地震の関連です。先ほど大臣からも御説明がありましたが、大臣は先週土曜日、被災地を視察、馳知事との会談をされました。先ほど御説明もいただきましたけれども、被災地の現状の認識、環境省の今後の対応について現時点で特に留意している点について改めてお願いします。
 2点目は、PFAS関連についてです。食品安全委が公表したTDIが、水質の暫定基準値策定の際に利用したものと同水準になりました。水道水や環境中の水質を検討する環境省、厚生労働省の部会は、この数値を注視してきたわけですが、現状維持となったことについて大臣の評価、受け止めをお願いします。
 来年度からは環境省が、水道や水環境中の水質について、担当、所管をされます。自治体の首長らが対策強化を求めて陳情に来るなど、懸念が広がる中で、大臣として対策強化の必要性をどのように考えていらっしゃるのかを含めてお願いします。
(大臣)まず、能登半島大地震に関することを申し上げたいと思います。今回の訪問においては、被災地域における被害や災害廃棄物処理の現場の状況等を確認するとともに、馳知事等をはじめ、被災自治体の首長の皆さんから、様々な御意見や御要望をお伺いしたところでございます。
 災害廃棄物に関しては、避難所の仮設トイレの現状、し尿や片付けごみの処理状況などを確認し、今回の地震被害またはその廃棄物処理という課題の大きさを実感したところでございます。
 また、被災地の復旧・復興を進めるためには、被災した、し尿処理施設やごみ処理施設を早期に復旧して、し尿、生活ごみを円滑に処理するとともに、今後大量に生じる災害廃棄物の処理を円滑かつ迅速に行う必要がございます。こうした点から、環境省が果たす役割は大きいものであるということを改めて感じたところでございます。
 環境省では、この支援パッケージに基づき、いただいた御要望も踏まえ、被災地におけるし尿、生活ごみの処理、倒壊家屋の解体・撤去、災害廃棄物の処理への支援の取組を加速化させてまいりたいと、そのように思います。
 それから、PFASに関してでございますけれども、御指摘のように、今般、食品安全委員会のワーキンググループにおいて、PFOS、PFOAについて、健康への悪影響がないと推定される摂取量の案が示されたところでございます。今後、パブリックコメントを経て、評価結果が取りまとめられるということと承知しておりますけれども、専門家による現時点での最新の科学的知見に基づく評価と受け止めております。
 環境省としては、この度の食品安全委員会による評価結果も踏まえて、専門家会議において水環境中のPFOS、PFOAの暫定目標値の取り扱いを検討してまいります。
 今年4月から環境省において、水道及び水環境中の水質を一体的に担当していくこととなります。これまでも、厚生労働省と連携してきたところでございますけれども、水道の水源から蛇口まで一体的に水質管理をすることで、水道や水環境に対する国民の安全、安心をより高めてまいりたいと、そのように思います。
 
(記者)東京新聞の松島と申します。よろしくお願いします。今のPFASの質問に関連して質問させていただきます。TDIが設けられたということで、高濃度に汚染されていると予想されている地域では、地下水を農業用水に使っているなどしている場合に、農作物に対してPFASがある程度転移されるということが予想されると思うのですが、こういった汚染地域などでの調査等を環境省で進める方向はありますでしょうか。あともう一点、食品中のPFAS濃度に関しての規制や基準などを今後設ける方針等はありますでしょうか。
(大臣)PFOS、PFOAの食品中の濃度について、まだ科学的知見が十分でないため、現在、農林水産省などにおいて、知見の集積を進めているものと承知しております。専門家が取りまとめた「PFASに関する今後の対応の方向性」においても、関係省庁が取り組んでいる様々な科学的知見についても把握を努める必要があるとされており、環境省としても農林水産省をはじめとして、引き続き関係省庁と連携して、科学的知見の充実を図ってまいりたいと思います。
 
(記者)沖縄タイムスの嘉良と申します。PFASに関連して伺います。一昨日の日曜日、宜野湾市の松川市長が林官房長官に対して、喜友名泉(チュンナーガー)という場所におけるPFAS除去の実証実験の協力を求めました。環境省としてどのように協力し、またその成果をどのように活かしていく考えか、大臣の考えをお願いします。
(大臣)環境省は現在、PFASによる地下水汚染の拡大防止技術の実証実験の準備を進めております。実証実験は、今お話がありました沖縄県宜野湾市内に所在する国の重要文化財、湧水、喜友名泉において行う予定でございます。
 一昨日、林官房長官と松川宜野湾市長との面会のときに、市長から、環境省の実証実験について感謝の言葉をいただいたということをお聞きしております。私のほうからも、このたびの宜野湾市の御協力に感謝をしたいと思います。
 実証実験の結果については、専門家による評価も行いつつ、3月末をめどに取りまとめるとともに、PFASのばく露防止対策の参考となるよう、関係自治体等にも成果を共有してまいりたい、そういうふうに考えます。
 
(記者)琉球新報の安里です。よろしくお願いします。今のPFOSの関連で、先日、先ほどタイムスさんからも御指摘があったように、林官房長官が松川宜野湾市長らとそれぞれ面会したということで、先日もお伺いしたのですが、暫定基準値を超える値の検出が相次ぐPFASの問題については、玉城知事から財政的な支援についての要請もあったかと思うのですけれども、解決に向けてアメリカ側への働きかけをする旨の回答が林官房長官からあったというところでの報道もありますので、今後、改めて取水制限のための水道料金の値上げを余儀なくされているPFAS問題について、改めて今後、環境省としてどう取り組んでいかれるかについて御見解をお願いします。
(大臣)ご案内のように、昨日、林官房長官と玉城沖縄県知事の面談において、林官房長官のほうから、県民の皆様が不安を抱かれているということを受け止めて、政府全体として取組を進めると回答したと承知しております。知事の要望にある水道料金の値上げや県財政悪化の課題についても、緊密に関係省庁と連携し、政府全体として対応していく必要があるというふうに考えております。
 環境省としては、宜野湾市で開始する地下水汚染の拡大防止技術の実証実験をはじめ、PFASのばく露低減のための対策技術などの知見の集積を進め、得られた知見を関係自治体等にも提供し、地域の皆様の安全・安心につなげていきたいと、そのように考えております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。よろしくお願いいたします。話は変わりまして、福島県にある特定復興再生拠点区域の解体工事現場から鉄くずが持ち出された問題に関して、先週、環境省が対策検討会を開催して、再発防止策を取りまとめたと思います。現場への防犯カメラ設置の義務化を盛り込んだ策が今後実施されていくのですけれども、大臣の受け止めと、今回まとまった対策で、今後同様の事件や被害は防げるのでしょうか。
(大臣)今回の事案、特定復興再生拠点区域の金属くずの持ち出し事案でございますね。これは昨年10月に有識者等による検討会を設置し、4回にわたって検討を進めて、今、御案内のように実効性のある再発防止対策に取り組むことができたというふうに考えております。
 今後、同様の事案が発生することのないように、関係機関とも連携の上、この度の再発防止対策を現場において徹底、浸透させると、それが重要だと思います。今度11項目に及んでいると思いますけども、逆に環境省側の対策というものも4項目あるわけでございます。この環境省側の対策についてもしっかり徹底してまいりたいと思います。
 その上で、今後の解体工事においては、現場における工事監督等を通じて、再発防止対策の取組状況を確認して、受注者への指導を徹底してまいりたいと、そういうように思います。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。PFASの暫定手目標値の見直しについてなんですけど、食品安全委員会の評価の案が示されたことを受けて、大臣としていつ頃ぐらいまでに見直しを完了したいというふうに考えていらっしゃいますか。
(大臣)そのためには、次回の専門家会議の開催を早めなければなりませんので、まず速やかに開催したいというふうに考えております。その上で、現時点で予断をもってお答えすることはできないわけですけれども、取りまとめに向けて、検討の加速のエンカレッジをお願いしたいと思っております。何月何日までとちょっとお答えできないのは心苦しいのですけども、そういうことでございます。
(記者)検討会自体は年度内に開催する予定はあるのでしょうか。それとも新年度、移管されてからというような予定でしょうか。
(大臣)いや、年度内に開催する予定です。
 
(記者)共同通信の矢野です。少し繰り返しなってしまうかもしれませんが、お伺いします。自治体の首長が、直接大臣のところにPFASに関して陳情に相次いで来るなど、全国的に危機感というものは広まっているように感じます。一方で、そういった対策強化を求める声というのが強まっている一方で、TDIというのは今回、現状維持というような形になった。率直に大臣として、対策強化の必要性というのは、現時点ではもちろんこれから専門家が話すことだと思うのですけれども、大臣としてはどう感じていらっしゃいますか。
(大臣)総合的には対策強化の必要性というのはあると思います。ただ、どのような対策を強化することが必要かということは、これはやはり科学的知見や、各省庁連携のもと、総合的に、合理的に判断していく必要があると、そういうふうに考えております。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=9LR74TMNuRA&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=2
 

(以上)