大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年12月1日(金)10:00~10:19 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

なし

2.質疑応答

(記者)幹事社TBSの勝目です。おはようございます。COP28が昨日開幕しました。日本の岸田総理は首脳級会合に向けて出発されましたが、温室効果ガスの世界第1位と第2位の排出国である中国の習近平国家主席とアメリカのバイデン大統領は欠席する見通しです。環境大臣として、首脳級会合で懸念されていること、また期待されていることを教えてください。
(大臣)COP28がスムーズに開幕したと承知しております。開幕直後にロス&ダメージに関する基金についての決定が採択されたことを、まず歓迎したいと思います。世界全体で気候変動対策が加速していることを実感してございます。
 現地では、本日から首脳級の気候行動サミットが開催され、岸田総理からは、気候変動対策への我が国の強い決意が表明される予定でございます。各国の首脳級からも気候変動対策を強化するメッセージが示され、米国、中国を含め、全ての国において政治的機運が高まることを期待してございます。
 また、本日よりジャパン・パビリオンもオープンいたします。Together for Actionをテーマに、約40件のセミナーや、15件の展示を通じて、国内の脱炭素に関する技術や取組、途上国への支援について、積極的に発信してまいりたいと思います。
 
(記者)共同通信の堀口です。国立公園内の登山道の管理についてお伺いします。環境省が先日作成した調査報告書で、全国にある国立公園内の登山道などの約5割で管理を行う事業執行者を設定していないことが明らかになりました。報告書では、こうした管理者不在の路線の多くで荒廃などの問題が発生していることが指摘されています。これらについて、大臣の問題への御認識と、もう1つ、登山道管理を行う事業執行者の設定を進めるかどうかを含めた今後の対応への考え方の2点について、お願いします。
(大臣)御指摘の調査ですけれども、海辺の遊歩道を含めた国立公園内の歩道全般について、その管理状況を調査したものでございます。
 その中で、国立公園内の登山道については、その地域、山域ごとに、登山道の形成経緯、または利用状況が異なってございます。地域の実情に即した多様な管理のあり方というものがあります。その中で、今御指摘の管理が十分とは言えない登山道については、地域の関係者と連携して改善していくことが大事だというふうに考えてございます。
 今年度は、国立公園の山岳利用について、登山道の維持管理を含めて多様な役割を担っている民間の山小屋等について、実態や課題等の調査も行ってございます。こうした民間事業者と連携した管理などを含めて、今後、地域の実情に即した適切な管理や方法について検討してまいりたいと思います。
(記者)追加で1点。この報告書ですけれども、現在公表されていませんが、今後公表する考えはありますか。また、その理由もあれば教えてください。
(大臣)この報告書は、環境省内で今後の施策を検討するための実務用資料として整備したものでございます。環境省担当官個人の率直な意見等を含むものであります。このため、現時点では環境省のホームページ等では公表してございません。一方、今回の報道を受けて、国立公園の登山道の課題について、国民の皆様の関心が高いことが非常に感じ取れますので、今般の調査データを精査し、取りまとめた上で今後公表したいと考えております。
 
(記者)時事通信の鴨川です。オーバーツーリズム対策についてお伺いします。今週、富士山における適正利用推進協議会が開催され、法整備や入山料の義務化などを求める意見が出ました。年度末にも取りまとめて公表するとのことですが、オーバーツーリズム対策として実効性を持たせるために、どのような方向で対策を取りまとめたいと考えているのか教えてください。
(大臣)御質問ありがとうございます。11月29日水曜日に開催された、富士山における適正利用推進協議会では、ルールやマナーの違反、軽装登山など解決すべき課題を関係者の間で共有して、来年3月末までに富士登山におけるオーバーツーリズム対策を取りまとめることといたしました。
 参加者からは、予約制の導入、入山料の義務化、法的な対応など、様々な意見が出たと聞いてございます。対策を実効性のあるものとしていくためには、来シーズンから実施できる短期的な取組と、中長期的な取組などに分けて、具体的な方策をできるだけ早く実行に移していくことが重要と考えてございます。
 環境省としては、山梨県、静岡県、関係市町村や地域の関係者と一体となって議論を進め、対策を取りまとめてまいりたいと考えております。
 
(記者)日経新聞の田中です。お願いします。COPの関係で、最初の幹事社質問の中であった関係で、ロスダメを歓迎するという旨の御発言が大臣からありましたけれども、日本の拠出額が1,000万ドルということで、米国の1,750万ドルとか、UAEやドイツが1億ドルという額から比べると低いということへの受け止めと、日本時間の今日の深夜に行われた日本政府のブリーフィングでは、実際の脆弱国への拠出というよりも、まずは基金の立ち上げに関する費用だという御発言があったのですけれども、そういう趣旨に対して大臣としてどう受け止めているのか、実際に脆弱国への拠出をどう考えているかというのを教えてください。
(大臣)御質問ありがとうございます。気候変動の悪影響で、特に脆弱な途上国への支援は、世界全体で連帯しながら取り組むべきだと思います。今回、初日にそれが採択されたということで、着実な一歩が刻まれたものと高く評価してございます。世界的な連帯のためには、能力ある全ての国を含む幅広い資金源により支えることが重要だと考えてございます。また、基金が早期に運用を開始されることも重要であるため、日本は1,000万ドルの拠出を表明いたしました。御案内のように、立ち上げに拠出したわけでございます。 基金の適切な運用に向けて、日本としても今後の議論に積極的に貢献してまいりたいと思います。
 
(記者)エネルギージャーナルの清水です。引き続き、COP28について伺います。アメリカと中国のトップが欠席ということは、極めてゆゆしきことだと。世界排出量の1位、2位のトップが欠席する。そこで、日本はそこでですね、岸田首相も演説を今日するんでしょうけれども、どういうアプローチを両大排出国に対して積極的に対策を進めるような、そういう主導、まさにさっき、主導するとおっしゃったけれども、どういうことを考えておられるのか、これが1点。
 2点目は、こういう地球維持の危機ということからいくと、岸田首相も出席し、かつ、後半は伊藤大臣も出席するのですから、国民へのアピールというか、そういうものを環境省は、気候変動担当大臣としても発信すべきだと思うのですが、その辺はどう考えるか。2点、お願いします。
(大臣)アメリカおよび中国の首脳が出席されない。それぞれの国の事情だということで、私からコメントを避けたいと思いますけど、さはさりながら、アメリカ、中国から代表団が来ないわけでございません。
 私としては、アメリカ、中国を初めとして、やはり多く排出している国が、1.5℃の目標に整合的なCO2等の削減を具体的に実施していくということが重要だろうと思います。 日本とイギリスは、プレッジした通り、それ以上にしっかり削減を実施しておりますし、これからも、しっかりと50%の高み、そしてまた、2050年のネットゼロに向けてしっかりやっていく。まず、日本が範を示していくことは大事だと思いますし、その上で、多く排出している国に対しては、やはりパリ協定での約束を、それぞれの国において、方法論は国によって違うと思いますけれども、しっかり実施していただくように強く働きかけたいと思いますし、それから、よく言われていることですけれども、いわゆる先進国と発展途上国は、別の言い方をするとG7系の諸国、アンブレラグループと、グローバルサウスと言われているグループの、意見の相違というか、厳しい言葉で言うと対立ということも言われているわけですけれども、日本としては、日本はアジアの国でございますし、ある意味ではG7の1カ国ではあるけれども、G6とは少し違ったというよりは、多角的な視点から、ギャップを狭めて、地球の環境というのは国境を越えて繋がっておりますので、地球の環境が壊れて困るのは、国別にはなりませんので、特に脆弱な国が大きなダメージがあるわけですから、そういう観点から、それぞれの国の事情で、いきなり全部再生可能エネルギーに転換できないという現実もあります。ですから、そこも含めて日本ができること、例えば技術供与であるとか、資金援助であるとか、そしてまた、そういうそれぞれの国の状況というものも理解しながら、全体として1.5℃の目標が、地球全体のそれぞれの国でできるような、そういう先導的な役割を、会議を通じてしっかり行ってまいりたい。そのように考えております。
(記者)2点目は。
(大臣)これは逆に、皆さんにお願いしたいところも多いわけですけども、私も数次にわたり記者発表なり、それから、もちろん会議での発言がありますので、ぜひ、それを多くの皆さんに知っていただくには、私が日比谷公会堂で大声を出しても全国民には通じませんので、これは皆さんのメディアで、しっかり行動していただくということが肝要だと思います。もちろん、環境省そのものも、ホームページとか環境省の広報手段を通じて、国民の皆様に、この気候変動対策が非常に重要であること、その中において、日本が先導的役割を果たすべく、努力なりアクションを起こしているということを知っていただくような努力は続けたいと、そういうふうに思います。
(記者)1点だけ。野心の向上の1.5℃をどこまではかるか、米中も含めて、それが最大の、今回のCOP28の争点だと思いますが、今までの進め方、国連のUNFCCCも限界を迎えているのではないかと私は思うんですが、それは、自主的に各国がプレッジしてレビューするというスタイルが、このままでは野心の向上には繋がらないと思うんですけど、その辺、大臣はどういう認識でしょうか。
(大臣)野心の向上を実現することは重要だと思います。ただ、これは国際社会全体の仕組みの問題とも関連するわけでありますけれども、世界政府というものはないわけですね。 ですから、世界政府という形で、野心なり1.5℃目標を達成するために、強権的に命令するという仕組みは、地球全体にはないわけです。だから、COP28でいろいろな意見が飛び交うわけでありますけども、ただ、申し上げたように、地球環境が壊れて困るのは、全員なんですね。だから、そこを訴えるということだろうと思います。
 そのために、各国それぞれの事情もありますけども、その中で1.5℃の目標に整合的な政策を具体的にとっていただく。そして、エビデンスベースで、お宅の国はこれだけお出しになっているではないですか、もう少し減らしていただく努力が必要じゃないですかということは、バイ、あるいはそれぞれの場で発言してまいりたいということは考えております。
 
(記者)環境新聞の小峰です。先週金曜日に、第3回中央環境審議会総合政策部会の各種団体および有識者との意見交換会がありました。そこで、私はびっくりしたんですけれども、環境省の憲法ともいうべき新たな環境基本計画の策定が来年の春にも閣議決定されると思いますけれども、そこに、初めて、防衛省から、防衛研究所の研究官が来て、気候変動と安全保障について意見を開陳しました。これは、伊藤大臣が国際通で、世界全体を見ている観点から、国家安全保障と、それから気候変動との観点から呼ばれたものだと思います。防衛省を。そこも含めまして、呼んだからには、役所というのは、こういう人を呼んだら大体、基本計画に盛り込まれるというのが私の見立てなのですけれども、その辺を含めて、大臣の意志も含めて、お聞かせください。
(大臣)今、環境と安全保障は密接不可分な関係があると思います。まず時代認識としてですね。この気候変動と安全保障については、昨年12月に閣議決定した国家安全保障戦略において、気候変動というものが、様々な形で我が国の安全保障に重大な影響を及ぼすという認識はもう示されてございます。これを踏まえて、本年10月に公表した第六次環境基本計画の中間取りまとめにおいて、気候変動をはじめとする環境問題が安全保障に重大な影響を及ぼすことや、環境を軸とした外交により国際協調を発展させるということを取り上げてございます。
 このような背景のもと、先日、今、御指摘があったように、中央環境審議会の意見交換会で、防衛省防衛研究所から意見を伺って、議論したところでございます。
 環境省としては、気候変動と安全保障は、ある意味で密接不可分な重要な問題として認識してございまして、環境基本計画の見直しにおける重要な要素として検討してまいりたいと思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=ToaVeLbCI2c&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=2
 
 
(以上)