大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣就任記者会見録(令和5年9月14日(木)10:10~10:56  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 このたび、第2次岸田第2次改造内閣の環境大臣と原子力防災担当大臣を拝命しました伊藤信太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 総理からは東日本大震災の被災地の環境再生の取組の加速化、地域の脱炭素化などの地球温暖化対策の推進、国立公園等の観光資源としてのさらなる活用、2040年までの追加的なプラスチック汚染ゼロ、原子力規制委員会のサポートと原子力防災体制の強化、COPをはじめとする気候変動問題に関する国際会議への円滑な対応などの御指示をいただいたところでございます。
 私自身も、これまで衆議院の環境委員長や東日本大震災復興特別委員長として環境問題や震災復興に取り組んでまいりました。総理の御指示を受け、大臣として環境行政を牽引していく覚悟でございます。
 東日本大震災からの復興再生に向けて、環境再生こそ住民の皆さんのなりわいの基礎である、そういう考え方に立っております。除染廃棄物処理、中間貯蔵などの取組を引き続き着実に進めてまいりたいと思います。そして、ALPS処理水の海域環境モニタリングを客観性・透明性・信頼性を持って推進し、風評払拭に貢献してまいりたいと思います。また、東京電力福島第一原発事故の教訓をしっかり踏まえて、原子力規制委員会を強力にサポートし、また原子力防災体制の抜本的な強化を進めていきたいと存じております。
 気候変動問題に関してはGX、グリーントランスフォーメーションを推進し、地域と暮らしの分野で取組を加速してまいります。特に西村前大臣が進められてきた「デコ活」、これを通じた国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押ししてまいりたいと思います。また、プラスチックや金属の資源循環の拡大による循環経済への移行や、国立公園をはじめとする我が国の自然環境の保全・利用など、環境と経済の両立に向けた取組も進めてまいります。
 人の命と環境を守る取組は、環境省の原点でございます。水俣病をはじめとする公害健康被害対策を着実に実施するとともに、PFASなどの新たな問題にも取り組んでまいります。地球環境問題の国際的な枠組みによる対処も重要でございます。今まで外務副大臣としていろいろな経験も積んでまいりましたし、またその間培った人脈も生かしながら、気候変動枠組条約のCOP28やプラスチック汚染に関する条約交渉にもしっかり対応してまいりたいと思います。
 私は環境問題の取組も地域レベルの取組、国レベルの取組、そして地球規模の取組、こういったものはまさに同心円のことであるというふうに考えております。そういった観点から今後環境行政を牽引してまいりたいと存じております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(記者)NHKの林と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど、様々な施策について言及いただいたと思うんですけれども、改めて大臣御自身が特にこの問題、この取組に力を入れていきたいというものはどういったものになるんでしょうか。
(大臣)私自身もそうですし、国民の多くの皆さんの実感でもそうだと思いますし、また地球上に住まわれている全ての方の切実な気持ちでもあると思いますけれども、やっぱり環境が悪化する、もっと厳しいことを言えば環境が破壊されつつある、そういう中で様々なことが起きておりますし、その様々なことの中で気候変動、地球温暖化というものは非常に大きな問題になっていると思います。そのことが人間の生活のあらゆる側面に多大な影響を及ぼしておりますし、その及ぼすことをなるたけ小さくしていく努力というのが必要だと思います。それがまさに環境行政の要でございますけれども、そのために脱炭素化をはじめとして、地球環境が壊れることを防ぐための諸施策をスピード感持って進めてまいりたいというのが私の現在の気持ちでございます。
 
(記者)河北新報の馬場と申します。よろしくお願いします。
 最初に大臣、福島の被災地の復興といいますか、環境再生のことについて触れていらっしゃいましたけれども、東京電力福島第一原発事故の除染で出た土壌、除染土壌、除染土について、再利用の県外実証計画というのがちょっと滞っているのですけれども、その点についてどのようにお進めになるか、お考えなのか、よろしくお願いします。
(大臣)おっしゃられたとおり、福島の復興にとって、除去土壌の県外最終処分というのは非常に大きな課題でございます。その実現に向けて除去土壌の再生利用を進める上で、今、実証実験の実施によって理解醸成を図ることが重要というふうに考えております。実証実験の実施に当たって、やはり行われる地域住民の皆様の御理解が大変重要というふうに考えておりまして、これまで行われた地域住民向けの説明会において示された様々なご懸念がありますので、これにお答えする形で今後も丁寧に説明を尽くしてまいりたい、そのように考えます。
 
(記者)朝日新聞の市野と申します。
 2点お伺いいたします。1点目は先ほども御言及がありました脱炭素に向けた取組についてです。その中で日本の温室効果ガスの削減目標ですが、例えばIPCCが今年の3月に2035年に60%の削減が必要だということを指摘しておりまして、国連のグテーレス事務総長も先進国においてはさらなる高い目標というものを求めています。日本では現在30年度に46%の削減目標を掲げているわけですけれども、今後次のエネルギー基本計画の議論というものも始まる中で、どのようにこの野心的な目標というものを高めていくおつもりなのか、お考えがあれば教えてください。
(大臣)御言及があったように2050年のカーボンニュートラルの実現と、それと整合的で野心的な2030年度の46%の削減、さらに50%の高みに向けての調整を続けるという目標に向けて、私が今話したように地球温暖化の対策計画に基づいて、対策実施を着実に実施してきておりますが、次の目標に対しては今後、環境省庁と連携しながらしっかり検討してまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。もう1点お伺いいたします。旧統一教会との関係についてお伺いいたします。大臣は自民党の調査において、資金管理団体が2018年に教団の友好団体である「国際勝共連合」に会費2万円を支出されたことが自民党の調査で明らかになっております。団体との関係について、この点御説明いただきたいのと、岸田首相は昨日も会見で、旧統一教会との関係を断っていることが前提である内閣だとおっしゃっていましたが、現在関係を断っているという御認識なのか、その点について教えてください。
(大臣)御指摘のとおり、2022年10月の自民党内の点検調査の際に御報告・御説明したとおりでございます。私としては自民党の方針に従い、社会的問題が指摘されている旧統一教会とは今後も一切関係を持たないということを徹底してまいりたいと思います。
(記者)18年の会費を支出された件について、どういった経緯だったのかというのを御説明いただけないでしょうか。
(大臣)点検調査の際に事務所内で確認したところ、2018年10月に都内で開催された会合の案内があり、事務所が会費を支出していることが分かりました。秘書も私も出席はしておりません。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)共同通信の矢野と申します。よろしくお願いします。早速11月末からCOPがあると思うのですけれど、気候変動は喫緊の課題である一方で膠着状態が続いているようにも思うのですが、大臣は外交にも明るいと思うのですがどのように国際交渉に取り組んでいくのかということをお伺いできればと思います。
(大臣)一口に国際交渉をどのように取り組んでいくというのは端的に申し上げるのは容易ではありませんけれども、今御案内にあったようにCOP28はパリ協定に基づく目標に向けた世界全体の取組の進捗評価、いわゆるグローバル・ストックテイクが初めて行われる重要な会議となると思われます。この議論が今後の世界の気候変動対策を加速させるものになるように、国会事情が許せば私自身もそこに参加して議論に積極的に貢献してまいりたいというふうに思います。
 
(記者)新潟日報の貝瀬と申します。よろしくお願いします。
 原子力防災についてお伺いいたします。今ほど原子力防災体制の抜本的な強化を進めていかれるというお話でしたけれども、新潟県の柏崎刈羽原発をめぐっては大雪のときに原子力災害が起きたらどのように避難するか等々、様々な課題が指摘されているところです。大臣としては、現状で柏崎刈羽原発立地地域における原子力防災の課題や今後の進め方について現状の御認識をお伺いできますでしょうか。
(大臣)原子力防災というのは非常に大事だと思いますし、それから柏崎の話が出ましたけれども、原子力防災担当大臣として関係省庁や関係自治体と緊密に連携し、原子力防災体制の充実・強化を図り、原子力災害対応のさらなる実効性向上に取り組んでいくということですけれども、ちょっと関係して申し上げると、私、環境省ではないのですけれども日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震特別措置法というのを議員立法で初期のものも、この前の改正案を作りました。そこでやっぱり宮城県もそうなんですけれども新潟県も日本海側は特にそうなんですけれども、雪深いところですね、こういうところでやっぱり避難するときに避難しやすいことが必要ですね。そうすると、その法律でも少し考えたところですけれども、道を廊下状にして雪が積もらない歩道があるとか、あるいは避難した後にやっぱり防寒具とか電気がない場合も暖かくできる、そういうことも必要だと、これはもちろん地震・津波だけではなくて原子力防災にも大変重要な、特に積雪時においては重要な観点だというふうに考えています。
 
(記者)日刊工業新聞社の松木といいます。御就任おめでとうございます。環境政策と経済の関係で質問させていただきます。政府のほうで環境と経済の好循環であったり、カーボンニュートラルやGXが成長戦略というふうにいうと思うのですけれども、脱炭素への移行に伴って痛みを伴う業種というのがあると思います。例えば自動車業界で電動化によって雇用が国内100万人失われるとかって言っているかと思いますけれども、そのほかの業界によっても脱炭素への投資によってコストが上がるということがあるかと思います。大臣自身この脱炭素の政策によってどのような成長があるとお考えでしょうか。そういう、大臣が描いているような絵姿があれば教えてください。
(大臣)絵姿ということでお答えすれば、脱炭素ということ、また産業構造の転換ということで必ずそこで旧来の産業なり、またその産業の仕組みの中で経済的な収入があったところが厳しくなるということがありますけれども、それを乗り越えるにはどういうことが必要かというと、やっぱり総合的な政策の中で、旧来の産業にあった方が新しい産業にシフトできるような仕組みも必要だと思いますし、環境省の範疇を超えるのでそれ以上は言及しませんけれども、環境省としては、地球温暖化対策やグリーントランスフォーメーションを推進するための戦略というものを作成しております。これらに基づき環境省では特に地域と暮らしといった需要側の取組を主導的に実施してまいりたいと思います。
 それから西村前大臣がリーダーシップを持って進められた「デコ活」、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、この取組も引き続き進めてまいりたいと思います。
 それから前段のことと多少関連しますけれども、脱炭素化支援機構を通じた資金供給、金融によるESG金融の促進など、脱炭素に取り組む企業を金融面で支援していくと、これも後押ししてまいりたいというふうに思います。
 
(記者)日経新聞の田中と申します。よろしくお願いします。私も脱炭素の関係だったんですけれども、GXとか今、経済産業省も結構いろいろ政策を進めていると思います。経済産業省は結構旗を振っているように見えるのですけれども、大臣として閣外からこれまで見ていて、そこら辺環境省・経産省の役割がどうだったかということと、大臣御就任されて、その両省でどのように政策を進めていくかという考えをお願いします。
(大臣)経産省と環境省というのはある意味で手を取り合って、脱炭素がいい形で進むということを実現していく必要があると思います。その一つとして、例えば炭素をたくさん出すと言われております石炭火力発電、この削減に関する政府全体の方針においては、エネルギー基本計画やGX推進施策において示されると思いますけれども、それに基づき電力の安定供給を大前提として2030年に向けて、非効率石炭火力発電のフェードアウト、これを着実に進めるとともに、2050年に向けては水素・アンモニア・CCUS、こういったものの活用により脱炭素型の火力発電に変えていくというのも一つの方法だと思います。
 
(記者)南日本新聞の吉松と申します。水俣病問題についてお伺いします。現在も各地で訴訟が続いており、今月27日には近畿訴訟の判決も出されます。被害者の皆さんが高齢化する中で一刻も早い救済が求められていますが、大臣の水俣病問題の現状認識と解決に向けた思いをお聞かせください。
(大臣)この問題は非常に重要で、被害に遭われた方、また犠牲になられた方には深く哀悼の気持ちを持っております。今、裁判がありますので、具体的なコメントというのは環境大臣としては避けたいと思います。いずれにしてもこの問題が、ある意味では環境行政の原点にもなっているところでございますので、環境省としては地域の方々が安心して暮らせる社会を実現するために、公害健康被害補償法の丁寧な運用、地域の医療・福祉充実や地域の再生・融和振興などに取り組んでいく所存でございます。
(記者)すみません、もう1点お願いいたします。特措法に定められている住民健康調査についてなのですけれども、環境省として新たな診断手法を使った調査を進めていくということで研究班も立ち上がりましたけれども、被害者団体のほうからは調査の実施時期の引き延ばしというような声も聞かれます。健康調査について、いつまでにどのような形で行う予定なのかお聞かせください。
(大臣)水俣病の健康調査については専門的知見の充実と整理のために今年6月に研究班を立ち上げたと承知をしております。こうした専門家の議論を十分に踏まえながら、健康調査の実施に向けて、できるだけ早く、検討を進めてまいりたいと存じます。
(記者)すみません。もう1点、よろしいでしょうか。被害者団体の皆さんと対面されたりですとか、現地を訪れられるというような、そのようなお気持ちというのはございますか。
(大臣)現在のところ、具体的な予定はございません。機会があれば、そのような機会をつくることも考えたいと思います。
 
(記者)毎日新聞の岡田と申します。よろしくお願いします。2点お聞きしたいんですけれども、昨日総理が記者会見でガソリン補助金の継続を含めた経済対策を実行していくというふうに述べましたけれども、これは地球温暖化の観点では逆行する政策だと思うんですけど、大臣、環境大臣として、この継続について中長期的にどういうふうに捉えていらっしゃるかというのを、まずお聞かせください。
(大臣)ガソリン補助金については、現在の大変厳しい物価高、その中でもガソリンは大きいわけですけども、抑えて、国民の現在の暮らしを守る、そしてまた、我が国の経済を守るために必要な取組として考えております。また、他方で、中長期的な脱炭素化の方向というものは揺るぎないものでございます。ですから、環境省としては、昨今のエネルギー情勢を踏まえつつ、引き続き脱炭素化に向けた取組は加速してまいりたいと思います。
(記者)もう1点ですけれども、GXに絡んでなんですけれども、昨日、総理も月内に閣僚に対して経済対策の柱立ての指示を行うということは言っていましたけれども、その上で、環境省として、この脱炭素化に向けた投資面とかで何か担える側面があるかとか、その辺のお考えをお聞かせください。
(大臣)先ほども申し上げましたけれども、技術的な側面もありますし、また国際会議での、指導的というかどうか分かりませんけども、積極的な貢献もあると思いますし、それから、先ほど申し上げたように、地域と暮らしという観点から、デコ活を含めて脱炭素化を進めていく、あらゆるレイヤーでの脱炭素化ということができると思います。
 前段、私が冒頭で申し上げたように、個々人の暮らし、地域の暮らし、あるいは日本全体の話、地球全体の話というのは、ある意味で同心円にあると思います。ですから、個々人あるいは地域でどのように脱炭素化が暮らしの中でできるかという話と、それから、日本が産業構造やエネルギー構造の中でどうやって脱炭素化を総合的に担っていくかということ。それから、世界の枠組みをつくる上において、正直言って、総量から言うと、発展途上国のほうが、多分、現在では炭素の排出量が多いと思います。ですから、そういったところに対して技術協力をしていく、あるいは必要であれば財政的な支援をしていく。まあ、これは環境省の範疇を超えているかもしれませんけども。また、国際的な枠の中で、やっぱり地球が、全体が壊れてしまったら、そこに住んでいる皆さんが住めなくなるわけですから、やはり国際協定、国際協調の中で、地球全体として脱炭素化を図っていく。そのために、日本として、また環境省として役割を果たすと、こういう側面があると思います。ですから、同心円的にあらゆることがあると思います。
 
(記者)読売新聞の矢野と申します。よろしくお願いします。冒頭の御発言でPFASなどの新たな問題にも取り組んでまいるというお話がありましたが、今、米軍基地周辺の自治体を中心に、科学的知見を踏まえた健康への影響ですとか、対策も国に主体的に取り組んでもらいたいという要望が相次いでいると思うんですけれども、人の命を守る取組が環境省の原点という視点も踏まえて、大臣としてこの問題にどう取り組んでいきたいのかというお考えがあればお聞かせください。
(大臣)PFASの問題は、非常に重要な問題だと思っております。環境省では、既に専門家会議を設置して、本年7月の対応の方針、いわゆるPFASに対する今後の対応の方向性を取りまとめたところでございます。これを踏まえて、環境モニタリング評価、それから科学的知見の充実など、安全・安心のための取組をさらに進めてまいりたいと思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。憲法改正についてお尋ねします。国防と環境は、我が日本国民を支える2つの大黒柱、重要基盤です。伊藤信太郎さんの御父上の、防衛庁長官を務め、そのとき伊藤さんは政務秘書官であり、国防に関する心持ちは人一倍だと思います。ただ、もう1つの重要、国民基盤である環境は、憲法に盛り込むべきではないでしょうか。大臣の憲法改正への、環境を含めた率直な思いをお聞かせください。
(大臣)ここは環境大臣としての会見でございますので、我が国の憲法の改正については、私は寸前まで委員でもありましたけども、国会の憲法審査会において、ご議論いただいておりますので、内閣の一員としてコメントすることは差し控えたいと思います。
(記者)自民党議員としてお答えできませんでしょうか。
(大臣)いや、ここは環境大臣として会見しておりますので、ここではコメントを差し控えたいと思います。
 
(記者)化学工業日報の濱田と申します。今までの政治家人生で、こう、印象に残っている仕事とか何かあれば教えてください。
(大臣)なかなか難しい質問ですけども、政治家の仕事というふうに限定しなければ、政治家の仕事も含むわけですけども、やはり東日本大震災だと思うんです。私は、当時、塩釜という海のそばにいて、もう少しのところで命を失うところだったんですけれども、助かりまして、あの当時、私民間人だったんですけども、震災復興に私なりに取り組んできました。こういう大きな危機、それから本当に人が暮らしていけない、あるいは人が、命が失われる。そして、自治体が必ずしも自治体のキャパシティーだけではそれに対処できない、特に環境省の観点で、関連で言えば、がれき処理ですね。あるいは放射能の問題もあります。こういったときに、やっぱり、国民の皆さんを、被災者の皆さんを救うのには、やっぱり政治の大きな力が必要だと思います。
 平常時であれば、ふだんの、何でしょうかね、役所なり自治体の枠組みで対処できるわけですけれども、こういう東日本大震災のようなことが起きますと、いわゆる従来の縦割りなり横割りの行政では対処しきれないことがある。その間に人の命が失われたり、暮らせない人がいる。あるいは水がない、食べ物がないということもあるのですから、そういうときにやはり、被災者の立場になって、困った人の立場に立って、全力を挙げてそれを解決していく、一刻も早く人を救う、それが政治の原点だなというふうに実感したところでございます。
(記者)それと、もう1点、前西村大臣は御自身のことを調整型のタイプだというふうにおっしゃっていたのですけども。伊藤大臣は御自分の性格とか気質をどう考えているのか、あるいは政治家としての自分の強み、こういう仕事が得意だとか、そういう自己認識がもしあれば。
(大臣)そうですね、なかなか自分のことを語るのは難しいのですけども、私が調整型かと言われると、必ずしも100%そうではないのかなと。ただ、調整はいろいろしてきました。ただ、私はもともと映画をつくったり、小説を書いたり、それから自分で起業したりしてきましたので、やっぱり自分のフィロソフィーというか、哲学とかアイデアとかがあって、それを具体的にどのような形にしていくかという発想が強いのではないかなと思います。それから、政治家ですから、こういう問題があってそれを解決するにはどういう法律が必要なんだろうか。あるいは、今の法律をどのように活用すれば、具体的に今困っている皆さんを助けることができるかとか、あるいはいろんな社会の矛盾があって葛藤がありますから、その葛藤を最小化する、まあ、できればゼロにするためにはどういう新しい仕組みなり、そのフェアな協定というのがあるんだろうかと、そういう発想に多分私はなっているんだろうと思います。その過程で、もちろん調整というものがあると思います。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)建設工業新聞の阪本と申します。洋上風力発電について伺いたいんですけれども、基本的には国交省と経産省さんで推進されているかと思うんですけれども、脱炭素化の切り札とも言える洋上風力発電について、有効性をどのように大臣はお考えなのかということと、環境省の立場で、どのようにアプローチといいますか施策展開していかれるかということを、2点伺えたらと思います。
(大臣)これは、洋上風力発電は、脱炭素化あるいはリニューアブル・エネルギーの中で非常に重要な選択肢だと思います。ただ、欧州等に比べて、いろいろ困難性があるとすれば、日本の地理的条件とか事業者との関係とか、そういったことも考慮しながら、関係者の納得のもとに、洋上風力発電というのを進めていくことが必要だというふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)専門誌のエネルギーと環境、エネルギージャーナリストの清水といいます。大臣は、くしくも、宮城県の隣の選挙区が前の西村大臣で、今度は宮城3区からと。何かこれ、縁があったというか、非常に、奇異だなという感じもしないではないんですけど、偶然ですかね。で、伺いたいというのが、まあ、その辺の所感も伺えればと思ったんですが、1つは、政治家、あるいは政治としての、もちろん自民党政治が現在仕切っているわけですけども、やっぱり環境問題に対する認識が非常に甘いというか、弱いというか。さっき大臣もおっしゃったように、もう地球危機というのは、これはもう、大災害に匹敵するほどの重要な課題なんですよね。で、これまで30年以上、G7の首脳がいろいろ議論しても、おっしゃった中国やなんかの途上国の排出増ということも相まって、全く、現在でもピークアウトの状態になっていない。これは政治の貧困というかね、政治家が一体何をやっているのかなという気がします。
 で、伺いたいのは、やっぱり環境行政というのを、経済、あるいは岸田内閣の今後の経済対策とともに、最優先で、環境政策をどう展開していくかということを政治の上位に置いて展開する必要があると思うんですが、それにしては、環境省というのは霞が関の、麻雀で言ったら端牌と言われるような力しかないということもあって、その辺どういう具合にかじ取り、あるいは政治家として対応していく考えですか、お聞かせください。
(大臣)御意見は拝聴しました。私は、環境行政というのは、非常に、国にとっても、あるいは個人にとっても、地球全体にとっても、最重要課題というふうに考えております。それから、環境と経済というのは必ずしも対立するものではなくて、むしろ、さっき手を携えてということを申し上げましたけども、その環境を逆に軸に、新しい経済を発展するという可能性もありますし、それから、環境が、なかなか国際的な会議ですね、合意を見ないという現実もありますけども、その合意を見ないのが、例えば一直線で考えるのではなくて、やはり、実際、G7、G8に対して必ずしも賛同できない多くの発展途上の国々がどういうふうに困っているか、そこをよくお伺いして、その困っている部分を助けると、そういうことも含めてですね、助けるのもいろんなレベルがありますけども、技術的なこともありますし、経済的なものもあると思いますし、国際協調あるいは国際的な協定をつくっていくということが重要だと思いますし、御意見を伺いましたけど、私は別に、環境行政が隅に置かれているというふうには思っておりません。
 
(記者)日本水道新聞の大山と申します。よろしくお願いします。水道水質管理についてお伺いします。現在、政府の水道行政は厚生労働省が担っておりますけれども、これが、令和6年度、来年度から国土交通省と環境省のほうに移管されることが決まっています。環境省のほうでは、水道水質基準の策定等々、水質、衛生に関する業務を担っていかれることになりますけれども、水道水の安全・安心をどのように守っていかれるか、また、同じく水道行政の移管先になる国土交通省との連携というのも非常に重要になってくるかなと思うんですけれども、ちょっとその点についてもどのように取り組んでいかれるか、お考えがありましたらお聞かせください。
(大臣)安全な水道、非常に人間の生活にとって重要だと思います。他方、今御指摘がありましたように、今まで上水道と下水道と管轄が分かれていて、今度またそれが違う枠組みになっているわけでございます。それから、もう一つは、自治体の運営という側面もございまして、地域で、特に郡部で人口の減少というものが激しいわけであります。そういった中で、自治体が運営する水道というものの経済的なバランスシートが非常に厳しいという状況もあります。ですから、まず一番大事なのは、水道水の安全を守る。それは環境省の大きな役目だと思いますし、それから、それと同時に、そうはいったって、水道というものが運営できなくなったら困るわけですから、運営できるような新しいスキームというものを、水道水の安全性というものを担保しながらつくっていくということも重要な観点だと、そういうふうに思います。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)エネルギーフォーラムの松﨑と申します。よろしくお願いいたします。何度かちょっと出たんですけども、気候変動交渉に関して、もう少しちょっとお聞きしたくてですね。今までお話しされたように、いろいろと、パリ協定をめぐって、各国の立場とか意見の違いというのがより鮮明化しているような状況なのかなと思うんですけども、その中で日本の脱炭素の方針ということで、先ほどおっしゃった石炭火力のフェードアウトもそうですけども、いろんな制限がある中で、現実的なトランジションを探っていくと。そういう方針を、理解をどういうふうに広めていくかというところについて、お考えをちょっとお願いいたします。
(大臣)これは非常に重要で、かつ戦略的に進めなければならない課題だというふうに考えております。どこの国の皆さんも、やっぱり、地球環境がこれから決まると実感していると思いますし、ただ、逆に、どこの国の皆様も、やっぱり経済的収入が十分でなければ暮らしていけないという現実もあります。まさに環境問題はその2つのせめぎ合いにあるわけですね。それで、発展途上の国の皆さんは、やはりこれからもう少し工業化なり三次産業に移行する。そしてまた、G7、G8のように、ふんだんにエネルギーを使って、いわゆる便利な生活をしたいという思いもあるわけです。ですから、それを解決する1つの方法は、これは科学技術の進歩なんですね。
 今、私たちは、エネルギー、とりわけ電気を何でつくり出すか、化石燃料なのか、原子力なのか、リニューアブル・エネルギーという議論があるわけですけども、ここは全く私の私見でございますけれども、ペーパーにも何にも書いていないことですけども、私はね、エネルギー、電気の次のエネルギーが発見できると思っているんですよ。ポスト・エレクトリシティ。電気の代わりに明るくしたり、電気の代わりに暖めたり冷やしたり、電気の代わりに動かしたり、そういうものを、CO2を排出しない形でつくり出し、運び、蓄積できるようになれば、私は環境問題とエネルギー問題は一挙に解決、ファンダメンタルに。ただ、それが私の在任中にできるかどうかは分かりません。ただ、私は全く個人的にそのように考えています。だから、そういう科学技術の進展も含めて、環境問題と経済問題、あるいは国家間の対立を解決していくと。そういう先導的な役割が私は日本に求められてはいないかなと、現在、ちょっと、ペーパーにないことですけども、個人的に考えております。
(記者)ありがとうございます。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=z_-NiPDr2ug
 
(以上)