大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年1月8日(火)10:49 ~ 11:08 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 皆様、改めて明けましておめでとうございます。新しい年をおそろいでお迎えのことと、心からお喜びを申し上げます。今年は元号も変わると、こういう特殊な年でありますけれども、私どももしっかり、与えられた職務を果たしていきたいと、こう思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
 それでは今日は、私からは1件だけございますけれども、1月9日から12日にかけまして、アラブ首長国連邦・アブダビに出張いたしまして、国際再生可能エネルギー機関、IRENAと略称しておりますけれども、その第9回総会に出席するつもりでございます。現地では、気候変動対策や再生可能エネルギーに関する我が国の取組を紹介すると同時に、IRENA加盟国の閣僚等とのバイ会談を開きまして、各国がどういうふうにこの問題に取り組んでいるかということを、様子をうかがってきたいと思っております。御報告は、しっかりまた後でやりたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(記者)幹事社・読売新聞の安田です。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年は、昨年から大臣、何度も御言及のように、G20が一つ大きな目玉のイベントとしてありますが、閣僚級会合も軽井沢であるということで、常々、大臣は日本として非常にリーダーシップ、主導的な役割を果たしたいというふうにおっしゃっておりますが、特にG20に向けて、どのようなビジョン、主導的なビジョンというものを世界に向けて示されるおつもりなのか、今後の方針という意味で、具体的なビジョンという意味でお答えいただければと思います。
(大臣)まず昨年は、暮れでございましたけれども、COP24という、それこそ一番大きな会合もあったところであります。何といっても気候変動の問題は、国際的にも、いろいろな意味で各国が非常に真剣に検討する課題になっているところであります。COPでの最大の特色というのは、やはり途上国と先進国、そういうものを分けずに世界中でしっかり、この気候変動問題に取り組もうと、いうことで、いわゆるパリ協定の実施指針を共に共有し合ったと。それに基づいて、それぞれの国が自国としてどうすべきかということに、日本もそうでありますけども取り組むということでございます。そういうものを受けまして今度は、いよいよ6月にはG20が我が日本で行われます。議長国の責任を果たし世界をリードするということが、今年のミッション。これは私ども環境省、環境大臣としてもしかりでありますが、当然、国全体としても日本がしっかりとした役割を果たさなければいけないと思っております。環境省としては、パリ協定に基づく長期戦略や、プラスチック資源循環戦略の策定等の施策をしっかり進めていきたいと思っております。私ども、地域循環共生圏という概念を持って、とにかく日本の環境政策の目指すところを目指しているところでございます。各地域の自立分散と相互連携で循環と共生を実現すると。将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」へつなげていくということであります。SDGsの具体化に向けて、私ども国としては、しっかりと努力したいと思っております。併せて、私どもの仕事としては、東日本大震災の被災地における復興に向けた取組、福島県等中心でありますけれども、いまだ道半ばでございます。今年も、環境再生に向けた取組を着実に進めるとともに、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組も進めていきたいと思っております。また、内閣府の関係でありますけれども、原子力防災についてもしっかり対応していこうと思っております。暮れには伊方発電所地域の四国にも行ってまいりまして、皆さんの御苦労に触れ、いかなることでも対応できるような体制をとろうと決意してきたところであります。そのほか、国立公園満喫プロジェクト、それから化学物質対策、さらに大気・水・土壌汚染等々についても、努力を進めていきたいと思っているところであります。とりあえず、今年1年も、私どもとしての大きなテーマとしては、今のようなことを中心に、ただ単に観念的なことではなくて、具体的な結果につなげられるように努力していきたい、こう思っております。
(記者)今御説明いただいたのは国内の、特に環境省としての取組かと思いますが、G20などで世界に向けてどのようなビジョンを発信するかという点についてはいかがですか。
(大臣)今度、6月には、「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」を長野県で行うということになっておりますので、その中身については、これから具体的に詰めていこうと思っております。昨年12月に、アルゼンチンでG20サミットが行われ、安倍総理からも「環境保護と経済成長の二者択一ではなくて、民間投資を積極的に呼び込み、環境と成長の好循環をつくる発想が必要」であると。そういう意味では、気候変動問題や海洋プラスチックごみなどの地球規模の課題へしっかりまた貢献していくと、そしてまた、それを建設的に引っ張っていくと、こういうふうに安倍総理からも発言しております。そういうラインに基づいて、より具体的な形で、今の段階では、例えば今、中央環境審議会等でプラスチックの問題、それから脱炭素化の問題について議論をしていただいております。できるだけ早くそういうことについても国としての結論を出して、G20での議論を引っ張っていきたいなと、こう思っております。

(記者)環境新聞の小峰です。大臣は昨日、日本鉄鋼連盟の賀詞交歓会に出席して御挨拶をしたというふうに聞いております。たまたま私、出られませんでしたけれども、私の記憶では、前環境大臣の中川雅治さん、その前の山本公一さんも、鉄鋼連盟に行ったことはないと思います。それ以前は知りませんけれども、鉄鋼連盟といえば、鉄鋼業界、電力業界に並ぶ二酸化炭素を出すところですよ。環境省にとっては、いわゆる敵陣に新年早々乗り込んだ、切り込んだ原田大臣を評価したいと思いますけど、どのような御挨拶をなさったのでしょうか。
(大臣)敵陣と言われますけど、これは日本にとって極めて大事な産業、産業体でございますから、そういうことを抜きに、呼ばれ、かつ出る必要があるときには、大体どこでも私は飛んでいくようにしております。おっしゃるとおり、昨日はちょうどお呼びいただいたものですから、鉄鋼連盟の皆さんにも考えるところを、まずは私自身環境大臣を拝命したということから始まりまして、COP24でのお話を含めて、いかにこの環境政策が大事かと、とりわけ様々な災害が気候変動にやはり直接間接に関係しているのだということを私はどこでも申し上げています。その上で鉄鋼業界の石炭使用量は、これはもう本当に極めて大きいわけですから、一つは昨年の11月に、鉄鋼業界自身が低炭素社会実行に向けての計画というのを発表し、かつそれに基づいて長期温暖化対策ビジョンというのを策定されたと。私はそのこと自身はまずは評価をした上で、やはり石炭というのは何とか使用量を少なくする、脱炭素をするというのは、これは当然のことだと私は思っておりますので、そのためには、例えば高炉を前提とした低炭素化技術にとどまらず、ゼロ・エミッションを可能とする水素還元製鉄技術やCCSなどの超革新技術開発にも挑戦する旨を、是非お願いしたいと、こういうことを申し上げたところであります。いずれにしましても、我が国の経済成長や産業の国際競争力の強化につながる、我が国の強みである優れた脱炭素技術に一層の磨きをかけて努力してほしいと、こういうことを申し上げたところであります。鉄鋼業界は、言うまでもありませんけど、何度も繰り返しますけど、非常に大事な業界でございます。皆さん方にも、是非ともそういう観点から環境政策にも御理解いただくようにお願いをしたというのが昨日のことでございます。
(記者)それに関連して大臣、大臣が熱心に中環審の方で取り組まれているカーボンプライシングの導入について、その場でカーボンプライシング導入よろしくお願いしますというふうな御発言はなさらなかったんでしょうか。
(大臣)いずれにしても、今、中央環境審議会でしっかり議論していただいています。私は方向として、何としてでもこれについては結論を出したいと思っております。その場で、あるいは申し上げたかどうかは、ちょっと私はあちこちで演説しているものですから、鉄鋼連盟ではどうか分かりませんけど、考えることは今のとおりでございます。いずれにしても、中央環境審議会でのしっかりした議論をお願いしているというのが現状でございます。
(記者)それに関連して最後に。CO2を出す業界として、鉄鋼よりもより大きな電力業界、これの新年賀詞交歓会が、あさってあるのですけれども、大臣は呼ばれてますでしょうか、どうでしょうか。また、行くつもりはありませんでしょうか。あさってだったらまだ間に合うと思うのですけど。
(大臣)たまたま私、ちょうど冒頭申し上げた会議のため海外に出る予定で、多分物理的にできないのではないかと思いますけれども、当然呼ばれておるのではないかと思いますが。日程が合わずという格好になってるようですね。

(記者)毎日新聞の五十嵐です。冒頭で御発言がありましたIRENAの総会に関連して1点だけお尋ねいたします。IRENA総会をめぐっては、昨年の総会で、河野外務大臣が登壇されまして、日本の再生可能エネルギーの普及について意気込みを述べられたという場面がありました。原田大臣、これからどのようなお話をされるかというのは今後のことかもしれませんけれども、どのような御発言というか、意気込みというか、そういったことをお話しになられるのでしょうか。
(大臣)今の河野外務大臣のいきさつは最近学んだところであります。端的に言えば、日本の再生可能エネルギーへの努力が少し国際的に言うと弱いのではないかということを、河野さんの立場でしっかり言われたというふうに伺っております。外務大臣の発言でありますけど、これは政府としては、河野大臣が議員としての御立場を言われたものというふうに理解しつつ、私は再生可能エネルギーへの強化というのは当然のことだろうと思います。河野大臣といいますと、非常に一般の議員のときから、自民党の中でエネルギー政策については積極的に発言をされておりますし、私どももしかりでありますから、そこはそこで政治家としての発言として、私は多としたいなと思っております。その上で私は、これは再生可能エネルギー国際会議でございます。再生可能エネルギーを強化することと環境政策、この脱炭素化を目指すということは、ある意味では裏と表から言っているというふうな意味では同義語でございまして、なるがゆえに、私は環境大臣の立場から、当然のことながら、これから日本の再生可能エネルギーをしっかり進めていく、その立場で様々な現状の取組、さらに将来に向けての努力は訴えていきたいと思っております。また、併せて諸外国のその面における動きにはしっかりまた目配りをして、我が国がやはり非常に積極的にやっているという部分は評価してもらわなければいけないなと、こう思っております。

(以上)