大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成30年12月28日(金)10:32 ~ 10:52 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今年もいろいろお世話になりました。一応、今日が最後の会見だということで、よろしくお願いいたします。今日は2点ないし3点、御報告したいと思います。
 まず、千葉県の蘇我火力発電所の計画見直しについて御報告したいと思います。昨日でございますけれども、千葉市で計画されております蘇我火力発電所について、事業者である中国電力、JFEスチール、千葉パワーの3社が、石炭火力発電所の計画を中止し、天然ガス火力発電所の開発の実現性検討に着手するという発表を行いました。脱炭素化社会へ向かう国内外の潮流の中、石炭火力発電が置かれている状況は非常に厳しいものがございまして、先般のCOP24においても、私もそのような潮流を肌で感じてきたところでございます。今回の発表は、まさにこうした石炭火力発電に対する厳しい流れも受けたものではないかと、これはあくまで民間事業者の御判断でございますけれども、今回の事業者の判断を高く評価したいと思っております。今後とも、環境アセスメントにおける大臣意見の機会等を通じて、石炭火力発電の問題に対しては、引き続き厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えているところでございます。
 2件目でございますけれども、廃エアゾール製品についての措置でございます。今月16日に札幌市で発生した爆発火災事故を受けまして、スプレー缶などの廃エアゾール製品による事故防止のため、昨日、都道府県等に対し通知を発出したところであります。内容といたしましては、今般の事故を踏まえまして、まず、製品を最後まで使い切った上で、火気のない風通しの良い屋外でガス抜きキャップを使用するなど、充填物の使い切り及び適切な出し切りを住民に周知すること。また、廃棄時の穴開けに起因する火災も依然発生していることから、市区町村におきましても、住民が穴を開けずに排出したものを収集・処理する方法を検討するようにということ。さらに、処理業者等に対し、処理時の爆発事故防止対策の徹底を周知すること等を改めて依頼するものであります。詳細は、お手元に資料をお配りしているところであります。今後とも、製造者団体等とも連携して、廃エアゾール製品に係る事故のないように周知徹底をしたいと思っております。
 以上、2点報告でありますけれども、今年は、いよいよ最後の会見となったわけであります。10月にこの職を承りまして、あくまでも人と環境を守り抜くのだという使命に、私自身、政治家としても運命的なものを感じているところでございます。就任直後に、まずは福島を4回訪れました。復興が道半ばであるということを痛感しながら、国の約束・責任を果たさねばならない、また、福島の皆さんがどんなに苦労しているかということを、しっかり肌で感じたところでございます。さらに、COP24に出席をしてまいりました。地球温暖化対策についてでございます。この場では、いわゆる二分論、先進国グループと途上国グループが、従来、いつもだいたい立場の相違で対立構造がありましたけれども、今回は二分論によらずに実施指針が合意され、またいぶき2号の打ち上げ成功、気候変動適応法施行等の大きな動きについて、その場でしっかり訴えてきたところでございます。また、海洋プラスチック問題については、世界的な動きでございまして、私どもも循環経済のうねりを実感しながら、我が国としても最大限貢献していくという立場を、現在、強めているところでございます。原子力防災につきましては、先日も、愛媛県の伊方を視察してまいりました。原子力防災には終わりや完璧はない、さらに、継続的な充実・強化が何よりも重要だということで、私自身、伊方の町長さん、また愛媛県知事さん、更に関係者、たくさんの方にお会いいたしまして、お互いミッション、仕事の重要性を確認しながら、これからよく連絡をとりながら、この問題に取り組んでいこうということを約束してきたところであります。また、ESG金融の隆盛にみられるように、環境と経済の好循環がいよいよ実現しつつあります。これを地域に反映させる地域循環共生圏というのを、私ども環境省として国の内外に訴えておりまして、それへの期待感も高まっておるというふうに感じております。来年の初のG20環境大臣会合、6月でございますけれども、我が国の取組を発信しながら、世界の取組を主導していきたいと思います。あくまでも日本が、G20、また環境大臣会合も議長国として、これから取り組まなければなりません。しっかり、その立場を果たしていきたいと思っております。あと6カ月もある、場合によっては6カ月しかないわけでありますが、政策的にも様々な観点で取り組んでいきたいと思っております。併せて、国立公園始め、環境行政は大変な資産を持っております。それは大変なもの、量であります。このことを改めて実感することによって、また、これらの国立公園の活用とか、国民の皆さんへの提供とかも含めて、しっかりと世の中に説明していく。また、その資産価値を還元をしていきたいと、こういうことを考えているところです。この2カ月半、3カ月になろうとしておりますけれども、私の就任期間、以上のような総括を持っておりますが、また新しい年には、皆様方にいろいろと御心配や御指導をいただきますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の五十嵐です。今、冒頭御発言がありました蘇我火力発電所の件に絡んでお尋ねいたします。蘇我の件は、昨日の事業者の発表のとおりだと思いますが、それ以外にでも日本国内では、30基以上だと聞いておりますけれども、石炭火力発電所の新増設の計画が依然としてあります。これらに対して、今後、環境省として環境アセスメントで大臣意見を出す場面もあろうかと思いますけれども、今回のような事業者の対応を鑑みて、改めて石炭火力発電所の新増設に対する大臣の御意見を伺いたいというのが1点。
 もう1点ですけれども、昨日も会議があったと承知していますが、環境省としては、カーボンプライシングの導入ということも念頭に置きながら議論を進めていると思います。こういった石炭火力発電所も含めて、化石燃料を燃やしていくということから考えると、カーボンプライシング導入というのは、環境省として進めていきたいところだと思いますが、そこについても改めて御意見をいただければと思います。
(大臣)まず、前段でございますけれども、冒頭、御報告しましたように、民間事業者の判断に対しては、私どもからすれば、やはり高く評価をしていると思います。当然のことながら、もちろん経済的な判断もあったと思いますし、また同時に、やはり地球温暖化、更には脱炭素化を頭に置きながら、経営判断にも影響されたのではないかと。そういう意味では、私どもは政策としても、この石炭火力については、それらに向けてかなり厳しく、縮小の方向に持っていかなければいけないということを、当然、皆さん方にもしっかりまた伝えていきたいなと思っているところであります。新設の計画は、たくさん私ども伺っておりますけれども、全部認めると、とてもとても日本の温暖化対策計画を守ることはできません。もちろん、相当不経済な、また非効率的なもの、老朽したものを壊してというようなことも考えられますけど、あくまでも、特に石炭火力については、経済的にというだけの理由では、これから私どもも認めるわけにいかないと。また、さらにこれから具体的なアセスメントの段階、手続きにおきましては、相当、厳しくこの問題に取り組んでいこうと思っております。ついては、今回の千葉の案件は、私どもからすれば、いい方向にはあるんではないかなと、そういうふうに考えているところであります。
 また、2点目のカーボンプライシングについては、これは本当に、私どもに与えられた非常に大事な課題であります。今、中環審等でしっかり議論をされておりますし、国際的な動きも見ながら、いずれはしっかりとした結論を出さなければいけないと思っております。今、検討の途上にあります。また、産業界を含め、皆さん方の御意見を踏まえながら、いずれにしてもそんなに遠くない時期に、しっかりまた結論を出していこうと、こういうふうに思っております。

(記者)今の毎日新聞の、幹事社の五十嵐さんからの質問に関連して、2点目の件なのですけれども、カーボンプライシングの件ですけれども、原田大臣、フランスでの温暖化対策としての燃料税が12月、反対の大規模デモによって、マクロン大統領が延期の表明に追い込まれたことは御存じだと思います。一方で、我が国でも、環境省は炭素税やCO2排出量取引制度など、カーボンプライシングの導入を、先ほど大臣おっしゃったように、鋭意、検討しているということですけれども、こうしたフランスの大規模デモ、これの、燃料増税、カーボンプライシングをやれば、当然、燃料増税になる可能性もあります。どういうふうに受け止めますでしょうか。
(大臣)フランスが燃料税という形で大きな政治課題になっているというのは、当然、私どもも存じておるところでございます。ある意味では、これはもう気候変動対策という意味で、目指すところは一致している部分もあろうかと思いますけど、その政策としての打ち出し方、また、国民の皆さんの受け取り方というか、これはやはりそれぞれ国によって違いがあるのではないかと。フランスの状況というのは、私どもも、つまびらかではありませんけども、まずは日本においては、やはりそういうこともしっかり参考にしながら、日本としてはどうあるべきかということは、これからプライシングを進める上において、きっちりと結論付けていきたいなと、こう思っております。参考にしながら、やはり日本は日本で、状況を把握し、更に気候変動に対する考え方については、当然、総合的に判断をしてきたいなと思っております。

(記者)引き続きまして環境新聞の小峰です。一昨日の夜、自民党の環境・温暖化対策調査会長の北川知克議員が亡くなられましたけれども、環境行政の応援団長でもありましたけれども、大臣の受け止めを。
(大臣)これは本当に残念、無念といいますか、そういう思いでまず受け止めたところであります。北川先生につきましては、それこそ御自身のキャリアを通じまして、私ども環境省の副大臣も政務官もやられたというキャリアもあられますし、また自民党においても本当にこの環境政策に命を懸けたといっても過言でないぐらいでございます。また、先代の、私もその節から随分お世話になった石松先生におかれても環境庁長官をされたというキャリアを持っておられます。それこそもう一族でこういう環境問題についてはしっかり頑張ってこられたと、政治的にも力を尽くされたと思っております。私は個人的にも非常に親しい間で、個人的にも本当に無念でありますけど、そういう意味ではこの両先生、親子、北川先生の霊にも私ども、やはりしっかり報いなければいけないなというような意味では、先ほど来年に向けての環境政策の私の決意の一端を申し上げましたけど、そのためにはやはり努力をしなければいけないなということを心ひそかに考えたところであります。いずれにいたしましても、北川先生の霊に心から報いをし、御冥福をお祈りしたいと、こう思っております。正直言ってこの半年近く、「ちょっと先生、痩せたんじゃないの」と時々言っていたのですけど、大丈夫だよと非常に気丈にお話しされていましたけれど、残念でなりません。

(記者)NHK金澤と申します。冒頭の発言にありましたスプレー缶について、1点お伺いしたいのですけれど、自治体向けに通達されたのは分かったのですけれども、あくまで住民の方々が廃棄するということで、この時期、大掃除でスプレーを使ったりとか、あと鍋に使ったりとか、いろいろ用途が広いとは思うのですけれど、この時期、ごみとして多く出されるということで、改めて住民に対しても大臣から一言、注意喚起いただけたらと思います。
(大臣)申し上げましたように、国民への通知というのは、まずは都道府県、市町村において対応していくしかないわけでありますけれども、事の難しさというか、あまりに身近なものですから、もしかしたら、つい見逃す方もおられるかもしれません。これは私ども行政を通じて、当然のことながらその危険性を訴えまして、是非また報道の関係者、皆様方におかれましても、これを全員がやっても、1人や2人失敗しても、やはり大きな事故になりかねませんから、私どもも心掛けますけれども、是非また報道の皆様にも、いろいろと御協力をいただければと思っております。

(以上)