大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年9月11日(火)10:34~10:44 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 はじめに、6日午前3時過ぎに発生した平成30年北海道胆振東部地震について、亡くなられた方々に対し、心よりお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に、改めてお見舞いを申し上げます。環境省では、環境省現地支援チームによって、被災自治体の支援ニーズの把握を行うとともに、災害廃棄物の取扱い等に関する助言を行っております。具体的には、最大震度6強以上の市町を中心に現地調査し、ごみの収集運搬体制の確保や仮置場の設置及び管理等についての助言を行っております。現時点では、生活ごみの収集運搬は各市町村で通常通り実施されておりまして、最大震度6強以上となった厚真町、安平町、むかわ町では、災害廃棄物の仮置場を設置し、受け入れを行っております。引き続き現地からの情報収集を進めるとともに、自治体等から積極的にニーズを汲み上げ、全力で迅速な応急対応を進めてまいります。

2.質疑応答

(問)幹事社の共同通信の深谷です。北海道の地震の関連でお伺いします。道内全域で大規模停電が起きた原因として、苫東厚真火力発電所が停止したということが挙げられていますけれども、道内の電力の大部分を一つの大規模発電所が高い割合で担っていたことについて、大規模発電所の集中立地の問題点を指摘する声が上がっておりまして、小規模分散型ネットワークに移行するべきだという意見を聞きます。環境省はかねてより、地球温暖化対策の観点から再エネ拡大を推進して、石炭火力発電新増設には厳しい姿勢で臨んでいるかと思うのですけれども、災害などでの停電のリスクの観点で、大臣、大規模集中立地型から小規模分散型に移行するべきだという意見についての御意見をお聞かせください。
(答)地域の再生可能エネルギーを有効に活用し、自立・分散型のエネルギーシステムを構築するということは、地域の脱炭素化とともに、地域の経済活性化、防災などの強靱化につながるものでありまして、今回の地震を受けて、改めてその重要性を認識しているところでございます。環境省では、公共施設などへの再生可能エネルギーの導入に加えて、災害時でも地域単位で面的にエネルギーを賄うことができるようなシステムの構築に向けた取組を支援するなど、再生可能エネルギーを中核とした自立・分散型の地域づくりを進めております。例えば、東松島スマート防災エコタウンという仕組みがございまして、住宅や医療機関、公共施設を自営線で結んで、全国初のマイクログリッドを構築する試みがございます。再エネ電源の優先利用等によりまして、年間でこのエリア内の30%のCO2を削減する。そして、災害等で系統電力が遮断した場合、最低3日間は通常通りの電力供給が可能になると、こういうシステムであります。長期の停電時にも病院や集会所などへの最低限の電力供給の継続が可能となる、こういった試みが既に始まっておりまして、これは環境省も予算で支援をしたものでございます。こういった取組を更に広げていくために、モデル事業、実証事業ということでございますけれども、既に幾つかやっておりますが、来年度予算の要求に際しましても、こうした取組を更に進めていきたいということになっております。

(問)時事通信の市原です。9日にタイで行われていたUNFCCCの気候変動作業部会が閉幕しまして、進展した分野もありましたけども、緩和とか資金の分野ではあまり進展がなかったということで、年内のCOP24での決着に向けては、まだ予断を許さない状況だと思うのですけれども、この会合の手応えと、あと今後、日本政府が果たすべき役割についてお聞かせください。
(答)今回の会合におきましては、全ての交渉グループが、本年のCOPでパリ協定の実施指針に合意するとの決意を示しました。実施指針の実質的な内容について建設的な議論が行われたというふうに、私自身が報告を受けているところでございます。ただ、今お話がありましたように、進んだ部分と、まだ膠着している部分がございます。例えば、透明性、市場メカニズム、適応の議題などで、COP24の決定案の形で文書が策定されるなど、進展がございました。また、10月中旬までに共同議長が「テキストの提案」を含む今後の進め方を提示することが決定されまして、実施指針の策定に向けた議論が着実に進展していると実感しております。他方で、例えば緩和の議題などで、一部途上国から、先進国と途上国の間で取組に差異を設けるべきだ、といった強い主張がなされまして、議論が膠着したものもございました。我が国といたしましては、引き続き議論を着実に進展させるべく、積極的に交渉に貢献してまいります。全体としては、実施指針の実質的な内容について建設的な議論が行われたと、こういうふうに考えております。

(以上)