大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年8月7日(火)10:43 ~11:02 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、平成30年7月豪雨の発災から約1カ月が経過いたしましたので、これまでの対応と進捗について御報告いたします。環境省では、平成30年7月豪雨の発災翌日に環境省災害対策チームを立ち上げ、官房長の下で被災情報を集約し、全体指揮をとる体制を整えるとともに、被災7府県に現地支援チームを派遣し、被災地の支援を行ってまいりました。また、全国の自治体及び関係団体等の協力を得て、収集運搬車両の派遣や広域処理の調整を行うとともに、防衛省・自衛隊と連携・協力し、がれきの撤去への支援を行ってまいりました。8月2日には、政府の「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」において、災害廃棄物の処理に対し、的確な財政支援を行うことを取りまとめました。また、昨日までに岡山県、広島県、愛媛県の3県において災害廃棄物の発生推計量が公表されていまして、3県合計で約290万トンとなっております。災害廃棄物の撤去・運搬は着実に進捗しており、おおむね8月中には身近な仮置場から撤去できる見通しでございます。仮置場から搬出された災害廃棄物の処理についても、順次進められております。引き続き、被災地の早期復旧に向け、災害廃棄物の適正かつ迅速な処理に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、今週の福島出張について、お知らせいたします。9日に福島県を訪問し、福島復興再生特別措置法に基づく自治体との法定協議会である「原子力災害からの福島復興再生協議会」に出席いたしまして、関係自治体の首長の皆様などと意見交換をさせていただきます。
 また、本日この庁舎、中央合同庁舎5号館1階で「ふくしま復興フェア」が開催されております。本フェアは、福島県産の食品などの展示・販売を通じて、福島県の魅力を発信することを目的としております。私も、福島の更なる復興に協力できるよう、この会見が後わりましたら行くことにいたしております。皆様方もどうぞ御覧になっていただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信です。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、政府としてサマータイムの導入について検討するという報道が出ています。環境省としても、サマータイム自体は何度か頭の体操程度はされたことがあると思うのですけれども、現段階での環境省としての検討状況を教えてください。
(答)2020年の東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策としてのサマータイム導入につきましては、官房長官から、政府として導入を目指すとの方針を決定した事実はない旨発言をされていると承知しております。サマータイムには、省エネ、CO2削減につながるといったメリットがある一方で、国民の皆様の日常生活にも大きな影響が生じる様々な課題もございまして、その導入については、国民的合意を得ることが大事であると考えております。政府としてサマータイムの導入を目指すとの方針を決定した事実はなく、現在のところ、環境省として、オリンピック・パラリンピックの暑さ対策としてのサマータイム導入の検討を始めているということはございません。環境省といたしましては、今後とも、関係府省や組織委員会、地方自治体と連携し、東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策に貢献していきたいと考えております。

(問)化学工業日報の吉水と申します。お盆明けにプラ資源循環戦略の小委員会が立ち上がって議論が本格的に始まると思うのですが、改めて環境省としての狙いと論点となり得るポイントについて教えてください。
(答)海洋プラスチックごみの問題というのが、今、世界的に大きな課題になっております。プラスチックのリデュース、そしてリサイクル、リユースといったような課題も非常に大きな、これからの、正に世界的な問題でございます。G7におきまして、プラスチック憲章というものが提案をされまして、世界的な、今、動きが始まっているところであります。我が国といたしましては、このプラスチックの問題というのは、途上国も含めたG20の場でしっかりとリーダーシップを発揮して方向性をしっかりと導いていく、そういう課題であるというように考えております。したがいまして、G20の前にプラスチック資源循環戦略というものを、まず隗より始めよということで取りまとめまして、そこには、使い捨てプラスチックのリデュースや回収リサイクルの徹底、また今申し上げました海洋プラスチック憲章に掲げられた事項や期限付きの数値目標等を含めて、精力的に御議論をいただいて、実のあるものを策定していきたいというように考えております。その意味で、そうした御議論を中央環境審議会の小委員会で始めていただきたいということでございます。

(問)読売新聞の小林と申します。冒頭発言の中で、災害ごみのことなのですが、8月中には身近な仮置場から撤去できると。この辺をもうちょっとかみ砕いて説明していただきたいのですが。
(答)今、例えば道路脇などに集積所として積まれていた片付けごみなどにつきましては、これは自衛隊の御協力をいただいてもう事実上終了しているというふうに思います。その災害廃棄物につきましては、とりあえず一次仮置場、これが学校の校庭であったり共通の広場のようなところに積み上げられているわけでございますけれども、この一次仮置場のうち、例えば学校の校庭に積まれていたものや、あるいは広場のように、周辺に住民が住んでいるし、また学校のようにこれから新学期も始まると、こういう状況でございますから、そういったところについては8月中に撤去して、そして二次仮置場の方に持っていくということであります。一次仮置場でも住民の皆様方の生活に直接支障のないところについてはまだ残るかもしれませんが、これも早急に撤去して、二次仮置場の方に持っていきたいというように考えております。現に今、二次仮置場の方に順次運び込んでおりまして、そこで分別して、リサイクルにまわすもの、焼却処分にまわすもの、最終処分にまわすものを分けて、そしてそれぞれ、順次それぞれの方法に従って処理をしていくと、こういう手順になっていくというふうに思います。
(問)ちょっと気が早いかもしれないのですが、最終的な処分にかかる期間というのはどのぐらいを見込んでいらっしゃるのでしょうか。
(答)これはちょっと今のところまだ確たることは申し上げられないわけですけれども、膨大な量でございますので、それぞれの県内の処分場で処理できるかどうかは分かりませんので、その辺の調整も必要でございましょうし、この分別自体ちょっと時間がかかると思います。必要な機材を持ち込んで分別をしていくという作業が必要でありまして、今その調整をしている状況でございます。もちろん、もう始めてもいますけれども、大掛かりに進めるための調整を、今しているということでございます。

(問)日本テレビの中村と申します。先週の金曜日に、パリ協定に基づく国としての成長戦略策定の懇談会、第1回がスタートしました。まず、この会でどういったことをこれから決めていくとか、話し合われていくのかとか、期待されるところをお聞かせください。
(答)2050年80%削減、そしてその先の実質排出ゼロの社会を目指していく、そのための長期戦略を打ち立てて、それを世界に公表していく、そういう段取りがこれから始まるわけでございまして、その長期戦略を打ち立てるための有識者の皆様方の御意見を拝聴する、そういう会議が官邸で始まったところでございます。この2050年80%削減、その先の世界を見据えるためには、これは今までの常識にとらわれないイノベーション、また更に経済社会の在り方というものが必要になってくると思います。その際に重要なことは脱炭素化ということでございますけれども、これがビジネスチャンスになるということであります。そして、脱炭素化を通じた新たな成長を実現するということが重要であります。そういったしっかりとしたビジョンを描くことが重要であると思います。同時に、政府全体としてそういう脱炭素化に向けたビジョンというものをお示しすることが民間投資の予見可能性を高めるということになると考えておりまして、有識者の皆様方からしっかりと政府全体としての方向性を定めてほしい、定めるべきだという御意見をいただいております。こういった有識者の御意見をいただきながら、また環境省としても環境省としての考え方を発信をして、政府全体の議論の中で積極的な役割を果たしてまいりたいというように考えております。
(問)大臣は去年の秋にどこよりも早く、30年度の7月以降早い段階で、国としての長期戦略を話し合う会議を始めますよというふうに発信をされました。その後、どういうふうな枠組みでその会議をやっていくのかというところの調整等、時間が掛かって8月に始まったということになりますけれども、これまで環境省、それから経産省、それぞれフルオープンで専門家による懇談会というのは随分行われてきて、今回始まったのは政府の方針を決める会議そのものではなくて、もう一度やはり懇談会から始まるというところになります。ですので、大臣がおっしゃったスケジュールというのは、当初お話ししたよりもかなり遅れているのかなと思うのですけれども、その辺の認識、あるいは何か難しい点があるのではあればちょっと御説明いただけないでしょうか。
(答)この長期戦略につきましては、2020年の期限に十分先立って取りまとめをしていきたいと思っておりますし、来年はG20がございますので、G20において世界の脱炭素化を日本が積極的にリードしていきたいと、こういう思いがございます。そういったことを考えてこの長期戦略の取りまとめをしていく、そのための有識者の会議を始めたわけでございまして、特にスケジュールが遅れているという状況ではないというふうに認識しております。

(以上)