中川大臣記者会見録(平成30年8月3日(金)11:34~12:11 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議におきまして、平成30年7月豪雨に係る予備費の使用について決定いたしましたので、御報告いたします。環境省関係では「災害廃棄物処理事業」に85億円の予備費を使用することが決定されました。この予備費に関連して、昨日、平成30年7月豪雨被災者生活支援チームにより、「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」が取りまとめられました。今回のパッケージの決定に合わせて、環境省では、全壊家屋の解体・撤去に加えて、被災地から特に要望の強かった、半壊家屋の解体・撤去費用を災害廃棄物処理事業の補助対象とすることを決めました。また、災害廃棄物の処理に当たっては、自治体が財源面の不安なく安心して復旧に取り組んでもらえるよう、熊本地震並みの対応をすることを決めました。今後とも災害廃棄物の迅速・適切な処理のため、可能な限りの対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、本日、第1回目の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会」が開催されましたので、お知らせいたします。この会議は、2050年を視野に脱炭素化をけん引していくためのパラダイム転換が求められている中、これまでの常識にとらわれない新たなビジョン策定のために総理の指示により設置されたものでございまして、本日の会合では、各界の有識者の皆様から、長期戦略の策定に向けた幅広い御意見をいただきました。私はかねてより、パリ協定以降、脱炭素化がグローバルで有望市場となり、ビジネスチャンスとなっていることや、民間活力を最大限にいかし、イノベーションを創出することで、脱炭素化を通じた「新たな成長」を実現することの重要性について発言してきておりまして、こうした点を含め、環境と成長の好循環の実現に向けた政府全体としての検討に尽力してまいりたいと考えております。
 次に、既に発表しておりますとおり、福島県に出張いたしまして、昨日、内堀福島県知事、吉田福島県議会議長と面会いたしました。除染、中間貯蔵事業、特定廃棄物埋立処分事業といった環境再生の取組の進捗や今後の見通しについてお話しするとともに、福島復興の新たなステージに向けた取組として「福島再生・未来志向プロジェクト」についてお伝えいたしました。本プロジェクトでは、環境再生の取組に加え、環境省として、地元のニーズに応え、脱炭素、リサイクル、自然との共生といった環境省の得意とする分野と福島との連携をより強化し、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を行います。取組の主要な柱は、官民連携によるリサイクル等の環境技術をいかした「産業創生」、自然公園等の自然資源の活用による「ふくしまグリーン復興」、先導的な低炭素技術等を活用した「脱炭素まちづくり」及び、放射線健康不安に対するリスクコミュニケーションや地域の魅力の発信による「地域活性化」でございます。内堀知事からは、未来志向の取組に対する評価や、今後の更なる具体化に向けた期待感が示されました。環境省としても、国と県、関係自治体の方々と協力しながら、より良いものとしてまいる所存でございます。今後も、内堀知事や吉田議長、関係自治体の首長の方々と密接に連絡を取り、御地元の声をしっかりと受け止めながら、福島の復興・再生に向けて全力で取り組んでまいります。この後、担当者から本件の御説明をさせていただく予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)時事通信の平野といいます。今回、朝にありました有識者会議なのですけれども、民間の方だけでなく、自治体の方も含め、有識者の方がいらっしゃったと思うのですが、それぞれどういった発言があって、それを踏まえて、大臣としてはどういった点がポイントになりそうか、もう少しだけ詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)正式には、各委員の本日の御発言につきましては、後日、議事要旨としてホームページに公開いたしますので、そちらを御覧いただくようにお願いをしたいと思います。私から、今日の各委員の方の御発言について、そのポイントを申し上げさせていただきますが、これはあくまで私の受け止めということでございますので、正確には議事要旨の方を御覧いただきたいと、そういう前提で申し上げたいと思います。北岡座長は、パリ協定の後、ビジネス、金融と世界の動きは非常に変わってきており、この世界の変化をけん引していくという、総理がそういう御挨拶をされたわけでありますが、そういった課題に応えるために、いい提言ができるようにしっかり対応していきたいと、そういう冒頭の御挨拶がございました。内山田委員からは、現在の自動車業界を取り巻く状況についての御報告、紹介がございました。その上で、ビジョンとプロセス、ゴールと戦略を分けて議論すべきであると。ビジョン、ゴールは高い目標の設定をして、脱炭素を明確に宣言をするといったことが考えられる、そして、イノベーションというのは、性能、品質のみでなく、コストダウンも含め競争力を上げていくことが大事だという話、それから、規制緩和とセットにして考えていく必要があると、こういった御発言がございました。枝廣委員からは、地域経済も、それから人々の豊かさの実感も向上するような成長戦略としていくべきだという御発言がございました。それから、進藤委員からは、長期目標というのはゴールであり、「坂の上の雲」だと、こういうことで、そこに向かって、技術のブレークスルーが必要であり、様々な挑戦が必要だと、こういった趣旨の御発言がございました。それから、隅委員は、いわゆる地球温暖化対策において、緩和と適応が二本柱になるわけでありますけれども、緩和は、脱炭素化に向けての先進技術が必要であって、その先進技術については国家戦略と位置付け、集中投資が必要であると。それから、省エネ技術など、優れた我が国の企業の強みを、TCFDなど企業開示を戦略的に活用し、日本企業に専門性の高い人材を引き付けていくことが大事だという御発言がございました。適応策につきましては、技術とファイナンスをセットで途上国に協力をすることで、世界においてリーダーシップを発揮していくべきだというようなお話がございました。高村委員からは、長期戦略は脱炭素という日本の方向性を明確に示すこと、そのための仕組みづくりが重要であるということ、そういった御発言であります。中西委員からは、グローバル・バリュー・チェーンを通じた世界全体での削減、SDGsへの貢献ということですね。それから、技術革新を伴うイノベーションの促進の重要性、また、エネルギー政策におけるS+3Eのバランスの確保、こういったことが重要だという御発言がございました。水野委員は、野心的な目標を作って、そして世界の中でのルール作りにリーダーシップを発揮していくことが重要だということでございます。そういった発言、それから、脱炭素に向けて膨大な資金の獲得競争が起きるということで、日本の存在感を発揮していくべきだというお話でございます。それから、森委員は、地域におけるバイオマスや水力など、いろいろありますエネルギーの活用技術の汎用性を高めることが重要だというお話がございました。安井委員からは、御自身が理系の専門家ということで、そういう見地からの役割を果たしていきたいという旨の御発言がございました。総理も、野心的な高い目標を掲げて、世界のルール作りに参加できるという視点は非常に重要だということを最後に述べられました。以上、概略でございますが、繰り返しになりますが、あくまで私の受け止めでありますので、正式には後ほど発表される議事要旨を御覧いただければというふうに思います。

(問)共同通信の深谷です。今説明していただいた、今日の懇談会なのですけれども、各委員の発言を聞いて、大臣として、今後の議論にどのような期待を持つか教えてください。
(答)多くの委員の方が、しっかりと高い野心的な目標を掲げて、そこに向かってルール作りをしていくときにもリーダーシップを発揮し、また、そこに向かう過程でイノベーションを起こす、そのことによって経済成長、それとしっかりと両立できるようにしていくということが必要だと、こういう趣旨の御発言が多かったと思います。私もそういった趣旨の考え方について、既にいろいろなところで発言をさせていただいておりますので、環境省としての考え方、次回以降、発言することのできる場がありましたら、そういったこともしっかり発言をして、懇談会の議論にしっかりと参画し、長期戦略の策定に環境省の考え方をしっかりと反映できるように努力をしていきたいというふうに思っております。
(問)今後の議論のスケジュールで見えているものがあれば教えていただきたいのですけれども。いつまでに提言をまとめるですとか、次回はいつになるですとか、お願いします。
(答)まだ具体的なスケジュールについては決まっておりません。特にスケジュールについて、懇談会でまだそういった発言もないわけでございますが、いずれにしても、来年開催するG20は、我が国が議長国を務めるわけでありまして、世界の脱炭素化をけん引する、そういう決意をしております。そういったことを踏まえて、この本懇談会においては適切な時期に提言を取りまとめていただいて、そして長期戦略の策定と、こういうスケジュールに入っていくと思います。

(問)NHKの杉田です。今の大臣の御発言にありました懇談会の関連なのですけれども、懇談会の中で環境省の考え方をしっかり主張していきたいということだったのですけれども、もう少し具体的に、どういったことを主張していきたいのか、もしあれば教えていただけますか。
(答)それは、世界の資金の流れというのが環境に大きくシフトしております。また、温暖化対策が企業にとってコストではなく、競争力の源泉となっている状況が出ております。これは世界の流れでもあると思います。そういったファイナンスの動向やビジネスの世界や地域の動きを含む現状認識の上に立って、しっかりとした野心的な目標を打ち出して、そこに向けて、どういう道筋でイノベーションを起こして、それが競争力、経済成長と両立できる、そういう方向で進むことができるのか、また、そのことによって、世界においてどういった貢献ができるのかといったようなことを、この懇談会で御議論いただきたいと思っておりますし、その議論に際しまして、今申し上げたような環境省の考え方を、もう少し具体的にいろいろお示ししながら、申し上げていければというふうに思っております。
(問)パリ協定の締結国に対しては、2020年までに長期戦略を策定するようにというふうなことが求められていると思うのですけれども、その中でも、他国に比べて日本は後れを取っていると思うのですけれども、今回そういった中で、この懇談会が開催されたことに関する大臣の所感をお聞かせいただきたいです。
(答)おっしゃるように、長期戦略をG7の国でまだ出していないのが日本とイタリアという状況であります。2020年の期限に十分先立って、しっかりとお出しをしたい。また、2019年のG20においては、温暖化対策の面においても世界をけん引していきたいと、そういった状況の中で、きっかりとした目標を定めた長期戦略というものを出していくということが重要だと考えております。そのために、今、有識者の方々にお集まりいただいて、議論を始めるわけでございますけれども、その議論の中で、環境省の考え方というものをしっかりと反映していただけるように努力をしていきたいというふうに思っております。

(問)朝日新聞の神田です。長期戦略の件なのですけれども、世界の脱炭素化をけん引していきたいということなのですが、2050年に80%削減、その後に実質ゼロというのは、かなり高い目標といいますか、普通のことをやっていたのでは全然実現することもできない。そういう中で、パラダイムシフトという考え方も出てきていると思うのですけれども、2050年に石炭火力発電は数十基まだ動いているという見通しもあったりとか、あとカーボンプライシング、環境省が導入を目指していますけれども、これには抵抗感があったりとか、なかなか取りまとめるのが難しいような部分もあると思うのですけれども、石炭火力ですとかカーボンプライシングについて、この長期戦略の中でどういうふうに取り組んでいきたいとお考えなのか、大臣のお考えを聞かせてください。
(答)この長期戦略というのは、個別の政策の積み上げではなくて、野心的な目標を定めて、これからはそこに向かってのルール作りやイノベーションを促していく、常識にとらわれない、そういうパラダイムシフトというものが必要になってくるということでございますので、今おっしゃいました石炭火力の問題とかカーボンプライシングの問題、これを長期戦略の中でどのように位置付けるのかというのは、正にこれからの御議論でございます。ただ、私としては、カーボンプライシングについては、2050年80%削減という、そこに向けての話ではなくて、もう早急に、もっと喫緊に、カーボンプライシングを実現していきたいと、そういう思いでございます。ただ、これも、今、中央環境審議会で議論していただいておりますので、そこでの御議論を踏まえる必要はあるわけですけれども、世界の各国の例を見ますと、カーボンプライシングというものはかなり導入されていて、いろいろな課題がありますけれども、それぞれの課題を克服するような、いろいろな事例もありますので、このカーボンプライシングについては、長期戦略の話とは別に、もっと直近の議論として、しっかりと議論をさせていただきたいと思っております。石炭火力につきましては、2050年80%削減、更には、その先の排出実質ゼロと、こういう時代が来るということを考えますと、今ここで石炭火力発電所を新造設するということは、かなりリスクのあることだと思います。そういう意味では、石炭火力は卒業していくべきだと。こういう考え方に立って、これからも石炭火力の問題については、環境省としては厳しく対応していきたいというように考えております。

(問)読売新聞社の高田と申します。今月8月7日に、ゲノム編集について、科学的・技術的に議論する検討会を環境省で始めるという御予定だそうです。先月7月の25日に、欧州の司法裁判所の方で、ゲノム編集技術については、従来の遺伝子組換え作物と同様の規制対象とするべきという判断が下されました。日本の方は、6月の統合イノベーション戦略で、ゲノム編集技術を技術開発促進するという閣議決定をされています。そうした中での、環境省におけるゲノム編集の法的位置付けの議論が8月7日から始まると理解しておりますが、欧州司法裁判所の決定はこの議論にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。国際的協調の観点からすれば、規制に対して何らかの影響があるかと思うのですが、いかがでしょうか。
(答)欧州司法裁判所の判断については承知をしておりますが、この問題は各国で対応が違っているようでございます。したがいまして、国際的な動向を踏まえつつ、専門家の御意見をお聞きしながら検討を深めてまいりたいと考えております。この問題につきましては、イノベーション戦略において、今年度中にカルタヘナ法上の取扱いを明確化するというふうにされておりますので、今回、このゲノム編集検討会では、これは、ゲノム編集技術のうち、カルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当する技術はどういうものなのかということを整理していただくということであります。それと、その整理において、カルタヘナ法の対象外となった技術についてはどのように取り扱うのかという、そういうことでありまして、専門的な見地から、日本は日本の、カルタヘナ法上の扱いとして、どういうふうにしたらいいのかということを専門的に御議論いただくということでございます。したがいまして、欧州司法裁判所の判断は出ておりますけれども、日本は日本の法律に基づいて、技術的にどういうものが該当し、どういうものが対象外になるのかという整理をしていただくと、そういうことのために検討会を立ち上げて御議論をしていただくということにしたものでございます。
(問)そうしますと、整理をする作業の中で、この前の欧州司法裁判所の決定も踏まえつつという形ではあるかと思うのですけれども、あくまで日本の法律においてどのような位置付けをするかと。この検討会がそういった整理の場だとして、2回という、議論を限って方向を決めていくようですけれども、そういう回数に縛られずに広範な議論をすべきではないかという専門家の御意見も種々ありますが、大臣はその辺りはどのようにお考えでしょうか。
(答)現時点では、技術の内容を専門的に判断していただいて、これはカルタヘナ法で規程される技術に該当する、しない、ということを整理していただくということでありますので、現時点では、2回程度でそのような整理はしていただけるのではないかというように考えております。

(問)フジテレビの加藤です。こちらの取材で発覚した大熊町の除染廃棄物の不法投棄についてお伺いしたいのですけれども、事実関係、環境省としての今の対応、そして大臣の考えをまずお聞かせいただけますでしょうか。
(答)この案件につきましては、環境省におきましても、元請け事業者から、御指摘のような疑いがあるという報告を受けております。そして、警察で捜査中だということでございます。したがいまして環境省としては、警察の捜査に全面的に協力をしていきたいというように考えております。警察の捜査の結果も踏まえて、しっかりと再発防止策も含めた対応を検討していきたいというふうに考えております。
(問)このような事例が起きたことに対して、大臣、どのようなお考えでしょうか。
(答)このような不適正な事案が発生したということにつきましては、事業者としての環境省も重く受け止め、そして、誠にこれは遺憾なことでありまして、このようなことが今後起こらないように、これからも帰還困難区域での解体・除染といった作業は続くわけでございますので、しっかりとした対応が必要だというように考えております。
(問)福島でもこちらでも、再発防止策といわれていますが、再発防止策というのは、どのようなものを今考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)これは、元請け事業者を通じて下請け事業者に、こうしたことがないように現場での監督を徹底し、そしてその報告をきちんと上げていただくということが大事であります。また、環境省では、「不適正除染110番」というような、電話での情報提供も呼び掛けておりますので、こういった不適正な事案と疑われるような情報が得られた場合には、事案ごとにいろいろ対応が違うと思いますので、それぞれ適切な、必要な対応をとっていくということが大事だと思います。そして、元請け業者を通じて、こうした事例がないように、更に徹底をしていきたいというように考えております。
(問)最後に。除染で不適切な事例が相次いでいると思うのですけれども、やはり、一般的に見て、同じようなことがずっと行われていたのではないか、この何年ずっと行われてきたのではないのだろうかというのを思うのが普通だと思うのですよね。これまでのことをもう一回洗い出してというようなことというのは、また改めてということはないのでしょうか。
(答)解体、そして除染は、膨大な作業をしております。そしてまた、仮置場に今保管されている廃棄物も膨大な量でございますので、それを全て掘り起こしたり、あるいは袋を開けてチェックするということは、これは事実上なかなか難しいことだというように考えております。したがいまして、新たに具体的な情報が得られるなどの疑義が生じた場合には、当然のことでありますが、しっかり対処してまいりたいと思います。そして、今申し上げましたが、「不適正除染110番」といったものを通じて、解体工事の事案も含めて情報提供を呼び掛けておりますので、不適正な事案と疑われる場合には、是非、情報を提供していただきたい。そして、その場合には必要な対応をしっかりとってまいりたいというふうに考えております。

(以上)

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