大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年7月27日(火)10:41~10:56 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 熱中症対策の今後の強化について、御報告いたします。熱中症は、死に至る可能性のある非常に重篤な病態でございますが、個々人が予防法を知って、それを実践することで、防ぐことが可能です。このため、熱中症予防に係る注意喚起が重要であります。昨今の酷暑を受けて、毎年7月に設定している熱中症予防強化月間を、8月まで延長することとし、地方公共団体に通知するなど、より一層の熱中症予防対策を推進する取組を進めます。加えて、イベントの主催者、公民館や高齢者施設の管理者、企業の経営者等が熱中症の危険を踏まえて対応していただくことが重要であります。さらには、施設の設備や都市構造での暑さ対策など、地域・社会の仕組みまで視野に入れて熱中症予防に取り組んでいただく必要があります。こうした観点での対策の強化にも取り組んでまいります。また、今後地球温暖化が進行すれば、こうした猛暑に見舞われるリスクが高まることは間違いありません。環境省としては、緩和策とともに、先日成立した気候変動適応法に基づき、引き続き、こうした熱中症対策を含む気候変動適応の周知徹底や充実・強化を図ってまいります。なお、詳細につきましては、机の上に配布してあります資料を御覧いただければと思います。
次に、ESG金融懇談会からの提言について、お知らせいたします。環境大臣のイニシアティブとして立ち上げましたESG金融懇談会におきましては、金融業界を代表する方々に一堂にお集まりいただき、本年1月から7回にわたり、活発な御議論をいただきました。この結果として提言がまとめられております。提言では、加速しつつあるESG投資を更に社会的インパクトの大きいものへと育むとともに、間接金融においても地域金融機関と地方自治体等の協働と、グローバルな潮流を踏まえた金融機関の対応によりESG融資を実現する必要があるということ、そして、金融業界も国もESG金融の実現を目指して自らの役割を果たしていく必要がある、という力強いメッセージをいただきました。提言の詳細につきましては、この後、事務方より別途、御説明させていただきます。また、提言では、金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォースでありますTCFDの気候関連の財務情報開示に関する最終報告書を踏まえて、国内の取組を推進していくべき旨の御指摘もいただいております。環境省といたしましては、TCFDを踏まえた民間の取組をサポートしていく姿勢を改めて明らかにしていくため、TCFDに対して正式に賛同の意を表明いたしました。環境省といたしましては、ESG金融の更なる促進に向けた施策に、今回の提言の趣旨を積極的にいかしていく所存です。

2.質疑応答

(問)先日、大臣のところに、環境省の若手職員が政策提言を持ってこられたと思うのですけども、これについての率直な御感想と、中身を御覧になっていると思うのですけども、何か新しい、いかしていくべきところが見つかっていれば教えてください。
(答)環境省の中で、若手職員が自発的に勉強会を立ち上げて、勤務時間外に集まって議論を重ね、ユニークかつ自由な発想から将来に向けた政策提言を行ってくれました。非常に意欲的な取組でありまして、私としても大変嬉しく受け止めております。まずは、省内で今回の提言をしっかりと議論し、これは良い、という提案につきましては、今後の予算要求を見据え、政策検討にいかしていくよう指示したいというように思っております。若手職員の持つパワー、経験、頭脳、これをいかして、そして若手職員の士気高揚、また省内の議論の活性化などにもつながっていくというように思っておりまして、大変心強く思った次第であります。

(問)毎日新聞の五十嵐です。ESG金融懇談会の関係で1点だけなのですけれども、TCFDに正式に賛同の意を表しましたというのは、これは環境省が賛同するという意味なのかということと、実際にこれに賛同していくことで、民間の取組をどのようにサポートできるのかというところについて、かいつまんで教えていただければと思います。
(答)このTCFDに賛同の意を表明したということは、これは環境省としてでございます。既に金融庁が賛同の意を表明しております。そのほか、日本公認会計士協会なども賛同をしております。環境省としても、ESG投資の促進に向けて、企業と投資家との対話促進のための「ESG対話プラットフォーム」の整備等に取り組んでおりまして、これらの取組はTCFD最終報告書の趣旨にも沿うものと認識しております。こういったことで、環境省といたしましては、決意を新たに我が国のESG投資の更なる拡大促進に取り組もうと考えておりまして、今般改めてTCFDに賛同の意を表明することにいたしました。

(問)環境新聞の小峰でございます。今回ESG金融懇談会の提言がとりまとめられ、この後ハイレベルの、また会合が開かれるということですけれども、一方で経産省も、来月の8日にグリーンファイナンスについての検討会を設けるということを発表しておりますけれども、経産省の検討会は別の視点も含めてやることになると思いますけれども、経産省の検討会に対する大臣からの注文というのは何かございますでしょうか。
(答)経済産業省主催の「グリーンファイナンスと企業の情報開示の在り方研究会」につきましては、環境省としても、オブザーバー省庁として参画することになっております。環境省では、TCFDの提言に沿って、自社にとっての気候変動のリスクとチャンスを分析し、自社の経営戦略のリスクマネジメントに反映し、開示を目指す取組の実践を支援しているところでございます。こうした環境省の考え方というものを、経済産業省主催の研究会の場においても、しっかりと発言の機会があれば発言をさせていただいて、参画してまいりたいと思います。こうした情報開示の在り方について経済産業省においても研究会が立ち上げられるということは大変好ましいことだと思いますので、経済産業省とも連携をして、しっかりと成果が出せるようにしていきたいというように思っております。

(問)フジテレビの加藤です。ちょっと勉強不足で、教えていただきたいのですけれども、プラスチックごみは来年のG20までに対策、戦略を決めるという話ですけれど、政府の総合海洋政策本部のところでプロジェクトチームが設置されて、そちらでも検討すると。環境省では何かやったりするのですか。それともここでやるのですか。ちょっと、どういう形になるのか教えていただければ。
(答)環境省におきましても、プラスチック資源循環戦略というものを、しっかりと打ち立てて、先般のG7の首脳会議で議論されましたプラスチック憲章に盛り込まれている期限とか目標、そういったものもこのプラスチック資源循環戦略にしっかり取り込んで、やはり途上国の方も含めたG20という場で議論をすることが効果的な取組になると、こういう考え方で、G20を目指して我が国としてしっかりとリーダーシップを発揮していきたいと、こういうことであります。環境省におきましても、中央環境審議会の下でプラスチック資源循環戦略の議論をしていただきます。もちろん環境省の方にはいろいろな知見や、またノウハウもありますし、いろいろなデータもございます。こういったものを海洋政策本部の方の総合海洋政策本部参与会議において海洋プラスチックごみ対策PTが設けられるということでございますから、そこにもいろいろなデータや知見を共有させていただいて、環境省の中央環境審議会の議論とこちらの総合海洋政策本部のPTと連動しながら、連携しながら、政府一体として最後はG20に向けての取りまとめをしていくわけですから、そういった両者が協働しながら、連携しながら進めていくと、こういうふうに考えております。

(以上)