大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年6月1日(金)9:05 ~9:43 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、我が国から推薦を行っております「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、先月にIUCNから延期の勧告を受けましたが、登録に向けた再スタートを切るため、本日の閣議において本件推薦を一旦取り下げることが了解されました。IUCNの評価においては、登録に向けた明確な道筋が示されているものと理解しております。このため、確実な登録を実現するためには、早期に推薦書を再提出し、再度審査を受けることが、最適な方法であり、かつ早道であると判断したものであります。環境省といたしましては、関係者ともしっかりと連携して、IUCNのアドバイスを求めるなど、すぐにでも登録に向けた再スタートを切り、来年2月1日までに推薦書を再提出し、確実な登録を目指したいと考えております。
 次に、本日6月1日に、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の改正法が施行されました。この関係で御報告いたします。今回の改正では、二次的自然に分布する種も積極的に保全するため、販売及び頒布の目的による捕獲を規制する制度を創設するとともに、希少種の保護増殖の適切な施設及び能力を適切に有する動植物園等を認定する制度の創設、また国際希少野生動植物種の規制強化を行いました。これらの制度の詳細は御手元の資料を御覧いただきたいと思います。特に、象牙を含む国際希少野生動植物種の取引管理制度の強化について申し上げますと、象牙取扱事業者の規制が届出制から登録制に変更され、罰則が強化されます。これにより、象牙取引を適正に行わない事業者は登録が取り消され、市場から排除することができるようになります。この改正を契機として、関連の取組も強化いたします。1点目として、平成30年度は象牙等の取引監視を中心に行う、いわゆる「象牙取引監視Gメン」について4名を増員いたします。これにより、取引監視に携わる環境省職員は全国で合計26名となります。さらに、これらの担当職員、Gメンですね、これらの担当職員が参加する全国取引監視担当者会議を6月13日から14日に開催いたします。監視に関する研修や警察庁の担当者にも参加していただきまして、意見交換を行う、また研修をしていただく予定でございます。全国約14,000の象牙を取り扱う事業所がある中、より充実された体制の下、関係省庁と連携し、ネット取引を含む取引の監視や立入検査を強化してまいります。2点目として、違法輸出防止に関して、適切な手続をとらずに象牙や象牙製品を日本から持ち出そうとする事案等が近年、発生しております。このような事案を防止するため、事業者団体に対し、訪日観光客を含む購入者に象牙製品を販売する際に、その輸出に関して法律上の手続を踏む必要があることを説明するよう、本年3月に経済産業省から要請しております。また、象牙を取り扱う事業者団体とも違法輸出防止に向け、どのような取組が可能か、現在、協議を進めているところでございます。今後も関係機関と協力し、違法輸出防止の対策を進めてまいります。3点目として、象牙の国内市場の更なる管理強化のため、全形を保持した象牙の国内在庫の把握を目的とした“象牙在庫把握キャンペーン”を昨年8月から来年6月までを目途に実施しております。その一層の周知のため、今後改めて新聞への広告掲載、地方公共団体の広報誌への掲載依頼及びチラシの配布を進めます。さらに、このキャンペーンの終了後、象牙を含む国際希少野生動植物種の登録審査方法をより厳格化する予定でございます。現在、規制適用日以前に取得したことの公的書類以外による証明方法の見直しを検討しておりまして、適法に所有したという自己申告の裏付け証明のうち、その約95%を占める第三者証明について、単独での採用をしない形で登録審査を厳格化することを考えています。以上のとおり、改正種の保存法の施行及びこれを受けた一連の対応により、日本国内における希少野生動植物種を保全管理するための制度が強化されます。特に主要な諸外国と比較しても遜色のない、これまでの日本の国内象牙取引管理が、今般の改正法の施行によって一層厳格なものとなり、さらに、これを実施するための環境省の体制もより充実したものといたします。こうした制度の運営の徹底に努めることにより、引き続き、象牙を含む希少野生動植物種の保全管理にしっかりと取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)NHKの松田です。世界自然遺産への推薦の取下げの件なのですけれども、今回、取下げを正式に決定しました。来年の2月1日までに再提出を目指すということなのですけど、来年からは文化遺産と自然遺産どちらか一つしか推薦できないというようなこともあって、文化遺産の登録を待っている自治体や地域もあると思うのですけれども、そういう所との調整も必要になって、一筋縄では、推薦を出すのも、いかないそういう状況だと思うのですけれども、今回の推薦に対するIUCNの勧告の中では、北部訓練場を含む地域の選定などに対して意見があったりだとか、そういった環境省の推薦に対する見通しが甘かったのではないかとか、あと準備がしっかりできていなくて時期尚早の推薦提出だったのではないかというような意見もありますけれども、その点に関して大臣、改めていかがお考えでしょうか。
(答)環境省は、北部訓練場の返還地につきましては今年の7月には国立公園に編入をして、それでその後で世界遺産に追加で推薦をすると、こういう道筋を考えていたわけでございますけれども、IUCNからは北部訓練場の返還地も一緒に推薦をすべきだと、こういう見解が出されました。したがいまして、環境省としてはIUCNの勧告に沿って、しっかりともう一度推薦書の再提出を目指していきたいと考えております。そのほかにも小規模な推薦地があるということで、そこの整理もすべきだという御指摘もいただいておりますので、そこのところの整理はさせていただきたいと思っております。ただ、IUCNもそういったことをきちっとやれば、ここの地域は世界遺産としての価値のある地域だという、そういう判断はいただいておりますので、そこのところを修正して、次回はしっかりと登録に向けた努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
(問)やはり環境省が考えていた、後々追加をする、北部訓練場について追加をするというような考えと、IUCNの初めから推薦の段階でその地域を含めるというような考えで、やはりそこが違っていたかと思うのですけれども、そこはやはり見通しが甘かったというような見解でしょうか。
(答)見通しが甘かったというふうに申し上げるのが適切なのかどうかは分かりませんが、いずれにしても、そこのところの見解が違っていたということですね。ですから、決定していただくのは世界遺産委員会でありますし、そこの諮問機関のIUCNの考え方というものはしっかりと受け止めて、それを反映させた再提出をしていかなければならないというように考えてます。
(問)最後に再提出についてなのですけれども、来年の2月1日までの再提出を目指すということなのですが、今、文化遺産の登録の推薦を待っている地域が日本に二つぐらいあると思うのですけれど、そことの調整というのはできているのでしょうか。できていなければ今後の見通しなどを教えてください。
(答)環境省は、今の4島を世界遺産に登録していただけるように全力で努力をしてまいりたいと考えておりまして、最終的に政府としてどの案件を推薦するかというのは閣議で了解するものと認識しておりますので、今後その調整に向けて、環境省の考え方が通るように全力で努力をしていきたいと考えております。

(問)鹿児島の南日本新聞の重吉といいます。今回、再提出ということになったのですけれども、地元から具体的にどのような意見が出たのでしょうか。あと、もう一度、このまま受けていた場合のデメリットというのはどのようなことが考えられたからこの夏を回避したかというのと併せて教えてください。
(答)IUCNのそういった考え方が出されておりますわけですけども、それにもかかわらず、仮に推薦を取り下げないでそのまま今年の夏の世界遺産委員会での御判断をいただくということになりますと、そこで登録という、いわゆるOKが出るということはなかなか考えにくいということでございます。そういうことを考えますと、世界遺産委員会の決定を待たずにIUCNのアドバイスを求め、推薦書の修正作業を、今からもう既に始めていくということが早期の再推薦と確実な登録に向けた近道だと、こういうふうに考えております。地元自治体の方に対しましては、何度か本当に丁寧に御説明をして、御意見を拝聴させていただいております。最初は地元自治体の御意見を伺うという形で、そのときにも両論あるということは申し上げておりますけれども、地元自治体の方からは政府の判断を尊重したい、それからやはり政府、そして地元自治体、関係者で足並みをそろえて頑張っていこうと、こういう考え方、それからIUCNの評価をよいきっかけとして更に管理体制を強化して、確実な登録に向けて頑張っていきましょうと、こういう意見を頂いたところであります。先週は環境省の考え方、一旦推薦を取り下げて、そして確実な登録に向けて推薦書を修正して再推薦をすると。その方が早道であり、確実な登録ができるのではないかと、こういう考え方を御説明いたしまして、県、それから地元の市町村含めて全ての自治体の方の御了解がいただけたということでございます。その御了解をいただけたということを基に、本日閣議の了解を頂戴したと、こういうことでございます。

(問)読売新聞の中根です。廃棄物の関係で伺いたいのですけれども、中国が資源ごみの輸入を規制したのが昨年末で、その結果、国内の廃棄物処理業等で混乱ですとか波紋がかなり広がっているようなのですけれども、この件について、大臣としてどのような御認識でいらっしゃるのかというのと、あと、政府又は環境省としてどのような対応、対策をとられていくのかという、その2点、教えていただけますか。
(答)昨年12月末、中国が生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止する措置をとりまして、実施されております。財務省の貿易統計によりますと、日本から中国へのプラスチックのくずの輸出量は、平成29年3月の7.7万トンに対し、平成30年3月では0.2万トンと大幅に減少しております。我が国への影響につきましては、市町村で分別回収されたペットボトル等の資源価格が低下傾向にあり、また、廃プラスチック処理料金が地域によっては上昇傾向にあるとの報告が、自治体や関連事業者から環境省に寄せられております。環境省では、国内のリサイクル体制確保を図る観点から、プラスチックリサイクル設備の高度化に対する国庫補助制度を昨年末に緊急的に創設したところでございまして、本年度も引き続きリサイクル体制の整備を支援してまいりたいと考えております。また、プラスチックの資源循環を進めることは重要な課題でございます。このため、6月に閣議決定を予定しております第4次循環基本計画の案において、「プラスチック資源循環戦略」を策定することを盛り込んでおります。今回の中国の輸入禁止措置に伴う国内への影響も注視しながら、プラスチックの資源循環が更に徹底されるよう、しっかり検討してまいりたいと考えております。

(問)沖縄タイムスの上地と申します。先ほどの自然遺産の方に話を戻らせていただきますが、再推薦を目指すときに、評価基準というのは生態系ではなくて生物多様性に絞って再推薦というのを目指すのかという点と、あとIUCNの評価書の中に、北部訓練場の返還されていない部分というのも計画区域に入れるようにという提言もあったと思うのですけれども、更なる米側との調整というのはどのような段階か教えてください。
(答)生物多様性に絞ってという判断をいただいておりますので、そこは生物多様性、それぞれの島の生物多様性を中心に推薦書をつくっていきたいと思っております。それから、北部訓練場として残る地域につきましては、推薦地に対する実質的な緩衝地帯として機能していると。そして、景観の連続性や重要種の生息に貢献していると。これはIUCNの評価書においてもそのように御指摘いただいておりますので、IUCNからの御指摘は、隣接する推薦地の管理と関係して米軍との調整を更に進めることを求められたものと認識いたしております。この点に関しましては、これまで米国政府の協力も得て、外来種対策等の生態系保全の取組を進めてきておりまして、IUCNにはこういった我が国と米国政府との協力関係に一定の理解が得られているというように認識しております。米国政府に対しては、引き続き協力の継続を働き掛けていきたいと考えております。

(問)共同通信の深谷です。先ほどのプラスチックの話に関連して、EUの欧州委員会が使い捨てプラスチックの使用を禁止したりですとか、食品などのプラスチック容器の回収費用を製造者に負担させるというような規制案を加盟国、欧州議会に提案しました。日本では、先ほどリサイクル高度化の補助制度などを考えていただいているということなのですけれども、それ以上の規制強化などについて検討しているかどうかということを教えてください。
(答)今御指摘がございましたように、欧州委員会が海洋ごみ対策の観点から、ストローや飲料のかき混ぜ棒など、代替手段が経済的に入手可能な使い捨てプラスチック製品を禁止する指令案を5月末に提案したということは承知しております。これは、これからどういうふうな道のりをたどっていくのかということを、しっかりと注視してまいりたいと思います。我が国としては、6月に閣議決定を予定しております第4次循環基本計画の案において、「プラスチック資源循環戦略」を策定することを盛り込んでおります。この「プラスチック資源循環戦略」は、これから議論を始めて、しっかりとしたものをつくっていきたいと考えておりまして、EUの動きもよく注視しつつ、我が国もやはり、代替可能な使い捨てプラスチック製品から随時卒業していくということが大事だと思っておりまして、そのことを含めて、積極的に議論を喚起していきたいというように考えております。

(問)琉球新報の仲村と申します。先ほどの世界遺産の関連でお伺いしたいのですけれども、先日、やんばる国立公園に編入方針が示された北部訓練場の跡地についてなのですけれども、あそこは特別保護地域が約6割占めていたと思うのですけれども、残された北部訓練場の現存する米軍基地については、今後、環境調査などを行う予定などはありますでしょうか。
(事務方)環境省自身で、北部訓練場の残されたところについて環境調査というのを行う予定は特にございません。

(問)西日本新聞の塩入です。自然遺産の件で細かい質問なのですけれども、このまま本審査を受けて、登録にならないとしても情報照会に格上げされる可能性があったと思いますが、情報照会の道を選ばずに取下げを判断した理由と、仮に情報照会に格上げされた場合のデメリットをどう考えたのかというのを教えてください。
(答)情報照会に仮に格上げされまして、来年の、また世界遺産委員会で、推薦書が変えられない、今のままの推薦書で情報照会ということになりましても、来年の委員会でまた延期勧告が出る可能性が否定できないわけです。そうなると更に遅れてしまうということです。更に実際の登録が遅れてしまいますから、今ここで取り下げて再推薦をする。IUCNの提言に沿った形で再推薦をして、そして来年の遺産委員会に向けて、IUCNがしっかりと、登録だと、こういう意見を言っていただく方が早道だと考えたということです。

(問)朝日新聞の太田と申します。ちょっと違うテーマで恐縮なのですけれども、3月26日の中央環境審議会の動物愛護部会の方に、ペット関係の業界団体である全国ペット協会・ZPKさんの方から提出されたアンケート結果につきまして、元々1月に、一旦、環境省に提出したものを差し替えて、再びアンケートを行って、その際に回答の誘導等を行って、実質的に改ざんのようなことをされた結果のものが、この3月26日の動物愛護部会に業界団体から提出されたということがあったわけですけれども、この件について、環境省としてどのように受け止めてらっしゃるかということと、中央環境審議会は環境大臣の諮問機関でもあるわけで、そこの部会の資料になるものがこういった経緯で提出されたということ自体かなり問題だと思うのですが、この件について環境省として今後調査等を行っていくおつもりがあるのかどうかお聞かせください。
(答)全国ペット協会によるアンケート調査は、動物愛護管理法の施行状況調査の一環として、業界団体等にお願いをして実施をしておりまして、その結果を審議会で報告いただいたものでございます。今、御指摘の1回目のアンケート結果は、短期間で実施したので不正確な情報が含まれているため取り下げたいと申し出があって、了承したものでございます。業界団体に限らず、各種団体から審議会に提出される資料は基本的に信頼し、そのまま採用しているわけでございます。各種団体から審議会に提出いただく資料は、提出団体が責任を持って作成されたものだということが当然前提でございまして、現時点では、環境省として調査することは考えておりません。ただ、実際に誘導があるとか、あるいは改ざんがあるということが明らかになれば、その旨を審議会に御報告して、そうした資料に基づいた御議論や御判断はされないようにこちらから申し上げ、そして審議会も当然そういった資料に基づいての判断はされないというふうに考えております。
(問)今、正に大臣がおっしゃられた理由のところが、正に不正確なわけであって、短期間にというふうにZPK側は説明しているようですけれども、この1回目のアンケートというのは、ZPKは12月5日に各回答者に送付又はペットオークション等に送付し、締切りを12月29日にしています。つまり、12月5日に出したとして、届くのが1日、2日かかったとしても、25日間ぐらいあるわけですね。ところが2回目のアンケートというのは、これは環境省の部会のホームページに出ていますけれども、調査期間2月19日から3月13日となっていまして、これは23日間です。1回目が仮に短期間で不正確だったとしたとして、ほぼ同じかそれよりも短い期間で2回目のアンケートを行っていることから、短期間うんぬんというのが説明になっていないことは明らかだと思うのですが、それでも環境省は調査するつもりないでしょうか。
(答)質問事項も違うということで、結果が違っているという説明もいただいておりまして、もちろん今まで申し上げましたように、何か誘導とか改ざんがあるということが明らかであれば、その旨はきちっと審議会の方に御報告しなければならないと考えておりますけれども、環境省がこうした調査を実施するということは考えておりません。
(問)多分、大臣、わざわざ質問項目まで御覧になっていないとは思うのですけれども、同じ質問もたくさんあるのですね。子犬の健康状態ですとか子犬の社会性ですとか、全く同じ質問について全く違う傾向の回答になってしまっておりまして、是非これは御調査された方がいいのではないかと。つまり、この部会での議論というのは、特に今回ZPKが改ざんしたとみられるデータというのは、今、動物愛護法改正のテーマになっております8週齢規制に関わる調査として非常に大事なものですし、自民党さんが動物愛護議連で議論している資料等を見ますと、正にこの3月の部会の議論を参考にされているような論点のまとめ等のペーパーも拝見しております。是非これは御調査された方がいいのではないかなと思うのとともに、全国ペット協会は、こういった8週齢規制に反対している中で、過去にもたくさんデータを提出されているかと思います。菊水健史教授が行われた調査も、ZPKの会員企業が販売した犬猫のデータを基に調査、解析が行われているわけでして、是非、これは過去に遡って、こちらの団体から出てきたデータを御調査されないと、部会での議論が正確にならないですし、これは部会だけの議論ではなく、政治家、各関係団体が見ていますから、影響力が非常に大きいですので、是非御調査をすべきではないかなというふうに思いますがいかがでしょうか。
(答)御意見は承りました。

(問)共同通信、藤原です。世界遺産の関係なのですけれども、推薦を一旦取り下げざるを得なかった、閣議了解に至ってしまった、今日のこの大臣の御心境というか、非常に残念だとか悔しいとか、そういった率直な受け止め、御心境があれば教えてください。
(答)これは、個人的な私の意見を申し上げるということは差し控えたいと思いますが、いずれにしてもIUCNの勧告を真摯に受け止めて、要はこの地域の世界遺産登録を確実に早期に実現をするということでございますので、一旦取り下げて、IUCNのアドバイスに従って再推薦をし、そして早期に確実に、登録に向けた努力を関係者の皆様と一緒にしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
(問)推薦取下げに至った反省点というか、もう少しこうしておけばよかったみたいな、そういう思いは何かありますでしょうか。
(答)ここはIUCNの方との意見交換、現地調査にも来ていただきましたので、そのときには環境省の担当者からIUCNの担当者の方にしっかり御説明をして、また現地も見ていただくなど、きちんとした対応はさせていただいたというように考えております。その上で、IUCNの考え方を頂いたわけでございますので、そこは真摯に受け止めて、今後の対応にいかして、万全を期してまいりたいというように考えています。
(問)世界遺産の件で、ちょっと確認を込めてお尋ねなのですけれども、これまでの勧告が出て以降の環境省の御対応を全般に見る限りですと、基本的にはIUCNの考え方というのを尊重するというか、受け入れるというところが一つあると思うのですが、その上で、仮にの話で恐縮ですが、本審査を受けて情報照会という結論をもし勝ち取るということがあるとすると、それは結局のところIUCNの科学的評価をある意味では飛び越えたところで各国の理解を求めていくということにもつながると思います。そういったところについて、これまで決断を下すまでにどのような考え方で議論があったのか、可能な限りで教えてください。
(答)やはりIUCNは世界遺産委員会の諮問機関でございますので、IUCNからこれは登録に相当するんだというしっかりとした御意見を頂くということが早道だと、こういうふうに考えておりますので、今おっしゃいましたように、IUCNを飛び越えて世界遺産委員会の御判断をいただくということは、現実にはかなり難しいことでありましょうし、IUCNの御指摘を受けて再申請をして、もう一度関係者一同頑張るということが確実、早期な登録をいただく道だというように考えました。

(以上)