大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年3月9日(金)9:07~9:26 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議におきまして、国土交通省及び厚生労働省との共管法でございます「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案」と、農林水産省との共管法である「農薬取締法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。内容につきましては、御手元に資料をお配りさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、東日本大震災発生から7年が経過するに当たって、発言をさせていただきます。明後日11日で、東日本大震災の発生から7年が経過いたします。改めて、震災で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表すとともに、被害を受けられた方々に御見舞いを申し上げたいと思います。就任以来、福島には何度も足を運び、地元の方々のお話を伺う中で、私自身、復興の取組への決意を新たにしてまいりました。被災地の復興・再生は引き続き最優先の課題と認識しておりまして、環境省の総力を挙げて取り組んでいく必要がございます。環境省の任務は、まず除染や廃棄物処理を通じて、被災された方々が生活を再建するための環境を整備することであります。これまでの取組の結果、帰還困難区域を除き、今月末までに全ての面的除染が完了する見込みとなりました。加えて、この1年で、中間貯蔵施設での除去土壌の貯蔵開始、特定廃棄物埋立処分施設への廃棄物の搬入開始、帰還困難区域の復興拠点整備の着手など、福島の環境再生に向けた取組は、地元自治体や住民の御理解の下、着実に進んでおります。また、帰還される住民の方々の不安に寄り添い、将来に向けた課題に粘り強く取り組むことも重要でございます。放射線に係るリスクコミュニケーションに関する取組やイノシシ等の鳥獣対策についても、引き続き関係省庁と連携して対応してまいります。今後はこうした取組に加え、「未来志向」で地域を創生する観点からの取組も進めてまいります。総理も常日頃「東北の復興なくして、日本の再生なし」とおっしゃっております。引き続き、被災地の一日も早い復興と地域の創生に向け、地元との信頼関係を大事にしながら、決意も新たに環境省の総力を挙げて取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)日経新聞の草塩です。2点ありまして、まず1点目なのですが、本日の審議会で採択されることになっていますカーボンプライシングの在り方についての案というのが、既にレクがありましたけれども、それについての大臣の受け止めを、まず伺えればと思います。
(答)長期大幅削減に向けては、社会の隅々でイノベーションを起こしていくことが必要であります。また、気候変動対策を契機として、我が国が抱える経済、地域などにおける諸課題との同時解決を図り、新たな成長につなげていくことも重要でございます。検討会の取りまとめ案におきましては、カーボンプライシングが価格を通じて社会の共通の方向性を示していくことにより、我が国の経済的・社会的課題を同時解決しながら、脱炭素社会への変容を円滑に誘導していくことができるとされております。パリ協定後の世界の状況を踏まえた、大変充実した議論をしていただいたと感じております。今後は、様々な関係者を巻き込んだ国民的な議論を行いながら、カーボンプライシングの具体化に向けて、更に検討を深めていきたいと思っております。
(問)もう1点なのですけれども、昨日の夕方のNHKの放送だったと思うのですけれども、原則として原発の事故時に屋内退避ということになっている地域において、国の指示を待たずに避難したいという声が、住民の方ですか、多いみたいな話があったのですけれども、特に東海第二原発ですと避難する方の人数も多いということで、混乱も予想されるみたいな内容だったと思うのですが、そこに関しての御所感を伺いたいと思います。
(答)東海第二地域に限らず、避難の円滑化を図ること、それからUPZ内の住民に屋内退避の有効性を御理解いただくことは重要なことでございます。UPZ内の住民の方は、原子力災害時には、いつ放射性物質が放出されるか予測できない中で、屋外へ出て避難をしますと、かえって被ばくのリスクが増加する恐れがあるということから、原則、屋内退避をすることが重要だと考えております。他方、円滑な避難を実施するための対策としては、県警による主要交差点等での交通整理や避難車両の誘導等の渋滞対策を実施いたします。さらには、道路の渋滞状況を把握するため、ヘリからの映像伝送なども活用し、適切な交通対策を実施してまいります。引き続き、関係自治体と一体となって、説明会の開催やチラシの配布等の普及啓発活動を行うことと並行いたしまして、計画に基づいて訓練を行い、こういった考え方や避難方法の定着を図ってまいりたいと考えております。

(問)フジテレビの加藤と申します。震災後7年になるのに当たって、中間貯蔵施設の、改めて質問をさせてください。先月末の時点で、地権者が6割、用地として半分以上契約が進んでいるという現状ですが、まだ残っているということも言えると思います。残りの契約、どのように交渉を進めていくかなど、教えていただけますでしょうか。
(答)今、お話がございましたが、中間貯蔵施設予定地の用地取得につきましては、2月末時点で約844ヘクタール、1,380人の方と契約しておりまして、全体面積の約52.8%、民有地の面積の約66.5%に至っております。大切な土地を御提供くださった地権者の皆様に、心より感謝を申し上げたいと思います。環境省としては、残りの用地につきましても、引き続き、地権者の皆様から御理解と御協力を得られるよう、丁寧に対応してまいります。調査の結果、所在不明などの地権者の方につきましては、相続財産管理人制度、不在者財産管理人制度などの各種手続きを活用して、引き続き、丁寧に推進をしてまいりたいと考えております。
(問)あと、中間貯蔵施設、30年保管。その後、県外、最終処分ということが決まっていますけれども、今後議論を進めるという話かとは思いますが、改めて、どのように30年後、県外最終処分など進めていくおつもりか、お考えをお聞かせください。
(答)除去土壌等の最終処分につきましては、「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」旨を定めた法律に則りまして、国としてしっかり取り組んでいくこととしております。県外最終処分に向けては、最終処分が必要となる量の低減を図ることが重要と考えております。「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」及び「工程表」に基づいて、除去土壌等の処理技術の開発、再生利用の推進、最終処分の方向性の検討などの取組を着実に前進させてまいります。このため環境省では、除去土壌の再生利用に関する実証事業を実施するなどの取組を着実に進めております。実証事業をお引き受けいただいております自治体もございまして、本当に感謝をしているところでございます。そうした技術開発の進捗状況や再生利用の将来見込みを踏まえまして、今申し上げました工程表に、平成36年度までに、最終処分場の構造、必要面積等について、一定の見通しを立てるということになっております。ですからまずは、除去土壌の再生利用に関する実証事業を実施をするということで、今、取組を進めているところでございます。
(問)最後に。中間貯蔵施設の敷地内で、まだ行方不明者の方がいるという話も現地でありまして、中間貯蔵施設の敷地内で行方不明者の捜索など、今後どのようにされるか考えはありますか。
(答)中間貯蔵施設予定地の地権者の中には、今も行方不明者の捜索をされている方がおられるわけでございます。環境省としても、このような地権者の方に、これまでも可能な限り捜索へ協力してまいりました。今後も引き続き、地権者の方々に寄り添って対応してまいりたいと考えております。地権者の方と御相談して、順次、用地取得ができたところから、施設整備に伴う作業の一環で、一斉捜索に協力しております。まだ、行方不明の方がおられると思われる地域には、当面は施設の建設はちょっと控えて、環境省として、行方不明者の捜索に協力をするということで対応してまいりたいと思っております。

(問)共同通信の藤井です。2点お伺いします。大熊町の復興拠点の除染が本日から着手されることになっていますが、その御所感をお伺いします。
 もう1点は、冒頭の震災から7年の発言で、原子力防災に関する発言がなかったように思います。大臣も昨年9月に第一原発を視察されたときに、原子力防災の原点は福島の事故だという発言もされていますけれども、現状の原子力防災体制に対して、福島の事故の教訓がどのように生かされているか、どのようにご覧になっているかお伺いします。
(答)本日、大熊町の特定復興再生拠点区域において、家屋等の解体・除染工事に着手することになりました。現地は、雨が降っているということでございますけれども、今日から着手ということにいたします。町の復興・再生の重要な一歩と考えておりまして、環境省としては、引き続き、計画に基づき、関係者と調整しながら、しっかりと役割を果たしてまいりたいと考えております。
 それから、今お話をいただきました原子力防災でございますけれども、正に今お話があったとおり、この原子力防災という部局ができて、防災計画、避難計画をしっかりと、それは再稼働の有無にかかわらず、原子力発電施設がある所の地域については作っていく、そしてまた避難訓練を実施して、それによって得られた教訓というものを踏まえて、またそのときに明らかになった課題というものを一つ一つ乗り越えて、より充実した避難計画、防災計画を作っていくという、そういうことになりましたのは、東京電力の福島第一原子力発電所の事故の、正に教訓からということでございます。二度と原発事故を起こしてはならないのはもちろんのことでございますが、徹底的な事故防止のための対策を講じた上で、万が一の事故に備えた原子力防災対策を進めるということは極めて重要なことだというふうに考えております。私も原子力防災担当大臣を拝命いたしまして、避難訓練等も行ったところでございますけれども、地域防災計画・避難計画のきめ細かな策定支援等を通じて、各地域の原子力防災体制の充実強化にしっかりと取り組んでいきたい。事故から約7年たつこの時点におきまして、決意を新たにさせていただいたところでございます。