大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成30年2月13日(火)9:12 ~9:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の古賀です。原子力防災について伺います。先日の9日に大飯原発の3号機について核燃料の装てんが始められました。今後再稼働に向けて作業が進められるのだと思います。一方で14km先の高浜原発は既に稼動しているということで、今後、比較的近い距離で複数サイト動くことになるということで同時発災のことも考えていく必要があるかと思います。避難の経路とか車両が重ならないかとか、住民の不安はあるかと思いますが今後どのように対応していく予定でしょうか。
(答)まず前提として、原子力災害への備えは、原発が再稼働するか否かに関わらず住民の安全・安心のために継続的に充実強化を図っていくべきものでございます。お尋ねの、万が一、大飯原発と高浜原発とが同時に発災した場合の緊急時対応の問題でございますが、既に策定されているそれぞれの「緊急時対応」におきまして、あらかじめそれぞれの場所から避難をする先について重複することなく確保をしております。大飯原発の地域の方が避難する先は、場合によってはもちろん複数用意してあるわけです。それから高浜原発の地域の方が避難する経路、避難先も複数用意してあるケースもあるわけですが、その場合でも重複することなく確保しております。ですから、基本的には対応できる計画になっておりますが、同時発災の場合の緊急時対応を策定するということになっております。まだ、いつまでにということははっきりしておりませんけれども、そういう状況でございます。では、どういう点を更に今後詰めなければならないのかと言いますと、例えば同時発災時に大飯、高浜のどちらのオフサイトセンターを使用するのかといった点、これは恐らく先に発災した場合のところを使うのだろうと思いますが、例えば緊急時の対応としてどちらのオフサイトセンターを使ってそこで司令塔になる方がいいのかというのは、いろいろな状況があると思うのですね。ですから、こういう場合にはこうだというようなことを決めなければならないというふうに思います。それから、複数避難先を確保している場合に、現実には風向きとかいろいろな条件下でどちらを選んでいくのかというようなことがありますが、特に同時発災の場合にどちらを選ぶのかというのは一つの大きな課題になると思いますので、その辺もマニュアル化(同時発災の場合の緊急時対応を策定)する必要があると思うのですね。つまり、こういった点を詰めていくということになると思います。現在、「福井エリア地域原子力防災協議会」の枠組みの下で、こうした項目につきまして、関係府県等とともに検討を進めているということであります。いずれにせよ、万が一同時発災となった場合には、政府としても責任を持って全力で対処するとともに、人命を最優先に関係自治体を最大限支援してまいります。
(問)関連してなのですけれども、計画の実効性などを確認するために、実際に避難訓練をやる予定などを検討されているとかというのはあるのでしょうか。
(答)訓練につきましては、どのような内容の訓練をどのような時期に実施するのか等について、関係自治体とも相談をしながら検討していきたいというふうに思っております。

(問)熊本日日新聞の嶋田と申します。10日の土曜日なのですけれども、「苦海浄土」などの作品で知られる作家の石牟礼道子さんが亡くなられました。水俣病闘争の中でも象徴的な存在の御一人だったと思うのですけれども、水俣病を所管される環境大臣の受け止めをお願いします。
(答)水俣病患者とその御家族の苦しみ、悲しみを通じて、正に命の尊厳を「苦海浄土」という代表作にまとめられた石牟礼道子さんが90歳でお亡くなりになられたことに心から哀悼の意を表し、お悔やみを申し上げたいと思います。水俣病患者の皆様に寄り添い、水俣病問題に尽力され、水俣病を後世に語り継ぐための大きな活動をされた石牟礼さんの御功績は誠に偉大であるというように思っております。水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた我が国の公害、環境問題の原点となる問題であると認識しております。私も環境大臣として水俣病の被害を受けられた方のために、また地域の振興のために今後ともしっかりと職責を果たしてまいりたいと改めて決意をいたしております。

(問)共同通信の藤井です。原子力防災の観点でお伺いします。先週、泊原発で猛吹雪の中で原発事故が起きたと想定した北海道の防災訓練が行われました。雪と風の影響でヘリが飛ばなかったりという事態もありましたが、訓練を通じてどんな課題が見えたのかお伺いします。また、今シーズン、福井で車が立ち往生するなど北陸地方を中心に大雪がありますけれども、雪が多い地域で、大雪のときに原発事故が起きた場合の避難が不安だという声もありますが、そこに対して国としてどう対応していくかということもお願いします。
(答)平成29年度北海道原子力防災訓練につきましては、北海道等の主催によりまして、2月5日には関係機関による本部運営訓練、8日には住民も参加した実動訓練が実施されました。8日の実動訓練につきましては、厳冬期、厳しい冬の時期における避難退域時検査や外国人観光客に対する避難誘導訓練等の現場に武部政務官も参りまして、おおむね予定通り実施されたというふうに認識しております。他方、今、御指摘がございました悪天候によってヘリコプターによる住民避難訓練等が中止されましたが、やはり様々な状況を想定し、多様な手段をあらかじめ準備し、臨機応変に対応できるよう取り組んでいくことの重要性を改めて感じたところでございます。武部政務官も出席、参加いたしまして、非常に厳しい冬の時期を想定した訓練で、住民避難のみならず、ニセコスキー場もございますので、外国人観光客も想定した訓練も実際に行ったわけでありますけれども、何度も訓練を繰り返し、対応に漏れがないようバージョンアップしていくことが重要だというように、武部政務官自身そういった感想を持ったところだというふうに報告を受けております。今後も安心・安全の暮らしを守るために、国、道、立地自治体、事業者と連携を強化していかなければならないというふうに思います。また、関係自治体等において、今回の訓練から教訓事項となるものを抽出していく作業をこれからやるというふうに思います。こうした教訓事項を踏まえた避難計画や訓練の更なる改善、充実に継続的に取り組んでいくということが重要だと思います。雪で対応できなくなる、これはやはり、一つは直轄国道や高速道路について、国土交通省や高速道路会社が除雪体制の強化を図っていくということが大事だと思います。各関係機関の緊密な連携の下に、各機関の除雪計画に基づき、適切な除雪、また凍結防止等の対策を行って、冬の期間の交通の確保に努めるということが大事だというように思います。これは、そういったことで、関係機関で対応するということになっております。ですから、いつもこういった対応をしていくということが、いざとなったときの対応につながるというように思います。そして、非常に、暴風雪や大雪が降ったときには、PAZ内の施設敷地緊急事態要避難者あるいは住民の方は、天候が回復するまでは屋内退避を優先し、天候回復後は道路状況やプラントの状況等を確認後、避難を実施する。そしてまた、避難の実施により健康リスクが高まる方は、輸送等の避難準備が整うまで近傍の放射線防護施設へ屋内退避を実施するということになっておりまして、そういったことを徹底していく必要があるだろうというふうに考えております。いずれにしても、緊急時対応や訓練の更なる改善、充実に継続的に取り組んでいくということで、こうした暴風雪や大雪のときにおける住民の安心・安全のための対応について、引き続きしっかりと充実させていく必要があるというふうに思っております。